以下、本発明の好適な実施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に述べる実施例は、本発明の好適な実施例であるので、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明によって不当に限定されるものではなく、また、本実施の形態で説明される構成の全てが本発明の必須の構成要件ではない。
図1は、本発明の画像処理装置、画像形成装置、省電力方法の第1実施例を示す図であり、図1は、本発明の画像処理装置、画像形成装置、省電力方法の第1実施例を適用した複合装置1の要部ブロック構成図である。
図1において、複合装置(画像処理装置、画像形成装置)1は、エンジン部2、コントローラ部3、PSU(Power Supply Unit:電源供給部)4及びメインスイッチ5等を備えており、その他に、操作表示部、パーソナルコンピュータPC等の外部装置とネットワークを介して接続する外部インターフェイス、ファクシミリ部等を備えている。
PSU4(電力供給手段)は、メインスイッチ5を介して100Vの商用電源電力に図示しないプラグを介して接続され、メインスイッチ5がオンされると、該商用電源電力が供給される。PSU4は、変圧器、整流回路及びレギュレータ回路等を備えており、商用電源電力を所定電圧に変換するとともに整流した後、レギュレータ回路を介して安定したDC電力として、コントローラ電力Pcをコントローラ部3に供給し、また、エンジン電力Peをエンジン部2に供給する。
エンジン部(エンジン手段)2は、スキャナ、プロッタ等のエンジンを総称したものである。スキャナは、例えば、CCD(Charge Coupled Device )を利用したイメージスキャナ等が利用されており、一般に、ADF(自動原稿送り装置)を備えている。ADFには、複数枚の原稿がセットされ、ADFは、セットされた原稿を1枚ずつスキャナの原稿読み取り位置に送給する。スキャナは、ADFから搬送されてきた原稿を走査し、原稿の画像を所定の解像度で読み取って、2値化してコントローラユニット3に出力する。プロッタは、例えば、電子写真式記録装置等であり、プロッタは、記録紙に、スキャナで読み取られた原稿の画像や図示しないファクシミリ通信部やネットワーク通信部で受信した受信画像等を記録出力するとともに、必要なレポートを用紙やフィルム等の被記録媒体(以下、単に、用紙という。)に記録出力する。
エンジン部2は、エンジンASIC(Application Specific Integrated Circuit)21を搭載しており、スキャナで読み取った原稿の画像データにエンジンASIC21によって各種画像処理を施して、コントローラ部3に送る。また、エンジン部2は、コントローラ部3から送られてきた画像データに対して、プロッタ部で印刷出力するのに適した画像処理をエンジンASIC21によって行う。エンジンASIC21には、上記PSU4からのエンジン電源電力Peに基づくエンジンASIC電源電力(インターフェイス供給電力)Peaが供給される。
コントローラ部(コントロール手段)3は、コントローラCPU(Central Processing Unit )31、操作表示I/F、メインメモリ、ROM、各種I/O(Input/Output)、コントローラASIC32、ハードディスク及びクロックジェネレータ33等を搭載しており、コントローラCPU31の制御下で、エンジン部2の制御及び複合装置1の全体の制御、描画、通信、ハードディスクに対する画像データの読み書き、操作表示部での操作取得や操作表示部への表示データの制御及びコントローラASIC32による画像データへの必要な画像処理を行う。コントローラASIC31には、上記PSU4からのコントローラ電源電力Pcに基づくコントローラASIC電源電力Pcaが供給される。
エンジンASIC21とコントローラASIC32は、PCIe(高速シリアルバス)6で接続されており、エンジンASIC21及びコントローラASIC32は、それぞれPCIe6のLTSSM(Link Training and Status State Machine)の状態を示すLTSSMレジスタ(バススリープ状態検出手段)21a、32aを備えている。LTSSMレジスタ21a及びLTSSMレジスタ32aの内容によってPCIe6のリンク(Link)状態を知ることができ、また、LTSSM21a、32aの値を設定することで、PCIe6の状態を設定することができる。上記エンジンASIC21は、PCIe6のエンジン側インターフェイスを有し、コントローラASIC32は、PCIe6のコントロール側インターフェイスを有している。
クロックジェネレータ(クロック発生手段)33は、PCIe6を動作させるためのリファレンスクロック(基準クロック)を発生し、エンジン・リファレンスクロックCeをエンジンASIC21に、コントローラ・リファレンスクロックCcをコントローラASIC32にそれぞれ出力する。クロックジェネレータ33は、EN(Enable)ピン33aを備えており、ENピン33aの入力信号がLow(ロー)レベルになると、リファレンスクロックの発振を停止して、ENピン33aの入力信号がHigh(ハイ)レベルになると、リファレンスクロックの発振を開始する。
PCIe6は、スタンバイ状態(L0)、スリープ状態(L2)等の状態(ステート)を有しており、PCIe6のリンク状態は、通常、コントローラASIC32の備えているLTSSMレジスタ32aやエンジンASIC21の備えているLTSSMレジスタ21aの値で表される。そして、コントローラASIC32は、LTSSMレジスタ32aの値がスリープ状態(L2)となった際に、クロックジェネレータ33のENピン33aへ出力しているクロック制御信号ScをLowレベルとし、それ以外の状態においては、クロック制御信号ScをHighレベルにする。すなわち、PCIe6がL2状態(スリープ状態)になった瞬間に、コントローラASIC32がクロックジェネレータ33のENピン33aに出力しているクロック制御信号ScがLowレベルになって、クロックジェネレータ33のENピン33aがLowレベルになり、クロックジェネレータ33の出力していたエンジン・リファレンスクロックCe及びコントローラ・リファレンスクロックCcが停止する。
また、コントローラASIC21とクロックジェネレータ33とは通信路34で接続されており、コントローラCPU31の実行するプログラムが、コントローラASIC32及び通信路34を介して、クロックジェネレータ33内のレジスタを制御することで、エンジン・リファレンスクロックCeとコントローラ・リファレンスクロックCcをON/OFF制御する。したがって、コントローラASIC32は、クロック制御手段として機能している。
なお、コントローラASIC32によるクロックジェネレータ33の出力するリファレンスクロックCe、CcのON/OFF制御は、上述のように、エンジン・リファレンスクロックCeとコントローラ・リファレンスクロックCcを同時にON/OFF制御してもよいし、エンジン・リファレンスクロックCeのみをON/OFF制御してもよい。
そして、複合装置1は、省電力モードを備えており、待機状態で予め設定されている待ち時間が経過したとき、操作表示部の省電力モードキーが操作されたとき等の省電力モード移行要因が発生すると、コントローラASIC32が、PSU4に出力している電力制御信号SpをLowレベルにして、操作表示部でのキー操作、外部装置からの印刷等の動作要求、スキャナ部への原稿のセット等の省電力モード復帰要因が発生すると、電力制御信号SpをHighレベルにする。したがって、コントローラASIC32は、電力制御手段として機能している。
PSU4は、コントローラASIC32からの電力制御信号SpがLowレベルになると、エンジン部2へ供給しているエンジン電源電力Peの供給を停止し、電力制御信号SpがLowレベルからHighレベルになると、供給を停止していたエンジン部2へのエンジン電源電力Peの供給を開始する。
次に、本実施例の作用について説明する。本実施例の複合装置1は、省電力モードへの移行と省電力モードからの復帰時にPCIe6のリファレンスクロックCe、Ccを適切に制御して、消費電力のより一層の削減を行う。
すなわち、複合装置1は、エンジン部2のエンジンASIC21とコントローラ部3のコントローラASIC32がPCIe6によって接続されており、エンジンASIC21とコントローラASIC32の間で、PCIe6を介して、高速にデータ転送を行う。
そして、複合装置1は、待機状態において予め設定された待ち時間が経過したり、操作表示部の省電力モードキーが操作される等の省電力モード移行要因が発生すると、CPU31が、コントローラASIC32を制御して、コントローラASIC32からPSU4に出力している電力制御信号SpをLowレベルに切り替えて、PSU4からエンジン部2へのエンジン電源電力Peの供給を停止させる。
エンジン部2は、PSU4から供給されているエンジン電源電力Peの供給が停止されると、エンジンASIC21に供給しているエンジンASIC電源電力Peaの供給が停止されるが、このときには、コントローラ部3のクロックジェネレータ33から供給されているエンジン・リファレンスクロックCeも停止する必要がある。
そこで、複合装置1は、CPU31の実行しているプログラムが通信路34を介してクロックジェネレータ33内のレジスタを制御してクロックジェネレータ33がエンジンASIC21に供給しているエンジン・リファレンスクロックCeを停止させるソフトウェア方法またはコントローラASIC32がLTSSMレジスタ32aの値がスリープ状態(L2)となった際にクロックジェネレータ33のENピン33aへ出力しているクロック制御信号ScをLowレベルとすることでクロックジェネレータ33からエンジンASIC21に出力しているエンジン・リファレンスクロックCeを停止させるハードウェア方法のいずれかで、エンジン・リファレンスクロックCeを停止させる。
そして、複合装置1は、操作表示部でのキー操作、外部装置からの印刷等の動作要求、スキャナ部への原稿のセット等の省電力モード復帰要因が発生すると、コントローラASIC32が、PSU4へ出力している電力制御信号SpをHighレベルにし、PSU4が、エンジン電源電力Peのエンジン部2への供給を開始する。エンジン部2は、エンジン電源電力Peの供給が再開されると、エンジンASIC電源電力PeaのエンジンASIC21への供給を再開する。そして、例えば、CPU31が、コントローラASIC32を介してクロックジェネレータ33のレジスタ制御によって、クロックジェネレータ33にエンジン・リファレンスクロックCeのエンジンASIC21への供給を開始させ、PCIe6のリンクを確立させて、スタンバイ状態(L0)に移行させる。
このように、本実施例の複合装置1は、各種画像処理を行うエンジン部(エンジン手段)2とエンジン部2を制御するコントローラ部(コントロール手段)3が、エンジン側インターフェイスとしてのエンジンASIC21とコントロール側インターフェイスとしてのコントローラASIC32を介して高速シリアルバスであるPCIe6によって接続されており、エンジンASIC21とコントローラASIC32にクロックジェネレータ(クロック発生手段)33からPCIe6の動作を規定する基準クロックであるエンジン・リファレンスクロックCeとコントローラ・リファレンスクロックCcを供給しており、PCIe6のリンク状態がスリープ状態であることが検出されると、少なくともクロックジェネレータ33からエンジンASIC21へのエンジン・リファレンスクロックCeの出力を停止している。
したがって、高速シリアルバスがスリープ状態になると、速やかに該高速シリアルバスへのリファレンスクロックを停止することができ、省電力をより一層向上させることができる。
また、本実施例の複合装置1は、PSU4から、エンジン部2とコントローラ部3にそれぞれ独立して電力を供給し、クロックジェネレータ33からエンジンASIC21へのエンジン・リファレンスクロックCeの出力が停止されると、エンジン部2への電力供給を停止している。
したがって、エンジン部2にエンジン電源電力Peの供給が開始される前に、エンジン・リファレンスクロックCeが供給されることを防止して、デバイスに故障が発生することを防止することができるとともに、エンジン電源電力Peの供給が開始されてからリファレンスクロックCeの供給が開始されるまでの時間を最短にすることができ、PCIe6のリンクアップを速やかに行って、起動時間を短くすることができる。
なお、エンジン・リファレンスクロックCeをON/OFF(発振開始/発振停止)させると同時に、コントローラ・リファレンスクロックCcをON/OFFさせてもよい。
このようにすると、PCIe6にとって不要なリファレンスクロックCe、Cc全ての発振を停止することができ、より一層消費電力を削減することができる。
図2〜図5は、本発明の画像処理装置、画像形成装置、省電力方法の第2実施例を示す図であり、図2は、本発明の画像処理装置、画像形成装置、省電力方法の第2実施例を適用した複合装置100の要部ブロック構成図である。
なお、本実施例は、第1実施例の複合装置1と同様の複合装置100に適用したものであり、本実施例の説明においては、第1実施例の複合装置1と同様の構成部分には、同一の符号を付与して、その説明を省略または簡略化する。
図2において、複合装置(画像処理装置、画像形成装置)100は、エンジン部102、コントローラ部103、PSU4及びメインスイッチ5等を備えており、PSU4からエンジン部102及びコントローラ部103にそれぞれエンジン電源電力Peとコントローラ電源電力Pcが供給される。
エンジン部(エンジン手段)102は、第1実施例のエンジン部2と同様に、スキャナ、プロッタ等のエンジンを総称したものであり、第1実施例のエンジン部2と同様のエンジンASIC21を備えているとともに、電圧監視部121を備えている。コントローラ部(コントロール手段)103は、第1実施例の複合装置1と同様のCPU31、コントローラASIC32及びクロックジェネレータ33を備えているとともに、クロック制御回路131を備えている。
エンジン部102の電圧監視部(電圧検出手段)121は、エンジンASIC21に供給されるエンジンASIC電源電力Peaの電圧を検出し、検出した電圧検知信号Svをコントローラ部103のクロック制御回路131に出力する。電圧監視部121は、検出しているエンジンASIC電源電力Peaの電圧値が予め設定された規定電圧以上になると、電圧検知信号Svをアサートする。
コントローラ部103のクロック制御回路131には、電圧監視部121からの電圧検知信号Svの他に、コントローラASIC32からクロック制御信号Scとリンクアップ信号Suが入力される。
クロック制御信号Scは、第1実施例の場合と同様にコントローラASIC32から出力されるが、出力先がクロックジェネレータ33のENピン33aではなく、クロック制御回路131となっている。そして、コントローラASIC32は、第1実施例の場合と同様に、LTSSMレジスタ32aの値がL2となった際に、クロックジェネレータ33のENピン33aへ出力しているクロック制御信号ScをLowレベルとし、それ以外の状態においては、クロック制御信号ScをHighレベルにする。
また、コントローラASIC32は、PCIe6のリンク確率時にHighレベルとなり、リンク切断時にLowレベルとなるリンクアップ信号Suをクロック制御回路131に出力する。このコントローラASIC32からクロック制御回路131へのリンクアップ信号Suの出力制御は、コントローラCPU31のプログラムによって行ってもよいし、コントローラASIC32がハードウェアによって行ってもよい。
クロック制御回路131は、コントローラASIC32からのリンクアップ信号Suに基づいて、PCIe6がリンクを確立する状態であるのか、リンクを切断する状態であるのかを判断して、PCIe6のリンクを確立する状態で電圧検知信号Svがアサート状態になると、クロックジェネレータ33のENピン33aへ出力しているクロックEN制御信号SecをHighレベルにして、クロックジェネレータ33によるエンジンASIC21へのエンジン・リファレンスクロックCeの供給を開始させ、PCIe6のリンクを切断する状態で、コントローラASIC32からのクロック制御信号ScがLowレベルになると、クロックジェネレータ33のENピン33aへ出力しているクロックEN制御信号SecをLowレベルにして、クロックジェネレータ33によるエンジンASIC21へのエンジン・リファレンスクロックCeの供給を停止させる。したがって、コントローラASIC32及びクロック制御回路131は、全体として、クロック制御手段として機能しており、コントローラASIC32は、第1実施例の場合と同様に、電力制御手段としても機能している。
次に、本実施例の作用について説明する。本実施例の複合装置100は、省電力モードからの復帰時におけるPCIe6のリファレンスクロックCe、Ccをより一層適切に制御し、また、エンジン部102へのエンジン電源電力PeのON/OFFを適切に制御して、消費電力のより一層の削減を行う。
すなわち、省電力モードからの復帰時に、クロックジェネレータ33からエンジンASIC21へのエンジン・リファレンスクロックCeの供給開始を、CPU31が、コントローラASIC32及び通信路34を介してクロックジェネレータ33のレジスタ制御を行うことによって、クロックジェネレータ33にエンジン・リファレンスクロックCeのエンジンASIC21への供給を開始させる場合、CPU31は、コントローラASIC32からPSU4への電力制御信号PsをHighレベルにした後、エンジンASIC21へのエンジンASIC電源電力Peaの電圧が所定の電圧に上昇するまでの所定の待ち時間待って、コントローラASIC32及び通信路34を介してクロックジェネレータ33のレジスタ制御を行って、クロックジェネレータ33にエンジン・リファレンスクロックCeのエンジンASIC21への供給を開始させ、PCIe6のリンクを確立させて、スタンバイ状態(L0)に移行させる。
ところが、ソフトウェア制御によってPSU4への電力制御信号PsをHighレベルにした後、エンジンASIC21へのエンジンASIC電源電力Peaの電圧が所定の電圧に上昇するまでの所定の待ち時間として、動作の安全性を確保するためには、最大値を設定する必要があり、過剰な待ち時間になる場合がある。その結果、PCIe6のリンクトレーニング開始が遅くなり、動作の迅速さと電力削減を向上させる必要がある。
そこで、本実施例の複合装置100は、エンジン部102に、エンジンASIC21へのエンジンASIC電源電力Peaの電圧値をハードウェアで検出する電圧監視部121を設け、コントローラ部103に電圧監視部121からの電圧検知信号Svに基づいてクロックジェネレータ33のENピン33aへのクロックEN制御信号Secを制御して、エンジン・リファレンスクロックCeの供給開始と供給停止を制御するクロック制御回路131を設けている。
すなわち、複合装置100は、図3に示すように、PCIe6のリンクの確立が開始されたL2であるスリープ状態(ステートST1)になると、リンクアップ信号SuがHighレベルとなるが、このとき、エンジンASIC21へのエンジンASIC電源電力Peaの電圧値を検出する電圧監視部121がクロック制御回路131に出力する電圧検知信号SvとコントローラASIC32がクロック制御回路131に出力するクロック制御信号Scは、Lowレベルである。このとき、クロック制御回路131がクロックジェネレータ33のENピン33aに出力するクロックEN制御信号Secは、Lowレベルである。すなわち、図4に示すように、ステートST1では、リンクアップ信号SuのみがHighレベル(1)であり、その他の信号Sv、Sc、Secは、Lowレベル(0)である。
その後、PSU4からエンジン部102へエンジン電源電力Peの供給が開始されて、エンジンASIC21へ供給されているエンジンASIC電源電力Peaの電圧値が所定電圧以上となって、電圧監視部121がクロック制御回路131へ出力する電圧検知信号SvがHighレベルになると、クロック制御回路131が、クロックジェネレータ33のENピン33aに出力しているクロックEN制御信号SecをHighレベルにして、クロックジェネレータ33がエンジンASIC21へのエンジン・リファレンスクロックCeの供給を開始するステートST2となる。すなわち、図4に示すように、ステートST2では、リンクアップ信号Su、電圧検知信号Sv、クロックEN制御信号SecがHighレベルであり、クロック制御信号Scのみが、Lowレベル(0)である。
そして、PCIe6のリンクが確立して、PCIe6の状態が、スタンバイ状態(L0)になると、クロック制御信号ScもHighレベルになり、このとき、クロックEN制御信号SecはHighレベルのままであって、クロックジェネレータ33は、エンジンASIC21へのエンジン・リファレンスクロックCeの発振を継続するステートST3となる。すなわち、図4に示すように、ステートST3では、全ての信号Su、Sv、Sc、SecがHighレベル(1)である。
ここで、省電力モードへの移行要因が発生すると、PCIe6のリンクを切断するために、コントローラASIC32からクロック制御回路131へ出力されているリンクアップ信号SuがLowレベルになるが、このときには、クロックEN制御信号SecがHighレベルのままであって、クロックジェネレータ33は、エンジンASIC21へのエンジン・リファレンスクロックCeの発振を継続するステートST4となる。すなわち、図4に示すように、ステートST4では、リンクアップ信号Suのみが、Lowレベル(0)であり、その他の信号Sv、Sc、Secは、Highレベル(1)である。
その後、PCIe6の状態がスリープ状態(L2)になると、コントローラASIC32からクロック制御回路131に出力しているクロック制御信号ScがLowレベルとなり、クロック制御回路131が、クロックジェネレータ33のENピン33aに出力しているクロックEN制御信号SecをLowレベルに切り替えて、クロックジェネレータ33が、エンジンASIC21へのエンジン・リファレンスクロックCeの発振を停止するステートST5となる。すなわち、図4に示すように、ステートTS5では、電圧検知信号SvのみがHighレベル(1)であって、その他の信号Su、Sc、SecがLowレベル(0)である。
そして、コントローラASIC32は、PSU4への電力制御信号SpをLowレベル(0)にすると、PSU4がエンジン部102に供給しているエンジン電源電力Peの供給を停止し、エンジンASIC21に供給されていたエンジンASIC電源電力Peaの供給が停止(Lowレベル)されて、クロックEN制御信号Sec及びエンジン・リファレンスクロックCeがLowレベルのままであるステートST6となる。すなわち、図4に示すように、このステートST6では、全ての信号Su、Sv、Sc、SecがLowレベル(0)である。
このように、本実施例の複合装置100は、エンジン部102へ供給されるエンジン電源電力Peに基づいてエンジンASIC21に供給されるエンジンASIC電源電力Peaの電圧を電源監視部121で検出し、エンジン部102へのエンジン電源電力Peの供給が開始されて、該エンジンASIC電源電力Peaの電圧が所定の基準電圧以上になると、クロックジェネレータ33からエンジンASIC21へのエンジン・リファレンスクロックCeの出力を開始している。
したがって、エンジン部102にエンジン電源電力Peの供給が開始される前に、エンジン・リファレンスクロックCeが供給されることを防止して、デバイスに故障が発生することを防止することができるとともに、エンジン電源電力Peの供給が開始されてからリファレンスクロックCeの供給が開始されるまでの時間を最短にすることができ、PCIe6のリンクアップを速やかに行って、起動時間を短くすることができる。
なお、本実施例の複合装置100において、PCIe6の切断時に、一定時間待ってもPCIe6がスリープ状態(L2)にならなかった場合、図5に示すように、エラー信号Seをクロック制御回路131からコントローラASIC32に出力して、コントローラASIC32を介してコントローラCPU31の実行しているプログラムに通知してもよい。
すなわち、クロック制御回路131は、PCIe6の切断時に、一定時間待ってもPCIe6がスリープ状態(L2)にならなかった場合、エラー信号SeをコントローラASIC32に出力して、コントローラASIC32を介してコントローラCPU31の実行しているプログラムに通知する異常判断手段として機能する。
コントローラCPU(異常通知手段)31は、該プログラムを実行することで、例えば、操作表示部にエラーが発生した旨のメッセージを表示したり、ネットワークを介してエラーメッセージをサービスセンターのコンピュータに送信する等の方法で、ユーザやサービスマンにエラー発生を通知する。
また、コントローラCPU31は、異常であると認識した場合には、PCIe6がスリープ状態(L2)に移行していなくても、コントローラASIC32から通信路34を介してクロックジェネレータ33のレジスタ制御を行って、クロックジェネレータ33によるエンジンASIC21へのエンジン・リファレンスクロックCeの供給を停止させ、また、コントローラASIC32に、PSU4へ出力している電力制御信号SpをLowレベル(0)にさせて、PSU4がエンジン部102に供給しているエンジン電源電力Peの供給を停止させてもよい。
このようにすると、PCIe6の異常をユーザやサービスマンに通知することができ、PCIe6の異常に対して速やかに対応することができる。
また、PCIe6の異常が発生しても、エンジン・リファレンスクロックCeの供給停止及びエンジン電源電力Peの供給停止を行って、省電力モードに移行することができる。
図6〜図9は、本発明の画像処理装置、画像形成装置、省電力方法の第3実施例を示す図であり、図5は、本発明の画像処理装置、画像形成装置、省電力方法の第3実施例を適用した複合装置110の要部ブロック構成図である。
なお、本実施例は、第2実施例の複合装置100と同様の複合装置110に適用したものであり、本実施例の説明においては、第2実施例の複合装置100と同様の構成部分には、同一の符号を付与して、その説明を省略または簡略化する。
図5において、複合装置(画像処理装置、画像形成装置)110は、エンジン部102、コントローラ部113、PSU4及びメインスイッチ5等を備えており、PSU4からエンジン部102及びコントローラ部113にそれぞれエンジン電源電力Peとコントローラ電源電力Pcが供給される。
エンジン部102は、第2実施例の複合装置100と同様のエンジンASIC21を備えているとともに、電圧監視部121を備えており、コントローラ部113は、第2実施例の複合装置100と同様のCPU31、コントローラASIC32、クロックジェネレータ33を備えているとともに、クロック制御回路132を備えている。
エンジン部102の電圧監視部121は、エンジンASIC21に供給されるエンジンASIC電源電力Peaの電圧を検出し、検出した電圧検知信号Svをコントローラ部113のクロック制御回路132に出力する。電圧監視部121は、検出しているエンジンASIC電源電力Peaの電圧値が予め設定された規定電圧以上になると、電圧検知信号Svをアサートする。
コントローラ部(コントロール手段)113のクロック制御回路132には、第2実施例の複合装置100のクロック制御回路131と同様に、電圧監視部121からの電圧検知信号Svの他に、コントローラASIC32からクロック制御信号Scとリンクアップ信号Suが入力される。
クロック制御回路(クロック制御手段)132は、第2実施例のクロック制御回路131と同様に、コントローラASIC32からのリンクアップ信号Suに基づいてPCIe6がリンクが確立する状態であるのか、リンクを切断する状態であるのかを判断して、PCIe6のリンクを確立する状態で電圧検知信号Svがアサート状態になると、クロックジェネレータ33のENピン33aへ出力しているクロックEN制御信号SecをHighレベルにして、クロックジェネレータ33によるエンジンASIC21へのエンジン・リファレンスクロックCeの供給を開始させ、PCIe6のリンクを切断する状態で、コントローラASIC32からのクロック制御信号ScがLowレベルになると、クロックジェネレータ33のENピン33aへ出力しているクロックEN制御信号SecをLowレベルにして、クロックジェネレータ33によるエンジンASIC21へのエンジン・リファレンスクロックCeの供給を停止させる。
さらに、クロック制御回路(電力制御手段)132は、PSU4からエンジン部102へのエンジン電源電力Peの電源供給/供給停止を制御する電力制御信号SpをPSU4に出力しており、待機状態で予め待ち時間が経過したとき、操作表示部の省電力モードキーが操作されたとき等の省電力モード移行要因が発生すると、PSU4に出力している電力制御信号SpをLowレベルに、操作表示部でのキー操作、外部装置からの印刷等の動作要求、スキャナ部への原稿のセット等の省電力モード復帰要因が発生すると、電力制御信号SpをHighレベルにする。
すなわち、本実施例の複合装置110は、第1実施例及び第2実施例では、コントローラASIC32がPSU4に出力していた電力制御信号Spを、クロック制御回路132が出力している。
次に、本実施例の作用について説明する。本実施例の複合装置110は、エンジン部102へのPSU4からのエンジン電源電力Peの供給開始/供給停止を、クロック制御回路132からからPSU4への電力制御信号Spによってハードウェア的に制御する。
すなわち、複合装置110は、図6に示すように、PCIe6のリンクの確立が開始されたL2であるスリープ状態(ステートST1)になると、リンクアップ信号SuがHighレベルとなるとともに、クロック制御回路132がPSU4に出力している電力制御信号SpをHighレベルにするが、このとき、図3と同様に、エンジンASIC21へのエンジンASIC電源電力Peaの電圧値を検出する電圧監視部121がクロック制御回路132に出力する電圧検知信号SvとコントローラASIC32がクロック制御回路132に出力するクロック制御信号Scは、Lowレベルである。このとき、クロック制御回路132がクロックジェネレータ33のENピン33aに出力するクロックEN制御信号Secは、Lowレベルである。すなわち、図7に示すように、ステートST1では、リンクアップ信号Suと電力制御信号SpがHighレベル(1)であり、その他の信号Sv、Sc、Secは、Lowレベル(0)である。
その後、PSU4からエンジン部102へエンジン電源電力Peの供給が開始されて、エンジンASIC21へ供給されているエンジンASIC電源電力Peaの電圧値が所定電圧以上となって、電圧監視部121がクロック制御回路132へ出力する電圧検知信号SvがHighレベルになると、クロック制御回路132が、クロックジェネレータ33のENピン33aに出力しているクロックEN制御信号SecをHighレベルにして、クロックジェネレータ33がエンジンASIC21へのエンジン・リファレンスクロックCeの供給を開始するステートST2となる。すなわち、図7に示すように、ステートST2では、リンクアップ信号Su、電圧検知信号Sv、クロックEN制御信号Sec、電力制御信号SpがHighレベルであり、クロック制御信号Scのみが、Lowレベル(0)である。
そして、PCIe6のリンクが確立して、PCIe6の状態が、スタンバイ状態(L0)になると、クロック制御信号ScもHighレベルになり、このとき、クロックEN制御信号SecはHighレベルのままであって、クロックジェネレータ33は、エンジンASIC21へのエンジン・リファレンスクロックCeの発振を継続するステートST3となる。すなわち、図7に示すように、ステートST3では、全ての信号Su、Sv、Sc、SecがHighレベル(1)である。
そして、省電力モードへの移行要因が発生すると、PCIe6のリンクを切断するために、コントローラASIC32からクロック制御回路132へ出力されているリンクアップ信号SuがLowレベルになるが、このときには、クロックEN制御信号SecがHighレベルのままであって、クロックジェネレータ33は、エンジンASIC21へのエンジン・リファレンスクロックCeの発振を継続するステートST4となり、電力制御信号SpもHighレベルのままであって、PSU4は、エンジン電源電力Peのエンジン部102への供給を継続している。すなわち、図7に示すように、ステートST4では、リンクアップ信号Suのみが、Lowレベル(0)であり、その他の信号Sv、Sc、Sec、Spは、Highレベル(1)である。
その後、PCIe6の状態がスリープ状態(L2)になると、コントローラASIC32からクロック制御回路132に出力しているクロック制御信号ScがLowレベルとなり、クロック制御回路132が、クロックジェネレータ33のENピン33aに出力しているクロックEN制御信号SecをLowレベルに切り替えて、クロックジェネレータ33からエンジンASIC21へのエンジン・リファレンスクロックCeの発振を停止させるとともに、同時に、PSU4への電力制御信号SpをHighレベルからLowレベルに切り替えて、PSU4からエンジン部102へのエンジン電源電力Peの供給を停止させるステートST5となる。すなわち、図7に示すように、ステートTS5では、電圧検知信号SvのみがHighレベル(1)であって、その他の信号Su、Sc、Sec、SpがLowレベル(0)である。
そして、コントローラASIC32は、ステートST5でのエンジンASIC21に供給されていたエンジンASIC電源電力Peaの供給が停止(Lowレベル)されて、クロックEN制御信号Sec及びエンジン・リファレンスクロックCeがLowレベルのままであって、エンジン・リファレンスクロックCeの発振が停止してエンジン電源電力PeがOFFとなるステートST6となる。すなわち、図7に示すように、このステートST6では、全ての信号Su、Sv、Sc、SecがLowレベル(0)である。
このように、本実施例の複合装置100は、エンジン部102へ供給されるエンジン電源電力Peに基づいてエンジンASIC21に供給されるエンジンASIC電源電力Peaの電圧を電源監視部121で検出し、エンジン部102へのエンジン電源電力Peの供給が開始されて、該エンジンASIC電源電力Peaの電圧が所定の基準電圧以上になると、クロックジェネレータ33からエンジンASIC21へのエンジン・リファレンスクロックCeの出力を開始している。
したがって、エンジン部102にエンジン電源電力Peの供給が開始される前に、エンジン・リファレンスクロックCeが供給されることを防止して、デバイスに故障が発生することを防止することができるとともに、エンジン電源電力Peの供給が開始されてからリファレンスクロックCeの供給が開始されるまでの時間を最短にすることができ、PCIe6のリンクアップを速やかに行って、起動時間を短くすることができる。
また、クロック制御回路132によって、PSU4からエンジン部102へのエンジン電源電力Peの供給開始/供給停止をハードウェア的に制御することができ、より一層速やかにかつコントローラCPU31の負荷を軽減しつつ制御することができる。
なお、本実施例の複合装置110において、PCIe6の切断時に、一定時間待ってもPCIe6がスリープ状態(L2)にならなかった場合、図9に示すように、エラー信号Seをクロック制御回路132からコントローラASIC32に出力して、コントローラASIC32を介してコントローラCPU31の実行しているプログラムに通知するとともに、PSU4によるエンジン部102へのエンジン電源電力Peの供給を停止させるようにしてもよい。
すなわち、電力制御手段であるクロック制御回路132は、PCIe6の切断時に、一定時間待ってもPCIe6がスリープ状態(L2)にならなかった場合、エラー信号SeをコントローラASIC32に出力して、コントローラASIC32を介してコントローラCPU31の実行しているプログラムに通知するとともに、PSU4に出力している電力制御信号SpをLowレベル(0)に切り替える異常判断手段として機能する。
コントローラCPU(異常通知手段)31は、該プログラムを実行することで、例えば、操作表示部にエラーが発生した旨のメッセージを表示したり、ネットワークを介してエラーメッセージをサービスセンターのコンピュータに送信する等の方法で、ユーザやサービスマンにエラー発生を通知する。
また、コントローラCPU31は、異常であると認識した場合には、PCIe6がスリープ状態(L2)に移行していなくても、コントローラASIC32から通信路34を介してクロックジェネレータ33のレジスタ制御を行って、クロックジェネレータ33によるエンジンASIC21へのエンジン・リファレンスクロックCeの供給を停止させる。
この場合、クロック制御回路132は、エラー信号Seを出力する機能を有していなくても、電力制御信号SpをLowレベル(0)に切り替えることのみを行ってもよい。
このようにすると、PCIe6の異常をユーザやサービスマンに通知することができ、PCIe6の異常に対して速やかに対応することができる。
また、PCIe6の異常が発生しても、エンジン・リファレンスクロックCeの供給停止及びエンジン電源電力Peの供給停止を行って、省電力モードに移行することができる。
以上、本発明者によってなされた発明を好適な実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施例で説明したものに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。