JP5690906B2 - グラファイトフィルムの製造方法 - Google Patents

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本発明は、放熱フィルムとして使用されるグラファイトフィルムの製造方法に関するものである。
大面積の電気伝導性、熱伝導性に優れたグラファイトフィルムを得る方法として、ポリフェニレンオキサジアゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリベンゾビスチアゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾビスオキサゾール、ポリチアゾール、芳香族ポリアミド、芳香族ポリイミド等の高分子フィルムを円筒状炭素に巻き付け、不活性ガス中あるいは真空中、1800℃以上で加熱する事を特徴とするグラファイトフィルムの製造方法(特許文献1)が知られている。
(特許文献1)の実施例では、長さ200mm、厚さ50μmの高分子フィルムを外径68mmのグラファイト質円筒に3重巻き付けて熱処理し、大面積のグラファイトフィルムを作製している。
従来の方法を用いて、より長い10m以上高分子フィルムを熱処理する場合には、巻きつけ回数を増やす必要がある。しかし巻きつけ回数を増やすと、フィルムの巻きつけた表面近傍と内部では、熱履歴に大きな差ができ、物性が低下する場合があった。また、フィルムに加わる熱履歴が異なるために、収縮量に差がで、熱処理過程で破損したり、皺が入りやすくなったりした。さらに、円筒状グラファイト質炭素に巻きつけているため、加熱中の熱収縮が規制され、加熱中に破損する場合があった。
また、従来の方法を用いた場合、円筒状で熱処理するため、円筒状のまま作製される。そのため、フィルムを平面状にするため、ロールがけ等の操作が必要となり、さらにその過程で傷が入りやすくなった。
また、高分子フィルムの厚みが75μm以上に厚くなればなるほど、フィルム内の熱履歴の差が大きくなり、加熱中に破損しやすくなり、また、円筒状の履歴も残りやすくなった。
特公平7−88207号公報
本発明が解決しようとする課題は、(1)加熱中に破損することなく、(2)平坦性の高い、(3)電気伝導性、熱伝導性に優れた、(4)長尺のグラファイトフィルムを得ることである。
本発明には、以下の態様を含む。
(1)高分子フィルムおよび/または炭素化した高分子フィルムからなる原料フィルムをグラファイト化するグラファイトフィルムの製造方法であって、内径が200mm以上の炭素質容器の内面に原料フィルムを保持し、グラファイト化する、グラファイトフィルムの製造方法。
(2)上記(1)に記載のグラファイトフィルムの製造方法であって、電圧を印加し通電しながらグラファイト化する工程を含む、グラファイトフィルムの製造方法。
(3)上記(1)又は(2)に記載のグラファイトフィルムの製造方法であって、前記容器の周辺に、カーボン粉末が存在している状態で、前記通電がなされる、グラファイトフィルムの製造方法。
(4)前記容器が、円筒状である(1)〜(3)のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法。
(5)前記高分子フィルムが、ポリイミド、ポリアミド、ポリオキサジアゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリベンゾビスチアゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾビスオキサゾール、ポリパラフェニレンビニレン、ポリベンゾイミダゾール、ポリベンゾビスイミダゾール、ポリチアゾールのうちから選ばれた少なくとも一種類以上の高分子からなる、(1)〜(4)のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法。
(6)前記高分子フィルムが、複屈折0.08以上のポリイミドフィルムである、(5)に記載のグラファイトフィルムの製造方法。
(7)前記高分子フィルムが、複屈折0.12以上のポリイミドフィルムである、(5)に記載のグラファイトフィルムの製造方法。
(8)前記高分子フィルムが、ピロメリット酸二無水物、p−フェニレンジアミンを含むポリアミド酸を、脱水剤とイミド化促進剤とを用いてイミド化して作製されるポリイミドフィルムである、(5)〜(7)のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法。
(9)前記高分子フィルムが、ジアミンと酸二無水物を用いて前記酸二無水物を両末端に有するプレポリマを合成し、前記プレポリマに前記とは異なるジアミンを反応させてポリアミド酸を合成し、前記ポリアミド酸をイミド化して作製されるポリイミドフィルムである、(5)〜(7)のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法。
(10)前記高分子フィルムが、長さ15m以上の高分子フィルムである、(5)〜(9)のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法。
(11)前記高分子フィルムが、長さ15m以上かつ幅250mm以上の高分子フィルムである、(5)〜(9)のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法。
(1)従来の径が120mm未満の小さい円筒状グラファイト質炭素に巻き付ける方法では、径が小さすぎ、熱処理中にフィルムが破損しやすくなった。また、円筒径が小さいと巻きつけ回数が増えることになった。また、円筒状の履歴が残りやすく、平坦性に劣るグラファイトしか得られなかった。しかし、本発明の円筒の径を大きくすることで、破損せず巻きつけ、巻きつけ回数を減らせ、平坦性の高い長尺のグラファイトフィルムを得ることができた。
さらに、大径化することで、容器及び円筒状グラファイト質炭素に加わる熱履歴の差が大きくなる場合があるが、通電加熱法と組み合わせることにより、熱履歴の均一性が高まり、品質に優れたグラファイトフィルムを得ることができた。
(2)また、従来の炭素質芯に原料フィルムを巻きつけて保持し、不活性雰囲気下や減圧下で熱処理を行う方法では、10m以上の長さを有する高分子フィルムを熱処理する場合には、10周以上に巻きつけ回数を増やす必要がある。しかし巻きつけ回数を増やすと、フィルムの巻きつけた表面近傍と内部では、熱履歴に大きな差ができ、物性が低下する場合があった。また、フィルムに加わる熱履歴が異なるために、収縮量に差がで、熱処理過程で破損したり、皺が入りやすくなったりした。さらに、円筒状グラファイト質炭素に巻きつけているため、加熱中の熱収縮が規制され、加熱中に破損する場合があった。しかし、本発明の方法では、通電可能な容器内に、炭素質芯に原料フィルムを巻きつけて保持し、容器および原料に通電して加熱するため、フィルムの内部と表面で均一かつ十分に熱履歴が加わり、従来よりも、加熱中の収縮・膨張といった変形が均一に起こり、破損することなく、電気伝導性、熱伝導性に優れた長尺のグラファイトフィルムを得ることができた。
(3)さらにまた、従来では、径が120mm未満の小さい円筒グラファイト質炭素に巻きつけて熱処理が行われていたため、加熱中の収縮が抑制され、破損する場合があった。しかし、本発明では、円筒の内面に添わすことにより、収縮が規制されず、破損することなく、長尺のグラファイトフィルムを得ることができた。
ポリイミドフィルム及びくさび形シート。 くさび形シートの斜視図。
(1)本発明のグラファイトフィルムの第一の製造方法は、高分子フィルムおよび/または炭素化した高分子フィルムからなる原料フィルムをグラファイト化するグラファイトフィルムの製造方法であって、外径120mm以上の炭素質芯に巻きつけて、グラファイト化することを特徴とする、グラファイトフィルムの製造方法、である。さらに好ましくは、黒鉛化が、電圧を印加し通電しながらグラファイト化する工程をであると良い。
(2)本発明のグラファイトフィルムの第二の製造方法は、高分子フィルムおよび/または炭素化した高分子フィルムからなる原料フィルムをグラファイト化するグラファイトフィルムの製造方法であって、通電可能な容器内に、炭素質芯に原料フィルム巻きつけて保持し、該容器に電圧を印加し通電しながらグラファイト化する工程を含むことを特徴とする、グラファイトフィルムの製造方法、である。
(3)本発明のグラファイトフィルムの第三の製造方法は、高分子フィルムおよび/または炭素化した高分子フィルムからなる原料フィルムをグラファイト化するグラファイトフィルムの製造方法であって、炭素質容器の内面に原料フィルムを添わせて保持し、グラファイト化することを特徴とする、グラファイトフィルムの製造方法、である。さらに好ましくは、黒鉛化が、電圧を印加し通電しながらグラファイト化する工程をであると良い。
<グラファイトフィルム>
本発明の製造方法で作製されるグラファイトフィルムは、熱伝導性が高いために、例えば、サーバー、サーバー用パソコン、デスクトップパソコン等の電子機器や、ノートパソコン、電子辞書、PDA、携帯電話、PDP、ポータブル音楽プレイヤー等の携帯電子機器等の放熱材料として好適である。
<原料フィルム>
本発明で用いることができる原料フィルムとしては、高分子フィルムまたは炭素化した高分子フィルムである。
<高分子フィルム>
本発明に用いることができる高分子フィルムとしては、特に限定はされないが、ポリイミド(PI)、ポリアミド(PA)、ポリオキサジアゾール(POD)、ポリベンゾチアゾール(PBT)、ポリベンゾビスチアゾール(PBBT)、ポリベンゾオキサゾール(PBO)、ポリベンゾビスオキサゾール(PBBO)、ポリパラフェニレンビニレン(PPV)、ポリフェニレンベンゾイミダゾール(PBI)、ポリフェニレンベンゾビスイミダゾール(PPBI)、ポリチアゾール(PT)が挙げられ、これらのうちから選ばれる少なくとも1種を含む耐熱芳香族性高分子フィルムであることが、最終的に得られるグラファイトの電気伝導性、熱伝導性が大きくなることから好ましい。これらのフィルムは、公知の製造方法で製造すればよい。この中でもポリイミドは、原料モノマーを種々選択することによって様々な構造および特性を有するものを得ることができるために好ましい。
<炭素化した高分子フィルム>
本発明で用いられる炭素化した高分子フィルムとしては、出発物質である高分子フィルムを減圧下もしくは不活性ガス中で予備加熱処理して得られる。この予備加熱は通常1000℃程度の温度で行い、例えば10℃/分の速度で昇温した場合には1000℃の温度領域で30分程度の温度の保持を行うことが望ましい。
<本発明の原料フィルムを炭素質芯、炭素質容器に保持する方法>
本発明の原料フィルムを保持する方法としては、(1)炭素質芯に原料フィルムを巻きつける方法、(2)炭素質容器の内面に添わせる方法が挙げられる。
(1)炭素質芯に原料フィルムを巻きつける方法では、炭素質芯は円筒状がよく、炭素質芯は、外径が120mm以上、好ましくは150mm以上、さらに好ましくは200mm以上、なおさらに好ましくは250mm以上である。炭素質芯が角型の形状である場合には、原料フィルムを巻きつけた場合、フィルムに折れが入る場合があるが、炭素質芯が円筒状である場合には、原料フィルムを巻きつけた場合、フィルムに折れが入りにくくなり、破損しにくくなるため好ましい。また、従来の径が120mm未満の小さい円筒状グラファイト質炭素に巻き付ける方法では、径が小さすぎ、熱処理中にフィルムが破損する場合があった。また、円筒径が小さいと長尺のグラファイトフィルムを得る場合、10周以上に巻きつけ回数を増やす必要があり、原料フィルムに加わる熱履歴にばらつきが発生し、物性低下する場合があった。また、円筒状の履歴が残りやすく、平坦性に劣るグラファイトしか得られなかった。しかし、円筒の径を大きくすることで、破損しにくくなり、巻きつけ巻きつけ回数を減らせ、平坦性の高い長尺のグラファイトフィルムを得ることができた。但し、炭素質芯、炭素質容器を大型化すると、炭素質芯、炭素質容器に加わる熱履歴の差が大きくなる、例えば、芯の端部と中央部で熱履歴に差が大きくなる場合があるが、後に説明する通電加熱法と組み合わせることにより、熱履歴の均一性が高まり、品質に優れたグラファイトフィルムを得ることができる。
すなわち、炭素質芯、炭素質容器を単に大型化・大径化することだけでは、炭素質芯、炭素質容器に加わる熱履歴の差が大きくなり、例えば、芯の端部と中央部で熱履歴に差が大きくなる場合があるという課題が新たに発生した。その新たな課題を本発明では、通電加熱することで、120mm以上の炭素質芯でも、品質に優れるグラファイトが得られることを見出した。すなわち、芯の径120mm以上のものでは、熱処理を均一にすることが難しかったが、本発明により、鋭意検討の結果、120mm以上の炭素質芯でも、通電加熱することで、品質に優れるグラファイトが得られることを見出した。
(2)炭素質容器の内面に原料フィルムを添わせる方法では、炭素質容器は円筒状がよく、炭素質容器は、内径が200mm以上、好ましくは250mm以上、さらに好ましくは300mm以上である。従来の径が120mm未満の小さい円筒グラファイト質炭素に巻きつけて熱処理する方法では、加熱中の収縮が抑制され、破損する場合があった。一方本発明では、円筒の内面に添わすことにより、収縮が規制されず、破損することなく、長尺のグラファイトフィルムを得ることができた。
以上のように、炭素質芯の外径、炭素質容器の内径を大きくすることで、グラファイトフィルムの曲率半径が大きい状態で熱処理することが可能となり、黒鉛化が平面にスムースに進行しやすくなり、熱拡散率に優れたグラファイトフィルムが得られやすくなる。また、巻き数を減らすことができ、表面と内部で均一にグラファイト化が進行しやすくなり、熱拡散率に優れたグラファイトフィルムが得られやすくなる。
<本発明の不活性ガス雰囲気下・減圧下でグラファイト化する方法>
本発明のグラファイト化は、炭素化した高分子フィルムを一度取り出した後、黒鉛化用の炉に移し変えてからおこなっても良いし、炭素化からグラファイト化を連続的におこなっても良い。グラファイト化は、減圧下もしくは不活性ガス中でおこなわれるが、不活性ガスとしてはアルゴン、ヘリウムが適当である。熱処理温度としては最低でも2000℃以上が必要で、最終的には2400℃以上、より好ましくは、2600℃以上さらに好ましくは2800℃以上で熱処理することが、熱伝導性に優れたグラファイトを得るためにはよい。
熱処理温度が高いほど良質のグラファイトへの転化が可能であるが、経済性の観点からはできるだけ低温で良質のグラファイトに転化できることが好ましい。2500℃以上の超高温を得るには、通常はグラファイトヒータに直接電流を流して、そのジュ−ル熱を利用した加熱が行なわれる。グラファイトヒータの消耗は2700℃以上で進行し、2800℃ではその消耗速度が約10倍になり、2900℃ではさらにその約10倍になる。したがって、原材料の高分子フィルムの改善によって、良質のグラファイトへの転化が可能な温度を例えば2800℃から2700℃に下げることは大きな経済的効果を生じる。なお、一般に入手可能な工業的炉において、熱処理可能な最高温度は3000℃が限界である。
<本発明の通電しながらグラファイト化する方法>
本発明のグラファイト化方法は、高分子フィルム及び/または炭素化した高分子フィルムからなる原料フィルムを後述する「電圧を印加し直接通電可能な容器」内に、原料フィルムを保持し、該通電可能な容器および原料フィルムに後述する方法で通電し、グラファイト化する工程を含むことを特徴とする。
本発明の第一の方法は、原料フィルムによって、大きく下記の3つに分類できる。
後述する「電圧を印加し直接通電可能な容器」内に、
(その1)「炭素化した高分子フィルム」を保持し、または、
(その2)「高分子フィルム」を予備加熱処理することで「炭素化した高分子フィルム」を得た後、その「炭素化した高分子フィルム」を保持し、または、
(その3)絶縁体である「高分子フィルム」を保持し、
該容器に電圧を印加し通電しながら、グラファイト化する工程を含むことを特徴とする。
下記に、(その1)から(その3)について、具体的に説明する。
(その1)原料に炭素化した高分子フィルムを用い、該フィルムを電圧印加による直接通電が可能な容器内に保持し、該容器へ電圧印加することで通電してグラファイト化する場合、該フィルムは、発熱した容器からの直接熱伝導(1)及びフィルムの自己発熱(2)による2つの手段で加熱され、品質の優れたグラファイトフィルムとなる。詳細を説明すると以下の通りである。
従来の通常の雰囲気及び減圧下での熱処理では、加熱は、雰囲気ガスの熱伝導及び/またはヒーターからの輻射熱によりおこなわれるため、フィルムが加熱される手段は基本的には、フィルム表面から内部への熱伝導の1つのみである。
しかし本発明の方法では、炭素化した高分子フィルムと導電体(容器(黒鉛製容器であってもよい)及び/又はカーボン粉末)が接している部分がフィルムの一方の表面と他方の表面であるため、電圧印加により発生したジュール熱が、炭素化した高分子フィルムの一方の表面と他方の表面の両方から直ちに伝熱する。その結果、一方の表面と他方の表面の両方から、炭素化が進行する。発熱した容器からの直接熱伝導及び後述するフィルムの自己発熱による2つの手段で加熱されフィルム内部まで十分加熱され、フィルムの表層及び内部で均一に熱処理される。
本発明では、電圧を印加し直接通電可能な容器に通電にすると、通電による発熱が生じる。
また、出発原料に炭素化した高分子フィルムを用いた場合、容器に電圧を印加すると、該フィルムは既に炭素化しているために炭素化の進行に応じた電気抵抗の変化に応じて電流が流れ、黒鉛化の進行に伴い、抵抗が低くなるために、より電流が流れ、フィルム自体が発熱する。特に、電流は表層及び内部の両方に流れるため、発熱は表層及び内部の両方で同時に進行する。その結果、均一な黒鉛化が起こる。
さらに、電流は、炭素化の進行に応じた電気抵抗の変化に応じて流れ、黒鉛化の進行に伴い、抵抗が低くなるために、フィルムに流れる電流量が増え、フィルムの発熱量が増加し、黒鉛化が進行しやすくなる。特に、部分的に発熱が大きくなったとしても、フィルムそのものが発熱しかつ黒鉛化が進行するに従い熱伝導性が高まるために、フィルム全体に熱が伝わり、フィルムは均一に加熱される。
グラファイトになる前の炭素化した高分子フィルムは、グラファイトと比べて熱伝導性に劣る傾向が有る。そのため、従来のような通常の雰囲気及び減圧下での熱処理では加熱手段が熱伝導の1つのみであることから、内部まで熱が十分伝わりにくく、表層と内部で黒鉛化の状態に差ができやすく、表層のみ黒鉛化し、内部に黒鉛化の不十分な部分が残る傾向が有る。結果、従来の方法では、高温に熱処理した場合に、内部の不十分な部分が発泡破裂し、フィルムがボロボロになった。
一方、本発明の方法では、電圧を印加し直接通電可能な容器そのものが電圧印加に伴い発熱しているのと同時に、炭素化・黒鉛化の進行に応じた電気抵抗の変化に応じて、炭素化した高分子フィルムの炭素化部分に、電流が流れ、フィルム自体が発熱する。したがって、発熱した容器からの直接熱伝導及びフィルムの自己発熱による2つの手段によって、フィルムに十分熱を供給することが可能となり、内部の熱伝導性が悪い部分にも充分熱が供給され、表層のみ黒鉛化されることなく、表層と内部が同時に黒鉛化が進行する。
さらに、フィルム面内で均一に電気伝導度が高くなるため、フィルム内で部分的な電界集中を起こすことなく、局所的な発熱が起こらず、結果として表面及び内部で均一な黒鉛化が進行する。また、熱処理後のグラファイトが結晶性に非常に優れ、耐熱性にも優れたものとなるため、電界が集中し局所的な加熱が生じたとしても破損することなく、品質の高いグラファイトとなる。
(その2)また、原料フィルムとして絶縁体の高分子フィルムを用いる場合、該フィルムを、不活性ガス雰囲気下および/または減圧下で予備加熱処理して得られる、炭素化した高分子フィルムを使用できる。このようにして炭素化した高分子フィルムは、(その1)で上記記載したとおりの方法で、グラファイト化が可能である。
(その3)また、原料フィルムとして絶縁体の高分子フィルムを用いる場合、グラファイトに至るまでの炭素化過程の最初から通電によるため、炭素化も均一に起こりやすい。また、絶縁体の高分子フィルムであっても、本発明の製造方法によれば、その絶縁体の高分子フィルムと導電体(黒鉛製容器及び/又はカーボン粉末)が接している部分がフィルムの一方の表面と他方の表面であるため、電圧印加により発生したジュール熱が、絶縁体高分子フィルムの一方の表面と他方の表面の両方から直ちに伝熱する。従って、一方の表面と他方の表面の両方から、炭素化が進行する。
このように本発明では、絶縁体の高分子フィルムであっても、両方の表面に導電体が接しているため、電圧を印加し通電して加熱する場合、当初は、フィルムの両方の表面から炭素化が進行し、引き続き、フィルム内部の炭素化の進行に応じた電気抵抗の変化に応じてフィルム内部にも電流が流れ、また炭素化の進行に伴いフィルムに流れる電流量が増え、最終的に表面及び内部での均一な発熱が起こるため、均一な黒鉛化が進行しやすくなる。またフィルム面内で均一に電気伝導度が高くなるため、フィルム内で部分的な電界集中を起すことなく、局所的な発熱が起こらず、結果として表面及び内部で均一な黒鉛化が進行する。また、熱処理後のグラファイトの結晶性に非常に優れ、耐熱性にも優れたものとなるため、電界が集中し局所的な加熱が生じたとしても破損することなく、品質の高いグラファイトとなる。
さらに、炭素質芯、炭素質容器を大型化すると、炭素質芯、炭素質容器に加わる熱履歴の差が大きくなる、例えば、芯の端部と中央部で熱履歴に差が大きくなる場合があるが、通電加熱法と組み合わせることにより、熱履歴の均一性が高まり、品質に優れたグラファイトフィルムを得ることができる。
本発明によるグラファイトフィルムが従来製造方法によるグラファイトフィルムよりも優れた均一性を発現する理由や機構については、学術的詳細研究がさらに必要ではあるが、上記のとおり、推定できる。
<通電方法/黒鉛製容器と原料フィルムとの間および/または前記黒鉛製容器の外部周辺に、カーボン粉末が充填されている状態>について。
本発明の原料フィルムのグラファイト化プロセス、特に、通電方法について説明する。
本発明において、電圧を印加し通電する方法としては、交流電圧および/又は直流電圧を印加し、通電することをいう。
本発明の原料フィルムのグラファイト化プロセスは、電圧を印加し直接通電可能な容器内に、該原料フィルムを保持し、該容器に電圧を印加し通電しながらグラファイト化する工程を含むことによって行なわれる。例えば次のよう方法(1)−(4)で通電されるのが好ましい。ここでは特に、黒鉛製容器の場合について記載するが、必ずしも、黒鉛製容器にのみ制約されるものではない。
(1)黒鉛製容器内に、原料フィルムを保持し、該黒鉛製容器自体に電圧を印加し通電する方法。
(2)黒鉛製容器内に、原料フィルムを保持し、該黒鉛製容器の外部周辺をカーボン粉末で覆い(充填し)、カーボン粉末を介して、黒鉛製容器自体に電圧を印加し通電する方法。
(3)黒鉛製容器内に、カーボン粉末で覆った原料フィルムを保持し(黒鉛製容器と原料フィルムとの間に、カーボン粉末が充填されている状態で、保持し)、該黒鉛製容器自体に電圧を印加し通電する方法。
(4)黒鉛製容器内に、カーボン粉末で覆った原料フィルムを保持し(黒鉛製容器と原料フィルムとの間に、カーボン粉末が充填されている状態で、保持し)、さらに該黒鉛製容器をカーボン粉末で覆い(黒鉛製容器の外部周辺にカーボン粉末が充填されてい状態で)、カーボン粉末を介して、黒鉛製容器自体に電圧を印加し通電する方法。
直接通電可能な容器及び製造されたフィルムの電気伝導性から考えて、サンプルの大きさにもよるが、通電の結果、例えば原料フィルムには10mA以上の電流が流れ、ジュ−ル熱により容器および/またはフィルムが発熱する。特に、初期絶縁体で途中から導電体に変換する場合であっても、投入電力を制御することにより急激な温度上昇を防止することで、安定的に高品質のグラファイトフィルムを製造できる。
本発明にある電圧を印加し直接通電可能な容器内に、該原料フィルムを保持し、該容器に電圧を印加し通電しながらグラファイト化する工程では、結果として原料フィルムに電圧を印加し通電して加熱するため、原料フィルムそのものの発熱が寄与する。従って、フィルムの内部と表面で均一に加熱され、またフィルム周辺からも十分均一に加熱が行なわれるため、従来よりも電気伝導性、熱伝導性に優れたグラファイトフィルムを得ることができる。さらに、125μmや225μm程度の、従来より厚い原料フィルムを用いた場合にも、フィルムの内部、表面、周辺から均一に加熱されるため、表面と内部が同時に黒鉛化し、表層に分解ガスの発生を妨げる黒鉛層が形成されず、内部の分解ガスが抜けやすくなり、分解ガスによるフィルム破損が起こらず、厚みの厚い電気伝導性、熱伝導性に優れたグラファイトフィルムを得ることができる。
通電方法(2)である、黒鉛製容器内に、原料フィルムを保持し、該黒鉛製容器の外部周辺をカーボン粉末で覆い、カーボン粉末を介して、黒鉛製容器自体に電圧を印加し通電する方法は、通電方法(1)である黒鉛製容器内に、原料フィルムを保持し、該黒鉛製容器自体に電圧を印加し通電する方法よりも、熱伝導性が高く、特性にバラツキのない優れたグラファイトフィルムを得るうえでは、優れている。というのは、黒鉛製容器をカーボン粉末で覆うことにより、黒鉛製容器および/または原料フィルムに加わる通電および加熱が均一におこるためである。
またさらに、通電方法(3)(4)にあるように、黒鉛製容器内に、カーボン粉末で覆った原料フィルムを保持することも、黒鉛製容器および/または原料フィルムに加わる通電および加熱が均一になるために好ましい。
通電の結果生じる熱から与えられ、原料フィルムに結果として与えられる熱処理温度としては最低でも2400℃以上が必要で、好ましくは2600℃以上、最終的には2700℃以上の温度で熱処理することが好ましく、2800℃以上で熱処理することがより好ましい。
本発明では、原料フィルムを保持した容器をさらに別の容器内に保持することで、該容器に加わる電圧および/または熱を均一化でき該容器間で作製されたグラファイトの品質には、差が生じないという特徴がある。さらに、原料フィルムを保持した該容器の外部周辺のカーボン粉末の存在密度(充填する場合には充填密度)を均一にでき、多数の該容器を用いた場合であっても、該容器間で作製されたグラファイトの品質には、差が生じないという特徴がある。
なお、本発明で記載の温度は、例えば直接通電可能な容器の外壁や内部の一部などにおいて、放射温度計などを使用して計測することができる。
<電圧を印加し直接通電可能な容器>
本発明の、電圧を印加し直接通電可能な容器とは、例えば、タングステン製、モリブデン製、黒鉛製の容器である。本発明のような2500℃の温度領域まで通電によって加熱されるような用途では、取り扱いの容易さや、工業的な入手の容易さ等を勘案すると、使用される容器としては、黒鉛製の容器が、特に好ましい。ここでいう黒鉛とは、上記の温度領域まで加熱することができる限りにおいて、黒鉛を主に含むような材料までを含む広い概念であるが、例えば、等方性黒鉛、押出製黒鉛、が挙げられ、電気伝導性、熱伝導性に優れ、均質性にも優れる等方性黒鉛が、電流を流しまた繰り返し用いる場合には好ましい。
<カーボン粉末>
本発明において用いられるカーボン粉末は、本発明のような2500℃の温度領域まで(通電によって)加熱される。
ここでいうカーボン粉末とは、炭素を主に含む粉末である限りにおいて、特に限定されるものではない、広い概念である。例えば、有機物を主に含む物質や粉末や繊維を熱処理した後、粉末状に粉砕したものや、造粒したものでもよい。熱処理の温度は、200℃以上、好ましくは、500℃以上、さらに好ましくは1000℃以上や1500℃以上である。また、天然および/または人工のピッチ、コークス、カーボンブラックのような炭素を主に含む物質を用いてもよい。また、カーボン粉末は黒鉛であっても良い。ここでいうとは、上記の温度領域まで加熱することができる限りにおいて、黒鉛を主に含むような材料までを含む広い概念であるが、例えば、グラファイトクロスを粉砕したもの、等方性黒鉛を粉砕したもの、押出製黒鉛を粉砕したもの、等が挙げられる。カーボン粉末の粉末形状、粒子径、粒子径分布などは、特に制限されるものではない。
<ポリイミドフィルム>
ポリイミドフィルムは、他の有機材料を原料とする原料フィルムよりもフィルムの炭化、黒鉛化が進行しやすいため、フィルムの電気伝導度が低温で均一に高くなりやすく、かつ電気伝導度そのものも高くなりやすい。その結果、電圧を印加し直接通電可能な容器内に、該原料フィルムを保持し、該容器に電圧を印加し通電しながらグラファイト化する場合には、フィルム部分に炭素化の進行に伴って均一に電流が流れ、表面及び内部での均一な発熱が起こり、厚みが薄い場合に加え、厚い場合においても熱伝導性の高いグラファイトとなる。また、出来上がるグラファイトの結晶性が優れ、耐熱性にも優れたものとなるため、電界が集中し局所的な加熱が生じたとしても破損することなく、品質の高いグラファイトとなる。
<ポリイミドフィルムと複屈折>
本発明に用いられるポリイミドフィルムにおいて、分子の面内配向性に関連する複屈折Δnは、フィルム面内のどの方向に関しても0.08以上、好ましくは0.10以上、さらに好ましくは0.12以上、最も好ましくは0.14以上である。
<原料フィルムと複屈折>
複屈折が高くなるほど、フィルムの炭化(炭素化)、黒鉛化が進行しやすいため、フィルムの電気伝導度が高くなりやすい。その結果、電圧を印加し直接通電可能な容器内に、該原料フィルムを保持し、該容器に電圧を印加し通電しながらグラファイト化する工程では、フィルム部分に炭素化の進行に応じた電気抵抗の変化に応じて均一に電流が流れ、また炭素化の進行に伴いフィルムに流れる電流量が増え、表面及び内部での均一な発熱が起こるため、均一な黒鉛化が進行しやすくなる。またフィルム面内で均一に電気伝導度が高くなるため、フィルム内で部分的な電界集中を起すことなく、局所的な発熱が起こらず、結果として表面及び内部で均一な黒鉛化が進行する。
また、低温で炭化(炭素化)及び黒鉛化が進行するために、低温の熱処理中からフィルムの電気伝導度が高くなり、表面及び内部での均一な発熱が起こり、均一な黒鉛化が進行しやすくなる。
また、複屈折が高くなるほど、結晶性に優れ、耐熱性にも優れたものとなるため、電界が集中し局所的な加熱が生じたとしても破損することなく、品質の高いグラファイトフィルムとなる。
また、原料の厚みが厚くなったとしても、表面と内部で均一に黒鉛化が進行するため、熱伝導性の優れたグラファイトが得られる。
また、複屈折が高くなるほど、得られるグラファイトフィルムの熱伝導性が顕著に改善される。従って、通電の結果生じる熱から与えられ、原料フィルムに結果として与えられる最高処理温度を下げることが可能となり、消費電力の低減が可能となる。短時間の熱処理でも品質の高いグラファイトフィルムとなる。
複屈折が高くなると黒鉛化しやすくなる理由は明らかではないが、グラファイト化のためには分子が再配列する必要があり、複屈折の高い分子配向性に優れたポリイミドフィルムでは分子の再配列が最小で済むことから、ポリイミドフィルムの中でも、より配向性に優れたポリイミドフィルムの方が、比較的低温の通電処理による熱発生に伴う最高処理温度で、厚みが厚くても、結晶性の高いグラファイトフィルムになると推測される。
<複屈折>
ここでいう複屈折とは、フィルム面内の任意方向の屈折率と厚み方向の屈折率との差を意味し、フィルム面内の任意方向Xの複屈折Δnxは次式(数式1)で与えられる。
Figure 0005690906
図1と図2において、複屈折の具体的な測定方法が図解されている。図1の平面図において、フィルム1から細いくさび形シート2が測定試料として切り出される。このくさび形シート2は一つの斜辺を有する細長い台形の形状を有しており、その一底角が直角である。このとき、その台形の底辺はX方向と平行な方向に切り出される。図2は、このようにして切り出された測定試料2を斜視図で示している。台形試料2の底辺に対応する切り出し断面に直角にナトリウム光4を照射し、台形試料2の斜辺に対応する切り出し断面側から偏光顕微鏡で観察すれば、干渉縞5が観察される。この干渉縞の数をnとすれば、フィルム面内X方向の複屈折Δnxは、次式(数式2)で表される。
Figure 0005690906
ここで、λはナトリウムD線の波長589nmであり、dは試料2の台形の高さに相当する試料の幅3である。
なお、前述の「フィルム面内の任意方向X」とは、例えばフィルム形成時における材料流れの方向を基準として、X方向が面内の0゜方向、45゜方向、90゜方向、135゜方向のどの方向においても、の意味である。
<ポリイミドフィルムの熱的性質、機械的性質、物理的性質、化学的性質>
また、本発明に用いられるグラファイトの原料となるポリイミドフィルムは、100〜200℃の範囲において2.5×10-5/℃未満の平均線膨張係数を有しているとよい。線膨張係数が2.5×10-5/℃未満であれば、熱処理中の伸びが小さく、スムースに黒鉛化が進行し、脆くなく、種々の特性に優れたグラファイトを得ることができる。このようなポリイミドフィルムを原料に用いることで、グラファイトへの転化が2400℃から始まり、2700℃で十分結晶性の高いグラファイトに転化が生じ得る。なお、その線膨張係数は、2.0×10-5/℃以下であることがより好ましい。
なお、原料フィルムの線膨張係数は、TMA(熱機械分析装置)を用いて、まず試料を10℃/分の昇温速度で350℃まで昇温させた後に一旦室温まで空冷し、再度10℃/分の昇温速度で350℃まで昇温させ、2回目の昇温時の100℃〜200℃における平均線膨張係数を測定することによって得られる。具体的には、熱機械分析装置(TMA:セイコー電子製SSC/5200H;TMA120C)を用いて、3mm幅×20mm長のサイズのフィルム試料を所定の治具にセットし、引張モードで3gの荷重をかけて窒素雰囲気下で測定が行われる。
また、本発明に用いられるポリイミドフィルムは、その弾性率が2.5GPa以上であれば、グラファイト化をより容易に行い得るということから好ましい。すなわち、弾性率が2.5GPa以上であれば、熱処理中のフィルムの収縮によるフィルムの破損を防止することができ、種々の特性に優れたグラファイトを得ることができる。
なお、フィルムの弾性率は、ASTM−D−882に準拠して測定することができる。ポリイミドフィルムのより好ましい弾性率は3.0GPa以上であり、好ましくは4.0GPa以上であり、さらに好ましくは5.0GPa以上である。フィルムの弾性率が2.5GPaより小さければ、熱処理中のフィルムの収縮で破損および変形しやすくなり、得られるグラファイトの結晶性は劣り、密度および熱伝導性が劣る傾向にある。
フィルムの吸水率は、下記のごとく測定した。フィルムを絶乾するために、100℃で30分乾燥して、25μm厚み10cm角のサンプルを作製した。この重量を測定してA1とする。25μm厚み10cm角のサンプルを蒸留水に23℃で24時間浸漬し、表面の水を拭いて除去し直ちに重量を測定した。この重量をA2とする。下記式より吸水率を求めた。
吸水率(%)=(A2−A1)÷A1×100
<ポリイミドフィルムの作製方法>
本発明で用いられるポリイミドフィルムは、ポリイミド前駆体であるポリアミド酸の有機溶液をイミド化促進剤と混合した後、エンドレスベルトまたはステンレスドラムなどの支持体上に流延し、それを乾燥および焼成してイミド化させることにより製造され得る。
本発明に用いられるポリアミド酸の製造方法としては公知の方法を用いることができ、通常は、芳香族酸二無水物の少なくとも1種とジアミンの少なくとも1種が実質的に等モル量で有機溶媒中に溶解させられる。そして、得られた有機溶液は酸二無水物とジアミンの重合が完了するまで制御された温度条件下で攪拌され、これによってポリアミド酸が製造され得る。このようなポリアミド酸溶液は、通常は5〜35wt%、好ましくは10〜30wt%の濃度で得られる。この範囲の濃度である場合に、適当な分子量と溶液粘度を得ることができる。
重合方法としてはあらゆる公知の方法を用いることができるが、例えば次のような重合方法(1)−(5)が好ましい。
(1) 芳香族ジアミンを有機極性溶媒中に溶解し、これと実質的に等モルの芳香族テトラカルボン酸二無水物を反応させて重合する方法。
(2) 芳香族テトラカルボン酸二無水物とこれに対して過小モル量の芳香族ジアミン化合物とを有機極性溶媒中で反応させ、両末端に酸無水物基を有するプレポリマを得る。続いて、芳香族テトラカルボン酸二無水物に対して実質的に等モルになるように芳香族ジアミン化合物を用いて重合させる方法。
これは、請求項11で記載した、ジアミンと酸二無水物を用いて前記酸二無水物を両末端に有するプレポリマを合成し、前記プレポリマに前記とは異なるジアミンを反応させてポリアミド酸を合成する方法と同様である。
(3) 芳香族テトラカルボン酸二無水物とこれに対し過剰モル量の芳香族ジアミン化合物とを有機極性溶媒中で反応させ、両末端にアミノ基を有するプレポリマを得る。続いて、このプレポリマに芳香族ジアミン化合物を追加添加後に、芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミン化合物が実質的に等モルとなるように芳香族テトラカルボン酸二無水物を用いて重合する方法。
(4) 芳香族テトラカルボン酸二無水物を有機極性溶媒中に溶解および/または分散させた後に、その酸二無水物に対して実質的に等モルになるように芳香族ジアミン化合物を用いて重合させる方法。
(5) 実質的に等モルの芳香族テトラカルボン酸二無水物と芳香族ジアミンの混合物を有機極性溶媒中で反応させて重合する方法。
これらの中でも(2)、(3)に示すプレポリマを経由するシーケンシャル制御(シーケンスコントロール)(ブロックポリマー同士の組み合わせ・ブロックポリマー分子同士の繋がりの制御)をして重合する方法が好ましい。というのは、この方法を用いることで、複屈折が大きく、線膨張係数が小さいポリイミドフィルムが得られやすく、このポリイミドフィルムを熱処理することにより、結晶性が高く、密度および熱伝導性が優れたグラファイトを得やすくなるからである。また、規則正しく、制御されることで、芳香環の重なりが多くなり、低温の熱処理でもグラファイト化が進行しやすくなると推定される。また複屈折を高めるために、イミド基含有量を増やすと、樹脂中の炭素比率が減り、黒鉛処理後の炭素化収率が減るが、シーケンシャル制御をして合成されるポリイミドフィルムは、樹脂中の炭素比率を落とすことなく、複屈折を高めることが出来るために好ましい。
本発明においてポリイミドの合成に用いられ得る酸二無水物は、ピロメリット酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、オキシジフタル酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、エチレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、ビスフェノールAビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、およびそれらの類似物を含み、それらを単独でまたは任意の割合の混合物で用いることができる。
本発明においてポリイミドの合成に用いられ得るジアミンとしては、4,4’−オキシジアニリン、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ベンジジン、3,3’−ジクロロベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(4,4’−オキシジアニリン)、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル(3,3’−オキシジアニリン)、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル(3,4’−オキシジアニリン)、1,5−ジアミノナフタレン、4,4’−ジアミノジフェニルジエチルシラン、4,4’−ジアミノジフェニルシラン、4,4’−ジアミノジフェニルエチルホスフィンオキシド、4,4’−ジアミノジフェニルN−メチルアミン、4,4’−ジアミノジフェニル N−フェニルアミン、1,4−ジアミノベンゼン(p−フェニレンジアミン)、1,3−ジアミノベンゼン、1,2−ジアミノベンゼンおよびそれらの類似物を含み、それらを単独でまたは任意の割合の混合物で用いることができる。
特に、線膨張係数を小さくして弾性率を高くかつ複屈折を大きくし得るという観点から、本発明におけるポリイミドフィルムの製造では、下記式(1)で表される酸二無水物を原料に用いることが好ましい。
Figure 0005690906
ここで、R1は、下記の式(2)〜式(14)に含まれる2価の有機基の群から選択されるいずれかであって、
Figure 0005690906
ここで、R2、R3、R4、およびR5の各々は−CH3、−Cl、−Br、−F、または−OCH3の群から選択されるいずれかであり得る。
上述の酸二無水物を用いることによって比較的低吸水率のポリイミドフィルムが得られ、このことはグラファイト化過程において水分による発泡を防止し得るという観点からも好ましい。
特に、酸二無水物におけるR1として式(2)〜式(14)に示されているようなベンゼン核を含む有機基を使用すれば、得られるポリイミドフィルムの分子配向性が高くなり、線膨張係数が小さく、弾性率が大きく、複屈折が高く、さらには吸水率が低くなるという観点から好ましい。
さらに線膨張係数を小さく、弾性率を高く、複屈折を大きく、吸水率を小さくするためには、本発明におけるポリイミドの合成に下記式(15)で表される酸二無水物を原料に用いればよい。
Figure 0005690906
特に、2つ以上のエステル結合でベンゼン環が直線状に結合された構造を有する酸二無水物を原料に用いて得られるポリイミドフィルムは、屈曲鎖を含むけれども全体として非常に直線的なコンフォメーションをとりやすく、比較的剛直な性質を有する。その結果、この原料を用いることによってポリイミドフィルムの線膨張係数を小さくすることができ、例えば1.5×10-5/℃以下にすることができる。また、弾性率は5GPa以上に大きくすることができ、吸水率は1.5%以下に小さくすることができる。
さらに線膨張係数を小さく、弾性率を高く、複屈折を大きくするためには、本発明におけるポリイミドは、p−フェニレンジアミンを原料に用いて合成されることが好ましい。
また、本発明においてポリイミドの合成に用いられる最も適当なジアミンは4,4’−オキシジアニリンとp−フェニレンジアミンであり、これらの単独または2者の合計モルが全ジアミンに対して40モル%以上、さらには50モル%以上、さらには70モル%以上、またさらには80モル%以上であることが好ましい。さらに、p−フェニレンジアミンが10モル%以上、さらには20モル%以上、さらには30モル%以上、またさらには40モル%以上を含むことが好ましい。これらのジアミンの含有量がこれらのモル%範囲の下限値未満になれば、得られるポリイミドフィルムの線膨張係数が大きく、弾性率が小さく、複屈折が小さくなる傾向になる。但し、ジアミンの全量をp−フェニレンジアミンにすると、発泡の少ない厚みの厚いポリイミドフィルムを得るのが難しくなるため、4,4’−オキシジアニリンを使用するのが良い。
本発明においてポリイミドフィルムの合成に用いられる最も適当な酸二無水物はピロメリット酸二無水物および/または式(15)で表されるp−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸二無水物)であり、これらの単独または2者の合計モルが全酸二無水物に対して40モル%以上、さらには50モル%以上、さらには70モル%以上、またさらには80モル%以上であることが好ましい。これら酸二無水物の使用量が40モル%未満であれば、得られるポリイミドフィルムの線膨張係数が大きく、弾性率が小さく、複屈折が小さくなる傾向になる。
また、ポリイミドフィルム、ポリアミド酸、ポリイミド樹脂に対して、カーボンブラック、グラファイト等の添加剤を添加しても良い。
ポリアミド酸を合成するための好ましい溶媒は、アミド系溶媒であるN,N−ジメチルフォルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドンなどであり、N,N−ジメチルフォルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドが特に好ましく用いられ得る。
次に、ポリイミドの製造方法には、前駆体であるポリアミド酸を加熱でイミド転化する熱キュア法、またはポリアミド酸に無水酢酸等の酸無水物に代表される脱水剤やピコリン、キノリン、イソキノリン、ピリジン等の第3級アミン類をイミド化促進剤として用いてイミド転化するケミカルキュア法のいずれを用いてもよい。中でも、イソキノリンのように沸点の高いものほど好ましい。というのは、フィルム作製中の初期段階では蒸発せず、乾燥の最後の過程まで、触媒効果が発揮されやすいため好ましい。特に、得られるフィルムの線膨張係数が小さく、弾性率が高く、複屈折が大きくなりやすく、また比較的低温で迅速なグラファイト化が可能で、品質のよいグラファイトを得ることができるという観点からケミカルキュアの方が好ましい。特に、脱水剤とイミド化促進剤を併用することは、得られるフィルムの線膨張係数が小さく、弾性率が大きく、複屈折が大きくなり得るので好ましい。また、ケミカルキュア法は、イミド化反応がより速く進行するので加熱処理においてイミド化反応を短時間で完結させることができ、生産性に優れた工業的に有利な方法である。
具体的なケミカルキュアによるフィルムの製造においては、まずポリアミド酸溶液に化学量論以上の脱水剤と触媒からなるイミド化促進剤を加えて、支持板、PET等の有機フィルム、ドラム、またはエンドレスベルト等の支持体上に流延または塗布して膜状にし、有機溶媒を蒸発させることによって自己支持性を有する膜を得る。次いで、この自己支持性膜をさらに加熱して乾燥させつつイミド化させてポリイミド膜を得る。この加熱の際の温度は、150℃から550℃の範囲内にあることが好ましい。加熱の際の昇温速度には特に制限はないが、連続的もしくは段階的に、徐々に加熱して最高温度がその所定温度範囲内になるようにするのが好ましい。加熱時間はフィルム厚みや最高温度によって異なるが、一般的には最高温度に達してから10秒から10分の範囲が好ましい。さらに、ポリイミドフィルムの製造工程中に、収縮を防止するためにフィルムを固定したり延伸したりする工程を含めば、得られるフィルムの線膨張係数が小さく、弾性率が高く、複屈折が大きくなりやすい傾向にあるので好ましい。
<ポリイミドフィルムを含む、原料フィルムのグラファイト化>
グラファイト化処理では、熱処理により炭素化した後、グラファイト構造に転化させられるが、その際には炭素−炭素結合の開裂と再結合が起きなければならない。グラファイト化をできる限り起こしやすくするためには、その開裂と再結合が最小のエネルギーで起こるようにする必要がある。出発原料フィルム(例えば、上記に列記した高分子フィルム、特にポリイミドフィルム)の分子配向は炭素化フィルム中の炭素原子の配列に影響を与え、その分子配向はグラファイト化の際に炭素−炭素結合の開裂と再結合化のエネルギーを少なくする効果を生じ得る。したがって、高度な分子配向が生じやすくなるように分子設計を行うことによって、比較的低温でのグラファイト化が可能になる。この分子配向の効果は、フィルム面に平行な二次元的分子配向とすることによって一層顕著になる。
グラファイト化反応における第二の特徴は、原料フィルムが厚ければ低温でグラファイト化が進行しにくいということである。したがって、厚い原料フィルムをグラファイト化する場合には、表面層ではグラファイト構造が形成されているのに内部ではまだグラファイト構造になっていないという状況が生じ得る。原料フィルムの分子配向性はフィルム内部でのグラファイト化を促進し、結果的により低温で良質のグラファイトへの転化を可能にする。
原料フィルムの表面層と内部とでほぼ同時にグラファイト化が進行するということは、内部から発生するガスのために表面層に形成されたグラファイト構造が破壊されるという事態を避けることにも役立ち、より厚いフィルムのグラファイト化を可能にする。本発明において作製される原料フィルム(例えば、上記に列記した高分子フィルム、特にポリイミドフィルム)は、まさにこのような効果を生じるのに最適な分子配向を有していると考えられる。
<グラファイトフィルムの厚み、長さ、幅>
本発明の製造方法で作製されるグラファイトフィルムの厚みの具体的レベルは、20μm以上、好ましくは50μm以上、さらに好ましくは90μm以上であると良い。特に90μm以上になると、熱輸送量が増えるために、発熱機器から熱を逃がしやすくなり、温度上昇を抑えることが可能となる。
本発明の製造方法で作製されるグラファイトフィルムの長さの具体的レベルは、10m以上、好ましくは20m以上、さらに好ましくは30m以上である。また、本発明の製造方法で作製されるグラファイトフィルムの幅の具体的レベルは、200mm以上、好ましくは300mm以上、さらに好ましくは400mm以上である。このように、大面積でグラファイトフィルムが得られるため、実際にグラファイトフィルムを放熱材料として用いる場合、特に、電子機器の形状や機構に合わせて、様々な大きさで様々な形状のグラファイトフィルムをカットする際に、カットの組み合わせの自由度を上げることができ、カットで発生する不要部分を減らすことができる。
<グラファイトフィルムの熱拡散率>
本発明の製造方法で作製されるグラファイトフィルムの熱拡散率は、7.0×10-42/S以上、好ましくは7.5×10-42/S以上、さらに好ましくは8.0×10-42/S以上であると良い。7.0×10-42/S以上になると、熱伝導性が高いために、発熱機器から熱を逃がしやすくなり、発熱機器の温度上昇を抑えることが可能となる。一方、7.0×10-42/S未満になると、熱伝導性が悪いために、発熱機器から熱を逃がすことができなくなり、発熱機器の温度上昇を抑えることができなくなる。
以上のように、本発明の原料フィルムをグラファイト化するグラファイトフィルムの製造方法であって、
(1)外径120mm以上の炭素質芯に巻きつけて、グラファイト化する。好ましくは、黒鉛化が通電しながらグラファイト化する。
(2)通電可能な容器内に、炭素質芯に原料フィルムを巻きつけて保持し、通電しながらグラファイト化する。
(3)炭素質容器の内面に原料フィルムを添わせて保持し、グラファイト化する。好ましくは、黒鉛化が通電しながらグラファイト化する。
ことによって、(1)加熱中に破損することなく(2)平坦性の高い(3)電気伝導性、熱伝導性に優れた(4)長尺のグラファイトフィルムを得ることが可能となる。
<用途など>
本発明の製造方法で作製されるグラファイトフィルムは、熱伝導性、電気伝導性が高いために、例えば、サーバー、サーバー用パソコン、デスクトップパソコン等の電子機器、ノートパソコン、電子辞書、PDA、携帯電話、ポータブル音楽プレイヤー等の携帯電子機器、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、LED、有機EL、無機EL、液晶プロジェクタ、時計等の表示機器、インクジェットプリンタ(インクヘッド)、電子写真装置(現像装置、定着装置、ヒートローラ、ヒートベルト)等の画像形成装置、半導体素子、半導体パッケージ、半導体封止ケース、半導体ダイボンディング、CPU、メモリ、パワートランジスタ、パワートランジスタケース等の半導体関連部品、リジッド配線板、フレキシブル配線板、セラミック配線板、ビルドアップ配線板、多層基板等の配線基板(以上左記の配線板とは、プリント配線板なども含む)、真空処理装置、半導体製造装置、表示機器製造装置等の製造装置、断熱材、真空断熱材、輻射断熱材等の断熱装置、DVD(光ピックアップ、レーザー発生装置、レーザー受光装置)、ハードディスクドライブ等のデータ記録機器、カメラ、ビデオカメラ、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、顕微鏡、CCD等の画像記録装置、充電装置、リチウムイオン電池、燃料電池等のバッテリー機器等の放熱材料、放熱部品、冷却部品、温度調節部品、電磁シールド部品として好適である。
<使用形態など>
また、使用において、発熱体、ヒートシンク、ヒートパイプ、水冷冷却装置、ペルチェ素子、筐体、ヒンジとの固定、熱拡散性、放熱性、取り扱い性を改善するために、片面および/または両面に樹脂層、セラミック層、金属層、絶縁層、導電層を形成しても良い。
以下において、本発明の種々の実施例がいくつかの比較例と共に説明されるが、本発明は、これら実施例にのみ限定されるわけではない。
なお、本発明には、以下の態様が含まれていてもよい。
(1)第1は、高分子フィルムおよび/または炭素化した高分子フィルムからなる原料フィルムをグラファイト化するグラファイトフィルムの製造方法であって、外径120mm以上の炭素質芯に原料フィルムを巻きつけて、グラファイト化することを特徴とする、グラファイトフィルムの製造方法、である。
(2)第2は、高分子フィルムおよび/または炭素化した高分子フィルムからなる原料フィルムをグラファイト化するグラファイトフィルムの製造方法であって、通電可能な容器内に、炭素質芯に原料フィルムを巻きつけて保持し、該容器に電圧を印加し通電しながらグラファイト化する工程を含むことを特徴とする、グラファイトフィルムの製造方法、である。
(3)第3は、高分子フィルムおよび/または炭素化した高分子フィルムからなる原料フィルムをグラファイト化するグラファイトフィルムの製造方法であって、炭素質容器の内面に原料フィルムを添わせて保持し、グラファイト化することを特徴とする、グラファイトフィルムの製造方法、である。
(4)第4は、(1)、(3)のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法であって、電圧を印加し通電しながらグラファイト化する工程を含むことを特徴とする、グラファイトフィルムの製造方法、である。
(5)第5は、(1)〜(4)のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法であって、前記容器の周辺に、カーボン粉末が存在している状態で、前記通電がなされることを特徴とする、グラファイトフィルムの製造方法、である。
(6)第6は、前記容器および/または前記炭素質芯が、円筒状であることを特徴とする、(1)〜(5)のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法、である。
(7)第7は、前記容器が、内径200mm以上の円筒状容器であることを特徴とする、(2)〜(6)のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法、である。
(8)第8は、前記炭素質芯が、外径150mm以上の炭素質芯であることを特徴とする、(1)、(2)、(4)〜(7)のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法、である。
(9)第9は、前記高分子フィルムが、ポリイミド、ポリアミド、ポリオキサジアゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリベンゾビスチアゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾビスオキサゾール、ポリパラフェニレンビニレン、ポリベンゾイミダゾール、ポリベンゾビスイミダゾール、ポリチアゾールのうちから選ばれた少なくとも一種類以上の高分子からなることを特徴とする、(1)〜(8)のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法、である。
(10)第10は、前記高分子フィルムが、複屈折0.08以上のポリイミドフィルムであることを特徴とする、(9)に記載のグラファイトフィルムの製造方法、である。
(11)第11は、前記高分子フィルムが、複屈折0.12以上のポリイミドフィルムであることを特徴とする、(9)に記載のグラファイトフィルムの製造方法、である。
(12)第12は、前記ポリイミドフィルムが、ピロメリット酸二無水物、p−フェニレンジアミンを含むポリアミド酸を、脱水剤とイミド化促進剤とを用いてイミド化して作製されるポリイミドフィルムであることを特徴とする、(9)〜(11)のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法、である。
(13)第13は、前記ポリイミドフィルムが、ジアミンと酸二無水物を用いて前記酸二無水物を両末端に有するプレポリマを合成し、前記プレポリマに前記とは異なるジアミンを反応させてポリアミド酸を合成し、前記ポリアミド酸をイミド化して作製されるポリイミドフィルムであることを特徴とする、(9)〜(11)のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法、である。
(14)第14は、前記高分子フィルムが、長さ15m以上の高分子フィルムであることを特徴とする(9)〜(13)のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法、である。
(15)第15は、前記高分子フィルムが、長さ15mかつ幅250mm以上の高分子フィルムであることを特徴とする(9)〜(13)のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法、である。
(16)第16は、(1)〜(15)のいずれかに記載の製造方法で製造されたことを特徴とする、グラファイトフィルム、である。
(17)第17は、(1)〜(16)のいずれかに記載の製造方法で製造されたことを特徴とする、グラファイトフィルムであって、長さ10mかつ幅200mm以上、面方向の熱拡散率が7.5×10-42/S以上であることを特徴とする、グラファイトフィルム、である。
(ポリイミドフィルムAの作製方法)
4,4’−オキシジアニリンの1当量を溶解したDMF(ジメチルフォルムアミド)溶液に、ビロメリット酸二無水物の1当量を溶解してポリアミド酸溶液(18.5wt%)を得た。
この溶液を冷却しながら、ポリアミド酸に含まれるカルボン酸基に対して、1当量の無水酢酸、1当量のイソキノリン、およびDMFを含むイミド化触媒を添加し脱泡した。次にこの混合溶液が、乾燥後に所定の厚さになるようにアルミ箔上に塗布された。アルミ箔上の混合溶液層は、熱風オーブン、遠赤外線ヒーターを用いて乾燥された。
出来上がり厚みが75μmの場合におけるフィルム作製用の乾燥条件を示す。アルミ箔上の混合溶液層は、熱風オーブンで120℃において240秒乾燥されて、自己支持性を有するゲルフィルムにされた。そのゲルフィルムはアルミ箔から引き剥がされ、フレームに固定された。さらに、ゲルフィルムは、熱風オーブンにて120℃で30秒、275℃で40秒、400℃で43秒、450℃で50秒、および遠赤外線ヒーターにて460℃で23秒段階的に加熱されて乾燥された。
以上のようにして、厚さ75μmのポリイミドフィルム(ポリイミドフィルムA:弾性率3.1GPa、吸水率2.5%、複屈折0.10、線膨張係数3.0×10-5/℃)が製造された。なお、その他厚みのフィルムを作製する場合には、厚みに比例して焼成時間が調整された。例えば厚さ、225μmのフィルムの場合には、75μmの場合よりも焼成時間を3倍に設定した。また、厚みか厚い場合には、ポリイミドフィルムの溶媒やイミド化触媒蒸発による発泡を防ぐために低温での焼成時間を十分とる必要がある。
実際のグラファイト化においては、上記方法と同様にして作製された(株)カネカ製・アピカルAHの厚さ75、125μmのポリイミドフィルムを用いた。
(ポリイミドフィルムBの作製方法)
ポリアミド酸に4,4’−オキシジアニリンの3当量を溶解したDMF溶液にピロメリット酸二無水物の4当量を溶解して、両末端に酸無水物を有するプレポリマが合成された後、そのプレポリマを含む溶液にp−フェニレンジアミンの1当量を溶解することによって得られたポリアミド酸を用いた以外はポリイミドフィルムAと同様にして厚さ75μmのポリイミドフィルム(ポリイミドフィルムC:弾性率4.1GPa、吸水率2.1%、複屈折0.14、線膨張係数1.6×10-5/℃)が製造された。
実際の黒鉛化においては、上記方法と同様にして作製された(株)カネカ製・アピカルNPIの厚さ75μmのポリイミドフィルムを用いた。
(参考例1)
長さ20m・幅250mm・厚さ75μmのポリイミドフィルムAを外径150mmの円筒状炭素質芯に巻きつけ、電気炉を用いて窒素雰囲気下で、1000℃まで昇温された後、1000℃で1時間熱処理して炭化処理(炭素化処理)が行われた。引き続いて、超高温炉を用いてアルゴン雰囲気下で2800℃まで昇温され、その最高温度で1時間保持された。その後に冷却され、グラファイトフィルムが得られた。
(参考例2)
ポリイミドフィルムに長さ30m・幅250mm・厚さ75μmのポリイミドフィルムAを用い、円筒状炭素質芯に外径250mmの円筒状炭素質を用いた以外は、参考例1と同様にして、グラファイトフィルムが作製された。
(実施例3)
長さ20m・幅250mm・厚さ75μmのポリイミドフィルムAを内径300mmの円筒状容器炭の内面に添わせ、電気炉を用いて窒素雰囲気下で、1000℃まで昇温された後、1000℃で1時間熱処理して炭化処理(炭素化処理)が行われた。引き続いて、超高温炉を用いてアルゴン雰囲気下で3000℃まで昇温され、その最高温度で1時間保持された。その後に冷却され、グラファイトフィルムが得られた。
(参考例4)
長さ20m・幅250mm・厚さ75μmのポリイミドフィルムAを外径150mmの円筒状炭素質芯に巻きつけ、電気炉を用いて窒素雰囲気下で、1000℃まで昇温された後、1000℃で1時間熱処理して炭化処理(炭素化処理)が行われた。引き続いて、炭素質芯に炭素化フィルムを巻きつけたものを黒鉛製容器に保持し、コークスを主成分とするカーボン粉末で覆った後、さらに、内径450mmの黒鉛製の通電可能な容器に保持し、カーボン粉末で覆った。その後、雰囲気加熱ではなく、容器及びカーボン粉末全体に直流電圧を通電することで3000℃まで加熱し、グラファイトフィルムが作製された。
(参考例5)
ポリイミドフィルムに長さ30m・幅250mm・厚さ75μmのポリイミドフィルムAを用い、円筒状炭素質芯に外径250mmの円筒状炭素質を用いた以外は、参考例4と同様にして、グラファイトフィルムが作製された。
(参考例6)
ポリイミドフィルムに長さ45m・幅250mm・厚さ75μmのポリイミドフィルムAを用い、円筒状炭素質芯に外径250mmの円筒状炭素質を用いた以外は、参考例4と同様にして、グラファイトフィルムが作製された。
(参考例7)
ポリイミドフィルムに長さ30m・幅250mm・厚さ125μmのポリイミドフィルムAを用い、円筒状炭素質芯に外径250mmの円筒状炭素質を用いた以外は、参考例4と同様にして、グラファイトフィルムが作製された。
(参考例8)
長さ20m・幅250mm・厚さ75μmのポリイミドフィルムAを外径300mmの円筒状炭素質芯に巻きつけ、電気炉を用いて窒素雰囲気下で、1000℃まで昇温された後、1000℃で1時間熱処理して炭化処理(炭素化処理)が行われた。得られた炭素化フィルムを外径250mmの炭素質芯に巻き替え、炭素質芯と炭素化フィルムを巻きつけたものを黒鉛製容器に保持し、コークスを主成分とするカーボン粉末で覆った後、さらに、内径450mmの黒鉛製の通電可能な容器に保持し、カーボン粉末で覆った。その後、雰囲気加熱ではなく、容器及びカーボン粉末全体に直流電圧を通電することで3000℃まで加熱し、グラファイトフィルムが作製された。
(参考例9)
ポリイミドフィルムに長さ30m・幅250mm・厚さ75μmのポリイミドフィルムBを用い、円筒状炭素質芯に外径250mmの円筒状炭素質を用いた以外は、参考例4と同様にして、グラファイトフィルムが作製された。
(実施例10)
長さ20m・幅250mm・厚さ75μmのポリイミドフィルムAを内径300mmの円筒状容器炭の内面に添わせ、電気炉を用いて窒素雰囲気下で、1000℃まで昇温された後、1000℃で1時間熱処理して炭化処理(炭素化処理)が行われた。引き続いて、参考例4と同様にして、グラファイトフィルムが作製された。
(比較例1)
ポリイミドフィルムに長さ20m・幅180mm・厚さ75μmのポリイミドフィルムAを用い、円筒状炭素質芯に外径60mmの円筒状炭素質を用いた以外は、参考例1と同様にして、グラファイトフィルムが作製された。
(比較例2)
ポリイミドフィルムに長さ30m・幅180mm・厚さ75μmのポリイミドフィルムAを用い、円筒状炭素質芯に外径100mmの円筒状炭素質を用いた以外は、参考例1と同様にして、グラファイトフィルムが作製された。
(比較例3)
長さ20m・幅180mm・厚さ75μmのポリイミドフィルムAを炭素化したフィルムを、外径100mmの円筒状炭素質に巻き付けることを試みたものの、巻きつけ時に破損した。
参考例1,2,4〜9、実施例3,10、比較例1〜3で得られたグラファイトフィルムの熱拡散率が表1に示されている。
Figure 0005690906
グラファイト化の進行状況は、フィルム面方向の熱拡散率を測定することによって判定され、熱拡散率が高いほど、グラファイト化が顕著であることを意味している。熱拡散率は、光交流法による熱拡散率測定装置(アルバック理工(株)社から入手可能な「LaserPit」)を用いて、20℃の雰囲気下、10Hzにおいて測定された。
グラファイトフィルムの平坦性は、炭素質芯に巻きつけて黒鉛化させた場合または炭素質容器の内面に添わせて黒鉛化させた場合において、皺や折れが発生することなくまたロールがけすることなく容易に円筒状の履歴を引き伸ばすことが可能なものを「○」、円筒状の履歴を引き伸ばすことが出来ず、ロールがけを必要とするものを「×」とした。
参考例1,2,4〜9、実施例3,10で得られたグラファイトフィルムの熱拡散率は、いずれの水準も7.5×10-42/S以上と高い熱伝導性を示し、黒鉛化円筒状の履歴を残しているが、ロールがけをすることなく、容易に円筒状の履歴を取り除くことが出来た。一方で、比較例1、2で得られたグラファイトフィルムの熱拡散率は、いずれの水準も6.9×10-42/S以下と参考例1,2,4〜9、実施例3,10に劣るものであり、円筒状の履歴も強く残っており、ロールがけをする必要があった。また巻きつけ回数が多いために、炭化、黒鉛化等の熱処理後に部分的に皺が入っていた。特に、巻きの内側ほど、皺が大きく、一部融着も確認された、
また、参考例1、2、実施例3と比較例1、2を比較すると、熱拡散率は、比較例1、比較例2、参考例1、参考例2、実施例3の順で概ね増加していた。この理由としては、比較例1、2では、原料フィルムを巻き付ける炭素質芯に外径60、80mmの炭素質芯を用いているのに対し、参考例1、2、実施例3では、外径150、250mmの炭素質芯及び内径300mmの炭素質容器を用いており、炭素質芯及び炭素質容器の外径、内径が大きくなっていることが挙げられる。外径、内径が増加することで、熱拡散率が増加する理由としては、原料フィルムの曲率が小さい状態でグラファイト化されるために、黒鉛化がスムースに進行し、グラフェン層が平面状に発達しやすくなったためと考える。また、径が大きくなることで巻きつけ回数を減らすことが可能となり、熱処理中にフィルムに加わる熱履歴にばらつきが発生し、物性が低下したものと考える。
また、参考例4〜9,実施例10で得られたグラファイトフィルムは、参考例1,2,実施例3で得られたグラファイトフィルムよりも熱拡散率に優れていた。これら実施例・参考例では、通電可能な容器内に、該原料フィルムを保持し、該容器に電圧を印加し通電しながらグラファイト化するため、原料フィルムに通電して加熱を行っているため、原料フィルムそのものの発熱が寄与し、フィルムの内部と表面で均一に加熱され、またフィルム周辺からも十分均一に加熱が行なわれるため、従来よりも電気伝導性、熱伝導性に優れたグラファイトフィルムを得ることができたと考える。さらに、125μm程度の、従来より厚い原料フィルムを用いた場合にも、フィルムの内部、表面、周辺から均一に加熱されるため、表面と内部が同時に黒鉛化し、表層に分解ガスの発生を妨げる黒鉛層が形成されず、内部の分解ガスが抜けやすくなり、分解ガスによるフィルム破損が起こらず、厚みの厚い電気伝導性、熱伝導性に優れたグラファイトフィルムを得ることができたと考える。また、今回の実施例・参考例のように、外径・内径が150mmを超えるような大きな炭素質芯、炭素質容器を用いた場合では、雰囲気加熱で黒鉛化を行う場合、熱処理中に温度のばらつきが発生する場合があったが、参考例4〜9,実施例10では、通電加熱により黒鉛化を行っているため、炭素質芯、炭素質容器が均一に加熱され、品質に優れたグラファイトが得られたものと考える。
一方、比較例1、2では加熱を不活性ガス雰囲気で行っているため、ヒーターと接触している部分や雰囲気ガスの熱伝導、ヒーターからの輻射熱によって原料フィルムの表面からおこなわれ、フィルムの内部と表面で不均一に黒鉛化が進行し、フィルム全体としての熱伝導性が低下したと考えられる。特に、原料フィルムが厚い場合には、表面から黒鉛化が進行することで、内部からの分解ガスが出にくくなり、無理な分解ガス放出により、フィルムが破壊しやすくなった。
参考例5、9で得られたグラファイトフィルムでは、参考例9の方が優れていた。参考例9が優れていた理由としては、参考例8の方が出発原料の面配向が高く、シーケンスコントロールされて製造されているため、黒鉛化中の分子の再配列を容易にしたものと考える。また、出発原料の面配向度合いが高いほど炭素比率が高いために、分解ガスの発生量が少なく、スムースに黒鉛化が進行したものと考える。
1 ポリイミドフィルム
2 くさび形シート
3 くさび形シートの幅
4 ナトリウム光
5 干渉縞

Claims (9)

  1. 高分子フィルムおよび/または炭素化した高分子フィルムからなる原料フィルムをグラファイト化するグラファイトフィルムの製造方法であって、内径が200mm以上の炭素質容器の内面に原料フィルムを保持し、グラファイト化する方法であり、
    前記高分子フィルムが、長さ15m以上の高分子フィルムであり、
    電圧を印加し通電しながらグラファイト化する工程、又は、不活性ガス雰囲気下・減圧下でグラファイト化する工程を含むことを特徴とする、グラファイトフィルムの製造方法。
  2. 請求項1に記載のグラファイトフィルムの製造方法であって、前記容器内及び/又は容器の外部周辺に、カーボン粉末が存在している状態で、前記通電がなされることを特徴とする、グラファイトフィルムの製造方法。
  3. 前記容器が、円筒状であることを特徴とする、請求項1〜のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法。
  4. 前記高分子フィルムが、ポリイミド、ポリアミド、ポリオキサジアゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリベンゾビスチアゾール、ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾビスオキサゾール、ポリパラフェニレンビニレン、ポリベンゾイミダゾール、ポリベンゾビスイミダゾール、ポリチアゾールのうちから選ばれた少なくとも一種類以上の高分子からなることを特徴とする、請求項1〜のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法。
  5. 前記高分子フィルムが、複屈折0.08以上のポリイミドフィルムであることを特徴とする、請求項に記載のグラファイトフィルムの製造方法。
  6. 前記高分子フィルムが、複屈折0.12以上のポリイミドフィルムであることを特徴とする、請求項に記載のグラファイトフィルムの製造方法。
  7. 前記高分子フィルムが、ピロメリット酸二無水物、p−フェニレンジアミンを含むポリアミド酸を、脱水剤とイミド化促進剤とを用いてイミド化して作製されるポリイミドフィルムであることを特徴とする、請求項のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法。
  8. 前記高分子フィルムが、ジアミンと酸二無水物を用いて前記酸二無水物を両末端に有するプレポリマを合成し、前記プレポリマに前記とは異なるジアミンを反応させてポリアミド酸を合成し、前記ポリアミド酸をイミド化して作製されるポリイミドフィルムであることを特徴とする、請求項のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法。
  9. 前記高分子フィルムが、幅250mm以上の高分子フィルムであることを特徴とする請求項のいずれかに記載のグラファイトフィルムの製造方法。
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