JP5693904B2 - 超塑性成形品の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、超塑性成形品の製造方法に関する。
従来から、複雑な成形部品をアルミニウム(アルミニウム合金を含む)で成形する際には、アルミニウムを400℃以上の高温に加熱し、大きな延性を持たせ成形する超塑性成形が用いられてきた。特に、JIS5000系のAl−Mg系合金(以下、5000系アルミニウム合金)は結晶粒の微細化が容易であり、超塑性変形が起こりやすく、大きな延性を示すため、自動車のインナー材などに用いられてきた。また、5000系アルミニウム合金は固溶Mg量が多いことから、超塑性変形のひずみ速度が高速度域でも比較的大きな延性を示すという利点もある。そのような特性を利用して、これまで多くの高速超塑性成形用5000系アルミニウム合金が開発されている。
しかしAl−Mg系合金は強度に乏しいため、特に大きな強度が求められる自動車アウター材等に用いることは困難である。そこで、JIS6000系のAl−Mg−Si系合金をはじめ、超塑性成形能を有し、かつ人工時効硬化により大きな強度を持たせることが可能な、熱処理系アルミニウム合金の超塑性成形品が求められている。熱処理系アルミニウム合金は、例えば塗装焼付け工程における人工時効硬化により、自動車アウター材に求められる190MPa以上の高耐力を得ることが可能である。
熱処理系アルミニウム合金を用いた従来の超塑性成形品の製造方法を次に示す。
超塑性成形方法としては高温ブロー成形が用いられる。高温ブロー成形は400℃以上の高温で高圧のガスを材料に噴きつけ、金型に押し付けることで成形する方法であり、プレス成形のように雄型を必要としないという利点がある。熱処理系アルミニウム合金は溶体化処理が必要となるため、工程数の削減を目的として材料や高圧ガス、金型の温度を溶体化処理温度付近に保ち超塑性成形を行う。
次に、超塑性成形の直後に、成形品を離型し所定の場所に移動させて、その後大型ファンや冷却水で直ちに強制冷却することで焼き入れを行う。その後、塗装焼付け工程において、成形品に対して人工時効処理を行う。
また、人工時効処理による強度向上の効果を大きくするために、焼き入れ直後に予備時効処理を行うことが提案されている(特許文献1参照)。この場合、例えば、焼き入れ直後に成形品をバッチ炉に投入して予備時効処理を行う。
以上のような従来の製造方法では、強制冷却するまでに冷却装置の稼動や移動の工程を要していた。即ち、従来の製造方法では、超塑性成形から強制冷却までに時間がかかり、十分な焼き入れが出来ないという課題があった。また、超塑性成形直後の成形品は溶体化処理温度以上であるために変形抵抗が小さく、焼き入れの際の強制冷却により部分的に歪が生じてしまうという課題があった。
そこで、特許文献2では、材料温度及び高圧ガスは溶体化処理温度以上とし、超塑性成形金型の内部に冷却水を流すことで、材料が成形され金型と接触すると同時に材料を強制冷却する方法を提案している。このような特許文献2の技術は、成形から強制冷却までの時間を失くし、十分な焼き入れを可能とするとともに、高圧ガスにより金型に押さえつけることで強制冷却時の歪の発生を抑制しようとするものである。
特開2008−62255号公報 特開2003−154415号公報
しかし、特許文献2の方法では、焼き入れまでは迅速に行えるが、予備時効処理を行うためには、成形装置の外に成形品を移動し、別工程で行う必要がある。そのため、焼き入れから予備時効開始までに時間が空き、人工時効の効果が小さくなってしまうという課題がある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであって、熱処理系アルミニウム合金を用いて高強度の超塑性成形品が得られ、かつ工程の削減が可能な、超塑性成形品の製造方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明に係る超塑性成形品の製造方法は、
熱処理系アルミニウム合金の被成形材に対して、溶体化温度以上の温度で予備加熱処理し、前記溶体化温度より低く人工時効処理の温度以上である予備時効温度の金型を用いて超塑性成形し、引き続き前記金型上で保持することで予備時効処理し、その後、前記人工時効処理を施す、ことを特徴とする。
この場合に、前記熱処理系アルミニウム合金として
質量%で
Si:0.8〜1.4%
Mg:0.4〜1.1%
を含有し、残部はAlおよび不可避不純物からなるアルミニウム合金であってもよい。
また、前記熱処理系アルミニウム合金として
質量%で
Si:0.8〜1.4%
Mg:0.4〜1.1%
を含有し、さらにCuを0.5〜1.0%含有し、残部はAlおよび不可避不純物からなるアルミニウム合金であってもよい。
また、前記予備加熱処理の温度を530℃〜580℃とする、こととしてもよい。
また、前記金型の温度を180℃〜220℃とする、こととしてもよい。
また、前記被成形材の前記金型上における保持時間を8min以上とする、こととしてもよい。
また、前記被成形材の前記金型上における保持時間を3min以上とする、こととしてもよい。
また、前記超塑性成形の方法は高温ブロー成形法である、こととしてもよい。
また、前記超塑性成形において、前記高温ブロー成形法で用いられる高圧ガスの温度を400℃〜500℃とし、前記被成形材の温度を5℃/s〜14℃/sの冷却速度で降温させる、こととしてもよい。
本発明によれば、熱処理系アルミニウム合金を用いて高強度の超塑性成形品が得られ、かつ工程の削減が可能な、超塑性成形品の製造方法を提供することができる。
本発明の実施形態における工程と温度履歴との関係を示すグラフである。 本発明の実施例で用いられる超塑性成形装置を模式的に示す図である。
以下に本発明の実施形態について詳細に説明する。
図1に、本実施形態の溶体化処理から予備時効までの工程と温度履歴とを示す。図1に示すように、まず、超塑性成形品の素材である被成形板を溶体化温度以上の温度で予備加熱する。その後、被成形板を溶体化温度より低い予備時効温度に設定された所定の金型上で超塑性成形を行うとともに焼き入れし、引き続き金型上で所定の時間保持することで予備時効を行う。その後、製造された超塑性成形品は所定の温度及び時間で人工時効処理される。
(被成形板の材料)
本実施形態に用いられる被成形板の材料は、熱処理系アルミニウム合金とする。熱処理系アルミニウム合金とは、溶体化処理を行い直ちに急冷することで過飽和固溶状態とした後、焼き戻し処理を行うことで第二相を微細析出させ、所望の強度を得ることが出来るアルミニウム合金である。例えば、JIS2000系のAl−Cu−Si系合金(以下、2000系合金)、JIS6000系のAl−Mg−Si系合金(以下、6000系合金)、JIS7000系のAl−Zn−Mg系合金(以下、7000系合金)などが熱処理系アルミニウム合金として広く利用されている。以下、本実施形態では6000系アルミニウム合金の例について説明する。
6000系合金は、自動車のアウターおよびインナー部品用途等、量産性が求められる超塑性成形品に適している。その理由を以下に示す。6000系合金は比較的添加合金元素量が少なく、同じ6000系合金パネルのスクラップを溶解した後、再利用しやすくリサイクル性にも優れている。そのため、同じ熱処理系アルミニウム合金である2000系合金や7000系合金に比べて材料費が安くすむ。加えて、6000系合金はMgを含むために、高ひずみ速度域で比較的大きな延性を示す。その理由としては、高ひずみ速度域では変形の際に、転位がMgを引き摺りながら動くため、粘性抵抗となり板厚均一性が向上するからであると考えられている。Mgは、Al中でサイズミスフィットが非常に大きい元素であるため、転位の周りに集中しやすい。このような、転位がMgを引き摺りながら移動する現象を溶質ドラッグ現象と呼んでいる。したがって、生産性の点で優れる高速成形には、Mgを含有している6000系アルミニウム合金が適している。本発明者らの知見によれば、10−3/sほどの低ひずみ速度では粒界すべりが主な変形機構となるため、40μmほどの比較的大きな結晶粒を持つ6000系アルミニウム合金は粒界三重点で大きなキャビテーションが発生しやすく延性に劣る。しかし、10−2/s以上の高ひずみ速度になると前述の溶質ドラッグのような粒内変形が主となることからキャビテーションの発生は抑えられ延性が向上し、200%近くの大きな延性を示すようになることが分かっている。
JIS6000系アルミニウム合金として特に質量%でSi:0.8〜1.4%、Mg:0.4〜1.1%のものを用いると大きな強度と良好な成形性が得られる。また、Cuを0.5〜1.0%含有させると、さらに大きな強度を得ることが可能である。Si量が0.8%未満、Mg量が0.4%未満、Cuが0.5%未満の場合、人工時効硬化が小さく大きな強度が得られない。一方でSi量が1.4%もしくはMg量が1.1%より多い場合、第二相粒子が多くなり、キャビテーションの起因となることから大きな延性が得られない。また、Cu量が1.0%よりも多い場合、糸さびが発生し、耐食性が悪化する。被成形板は鋳造-均熱-熱延-冷延-熱処理の工程により製造する。ただし合金種にもよるが、場合により、均熱や熱処理は省略可能であり、一方で、冷延の間に一回以上の熱処理を設けても良い。
(予備加熱温度)
被成形板に6000系アルミニウム合金を用いる場合、成形前に被成形板を530〜580℃の温度域に保つと十分な溶体化処理が可能である。望ましくは、出来るだけ高い温度に保つのが良いが、580℃以上とすると被成形板に局部融解が生じてしまうため、予備加熱温度は580℃以下とする。また、予備加熱の際の昇温速度は、速いほど結晶粒の粗大化及び熱延母結晶の粗大化を抑えるため、肌荒れやリジングの防止につながる。望ましくは、昇温速度は10℃/s以上であると良い。
(予備加熱方法)
被成形板の予備加熱の方法は特に規定しないが、大きな昇温速度が得られ、かつ迅速に成形を開始出来る方法でなければならない。つまり、予備加熱後、成形までに時間が空くと自然冷却により粗大な第二相粒子が析出し、十分な人工時効の効果が得られない。加えて、被成形板の温度が下がりすぎると、変形抵抗が大きくなり成形が出来なくなる。具体的には、バッチ炉を超塑性成形機に隣接させ、このバッチ炉で被成形板に対して予備加熱を行い、その後直ちに被成形板を金型の位置までスライド等の方法で移動させ、成形を開始する方法を取ると良い。
(超塑性成形方法)
超塑性成形方法には高温ブロー成形法を用いることが出来る。高温ブロー成形法によれば、成形用の高圧ガス温度による被成形板の温度調節や、成形用のガス圧によるひずみ速度の制御が可能である。成形用の高圧ガスには窒素ガスなどの不活性ガスを用いる必要がある。これは高圧ガスと被成形板が反応しないようにするためである。また、金型はプレス成形のように雄型を必要とせず、雌型のみで良い。したがって金型費は安価で済み、また装置の稼動が少ないという利点がある。金型の内部にはヒーターを配置し、金型を独立で温度制御できることが好ましい。
(高圧ガス圧力)
高圧ガスの圧力は、超塑性成形の金型形状に合わせて適宜変更しても良いが、成形が開始されると被成形板は急速に冷却されるので、出来るだけ高圧にすることが望ましい。本実施形態のような6000系アルミニウム合金を用いれば、高ひずみ速度域でも200%以上の比較的大きな伸びを示し、また変形機構が粒界すべり変形より粒内変形が主となるため、キャビテーションの発生を極わずかに抑えることが可能である。具体的には、1.0MPa以上のガス圧で成形することにより、板厚減少率が50%の箇所でもキャビテーションの面積率を1.0%以下に抑えられることが分かっている。
(高圧ガス温度)
高圧ガスの温度は、被成形板の温度以下とすると、超塑性成形が行えると同時に被成形板の温度勾配を持たせることが出来、焼き入れ性が向上する。ただし、高圧ガスの温度を低くしすぎると、成形が完了する前に被成形板の変形抵抗が大きくなりすぎ、変形がそれ以上進まなくなり、また延性も落ちるため成形が出来ない場合もある。具体的には、6000系アルミニウム合金を用いる場合、高圧ガスの温度を400℃〜500℃の範囲内にすると良い。そうすることで被成形板を5℃/s〜10℃/sの冷却速度で降温させることが可能である。ただし、500℃以下とするとMgの固溶量が減少し、前述の溶質ドラッグ現象の効果が小さくなるため、延性が下がる。そのため比較的大きな変形量を要する場合は、高圧ガスの温度を500℃とするのが望ましい。
(金型温度)
金型の温度は予備時効温度に保持するものとする。予備時効温度とは、用いられる熱処理系アルミニウム合金に対して予備時効の効果の大きい温度である。そうすることにより、被成形板は金型と接触した部分から大きな焼き入れが入り、金型と同じ温度に冷却された時点で、予備時効処理温度に保持される。すなわち溶体化処理、超塑性成形、焼き入れ、予備時効処理の工程を全て連続的に行うことが可能である。6000系アルミニウム合金を用いる場合、金型の温度は180℃〜220℃の範囲内で保持することが望ましい。本発明者らの知見から前記温度内で予備時効処理を行うと人工時効による強度向上が最も大きいことが分かっている。
本実施形態の成形温度は、予備加熱温度に比べて非常に低い温度であるため、離型性が向上するという利点がある。熱処理系アルミニウム合金は溶体化処理温度以上に加熱する必要があるため、金型も同じ温度とすると超塑性成形品と金型で強い固着が起こり、離型の際に歪が生じてしまう。そのような課題に対し、本発明によれば金型温度は低温であるため、超塑性成形品と金型の間で強い固着は起きず、離型が容易となる。また、金型を高温に上げる必要がないため、エネルギーコストを削減することが可能である。
(金型で保持する時間)
最後に、超塑性成形品を金型で保持する時間は、所望の予備時効の効果が出る時間とする。一般的に予備時効処理の時間が長いほど強度の向上は大きいが、サイクルタイムを考慮すると保持時間は10min以内にすることが望ましい。本発明者の知見によれば、本発明の請求の範囲に記載の合金を用いれば8minの予備時効を行えば大きく強度が向上することが分かっている。さらには請求の範囲に記載のように、Cuを0.5〜1.0%含有の合金では、3minの予備時効処理を行えば大きく強度が向上することが分かっており、サイクルタイムを短くすることも可能である。
なお、上記実施形態では6000系合金を例としたが、本発明は、例えば、2000系合金や7000系合金等の熱処理系アルミニウム合金に対しても好適に利用することができる。この場合において、各工程における温度及び時間等の条件は、合金の種類によって適宜実験的に定めることが好ましい。
次に、本発明に係る超塑性成形品の製造方法の実施例について、その特許請求の範囲から外れる比較例と比較して具体的に説明するが、本発明はこれに制限されるものではない。
被成形板の材料には、表1に示す組成の6000系アルミニウム合金を用いた(合金番号1〜13)。なお、表1において残部とは不可避的不純物を含む。
Figure 0005693904
工程及び温度履歴は、図1で前述したとおりである。予備加熱にはバッチ炉を用い、超塑性成形にはブロー成形を用いた。また被成形板の板厚を1.3mmとした。予備加熱した被成形板を速やかに超塑性成形出来るようにバッチ炉と図2に示す金型2とは隣接させた。予備加熱温度は500℃、530℃、550℃とし、被成形板が十分に溶体化する温度とした。
図2に本実施例で超塑性成形、焼入れ、予備時効を行う超塑性成形装置の主要部を模式的に示す。前述の如く予備加熱した被成形板1を金型2の上に移動させ、押さえ型3を下降させ、速やかにシーリングし、高圧ガスにより超塑性成形を行った。超塑性成形品は350mm×350mm、高さ90mmの角筒とした。金型2の温度はヒーター3を用いて制御し、表2に示すように、実験条件1〜11について170℃、200℃又は230℃とした。また、押さえ型4の温度はヒーター5で制御し、金型2の温度と同じ温度になるように制御した。
超塑性成形の方法として高温ブロー成形法を使用した。この成形方法に用いられる高圧ガスは、通路6を通り押さえ型4の内側に供給されるようにした。図には示していないが、供給源は例えば7mの高圧のガスボンベとし、高圧ガスには窒素ガスを用いた。断熱材7を挟んで高圧ガス加熱室8を設け、ヒーター9により成形前に高圧ガスを加熱した。加熱されたガスは開閉弁10を伴ったバルブ11により加熱室8に保持され、成形開始時には開いて高圧ガスを供給出来るようにした。本実験では、高圧ガスの温度は各実験条件について510℃又は400℃とし、圧力は5MPaとした。また昇圧時間を10秒とし、その後20秒間5MPaで一定とした。成形後、超塑性成形品を金型上で各実験条件について2min、3min、6min、8min又は32min保持した。
次に、超塑性成形品に180℃で35minの人工時効処理を行った後、底面中央付近(板厚減少率約30%)からJIS5号引張試験片を採取し、0.2%耐力の測定を行った。引張方向は圧延方向に平行とした。
表2の実験条件1〜11は表1の合金1に対して、予備加熱温度、高圧ガス温度、金型温度、金型上の保持時間に対する超塑性成形品の0.2%耐力を示したものである。0.2%耐力は、自動車用アウター材に必要な190MPaを目標値とした。
Figure 0005693904
実験条件1〜3の比較により予備加熱温度の影響を調査した。その結果530℃、550℃では190MPa以上の強度を得ることが出来たが、500℃では大きな強度を得ることが出来なかった。これは500℃では溶体化が不十分であると考えられ、予備加熱温度は530℃以上が望ましい。なお予備加熱温度を580℃より大きくすると局部融解が生じた。
次に、実験条件3〜6の比較により高圧ガス温度と冷却速度の影響を調査した。実験4のように高圧ガス温度を510℃とすると、被成形板の冷却速度はおよそ4℃/sとなり十分な焼入れを行うことが出来ず、強度が得られないことが分かる。一方で、実験条件5のように高圧ガス温度を350℃とすると、冷却速度はおよそ15℃/sとなり成形が完了する前に材料の変形抵抗が非常に大きくなり変形が進まなくなってしまった(表2の「成形未完了」)。これらの結果から、高圧ガスの温度は本発明に示すように400℃〜500℃の間が望ましい。
次に、実験条件3、7、8の比較により金型温度の影響を調査した。実験条件7、8のように金型温度を170℃、230℃とすると、190MPaを超える強度は得られなかったが、本発明例である実験条件3のように金型温度を200℃とすると190MPaを超える大きな強度を得た。本発明者らの知見から、金型の温度を180℃〜220℃にすれば、金型上の保持時間を8minで190MPa以上の大きな強度を得ることが分かっている。
最後に、実験条件3、9、10、11の比較により金型上の保持時間の影響を調査した。本発明のように金型上の保持時間を8min以上とすれば、190MPaを超える大きな強度を得ることが出来るが、金型上の保持時間が2min、6minでは大きな強度は得られなかった。この結果から、合金1を被成形板として用いる場合、予備時効の効果を得るためには少なくとも金型上の保持時間を8min以上とする必要があることが分かる。
表3の実験条件12〜24は本発明の合金組成の範囲内外にSi、Mg、Cu量を振り、それらの合金の人工時効後の0.2%耐力を示したものである。予備加熱温度、高圧ガス温度、金型温度は、それぞれ530℃、400℃、200℃とし、表2において最も人工時効後に強度を得た条件に統一した。
Figure 0005693904
まず実験条件3および12〜15の比較によりSi量の影響を調査した。その結果、Si量が0.8%以上のときに190MPaを超える強度を得ることが出来たが、0.69%では得ることが出来なかった。またSi量1.5%では成形品に破断が生じた。このことからSi量は0.75〜1.4%の範囲内が望ましい。
次に実験条件3および16〜19の比較によりMg量の影響を調査した。その結果、Mg量が0.4%以上のときに190MPaを超える強度を得ることが出来たが、0.2%では得ることが出来なかった。またMg量1.2%では成形品に破断が生じた。このことからMg量は0.4〜1.1%の範囲内が望ましい。
最後に実験条件20〜24の比較によりCu含有量と金型上の保持時間の影響を調査した。その結果実験条件20、21のようにCu含有量が0.6%以上でかつ金型上の保持時間が3分であれば190MPaを超える強度を得ることが出来た。しかし、実験条件22のようにCu含有量が0.6%であっても金型上の保持時間が2分であれば190MPaを超える強度を得ることは出来なかった。また実験条件23のようにCu含有量が0.4%の場合、金型上の保持時間を3分としても190MPaを超える強度を得ることは出来なかった。なおCu含有量が1.1%となると糸錆が生じ、耐食性が悪化した。このことからCu含有量は0.5〜1.0%が望ましく、金型上の保持時間を3分としても190MPaを超える強度を得ることが可能である。
以上により、本発明によれば、熱処理系アルミニウム合金の溶体化処理、溶体化処理より低い温度での超塑性成形及び焼き入れ、並びに予備時効を一連の工程で行うので、人工時効の効果を高めて高強度の超塑性成形品が得られるとともに工程の削減を行うことができる。
1 被成形板
2 金型
3 ヒーター
4 押さえ型
5 ヒーター
6 通路
7 断熱材
8 加熱室
9 ヒーター
10 開閉弁
11 バルブ

Claims (9)

  1. 熱処理系アルミニウム合金の被成形材に対して、溶体化温度以上の温度で予備加熱処理し、前記溶体化温度より低く人工時効処理の温度以上である予備時効温度の金型を用いて超塑性成形し、引き続き前記金型上で保持することで予備時効処理し、その後、前記人工時効処理を施す、ことを特徴とする超塑性成形品の製造方法。
  2. 前記熱処理系アルミニウム合金は、質量%で
    Si:0.8〜1.4%
    Mg:0.4〜1.1%
    を含有し、残部はAlおよび不可避不純物からなるアルミニウム合金であることを特徴とする請求項1に記載の超塑性成形品の製造方法。
  3. 前記熱処理系アルミニウム合金は、質量%で
    Si:0.8〜1.4%
    Mg:0.4〜1.1%
    を含有し、さらにCuを0.5〜1.0%含有し、残部はAlおよび不可避不純物からなるアルミニウム合金であることを特徴とする請求項1に記載の超塑性成形品の製造方法。
  4. 前記予備加熱処理の温度を530℃〜580℃とする、ことを特徴とする請求項2又は3に記載の超塑性成形品の製造方法。
  5. 前記金型の温度を180℃〜220℃とする、ことを特徴とする請求項2又は3に記載の超塑性成形品の製造方法。
  6. 前記被成形材の前記金型上における保持時間を8min以上とする、ことを特徴とする請求項2に記載の超塑性成形品の製造方法。
  7. 前記被成形材の前記金型上における保持時間を3min以上とする、ことを特徴とする請求項3に記載の超塑性成形品の製造方法。
  8. 前記超塑性成形の方法は高温ブロー成形法である、ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の超塑性成形品の製造方法。
  9. 前記超塑性成形において、前記高温ブロー成形法で用いられる高圧ガスの温度を400℃〜500℃とし、前記被成形材の温度を5℃/s〜14℃/sの冷却速度で降温させる、ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の超塑性成形品の製造方法。
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