JP5714166B1 - 褥瘡防止用具 - Google Patents

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Abstract

【課題】 下肢の自発的な運動が困難な臥床者において、肢位変化や用具の回旋によっても、用具の効果的位置が崩れずに、褥瘡を予防し、また腓骨神経麻痺の予防が可能な褥瘡防止用具を提供する。【解決手段】 使用者の膝関節以遠から足首に及ぶ下腿を内腔12に包み入れて装着する筒型クッション材10からなり、前記使用者が臥床位での装着状態で、クッション材の厚みが踵後面101と足首後面102との高低差よりも大きい踵褥瘡の防止用具である。筒型クッション材10は、下腿を前記内腔12に包み入れるために前記内腔から周面に及ぶ裂隙20と、該裂隙20の相対する裂隙面を欠損なく閉じるための開閉可能な連結帯30を有し、前記裂隙20は、該筒型クッション材10の断面に形づくられる裂隙線において、内腔断面円の裂隙開始点における接線に対して垂直でなく平行または交差方向の非垂直裂隙線53を有する。【選択図】 図4

Description

医療または介護現場での下肢の運動麻痺や骨関節疾患などで自発的な運動が困難な臥床者において、褥瘡好発部位の褥瘡を防止する褥瘡防止用具に関する。
足の後下方への突出部分である踵(かかと)や、側方への突出部分である外踝(そとくるぶし)や内踝(うちくるぶし)は褥瘡好発部位であり、医療または介護現場での下肢の運動麻痺や骨関節疾患などで自発的な運動が困難な臥床者に対する褥瘡リスクの軽減手段が求められている。また、下腿近位の外後側への突出部分である腓骨頭は、その圧迫が腓骨神経麻痺原因となりやすく、神経麻痺リスクの軽減手段が求められている。上記の褥瘡リスク、神経麻痺リスクを軽減するための具体的手段として、踵、外踝、内踝、腓骨頭をベッド面またはマット面から浮上させて除圧するためのクッション用具が検討されている。
一般的に、このようなクッションの使用は、長時間あるいは24時間以上かけて連日にわたって使用するものであるが、そうした時間での排尿便や処置介護、寝返りや***変換などでの肢位移動変化に伴って、クッションと踵、外踝、内踝、腓骨頭との位置関係がずれやすいという問題があった。そのため、足首からふくらはぎの部分への装着方法として、外挿する、巻き付ける又は挟持するなど、工夫された構成の用具が特許文献1〜13に開示されている。また、非特許文献1〜2に示されているように、寝返りや***変換によって側臥位になったときや、足から下腿にかけての回旋した肢位においては、腓骨頭圧迫による腓骨神経麻痺をおこす危険を伴うという問題も指摘されている。
特開2001−299806号公報 登録実用新案第3119999号公報 特開2000−51282号公報 特開2002−95570号公報 登録実用新案第3176428号公報 実開昭56−56322号公報 特開2011−125679号公報 公告昭61−13821号公報 特開平7−303675号公報 実用新案登録第2539149号公報 特許第4536141号公報 米国特許第4573456号明細書 米国特許第5449339号明細書
整形外科術後の局所合併症をアセスメントする(3)神経麻痺 松島元子、整形外科看護 12(4): 333-337, 2007. 下肢の感覚障害と筋力低下 正門由久,JOURNAL OF CLINICAL REHABILITATION 13(12): 1098-1105, 2004
しかしながら上記特許文献に開示された用具については、それぞれ以下のような点が問題となっていた。
特許文献1には、円筒クッションへ足先から下肢を挿入して装着させる用具が開示されており、使用者の下肢の移動、回旋によっても装具位置関係が比較的安定すると考えられるが、着用のためには足先から挿入せねばならず、その時に足趾先、爪などがクッションに引っ掛かったり、足関節屈曲拘縮患者などには着脱しにくかったりする難点があった。
特許文献2〜10には、下腿または足首を包み込むようにして、紐、帯、面ファスナーなどの連結部により筒状または輪状に装着し、踵を浮上させようとするクッション用具が開示されている。それらはいずれも容易に着用することができるが、用具が下肢に対して回旋しクッション切り込みの連結部が床面側になった場合に、下腿から足首がクッション切り込みを介して沈下して、床面からの踵浮上のためのクッションの高さが確保困難となるという難点があった。
特許文献11〜12には、下腿から足首を包み、さら足底部へも帯または保持部材を備える用具が開示されている。これらの用具は下肢に対するいくらかの回旋抑止効果はありうるが確実ではなく、また帯や保持部材による外踝、内踝や足周囲への褥瘡リスクが生じ得るという問題がある。
また、特許文献13には、下腿から足の褥瘡防止用のブーツ型クッション用具が開示されているが、下腿後方から側方と、下腿前面のクッション材は別個の部材となり、部材数が増すとともに着用に手数を要する。
したがって、本発明が解決しようとする技術的課題は、下肢の運動麻痺や骨関節疾患などで自発的な運動が困難な臥床者において、着脱時に足趾先や爪に引っ掛かったりせず、足関節拘縮状態にも着用が簡便で、***変換や寝返りによる肢位移動や回旋変化によっても下腿から足首の荷重を受け止めて長時間にわたる使用が可能で、特に用具のクッション切り込みの連結部が床面側になっても踵、外踝、内踝、腓骨頭の浮上効果を保ち、それら部位の褥瘡を予防し、また腓骨神経麻痺の予防が可能な、褥瘡防止用具を提供することである。
本発明は、上記技術的課題を解決するために、以下の構成の褥瘡防止用具を提供する。
本発明の第1態様によれば、使用者の膝関節以遠から足首に及ぶ下腿を内腔に包み入れて装着する筒型クッション材からなり、前記使用者が臥床位での装着状態で、クッション材の厚みが踵後面と足首後面との高低差よりも大きい踵褥瘡の防止用具であって、
該筒型クッション材は、下腿を前記内腔に包み入れるために筒型クッション材の全長にわたって設けられる前記内周面から外周面に及ぶ切り込みと、該切り込み隙間なく閉じるための開閉可能な連結帯を有し、
前記切り込みは、該筒型クッション材の軸に垂直な方向の断面に形づくられる切り込み線が屈曲して構成され、内腔断面円の切り込み線開始点における接線に対して平行または非垂直に交差する方向に伸びる非垂直切り込み線を有することを特徴とする褥瘡防止用具を提供する。
本発明の第2態様によれば、前記切り込み線の非垂直切り込み線は、前記非垂直切り込み線の内腔側の開始点において、前記非垂直切り込み線の外周側部分に存在する前記クッション材の肉厚が踵後面と足首後面との高低差よりも大きくなる位置に設けられていることを特徴とする、第1態様の褥瘡防止用具を提供する。
本発明の第3態様によれば、前記切り込み線の非垂直切り込み線は、内腔断面円の切り込み線開始点における接線に対して45度未満の角度に構成されていることを特徴とする、第1又は第2態様の褥瘡防止用具を提供する。
本発明の第4態様によれば、前記切り込み線の非垂直切り込み線は、前記接線方向の長さが前記使用者の足首の横幅の2分の1以上であることを特徴とする、第1から第3態様のいずれか1つの褥瘡防止用具を提供する。
本発明の第5態様によれば、前記切り込み線は、前記非垂直切り込み線の前後に設けられた、前記接線に対して略垂直な垂直切り込み線と連続して構成されることを特徴とする、第1から第4態様のいずれか1つの褥瘡防止用具を提供する。
本発明の第6態様によれば、前記切り込み線を構成する非垂直切り込み線と垂直切り込み線との連続部分、及び前記切り込み線と内周面及び外周面とのそれぞれ連続部分は、面取りされていることを特徴とする、第1から第5態様のいずれか1つの褥瘡防止用具。
本発明の第7態様によれば、前記筒型クッション材は、円筒形に構成されていることを特徴とする、第1から第6態様のいずれか1つの褥瘡防止用具を提供する。
本発明の第8態様によれば、前記筒型クッション材は、多角筒形に構成されていることを特徴とする、第1から第6態様のいずれか1つの褥瘡防止用具を提供する。
本発明の第9態様によれば、前記筒型クッション材は、近位側が腓骨頭に及ばないような長さに構成されていることを特徴とする、第1から第8態様のいずれか1つの褥瘡防止用具を提供する。
本発明の第10態様によれば、前記筒型クッション材を覆うカバーを有し、前記連結帯は、前記カバーに設けられていることを特徴とする、第1から第9態様のいずれか1つの褥瘡防止用具を提供する。
本発明の褥瘡防止用具は、下肢の運動麻痺や骨関節疾患などで自発的な運動が困難な臥床者において、筒型クッション材からなる用具の切り込みを開いて、下腿から足首を包み入れて、上面に位置した切り込みを連結帯でほぼ空隙なく閉じることによって使用者の下腿から足首に容易に装着できる。なお、例えば、筒型クッション内腔の直径は、膝関節と足関節の骨格膨隆部よりもやや小さくすることで、クッションの下腿軸方向の位置関係を安定させることができる。
褥瘡防止用具の装着状態での筒型クッション材は、その厚みが、全周において踵後面と足首後面との高低差よりも大きくなるように構成されていることにより、踵とともに、踵よりも突出がやや低い外踝、内踝、腓骨頭も床面から浮上する。この浮上効果は側臥位への***変換や、下肢内外旋によっても保たれる。同時に筒型クッション材は、下腿部の内外上下面を適度の荷重圧または着圧をもって覆うため、局所的な過度圧迫は起こり難く、膝以下の下肢荷重はふくらはぎ部分に圧分散して受け止められることとなり、褥瘡防止効果が達せられる。
ここで、筒型クッション材が軸回りに回旋して切り込みが足首の直下に位置したときは、切り込みが略垂直方向のみの場合は切り込みを通じて下肢荷重がかかることとなり、下肢を受け止められずに踵浮上が困難となりうるが、本発明の褥瘡防止用具によれば、その切り込みが略垂直方向だけではなく、非垂直切り込みが含まれるため、下肢の垂直荷重によっても切り込みは開き難く、荷重を受け止めることが可能となり、踵浮上効果を維持させることができる。
この非垂直切り込みの荷重受け止めへの効果すなわち踵浮上効果は、内腔側の非垂直切り込み開始点での外周側のクッション材の肉厚、非垂直切り込みの下降角度、非垂直切り込みの長さを調整することで、実現することができる。
具体的には、筒型クッション材における内腔側の非垂直切り込み開始点における、非垂直切り込み線の外周側部分に存在する前記クッション材の肉厚を踵後面と足首後面との高低差よりも大きく維持できる厚さとする。また、切り込み断面での非垂直切り込み線は、内腔断面円の切り込み線開始点における接線に対して45度未満の下降角度で伸びる斜線又は平行線とする。さらに非垂直切り込み線は、前記接線方向の長さが使用者の足首の横幅の2分の1以上とする。これらの3つの条件は、それぞれの効果により、切り込み構成を介してでも下肢の垂直荷重を受け止めて、容易には切り込みは開かないように有利に働く。
そして上記の3つの条件を、選択するクッション材の硬度、弾力性や、対象とする使用者の下肢重量、太さなども考慮して、できるだけ効率よく調節し決定することで、より確実に踵浮上効果を得ることが可能となる。
また、切り込みを構成する切り込み面は、クッション材の断面形状において、垂直切り込み線や他の斜線なども合わせて連続させることが好ましく、これにより相対する切り込み面を欠損なく適合連結させやすくなり、クッションの筒型形状を着脱において整えやすくすることができる。
また、切り込み線を構成する非垂直切り込み線及び垂直切り込み線との連続部分、及び前記切り込み線と内周面及び外周面とのそれぞれ連続部を、面取りすることによって、当該角部分を滑らかにして扱いが容易になる。
また、本発明の筒型クッション材は、全周で踵浮上効果を保てる以上の厚みの円筒形状または多角筒形状とすることによって、下肢の位置やクッションの回旋によっても、褥瘡防止効果が得られる。
また、筒型クッション材の近位側は、腓骨頭に及ばない長さまたは形状とすることによって、腓骨頭除圧による腓骨神経麻痺予防が可能である。
さらに、筒型クッション材を覆うカバーを設けることによって、クッション材の保護保清、皮膚装用感の向上をはかることができ、また連結帯をカバーに設けることも可能となる。
本発明の実施形態にかかる褥瘡防止用具の斜視図である。 図1の褥瘡防止用具の切り込みを開いた状態を模式的に示す図である。 図1の褥瘡防止用具の切り込みを開いて利用者の下肢に装着する状態を模式的に示す図である。 図1の褥瘡防止用具を装着した状態を模式的に示す図である。 図4の褥瘡防止用具装着状態から、種々の角度に回旋した状態を示す、足首部分での断面図である。 褥瘡防止用具が図4から180度回旋した装着状態を拡大した断面図である。 荷重によって切り込みが拡がろうとする方向と非垂直切り込み線下降角度θを示した摸式図である。 非垂直切り込み線下降角度θがθ<0とした本実施形態にかかる褥瘡防止用具の変形例を示す図である。 本発明のさらなる変形例にかかる褥瘡防止用具の構成を模式的に示す図である。 本発明のさらなる変形例にかかる褥瘡防止用具の構成を模式的に示す図である。 本発明の褥瘡防止用具の筒型クッション材にカバーを備えた実施例を模式的に示す図で、(a)は断面図、(b)は斜視図である。 本発明の褥瘡防止用具の筒型クッション材にカバーを備えた実施例を模式的に示す図である。
以下、本発明の各実施形態に係る褥瘡防止用具について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施形態にかかる褥瘡防止用具を摸式的に示した斜視図である。褥瘡防止用具1は、弾力性緩衝性の素材からなる筒型クッション材10を有している。筒型クッション材10は、使用時に利用者の下腿から足首を無理なく包囲できる程度の長さ寸法に構成されており、全長にわたって内腔12が設けられている。筒型クッション材10には、その近位側から遠位側に及び内腔12に到達する切り込み20をもって開閉可能に構成されている。
切り込み20は、面ファスナーなどの連結帯30でその対向面が接触するように空隙なく閉じた状態に固定することができ、これにより、筒型クッションが筒状に維持される。なお、連結帯30として面ファスナーを用いた場合は、筒型クッション材の外周面11に連結帯30を貼着するための貼着部材31が設けられてもよい。
また、切り込み20は、足首側から視て、内腔断面円の切り込み線開始点51での接線に対して略垂直な内腔側垂直切り込み線52と、切り込み線の内腔開始点51での接線に対して平行または非垂直に交差する非垂直切り込み線53と、非垂直切り込み線53に連続し屈曲した状態で外周面に略垂直に到達する外周側垂直切り込み線54を有する切り込み線50を有している。
なお、筒型クッション材10の内腔12の内径寸法は、膝関節と足関節の骨格膨隆部よりもやや小さくすることで、装着時のクッションの下腿軸方向での位置関係は安定するが、下肢Fの形状に沿って、近位に向かうにつれて大径に設けられていてもよく、かかる場合は、下肢近位から視たときの切り込み線50の形状が異なることとなる。この場合は、例えば、内腔側垂直切り込み線52及び外周側垂直切り込み線54を短く構成することで、内腔12の大径化に応じたクッション材の肉厚の減少分に対応することが可能である
図2は、褥瘡防止用具1の筒型クッション材10の連結帯30を開いて切り込み20を開いた状態の摸式図である。切り込み20を挟んで相対するクッション面である切り込み面40は、図1に示す内腔12から内腔側垂直切り込み線52まで連続する内腔側垂直切り込み面42と非垂直切り込み線53まで連続する非垂直切り込み面43と、非垂直切り込み面43に連続し外周面11まで到達し外周側垂直切り込み線54まで連続する外周側垂直切り込み面44を有する。
図3は、褥瘡防止用具1の筒型クッション材10を、その連結帯30を外して切り込み20を開き、利用者の下肢Fへ装着しようとする摸式図である。切り込み20を開いて筒型クッション材10の周壁から利用者の下腿から足首までを内腔12内に包み入れることにより、足趾先や爪などが引っ掛かることなく、また足関節が変形拘縮などしていても容易に装着可能である。また、相対するクッション面である切り込み面40は、図1の非垂直切り込み線53まで連続する非垂直切り込み面43を有する。
図4は、踵100の褥瘡防止用具1の筒型クッション材10を、その切り込み20を介して、下腿から足首をクッション内腔12へ包み入れるように装着し、切り込みの連結帯30を閉じて、切り込みの空隙なく装着し終えた状態の摸式図である。この状態で、筒型クッション材10の厚みTは、踵後面101と足首後面102との高低差Aよりも大きいため、踵後面101は床面から浮上して除圧され、褥瘡防止効果が得られる。また筒型クッション材10の近位端13が腓骨頭103に及ばない長さとすることで腓骨神経麻痺の予防が可能である。そして、このような下腿から足首を全周的に筒で包囲する形状であるため、臥床中に使用者がどのような姿勢を取ったとしても踵100、腓骨頭103、外踝104、内踝105などの浮上、除圧が可能となる。
一方、使用者が寝返りあるいは***変換しつつ、昼夜にわたって、長時間連続して装着すると、筒型クッション材10が下肢軸回りに不可避的に回旋移動することが考えられる。図5は、褥瘡防止用具の筒型クッション材が、下腿から足首までの軸を中心に回旋した場合の、切り込み線の位置で区別した断面摸式図である。点線は足首と踵の位置を示す。図5はそれぞれ、(a)内腔断面円の切り込み線開始点51が上方に位置する場合、(b)内腔断面円の切り込み線開始点51が下方に位置する場合、(c)外周側垂直切り込み線54が真下の場合を示している。
ここで、筒型クッション材10の回旋位置が(a)の場合は、切り込みが荷重に関係なく内腔12の内周面で下肢Fを支持することができる。また(c)の場合も、足首の荷重が直接的に切り込み20にかからず、内腔12の内周面で下肢Fを支持することができるため、切り込み20が開く形にはなり難く、荷重の受け止めは可能である。
一方、(b)の場合は、内腔断面円の切り込み線開始点51が足首の直下に位置し荷重によって切り込みが開く可能性あるため、切り込みを介してでも荷重を受け止めて踵を浮上させ、足首下降による踵の底付きを抑止する方策として、上記の切り込みの構成を採用している。以下にその構成を詳しく説明する。
図6は、図5の(b)の場合での切り込みすなわち断面の切り込み線の形状、特に荷重受け止めへの効果に影響すると考えられる非垂直切り込み線53の形状についての説明図である。なお、図中において点線は足首と踵の位置を示す。図中において、符号Hは非垂直切り込み線開始点53sでの外周側部分に存在するクッション材の肉厚、θは非垂直切り込み線の内腔断面円の切り込み線開始点51における接線に対しての下降角度、Wは非垂直切り込み線の対角幅すなわち前記接線方向の長さをそれぞれ示している。
本実施形態では、クッション切り込み線の内腔開始側は、内腔側垂直切り込み線52であり垂直な切り込みを通じて足首は下降して荷重受け止め効果は不十分となりうるため、その後の非垂直切り込み線開始点53sで出来るだけ有利に荷重受け止めることが必要になる。そのためには、非垂直切り込み線開始点53sでの外周側部分に存在するクッション材の肉厚Hが、踵後面101と足首後面102との高低差Aよりも大きいことが望まれる。そしてまた、その位置からの非垂直切り込み線53の下降角度θの条件が重要であり、以下に詳述する。
下降角度θについて、図7を用いて説明する。図7は、使用者の下肢の荷重によって切り込みが拡がろうとする場合の非垂直切り込み線開始点53sの移動方向を模式的に示す図である。すなわち切り込み20が拡がろうとする方向を、概略的にクッションの円筒外側部分Lが中心となる図中の円弧移動を示す点線円Cに沿った方向として摸式したものである。それによると非垂直切り込み線開始点53sは、円弧接線方向として45度下方外側へ移動しようとする。そこで非垂直切り込み線53の下降角度θが45度未満であれば、切り込みの内腔側クッションが外周側クッションに受け止められ、切り込みの拡がりが抑制され、荷重受け止めに有利に働くこととなる。
さらにまた、図6において、非垂直切り込み線53の対角幅Wが足首幅Bの2分の1よりも大きい場合、すなわちW>B/2であれば、足首後面の真中に内腔側垂直切り込み線52が位置しても外周側垂直切り込み線54は足首幅よりも側方に位置することになり、切り込みの内腔側クッションと外周側クッションが大きくずれることなく荷重を受け止めに有利に働く。
そして実際的な褥瘡防止用具製作においては、切り込み20の形状としての上記の3つの条件、すなわちH>A、θ<45度、W>B/2について、選択するクッション材の硬度、弾力性や、対象とする使用者の下肢重量、太さなども考慮して、できるだけ効率よくH,θ、Wの各値を調節して決めることによって、図5の(b)の状態においても荷重を受け止めて踵を浮上させ、足首下降による踵の底付きを抑止して、踵褥瘡防止が可能となる。なお、これらの3つの条件は、必ずしもすべて具備していなくても、用途やクッション材の選択に応じて各条件の安全域を調節して適宜組み合わせて採用することによって、踵浮上をより確実とすることができる。
なお、本実施形態にかかる褥瘡防止用具の変形例として、図8に示すようにθ<0とすれば切り込み上下のクッションが係合するようになり、荷重による切り込み開大抑止に対してより有利な効果を持った筒型クッション材10aから成る褥瘡防止用具1aとすることができる。
また、さらなる変形例にかかる褥瘡防止用具1bとして図9に示すように、筒型クッション材10bの切り込み20の角部分、具体的には、内腔側垂直切り込み線52と非垂直切り込み線53とが連続する頂点部分及び外周側垂直切り込み線54と非垂直切り込み線53とが連続する頂点部分を面取りし、円弧状に丸めた切り込み線50aとすることも可能である。また、切り込み線50aが内腔や外周面と接する部分も面取りすることも可能である。
また、本発明に係る褥瘡防止用具は、クッション形状として多角筒形状のものも使用することができ、例えば、図10に示すように、八角筒型クッション材10cを用いた褥瘡防止用具1cとすることも可能である。
また図11(a)断面図、(b)斜視図に示すように、本発明に係る褥瘡防止用具1dは、筒型クッション材10dの保護保清や皮膚面の吸湿性、装用性等を向上させるために、クッション材1dの表面に布や不織布などによるカバー70を備えることも可能である。この場合は、カバー70に連結帯30や貼着部材31を設けることが好ましい。
さらにまた、図12に示すように、本発明に係る褥瘡防止用具1eは、筒型クッション材10eを被うカバー70eそのものが開閉可能な連結帯30eを兼ね合わせた構成も可能である。この構成においては、筒状の伸縮性のあるカバー70eを予め使用者の下肢に挿通させておき、筒型クッション材10eの切り込み20を広げて当該カバーの両端が筒型クッション材10eから余長をもって残るように内腔12に下肢Fを挿入する。その後、切り込み20を閉じ、内腔12の外部に位置するカバー70eの両端の余長部分を折り返して筒型クッション材10eの表面を被覆するようにすることで、カバー70eの端部が切り込み20を閉じた状態に固定する連結帯30eとして機能する。
1,1a,1b,1c,1d,1e 褥瘡防止用具
10,10a,10b,10d,10e 筒型クッション材
10c 八角形状の筒型クッション材
11 外周面
12 内腔
13 近位端
20 切り込み
30,30e 連結帯
31 貼着部材
40 切り込み
42 内腔側垂直切り込み
43 非垂直切り込み
44 外周側垂直切り込み
50 切り込み
51 内腔断面円の切り込み線開始点
52 内腔側垂直切り込み
53 非垂直切り込み
53s 非垂直切り込み線開始点
54 外周側垂直切り込み
70,70e カバー
100 踵
101 踵後面
102 足首後面
103 腓骨頭
104 外踝
105 内踝
A 高低差
B 足首幅
C 円弧移動を示す点線円
F 下肢
外周側部分に存在するクッション材の肉厚
L 円筒外側部分
T 筒型クッション材の厚み
W 非垂直切り込み線の対角幅
θ 非垂直切り込み線の下降角度

Claims (10)

  1. 使用者の膝関節以遠から足首に及ぶ下腿を内腔に包み入れて装着する筒型クッション材からなり、前記使用者が臥床位での装着状態で、クッション材の厚みが踵後面と足首後面との高低差よりも大きい踵褥瘡の防止用具であって、
    該筒型クッション材は、下腿を前記内腔に包み入れるために筒型クッション材の全長にわたって設けられる前記内周面から外周面に及ぶ切り込みと、該切り込み隙間なく閉じるための開閉可能な連結帯を有し、
    前記切り込みは、該筒型クッション材の軸に垂直な方向の断面に形づくられる切り込み線が屈曲して構成され、内腔断面円の切り込み線開始点における接線に対して平行または非垂直に交差する方向に伸びる非垂直切り込み線を有することを特徴とする、褥瘡防止用具。
  2. 前記切り込み線の非垂直切り込み線は、前記非垂直切り込み線の内腔側の開始点において、前記非垂直切り込み線の外周側部分に存在する前記クッション材の肉厚(H)が踵後面と足首後面との高低差(A)よりも大きくなる位置に設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の褥瘡防止用具。
  3. 前記切り込み線の非垂直切り込み線は、内腔断面円の切り込み線開始点における接線に対して45度未満の角度に構成されていることを特徴とする、請求項1又は2に記載の褥瘡防止用具。
  4. 前記切り込み線の非垂直切り込み線は、前記接線方向の長さが前記使用者の足首の横幅の2分の1以上であることを特徴とする、請求項1ないし3に記載の褥瘡防止用具。
  5. 前記切り込み線は、前記非垂直切り込み線の前後に設けられた、前記接線に対して略垂直な垂直切り込み線と連続して構成されることを特徴とする、請求項1ないし4のいずれか1つに記載の褥瘡防止用具。
  6. 前記切り込み線を構成する非垂直切り込み線と垂直切り込み線との連続部分、及び前記切り込み線と内周面及び外周面とのそれぞれ連続部分は、面取りされていることを特徴とする、請求項1ないし5のいずれか1つに記載の褥瘡防止用具。
  7. 前記筒型クッション材は、円筒形に構成されていることを特徴とする、請求項1ないし6のいずれか1つに記載の褥瘡防止用具。
  8. 前記筒型クッション材は、多角筒形に構成されていることを特徴とする、請求項1ないし6のいずれか1つに記載の褥瘡防止用具。
  9. 前記筒型クッション材は、近位側が腓骨頭に及ばないような長さに構成されていることを特徴とする、請求項1から8のいずれか1つに記載の褥瘡防止用具。
  10. 前記筒型クッション材を覆うカバーを有し、前記連結帯は、前記カバーに設けられていることを特徴とする、請求項1ないし9のいずれか1つに記載の褥瘡防止用具。
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