JP5707021B2 - 磁場計測装置 - Google Patents

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Description

本発明は、光ポンピング磁力計の磁場検出感度における性能評価の簡易化や、ガスセルの個体差に対する校正、そしてガスセル内のアルカリ金属と緩衝ガスとの最適な組み合わせに関する。
従来の光ポンピング磁力計の磁場検出感度における性能評価には、振動磁場の周波数を掃引することで得られる磁気共鳴スペクトル計測と、振動磁場の周波数をガスセル内のアルカリ金属のスピン歳差周波数にフィードバック制御して得られる磁気共鳴信号計測をそれぞれ行わなければならない。そのため、当該光ポンピング磁力計の性能は短時間で判定できない。また、ガスセル内に希ガスや非磁性ガスなどを緩衝ガスとして同封することや、セル内壁をパラフィンなどの飽和炭化水素でコーティングすることで、光ポンピング磁力計の磁場検出感度を向上させることが知られているが、最適な緩衝ガスの種類や最適なガス圧などは不明である。さらに、セル内壁のコーティング技術は容易でなく、製作されたセルは個体差が生じやすい。
2つの各計測から得られる磁気共鳴スペクトルの線幅(Δf)と磁気共鳴信号のSN比(SN)の比(Δf/SN)を、磁場検出感度の評価に利用する(APPLIED PHYSICS B 80, 645 (2005))。
J. Res. Natl. Inst. Stand. Technol. 110(3), 179-183 (2005) Appl. Phys. B 80(6), 645-654 (2005) The European Physical Journal D 38(2), 239-247 (2006)
従来の手法では、最初にガスセルに印加する振動磁場の周波数を掃引することで、当該ガスセルを通過した光源からの光と当該振動磁場との位相差をロックイン検出するロックインアンプの出力信号から磁気共鳴スペクトルを計測する。次に、当該磁気共鳴スペクトルの共鳴周波数に振動磁場の周波数をロックして、振動磁場の周波数を1Hz程度の緩やかなスピードでフィードバック制御し、その際の当該ガスセルを通過した当該光源からの光をスペクトルアナライザなどの周波数分析機器で解析することで得られる周波数特性から光磁気共鳴信号のSN比を計測する。このように、異なる2つの計測を個別に行うため、当該光ポンピング磁力計の性能評価に時間がかかる。また、複数のガスセルの評価や、当該光ポンピング磁力計がマルチチャンネル型の仕様である場合は、性能評価には多大な時間を浪費してしまう。
従来の手法では、経験的にガスセル内のアルカリ金属原子のセル内壁への衝突を緩和させるために、希ガスや非磁性ガスが同封される。しかしながら、過去に行なわれた報告では、使用者によって使用される緩衝ガスの種類やガス圧は異なり、最適なガス種・ガス圧は不明である。また、緩衝ガスを使用する以外にもセル内壁に飽和炭化水素などをコートすることが報告されているが、コートする技術は容易でないため、緩衝ガスを使用する場合に比べてセルの個体差が大きい。
また、従来、当該光ポンピング磁力計の性能を評価するために、最初に磁気共鳴スペクトルを検出し、その結果から分かった共鳴周波数を基準にRF周波数を制御した状態で当該セルを通過した光のパワースペクトルから磁気共鳴信号のSN比を測定して、2種類のそれぞれ同時計測できない異なる計測から得られた結果を用いていた。そのため、性能評価を行う際に時間がかかる。
実際に、個別の複数のセルに取り替えた場合の当該光ポンピング磁力計を性能評価する際や、複数のセルから構成されるマルチチャンネル型の光ポンピング磁力計を性能評価する際には、従来の手法では多大な時間を必要とする。さらに、性能評価を同時に行えないため、使用する光源の周波数変動、静磁場強度変動、当該セルに入る環境磁気ノイズ変動によって得られた性能評価結果に誤差が生じる危険性がある。
以上の問題点に鑑み、本発明は、光磁気共鳴スペクトルのみを利用することで、光ポンピング磁力計の性能評価を簡易的かつ迅速に行い、最適な緩衝ガス条件を選定することを目的とする。
本発明では、光ポンピング磁力計を動作させる際にガスセルに印加する振動磁場の周波数を掃引していき、共鳴周波数をピークにもつ磁気共鳴スペクトルを検出する。
検出された前記磁気共鳴スペクトルのピーク値(Mi)と、ピーク値の半分の値での前記磁気共鳴スペクトルの線幅(半値半幅:Δf)との比であるMi/Δfの値を、前記光ポンピング磁力計の性能評価指数として利用する。前記光ポンピング磁力計の性能に影響するガスセル内の緩衝ガス条件やセル内壁のコートにおける前記ガスセル製造時の個体差やマルチチャンネルセンサーとして使用する際の各センサーの感度補正のために、前記性能指数を適用する。
本発明の他の様態によると、位相変調光を生じさせる電気光学変調器に印加するマイクロ波シンセサイザーの周波数を掃引していき、コヒーレントポピュレーショントラッピングが生じる共鳴周波数をピークにもつCPT共鳴スペクトルを検出する。検出された前記CPT共鳴スペクトルのピーク値(Mi)と、ピーク値の半分の値での前記CPT共鳴スペクトルの線幅(半値半幅:Δf)との比であるMi/Δfの値を、光ポンピング磁力計の性能評価指数として利用する。前記光ポンピング磁力計の性能に影響するガスセル内の緩衝ガス条件やセル内壁のコートにおける前記ガスセル製造時の個体差やマルチチャンネルセンサーとして使用する際の各センサーの感度補正のために、前記性能指数を適用する。
本発明のさらに他の様態によると、ポンプ光をセルに入射させる直前に設置したチョッパでポンプ光を遮る際の当該チョッパのチョッパ周波数を掃引していき、セルを通過したプローブ光から磁気共鳴スペクトルを検出する。検出された前記磁気共鳴スペクトルのピーク値(Mi)と、ピーク値の半分の値での前記磁気共鳴スペクトルの線幅(半値半幅:Δf)との比であるMi/Δfの値を、前記光ポンピング磁力計の性能評価指数として利用する。前記光ポンピング磁力計の性能に影響するガスセル内の緩衝ガス条件やセル内壁のコートにおける前記ガスセル製造時の個体差や複数のガスセルから構成するマルチチャンネルセンサーとして使用する際の各センサーの感度補正のために、前記性能指数を適用する。
本発明によると、光ポンピング磁力計の磁場検出感度を評価するために、センサー部であるガスセルで生じる共鳴現象を利用する。
本発明では、当該光ポンピング磁力計を動作させる際に使用するガスセルの共鳴周波数を把握するために、振動周波数を掃引して得られる磁気共鳴スペクトルのみで当該光ポンピング磁力計の性能評価を行うことで、評価時間を大幅に短縮できる。また、新たな計測機器を要せず、当該光ポンピング磁力計の基本構成で計測を行うことができ、従来の手法でパワースペクトルを計測するために必要であった高価なスペクトルアナライザなどの周波数分析器を一切必要としない利点もある。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1-Aは、磁気共鳴スペクトルを利用する光ポンピング磁力計の性能評価を行うための構成例を、図1-Bは性能評価に利用する磁気共鳴スペクトルを示す図である。
ガスセル114内のアルカリ金属ガスの吸収線の波長(D1線)の光を出力する周波数安定化レーザー111を光源とする。当該ガスセル114には静磁場印加用コイル115から静磁場B0を印加しており、当該周波数安定化レーザー111からのレーザー光を偏光子112とλ/4波長板113を介して円偏光に変換して、当該静磁場B0と45度の角度を成すように当該ガスセル114に当該円偏光を照射する。その際に、当該静磁場B0と直交する方向から当該ガスセル114にRFコイル116を用いて振動磁場BRFを印加する。当該ガスセル114を通過した光は光検出器117で検出され、当該光検出器117の出力を入力信号としてロックインアンプ118に入力する。また、RFコイル116から出力される振動磁場BRFの信号源である電圧制御発振器119の出力を参照信号として当該ロックインアンプ118に入力する。当該静磁場強度B0と当該ガスセル114内のアルカリ金属原子の磁気回転比から決定する当該ガスセル内のアルカリ金属の歳差周波数が入る範囲で、当該電圧制御発振器119の周波数を掃引する。当該ロックインアンプ118から得られる出力信号を収集し、図1-Bに示す磁気共鳴スペクトルを検出する。検出された当該磁気共鳴スペクトルのピーク値(Mi)は、共鳴周波数で歳差運動している当該ガスセル内のスピン偏極したアルカリ金属原子数の程度を反映する。また、当該磁気共鳴スペクトルの線幅(Δf)の逆数は、当該ガスセル内のスピン偏極したアルカリ金属原子の歳差運動の位相が共鳴周波数からずれる緩和時間を反映する。このため、当該スピン偏極したアルカリ金属ができるだけ多く、かつできるだけ長い当該緩和時間を示すことは当該光ポンピング磁力計を高性能にする条件となる。すなわち,検出された当該光磁気共鳴スペクトルのピーク値(Mi)と線幅(Δf)との比(Mi/Δf)の値が大きいほど高感度な光ポンピング磁力計となり、本発明では Mi/Δfの値を性能指数とする。
図2を用いて、本発明の他の形態について説明する。ガスセル114内のアルカリ金属ガスの吸収線の波長(D1線)の光を出力する周波数安定化レーザー111を光源とする。当該ガスセル114には静磁場印加用コイル115から静磁場B0を印加しており、当該周波数安定化レーザー111からのレーザー光を偏光子112とλ/4波長板113を介して円偏光に変換して、マイクロ波シンセサイザー121と接続された電気光学変調器120に入射する。当該電気光学変調器120を通過した位相変調光を当該静磁場B0と平行な方向から当該ガスセル114に照射する。当該ガスセル114を通過した光は光検出器117で検出され、当該光検出器117の出力を入力信号としてロックインアンプ118に入力する。また、当該マイクロ波シンセサイザー121の出力を参照信号として当該ロックインアンプ118に入力する。当該ガスセル114内のアルカリ金属の基底準位の超微細構造のエネルギー間隔に相当する周波数が入る範囲で、当該マイクロ波シンセサイザーの周波数を掃引する。当該ロックインアンプ118から得られる出力信号を収集し、図2-Bに示すCPT共鳴スペクトルを検出する。検出された当該CPT共鳴スペクトルのピーク値(Mi)と線幅(Δf)と比(Mi/Δf)を当該光ポンピング磁力計の性能指数とし、Mi/Δfの値が大きい当該ガスセル114を用いた当該光ポンピング磁力計ほど高性能であるとする。検出された当該CPT共鳴スペクトルのピーク値(Mi)は、共鳴周波数で歳差運動している当該ガスセル内のスピン偏極したアルカリ金属原子数の程度を反映する。また、当該CPT共鳴スペクトルの線幅(Δf)の逆数は、当該ガスセル内のスピン偏極したアルカリ金属原子の歳差運動の位相が共鳴周波数からずれる緩和時間を反映する。このため、当該スピン偏極したアルカリ金属ができるだけ多く、かつできるだけ長い当該緩和時間を示すことは当該光ポンピング磁力計を高性能にする条件となる。すなわち,検出された当該CPT共鳴スペクトルのピーク値(Mi)と線幅(Δf)との比(Mi/Δf)の値が大きいほど高感度な光ポンピング磁力計となり、本発明では Mi/Δfの値を性能指数とする。
図3を用いて、本発明の他の形態について説明する。ガスセル114内のアルカリ金属ガスの吸収線の波長(D1線)の光を出力する周波数安定化レーザー111と、当該D1線とは波長が異なる非吸収線の波長の光を出力する周波数安定化レーザー122を光源とする。当該ガスセルには当該周波数安定化レーザー111からの光をポンプ光とし、当該周波数安定化レーザー122からの光をプローブ光とする。各レーザー光は当該ガスセル114に直交するように照射され、各レーザー光に直交する方向から当該ガスセル114に静磁場B0が印加されている。当該ポンプ光は偏光子112、λ/4波長板113を介して円偏光に変換され、当該ガスセル114に照射される。また、プローブ光は偏光子112を介して直線偏光に変換され、ファラデー変調器を通過後に当該ガスセル114に照射され、ガスセル通過後に偏光子112を介して光検出器117で検出される。当該光検出器117の出力はロックインアンプ118に入力信号として入力される。また、当該λ/4波長板113と当該ガスセル114との間にチョッパ124を設置し、当該ポンプ光は当該チョッパ124によって遮られる。その際に、当該静磁場強度B0と当該ガスセル114内のアルカリ金属原子の磁気回転比から決定する当該ガスセル内のアルカリ金属の歳差周波数が入る範囲で、チョッパによってポンプ光を遮る周波数を掃引し、当該掃引周波数を当該ロックインアンプ118に参照信号として入力する。当該ロックインアンプ118から得られる出力信号を収集し、図3-Bに示す磁気共鳴スペクトルを検出する。検出された当該磁気共鳴スペクトルのピーク値(Mi)と線幅(Δf)と比(Mi /Δf)を当該光ポンピング磁力計の性能指数とし、Mi /Δfの値が大きい当該ガスセル114を用いた当該光ポンピング磁力計ほど高性能であるとする。
検出された当該磁気共鳴スペクトルのピーク値(Mi)は、共鳴周波数で歳差運動している当該ガスセル内のスピン偏極したアルカリ金属原子数の程度を反映する。また、当該磁気共鳴スペクトルの線幅(Δf)の逆数は、当該ガスセル内のスピン偏極したアルカリ金属原子の歳差運動の位相が共鳴周波数からずれる緩和時間を反映する。このため、当該スピン偏極したアルカリ金属ができるだけ多く、かつできるだけ長い当該緩和時間を示すことは当該光ポンピング磁力計を高性能にする条件となる。すなわち,検出された当該磁気共鳴スペクトルのピーク値(Mi)と線幅(Δf)との比(Mi/Δf)の値が大きいほど高感度な光ポンピング磁力計となり、本発明では Mi/Δfの値を性能指数とする。
図1乃至3何れか記載の本発明の形態において、使用する光源はガスセル114内のアルカリ金属ガスの吸収線の波長(D2線)の光を出力する周波数安定化レーザーであってもよい。光源となるレーザーの出力波長を考えると、特に133Csを使用する場合はD2線の方が入手しやすい。また、アルカリ金属原子の吸光効率の面では、D2線の方がD1線よりも大きい利点がある。
図1乃至3何れか記載の本発明の形態において、当該ガスセル114は10-6 torr程度以下に高真空引きされており、当該ガスセル114内のアルカリ金属の候補として、133Cs、85Rb、87Rb、39Kが挙げられる。また、レーザー光による光ポンピングされるアルカリ金属ガスの偏極効率を高めるために、当該ガスセル114内にHe、Ne、Arなどの希ガスを緩衝ガスとして同封してもよい。また、非磁性気体であるN2を使用してもよい。その他、希ガスや非磁性気体などのバッファガスを使用する代わりに、当該ガスセル114の内壁をパラフィン、テフロン(登録商標)、シランなどの非磁性物質でコーティングしてもよい。ガスセルの製作において、バッファガスを用いた場合に比べてコーティング施したセルは個体差が生じやすい。しかしながら、コーティング施したセルはバッファガスとアルカリ金属ガスとの衝突によるアルカリ金属原子の吸収線の変化(衝突広がりや衝突シフト)がないことや、バッファガスとアルカリ金属ガスとのスピン交換衝突による磁気共鳴やCPT共鳴における線幅Δfの広がりがないなどの利点がある。
図1乃至3何れか記載の本発明の形態において、当該ガスセル114に静磁場B0を印加する当該静磁場印加用コイル119は、3つのコイルから構成される3軸の静磁場印加用コイルであってもよい。製作の面で、当該3軸の静磁場印加用コイルは1軸の静磁場印加用コイルに比べて構造的な複雑さがある。しかしながら、フラックスゲート磁力計などの磁気センサーを併用することで、より正確な磁場測定を行うことができる。例えば、各軸方向から当該ガスセル114に入る環境磁気ノイズを当該フラックスゲート磁力計でモニターして、当該モニター信号を制御信号として当該3軸の静磁場印加用コイルへフィードバックすることで、当該環境磁気ノイズと逆位相の磁場を当該3軸の静磁場印加用コイルから出力し、当該環境磁気ノイズをキャンセルアウトできる。それにより、当該ガスセル114に正確な方向かつ正確な強度で静磁場を印加できる。
図1を用いて、本発明の実施例1を説明する。ガスセル114は真空引きされて、内部にアルカリ金属ガスが封入されている。本発明では、アルカリ金属の吸収線であるD1線もしくはD2線を波長にもつランプやレーザーなどの光源を使用する。なお、使用するアルカリ金属において、39Kの場合はD1線(770nm)とD2線(766nm)、85Rbと87Rbの場合はD1線(795nm)とD2線(780nm)、133Csの場合はD1線(894nm)とD2線(852nm)である。
その際に、エネルギー遷移の間隔が比較的広く、特定のエネルギー遷移を利用できるD1線の方を使用した方が好ましい。また、小型・安価であり、波長の調整が容易な外部共振器構造の半導体レーザーや分布帰還型の半導体レーザーを使用すると、便利である。使用する光源は、当該ガスセル114内のアルカリ金属原子の熱運動によるドップラー広がりよりも狭い線幅のものが好ましい。当該ガスセル内のアルカリ金属の熱運動の速度分布がマクスウエル−ボルツマン分布をとり、ドップラー広がりを持つ吸収線は(1/((π1/2)ku))exp(-((ω−ω0)/ku)2)の式で表されるガウス型の関数となる。ここで、ω0はアルカリ金属原子の吸収線の中心周波数、kは入射レーザー光の波数である。uはマクスウエル−ボルツマン分布が最大となる速度であり、ガスセルの温度T、アルカリ金属原子の質量M、ボルツマン係数kBからu = (2kBT/M)1/2で表される。上記のガウス型の関数より、各アルカリ金属(39K、85Rb、87Rb、133Cs)のドップラー広がりは室温で数百MHz程度のドップラー広がりがあることを考えて、使用する光源の線幅は数十MHz以下のものを使用する。
光源のパワーは、使用する当該ガスセル114内のアルカリ金属原子の飽和強度以下で使用する。飽和強度は、光の波長と自然放出レートを用いた(πhcΓ)/(3λ3)の式より算出される。ここで、hはプランク定数、cは光の速度、Γは使用するアルカリ金属の自然幅、λは使用するアルカリ金属の吸収線の波長をそれぞれ表す。例えば、アルカリ金属に87Rbを用いた場合は約1.6 mW/cm2程度である。
当該周波数安定化レーザー111から放たれたレーザー光は、偏光子112とλ/4波長板113によって直線偏光から円偏光に変換される。変換された円偏光は左回りの円偏光もしくは右回りの円偏光どちらを使用してもよい。当該セル114には静磁場印加用コイル115で静磁場B0が印加されており、当該周波数安定化レーザー111からの円偏光を当該ガスセル114に入射する。その際に、当該セル114の中心において当該静磁場B0印加方向と当該ガスセル114に入射する当該円偏光との成す角度が45度になるように調整する。
ここで、当該静磁場B0印加方向と当該円偏光との成す角度をθとすると、磁場計測を行うときに当該ガスセル114を通過したレーザー光強度の変動の大きさ(振幅)はsin(2θ)で表される。そのため、当該振幅が最大になることを考えて、θは45度が最適である。
図1に示す当該静磁場印加陽コイル115は1軸ヘルムホルツコイル以外に、レーザー光との成す角度を微調整するために2軸ヘルムホルツコイルもしくは3軸ヘルムホルツコイルを当該静磁場印加陽コイル115に採用すると、コイルを当該ガスセル114に入射するレーザー光に対して45度に傾けて設置する制約がなくなることや、静磁場印加方向以外の方向から当該ガスセル114に入る環境磁気ノイズを打ち消すことにも利用きるため、より効果的である。
その他、静磁場B0をより均一に印加できるソレノイドコイルも使用でき、その際は当該ガスセル114に精度良く振動磁場が印加されるようにRFコイル116を当該ソレノイドコイル内部に配置することが好ましい。
当該ガスセル114に印加する静磁場B0と直交する方向から振動磁場BRFを当該RFコイル116によって印加する。当該振動磁場強度BRFは当該静磁場強度B0よりも十分弱く、当該振動磁場BRFの周波数は当該静磁場強度に、使用するアルカリ金属の磁気回転比を掛けて算出される周波数とする。
測定者は算出された当該周波数を中心周波数にして、振動磁場周波数の掃引範囲を設定する。当該掃引範囲が広いほど、当該振動磁場BRFの周波数掃引時間が長くなり、当該ガスセルの性能評価に時間がかかる。そこで、最初に性能評価を行う際に、掃引周波数のピッチを1 Hz以上に粗く設定し、掃引範囲は当該周波数算出された当該周波数を中心周波数にスタートの掃引周波数からストップの掃引周波数が1 kHz以上の広い範囲にして、磁気共鳴スペクトルを計測する。計測された当該磁気共鳴スペクトルがシャープな場合は、正確な測定を行なうために、当該掃引周波数のピッチを1 Hz以下に設定する。また、測定時間を短縮するために、掃引範囲は当該周波数算出された当該周波数を中心周波数にスタートの掃引周波数からストップの掃引周波数までの掃引範囲を1 kHz以下で行う。
上述した振動磁場周波数の掃引範囲が手動で設定される例を示したが、上記掃引範囲を自動で設定するようにしても良い。上記磁気共鳴スペクトルに対して参照データを用意しておき、計測データと参照データとを比較した結果を用いて上記掃引範囲を設定するようにしても良いし、計測データに所定の閾値を設けて当該閾値に基づいて範囲を設定するようにしても良い。
当該ガスセル114を通過したレーザー光は光検出器117で検出される。そして、当該光検出器117からの出力は、接続されたロックインアンプ118に入力信号として入力される。当該RFコイル116から照射される振動磁場BRFの信号源として電圧制御発振器119を使用し、当該ロックインアンプ118に接続された当該電圧制御発振器119からの出力は当該ロックインアンプ118に参照信号として入力される。
当該ロックインアンプ118では内部の位相比較演算回路が、当該入力信号と当該参照信号との位相を比較して位相差を算出する。
当該位相比較演算回路が算出した位相差は電圧として当該ロックインアンプ118から出力される。
その際に、当該ロックインアンプ118からの出力はADコンバータもしくはGPIBなどのインターフェースを用いてパーソナルコンピュータなどの情報機器に取り込まれる。
図1-Bは当該ロックインアンプの出力から得られた磁気共鳴スペクトルを示す。当該ロックインアンプの出力からは、当該磁気共鳴スペクトル以外に当該磁気共鳴スペクトルを一次微分した分散型の信号や、当該磁気共鳴信号と当該分散型の信号の位相差の信号も得られる。当該分差型の信号もしくは当該位相差の信号が共鳴周波数f0を中心に対称になるように当該ロックインアンプの位相調整に利用できる。そのため、当該ロックインアンプは2位相の信号を同時に検出できる2位相型のロックインアンプを使用するとより便利である。データ収集された図1-Bに示す当該磁気共鳴スペクトルから、ローレンツ曲線もしくはガウス曲線を用いた回帰解析を当該情報機器内で行い、ピーク値と線幅(半値半幅)を算出する。得られた当該ピーク値と当該線幅との比である性能指数を当該情報機器内で算出し、当該情報機器のディスプレイ上に表示した当該性能指数で使用した当該ガスセルの性能を評価する。
また、複数のガスセルを用いたマルチチャンネル型の光ポンピング磁力計を構築する際にも、本発明の性能指数は利用できる。不純物混入など個々のガラスセルの品質による影響で、各セルにおける検出感度の差が生じることがある。そこで、各セルの検出感度を同程度に調整するパラメーターとして、セルの温度、レーザーパワー、振動磁場強度を利用する。
セルの温度に関しては、セルの保温温度によってセル内のアルカリ金属ガス密度が変化することが検出感度の変化に関与する。そのため、最初に保温温度を変えた場合の各ガラスセルおける各性能指数を計測し、性能指数の値が最も高くなり、かつ各性能指数の値におけるバラツキが小さい保温温度を決定する。通常、85Rb、87Rb、39Kのように融点が比較的高いアルカリ金属を使用したセルは、セル内で蒸気化するためにヒーターなどを用いて加熱する。一方、融点が約28℃と室温に近い133Csを使用したセルは、保温せずに室温でも使用できる。セルを保温する際に使用するヒーターは磁場を発生するので、セルに印加する静磁場や振動磁場を攪乱する危険性があることやその対策を要する。そのため、133Csを使用したセルは当該光ポンピング磁力計に特に利用しやすい。上記に述べた最適な保温温度を決定する際に、レーザーパワーはセル内のアルカリ金属原子が十分に光ポンピングされることを考えて、使用するアルカリ金属の飽和強度以下で使用する。最適な保温温度が決定したら、振動磁場強度を変化させることで性能指数の最適な条件を調べることで、当該光ポンピング磁力計を高感度にする条件を決定する。図4は室温で133Csが封入されたセルを用いて、当該ガスセルに印加する振動磁場強度BRFを変化させた際の従来手法による性能評価の結果(図4-A)と、本発明に性能評価の結果(図4-B)を表す。どちらの場合でも、ある振動磁場強度で性能指数が最大となり、振動磁場強度が低下する共通の結果が示された。また、図5では、実際にテストコイルから同じ強度の正弦波磁気信号を当該ガスセル114に与えた際に得られた当該光ポンピング磁力計の出力結果を示す。同じ強度の当該正弦波磁気信号であるにも関わらず、性能指数の値が大きい振動磁場強度の時ほど、出力が大きい結果が得られる。すなわち、本発明による性能評価は、従来の手法よりも迅速に結果が分かり、当該性能評価指数の大きさが当該光ポンピング磁力計の検出感度を反映する。
図2を用いて、本発明の実施例2を説明する。図2は図1に示す磁気共鳴型の光ポンピング磁力計の構成とは異なる他の形態であり、使用する光源や当該光源からガスセル114への光源からの入射条件や当該ガスセル114を通過した光源の光の検出条件については〔実施例1〕と同様である。また、当該ガスセル114に静磁場印加用コイル119で静磁場B0を印加する点も同様である。以下に、異なる構成について述べる。
当該ガスセル114に円偏光を照射する直前に電気光学変調器120を設置し、当該電気光学変調器120を通過したレーザー光は当該ガスセル114内のアルカリ金属原子の基底状態のエネルギー遷移に相当するマイクロ波周波数による位相変調光に変換される。当該電気光学変調器120に接続されたマイクロ波シンセサイザー121の周波数を掃引することで、図2-Bに示すCPT共鳴スペクトルを得る。〔実施例1〕に比べて〔実施例2〕記載の光ポンピング磁力計は、RFコイルを用いないで共鳴スペクトルを検出できるため、当該ガスセル114の周辺部のコイル構成を簡易化できる。また、当該ガスセル114への静磁場印加方向が当該レーザー光と平行であるため、当該静磁場印加方向と当該レーザー光と成す角度の調整が容易である。
上記で得られたCPT共鳴スペクトルを検出するまでの、ロックアンプの位相調整や、当該CPT共鳴スペクトルによる性能指数や、そのデータ収集・表示は〔実施例1〕と同様である。また、マルチチャンネル型の光ポンピング磁力計のように複数のセルを使用する際に生じる個体差の補正に関しても〔実施例1〕と同様であり、その際にマイクロ波シンセサイザー121の出力パワーを変えて、当該光ポンピング磁力計を高感度にする条件を決定する。
図3を用いて、本発明の実施例3を説明する。図3は図1に示す光ポンピング磁力計において、ガスセル114へのレーザー光の入射や当該ガスセル114を通過した光源の光の検出に関して異なる他の形態であり、使用する光源や当該光源からの円偏光を当該ガスセル114へ照射することや、当該ガスセル114へ静磁場B0を印加することついては〔実施例1〕と同様である。以下に、異なる構成について述べる。
周波数安定化レーザー122からのレーザー光はプローブ光として使用し、偏光子112を介して直線偏光に変換され、ファラデー変調器123に入射される。周波数安定化レーザー111からの光は〔実施例1〕もしくは〔実施例2〕と同様に当該ガスセル114内のアルカリ金属原子を光ポンピングによってスピン偏極するためにポンプ光として使用する。当該周波数安定化レーザー122からのレーザー光は当該ファラデー変調器112を通過後、当該ガスセル114に照射し、当該ガスセル114を通過後に偏光子112を介して光検出器117で検出される。当該光検出器117からの出力をロックインアンプ118に入力信号として入力する。また、当該周波数安定化レーザー111からのレーザー光をλ/4波長板通過後にチヨッパ124で遮る。当該チョッパ125で遮るチョッパ周波数は当該ガスセル114のアルカリ金属原子の磁気共鳴周波数であり、当該チョッパ124の動作周波数を当該磁気共鳴周波数が入るように掃引し、その掃引信号を当該ロックインアンプ118の参照信号とする。その際に、図3-Bに示す磁気共鳴スペクトルが当該ロックインアンプ118の出力から得ることができる。〔実施例1〕に比べて〔実施例3〕記載の光ポンピング磁力計は、RFコイルを用いないで共鳴スペクトルを検出できるため、当該ガスセル114の周辺部のコイル構成を簡易化できる。また、当該ガスセル114への静磁場印加方向が当該レーザー光と直交であるため、当該静磁場印加方向と当該レーザー光と成す角度の調整が容易である。
上記で得られた磁気共鳴スペクトルを検出するまでの、ロックアンプの位相調整や、当該磁気共鳴スペクトルによる性能指数や、そのデータ収集・表示は〔実施例1〕と同様である。また、マルチチャンネル型の光ポンピング磁力計に使用する際は、〔実施例1〕や〔実施例2〕のように個々のガラスセルを用いずに、1個のガラスセルへのレーザー光をビームスプリッターもしくは分岐型の光ファィバーを用いて分岐させて入射させることでマルチチャンネルのセンサーとして使用する。最初に〔実施例1〕と同様に最適なセル保温温度を決定する。その際に、アルカリ金属原子を光ポンピングする周波数安定化レーザー111からのレーザーパワーは飽和強度以上の強い強度で使用する。そして、最適なセルの保温温度で、当該プローブ光強度を変えて、当該光ポンピング磁力計を高感度にする条件を決定する。
本発明の実施例1乃至3何れか記載の光ポンピング磁力計において使用する
ガスセル114内に同封する緩衝ガスの条件について説明する。従来の手法で、当該ガスセル114内に希ガスや非磁性ガスを緩衝ガスとして同封することで、セル内壁とアルカリ金属原子との衝突を緩和させることで、当該光ポンピング磁力計の検出感度を向上させることが知られている。また、緩衝ガスを使用する代わりに、当該ガスセルの内壁を飽和炭化水素や水素化珪素などでコーティングすることで、当該光ポンピング磁力計の検出感度を向上させることも報告されている。コートしたセルはアルカリ金属原子と緩衝ガスとの衝突の影響が無いため、 磁場検出感度を向上させるための最も有力なセルである。しかしながら、当該ガスセルをコートする技術は容易でなく、製作されたガスセルは個体差が生じやすい。それに比べて、緩衝ガスを同封したガスセルはより製作しやすい。しかしながら、当該ガスセルのアルカリ金属原子と緩衝ガスとの最適な組み合わせや、最適な緩衝ガスの圧力は不明である。
そこで、本発明では性能指数を用いて様々な種類の緩衝ガスとガス圧の条件のガスセルを評価した(図6)。図6に、ヘリウム、ネオン、アルゴン、窒素を緩衝ガスとして選定して、ガス圧が1、10、50、300、1000 torrの個別のガスセルを準備し、当該ガスセルを〔実施例1〕の計測システムより、アルカリ金属に133Csを用いて評価した性能指数を示す。グラフの縦軸は、各種緩衝ガスにおいて性能指数の最大値で割って規格化した性能指数である。各緩衝ガスともにガス圧が低いほうが性能指数の値が高くなる傾向があり、約10 torr以下が最適であった。
これらの結果より、各種緩衝ガスにおいてガス圧1 torrのガスセルを選び、振動磁場強度を変えた際の当該ガスセル114における性能指数の変化を調べた(図7)。グラフより、各種緩衝ガスともに最適な振動磁場強度を示し、使用した緩衝ガスの種類に関わらず、最適な振動磁場強度が同程度であった。また、性能指数の値はネオン、ヘリウム、アルゴン、窒素の順に小さくなった。
このように緩衝ガスの種類やガス圧によって大きく性能指数の値が変わる結果として、緩衝ガスの種類によってレーザー光を吸収してスピン偏極するアルカリ金属原子数に違いがあると考えられる。緩衝ガスはセル内壁とアルカリ金属原子との衝突緩和の機能を果たす一方で、アルカリ金属原子が緩衝ガスと衝突することでアルカリ金属原子の吸収線がシフトすることや、吸収線が広がる。分光学の研究で報告されている133Csと緩衝ガスとの衝突によるD1線の衝突シフトと衝突シフトを図8-Aに示す(W. Demtroder: Laser Spectroscopy, Springer (1998))。そこで、図7で得られた各種緩衝ガス入りのガスセルにおける性能指数と、133Csと各種緩衝ガスとの衝突による影響(図8-A)との関係を調べた(図8-B)。グラフの縦軸は、図7から得られた各種緩衝ガスにおける性能指数の最大値を、最も性能指数が大きかったネオンが同封されたガスセルの性能指数で割って規格化した性能指数である。また、グラフの横軸は図8-Aで得られた133Csと各種緩衝ガスの衝突広がりと衝突シフトの絶対値の総和を、当該総和が最も大きい窒素の値で割って規格化した衝突広がりと衝突シフトの影響を表す指数である。グラフより、衝突広がりと衝突シフトの影響が大きい緩衝ガスほど光ポンピング磁力計の性能指数を低下させることが分かる。したがって、光ポンピング磁力計の検出感度向上のために、使用する緩衝ガスはネオン、ヘリウム、アルゴン、窒素の順に好ましく、各種緩衝ガスにおいてガス圧は1 torr 以上50 torr以下の範囲で使用する。
本発明の実施例4の光ポンピング磁力計において、ガスセル内のアルカリ金属が39Kの場合には、当該ガスセル114に同封する緩衝ガスは衝突広がりと衝突シフトの影響が小さいネオン、ヘリウム、窒素、アルゴンの順に性能指数を大きくし、各種緩衝ガスにおいてガス圧は1 torr 以上50 torr以下の範囲で使用することが好ましい。
本発明の実施例4の光ポンピング磁力計において、ガスセル内のアルカリ金属が85Rbもしくは87Rbの場合には、当該ガスセル114に同封する緩衝ガスは衝突広がりと衝突シフトの影響が小さいネオン、ヘリウム、アルゴンの順に性能指数を大きくし、各種緩衝ガスにおいてガス圧は1 torr 以上50 torr以下の範囲で使用することが好ましい。
本発明の実施例1乃至4何れか記載の光ポンピング磁力計において、使用するガスセルの内壁をパラフィンなどの飽和炭化水素やシランなどの水素化珪素でコーティングしたコートセルを使用してもよい。その際に、コートセルの品質を評価する場合に、性能指数を利用できる。
本発明の実施例1乃至4何れか記載の光ポンピング磁力計において、ガスセル114、静磁場印加用コイル115、RFコイル116をパーマロイなどの高透磁率である金属から成る磁気シールドボックスもしくは磁気シールドルーム内に収納して、環境磁気ノイズの影響を低減させて使用することが好ましい。その際に、偏光子112、λ/4波長板113、光検出器117も当該磁気シールドボックスもしくは当該磁気シールドルーム内に収めてもよい。その際は、当該偏光子112、当該λ/4波長板113、当該光検出器117の固定ホルダーは非磁性材を使用し、当該光検出器117は非磁性材から成るSiフォトダイオードなどを利用する。また、当該磁気シールドボックスもしくは磁気シールドルーム内への光路調整を簡易にするために、光ファィバーケーブルを使用してもよい。その際は、当該光ケーブルのコネクタにはホウケイ酸フェルールなどの非磁性材を用いる。
本発明の光ポンピング磁力計の性能評価に関する手法は、光ポンピング磁力計の基本構成機器で評価することができ、当該光ポンピング磁力計を動作させる際に確認する磁気共鳴スペクトルやCPT共鳴スペクトルを利用する手法であり、当該光ポンピング磁力計の検出感度評価だけでなく、センサー部のガスセルの個体差評価や、マルチチャンネル型の光ポンピング磁力計の各ガスセルの個体差の校正に有効である。本発明の性能評価により、地磁気計測測・金属探知計測・非破壊検査・生体磁気計測・磁気微粒子を利用した磁気免疫検査・磁気微粒子を利用した細菌検査など様々な精密磁場計測に役立つ。
本発明の光ポンピング磁力計の検出感度を評価するための磁気共鳴型の光ポンピング磁力計の構成例(図1-A)と、当該構成を利用して得られる検出感度を評価するための磁気共鳴スペクトル(図1-B)を示す。 本発明の光ポンピング磁力計の検出感度を評価するためのCPT共鳴型の光ポンピング磁力計の構成例(図2-A)と、当該構成を利用して得られる検出感度を評価するためのCPT共鳴スペクトル(図2-B)を示す。 本発明の光ポンピング磁力計の検出感度を評価するためのスピン交換緩和フリー型の光ポンピング磁力計の構成例(図3-A)と、当該構成を利用して得られる検出感度を評価するための磁気共鳴スペクトル(図3-B)を示す。 磁気共鳴型の光ポンピング磁力計の振動磁場強度に対する検出感度の変化における従来手法の性能指数による評価(図4-A)と本手法の性能指数による評価(図4-B)との比較を示す。 同じ正弦波磁気信号を検出する際の各振動磁場強度による光ポンピング磁力計の出力結果の違いを示す。 ガスセル内に様々なガス圧(1、10、50、300、1000 torr)の各種緩衝ガス(ヘリウム、ネオン、アルゴン、窒素)を同封した133Csセルにおける性能指数とガス圧との関係を表し、ヘリウムを使用した場合(図6-A)、ネオンを使用した場合(図6-B)、アルゴンを使用した場合(図6-C)、窒素を使用した場合(図6-D)を示す。 ガスセル内にガス圧1 torrの各種緩衝ガス(ヘリウム、ネオン、アルゴン、窒素)を同封した133Csセルにおける振動磁場強度に対する性能指数の変化を示す。 Laser Spectroscopyから引用した133Csと様々な緩衝ガス(ヘリウム、ネオン、アルゴン、窒素)との衝突による133CsのD1線における衝突広がりと衝突シフト(図8-A)を表し、衝突広がりと衝突シフトから得られる衝突の影響と性能指数との関係(図8-B)を示す。
符号の説明
111・・・周波数安定化レーザー、112・・・偏光子、113・・・λ/4波長板、114・・・ガスセル、115・・・静磁場印加用コイル、116・・・RFコイル、117・・・光検出器、118・・・ロックインアンプ、119・・・電圧制御発振器、120・・・電気光学変調器、121・・・マイクロ波シンセサイザー、122・・・周波数安定化レーザー(プローブ光用光源)、123・・・ファラデー変調器、124・・・チョッパ

Claims (3)

  1. アルカリ金属が封入された耐熱ガラス製もしくは石英ガラス製のセル、当該セルに静磁場を印加する静磁場印加用コイルからセンサー部が構成され、光ポンピング用のポンプ光と非吸収線のプローブ光を用いる光ポンピング磁力計において、当該セルを通過したプローブ光を検出する光検出器と、当該セルへポンプ光を照射する直前にチョッパと、当該チョッパからの信号を参照信号として当該光検出器からの信号を位相検波するロックインアンプを有し、当該チョッパから出力されるチョッパ周波数を掃引することで当該ロックインアンプの出力から得られる磁気共鳴スペクトルのピーク値と線幅との比を磁場検出感度の性能指数として算出する手段を備えることを特徴とする光ポンピング磁力計。
  2. 請求項1に記載の光ポンピング磁力計において、当該光ポンピング磁力計の最小磁場検出感度を向上させるために、当該光ポンピング磁力計におけるポンピング用の光源の波長を前記セル内のアルカリ金属のD1線とし、当該セルに同封する緩衝ガスは希ガスもしくは非磁性ガスの一種類のみを同封し、同封する当該緩衝ガスのガス圧は1 torr以上50 torr以下であることを特徴とする光ポンピング磁力計。
  3. 請求項1に記載の光ポンピング磁力計において、前記セルの内壁をパラフィンもしくはシランでコーティングしたものを使用することを特徴とする光ポンピング磁力計。
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