JP5718457B2 - 保守部品寿命予測システムおよび保守部品寿命予測方法 - Google Patents

保守部品寿命予測システムおよび保守部品寿命予測方法 Download PDF

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Description

本発明は、電気機械装置に含まれ、稼働時間とともに消耗または劣化する部品(以下、保守部品という)の寿命を予測する保守部品寿命予測システムおよび保守部品寿命予測方法に関する。
例えば、医療用診断装置の1つであるX線CT(Computed Tomography:コンピュータ断層撮影)装置のような電気機械装置は、稼働時間とともに消耗または劣化する回転陽極X線管やコンデンサなどの部品を有する。これらの部品の寿命は、電気機械装置そのものに期待される寿命に比べはるかに短い。そこで、これらの部品は、保守部品として、歴月歴日数あるいは累積稼働時間に応じて定期的に交換される。その場合、その交換サイクルの基準は、寿命試験や故障フィールドデータから求められた故障率関数λ(t)、故障確率密度関数f(t)、累積故障確率分布関数F(t)、累積ハザード関数H(t)などを用いて予測される寿命に基づき決定される。
特許文献1には、プラント装置にその使用の仕方や使用環境を計測するセンサを設け、その装置に含まれる消耗部品について、そのセンサによって計測される装置の使用の仕方や使用環境に基づく寿命の予測モデルを作成しておき、その予測モデルによって予測される寿命に従って、その消耗部品の交換時期を提示するプラント保全支援システムの例が開示されている。
また、特許文献2には、X線CT装置の例が開示されているが、消耗部品などの寿命予測をすることについては、とくに記載はされていない。しかしながら、X線CT装置のような電気機械装置でも、その使用の仕方や使用環境をモニタリングするセンサを設置することによって、装置固有の使用の仕方や使用環境を計測し、現実の使用の仕方や使用環境に適合した寿命予測を行うことは可能であり、その場合、保守部品の交換サイクルの精度が向上する。
また、本発明に関連する技術として、非特許文献1には、マルコフ連鎖モンテカルロ(Markov Chain Monte Carlo)法(以下、MCMC法と略す)を用いて、モデルパラメータを決定し、最適化する方法などについて記載されている。
また、非特許文献2には、混合ワイブル分布モデルを非線形最小二乗法によって作成する方法について記載されている。
特開2007−25878号公報 米国特許第7636416号明細書
Christophe Andrieu,他3名,"An Introduction to MCMC for Machine Learning",Kluwer Academic Publishers,Machine Learning,50, p.5 - p.43,2003 Dan Ling,他2名,"A method for parameter estimation of Mixed Weibull distribution",IEEE Reliability and Maintainability Symposium 2009,p.129 - p.133,Jan. 2009
特許文献1に記載されているように、電気機械装置に含まれる消耗部品(保守部品)の寿命の予測モデルを、その保守部品の使用の仕方や使用環境に応じて作成しておけば、確かに、その保守部品の使用の仕方や使用環境に応じて、その保守部品の寿命を精度よく予測することが可能になる。
ところが、使用の仕方や使用環境ごとに保守部品の寿命の予測モデルを作成するとなると、その保守部品について、使用の仕方や使用環境ごとに、有意の統計処理が可能な程度の量の寿命のフィールドデータまたは寿命試験データが必要となる。
しかしながら、一般には、使用の仕方(以下、使用方法という)や使用環境ごとに有意の統計処理が可能な程度の量のフィールドデータまたは寿命試験データを取得するには、時間も、コストも掛かる。従って、とくに、新製品の電気機械装置の保守部品などについては、寿命の実績データのフィールドデータも寿命試験データも十分な量が収集されていない場合が多い。従って、そのような保守部品については、その使用方法や使用環境ごとの寿命の予測モデルを作成することは、現実には、困難であるといわざるを得ない。
そこで、本発明は、使用方法や使用環境を考慮した保守部品寿命を、少ない実績データで、精度よく予測することが可能な保守部品寿命予測システムおよび保守部品寿命予測方法を提供することにある。
本発明は、使用方法および使用環境によって寿命が変動する電気機械装置の保守部品の寿命を予測する保守部品寿命予測システムであって、前記保守部品の使用開始から故障するまでの経過時間または稼働時間を表す第1のデータと、その保守部品の使用方法および使用環境を表す第2のデータと、が対応付けられて構成された信頼性データが蓄積された信頼性データ記憶部と、前記保守部品の寿命を予測する寿命予測モデルに含まれるパラメータの値を前記第2のデータから予測するパラメータ予測モデルに含まれるメタパラメータの値を、前記第1のデータと、前記第2のデータと、前記メタパラメータについて事前に設定された確率分布に従う乱数と、を用いたシミュレーションによって定めるモデル作成シミュレータ部と、前記モデル作成シミュレータ部によって定められたメタパラメータの値を有するパラメータ予測モデルと寿命予測対象の保守部品についての前記第2のデータの値とから、前記寿命予測モデルに含まれるパラメータの値を定める寿命予測モデル作成部と、前記寿命予測モデル作成部によって定められたれたパラメータの値を有する寿命予測モデルに基づき、前記寿命予測対象の保守部品の予測寿命を予測する寿命予測計算試行部と、を備えることを特徴とする。
本発明に係る保守部品寿命予測システムは、保守部品の寿命予測モデルに含まれるパラメータを、保守部品の使用方法および使用環境を表すデータ(前記第2のデータ)によって予測するパラメータ予測モデルを用いて予測する。そして、そのパラメータ予測モデルに含まれるメタパラメータを、信頼性データ記憶部に蓄積されているデータ(前記第1のデータ、すなわち、寿命のフィールドデータ)と、保守部品の使用方法および使用環境を表すデータ(前記第2のデータ)と、に適合するように、乱数シミュレーションによって求める。
すなわち、本発明で用いられている保守部品の寿命予測モデルには、第1のデータ(寿命のフィールドデータ)だけでなく、第2のデータ(使用方法および使用環境のデータ)が変数として組み込まれたものとなっている。従って、本発明では、信頼性データ記憶部に蓄積されているフィールドデータを、使用方法および使用環境のデータごとに層別する必要がなく、また、その寿命予測モデルのパラメータが、信頼性データ記憶部に蓄積されているフィールドデータへ合せ込こむような乱数シミュレーションによって求められている。従って、本発明では、大量のフィールドデータがない場合であっても、保守部品の寿命を精度よく予測することができる。
本発明によれば、使用方法や使用環境を考慮した保守部品寿命を、少ない実績データで、精度よく予測することが可能になる。
本発明の実施形態に係る保守部品寿命予測システムの機能的なブロック構成の例を示した図。 保守部品寿命予測システムを実現する計算機システムの構成の例を示した図。 本発明の実施形態において、電気機械装置の代表例として用いられる医療用のX線CT装置の概略構成の例を示した図。 信頼性データ記憶部に蓄積される医療用のX線CT装置に対する信頼性データのレコード構成の例を示した図。 X線管などの保守部品の故障率チャートの例を示した図。 モデル作成シミュレータ部におけるモデル作成シミュレーション処理の処理フローの例を示した図。 MCMC法によるパラメータ標本系列が収束する様子の例を示した図で、(a)は、初回から収束するまでの区間、および、収束後の所定回数の収束区間におけるパラメータ標本系列が収束する様子を示した例、(b)は、収束後の所定回数の収束区間における収束したパラメータ標本系列の様子を示した例。 保守部品寿命予測システムの寿命計算部における寿命計算処理の処理フローの例を示した図。 モデル管理用計算機の表示装置に表示される保守部品寿命予測システム画面の例を示した図。 保守管理装置(操作用計算機)の表示装置に表示される保守管理画面の例を示した図。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、実施形態を説明するためのすべての図面において、同一の構成要素には同一符号を付し、その繰り返しの説明を省略する。
(1.保守部品寿命予測システムの構成)
図1は、本発明の実施形態に係る保守部品寿命予測システムの機能的なブロック構成の例を示した図である。図1に示すように、保守部品寿命予測システム100は、モデル作成シミュレータ部110、寿命計算部130、信頼性データ記憶部140などのブロックを含んで構成される。
ここで、モデル作成シミュレータ部110は、その内部に、モデル作成試行部111、確率的パラメータ標本生成部115、モデル精度収束判定部116、パラメータ標本値記憶部121、寿命予測モデル記憶部122などのブロックを含んで構成され、さらに、モデル作成試行部111は、その内部に、寿命予測モデル作成試行部112、寿命予測計算試行部113などを含んで構成される。また、寿命計算部130は、その内部に、寿命予測モデル作成部132、寿命予測計算部133、保守部品交換サイクル通知部134などのブロックを含んで構成される。
保守部品寿命予測システム100は、電気機械装置200(例えば、医療用のX線CT装置)から、その使用方法(使用の仕方)や使用環境、保守履歴、故障情報(故障実績データ、寿命データ)などを含む様々な信頼性データを取得し、その取得した信頼性データに基づき、電気機械装置200に含まれる保守部品の寿命を予測するとともに、その予測した保守部品の寿命に基づく交換時期や交換サイクルを保守管理装置135などに出力するなどの機能を有している。なお、各ブロックが有する機能の詳細については、以下の実施形態の説明の中で順次説明する。
図2は、保守部品寿命予測システム100を実現する計算機システムの構成の例を示した図である。図2に示すように、本発明の実施形態に係る保守部品寿命予測モデルの運用・管理を行う運用センタ300に設けられたモデル管理用計算機31は、通信ネットワーク500を介して、遠隔地の複数のサイト400にそれぞれ設けられた操作用計算機41に接続される。ここで、操作用計算機41は、例えば、X線CT装置などの電気機械装置200を操作し、制御する計算機であり、サイト400は、その電気機械装置200が設置された、例えば、病院などの構内を意味する。
また、モデル管理用計算機31は、演算処理装置32と記憶装置33とを含んで構成され、その記憶装置33にはパラメータ標本値記憶部121、寿命予測モデル記憶部122、信頼性データ記憶部140などが設けられる。また、操作用計算機41は、演算処理装置42と記憶装置43とを含んで構成される。なお、本実施形態では、図1に示したモデル作成シミュレータ部110の機能および寿命計算部130の機能は、モデル管理用計算機31によって実現され、また、保守管理装置135の機能は、操作用計算機41によって実現されるものとする。ただし、別の実施形態として、モデル作成シミュレータ部110の機能がモデル管理用計算機31によって実現され、また、寿命計算部130の機能および保守管理装置135の機能が操作用計算機41によって実現されるとしてもよい。
(2.X線CT装置の構成)
図3は、本発明の実施形態において、電気機械装置200の代表例として用いられるX線CT装置の概略構成の例を示した図である。図3に示すように、X線CT装置200aは、架台(ガントリ)10、X線管11、高電圧発生装置12、コリメータ13、検出器15、データ収集部16、画像再構成演算装置17、操作用計算機41、などを含んで構成される。
X線CT装置200aにおいて、X線管11で発生したX線束14は、コリメータ13で必要なビーム幅にトリミングされ、架台(ガントリ)10の中心部に配置された被写体(図示せず)に曝射される。検出器15は、被写体透過後のX線束14を検出し、データ収集部16は、検出器15の検出値を収集し、収集した検出値を画像再構成演算装置17へ転送する。画像再構成演算装置17は、検出器15の検出値に基づき、被写体によるX線吸収の度合いを計算し、被写体の一方向からの曝射画像を得る。このとき、X線管11、コリメータ13および検出器15は、回転する架台10に固定され、架台10とともに被写体の周りを回転する。従って、画像再構成演算装置17は、被写体の複数方向からの曝射画像を得ることができ、その複数方向からの曝射画像に基づき、被写体の断面画像を再構成する。
X線管11は、加速した熱電子をタングステンなどの金属のターゲットに衝突させてX線を発生させる構造になっているので、その金属のターゲットは消耗する。従って、X線管11は、X線CT装置200aにおける典型的な保守部品といえる。また、高電圧発生装置12の内部のコンデンサ部品や、画像再構成演算装置17の内部の電子回路基板なども保守部品といえる。
そこで、保守部品寿命予測システム100は、例えば、X線管11などの消耗劣化する保守部品の寿命を予測する。その場合、その寿命は、X線CT装置200aの使用時間や累計撮像枚数だけでなく、その使用方法(例えば、運転間隔、暖機運転時間)や使用環境(周囲温度、湿度など)にも依存する。そこで、保守部品寿命予測システム100は、例えば、X線管11の故障データとともに、使用時間、累計撮像枚数、使用方法、使用環境などのデータを、寿命予測の手掛かりとなる信頼性データとして、X線CT装置200aから取得し、信頼性データ記憶部140に蓄積する。
図4は、信頼性データ記憶部140に蓄積されるX線CT装置200aに対する信頼性データのレコード構成の例を示した図である。図4に示すように、X線CT装置200aに対する信頼性データのレコードは、装置番号、稼動開始日時、X線管故障日時、X線管故障モード、X線管交換日時、累計撮像枚数、暖機運転時間、運転間隔、設置環境温度などのデータを含んで構成される。なお、ここでは、説明を簡単にするために、X線管11だけを保守部品としている。また、図4に示した信頼性データのレコードは、X線管が故障した場合のレコードの例を示しているが、X線管が故障する前に予防交換した場合は、故障イベント監視打ち切りレコードとなり、X線管故障日時とX線管故障モードの欄は、空欄となる。なお、故障停止前の異音発生などの異常状態は故障に含める。
従って、信頼性データ記憶部140に蓄積される1レコードの信頼性データは、X線管11のフィールドにおける寿命の実績データ(すなわち、X線CT装置200aの稼働開始から、あるいは、X線管11が前回交換されてから、そのX線管11が故障するまで、あるいは、予防交換されるまでの時間)が、X線CT装置200aの使用方法(累計撮像枚数、暖機運転時間、運転間隔など)および使用環境(設置環境温度など)を表すデータに対応付けられたデータということができる。
なお、ここでは、X線管11の寿命は、X線管11が使用され始めてから故障するまでの経過時間で求められているが、実際に使用された稼働時間で求められるものであってもよい。以下、保守部品の寿命は、その保守部品に応じてどちらかに定められていれば、経過時間であっても稼働時間であってもよいものとする。
(3.寿命の一般的な予測方法)
まず、ここでは、保守部品寿命予測システム100が従来の一般的な寿命予測の考え方に従って、X線CT装置200aの保守を管理するとした場合に、保守部品の寿命を予測し、交換サイクルを設定する方法について説明する。すなわち、従来の一般的な考えによれば、保守部品の寿命予測および交換サイクルの設定は、例えば、次の手順に従って行われる。
<手順1> 信頼性データ記憶部140に蓄積された信頼性データに基づき、ワイブル分布に従う故障累積分布F(t)を推定する。
例えば、保守部品寿命予測システム100は、レコード数Nの信頼性データについて、X線管故障日時から稼動開始日時を差し引いて故障までの時間tを求め、その時間tを昇順に並べたときの順位iを求める。次に、レコード数Nに応じて、式(1)で定められる経験分布、式(2)で定められるメジアンランク、または、式(3)で定められる平均ランクから故障累積分布F(t)の推定値を求める。
Figure 0005718457
<手順2> (故障までの時間t,故障累積分布F(t)の推定値)の組のデータをワイブル確率紙上にプロットし、直線をあてはめる。
<手順3> 式(4)で表されるワイブル分布に従う故障累積分布F(t)の形状パラメータm、尺度パラメータη、位置パラメータγをワイブル確率紙から読み取る。
Figure 0005718457
<手順4> 次に、手順3で求めた形状パラメータm,尺度パラメータη,位置パラメータγを用いて、式(5)で表される100s(0<s<1)パーセント故障寿命(Tハット)を求める。
Figure 0005718457
<手順5> 次に、当該保守部品(X線管11)に要求される信頼度に基づき、適宜、しきい値sを設定し、式(5)を用いて寿命Tを計算し、その寿命が尽きる前に当該保守部品の交換が行われるように、交換サイクルを決定する。
なお、以上の説明において、<手順2>および<手順3>は、説明の便宜上、主として人の行為により実現される手順となっているが、近年では、これらの手順をパーソナルコンピュータなどの計算機に実行させるプログラムが開発されているので、例えば、そのプログラムをモデル管理用計算機31や操作用計算機41に実行させることで、<手順2>および<手順3>を行うことができる。
(4.一般的な予測方法における問題点)
しかしながら、以上に説明した保守部品の寿命を予測し、交換サイクルを設定する方法には、実用上、重大な問題が存在する。すなわち、保守部品の寿命を予測するためには、(故障までの時間t、故障累積分布F(t)の推定値)の組のデータをワイブル確率紙上にプロットし、直線を当てはめることが必要であるが、現実の電気機械装置200においては、その使用方法や使用環境が様々に異なるため、ワイブル確率紙上で必ずしも直線になるとは限らない。すなわち、保守部品の寿命は、その使用方法や使用環境によって大きな相違を生じることが多い。
例えば、X線CT装置200aは、大きな総合病院では、年中通電され、1日に何度も使用されるが、小さな病院では、多くても1日1回程度しか使用されず、使用されるときにのみ通電される。とすれば、両者の使用方法のどちらが過酷かは一概にはいえないが、X線CT装置200aに含まれるX線管11の平均的な寿命に相違が生じても不思議ではない。
図5は、X線管11などの保守部品の故障率チャートの例を示した図である。図5に示した故障率チャート50において、横軸は、保守部品の稼働時間tを表し、縦軸は、その保守部品の故障率λ(t)を表す。そして、その中に描かれた右肩上がりの実線、破線および一点鎖線の曲線は、ある保守部品(例えば、X線管11)について、それぞれ使用方法や使用環境が異なる場合の故障率曲線の例を表したものである。
ここで、故障率λ(t)とは、単位時間当たりに発生する故障の発生確率であり、故障累積分布F(t)との間に式(6−1)〜(6−3)に示す関係を有する。
Figure 0005718457
図5において、平均故障率曲線50h(一点鎖線の曲線)は、当該保守部品(例えば、X線管11)の使用方法や使用環境を考慮しないで平均した寿命から得られた故障率曲線の例である。従来技術における平均寿命または故障率の統計の概念では、通常、この平均故障率曲線50hしか取得されない。
なお、この図5に示した故障率曲線は、いわゆるバスタブ曲線の故障モデルでいう偶発故障期をほぼ終えた後の磨耗故障期の故障率曲線に相当する。一般に、磨耗故障期の故障率λ(t)は、稼働時間の増加とともに右肩上がりで増加する。そして、その平均故障率曲線50hに対しては、故障率λ(t)のしきい値50sが予め設定されており、平均故障率曲線50hがそのしきい値50sを超えるときの稼働時間tが、その保守部品の交換時間50eとして定められる。
ところが、前記したように、X線管11などの保守部品の寿命は、その使用方法によって大きな相違が生じる。すなわち、その保守部品を過酷な使用条件で使用すれば、図5の使用方法Aの故障率曲線50aのように、平均故障率曲線50hよりも早く立ち上がる曲線となり、また、保守部品を緩い使用条件で使用すれば、図5の使用方法Cの故障率曲線50cのように、平均故障率曲線50hよりも遅く立ち上がる曲線となる。
そこで、例えば、使用方法C(故障率曲線50c)で使用されている保守部品を、稼働時間tが交換時間50eに達したときに交換した場合には、その保守部品は、まだ使用可能、すなわち、その故障率λ(t)は、しきい値50sよりも十分小さいので、保守コストは、その故障率λ(t)が実際にしきい値50sに達するまで使用する場合に比べ増加する。
それに対し、使用方法A(故障率曲線50a)で使用されている保守部品を、稼働時間tが交換時間50eに達したときに交換しようとした場合には、多くの保守部品は、交換される前に故障することになる。その場合には、故障対応の事後処理などに余分に時間が掛ることになり、稼働率が低下したり、運用コストが増加したりして、逆に保守コストの増加を招く結果となる。
また、同じ保守部品が同じ使用条件で使用されても、その使用環境(周囲温度、湿度など)が異なれば、その故障率曲線は、必ずしも同じになるとは限らない。例えば、図5に示すように、使用方法Aが同じであっても、使用環境A1と使用環境A2とでは、その故障率曲線50a1,50a2は、異なることが多い。
結局、平均故障率曲線50hが有効なのは、最も平均的な使用条件や使用環境で用いられる使用方法B(50b)の場合に過ぎない。そこで、使用方法や使用環境に応じて、保守部品の寿命を予測し、その交換時間を最適に設定するためには、使用方法や使用環境に応じて個別に故障率曲線をモデル化する必要がある。
その場合、使用方法や使用環境ごとに十分な数の信頼性データがあれば、信頼性データを使用方法や使用環境で層別して、使用方法や使用環境ごとにワイブル確率紙などを用いて故障率曲線を求めればよい。しかしながら、このことが従来行われている一般的な方法の大きな問題点となる。
すなわち、保守部品に対して取得される信頼性データのうち、磨耗故障が発生したことにより保守部品の寿命が得られる事例データ(フィールドデータ)は、もともと多数得られる性質のデータではない。さらに、その事例データを層別しようとすると、その層別によって、層別後のデータ数はますます少なくなるので、それだけのデータでは、ワイブル確率紙上などに近似直線を引くことが困難になる。従って、寿命の予測値を求めることができなくなる。あるいは、無理に直線を当てはめようとすると、誤った寿命や誤差の大きい寿命が求められることになる。
以上のように、従来技術においては、使用方法や使用環境で層別した精度の高い保守部品の寿命を求める場合には、それを求めるに足る十分な数の信頼性データを得ることが困難なために、実質的には、層別した精度の高い保守部品の寿命を求めることができないということが問題となる。
(5.本発明の実施形態における解決方法)
そこで、本実施形態では、電気機械装置200の使用方法や使用環境に係るデータそのものを有効に利用することにより、フィールドで得られるX線管11などの保守部品の信頼性データを、使用方法や使用環境で層別することなく、その保守部品の寿命を予測する方法を提示する。
(5.1 統合寿命予測モデルの作成)
本実施形態では、モデル作成シミュレータ部110が、全ての故障情報を含む信頼性データを用いて、式(7)に基づく統合寿命予測モデルを作成する。
Figure 0005718457
なお、式(7)は、ワイブル分布に従う故障累積分布F(t)を微分して得られる故障確率密度分布f(t)を表す式であり(式(6−2)参照)、また、式(7)におけるパラメータm,η,γは、それぞれワイブル分布でいう形状パラメータ、尺度パラメータ、位置パラメータである。
次に、これらの形状パラメータm、尺度パラメータη、位置パラメータγについて、使用方法(例えば、運転間隔、暖機運転時間など)や使用環境(例えば、周囲温度、湿度など)を表す変数ziとの間に、式(8)の関係を設定する。
Figure 0005718457
すなわち、形状パラメータm、尺度パラメータη、位置パラメータγは、それぞれ、使用方法や使用環境を表す変数ziに共通する値である共通形状パラメータm0、共通尺度パラメータη0、共通位置パラメータγ0に、使用方法や使用環境を表す変数ziに個別的に比例する値(すなわち、mi・zi、ηi・zi、γi・zi)を足し合わせた値として表されるものとする。
そして、式(7)の故障確率密度分布f(t)を積分した故障確率累積分布に対して、パーセント点s(0<s<1)のしきい値を設定することにより、式(9)に示す寿命の予測値、すなわち、予測寿命Tlifeハットを得ることができる。
Figure 0005718457
以上に示した故障確率密度分布モデルでは、使用方法や使用環境の効果について、その共通効果がパラメータm0、η0、γ0として、また、個別的な効果が比例係数mi、ηi、γiとして統合された形で組み込まれている。従って、フィールドの故障事例が少ない場合であっても、共通効果のパラメータm0、η0、γ0をすべての故障事例から求めることができ、また、個別効果の比例係数mi、ηi、γiを、その共通効果からの差分として求めることができるので、寿命を精度よく予測することが可能になる。
(5.2 統合寿命予測モデルに存在する課題)
式(9)に基づく統合寿命予測モデルでは、形状パラメータm、尺度パラメータη、位置パラメータγの3つのパラメータを予測するために、式(8)に基づく3つのパラメータ予測モデルが用意されている。従って、そのパラメータ予測モデルを利用するには、式(8)で表される3つのパラメータ予測式において、それぞれの切片を表すパラメータであるm0、η0、γ0と、比例係数を表すパラメータであるmi、ηi、γiを事前に決定しておくことが必要となる(以下、これら切片および比例係数を表すパラメータをメタパラメータという)。
すなわち、式(8)のパラメータ予測モデルを利用するには、予め合計6つ以上(使用方法や使用環境を表す変数ziの数が1つの場合、最小の6つとなる)のメタパラメータを決定しておくことが必要となる。
これらのメタパラメータは、使用方法や使用環境を表す変数ziを説明変数とする、いわゆる回帰モデルのパラメータであるため、一般的には、最尤法や最小2乗法などを用いて統計的に定められる。そのためには、大量の故障事例を含む信頼性データが必要となるが、その信頼性データの量が少ない場合には、最尤法や最小2乗法などにより定められるメタパラメータの精度は低下する。しかも、使用方法や使用環境により層別し、メタパラメータを定める場合には、信頼性データは、さらに少量のデータに分割されるので、定められるメタパラメータの精度は、さらに低下する。
一方、電気機械装置200の利用者は、保守部品についての信頼性データの量が少ない初期の段階から式(9)に基づく統合寿命予測モデルを利用しようとする。そうしなければ、その予測モデルは、従来のワイブル確率紙を用いた寿命予測の方法に比べて優位性を主張することができない。すなわち、式(9)に基づく統合寿命予測モデルにおける解決すべき課題は、少量の信頼性データしか蓄積されていない場合に、式(8)のメタパラメータを如何にして精度よく定めればよいかということにある。
(6.モデル作成シミュレータ部における処理)
そこで、この課題を解決するために、本実施形態では、少量の故障事例データを含む信頼性データからパラメータ予測モデルのメタパラメータを決定するという方法を採らず、パラメータ予測モデルのメタパラメータの確率分布をシミュレーションで評価して、その平均値あるいは最頻値からメタパラメータの値を定めるという方法を採用する。
このようなパラメータ予測モデルのメタパラメータの決定方法を実現するために、本実施形態における保守部品寿命予測システム100(図1参照)には、モデル作成シミュレータ部110が設けられており、さらに、そのモデル作成シミュレータ部110の内部には、モデル作成試行部111、確率的パラメータ標本生成部115およびモデル精度収束判定部116が設けられている。
そして、モデル作成シミュレータ部110において、確率的パラメータ標本生成部115は、式(8)における3つのパラメータ予測モデルの6つ(変数ziの数が1つの場合)のメタパラメータの候補値を確率的に生成するとともに、その生成したメタパラメータの候補値をモデル作成試行部111へ送る。
また、モデル作成試行部111の寿命予測モデル作成試行部112は、そのパラメータ予測モデルのメタパラメータの候補値に基づき、パラメータの予測値とそのパラメータに基づく寿命予測モデルをシミュレーション評価する。
続いて、寿命予測計算試行部113は、故障率λの予測値を求め、さらに、その予測精度を求める。このとき、予測値と比較する実測値は、例えば、式(1)、(2)または(3)から求めた故障累積分布F(t)の推定値の区間値に基づき故障確率密度分布f(t)の推定値を求める。
モデル精度収束判定部116は、そのシミュレーション評価により求められた予測精度の統計的な収束判定を行う。そして、その収束判定で収束と判定されるまで、確率的パラメータ標本生成部115、モデル作成試行部111およびモデル精度収束判定部116における処理が繰り返される。
モデル作成シミュレータ部110は、パラメータ予測モデルの各メタパラメータ候補の収束区間のシミュレーションデータから、平均値または最頻値を計算し、その計算値をメタパラメータ値として確定させ、寿命計算部130に送信する。
(7.MCMC法の適用)
ところで、確率的パラメータ標本生成部115におけるパラメータ予測モデルのメタパラメータの候補値を、単純なモンテカルロシミュレーション法によりランダムに生成した場合には、予測精度やメタパラメータの確率標本分布が収束するのに長時間掛かったり、収束しなかったりする。そこで、本実施形態では、モデル作成シミュレータ部110におけるパラメータ予測モデルのメタパラメータの候補値の生成(すなわち、標本サンプリング)、寿命予測モデルの候補の更新、確率標本分布の収束評価の一連の処理に、ベイスモデルに対するMCMC法を適用する。
ベイスモデルに対するMCMC法をモデル作成シミュレータ部110における一連の処理に適用すれば、信頼性データの実績値から導かれる尤度と求めたいパラメータの事前確率分布との積からパラメータ事後確率分布を得ることができ、さらに、その事後確率分布に基づきパラメータ予測モデルのメタパラメータ候補を生成(標本サンプリングによる)できるので、モデル精度の収束が速くなるという効果が得られる。
図6は、モデル作成シミュレータ部110におけるモデル作成シミュレーション処理の処理フローの例を示した図である。図6に示すように、モデル作成シミュレーション処理は、マルコフ連鎖による寿命予測モデル(故障確率密度モデル)のパラメータ標本初期値設定処理(ステップS10)、モデル作成試行処理(ステップS11)、予測誤差分散計算および事後分布更新処理(ステップS12)、マルコフ連鎖収束判定処理(ステップS13,13a)、マルコフ連鎖からの収束区間標本系列切り出し処理(ステップS14)、収束区間の標本系列に基づく寿命予測モデル(故障確率密度モデル)パラメータ確定処理(ステップS15)、寿命計算部に対する寿命予測モデル(故障確率密度モデル)パラメータ更新処理(ステップS16)、マルコフ連鎖による寿命予測モデルパラメータ標本生成更新処理(ステップS17)などを含んで構成される。
また、モデル作成試行処理(ステップS11)は、モデル作成試行のためのデータ区間初期化処理(ステップS11a)、データレコード読み込み処理(ステップS11b)、寿命予測モデル(故障確率密度モデル)作成試行処理(ステップS11c)、寿命予測モデル(故障確率密度モデル)を用いた予測試行処理(ステップS11d)、寿命予測誤差計算処理(ステップS11e)、データ区間終了判定処理(ステップS11f)などを含んで構成される。
以下、図6を参照して、MCMC法およびMCMC法が適用されたモデル作成シミュレーション処理の詳細について説明するが、その前に、説明の事前準備をしておく。まず、例えば、式(1)、式(2)、式(3)などから求めた故障累積分布F(t(n))の推定値の区間値から故障確率密度分布f(t(n))の推定値を求める。
さらに、式(8)の3つのパラメータ予測モデルの6つのメタパラメータ(以下、説明が煩瑣になるのを避けるため、変数ziの数を1つであるとする)を、確率変数θとして、式(10)に示す寿命データT(n)に関するベイスモデルを設定する。
Figure 0005718457
式(10)に示されているように、寿命の実績値に基づく確率変数θの事後確率密度関数である関数π(左辺)は、確率変数θが与えられたときの寿命データT(n)の尤度関数である関数Lと、確率変数θの事前確率密度関数である関数π(右辺)との積で表される。
ここで、寿命データT(n)がワイブル分布(式(7)参照)に従うとすると、寿命データT(n)は、次の式(11)のように表され、また、その尤度関数Lは、式(12)のように表される。
Figure 0005718457
さらに、3つのパラメータm、η、γを予測するパラメータ予測モデルは、式(8)と同様に、使用方法や使用環境を表す変数z1(n)を説明変数とする回帰モデルであるとし、次の式(13)で表されるものとする。さらに、その予測モデルに含まれる6つのメタパラメータm0、η0、γ0、m1、η1、γ1の事前確率密度関数は、式(14)の分布で表されるものとするが、必ずしもこれらの分布に限定される必要はない。
Figure 0005718457
Figure 0005718457
ここで、他の装置あるいは他の部品における故障経験により、分布に関する事前知識がある場合は、式(14)における指数分布Expおよび正規分布Nの分布パラメータ値は、その事前知識に基づいて設定することができる。なお、本実施形態では、事前知識があることを想定しないので、指数分布Expおよび正規分布Nの分布パラメータ値として、10-3、103といった分布の幅が広くなる値を設定する。ただし、事前知識がない場合、これらの分布パラメータが結果に及ぼす感度は小さいので、それらの統計値を厳密にこれらの値と同じ値に設定する必要はない。
次に、寿命予測誤差E(n)を、寿命データT(n)の経験密度分布f(n)と、式(11)のワイブル分布から得られる確率密度分布とを用いて、式(15)のように設定する。
Figure 0005718457
続いて、図6を参照して(適宜、図1参照)、MCMC法によるモデル作成シミュレーション処理の処理フローを具体的に説明する。
まず、モデル作成シミュレータ部110は、確率変数θに含まれる、3つのパラメータ予測モデルの6つのメタパラメータの初期値を設定する(寿命予測モデルパラメータ標本初期値設定処理:ステップS10)。これらの初期値の結果に対する感度は高くはないため、式(11)および式(12)の事前に設定した分布から、適宜、サンプリングして設定してもよい。
次に、モデル作成シミュレータ部110は、マルコフ連鎖に従い、式(10)の事後分布に従って、逐次、標本値計算を行うステップS11a〜ステップS11fの処理を繰り返し実行する(モデル予測試行処理:ステップS11)。
モデル予測試行処理(ステップS11)において、寿命予測モデル作成試行部112は、まず、確率的パラメータ標本生成部115から送信される確率変数θ(6つのメタパラメータ)の現行値を受信し、受信した6つのメタパラメータを用いて式(13)のパラメータ予測モデルを作成し、モデル作成試行のためのデータ区間を初期化する(データ区間初期化処理:ステップS11a)。
次に、寿命予測モデル作成試行部112は、その設定した信頼性データ区間の故障発生時間(すなわち、寿命)T(n)のデータと故障確率密度推定値f(n)のデータと使用方法や使用環境を表す変数のデータz(n)を、信頼性データ記憶部140から逐次に読み込む(データレコード読み込み処理:ステップS11b)。そして、その読み込んだデータから導かれる3つのモデルパラメータm、η、γに応じて、寿命予測モデルの作成を試行し、得られた寿命予測モデルを寿命予測計算試行部113に送信する(寿命予測モデル作成試行処理:ステップS11c)。
次に、寿命予測計算試行部113は、ステップS11aで設定された信頼性データ区間における信頼性データを、信頼性データ記憶部140から逐次取得し、先に受信した寿命予測モデルに代入して、寿命(故障確率密度推定値f(n)に相当)の予測を試行する(予測試行処理:ステップS11d)。そして、寿命予測計算試行部113は、信頼性データ記憶部140から、先に設定した区間の寿命(故障確率密度推定値f(n)に相当)データを取得し、予測値と比較して予測誤差を計算する(寿命予測誤差計算処理:ステップS11e)。
次に、寿命予測計算試行部113は、ステップS11aで設定されたすべてのデータ区間について、寿命予測モデルを作成し、寿命の予測試行処理を終了したか否かを判定する(ステップS11f)。そして、その判定の結果、すべてのデータ区間について寿命予測処理を終了していない場合には(ステップS11fでNo)、前に戻って、データレコード読み込み処理(ステップS11b)以下の処理を繰り返し実行する。
一方、すべてのデータ区間について寿命予測処理を終了した場合には(ステップS11fでYes)、寿命予測計算試行部113は、ここまでの処理で得られた予測誤差の系列の分散を計算し、その予測誤差分散と、確率変数θの事後分布を更新する(予測誤差分散計算および事後分布更新処理:ステップS12)。
次に、モデル精度収束判定部116は、確率変数θの標本値に含まれるメタパラメータの分散の事後分布から、標本値の連鎖集合が所定の分布に収束し、かつ、収束判定後から所定のマルコフ連鎖標本数が計算されたか否かを判定する(マルコフ連鎖収束条件判定処理:ステップS13)。
そして、その収束条件が満たされていない場合には(ステップS13aでNo)、確率的パラメータ標本生成部115は、以降、このステップを通過するたびに、確率変数θに含まれるメタパラメータのうちの1つを、マルコフ連鎖に従い順に選択し、前回、パラメータが更新された式(10)の事後分布から、その標本値を新たに発生させ、更新されたパラメータの値と、残りの前回と同じパラメータの値と、をモデル作成試行部111に送信する(寿命予測モデルパラメータ標本生成更新処理:ステップS17)。
ステップS17の処理に引き続いて、その処理は、確率的パラメータ標本生成部115からモデル作成試行部111の処理に移行し、再び、ステップS11a以下の処理が繰り返して実行される。
一方、ステップS13において、マルコフ連鎖についての収束条件が満たされていた場合には(ステップS13aでYes)、モデル精度収束判定部116は、それまでの繰り返しの計算処理を終了して、収束区間を確定させ、確率変数θの標本系列を切り出す(収束区間標本系列切り出し処理:ステップS14)。
図7は、MCMC法(図6のステップS13までの繰り返し処理)によるパラメータ標本系列が収束する様子の例を示した図であり、(a)は、初回から収束するまでの区間、および、収束後の所定回数の収束区間におけるパラメータ標本系列が収束する様子を示した例、(b)は、収束後の所定回数の収束区間における収束したパラメータ標本系列の様子を示した例である。
図7(a)において、左側チャート55aは、予測誤差の標本系列が収束する様子を示したもの、右側チャート55bは、メタパラメータの1つの標本系列が収束する様子を示したものである。ここで、収束区間56とは、収束が確定したと判断される、例えば、繰り返し回数2,000回以降5,000回までの区間をいう。
図7(b)において、左側チャート57aは、図7(a)の左側チャート55aから収束区間56の部分を切り出したパラメータ標本系列であり、また、右側チャート57bは、その度数分布を表したものである。この収束区間56のパラメータ標本系列から、その収束区間平均値58が計算される。
再度、図6の処理フローを参照すると、モデル作成シミュレータ部110は、確率変数θに含まれる各メタパラメータの収束区間56の標本系列に基づき、平均値あるいは中央値を計算してメタパラメータの値を確定させる(寿命予測モデルパラメータ確定処理:ステップS15)。その後、モデル作成シミュレータ部110は、3つのパラメータ予測モデルの6つのメタパラメータそれぞれについての収束区間平均値58(図7(b)参照)を、寿命計算部130の寿命予測モデル作成部132に送信して、寿命計算部130における予測モデルを更新する(寿命予測モデルパラメータ更新処理:ステップS16)。
以上、図6を用いて、モデル作成シミュレータ部110が実行するMCMC法に基づくモデル作成シミュレーション処理の内容について説明したが、実際の計算の詳細は、例えば、Metropolis Hastingsアルゴリズム、Gibbs Samplerアルゴリズム、Slice Samplerアルゴリズムなどに基づいて実行される(非特許文献1など参照)。
なお、以上に説明したモデル作成シミュレーション処理は、図2に示した運用センタ300に設置されたモデル管理用計算機31のプログラムとして、その記憶装置33に格納され、そのプログラムは、演算処理装置32によって実行される。また、そのプログラムの実行に際しては、パラメータ標本値記憶部121、寿命予測モデル記憶部122、信頼性データ記憶部140のデータが、適宜、読み書きされる。
(8.寿命計算部における処理)
図8は、保守部品寿命予測システム100の寿命計算部130における寿命計算処理の処理フローの例を示した図である。以下、図8を参照して(適宜、図1参照)、寿命計算部130における寿命計算処理の処理フローについて説明する。
寿命計算部130の寿命予測モデル作成部132は、まず、モデル作成シミュレータ部110から送信されたパラメータ予測モデルの6個のメタパラメータ値を受信し、受信したメタパラメータ値によりパラメータ予測モデル(式(13))を更新する(ステップS20)。
次に、寿命予測モデル作成部132は、信頼性データ記憶部140から予測対象の保守部品あるいはその保守部品を有する電気機械装置200に関する使用方法や使用環境を表すデータ(変数z1の値)を取得する(ステップS21)。
次に、寿命予測モデル作成部132は、その使用方法や使用環境を表すデータをパラメータ予測モデル(式(13))に代入することにより、3つのパラメータ(形状パラメータm、尺度パラメータη、位置パラメータγ)の値を求め、その求めた3つのパラメータの値を式(7)に代入して、故障確率密度分布f(t)を決定する(ステップS22)。
次に、寿命予測計算部133は、その決定された故障確率密度分布f(t)の極大値、または、パーセント点のしきい値sに基づき、保守部品の予測寿命を計算する(ステップS23)。すなわち、m>1である場合には、故障確率密度分布f(t)が極大値を持つため、f(t)の微分値がゼロになる稼働時間tを、予測寿命(寿命の予測値)TLifeハットと定義することができる。その場合、使用方法・使用環境を表すデータz1に対する予測寿命TLifeハットは、次の式(16)により与えられる。
Figure 0005718457
また、故障確率密度分布f(t)を積分したパーセント点について、予め、しきい値sを設定しておき、そのパーセント点がしきい値sを超えたときの稼働時間tを、予測寿命(寿命の予測値)TLifeハットと定義することができる。その場合、使用方法あるいは使用環境を表すデータz1に対する予測寿命TLifeハットは、次の式(17)によって与えられる。
Figure 0005718457
この場合、寿命予測計算部133は、保守部品ごとに予め設定されているパーセント点のしきい値sを、例えば、信頼性データ記憶部140などから取得し、その取得したしきい値sを式(17)に代入することにより、その保守部品の予測寿命TLifeハットを得ることができる。
次に、保守部品交換サイクル通知部134は、ステップS23で計算された予測寿命に基づき、保守部品交換サイクルを設定または更新し(ステップS24)、その設定または更新された保守部品交換サイクルを保守管理装置135に通知する。なお、保守部品交換サイクルは、通常、予測寿命TLifeハットよりもやや短い時間が設定される。また、保守部品交換サイクルの設定または更新は、予め設定した周期で定期的に行ってもよく、あるいは、故障発生イベントに同期して行ってもよい。
保守管理装置135は、通知を受けた保守部品交換サイクルに従い、管轄する個々の電気機械装置200の該当する保守部品の稼働時間を監視し、その稼働時間が保守部品交換サイクルに近づくと、その保守部品の交換日が近付いたことを、操作用計算機41(図2参照)の表示装置に表示したり、保守作業者に電子メールなどで通知したりする。
また、保守管理装置135は、必要に応じて定期保守作業で複数の保守部品をまとめて交換できるように、次回交換しないと次々回に予測寿命を超えてしまう保守部品の一覧を操作用計算機41の表示装置などに表示するようにしてもよい。さらに、保守管理装置135は、別途、登録されている保守部品の調達リードタイムを加味して、近い将来に必要になる保守部品を自動的に発注するようにしてもよい。こうした操作用計算機41の機能により、保守作業者は、電気機械装置200の保守部品の交換を、その保守部品の最新の予測寿命に基づく保守部品交換サイクルで、漏らすことなく行うことができるようになる。
図9は、モデル管理用計算機31の表示装置に表示される保守部品寿命予測システム画面の例を示した図である。図9に示すように、保守部品寿命予測システム画面310は、モデル作成シミュレータ副画面310aおよび寿命計算副画面310bを含んで構成される。
モデル作成シミュレータ副画面310aには、モデル作成シミュレーションのための実行ボタン313aが設けられるとともに、データ区間指定副画面314および寿命確率分布パラメータ計算副画面315が設けられている。
実行ボタン313aは、モデル作成シミュレーションの実行指示を表すボタンである。すなわち、オペレータが実行ボタン313aをクリック操作すると、モデル管理用計算機31は、モデル作成シミュレータ部110によるモデル作成シミュレーション処理(図6参照)を実行する。なお、モデル管理用計算機31は、オペレータによる実行ボタン313aのクリック操作を受け付けたときに限らず、図示しない上位システムの計算機から実行の指示を受け付けたとき、または、予め設定された日時などのタイミングで、このモデル作成シミュレーション処理を実行してもよい。
データ区間指定副画面314には、モデル作成用データ区間の開始暦日時間および終了暦日時間を表示するためのボックス314a,314bが表示され、さらに、そのモデル作成用データ区間の開始暦日時間および終了暦日時間を自動設定するか、または、手動設定するかを選択するためのラジオボタン314cが表示される。
ラジオボタン314cで自動設定が選択された場合には、モデル管理用計算機31は、予め定められたルール(例えば、5年前の1月1日から昨年の12月31日までなど)に従って、開始暦日時間および終了暦日時間を自動設定し、設定した開始暦日時間および終了暦日時間をボックス314a,314bに表示する。また、ラジオボタン314cで手動設定が選択された場合には、モデル管理用計算機31は、開始暦日時間および終了暦日時間を設定するための下位の副画面(図示せず)を表示し、その副画面で設定された開始暦日時間および終了暦日時間をボックス314a,314bに表示する。
また、寿命確率分布パラメータ計算副画面315には、MCMCシミュレーションによって得られたパラメータ標本系列の収束判定の方法(自動設定または手動設定)を選択するラジオボタン315a、パラメータ標本系列チャート315g、収束区間のパラメータ標本系列から決定される確率分布のパラメータ(式(14)参照)の値を表示する表示ボックス315i、315j、315k、315p、315q、315rなどが表示される。
ラジオボタン315aで手動設定が選択された場合には、モデル管理用計算機31は、パラメータ標本系列チャート315g上に収束開始カーソル315hを表示するとともに、そのとき併せて表示した左右移動ボタン315c、315dのクリック操作を受け付け、そのクリック操作の入力に応じて、適宜、収束開始カーソル315hを左右に移動させる。ここで、表示ボックス315eには、収束開始カーソル315hの位置を表すシミュレーションの繰り返し回数が表示される。
次に、モデル管理用計算機31は、再計算ボタン315fをクリックする操作入力を受け付けると、収束開始カーソル315hの位置を確定させ、収束開始点を決定するとともに、収束区間を設定する。さらに、モデル管理用計算機31は、式(14)により事前分布を定義した各確率分布のパラメータの値を、MCMCシミュレーション後の事後分布の収束区間のパラメータ標本系列の平均値または最頻値に基づき決定し、決定したパラメータの値を、各それぞれ表示ボックス315i、315j、315k、315p、315q、315rに表示する。
さらに、図9に示すように、寿命計算副画面310bには、寿命計算のための実行ボタン313bが設けられるとともに、対象指定副画面316および計算方法選択&計算結果副画面317が設けられている。
実行ボタン313bは、寿命計算の実行指示を表すボタンである。すなわち、オペレータが実行ボタン313bをクリック操作すると、モデル管理用計算機31は、寿命計算部130による寿命計算処理(図8参照)を実行する。なお、モデル管理用計算機31は、オペレータによる実行ボタン313bのクリック操作を受け付けたときに限らず、図示しない上位システムの計算機から実行の指示を受け付けたとき、または、予め設定された日時などのタイミングで、この寿命計算処理を実行してもよい。
対象指定副画面316には、寿命計算の対象となる電気機械装置200の設置場所および保守部品を指定するダイアログ(対話)ボックス316a、316b、および、電気機械装置200の使用方法・使用環境を表示するボックス316cが表示される。オペレータがダイアログボックス316a、316bを介して設置場所と保守部品を指定すると、モデル管理用計算機31は、信頼性データ記憶部140からその設置場所に電気機械装置200の保守部品に応じた使用方法・使用環境を検索し、検索された使用方法・使用環境をボックス316cに表示する。
なお、図9において、記号zは、式(13)における使用方法・使用環境を表す変数を意味する。そして、オペレータがボックス316cに表示されている値を変更し、変更ボタン316dをクリックした場合には、変数zの値は、変更されるものとする。また、設置場所、保守部品、使用方法・使用環境などのデータのリストが予め作成されている場合には、モデル管理用計算機31は、対象指定副画面316を用いたオペレータの指示によらず、そのリストのデータに基づき、寿命計算を実行する。
計算方法選択&計算結果副画面317には、寿命計算方法として式(16)の寿命確率分布の極大値を用いるか、または、式(17)のパーセント点を用いるかを選択するためのラジオボタン317aが表示され、選択されたラジオボタン317aに従って、寿命計算が行われ、その寿命計算の結果である予測寿命が表示ボックス317cに表示される。なお、ラジオボタン317aでパーセント点が選択された場合には、しきい値sを設定するためのボックス317bが表示される。
計算方法選択&計算結果副画面317には、さらに、送信ボタン317dが表示されており、オペレータによって送信ボタン317dがクリック操作されると、寿命計算の結果である予測寿命は、保守管理装置123(操作用計算機41)へ送信される。なお、寿命計算の結果は、予測寿命そのものでなく、予測寿命に基づき得られる保守部品交換サイクル(図8、ステップS24参照)であってもよい。
図10は、保守管理装置123(操作用計算機41)の表示装置に表示される保守管理画面の例を示した図である。図10に示すように、保守管理画面410は、保守部品指定副画面411および保守計画副画面412を含んで構成される。
保守部品指定副画面411には、保守計画の対象となる電気機械装置200の設置場所を表示するボックス411a、保守部品を指定するダイアログボックス411bなどが表示され、さらに、ダイアログボックス411bで指定された保守部品の予測寿命が表示ボックス411cに表示される。なお、そのとき表示される保守部品の予測寿命は、予め保守部品寿命予測システム100(モデル管理用計算機31)から送信されたものである。また、表示ボックス411cには、当該保守部品の予測寿命に代えて、保守部品交換サイクルを表示してもよい。
さらに、保守部品指定副画面411には、問い合わせボタン411dが表示され、オペレータが問い合わせボタン411dをクリックした場合には、保守管理装置123は、保守部品寿命予測システム100に対して、最新の寿命計算結果の有無を問い合わせる。そして、その問い合わせによって未取得の最新の寿命計算結果があることが分かった場合には、保守管理装置123は、保守部品寿命予測システム100から、その最新の寿命計算結果を取得し、表示ボックス411cに表示された予測寿命を更新する。
保守計画副画面412には、ダイアログボックス411bで指定される保守部品の寿命到達日を表示する表示ボックス412a、定期保守計画引当日を選択するダイアログボックス412b、登録ボタン412cが設けられている。保守管理装置123は、当該保守部品の前回の交換日(または、電気機械装置200の最初の稼動開始日)に予測寿命を加算することによって、寿命到達日を求め、求めた寿命到達日を表示ボックス412aに表示する。オペレータは、表示ボックス412aに表示された寿命到達日に基づき、定期保守計画引当日をダイアログボックス412bにより設定し、登録ボタン412cをクリックすることにより、設定した定期保守計画引当日を確定させることができる。
なお、ここでは、保守管理装置123は、保守管理画面410を介してオペレータによって指定される保守部品の保守計画を作成(すなわち、定期保守計画引当日を設定)しているが、オペレータの操作指示によらず、予め作成された保守部品のリストに基づき、図示しない上位計算機からの指示を受けたとき、または、予め設定された日時などのタイミングで、複数の保守部品の保守計画を作成するようにしてもよい。
(9.本実施形態の効果)
本実施形態では、電気機械装置200の保守部品(例えば、X線CT装置200aのX線管11)の寿命を、電気機械装置200のまたは保守部品の使用方法や使用環境を考慮して予測できるようにした。その寿命予測モデルによれば、例えば、寿命予測モデルは、ワイブルモデルの3つのパラメータm,η,γと経過時間または稼働時間とによって予測され、また、パラメータm,η,γは、電気機械装置200のまたは保守部品の使用方法および使用環境を表す変数によって予測されるようにされている。このとき、パラメータm,η,γを予測するためのメタパラメータは、MCMC法などを適用した乱数シミュレーションによって、当該保守部品の寿命のフィールドデータに適合するように定められる。
従って、本実施形態では、信頼性データ記憶部140に蓄積された寿命のフィールドデータを層別する必要がないので、そのフィールドデータが少ない場合であっても、保守部品の精度よい予測寿命を得ることができる。換言すれば、電気機械装置200や保守部品が新たに開発された製品で、十分な寿命のフィールドデータがない場合であっても、また、その電気機械装置200が様々な方法や環境で使用されても、フィールドデータがいくらかでも収集されれば、より早期に、その保守部品の寿命予測ができるようになる。
その結果、その予測寿命を用いて、消耗劣化した部品の交換サイクルを適正に設定することができる。そのため、早過ぎる交換によって保守コストが増大することを防ぐことができ、また、遅過ぎる交換サイクルの設定によって故障が発生し、装置不稼働時間が増大することを防ぐことができるようになる。
以上、本実施形態では、電気機械装置200をX線CT装置200aであるものとして説明したが、電気機械装置200は、X線CT装置200aに限定されるものではなく、劣化消耗する部品を含むものであればどのような装置であってもよい。
例えば、電気機械装置200は、研磨、研削、切断のための機械加工装置であってもよく、車輪、ブレーキ、タイヤ、駆動装置(エンジン、モータ)などを備えた自動車、建設機械、電車、航空機であってもよく、タービンなどを備えた発電プラントであってもよく、蛍光光源などを有する分析装置であってもよく、電子銃を備えたSEMなどの検査装置であってもよく、ハードディスク装置などを有する各種情報処理装置であってもよく、さらには、プラズマやレーザを応用した集積回路の製造装置などであってもよい。
10 架台(ガントリ)
11 X線管(保守部品)
12 高電圧発生装置
13 コリメータ
14 X線束
15 検出器
16 データ収集部
17 画像再構成演算装置
31 モデル管理用計算機
32 演算処理装置
33 記憶装置
41 操作用計算機
42 演算処理装置
43 記憶装置
100 保守部品寿命予測システム
110 モデル作成シミュレータ部
111 モデル作成試行部
112 寿命予測モデル作成試行部
113 寿命予測計算試行部
115 確率的パラメータ標本生成部
116 モデル精度収束判定部
121 パラメータ標本値記憶部
122 寿命予測モデル記憶部
130 寿命計算部
132 寿命予測モデル作成部
133 寿命予測計算部
134 保守部品交換サイクル通知部
135 保守管理装置
140 信頼性データ記憶部
200 電気機械装置
200a X線CT装置
300 運用センタ
310 保守部品寿命予測システム画面
314 データ区間指定副画面
315 寿命確率分布パラメータ計算副画面
316 対象指定副画面
317 計算方法選択計算結果副画面
400 サイト
410 保守管理画面
411 保守部品指定副画面
412 保守計画副画面
500 通信ネットワーク

Claims (10)

  1. 使用方法および使用環境によって寿命が変動する電気機械装置の保守部品の寿命を予測する保守部品寿命予測システムであって、
    前記保守部品の使用開始から故障するまでの経過時間または稼働時間を表す第1のデータと、その保守部品の使用方法および使用環境を表す第2のデータと、が対応付けられて構成された信頼性データが蓄積される信頼性データ記憶部と、
    前記保守部品の寿命を予測する寿命予測モデルに含まれるパラメータの値を前記第2のデータから予測するパラメータ予測モデルに含まれるメタパラメータの値を、前記第1のデータと、前記第2のデータと、前記メタパラメータについて事前に設定された確率分布に従う乱数と、を用いたシミュレーションによって定めるモデル作成シミュレータ部と、
    前記モデル作成シミュレータ部によって定められたメタパラメータの値を有するパラメータ予測モデルと寿命予測対象の保守部品についての前記第2のデータの値とから、前記寿命予測モデルに含まれるパラメータの値を定める寿命予測モデル作成部と、
    前記寿命予測モデル作成部によって定められたれたパラメータの値を有する寿命予測モデルに基づき、前記寿命予測対象の保守部品の予測寿命を予測する寿命予測計算部と、
    を備えること
    を特徴とする保守部品寿命予測システム。
  2. 前記寿命予測計算部で計算した前記保守部品の予測寿命に基づき、前記保守部品の交換サイクルを定め、前記定めた交換サイクルを保守作業者に通知する保守部品交換サイクル通知部を、さらに、備えること
    を特徴とする請求項1に記載の保守部品寿命予測システム。
  3. 前記寿命予測モデルは、形状パラメータ、尺度パラメータ、位置パラメータのうち少なくとも1つのパラメータを有するワイブルモデルであること
    を特徴とする請求項1に記載の保守部品寿命予測システム。
  4. 前記パラメータ予測モデルは、前記使用方法および使用環境を表すデータを説明変数とする回帰モデルであること
    を特徴とする請求項1に記載の保守部品寿命予測システム。
  5. 前記モデル作成シミュレータ部が前記メタパラメータを定めるために行うシミュレーションは、
    前記メタパラメータについて事前に設定された確率分布と、前記第1のデータおよび前記寿命予測モデルから得られる尤度と、を用いて、前記メタパラメータについての事後確率分布を定義し、前記定義した事後確率分布に従って、前記メタパラメータについての乱数標本系列を発生させるマルコフ連鎖モンテカルロシミュレーションであること
    を特徴とする請求項1に記載の保守部品寿命予測システム。
  6. 使用方法および使用環境によって寿命が変動する電気機械装置の保守部品の寿命を、計算機により予測する保守部品寿命予測方法であって、
    前記計算機は、
    前記保守部品の使用開始から故障するまでの経過時間または稼働時間を表す第1のデータと、その保守部品の使用方法および使用環境を表す第2のデータと、が対応付けられて構成された信頼性データが蓄積される信頼性データ記憶部を備え、
    前記保守部品の寿命を予測する寿命予測モデルに含まれるパラメータの値を前記第2のデータから予測するパラメータ予測モデルに含まれるメタパラメータの値を、前記第1のデータと、前記第2のデータと、前記メタパラメータについて事前に設定された確率分布に従う乱数と、を用いたシミュレーションによって定めるモデル作成シミュレーション処理と、
    前記モデル作成シミュレーション処理によって定められたメタパラメータの値を有するパラメータ予測モデルと寿命予測対象の保守部品についての前記第2のデータの値とから、前記寿命予測モデルに含まれるパラメータの値を定める寿命予測モデル作成処理と、
    前記寿命予測モデル作成処理によって定められたれたパラメータの値を有する寿命予測モデルに基づき、前記寿命予測対象の保守部品の予測寿命を予測する寿命予測計算処理と、
    を実行すること
    を特徴とする保守部品寿命予測方法。
  7. 前記計算機は、
    前記寿命予測計算処理で予測した前記保守部品の予測寿命に基づき、前記保守部品の交換サイクルを定め、前記定めた交換サイクルを保守作業者に通知する保守部品交換サイクル通知処理を、さらに、実行すること
    を特徴とする請求項6に記載の保守部品寿命予測方法。
  8. 前記寿命予測モデルは、形状パラメータ、尺度パラメータ、位置パラメータのうち少なくとも1つのパラメータを有するワイブルモデルであること
    を特徴とする請求項6に記載の保守部品寿命予測方法。
  9. 前記パラメータ予測モデルは、前記使用方法および使用環境を表すデータを説明変数とする回帰モデルであること
    を特徴とする請求項6に記載の保守部品寿命予測方法。
  10. 前記モデル作成シミュレータ処理において前記メタパラメータを定めるために行うシミュレーションは、
    前記メタパラメータについて事前に設定された確率分布と、前記第1のデータおよび前記寿命予測モデルから得られる尤度と、を用いて、前記メタパラメータについての事後確率分布を定義し、前記定義した事後確率分布に従って、前記メタパラメータについての乱数標本系列を発生させるマルコフ連鎖モンテカルロシミュレーションであること
    を特徴とする請求項6に記載の保守部品寿命予測方法。
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