JP5721236B2 - 電磁界発生装置および電磁界発生方法 - Google Patents

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Description

本発明は、周波数、位相、振幅、波形などが動的に変化する電磁界を発生させる電磁界発生装置および電磁界発生方法に関する。
従来、無線通信の技術分野において、電磁波に情報を重畳して空間に放射する手段として、変復調器と周波数変換器と電力増幅器とアンテナとを組み合わせた無線通信システムが使用されている。また、近年では、いわゆるソフトウェア無線での応用を目的として、無線周波数の信号波形を直接生成する技術であるDDS(Direct Digital Synthesizer)などが考案・商品化され、これにより、いっそう動的に無線周波数の波形を制御することが可能となってきた。
特表2009−501510号公報
しかしながら、高周波信号を電磁波に変換して空間に放射する手段としては、依然としてアンテナが用いられている。通常、アンテナの利用周波数、電磁界放射特性、放射効率等は、そのアンテナ素子を構成する導体の形状や給電点の設置形態、或いはアンテナの設置位置等により定まる。そのため、この種のアンテナの空間放射特性は時間的に静的であり、動的に変更することはできない。従って、従来の無線通信システムによれば、情報を電磁界分布の形状に重畳することは困難である。
空間放射特性を動的に変更することが可能なアンテナとして、アダプティブアレーアンテナ(Adaptive array antenna)がある。アダプティブアレーアンテナによれば、電子的制御により放射指向特性を動的に変更することができる。しかしながら、アダプティブアレーアンテナの各アンテナ素子は特定の周波数帯において使用することを想定して設計されており、特定の空間放射特性を持つ。このため、アダプティブアレーアンテナの各アンテナ素子の電磁界放射特性は固定的である。従って、その周波数特性を動的に変化させることや、任意の電磁界放射形状を生成することはできない。アダプティブアレーアンテナのアンテナ素子には、予め設定された複数の空間放射特性を切り替えて使用するものや、複数の周波数帯域に対して同時的に対応可能なものもあるが、その空間放射特性を任意に変更することまではできない。従って、アダプティブアレーアンテナによっても、情報を電磁界分布の形状に重畳することは困難である。
また、電磁波を空間に効率的に放射するための技術として、特許文献1(特表2009−501510号公報)に開示された技術がある。図11は、同技術に基づく装置構成の一例を示している。同技術は、電力を無線で伝送するために共振現象を利用している。即ち、この技術では、空間を隔てて配置された2台の共振装置12,13を使用し、電源装置11が発生する高周波交流電力に対して一方の共振装置12を共振させると共に、この共振装置12と効率よく結合された他方の共振装置13を共振させることにより、空間を介して負荷14にエネルギーを無線伝送する。しかしながら、この技術によれば、伝送路である空間での電磁界分布の形状を動的に制御することはできず、その空間放射特性を任意に変更することはできない。従って、特許文献1の技術によっても、情報を電磁界分布の形状に重畳することはできない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、任意の形状の電磁界分布を発生させ、任意の空間放射特性を実現することができる電磁界発生装置および電磁界発生方法を提供することを目的とする。
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたものであり、本発明の主要な特徴は、発生する交流電磁界の波長に比べて十分に微小なサイズの複数の電磁界放射部を配置し、制御部の動的な制御に応じて各電磁界放射部から電界または磁界を発生させることにより、各電磁界放射部が放射する電磁界の重ね合わせの結果として、任意形状の電磁界分布を有する電磁界を発生させる点にある。また、本発明の他の主要な特徴は、各電磁界放射部に共振部を接続することにより強制的に共振状態を形成し、この共振部に高周波エネルギーを一時的に蓄えて各電磁界放射部に供給することにより、電力効率を改善している点にある。
また、本発明は、例えば、電磁界放射部として微小サイズ(例えば放射する電磁波の波長の1/8よりも小さいサイズ)の電界源または磁界源を複数配列し、これら複数の電界源または磁界源から放射される電磁界の重ね合わせの結果として任意の電磁界を発生させる。
微小サイズの磁界源(電流源)により微小な磁界を発生する場合を例に本発明の作用を説明すると、次のようになる。一般のアンテナは、そのアンテナ素子をなす導体に無線周波数の交流電流が給電されることにより共振状態になり、その導体に定在波が載った状態となる。本発明では、例えば、複数の電磁波放射部のそれぞれを微小サイズの素子(微小素子)により構成し、上述の一般のアンテナのアンテナ素子に発生する定在波と等価な電流を各微小素子に流れる電流の重ね合わせにより形成する。これにより、一般のアンテナと同様の所望の電磁波を発生させる。
また、本発明では、例えば、電磁波放射部として上述の微小素子を二次元平面上に配列する。これにより、既存の平面アンテナでは構造的形状を変更することにより実現していた指向性制御や偏波面制御などを、その構造的形状を変更することなく実現することを可能とする。また、本発明によれば、例えば、微小素子に給電する電流源の振幅、位相、向きをプログラマブルに変更することで任意の電流分布を形成し、多様なアンテナ特性を実現することができ、これにより、プログラマブルなアンテナ特性を有する無線送信アンテナを実現することができる。また、本発明によれば、例えば、無線伝送すべき情報信号に応じて微小素子に給電する電流源を制御することにより、従来の無線送信機そのものを本発明に係る電磁界発生装置で置き換えることも可能になる。
上述の特徴を有する本発明は次のように表現される。
即ち、上記課題を解決するため、本発明の一態様に係る電磁界発生装置は、高周波信号を発生させる複数の信号発生部と、前記複数の信号発生部のそれぞれが発生させた高周波信号を電磁界として空間へ放射する複数の電磁界放射部と、前記複数の電磁界放射部からそれぞれ放射された電磁界が前記空間において、入力情報信号に応じて変調された幾何形状を有する電磁界分布を形成するように前記複数の信号発生部を制御する制御部とを具備する電磁界発生装置の構成を有する。
上記電磁界発生装置の構成において、例えば、前記複数の信号発生部と前記複数の電磁界放射部との間に、前記複数の信号発生部のそれぞれが発生させた高周波信号に共振する複数の共振部を備えたことを特徴とする。
上記電磁界発生装置の構成において、例えば、前記複数の電磁界放射部は、各々が放射する電磁界の波長より小さいサイズを有し、各々が放射する電磁界の波長より狭い間隔で配置されたことを特徴とする。
上記電磁界発生装置の構成において、例えば、前記複数の電磁界放射部の各サイズは、放射すべき電磁界の波長のうち最も小さい波長の1/8以下であり、前記複数の電磁界放射部の個数は4以上であることを特徴とする。
上記電磁界発生装置の構成において、例えば、前記複数の共振部のそれぞれのQ値は10以上であることを特徴とする。
上記電磁界発生装置の構成において、例えば、前記制御部は、入力情報信号に応じて、前記複数の信号発生部が発生させる高周波信号の周波数、振幅、位相、波形のうちの1または2以上と、前記複数の共振部の共振周波数を変化させることにより、前記電磁界分布の幾何形状を変調することを特徴とする。
上記電磁界発生装置の構成において、例えば、前記電磁界分布の幾何形状は、前記電磁界分布における等位相波面の幾何形状であることを特徴とする。
上記電磁界発生装置の構成において、例えば、前記複数の電磁界放射部が、一次元状、二次元状、三次元状のうちの何れかの形態で配列されたことを特徴とする。
上記課題を解決するため、本発明の一態様に係る電磁界発生方法は、複数の信号発生部により高周波信号を発生させる段階と、前記複数の信号発生部がそれぞれ発生させた高周波信号を電磁界として複数の電磁界放射部から空間へ放射する段階と、前記複数の電磁界放射部から放射される電磁界が前記空間において、入力情報信号に応じて変調された幾何形状を有する電磁界分布を形成するように、制御部により前記複数の信号発生部を制御する段階とを含む電磁界発生方法の構成を有する。
本発明によれば、従来のアンテナでは実現できなかった任意の形状の電磁界分布を発生させ、任意の空間放射特性を実現することができる。従って、例えば、従来のアンテナでは実現が困難な放射指向特性を得ることや、等位相波面の形状が伝送情報で変調された電磁波を発生させることが可能となる。
本発明の第1実施形態に係る電磁界発生装置の構成の一例を示す図である。 本発明の第1実施形態に係る電磁界発生装置が備える電磁界エネルギー放射部の構成の一例を模式的に示す図であり、(a)は電磁界エネルギー放射部の配置関係を示し、(b)は、電磁界エネルギー放射部の詳細な構成の一例を示す図である。 本発明の第1実施形態において参照する従来技術によるダイポールアンテナの特性を説明するための説明図であり、(a)は電流分布を示し、(b)は放射指向特性(指向性利得)を示す図である。 本発明の第1実施形態に係る電磁界発生装置が備える電磁界放射部の特性の例を説明するための図であり、(a)はダイポールアンテナの電流分布に相当する電流パターンの一例を示し、(b)はダイポールアンテナの放射指向特性(指向性利得)に相当する電磁界強度のパターンの一例を示す図である。 本発明の第1実施形態に係る電磁界発生装置により発生された電磁界が形成する電磁界分布の等位相波面の例を示す図であり、(a)は、等電位波面の第1例を示し、(b)は等位相波面の第2例を示す図である。 本発明の第2実施形態に係る電磁界発生装置が備える電磁界放射部の配列の一例を示す図であり、複数の電磁界放射部を二次元状に配列した例を示す図である。 本発明の第2実施形態に係る電磁界発生装置が形成する電磁界分布(電界強度分布)の一例を示す図であり、(a)は略円形状の電磁界分布の例を示し、(b)は略四角形の電磁界分布の例を示す図である。 本発明の第4実施形態に係る電磁界発生装置の構成(微小長線路型)の一例を説明するための図である。 本発明の第5実施形態に係る電磁界発生装置の構成(微小平行平板型)の一例を説明するための図である。 本発明の実施形態に係る電磁界発生装置が備える共振部の構成の一例を補足説明するための図である。 従来技術を説明するための図である。
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。
なお、以下に説明する全実施形態および全図面にわたって、同一符号は同一要素を表す。
(第1実施形態)
[構成の説明]
図1は、本発明の第1実施形態に係る電磁界発生装置100の構成の一例を示す図である。同図に示すように、電磁界発生装置100は、情報入力端子110と、発振制御部120と、発振器からなる複数の信号発生部130−1,130−2,130−3,…,130−m(mは自然数)と、複数の共振部140−1,140−2,140−3,…,140−mと、複数の電磁界エネルギー放射部150−1,150−2,150−3,…,150−mとを備えて構成されている。これら構成要素は、本願の特許請求の範囲に記載された本発明の構成要素である「制御部」、「複数の信号発生部」、「複数の共振部」、「複数の電磁界放射部」にそれぞれ対応している。
以下では、適宜、複数の信号発生部130−1,130−2,130−3,…,130−mを信号発生部130と総称し、複数の共振部140−1,140−2,140−3,…,140−mを共振部140と総称し、複数の電磁界エネルギー放射部150−1,150−2,150−3,…,150−mを電磁界エネルギー放射部150と総称する。
図1に示す構成において、情報入力端子110は発振制御部120の入力部に接続され、この発振制御部120の出力部には、信号発生部130の入力部が接続されている。信号発生部130と電磁界エネルギー放射部150との間には、共振部140が備えられている。即ち、信号発生部130の出力部には、共振部140の入力部が接続され、共振部140の出力部には、給電線(符号なし)を介して電磁界エネルギー放射部150の給電点が接続されている。
図2は、電磁界エネルギー放射部150の構成の一例を模式的に示す図であり、(a)は電磁界エネルギー放射部150−1,150−2,150−3,…,150−mの配置例を示し、(b)は、(a)に示す電磁界エネルギー放射部150−1,150−2,150−3,…,150−mのそれぞれの詳細な構成の一例を示す。
本実施形態では、図2(a)に示すように、電磁界放射部150−1,150−2,150−3,…,150−mのそれぞれは、各々が放射する電磁界の波長λよりも小さい長さLを有する導体から構成され、各導体は、各々が放射する電磁界の波長λよりも小さい間隔Gで一次元状(直線状)に配列されている。また、図2(b)に示すように、電磁波エネルギー放射部150−1,150−2,150−3,…,150−mの各導体は、導体部150aおよび導体部150bの二つの導体部から構成されている。これら導体部150a,150bの互いに隣り合う端部には給電線(符号なし)がそれぞれ接続され、この給電線を介して共振部140から導体部150a,150bに互いに逆位相の高周波電流が供給される。
図2から理解されるように、波長λを一定とした場合、電磁界エネルギー放射部150−1,…,150−mの個数(即ちmの値)を大きくする程、各導体の長さLは小さく設定され、電磁界エネルギー放射部150−1,150−2,150−3,…,150−mのそれぞれは微小サイズの素子(微小素子)となる。このように各導体の長さLを十分に小さくして、電磁界エネルギー放射部150−1,150−2,150−3,…,150−mのそれぞれを微小素子として構成すれば、後述する電磁界分布の幾何形状を精緻に制御することが可能になる。この電磁界分布の幾何形状を制御する観点からすれば、電磁界エネルギー放射部150−1,150−2,150−3,…,150−mの各導体の長さLは、波長λに対して可能な限り小さく設定することが望ましい。
ただし、上述の例に限定されず、電磁界エネルギー放射部150−1,150−2,150−3,…,150−mの各導体の長さLは、電磁界発生装置100の用途に応じて任意に設定すればよい。また、上述の例では、電磁界エネルギー放射部150−1,150−2,150−3,…,150−mの各導体の長さLを同じに揃えたが、電磁界放射部150−1,150−2,150−3,…,150−mの各導体の長さを異ならせてもよい。また、電磁界を空間に放射することができる限度において、電磁波エネルギー放射部150−1,150−2,150−3,…,150−mのそれぞれをどのように構成してもよい。
なお、本実施形態では、複数の電磁界エネルギー放射部150−1,150−2,150−3,…,150−mのそれぞれは、ダイポールアンテナに類似した構成を有しているが、導体部150aおよび導体部150bの各長さの和が波長λの1/2に制限されない点で、ダイポールアンテナとは本質的に異なる。換言すれば、複数の電磁界エネルギー放射部150−1,150−2,150−3,…,150−mのそれぞれは、それ自体では必ずしも送信周波数で共振するものではない。
次に、本実施形態に係る電磁界発生装置100の動作の概略を説明する。
情報入力端子110は、送信する情報を含む入力情報信号Sを受け取って発振制御部120に受け渡す。発振制御装置120は、情報入力端子110から受け渡された入力情報信号Sに基づいて、複数の信号発生部130−1,130−2,130−3,…,130−mと複数の共振部140−1,140−2,140−3,…,140−mを制御する。即ち、発振制御部120は、入力情報信号Sに基づいて、信号発生部130−1,130−2,130−3,…,130mのそれぞれが発生すべき高周波信号を決定する。
本実施形態では、後述するように、発振制御装置120は、入力情報信号Sに応じて、電磁界放射部150−1,150−2,150−3,…,150−mからそれぞれ放射される電磁界が空間において所望の幾何形状を有する電磁界分布を形成するように、信号発生部130−1,130−2,130−3,…,130−mのそれぞれが発生する高周波信号の例えば周波数、位相、振幅、波形を決定する。
電磁界放射部150−1,150−2,150−3,…,150−mからそれぞれ放射される電磁界が形成する電磁界分布の幾何形状は、例えば、電磁界放射部150−1,150−2,150−3,…,150−mを一つのアンテナとして見た場合に、このアンテナの放射パターン(例えばダイポールアンテナの指向性利得のパターンに相当するパターン)、電磁界分布における等位相波面のパターンなどを含み得る。
信号発生部130−1,130−2,130−3,…,130−mは、発振制御部120の制御の下に、発振制御部120で決定された高周波信号を発生させる。本実施形態では、信号発生部130−1,130−2,130−3,…,130−mのそれぞれは、高周波信号を発生させるための発振器を備えるが、シンセサイザーとしての機能も備えている。これにより、電磁界エネルギー放射部150−1,150−2,150−3,…,150−mのそれぞれは、所望の幾何形状を有する電磁界分布を形成するために必要とされる任意の周波数、位相、振幅、波形を有する高周波信号を発生させることが可能なように構成されている。
共振部140−1,140−2,140−3,…,140−mは、発振制御部120の制御の下に、信号発生部130−1,130−2,130−3,…,130−mのそれぞれが発生させた高周波信号に共振する。これにより、共振部140−1,140−2,140−3,…,140−mは、高周波エネルギーを一時的に蓄えて電磁界エネルギー放射部150−1,150−2,150−3,…,150−mに供給する。前述したように、本実施形態では、複数の電磁界エネルギー放射部150−1,150−2,150−3,…,150−mの各サイズは、各々が発生する交流電磁界の波長λに比べて十分に微小なサイズである。このため、複数の電磁界エネルギー放射部150−1,150−2,150−3,…,150−mは送信周波数に共振せず、電力効率が低下する。
上述の電力効率を改善するため、本実施形態では、複数の電磁界エネルギー放射部150−1,150−2,150−3,…,150−mに対して複数の共振部140−1,140−2,140−3,…,140−mを配置している。発振制御部120は、共振部140−1,140−2,140−3,…,140−mの各共振周波数を適切な値に設定することにより、これら共振部140−1,…,140−mにより強制的に共振状態を作り出す。これにより、共振部140−1,140−2,140−3,…,140−mに接続された電磁界エネルギー放射装置150−1,150−2,150−3,…,150−mの放射効率を高め、電力効率を向上させる。
電磁界エネルギー放射部150−1,150−2,150−3,…,150−mは、共振部140−1,140−2,140−3,…,140−mからそれぞれ供給された高周波エネルギーを電磁波に変換して放射する。これにより、信号発生部130−1,130−2,130−3,…,130−mのそれぞれが発生させた高周波信号が、電磁界エネルギー放射部150−1,150−2,150−3,…,150−mから電磁界として空間へ放射される。
上述の説明において、本実施形態の主要な特徴は次の2点に集約される。第1に、複数配置された微小サイズの電磁界エネルギー放射部150−1,150−2,150−3,…,150−mのそれぞれが微小サイズの空間に電界または磁界を発生させ、それらの多数の電界または磁界の重ね合わせにより、電磁界放射パターンを柔軟かつ動的に発生させ、所望の幾何形状の電磁界分布を形成する点である。また、第2に、信号発生部130−1,130−2,130−3,…,130−mが発生させた高周波信号をもとに電磁界エネルギー放射部150−1,150−2,150−3,…,150−mが空間に電磁界エネルギーを放射させる際の電力効率が向上するように共振部140−1,140−2,140−3,…,140−mを設けている点である。
なお、本実施形態では、電力効率の向上のために共振部140−1,140−2,140−3,…,140−mを設けているが、電力効率を考慮する必要がなく、所望の幾何形状の電磁界分布を形成するだけで足りる用途では、共振部140−1,140−2,140−3,…,140−mを省略してもよい。
[動作の説明]
次に、電磁界発生装置100の動作について、電磁界エネルギー放射部150−1,150−2,150−3,…,150−mからそれぞれ放射される電磁界が所望の幾何形状を有する電磁界分布を形成するための動作を詳細に説明する。
ここでは、先ず、第1の動作例として、種々のアンテナにおいて最も簡単な構成を有するアンテナのひとつである半波長ダイポールアンテナの放射パターンを再現するように電磁界分布を形成する場合について説明し、その後、第2の動作例として、既存のアンテナ装置では実現することのできない所望の幾何形状を有する電磁界分布を形成する場合について説明する。
[第1の動作例]
先ず、従来技術による無線送信機で用いられる半波長ダイポールアンテナの特性を参考的に説明する。
図3は、従来技術による一般的な半波長ダイポールアンテナの特性を説明するための説明図であり、(a)は半波長ダイポールアンテナの電流分布(定在波)3を示し、(b)は半波長ダイポールアンテナの放射指向特性(指向性利得)の放射パターン4を示す。
図3(a)に示すように、半波長ダイポールアンテナの導体1の中心部には電流源2が接続されている。導体1の全長は、電流源2が発生させる無線周波数信号の波長の1/2に設定される。これにより、導体1からなるダイポールアンテナは電流源2が発生させる無線周波数で共振し、図3(a)に示すように導体1に電流分布3が形成される。このようにダイポールアンテナが共振状態になると、このダイポールアンテナから空間に電磁波が放射されるときの電力効率が最大となり、無線送信機は効率よく電磁波を空間に放射することが可能となる。また、このような共振状態にある場合、ダイポールアンテナの放射指向特性は、図3(b)に示すように、電流源2の接続点(給電点)を節とする8の字型の放射パターン4を呈する。
上述の半波長ダイポールアンテナの特性を踏まえ、第1の動作例について、上述の図1から図3に加えて図4を参照しながら説明する。
図4は、電磁界発生装置100が備える電磁界エネルギー放射部150の特性の一例を説明するための図であり、(a)はダイポールアンテナの電流分布に相当するパターン30を示し、(b)はダイポールアンテナの放射指向特性(送信アンテナ指向性利得)に相当する電磁界強度のパターン160を示す。ここで、同図(b)のパターン160は、電磁界エネルギー放射部150の電流励振振幅を同図(a)の電流分布のパターン30に設定して電磁界解析を行った結果を模式的に示したものである。
図4に示す例は、前述の図1および図2おいて、複数の電磁界エネルギー放射部150−1,150−2,150−3,…,150−mの個数を8とした場合に相当し、即ち、mを8とした場合に相当する。本実施形態では、電磁界エネルギー放射部150−1,150−2,150−3,…,150−8は、無線周波数(送信周波数)における半波長(λ/2)の区間に一次元状に均等に配列されている。図4では、図1に示す情報入力端子110、発振制御部120、信号発生部130、共振部140等は省略されている。ここで、半波長ダイポールアンテナの放射パターンを想定した場合、ナイキストのサンプリング定理によれば、前述の図2(a)の構成において、電磁界エネルギー放射部150−1,150−2,150−3,…,150−mの各サイズは、放射すべき電磁界の波長のうち最も小さい波長の1/8以下であればよく、これら複数の電磁界エネルギー放射部150−1,150−2,150−3,…,150−mの個数(即ちmの値)は4以上であればよい。
ここで、半波長ダイポールアンテナは、長さが1/4波長の2本のエレメントに平衡給電線路を接続した構成を有する。従って、半波長ダイポールアンテナの1本のエレメントの動作を再現するためには、上述のナイキストのサンプリングの原理により、1本のエレメントの長さを2以上の区間に分割しなければならない。即ち、半波長ダイポールアンテナの1本のエレメントの動作を再現するためには、1本のエレメントを分割した場合の各区間の長さが1/8波長以下であることが条件になる。このことから、図4(a)に示す8個の電磁界エネルギー放射部150−1,…,150−8の各長さLは、送信する信号の無線周波数(送信周波数)における波長λの1/8以下である必要がある。
本実施形態では、半波長ダイポールアンテナの特性を再現するための上述の条件に関し、電磁界エネルギー放射部150−1,…,150−8のそれぞれの長さLは、波長λの1/8以下の値に予め設定されているものとし、波長λに対して十分に小さな値であるものとする。即ち、電磁界エネルギー放射部150−1,…,150−8のそれぞれは微小素子として構成されているものとする。従って、電磁界エネルギー放射部150−1,…,150−8のそれぞれの物理的な長さLを変更するまでもなく、半波長ダイポールアンテナの特性を再現する場合に必要とされる上述の条件は満足されている。換言すると、本実施形態によれば、電磁界エネルギー放射部150−1,…,150−8の各長さLの8倍よりも長い半波長を有する任意の無線周波数を送信するダイポールアンテナの特性を再現することができる。
実験によれば、ダイポールアンテナと同等のQ値を得るためには、電磁界エネルギー放射部150−1,…,150−8にそれぞれ接続される共振部140−1,…,140−8におけるQ値を10以上の大きな値に設定することが望ましい。
上述のように、半波長ダイポールアンテナの特性を再現するための条件が満足されているものとして、第1の動作例の説明を続ける。
図4(a)に示すように、一次元状に配列された複数の電磁界エネルギー放射部150−1,…,150−8は、それぞれ、電流分布30−1,…,30−8を生成する。これら電流分布30−1,…,30−8を重ね合わせれば、図4(a)に点線で示す電流分布のパターン30が得られる。
ここで、電流分布30−1,…,30−8は、発振制御部120が、電磁界エネルギー放射部150−1,…,150−8に対応する信号発生部130−1,…,130−8および共振部140−1,…,140−8を制御することにより決定される。即ち、本実施形態では、発振制御部120は、入力情報信号Sに応じて、信号発生部130−1,…130−8がそれぞれ発生させる高周波信号の周波数、振幅、位相、波形のうちの1または2以上と、共振部140−1,…,140−8の各共振周波数を変化させることにより、電磁界エネルギー放射部150−1,…,150−8がそれぞれ生成する電流分布30−1,…,30−8を調整し、これらを重ね合わせて得られる電流分布30を制御する。これにより、発振制御部120は、入力情報信号Sに応じて、電磁界エネルギー放射部150−1,…,150−8から放射される電磁界の電磁界分布の幾何形状を変調する。
本実施形態では、発振制御部120は、電流分布30−1,…,30−8を重ね合わせて得られる電流分布のパターン30が、前述の図3(a)に示す半波長ダイポールアンテナの電流分布3と等価になるように、上記電流分布30−1,…,30−8を調整する。
半波長ダイポールアンテナの電流分布3と等価なパターン30が得られると、電磁界エネルギー放射部150−1,…,150−8を一つのアンテナとして見れば、図4(b)に示すように、ダイポールアンテナの電磁界強度のパターンと等価な電磁界強度のパターン160が得られる。即ち、従来の無線送信機におけるダイポールアンテナと同様の放射パターンを再現することができる。
従来の半波長ダイポールアンテナによれば、発生させることができる電流分布は、基本的には図3(a)に示す電流分布(定在波)3と、その他のいくつかの高次モードに限られる。このため、その放射パターンも制限される。これに対し、本実施形態に係る電磁界発生装置100によれば、電磁界エネルギー放射部150が発生させる電磁界のパターンを変更することで、半波長ダイポールアンテナに限らず、多様なアンテナの放射パターンを再現することができる。従って、例えば他の周波数の電磁波で動作するモードや、アレーアンテナに相当する高利得の動作を実現することもできる。
[第2の動作例]
次に、第2の動作例について、図1、図2、および図5を参照しながら、従来のアンテナでは実現することのできない所望の幾何形状を有する電磁界分布を形成する場合の動作を説明する。ここでは、電磁界分布の幾何形状として、電磁界分布における等位相波面(電磁波の位相が等しい波面)の幾何形状を想定する。
図5は、電磁界発生装置100により発生された電磁界分布の等位相波面の形状の一例を示す図であり、(a)は、等位相波面の第1例(なだらかな弧を描く波面)を示し、(b)は等位相波面の第2例(凹凸形状の波面)を示す。
前述したように、電磁界発生装置100によれば、電磁界エネルギー放射部150から放射される各電磁界のパターンを制御することにより、その重ね合わせの結果として任意の電磁界分布を得ることができる。従って、電磁界発生装置100によれば、電磁界エネルギー放射部150から放射される各電磁界のパターンを制御することにより電磁界分布の等位相波面を任意に制御することができる。
図5(a)に示す例は、上述の重ね合わせの結果として得られる電磁界分布における等位相波面171,172が同心円状になだらかな弧を描くように、電磁界エネルギー放射部150から放射される各電磁界のパターンを制御する例を示している。この例では、発振制御部120は、図1に示す複数の電磁界エネルギー放射部150−1,…,150−mからそれぞれ放射される電磁界のパターンを制御することにより、例えば等位相波面171と等位相波面172との間隔(例えば空間的間隔または時間的間隔)を制御する。従って、等位相波面171と等位相波面172との間隔を入力情報に応じて変調すれば、このような等位相波面に情報を重畳して無線伝送することができる。
図5(b)に示す例は、上述の重ね合わせの結果として得られる電磁界分布における等位相波面173,174のパターンに凹凸(谷/山)を形成したものである。この例においても、電磁界エネルギー放射部150から放射される各電磁界のパターンを制御することにより、その重ね合わせの結果として、凹凸形状の等位相波面173,174を得ている。従って、例えば、入力情報信号Sに応じて等位相波面173,174の凹凸の個数を変調すれば、このような等位相波面に情報を重畳して無線伝送することができる。なお、図5(a)に示すなだらかな弧を描く形状を有する等位相波面と、図5(b)に示す凹凸形状を有する等位相波面とを組合せてもよい。
上述のように電磁界分布の等位相波面に重畳された情報を検出する装置、つまり受信機側では、上述の電磁界発生装置100と同様に微小サイズの電界または磁界を検出するための検出装置を多数配列し、各検出装置が検出した電界または磁界による信号の到達時刻、即ち位相を集約することにより、等位相波面の形状を認識する。これにより、情報を電磁界の等位相波面に重畳して無線通信を行うことができる。このように、等位相波面を変調すれば、同時に複数の情報を伝送することも可能になる。
(第2実施形態)
次に、図6および図7を参照しながら、本発明の第2実施形態を説明する。
本実施形態に係る電磁界発生装置は、上述した第1実施形態の一次元状に配列された複数の電磁界エネルギー放射部150に代えて、二次元状(平面状)に配列された複数の電磁界エネルギー放射部を備える。その他の構成は、第1実施形態と同様である。
図6は、本実施形態に係る電磁界発生装置が備える複数の電磁界エネルギー放射部150x−11,…,150x−nm,150y−11,…,150y−nm(nおよびmは自然数)の配列の一例を示す図であり、これら複数の電磁界エネルギー放射部を二次元状に配列した例を示す。同図では、上述の第1実施形態における情報入力端子110、発振制御部120、信号発生部130、共振部140に相当する構成を省略している。
ここで、図6に示すように、x軸方向に平行な電界または磁界を発生させる電磁界エネルギー放射部150x−11,…,150x−nmはn×mのマトリックス状に配列されている。また、x軸方向と直交するy軸方向に平行な電界または磁界を発生させる電磁界エネルギー放射部150y−11,…,150y−nmもn×mのマトリックス状に配列されている。即ち、本実施形態では、x方向の1つの電磁界エネルギー放射部とy方向の1つの電磁界エネルギー放射部とをペアとして、複数の電磁界エネルギー放射部のペアがグリッド配置されている。従って、本実施形態によれば、上述の第1実施形態に比較して、更に複雑な幾何形状を有する種々の電磁界分布を形成することができ、より多様な空間放射特性を得ることができる。
図7は、本実施形態に係る電磁界発生装置が形成する電界強度分布(電磁界分布)の一例を示す図である。ここで、図7(a)は、略円形状の幾何形状を有する電界強度分布の例を示し、(b)は略四角形の幾何形状を有する電界強度分布の例を示す。
本実施形態に係る電磁界発生装置によれば、図7に示すように、グリッド配置された複数の電磁界エネルギー放射部150x−11,…,150x−nm,150y−11,…,150y−nmからそれぞれ放射される電磁界の重ね合わせの結果として、これら電磁界エネルギー放射部が配列された二次元平面の近傍に二次元状の電磁界分布を形成することができ、これにより二次元状の幾何学的図形を表現することができる。図7の例では、略円形状の電界強度分布の例と略四角形の電界強度分布の例を示しているが、本実施形態に係る電磁界発生装置によれば、任意の幾何形状の電磁界分布を形成することができる。
なお、図7に示す例では、電界強度分布の例を示したが、本発明に係る電磁界発生装置によれば、電磁界の位相を制御することも可能である。従って、入力情報信号に応じて電界強度・位相パターンを時間的に変化させることにより、情報を電磁界強度や位相パターンに重畳した無線伝送を実現することができる。また、本実施形態に係る電磁界発生装置によれば、パターン照合に基づくセキュリティ認証を実施することもできる。
本実施形態の主要な効果を要約すると、次のようになる。
本実施形態に係る電磁界発生装置によれば、種々の平面型アンテナの表面電磁界分布を生成することができる。例えば、アレーアンテナを模擬した高利得のアンテナ特性を実現することができる。
また、本実施形態に係る電磁界発生装置によれば、従来のアンテナ素子では実現できない電流分布を自由自在に発生させることが可能になるので、例えば偏波方向を動的に変調した無線伝送も自在となり、きわめて秘匿性の高い無線通信手段を提供することが可能になる。
また、本実施形態に係る電磁界発生装置によれば、従来のアンテナ素子では実現できない電流分布を自由自在に発生させることが可能になるので、例えば、電界や磁界の形状と方向を動的に変調した無線伝送や、等位相波面の形状を伝送情報で変調した無線伝送のように、従来の無線送信機では成しえなかった高度な変調を用いた電磁波による情報伝送が可能になる。よって、周波数資源を有効に活用しつつ大容量の情報伝送を実現することが可能になる。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態を説明する。
本実施形態では、上述の第2実施形態における二次元状の電磁界エネルギー放射部の配列を三次元に拡張する。即ち、本実施形態では、第2実施形態における図6の構成において、二次元状に配列された複数の電磁界エネルギー放射部150x−11,…,150x−nm,150y−11,…,150y−nmに加えて、x軸方向と直交し且つy軸方向と直交するz軸方向に平行な電界または磁界を発生させる複数の電磁界エネルギー放射装置150z(図示なし)を備える。
本実施形態によれば、z軸方向の電磁界に情報を載せることも可能となるため、上述の第1および第2実施形態に比較して、さらに複雑な電磁界分布を発生させることができる。近傍界においては、z軸方向の電界または磁界を変調して情報を伝送することが可能である。また、限られた周波数帯域であれば、極めて高い伝送容量を実現することができる。電磁波による無線情報伝送の場合は、z軸方向の電界または磁界の変動はz軸方向に伝搬しないため、z軸方向の電界または磁界を情報伝送に利用することは困難であるが、近傍界ではz軸方向の電磁界の変動を利用して無線情報伝送を行うことが可能である。
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態を説明する。
上述の第1から第3実施形態では、電磁界エネルギー放射部として、導体の中心部に給電点を有する素子を用いたが、本実施形態では、両端部に給電点を有する微小長の線路を用いる。
図8は、本実施形態に係る電磁界発生装置が備えるの電磁界エネルギー放射部151の構成(微小長線路型)の一例を説明するための図である。この電磁界エネルギー放射部151は、例えば、前述の図1に示す電磁波エネルギー放射部150−1,150−2,150−3,…,150−mのうちの任意の一つに相当する。図8に示すように、電磁界エネルギー放射部151は、微小長の線路1511から構成される。この微小長の線路1511に電流Iが流れる。図8に示す発振部131および共振部141は、図1に示す発振部130および共振部140に対応している。
本実施形態に係る電磁界発生装置では、微小長の線路1511を流れる電流Iを制御することにより、電磁界エネルギー放射部151から発生される磁界を制御し、空間に放射される電磁界を制御する。これにより、上述の第1から第3実施形態と同様に、所望の幾何形状を有する電磁界分布が得られる。実験によれば、線路1511の線路長は、放射する電磁波の波長の1/8以下にすることが望ましい。
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態を説明する。
上述の第1から第3実施形態では、電磁界エネルギー放射部として、ダイポールアンテナのように、導体の中心部に給電点を有する素子を用いたが、本実施形態では、所定の間隔を隔てて対向配置された平行平板を用いる。
図9は、本発明の第5実施形態に係る電磁界発生装置が備える電磁界エネルギー放射部152の構成(微小平行平板型)の一例を説明するための図である。同図に示すように、電磁界エネルギー放射部152は、微小区間に電界が発生する微小サイズ平行平板1521,1522から構成される。図9において、発振部132および共振部142は、図1に示す発振部130および共振部140に対応する要素である。
本実施形態に係る電磁界発生装置の場合、微小サイズの平行平板間に印加する電圧により発生する電界Eを制御することにより、電磁界エネルギー放射部152から空間に放射される電磁界を制御する。これにより、上述の第1から第3実施形態と同様に、所望の幾何形状を有する電磁界分布を得る。実験によれば、電界Eが発生する区間長は送信する電磁波の波長の1/8以下にすることが望ましい。
なお、図9に示す例では、平行平板1521,1522の一端側が互いに離間する方向に屈曲しているが、所望の電界Eを形成することができる限度において、平行平板1521,1522の形状をどのように形成してもよい。
(第1から5実施形態の変形例)
前述の第1実施形態において、共振部140をキャパシタとインダクタから構成する場合、キャパシタからの電界のもれを利用し、電磁界エネルギー放射部150として機能させてもよい。即ち、共振部140と電磁界エネルギー放射部150を一体に構成してもよい。第2から第5実施形態についても同様である。また、この場合、インダクタからの電界のもれを利用し、電磁界エネルギー放射部150として機能させてもよい。第2から第5実施形態でも同様である。
上述した本発明の各実施形態による電磁界発生装置を使用すれば、周波数特性や放射特性を動的に制御可能な、つまりプログラマブルなアンテナ特性を有するアンテナ一体型送信機を構成することができる。
また、本発明の各実施形態によれば、従来の導体励振型アンテナでは実現が難しい電流分布を発生させることができるため、従来の導体励振型アンテナでは実現の難しい放射指向特性を実現することが可能となる。
また、本発明の各実施形態によれば、無線通信システムのシステム設計で決められた各パラメータ(例えば、送信周波数や通信方式、アンテナ放射指向特性、セル設計等)に制約されることなく利用可能な送信機を構成することが可能になる。
また、本発明の各実施形態によれば、電磁界発生装置を実施するハードウェアは全て半導体モノリシック回路上に構成することができるため、無線送信機のシステム・オン・パッケージ(SoP; System on Package)化にも対応することができる。
また、本発明の各実施形態によれば、従来のアンテナ素子では実現できない電流分布を自由自在に発生させることが可能であるので、例えば偏波方向を動的に変調した無線伝送も自在となり、きわめて秘匿性の高い無線通信手段を提供することが可能となる。
また、本発明の各実施形態によれば、従来のアンテナ素子では実現できない電流分布を自由自在に発生させることが可能であるので、例えば電界や磁界の形状と方向を動的に変調した無線伝送や等位相波面の形状を伝送情報で変調した無線伝送のように、従来の無線送信機では成し得なかった高度な変調を用いた電磁波による情報伝送が可能になる。従って、周波数資源を有効に活用しつつ大容量の情報伝送を実施することが可能となる。また、本発明の各実施形態によれば、特定の空間に電磁界が集中するように電磁界分布を形成することができるので、情報のほか、エネルギーを無線伝送することも可能となる。
上述した本発明の各実施形態では、本発明を電磁界発生装置として説明したが、各実施形態に係る電磁界発生装置の動作を電磁界発生方法として表現することもできる。この場合、本発明に係る電磁界発生方法は、例えば、第1実施形態における複数の信号発生部130−1,…,130−mにより高周波信号を発生させる段階と、複数の信号発生部130−1,…,130−mがそれぞれ発生させた高周波信号を電磁界として複数の電磁界放射部150−1,…,150−mから空間へ放射する段階と、複数の電磁界放射部150−1,…,150−mから放射される電磁界が前記空間において所望の幾何形状を有する電磁界分布を形成するように、発振制御部120により複数の信号発生部130−1,…,130−mを制御する段階とを含む電磁界発生方法として表現することができる。ただし、共振部140−1,…,140−mの動作に対応する段階を更に備えてもよい。
最後に、上述の各実施形態の電磁界発生装置が備える共振部について補足説明する。
ここでは、図1に示す第1実施形態による電磁界発生装置100の共振部140−1を例に説明する。その他の共振部についても同様である。
図10(a)に、共振部140−1の構成の一例を示す。この例では、共振部140−1は、可変インダクタLと可変キャパシタCから並列共振回路として構成されている。ここで、図10(a)の例では、信号発生部130−1の正相の高周波信号が、電磁界エネルギー放射部150−1の給電点に接続される1対の給電線のうちの一方(例えば図2(b)に示す導体部150aに接続される給電線)に供給され、信号発生部130−1の逆相の高周波信号が、上記1対の給電線のうちの他方(例えば図2(b)に示す導体部150bに接続される給電線)に供給される。これら給電線間に、可変インダクタLと可変キャパシタCが並列接続される。発振制御部120は、所望の電磁界分布の幾何形状に応じて、信号発生部130−1の発振器の周波数を設定し、この周波数に対して共振状態を引き起こすように、共振部140−1の可変インダクタLのインダクタンスと可変キャパシタCのキャパシタンスを調整する。
なお、この例に限定されず、共振部140−1を可変インダクタLと可変キャパシタCから直列共振回路として構成してもよく、例えば、バラクタ等を使用した周波数可変共振器として構成してもよい。或いは、共振部140−1を分布定数回路として構成してもよい。即ち、共振部140−1の回路形態は、共振現象を引き起こすことができる限度において任意である。その他の共振部も同様である。
また、半波長ダイポールアンテナを利用することにより、共振部140−1と電磁界エネルギー放射部150−1を一体的に構成することもできる。
図10(b)は、半波長ダイポールアンテナを利用して、共振部140−1と電磁界エネルギー放射部150−1を一体的に構成した例を示す。他の共振部および電磁界エネルギー放射部についても同様である。
図10(b)に示すように、信号発生部130−1が接続された給電点を基点にして、前述の図2に示す長さLの1/2に相当する点Pで、半波長ダイポールアンテナの2本のアンテナ素子のそれぞれを各アンテナ素子が互いに平行になるように直角に折り曲げる。各アンテナ素子の全長のうち、給電点から長さLの1/2に相当する部分AL,ARは、電磁界エネルギー放射部150−1として機能する。その他の部分BL,BRからそれぞれ放射される電磁界は互いに打ち消し合うので、これらの部分BL,BRは、見かけ上、無視することができる。なお、長さLを可能な限り小さく設定するものとすれば(即ち、電磁界エネルギー放射部を微小素子として構成するものとすれば)、アンテナ素子の部分AL,ARは、部分BL,BRに対して十分小さくなり、この部分BL,BRの各長さは約1/4波長になる。
図10(b)に示す例によれば、給電点から長さLの1/2に相当する部分AL,ARは、半波長ダイポールアンテナの電流分布のうち、腹の部分に位置する。このため、効率的に電磁界を放射することが可能になる。また、半波長ダイポールアンテナの共振周波数を信号発生部130−1が出力する高周波信号の周波数に合わせれば、電力効率を損なうこともない。図10(b)に示す例においてバランを付加してもよい。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で任意の変形や修正が可能である。
例えば、上述の実施形態では、複数の電磁界エネルギー放射部を一次元、二次元、三次元状にグリッド配置したが、これに限定されることなく、例えば、伝送する情報の種類等に応じて、任意の形態で配置することが可能である。
また、上述の実施形態では、複数の信号発生部130−1,…,130−mを設けたが、複数の電磁界エネルギー放射部が放射する電磁界を個別に制御することができる限度において、複数の信号発生部130−1,…,130−mをを1つのユニットとして構成してもよく、信号発生部が複数であるか単数であるかは、本発明の本質ではない。従って、請求項に記載の発明において、「複数の信号発生部」を「単数の信号発生部」として表現してもよい。「複数の共振部」についても同様である。
100:電磁界発生装置、110:情報入力端子、120:発振制御部、130,130−1,…,130−m,131,132:信号発生部、140,140−1,…,140−m,141,142:共振部、150,150−1,…,150−m,150x−11,…,150x−nm,150y−11,…,150y−nm:電磁界エネルギー放射部、150a,150b:導体部。

Claims (9)

  1. 高周波信号を発生させる複数の信号発生部と、
    前記複数の信号発生部のそれぞれが発生させた高周波信号を電磁界として空間へ放射する複数の電磁界放射部と、
    前記複数の電磁界放射部からそれぞれ放射された電磁界が前記空間において、入力情報信号に応じて変調された幾何形状を有する電磁界分布を形成するように前記複数の信号発生部を制御する制御部と
    を具備する電磁界発生装置。
  2. 前記電磁界分布の幾何形状は、前記電磁界分布における等位相波面の幾何形状であることを特徴とする請求項に記載の電磁界発生装置。
  3. 前記複数の信号発生部と前記複数の電磁界放射部との間に、前記複数の信号発生部のそれぞれが発生させた高周波信号に共振する複数の共振部を備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の電磁界発生装置。
  4. 前記複数の電磁界放射部は、各々が放射する電磁界の波長より小さいサイズを有し、各々が放射する電磁界の波長より狭い間隔で配置されたことを特徴とする請求項に記載の電磁界発生装置。
  5. 前記複数の電磁界放射部の各サイズは、放射すべき電磁界の波長のうち最も小さい波長の1/8以下であり、前記複数の電磁界放射部の個数は4以上であることを特徴とする請求項に記載の電磁界発生装置。
  6. 前記複数の共振部のそれぞれのQ値は10以上であることを特徴とする請求項からの何れか1項に記載の電磁界発生装置。
  7. 前記制御部は、前記入力情報信号に応じて、前記複数の信号発生部が発生させる高周波信号の周波数、振幅、位相、波形のうちの1または2以上と、前記複数の共振部の共振周波数を変化させることにより、前記電磁界分布の幾何形状を変調することを特徴とする請求項からの何れか1項に記載の電磁界発生装置。
  8. 前記複数の電磁界放射部が、一次元状、二次元状、三次元状のうちの何れかの形態で配列されたことを特徴とする請求項1から7の何れか1項に記載の電磁界発生装置。
  9. 複数の信号発生部により高周波信号を発生させる段階と、
    前記複数の信号発生部がそれぞれ発生させた高周波信号を電磁界として複数の電磁界放射部から空間へ放射する段階と、
    前記複数の電磁界放射部から放射される電磁界が前記空間において、入力情報信号に応じて変調された幾何形状を有する電磁界分布を形成するように、制御部により前記複数の信号発生部を制御する段階と
    を含む電磁界発生方法。
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