JP5712846B2 - シラン処理変性金属酸化物のジカルボン酸無水物分散ゾル及びその製造方法並びにそれを含むエポキシ硬化剤並びにエポキシ樹脂硬化体 - Google Patents

シラン処理変性金属酸化物のジカルボン酸無水物分散ゾル及びその製造方法並びにそれを含むエポキシ硬化剤並びにエポキシ樹脂硬化体 Download PDF

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Description

本発明は、変性高屈折率金属酸化物コロイド粒子がジカルボン酸無水物に分散されたゾル及びその製造方法、並びにそのゾルを含むエポキシ硬化剤及び該エポキシ硬化剤を用いたエポキシ樹脂硬化体に関する。
発光ダイオード(LED)等の光半導体素子を封止する際に用いられる封止用樹脂組成物としては、その硬化体が透明性を有することが要求されており、一般に、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレート等のエポキシ樹脂と硬化剤となる酸無水物とを用いて得られるエポキシ樹脂硬化用組成物が汎用されている。しかし、前記エポキシ樹脂硬化用組成物を封止用樹脂として用いると、エポキシ樹脂硬化用組成物の硬化による収縮又はエポキシ樹脂硬化体と光半導体素子との線膨張率の差に起因する歪みによって、内部応力が発生して、光半導体素子が劣化する。そこで内部応力を低減させる方法としてエポキシ樹脂硬化用組成物にシリカ粉末等の線膨張率の小さい、平均粒子径3〜60μmの無機粉末を添加することが提案され、更に無機粉末とエポキシ樹脂との屈折率を近似させることで、得られる硬化体の光透過性の低下を防ぐ方法が提案されている(特許文献1参照)。
また、無色透明のエポキシ樹脂硬化体を得る方法として、エポキシ樹脂、硬化剤、硬化促進剤及び平均一次粒径が100nm以下の無機酸化物粒子を含むエポキシ樹脂硬化用組成物が提案されている(特許文献2参照)。
一方、エポキシ樹脂硬化体の絶縁性を改良するための2液型エポキシ樹脂硬化用組成物の一方の液剤として、特定のエポキシ硬化剤に平均粒子径2μm以下の球状シリカを含む無機充填剤と硬化促進剤とを配合した液剤を用いることが提案されており、該液剤の粘度は25℃で25000〜33000mPa・sであることが開示されている(特許文献3参照)。
特開平11−74424号公報 特開2005−225964号公報 特開平11−71503号公報
発光ダイオード(LED)等の光半導体素子の封止用樹脂組成物としてシリカ粒子の配合されたエポキシ樹脂硬化用組成物を用いる場合、シリカ粒子の平均粒子径が3〜60μmでは、エポキシ樹脂とシリカ粒子の屈折率を近似させても、得られる硬化体の光透過性は十分ではない。また、平均一次粒子径が100nm以下の有機溶媒に分散した無機酸化物粒子をエポキシ樹脂硬化用組成物に配合し、硬化反応が進行しない条件で脱溶媒すると、脱溶媒が不完全となって硬化体に溶媒が残留する場合がある。また、無機充填剤において平均粒子径2μm以下の球状シリカが一定量以上であると液剤の粘度が上がり、注型作業性が低下する場合がある。
本発明の目的は、光半導体素子の封止用樹脂組成物に用いることができるエポキシ樹脂硬化用組成物の硬化剤に好適であり、高屈折率、高透明性を有する変性高屈折率コロイド粒子が30℃で液状のジカルボン酸無水物に分散されたゾル及びこのゾルを含むエポキシ硬化剤、該硬化剤を用いたエポキシ樹脂硬化体を提供するものである。
本発明は、その第1観点として、金属の酸化物コロイド粒子を核として、その外表面を複合酸化物コロイド粒子で被覆してなる変性金属酸化物コロイド粒子であって、5〜60nmの一次粒子径を有するTi、Fe、Zr、Sn、Ta、Nb、Y、Mo、W、Pb、In、Bi及びSrからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物コロイド粒子(A)を核とし且つその外表面を、二酸化珪素/酸化第二スズの質量比が0.1〜5.0であり且つ0.001〜0.08のM/(SnO2+SiO2)(但しMはアミン化合物を表す)のモル比でアミン化合物が結合し1〜4nmの一次粒子径を有するところの二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物コロイド粒子(B)で被覆してなる変性金属酸化物コロイド粒子(C)であって、且つ金属の酸化物コロイド粒子(A)に対する複合酸化物コロイド粒子(B)の質量比(B)/(A)が0.05〜0.50であり、そして該コロイド粒子(C)の粒子表面にその表面積1nm2あたり1〜4個のシリル基が結合してなることを特徴とするシラン処理変性金属酸化物コロイド粒子が30℃で液状のジカルボン酸無水物に分散されたゾル、
第2観点として、前記シリル基が下記の一般式(I)
−Si(R1a(X)3-a (I)
(但し、R1は炭素原子数1〜8の置換若しくは無置換のアルキル基若しくはハロゲン化アルキル基、炭素原子数2〜12の置換若しくは無置換のアルケニル基、炭素原子数6〜12の置換若しくは無置換のアリール基若しくはハロゲン化アリール基を表すか、又はエポキシ基、アクリロイル基、メタクリロイル基、メルカプト基、アミノ基若しくはシアノ基を表し、Xは水酸基又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基を表す。aは0〜3の整数を表す。)で表される第1観点に記載のシラン処理変性金属酸化物コロイド粒子が30℃で液状のジカルボン酸無水物に分散されたゾル、
第3観点として、前記アミン化合物が第一アミン、第二アミン及び第三アミンからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である第1観点に記載のシラン処理変性金属酸化物コロイド粒子が30℃で液状のジカルボン酸無水物に分散されたゾル、
第4観点として、前記ジカルボン酸無水物が、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、水素化メチルナジック酸無水物及び水素化トリメリット酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜3のいずれか一項に記載のシラン処理変性金属酸化物コロイド粒子が30℃で液状のジカルボン酸無水物に分散されたゾル、
第5観点として、前記シラン処理変性金属酸化物コロイド粒子を5〜70質量%で含む第1観点〜第4観点のいずれか一つに記載のシラン処理変性金属酸化物コロイド粒子が30℃で液状のジカルボン酸無水物に分散されたゾル、
第6観点として、前記第1観点〜第5観点のいずれか一つに記載のシラン処理変性金属酸化物コロイド粒子が30℃で液状のジカルボン酸無水物に分散されたゾルを含むエポキシ硬化剤、
第7観点として、前記シラン処理変性金属酸化物コロイド粒子100質量部に対し非アルコール性有機溶媒を0.01〜50質量部含む第6観点に記載のエポキシ硬化剤、
第8観点として、第6観点又は第7観点に記載のエポキシ硬化剤と、エポキシ樹脂とを含むことを特徴とするエポキシ樹脂硬化用組成物、
第9観点として、更に硬化促進剤を含有する第8観点に記載のエポキシ樹脂硬化用組成物、
第10観点として、エポキシ樹脂100質量部に対して、前記エポキシ硬化剤が50〜500質量部、前記硬化促進剤が0.1〜10質量部を含有する第9観点に記載のエポキシ樹脂硬化用組成物、
第11観点として、第6観点又は第7観点に記載のエポキシ樹脂硬化剤を用いたエポキシ樹脂硬化体、
第12観点として、下記の(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)及び(h)工程を含む第1観点〜第5観点のいずれか一項に記載のシラン処理変性金属酸化物コロイド粒子が30℃で液状のジカルボン酸無水物に分散されたゾルの製造方法:
(a)工程:スズ酸アルカリと珪酸アルカリとを二酸化珪素/酸化第二スズの質量比として0.1〜5の比率に含有する水溶液を調製し、次いでその水溶液中に存在する陽イオンを除去して1〜4nmの一次粒子径を有する二酸化珪素−酸化第二スズ複合体コロイド粒子の水性ゾルを調製し、更に該水性ゾルにM/(SnO2+SiO2)(但しMはアミン化合物を表す)のモル比が0.1〜1.0となる量のアミン化合物を添加することにより、二酸化珪素/酸化第二スズの質量比が0.1〜5.0であり且つ0.1〜1.0のM/(SnO2+SiO2)(但しMはアミン化合物を表す)のモル比で存在するアミン化合物で安定化された1〜4nmの一次粒子径を有する二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物コロイド粒子(B’)の水性ゾルを得る工程、
(b)工程:5〜60nmの一次粒子径を有するTi、Fe、Zr、Sn、Ta、Nb、Y、Mo、W、Pb、In、Bi及びSrからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物コロイド粒子(A)の水性ゾルと(a)工程で得られた水性ゾルとを、前記金属の酸化物コロイド粒子(A)に対する前記二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物コロイド粒子(B’)の質量比(B’)/(A)が0.05〜0.50となる量で混合することにより、前記金属の酸化物コロイド粒子(A)が前記二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物コロイド粒子(B’)により被覆されてなる変性金属酸化物コロイド粒子(C’)の水性ゾルを得る工程、
(c)工程:(b)工程で得られた変性金属酸化物コロイド粒子(C’)の水性ゾルを陽イオン交換し、(a)工程で添加したアミン化合物を除去する工程、
(d)工程:(c)工程で得られた水性ゾルに、前記二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物コロイド粒子(B’)に対するアミン化合物のモル比としてM/(SnO2+SiO2)(但しMはアミン化合物を表す)が0.001〜0.08となる量のアミン化合物を添加することにより、前記金属の酸化物コロイド粒子(A)を核とし且つその外表面を、二酸化珪素/酸化第二スズの質量比が0.1〜5.0であり且つ0.001〜0.08のM/(SnO2+SiO2)(但しMはアミン化合物を表す)のモル比でアミン化合物が結合した1〜4nmの一次粒子径を有する二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物コロイド粒子(B)で被覆してなるコロイド粒子(C)であって、且つ前記金属の酸化物のコロイド粒子(A)に対する前記二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物コロイド粒子(B)の質量比(B)/(A)が0.05〜0.50である変性金属酸化物コロイド粒子(C)の水性ゾルを得る工程、
(e)工程:(d)工程で得られた水性ゾルの分散媒をアルコール性有機溶媒に置換する工程、
(f)工程:(e)工程でで得られたアルコール性有機溶媒ゾルに下記の一般式(II)
Si(R1a(X)4-a (II)
(但し、R1は炭素原子数1〜8の置換若しくは無置換のアルキル基若しくはハロゲン化アルキル基、炭素原子数2〜12の置換若しくは無置換のアルケニル基、炭素原子数6〜12の置換若しくは無置換のアリール基若しくはハロゲン化アリール基を表すか、又はエポキシ基、アクリロイル基、メタクリロイル基、メルカプト基、アミノ基若しくはシアノ基を表し、Xは水酸基又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基を表す。aは0〜3の整数を表す。)で表される有機シラン化合物及び/又はその加水分解物を前記変性金属酸化物コロイド粒子(C)に対する有機シラン化合物の質量比が0.01〜0.50となるように添加して、一般式(I)
−Si(R1a(X)3-a (I)
(但し、R1は炭素原子数1〜8の置換若しくは無置換のアルキル基若しくはハロゲン化アルキル基、炭素原子数2〜12の置換若しくは無置換のアルケニル基、炭素原子数6〜12の置換若しくは無置換のアリール基若しくはハロゲン化アリール基を表すか、又はエポキシ基、アクリロイル基、メタクリロイル基、メルカプト基、アミノ基若しくはシアノ基を表し、Xは水酸基又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基を表す。aは0〜3の整数を表す。)で表されるシリル基を前記変性金属酸化物コロイド粒子(C)の表面に結合させる工程、
(g)工程:(f)工程で得られたシラン処理変性金属酸化物コロイド粒子のアルコール性有機溶媒ゾルの分散媒を非アルコール系有機溶媒に置換する工程、
(h)工程:(g)工程で得られたシラン処理変性金属酸化物コロイド粒子の非アルコール系有機溶媒分散ゾルの分散媒を30℃で液状のジカルボン酸無水物に置換する工程。
本発明のゾルは、金属の酸化物コロイド粒子を核として、その外表面を複合酸化物コロイド粒子で被覆してなる変性金属酸化物コロイド粒子であって、5〜60nmの一次粒子径を有するTi、Fe、Zr、Sn、Ta、Nb、Y、Mo、W、Pb、In、Bi及びSrからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物コロイド粒子(A)を核とし且つその外表面を、二酸化珪素/酸化第二スズの質量比が0.1〜5.0であり且つ0.001〜0.08のM/(SnO2+SiO2)(但しMはアミン化合物を表す)のモル比でアミン化合物が結合し1〜4nmの一次粒子径を有するところの二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物コロイド粒子(B)で被覆してなる変性金属酸化物コロイド粒子(C)であって、且つ金属の酸化物コロイド粒子(A)に対する複合酸化物コロイド粒子(B)の質量比(B)/(A)が0.05〜0.50であり、そして該コロイド粒子(C)の粒子表面にその表面積1nm2あたり1〜4個のシリル基が結合してなることを特徴とするシラン処理変性金属酸化物コロイド粒子が30℃で液状のジカルボン酸無水物に分散されたゾルである。
本発明のゾルをエポキシ硬化剤として用いることにより、前記ナノサイズの前記シラン処理変性金属酸化物コロイド粒子をエポキシ樹脂硬化体中に効率的に導入することができる。そして、エポキシ樹脂が固体又は高粘稠液体であるために、金属酸化物コロイド粒子を直接エポキシ樹脂に分散させられない場合であっても、エポキシ硬化剤にシラン処理変性金属酸化物コロイド粒子が分散されているため、エポキシ樹脂硬化体中にシラン処理変性金属酸化物コロイド粒子を容易に高い充填率で分散させることができる。
また、本発明のエポキシ硬化剤は透明性が極めて高いため、充填剤としての金属酸化物成分を高濃度で含有しても、得られるエポキシ樹脂硬化体の透明性を損なうことがない。そして本発明のエポキシ硬化剤は、シラン処理変性金属酸化物コロイド粒子の含有量を適宜調整することにより、任意に屈折率の調整が可能である。このため、LED等の光半導体素子の封止用樹脂組成物に用いるエポキシ樹脂硬化用組成物のエポキシ硬化剤として極めて有用である。
本発明のゾルは、金属の酸化物コロイド粒子を核として、その外表面を複合酸化物コロイド粒子で被覆してなる変性金属酸化物コロイド粒子であって、5〜60nmの一次粒子径を有するTi、Fe、Zr、Sn、Ta、Nb、Y、Mo、W、Pb、In、Bi及びSrからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物コロイド粒子(A)を核とし且つその外表面を、二酸化珪素/酸化第二スズの質量比が0.1〜5.0であり且つ0.001〜0.08のM/(SnO2+SiO2)(但しMはアミン化合物を表す)のモル比でアミン化合物が結合し1〜4nmの一次粒子径を有するところの二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物コロイド粒子(B)で被覆してなる変性金属酸化物コロイド粒子(C)であって、且つ金属の酸化物コロイド粒子(A)に対する複合酸化物コロイド粒子(B)の質量比(B)/(A)が0.05〜0.50であり、そして該コロイド粒子(C)の粒子表面にその表面積1nm2あたり1〜4個のシリル基が結合してなることを特徴とするシラン処理変性金属酸化物コロイド粒子が30℃で液状のジカルボン酸無水物に分散されたゾルである。
本発明のゾルに含まれるシラン処理変性金属酸化物コロイド粒子の濃度は、5〜70質量%であり、好ましくは10〜60質量%である。
本発明のゾルに含まれるシラン処理変性金属酸化物コロイド粒子の核となる5〜60nmの一次粒子径を有するTi、Fe、Zr、Sn、Ta、Nb、Y、Mo、W、Pb、In、Bi及びSrからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物コロイド粒子(A)は、公知の方法、例えば、イオン交換法、解膠法、加水分解法、反応法により製造することができる。
前記のイオン交換法の例としては、前記金属の酸性塩を水素型イオン交換樹脂で処理する方法又は前記金属の塩基性塩を水酸基型陰イオン交換樹脂で処理する方法が挙げられる。
前記解膠法の例としては、前記金属の酸性塩を塩基で中和するか、又は前記金属の塩基性塩を酸で中和させて得られるゲルを洗浄した後、酸又は塩基で解膠する方法が挙げられる。
前記加水分解法の例としては、前記金属のアルコキシドを加水分解する方法、又は前記金属の塩基性塩を加熱加水分解した後、不要な酸を除去する方法が挙げられる。
前記反応法の例としては、前記金属の粉末と酸とを反応させる方法が挙げられる。
前記酸化物コロイド粒子(A)は、原子価2〜6の金属の酸化物であり、それらの形態としては、例えばTiO2、Fe23、ZrO2、SnO2、Ta25、Nb25、Y23、MoO3、WO3、PbO、In23Bi23、SrO等を例示することができる。そしてこれらの金属の酸化物は単独で用いることも、組み合わせて用いることもできる。組み合わせとしては、前記金属酸化物を数種類混合する方法や、前記金属酸化物を複合化させる方法、又は金属酸化物を原子レベルで固溶体化する方法が挙げられる。
例えばSnO2粒子とWO3粒子とがその界面で化学的な結合を生じて複合化されたSnO2−WO3複合コロイド粒子、SnO2粒子とZrO2粒子とがその界面で化学的結合を生じて複合化されたSnO2−ZrO2複合体コロイド粒子、TiO2とZrO2とSnO2とが原子レベルで固溶体を形成して得られたTiO2−ZrO2−SnO2複合コロイド粒子が挙げられる。
前記酸化物コロイド粒子(A)は、金属成分の組み合わせによる化合物として用いることもでき、例えばTiSrO3、TiBaO3が挙げられる。
本発明において核となる前記金属の酸化物コロイド粒子(A)の水性ゾルは、pH5〜11.5、好ましくはpH7〜11.5のものを用いることができる。該水性ゾルのpHは必要に応じてアルカリ成分により調整することができ、用いられるアルカリ成分としては、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属水酸化物、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウム等のアルカリ土類金属の水酸化物、アンモニア、エチルアミン、トリエチルアミン、イソプロピルアミン、n−プロピルアミン等のアルキルアミン、ベンジルアミン等のアラルキルアミン、ピペリジン等の脂環式アミン、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン、第4級アンモニウム水酸化物等が挙げられる。
本発明において核となる5乃至60nmの一次粒子径を有するTi、Fe、Zr、Sn、Ta、Nb、Y、Mo、W、Pb、In、Bi及びSrからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物コロイド粒子(A)を被覆する、二酸化珪素/酸化第二スズの質量比が0.1乃至5.0であり且つ0.001〜0.08のM/(SnO2+SiO2)(但しMはアミン化合物を表す)のモル比でアミン化合物が結合した1〜4nmの一次粒子径を有する二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物コロイド粒子(B)は、その前駆体として二酸化珪素/酸化第二スズの質量比が0.1〜5.0であり且つ0.1〜1.0のM/(SnO2+SiO2)(但しMはアミン化合物を表す)のモル比で存在するアミン化合物で安定化された1〜4nmの一次粒子径を有する二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物コロイド粒子(B’)の水性ゾルが作製され、この水性ゾルが前記金属の酸化物コロイド粒子(A)の水性ゾルに添加され、前記金属の酸化物コロイド粒子(A)の表面に前記二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物コロイド粒子(B’)が被覆された後に、陽イオン交換により安定化のためのアミン化合物が除去され、続いて前記変性金属酸化物コロイド粒子(C)の安定化に適した量のアミン化合物をその表面に結合させることにより得られるものである。前記変性金属酸化物コロイド粒子(C)の安定化に適したアミン化合物の量は、M/(SnO2+SiO2)(但しMはアミン化合物を表す)のモル比として0.001〜0.08の量である。前記二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物コロイド粒子(B)に結合するアミン化合物の量が前記M/(SnO2+SiO2)のモル比として0.001未満の量では、本発明のシラン処理変性金属酸化物コロイド粒子が30℃で液状のジカルボン酸無水物に分散されたゾルを製造する途中工程で調製されるアルコール性有機溶媒分散ゾルの分散安定性が不十分であるため好ましくない。また、前記M/(SnO2+SiO2)のモル比として0.08を超える量の場合は、前記変性金属酸化物コロイド粒子(C)の粒子表面に結合させる前記一般式(I)で表されるシリル基の結合の妨げになるため好ましくない。
前記二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物コロイド粒子(B’)は、下記に示す公知の方法(例えば特公昭50−40119号公報)を利用して得ることができる。即ち珪酸アルカリ水溶液又は珪酸ゾル液とスズ酸アルカリ水溶液とを混合した後、陽イオン交換樹脂により陽イオンを除去することにより1〜4nmの一次粒子径を有する二酸化珪素−酸化第二スズ複合体コロイド粒子を生成させ、次いでアミン化合物を添加し混合することにより、アミン化合物により安定化された二酸化珪素−酸化第二スズ複合体コロイド粒子の水性ゾルとして得ることができる。
前記アミン化合物で安定化された1〜4nmの一次粒子径を有する二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物コロイド粒子(B’)の水性ゾル中のアミン化合物は、二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物コロイド粒子(B’)の表面に吸着しているものの他、水性ゾルの分散媒中に溶解して存在することにより、該コロイド粒子(B’)の分散安定性を保持させるものと推定される。
前記珪酸アルカリ水溶液又は珪酸ゾル液とスズ酸アルカリ水溶液とを混合した後、陽イオン交換樹脂により陽イオンを除去して得られる1〜4nmの一次粒子径を有する二酸化珪素−酸化第二スズ複合体コロイド粒子の水性ゾルは、アミン化合物を加えない又は前記0.1未満のM/(SnO2+SiO2)のモル比のアミン化合物の添加では、数時間の放置により安定性を失いゲル化してしまうため、使用することができない。前記0.1〜1.0のM/(SnO2+SiO2)のモル比(但しMはアミン化合物)のアミン化合物の添加は、前記二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物コロイド粒子(B’)の水性ゾルの分散安定性の保持に十分な量である。M/(SnO2+SiO2)のモル比が1.0を超えてもアミン化合物が過剰に存在するだけで効率的ではない。
珪酸アルカリ水溶液としては珪酸ナトリウム、珪酸カリウムを、また珪酸ゾル液としてはこれらの珪酸アルカリ水溶液を陽イオン交換して得られる活性珪酸を用いることができる。スズ酸アルカリ水溶液としては、好ましくはスズ酸ナトリウム水溶液を用いることができる。
本発明に用いられるアミン化合物は、第一アミン、第二アミン及び第三アミンからなる群より選ばれる少なくとも1種である。第一アミンとしては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、イソプロピルアミン、ブチルアミン、イソブチルアミン、アミルアミン、アリルアミン、ヘキシルアミン、ヘピチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、シクロプロピルアミン、シクロブチルアミン、シクロペンチルアミン及びシクロヘキシルアミンが挙げられる。第二アミンとしては、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジブチルアミン、ジイソブチルアミン、N−エチル−1,2−ジメチルプロピルアミン、ジアミルアミン及びジアリルアミンが挙げられる。第三アミンとしては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリアミルアミン及びトリアリルアミンが挙げられる。
前記変性金属酸化物コロイド粒子(C)は、前記金属の酸化物コロイド粒子(A)を核とし且つその外表面を、二酸化珪素/酸化第二スズの質量比が0.1〜5.0であり且つ0.001〜0.08のM/(SnO2+SiO2)(但しMはアミン化合物を表す)のモル比でアミン化合物が結合し1〜4nmの一次粒子径を有するところの二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物コロイド粒子(B)で被覆して形成されている。
前記変性金属酸化物コロイド粒子(C)は、核として用いられる前記金属の酸化物コロイド粒子(A)の水性ゾルと二酸化珪素/酸化第二スズの質量比が0.1〜5.0であり且つ0.1〜1.0のM/(SnO2+SiO2)のモル比(但しMはアミン化合物)のアミン化合物で安定化された1〜4nmの一次粒子径を有する二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物コロイド粒子(B’)の水性ゾルとを、それらを金属酸化物に換算した質量比(B’)/(A)で0.05〜0.50に混合して前記変性金属酸化物コロイド粒子(C‘)の水性ゾルを得た後、該水性ゾルを陽イオン交換によりアミン化合物を除去して、更に前記二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物コロイド粒子(B’)に対するアミン化合物のモル比としてM/(SnO2+SiO2)が0.001〜0.08となる量(但しMはアミン化合物)のアミン化合物を添加することにより得られたものである。
前記変性金属酸化物コロイド粒子(C)の水性ゾルは、本発明の目的が達成される限り、他の任意成分を含有することができる。特にオキシカルボン酸類を全金属酸化物の合計量に対し約10重量%以下に含有させると分散性等の性能が更に改良されたコロイド粒子が得られる。
用いられるオキシカルボン酸の例としては、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、グルコン酸等が挙げられる。また、アルカリ成分を含有することができ、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム等のアルカリ金属の水酸化物、アンモニア等を含有することもできる。これらは前記オキシカルボン酸と併用することもできる。
前記変性金属酸化物コロイド粒子(C)の水性ゾルは、例えば蒸発法、限外濾過法等により変性金属酸化物コロイド粒子(C)の全金属酸化物の合計量として約50質量%に濃縮することができる。
本発明のゾルに含まれるシラン処理変性金属酸化物コロイド粒子は、前記変性金属酸化物コロイド粒子(C)の粒子表面に下記の一般式(I)
−Si(R1a(X)3-a (I)
(但し、R1は炭素原子数1〜8の置換若しくは無置換のアルキル基若しくはハロゲン化アルキル基、炭素原子数2〜12の置換若しくは無置換のアルケニル基、炭素原子数6〜12の置換若しくは無置換のアリール基若しくはハロゲン化アリール基を表すか、又はエポキシ基、アクリロイル基、メタクリロイル基、メルカプト基、アミノ基若しくはシアノ基を表し、Xは水酸基又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基を表す。aは0〜3の整数を表す。)で表されるシリル基が、その表面積1nm2あたり0.1〜4個結合したものであることが好ましい。
前記変性金属酸化物コロイド粒子(C)の表面積1nm2あたりのシリル基の個数は、ICP発光分光分析法、CHN元素分析法を用いて測定することができる。前記シラン処理変性金属酸化物コロイド粒子の比表面積は窒素吸着法により測定することができる。
前記変性金属酸化物コロイド粒子(C)の表面に結合する前記一般式(I)で表されるシリル基は、下記の一般式(II)で表される有機シラン化合物を前記変性金属酸化物コロイド粒子(C)の表面と反応させること結合させることができる。
(R1aSi(X)4-a (II)
(但し、R1は炭素原子数1〜8の置換若しくは無置換のアルキル基若しくはハロゲン化アルキル基、炭素原子数2〜12の置換若しくは無置換のアルケニル基、炭素原子数6〜12の置換若しくは無置換のアリール基若しくはハロゲン化アリール基を表すか、又はエポキシ基、アクリロイル基、メタクリロイル基、メルカプト基、アミノ基若しくはシアノ基を表し、Xは水酸基又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基を表す。aは0〜3の整数を表す。)
アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ヘキシル基、tert−ブチル基、sec−ブチル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基等が挙げられる。
アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。好ましくはフェニル基である。
前記一般式(II)において、Xは水酸基または加水分解可能な基であり、炭素原子数1〜4のアルコキシ基である。アルコキシ基は、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基が挙げられる。aは0〜3の整数を表す。R1又はXが複数存在するとき、複数のR1又はXはそれぞれ同じであっても異なってもよい。aとして好ましくは1又は2であり、特に好ましくは1である。
1に含まれる置換基としては特に制限はないが、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基(メチル、エチル、イソプロピル、プロピル、t−ブチル等)、アリール基(フェニル、ナフチル等)、芳香族へテロ環基(フリル、ピラゾリル、ピリジル等)、アルコキシ基(メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ等)、アリールオキシ(フェノキシ等)、アルケニル基(ビニル、1-プロペニル等)、アシルオキシ基(アセトキシ、アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ等)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル、エトキシカルボニル等)、アリールオキシカルボニル基(フェノキシカルボニル等)、カルバモイル基(カルバモイル、N−メチルカルバモイル等)、アシルアミノ基(アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ、アクリルアミノ、メタクリルアミノ等)が挙げられ、これら置換基は更に置換されていてもよい。
1が複数ある場合は、少なくとも一つが置換アルキル基又は置換アリール基であることが好ましい。
前記一般式(II)で示される有機珪素素化合物は、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラn−プロポキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラn−ブトキシシラン、テトラアセトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、メチルトリブトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリアミロキシシラン、メチルトリフェノキシシラン、メチルトリベンジルオキシシラン、メチルトリフェネチルオキシシラン、グリシドキシメチルトリメトキシシラン、グリシドキシメチルトリエトキシシラン、αーグリシドキシエチルトリメトキシシラン、α−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、β−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、β−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、α−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、α−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリブトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリフェノキシシラン、α−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、α−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、β−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、δ−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、δ−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリプロポキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリブトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリフェノキシシラン、γ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、γ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリエトキシシラン、δ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ブチルトリメトキシシラン、δ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ブチルトリエトキシシラン、グリシドキシメチルメチルジメトキシシラン、グリシドキシメチルメチルジエトキシシラン、α−グリシドキシエチルメチルジメトキシシラン、α−グリシドキシエチルメチルジエトキシシラン、β−グリシドキシエチルメチルジメトキシシラン、β−グリシドキシエチルエチルジメトキシシラン、α−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、α−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β−グリシドキシプロピルエチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジブトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジフェノキシシラン、γ−グリシドキシプロピルエチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルエチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルビニルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルビニルジエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリアセトキシシラン、3、3、3−トリフロロプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、β−シアノエチルトリエトキシシラン、クロロメチルトリメトキシシラン、クロロメチルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(β−アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(β−アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルメチルジエトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルメチルジエトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトメチルジエトキシシラン、メチルビニルジメトキシシラン、メチルビニルジエトキシシラン等が挙げられ、これらを単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、前記一般式(II)の有機シラン化合物の加水分解物は、式中のR1、Xの一部又は全部が水素原子に置換された化合物である。これら一般式(II)の有機シラン化合物の加水分解物は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
前記有機シラン化合物の加水分解は、この有機シラン化合物に水又は所望により塩酸水溶液、硫酸水溶液若しくは酢酸水溶液の酸性水溶液を添加し、攪拌することにより行われる。
本発明において、有機シラン化合物は一般式(II)で表される化合物及びその加水分解物からなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。特にメチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン及び/又はそれら加水分解物が好ましい。
本発明のシラン処理変性金属酸化物コロイド粒子が30℃で液状のジカルボン酸無水物に分散されたゾルにおいて、30℃で液状とは、30℃の大気圧下で液体状態であることを意味する。
用いられる30℃で液状のジカルボン酸無水物としては、メチルテトラヒドロフタル酸無水物、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルナジック酸無水物、水素化メチルナジック酸無水物、水素化トリメリット酸無水物、トリアルキルヒドロフタル酸無水物、ドデセニルコハク酸無水物等が挙げられる。これらの中では、耐熱性、耐光性、無色透明性の観点からメチルヘキサヒドロフタル酸無水物、水素化メチルナジック酸無水物又は水素化トリメリット酸無水物が好ましい。
本発明のシラン処理変性金属酸化物コロイド粒子が30℃で液状のジカルボン酸無水物に分散されたゾルにおいて、前記シラン処理変性金属酸化物コロイド粒子の濃度は、5〜70質量%であり、好ましくは10〜60質量%である。
また、当該ゾルの30℃におけるB型粘度は、30〜200000mPa・sであり、好ましくは30〜50000mPa・sであり、更に好ましくは30〜5000mPa・sである。
また、当該ゾルは透明性に優れており、当該ゾルにおけるシラン処理変性金属酸化物コロイド粒子(D)の濃度を10質量%に調整したときの波長500nmにおける光路長10mmの光線透過率は、30%以上であり、好ましくは40%である。
本発明は、前記シラン処理変性金属酸化物コロイド粒子が30℃で液状のジカルボン酸無水物に分散されたゾルをエポキシ硬化剤として用いることを特徴とする。
本発明のエポキシ硬化剤に含まれる前記シラン処理変性金属酸化物コロイド粒子は、5〜70質量%である。
本発明のエポキシ硬化剤は透明性が高く、且つ高い屈折率を有している。当該エポキシ硬化剤の屈折率は、1.48〜1.65である。
また本発明のエポキシ硬化剤は、粘度調整等を目的として少量の非アルコール性有機溶媒を含有していてもよく、許容される含有量の範囲は本発明のエポキシ硬化剤に含まれるシラン処理変性金属酸化物コロイド粒子100質量部に対して非アルコール性有機溶媒として0.01〜50質量部であり、好ましくは0.01〜10質量部である。
本発明のエポキシ硬化剤は、エポキシ樹脂と配合されてエポキシ樹脂硬化用組成物とすることができる。
本発明のエポキシ樹脂硬用組成物に用いられるエポキシ樹脂は特に限定されるものではないが、具体例としては、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,2−エポキシ−4−(エポキシエチル)シクロヘキサン、グリセロールトリグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、2,6−ジグリシジルフェニルグリシジルエーテル、1,1,3−トリス[p−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]プロパン、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸ジグリシジルエステル、4,4’−メチレンビス(N,N−ジグリシジルアニリン)、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、トリメチロールエタントリグリシジルエーテル、トリグリシジル−p−アミノフェノール、テトラグリシジルメタキシレンジアミン、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、テトラグリシジル−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、ビスフェノール−A−ジグリシジルエーテル、ビスフェノール−S−ジグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテルレゾルシノールジグリシジルエーテル、フタル酸ジグリシジルエステル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、テトラブロモビスフェノール−A−ジグリシジルエーテル、ビスフェノールヘキサフルオロアセトンジグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールジグリシジルエーテル、水素化ビスフェノール−A−ジグリシジルエーテル、トリス−(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート、1−{2,3−ジ(プロピオニルオキシ)}−3,5−ビス(2,3−エポキシプロピル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6・(1H,3H,5H)−トリオン、1,3−ビス{2,3−ジ(プロピオニルオキシ)}−5−(2,3−エポキシプロピル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6・(1H,3H,5H)−トリオン、モノアリルジグリシジルイソシアヌレート、ジグリセロールポリジグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、1,4−ビス(2,3−エポキシプロポキシパーフルオロイソプロピル)シクロヘキサン、ソルビトールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、レゾルシンジグリシジルエーテル、1,6−へキサンジオールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、p−ターシャリーブチルフェニルグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエーテル、o−フタル酸ジグリシジルエーテル、ジブロモフェニルグリシジルエーテル、1,2,7,8−ジエポキシオクタン、1,6−ジメチロールパーフルオロヘキサンジグリシジルエーテル、4,4’−ビス(2,3−エポキシプロポキシパーフルオロイソプロピル)ジフェニルエーテル、2,2−ビス(4−グリシジルオキシフェニル)プロパン、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシシクロヘキシルオキシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−3’,4’−エポキシ−1,3−ジオキサン−5−スピロシクロヘキサン、1,2−エチレンジオキシ−ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメタン)、4’,5’−エポキシ−2’−メチルシクロヘキシルメチル−4,5−エポキシ−2−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、エチレングリコール−ビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート)、ビス−(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(2,3−エポキシシクロペンチル)エーテル等を挙げることができる。なかでも、3,4−エポキシシクロへキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、水素化ビスフェノール−A−ジグリシジルエーテル、トリス−(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート、1−(2,3−ジ(プロピオニルオキシ))−3,5−ビス(2,3−エポキシプロピル)1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、1,3−ビス(2,3−ジ(プロピオニルオキシ))−5−(2,3−エポキシプロピル)1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン、およびこれらの混合物等が好ましく用いられる。
本発明のエポキシ樹脂硬化用組成物は、エポキシ樹脂100質量部に対して、本発明のエポキシ硬化剤が50〜500質量部であることが好ましい。
また、本発明のエポキシ樹脂硬化用組成物には適宣、硬化促進剤が含有されても良い。硬化促進剤としては、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、等のイミダゾール類;2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、ベンジルジメチルアミン等のアミン類;トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン等の有機リン化合物;トリフェニルエチルホスフォニウムブロミド等のハロゲン化トリフェニルモノアルキルホスフォニウム;テトラブチルホスホニウムO,O’−ジエチルジチオホスフェート等の第4級ホスフォニウム塩;等が挙げられる。中でも、トリフェニルエチルホスホニウムブロミド、テトラブチルホスホニウムO,O’−ジエチルジチオホスフェート、2−エチル−4−メチルイミダゾール等が、好ましい硬化促進剤として挙げられる。
本発明のエポキシ樹脂硬化用組成物には、硬化促進剤が0.1〜10質量部含有されていることが好ましい。
本発明のエポキシ硬化剤は、前記エポキシ樹脂に配合されてエポキシ樹脂硬化用組成物として調製され、得られたエポキシ樹脂硬化用組成物は加熱されることにより本発明のエポキシ樹脂硬化体となる。
前記本発明のエポキシ硬化剤と前記エポキシ樹脂とを混合する際、混合の方法は特に限定されないが、エポキシ硬化剤とエポキシ樹脂とが均一に混合されるよう攪拌下に行うことが好ましい。前記本発明のエポキシ硬化剤と前記エポキシ樹脂とを含むエポキシ樹脂硬化用組成物の粘度が高いために均一な混合が困難な場合は、該硬化用組成物の硬化反応が進まない程度の加熱を行うことにより該硬化用組成物の粘度を低下させて、作業性を改善することができる。
また、前記本発明のエポキシ硬化剤中に非アルコール性有機溶媒が含まれる場合、得られるエポキシ樹脂硬化用組成物にも前記非アルコール性有機溶媒が含まれるが、この硬化用組成物を減圧又は加熱処理等の方法によって前記非アルコール性有機溶媒を除去することが好ましい。
前記エポキシ樹脂硬化用組成物の硬化処理は、オーブン等の装置が用いられ、100〜200℃、好ましくは120〜180℃の温度で、2〜8時間、好ましくは3〜6時間で行われる。
本発明のエポキシ樹脂硬化体は、用いられるエポキシ硬化剤にシラン処理表面変性金属酸化物コロイド粒子が含まれており、且つ高い透明性を有し、更に高屈折率であることから、該硬化体の屈折率、透明性も高いものである。
また本発明のエポキシ樹脂硬化体は、線膨張率が抑制され、高い曲げ強度と曲げ弾性率を有するものである。
本発明のシラン処理変性金属酸化物コロイド粒子が30℃で液状のジカルボン酸無水物に分散されたゾルは、下記の(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)及び(h)工程を含む方法により製造することができる。
下記の(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)及び(h)工程を含む請求項1〜5のいずれか一項に記載のシラン処理変性金属酸化物コロイド粒子が30℃で液状のジカルボン酸無水物に分散されたゾルの製造方法:
(a)工程:スズ酸アルカリと珪酸アルカリとを二酸化珪素/酸化第二スズの質量比として0.1〜5の比率に含有する水溶液を調製し、次いでその水溶液中に存在する陽イオンを除去して1〜4nmの一次粒子径を有する二酸化珪素−酸化第二スズ複合体コロイド粒子の水性ゾルを調製し、更に該水性ゾルにM/(SnO2+SiO2)(但しMはアミン化合物を表す)のモル比が0.1〜1.0となる量のアミン化合物を添加することにより、二酸化珪素/酸化第二スズの質量比が0.1〜5.0であり且つ0.1〜1.0のM/(SnO2+SiO2)(但しMはアミン化合物を表す)のモル比で存在するアミン化合物で安定化された1〜4nmの一次粒子径を有する二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物コロイド粒子(B’)の水性ゾルを得る工程、
(b)工程:5〜60nmの一次粒子径を有するTi、Fe、Zr、Sn、Ta、Nb、Y、Mo、W、Pb、In、Bi及びSrからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物コロイド粒子(A)の水性ゾルと(a)工程で得られた水性ゾルとを、前記金属の酸化物コロイド粒子(A)に対する前記二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物コロイド粒子(B’)の質量比(B’)/(A)が0.05〜0.50となる量で混合することにより、前記金属の酸化物コロイド粒子(A)が前記二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物コロイド粒子(B’)により被覆されてなる変性金属酸化物コロイド粒子(C’)の水性ゾルを得る工程、
(c)工程:(b)工程で得られた変性金属酸化物コロイド粒子(C’)の水性ゾルを陽イオン交換し、(a)工程で添加したアミン化合物を除去する工程、
(d)工程:(c)工程で得られた水性ゾルに、前記二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物コロイド粒子(B’)に対するアミン化合物のモル比としてM/(SnO2+SiO2)(但しMはアミン化合物を表す)が0.001〜0.08となる量のアミン化合物を添加することにより、前記金属の酸化物コロイド粒子(A)を核とし且つその外表面を、二酸化珪素/酸化第二スズの質量比が0.1〜5.0であり且つ0.001〜0.08のM/(SnO2+SiO2)(但しMはアミン化合物を表す)のモル比でアミン化合物が結合した1〜4nmの一次粒子径を有する二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物コロイド粒子(B)で被覆してなるコロイド粒子(C)であって、且つ前記金属の酸化物のコロイド粒子(A)に対する前記二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物コロイド粒子(B)の質量比(B)/(A)が0.05〜0.50である変性金属酸化物コロイド粒子(C)の水性ゾルを得る工程、
(e)工程:(d)工程で得られた水性ゾルの分散媒をアルコール性有機溶媒に置換する工程、
(f)工程:(e)工程でで得られたアルコール性有機溶媒ゾルに下記の一般式(II)
Si(R1a(X)4-a (II)
(但し、R1は炭素原子数1〜8の置換若しくは無置換のアルキル基若しくはハロゲン化アルキル基、炭素原子数2〜12の置換若しくは無置換のアルケニル基、炭素原子数6〜12の置換若しくは無置換のアリール基若しくはハロゲン化アリール基を表すか、又はエポキシ基、アクリロイル基、メタクリロイル基、メルカプト基、アミノ基若しくはシアノ基を表し、Xは水酸基又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基を表す。aは0〜3の整数を表す。)で表される有機シラン化合物及び/又はその加水分解物を前記変性金属酸化物コロイド粒子(C)に対する有機シラン化合物の質量比が0.01〜0.50となるように添加して、一般式(I)
−Si(R1a(X)3-a (I)
(但し、R1は炭素原子数1〜8の置換若しくは無置換のアルキル基若しくはハロゲン化アルキル基、炭素原子数2〜12の置換若しくは無置換のアルケニル基、炭素原子数6〜12の置換若しくは無置換のアリール基若しくはハロゲン化アリール基を表すか、又はエポキシ基、アクリロイル基、メタクリロイル基、メルカプト基、アミノ基若しくはシアノ基を表し、Xは水酸基又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基を表す。aは0〜3の整数を表す。)で表されるシリル基を前記変性金属酸化物コロイド粒子(C)の表面に結合させる工程、
(g)工程:(f)工程で得られたシラン処理変性金属酸化物コロイド粒子のアルコール性有機溶媒ゾルの分散媒を非アルコール系有機溶媒に置換する工程、
(h)工程:(g)工程で得られたシラン処理変性金属酸化物コロイド粒子の非アルコール系有機溶媒分散ゾルの分散媒を30℃で液状のジカルボン酸無水物に置換する工程。
(a)工程においてスズ酸アルカリとしては、スズ酸ナトリウム又はスズ酸カリウムを用いることができ、好ましくはスズ酸ナトリウムである。
珪酸アルカリとしては珪酸ナトリウム、珪酸カリウムを用いることができる。
スズ酸アルカリと珪酸アルカリとは、二酸化珪素/酸化第二スズを質量比として0.1〜5の比率で含有する水溶液として調製され、次いでその水溶液中に存在する陽イオンを陽イオン交換樹脂により除去する。
スズ酸アルカリと珪酸アルカリとは、二酸化珪素/酸化第二スズの質量比が0.1〜5.0の比率となるよう計量されて水に溶解され調製される。好ましい水溶液の固形分濃度は(SnO2+SiO2)として1〜12質量%である。
調製された水溶液は陽イオン交換樹脂を用いて陽イオンが除去される。陽イオン交換樹脂としては水素型の強酸性陽イオン交換樹脂が好ましく、例えばアンバーライト(登録商標)120B等をカラムに充填して用いることができる。この陽イオン交換を行うことにより、珪酸成分とスズ酸成分とが重合し、1〜4nmの一次粒子径を有する二酸化珪素−酸化第二スズ複合体コロイド粒子が生成する。
この二酸化珪素−酸化第二スズ複合体コロイド粒子は安定性に乏しく、放置すると数時間でゲル化するため、陽イオン交換後は速やかにアミン化合物を添加して安定化させて、二酸化珪素/酸化第二スズの質量比が0.1〜5.0であり且つ0.1〜1.0のM/(SnO2+SiO2)(但しMはアミン化合物を表す)のモル比で存在するアミン化合物で安定化された1〜4nmの一次粒子径を有する二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物コロイド粒子(B’)の水性ゾルとすることが必要である。得られる水性ゾルは(SnO2+SiO2)として0.1〜10質量%である。
前記陽イオン交換により生成する二酸化珪素−酸化第二スズ複合体コロイド粒子の安定化には、M/(SnO2+SiO2)(但しMはアミン化合物を表す)のモル比として0.1〜1.0となる量のアミン化合物の添加が適切である。M/(SnO2+SiO2)のモル比が0.1〜1.0未満のアミン化合物の添加では、数時間の放置により安定性を失いゲル化するため好ましくない。
次いで(b)工程において、5〜60nmの一次粒子径を有するTi、Fe、Zr、Sn、Ta、Nb、Y、Mo、W、Pb、In、Bi及びSrからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物コロイド粒子(A)の水性ゾルと(a)工程で得られた二酸化珪素/酸化第二スズの質量比が0.1〜5.0であり且つ0.1〜1.0のM/(SnO2+SiO2)(但しMはアミン化合物を表す)のモル比のアミン化合物で安定化された1〜4nmの一次粒子径を有する二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物コロイド粒子(B’)の水性ゾルとを、前記金属の酸化物コロイド粒子(A)に対する前記二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物コロイド粒子(B’)の質量比(B’)/(A)として0.05〜0.50の比で混合することにより、前記金属の酸化物コロイド粒子(A)が前記二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物コロイド粒子(B’)により被覆された変性金属酸化物コロイド粒子(C’)の水性ゾルを得ることができる。
前記金属の酸化物コロイド粒子(A)の水性ゾルの固形分濃度は0.5〜50質量%であり、5〜30質量%であることが好ましい。
前記金属の酸化物コロイド粒子(A)の水性ゾルは、pH5〜11.5、好ましくはpH7〜11.5のものを用いることができる。該水性ゾルのpHは必要に応じてアルカリ成分により調整することができ、用いられるアルカリ成分としてはリチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属水酸化物、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウム等のアルカリ土類金属の水酸化物、アンモニア、エチルアミン、トリエチルアミン、イソプロピルアミン、n−プロピルアミン等のアルキルアミン、ベンジルアミン等のアラルキルアミン、ピペリジン等の脂環式アミン、モノエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン、第4級アンモニウム水酸化物等が挙げられる。
前記金属の酸化物コロイド粒子(A)の水性ゾルと前記(a)工程で得られた水性ゾルとの混合は、攪拌下で行うことが好ましい。
前記金属の酸化物コロイド粒子(A)に対する前記二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物コロイド粒子(B’)の混合比は、質量比(B’)/(A)として0.05〜0.50が好ましく、0.05未満では二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物コロイド粒子(B’)による核となる前記金属の酸化物コロイド粒子(A)の被覆を十分に行うことができない。また、前記質量比は0.50で十分であり、0.50を超えても効率的ではない。
次いで(c)工程において(b)工程で得られた変性金属酸化物コロイド粒子(C‘)の水性ゾルの陽イオン交換を行う。陽イオン交換は水素型の強酸性陽イオン交換樹脂を用いることが好ましい。
次いで(d)工程では、(c)工程で得られた水性ゾルに、前記二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物コロイド粒子(B’)に対するアミン化合物のモル比としてM/(SnO2+SiO2)(但しMはアミン化合物を表す)が0.001〜0.08となる量のアミン化合物を添加する。添加するアミン化合物の量が前記M/(SnO2+SiO2)のモル比として0.001未満では、本発明のシラン処理変性金属酸化物コロイド粒子が30℃で液状のジカルボン酸無水物に分散されたゾルを製造する途中工程で調製されるアルコール性有機溶媒分散ゾルの分散安定性が不十分となるため好ましくない。また、前記M/(SnO2+SiO2)のモル比として0.08を超える場合は、前記変性金属酸化物コロイド粒子(C)の粒子表面に結合させる前記一般式(I)で表されるシリル基の結合の妨げになるため好ましくない。
次いで(e)工程では、(d)工程で得られた水性ゾルの分散媒をアルコール性有機溶媒に置換する。分散媒を水からアルコール性有機溶媒に置換する方法は公知の方法を用いることができ、例えば常圧下又は減圧下における蒸発置換法、限外濾過膜法、溶媒抽出法等を用いることができる。
溶媒置換を効率よく行うため、(d)工程で得られた水性ゾルは、含まれる変性金属酸化物コロイド粒子(C)の濃度を1〜70質量%、又は10〜50質量%の範囲で予め濃縮しておくことが好ましい。ゾルの濃縮は、加熱蒸発法、限外濾過法等の公知の方法を用いることができる。溶媒置換の際のゾルの温度は室温からアルコール性有機溶媒の沸点の範囲で行われる。溶媒置換はゾル中の水分が5質量%未満となるまで行われる。
(e)工程で得られるゾルの固形分濃度は、前記変性金属酸化物コロイド粒子(C)の全金属酸化物濃度として20〜70質量%である。
用いられるアルコール性有機溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール,iso−プロパノール、n−ブタノール、t−ブチルアルコール、アミルアルコール等が挙げられる。
次いで(f)工程では、(e)工程で得られたアルコール性有機溶媒分散ゾルの分散媒を非アルコール性有機溶媒に置換する。分散媒をアルコール性有機溶媒から非アルコール性有機溶媒に置換する方法は公知の方法を用いることができ、例えば常圧下又は減圧下における蒸発置換法、限外濾過膜法、溶媒抽出法等を用いることができる。
用いられる非アルコール性有機溶媒としては、ジカルボン酸無水物と相溶性が良好なものが好ましく、更に本発明のエポキシ硬化剤の製造工程において容易に脱溶媒を行えるように、その沸点が100℃以下であるものが好ましい。具体的にはジエチルエーテル、酢酸メチル、酢酸エチル、アセトン、メチルエチルケトン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、ジクロロメタン、アセトニトリル等が好ましい。
次いで(g)工程では、(f)工程で得られた非アルコール性有機溶媒分散ゾルに下記の一般式(II)
Si(R1a(X)4-a (II)
(但し、R1は炭素原子数1〜8の置換若しくは無置換のアルキル基若しくはハロゲン化アルキル基、炭素原子数2〜12の置換若しくは無置換のアルケニル基、炭素原子数6〜12の置換若しくは無置換のアリール基若しくはハロゲン化アリール基を表すか、又はエポキシ基、アクリロイル基、メタクリロイル基、メルカプト基、アミノ基若しくはシアノ基を表し、Xは水酸基又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基を表す。aは0〜3の整数を表す。)で表される有機シラン化合物及び/又はその加水分解物を前記変性金属酸化物コロイド粒子(C)に対する有機シラン化合物の質量比が0.01〜0.50となるように添加して、一般式(I)
−Si(R1a(X)3-a (I)
(但し、R1は炭素原子数1〜8の置換若しくは無置換のアルキル基若しくはハロゲン化アルキル基、炭素原子数2〜12の置換若しくは無置換のアルケニル基、炭素原子数6〜12の置換若しくは無置換のアリール基若しくはハロゲン化アリール基を表すか、又はエポキシ基、アクリロイル基、メタクリロイル基、メルカプト基、アミノ基若しくはシアノ基を表し、Xは水酸基又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基を表す。aは0〜3の整数を表す。)で表されるシリル基を前記変性金属酸化物コロイド粒子(C)の表面に結合させる。
(f)工程に用いられる一般式(II)の有機シラン化合物の例示は上述の通りであり、(e)工程で得られた変性金属酸化物コロイド粒子(C)のアルコール性有機溶媒分散ゾルに前記一般式(II)で表される有機シラン化合物を添加して熟成することにより、前記式(II)で表されるシリル基が前記変性金属酸化物コロイド粒子(C)の表面に結合される。
前記一般式(II)で表される有機シラン化合物から前記式(I)で表されるシリル基が生成するためには、前記有機シラン化合物1モルに対して1〜4モルの水が必要である。この必要な水は、予め前記アルコール性有機溶媒分散ゾルに含有させてもよく、また該ゾルに有機シラン化合物の添加した後に加えてもよい。
前記アルコール性有機溶媒分散ゾルに前記有機シラン化合物が添加された後は熟成が行われる。熟成温度は常温から用いられるアルコール性有機溶媒の沸点の範囲で行うことができ、前記アルコール性有機溶媒の沸点付近で行う方がシリル基の反応効率がよく、好ましい。
前記の熟成は、大気圧下で行うことができ、還流下で行うことが好ましい。
前記一般式(II)の有機シラン化合物は予め加水分解を行ったものを添加してもよい。前記有機シラン化合物の加水分解物は、この有機シラン化合物に水又は所望により塩酸水溶液、硫酸水溶液若しくは酢酸水溶液の酸性水溶液を添加し、攪拌することにより得ることができる。
用いられる有機シラン化合物は、特にメチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン及び/又はそれら加水分解物が好ましい。
(f)工程を行うことにより、前記変性金属酸化物コロイド粒子(C)の粒子表面にその表面積1nm2あたり0.1〜4個のシリル基が結合してなるシラン処理変性金属酸化物コロイド粒子のアルコール性有機溶媒が得られる。得られる非アルコール性有機溶媒分散ゾルの固形分濃度は、前記シラン処理変性金属酸化物コロイド粒子の全金属酸化物濃度として5〜70質量%である。
次いで(h)工程では、(g)工程で得られた非アルコール性有機溶媒分散ゾルの分散媒を30℃で液状のジカルボン酸無水物に置換する。分散媒をアルコール性有機溶媒から非アルコール性有機溶媒に置換する方法は公知の方法を用いることができ、例えば常圧下又は減圧下における蒸発置換法、限外濾過膜法、溶媒抽出法等を用いることができる。
用いられる30℃で液状のジカルボン酸無水物としては、メチルテトラヒドロフタル酸無水物、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルナジック酸無水物、水素化メチルナジック酸無水物、水素化トリメリット酸無水物、トリアルキルヒドロフタル酸無水物、ドデセニルコハク酸無水物等が挙げられる。これらの中では、耐熱性、耐光性、無色透明性の観点からメチルヘキサヒドロフタル酸無水物、水素化メチルナジック酸無水物又は水素化トリメリット酸無水物が好ましい。
以下本発明の実施例によりさらに詳細に説明するが、これらに限定して解釈されるものではない。
各コロイド粒子及び各エポキシ硬化剤の物性測定方法を以下に示す。
〔水分〕
カールフィッシャー滴定法にて求めた。
〔コロイド粒子の動的光散乱法粒子径〕
各ゾルをその分散媒と同じ溶媒で希釈し、その溶媒のパラメーターを用いてコールターN5(商品名:米国コールター社製)で測定した。
〔総金属酸化物濃度〕
試料を坩堝に計り取り、坩堝中で800℃にて焼成した残分によって算出した。
〔有機溶媒含有量〕
ガスクロマトグラフィーにて求めた。
ガスクロマトグラフィー条件は以下の通りとした。
カラム:3mm×1mガラスカラム
充填剤:ポーラパックQ
カラム温度:130〜230℃(昇温8℃/min)
キャリアー:N2 40mL/min
検出器:FID
注入量:1μL
内部標準:メチルエチルケトン
〔粘度〕
エポキシ硬化剤の30℃における粘度を東機産業社製のB型回転粘度計を用いて測定した。
〔光線透過率〕
エポキシ硬化剤中のシラン処理変性金属酸化物コロイド粒子の濃度を10質量%に調整したときの波長500nmにおける光路長10mmの光線透過率をカラーメーター(東京電色社製 TC−1800MK2を用いて測定した。ブランクには純水を使用した。液温は23℃とした。
実施例1
JIS3号珪酸ナトリウム(SiO2として29.8質量%含有、富士化学(株)製)36gを純水400gに溶解し、次いでスズ酸ナトリウムNaSnO3・H2O(SnO2として55.1質量%含有、昭和化工(株)製)9.8gを溶解した。得られた水溶液を水素型陽イオン交換樹脂(アンバーライト(登録商標)IR−120B)を充填したカラムに通すことにより、酸性の酸化第二スズ−シリカ複合コロイド粒子の水性ゾル(pH2.4、SnO2として0.44質量%、SiO2として0.87質量%を含有、SiO2/SnO2質量比2.0)1240gを得た。次いで得られた水性ゾルにジイソプロピルアミンを3.2g添加した。得られたゾルはアルカリ性の酸化第二スズ−シリカ複合コロイド粒子の水性ゾルであり、pH8.0であった。該水性ゾルは、透過型電子顕微鏡により5nm以下の1次粒子径のコロイド粒子が観察された。また、ジイソプロピルアミン/(SnO2+SiO2)のモル比は、0.15であった。
別途、1m3の反応容器に炭酸水素テトラメチルアンモニウム水溶液(多摩化学工業(株)製、水酸化テトラメチルアンモニウムに換算して42.4質量%を含有する。)251.85kgと純水95.6kgとを投入し希釈水溶液とした。この水溶液を攪拌しながら、オキシ炭酸ジルコニウム粉末(ZrOCO3、AMR社製、ZrO2として40.11質量%を含有する。)を該水溶液中に徐々に添加し、合計で491.85kg投入した。添加終了後、85℃に加熱した後、メタスズ酸(昭和化工(株)製、SnO2として7.08kg含有する。)8.23kgを徐々に添加し、105℃にて5時間加熱熟成を行った。この加熱熟成終了時点では混合液はゾル状であった。更に145℃で5時間の水熱処理を行った。水熱処理後に得られたものは、酸化ジルコニウム−酸化第二スズ複合体のコロイド粒子を含有するゾルであり、(ZrO2+SnO2)濃度として12.86質量%、比重1.180、pH10.62であった。次いでこのゾルを限外ろ過装置にて純水を添加しながら、ゾルを洗浄、濃縮したところ、濃度6.03質量%の比重1.052、pH9.43の酸化ジルコニウム−酸化スズ複合体コロイド粒子を含むゾル1040kgが得られた。得られた酸化ジルコニウム−酸化第二スズ複合体コロイドは、電子顕微鏡観察による粒子径が5〜15nmであった。
上記で得られた酸化ジルコニウム−酸化第二スズ複合コロイド粒子の水性ゾル830g(ZrO2+SnO2として50gを含有する)に、予め製造したアルカリ性の二酸化珪素−酸化第二スズ複合コロイド粒子の水性ゾル769gを添加し、十分に攪拌した。次いで95℃で2時間加熱熟成して、二酸化珪素−酸化第二スズ複合コロイド粒子で被覆された変性酸化ジルコニウム−酸化第二スズ複合コロイド粒子の水性ゾル1599gを得た。得られたゾルのpHは8.3、全金属酸化物濃度は3.7質量%であった。得られた変性酸化ジルコニウム−酸化第二スズ複合コロイド粒子の水性ゾルを水素型陽イオン交換樹脂(アンバーライトIR−120B)500gを充填したカラムに通し、酸性の変性酸化ジルコニウム−酸化第二スズ複合コロイド粒子の水性ゾル1980gを得た。得られたゾルはpH2.7、全金属酸化物濃度は3.0質量%であった。得られた酸性ゾルにジイソブチルアミンを0.5g添加し、変性酸化ジルコニウム−酸化第二スズコロイド粒子の表面にジイソブチルアミンを結合させた。このときのゾルのpHは4.3であった。次いで得られたゾルを限外濾過装置を用いて全金属酸化物濃度が20質量%となるまで濃縮した。全金属酸化物濃度20質量%に濃縮された水性ゾルの比重は1.211、pHは3.7であった。この濃縮された水性ゾルをナス型フラスコ付きエバポレータに投入し、該ゾルにメタノールを添加しながら600Torrで水を留去することにより、ジイソブチルアミンが結合した変性酸化ジルコニウム−酸化第二スズコロイド粒子のメタノールゾルを得た。得られたメタノールゾルは、比重0.961、粘度1.0mPa・s、pH4.9(ゾルと同質量の水で希釈して測定した。)、全金属酸化物濃度21質量%、水分2.3%であった。得られたメタノールゾルにフェニルトリメトキシシラン(信越シリコーン社製:商品名KBM−103)を7.6g添加し、約70℃で還留加熱を5時間行うことによりシリル化を行い、フェニルジメトキシシリル基を変性酸化ジルコニウム−酸化第二スズコロイド粒子の表面に結合させた。得られたメタノールゾルをエバポレータを用いて80Torrでアセトニトリルを添加しながらメタノールを留去することにより、分散媒であるメタノールをアセトニトリルに置換して、ジイソブチルアミン及びフェニルジメトキシシリル基が表面に結合したシラン処理変性酸化ジルコニウム−酸化第二スズコロイド粒子のアセトニトリルゾルが得られた。得られたゾルは、粘度1.2mPa・s、全金属酸化物濃度26.6質量%、透過型電子顕微鏡観察による一次粒子径は5〜10nm、動的光散乱法粒子径は18nmであった。また、ジイソブチルアミン/(SnO2+SiO2)のモル比は、0.029であり、シラン処理変性酸化ジルコニウム−酸化第二スズコロイド粒子の表面に結合されたシリル基の個数は、該コロイド粒子の表面積1nm2当たり1.4個であった。また得られたアセトニトリルゾルの物性値は、アセトニトリル濃度73.0質量%、メタノール濃度0.1%、水分0.1質量%、ジイソブチルアミン0.2質量%、当該ゾルを等質量の水で希釈した場合のpHは5.3であった。このアセトニトリルゾル218gにメチルヘキサヒドロフタル酸無水物(東京化成工業社製)を136g添加し、エバポレーターにて340〜20Torr、浴温70〜90℃でアセトニトリルを蒸発留去することによって、シラン処理変性ルコニウム−酸化第二スズコロイド粒子のメチルヘキサヒドロフタル酸無水物分散ゾルを得た。得られたゾルの物性値は、全金属酸化物濃度30.0質量%、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物濃度69.9質量%、アセトニトリル濃度0.1質量%、30℃におけるB型粘度80mPa・s、光線透過率49%であった。また、得られたシラン処理変性ルコニウム−酸化第二スズコロイド粒子のメチルヘキサヒドロフタル酸無水物分散ゾルをアッベ屈折計で屈折率を測定したところ、1.504であった。メチルヘキサヒドロフタル酸無水物のみでは屈折率は1.475であった。得られたシラン処理変性ルコニウム−酸化第二スズコロイド粒子のメチルヘキサヒドロフタル酸無水物分散ゾルをガラス容器に密封し、25℃で1ヶ月保存したところ、外観は無色透明、保存時も安定であった。
本発明のエポキシ硬化剤を用いたエポキシ樹脂硬化体は、高屈折率かつ透明性に優れ、LED等の光半導体素子の封止用として産業上利用可能である。

Claims (12)

  1. 金属の酸化物コロイド粒子を核として、その外表面を複合酸化物コロイド粒子で被覆してなる変性金属酸化物コロイド粒子であって、5〜60nmの一次粒子径を有するTi、Fe、Zr、Sn、Ta、Nb、Y、Mo、W、Pb、In、Bi及びSrからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物コロイド粒子(A)を核とし且つその外表面を、二酸化珪素/酸化第二スズの質量比が0.1〜5.0であり且つ0.001〜0.08のM/(SnO2+SiO2)(但しMはアミン化合物を表す)のモル比でアミン化合物が結合し1〜4nmの一次粒子径を有するところの二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物コロイド粒子(B)で被覆してなる変性金属酸化物コロイド粒子(C)であって、且つ金属の酸化物コロイド粒子(A)に対する複合酸化物コロイド粒子(B)の質量比(B)/(A)が0.05〜0.50であり、そして該コロイド粒子(C)の粒子表面にその表面積1nm2あたり0.1〜4個のシリル基が結合してなることを特徴とするシラン処理変性金属酸化物コロイド粒子が30℃で液状のジカルボン酸無水物に分散されたゾル。
  2. 前記シリル基が下記の一般式(I)
    −Si(R1a(X)3-a (I)
    (但し、R1は炭素原子数1〜8の置換若しくは無置換のアルキル基若しくはハロゲン化アルキル基、炭素原子数2〜12の置換若しくは無置換のアルケニル基、炭素原子数6〜12の置換若しくは無置換のアリール基若しくはハロゲン化アリール基を表すか、又はエポキシ基、アクリロイル基、メタクリロイル基、メルカプト基、アミノ基若しくはシアノ基を表し、Xは水酸基又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基を表す。aは0〜3の整数を表す。)で表される請求項1に記載のシラン処理変性金属酸化物コロイド粒子が30℃で液状のジカルボン酸無水物に分散されたゾル。
  3. 前記アミン化合物が第一アミン、第二アミン及び第三アミンからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である請求項1に記載のシラン処理変性金属酸化物コロイド粒子が30℃で液状のジカルボン酸無水物に分散されたゾル。
  4. 前記ジカルボン酸無水物が、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、水素化メチルナジック酸無水物及び水素化トリメリット酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1〜3のいずれか一項に記載のシラン処理変性金属酸化物コロイド粒子が30℃で液状のジカルボン酸無水物に分散されたゾル。
  5. 前記シラン処理変性金属酸化物コロイド粒子を5〜70質量%で含む請求項1〜4のいずれか一項に記載のシラン処理変性金属酸化物コロイド粒子が30℃で液状のジカルボン酸無水物に分散されたゾル。
  6. 前記請求項1〜5のいずれか一項に記載のシラン処理変性金属酸化物コロイド粒子が30℃で液状のジカルボン酸無水物に分散されたゾルを含むエポキシ硬化剤。
  7. 前記シラン処理変性金属酸化物コロイド粒子100質量部に対し非アルコール性有機溶媒を0.01〜50質量部含む請求項6に記載のエポキシ硬化剤。
  8. 請求項6又は7に記載のエポキシ硬化剤と、エポキシ樹脂とを含むことを特徴とするエポキシ樹脂硬化用組成物。
  9. 更に硬化促進剤を含有する請求項8に記載のエポキシ樹脂硬化用組成物。
  10. エポキシ樹脂100質量部に対して、前記エポキシ硬化剤が50〜500質量部、前記硬化促進剤が0.1〜10質量部を含有する請求項9に記載のエポキシ樹脂硬化用組成物。
  11. 請求項6又は7に記載のエポキシ樹脂硬化剤を用いたエポキシ樹脂硬化体。
  12. 下記の(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)、(g)及び(h)工程を含む請求項1〜5のいずれか一項に記載のシラン処理変性金属酸化物コロイド粒子が30℃で液状のジカルボン酸無水物に分散されたゾルの製造方法:
    (a)工程:スズ酸アルカリと珪酸アルカリとを二酸化珪素/酸化第二スズの質量比として0.1〜5の比率に含有する水溶液を調製し、次いでその水溶液中に存在する陽イオンを除去して1〜4nmの一次粒子径を有する二酸化珪素−酸化第二スズ複合体コロイド粒子の水性ゾルを調製し、更に該水性ゾルにM/(SnO2+SiO2)(但しMはアミン化合物を表す)のモル比が0.1〜1.0となる量のアミン化合物を添加することにより、二酸化珪素/酸化第二スズの質量比が0.1〜5.0であり且つ0.1〜1.0のM/(SnO2+SiO2)(但しMはアミン化合物を表す)のモル比で存在するアミン化合物で安定化された1〜4nmの一次粒子径を有する二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物コロイド粒子(B’)の水性ゾルを得る工程、
    (b)工程:5〜60nmの一次粒子径を有するTi、Fe、Zr、Sn、Ta、Nb、Y、Mo、W、Pb、In、Bi及びSrからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物コロイド粒子(A)の水性ゾルと(a)工程で得られた水性ゾルとを、前記金属の酸化物コロイド粒子(A)に対する前記二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物コロイド粒子(B’)の質量比(B’)/(A)が0.05〜0.50となる量で混合することにより、前記金属の酸化物コロイド粒子(A)が前記二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物コロイド粒子(B’)により被覆されてなる変性金属酸化物コロイド粒子(C’)の水性ゾルを得る工程、
    (c)工程:(b)工程で得られた変性金属酸化物コロイド粒子(C’)の水性ゾルを陽イオン交換し、(a)工程で添加したアミン化合物を除去する工程、
    (d)工程:(c)工程で得られた水性ゾルに、前記二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物コロイド粒子(B’)に対するアミン化合物のモル比としてM/(SnO2+SiO2)(但しMはアミン化合物を表す)が0.001〜0.08となる量のアミン化合物を添加することにより、前記金属の酸化物コロイド粒子(A)を核とし且つその外表面を、二酸化珪素/酸化第二スズの質量比が0.1〜5.0であり且つ0.001〜0.08のM/(SnO2+SiO2)(但しMはアミン化合物を表す)のモル比でアミン化合物が結合した1〜4nmの一次粒子径を有する二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物コロイド粒子(B)で被覆してなるコロイド粒子(C)であって、且つ前記金属の酸化物のコロイド粒子(A)に対する前記二酸化珪素−酸化第二スズ複合酸化物コロイド粒子(B)の質量比(B)/(A)が0.05〜0.50である変性金属酸化物コロイド粒子(C)の水性ゾルを得る工程、
    (e)工程:(d)工程で得られた水性ゾルの分散媒をアルコール性有機溶媒に置換する工程、
    (f)工程:(e)工程でで得られたアルコール性有機溶媒ゾルに下記の一般式(II)
    Si(R1a(X)4-a (II)
    (但し、R1は炭素原子数1〜8の置換若しくは無置換のアルキル基若しくはハロゲン化アルキル基、炭素原子数2〜12の置換若しくは無置換のアルケニル基、炭素原子数6〜12の置換若しくは無置換のアリール基若しくはハロゲン化アリール基を表すか、又はエポキシ基、アクリロイル基、メタクリロイル基、メルカプト基、アミノ基若しくはシアノ基を表し、Xは水酸基又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基を表す。aは0〜3の整数を表す。)で表される有機シラン化合物及び/又はその加水分解物を前記変性金属酸化物コロイド粒子(C)に対する有機シラン化合物の質量比が0.01〜0.50となるように添加して、一般式(I)
    −Si(R1a(X)3-a (I)
    (但し、R1は炭素原子数1〜8の置換若しくは無置換のアルキル基若しくはハロゲン化アルキル基、炭素原子数2〜12の置換若しくは無置換のアルケニル基、炭素原子数6〜12の置換若しくは無置換のアリール基若しくはハロゲン化アリール基を表すか、又はエポキシ基、アクリロイル基、メタクリロイル基、メルカプト基、アミノ基若しくはシアノ基を表し、Xは水酸基又は炭素原子数1〜4のアルコキシ基を表す。aは0〜3の整数を表す。)で表されるシリル基を前記変性金属酸化物コロイド粒子(C)の表面に結合させる工程、
    (g)工程:(f)工程で得られたシラン含有変性金属酸化物コロイド粒子のアルコール性有機溶媒ゾルの分散媒を非アルコール系有機溶媒に置換する工程、
    (h)工程:(g)工程で得られたシラン処理変性金属酸化物コロイド粒子の非アルコール系有機溶媒分散ゾルの分散媒を30℃で液状のジカルボン酸無水物に置換する工程。
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