JP5687658B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、空気入りタイヤに関する。
近年省資源、省エネルギー、加えて、環境保護の立場から、排出炭酸ガスの低減に対する社会的要求が強まっている。自動車に対しても排出炭酸ガスの低減を目的として、自動車の軽量化、電気エネルギーの利用などの様々な対応策が検討されている。
自動車共通の課題として、タイヤの転がり抵抗改善による低燃費性の向上が必要とされ、更に走行時の安全性や耐久性向上の要求も強まっている。これらの特性はタイヤ性能に依存するところが大きいため、自動車用タイヤの低燃費性、ウェットグリップ性能、操縦安定性、耐久性(破壊強度など)の改善要求が強まっている。タイヤ性能は、タイヤの構造・使用材料など種々の要素に左右され、特に路面に接するトレッド部分のゴム組成物の性能に大きく左右されるため、トレッドなどのタイヤ用ゴム組成物の技術的改良が広く検討され、実用化されている。
ゴム組成物の低燃費性を改善する手法として、充填剤を減量する方法や変性ポリマーを使用する方法が知られている(例えば、特許文献1)。しかし、充填剤の減量や充填剤の高分散化は、ゴムの剛性を低下させてしまう傾向にあり、タイヤの運動性能(例えば、操縦安定性)を低下させてしまうという問題があった。
特開2000−344955号公報
本発明は、上記課題を解決し、良好な低燃費性、破壊強度が維持又は改善されつつ、操縦安定性が改善された空気入りタイヤを提供することを目的とする。
本発明は、カーボンブラックと、シリカと、平均幅3nm〜50μm、平均長さ50nm〜500μmの短繊維とを含有するゴム組成物を用いて作製したゴム層を有するトレッドを有し、上記ゴム層において、タイヤ周方向に対する上記短繊維の長手方向の平均配向角度が15〜75°であり、上記ゴム層に含まれる短繊維のうち、タイヤ周方向に対する長手方向の配向角度が15〜75°である短繊維の割合が35〜100%である空気入りタイヤに関する。
上記短繊維が棒状シリカであることが好ましい。
上記短繊維が、セピオライト鉱物を解繊して得られたものであることが好ましい。また、上記短繊維の平均長さ/平均幅が5〜2000であることが好ましい。
上記ゴム組成物は、ゴム成分100質量部に対して、上記カーボンブラックを5〜150質量部、上記シリカを10〜150質量部、上記短繊維を0.5〜50質量部含むことが好ましい。
上記トレッドが、上記ゴム組成物を用いて作製したゴム層Aと、上記ゴム組成物を用いて作製したゴム層Bとを積層して得られたものであり、上記ゴム層Aにおいて、タイヤ周方向に対する上記短繊維の長手方向の平均配向角度が15〜75°であり、上記ゴム層Bにおいて、タイヤ周方向に対する上記短繊維の長手方向の平均配向角度が−15〜−75°であることが好ましい。
上記トレッドが、上記ゴム組成物を用いて作製したゴム層Cと、上記ゴム組成物を用いて作製したゴム層Dとを有し、上記ゴム層Cと、上記ゴム層Dは、タイヤ軸方向で隣り合うように配され、トレッドのタイヤ軸方向の長さに占める上記ゴム層Cのタイヤ軸方向の長さの割合が、20〜80%であり、上記ゴム層Cにおいて、タイヤ周方向に対する上記短繊維の長手方向の平均配向角度が15〜75°であり、上記ゴム層Dにおいて、タイヤ周方向に対する上記短繊維の長手方向の平均配向角度が−15〜−75°であることが好ましい。
上記ゴム層において、タイヤ周方向の複素弾性率E とタイヤラジアル方向の複素弾性率E との比(E /E )が5.0未満であることが好ましい。
上記ゴム組成物が、共役ジエン化合物及び/又は芳香族ビニル化合物の重合体を、エステル基及び/又はカルボキシル基を有する化合物により変性して得られる重合体混合物を含み、上記重合体混合物の重量平均分子量が1.0×10〜1.0×10であることが好ましい。
上記重合体混合物は、下記式(1)で表される変性基を有する変性重合体を含むことが好ましい。
Figure 0005687658
(式中、Aは2価の飽和又は不飽和炭化水素基を表す。RはOR又は下記式(2)を表す。Rは水素原子又は1価の飽和又は不飽和炭化水素基を表す。)
Figure 0005687658
(式中、Bは2価の飽和又は不飽和炭化水素基を表す。Rは水素原子又は1価の飽和又は不飽和炭化水素基を表す。)
上記Aが下記式(3);
Figure 0005687658
(式中、mは0〜6の整数を表す。R、Rは同一又は異なって、水素原子、炭素数1〜2の炭化水素基又はアリール基を表す。)
で表され、
上記Bが下記式(4)〜(7);
Figure 0005687658
(式中、nは2〜3の整数を表す。R、Rは同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜18の炭化水素基を表す。Rは水素原子又はメチル基を表す。Rは水素原子又は炭素数1〜4の炭化水素基を表す。)
のいずれかで表されることが好ましい。
上記重合体混合物の25℃における粘度が1.0×10〜8.0×10であることが好ましい。
上記重合体混合物を構成する重合体がスチレン単独重合体、ブタジエン単独重合体又はスチレンブタジエン共重合体であることが好ましい。
上記エステル基及び/又はカルボキシル基を有する化合物がカルボン酸無水物であることが好ましい。
本発明によれば、カーボンブラックと、シリカと、平均幅3nm〜50μm、平均長さ50nm〜500μmの短繊維とを含有するゴム組成物を用いて作製したゴム層を有するトレッドを有し、上記ゴム層において、タイヤ周方向に対する上記短繊維の長手方向の平均配向角度が15〜75°であり、上記ゴム層に含まれる短繊維のうち、タイヤ周方向に対する長手方向の配向角度が15〜75°である短繊維の割合が35〜100%である空気入りタイヤであるので、良好な低燃費性、破壊強度が維持又は改善されつつ、操縦安定性が改善された空気入りタイヤを提供できる。
接地面に対して平行な面上に存在する短繊維の一例を示す模式図である。 (a)は、接地面に対して平行な面上に存在する短繊維の一例を示す模式図である。(b)は、接地面に対して平行な面上に存在する短繊維の一例を示す模式図である。 (a)は、ゴム層の一例を示す模式図である。(b)は、ゴム層の一例を示す模式図である。(c)は、積層ゴム層の一例を示す模式図である。(d)は、並列ゴム層の一例を示す模式図である。 棒状シリカ(セピオライト)の概略構造を示す模式図である。
本発明の空気入りタイヤは、カーボンブラックと、シリカと、平均幅3nm〜50μm、平均長さ50nm〜500μmの短繊維とを含有するゴム組成物を用いて作製したゴム層を有するトレッドを有し、上記ゴム層において、タイヤ周方向に対する上記短繊維の長手方向の平均配向角度が15〜75°であり、上記ゴム層に含まれる短繊維のうち、タイヤ周方向に対する長手方向の配向角度が15〜75°である短繊維の割合が35〜100%である。
短繊維は、押出方向に配向する特性がある。この性質を利用し、カーボンブラックと、シリカと共に特定の短繊維を含み、該短繊維の配向を特定の状態に制御したゴム組成物を作製してトレッドに使用することにより、良好な低燃費性、破壊強度が維持又は改善されつつ、操縦安定性が改善された空気入りタイヤが得られる。
本明細書において、上記ゴム層における、タイヤ周方向に対する上記短繊維の長手方向の平均配向角度とは、路面と接地する接地面(トレッド面)に対して平行な上記ゴム層中の面上において、タイヤ周方向に対する短繊維の長手方向の配向角度の平均値(例えば、透過型電子顕微鏡を使用して、100個の短繊維の長手方向の配向角度を測定し、算出した平均値)である。
なお、タイヤ周方向とは、タイヤの円周方向(図1のA方向)を意味する。
また、長手方向とは、短繊維の主面(平面視したときに面積が最大となる面)の長辺の方向(図1のB方向)を意味する。
また、配向角度とは、タイヤ周方向に対する長手方向の角度(図1のθ)を意味する。
以下、図面を使用して、短繊維の配向角度の算出方法の概要を説明する。
まず、接地面に対して平行な面を上記ゴム層から作製する。これは、上記ゴム層がトレッドの表面層を構成している場合には、トレッドの表面層をそのまま切り出して使用すればよい。一方、上記ゴム層がトレッドの表面層を構成していない場合は、接地面に対して平行な面が現れるように上記ゴム層を切断すればよい。
次に、透過型電子顕微鏡を使用して、接地面に対して平行な面1を観察し、接地面に対して平行な面1上に存在する1つの短繊維2に着目する。そして、短繊維2の主面の長辺の方向(長手方向、図1のB方向)を決定することにより、タイヤ周方向(図1のA方向)に対する長手方向(図1のB方向)の角度である配向角度(図1のθ)が決定される。
上記ゴム層において、上記平均配向角度は、15°以上であり、好ましくは30°以上、より好ましくは35°以上である。15°未満であると、短繊維を配向させている効果が小さく、操縦安定性の改善効果が充分に得られない。また、充分な低燃費性も得られない。該平均配向角度は、75°以下であり、好ましくは60°以下、より好ましくは55°以下である。75°を超えると、短繊維がタイヤ周方向に対し垂直に配向した状態と近くなり、タイヤの制動・トラクション時のゴム剛性が低下し、充分な操縦安定性が得られない。また、低燃費性、破壊強度も低下する。
なお、該平均配向角度は、例えば、透過型電子顕微鏡を使用して、100個の短繊維の長手方向の配向角度を測定し、配向角度の平均値を算出することにより求めることができる。
上記ゴム層において、上記ゴム層に含まれる短繊維のうち、タイヤ周方向に対する長手方向の配向角度が15〜75°である短繊維の割合(配向割合)は、35%以上であり、好ましくは60%以上、より好ましくは80%以上である。35%未満であると、低燃費性が低下し、また、操縦安定性の改善効果が充分に得られない傾向がある。該割合の上限は、特に限定されず、100%であってもよく、90%以下であってもよい。
なお、上記割合は、例えば、透過型電子顕微鏡を使用して、100個の短繊維の長手方向の配向角度を測定し、配向角度が15〜75°である短繊維の割合を算出することにより求めることができる。
上記ゴム層において、タイヤ周方向の複素弾性率E とタイヤラジアル方向の複素弾性率E との比(E /E )は、好ましくは5.0未満、より好ましくは3.0以下、更に好ましくは2.0以下である。5.0以上であると、圧縮方向とせん断方向の両方向の歪に対しゴムの剛性差異が大きくなってしまい、ゴム剛性を発現する歪方向が限定され、様々な路面や車両で剛性を発現することができなくなり、充分な操縦安定性が得られない傾向がある。該比は、好ましくは0.5以上、より好ましくは1.0以上である。0.5未満であると、充分な操縦安定性が得られない傾向がある。
該比が上記範囲内であることにより、圧縮方向とせん断方向の両方向の歪に対しゴムの剛性を発現することが可能になり、様々な路面や車両で剛性を発現することが可能となり、優れた操縦安定性が得られる。
なお、E /E は、後述の実施例に記載の方法により測定される。
上記ゴム層の厚みは、好ましくは0.5〜10mm、より好ましくは1.5〜8mmである。ゴム層の厚みが上記範囲内であると、本発明の効果がより好適に得られる。
なお、本明細書において、ゴム層の厚みとは、ゴム層のタイヤ半径方向外側の外側面からの法線方向の厚みの平均値を意味する。
本発明では、カーボンブラックと、シリカと共に特定の短繊維を含み、特定の短繊維の配向を特定の状態に制御したゴム組成物を用いて作製したゴム層をトレッドに使用することにより、良好な低燃費性、破壊強度が維持又は改善されつつ、操縦安定性が改善された空気入りタイヤが得られる。
上記トレッドは、上記ゴム層を有していればよく、例えば、上記ゴム層単独で構成されていてもよく、上記ゴム層と他のゴム層とにより構成されていてもよい。また、上記ゴム層として、複数の上記ゴム層が使用されていてもよい。なかでも、複数の上記ゴム層が使用されていることが好ましい。この場合、タイヤ周方向に対して、短繊維の配向している方向が互いに反対向きである上記ゴム層を組み合わせることが好ましく、タイヤ周方向を軸として、各々の平均配向角度が対称の関係となる上記ゴム層を組み合わせることがより好ましい。これにより、タイヤのリング剛性が向上し、優れた操縦安定性を有する空気入りタイヤを提供できる。また、上記ゴム層は、タイヤ周方向に連続して形成されていることが好ましい。
ここで、タイヤ周方向に対して、短繊維の配向している方向が互いに反対向きであるとは、図2(a)に示す短繊維2と、図2(b)に示す短繊維2のように、タイヤ周方向(図2のA方向)に対して短繊維の配向している方向が互いに逆向きであることを意味する。ここで、本明細書では、反対向きに配向していることを明確にするため、反対方向への配向角度には数字の前に「−(マイナス)」を付することとする。
また、タイヤ周方向を軸として、各々の平均配向角度が対称の関係とは、タイヤ周方向(図2のA方向)に対して短繊維の配向している方向が互いに逆向きで、両者の平均配向角度の絶対値が実質的に同一であることを意味する。ここで、実質的に同一とは、両者の平均配向角度の絶対値の差が3°以内であることを意味する。
上記トレッドの好適な具体例としては、(I)上記ゴム組成物を用いて作製したゴム層Aと、上記ゴム組成物を用いて作製したゴム層Bとをタイヤ半径方向に積層して得られたものであり、上記ゴム層Aにおいて、タイヤ周方向に対する上記短繊維の長手方向の平均配向角度が15〜75°であり、上記ゴム層Bにおいて、タイヤ周方向に対する上記短繊維の長手方向の平均配向角度が−15〜−75°であるトレッドが挙げられる。異方性を有するゴム層を組み合わせることにより、タイヤのリング剛性がより向上し、より優れた操縦安定性を有する空気入りタイヤを提供できる。また、この場合、トレッドは、ゴム層Aとゴム層Bとが積層して得られた積層ゴム層のみから構成されていてもよく、積層ゴム層と他のゴム層とにより構成されていてもよい。また、積層するゴム層の数は特に限定されないが、2つのゴム層が積層されていることが好ましい。
(I)の場合、例えば、図3(a)に示すゴム層3a(上記ゴム層Aに相当)と、図3(b)に示すゴム層3b(上記ゴム層Bに相当)とをタイヤ半径方向に積層して得られた積層ゴム層4(図3(c))をトレッドに使用すればよい。なお、図3(c)は、図3(b)に示すゴム層3bのタイヤ半径方向外側に図3(a)に示すゴム層3aを積層して得られた積層ゴム層4を示しており、点線で描いた短繊維2は、ゴム層3bに含まれる短繊維を示す。
ゴム層A、Bの平均配向角度の絶対値、タイヤ周方向に対する長手方向の配向角度が15〜75°(−15〜−75°)である短繊維の割合、E /E の好ましい範囲は、上述のゴム層の場合と同様である。
積層するゴム層の厚みは特に限定されないが、ゴム層1層当たり0.5mm以上であることが好ましい。0.5mm未満のゴム層を積層するには、生産上時間を有してしまうため好ましくない。また、ゴム層1層当たり3mm未満が好ましい。3mm以上のゴム層を積層した場合、ゴム層間の距離が大きくなり、ゴム層を積層させる効果が充分に得られない場合がある。
上記トレッドの好適な別の具体例としては、(II)上記ゴム組成物を用いて作製したゴム層Cと、上記ゴム組成物を用いて作製したゴム層Dとを有し、上記ゴム層Cと、上記ゴム層Dは、タイヤ軸方向で隣り合うように配され、トレッドのタイヤ軸方向の長さに占める上記ゴム層Cのタイヤ軸方向の長さの割合が、20〜80%であり、上記ゴム層Cにおいて、タイヤ周方向に対する上記短繊維の長手方向の平均配向角度が15〜75°であり、上記ゴム層Dにおいて、タイヤ周方向に対する上記短繊維の長手方向の平均配向角度が−15〜−75°であるトレッドが挙げられる。異方性を有するゴム層を組み合わせることにより、タイヤのリング剛性がより向上し、より優れた操縦安定性を有する空気入りタイヤを提供できる。また、この場合、トレッドは、ゴム層Cとゴム層Dとが隣り合うように配された並列ゴム層のみから構成されていてもよく、並列ゴム層と他のゴム層とにより構成されていてもよい。また、隣り合うように配されるゴム層の数は特に限定されないが、2つのゴム層が隣り合うように配されていることが好ましい。
(II)の場合、例えば、図3(a)に示すゴム層3a(上記ゴム層Cに相当)と、図3(b)に示すゴム層3b(上記ゴム層Dに相当)とをタイヤ軸方向で隣り合うように配して得られた並列ゴム層5(図3(d))をトレッドに使用すればよい。
トレッドのタイヤ軸方向の長さに占める上記ゴム層Cのタイヤ軸方向の長さの割合は、好ましくは20%以上、より好ましくは40%以上である。該割合は、好ましくは80%以下、より好ましくは60%以下である。該割合が上記範囲内であると、操縦安定性がより好適に得られる。なお、トレッドのタイヤ軸方向の長さに占める上記ゴム層Dのタイヤ軸方向の長さの割合は、上記ゴム層Cの場合と同様である。
ゴム層C、Dの平均配向角度の絶対値、タイヤ周方向に対する長手方向の配向角度が15〜75°(−15〜−75°)である短繊維の割合、E /E の好ましい範囲は、上述のゴム層の場合と同様である。
並列ゴム層の厚みは特に限定されないが、1.0mm以上であることが好ましい。1.0mm未満では、短繊維によるゴム剛性の向上効果が充分に得られず、操縦安定性を充分に得られない場合がある。並列ゴム層の厚みは、6mm未満が好ましい。6mm以上とした場合、ゴム界面の表面積が大きくなり、ライトトラックタイヤなど高シビアリティ条件下でタイヤを使用した場合、ごく稀に界面剥離を起こす場合がある。
また、上述の(I)(積層ゴム層)と(II)(並列ゴム層)は、単独で使用してもよく、組み合わせて使用してもよい。特に(II)(並列ゴム層)の場合は、使用条件によっては界面剥離する場合があるため、(I)(積層ゴム層)と組み合わせることが好ましい。
次に、本発明の空気入りタイヤに用いられるトレッドを構成するゴム層を作製するためのゴム組成物について説明する。
使用できるゴム成分としては、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム(CR)、ブチルゴム(IIR)、スチレン−イソプレン−ブタジエン共重合ゴム(SIBR)などのジエン系ゴムなどが挙げられる。なかでも、低燃費性、破壊強度、操縦安定性がバランスよく得られるという理由から、NR、BR、SBRが好ましく、SBRがより好ましい。なお、NR、SBRの併用、BR、SBRの併用、NR、BR、SBRの併用も好適であり、BR、SBRの併用がより好適である。
SBRとしては、特に限定されず、例えば、乳化重合スチレンブタジエンゴム(E−SBR)、溶液重合スチレンブタジエンゴム(S−SBR)などを使用できる。
SBRのスチレン含有量は、好ましくは10質量%以上、より好ましくは25質量%以上、更に好ましくは30質量%以上である。また、該スチレン含有量は、好ましくは50質量%以下、より好ましくは45質量%以下である。該スチレン含有量が上記範囲内であると、良好な低燃費性、ウェットグリップ性能、破壊強度が得られる。
なお、スチレン含有量は、H−NMR測定により算出される。
ゴム成分100質量%中のSBRの含有量は、低燃費性、耐摩耗性がバランスよく得られるという理由から、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上である。該SBRの含有量は、100質量%であってもよいが、好ましくは90質量%以下、より好ましくは80質量%以下である。SBRの含有量が上記範囲内であると、良好な低燃費性、破壊強度、操縦安定性が得られる。
BRとしては特に限定されず、例えば、日本ゼオン(株)製のBR1220、宇部興産(株)製のBR130B、BR150B等の高シス含有量のBR、宇部興産(株)製のVCR412、VCR617等のシンジオタクチックポリブタジエン結晶を含有するBR等を使用できる。なかでも、耐摩耗性が良好であるという理由から、BRのシス含量は90質量%以上が好ましい。
ゴム成分100質量%中のBRの含有量は、低燃費性、耐摩耗性がバランスよく得られるという理由から、好ましくは10質量%以上、より好ましくは20質量%以上である。該BRの含有量は、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下である。BRの含有量が上記範囲内であると、良好な低燃費性、破壊強度、操縦安定性が得られる。
本発明では、平均幅3nm〜50μm、平均長さ50nm〜500μmの短繊維が使用される。短繊維としては、平均幅、平均長さが上記範囲内であれば特に限定されず、例えば、棒状シリカ、石炭ピッチ系炭素繊維、ポリエステル繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリアミド繊維、綿繊維、絹繊維、麻繊維、羊毛繊維、セルロース繊維、芳香族ポリアミド繊維、全芳香族ポリエステル繊維、ポリパラフェニレンベンズビスオキサゾール繊維、炭素繊維、ポリケトン繊維、玄武岩繊維等が挙げられる。なかでも、E /E を低減でき、良好な操縦安定性が得られ、また、優れた低燃費性、破壊強度が得られるという理由から、棒状シリカが好ましい。
棒状シリカは、球状の形状を有する通常のシリカとは異なり、棒状又は針状の形状を有し、その表面にシラノール基を有する無機材料(シリカ)である。棒状シリカとしては、例えば、セピオライト、パリゴルスカイト、アタパルジャイト、シロタイル、ラフリナイト、ファルコンドアイト、イモゴライト等が挙げられる。なかでも、不純物が少なく、シラノール基が多いという理由から、セピオライト、アタパルジャイトが好ましい。なお、本明細書では、単にシリカと記載する場合には、特に言及しない限り、球状のシリカをいうこととする。
棒状シリカの表面には、シラノール基が存在している。そのため、シランカップリング剤を配合することにより、シランカップリング剤を介してゴム分子と棒状シリカを結合でき、棒状シリカを配合した効果(補強性等)を充分に得ることができる。
棒状シリカは、繊維状材料であるセピオライト鉱物[MgSi1230(OH)(HO)・8(HO)]を解繊して得られたものを好適に使用できる。セピオライト鉱物の構造は、Si−O四面体が3本連結して繊維方向に平行なSi−O四面体リボンを形成し、このリボンは八面体配位のマグネシウムイオンによって結び付けられ、タルク構造に似た2:1型を形成する。これらが互いに粘着して繊維束を形成しており、凝集物を形成し得る。
上記凝集物は工業的工程、例えば微粉化(粉砕)または化学的修飾(例えば、欧州特許第170299号公報を参照)などで***(解繊)可能であり、それによって直径がナノメートルの繊維、即ち剥離(解繊)した棒状シリカ(セピオライト)が生じ得る。本発明では、セピオライト鉱物の解繊方法は特に限定されないが、棒状シリカ(セピオライト)の繊維としての形状を実質的に壊すことなく解繊することが好ましい。このような解繊方法としては、例えば、湿式粉砕法(例えば、欧州特許第170299号公報、特開平5−97488号公報、欧州特許第85200094−4号公報等に記載の方法)等が挙げられる。
湿式粉砕法の一例を具体的に説明すると、まず、水分を含んだ状態の棒状シリカ(セピオライト)を2mm以下の粒度になるまで粉砕する。粉砕後、懸濁液の固形分濃度が5〜25%となるように水を加えた後、分散剤(例えば、ヘキサメタリン酸アルカリ塩)を添加する。次に、高せん断力を有する撹拌機を使用して懸濁液を5〜15分間撹拌する。撹拌の際には、まず、低速回転で2〜7分間撹拌し、次に、高速回転で2〜8分間撹拌する。次に、上澄みをデカンテーション又は遠心分離により分離することにより、繊維としての形状を実質的に壊すことなく解繊された棒状シリカ(セピオライト)を得ることができる。
なお、本発明におけるセピオライトは、アタパルジャイト(パリゴルスカイトとしても知られる)をも含む概念である。アタパルジャイトは、アタパルジャイトが有する単位格子の方が若干小さい(繊維長が小さい)以外はセピオライトと構造的及び化学的にほとんど同一である。
短繊維(好ましくは棒状シリカ)の平均幅は、3nm以上、好ましくは5nm以上である。3nm未満であると、表面積が大きくなり、ゴムへの分散が悪くなる傾向がある。棒状シリカの平均幅は、50μm以下、好ましくは10μm以下、より好ましくは1μm以下、更に好ましくは100nm以下、特に好ましくは35nm以下、最も好ましくは30nm以下である。50μmを超えると、アスペクト比が小さくなり、充分な低燃費性が得られない傾向がある。
短繊維(好ましくは棒状シリカ)の平均長さは、50nm以上、好ましくは100nm以上、より好ましくは300nm以上である。50nm未満であると、アスペクト比が小さくなり、充分な低燃費性が得られない傾向がある。棒状シリカの平均長さは、500μm以下、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下、更に好ましくは10μm以下、特に好ましくは5μm以下、最も好ましくは3μm以下、より最も好ましくは2μm以下である。500μmを超えると、破壊の起点になるため、破壊強度が悪化する傾向がある。
短繊維(好ましくは棒状シリカ)のアスペクト比(平均長さ/平均幅)は、好ましくは2以上、より好ましくは5以上である。2未満であると、充分な低燃費性が得られない傾向がある。棒状シリカのアスペクト比の上限は特に限定されず、上記形状の範囲内で、大きければ大きいほど好ましく、例えば、2000である。
図4は、棒状シリカ(セピオライト)の概略構造を示す模式図である。図4に示すように、棒状シリカ(セピオライト)は、針状又は長い繊維状(棒状)の形状を有している。セピオライトの幅、厚み、長さは、それぞれ図4のX、Y、Zに相当する。言い換えると、セピオライトの幅(X)とは、主面(平面視したときに面積が最大となる面)の短辺の長さであり、セピオライトの厚み(Y)とは、主面に対する法線方向の長さであり、セピオライトの長さ(Z)とは、主面の長辺の長さである。
なお、本明細書において、短繊維(好ましくは棒状シリカ)の平均幅は、透過型電子顕微鏡により測定した棒状シリカのXの平均値(例えば、100個の棒状シリカのXを測定し、算出した平均値)である。また、本明細書において、短繊維(好ましくは棒状シリカ)の平均長さは、透過型電子顕微鏡により測定した棒状シリカのZの平均値(例えば、100個の棒状シリカのZを測定し、算出した平均値)である。
短繊維(好ましくは棒状シリカ)の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは2質量部以上、更に好ましくは5質量部以上である。0.5質量部未満では、短繊維(好ましくは棒状シリカ)を配合した効果が充分に得られないおそれがある。また、該含有量は、好ましくは50質量部以下、より好ましくは30質量部以下である。50質量部を超えると、加工性が悪化する傾向がある。
本発明では、シリカ(球状のシリカ)を配合する。これにより、良好な補強性が得られ、優れた破壊強度、操縦安定性が得られる。また、優れた低燃費性も得られる。シリカとしては特に限定されず、例えば、乾式法シリカ(無水ケイ酸)、湿式法シリカ(含水ケイ酸)等が挙げられるが、シラノール基が多いという理由から、湿式法シリカが好ましい。シリカは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
シリカのチッ素吸着比表面積(NSA)は、50m/g以上が好ましく、80m/g以上がより好ましい。50m/g未満では、補強効果が小さく、充分な破壊強度、操縦安定性が得られない傾向がある。また、該NSAは、300m/g以下が好ましく、250m/g以下がより好ましく、200m/g以下が更に好ましい。300m/gを超えると、シリカの分散性が悪く、ヒステリシスロスが増大し低燃費性が低下する傾向がある。また、破壊強度も低下する傾向がある。
なお、本明細書において、シリカのNSAは、ASTM D3037−93に準じてBET法で測定される値である。
上記ゴム組成物において、シリカの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは10質量部以上、より好ましくは20質量部以上である。10質量部未満であると、補強効果が小さく、充分な破壊強度、操縦安定性が得られない傾向がある。また、良好な低燃費性が得られない傾向もある。該含有量は、好ましくは150質量部以下、より好ましくは100質量部以下、更に好ましくは70質量部以下、特に好ましくは50質量部以下である。150質量部を超えると、加工性や分散性が悪く、破壊強度、低燃費性が低下する傾向がある。
短繊維(好ましくは棒状シリカ)及びシリカの合計含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは10質量部以上、より好ましくは20質量部以上、更に好ましくは30質量部以上である。10質量部未満であると、充分な低燃費性、破壊強度、操縦安定性が得られない傾向がある。該合計含有量は、好ましくは200質量部以下、より好ましくは100質量部以下、更に好ましくは80質量部以下、特に好ましくは60質量部以下である。200質量部を超えると、混練り加工性が悪化する傾向がある。
上記ゴム組成物は、棒状シリカ、シリカとともに、シランカップリング剤を含有することが好ましい。
シランカップリング剤としては、例えば、スルフィド系、メルカプト系、ビニル系、アミノ系、グリシドキシ系、ニトロ系、クロロ系シランカップリング剤などが挙げられる。なかでも、補強性改善効果などの点から、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィドが好ましい。
シランカップリング剤の含有量は、短繊維(好ましくは棒状シリカ)及びシリカの合計100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは4質量部以上である。1質量部未満では、カップリング効果が不充分であり、低燃費性、破壊強度、操縦安定性が低下してしまうおそれがある。該含有量は好ましくは15質量部以下、より好ましくは12質量部以下である。15質量部を超えると、余分なシランカップリング剤が残存し、得られるゴム組成物の加工性や破壊強度の低下を招くおそれがある。
上記ゴム組成物はカーボンブラックを含む。これにより、良好な補強性が得られ、優れた破壊強度、操縦安定性が得られる。
カーボンブラックの窒素吸着比表面積(NSA)は60m/g以上が好ましく、90m/g以上がより好ましい。60m/g未満では、充分な破壊強度、操縦安定性が得られないおそれがある。該NSAは200m/g以下が好ましく、160m/g以下がより好ましく、130m/g以下が更に好ましい。200m/gを超えると、カーボンブラックの分散性が悪化し、加工性が悪化するとともに、充分な破壊強度、低燃費性が得られないおそれがある。
なお、カーボンブラックのNSAは、JIS K 6217−2:2001によって求められる。
カーボンブラックのジブチルフタレート吸油量(DBP)は、50ml/100g以上が好ましく、90ml/100g以上がより好ましい。50ml/100g未満では、充分な破壊強度、操縦安定性が得られないおそれがある。また、カーボンブラックのDBPは、200ml/100g以下が好ましく、135ml/100g以下がより好ましい。200ml/100gを超えると、カーボンブラックの分散性が悪化し、加工性が悪化するとともに、充分な破壊強度、低燃費性が得られないおそれがある。
なお、カーボンブラックのDBPは、JIS K 6217−4:2001に準拠して測定される。
カーボンブラックの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは5質量部以上、より好ましくは10質量部以上、更に好ましくは20質量部以上である。5質量部未満では、充分な破壊強度、操縦安定性が得られないおそれがある。また、該含有量は、好ましくは150質量部以下、より好ましくは100質量部以下、更に好ましくは50質量部以下である。150質量部を超えると、カーボンブラックの分散性が悪化し、加工性が悪化するとともに、充分な破壊強度、低燃費性が得られないおそれがある。
上記ゴム組成物は、共役ジエン化合物及び/又は芳香族ビニル化合物の重合体を、エステル基及び/又はカルボキシル基を有する化合物により変性して得られ、重量平均分子量が1.0×10〜1.0×10である重合体混合物を配合することが好ましい。
上記重合体混合物は、共役ジエン化合物及び/又は芳香族ビニル化合物の重合体の一部又は全部に上記化合物を反応させて得られるものであって、該化合物との反応生成物である変性重合体と、任意に該化合物と未反応の非変性重合体とを含む重合体の混合物で、かつ該混合物は特定の重量平均分子量を有している。このような成分を、シリカ、カーボンブラック、特定の短繊維と共に配合し、かつ、特定の短繊維の配向を特定の状態に制御することにより、良好な低燃費性、破壊強度を維持しつつ、ゴム硬度を向上でき、操縦安定性がより改善された空気入りタイヤを提供できる。
共役ジエン化合物及び/又は芳香族ビニル化合物の重合体としては、良好な低燃費性、破壊強度、操縦安定性が得られるという理由から、共役ジエン化合物及び芳香族ビニル化合物の共重合体、共役ジエン化合物の単独重合体が好ましく、共役ジエン化合物及び芳香族ビニル化合物の共重合体がより好ましい。
共役ジエン化合物としては、例えば1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエン、2,3−ジメチルブタジエン、2−フェニル−1,3−ブタジエン、1,3−ヘキサジエンなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよいが、これらの中で、モノマーの入手容易性などの実用面の観点から1,3−ブタジエン、イソプレンが好ましく、1,3−ブタジエンがより好ましい。
芳香族ビニル化合物としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン、1−ビニルナフタレン、3−ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、ジビニルベンゼン、4−シクロヘキシルスチレン、2,4,6−トリメチルスチレンなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせても用いてもよいが、これらの中で、モノマーの入手容易性などの実用面の観点からスチレンが特に好ましい。
なお、1,3−ブタジエンを用いることでブタジエン単独重合体が得られ、スチレンを用いることでスチレン単独重合体が得られ、1,3−ブタジエン及びスチレンを用いることでスチレンブタジエン共重合体が得られる。
共役ジエン化合物及び/又は芳香族ビニル化合物の重合体としては、スチレン単独重合体、ブタジエン単独重合体、スチレンブタジエン共重合体が好ましく、ブタジエン単独重合体、スチレンブタジエン共重合体がより好ましく、スチレンブタジエン共重合体が更に好ましい。
重合体混合物は、例えば、共役ジエン化合物及び/又は芳香族ビニル化合物を重合して得られた重合体に必要に応じて水素添加処理を施し、次いで作製された重合体に対してエステル基及び/又はカルボキシル基を有する化合物を反応させることで合成でき、具体的には以下の方法で合成できる。
共役ジエン化合物及び/又は芳香族ビニル化合物を重合する方法としては、特に制限はなく、従来公知の方法を使用できる。具体的には、反応に不活性な有機溶剤、例えば脂肪族、脂環族、芳香族炭化水素化合物などの炭化水素系溶剤中において、共役ジエン化合物及び/又は芳香族ビニル化合物を、有機リチウム化合物を重合開始剤として、必要に応じてランダマイザーの存在下でアニオン重合する方法などが挙げられる。
炭化水素系溶剤は、特に限定されないが、炭素数3〜8のものが好ましく、例えばプロパン、n−ブタン、イソブタン、n−ペンタン、イソペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、プロペン、1−ブテン、イソブテン、トランス−2−ブテン、シス−2−ブテン、1−ペンテン、2−ペンテン、1−ヘキセン、2−ヘキセン、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼンなどを挙げることができる。
有機リチウム化合物としては、炭素数2〜20のアルキル基を有するものが好ましく、例えばエチルリチウム、n−プロピルリチウム、イソプロピルリチウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、tert−オクチルリチウム、n−デシルリチウム、フェニルリチウム、2−ナフチルリチウム、2−ブチル−フェニルリチウム、4−フェニル−ブチルリチウム、シクロヘキシルリチウム、シクロペンチルリチウム、ジイソプロペニルベンゼンとブチルリチウムとの反応生成物などが挙げられるが、これらの中で、入手容易性、安全性などの観点からn−ブチルリチウム又はsec−ブチルリチウムが好ましい。
また、ランダマイザーとは、共重合体中の共役ジエン部分のミクロ構造制御(例えば、ブタジエンにおける1,2−結合の増加など)や、共重合体におけるモノマー単位の組成分布の制御(例えば、ブタジエン−スチレン共重合体におけるブタジエン単位、スチレン単位のランダム化など)などの作用を有する化合物のことである。このランダマイザーとしては、特に制限はなく、従来ランダマイザーとして一般に使用されている公知の化合物の中から任意のものを用いることができる。例えば、ジメトキシベンゼン、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ビステトラヒドロフリルプロパン、トリエチルアミン、ピリジン、N−メチルモルホリン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、1,2−ジピペリジノエタンなどのエーテル類及び第三級アミン類などを挙げることができる。また、カリウム−t−アミレート、カリウム−t−ブトキシドなどのカリウム塩類、ナトリウム−t−アミレートなどのナトリウム塩類も用いることができる。
ランダマイザーの使用量は、重合開始剤1モル当たり、0.01モル当量以上が好ましく、0.05モル当量以上がより好ましい。ランダマイザーの使用量が0.01モル当量未満では、添加効果が小さく、ランダム化しにくい傾向がある。また、ランダマイザーの使用量は、重合開始剤1モル当たり1000モル当量以下が好ましく、500モル当量以下がより好ましい。ランダマイザーの使用量が1000モル当量を超えると、モノマーの反応速度が大きく変化してしまい、逆にランダム化しにくくなる傾向がある。
重合の方法については特に制限はなく、溶液重合法、気相重合法、バルク重合法のいずれも用いることができるが、特に重合体の設計の自由度、加工性などの観点から溶液重合法が好ましい。また、重合形式は、回分式及び連続式のいずれであってもよい。
溶液重合法を用いた場合には、溶液中のモノマー濃度(共役ジエン化合物、芳香族ビニル化合物などの合計)は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上である。溶液中のモノマー濃度が5質量%未満では、得られる共重合体の量が少なく、高コストになる傾向がある。また、溶液中のモノマー濃度は、好ましくは50質量%以下、より好ましくは30質量%以下である。溶液中のモノマー濃度が50質量%を超えると、溶液粘度が高くなりすぎて撹拌が困難となり、重合しにくくなる傾向がある。
本発明における重合体混合物を構成する重合体は、水素添加されたものでもよい。その場合、上記重合反応の後、得られた重合体に更に水素添加処理を施して水素添加重合体を調製し、次いで上記化合物で変性することにより、目的の水素添加重合体混合物を合成できる。
水素添加処理は、公知の水添方法により実施でき、例えば、公知の水素化触媒(均一系水素化触媒、不均一系水素化触媒など)を使用し、1〜100気圧の加圧水素下で処理することなどで、重合体を水素化できる。
上記で得られた重合体を、エステル基及び/又はカルボキシル基を有する化合物により変性することにより、重合体混合物が得られる。ここで、エステル基は、−O−C(=O)−R又は−C(=O)−O−R(R:1価の飽和又は不飽和炭化水素基)で表される基、カルボキシル基は−C(=O)−O−Hで表される基である。
エステル基及び/又はカルボキシル基を有する化合物(変性剤)としては、これらの官能基を有するものであれば特に限定されず、例えば、無水コハク酸、ブチルコハク酸無水物、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物、デシルコハク酸無水物、ドデシルコハク酸無水物、ヘキサデシルコハク酸無水物、4−メチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物、オクタデシルコハク酸無水物、n−オクチルコハク酸無水物、n−テトラデシルコハク酸無水物、グルタル酸無水物、1,1−シクロペンタン二酢酸無水物、3,3−ジメチルグルタル酸無水物、2,2−ジメチルグルタル酸無水物、3−メチルグルタル酸無水物、4−tert−ブチルフタル酸無水物、4−メチルフタル酸無水物、3−メチルフタル酸無水物、無水マレイン酸などのカルボン酸無水物;ブロモ酢酸メチル、ブロモ酢酸エチル、ブロモ酢酸i−プロピル、ブロモ酢酸t−ブチル、ブロモ酢酸ベンジル、2−メチルブロモ酢酸ブチル、2−メチルブロモ酢酸t−ブチル、2,2−ジメチルブロモ酢酸エチル、2,2−ジメチルブロモ酢酸t−ブチル、2−ジエチルブロモ酢酸エチル、2−フェニルブロモ酢酸メチル、3−ブロモプロパン酸メチル、3−ブロモプロパン酸エチル、2−メチル−3−ブロモプロパン酸メチル、4−ブロモブタン酸メチル、4−ブロモブタン酸エチル、2−メチル−4−タロローブタン酸メチル、6−ブロモヘキサン酸エチル、5−ブロモペンタン酸エチル、シアノギ酸メチル、クロロギ酸メチル、クロロギ酸エチル、クロロギ酸i−プロピル、クロロギ酸i−ブチル、クロロギ酸t−ブチル、クロロギ酸ペンチル、クロロギ酸ヘキシル、クロロギ酸ヘブチル、クロロギ酸オクチル、クロロギ酸デシル、クロロギ酸ドデシル、クロロギ酸ヘキサデシル、クロロギ酸フェニル、クロロギ酸ベンジル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸などが挙げられる。なかでも、低燃費性、破壊強度、操縦安定性が良好に得られるという理由から、アクリル酸t−ブチル、シアノギ酸メチル、アクリル酸メチル、4−メチルシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物、無水マレイン酸などのカルボン酸無水物が好ましく、カルボン酸無水物がより好ましく、無水マレイン酸が更に好ましい。
変性剤による変性方法としては特に限定されず、例えば、重合体と変性剤とを接触させる方法などが挙げられる。具体的には、前述のアニオン重合により作製された活性末端を有する重合体溶液に上記化合物を添加(クエンチせずに上記化合物を添加)し、所定温度で一定時間撹拌する方法(1)、クエンチ後に上記化合物を添加し、所定温度で一定時間撹拌する方法(2)などにより、重合体と上記化合物とを反応させることで、変性重合体を含む重合体混合物を調製できる。また、前述のアニオン重合により作製された活性末端を有する重合体溶液を一度反応停止(クエンチ)させて未変性の重合体を得た後に、炭化水素系溶剤中において、再びラジカル開始剤などの試薬で処理し、更に所定の変性剤を添加し、所定温度で一定時間撹拌する方法(3)などにより、重合体と上記化合物とを反応させることで、変性重合体を含む重合体混合物を調製できる。
方法(1)の変性反応において、上記化合物の添加量は、良好に変性できるという点から、重合体100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは1質量部以上であり、また、好ましくは200質量部以下、より好ましくは50質量部以下、更に好ましくは10質量部以下である。
方法(1)の変性反応の温度、時間は、適宜設定できるが、通常、0〜50℃(好ましくは20〜40℃)、5分〜6時間である。撹拌方法は特に限定されず、公知の方法で実施できる。
なお、通常、変性後に重合反応を停止する目的で水、アルコール、酸などを混合する。さらに必要に応じて公知の老化防止剤を混合してもよい。方法(1)によれば、末端が変性された変性重合体を含む重合体混合物を調製できる。
方法(2)のクエンチ後に上記化合物を添加する方法としては、例えば、前述のアニオン重合により作製され、クエンチして得られた重合体をランダマイザー、必要に応じて有機溶剤などに溶解して得られた溶液に、有機リチウム化合物及び上記化合物を添加する方法などが挙げられる。なお、該重合体としては、市販の重合体も使用できる。方法(2)によれば、主鎖が変性された変性重合体を含む重合体混合物を調製できる。
方法(2)の有機溶剤、ランダマイザー、有機リチウム化合物としては、前述と同様のものが好ましい。
方法(2)において、ランダマイザーの添加量は、有機リチウム化合物1モル当たり0.01モル当量以上が好ましく、0.05モル当量以上がより好ましく、また、1000モル当量以下が好ましく、500モル当量以下がより好ましい。
方法(2)において、有機リチウム化合物の添加量は、重合体1gに対して、0.00001モル以上が好ましく、0.0001モル以上がより好ましく、また、0.1モル以下が好ましく、0.01モル以下がより好ましい。
また、方法(2)の上記化合物の添加量、変性反応の温度、時間は、適宜設定できるが、方法(1)と同様であることが好ましい。
方法(3)において、活性末端の反応を停止させる方法としては特に限定されず、水、アルコール、酸などを添加する方法などが挙げられる。炭化水素系溶剤としては、重合で用いる炭化水素系溶剤と同様のものを使用できる。ラジカル開始剤としては、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN)などのアゾ化合物、前述の有機リチウム化合物などを使用できる。方法(3)によれば、主鎖が変性された変性重合体を含む重合体混合物を調製できる。
方法(3)において、ラジカル開始剤の使用量は、良好に変性できるという点から、重合体100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上、より好ましくは1質量部以上であり、また、好ましくは200質量部以下、より好ましくは30質量部以下である。
方法(3)において、変性剤の使用量は、良好に変性できるという点から、重合体100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上、より好ましくは0.5質量部以上、更に好ましくは1質量部以上であり、また、好ましくは200質量部以下、より好ましくは50質量部以下、更に好ましくは10質量部以下である。
方法(3)において、上記変性反応の温度、時間は、適宜設定できるが、通常、0〜80℃(好ましくは40〜70℃)、5分〜6時間である。撹拌方法は特に限定されず、公知の方法で実施できる。なお、通常、変性(撹拌)後に重合反応を停止する目的で、水、アルコール、酸などを添加する。さらに必要に応じて公知の老化防止剤を混合してもよい。
上記により得られた重合体混合物としては、エステル基及び/又はカルボキシル基を有する化合物に由来する下記式(1)で表される変性基を有する変性重合体、又は該変性重合体の二量体や三量体などの多量体を含むものが挙げられる。
Figure 0005687658
(式中、Aは2価の飽和又は不飽和炭化水素基を表す。RはOR又は下記式(2)を表す。Rは水素原子又は1価の飽和又は不飽和炭化水素基を表す。)
Figure 0005687658
(式中、Bは2価の飽和又は不飽和炭化水素基を表す。Rは水素原子又は1価の飽和又は不飽和炭化水素基を表す。)
Aは2価の飽和又は不飽和炭化水素基であれば特に限定されず、直鎖状、分岐状、環状のアルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基などが挙げられる。なかでも、優れた低燃費性、破壊強度、ゴム硬度(操縦安定性)が得られるという理由から、下記式(3)で表される基が好ましい。
Figure 0005687658
(式中、mは0〜6の整数を表す。R、Rは同一又は異なって、水素原子、炭素数1〜2の炭化水素基又はアリール基を表す。)
式中、mは0〜6の整数を表し、好ましくは0〜2である。
及びRの炭素数1〜2の炭化水素基としては、メチル基、エチル基などが挙げられ、R及びRのアリール基としては、フェニル基、ベンジル基などが挙げられる。R及びRとしては、水素原子が好ましい。
なお、上記式(1)で表される変性基は、Aで示される2価の飽和又は不飽和炭化水素基が存在するもの、存在しないもののいずれでもよい。
の1価の飽和又は不飽和炭化水素基は特に限定されず、直鎖状、分岐状、環状のアルキル基、アルケニル基、アリール基などが挙げられる。なかでも、炭素数1〜16の炭化水素基が好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基などのアルキル基;フェニル基、ベンジル基などのアリール基;などが挙げられる。Rとしては、炭素数1〜16のアルキル基が好ましく、炭素数1〜5のアルキル基がより好ましい。
Bは2価の飽和又は不飽和炭化水素基であれば特に限定されず、例えば、Aの炭化水素基と同様のものが挙げられる。なかでも、下記式(4)〜(7)のいずれかで表される基が好ましく、(5)、(7)がより好ましく、(5)が更に好ましい。
Figure 0005687658
(式中、nは2〜3の整数を表す。R、Rは同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜18の炭化水素基を表す。Rは水素原子又はメチル基を表す。Rは水素原子又は炭素数1〜4の炭化水素基を表す。)
及びRの炭素数1〜18の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基などのアルキル基;フェニル基、ベンジル基などのアリール基;などが挙げられる。
としては、メチル基が好ましい。
の炭素数1〜4の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基などが挙げられる。
の1価の飽和又は不飽和炭化水素基は特に限定されず、Rの炭化水素基と同様のものが挙げられ、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基などの炭素数1〜6の炭化水素基が列挙される。Rとしては、水素原子が好ましい。
上記で得られた重合体混合物は、該混合物を構成する重合体1分子あたり、上記変性基を平均0.1個以上有することが好ましい。
なお、本明細書において、重合体1分子あたりの上記変性基の平均個数(変性基含有量)は、後述の実施例に記載の方法により測定される。
重合体混合物の重量平均分子量(Mw)は1.0×10以上、好ましくは2.0×10以上、より好ましくは4.0×10以上である。Mwが1.0×10未満では、ヒステリシスロスが大きく充分な低燃費性が得られにくいだけでなく、破壊強度、操縦安定性も低下する傾向がある。該Mwは1.0×10以下、好ましくは5.0×10以下、より好ましくは1.0×10以下、更に好ましくは6.0×10以下である。Mwが1.0×10を超えると、加工性の悪化が懸念される。
なお、本明細書において、重量平均分子量(Mw)は、後述の実施例に記載の方法により測定される。
重合体混合物の25℃における粘度(cps.)は、好ましくは1.0×10以上、より好ましくは1.2×10以上である。1.0×10未満であると、ゴム組成物の粘性を十分確保することができず、ウェットグリップ性能が低下してしまう傾向にある。該粘度は、好ましくは8.0×10以下、より好ましくは2.0×10以下、更に好ましくは8.0×10以下、特に好ましくは3.0×10以下である。8.0×10を超えると、ゴム組成物のムーニー粘度が高くなり、加工性(混練り加工性、押出し加工性)を著しく悪化させてしまう傾向がある。
なお、本明細書において、25℃における粘度は、後述の実施例に記載の方法により測定される。
重合体混合物(好ましくは重合体混合物に含まれるスチレンブタジエン共重合体)のスチレン含有量は、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上である。スチレン含有量が5質量%未満であると、充分な低燃費性、加工性、破壊強度、ウェットグリップ性能が得られないおそれがある。該スチレン含有量は、好ましくは45質量%以下、より好ましくは35質量%以下である。スチレン含有量が45質量%を超えると、低燃費性、加工性、破壊強度、ウェットグリップ性能が悪化する傾向がある。
なお、本明細書において、スチレン含有量は、後述の実施例に記載の方法により測定される。
重合体混合物のビニル量は、共役ジエン単位の量を100モル%として、低燃費性の観点から、好ましくは80モル%以下であり、より好ましくは75モル%以下である。また、ウェットグリップ性能の観点から、好ましくは20モル%以上であり、より好ましくは25モル%以上である。
該ビニル量は、赤外分光分析法により、ビニル基の吸収ピークである910cm−1付近の吸収強度より求められる。
上記ゴム組成物において、重合体混合物の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは0.5質量部以上、より好ましくは1質量部以上、更に好ましくは3質量部以上である。0.5質量部未満であると、加工性、破壊強度、操縦安定性、低燃費性、ウェットグリップ性能を充分に改善できないおそれがある。該含有量は、好ましくは50質量部以下、より好ましくは20質量部以下、更に好ましくは15質量部以下、特に好ましくは8質量部以下である。50質量部を超えると、破壊強度が低下する傾向がある。
なお、上記ゴム組成物において、上記重合体混合物はゴム成分に含まれない。
上記ゴム組成物には、前記成分以外にも、ゴム組成物の製造に一般に使用される配合剤、例えば、クレー等の補強用充填剤、オイル、各種老化防止剤、ステアリン酸、酸化亜鉛、ワックス、加硫剤、加硫促進剤などを適宜配合できる。
上記ゴム組成物において、オイルの含有量は、ゴム成分100質量部に対して、好ましくは1質量部以上、より好ましくは3質量部以上である。1質量部未満であると、混練時のゴムのまとまりが悪く、加工性が悪化する傾向がある。また、該オイルの含有量は、好ましくは20質量部以下、より好ましくは15質量部以下である。20質量部を超えると、ゴム硬度が低くなり、操縦安定性が低下する傾向がある。また、破壊強度も低下する傾向がある。
上記ゴム組成物は、一般的な方法で製造できる。すなわち、バンバリーミキサーやニーダー、オープンロールなどの一般的なゴム工業で使用される公知の混練機で前記各成分を混練りし、その後加硫する方法などにより製造できる。
本発明の空気入りタイヤは、上記ゴム組成物を用いて通常の方法で製造できる。すなわち、前記成分を配合したゴム組成物を、未加硫の段階で押出し加工してゴムシートを作製する。更に、必要に応じて、配向割合を向上させるために、得られたゴムシートを更にロールで延伸する。そして、短繊維は、押出方向や延伸方向に配向する特性があるため、この性質を利用し、得られたゴムシートを所定の角度でカットすることにより、短繊維の配向を特定の状態に制御したゴム層が得られる。次に、得られたゴム層を必要に応じて、積層ゴム層や並列ゴム層とし、更に、トレッドの形状にあわせて加工し、他のタイヤ部材とともに、タイヤ成型機上にて通常の方法で成形することにより、未加硫タイヤを形成する。この未加硫タイヤを加硫機中で加熱加圧することによりタイヤが得られる。
本発明の空気入りタイヤは、乗用車用タイヤ、トラック・バス用タイヤ、二輪車用タイヤ、競技用タイヤ等として好適に用いられ、特に乗用車用タイヤとしてより好適に用いられる。
実施例に基づいて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
以下、製造例において、合成、重合時に用いた各種薬品について、まとめて説明する。なお、薬品は必要に応じて定法に従い精製を行った。
n−ヘキサン:関東化学(株)製
1,3−ブタジエン:高千穂化学工業(株)製
スチレン:関東化学(株)製
テトラメチルエチレンジアミン:関東化学(株)製
1.6M n−ブチルリチウムヘキサン溶液:関東化学(株)製
2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール:大内新興化学工業(株)製
変性剤(1):東京化成工業(株)製の無水マレイン酸
変性剤(2):東京化成工業(株)製のアクリル酸メチル
AIBN:2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)
製造例1(スチレンブタジエン共重合体(1)〜(5)の合成)
十分に窒素置換した撹拌翼つきの3Lオートクレーブに、表1の仕込み量にしたがい、n−ヘキサン、1,3−ブタジエン、スチレン、テトラメチルエチレンジアミンを投入し、オートクレーブ内の温度を25℃に調整した。次に、1.6M n−ブチルリチウムヘキサン溶液を加えて昇温条件下(30℃)で60分間重合し、モノマーの転化率が99%であることを確認し、老化防止剤として2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾールを1.5g加え、スチレンブタジエン共重合体(1)〜(5)を得た。
製造例2(変性スチレンブタジエン共重合体(1)〜(5)の合成)
表2の仕込み量にしたがい、フラスコにスチレンブタジエン共重合体(1)〜(5)、n−ヘキサン、AIBNを加え、フラスコ内の温度を60℃に調整した。次に、変性剤を加え1時間撹拌した後、得られた反応溶液をメタノールで処理し老化防止剤として2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾールを1.5g加え、変性スチレンブタジエン共重合体(1)〜(5)を得た。
得られたスチレンブタジエン共重合体(1)〜(5)、変性スチレンブタジエン共重合体(1)〜(5)(重合体混合物)について、下記の評価を行った。結果を表1、2に示す。
(25℃における粘度)
25℃にてHelipath T−Cバー型スピンドルを用いたBROOKFIELD DV II−viscometer(BROOKFIELD ENGINEERING LABORATORIES,INS.)により10rpmにて測定した。
(スチレン含有量の測定)
25℃にてJEOL JNM−A 400NMR装置を用いてH−NMRを測定し、そのスペクトルより求めた6.5〜7.2ppmのスチレン単位に基づくフェニルプロトンと4.9〜5.4ppmのブタジエン単位に基づくビニルプロトンの比から、共重合体のスチレン含有量、又は重合体混合物のスチレン含有量を決定した。
(重量平均分子量(Mw)の測定)
共重合体、又は重合体混合物の重量平均分子量Mwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフ(GPC)(東ソー(株)製GPC−8000シリーズ、検出器:示差屈折計、カラム:東ソー(株)製のTSKGEL SUPERMULTIPORE HZ−M)による測定値を基に標準ポリスチレン換算により求めた。
(1分子あたりの変性基含有量の測定:滴呈試験)
KOHを0.1g秤量し、100mlのMeOH溶液を調製した。次いで、試料を0.5g量り取りトルエン30mlに溶解させ、調整した。変性ポリテール溶液にフェノールフタレインを一滴加えた。この溶液にKOH溶液を滴下して、滴定試験を行った。計算によって導かれる酸濃度を変性率とした。
Figure 0005687658
Figure 0005687658
<実施例及び比較例>
以下に、実施例及び比較例で用いた各種薬品について説明する。
BR:宇部興産(株)製のBR150B (シス含量:97質量%)
SBR:JSR(株)製のSBR755B(スチレン含有量:40質量%、ビニル含有量:40質量%、ゴム成分100質量部に対して、37.5質量部のオイルを含有)
カーボンブラック:キャボットジャパン(株)製のN220(DBP:115ml/100g、NSA:110m/g)
シリカ:ローディア社製のZEOSIL 1165MP(NSA:160m/g)
石炭ピッチ系炭素繊維:三菱樹脂(株)製のK6371T(チョップドファイバー、平均繊維径:11μm、平均繊維長6.3mm
棒状シリカ:TOLSA社製のPANGEL AD(長さ:200〜2000nm、幅:5〜30nm、長さ/幅:8〜400、セピオライト鉱物の湿式粉砕品)
シランカップリング剤:デグサ社製のシランカップリング剤Si75
オイル:(株)ジャパンエナジー製のX−140
酸化亜鉛:三井金属鉱業(株)製の亜鉛華1号
ステアリン酸:日油(株)製のステアリン酸「椿」
老化防止剤:住友化学(株)製のアンチゲン6C(N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン)
硫黄:鶴見化学工業(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤(1):大内新興化学工業(株)製のノクセラーNS(N−tert−ブチル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド)
加硫促進剤(2):大内新興化学工業(株)製のノクセラーD(N,N’−ジフェニルグアニジン)
変性スチレンブタジエン共重合体(1)〜(5):製造例2
表3に示す配合処方にしたがい、1.7Lバンバリーミキサーを用いて、硫黄及び加硫促進剤以外の材料を150℃の条件下で3分間混練りし、混練り物を得た。次に、得られた混練り物に硫黄及び加硫促進剤を添加し、オープンロールを用いて80℃の条件下で5分間練り込み、未加硫ゴム組成物を得た。オープンロールを用いて得られた未加硫ゴム組成物からゴム厚み1.5mmのゴムシートを作製し、ロール方向に対して所定の角度でゴムシートをカットし、短繊維の配向状態が異なるゴムシート(未加硫ゴムゴム層)を得た。
次に、得られたゴムシート(未加硫ゴムゴム層)をトレッドの形状に成形し、他のタイヤ部材とともに貼り合わせて未加硫タイヤを形成し、170℃の条件下で10分間プレス加硫し、試験用タイヤ(サイズ195/65R15)を製造した。なお、配向割合を制御するために、押し出し回数、ロール回数を適宜変更した。
なお、表3において積層構造に○が付されている例においては、オープンロールを用いて得られた未加硫ゴム組成物からゴム厚み0.75mmのゴムシートを作製し、平均配向角度の正負のみが異なる(タイヤ周方向に対する短繊維の配向方向のみが異なり、平均配向角度の絶対値、タイヤ周方向に対する長手方向の配向角度が15〜75°(−15〜−75°)である短繊維の割合、E /E は同一である)2つのゴムシートを積層した積層ゴム層をトレッドの形状に成形し、その他は上述の条件と同様にして試験用タイヤを製造した。例えば、実施例1では、実施例1に示す構造のゴムシートを得て、該ゴムシートと、該ゴムシートを裏返したゴムシート(該ゴムシートと平均配向角度の正負のみが異なるゴムシート)とを積層した積層ゴム層をトレッドの形状に成形した。
また、並列構造に○が付されている例においては、オープンロールを用いて得られた未加硫ゴム組成物からゴム厚み1.5mmのゴムシートを作製し、平均配向角度の正負のみが異なる(タイヤ周方向に対する短繊維の配向方向のみが異なり、平均配向角度の絶対値、タイヤ周方向に対する長手方向の配向角度が15〜75°(−15〜−75°)である短繊維の割合、E /E は同一である)2つのゴムシートをタイヤ軸方向で隣り合うように配した並列ゴム層をトレッドの形状に(トレッドのタイヤ軸方向の長さに占める各ゴムシートのタイヤ軸方向の長さの割合が50%となるように)成形し、その他は上述の条件と同様にして試験用タイヤを製造した。例えば、実施例11では、実施例11に示す構造のゴムシートを得て、該ゴムシートと、該ゴムシートを裏返したゴムシート(該ゴムシートと平均配向角度の正負のみが異なるゴムシート)とをタイヤ軸方向で隣り合うように配した並列ゴム層をトレッドの形状に(トレッドのタイヤ軸方向の長さに占める各ゴムシートのタイヤ軸方向の長さの割合が50%となるように)成形した。
なお、積層構造に○が付されていない例では、ゴム層の厚みを1.5mmとした。積層構造に○が付されている例では、積層するゴム層(ゴム層1層当たり)の厚みを0.75mm(積層ゴム層の厚みは1.5mm)とした。
得られた試験用タイヤ、試験用タイヤのトレッドから切り出した加硫ゴムを下記により評価し、結果を表3に示した。なお、積層構造に○が付されている例では、試験用タイヤのトレッドから積層ゴム層の上層のみを切り出し、加硫ゴムとした。また、並列構造に○が付されている例では、試験用タイヤのトレッドから並列ゴム層の一方の層のみを切り出し、加硫ゴムとした。
(E /E
得られた加硫ゴムから短冊状試料を作製し、岩本製作所製の粘弾性スペクトロメータを用いて、温度70℃、周波数10Hz、初期歪10%、動歪±2%の条件で、加硫ゴムのタイヤ周方向の複素弾性率E とタイヤラジアル方向の複素弾性率E を測定し、E /E を算出した。
(平均配向角度)
得られた加硫ゴムについて、透過型電子顕微鏡を使用して、100個の短繊維について、タイヤ周方向に対する短繊維の長手方向の配向角度を測定し、平均値を算出し、平均配向角度とした。
(配向割合)
得られた加硫ゴムについて、透過型電子顕微鏡を使用して、100個の短繊維について、タイヤ周方向に対する短繊維の長手方向の配向角度を測定し、タイヤ周方向に対する長手方向の配向角度が15〜75°である短繊維の割合を、ゴム層に含まれる短繊維のうち、タイヤ周方向に対する長手方向の配向角度が15〜75°である短繊維の割合(配向割合)とした。
(低燃費性)
転がり抵抗試験機を用い、上記試験用タイヤを、リム(15×6JJ)、内圧(230kPa)、荷重(3.43kN)、速度(80km/h)の条件で走行させたときの転がり抵抗を測定した。そして、比較例1の転がり抵抗を100とし、下記計算式により指数表示した。数値が大きいほど低燃費性に優れることを示す。
(転がり抵抗指数)=(比較例1の転がり抵抗)/(各配合の転がり抵抗)×100
(ゴム硬度)
JIS K 6253−1:「加硫ゴム及び熱可塑性ゴム−硬さの求め方」に準じて、タイプAデュロメータを用いて、加硫ゴムのゴム硬度を測定した。測定結果を、比較例1を100とした指数で示した。数値が大きいほどゴム硬度が高いことを示す。
(破壊強度)
JIS K 6251に準じて、試験用タイヤのトレッドから引張り方向がタイヤ周方向に対して平行となるように3号ダンベルを用いてサンプルを打ち抜き、引張り試験を実施して破断伸び(EB)%を測定した。測定結果を、比較例1を100とした指数で示した。指数が大きいほど、破壊強度が大きく、タイヤの耐久性に優れることを示す。
(操縦安定性)
試作タイヤを国産FF2000ccの全輪に装着し、住友ゴム工業株式会社の北海道名寄テストコースで、実車走行し、ドライバーの官能評価により、操縦安定性を評価した。評価は10点満点とし、比較例1を6点として相対評価をした。評点が大きいほど操縦安定性に優れている。
Figure 0005687658
表3から、カーボンブラックと、シリカと、平均幅3nm〜50μm、平均長さ50nm〜500μmの短繊維とを含有するゴム組成物を用いて作製したゴム層を有するトレッドを有し、上記ゴム層において、タイヤ周方向に対する上記短繊維の長手方向の平均配向角度が15〜75°であり、上記ゴム層に含まれる短繊維のうち、タイヤ周方向に対する長手方向の配向角度が15〜75°である短繊維の割合が35〜100%である実施例は、良好な低燃費性、破壊強度が維持又は改善されつつ、操縦安定性が改善された。
1 接地面に対して平行な面
2 短繊維
3(3a、3b) ゴム層
4 積層ゴム層
5 並列ゴム層

Claims (13)

  1. カーボンブラックと、シリカと、平均幅3nm〜50μm、平均長さ50nm〜500μmの短繊維とを含有するゴム組成物を用いて作製したゴム層A及びBを有するトレッドを有し、
    前記トレッドが、前記ゴム層Aと、前記ゴム層Bとを積層して得られたものであり、
    前記ゴム層Aにおいて、タイヤ周方向に対する前記短繊維の長手方向の平均配向角度が15〜75°であり、
    前記ゴム層Bにおいて、タイヤ周方向に対する前記短繊維の長手方向の平均配向角度が−15〜−75°であり、
    前記ゴム層Aに含まれる短繊維のうち、タイヤ周方向に対する長手方向の配向角度が15〜75°である短繊維の割合が35〜100%であり、
    前記ゴム層Bに含まれる短繊維のうち、タイヤ周方向に対する長手方向の配向角度が−15〜−75°である短繊維の割合が35〜100%であ
    空気入りタイヤ。
  2. カーボンブラックと、シリカと、平均幅3nm〜50μm、平均長さ50nm〜500μmの短繊維とを含有するゴム組成物を用いて作製したゴム層C及びDを有するトレッドを有し、
    前記ゴム層Cと、前記ゴム層Dは、タイヤ軸方向で隣り合うように配され、
    前記トレッドのタイヤ軸方向の長さに占める前記ゴム層Cのタイヤ軸方向の長さの割合が、20〜80%であり、
    前記ゴム層Cにおいて、タイヤ周方向に対する前記短繊維の長手方向の平均配向角度が15〜75°であり、
    前記ゴム層Dにおいて、タイヤ周方向に対する前記短繊維の長手方向の平均配向角度が−15〜−75°であり、
    前記ゴム層Cに含まれる短繊維のうち、タイヤ周方向に対する長手方向の配向角度が15〜75°である短繊維の割合が35〜100%であり、
    前記ゴム層Dに含まれる短繊維のうち、タイヤ周方向に対する長手方向の配向角度が−15〜−75°である短繊維の割合が35〜100%であ
    空気入りタイヤ。
  3. 前記短繊維が棒状シリカである請求項1又は2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記短繊維が、セピオライト鉱物を解繊して得られたものである請求項1〜3のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記短繊維の平均長さ/平均幅が5〜2000である請求項1〜のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記ゴム組成物は、ゴム成分100質量部に対して、前記カーボンブラックを5〜150質量部、前記シリカを10〜150質量部、前記短繊維を0.5〜50質量部含む請求項1〜のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  7. 前記ゴム層において、タイヤ周方向の複素弾性率E とタイヤラジアル方向の複素弾性率E との比(E /E )が5.0未満である請求項1〜のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  8. 前記ゴム組成物が、共役ジエン化合物及び/又は芳香族ビニル化合物の重合体を、エステル基及び/又はカルボキシル基を有する化合物により変性して得られる重合体混合物を含み、前記重合体混合物の重量平均分子量が1.0×10〜1.0×10である請求項1〜のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  9. 前記重合体混合物は、下記式(1)で表される変性基を有する変性重合体を含む請求項に記載の空気入りタイヤ。
    Figure 0005687658
    (式中、Aは2価の飽和又は不飽和炭化水素基を表す。RはOR又は下記式(2)を表す。Rは水素原子又は1価の飽和又は不飽和炭化水素基を表す。)
    Figure 0005687658
    (式中、Bは2価の飽和又は不飽和炭化水素基を表す。Rは水素原子又は1価の飽和又は不飽和炭化水素基を表す。)
  10. 前記Aが下記式(3);
    Figure 0005687658
    (式中、mは0〜6の整数を表す。R、Rは同一又は異なって、水素原子、炭素数1〜2の炭化水素基又はアリール基を表す。)
    で表され、
    前記Bが下記式(4)〜(7);
    Figure 0005687658
    (式中、nは2〜3の整数を表す。R、Rは同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜18の炭化水素基を表す。Rは水素原子又はメチル基を表す。Rは水素原子又は炭素数1〜4の炭化水素基を表す。)
    のいずれかで表される請求項に記載の空気入りタイヤ。
  11. 前記重合体混合物の25℃における粘度が1.0×10〜8.0×10である請求項10のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  12. 前記重合体混合物を構成する重合体がスチレン単独重合体、ブタジエン単独重合体又はスチレンブタジエン共重合体である請求項11のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
  13. 前記エステル基及び/又はカルボキシル基を有する化合物がカルボン酸無水物である請求項12のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
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