JP5713191B2 - 非水電解液二次電池とその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、非水電解液を備えた二次電池(非水電解液二次電池)に関する。
リチウムイオン二次電池その他の非水電解液二次電池は、車両搭載用電源あるいはパソコンや携帯端末等の電源として重要性が高まっている。特に、軽量で高エネルギー密度が得られるリチウムイオン二次電池は、車両搭載用高出力電源として好ましく用いられるものとして期待されている。非水電解液二次電池の性能をさらに向上させるために、非水電解液に各種の添加剤を含有させることが提案されている。例えば特許文献1〜3には、オキサラトボレート型の化合物(例えば、リチウムビス(オキサラト)ボレート)を含むリチウムイオン二次電池用電解液が記載されている。
特許第3730856号公報 特開2010−192430号公報 特開2010−034050号公報
しかし、本発明者の検討によれば、非水電解液二次電池におけるオキサラトボレート型化合物の使用は、電池の耐久性(保存や充放電の繰り返しに伴う抵抗上昇の抑制等)に役立ち得る反面、他の電池性能を低下させる場合があった。本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであって、電解液添加剤の効果がより適切に発揮され得る非水電解液二次電池の提供を目的とする。関連する他の目的は、かかる非水電解液二次電池の製造方法を提供することである。
本発明者は、非水電解液中に含まれる添加剤が、電池性能にとって有利な効果を発揮し得る場所により多く配分(配置)されれば、上記有利な効果が発揮され難い場所あるいは不利な効果を生じ得る場所への配分量が相対的に減ることとなり、上記の課題が解決され得ると考えた。そこで本発明者は、非水電解液中の添加剤の正極および負極への配分比を把握するための指標として、正極活物質および負極活物質のDBP(ジブチルフタレート)吸収量に着目した。そして、正極の有する全正極活物質のDBP吸収量と負極の有する全負極活物質のDBP吸収量との比を調節することにより、電解液添加剤の機能をより適切に発揮させて高性能の非水電解液二次電池が得られることを見出して、本発明を完成した。
ここに開示される非水電解液二次電池は、正極活物質を有する正極と、負極活物質を有する負極と、前記正極活物質および前記負極活物質の双方に接して配置された非水電解液とを備える。前記非水電解液としては、非水溶媒と、B元素(ホウ素)およびP元素(リン)の少なくとも一方を含有するオキサラト錯体化合物(以下「BP−オキサラト化合物」ともいう。)と、を含む非水電解液が用いられる。前記電池に含まれる前記正極活物質の全量についてのDBP吸収量(以下、「全正極活物質DBP吸収量」ともいう。)X(mL)と、該電池に含まれる前記負極活物質の全量についてのDBP吸収量(以下、「全負極活物質DBP吸収量」ともいう。)Y(mL)との関係は、次式:0.60≦X/Y≦1.25;を満たす。
本発明者の知見によれば、電解液に添加されたBP−オキサラト化合物は、正極に吸着する(例えば、正極表面で酸化分解して膜を形成する)ことにより、正極活物質を電解液から保護するとともに、電池の耐久性を向上させる効果(例えば、保存や充放電の繰り返しによる抵抗上昇を抑制する等)を発揮し得る。一方、負極に吸着したBP−オキサラト化合物は、電池の初期特性(例えば、初期効率、初期抵抗等)を低下させる要因となり得る。また、従来の一般的な構成の非水電解液二次電池では、電解液に添加された添加剤は、正極側に比べて負極側に3倍以上多く配分される(換言すれば、正極側には負極側の凡そ0.33倍以下しか配分されない)傾向にあり、典型的には、正極側に比べて負極側に10倍以上多く配分されると言われている。
本発明に係る非水電解液二次電池では、電解液に添加されたBP−オキサラト化合物が、従来の一般的な電池よりも多く正極側に配分されるように、正極および負極の特性が調整されている。具体的には、全正極活物質DBP吸収量Xが、全負極活物質DBP吸収量Yの少なくとも0.60倍以上である。これにより、電解液に添加されたBP−オキサラト化合物をより有効に利用するとともに、該化合物による弊害を抑制することができる。その結果、より高性能な非水電解液二次電池が実現され得る。
なお、本明細書において「二次電池」とは、繰り返し充放電可能な蓄電デバイス一般をいい、リチウム二次電池等のいわゆる蓄電池を包含する用語である。また、「非水電解液二次電池」とは、非水電解液(典型的には、非水溶媒中に支持塩(支持電解質)を含む電解液)を備えた電池をいう。また、「リチウム二次電池」とは、電解質イオンとしてリチウムイオンを利用し、正負極間のリチウムイオンの移動により充放電する二次電池をいう。一般にリチウムイオン電池と称される二次電池は、本明細書におけるリチウム二次電池に包含される典型例である。また、電極活物質とは、電荷担体となる化学種(リチウム二次電池ではリチウムイオン)を可逆的に吸蔵および放出し得る材料をいう。
ここに開示される技術におけるBP−オキサラト化合物の一好適例として、下記式(I)で表されるリチウムビス(オキサラト)ボレートが挙げられる。
前記電池に含まれるBP−オキサラト化合物の全モル数A(mmol)と、前記全正極活物質DBP吸収量X(mL)との関係は、次式:0.02≦A/X(mmol/mL)≦0.30;を満たすことが好ましい。かかる態様の電池によると、上記オキサラト化合物の機能がより適切に発揮され、より高い性能が実現され得る。A/Xが小さすぎると、正極活物質の実反応面積当たりに供給されるオキサラト化合物の量が少なくなりすぎて、該オキサラト化合物の添加効果(例えば、保存や充放電の繰り返しに伴う抵抗上昇を抑制する効果)が小さくなる傾向にある。A/Xが大きすぎると、負極に配分されるオキサラト化合物の量が多くなりすぎ、この負極に配分されたオキサラト化合物の影響によって電池の初期特性が低下しがちとなることがあり得る。
前記正極活物質の100g当たりのDBP吸収量x(mL/100g)は、25mL/100g以上(典型的には25〜75mL/100g)であることが好ましい。DBP吸収量xが小さすぎると、負極活物質の質量に対する正極活物質の質量が多くなりすぎて、電池のエネルギー密度が低下しやすくなることがあり得る。また、上記X/Yを満たすために、100g当たりのDBP吸収量y(mL/100g)が小さすぎる負極活物質を使用することとなって、負極の反応抵抗が上昇しやすくなることがあり得る。
前記負極活物質の100g当たりのDBP吸収量y(mL/100g)は、35〜75mL/100gであることが好ましい。DBP吸収量yが小さすぎると、負極の実反応面積が小さくなって、電池の出力抵抗が上昇しやすくなる場合がある。yが大きすぎると、上記X/Yを満たすために使用可能な負極活物質の量が正極活物質に対して少なくなりすぎて、電池の使用条件によっては金属リチウムが析出しやすくなる等の不都合が生じ得る。
好ましい一態様では、前記正極活物質の100g当たりのDBP吸収量x(mL)と、前記負極活物質の100g当たりのDBP吸収量y(mL)との関係が、次式:0.55≦x/y≦1.15;を満たす。x/yが大きすぎると、上記X/Yを満たすために必要な正極活物質の量が多くなりすぎて、電池のエネルギー密度が低下する傾向にある。x/yが小さすぎると、上記X/Yを満たすために使用可能な負極活物質の量が正極活物質に対して少なくなりすぎて、電池の使用条件によっては金属リチウムが析出しやすくなる等の不都合が生じ得る。
前記正極活物質の好適例としては、リチウム遷移金属酸化物が挙げられる。ここに開示される技術は、例えば、正極活物質として層状構造を有するリチウム遷移金属酸化物(例えば、構成金属元素として少なくともニッケルを含むリチウム遷移金属酸化物)を用いた電池に好ましく適用され得る。前記負極活物質の好適例としては、少なくとも一部にグラファイト構造を有する炭素材料が挙げられる。
この明細書によると、また、非水電解液二次電池を製造する方法が提供される。その方法は、正極活物質を有する正極と、負極活物質を有する負極とを用意することを含む。ここで用意される前記正極および前記負極は、前記正極の有する前記正極活物質の全量についてのDBP吸収量X(mL)(典型的には、全正極活物質DBP吸収量と一致する。)と、前記負極の有する前記負極活物質の全量についてのDBP吸収量Y(mL)(典型的には、全負極活物質DBP吸収量と一致する。)との関係が、次式:0.60≦X/Y≦1.25;を満たす。上記方法は、また、非水溶媒とBP−オキサラト化合物とを含む非水電解液(典型的には、さらに支持電解質を含む非水電解液)を用意することを含む。また、前記正極、前記負極および前記非水電解液を容器に収容して電池を構築することを含む。
かかる方法により製造される電池は、正極および負極の特性が上記X/Yを満たす(すなわち、電解液に添加されたBP−オキサラト化合物が従来の一般的な電池よりも多く正極側に配分されるように、正極および負極の特性が調整されている。)。したがって、電解液に添加されたオキサラト化合物をより有効に利用するとともに、該オキサラト化合物による弊害が抑制された、より高性能な非水電解液電池となり得る。
ここに開示される非水電解液二次電池製造方法の好ましい一態様では、前記容器に収容する前記非水電解液に含まれるBP−オキサラト化合物の全モル数A(mmol)と、全正極活物質DBP吸収量X(mL)との関係が、次式:0.02≦A/X(mmol/mL)≦0.30;を満たす。かかる態様の電池によると、オキサラト化合物の機能がより適切に発揮され、より高い性能が実現され得る。上記A/Xの値は、例えば、全正極活物質DBP吸収量Xに応じて、各電池の構築に使用する電解液中のオキサラト化合物濃度および該電解液の使用量(容器への収容量)の一方または両方を調節することにより、上記式を満たすように設定することができる。
ここに開示されるいずれかの非水電解液二次電池(ここに開示されるいずれかの方法により製造された電池であり得る。)は、耐久性が高く(例えば、保存中の抵抗上昇が少なく)、かつ初期特性に優れたものとなり得ることから、例えば、車両に搭載される電源として好適である。したがって、ここに開示される電池(典型的にはリチウムイオン二次電池)は、ハイブリッド自動車、電気自動車のような電動機を備える自動車等の車両に搭載されるモータ用の電源(典型的には駆動電源)として好適に使用され得る。
一実施形態に係る非水電解液二次電池の外形を示す斜視図である。 図1のII−II線断面図である。 一実施形態に係る孔空き中空活物質粒子の断面SEM画像である。 一実施形態に係る非水電解液二次電池を備えた車両(自動車)を模式的に示す側面図である。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって本発明の実施に必要な事柄は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
ここに開示される技術は、少なくとも電池の構築時においてBP−オキサラト化合物を含む非水電解液を用いてなる各種の非水電解液二次電池(以下、「非水二次電池」と表記することもある。)に広く適用され得る。以下、主として上記非水二次電池がリチウムイオン二次電池である場合を例として本発明をより詳しく説明するが、本発明の適用対象をかかる電池に限定する意図ではない。
≪リチウムイオン二次電池の構造例≫
ここに開示される技術の一実施形態に係るリチウムイオン二次電池は、例えば図1および図2に示されるように、捲回電極体20が、非水電解液90とともに、該電極体20の形状に対応した扁平な箱状の電池ケース10に収容された構成を有する。ケース10の開口部12は蓋体14により塞がれている。蓋体14には、外部接続用の正極端子38および負極端子48が、それら端子の一部が蓋体14から電池の外方に突出するように設けられている。かかる構成のリチウムイオン二次電池100は、例えば、ケース10の開口部12から電極体20を内部に収容し、該ケース10の開口部12に蓋体14を取り付けた後、蓋体14に設けられた電解液注入孔(図示せず)から電解液90を注入し、次いで上記注入孔を塞ぐことによって構築することができる。
電極体20は、正極活物質を含む正極合剤層34が長尺シート状の正極集電体32に保持された正極シート30と、負極活物質を含む負極合剤層44が長尺シート状の負極集電体42に保持された負極シート40とを重ね合わせて捲回し、得られた捲回体を側面方向から押圧して拉げさせることによって扁平形状に成形されている。典型的には、正極合剤層34と負極合剤層44との間には、両者の直接接触を防ぐ絶縁層が配置されている。好ましい一態様では、上記絶縁層として2枚の長尺シート状のセパレータ50を使用する。例えば、これらのセパレータ50を正極シート30および負極シート40とともに捲回して電極体20が構成される。上記絶縁層は、また、正極合剤層34および負極合剤層44の一方または両方の表面にコートされていてもよい。
正極シート30は、その長手方向に沿う一方の端部において、正極合剤層34が設けられておらず(あるいは除去されて)、正極集電体32が露出するように形成されている。同様に、負極シート40は、その長手方向に沿う一方の端部において、負極合剤層44が設けられておらず(あるいは除去されて)、負極集電体42が露出するように形成されている。そして、正極集電体32の上記露出端部に正極端子38が、負極集電体42の上記露出端部には負極端子48がそれぞれ接合されている。正負極端子38,48と正負極集電体32,42との接合は、例えば、超音波溶接、抵抗溶接等により行うことができる。
≪正極合剤層≫
好ましい一態様において、正極合剤層34は、正極活物質を主成分とする層である。この正極合剤層34は、正極活物質の他に、導電材、結着剤(バインダ)等の任意成分を必要に応じて含有し得る。
正極活物質としては、リチウムを可逆的に吸蔵および放出可能な材料が用いられ、リチウムイオン二次電池の正極活物質として使用し得ることが知られている各種の材料(例えば、層状構造の酸化物やスピネル構造の酸化物)の一種または二種以上を、特に限定なく使用することができる。好適例として、リチウムニッケル酸化物、リチウムコバルト酸化物、リチウムマンガン酸化物等の、リチウムと少なくとも一種の遷移金属元素とを構成金属元素として含む酸化物(リチウム遷移金属酸化物)が挙げられる。例えば、層状構造のリチウム遷移金属酸化物を好ましく採用し得る。
ここで、リチウムニッケル酸化物とは、リチウム(Li)およびニッケル(Ni)のみを構成金属元素とする酸化物(例えば、LiNiOで表されるニッケル酸リチウム)のほか、LiおよびNiの他に少なくとも一種の金属元素(すなわち、LiとNi以外の遷移金属元素および/または典型金属元素)を、原子数換算でNiと同程度またはNiよりも少ない割合で構成金属元素として含む酸化物をも包含する意味である。上記LiおよびNi以外の金属元素は、例えば、Co,Al,Mn,Cr,Fe,V,Mg,Ti,Zr,Nb,Mo,W,Cu,Zn,Ga,In,Sn,LaおよびCeからなる群から選択される一種または二種以上の金属元素であり得る。リチウムコバルト酸化物およびリチウムマンガン酸化物についても同様の意味である。ここに開示される技術における好ましい正極活物質として、少なくともNiを構成金属元素として含むリチウム遷移金属酸化物(典型的には、層状構造のリチウムニッケル酸化物)が例示される。例えば、少なくともNi,CoおよびMnを構成金属元素として含む(例えば、Ni,CoおよびMnの三元素を原子数換算で概ね同量づつ含む)リチウム遷移金属酸化物を好ましく使用し得る。以下、Ni,CoおよびMnを構成金属元素として含むリチウム遷移金属酸化物を「LiNiCoMn酸化物」と表記することがある。
正極活物質として使用し得る材料の他の好適例として、オリビン型リン酸リチウムその他のポリアニオン系材料が挙げられる。上記オリビン酸リチウムは、例えば、一般式LiMPO(MはCo、Ni、Mn、Feのうちの少なくとも一種以上の元素)で表記されるオリビン型リン酸リチウム(LiFePO、LiMnPO等)であり得る。
上記導電材の例としては、カーボン粉末やカーボンファイバー等のカーボン材料、ニッケル粉末等の導電性金属粉末が挙げられる。カーボン粉末としては、種々のカーボンブラック(例えば、アセチレンブラック、ファーネスブラック、ケッチェンブラック)、グラファイト粉末、等を用いることができる。なかでも好ましいカーボン粉末としてアセチレンブラック(AB)が挙げられる。このような導電材は、一種を単独で、または二種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
上記バインダの例としては、カルボキシメチルセルロース(CMC;典型的にはナトリウム塩が用いられる。)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等が挙げられる。このようなバインダは、一種を単独で、または二種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
正極合剤層全体に占める正極活物質の割合は、凡そ50質量%以上(典型的には50〜95質量%)とすることが適当であり、通常は凡そ70〜95質量%であることが好ましい。導電剤を使用する場合、正極合剤層全体に占める導電材の割合は、例えば凡そ2〜20質量%とすることができ、通常は凡そ2〜15質量%とすることが好ましい。バインダを使用する場合には、正極合剤層全体に占めるバインダの割合を例えば凡そ1〜10質量%とすることができ、通常は凡そ2〜5質量%とすることが適当である。
正極集電体32としては、導電性の良好な金属からなる導電性部材が好ましく用いられる。例えば、アルミニウムまたはアルミニウムを主成分とする合金を用いることができる。正極集電体32の形状は、リチウムイオン二次電池の形状等に応じて異なり得るため、特に制限はなく、棒状、板状、シート状、箔状、メッシュ状等の種々の形態であり得る。本実施形態のように捲回電極体20を備えるリチウムイオン二次電池100では、シート状のアルミニウム製の正極集電体32が好ましく使用され得る。かかる実施形態では、例えば、厚みが10μm〜30μm程度のアルミニウムシート(アルミニウム箔)を、正極集電体32として好ましく使用し得る。
かかる構成の正極シート30は、正極活物質(典型的には粒子状)および必要に応じて用いられる任意成分が適当な溶媒(例えば、水、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)等)に分散したペーストまたはスラリー状の組成物(正極合剤層形成用の組成物)を正極集電体32に付与し、該組成物を乾燥させることによって好ましく作製することができる。この乾燥は、必要に応じて加熱下で行うことができる。乾燥後、必要に応じて全体をプレスしてもよい。正極集電体32の単位面積当たりに設けられる正極合剤層34の質量(正極集電体32の両面に正極合剤層34を有する構成では両面の合計質量)は、例えば8〜30mg/cm程度とすることが適当である。正極合剤層34の密度は、例えば1.9〜2.9g/cm程度とすることができる。特に、車両搭載用電源として用いられるリチウムイオン二次電池では、上記正極合剤層質量(mg/cm)および正極合剤層密度(g/cm)の少なくとも一方(好ましくは両方)を満たすことが好ましい。
≪負極合剤層≫
好ましい一態様において、負極合剤層44は、負極活物質を主成分とする層である。この負極合剤層44は、負極活物質の他に、結着剤等の任意成分を必要に応じて含有し得る。
負極活物質としては、従来からリチウムイオン二次電池に用いられる材料の一種または二種以上を特に限定なく使用することができる。好適な負極活物質として炭素材料が挙げられる。少なくとも一部にグラファイト構造(層状構造)を有する粒子状の炭素材料(カーボン粒子)が好ましい。いわゆる黒鉛質のもの(グラファイト)、難黒鉛化炭素質のもの(ハードカーボン)、易黒鉛化炭素質のもの(ソフトカーボン)、これらを組み合わせた構造を有するもののいずれの炭素材料も好適に使用され得る。なかでも特に、天然黒鉛等のグラファイト粒子を好ましく使用することができる。グラファイトの表面に非晶質(アモルファス)カーボンが付与されたカーボン粒子等であってもよい。負極合剤層全体に占める負極活物質の割合は特に限定されないが、通常は凡そ50質量%以上とすることが適当であり、好ましくは凡そ90〜99質量%(例えば凡そ95〜99質量%)である。
バインダとしては、上述した正極と同様のものを、単独で、または二種以上を組み合わせて用いることができる。バインダの添加量は、負極活物質の種類や量に応じて適宜選択すればよく、例えば、負極合剤層全体の1〜5質量%程度とすることができる。
負極集電体42としては、導電性の良好な金属からなる導電性部材が好ましく用いられる。例えば、銅または銅を主成分とする合金を用いることができる。また、負極集電体42の形状は、正極集電体32と同様に、種々の形態であり得る。本実施形態のように、捲回電極体20を備えるリチウムイオン二次電池100では、シート状の銅製の負極集電体42が好ましく使用され得る。かかる実施形態では、例えば、厚みが5μm〜30μm程度の銅製シート(銅箔)を、負極集電体42として好ましく使用し得る。
負極合剤層44は、例えば、負極活物質(典型的には粒子状)が適当な溶媒(例えば、水、NMP等)に分散したペーストまたはスラリー状の組成物(負極合剤層形成用の組成物)を負極集電体42に付与し、該組成物を乾燥させることによって好ましく作製することができる。この乾燥は、必要に応じて加熱下で行うことができる。乾燥後、必要に応じて全体をプレスしてもよい。負極集電体42の単位面積当たりに設けられる負極合剤層44の質量(両面の合計質量)は、例えば6〜30mg/cm程度とすることが適当である。負極合剤層44の密度は、例えば0.9〜1.5g/cm程度とすることができる。特に、車両搭載用電源として用いられるリチウムイオン二次電池では、上記負極合剤層質量(mg/cm)および負極合剤層密度(g/cm)の少なくとも一方(好ましくは両方)を満たすことが好ましい。
正極シート30と負極シート40との間に介在されるセパレータ50としては、当該分野において一般的なセパレータと同様のものを特に限定なく用いることができる。例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル、セルロース、ポリアミド等の樹脂からなる多孔質シート、不織布等を用いることができる。好適例として、一種または二種以上のポリオレフィン樹脂を主体に構成された単層または多層構造の多孔性シート(微多孔質樹脂シート)が挙げられる。例えば、PEシート、PPシート、PE層の両側にPP層が積層された三層構造(PP/PE/PP構造)のシート等を好適に使用し得る。セパレータの厚みは、例えば、凡そ10μm〜40μmの範囲内で設定することが好ましい。
≪非水電解液≫
非水電解液90としては、少なくとも非水溶媒とBP−オキサラト化合物とを含むものが用いられる。典型的には、非水溶媒およびBP−オキサラト化合物に加えて、該非水溶媒に溶解してリチウムイオンを供給し得るリチウム化合物(支持電解質)をさらに含む非水電解液が用いられる。
非水溶媒としては、従来の一般的なリチウムイオン二次電池用電解液と同様のものを用いることができる。かかる非水電解液は、典型的には、非水溶媒と、該溶媒に溶解してリチウムイオンを供給し得るリチウム化合物(支持電解質)とを含む。上記非水溶媒としては、カーボネート類、エステル類、エーテル類、ニトリル類、スルホン類、ラクトン類等の非プロトン性溶媒を用いることができる。例えば、エチレンカーボネート(EC)、プロピレンカーボネート(PC)、ジエチルカーボネート(DEC)、ジメチルカーボネート(DMC)、エチルメチルカーボネート(EMC)、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、ジオキサン、1,3−ジオキソラン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、アセトニトリル、プロピオニトリル、ニトロメタン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、γ−ブチロラクトン等の、一般にリチウムイオン二次電池用の電解液に使用し得るものとして知られている非水溶媒から選択される一種または二種以上を用いることができる。
ここに開示される技術における電解液用非水溶媒の好適例として、カーボネート類を主体とする非水溶媒が挙げられる。かかる組成の非水電解液を備える非水二次電池では、ここに開示される技術の適用意義が特に大きい。例えば、非水溶媒として一種または二種以上のカーボネート類を含み、それらカーボネート類の合計体積が非水溶媒全体の体積の60体積%以上(より好ましくは75体積%以上、さらに好ましくは90体積%以上であり、実質的に100体積%であってもよい。)を占める非水電解液を好ましく採用し得る。
≪BP−オキサラト化合物≫
ここに開示される技術におけるBP−オキサラト化合物の典型例は、少なくとも一つのシュウ酸イオン(C 2−)がホウ素(B)またはリン(P)に配位した構造部分を有するオキサラト錯体である。好ましいBP−オキサラト化合物として、下記式(II)または(III)で表されるB元素含有オキサレート塩が例示される。
ここで、式(II)中のRおよびRは、それぞれ独立して、ハロゲン原子(例えば、F,Cl,Br。好ましくはF)および炭素原子数1〜10(好ましくは1〜3)のパーフルオロアルキル基から選択される。式(I)、(II)中のAは、無機カチオンおよび有機カチオンのいずれでもよい。無機カチオンの具体例としては、Li,Na,K等のアルカリ金属のカチオン;Li,Na,K等のアルカリ金属のカチオン;Be,Mg,Ca等のアルカリ土類金属のカチオン;その他、Ag,Zn,Cu,Co,Fe,Ni,Mn,Ti,Pb,Cr,V,Ru,Y、ランタノイド、アクチノイド等の金属のカチオン;プロトン;等が挙げられる。有機カチオンの具体例としては、テトラブチルアンモニウムイオン、テトラエチルアンモニウムイオン、テトラメチルアンモニウムイオン等のテトラアルキルアンモニウイオン;トリエチルメチルアンモニウムイオン、トリエチルアンモニウムイオン等のトリアルキルアンモニウムイオン;その他、ピリジニウムイオン、イミダゾリウムイオン、テトラエチルホスホニウムイオン、テトラメチルホスホニウムイオン、テトラフェニルホスホニウムイオン、トリフェニルスルホニウムイオン、トリエチルスルホニウムイオン;等が挙げられる。好ましいカチオンの例として、Liイオン、テトラアルキルアンモニウムイオンおよびプロトンが挙げられる。
好ましいBP−オキサラト化合物の他の例として、下記式(IV)または(V)で表されるP元素含有オキサレート塩が挙げられる。
なお、上記式(IV)、(V)では、カチオンがLiイオンである例を示しているが、式(II)、(III)におけるAと同様に、他のカチオンであってもよい。また、上記式(IV)、(V)におけるFは、式(II)におけるR,Rと同様、それぞれ独立に、Fおよび他のハロゲン原子(例えば、F,Cl,Br。好ましくはF)および炭素原子数1〜10(好ましくは1〜3)のパーフルオロアルキル基から選択され得る。
このようなBP−オキサラト化合物は、公知の方法により作成することができ、あるいは市販品の購入等により入手することができる。通常は、BP−オキサラト化合物として、上記式(III)で表されるB元素含有オキサレート塩を好ましく用いることができる。なかでも好ましいオキサラト化合物として、式(I)で表されるリチウムビス(オキサラト)ボレート(以下「LiBOB」と表記することもある。)が挙げられる。
ここに開示される電池の構築に用いられる非水電解液において、BP−オキサラト化合物の濃度は、電池の通常の使用温度域(例えば、−30℃〜60℃)において該化合物が安定して溶解し得る濃度であればよく、特に限定されない。通常は、ここに開示される好ましいA/Xを満たすオキサラト化合物濃度とすることが適当である。上記A/Xを好ましい値に調節しやすいことや、電解液の調製容易性等の観点から、通常は、オキサラト化合物濃度が凡そ0.005mol/L〜0.20mol/L程度(例えば、0.01mol/L〜0.10mol/L程度)である非水電解液を好ましく使用することができる。
≪支持電解質≫
上記支持電解質としては、リチウムイオン二次電池の支持電解質として機能し得ることが知られている各種の材料を適宜採用することができる。例えば、LiPF,LiBF,LiN(SOCF,LiN(SO,LiCFSO,LiCSO,LiC(SOCF,LiClO等の、リチウムイオン二次電池の支持電解質として機能し得ることが知られている各種のリチウム塩(BP−オキサラト化合物に属するリチウム塩を除く。)から選択される一種または二種以上を用いることができる。なかでもLiPFを好ましく使用し得る。
支持電解質(支持塩)の濃度は特に制限されず、例えば従来のリチウムイオン二次電池と同程度とすることができる。通常は、支持電解質を凡そ0.1mol/L〜5mol/L(例えば凡そ0.8mol/L〜1.5mol/L)程度の濃度で含有する非水電解液を好ましく使用することができる。
ここに開示される技術における非水電解液は、本発明の効果を大きく損なわない限度で、上述したBP−オキサラト化合物、支持電解質および非水溶媒以外の成分を含有することができる。かかる任意成分の一例として、ジフルオロリン酸、モノフルオロリン酸塩等の添加剤(典型的にはリチウム塩)が挙げられる。あるいは、BP−オキサラト化合物、支持電解質および非水溶媒以外の成分を実質的に含有しない非水電解液であってもよい。
ここに開示される技術は、全正極活物質DBP吸収量X(mL)と全負極活物質DBP吸収量Y(mL)との比X/Yが、従来の一般的な非水二次電池よりも大きく設定されていることによって特徴づけられる。
≪全活物質DBP吸収量≫
ここで、全正極活物質DBP吸収量X(mL)は、該正極活物質の100g当たりのDBP吸収量x(mL/100g)と、当該電池の有する正極活物質の質量m(g)とから、次式:X(mL)=(x×m)/100;により算出することができる。同様に、全負極活物質DBP吸収量Y(mL)は、該負極活物質の100g当たりのDBP吸収量y(mL/100g)と、当該電池の有する負極活物質の質量m(g)とから、次式:Y(mL)=(y×m)/100;により算出することができる。
≪単位質量当たりのDBP吸収量≫
正極活物質および負極活物質の100g当たりのDBP吸収量x,yは、JIS K6217−4「ゴム用カーボンブラック‐基本特性‐第4部:DBP吸収量の求め方」に準拠して求める。ここでは、試薬液体としてDBP(ジブチルフタレート)を用い、検査対象粉末(正極活物質、負極活物質の各粉末)を定速度ビュレットで滴定し、粘度特性の変化をトルク検出器によって測定する。そして、発生した最大トルクの70%のトルクに対応する、検査対象粉末の単位質量(ここでは100g)当たりの試薬液体の添加量を、DBP吸収量(mL/100g)とする。DBP吸収量の測定器としては、例えば、株式会社あさひ総研の吸収量測定装置、型式「S410」を使用するとよい。
≪全活物質DBP吸収量比X/Y≫
ここに開示される技術の典型的な態様では、全正極活物質DBP吸収量Xと全負極活物質DBP吸収量Yとが、0.60≦X/Yを満たす関係にある。かかる構成によると、X/Yが0.60よりも小さすぎる電池に比べて、電解液に添加されたBP−オキサラト化合物を、該化合物が電池にとって好ましい効果(例えば、抵抗上昇を抑制する効果)を発揮し得る正極側により多く配分する一方、かかる好ましい効果に寄与しない(あるいは、電池にとって不利な効果を発現し得る)負極側への配分量を減らすことができる。したがって、電解液に添加されたBP−オキサラト化合物をより有効に利用する(有効に利用されるオキサラト化合物の割合を多くする)とともに、該化合物による弊害を抑制することができる。その結果、BP−オキサラト化合物の利用に係る背反(trade−off)が解消または軽減されて、より高性能な非水電解液電池が実現され得る。X/Yが0.65以上(例えば0.70以上)であってもよい。また、正極活物質および/または負極活物質の入手容易性、正極および/または負極の製造容易性、電池性能の安定性、正極と負極との容量比(初期容量比)等の観点から、通常は、X/Yを1.25以下(例えば1.2以下であり、1.0未満であってもよい。)とすることが適当である。
上記X/Yの値を大きくする手法としては、(1).Xを大きくする方法、および(2).Yを小さくする方法、が考えられる。ここで、電池の有する負極活物質の質量mを少なくすればYは小さくなるが、mが小さすぎると正極容量と負極容量とのバランスが崩れ、電池の使用条件(充電条件等)によっては金属リチウムが析出しやすくなる等の不都合が生じ得る。また、負極活物質の実反応面積(Liの吸蔵・放出に有効に利用し得る面積)が小さくなって、電池の性能(出力性能、急速充電性能など)が低下傾向となる場合がある。電池の有する正極活物質の質量mを多くすればXは大きくなるが、mを多くしすぎると、mが小さすぎる場合と同様に正負極の容量バランスが崩れやすくなる。また、正極活物質の体積が増すため、電池のエネルギー密度が低下傾向となる。したがって、単位質量当たりのDBP吸収量がここに開示される好ましい範囲にある材料(正極活物質および負極活物質の一方または両方)を用いて上記X/Yを実現することが好ましい。
特に限定するものではないが、ここに開示される非水二次電池において、正極の初期容量(C)に対する負極の初期容量(C)の比(C/C)は、通常、例えば1.0〜2.0とすることが適当であり、1.2〜1.9とすることが好ましい。C/Cが小さすぎると、電池の使用条件によっては(例えば、急速充電時等に)、金属リチウムが析出しやすくなる等の不都合が生じ得る。C/Cが大きすぎると、電池のエネルギー密度が低下しやすくなることがある。
なお、正極の初期容量(C)は、例えば以下の方法により測定することができる。すなわち、正極集電体上に正極合剤層を有する正極シートを所定のサイズに打ち抜いたものを測定電極とし、対極に金属リチウム電極を用いて測定用セル(半電池)を構築する。その測定用セルについて、上記測定電極の電位が4.2V(金属リチウム基準。以下、金属リチウム基準の電圧を「V(対Li/Li)」と表す。)になるまで正極活物質からリチウムイオンを脱離させ、次いで該正極活物質にリチウムイオンを挿入(典型的には、上記測定電極の電位が3.0V(対Li/Li)になるまでリチウムイオンを挿入)する初回の充放電サイクルを行うことにより、正極シートの単位面積当たりの初期容量[mAh/cm]が求められる。これに、上記非水二次電池に具備される正極シートの正極合剤層形成面積[cm]を乗ずることにより、正極の初期容量(C)が算出される。また、負極の初期容量(C)は、初回の充放電サイクルにおいて測定電極の電位が0.02Vになるまで負極活物質にリチウムイオンを挿入し、次いで該リチウムイオンを放出(典型的には、上記測定電極の電位が1.5V(対Li/Li)になるまでリチウムイオンを放出)させる点を除いては、正極の初期容量(C)と同様にして算出することができる。このようにして把握されるCおよびCから、正極と負極との初期容量比(C/C)を求めることができる。
≪全BP−オキサラト化合物モル数Aと全正極活物質DBP吸収量Xとの関係≫
前記電池に含まれるBP−オキサラト化合物の全モル数A(mmol)と、前記全正極活物質DBP吸収量X(mL)との関係は、次式:0.02≦A/X(mmol/mL)≦0.30(より好ましくは0.04≦A/X(mmol/mL)≦0.25、例えば0.05≦A/X(mmol/mL)≦0.20);を満たすことが好ましい。かかる態様の電池によると、BP−オキサラト化合物の機能がより適切に発揮され、より高い性能が実現され得る。A/Xが小さすぎると、正極活物質の実反応面積当たりに供給されるオキサラト化合物の量が少なすぎて、該化合物の添加効果(例えば、抵抗上昇を抑制する効果)が小さくなる傾向にある。A/Xが大きすぎると、ここに開示される好ましいX/Yを満たす構成によってもなお負極に配分されるオキサラト化合物の量(絶対量)が多くなりすぎて、この負極に配分されたオキサラト化合物の影響によって電池の初期特性が低下しがちとなることがあり得る。
なお、負極に配分されたBP−オキサラト化合物の絶対量が多くなると電池の初期効率が低下傾向となる理由としては、例えば、該化合物が負極側において還元分解される(すなわち、その還元分解に費やされた電気量が不可逆容量となって効率を低下させる)ことが考えられる。また、負極に配分されたBP−オキサラト化合物の絶対量が多くなると電池の初期抵抗が上昇傾向となる理由としては、上記還元分解により生じた分解物等が、負極側において抵抗成分となる(例えば、負極活物質層の表面に形成された皮膜の抵抗を上昇させる)ことが考えられる。
≪正極活物質のDBP吸収量x≫
正極活物質の100g当たりのDBP吸収量x(mL/100g)は、20mL/100g以上(例えば25mL/100g以上)であることが好ましい。xが小さすぎると、負極活物質の質量mに対する正極活物質の質量mが多くなりすぎて、電池のエネルギー密度が低下しやすくなることがあり得る。また、上記X/Yを満たすために、100g当たりのDBP吸収量y(mL/100g)が小さすぎる負極活物質を使用することとなって、負極の反応抵抗が上昇しやすくなることがあり得る。DBP吸収量xの上限は特に限定されないが、正極活物質の入手容易性や製造容易性、耐久性(例えば、正極活物質粒子の機械的強度、サイクル試験に対する構造維持性)等の観点から、通常は、xが75mL/100g以下(典型的には60mL/100g以下、例えば50mL/100g以下)である正極活物質の使用が好ましい。
≪負極活物質のDBP吸収量y≫
負極活物質の100g当たりのDBP吸収量y(mL/100g)は、75mL/100g以下(例えば60mL/100g以下)であることが好ましい。yが大きすぎると、上記X/Yを満足し得る正極活物質の選定が困難となったり、負極活物質が液状媒体(例えば水)に馴染みにくくなって負極合剤層形成用組成物を調製しにくくなったりする場合がある。また、上記X/Yを満たすために使用可能な負極活物質の量mが正極活物質の量mに対して少なくなりすぎて、電池の使用条件によっては金属リチウムが析出しやすくなる等の不都合が生じ得る。一方、DBP吸収量yが小さすぎると、負極の実反応面積が小さくなりすぎて、電池の出力抵抗が上昇しやすくなる場合がある。したがって、通常は、yが35mL/100g以上(例えば40mL/100g以上)である負極活物質が好ましい。
≪DBP吸収量比x/y≫
好ましい一態様では、前記正極活物質の100g当たりのDBP吸収量x(mL)と、前記負極活物質の100g当たりのDBP吸収量y(mL)との関係が、次式:0.55≦x/y≦1.15(例えば0.60≦x/y≦1.10);を満たす。x/yが大きすぎると、ここに開示される好ましいX/Yを満たすために必要な正極活物質の量mが多くなりすぎて、電池のエネルギー密度が低下する傾向にある。x/yが小さすぎると、上記X/Yを満たすために使用可能な負極活物質の量mが少なくなりすぎて、電池の使用条件によっては金属リチウムが析出しやすくなる等の不都合が生じ得る。
≪平均粒子径≫
正極活物質のDBP吸収量xは、正極活物質の粒子サイズ(例えば平均粒子径)、粒子構造、組成(例えば、DBPに対する親和性)、表面状態等によって異なり得る。他の条件(粒子構造等)が同様であれば、平均粒子サイズ(粒子の外形)が小さくなるとDBP吸収量xは大きくなる傾向にある。一方、正極活物質の粒子サイズが大きすぎると電池の出力特性が低下しやすくなる場合がある。また、粒子サイズが小さすぎると、正極合剤層の内部抵抗が上昇しやすくなったり、正極活物質の取扱性が低下したりすることがあり得る。したがって、例えば、平均粒子径が2μm〜10μm(より好ましくは3μm〜8μm)の範囲にあって、ここに開示される好ましいDBP吸収量xを有する正極活物質を好ましく採用することができる。
同様に、負極活物質のDBP吸収量yは、負極活物質の粒子サイズ(平均粒子径等)、粒子構造、組成、表面状態等によって異なり得る。電池性能(例えば出力特性)や負極活物質の取扱性等の観点から、例えば、平均粒子径が5μm〜30μm(より好ましくは8μm〜25μm)の範囲にあって、ここに開示される好ましいDBP吸収量yを有する負極活物質を好ましく採用することができる。
なお、本明細書において「平均粒子径」とは、特記しない場合、一般的なレーザ回折式粒度分布測定装置により得られるメジアン径(D50)を指すものとする。また、本明細書において「粒子」とは、特記しない場合、材料の状態において独立した粒子としてふるまう構造単位をいう。したがって、例えば、複数の一次粒子が集合した二次粒子の形態をなし、溶媒に分散させた場合等に二次粒子として(一次粒子の集合体としての体裁を維持したまま)分散する粒子においては、特記しない場合、粒子とは二次粒子を意味するものとする。かかる形態の二次粒子では、上述したレーザ回折式粒度分布測定装置により得られる平均粒子径は、二次粒子についての平均粒子径となる。
≪正極活物質の粒子構造≫
一般に、緻密な中実構造の粒子からなるリチウムイオン電池用正極活物質粉末(例えば、層状構造のリチウム遷移金属酸化物の粉末)のDBP吸収量xは、概ね10〜20mL/100g程度である。他の条件(粒子サイズ等)が同程度であれば、かかる中実粒子のDBP吸収量xに比べて、多孔質構造または中空構造の粒子のDBP吸収量xは大きくなる傾向にある。ここに開示される技術における正極活物質としては、このような多孔質構造または中空構造の粒子を好ましく利用し得る。電池に具備される正極活物質の少なくとも一部(典型的には5質量%以上、例えば30質量%以上、好ましくは50質量%以上であり、70質量%以上であってもよく、実質的に全部であってもよい。)として多孔質構造または中空構造の粒子を用いることにより、中実構造の粒子のみを用いた場合に比べて、該正極活物質のDBP吸収量xを大きくすることができる。このことによって、平均粒子サイズが極端に小さな正極活物質を用いたり、負極活物質に対する正極活物質の量を極端に多くしたりしなくても、ここに開示される好ましいX/Yの値を実現し得る。
ここで、多孔質構造とは、実体のある部分と空隙部分とが粒子全体にわたって混在している構造(スポンジ状構造)を指す。多孔質構造を有する正極活物質の代表例として、いわゆる噴霧焼成製法(スプレードライ製法と称されることもある。)により得られた正極活物質(典型的には、一次粒子が集まった二次粒子の形態を呈する。)が挙げられる。また、中空構造とは、殻部とその内側の中空部(空洞部)とを有する構造を指す。好ましい一態様において、上記殻部は、粒子外部と上記中空部とを連通させる貫通孔を有していてもよい(以下、殻部に上記貫通孔を有する中空構造を「孔空き中空構造」といい、かかる構造を有する活物質粒子を「孔空き中空活物質粒子」ということがある。)。このような中空構造(特記しない限り、孔空き中空構造を包含する意味である。)の粒子は、実体のある部分が殻部に偏っており、上記中空部にまとまった空間が確保されている点で、多孔質構造の粒子とは、構造上、明らかに区別されるものである。
ここに開示される技術の好ましい一態様では、正極活物質の少なくとも一部(典型的には5質量%以上、例えば30質量%以上、好ましくは50質量%以上であり、70質量%以上であってもよく、実質的に全部であってもよい。)として、孔空き中空構造の活物質粒子を使用する。かかる孔空き中空構造の活物質粒子は、全体が多孔質構造の粒子に比べて粒径とDBP吸収量xとのバランスに優れたものとなり得る。また、充放電サイクルに対する耐久性(電池性能の劣化が少ないこと)に優れた電池を与えるものとなり得る。かかる孔空き中空構造の活物質粒子の材質としては、リチウム遷移金属酸化物(典型的には、層状構造のリチウム遷移金属酸化物)が好ましい。遷移金属として少なくともNiを含むリチウム遷移金属酸化物(典型的にはリチウムニッケル酸化物)が特に好ましい。
≪孔空き中空活物質粒子の製造方法≫
上記リチウム遷移金属酸化物を構成材質とする孔空き中空活物質粒子は、例えば以下のようにして好適に製造することができる。その製造方法は、該活物質粒子を構成するリチウム遷移金属酸化物に含まれる遷移金属元素の少なくとも一つ(好ましい一態様では、該酸化物に含まれるリチウム以外の金属元素の全部)を含む水性溶液から、該遷移金属の水酸化物を適切な条件で析出させること(原料水酸化物生成工程)を含む。また、その遷移金属水酸化物とリチウム化合物とを混合すること(混合工程)を含む。さらに、その混合物を焼成すること(焼成工程)を含み得る。以下、かかる製造方法の好適な一形態につき、層状構造のLiNiCoMn酸化物からなる孔開き中空活物質粒子を製造する場合を例として詳しく説明するが、この製造方法の適用対象をかかる組成の孔開き中空活物質粒子に限定する意図ではない。
ここに開示される活物質粒子製造方法の好ましい一態様では、上記原料水酸化物生成工程が、遷移金属化合物の水性溶液にアンモニウムイオン(NH )を供給して該水性溶液から遷移金属水酸化物の粒子を析出させることを含む。上記水性溶液を構成する溶媒(水性溶媒)は、典型的には水であり、水を主成分とする混合溶媒であってもよい。この混合溶媒を構成する水以外の溶媒としては、水と均一に混合し得る-有機溶媒(低級アルコール等)が好適である。上記遷移金属化合物の水性溶液(以下、「遷移金属溶液」ともいう。)は、製造目的たる活物質粒子を構成するリチウム遷移金属酸化物の組成に応じて、該リチウム遷移金属酸化物を構成する遷移金属元素(ここではNi,CoおよびMn)の少なくとも一つ(好ましくは全部)を含む。例えば、水性溶媒中にNiイオン,CoイオンおよびMnイオンを供給し得る一種または二種以上の化合物を含む遷移金属溶液を使用する。これらの金属イオン源となる化合物としては、該金属の硫酸塩、硝酸塩、塩化物等を適宜採用することができる。例えば、水性溶媒(好ましくは水)に硫酸ニッケル、硫酸コバルトおよび硫酸マンガンが溶解した組成の遷移金属溶液を好ましく使用し得る。
上記NH は、例えば、NH を含む水性溶液(典型的には水溶液)の形態で上記遷移金属溶液に供給されてもよく、該遷移金属溶液にアンモニアガスを直接吹き込むことにより供給されてもよく、これらの供給方法を併用してもよい。NH を含む水性溶液は、例えば、NH 源となり得る化合物(水酸化アンモニウム、硝酸アンモニウム、アンモニアガス等)を水性溶媒に溶解させることにより調製することができる。好ましい一態様では、水酸化アンモニウム水溶液(すなわちアンモニア水)の形態でNH を供給する。
≪核生成段階≫
好ましい一態様では、上記原料水酸化物生成工程が、上記遷移金属溶液から遷移金属水酸化物の核を析出させる段階(核生成段階)と、その核を成長させる段階(粒子成長段階)とを含む。好ましい一態様において、上記核生成段階および上記粒子成長段階は、いずれもアンモニウムイオンの存在下で行われる。少なくとも、上記粒子成長段階は、上記溶液中のアンモニウムイオン濃度を制御しつつ(例えば、所定値以下に制御しつつ)行うことが好ましい。また、上記粒子成長段階は、上記核生成段階におけるpHより低pHであって且つアルカリ性の条件下で実施することが好ましい。
バラツキの少ない(例えば、粒径や粒子構造等が平均から大きく外れた粒子の個数割合が少ない)孔空き中空活物質粒子が得られやすいという観点から、上記核生成段階において、上記遷移金属溶液から短時間のうちに(例えば、ほぼ同時に)多数の核を析出させることが好ましい。例えば、上記遷移金属水酸化物が過飽和の状態にある溶液から(例えば、該溶液を臨界過飽和度に到達させることにより)上記核を析出させるとよい。かかる析出態様を好適に実現するには、上記核生成段階をpH12以上(典型的にはpH12以上14以下、例えばpH12.2以上13以下)の条件で行うことが有利である。
核生成段階におけるNH 濃度は特に限定されないが、通常は凡そ25g/L以下とすることが適当であり、例えば3〜25g/L程度とするとよい。上記pHおよびNH 濃度は、上記アンモニア水の使用量とアルカリ剤(液性をアルカリ性に傾ける作用のある化合物)の使用量とを適切にバランスさせることにより調整することができる。上記使用量は、例えば、反応系への供給レートとしても把握し得る。アルカリ剤としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等を、典型的には水溶液の形態で用いることができる。好ましい一態様では水酸化ナトリウム水溶液を使用する。なお、本明細書中において、pHの値は、液温25℃を基準とするpH値をいうものとする。
≪粒子成長段階≫
上記粒子成長段階では、上記核生成段階で析出した遷移金属水酸化物の核(典型的には粒子状)を、好ましくは上記核生成段階よりも低pH域のアルカリ性条件下で成長させる。例えば、pH12未満(典型的にはpH10以上12未満、好ましくはpH10以上11.8以下、例えばpH11.0以上11.8以下)で成長させるとよい。この粒子成長段階を経て得られる遷移金属水酸化物粒子(原料水酸化物粒子)は、好ましくは、該粒子の外表面部の密度に比べて、該粒子の内部の密度が低い構造を有する。かかる構造の遷移金属水酸化物粒子を安定して得るためには、上記粒子成長段階におけるNH 濃度を高くしすぎない(低く抑える)ことが肝要である。このことによって、遷移金属水酸化物(ここでは、Ni,CoおよびMnを含む複合水酸化物)の析出速度が速くなり、ここに開示される孔開き中空活物質粒子の形成に適した原料水酸化物粒子(換言すれば、孔開き中空構造の焼成物を形成しやすい原料水酸化物粒子)が効果的に生成し得る。通常は、粒子成長段階におけるNH 濃度を25g/L以下とすることが適当であり、好ましくは15g/L以下、より好ましくは10g/L以下(例えば8g/L以下)である。NH 濃度の下限は特に限定されないが、製造条件の管理しやすさ、品質安定性、得られる活物質粒子の機械的強度(例えば硬度)等の観点から、通常は、NH 濃度を1g/L以上(好ましくは3g/L以上)とすることが適当である。粒子成長段階におけるpHおよびNH 濃度は、核生成段階と同様にして調整することができる。
好ましい一態様では、粒子成長段階におけるNH 濃度を7g/L以下(典型的には1〜7g/L、例えば3〜7g/L)とする。この粒子成長段階におけるNH 濃度は、例えば、核生成段階におけるNH 濃度と概ね同程度としてもよく、核生成段階におけるNH 濃度より低くしてもよい。なお、遷移金属水酸化物の析出速度は、例えば、反応液に供給される遷移金属溶液に含まれる遷移金属イオンの合計モル数に対して、反応液の液相中に含まれる遷移金属イオンの合計モル数(合計イオン濃度)の推移を調べることにより把握され得る。
ここに開示される技術を実施するにあたり、上記のようにNH 濃度を低く抑えることによって孔開き中空活物質粒子の形成に適した原料水酸化物粒子が得られる理由を明らかにする必要はないが、例えば以下のことが考えられる。すなわち、上記遷移金属溶液中では、例えば以下の平衡反応が生じている。なお、下記式1,2におけるMは遷移金属であり、本実施形態では少なくともNiを含む。
ここで、遷移金属溶液中のNH濃度を低くすると、式1の平衡が左に移動してM 2+の濃度が上がるため、式2の平衡が右に移動し、M(OH)の生成が促進される。換言すれば、M(OH)が析出しやすくなる。このようにM(OH)が析出しやすい状況では、M(OH)の析出は、主に、既に析出している遷移金属水酸化物(上記核生成段階で生じた核、または粒子成長段階の途上にある遷移金属水酸化物粒子)の外表面近傍において起こり、上記析出物の内部において析出するM(OH)は少なくなる。その結果、外表面部の密度に比べて内部の密度が低い構造の原料水酸化物粒子(孔開き中空活物質粒子の形成に適した原料水酸化物粒子であって、孔開き中空活物質粒子の前駆体粒子としても把握され得る。)が形成されるものと推察される。一方、粒子成長段階におけるNH 濃度が高すぎると、M(OH)の析出速度が小さくなるため、外表面近傍における析出量と内部における析出量との差が小さくなり、上記構造の原料水酸化物粒子が形成されにくくなる傾向となるものと推察される。
核生成段階および粒子成長段階のそれぞれにおいて、反応液の温度は、凡そ30℃〜60℃の範囲のほぼ一定温度(例えば、所定の温度±1℃)となるように制御することが好ましい。核生成段階と粒子成長段階とで反応液の温度を同程度としてもよい。また、反応液および反応槽内の雰囲気は、核生成段階および粒子成長段階を通じて非酸化性雰囲気に維持することが好ましい。また、反応液に含まれるNiイオン,CoイオンおよびMnイオンの合計モル数(合計イオン濃度)は、核生成段階および粒子成長段階を通じて、例えば凡そ0.5〜2.5モル/Lとすることができ、凡そ1.0〜2.2モル/Lとすることが好ましい。かかる合計イオン濃度が維持されるように、遷移金属水酸化物の析出速度に合わせて遷移金属溶液を補充(典型的には連続供給)するとよい。反応液に含まれるNiイオン,CoイオンおよびMnイオンの量は、目的物たる活物質粒子の組成(すなわち、該活物質粒子を構成するLiNiCoMn酸化物におけるNi,Co,Mnのモル比)に対応する量比とすることが好ましい。
≪混合工程≫
好ましい一態様では、このようにして生成した遷移金属水酸化物粒子(ここでは、Ni,CoおよびMnを含む複合水酸化物粒子)を反応液から分離し、洗浄して乾燥させる。そして、この遷移金属水酸化物粒子とリチウム化合物とを所望の量比で混合して未焼成の混合物を調製する(混合工程)。この混合工程では、典型的には、目的物たる活物質粒子の組成(すなわち、該活物質粒子を構成するLiNiCoMn酸化物におけるLi,Ni,Co,Mnのモル比)に対応する量比で、Li化合物と遷移金属水酸化物粒子とを混合する。上記リチウム化合物としては、加熱により酸化物となり得るリチウム化合物、例えば炭酸リチウム,水酸化リチウム等を好ましく用いることができる。
≪焼成工程≫
そして、上記混合物を焼成して孔空き中空構造の活物質粒子を得る(焼成工程)。この焼成工程は、典型的には酸化性雰囲気中(例えば大気中)で行われる。この焼成工程における焼成温度は、例えば700℃〜1100℃とすることができる。最高焼成温度が800℃以上(好ましくは800℃〜1100℃、例えば800℃〜1050℃)となるように行われることが好ましい。この範囲の最高焼成温度によると、リチウム遷移金属酸化物(好ましくはNi含有Li酸化物、ここではLiNiCoMn酸化物)の一次粒子の焼結反応を適切に進行させることができる。好適には、焼成工程後に焼成物を解砕し、篩分けを行ない、活物質粒子の粒径を調整するとよい。
好ましい一態様では、上記混合物を700℃以上900℃以下の温度T1(すなわち700℃≦T1≦900℃、例えば700℃≦T1≦800℃、典型的には700℃≦T1<800℃)で焼成する第一焼成段階と、その第一焼成段階を経た結果物を800℃以上1100℃以下の温度T2(すなわち800℃≦T2≦1100℃、例えば800℃≦T2≦1050℃)で焼成する第二焼成段階とを含む態様で行う。このことによって、孔開き中空構造の活物質粒子をより効率よく形成することができる。T1およびT2は、T1<T2となるように設定することが好ましい。
第一焼成段階と第二焼成段階とは、連続して(例えば、上記混合物を第一焼成温度T1に保持した後、引き続き第二焼成温度T2まで昇温して該温度T2に保持することにより)行ってもよく、あるいは、第一焼成温度T1に保持した後、いったん冷却(例えば、常温まで冷却)し、必要に応じて解砕および篩い分けを行ってから第二焼成段階に供してもよい。
なお、ここに開示される技術において、上記第一焼成段階は、目的とするリチウム遷移金属酸化物の焼結反応が進行し且つ融点以下の温度域であって第二焼成段階よりも低い温度T1で焼成する段階として把握することができる。また、上記第二焼成段階は、目的とするリチウム遷移金属酸化物の焼結反応が進行し且つ融点以下の温度域であって第一焼成段階よりも高い温度T2で焼成する段階として把握することができる。T1とT2との間には50℃以上(典型的には100℃以上、例えば150℃以上)の温度差を設けることが好ましい。
≪孔空き中空活物質粒子の構造≫
かかる方法により製造された孔空き中空活物質粒子の代表的な構造を、図3に示す走査型電子顕微鏡(SEM)画像を参照しつつ説明する。この活物質粒子610は、殻部612と、中空部614と、殻部612を貫通して粒子610の中空部614と殻部612の外部(粒子610の外部)とを空間的に連続させる貫通孔616を有している。この図3に示す孔空き中空活物質粒子610の構成材質は、LiNiCoMn酸化物である。図3に示すように、貫通孔616以外の部分では殻部612は緻密に焼結しており、この部分には殻部612の内外を貫く隙間は認められない。
このような孔空き中空活物質粒子610のDBP吸収量x(mL/100g)は、例えば、粒子610の平均粒子径、粒子空孔率、殻部612および貫通孔616の構造等によって異なり得る。例えば、平均粒子径が3μm〜8μmであって、ここに開示される好ましいDBP吸収量xを示す孔空き中空活物質粒子を、正極活物質またはその構成成分として好ましく採用することができる。上記平均粒子径の調節は、例えば、上述した孔空き中空活物質粒子製造方法において、核生成段階におけるpH、粒子成長工程を継続する時間、粒子成長工程における遷移金属水酸化物の析出速度等を通じて行うことができる。遷移金属水酸化物の析出速度は、例えば、上記式1または式2に関係する一または二以上の化学種の濃度、pH、反応系の温度等を通じて調節することができる。あるいは、一般的な篩い分けにより粒子を選別して平均粒子径を調節してもよい。このような平均粒子径調節手法は、単独で、あるいは適宜組み合わせて実施することができる。
≪粒子空孔率≫
ここに開示される技術における正極活物質またはその構成成分としては、粒子空孔率が2%以上(典型的には5%以上、好ましくは10%以上)であって、上記好ましいDBP吸収量xを示す孔空き中空活物質粒子を好ましく採用することができる。粒子空孔率が小さすぎると、孔空き中空構造とすることの利点が十分に発揮されにくくなる場合があり得る。粒子空孔率が20%以上(典型的には23%以上、好ましくは30%以上)であってもよい。粒子空孔率の上限は特に限定されないが、活物質粒子の耐久性(例えば、電池の製造時や使用時に加わり得る圧縮応力等に耐えて孔空き中空形状を維持する性能)や製造容易性等の点から、通常は75%以下(例えば70%以下)とすることが適当である。上記粒子空孔率の調節は、例えば、上述した孔空き中空活物質粒子製造方法において、粒子成長工程を継続する時間、粒子成長工程における遷移金属水酸化物の析出速度等を通じて行うことができる。
ここで、「粒子空孔率」とは、活物質粒子610の見かけの体積のうち、中空部614が占める割合をいう。この割合は、活物質粒子610の断面SEM画像に基づいて把握することができる。上記断面SEM画像では、図3に示すように、色調あるいは濃淡の違いによって、活物質粒子610の殻部612と、中空部614と、貫通孔616とを区別することができる。例えば、正極合剤層の任意の断面SEM画像に表れた複数の活物質粒子610について、それらの活物質粒子610の中空部614が占める面積Aと、それらの活物質粒子610が見かけの上で占める断面積Bとの比(A/B)を得る。ここで、活物質粒子610が見かけの上で占める断面積Bとは、活物質粒子610の殻部612、中空部614および貫通孔616が占める断面積を指す。正極合剤層の任意の複数の断面SEM画像について上記比(A/B)の値を算術平均する。このようにして比(A/B)を求める断面SEM画像の数が多くなるほど、また比(A/B)を算出する基となる活物質粒子610の数が多くなるほど、上記比(A/B)の算術平均値は収束する。かかる比(A/B)の平均値によって、活物質粒子610の見かけの体積のうち中空部614が占める割合(すなわち粒子空孔率)が概ね求められる。通常は、少なくとも10個(例えば20個以上)の活物質粒子610に基づいて粒子空孔率を求めることが好ましい。また、少なくとも任意の3箇所(例えば5箇所以上)における正極合剤層の断面SEM画像に基づいて粒子空孔率を求めることが好ましい。
≪殻部および貫通孔の構造≫
ここに開示される技術における正極活物質またはその構成成分としては、孔空き中空活物質粒子610の断面SEM画像に表れている殻部612の周回長さ(殻部612の厚みT(k)の中央に沿って粒子610の断面を一周する長さをいう。貫通孔616により殻部612が途切れている部分は、その両側の殻部612の形状から補完するものとする。)のうち、貫通孔616の占める長さ(殻部612の厚みの中央における該貫通孔616の差渡し長さに相当する。一つの断面に2以上の貫通孔616が表れている場合には、それらの貫通孔616の差し渡し長さを合計する。)の割合が30%以下、より好ましくは20%以下であって、上記好ましいDBP吸収量xを示すものを好ましく採用し得る。貫通孔616の占める長さが大きすぎると、粒子610の耐久性(例えば、電池の製造時や使用時に加わり得る圧縮応力等に耐えて孔空き中空形状を維持する性能)が低下傾向となり得る。一方、貫通孔616の占める長さが小さすぎると、粒子610の中空部614が有効に活用されにくくなり、孔空き中空構造とすることの利点が十分に発揮されにくくなる場合があり得る。したがって、上記貫通孔616の占める長さは0.5%以上であることが好ましく、1%以上(例えば3%以上)であることがより好ましい。
好ましい一態様では、孔空き中空活物質粒子610の断面における殻部612の周回長さのうち、一繋がりの(貫通孔616で途切れることなく連続した)殻部612の平均長さは、貫通孔616の平均差渡し長さの3倍以上(例えば3倍〜100倍)であり、より好ましくは5倍以上(例えば5倍〜50倍)である。上記殻部612の周回長さのうち貫通孔616の占める長さの割合、一繋がりの殻部612の平均長さと貫通孔616の平均差渡し長さとの関係は、通常、少なくとも10個(例えば20個以上)の活物質粒子610に基づく算術平均値として求めることが好ましい。また、少なくとも任意の3箇所(例えば5箇所以上)における正極合剤層の断面SEM画像に基づいて求めることが好ましい。
≪活物質粒子の硬度≫
ここに開示される技術において、正極活物質またはその構成成分として用いられる孔空き中空活物質粒子としては、該粒子の平均硬度が概ね0.5MPa以上(典型的には1.0MPa以上、例えば2.0〜10MPa)であるものを好ましく採用し得る。ここで「平均硬度」とは、直径50μmの平面ダイヤモンド圧子を使用して、負荷速度0.5mN/秒〜3mN/秒の条件で行われるダイナミック微小硬度測定により得られる値をいう。かかるダイナミック微小硬度測定には、例えば、株式会社島津製作所製の微小硬度計、型式「MCT−W500」を用いることができる。より多くの活物質粒子について上記硬度測定を行うほど、それらの活物質の硬度の算術平均値は収束する。上記平均硬度としては、少なくとも3個(好ましくは5個以上)の活物質粒子に基づく算術平均値を採用することが好ましい。核生成段階と粒子成長段階とを包含する上述した孔空き活物質粒子製造方法は、かかる平均硬度を有する孔空き活物質粒子の製造方法として好適である。この方法により得られた孔空き中空活物質粒子は、例えば噴霧焼成製法等により得られた一般的な多孔質構造の正極活物質粒子に比べて、より硬く(平均硬度が高く)、形態安定性に優れたものとなり得る。
上述した孔空き中空活物質粒子製造方法の好ましい適用対象として、少なくともニッケルを構成金属元素として含むリチウム遷移金属酸化物(典型的には層状構造のリチウム遷移金属酸化物)を材質とする孔空き中空活物質粒子が挙げられる。例えば、次式:Li1+aNiCoMn(1−b−c);で表される組成のリチウム遷移金属酸化物を構成材料とする孔空き中空活物質粒子の製造に好適である。ここで、0≦a≦0.2であり、0.1<b<0.9であり、0.1<c<0.4であり、0≦d≦0.01である。上記式中のMは、添加物であり、例えば、Zr,W,Mg,Ca,Na,Fe,Cr,Zn,Si,Sn,Al,BおよびFからなる群より選ばれた少なくとも一種類であり得る。該リチウム遷移金属酸化物に含まれるリチウム以外の金属元素のうちNiの占める割合は、原子数換算で5%以上であることが好ましく、より好ましくは10%以上(例えば25%以上)である。
ここに開示される非水二次電池は、BP−オキサラト化合物を含む非水電解液を使用して構築された(組み立てられた)ものであればよく、その構築後に上記オキサラト化合物の一部または全部が変質(分解等)していてもよい。例えば、ここに開示される好ましいX/Yを満たす正極および負極を備えた電極体を容器に収容し、この容器にBP−オキサラト化合物を含む非水電解液を注入して上記電極体に含浸させると、典型的には、該電解液に含まれるオキサラト化合物の大部分は、電池の構築後すぐに或いは該電池の初回の充電時に、電池の正極または負極の表面付近で分解する。本発明者は、正極の表面付近で分解したオキサラト化合物が、正極表面にイオン伝導性のよい膜を形成するか或いは該膜の一構成成分として利用されることにより、該正極における反応抵抗の低減に寄与するものと考えている。したがって、本発明の適用効果が発揮されるためには、電池の構築時にオキサラト化合物を含む非水電解液が用いられていればよく、該構築から時間の経った電池(例えば、初回の充電後の電池)に該オキサラト化合物が残っていることを必要としない。
なお、B元素含有オキサラト化合物(例えばLiBOB)を含む非水電解液を用いて構築された非水二次電池であることは、例えば、該電池の構成部材(正負極合剤層の表面等)から測定試料を採取し、ICP(高周波誘導結合プラズマ)発光分析、イオンクロマトグラフィ等によりB元素を検出することによって把握することができる。また、上記非水二次電池の構築に用いられた非水電解液中のB元素含有オキサラト化合物の量(換言すれば、電池ケース内に供給されたB元素含有オキサラト化合物の量)は、例えば、イオンクロマトグラフィにより正負極に含まれるB元素の量を定量する;該電池の容器内に溜まった非水電解液をイオンクロマトグラフィにより分析して該電解液に含まれるB元素の量を定量する;上記電解液をイオンクロマトグラフィにより分析してLiBOBおよびその分解物に起因する化学種を定量する;等の方法により把握することができる。
同様に、P元素含有オキサラト化合物を含む非水電解液を用いて構築された非水二次電池であることは、例えば、該電池の構成部材(正負極合剤層の表面等)から測定試料を採取し、ICP発光分析、イオンクロマトグラフィ等によりP元素を検出することにより把握することができる。かかる分析によると、支持電解質としてLiPFを含む非水電解液を用いた電池であっても、LiPFに由来するP元素とは区別して、P元素含有オキサラト化合物に由来するP元素の存在を認識することができる。また、上記非水二次電池の構築に用いられた非水電解液中のP元素含有オキサラト化合物の量は、例えば、電池の容器内に溜まった非水電解液をイオンクロマトグラフィにより分析して、P元素含有オキサラト化合物およびその分解物に起因する化学種を定量することによって把握することができる。
また、非水二次電池の組立後(該電池の使用開始後であり得る。)に該電池の全正極活物質DBP吸収量X(mL)を把握するには、例えば、該電池を解体して正極合剤を回収し(上記正極合剤層が正極集電体上に形成された構成の電池では、該集電体から正極合剤層を分離し)、その正極合剤を酸化性雰囲気中で加熱して有機物成分(結着剤等)を揮発除去し、その加熱残分(無機成分)についてDBP吸収量X(mL)を測定するとよい。上記加熱残分には、正極合剤の任意成分である導電材(アセチレンブラック等)が含まれ得るが、通常その使用量は正極活物質に比べて少量(質量基準で正極活物質の20%以下)であるので、正極活物質と導電材との混合物のDBP吸収量を測定することによっても、全正極活物質DBP吸収量X(mL)の概略値を把握することは可能である。
一方、非水二次電池の組立後(該電池の使用開始後であり得る。)に該電池の全負極活物質DBP吸収量Y(mL)を把握するには、例えば、該電池を解体して負極合剤を回収し、その負極合剤を酸化性雰囲気中で加熱して有機物成分(結着剤等)を揮発除去し、その加熱残分(無機成分)についてDBP吸収量Y(mL)を測定するとよい。このようにして得られた全正極活物質DBP吸収量X(mL)および全負極活物質DBP吸収量Y(mL)から、当該電池のX/Yの値を見積もることができる。
ここに開示される非水二次電池(典型的にはリチウムイオン二次電池)は、BP−オキサラト化合物の利用により、耐久性が改善され(例えば、保存中の抵抗上昇がより少なく)、かつ初期特性(例えば、初期効率および初期抵抗の一方または両方)にも優れた高性能のものとなり得ることから、各種用途向けの二次電池として利用可能である。例えば、図4に示すように、自動車等の車両1に搭載される車両駆動用モータ(電動機)の電源として、ここに開示されるいずれかの非水二次電池100を好適に利用することができる。車両1の種類は特に限定されないが、典型的には、ハイブリッド自動車、電気自動車、燃料電池自動車等である。かかる非水二次電池100は、単独で使用されてもよく、直列および/または並列に複数接続されてなる組電池の形態で使用されてもよい。
以下、本発明に関するいくつかの実施例を説明するが、本発明をかかる具体例に示すものに限定することを意図したものではない。
≪正極活物質≫
以下の実験における正極活物質としては、次のようにして作製された孔空き中空構造の活物質粒子を使用した。
槽内温度40℃に設定された反応槽内にイオン交換水を入れ、攪拌しつつ窒素ガスを流通させて、該イオン交換水を窒素置換するとともに反応槽内を酸素ガス(O)濃度2.0%の非酸化性雰囲気に調整した。次いで、25%水酸化ナトリウム水溶液と25%アンモニア水とを、液温25℃を基準として測定するpHが12.5となり且つ液中NH 濃度が5g/Lとなるように加えた。
硫酸ニッケル、硫酸コバルトおよび硫酸マンガンを、Ni:Co:Mnのモル比が0.33:0.33:0.33となり且つこれら金属元素の合計モル濃度が1.8モル/Lとなるように水に溶解させて、混合水溶液を調整した。この混合水溶液と25%NaOH水溶液と25%アンモニア水とを上記反応槽内に一定速度で供給することにより、反応液をpH12.5、アンモニア濃度5g/Lに制御しつつ、該反応液からNiCoMn複合水酸化物を晶析させた(核生成段階)。
上記混合水溶液の供給開始から2分30秒経過したところで、25%NaOH水溶液の供給を停止した。上記混合水溶液および25%アンモニア水については引き続き一定速度で供給を行った。反応液のpHが11.6まで低下した後、25%NaOH水溶液の供給を再開した。そして、反応液をpH11.6且つ後述するアンモニア濃度に制御しつつ、上記混合水溶液、25%NaOH水溶液および25%アンモニア水を供給する操作を4時間継続してNiCoMn複合水酸化物粒子を成長させた(粒子成長段階)。その後、生成物を反応槽から取り出し、水洗し、乾燥させた。このようにして、Ni0.33Co0.33Mn0.33(OH)2+α(ここで、式中のαは0≦α≦0.5である。)で表わされる組成の複合水酸化物粒子を得た。
上記複合水酸化物粒子に対し、大気雰囲気中、150℃で12時間の熱処理を施した。次いで、リチウム源としてのLi2CO3と上記複合水酸化物粒子とを、リチウムのモル数(MLi)と上記複合水酸化物を構成するNi,CoおよびMnの総モル数(MMe)との比(MLi:MMe)が1.15:1となるように混合した。この混合物を760℃で4時間焼成し(第一焼成段階)、次いで950℃で10時間焼成した(第二焼成段階)。その後、焼成物を解砕し、篩分けを行った。このようにして、Li1.15Ni0.33Co0.33Mn0.332で表わされる組成の活物質粒子サンプルを得た。
上記の活物質粒子サンプル作製過程において、複合水酸化物粒子の作製時に使用する反応液等の条件を調節することにより、より具体的には、粒子成長段階において反応液のアンモニア濃度を1〜15g/mLの間の異なる濃度にそれぞれ維持(制御)することにより、上述した方法によるDBP吸収量xがそれぞれ22mL/100g(サンプルP1)、30mL/100g(サンプルP2)、35mL/100g(サンプルP3)および41.1mL/100g(サンプルP4)である4種類の活物質粒子を作製した。
これらサンプルP1〜P4の活物質粒子につき表面SEM観察を行ったところ、いずれの活物質粒子サンプルにおいても、明確な殻部と中空部とを備え、該殻部にはいくつかの(一粒子当たり平均1つ以上の)貫通孔が形成され、その貫通孔以外の部分では殻部が緻密に焼結していることが確認された。サンプルP1〜P4の平均硬度を上記方法により測定したところ、いずれも0.5MPa〜10MPaの範囲にあることが確認された。また、サンプルP1〜P4の平均粒子径はいずれも3μm〜8μmの範囲にあり、粒子空孔率はいずれも3%〜50%の範囲にあった。
≪負極活物質≫
負極活物質としては、グラファイト粒子および該粒子の表面にアモルファスカーボンがコートされた構造のカーボン粒子を使用した。上記アモルファスカーボンコートされたカーボン粒子として、具体的には、天然黒鉛粉末の表面に気相法によりピッチを付着させて、不活性雰囲気下において1000℃〜1300℃で10時間焼成した後、篩いにかけ、平均粒子径を調整したものを使用した。上記の負極活物質サンプル作製過程において、使用する天然黒鉛粉末の平均粒子径(D50)を8μm〜11μmの間で異ならせ、また黒鉛粉末質量に対するピッチのコート量を0質量%〜6質量%の範囲で異ならせることにより、上述した方法によるDBP吸収量yがそれぞれ34.3mL/100g(サンプルQ1)、36.6mL/100g(サンプルQ2)、50mL/100g(サンプルQ3)、60mL/100g(サンプルQ4)、および77.5mL/100g(サンプルQ5)である5種類の負極活物質を用意した。
≪評価用電池の作製≫
上記で用意したサンプルP1〜P4を正極活物質に用い、サンプルQ1〜Q5を負極活物質に用いて、概略図1、図2に示す構造の評価用電池(例1〜14)を作製した。
正極活物質(サンプルP1〜P4のなかから、表1〜3に示すDBP吸収量xに対応するものを使用した。)と、導電材としてのアセチレンブラック(AB)と、結着剤としてのPVDFとを、これらの質量比が90:8:2であり且つNVが50%となるようにNMPと混合して、スラリー状の組成物を調製した。厚さ15μm、幅115mm、長さ3000mmのアルミニウム箔(正極集電体)32の両面に、上記組成物を95mmの幅で、乾燥後の質量が両面の合計で12mg/cmとなるように塗布した。これを乾燥後プレスして、集電体32の両面に正極合剤層34を有する正極シート30を作製した。
上記で用意した負極活物質(サンプルQ1〜Q5のなかから、表1〜3に示すDBP吸収量yに対応するものを使用した。)とSBRとCMCとを、これらの質量比が98:1:1であり且つNVが45%となるようにイオン交換水と混合して、スラリー状の組成物を調製した。厚さ10μm、幅120mm、長さ3200mmの銅箔(負極集電体)42の両面に、上記組成物を105mmの幅で、乾燥後の質量が両面の合計で7.5mg/cmとなるように塗布した。これを乾燥後プレスして、集電体42の両面に負極合剤層44を有する負極シート40を作製した。
正極シート30と負極シート40とを、2枚の多孔質ポリエチレンシート50(厚さ20μm)とともに捲回し、扁平形状に成形して電極体20を作製した。正極端子38および負極端子48を蓋体14に取り付け、これらの端子38,48を電極体20端部において露出した正極集電体32および負極集電体42にそれぞれ溶接した。このようにして蓋体14と連結された電極体20を、ケース10の開口部12からその内部に収容し、該ケース10の開口部12に蓋体14を溶接した。
蓋体14に設けられた電解液注入孔(図示せず)から非水電解液90を注入した。非水電解液90としては、ECとDMCとEMCとの体積比1:1:1の混合溶媒中に、支持塩としてのLiPFを1mol/L(1M)の濃度で含み、さらに表1〜3に示す濃度でリチウムビス(オキサラト)ボレート(LiBOB)を含むものを使用した。
その後、上記注入孔を塞いで、評価用のリチウムイオン二次電池100を構築した。各試験用電池は、それぞれ、約32mgの正極活物質、約30mgの負極活物質、および約30mLの非水電解液を有する。
次に、上記のように構築した評価試験用の電池について行われるコンディショニング工程、定格容量の測定、およびSOC調整を順に説明する。
≪コンディショニング≫
コンディショニング工程は、次の手順1〜2によって行った。
手順1:1Cの定電流(1Cは、満充電状態の電池を1時間で放電終止電圧まで放電させる電流値を意味する。放電時間率と称されることもある。)にて端子間電圧が4.1Vに到達するまで充電(CC充電)した後、5分間休止する。
手順2:手順1の後、定電圧充電(CV充電)にて1.5時間充電し、5分間休止する。
≪定格容量の測定≫
評価試験用電池の定格容量は、上記コンディショニング工程後の評価試験用電池について、温度25℃、3.0Vから4.1Vの電圧範囲で、次の手順1〜3によって測定した。
手順1:1Cの定電流放電(CC放電)によって3.0Vに到達後、定電圧放電にて2時間放電(CV放電)し、その後、10秒間休止する。
手順2:1Cの定電流充電によって4.1Vに到達後、定電圧充電にて2.5時間充電し、その後、10秒間休止する。
手順3:0.5Cの定電流放電によって3.0Vに到達後、定電圧放電にて2時間放電し、その後、10秒間停止する。
上記手順3における定電流放電から定電圧放電に至る放電における放電容量(CCCV放電容量)を定格容量とする。
≪SOC調整≫
SOC調整は、上記コンディショニング工程および定格容量測定の後で、25℃の温度環境下にて次の1、2の手順によって行った。
手順1:3Vから1Cの定電流で充電し、定格容量の凡そ60%の充電状態(SOC60%)にする。ここで、「SOC」は、State of Chargeを意味する。
手順2:60%以上のSOCに調整する場合には、手順1の後、所望の充電状態に到達するまで定電圧で充電する。
次に、かかる評価試験用の電池について、「初期効率」、「初期抵抗」および「耐久後抵抗」の測定方法ならびに抵抗増加率の算出方法を順に説明する。
≪初期効率≫
上記コンディショニング工程において手順1および手順2を通じて充電(CC−CV充電)された合計容量を初回充電容量とし、上記定格容量測定において手順1により放電(CC−CV充電)した合計容量を初回放電容量とする。そして、次式:(初回放電容量)/初回充電容量)×100;により初期効率(%)を算出した。
≪初期抵抗≫
SOC60%(定格容量の凡そ60%の充電状態)に調整した評価用電池を、−15℃の測定環境にて7Cの放電レートで10秒間放電させた。このときの電圧降下から、低温(−15℃)における初期抵抗の値(10秒IV抵抗値)を求めた。
≪高温保存耐久試験による抵抗増加率≫
SOC80%(定格容量の凡そ80%の充電状態)の電池を60℃の環境下に30日間保存した。保存後の電池の10秒IV抵抗(耐久後抵抗)を、上記初期抵抗と同様にして測定した。そして、次式:(耐久後抵抗)/(初期抵抗)×100;により抵抗増加率(%)を算出した。
例1〜14に係る評価用電池について得られた初期効率、初期抵抗、耐久後抵抗および抵抗増加率を表1〜3に示す。これらの表には、各電池の作製に使用した正極活物質および負極活物質のDBP吸収量x,y、使用した非水電解液におけるLiBOBの濃度、各電池に注入された非水電解液に含まれるLiBOBの全モル数量A(上記LiBOB濃度および電解液の使用量から算出した。)各電池における全正極活物質DBP吸収量Xおよび全負極活物質DBP吸収量Y(上記x,yと、各電池に含まれる正極活物質および負極活物質の質量から算出した。)、これらの比(X/Y)、全正極活物質DBP吸収量Xに対するLiBOBの全モル数量Aの割合(A/X)を併せて示している。
表1に示されるように、全LiBOB量A(mmol)が等しい非水電解液を用いて作製された例1〜6の評価用電池のうち、X/Yが0.60〜1.25の範囲にある例1〜4は、X/Yが0.60に満たない例5に比べて抵抗増加率が明らかに小さかった。これは、電池内にあるLiBOB量が同じでも、X/Yが大きい例1〜4に係る電池では、より多くのLiBOBが正極側に配分されたため、この正極側においてより高い抵抗増加率抑制効果が発揮されたものと考えられる。また、例5に比べて例1〜4の初期効率が高かったのは、負極側に配分されて初期効率を低下させるLiBOBの量が少なかったためと考えられる。例1〜4に比べて例6に係る電池の初期抵抗が高かったのは、DBP吸収量yが小さすぎる負極活物質を使用してX/Yの値を大きくしたため、負極活物質の実反応面積が不足して電池反応の速度が制約され、これにより初期抵抗が高くなったものと推察される。
表2に示されるように、DBP吸収量xが小さすぎる正極活物質を使用した例8に係る電池は、例1,7に係る電池に比べて初期効率が明らかに低かった。これは、例8に係る電池ではX/Yが0.60に満たない(0.50以下である)ため、負極側に多くのLiBOBが配分され、このLiBOBの還元分解により初期効率が低下したものと考えられる。
表3に示されるように、A/Xが0.02〜0.30mmol/mLの範囲にある例1,9〜12に係る電池、初期効率は低く、抵抗増加率は小さく、良好な性能を示した。A/Xが小さすぎる例13は、例1,9〜12に比べて抵抗増加率が高かった。これは、X/Yを0.60以上とすることによりLiBOBの正極側への分配率を増やしても、全LiBOB量が少なすぎるため、正極の実反応面積当たりに供給されるLiBOB量が不足して十分な添加効果が発揮されなかったためと考えられる。例14において初期効率が低かったのは、X/Yを大きくすることによりLiBOBの負極側への分配率を減らしても、全LiBOB量が多すぎると、低い分配率ながらも負極側に分配されるLiBOBの絶対量が多くなり、このLiBOBの還元分解により初期効率が低下したものと推察される。
以上、本発明を詳細に説明したが、上記実施形態および実施例は例示にすぎず、ここで開示される発明には上述の具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
1 車両
10 電池ケース
12 開口部
14 蓋体
20 捲回電極体
30 正極シート(正極)
32 正極集電体
34 正極合剤層
38 正極端子
40 負極シート(負極)
42 負極集電体
44 負極合剤層
48 負極端子
50 セパレータ
90 非水電解液
100 リチウムイオン二次電池(非水二次電池)
610 活物質粒子
612 殻部
614 中空部
616 貫通孔

Claims (6)

  1. 非水電解液二次電池であって、
    正極活物質を有する正極と、負極活物質を有する負極と、前記正極活物質および前記負極活物質の双方に接して配置された非水電解液とを用いて構築されており、
    前記非水電解液としては、B元素を含有するオキサラト錯体化合物と、非水溶媒と、を含む非水電解液が用いられ、
    前記電池に含まれる前記正極活物質の全量についてのDBP吸収量X(mL)と、該電池に含まれる前記負極活物質の全量についてのDBP吸収量Y(mL)との関係が、以下の式:
    0.60≦X/Y≦1.25;
    を満たし、
    前記電池に含まれるオキサラト錯体化合物の全モル数A(mmol)と、前記電池に含まれる前記正極活物質の全量についてのDBP吸収量X(mL)との関係が、以下の式:
    0.02≦A/X(mmol/mL)≦0.30;
    を満たし、
    前記オキサラト錯体化合物は、リチウムビス(オキサラト)ボレートである、非水電解液二次電池。
  2. 前記正極活物質の100g当たりのDBP吸収量x(mL/100g)は25mL/100g以上である、請求項1に記載の非水電解液二次電池。
  3. 前記負極活物質の100g当たりのDBP吸収量y(mL/100g)は35〜75mL/100gである、請求項1または2に記載の非水電解液二次電池。
  4. 前記正極活物質の100g当たりのDBP吸収量x(mL)と、前記負極活物質の100g当たりのDBP吸収量y(mL)との関係が、以下の式:
    0.55≦x/y≦1.15;
    を満たす、請求項1から3のいずれか一項に記載の非水電解液二次電池。
  5. 前記正極活物質は、リチウム遷移金属酸化物であり、前記負極活物質は、少なくとも一部にグラファイト構造を有する炭素材料である、請求項1からのいずれか一項に記載の非水電解液二次電池。
  6. 非水電解液二次電池を製造する方法であって、
    正極活物質を有する正極と、負極活物質を有する負極とを用意する工程、ここで、前記正極および前記負極は、前記正極の有する前記正極活物質の全量についてのDBP吸収量X(mL)と、前記負極の有する前記負極活物質の全量についてのDBP吸収量Y(mL)との関係が、以下の式:
    0.60≦X/Y≦1.25;
    を満たす;
    B元素を含有するオキサラト錯体化合物と非水溶媒とを含む非水電解液を用意する工程;および、
    前記正極、前記負極および前記非水電解液を容器に収容して電池を構築する工程;
    を包含し、
    前記容器に収容する前記非水電解液に含まれる前記オキサラト錯体化合物の全モル数A(mmol)と、前記電池に含まれる前記正極活物質の全量についてのDBP吸収量X(mL)との関係が、以下の式:
    0.02≦A/X(mmol/mL)≦0.30;
    を満たし、
    前記オキサラト錯体化合物は、リチウムビス(オキサラト)ボレートである、非水電解液二次電池製造方法。
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