JP5706596B1 - 酸素還元触媒およびその用途 - Google Patents

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Abstract

[課題]燃料電池の起動および停止の繰り返した際に起動停止耐久性に優れる酸素還元触媒を提供すること。[解決手段]無機金属化合物からなる部分と炭素を含む部分とからなる複合粒子を含み、前記複合粒子が、金属元素M1、炭素および酸素を構成元素として含み、前記金属元素M1の原子の合計量を1モルとすると炭素原子の量が1〜10モルであり、酸素原子の量が1〜3モルであり、ラマンスペクトルにおいて、GバンドおよびDバンドが存在し、下式で定義されるV/G比が0.10〜0.35である酸素還元触媒。V/G比=(GバンドとDバンドとの間の領域である領域Vにおけるスペクトル強度の最小値)/(Gバンドのピーク強度)

Description

本発明は、酸素還元触媒およびその用途に関し、さらに詳細には、特に燃料電池の電極用の触媒として好ましく用いることのできる酸素還元触媒およびその用途に関する。
固体高分子型燃料電池(PEFC: Polymer Electrolyte Fuel Cell)は、固体高分子電解質をアノードとカソードとで挟み、アノードに燃料を、カソードに酸素または空気を供給し、カソードで酸素が還元されることで電気を取り出す形式を有する燃料電池である。燃料には水素またはメタノールなどが主として用いられる。従来、燃料電池の反応速度を高め、燃料電池のエネルギー変換効率を高めるために、燃料電池のカソード表面やアノード表面には、触媒を含む層が設けられている。この触媒としては、一般的に貴金属が用いられており、貴金属の中でも高電位で安定かつ、活性が高い白金が主として用いられる。また、この触媒金属を担持する担体としては、従来カーボンブラックが使用されてきた。
ところで、このPEFCでは、起動と停止との繰り返し運転中にカソードが一時的に高電位、例えば1.5Vくらいに曝される。そのような高電位下においては、水の存在下で担体であるカーボンブラックが酸化腐食され、触媒金属の脱落や凝集し触媒活性が低下することや触媒層の導電性の低下などが生じ、発電性能が低下することが知られている。そのため、起動および停止にともなう高電位に耐性をもつ担体または触媒、およびそれを用いた燃料電池用電極触媒が求められていた。
このような課題に対して、PEFCの起動停止おける触媒担体のカーボン腐食を抑制することが検討されている。
特許文献1には、貴金属触媒を担持した炭素材料を不活性ガス雰囲気下で熱処理してなる電極触媒が記載されている。この文献では炭素材料表面のアモルファス部分を貴金属触媒(例えば、Pt、Pt合金)の触媒作用を利用して消失させ、担体表面の黒鉛化度を向上させ、カーボン腐食に対する耐性をさらに向上させることができることが開示されている。また、この黒鉛化度はラマンスペクトルにおけるΔν1580(ラマンスペクトルで1580cm-1近傍のピーク)の強度(I1580)に対する、Δν1355(ラマンスペクトルで1355cm-1近傍のピーク)の強度(I1355)の比(I1355/I1580)として規定しており、この値が小さい方がより黒鉛化度が向上しているとしている。
特許文献2には、窒素含有有機物と金属とを含む原料を炭素化して得られたことを特徴とする触媒担持用担体が記載されている。また、本担体は、ラマンスペクトルにおける1360cm-1バンドの1580cm-1バンドに対する強度比(I1360/I1580)が0.3以上、1.0以下である触媒担持用担体とすることができ、上記のようなD/G強度比(I1360/I1580)の範囲で示される適度なバランスで含むことにより、高い耐久性と高い触媒担持性能とを兼ね備えることができるとしている。
特許文献3には、金属元素M、炭素、窒素および酸素を含む触媒であり、ラマン分光法によって測定した際に、1340cm-1〜1365cm-1および1580cm-1〜1610cm-1にピークが観測され、前記金属元素Mがチタン、鉄、ニオブ、ジルコニウムおよびタンタルからなる群より選択される1種であることを特徴とする触媒が記載されている。この触媒は、酸性電解質中や高電位で腐食せず、安定であるとしている。1340cm-1〜1365cm-1のピークの高さをD、1580cm-1〜1610cm-1のピークの高さをGとしたとき(ただし、DおよびGは、ベースライン高さを減算した高さとする。)に、D/Gが0.1以上10以下であることが好ましく、D/Gが0.1以上10以下であると、活性が高い部位に電子が供給されると考えられ、電極触媒として望ましいとしている。
特許文献4には、結晶子の大きさが1〜20nmであるナノ構造化した黒鉛の一次粒子が凝集した黒鉛凝集体からなり、該黒鉛凝集体の平均粒子径が0.5〜50μmであることを特徴とするナノ構造化黒鉛に金属または金属酸化物の何れかを含有、担持または複合化させたことを特徴とするナノ構造化黒鉛の複合材料が記載されている。このナノ構造化黒鉛のラマンバンドの強度比(I1360/I1580)が0.4〜1.7の範囲であってもよく、この範囲に特定することで、導電性向上やPtの微粒子担持材料として最適な構造を備えた炭素材料としたものとしている。
WO2006/088194号公報 WO2011/070975号公報 WO2010/126020号公報 特開2006−8472号公報
しかしながら、上記のいずれの触媒等も、燃料電池の起動および停止の繰り返しに対する耐久性(以下「起動停止耐久性」ともいう。)の点で改善の余地があった。
したがって、本発明は、良好な初期性能を示し、かつ起動停止耐久性に優れる酸素還元触媒を提供することを目的とする。
本発明は、たとえば以下の[1]〜[17]に関する。
[1]
無機金属化合物からなる部分と炭素を含む部分とからなる複合粒子を含み、
前記複合粒子が、金属元素M1、炭素および酸素を構成元素として含み、
前記金属元素M1が、第2〜7族元素および第11〜15族元素から選択される少なくとも1種の金属元素であり、
前記金属元素M1の原子の合計量を1モルとすると炭素原子の量が1〜10モルであり、酸素原子の量が1〜3モルであり、
ラマンスペクトルにおいて、GバンドおよびDバンドが存在し、下式で定義されるV/G比が0.10〜0.35である酸素還元触媒。
V/G比
=(GバンドとDバンドとの間の領域である領域Vにおけるスペクトル強度の最小値)/(Gバンドのピーク強度)
[2]
無機金属化合物からなる部分と炭素を含む部分とからなる複合粒子を含み、
前記複合粒子が、金属元素M1、炭素および酸素を構成元素として含み、
前記金属元素M1が、第4族元素および第5族元素から選択される少なくとも1種の金属元素であり、
前記金属元素M1の原子の合計量を1モルとすると炭素原子の量が1〜10モルであり、酸素原子の量が1〜3モルであり、
ラマンスペクトルにおいて、GバンドおよびDバンドが存在し、下式で定義されるV/G比が0.10〜0.35である酸素還元触媒。
V/G比
=(GバンドとDバンドとの間の領域である領域Vにおけるスペクトル強度の最小値)/(Gバンドのピーク強度)
[3]
前記金属元素M1が、バナジウム、ジルコニウム、ニオブ、ハフニウムおよびタンタルからなる群から選ばれる少なくとも1種である上記[1]または[2]に記載の酸素還元触媒。
[4]
前記金属元素M1の量を1モルとすると、炭素の量が1モル以上7モル以下、窒素の量が0モルより大きく1モル以下、酸素の量が1モル以上3モル以下である上記[1]〜[3]のいずれかに記載の酸素還元触媒。
[5]
前記複合粒子が、前記金属元素として鉄、コバルトおよびニッケルからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素M2をさらに含み、前記金属元素M1の合計量を1モルとすると、前記金属元素M2の量が0.3モル以下である上記[1]〜[4]のいずれかに記載の酸素還元触媒。
[6]
前記無機金属化合物からなる部分が前記金属元素M1を含む結晶である上記[1]〜[5]のいずれかに記載の酸素還元触媒。
[7]
前記結晶の結晶子サイズが5〜100nmである上記[6]に記載の酸素還元触媒。
[8]
BET比表面積が50〜1000m2/gである上記[1]〜[7]のいずれかに記載の酸素還元触媒。
[9]
前記複合粒子に担持された貴金属または貴金属の合金からなる粒子をさらに含む上記[1]〜[8]のいずれかに記載の酸素還元触媒。
[10]
前記貴金属が、白金、パラジウム、イリジウム、ロジウムおよびルテニウムから選ばれる少なくとも1種の貴金属である上記[9]に記載の酸素還元触媒。
[11]
前記貴金属の合金が、貴金属同士の合金、または貴金属と、鉄、ニッケル、クロム、コバルト、チタン、銅、バナジウムおよびマンガンから選ばれる少なくとも1種の金属とからなる合金である上記[9]または[10]に記載の酸素還元触媒。
[12]
酸素を水に変換する反応において該反応の触媒として用いる、上記[1]〜[11]のいずれかに記載の酸素還元触媒。
[13]
上記[1]〜[12]のいずれかに記載の酸素還元触媒を溶媒に分散してなる燃料電池用触媒層作製用インク。
[14]
上記[1]〜[12]のいずれかに記載の酸素還元触媒を含む燃料電池用触媒層。
[15]
上記[14]に記載の燃料電池用触媒層を備える燃料電池用電極。
[16]
カソード触媒層とアノード触媒層と前記両触媒層の間に配置された高分子電解質膜で構成される膜電極接合体であって、前記カソード触媒層および/または前記アノード触媒層が、上記[14]に記載の燃料電池用触媒層である膜電極接合体。
[17]
上記[16]に記載の膜電極接合体を備える燃料電池。
本発明の酸素還元触媒は、燃料電池の電極用の酸素還元触媒として用いた際に起動停止耐久性に優れている。
図1は、「例1:炭素担体が用いられた例」における白金を炭素担体に担持してなる酸素還元触媒のラマンスペクトルである。 図2は、「例2:複合粒子が用いられ起動停止耐久性が低い例」における酸素還元触媒のラマンスペクトルである。 図3は、「例3:複合粒子が用いられ起動停止耐久性が高い例」における酸素還元触媒のラマンスペクトルである。 図4は、起動停止耐久性試験における電位サイクルを示す。 図5は、実施例1−1の複合粒子(1)の透過型電子顕微鏡(TEM)観察像である。 図6は、実施例1−1の複合粒子(1)のエネルギー分散型X線分光法(EDX)のTiマッピングである。 図7は、実施例1−1の複合粒子(1)のエネルギー分散型X線分光法(EDX)のNbマッピングである。 図8は、実施例1−1の複合粒子(1)のエネルギー分散型X線分光法(EDX)のFeマッピングである。 図9は、実施例1−1の複合粒子(1)のエネルギー分散型X線分光法(EDX)のOマッピングである。
以下、本発明に係る酸素還元触媒等をさらに詳しく説明する。
[酸素還元触媒]
本発明に係る酸素還元触媒は、無機金属化合物からなる部分と炭素を含む部分とからなる複合粒子を含み、前記複合粒子が、金属元素M1、炭素および酸素を構成元素として含み、前記金属元素M1の原子の合計量を1モルとすると炭素原子の量が1モル以上10モル以下であり、酸素原子の量が1モル以上3モル以下であり、ラマンスペクトルにおいて特定の特徴が観察される酸素還元触媒である。
<複合粒子>
本発明において複合粒子とは、無機金属化合物からなる部分と炭素を含む部分とから構成される粒子を意味する。複合粒子は、具体的な構成元素としては、金属元素M1、炭素および酸素を含んでおり、高い酸素還元触媒活性を発現させる観点からは、好ましくはさらに窒素を含む。
金属元素M1は、第2〜7族元素および第11〜15族元素から選択される少なくとも1種の金属元素であり(ただし、本発明においては、ケイ素を金属とみなす。)、触媒活性の高い酸素還元触媒を得る観点から、好ましくは第4族元素および第5族元素から選択される少なくとも1種の金属元素M1である。金属元素M1としては、具体的にはチタン、バナジウム、ジルコニウム、ニオブ、ハフニウムおよびタンタルが挙げられ、これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。2種以上を併用する場合、たとえば、チタンと他の金属元素(バナジウム、ジルコニウム、ニオブ、ハフニウム、タンタルなど)との組み合わせてあってもよい。チタンと他の金属元素との組み合わせとしては、これらの中でも、チタンとジルコニウムとの組み合わせ、チタンとニオブとの組み合わせが好ましい。
前記複合粒子は、好ましくは、前記金属元素M1に加えて鉄、コバルトおよびニッケルから選ばれる少なくとも1種の金属元素M2を含む。金属元素M2としては、炭素の気相成長に用いられる触媒に含まれている金属元素を好ましく使用できる。一般に鉄族元素は前記触媒作用があるため、金属元素M2として鉄族元素である鉄、コバルトおよびニッケルがさらに好ましく、鉄が特に好ましい。これらを複数種使用してもかまわない。
前記金属元素M2原子の前記金属元素M1原子に対するモル比(金属元素M2/金属元素M1)は、本発明の酸素還元触媒を電極に用いた燃料電池の運転の際に金属元素M2が溶出して触媒活性が低下することを防ぐという観点から、好ましくは0.3以下、より好ましくは0.05〜0.2である。
前記「無機金属化合物からなる部分」には、前記金属元素M1が含まれ、好ましくは酸素が含まれており、さらに窒素および炭素が含まれていてもよい。
前記無機金属化合物からなる部分を構成する無機金属化合物としては、たとえば酸化ケイ素(ただし、本発明においては、ケイ素を金属とみなす。)、酸化チタン、酸化マンガン、酸化ジルコニウム、酸化ニオブ、酸化スズが挙げられる。
前記無機金属化合物からなる部分は、非晶質でも構わないが、好ましくは4族元素、5族元素から選択される1種以上の元素を含む結晶である。前記無機金属化合物からなる部分が非晶質であるか結晶であるかは、前記複合粒子をX線回折分析することによって確認できる。
前記結晶の結晶子サイズは、起動停止耐久性を高める観点から、好ましくは5nm以上、より好ましくは10nm以上、さらに好ましくは15nm以上であり、触媒活性の高い酸素還元触媒を得る観点から、好ましくは100nm以下、より好ましくは80nm以下、さらに好ましくは70nm以下である。なおこの結晶子サイズの値は、後述する実施例で採用した方法で測定した場合のものである。
前記「炭素を含む部分」には、主として炭素が含まれ、さらに前記金属元素M1、窒素および酸素が含まれていてもよい。ここでの炭素は、結晶、非晶質のどちらの状態で存在してもよい。本発明に用いられる複合粒子のラマンスペクトルにおいては、GバンドおよびDバンドが存在し、Gバンドのピーク強度に対するGバンドとDバンドとの間の領域Vのスペクトル強度の最小値の比であるV/G比が0.10〜0.35である。このスペクトルは、必ずしも「炭素を含む部分」のみの構造に由来するものとは限らないが、「炭素を含む部分」の何らかの構造を反映しているものと考えられる。このスペクトルからは、「炭素を含む部分」に、Gバンドとして現れるグラファイト構造を持つ部位、Dバンドとして現れるグラファイト構造に乱れの生じている部位、後述するように領域Vとして現れる起動停止耐久性の低い構造を持つ部位が混在しているものと推察できる。領域Vとして現れる部位は、起動停止耐久性の低いものと考えられるので、恐らくは結晶性の低い(非晶性の高い)部位と推察できる。
なお、前記「無機金属化合物からなる部分」と前記「炭素を含む部分」は重複せず、それぞれ独立に存在する。
前記複合粒子からは、ラマンスペクトルにおいて後述するような特徴が観測される。
前記複合粒子が前記無機金属化合物からなる部分と前記炭素を含む部分とから構成されることは、前記複合粒子を透過型電子顕微鏡(TEM)で観測し、エネルギー分散型X線分光法(EDX)よる元素分析を行うことによって確認できる。TEM像からは各部分の形状を確認でき、EDX分析によってそれぞれの部分の構成元素を確認でき、それら構成元素をマッピングすることによって構成元素の分布を確認できる。また、TEM像から、前記無機金属化合物からなる部分が粒子状であることを確認できる。
前記複合粒子を構成する各元素の割合は、前記金属元素M1の合計量を1モルとすると、炭素原子は1〜10モルであり、好ましくは1〜8モル、より好ましくは2モルより大きく8モル以下であり、最も好ましくは3〜7モルであり、窒素原子のモル比は好ましくは1モル以下、より好ましくは0.01〜0.4モル、さらに好ましくは0.02〜0.35モルであり、酸素のモル比は好ましくは1〜3モル、より好ましくは1.2〜3モル、さらに好ましくは1.4〜2.5モルである。本発明に係る酸素還元触媒は、各元素の割合が前記範囲内にあると、初期性能が良好であり、かつ起動停止耐久性に優れる。
前記複合粒子のBET法で算出される比表面積は、酸素還元触媒の活性を高める観点から、好ましくは50m2/g以上、より好ましくは100m2/g以上、さらに好ましくは150m2/g以上であり、起動停止耐久性を高める観点から、好ましくは1000m2/g以下、より好ましくは900m2/g以下である。
<ラマンスペクトル>
本発明の酸素還元触媒のラマンスペクトルにおいては、特定の特徴が観察される(すなわち、後述する「V/G比」が0.10〜0.35である。)。
本発明において、Gバンドとはラマンスペクトルのラマンシフト1580±50cm-1領域に極大値を持つピークであり、Dバンドとはラマンシフト1350±50cm-1領域に極大値を持つピークである。
一般に、炭素材料においては、Gバンドのピーク強度(すなわち、ベースラインからのピーク高さ。本発明において「Gバンドの高さ」ともいう。)に対するDバンドのピーク強度(すなわち、ベースラインからのピーク高さ。本発明において「Dバンドの高さ」ともいう。)の比であるD/G比をR値と称し、黒鉛化度の指標としている。Gバンドはグラファイト本来の構造に起因するが、Dバンドは構造の乱れや欠陥に起因している。したがって、R値が小さいほど炭素材料の表面近傍における黒鉛化度が高い。
炭素担体を含む酸素還元触媒を燃料電池の電極触媒として用いる場合であれば、R値が小さいほど起動停止耐久性が高いことが期待されるが、本発明で用いられるような無機金属化合物からなる部分と炭素を含む部分とからなる複合粒子を含む酸素還元触媒においては必ずしもそのような期待通りの挙動が示されるとは限らないことを、本発明者らは見い出した。
そして本発明者らは、このような複合粒子を含む酸素還元触媒の起動停止耐久性には、ラマンスペクトルにおけるGバンドとDバンドとの間の領域(本発明において「GバンドとDバンドとの間の谷」ともいう。)を「領域V」としたとき、Gバンドのピーク強度に対する領域Vのスペクトル強度(ベースライン基準)の最小値(以下「Vの高さ」ともいう。)の比であるV/G比が大きく影響することを見出した。なお、V/G比は下記式で表される。
V/G比
=(GバンドとDバンドとの間の領域「領域V」におけるスペクトル強度の最小値)/(Gバンドのピーク強度)
上述したような複合粒子を含む酸素還元触媒を電極触媒として用いた燃料電池の起動および停止の繰り返しを模擬した試験(以下「起動停止試験」ともいう。)前後で前記酸素還元触媒のラマンスペクトルを比較すると、Gバンドの高さおよびDバンドの高さは、ほとんど変わらないが、Vの高さは大きく変化する(小さくなる)。このことは、上述したような複合粒子においてはDハンドに由来する構造は前記起動停止試験に対する耐久性があり、領域Vに由来する構造は前記起動停止試験により劣化することを示唆している。
この事実から、本発明者らは、Vの高さを低くすることによって、すなわち、V/G比の値を小さくすることによって、上述したような複合粒子を含む酸素還元触媒の起動停止耐久性を向上させられることを見い出した。
上記の内容について、以下に具体例を参照しながらさらに説明する。
なお、以下の具体例では、ラマンスペクトルの測定対象は、後述する貴金属粒子が担持された複合粒子からなる酸素還元触媒であるが、貴金属は粒子状であり複合粒子の表面に担持されているだけなので、複合粒子自体のラマンスペクトルにおけるGバンド、Dバンド、Vの強度に対して、担持されている貴金属粒子は実質的に影響を与えない。
(例1:炭素担体が用いられた例)
図1に、白金を炭素担体に50質量%(白金および炭素担体の合計を100質量%とする。)の濃度で担持した酸素還元触媒(後述する比較例11で用いた触媒)をカソード電極触媒として用いた燃料電池の、起動停止試験前後の酸素還元触媒のラマンスペクトルを示す。測定に用いた試料は後述する膜電極接合体のカソード触媒部である。以下の例2,3でも同等の試料を用いている。なお、膜電極接合体の製造は、後述する実施例に記載の方法に従った。
起動停止試験前後のD/G比、V/G比は以下のとおりである。また、この酸素還元触媒の電圧保持率(燃料電池の起動停止試験前の電圧値に対する起動停止試験後の電圧値の比)は68%であり、起動停止耐久性は低い。
Dバンドの高さおよびVの高さの減少は、前記炭素担体の中の、起動停止試験により酸化腐食を受けやすい部分の減少に由来していると考えられる。このことから、起動停止耐久性を向上させる担体としては、炭素担体の中に酸化腐食を受けやすい部分が少ない担体、すなわちラマンスペクトルにおいてDバンドの高さおよびVの高さが低いものが好ましいということがわかる。しかしながら、以下に示すように、このことは、上述したような無機金属化合物からなる部分と炭素を含む部分とからなる複合粒子を含む酸素還元触媒には当てはまらない。
(例2:複合粒子が用いられ起動停止耐久性が低い例)
次に、前記炭素担体を複合粒子(国際公開WO2011/099493の実施例3−11に記載された方法で製造された粒子)に変更し、後述する[実施例1−2]<貴金属担持複合粒子からなる酸素還元触媒の製造>と同様に白金を担持した酸素還元触媒を用いた場合の、起動停止試験前後の酸素還元触媒のラマンスペクトルを図2に示す。
起動停止試験前後のD/G比、V/G比は以下のとおりである。またこの酸素還元触媒の電圧保持率は24%であり、起動停止耐久性は低い。
図2のラマンスペクトルにおいて、起動停止試験前後でDバンド高さに変化はほとんど見られない。また、試験前のD/G比が0.9と前述した炭素担体に比べて低いにも拘わらず、起動停止耐久性は低い。このことから、炭素担体を用いた場合と異なり、複合粒子を用いた場合には、Dバンド高さは起動停止耐久性の高低にあまり関係がないことがわかる。
(例3:複合粒子が用いられ起動停止耐久性が高い例)
さらに、前記酸素還元触媒を別の酸素還元触媒(後述する実施例5−2で用いた白金担持粒子(5))に変更した場合の、起動停止試験前後の酸素還元触媒のラマンスペクトルを図3に示す。
起動停止試験前後のD/G比、V/G比は以下のとおりである。また、この酸素還元触媒の電圧保持率は90%であり、起動停止耐久性は高い。
図3のラマンスペクトルにおいて、起動停止試験前後でDバンド高さに変化はほとんど見られない。また、試験前のD/G比が1.1と、複合粒子を用いた前記例2に比べて高いにも拘わらず、起動停止耐久性は高い。このことからも炭素担体を用いた場合と異なり、複合粒子を用いた場合にはDバンド高さは起動停止耐久性の高低にあまり関係がないことがわかる。
この複合粒子を用いた場合では、Vの高さが前述した複合粒子より低く、V/G比は0.28と小さい。また、起動停止前後でV/G比の変化はほとんどないことがわかる。
本発明の酸素還元触媒の前記V/G比は、酸素還元触媒の触媒活性が高く、しかも起動停止耐久性が高いことから0.10以上0.35以下である。起動停止耐久性が高いことから好ましくは0.30以下である。触媒活性が高くなることから好ましくは0.15以上、さらに好ましくは0.20以上である。
<貴金属または貴金属の合金からなる粒子>
本発明の酸素還元触媒は前記複合粒子を含み、好ましくは、この複合粒子に担持された貴金属または貴金属の合金からなる粒子(以下「貴金属粒子」ともいう。)をさらに有する。本発明の酸素還元触媒は、このような粒子を有すると、高い初期活性を発現する。
前記貴金属としては、白金、金、パラジウム、イリジウム、ロジウムおよびルテニウムから選ばれる少なくとも1種が使用できる。これらの中でも白金、パラジウムおよびイリジウムから選ばれる少なくとも1種が好ましく、白金がより好ましい。前記貴金属の合金としては、前記貴金属同士の合金、および前記貴金属と、たとえば鉄、ニッケル、クロム、コバルト、チタン、銅、バナジウムおよびマンガンから選ばれる少なくとも1種の金属との合金を挙げることができる。これらの中でも貴金属同士の合金であれば白金−パラジウム、白金−ルテニウムの組み合わせが好ましく、貴金属と非貴金属との合金であれば、鉄、コバルトおよびニッケルから選ばれる少なくとも1種の金属と白金との合金が好ましい。
前記貴金属粒子の担持量(酸素還元触媒の質量を100質量%とする。)は、本発明の酸素還元触媒を用いて触媒層を形成する際に、触媒層を厚くする必要がなく高い触媒活性が得られるという観点からは、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上であり、本発明の酸素還元触媒を用いて触媒層を安定的に形成できるという観点からは、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下である。
[酸素還元触媒の製造方法]
本発明の酸素還元触媒は、酸素還元触媒が前記複合粒子のみからなる場合であれば、たとえば下記の製造方法:
前記金属元素M1を含有する化合物(以下、「M1含有化合物(1)」ともいう。)M1含有化合物(1)、前記金属元素M1と配位できる官能基を有する有機化合物、および溶媒を混合して触媒前駆体溶液を得る工程1、
前記触媒前駆体溶液から溶媒を除去して固形分残渣を得る工程2、
前記固形分残渣に対し熱処理を施す工程3および酸化処理を施す工程4
を含み、前記M1含有化合物(1)および前記有機化合物のうち少なくとも1つが酸素原子を有する酸素還元触媒の製造方法
によって製造することが可能である。
前記金属元素M1と配位できる官能基を有する有機化合物を、前記M1含有化合物(1)の金属元素M1と配位させる工程を含むこの方法によって、本発明の複合粒子からなる酸素還元触媒を簡便に製造できる。
前記金属元素M1と配位できる官能基としては、例えば、カルボキシル基、水酸基またはケトン構造等が挙げられる。これら官能基を有する有機化合物のとしては例えば、乳酸、アクリル酸、メタクリル酸、シュウ酸、リンゴ酸、クエン酸、フマル酸、サリチル酸、アセチルアセトンが挙げられる。
前記金属元素M1と配位できる官能基を有する有機化合物としては、触媒活性を向上させる観点からは窒素含有有機化合物(2)が好ましい。
この酸素還元触媒の製造方法は、金属含有有機錯体および有機化合物からなる前駆体を焼成して得られた固形分残渣に対し酸化処理を施すこと、あるいは前記前駆体を焼成しながら酸化処理を施すことで、領域Vとして現れる起動停止耐久性の低い構造を持つ部位の量を減少させ、V/G比を低下させることを特徴とする。
上記の酸素還元触媒の製造方法としては、具体的にはたとえば以下の3つの態様を挙げることができる。
[第1の態様]
第1の態様は、
M1含有化合物(1)、窒素含有有機化合物(2)および溶媒を混合して触媒前駆体溶液を得る工程1、
前記触媒前駆体溶液から溶媒を除去して固形分残渣を得る工程2、
工程2で得られた固形分残渣を700℃〜1400℃の温度で熱処理して熱処理物を得る工程3a、および
工程3aで得られる熱処理物を、酸素原子を供与する酸化剤で酸化処理を行う工程4aを含む。前記M1含有化合物(1)および前記窒素含有有機化合物(2)のうち少なくとも1つは酸素原子を有し、工程4aの酸化処理によってV/G比が0.10〜0.35の範囲になるように調整される。
第1の態様について、以下に説明する。
(工程1)
工程1では、少なくともM1含有化合物(1)、窒素含有有機化合物(2)および溶媒を混合して触媒前駆体溶液を得る。前記金属元素M2を含む複合粒子を調製する場合には、さらに前記金属元素M2を含有する化合物(以下、「M2含有化合物(3)」ともいう。)を前記触媒前駆体溶液に添加すればよい。これらの材料を添加する順序は、特に限定されない。
反応を円滑に行うために、混合は溶媒を攪拌しながら行うのが好ましい。その際に、上記化合物が溶媒に溶解しにくい場合は加温してもかまわない。また、混合時に急激に発熱する場合は、冷却しながら混合する、または少量ずつ混合する。
M1含有化合物(1);
M1含有化合物(1)は、第2〜7族元素および第11〜15族元素から選択される少なくとも1種の金属元素を含む化合物である。好ましくは、酸素原子およびハロゲン原子から選ばれる少なくとも1種を有しており、その具体例としては、金属錯体、並びに、金属の、リン酸塩、硫酸塩、硝酸塩、有機酸塩、酸ハロゲン化物(ハロゲン化物の中途加水分解物)、アルコキシド、ハロゲン化物、過ハロゲン酸塩および次亜ハロゲン酸塩が挙げられる。より好ましくは金属錯体、金属錯塩、並びに、金属の、アルコキシド、アセチルアセトン錯体、塩化物、臭化物、ヨウ化物、酸塩化物、酸臭化物、酸ヨウ化物および硫酸塩から選ばれる少なくとも一種が挙げられる。さらに好ましくは、前記液相中の溶媒への溶解性の観点から、金属錯体、金属錯塩、並びに、金属の、塩化物、アルコキシド、アセチルアセトン錯体が挙げられる。特に好ましくは金属の、アルコキシドまたはアセチルアセトン錯体が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。これらの金属化合物を用いると溶液として取扱いしやすく、また、窒素含有有機化合物(2)が金属元素に配位しやすくなる。
M1含有化合物(1)が含む金属元素M1としては、上記の複合粒子の説明の中で述べたように、好ましくは第4族元素および第5族元素から選択される少なくとも1種の金属元素が挙げられる。金属元素M1としては、具体的にはチタン、バナジウム、ジルコニウム、ニオブ、ハフニウムおよびタンタルが挙げられ、これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。たとえば、金属元素M1はバナジウム、ジルコニウム、ニオブ、ハフニウムおよびタンタルからなる群から選ばれる少なくとも1種であってもよく、チタンと他の金属元素(たとえば、バナジウム、ジルコニウム、ニオブ、ハフニウムおよびタンタル)との組み合わせ(好ましくはチタンとジルコニウムとの組み合わせ、チタンとニオブとの組み合わせ)であってもよい。
M1含有化合物(1)の具体例としては、
チタンテトラメトキシド、チタンテトラエトキシド、チタンテトラプロポキシド、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラブトキシド、チタンテトライソブトキシド、チタンテトラペントキシド、チタンテトラアセチルアセトナート、チタンジイソプロポキシドジアセチルアセトナート(Ti(acac)2(O-iPr)2、acacはアセチルアセトナトイオンを、iPrはイソプロピル基を表わす。以下も同様である。)、チタンオキシジアセチルアセトナート、トリス(アセチルアセトナト)第二チタン塩化物([Ti(acac)3]2[TiCl6])、四塩化チタン、三塩化チタン、オキシ塩化チタン、四臭化チタン、三臭化チタン、オキシ臭化チタン、四ヨウ化チタン、三ヨウ化チタン、オキシヨウ化チタン等のチタン化合物;
ニオブペンタメトキシド、ニオブペンタエトキシド、ニオブペンタイソプロポキシド、ニオブペンタブトキシド、ニオブペンタペントキシド、ニオブトリアセチルアセトナート、ニオブペンタアセチルアセトナート、ニオブジイソプロポキシドトリアセチルアセトナート(Nb(acac)3(O-iPr)2)、トリス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオン)ニオブ、ニオブ(III)ヘキサフルオロアセチルアセトナート、五塩化ニオブ、オキシ塩化ニオブ、五臭化ニオブ、オキシ臭化ニオブ、五ヨウ化ニオブ、オキシヨウ化ニオブ等のニオブ化合物;
ジルコニウムテトラメトキシド、ジルコニウムテトラエトキシド、ジルコニウムテトラプロポキシド、ジルコニウムテトライソプロポキシド、ジルコニウムテトラブトキシド、ジルコニウムテトライソブトキシド、ジルコニウムテトラペントキシド、ジルコニウムテトラアセチルアセトナート、ジルコニウムジイソプロポキシドジアセチルアセトナート(Zr(acac)2(O-iPr)2)、テトラキスジエチルアミノジルコニウム、テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオン)ジルコニウム、ジルコニウム(IV)ヘキサフルオロアセチルアセトナート、テトラ-1-メトキシ-2-メチル-2-プロポキシジルコニウム(IV)、四塩化ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム、四臭化ジルコニウム、オキシ臭化ジルコニウム、四ヨウ化ジルコニウム、オキシヨウ化ジルコニウム等のジルコニウム化合物;
タンタルペンタメトキシド、タンタルペンタエトキシド、タンタルペンタイソプロポキシド、タンタルペンタブトキシド、タンタルペンタペントキシド、タンタルテトラエトキシアセチルアセトナート、タンタルジイソプロポキシドジアセチルアセトナート(Ta(acac)2(O-iPr)2)、ペンタキスジエチルアミノタンタル、五塩化タンタル、オキシ塩化タンタル、五臭化タンタル、オキシ臭化タンタル、五ヨウ化タンタル、オキシヨウ化タンタル等のタンタル化合物;
ハフニウムテトラメトキシド、ハフニウムテトラエトキシド、ハフニウムテトラプロポキシド、ハフニウムテトライソプロポキシド、ハフニウムテトラブトキシド、ハフニウムテトライソブトキシド、ハフニウムテトラペントキシド、ハフニウムテトラアセチルアセトナート、テトラキスジエチルアミノハフニウム、テトラ-1-メトキシ-2-メチル-2-プロポキシハフニウム(IV)、ハフニウム(IV)アセチルアセトナート、テトラキス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオン)ハフニウム、ハフニウム(IV)ヘキサフルオロアセチルアセトン、四塩化ハフニウム、オキシ塩化ハフニウム、臭化ハフニウム、オキシ臭化ハフニウム、ヨウ化ハフニウム、オキシヨウ化ハフニウム等のハフニウム化合物;
バナジウム(V)トリメトキシドオキシド、バナジウム(V)エトキシド、バナジウム(V)トリエトキシドオキシド、バナジウム(V)トリ−i−プロポキシドオキシド、バナジウム(V)トリ−n−ブトキシドオキシド、バナジウム(V)トリ−t−ブトキシドオキシド、バナジウム(V)イソプロポキシドアセチルアセトナート(V(acac)(O-iPr)4、V(acac)2(O-iPr)3、V(acac)3(O-iPr)2、V(acac)4(O-iPr))、バナジウム(III)アセチルアセトナート、バナジウム(III)アセチルアセトン、トリス(2,2,6,6-テトラメチル-3,5-ヘプタンジオン)バナジウム(III)、バナジウム(III)ヘキサフルオロアセチルアセトン、塩化バナジウム(II)、塩化バナジウム(III)、塩化バナジウム(IV)、オキシ三塩化バナジウム(V)、臭化バナジウム(III)、オキシ臭化バナジウム(V)、ヨウ化バナジウム(III)、オキシヨウ化バナジウム(V)等のバナジウム化合物;
が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
複合粒子が前記金属元素M2を含むと、本発明の酸素還元触媒のV/G比を所望の範囲に調整し易くなる。金属元素M2としては、炭素の気相成長に用いられる触媒に含まれている金属元素が好ましく、鉄族元素である鉄、コバルトおよびニッケルがさらに好ましく、鉄が特に好ましい。これらを複数種使用してもよい。
M2含有化合物(3)の具体例としては、
塩化鉄(II)、塩化鉄(III)、硫酸鉄(III)、硫化鉄(II)、硫化鉄(III)、フェロシアン化カリウム、フェリシアン化カリウム、フェロシアン化アンモニウム、フェリシアン化アンモニウム、フェロシアン化鉄、硝酸鉄(II)、硝酸鉄(III)、シュウ酸鉄(II)、シュウ酸鉄(III)、リン酸鉄(II)、リン酸鉄(III)フェロセン、水酸化鉄(II)、水酸化鉄(III)、酸化鉄(II)、酸化鉄(III)、四酸化三鉄、エチレンジアミン四酢酸鉄(II)アンモニウム、酢酸鉄(II)、乳酸鉄(II)、クエン酸鉄(III)等の鉄化合物;
塩化コバルト(II)、塩化コバルト(III)、硫酸コバルト(II)、硫化コバルト(II)、硝酸コバルト(II)、硝酸コバルト(III)、シュウ酸コバルト(II)、リン酸コバルト(II)、コバルトセン、水酸化コバルト(II)、酸化コバルト(II)、酸化コバルト(III)、四酸化三コバルト、酢酸コバルト(II)、乳酸コバルト(II)等のコバルト化合物;
塩化ニッケル(II)、硫酸ニッケル(II)、硫化ニッケル(II)、硝酸ニッケル(II)、シュウ酸ニッケル(II)、リン酸ニッケル(II)、ニッケルセン、水酸化ニッケル(II)、酸化ニッケル(II)、酢酸ニッケル(II)、乳酸ニッケル(II)等のニッケル化合物;
が挙げられる。これらは、1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
窒素含有有機化合物(2);
前記窒素含有有機化合物(2)としては、M1含有化合物(1)中の金属原子に配位可能な配位子となり得る化合物が好ましく、多座配位子(好ましくは、2座配位子または3座配位子)となり得る(キレートを形成し得る)化合物がさらに好ましい。
窒素含有有機化合物(2)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
窒素含有有機化合物(2)は、好ましくは、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、アミド基、アジド基、アジリジン基、アゾ基、イソシアナト基、イソチオシアネート基、オキシム基、ジアゾ基、ニトロソ基などの官能基、ピロール環、ポルフィリン環、イミダゾール環、ピリジン環、ピリミジン環、ピラジン環などの環、イミド構造、イミン構造(これらの官能基、環、構造をまとめて「含窒素分子団」ともいう。)を有する。
窒素含有有機化合物(2)は、含窒素分子団を分子内に有すると、工程1での混合を経て、M1含有化合物(1)に由来する金属原子により強く配位することができると考えられる。
前記含窒素分子団の中では、アミノ基、イミン基、アミド基、ピロール環、ピリジン環およびピラジン環がより好ましく、アミノ基、イミン基、ピロール環およびピラジン環がさらに好ましく、アミノ基およびピラジン環が、得られる酸素還元触媒の活性が特に高くなることから、特に好ましい。
窒素含有有機化合物(2)は、好ましくは、水酸基、カルボキシル基、ホルミル基、ハロカルボニル基、スルホ基、リン酸基、ケトン構造、エーテル構造またはエステル構造(これらをまとめて「含酸素分子団」ともいう。)を有する。窒素含有有機化合物(2)は、含酸素分子団を分子内に有すると、工程1での混合を経て、M1含有化合物(1)に由来する金属原子により強く配位できると考えられる。
前記含酸素分子団の中では、カルボキシル基およびホルミル基が、得られる酸素還元触媒の活性が特に高くなることから、特に好ましい。
前記含窒素分子団および前記含酸素分子団を有する化合物としては、アミノ基およびカルボキシル基を有するアミノ酸、ならびにその誘導体が好ましい。
窒素含有有機化合物(2)としては、カルボニル基を含み、前記カルボニル基のα炭素に窒素原子が結合している化合物が特に好ましい。このような化合物は、M1含有化合物(1)に由来する金属原子により強く配位することができる。
前記アミノ酸としては、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、ノルバリン、グリシルグリシン、トリグリシンおよびテトラグリシンが好ましく、上記アミノ酸等に加えて、アセチルピロールなどのアシルピロール類、ピロールカルボン酸、アセチルイミダゾールなどのアシルイミダゾール類、カルボニルジイミダゾール、イミダゾールカルボン酸、ピラゾール、アセトアニリド、ピラジンカルボン酸、ピペリジンカルボン酸、ピペラジンカルボン酸、モルホリン、ピリミジンカルボン酸、ニコチン酸、2−ピリジンカルボン酸、2,4−ピリジンジカルボン酸、8−キノリノール、およびポリビニルピロリドンが挙げられ、得られる酸素還元触媒の活性が高いことから、2座配位子となり得る化合物、具体的にはピロール−2−カルボン酸、イミダゾール−4−カルボン酸、2−ピラジンカルボン酸、2−ピペリジンカルボン酸、2−ピペラジンカルボン酸、ニコチン酸、2−ピリジンカルボン酸、2,4−ピリジンジカルボン酸、および8−キノリノールが好ましい。上記の中でも、アラニン、グリシン、リシン、メチオニン、チロシン、2−ピラジンカルボン酸、2−ピリジンカルボン酸がより好ましい。
複合粒子中の炭素原子の含有量を前記好ましい範囲に調整しやすくするために、工程1で用いられるM1含有化合物(1)の金属元素の原子数Aの合計量に対する、工程1で用いられる窒素含有有機化合物(2)の炭素の総原子数Bの比(B/A)は、好ましくは2〜200、より好ましくは3〜100、さらに好ましくは5〜50である。
複合粒子中の窒素原子の含有量を前記好ましい範囲に調整しやすくするために、工程1で用いられるM1含有化合物(1)の金属元素の原子数Aに対する、工程1で用いられる窒素含有有機化合物(2)の窒素の総原子数Cの比(C/A)は、好ましくは1〜28、より好ましくは2〜17、さらに好ましくは3〜12である。
M1含有化合物(1)がM1含有化合物である場合、工程1で用いられるM1含有化合物とM2含有化合物(3)との割合を、金属元素M1の原子と金属元素M2の原子とのモル比(M1:M2)に換算して、M1:M2=1:aと表わすと、aの範囲は、好ましくは0.3以下、より好ましくは0.05〜0.2である。
溶媒;
前記溶媒としては、たとえば水、酢酸、ジケトン構造を有する化合物(アセチルアセトンなど)、アルコール類およびこれらの混合溶媒が挙げられ、金属元素を安定的に溶解出来ることからは、ジケトン構造を有する化合物が好ましい。アルコール類としては、エタノール、メタノール、ブタノール、プロパノールおよびエトキシエタノールが好ましく、エタノールおよびメタノールがさらに好ましい。溶解性を増すために、前記溶媒に酸を含有させることが好ましく、酸としては、酢酸、乳酸、硝酸、塩酸、リン酸およびクエン酸が好ましく、酢酸および硝酸がさらに好ましい。これらは、1種単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
(工程2)
工程2では、工程1で得られた触媒前駆体溶液から溶媒を除去して固形分残渣を得る。溶媒を除去する方法については特に限定されないが、例えば、スプレードライヤーやロータリーエバポレーターなどを用いる方法が挙げられる。
溶媒の除去の方法、あるいはM1含有化合物(1)または窒素含有有機化合物(2)の性状によっては、工程2で得られた固形分残渣の組成または凝集状態が不均一であることがある。このような場合に、固形分残渣を、混合し、解砕して、より均一かつ微細な粉末としたものを工程3で用いると、粒径がより均一な触媒を得ることができる。
固形分残渣を混合し、解砕するには、例えば、乳鉢、自動混練乳鉢、またはボールミルを用いる方法が挙げられ、固形分残渣が多量であり連続的な混合、解砕処理を行う場合には、ジェットミルなどを用いる方法が挙げられる。
(工程3a)
工程3aでは、前記工程2で得られた固形分残渣を熱処理して熱処理物を得る。
この熱処理の際の温度は、金属元素M1を含む部分が、結晶であることが好ましいので、結晶化し始める温度以上が好ましい。この温度は、好ましくは700℃以上であり、さらに好ましくは800℃以上である。また、複合粒子中の炭素、窒素および酸素の含有量を容易に前記範囲内にする観点から、好ましくは1400℃以下であり、さらに好ましくは1100℃以下である。
前記熱処理の方法としては、たとえば、静置法、攪拌法、落下法、粉末捕捉法が挙げられる。
前記静置法で熱処理を行う場合には、昇温速度は、特に限定されないが、好ましくは1℃/分〜100℃/分程度であり、さらに好ましくは5℃/分〜50℃/分である。また、加熱時間は、好ましくは0.1〜20時間、より好ましくは0.5〜10時間、さらに好ましくは0.5〜5時間である。
複合粒子の各構成元素の含有量を前記範囲内にしやすくするために、厳密な温度制御が可能な、電気を熱源とした電気炉や赤外線ゴールドイメージ炉などの赤外線炉を用いることが好ましい。
前記熱処理は、反応雰囲気を調整するためにガスを導入しながら行なってもよい。複合粒子の各構成元素の含有量を前記範囲内にしやすくするために、導入ガスは非酸化性ガスであることが好ましい。その意味では、その主成分が非酸化性ガスであることが好ましい。非酸化性ガスの中でも、比較的安価であり、入手しやすい点で窒素ガス、アルゴン、ヘリウム、水素ガスが好ましく、窒素ガスおよびアルゴンがより好ましく、これらの非酸化性ガスは、1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。2種以上を混合する場合は、窒素ガス、アルゴン、ヘリウムから選ばれる1種と水素ガスとの混合ガスが好ましい。
前記熱処理の雰囲気ガス中に水素ガスが含まれる場合には、水素ガスの濃度は、たとえば100体積%以下、好ましくは1〜20体積%、より好ましくは1〜5体積%である。
前記熱処理で得られた熱処理物は、そのまま次工程に使用してもよく、さらに解砕してから次工程に用いてもよい。なお、本明細書において、解砕、破砕等、熱処理物を細かくする操作を、特に区別せず「解砕」と表記する。解砕を行うと、得られた酸素還元触媒を用いて電極を製造する際の加工性、および得られる電極の特性を改善できることがある。この解砕には、たとえば、ロール転動ミル、ボールミル、小径ボールミル(ビーズミル)、媒体撹拌ミル、気流粉砕機、乳鉢、自動混練乳鉢、槽解機またはジェトミルを用いることができる。
(工程4a)
工程4aでは、工程3aで得られる熱処理物を、酸素原子を供与する酸化剤でV/G比が0.10〜0.35の範囲になるように酸化処理を行う。
酸素原子を供与する酸化剤としては、過酸化水素、過塩素酸、過酢酸および水等を挙げることができる。前記水として水蒸気を用いてもよい。
前述の通り、V/G比は、酸化の程度を調整することにより、前記範囲内にすることができる。酸化を行うことでV/G比を低下させることができるが、過剰な酸化処理はかえってV/G比の増加を招く。予備実験により前記V/G比の範囲内とする酸化の条件を求めればよい。酸化の程度は、酸化剤の種類、酸化剤の量、酸化処理温度および酸化処理時間等を適宜選択することにより調整することができ、特に酸化処理温度の調節が重要である。
[第2の態様]
第2の態様は、前記第1の態様の工程1および2を行った後、前記工程3の開始と同時または開始後に、前記工程4が前記工程3と重複して行われ(以下、工程3のうち工程4と重複して行われる部分を「工程3b」とも記す。)、好ましくは、重複した前記工程4(すなわち工程3b)で使用される酸化剤が水である態様である。第2の態様は、工程4が工程3と同時に終了する態様である。
より具体的には、M1含有化合物(1)、窒素含有有機化合物(2)および溶媒を混合して触媒前駆体溶液を得る工程1、
前記触媒前駆体溶液から溶媒を除去して固形分残渣を得る工程2、および
工程2で得られた固形分残渣を700℃〜1400℃の温度で、水を導入しながら熱処理して熱処理物を得る工程3b、
を含み、前記M1含有化合物(1)および前記窒素含有有機化合物(2)のうち少なくとも1つが酸素原子を有する酸素還元触媒の製造方法である。
第2の態様における工程1および工程2は、それぞれ第1の態様における工程1および工程2と同様である。第2の態様における工程3のうち、工程4が開始される前の部分は第1の態様における工程3aと同様である。以下、工程3bについて説明する。
(工程3b)
工程3bでは、工程2で得られる固形分残渣を熱処理しながら、酸化処理を行う。好ましくは、工程3の開始と同時に工程4を重複して行い、工程3bでは、工程2で得られる固形分残渣を700℃〜1400℃の温度で、水を導入しながら熱処理して熱処理物を得る。この処理により熱処理物が製造されると同時に、熱処理物が酸化処理される。その結果、V/G比が0.10〜0.35である酸素還元触媒が得られる。
好ましい熱処理の条件としては、第1の態様の工程3aで挙げた条件と同様である。
水を導入しながら熱処理するには、第1の態様の工程3aで挙げたガス雰囲気中に水を混合することで実施する。導入する水の量は、前記酸化処理が進行する限り特に制限はないが、0℃〜80℃における飽和水蒸気量で、導入する雰囲気ガスに含ませることが取り扱いがしやすく好ましい。
その他の条件については、第1の態様の工程3aと同様の条件を採用することができる。
[第3の態様]
第3の態様は、第2の態様において工程3bの終了後も前記工程4が行われる態様である。
すなわち、第3の態様は、第2の態様において工程3bの終了後に前記工程4aと同様の工程4cが行われる。ただし、該工程3bは必ずしもV/G比が0.10〜0.35になるように酸化処理を行う必要はない工程(以下「工程3c」とも記す。)である。
なお、第1の態様における工程4(工程4a)、および第3の態様における工程4のうち工程3の終了後に行われる部分(工程4c)で用いられる酸化剤は、過酸化水素、過塩素酸および過酢酸から選ばれる少なくとも1種であることが取扱いがしやすく好ましい。
第3の態様における工程1および工程2は、それぞれ第1の態様における工程1および工程2と同様である。
第3の態様においては、工程3cでV/G比が0.10〜0.35になるように酸化処理を行い、さらに所望のD/G比に調整するために工程4cで酸化処理を行ってもよい。
このように酸化処理の工程4を、工程3cおよび工程4cの2段階で行うと、V/G比の調整が行いやすいという利点がある。
なお、工程3cと工程4cとの間に、解砕工程を設けてもよい。この解砕工程は、第1の態様における解砕工程と同様である。
<貴金属粒子の担持>
前記複合粒子に、前記貴金属粒子(貴金属または貴金属の合金からなる粒子)を担持させてもよい。
これら貴金属粒子を担持させる方法としては、実用に供することができるように担持させることができれば特に制限はないが、貴金属粒子の前駆体を用いて貴金属粒子を担持させる方法が好適である。
ここで、貴金属粒子の前駆体とは、所定の処理により前記貴金属粒子になり得る物質であり、塩化白金酸、塩化イリジウム、塩化パラジウムおよびそれらの混合物などが挙げられる。
この貴金属粒子の前駆体を複合粒子に担持させる方法としては、特に制限されるべきものではなく、従来公知の触媒金属担持技術を適用した方法を利用し得る。例えば、(1)貴金属粒子の前駆体溶液中に複合粒子を分散させ、蒸発乾固する段階と、その後に熱処理を加える段階とを含む方法、(2)貴金属粒子の前駆体コロイド溶液中に複合粒子を分散させ、貴金属粒子の前駆体コロイドを複合粒子に吸着させることにより、貴金属粒子を複合粒子に担持させる段階を含む方法、(3)貴金属粒子の前駆体を1種あるいはそれ以上含む溶液と複合粒子分散液との混合液のpHを調整することにより貴金属酸化物、含水酸化物、貴金属水酸化物を得ると同時にこれらを複合粒子に吸着させる段階と、それらを還元する段階と、必要に応じてそれを熱処理する段階とを含む方法、などが挙げられるが、これらには制限されない。
熱処理を行う場合、貴金属の粒径が必要以上に大きくなるなどして、触媒活性が低下することを防ぐ観点からは、処理温度は好ましくは850℃以下、さらに好ましくは700℃以下、最も好ましくは600℃以下である。
また、熱処理を行う場合、反応雰囲気を調整するためにガスを導入しながら行なってもよい。導入ガスは非酸化性ガスであることが好ましい。その意味では、その主成分が非酸化性ガスであることが好ましい。非酸化性ガスの中でも、比較的安価であり、入手しやすい点で窒素、アルゴン、ヘリウム、水素が好ましく、窒素およびアルゴンがより好ましい。これらの非酸化性ガスは、1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
前記複合粒子には、前記貴金属粒子(貴金属または貴金属の合金からなる粒子)を担持する前に、その性能が損なわれない範囲で、様々な処理が施されていてもよい。この処理としては、たとえば、酸やアルカリでの洗浄による不要な金属不純物の低減などが挙げられる。使用される酸やアルカリとしては、特に限定されないが、酸であれば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、過塩素酸、フッ化水素酸、臭化水素酸、酢酸、乳酸、クエン酸、ヘキサフルオロアンチモン酸、テトラフルオロホウ酸等が、アルカリであれば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア水等が挙げられる。また、前記複合粒子は、ボールミル等により解砕され、凝集粒子サイズが小さくされていてもよい。
[用途]
本発明の酸素還元触媒は、特に用途に限りがあるわけではないが、固体高分子型燃料電池用電極触媒、空気電池用電極触媒などに好適に用いることができる。
<燃料電池用触媒層作製用インク・燃料電池用触媒層>
前記酸素還元触媒から燃料電池用触媒層を製造することができる。
前記燃料電池用触媒層には、アノード触媒層、カソード触媒層があるが、前記酸素還元触媒は、耐久性に優れ、酸素還元能が大きいので、カソード触媒層に用いることが好ましい。
燃料電池用触媒層は、前記酸素還元触媒と高分子電解質とを含む。前記触媒層中における電気抵抗をより低減させるために、電子伝導性粒子をさらに前記触媒層中に含ませてもよい。
電子伝導性粒子の材質としては、炭素、導電性高分子、導電性セラミックス、金属または酸化タングステンもしくは酸化イリジウムなどの導電性無機酸化物が挙げられ、それらを1種単独または組み合わせて用いることができる。特に、炭素からなる電子伝導性粒子は比表面積が大きいため、また、安価に小粒径のものを入手しやすく、耐薬品性に優れるため、炭素単独または炭素とその他の電子伝導性粒子との混合物が好ましい。
炭素としては、カーボンブラック、グラファイト、活性炭、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバー、カーボンナノホーン、フラーレン、多孔体カーボン、グラフェンなどが挙げられる。炭素からなる電子伝導性粒子の粒径は、小さすぎると電子伝導パスが形成されにくくなり、また大きすぎると燃料電池用触媒層のガス拡散性の低下や触媒の利用率の低下が起こる傾向があるため、好ましくは10〜1000nmであり、より好ましくは10〜100nmである。
電子伝導性粒子が炭素からなる場合、前記酸素還元触媒と電子伝導性粒子との質量比(触媒:電子伝導性粒子)は、好ましくは1:1〜100:1であり、さらに好ましくは2:1〜100:1である。
前記燃料電池用電極触媒層は、通常、高分子電解質を含む。前記高分子電解質としては、燃料電池用触媒層において一般的に用いられているものであれば特に限定されない。具体的には、スルホン酸基を有するパーフルオロカーボン重合体(例えば、ナフィオン(NAFION(登録商標)))、スルホン酸基を有する炭化水素系高分子化合物、リン酸などの無機酸をドープさせた高分子化合物、一部がプロトン伝導性の官能基で置換された有機/無機ハイブリッドポリマー、高分子マトリックスにリン酸溶液や硫酸溶液を含浸させたプロトン伝導体などが挙げられる。これらの中でも、ナフィオン(NAFION)が好ましい。前記燃料電池用触媒層を形成する際のナフィオン(NAFION)の供給源としては、5%ナフィオン(NAFION)溶液(DE521、デュポン社製)などが挙げられる。
燃料電池用触媒層の形成方法としては、特に制限はないが、たとえば、前述の燃料電池触媒層の構成材料を溶媒に分散した懸濁液を、後述する電解質膜またはガス拡散層に塗布する方法が挙げられる。前記塗布する方法としては、ディッピング法、スクリーン印刷法、ロールコーティング法、スプレー法、バーコーター塗布法などが挙げられる。また、前述の燃料電池触媒層の構成材料を溶媒に分散した懸濁液(本発明において「燃料電池用触媒層作製用インク」ともいう。)を、塗布法またはろ過法により基材に燃料電池用触媒層を形成した後、転写法で電解質膜に燃料電池用触媒層を形成する方法が挙げられる。
<燃料電池用電極>
本発明の燃料電池用電極は、前記燃料電池用触媒層と任意にガス拡散層とから構成される。以下、アノード触媒層を含む電極をアノードと、カソード触媒層を含む電極をカソードと呼ぶ。
ガス拡散層とは、多孔質で、ガスの拡散を補助する層である。ガス拡散層としては、電子伝導性を有し、ガスの拡散性が高く、耐食性の高いものであれば何であっても構わないが、一般的にはカーボンペーパー、カーボンクロスなどの炭素系多孔質材料や、軽量化のためにステンレス、耐食材を被服したアルミニウム箔が用いられる。
また、触媒層とガス拡散層との間には撥水性のある層を配置してもかまわない。
<膜電極接合体>
膜電極接合体(Membrane Electrode Assembly)は、カソード触媒層とアノード触媒層と前記両触媒層の間に配置された高分子電解質膜で構成される。また、前記膜電極接合体は、ガス拡散層を有していてもよい。このとき、アノード触媒層として、従来公知の燃料電池用触媒層、例えば、前記酸素還元触媒の代わりに白金担持カーボン触媒を含む燃料電池用触媒層を用いることができる。
以下、本明細書において、膜電極接合体を「MEA」と呼ぶ場合がある。
高分子電解質膜としては、例えば、パーフルオロスルホン酸系高分子を用いた高分子電解質膜または炭化水素系高分子を用いた高分子電解質膜などが一般的に用いられるが、高分子微多孔膜に液体電解質を含浸させた膜または多孔質体に高分子電解質を充填させた膜などを用いてもよい。
前記膜電極接合体は、電解質膜の両面に前記燃料電池用触媒層を形成して得ることができる。前記膜電極接合体がガス拡散層を有している場合は、前記燃料電池用触媒層のさらに外側にガス拡散層を有する。ガス拡散層を有する膜電極接合体は、1つのガス拡散層の片面にカソード触媒層を形成し、他のガス拡散層の片面にアノード触媒層を形成し、カソード触媒層およびアノード触媒層を内側として電解質膜の両面をこれら2つのガス拡散層で挟み、例えばホットプレスすることで得ることができる。
<膜電極接合体の用途>
前記膜電極接合体は、触媒活性および起動停止耐久性が高いことから、高分子固体電解質型燃料電池または空気電池の用途に好適に用いることができる。
燃料としては、アノードでプロトンを発生することができるものであれば特に限定はされず、水素、メタノールなどのアルコール類、グルコースなどの糖類が挙げられ、水素、メタノールが好ましい。燃料には水が混入しても構わず、燃料をガスで供給する場合は、水は水蒸気であることが好ましい。
酸化剤としては酸素が好ましく、カソードに供給する酸素濃度は特に制限されない。ガスで供給する場合は、酸化剤に窒素や水蒸気が混入しても構わない。また、カソードに供給するガスとして、空気を用いても構わない。
燃料および酸化剤をガスで供給する場合、このガスは、大気圧のガスであっても加圧したガスであっても構わない。
燃料電池運転時にはプロトン伝導性を確保するために固体電解質が水で湿っている必要があるため、燃料電池は、ガスに水蒸気を混入して運転される。燃料電池は、一般的には運転時のセル温度における飽和水蒸気量を導入したガスを用いて運転される。
本発明の酸素還元触媒は無機金属化合物からなる部分を含む複合粒子を含んでいる。無機金属化合物からなる部分は親水性が高いので、燃料電池運転時に水分を保持しやすい。そのため、本発明の酸素還元触媒を用いた燃料電池を運転する場合、導入ガスの湿度を低くすることが可能である。この燃料電池は低湿度で運転することが出来るので、燃料電池を使用するシステムを、ガス加湿器を使用しないシステムにすることや、燃料電池運転時の湿度の調整を簡略化することが可能になる。
<前記燃料電池を備えた物品の具体例>
前記燃料電池を備えることができる物品の具体例としては、電気を使用する物品であれば特に限定されず、ビル、家屋、テント等の建築物、蛍光灯、LED等、有機EL、街灯、屋内照明、信号機等の照明器具、機械、車両そのものを含む自動車用機器、家電製品、農業機器、電子機器、携帯電話等を含む携帯情報端末、美容機材、可搬式工具、風呂用品トイレ用品等の衛生機材、家具、玩具、装飾品、掲示板、クーラーボックス、屋外発電機などのアウトドア用品、教材、造花、オブジェ、心臓ペースメーカー用電源、ペルチェ素子を備えた加熱および冷却器用の電源が挙げられる。電気を安定的に使用するためには、前記燃料電池には二次電池やキャパシタと組み合わせたシステムであることが好ましい。
以下に、本発明を実施例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
[酸素還元触媒の製造および測定]
1.元素分析;
炭素:試料約0.1gを量り取り、堀場製作所製EMIA−110にて測定を行った。窒素・酸素:試料約0.1gを量り取り、Ni−Cupに封入後、LECO社製TC600にて測定を行った。
金属元素:試料約0.1gを白金皿に量り取り、酸を加えて加熱分解した。この加熱分解物を定容後、適宜希釈し、ICP−OES(SII社製VISTA−PRO)またはICP−MS(Agilent社製HP7500)を用いて定量した。
2.粉末X線回折測定;
パナリティカル社製 X'Pert PRO MRDを用いて、試料の粉末X線回折分析を行った。
測定条件の詳細は以下のとおりである。
X線出力(Cu−Kα):45kV、40mA
走査軸:θ/2θ
測定範囲(2θ):10.00°〜89.98°
測定モード:FT
読込幅:0.02°
サンプリング時間:0.70秒
DS、SS、RS:0.5°、0.5°、0.15mm
ゴニオメーター半径:240mm
各試料の粉末X線回折における回折線ピークの本数は、信号(S)とノイズ(N)の比(S/N)が2以上で検出できるシグナルを1つのピークとしてみなして数えた。なお、ノイズ(N)は、ベースラインの幅とした。
(結晶子サイズ計算)
無機金属化合物からなる部分に起因するピークについて、粉末X線回折リートベルト解析プログラム("HighScore Plus."、製造会社:Panalytical. B.V.)により第一ピークの回折線の半値幅B(ラジアン)を求め、シェラーの式:D=Kλ/Bcosθ(定数Kは0.9、λはX線の波長(nm)、θは回折角(度)である。)により、無機金属化合物からなる部分の結晶面に垂直な方向の結晶子サイズの平均値Dを算出した。
3.ラマン分光測定;
日本分光製NRS―5100にて顕微ラマン測定を行った。試料測定前に、リファレンス用シリコン基板を用いて装置の校正を行った。試料測定は格子測定モードにて行い、9箇所の測定を1回とし、それぞれ異なる試料位置において、合計5回(計45箇所)測定した。各々の測定で得られたスペクトルを平均化し、最終結果とした。なお、励起波長は532nmであり、露光時間および積算回数は、レーザー照射点1箇所につきそれぞれ3秒および5回とした。測定範囲は850〜2000cm-1であった。
得られたスペクトルを、日本分光製Spectra Manager Version2を用いて解析した。すなわち、適切なベースライン補正を行った後、前記V/G比を算出した。
4.BET比表面積測定;
試料を0.15g採取し、全自動BET比表面積測定装置マックソーブ(マウンテック社製)で比表面積測定を行った。前処理時間および前処理温度は、それぞれ30分および200℃に設定した。
5.透過型電子顕微鏡観察;
透過型電子顕微鏡(TEM)観察を、日立製作所製H9500(加速電圧300kV)を用いて行った。観察試料は、試料粉体をエタノール中に超音波分散させた分散液を、TEM観察用マイクログリッド上に滴下することで作製した。また、日立製作所製HD2300(加速電圧200kV)を用いて、エネルギー分散型X線分光法(EDX分析)を行った。
6.単極を用いた酸素還元能の評価;
(1)電極の作製;
酸素還元触媒30mgとカーボンブラック7.5mg(ライオン社製 KetjenBlack EC−600JD)とを、イソプロピルアルコールと純水とを1:1の質量比で混合した溶液1.2mlに入れ、超音波を照射し分散させ、混合した。この懸濁液に5%NAFION溶液(デュポン社製 DE521)を37.5μl添加しさらに混合した。
この懸濁液を、混合しながら10μL採取し、素早くグラッシーカーボン電極(直径:5.2mm)上に滴下し、120℃で5分間乾燥させた。乾燥することにより酸素還元能を評価する粉体の層(触媒層)が、グラッシーカーボン電極上に形成される。この滴下及び乾燥操作を、カーボン電極表面に1.0mgの触媒層が形成されるまで行った。触媒層の重さは触媒層形成前後でのグラッシーカーボン電極の重量変化に基づいて測定した。
(2)酸素還元能の評価;
上記(1)にて作製した電極(触媒層が形成されたグラッシーカーボン電極)を、酸素雰囲気および窒素雰囲気で、0.5mol/Lの硫酸水溶液中、30℃、5mV/秒の電位走査速度で分極し、電流−電位曲線を測定した。その際、同濃度の硫酸水溶液中での可逆水素電極を参照電極とした。
上記電流−電位曲線の測定結果において、0.75V(vsRHE)における、酸素雰囲気での還元電流と窒素雰囲気での還元電流との差を算出し、その値をさらに電極面積で除した値を酸素還元電流密度(mA/cm2)とした。この酸素還元電流密度により、作製した電極の触媒能を評価した。酸素還元電流密度が大きいほど、電極における酸素還元活性が高い。
[実施例1−1〜9−1、比較例1−1〜2−1、6−1〜8−1]
<前駆体の合成>
各実施例等で用いられた原料の種および量を表4に示す。
ナスフラスコに攪拌子および溶媒(1)を仕込み、溶媒(1)をマグネティックスターラーで攪拌しながらで氷冷した。ここにM1含有化合物(1)および溶媒(2)をこの順序でゆっくりと添加し、金属元素M1を含む金属含有化合物の溶液(M1溶液)を作製した。M1含有化合物(1)として複数種の化合物を使用した場合は、表4記載の順(小さい数字から大きい数字の順)で添加した。
別のナスフラスコに攪拌子、窒素含有有機化合物(2)、および金属元素M2を添加する場合にはさらにM2含有化合物(3)を仕込み、次いで溶媒(3)を加えて、マグネティックスターラーで攪拌を行い窒素含有有機化合物(2)含む溶液を作製した。
この、窒素含有有機化合物(2)含む溶液に、前記M1溶液を室温でゆっくりと添加した。添加後30分間攪拌を続け、前駆体溶液を得た。
ロータリーバキュームエバポレーターを用い、ウォーターバスの温度を約80℃に設定して、前記前駆体溶液を加熱かつ攪拌しながら、溶媒を蒸発させた。溶媒を蒸発させて得られた固形分残渣をメノウ製の乳鉢で細かく均一に潰して、粉末(以下「前駆体」とも記す。)を得た。
<複合粒子の合成>
(熱処理工程)
室温で前記前駆体を石英製管状炉に入れ、水素を4体積%含む水素と窒素との混合ガス雰囲気で系内を十分置換した。雰囲気ガスを導入しながら、管状炉を熱処理温度まで昇温し、熱処理温度で一定時間保持した後に放冷し、管状炉が500℃以下になったところで空冷した。管状炉が50℃以下になったところで、雰囲気ガスの導入を停止し、管状炉から熱処理物を取り出した。
水を含む雰囲気ガスを用いる場合は、水素を4体積%含む水素と窒素との混合ガスを、一定温度(60℃)に保ったイオン交換水を含むバブラーに通して、雰囲気ガス中に水(水蒸気)を含ませた。
熱処理条件を表5に示す。
(解砕工程)
前記熱処理物1gを、遊星ボールミル(フリッチュ・ジャパン社製、P−7)により解砕し、濾別し、80℃で乾燥し、粉末(以下「複合粒子」とも記す。)を得た。
解砕条件は、溶媒10mlおよび直径が0.5mmのジルコニアボールを前記熱処理物とともに容器に仕込み、回転数700rpmで10分間かけて前記熱処理物を解砕するというものであった。溶媒としては、2−プロパノールを用いた。
複合粒子の元素分析等の結果を表6に示す。
図5に実施例1−1の複合粒子(1)のTEM観察像を示す。また、図6〜9のそれぞれに、Ti、Nb、Fe、OのEDXマッピングの結果を示す。TEM観察像から「無機金属化合物からなる部分」が粒子状であることを確認できる。図5の「炭素を含む部分」のEDX分析を行ったところ、Cが主成分であることが確認できた。また、TEM観察像と「炭素を含む部分」のEDX分析とEDXマッピングの結果とを合わせてみると、複合粒子(1)が「無機金属化合物からなる部分」と「炭素を含む部分」とからなる複合粒子であることがわかり、「無機金属化合物からなる部分」にはTi、Nb、Fe、Oの分布が多く、「炭素を含む部分」はCが主成分であることがわかる。
[比較例11−1]
特許文献2の実施例1に記載された「触媒担持用担体IK(Co)1000℃ AW」の製造方法に従い(ただし熱処理物の粉砕は、上記実施例1−1の解砕工程と同様に行い)、粒子(C11)を得た。粒子(C11)を元素分析したところ、コバルト、炭素、窒素、酸素の含有量はそれぞれ0.83質量%、95質量%、0.5質量%、0.9質量%であった。炭素化材料(C11)の分析結果を表6に示す。
[比較例12−1]
特許文献3の実施例4の「4−1.触媒の調製」記載に従って「触媒(4)」を製造した。前記熱処理物を1gの「触媒(4)」に変更し、溶媒としてアセトニトリルを用いたこと以外は実施例1−1と同様に解砕工程を行い、粒子(C12)を得た。粒子(C12)の分析結果を表6に示す。
[比較例13−1]
国際公開WO2009/104500の実施例1の「1.触媒用担体の調製」の記載に従って「触媒用担体(1)」を製造した。前記熱処理物を1gの「触媒用担体(1)」に変更し、溶媒としてアセトニトリルを用いたこと以外は実施例1−1と同様に解砕工程を行い、粒子(C13)を得た。粒子(C13)の分析結果を表6に示す。
[実施例1−2]
<貴金属担持複合粒子からなる酸素還元触媒の製造>
蒸留水1250mlに、実施例1−1で製造した複合粒子(以下「複合粒子(1)」とも記す。)1.00gおよび炭酸ナトリウム(和光純薬工業(株)製)363mgを加え、超音波洗浄機で30分間振とうさせた。得られた懸濁液を、ウォーターバス中で液温を80℃に維持しながら30分間攪拌した。ここに、液温を80℃に維持しながら、塩化白金酸六水和物(和光純薬工業(株)製)0.660g(白金0.250g相当)を含む蒸留水30mLを、10分かけて滴下した。その後、液温80℃で2時間撹拌を行った。次に、得られた懸濁液に、37%ホルムアルデヒド水溶液(和光純薬工業(株)製)21.5mlを上記懸濁液に5分かけて滴下した。その後、液温を80℃に維持しながら1時間撹拌を行った。撹拌終了後、得られた懸濁液を冷却し、ろ過により黒色粉末を濾別し、乾燥させた。
得られた粉末を、管状炉に入れ、水素を4体積%含む水素と窒素との混合ガス雰囲気下で、昇温速度10℃/分で600℃まで昇温し600℃で1時間熱処理し、その後室温まで放冷し、白金担持粒子(1)を得た。
白金担持粒子(1)を用いて後述する燃料電池用膜電極接合体の製造およびその発電特性の評価を行った。その結果を表7に示す。
[実施例2−2〜9−2、比較例1−2〜2−2]
複合粒子(1)を、複合粒子(2)〜(9)および複合粒子(C1)〜(C2)のいずれかに変更したこと以外は実施例1−2と同様の操作を行い、白金担持粒子(2)〜(9)および(C1)〜(C2)をそれぞれ製造した。
各白金担持粒子を用いて後述する発電特性の評価等を行った。その測定結果を表7に示す。
[比較例10−2]
田中貴金属工業(株)製の白金担持カーボン触媒(TEC10E50E、以下「白金担持粒子(C10)」とも記す。)を用いて後述する発電特性の評価等を行った。その結果を表7に示す。また、白金担持粒子(C10)のラマンスペクトル、BET比表面積を複合粒子(1)と同様に測定した結果を、表6の「比較例10−2」の行に示す。
[比較例11−2]
前記複合粒子(1)を1.00gの粒子(C11)に変更したこと以外は実施例1−2と同様の操作を行い、白金担持粒子(C11)を製造した。また、白金担持粒子(C11)を用いて後述する発電特性の評価等を行った。その測定結果を表7に示す。
[比較例12−2]
前記複合粒子(1)を1.00gの粒子(C12)に変更したこと以外は実施例1−2と同様の操作を行い、白金担持粒子(C12)を製造した。また、白金担持粒子(C12)を用いて後述する発電特性の評価等を行った。その測定結果を表7に示す。
[比較例13−2]
国際公開WO2009/104500の実施例1の「2.触媒の調製」の記載に従って、白金担持担体(以下「白金担持粒子(C13)」とも記す。)を製造した。また、白金担持粒子(C13)を用いて後述する発電特性の評価等を行った。その測定結果を表7に示す。
[燃料電池用膜電極接合体の製造とその発電特性の評価]
<膜電極接合体の製造>
(1)カソード用インク調製;
カソード用インクA〜Cを以下のように調製した。
(1−1)カソードインクA
サンプル瓶1に前記酸素還元触媒(白金担持粒子)0.25gを入れ、イオン交換水6mL添加して攪拌し、さらに2−プロプロパノール6mLを添加して攪拌した。
5%ナフィオン(NAFION)溶液0.5gをサンプル瓶2に入れ、2−プロパノールとイオン交換水との混合溶液(容積比1:1)12mlで希釈した。
サンプル瓶1に超音波をかけながら、サンプル瓶1にサンプル瓶2内の溶液の全量を1ml/分の速度で加えた。次いで2−プロパノールとイオン交換水との混合溶液(容積比1:1)4mlをサンプル瓶1に加え、超音波を30分間かけて酸素還元触媒(白金担持粒子)を分散させることにより、カソード用インクAを調製した。
(1−2)カソードインクB
サンプル瓶1に前記酸素還元触媒(白金担持粒子)0.25gと電子伝導性材料としてグラファイト化カーボンブラック(GrCB−K、昭和電工(株)製)0.0625gとを入れ、イオン交換水6mLを添加して攪拌し、さらに2−プロプロパノール6mLを添加して攪拌した。
5%ナフィオン(NAFION)溶液3.75gをサンプル瓶2に入れ、2−プロパノールとイオン交換水との混合溶液(容積比1:1)12mlで希釈した。
サンプル瓶1に超音波をかけながら、サンプル瓶1にサンプル瓶2内の溶液の全量を1ml/分の速度で加えた。次いで2−プロパノールとイオン交換水との混合溶液(容積比1:1)4mlをサンプル瓶1に加え、超音波を30分間かけて酸素還元触媒(白金担持粒子)を分散させることにより、カソード用インクBを調製した。
(1−3)カソードインクC
サンプル瓶1に田中貴金属工業(株)製の白金担持カーボン触媒(TEC10E50E)(白金担持粒子(C10))0.25gを入れ、イオン交換水6mL添加して攪拌し、さらに2−プロプロパノール6mLを添加して攪拌した。
5%ナフィオン(NAFION)溶液2.08gをサンプル瓶2に入れ、2−プロパノールとイオン交換水との混合溶液(容積比1:1)12mlで希釈した。
サンプル瓶1に超音波をかけながら、サンプル瓶1にサンプル瓶2内の溶液の全量を1ml/分の速度で加えた。次いで2−プロパノールとイオン交換水との混合溶液(容積比1:1)4mlをサンプル瓶1に加え、超音波を30分間かけて酸素還元触媒(白金担持粒子)を分散させることにより、カソード用インクCを調製した。
(2)カソードの作製;
ガス拡散層(カーボンペーパー(TGP−H−060、東レ(株)製))を、アセトン(和光純薬工業(株)製)に30秒間浸漬して脱脂した後、乾燥させ、次いで10%のポリテトラフルオロエチレン(PTFE)水溶液に30秒間浸漬した。
浸漬物を、室温乾燥後、350℃で1時間加熱することにより、カーボンペーパー内部にPTFEが分散し撥水性を有するガス拡散層(以下「GDL」とも記す。)を得た。
次に、5cm×5cmの大きさとした前記GDLの表面に、自動スプレー塗布装置(サンエイテック社製)により、80℃で、上記カソード用インクを片面に塗布し、白金の量が0.1mg/cm2になるように形成し、カソードを作製した。塗布面にはカソード触媒層が形成された。
塗布前後の質量変化とカソード用インクの組成からカソード触媒層中の単位面積当たりの白金量を算出した。
(3)アノード用インク調製;
イオン交換水50mlに、白金担持カーボン触媒(田中貴金属工業(株)製 TEC10E70TPM)0.6gと、プロトン伝導性材料(ナフィオン(NAFION)0.25gを含有する水溶液(5%ナフィオン(NAFION)水溶液、和光純薬工業(株)製))5gとを入れて、超音波分散機で1時間混合することにより、アノード用インクを調製した。
(4)アノードの作製;
上記カソードの作製に使用したGDLと同じ仕様の5cm×5cmの大きさとした前記GDLの表面に、自動スプレー塗布装置(サンエイテック社製)により、80℃で、上記アノード用インクを片面に塗布し、白金担持カーボン触媒の総量が1.00mg/cm2であるアノード触媒層をGDL表面に有する電極(アノード)を作製した。塗布面にはアノード触媒層が形成された。
塗布前後の質量変化とアノードインクの組成から単位面積当たりの触媒量を算出した。
(5)膜電極接合体の作製;
前記カソードと前記アノードとの間に電解質膜を配置した膜電極接合体(以下「MEA」ともいう。)を以下のように作製した。
電解質膜としてナフィオン(NAFION)膜(NR−212、DuPont社製)、上記カソード電極および上記アノード電極を準備した。
前記電解質膜を前記カソード電極および前記アノード電極で挟んだ。その際、カソード触媒層およびアノード触媒層が前記電解質膜に密着するようした。次いで、ホットプレス機を用いて、温度140℃で、7分間、1MPaの圧力をかけてこれらを熱圧着し、MEAを作製した。
<単セル作製>
MEAを、2枚のシール材(ガスケット)、2つのガス流路付きセパレーター、2つの集電板および2つのラバーヒータで挟んでボルトで固定し、これらを所定の面圧(4N)になるように締め付けて、固体高分子形燃料電池の単セル(セル面積:25cm2)を作製した。
<起動停止耐久性試験>
上記単セルを80℃、アノード加湿器を80℃、カソード加湿器を80℃に温度調節した。この後、アノード側に燃料として水素を、カソード側に空気をそれぞれ供給し、単セルの電流―電圧(I−V)特性を評価した。このときの0.3A/cm2における電圧値を、以下「初期電圧」と記す。
燃料電池のI−V特性において、ある一定の電流密度における電圧値は、当該燃料電池の性能の指標となる。すなわち、前記初期電圧が高いほど、燃料電池の初期性能が高いことを意味し、ひいては酸素還元触媒の活性が高いことを意味する。
この後、上記単セルを80℃、アノード加湿器を80℃、カソード加湿器を80℃に温度調製した状態で、アノード側に水素を、カソード側に窒素をそれぞれ供給しながら、図4に示すような、1.0V−1.5V、および、1.5V−1.0Vからなる三角波電位サイクルを4000回印加した。その後に、上述した条件にてI−V測定を行った。この時の0.3A/cm2における電圧値を、以下「耐久試験後電圧」と記す。
耐久試験後電圧の初期電圧に対する比(%)を「電圧保持率」と定義する。電圧保持率が高いほど、燃料電池の起動停止耐久性が高いことを意味し、ひいては酸素還元触媒の起動停止耐久性が高いことを意味する。
実施例の酸素還元触媒(白金担持粒子)を用いた単セル(1)〜(9)では、いずれも電圧保持率が80%以上であり、良好な起動停止耐久性を示した。特筆すべきことに、これらのいずれも比較例10−2の酸素還元触媒(白金担持粒子)(C10)を用いた単セル(C10)より高い電圧保持率を発現した。また、比較例11−2の酸素還元触媒(白金担持粒子)(C11)を用いた単セル(C11)は、電圧保持率が高いものの初期電圧が低かった。
以上の結果より、上記実施例(1−2)〜(9−1)で調製した酸素還元触媒(白金担持粒子)は、起動停止耐久性に優れており、また、良好な初期性能を有している。
表7には、白金担持粒子からなる酸素還元触媒の起動停止耐久性の効果を示したが、この起動停止耐久性は担体への腐食に対する耐久性の評価であるから、これらの白金担持粒子に用いた複合粒子のみからなる酸素還元触媒も起動停止耐久性に優れると、合理的に類推できる。

Claims (17)

  1. 無機金属化合物からなる部分と炭素を含む部分とからなる複合粒子を含み、
    前記複合粒子が、金属元素M1、炭素および酸素を構成元素として含み、
    前記金属元素M1が、第2〜7族元素および第11〜15族元素から選択される少なくとも1種の金属元素であり、
    前記金属元素M1の原子の合計量を1モルとすると炭素原子の量が1〜10モルであり、酸素原子の量が1〜3モルであり、
    ラマンスペクトルにおいて、GバンドおよびDバンドが存在し、下式で定義されるV/G比が0.10〜0.35である酸素還元触媒。
    V/G比
    =(GバンドとDバンドとの間の領域である領域Vにおけるスペクトル強度の最小値)/(Gバンドのピーク強度)
  2. 無機金属化合物からなる部分と炭素を含む部分とからなる複合粒子を含み、
    前記複合粒子が、金属元素M1、炭素および酸素を構成元素として含み、
    前記金属元素M1が、第4族元素および第5族元素から選択される少なくとも1種の金属元素であり、
    前記金属元素M1の原子の合計量を1モルとすると炭素原子の量が1〜10モルであり、酸素原子の量が1〜3モルであり、
    ラマンスペクトルにおいて、GバンドおよびDバンドが存在し、下式で定義されるV/G比が0.10〜0.35である酸素還元触媒。
    V/G比
    =(GバンドとDバンドとの間の領域である領域Vにおけるスペクトル強度の最小値)/(Gバンドのピーク強度)
  3. 前記金属元素M1が、バナジウム、ジルコニウム、ニオブ、ハフニウムおよびタンタルからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1または2に記載の酸素還元触媒。
  4. 前記金属元素M1の合計量を1モルとすると、炭素の量が1〜10モル、窒素の量が0モルより大きく1モル以下、酸素の量が1〜3モルである請求項1〜3のいずれかに記載の酸素還元触媒。
  5. 前記複合粒子が、鉄、コバルトおよびニッケルからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属元素M2をさらに含み、前記金属元素M1の合計量を1モルとすると、前記金属元素M2の量が0.3モル以下である請求項1〜4のいずれかに記載の酸素還元触媒。
  6. 前記無機金属化合物からなる部分が前記金属元素M1を含む結晶である請求項1〜5のいずれかに記載の酸素還元触媒。
  7. 前記結晶の結晶子サイズが5〜100nmである請求項6に記載の酸素還元触媒。
  8. BET比表面積が50〜1000m2/gである請求項1〜7のいずれかに記載の酸素還元触媒。
  9. 前記複合粒子に担持された貴金属または貴金属の合金からなる粒子をさらに含む請求項1〜8のいずれかに記載の酸素還元触媒。
  10. 前記貴金属が、白金、パラジウム、イリジウム、ロジウムおよびルテニウムから選ばれる少なくとも1種の貴金属である請求項9に記載の酸素還元触媒。
  11. 前記貴金属の合金が、貴金属同士の合金、または貴金属と、鉄、ニッケル、クロム、コバルト、チタン、銅、バナジウムおよびマンガンから選ばれる少なくとも1種の金属とからなる合金である請求項9または10に記載の酸素還元触媒。
  12. 酸素を水に変換する反応において該反応の触媒として用いる、請求項1〜11のいずれかに記載の酸素還元触媒。
  13. 請求項1〜12のいずれかに記載の酸素還元触媒を溶媒に分散してなる燃料電池用触媒層作製用インク。
  14. 請求項1〜12のいずれかに記載の酸素還元触媒を含む燃料電池用触媒層。
  15. 請求項14に記載の燃料電池用触媒層を備える燃料電池用電極。
  16. カソード触媒層とアノード触媒層と前記両触媒層の間に配置された高分子電解質膜で構成される膜電極接合体であって、前記カソード触媒層および/または前記アノード触媒層が、請求項14に記載の燃料電池用触媒層である膜電極接合体。
  17. 請求項16に記載の膜電極接合体を備える燃料電池。
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