JP5703855B2 - 近赤外反射フィルム、近赤外反射フィルムの製造方法及び近赤外反射体 - Google Patents
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Description
本発明の近赤外反射フィルムは、基材上に、高屈折率層と低屈折率層から構成されるユニットを少なくとも1つ有し、隣接する該高屈折率層と該低屈折率層との屈折率差が0.1以上であることを一つの特徴とする。更には、本発明の近赤外反射フィルムの光学特性としては、JIS R3106−1998で示される可視光領域の透過率が50%以上であり、かつ、波長900nm〜1400nmの領域に反射率50%を超える領域を有することが好ましい。
本発明に係る高屈折率層の一つの態様として、金属酸化物粒子、ゼラチンまたはコラーゲンペプチド、及び酸またはその塩を含有することが好ましく、更には、1)重量平均分子量が5万以下である低分子量ゼラチンまたはコラーゲンペプチドと、2)重量平均分子量が10万以上の高分子量ゼラチンと、3)金属酸化物粒子と、4)酸またはその塩を含有することが好ましい。
本発明に係る高屈折率層に用いられる金属酸化物粒子としては、屈折率が2.0以上で、体積平均粒径が100nm以下の金属酸化物粒子を用いることが好ましく、例えば、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、酸化チタン等を挙げることができるが、特に、体積平均粒径が100nm以下のルチル型酸化チタン粒子を用いることが好ましい。
一般的に、酸化チタン粒子は、粒子表面の光触媒活性の抑制や、溶媒等への分散性を向上する目的で、表面処理が施された状態で使用されることが多く、例えば、酸化チタン粒子表面をシリカからなる被覆層で覆われ、粒子表面が負電荷を帯びたものや、アルミニウム酸化物からなる被覆層が形成されたpH8〜10で表面が正電荷を帯びたものが知られている。
〈ルチル型酸化チタンゾルの製造方法〉
本発明の近赤外反射フィルムの製造方法において、水系の高屈折率層塗布液を調製する際に、ルチル型酸化チタンとして、pHが1.0以上、3.0以下で、かつチタン粒子のゼータ電位が正である水系の酸化チタンゾルを用いることが好ましい。
本発明では、前述の高屈折率層よりも屈折率が少なくとも0.1以上低い低屈折率層を有する。低屈折率層は、屈折率が1.6以下であることが好ましい。さらには、1.30〜1.50である。
本発明においては、本発明に係る高屈折率層及び低屈折率層の少なくとも1層が、金属酸化物粒子と酸またはその塩と共に、ゼラチンまたはコラーゲンペプチドを含有することを特徴とし、更に好ましくは、本発明に係る高屈折率層及び低屈折率層の少なくとも1層が、1)重量平均分子量が5万以下である低分子量ゼラチンまたはコラーゲンペプチドと、2)重量平均分子量が10万以上の高分子量ゼラチンとを含有することである。
本発明に係る低分子量ゼラチンまたはコラーゲンペプチドは、重量平均分子量が5万以下であることが好ましく、更には分子量が10万以上の高分子量ゼラチン成分の含有量が1.0質量%以下であることが好ましい。
本発明においては、高屈折率層及び低屈折率層の少なくとも1層が、重量平均分子量が10万以上の高分子量ゼラチンを含有することが好ましく、高分子量ゼラチンの重量平均分子量としては、10万以上、20万以下の範囲にあることがより好ましい。
2本直列接続 カラム温度50℃
b)溶離液:0.1モル/LのKH2PO4と0.1モル/LのNa2HPO4との等量混合溶液
pH6.8 流速1.0ml/min
c)試料:ゼラチンの0.2%溶離液溶液
注入量 100μl
d)検出:紫外線吸収分光光度計(UV波長230nm)
リテンションタイム(Retention Time)による230nmの吸収の変化をみると、先ず排除限界のピークが現れ、次にゼラチンのγ成分、β成分、α成分によるピークが順次現れ、更にリテンションタイムが長くなるにつれて、徐々に減衰するような形となる。標準サンプルにて校正した流出曲線のリテンションタイム(Retention Time)から分子量を求めることができる。
本発明に係る高屈折率層塗布液または低屈折率層塗布液には、高屈折率層または低屈折率層を形成した後に、ゼラチン塗膜を硬化するため、必要に応じて硬膜剤を添加することもできる。
次に、本発明に係る酸またはその塩について説明する。
本発明の近赤外反射フィルムの製造方法においては、本発明に係る高屈折率層及び低屈折率層の少なくとも1層を形成する水系塗布液のpHが、3.8以上、5.8以下であることが好ましい。
本発明においては、高屈折率層と低屈折率層とから構成されるユニットにおける膜面pHが4.0以上、6.0以下であることを特徴とする。
本発明の近赤外反射フィルムにおいては、高屈折率層または低屈折率層が、セルロース類、増粘多糖類及び反応性官能基を有するポリマー類等の水溶性高分子を含有することが好ましい。本発明でいう水溶性高分子とは、該水溶性高分子が最も溶解する温度で、0.5質量%の濃度に水に溶解させた際、G2グラスフィルタ(最大細孔40〜50μm)で濾過した場合に濾別される不溶物の質量が、加えた該水溶性高分子の50質量%以内であるものを言う。
本発明で用いることのできるセルロース類としては、水溶性のセルロース誘導体が好ましく用いることができ、例えば、カルボキシメチルセルロース(セルロースカルボキシメチルエーテル)、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等の水溶性セルロース誘導体や、カルボン酸基含有セルロース類であるカルボキシメチルセルロース(セルロースカルボキシメチルエーテル)、カルボキシエチルセルロース等を挙げることができる。その他には、ニトロセルロース、セルロースアセテートプロピオネート、酢酸セルロース、セルロース硫酸エステル等のセルロース誘導体を挙げることができる。
本発明で用いることのできる増粘多糖類としては、特に制限はなく、例えば、一般に知られている天然単純多糖類、天然複合多糖類、合成単純多糖類及び合成複合多糖類に挙げることができ、これら多糖類の詳細については、「生化学事典(第2版),東京化学同人出版」、「食品工業」第31巻(1988)21頁等を参照することができる。
本発明に適用可能な水溶性高分子としては、反応性官能基を有するポリマー類が挙げられ、例えば、ポリビニルアルコール類、ポリビニルピロリドン類、ポリアクリル酸、アクリル酸−アクリルニトリル共重合体、アクリル酸カリウム−アクリルニトリル共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸エステル共重合体、若しくはアクリル酸−アクリル酸エステル共重合体などのアクリル系樹脂、スチレン−アクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スチレン−メタクリル酸−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸共重合体、若しくはスチレン−α−メチルスチレン−アクリル酸−アクリル酸エステル共重合体などのスチレンアクリル酸樹脂、スチレン−スチレンスルホン酸ナトリウム共重合体、スチレン−2−ヒドロキシエチルアクリレート共重合体、スチレン−2−ヒドロキシエチルアクリレート−スチレンスルホン酸カリウム共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ビニルナフタレン−アクリル酸共重合体、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸エステル共重合体、酢酸ビニル−クロトン酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体などの酢酸ビニル系共重合体及びそれらの塩が挙げられる。これらの中で、特に好ましい例としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン類及びそれを含有する共重合体が挙げられる。
本発明に係る高屈折率層及び低屈折率層には、必要に応じて各種添加剤を用いることができる。例えば、本発明では、金属酸化物の分散安定性付与のためにアミノ酸の添加や、あるいは塗膜の脆弱性を改質するためにエマルジョン樹脂を用いることができる。
本発明でいうアミノ酸とは、同一分子内にアミノ基とカルボキシル基を有する化合物であり、α−アミノ酸、β−アミノ酸、γ−アミノ酸など、いずれのタイプのアミノ酸でもよいが、等電点が6.5以下のアミノ酸であることが好ましい。一般に、アミノ酸には光学異性体が存在するものもあるが、本発明においては光学異性体による効果の差はなく、いずれの異性体も単独であるいはラセミ体でも使用することができる。
本発明においては、本発明に係る高屈折率層または低屈折率層が、更にエマルジョン樹脂を含有することが好ましい。
本発明に係る高屈折率層と低屈折率層に適用可能な各種の添加剤を以下に列挙する。例えば、特開昭57−74193号公報、同57−87988号公報及び同62−261476号公報に記載の紫外線吸収剤、特開昭57−74192号、同57−87989号公報、同60−72785号公報、同61−146591号公報、特開平1−95091号公報及び同3−13376号公報等に記載されている退色防止剤、アニオン、カチオンまたはノニオンの各種界面活性剤、特開昭59−42993号公報、同59−52689号公報、同62−280069号公報、同61−242871号公報および特開平4−219266号公報等に記載されている蛍光増白剤、硫酸、リン酸、酢酸、クエン酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム等のpH調整剤、消泡剤、ジエチレングリコール等の潤滑剤、防腐剤、帯電防止剤、マット剤等の公知の各種添加剤を含有させることもできる。
本発明の近赤外反射フィルムに適用する基材としては、フィルム支持体であることが好ましく、フィルム支持体は、透明であっても不透明であってもよく、種々の樹脂フィルムを用いることができ、ポリオレフィンフィルム(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、ポリエステルフィルム(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリ塩化ビニル、3酢酸セルロース等を用いることができ、好ましくはポリエステルフィルムである。ポリエステルフィルム(以降ポリエステルと称す)としては、特に限定されるものではないが、ジカルボン酸成分とジオール成分を主要な構成成分とするフィルム形成性を有するポリエステルであることが好ましい。主要な構成成分のジカルボン酸成分としては、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ジフェニルエタンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジフェニルチオエーテルジカルボン酸、ジフェニルケトンジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸などを挙げることができる。また、ジオール成分としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、テトラメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシエトキシフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビスフェノールフルオレンジヒドロキシエチルエーテル、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ハイドロキノン、シクロヘキサンジオールなどを挙げることができる。これらを主要な構成成分とするポリエステルの中でも、透明性、機械的強度、寸法安定性などの点から、ジカルボン酸成分として、テレフタル酸や2,6−ナフタレンジカルボン酸、ジオール成分として、エチレングリコールや1,4−シクロヘキサンジメタノールを主要な構成成分とするポリエステルが好ましい。中でも、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートを主要な構成成分とするポリエステルや、テレフタル酸と2,6−ナフタレンジカルボン酸とエチレングリコールからなる共重合ポリエステル、およびこれらのポリエステルの二種以上の混合物を主要な構成成分とするポリエステルが好ましい。
本発明の近赤外反射フィルムの製造方法においては、基材上に、高屈折率層と低屈折率層とから構成されるユニットを少なくとも1つを有し、該高屈折率層と該低屈折率層との屈折率差が0.1以上であり、該高屈折率層及び該低屈折率層の少なくとも1層が、少なくとも金属酸化物粒子と、ゼラチンまたはコラーゲンペプチドと、酸またはその塩を含有する水系塗布液を用いて形成され、形成した該ユニットの膜面pHが4.0以上、6.0以下であることを特徴とする。
(1)本発明に係る高屈折率層及び該低屈折率層の少なくとも1層を形成する水系塗布液のpHが、3.8以上、5.8以下であること、
(2)本発明に係る高屈折率層及び該低屈折率層の少なくとも1層を形成する水系塗布液が含有するゼラチンまたはコラーゲンペプチドが、1)重量平均分子量が5万以下である低分子量ゼラチンまたはコラーゲンペプチドと、2)重量平均分子量が10万以上の高分子量ゼラチンであること、
(3)本発明に係る高屈折率層及び該低屈折率層の少なくとも1層を形成する水系塗布液が、金属酸化物粒子の表面を、1)重量平均分子量が5万以下である低分子量ゼラチンまたはコラーゲンペプチドで被覆した後、2)重量平均分子量が10万以上の高分子量ゼラチンを添加して調製されること、である。
本発明の近赤外反射フィルムは、幅広い分野に応用することができる。例えば、建物の屋外の窓や自動車窓等長期間太陽光に晒らされる設備に貼り合せ、熱線反射効果を付与する熱線反射フィルム等の窓貼用フィルム、農業用ビニールハウス用フィルム等として、主として耐候性を高める目的で用いられる。
《近赤外反射フィルムの作製》
〔近赤外反射フィルム試料101の作製〕
(高屈折率層塗布液H1の調製)
下記の添加物1)〜6)をこの順序で添加、混合して、高屈折率層塗布液H1を調製した。
2)5.0質量%低分子量ゼラチン(GelL1)水溶液 125g
3)5.0質量%高分子量ゼラチン(GelH1)水溶液 100g
4)純水 150g
5)5.0質量%界面活性剤水溶液(ニッサンカチオン−2−DB−500E、4級アンモニウム塩系カチオン性界面活性剤、日油社製) 0.45g
6)5.0質量%硬膜剤Aの水溶液 12g
〈5.0質量%の硬膜剤Aの水溶液の調製)
下記硬膜剤Aの50gとβアラニンの2.4gとを、適量の純水に60℃で90分間かけて溶解し、1Lに仕上げて、硬膜剤Aの水溶液を調製した。
下記の添加物1)〜6)をこの順序で添加、混合して、低屈折率層塗布液L1を調製した。
2)5.0質量%低分子量ゼラチン(GelL1)水溶液(前出) 180g
3)5.0質量%高分子量ゼラチン(GelH1)水溶液(前出) 100g
4)純水 240g
5)5.0質量%界面活性剤水溶液(ニッサンカチオン−2−DB−500E、4級アンモニウム塩系カチオン性界面活性剤、日油社製) 0.64g
6)5.0質量%硬膜剤Aの水溶液(前出) 14g
(積層体の形成)
〈高屈折率層HA1の形成〉
上記調製した高屈折率層用塗布液H1を45℃に保温しながら、45℃に加温した厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に、乾燥膜厚が135nmとなる条件で塗布し、次いで、膜面が15℃以下となる条件で冷風を1分間吹き付けて塗布膜を冷却させた後、80℃の温風を吹き付けて乾燥させて、高屈折率層HA1を形成した。
次いで、低屈折率層用塗布液L1を45℃に保温しながら、45℃に加温した上記ポリエチレンテレフタレートフィルムの高屈折率層HA1上に、乾燥膜厚が175nmとなる条件で塗布し、次いで、膜面が15℃以下となる条件で冷風を1分間吹き付けて冷却させた後、80℃の温風を吹き付けて乾燥させて、低屈折率層LA1を形成した。
上記形成した低屈折率層1上に、同様にして高屈折率層HA1/低屈折率層LA1から構成されるユニットを更に5ユニット積層し、それぞれ6層の高屈折率層及び低屈折率層(合計12層)から構成された近赤外反射フィルムである試料101を作製した。
上記試料101の作製に用いた高屈折率層塗布液H1、低屈折率層塗布液L1の調製において、高屈折率層塗布液の調製に用いた低分子量ゼラチンの重量平均分子量、各屈折率層塗布液のpHが表1に記載の値となるように酢酸ナトリウム水溶液を高分子量ゼラチン溶液に添加した以外は同様にして、各屈折率層塗布液を調製し、表1の組み合わせで、試料102〜108を作製した。
(塗布液pHの測定)
試料101〜108の作製に用いた各高屈折率層塗布液、低屈折率塗布液の40℃におけるpHを、東亜電波工業(株)のデジタルpHメーターHM−30Sを用いて測定した。
試料101〜108の屈折率層ユニットを設けた面の膜面pHを下記の方法で測定した。
基材上に屈折率を測定する対象層(高屈折率層、低屈折率層)をそれぞれ単層で塗設したサンプルを作製し、下記の方法に従って、各高屈折率層及び低屈折率層の屈折率を求めた。
上記作製した各近赤外反射フィルムについて、下記の性能評価を行った。
分光光度計(積分球使用、日立製作所社製、U−4000型)を用い、各近赤外反射フィルムの300nm〜2000nmの領域における透過率を測定し、550nmにおける透過率の値を可視光透過率として求め、下記の基準に従って可視光透過性を評価した。
○:可視光透過率が、75%以上、85%未満である
△:可視光透過率が、50%以上、70%未満である
×:可視光透過率が、50%未満である
(近赤外透過性の評価)
分光光度計(積分球使用、日立製作所社製、U−4000型)を用い、各近赤外反射フィルムの300nm〜2000nmの領域における透過率を測定し、1200nmにおける透過率の値を近赤外透過率として求め、下記の基準に従って近赤外透過性を評価した。
○:近赤外透過率が、35%以上、45%未満である
△:近赤外透過率が、45%以上、60%未満である
×:近赤外透過率が、60%以上である
(耐久性の評価)
上記作製した各近赤外反射フィルムを、40℃で80%RHの高温高湿環境下で72時間保存した後、近赤外反射フィルムを、屈折率層ユニット形成面を外側にして折り曲げと開放を5回繰り返した後、屈折率層ユニットの形成面を目視観察し、下記の基準に従って耐久性(高温高湿保存性)を評価した。
○:近赤外反射フィルム表面に、わずかに折り曲げ跡が観察されるが、ひび割れの発生は認められない
△:近赤外反射フィルム表面に、微小なひび割れが僅かに観察されるが、実用上許容される品質である
×:近赤外反射フィルム表面に、明らかなひび割れが多数発生しており、実用上問題となる品質である
以上により得られた測定結果、評価結果を、表2に示す。
《近赤外反射フィルムの作製》
〔試料201の作製〕
実施例1に記載の試料103の作製において、高屈折率層塗布液H2及び低屈折率層塗布液L2に代えて、それぞれ下記高屈折率層塗布液H21及び低屈折率層塗布液L21を用いた以外は同様にして、近赤外反射フィルムである試料201を作製した。
下記の添加物1)〜8)をこの順序で添加、混合して、高屈折率層塗布液H21を調製した。
2)5.0質量%低分子量ゼラチン(GelL1)水溶液(前出) 125g
3)5.0質量%高分子量ゼラチン(GelH1)水溶液(前出) 100g
4)純水 37g
5)1.0質量%ヒドロキシエチルセルロース(表3にはHECと略記)水溶液
113g
6)3.3質量%酢酸ナトリウム水溶液 16g
7)5.0質量%界面活性剤水溶液(ニッサンカチオン−2−DB−500E、4級アンモニウム塩系カチオン性界面活性剤、日油社製) 0.45g
8)5.0質量%硬膜剤A水溶液(前出) 12g
(低屈折率層塗布液L21の調製)
下記の添加物1)〜8)をこの順序で添加、混合して、低屈折率層塗布液L21を調製した。
2)5.0質量%低分子量ゼラチン(GelL1)水溶液(前出) 180g
3)5.0質量%高分子量ゼラチン(GelH1)水溶液(前出) 100g
4)純水 110g
5)1.0質量%ヒドロキシエチルセルロース(表3にはHECと略記)水溶液
130g
6)5.0質量%酢酸ナトリウム水溶液 10g
7)5.0質量%界面活性剤水溶液(ニッサンカチオン−2−DB−500E、4級アンモニウム塩系カチオン性界面活性剤、日油社製) 0.64g
8)5.0質量%の硬膜剤A水溶液(前出) 14g
〔試料202の作製〕
上記試料201の作製において、高屈折率層塗布液H21及び低屈折率層塗布液L21のそれぞれの調製に用いたヒドロキシエチルセルロース(HEC)を、同固形分量のタマリンシードガム(表3には多糖類1と標記)に変更した以外は同様にして、試料202を作製した。
上記試料201の作製において、高屈折率層塗布液H21及び低屈折率層塗布液L21のそれぞれの調製に用いたヒドロキシエチルセルロース(HEC)を、同固形分量のローストビンガム(表3には多糖類2と標記)に変更した以外は同様にして、試料203を作製した。
各試料の作製に用いた各屈折率層塗布液のpHと、各試料の膜面pHを、実施例1に記載の方法と同様にして測定した。
上記作製した各近赤外反射フィルムについて、実施例1に記載の方法と同様にして、可視光透過性、近赤外透過性及び耐久性の評価を行い、得られた結果を表4に示す。
実施例1に記載の試料103の作製で用いた高屈折率層塗布液H2及び低屈折率層塗布液L2の調製において、酢酸ナトリウムに代えて、それぞれ炭酸ナトリウム、トリエタノールアミンを塗布液pHが4.8となるように添加した以外は同様にして、各高屈折率層塗布液及び低屈折率層塗布液を調製して、それらを用いた以外は、実施例1に記載の試料103の作製と同様にして、試料301、試料302を作製した。
〔近赤外反射体401〜406の作製〕
実施例1で作製した試料102〜107の近赤外反射フィルムを用いて近赤外反射体401〜406を作製した。厚さ5mm、20cm×20cmの透明アクリル樹脂板上に、試料102〜107の近赤外反射フィルムをそれぞれアクリル接着剤で接着して、近赤外反射体401〜406を作製した。
上記作製した本発明の近赤外反射体401〜406は、近赤外反射体のサイズが大きいにもかかわらず、容易に利用可能であり、また、本発明の近赤外反射フィルムを利用することで、優れた近赤外反射性を確認することができた。
Claims (11)
- 基材上に、高屈折率層と低屈折率層とから構成されるユニットを少なくとも1つ有し、該高屈折率層と該低屈折率層との屈折率差が0.1以上である近赤外反射フィルムにおいて、該高屈折率層及び該低屈折率層の少なくとも1層が、金属酸化物粒子、ゼラチンまたはコラーゲンペプチド、及び酸またはその塩を含有し、かつ該ユニットの膜面pHが4.0以上、6.0以下であり、
前記高屈折率層及び前記低屈折率層の少なくとも1層が、1)重量平均分子量が5万以下である低分子量ゼラチンまたはコラーゲンペプチドと、2)重量平均分子量が10万以上の高分子量ゼラチンとを含有することを特徴とする近赤外反射フィルム。 - 前記酸またはその塩が、分子量が300以下のカルボン酸と、アルカリ金属またはアルカリ土類金属との塩であることを特徴とする請求項1に記載の近赤外反射フィルム。
- 前記高屈折率層が金属酸化物粒子を含有し、該金属酸化物粒子が、体積平均粒径100nm以下のルチル型酸化チタン粒子であることを特徴とする請求項1または2に記載の近赤外反射フィルム。
- 前記高屈折率層及び前記低屈折率層の少なくとも1層が、セルロース類、増粘多糖類及び反応性官能基を有するポリマー類から選ばれる少なくとも1種の水溶性高分子を含有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の近赤外反射フィルム。
- 前記高屈折率層及び前記低屈折率層が、前記1)重量平均分子量が5万以下である低分子量ゼラチンまたはコラーゲンペプチドと、前記2)重量平均分子量が10万以上の高分子量ゼラチンとを含有することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の近赤外反射フィルム。
- 基材上に、高屈折率層と低屈折率層とから構成されるユニットを少なくとも1つを有し、該高屈折率層と該低屈折率層との屈折率差が0.1以上である近赤外反射フィルムを製造する近赤外反射フィルムの製造方法において、該高屈折率層及び該低屈折率層の少なくとも1層は、少なくとも金属酸化物粒子、ゼラチンまたはコラーゲンペプチド、及び酸またはその塩を含有する水系塗布液を用いて形成し、形成した該ユニットの膜面pHが4.0以上、6.0以下であり、
前記高屈折率層及び前記低屈折率層の少なくとも1層を形成する水系塗布液が含有する前記ゼラチンまたはコラーゲンペプチドが、1)重量平均分子量が5万以下である低分子量ゼラチンまたはコラーゲンペプチドと、2)重量平均分子量が10万以上の高分子量ゼラチンであることを特徴とする近赤外反射フィルムの製造方法。 - 前記酸またはその塩が、分子量が300以下のカルボン酸と、アルカリ金属またはアルカリ土類金属との塩であることを特徴とする請求項6に記載の近赤外反射フィルムの製造方法。
- 前記高屈折率層及び前記低屈折率層の少なくとも1層を形成する水系塗布液のpHが、3.8以上、5.8以下であることを特徴とする請求項6または7に記載の近赤外反射フィルムの製造方法。
- 前記高屈折率層及び前記低屈折率層の少なくとも1層を形成する水系塗布液が、前記金属酸化物粒子の表面を、前記1)重量平均分子量が5万以下である低分子量ゼラチンまたはコラーゲンペプチドで被覆した後、前記2)重量平均分子量が10万以上の高分子量ゼラチンを添加して調製されることを特徴とする請求項6から8のいずれか1項に記載の近赤外反射フィルムの製造方法。
- 前記高屈折率層及び前記低屈折率層を形成する水系塗布液が、前記1)重量平均分子量が5万以下である低分子量ゼラチンまたはコラーゲンペプチドと、前記2)重量平均分子量が10万以上の高分子量ゼラチンとを含有することを特徴とする請求項6から9のいずれか1項に記載の近赤外反射フィルムの製造方法。
- 基体の少なくとも一方の面側に、請求項1から5のいずれか1項に記載の近赤外反射フィルムを有することを特徴とする近赤外反射体。
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