JP5676230B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、インナーライナーを備えた空気入りタイヤに関する。
近年、車の低燃費化に対する強い社会的要請から、タイヤの軽量化が図られている。タイヤ部材のなかでも、タイヤ半径方向の内側に配置され、空気入りタイヤ内部から外部への空気の漏れの量(空気透過量)を低減して耐空気透過性を向上させる働きを有するインナーライナーにおいても、軽量化などが行なわれるようになってきた。
現在、インナーライナー用ゴム組成物として、ブチルゴム70〜100質量%および天然ゴム30〜0質量%を含むブチル系ゴムを使用することで、タイヤの耐空気透過性を向上させることが行なわれている。また、ブチル系ゴムはブチレン以外に約1質量%のイソプレンを含み、これが硫黄、加硫促進剤、亜鉛華と相まって、隣接ゴムとの共架橋を可能にしている。上記ブチル系ゴムは、通常の配合では乗用車用タイヤでは0.6〜1.0mm、トラック・バス用タイヤでは1.0〜2.0mm程度の厚みが必要となる。
そこで、タイヤの軽量化を図るために、ブチル系ゴムより耐空気透過性に優れ、インナーライナーの厚みを薄くすることができる熱可塑性エラストマーを、インナーライナーに用いることが提案されている。しかし、熱可塑性エラストマーを用いたインナーライナーをブチル系ゴムよりも薄い厚みにすると、空気透過性と軽量化との両立を達成することができなくなるとともに、インナーライナーの強度が低下し、加硫工程時のプラダーの熱と圧力でインナーライナーが破れてしまうことがある。さらに、比較的強度が低い熱可塑性エラストマーは、タイヤ走行中の特に大きな繰り返しせん断変形を受けるバットレス部において、インナーライナーにクラックが発生しやすいという問題があった。
特許文献1には、インナーライナーとゴム層の接着性を改善するための積層体が開示されている。これはインナーライナーの両側に接着層を設けることで、インナーライナーの重ね合わせ部において接着層同士が接触するようになり、加熱によって強固に接着されるので、空気圧保持性を向上させている。しかし、このインナーライナーの重ね合わせのための接着層は、加硫工程においてブラダーと加熱状態で接触することになり、ブラダーに粘着、接着するという問題がある。
特許文献2は、空気透過性の良好なナイロン樹脂とブチルゴムを動的架橋により混合物を作成し、厚み100μmのインナーライナーを作製している。しかしナイロン樹脂は室温では硬くタイヤ用インナーライナーとしては不向きである。また、この動的架橋による混合物だけではゴム層との加硫接着はしないため、インナーライナーとは別に加硫用接着層を必要とするため、インナーライナー部材としては構造が複雑で工程が多くなり、生産性の観点から不利である。
特許文献3は、空気遮断性の良好なエチレン−ビニルアルコール共重合体中に無水マレイン酸変性水素添加スチレン−エチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体を分散させ、柔軟なガスバリア層を作製している。また、熱可塑性ポリウレタン層では挟み込みサンドイッチ構造、さらにタイヤゴムと接着する面にゴム糊(ブチルゴム/天然ゴムの70/30をトルエンに溶解させる)を塗布させてインナーライナーを作製している。しかし、柔軟樹脂分散の変性エチレン−ビニルアルコール共重合体は接着力が低く、熱可塑性ポリウレタン層と剥離するおそれがある。また柔軟樹脂分散の変性エチレン−ビニルアルコール共重合体は柔軟樹脂が分散されているが、マトリックスのEVOHは屈曲疲労性に乏しく、タイヤ走行中に破壊してしまう。さらにタイヤゴムと接着する面にゴム糊を塗布しているが、通常のインナーライナー工程とは別の工程が必要となり生産性が劣ることになる。
特許文献4は、カーカス層の内側に熱可塑性樹脂又は熱可塑性樹脂とエラストマーとを含む熱可塑性エラストマー組成物の空気透過防止層を有する空気入りタイヤにおいて、ベ
ルト層の最大幅端部近傍からタイヤ最大幅の領域Tsにおける空気透過防止層の平均厚さGsを、タイヤ最大幅とビードトゥの領域Tfにおける空気透過防止層の平均厚さGfよりも薄くし、屈曲耐久性を改善することが提案されている。しかしかかる構成では、カーカスプライのゴム層と空気透過防止層の間の剥離が生じることがある。
特開平9−19987号公報 特許第2999188号 特開2008−24219号公報 特開2008−174037号公報
本発明は、耐空気透過性、屈曲疲労性、および耐クラック性を改善するインナーライナーを備えた空気入りタイヤを提供することを目的とする。
本発明の空気入りタイヤは、タイヤ内側にインナーライナーを備えたものであって、該インナーライナーは、スチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体99〜60質量%と、ポリアミドを分子鎖に含むショアD硬度が70以下のポリアミド系ポリマー1〜40質量%とを含むポリマー混合物100質量部に対し、有機化処理粘度鉱物0.1〜50質量部を含むポリマー組成物からなる厚さ0.05〜0.6mmの第1層と、スチレン−イソプレン−スチレントリブロック共重合体およびスチレン−イソブチレンジブロック共重合体の少なくともいずれかを含み、厚さ0.01〜0.3mmの第2層とからなるポリマー積層体で構成され、該第2層がカーカスプライのゴム層と接するように配置され、インナーライナーは、タイヤ最大幅位置からビードトウに亘るビード領域Rbの平均厚さGbより、タイヤ最大幅位置からベルト層端の対応位置Luに亘るバットレス領域Rsの平均厚さGsが薄いことを特徴とする。
上記のインナーライナーのバットレス領域の平均厚さGsと、ビード領域の平均厚さGbの比(Gs/Gb)は、0.3〜0.75であることが好ましい。
インナーライナーのバットレス領域の平均厚さGsは、0.05〜0.45mmであることが好ましい。ポリマー混合物は、エチレン−ビニルアルコール共重合体15〜40質量%を含むことが好ましい。
スチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体は、スチレン10〜30質量%を含むことが好ましい。ポリアミド系ポリマーは、ポリアミド成分およびポリエーテル成分からなるブロック共重合体であることが好ましい。
本発明によれば、耐空気透過性および屈曲疲労性および耐クラック性を改善するインナーライナーを備えた空気入りタイヤを提供することができる。
本発明の一実施の形態における空気入りタイヤの右半分を示す模式的断面図である。 本発明の空気入りタイヤにおけるインナーライナーの概略断面図である。 本発明の空気入りタイヤにおけるインナーライナーの概略断面図である。 本発明の空気入りタイヤにおけるインナーライナーの概略断面図である。 本発明の空気入りタイヤにおけるインナーライナーの概略断面図である。
<空気入りタイヤ>
本発明は、タイヤ内側にインナーライナーを備えた空気入りタイヤであって、該インナーライナーは、少なくとも第1層と第2層とを含む2層以上のポリマー積層体で形成される。第1層は、スチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体(以下、「SIBS」ともいう)99〜60質量%と、ポリアミドを分子鎖に含むショアD硬度が70以下のポリアミド系ポリマー1〜40質量%とを含むポリマー混合物100質量部に対し、有機化処理粘度鉱物0.1〜50質量部を含むポリマー組成物からなり、厚さが0.05mm〜0.6mmの範囲である。第2層は、スチレン−イソプレン−スチレントリブロック共重合体(SIS)およびスチレン−イソブチレンジブロック共重合体(SIB)の少なくともいずれかを含み、厚さが0.01mm〜0.3mmである。そして、第2層はカーカスプライのゴム層と接するように配置されている。
本発明の空気入りタイヤの実施形態を図に基づき説明する。図1は、乗用車用空気入りタイヤの右半分の断面図である。空気入りタイヤ1は、トレッド部2と、該トレッド部両端からトロイド形状を形成するようにサイドウォール部3とビード部4とを有している。さらに、ビード部4にはビードコア5が埋設される。また、一方のビード部4から他方のビード部に亘って設けられ、両端をビードコア5のまわりに折り返して係止されるカーカスプライ6と、該カーカスプライ6のクラウン部外側には、少なくとも2枚のプライよりなるベルト層7とが配置されている。
上記のベルト層7は、通常、スチールコードまたはアラミド繊維等のコードよりなるプライの2枚をタイヤ周方向に対して、コードが通常5〜30°の角度になるようにプライ間で相互に交差するように配置される。なお、ベルト層の両端外側には、トッピングゴム層を設け、ベルト層両端の剥離を軽減することができる。また、カーカスプライは、ポリエステル、ナイロン、アラミド等の有機繊維コードがタイヤ周方向にほぼ90°に配列されており、カーカスプライとその折り返し部に囲まれる領域には、ビードコア5の上端からサイドウォール方向に延びるビードエーペックス8が配置される。また、カーカスプライ6のタイヤ半径方向内側には一方のビード部4から他方のビード部4に亘るインナーライナー9が配置される。
本発明において、タイヤ最大幅位置LeからビードトウLtに亘るビード領域Rbのインナーライナー9の平均厚さGbより、タイヤ最大幅位置Leからベルト層端の対応位置Luに亘るバットレス領域Rsのインナーライナー9の平均厚さGsが薄くなるように形成されている。
バットレス領域Rsにおけるインナーライナーの厚さを薄くすることで、タイヤ走行時における、この領域での繰り返し屈曲変形に伴うせん断変形が生じても、その応力を緩和することができ、クラックの発生を防止することができる。
屈曲変形による応力を効果的に緩和するには、インナーライナーのバットレス領域Rsの平均厚さGsと、ビード領域Rbの平均厚さGbの比(Gs/Gb)は、0.3〜0.75であり、より好ましくは、0.5〜0.7である。また空気圧保持性能を維持し、バットレス領域の応力を緩和する効果を兼備するには、インナーライナーのバットレス領域Rsの平均厚さGsは、0.05〜0.45mmであることが望ましい。
<ポリマー積層体>
本発明の一実施の形態において、ポリマー積層体は、SIBS99〜60質量部を含む第1層と、SISおよびSIBの少なくともいずれかを含む第2層とからなり、第1層の厚さが0.05mm〜0.6mmであり、第2層の厚さが0.01mm〜0.3mmである。
<第1層>
本発明の一実施の形態において、第1層は、SIBS99〜60質量%と、ポリアミドを分子鎖に含むショアD硬度が70以下のポリアミド系ポリマー1〜40質量%とを含むポリマー混合物100質量部に対し、有機化処理粘度鉱物0.1〜50質量部を含むポリマー組成物からなる。ここで、「有機化処理粘度鉱物」とは、有機化合物をインターカレートした層状粘度鉱物を意味する。SIBSのイソブチレンブロック由来により、SIBSからなるポリマー組成物は優れた耐空気透過性を有する。したがって、SIBSを含むポリマーフィルムをインナーライナーに用いた場合、耐空気透過性に優れた空気入りタイヤを得ることができる。
さらに、SIBSは芳香族以外の分子構造が完全飽和であることにより、劣化硬化が抑制され、優れた耐久性を有する。一方、ポリアミド系ポリマーのポリアミド部位由来の寄与により、該ポリマー組成物は不飽和ポリマーと接着可能となり、隣接ゴムとの接着性が向上する。
さらに、本発明の一実施の形態において、該ポリマー混合物からなる未加硫ポリマーシートをインナーライナーに使用する場合、SIBSを含有させることにより耐空気透過性を確保するため、たとえばハロゲン化ブチルゴム等の、従来耐空気透過性を付与するために使用されてきた高比重のハロゲン化ゴムを使用しないか、使用する場合にも使用量の低減が可能である。これによってタイヤの軽量化が可能であり、燃費の向上効果が得られる。さらに該ハロゲン化ゴムは、ゴム中のハロゲンにより空気入りタイヤのプライコードとゴムとの間の接着性を悪化させるという問題点を有しているが、本発明においては該ハロゲン化ゴムの使用量を低減できるため、プライコードと該ポリマー混合物との間の接着性の向上による空気入りタイヤの耐久性の向上効果も得られる。
上記の第1層の厚さは、0.05〜0.6mmである。第1層の厚さが0.05mm未満であると、ポリマー積層体をインナーライナーに適用した生タイヤの加硫時に、第1層がプレス圧力で破れてしまい、得られたタイヤにおいてエアーリーク現象が生じる恐れがある。一方、第1層の厚さが0.6mmを超えるとタイヤ重量が増加し、低燃費性能が低下する。第1層の厚さは、さらに0.05〜0.4mmであることが好ましい。第1層は、SIBSを押出成形、カレンダー成形といった熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマーをフィルム化する通常の方法によってフィルム化して得ることができる。
<スチレン‐イソブチレン‐スチレントリブロック共重合体(SIBS)>
本発明の一実施の形態におけるポリマー組成物において、ポリマー混合物中のSIBSの含有量は99〜60質量%とされる。SIBSの含有量が60質量%以上であることにより、優れた耐空気透過性と耐久性を得ることができる。また、耐空気透過性と耐久性がより良好になる点で、該含有量は95〜80質量%とされることが好ましい。
SIBSは一般的にスチレンを10〜40質量%含む。耐空気透過性と耐久性がより良好になる点で、該スチレンの含有量は10〜30質量%であることが好ましい。
SIBSは、イソブチレンとスチレンのモル比(イソブチレン/スチレン)が、該共重合体のゴム弾性の点から40/60〜95/5であることが好ましい。SIBSにおいて、各ブロックの重合度は、ゴム弾性と取り扱い(重合度が10,000未満では液状になる)の点からイソブチレンでは10,000〜150,000程度、またスチレンでは10,000〜30,000程度であることが好ましい。
上記のSIBSの分子量は、特に制限はないが、流動性、成形化工程、ゴム弾性などの観点から、GPC測定による重量平均分子量が50,000〜400,000であることが好ましい。重量平均分子量が50,000未満であると引張強度、引張伸びが低下するおそれがあり、400,000を超えると押出加工性が悪くなるおそれがあるため好ましくない。SIBSは耐空気透過性と耐久性をより良好にする観点から、SIBS中のスチレン成分の含有量は10〜30質量%、好ましくは14〜23質量%であることが好ましい。
SIBSは、一般的なビニル系化合物の重合法により得ることができ、例えば、リビングカチオン重合法により得ることができる。
例えば、特開昭62−48704号公報および特開昭64−62308号公報には、イソブチレンと他のビニル化合物とのリビングカチオン重合が可能であり、ビニル化合物にイソブチレンと他の化合物を用いることでポリイソブチレン系のブロック共重合体を製造できることが開示されている。この他にも、リビングカチオン重合法によるビニル化合物重合体の製造法が、例えば、米国特許第4,946,899号、米国特許第5,219,948号、特開平3−174403号公報などに記載されている。
SIBSは分子内に芳香族以外の二重結合を有していないために、ポリブタジエンなどの分子内に二重結合を有している重合体に比べて紫外線に対する安定性が高く、従って耐候性が良好である。さらに分子内に二重結合を有しておらず、飽和系のゴム状ポリマーであるにも関わらず、波長589nmの光の20℃での屈折率(nD)は、ポリマーハンドブック(1989年:ワイリー(Polymer Handbook, Willy,1989))によると、1.506である。これは他の飽和系のゴム状ポリマー、例えば、エチレン−ブテン共重合体に比べて有意に高い。
<ポリアミド系ポリマー>
本発明の一実施の形態におけるポリマー組成物において、ポリマー混合物中のポリアミド系ポリマーの含有量は1〜40質量%とされる。ポリアミド系ポリマーの含有量が40質量%以下であることにより、耐久性と接着性とが両立されたポリマー混合物を得られる。また、耐久性と接着性が確保でき、耐空気透過性に優れるSIBSとエチレン−ビニルアルコール共重合体をより多く配合できる点で、該含有量は3〜20質量%とされることが好ましい。
ポリアミド系ポリマーは、ショアD硬度が70以下のポリアミド系ポリマーであることが好ましい。ショアD硬度が70を超えるとタイヤ屈曲時および移動時の亀裂性に劣るため好ましくない。ショアD硬度は、好ましくは15〜70の範囲、さらに好ましくは18〜70の範囲、より好ましくは20〜70の範囲、特に好ましくは25〜70の範囲が好ましい。
ポリアミド系ポリマーは、下記のポリエーテルアミドエラストマー(X)を50質量%以上含むことが好ましい。
ポリエーテルアミドエラストマー(X):下記式(I)で表されるトリブロックポリエーテルジアミン化合物(A)、ポリアミド形成性モノマー(B)、及びジカルボン酸化合物(C)を重合して得られるポリアミド成分とポリエーテル成分からなるブロック共重合体である。
Figure 0005676230
(式中、aおよびbは1〜20、cは4〜50を示す。)
上記ポリアミド形成性モノマー(B)が、下記式(II)および/または下記式(III)で表わされることが好ましい。
Figure 0005676230
(式中、R1は炭化水素鎖を含む連結基を表わす。)
Figure 0005676230
(式中、R2は炭化水素鎖を含む連結基を表わす。)
上記ジカルボン酸化合物(C)が、下記式(IV)および/または脂肪族ジカルボン酸化合物および/または脂環族ジカルボン酸化合物で表されることが好ましい。
Figure 0005676230
(式中、R3は炭化水素鎖を含む連結基を表わし、yは0または1を表わす。)
ポリアミド系ポリマーがポリアミド成分に由来するハードセグメント、ポリエーテル成分に由来するソフトセグメントを有するポリアミド系ポリマーであると、結晶性が低くなり、このため、破断伸びEBが高く、低温から高温領域まで柔軟性を示すポリアミド系ポリマーを得ることができる。
また、ポリアミド系ポリマーはタイヤ加硫温度(140〜180℃)で流動性が高まり、凹凸面との濡れ性が高まるため、隣接ゴムとの接着性においても優れた効果を発揮することができる。
本発明の一実施の形態においては、ポリアミド系ポリマーは、公知のポリアミド系ポリ
マーを用いることができる。ポリアミド系ポリマーとしては、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン11、ナイロン12から選ばれる少なくとも1種の脂肪族ナイロンからなるポリアミドブロックと、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレンから選ばれる少なくとも1種のポリエーテルブロックとから構成されるエラストマーなどを用いることができる。
ポリアミド系ポリマーの製法に関しては特に限定されず、特開昭56−65026号公報、特開昭55−133424号公報、特開昭63−95251号公報等に開示されている方法を利用することができる。
<ポリマー混合物>
本発明の一実施の形態で用いるポリマー混合物は、SIBSと、ポリアミドを分子鎖に含むショアD硬度が70以下のポリアミド系ポリマーに加えて、他のポリマーまたは樹脂を含んでもよい。例えば、SIBSとポリアミド系ポリマーに加えて、ナイロン、PET、クロロブチルゴム、天然ゴム、エチレンプロピレン−ジエン三元共重合体(EPDM)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)等を配合することができる。
本発明の一実施の形態で用いるポリマー混合物は、エチレン−ビニルアルコール共重合体を15〜40質量%の範囲内で含むことが好ましい。ポリマー混合物中のエチレン−ビニルアルコール共重合体の含有量が15質量%以上であることにより、ポリマー組成物のガスバリアー性が確保される。また、該含有量が40質量%以下であることにより、ポリマー組成物の作製時の混練性が確保されるとともに、タイヤのインナーライナーにおいて機械強度等の基本性能が確保される。該含有量は、さらに20質量%以上、さらに25質量%以上とされることが好ましい。また、タイヤの耐久性の観点から、該含有量はさらに30質量%以下とされることが好ましい。
エチレン−ビニルアルコール共重合体は、下記の一般式(V)
Figure 0005676230
(式中、mおよびnはそれぞれ独立して1〜100であり、xは1〜1000である。)で表わされるエチレン−ビニルアルコール共重合体であることが好ましい。
エチレン−ビニルアルコール共重合体のエチレン由来部位により、ポリマー混合物中の他の成分との相溶性が良好に付与され、エチレン−ビニルアルコール共重合体はポリマー組成物中に微細な分散サイズで存在することができる。一方、該エチレン−ビニルアルコール共重合体は、ビニルアルコール由来部位の寄与により良好なガスバリアー性を有する。すなわち、本発明においては、ポリマー組成物中に、ガスバリアー性に優れるエチレン−ビニルアルコール共重合体が微細なサイズで島状に分散していることにより、タイヤのインナーライナーが薄くされた場合でも良好なガスバリアー性が発現される。これによりタイヤの軽量化が可能であり、燃費の向上効果が得られる。
一般式(V)において、エチレン−ビニルアルコール共重合体を構成するためにmおよびnは1以上とされる。一方、mおよびnがそれぞれ100以下であることにより、ポリマー混合物中の他の成分との相溶性とガスバリアー性とが両立されたエチレン−ビニルアルコール共重合体が得られる。ポリマー混合物中の他の成分との相溶性がより良好になる点で、mは、さらに5以上とされることが好ましい。また、ガスバリアー性がより良好になる点で、nは、さらに5以上とされることが好ましい。一方、ビニルアルコール由来部位によるガスバリアー性の発現を損ない難い点で、mは、さらに95以下、さらに80以下とされることが好ましい。また、エチレン由来部位によるポリマー混合物との良好な相溶性の発現を損ない難い点で、nは、さらに95以下、さらに80以下とされることが好ましい。
一般式(V)において、エチレン−ビニルアルコール共重合体を構成するためにxは1以上とされる。一方、xが1000以下であることにより、ポリマー組成物の作製時の混練性が確保され、エチレン−ビニルアルコール共重合体が均一に分散されたポリマー組成物が得られる。ポリマー混合物中の他の成分との相溶性およびガスバリアー性が良好に発現される点で、xは、さらに10以上とされることが好ましく、混練性が良好である点で、xは、さらに500以下、さらに100以下とされることが好ましい。
一般式(V)で表されるエチレン−ビニルアルコール共重合体は、他の成分との共重合体とされた状態でポリマー組成物中に含有されても良く、この場合のエチレン−ビニルアルコール共重合体の含有量とは、一般式(V)で表される構造部分の含有量を意味する。
エチレン−ビニルアルコール共重合体の分子構造は、たとえば赤外吸収スペクトル(IR)や核磁気共鳴スペクトル(NMR)等により確認することができる。
<ポリマー組成物>
本発明の一実施の形態に係るポリマー組成物は、SIBSと、ポリアミドを分子鎖に含むショアD硬度が70以下のポリアミド系ポリマーに加えて、有機化処理粘土鉱物を含む。
<有機化処理粘土鉱物>
有機化処理粘土鉱物とは、有機化合物をインターカレートした層状粘土鉱物である。有機化合物が層状粘土鉱物の層間にインターカレートすることにより、層間が広がり、ポリマーへの分散性が向上する。
層状粘土鉱物は、層状珪酸塩鉱物の一種で、結晶構造は珪酸四面体層−アルミナ八面体層−珪酸四面体層の3層が積み重なっており、その単位層は厚さ約10Å(1nm)、広がり0.1〜1μmという極めて薄い板状になっている。
層状粘土鉱物の代表としてモンモリロナイトが挙げられる。モンモリロナイトは結晶構造中のアルミナ八面体層の中心原子であるAlの一部がMgに置換されることで陽電荷不足となり、各結晶層自体は負に帯電しているが、結晶層間にNa+・K+・Ca2+・Mg2+などの陽イオンを挟むことで電荷不足を中和し、安定状態となる。そのため、モンモリロナイトは結晶層が何層も重なり合った状態で存在している。
モンモリロナイトの板状結晶層表面に水が接触すると、層間の交換性陽イオンに水分子が水和し、層間が膨張する。また、モンモリロナイトの陽イオン交換性を利用して層間に有機化合物をインターカレートすることで、層間が広がり、有機溶媒やポリマーへの分散性が向上する。
層状粘土鉱物としては、例えば、モンモリロナイト(特にナトリウムモンモリロナイト、マグネシウムモンモリロナイトおよびカルシウムモンモリロナイト)、ベントナイト、カオリナイト、ノンライト、バイデライト、ボルコンスコイト、ヘクトライト、サポナイト、サウコナイト、ソボカイト、スティブンサイト、スビンフォルダイト、バーミキュライトなどのスメクタイト系粘土などといったフィロシリケート類、イライトおよびイライト/スメクタイトの混合物(レクトライト、タロソバイト、レディカイトおよび前記粘土化合物とイライトとの混合物)などの雲母鉱物類またはアタパルジャイトおよびセピオライトハイドロタルサイト系層状化合物などが挙げられる。なかでもスメクタイト系粘土が好ましく、特にモンモリロナイト系粘土が好ましい。また、スメクタイト系粘土鉱物を含むベントナイトを用いても良い。これら層状粘土鉱物は一般には天然鉱物を採取して所定の精製操作を経て得られる。これらの合成粘土は区別なく使用できる。
インターカラントとして使用できる有機化合物としては、イオン化しやすい極性基を分子内に有する有機化合物が挙げられる。極性基を有する有機化合物は、スメクタイト系粘土鉱物の酸素イオンなど負イオンで覆われた層の表面との間で強い相互作用を起こし、層状粘土鉱物の層間へ入り込み(インターカレート)、層間を押し広げて膨張させるものと考えられている。
有機化合物としては、炭素原子を6個以上有するアルキル基を有し、末端にイオン化する極性基を有するものが好ましい。たとえば、ヒドロキシル基またはカルボキシル基を有するものや、アルデヒド類、アミン類、アミド類または4級アンモニウム塩が挙げられる。
ヒドロキシル基を有する有機化合物としては、オクチルアルコール、ノニルアルコールなどの脂肪族アルコール、アルキル基が置換した芳香族アルコールなどのアルコール類のほか、フェノール類などが挙げられる。
カルボキシル基を有する有機化合物としては、ステアリン酸、パルチミン酸、ラウリン酸などの直鎖状脂肪族、オレイン酸などの直鎖状アルケン酸、リノールエライジン酸などのジエン酸、トリエン酸などのポリ不飽和脂肪族酸などが挙げられる。
アルデヒド類としてはヘキシルアルデヒドなどが挙げられる。
アミン類またはアミド類としては、1以上のアミンまたはアミドを有する極性有機化合物、たとえばアルキルアミン、アミノシクロアルカンおよびアミノシクロアルカン置換体、環状脂肪族ジアミン、脂肪族アミン、アルキル芳香族アミン、アルキルジアリールアミン、脂肪族アミドなどが挙げられ、一級、二級、および/または三級アミンまたはアミドが含まれる。中でも、アルキルアミン、脂肪族アミン、アルキル芳香族アミン、アルキルジアリールアミンが好ましい。上記有機化合物は単独または2種以上を混合して使用できる。
好ましいアミン類としては、1−ヘキシルアミン、1−ヘプチルアミン、1−オクチルアミン、1−ノミルアミン、1−ドデシルアミン、1−ヘキサデシルアミン、1−オクタデシルアミン、オレイルアミンなどの一級アミン、ジ−n−ドデシルアミン、ジ−n−ヘキサデシルアミン、ジ−n−オクタデシルアミンなどの二級アミン、ジメチル−n−オクチルアミン、ジメチル−n−デシルアミン、ジメチル−n−テトラデシルアミン、ジメチル−n−ヘキサデシルアミン、ジメチル−n−オクタデシルアミン、ジメチルオレイルアミンなどの三級アミン、ジ−n−デシルメチルアミンジココアルキルメチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−デシルアミン、トリ−n−ヘキサデシルアミンなどの脂肪族アミンが挙げられる。
好ましいアミド類としては、ヘキシルアミド、ヘプチルアミド、オクチルアミド、ノニルアミド、ラウラミド、ミリスタミド、パルミタミド、ステラミド、パルミアミド、オレアミド、リノレアミドなどが挙げられる。
また、極性基を有する有機化合物としてニトリル基またはラクタム基を有するもの、ピリジン類、エステル類、界面活性剤類、エーテル類などを使用することもできる。
4級アンモニウム塩としては、たとえばジメチルジステアリルアンモニウム塩、トリメチルステアリルアンモニウム塩、ジメチルジオクタデシルアンモニウム、ジメチルベンジルオクタデシルアンモニウム、トリメチルオクタデシルアンモニウムなどが挙げられる。
層状粘土鉱物に有機化合物をインターカレートする方法としては、公知の方法を採用することができる。たとえばモンモリロナイト系粘土鉱物と有機化合物とを接触させるために、予め層状粘土鉱物にその質量の10質量%から20倍程度の水を含ませて、その後有機化合物とモンモリロナイト系粘土鉱物とを接触させ、有機化処理粘土鉱物を得る方法がある。
有機化処理粘土鉱物中の有機化合物の陽イオン交換量は、50〜200meg/100gが好ましい。
有機化処理粘土鉱物の配合量は、ポリマー混合物100質量部に対して0.1〜50質量部であり、さらに0.5〜30質量部が好ましい。有機化処理粘土鉱物の配合量が0.1質量部未満であると、ポリマー組成物の空気透過性、高温時の引張特性が低下する。また、有機化処理粘土鉱物の配合量が50質量部を超えると、ポリマー組成物の硬度が大きくなりすぎて屈曲疲労性が低下する。
<ポリマー組成物の添加剤>
本発明の一実施の形態におけるポリマー組成物には、その他の補強剤、加硫剤、加硫促進剤、各種オイル、老化防止剤、軟化剤、可塑剤、カップリング剤などの一般のゴム組成物に配合される各種配合剤および添加剤を配合することができる。これらの添加剤としては、たとえばステアリン酸、酸化亜鉛、老化防止剤、加硫促進剤などを挙げることができる。
<第2層>
本発明において、第2層はスチレン−イソプレン−スチレントリブロック共重合体(以下、「SIS」ともいう。)からなるSIS層およびスチレン−イソブチレンジブロック共重合体(以下、「SIB」ともいう。)からなるSIB層の少なくともいずれかを含む。
スチレン−イソプレン−スチレントリブロック共重合体(SIS)のイソプレンブロックはソフトセグメントであるため、SISからなるポリマーフィルムはゴム成分と加硫接着しやすい。したがって、SISからなるポリマーフィルムをインナーライナーに用いた場合、該インナーライナーは、たとえばカーカスプライのゴム層との接着性に優れているため、耐久性に優れた空気入りタイヤを得ることができる。
SISの分子量は特に制限はないが、ゴム弾性および成形性の観点から、GPC測定による重量平均分子量が100,000〜290,000であることが好ましい。重量平均分子量が100,000未満であると引張強度が低下するおそれがあり、290,000を超えると押出加工性が悪くなるため好ましくない。SIS中のスチレン成分の含有量は、粘着性、接着性およびゴム弾性の観点から10〜30質量%であることが好ましい。
本発明において、SISにおける、各ブロックの重合度は、ゴム弾性と取り扱いの観点からイソプレンでは500〜5,000程度、またスチレンでは50〜1,500程度であることが好ましい。
SISは、一般的なビニル系化合物の重合法により得ることができ、例えば、リビングカチオン重合法により得ることができる。SIS層は、SISを押出成形、カレンダー成形といった熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマーをフィルム化する通常の方法によってフィルム化して得ることができる。
スチレン−イソブチレンジブロック共重合体(SIB)のイソブチレンブロックはソフトセグメントであるため、SIBからなるポリマーフィルムはゴム成分と加硫接着しやすい。したがって、SIBからなるポリマーフィルムをインナーライナーに用いた場合、該インナーライナーは、たとえばカーカスやインスレーションを形成する隣接ゴムとの接着性に優れているため、耐久性に優れた空気入りタイヤを得ることができる。
SIBとしては、直鎖状のものを用いることがゴム弾性および接着性の観点から好ましい。SIBの分子量は特に制限はないが、ゴム弾性および成形性の観点から、GPC測定による重量平均分子量が40,000〜120,000であることが好ましい。重量平均分子量が40,000未満であると引張強度が低下するおそれがあり、120,000を超えると押出加工性が悪くなるおそれがあるため好ましくない。
SIB中のスチレン成分の含有量は、粘着性、接着性およびゴム弾性の観点から10〜35質量%であることが好ましい。
本発明において、SIBにおける、各ブロックの重合度は、ゴム弾性と取り扱いの観点からイソブチレンでは300〜3,000程度、またスチレンでは10〜1,500程度であることが好ましい。
上記のSIBは、一般的なビニル系化合物の重合法により得ることができ、例えば、リビングカチオン重合法により得ることができる。たとえば、国際公開第2005/033035号には、攪拌機にメチルシクロヘキサン、n−ブチルクロライド、クミルクロライドを加え、−70℃に冷却した後、2時間反応させ、その後に大量のメタノールを添加して反応を停止させ、60℃で真空乾燥してSIBを得るという製造方法が開示されている。
SIB層は、SIBを押出成形、カレンダー成形といった熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマーをフィルム化する通常の方法によってフィルム化して得ることができる。
第2層の厚さは、0.01mm〜0.3mmである。ここで、第2層の厚さとは、第2層がSIS層のみからなる場合は該SIS層の厚さを、第2層がSIB層のみからなる場合は該SIB層の厚さを、第2層がSIS層およびSIB層の2層からなる場合は、該SIS層および該SIB層の合計の厚さを意味する。第2層の厚さが0.01mm未満であると、ポリマー積層体をインナーライナーに適用した生タイヤの加硫時に、第2層がプレス圧力で破れてしまい、加硫接着力が低下する恐れがある。一方、第2層の厚さが0.3mmを超えるとタイヤ重量が増加し低燃費性能が低下する。第2層の厚さは、さらに0.05〜0.2mmであることが好ましい。
<ポリマー積層体の形態>
本発明においてインナーライナーに用いられるポリマー積層体の構造は各種の形態を採用できる。これらの形態をインナーライナーの模式的断面図で示す、図2〜図5に基づき説明する。
形態1
ポリマー積層体10は、図2に示すように、SIBSを含む第1層11および第2層としてのSIS層12から構成される。該ポリマー積層体10を空気入りタイヤのインナーライナーに適用する場合、SIS層12がカーカスプライ61に接するようにタイヤ半径方向外側に向けて設置すると、タイヤの加硫工程において、SIS層12とカーカス61との接着強度を高めることができる。したがって得られた空気入りタイヤは、インナーライナーとカーカスプライ61のゴム層とが良好に接着しているため、優れた耐空気透過性および耐久性を有することができる。
形態2
ポリマー積層体10は、図3に示すように、SIBSを含む第1層11および第2層としてのSIB層13から構成される。該ポリマー積層体10を空気入りタイヤのインナーライナーに適用する場合、SIB層13の面を、カーカスプライ61に接するようにタイヤ半径方向外側に向けて設置すると、タイヤの加硫工程において、SIB層13とカーカス61との接着強度を高めることができる。したがって得られた空気入りタイヤは、インナーライナーとカーカスプライ61のゴム層とが良好に接着しているため、優れた耐空気透過性および耐久性を有することができる。
形態3
ポリマー積層体10は、図4に示すように、SIBSを含む第1層11、第2層としてのSIS層12およびSIB層13がこの順に積層されて構成される。該ポリマー積層体10を空気入りタイヤのインナーライナー61に適用する場合、SIB層13の面を、カーカスプライ61に接するようにタイヤ半径方向外側に向けて設置すると、タイヤの加硫工程において、SIB層13とカーカスプライ6との接着強度を高めることができる。したがって、得られた空気入りタイヤは、インナーライナーとカーカスプライ61のゴム層とが良好に接着しているため、優れた耐空気透過性および耐久性を有することができる。
形態4
ポリマー積層体10は、図5に示すように、SIBSを含む第1層11、第2層としてのSIB層13およびSIS層12がこの順に積層されて構成される。該ポリマー積層体10を空気入りタイヤのインナーライナーに適用する場合、SIS層12の面を、カーカスプライ61に接するようにタイヤ半径方向外側に向けて設置すると、タイヤの加硫工程において、SIS層12とカーカスプライ61との接着強度を高めることができる。したがって、得られた空気入りタイヤ1は、インナーライナーとカーカスプライ61のゴム層とが良好に接着しているため、優れた耐空気透過性および耐久性を有することができる。
<ポリマー積層体の製造方法>
本発明の空気入りタイヤに用いられるインナーライナーのポリマー積層体は、たとえば以下の方法で製造することができる。
まず、第1層を構成する材料として、SIBS、ポリアミド系ポリマー、有機化処理粘度鉱物、および必要に応じて各種添加剤を2軸押出機に投入して約150〜280℃、50〜300rpmの条件下で混練し、SIBS、ポリアミド系ポリマー、有機化処理粘度鉱物および必要に応じて添加された各種添加剤が動的架橋されたポリマー組成物のペレットを得る。
2軸押出機中では、熱可塑性樹脂組成物であるSIBSがマトリックス相となり、ゴム成分が島相となり分散する。さらに、2軸押出機中で、ゴム成分と添加剤成分とが反応し、島相であるゴム成分が架橋反応する。ゴム成分が2軸押出機中で動的に架橋されることから動的架橋と呼ばれている。2軸押出機中でゴム成分が架橋しても、系のマトリックス相は熱可塑性樹脂成分からなるため、系全体のせん断粘度が低く、押出加工が可能となる。
2軸押出機で得られた動的架橋されたポリマー組成物のペレットは、ゴム成分は架橋しているが、マトリックス相の熱可塑性樹脂成分は可塑性を保持しており、系全体の可塑性を生み出す役割を果たしている。そのため、Tダイ押出においても可塑性を示すため、シート状に成形することが可能になる。
さらに、動的架橋されたポリマー組成物のペレットはゴム成分が架橋しているため、該ペレットを用いて作製されたポリマー積層体をインナーライナーに適用して空気入りタイヤを製造する際に空気入りタイヤを加熱しても、カーカス層へのインナーライナーのポリマー組成物の侵入を防止することができる。
このようにして得られたポリマー組成物と、SISおよびSIBの少なくともいずれかを、たとえば形態1〜4のいずれかに記載された順序でラミネート押出や共押出などの積層押出をして所望の厚さのポリマー積層体を得る。
<空気入りタイヤの製造方法>
本発明の空気入りタイヤは、たとえば以下の一般的な製造方法を用いて製造することができる。上記で作製したポリマー積層体10を空気入りタイヤ1の生タイヤのインナーライナーに適用して他の部材とともに加硫成形することによって製造することができる。ポリマー積層体10を生タイヤに配置する際は、ポリマー積層体10の第2層であるSIS層12またはSIB層13が、カーカスプライ61に接するようにタイヤ半径方向外側に向けて配置する。このように配置すると、タイヤ加硫工程において、SIS層12またはSIB層13とカーカス6との接着強度を高めることができる。得られた空気入りタイヤは、インナーライナーとカーカスプライ61のゴム層とが良好に接着しているため、優れた耐空気透過性および耐久性を有することができる。
なお、インナーライナーの厚さをビード領域Rbとバットレス領域Rsで調整するには、例えば、ポリマーシートの押し出し口にプロファイルをつけて、バットレス領域の厚さGsを薄くした一体物のシートを作成して、これをインナーライナーとしてタイヤ内面に配置する。
本発明の空気入りタイヤに用いられるカーカスプライのゴム層の配合は、一般に用いられるゴム成分、例えば、天然ゴム、ポリイソプレン、スチレンーブタジエンゴム、ポリブタジエンゴムなどに、カーボンブラック、シリカなどの充填剤を配合したものを用いることができる。
次に、生タイヤを金型に装着し、ブラダーにより150〜180℃で3〜50分間、加圧しつつ加熱して加硫タイヤを得る。次に、得られた加硫タイヤを50〜120℃で10〜300秒間冷却することが好ましい。
本発明に係るポリマー積層体をインナーライナーに用いて空気入りタイヤを作製する。該ポリマー積層体を構成するSIBS、SIS、SIB、エポキシ化SBSなどは熱可塑性樹脂であるため、加硫タイヤを得る工程において、たとえば150〜180℃に加熱されると、金型内で軟化状態となる。軟化状態の熱可塑性樹脂は、固体状態よりも反応性が向上するため、隣接部材に融着する。
すなわち、膨張したブラダーの外側表面と接するインナーライナーは、加熱により軟化してブラダーに融着してしまう。インナーライナーとブラダーの外側表面が融着した状態で加硫タイヤを金型から取り出そうとすると、インナーライナーが、隣接するインスレーションやカーカスから剥離してしまい、エアーイン現象が生じてしまう。また、タイヤの形状自体が変形してしまう場合もある。
そこで、得られた加硫タイヤを直ちに120℃以下で10秒以上急冷することにより、インナーライナーに用いられている熱可塑性樹脂を固化させることができる。熱可塑性樹脂が固化すると、インナーライナーとブラダーとの融着が解消し、加硫タイヤを金型から取り出す際の離型性が向上する。
冷却温度は50〜120℃が好ましい。冷却温度が50℃より低いと、特別な冷却媒体を準備する必要があり、生産性を悪化させるおそれがある。冷却温度が120℃を超えると、熱可塑性樹脂が十分に冷却されず、金型開放時にインナーライナーがブラダーに融着したままとなり、エアーイン現象が発生するおそれがある。冷却温度は、70〜100℃であることがさらに好ましい。
冷却時間は10〜300秒間が好ましい。冷却時間が10秒より短いと熱可塑性樹脂が十分に冷却されず、金型開放時にインナーライナーがブラダーに融着したままとなり、エアーイン現象が発生する恐れがある。冷却時間が300秒を超えると生産性が悪くなる。冷却時間は、30〜180秒であることがさらに好ましい。
加硫タイヤを冷却する工程は、ブラダー内を冷却して行なうことが好ましい。ブラダー内は空洞であるため、加硫工程終了後にブラダー内に前記冷却温度に調整された冷却媒体を導入することができる。
なお、加硫タイヤを冷却する工程は、ブラダー内を冷却することと併せて、金型に冷却構造を設置して実施することも可能である。
冷却媒体としては、空気、水蒸気、水およびオイルよりなる群から選択される1種以上を用いることが好ましい。なかでも、冷却効率に優れている水を用いることが好ましい。
参考例1〜7、実施例〜15、比較例1〜12>
(ポリマーシートの作製)
表1および表2に示す配合処方にしたがって各配合剤を2軸押出機(スクリュ径:φ50mm、L/D:30、シリンダ温度:220℃)に投入し、200rpmで混練してペレット化した。得られたペレットをTダイ押出機(スクリュ径:φ80mm、L/D:50、ダイグリップ幅:500mm、シリンダ温度:220℃、フィルムゲージ:0.3mm)に投入して、厚さ0.3mmのポリマー積層体を作製した。
(空気入りタイヤの作製)
得られたポリマー積層体をタイヤのインナーライナー部分に適用して生タイヤを準備した。該生タイヤを金型内で170℃で20分間プレス成形して、195/65R15サイズの加硫タイヤを作製した。
ここで、インナーライナーのビード領域Rbとバットレス領域Rsで厚さを調整するために、ポリマーシートの押し出し口にプロファイルをつけて、バットレス領域の厚さGsを薄くした一体物のシートを作製して、これをインナーライナーとしてタイヤ内面に配置した。
<性能試験>
各実施例、参考例および各比較例のポリマー積層体をインナーライナーに用いて空気入りタイヤを製造し、以下の性能試験を行なった。
<剥離試験>
インナーライナー(ポリマー積層体)と、カーカス用ゴムシート(成分:天然ゴムおよびSBR)を重ねて170℃の条件下で12分間加圧加熱することによって25mm幅の剥離用試験片を作製した。なお、ポリマー積層体は、SIS層またはSIB層がゴムシートと接触するように重ねた。得られた試験片を用いて、JIS K 6256「加硫ゴム及び熱可塑性ゴムの接着性の求め方」にしたがって、23℃の室温条件下で剥離試験を行ない、インナーライナーとカーカスの剥離力を測定した。インナーライナーとカーカス剥離力は大きいほど好ましい。
<屈曲疲労性試験>
JIS K 6260「加硫ゴム及び熱可塑性ゴムのデマチャ屈曲亀裂試験方法」に準じて、中央に溝のある所定の試験片を作製した。インナーライナーは、厚さ0.3mmシートをゴムに貼り付けて加硫し、所定の試験片を作製した。試験片の溝の中心にあらかじめ切り込みを入れ、繰り返し屈曲変形を与え亀裂成長を測定する試験を行なった。雰囲気温度23℃、歪30%、周期5Hzで、70万回、140万回、210万回時に亀裂長さを測定し、亀裂が1mm成長するのに要した屈曲変形の繰り返し回数を算出した。比較例1の値を基準(100)として、各実施例、参考例および各比較例のポリマー積層体の屈曲疲労性について指数で示した。数値が大きい方が、亀裂が成長しにくく良好といえる。例えば、参考例1の指数は以下の式で求められる。
(屈曲疲労性指数)=(参考例1の屈曲変形の繰り返し回数)/(比較例1の屈曲変形の繰り返し回数)×100
<静的空気圧低下率試験>
上述の方法で製造した195/65R15スチールラジアルPCタイヤをJIS規格リム15×6JJに組み付け、初期空気圧300kPaを封入し、90日間室温で放置し、空気圧の低下率を計算した。空気圧の低下が小さいほど、空気圧が低下しにくく良好といえる。
<平均厚さの測定>
195/65R15スチールラジアルPCタイヤを周方向に8等分し、それぞれの箇所で、幅20mmでタイヤ径方向に沿って切断した8個のカットサンプルを作成し、この8個のカットサンプルについて、それぞれのバットレス領域Rsとビード領域Rbにおいて等間隔に5等分した5点についてインナーライナーの厚さを測定した。それぞれ測定した合計40点の測定値の算術平均値をGs、Gbとした。
<耐クラック性能>
195/65R15スチールラジアルPCタイヤをJIS規格リム15×6JJに組み付け、正規の空気圧を充填し、JATMA YEAR BOOKで空気圧−付加能力対応表より、この空気圧に対応する最大荷重を負荷し、速度80km/hでドラム上で走行し、外観目視にて確認可能な損傷が発生した時点で走行を終了し走行距離を求めた。比較例1の走行距離を100とし指数で示す。指数が大きいほど、耐クラック性が優れている。
(評価結果)
試験結果を表1および表2に示す。
Figure 0005676230
Figure 0005676230
(注1)SIBS:カネカ(株)社製の「シブスターSIBSTAR 102T」(ショアA硬度25、スチレン含量25質量%)。
(注2)ポリアミド系ポリマー:宇部興産(株)社製の「UBESTA XPA 90
40(ショアD硬度40)」。
(注3)エチレン−ビニルアルコール共重合体:クラレ(株)社製の「エバール E105」。
(注4)クロロブチル:エクソンモービル(株)社製の「エクソンクロロブチル 1068」。
(注5)NR(天然ゴム):TSR20。
(注6)フィラー:東海カーボン(株)製の「シーストV」(N660、N2SA:2
7m2/g)。
(注7)有機化処理粘土鉱物:Pheox製の「BENTONE34」(層状粘土鉱物:ヘクトライト粘度鉱物、有機化合物:ジメチルジステアリルアンモニウム塩、有機化合物の陽イオン交換量:100meg/100g)。
(注8)無機粘土鉱物:クニミネ工業(株)の「クニピアF」。
(注9)SIS:スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、クレイトンポリマー社製の「D1161JP」(スチレン含有量15%)。
(注10)SIB:スチレン−イソブチレンジブロック共重合体(以下の(SIBの製造)で述べた製造方法によって製造したもの)。
(SIBの製造)
攪拌機付き2L反応容器に、メチルシクロヘキサン(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)589mL、n−ブチルクロライド(モレキュラーシーブスで乾燥したもの)613ml、クミルクロライド0.550gを加えた。反応容器を−70℃に冷却した後、α−ピコリン(2−メチルピリジン)0.35mL、イソブチレン179mLを添加した。さらに四塩化チタン9.4mLを加えて重合を開始し、−70℃で溶液を攪拌しながら2.0時間反応させた。次に反応容器にスチレン59mLを添加し、さらに60分間反応を続けた後、大量のメタノールを添加して反応を停止させた。反応溶液から溶剤などを除去した後に、重合体をトルエンに溶解して2回水洗した。このトルエン溶液をメタノール混合物に加えて重合体を沈殿させ、得られた重合体を60℃で24時間乾燥することによりスチレン−イソブチレンジブロック共重合体を得た。
(評価結果の考察)
参考例1〜3および比較例5の空気入りタイヤは、インナーライナーに含まれる有機化処理粘度鉱物の質量部を変えたことが異なる他は、同一のものとした。参考例1〜3の空気入りタイヤは、インナーライナーが有機化処理粘度鉱物を0.1質量部以上50質量部以下含むものであるため、耐空気透過性、屈曲疲労性、および耐クラック性に優れたものであった。一方、比較例5の空気入りタイヤは、インナーライナーが有機化処理粘度鉱物を50質量部を超えて含むものであるため、参考例1〜3の空気入りタイヤに比して、耐空気透過性は同等程度であるが、屈曲疲労性、および耐クラック性が顕著に低いものであった。
参考例4は、参考例2の空気入りタイヤに対し、インナーライナーに含まれるSIBSの20質量%をエチレン−ビニルアルコール共重合体に置き換えたことが異なる他は、参考例2と同様のものとした。参考例4の空気入りタイヤの性能の結果から、SIBSの一部をエチレン−ビニルアルコール共重合体に代えても、参考例1の空気入りタイヤと同等の性能を得ることができることが明らかとなった。
参考例5〜7および比較例3の空気入りタイヤは、インナーライナーのビード領域Rbの平均厚さGbと、タイヤ最大幅位置からベルト層端の対応位置Luに亘るバットレス領域Rsの平均厚さGsとの比(Gb/Gs)を変えたことが異なる他は、同一のものとした。
すなわち、参考例5〜7の空気入りタイヤは、タイヤ最大幅位置からビードトウに亘るビード領域Rbの平均厚さGbより、タイヤ最大幅位置からベルト層端の対応位置Luに亘るバットレス領域Rsの平均厚さGsが薄いため、耐空気透過性、屈曲疲労性、および耐クラック性に優れたものであった。一方、比較例3の空気入りタイヤは、タイヤ最大幅位置からビードトウに亘るビード領域Rbの平均厚さGbと、タイヤ最大幅位置からベルト層端の対応位置Luに亘るバットレス領域Rsの平均厚さGsとが同じであるため、参考例5〜7の空気入りタイヤに比して、耐空気透過性、屈曲疲労性、および耐クラック性のいずれもが不十分な性能であった。
実施例8〜11および比較例11の空気入りタイヤは、インナーライナーのビード領域Rbの平均厚さGbと、タイヤ最大幅位置からベルト層端の対応位置Luに亘るバットレス領域Rsの平均厚さGsとの比(Gb/Gs)を変えたことが異なる他は、同一のものとした。
すなわち、実施例8〜11の空気入りタイヤは、タイヤ最大幅位置からビードトウに亘るビード領域Rbの平均厚さGbより、タイヤ最大幅位置からベルト層端の対応位置Luに亘るバットレス領域Rsの平均厚さGsが薄いため、耐空気透過性、屈曲疲労性、および耐クラック性に優れたものであった。一方、比較例11の空気入りタイヤは、タイヤ最大幅位置からビードトウに亘るビード領域Rbの平均厚さGbと、タイヤ最大幅位置からベルト層端の対応位置Luに亘るバットレス領域Rsの平均厚さGsとが同じであるため、実施例8〜11の空気入りタイヤに比して、耐空気透過性、屈曲疲労性、および耐クラック性のいずれもが不十分な性能であった。
実施例12〜15および比較例12の空気入りタイヤは、インナーライナーのビード領域Rbの平均厚さGbと、タイヤ最大幅位置からベルト層端の対応位置Luに亘るバットレス領域Rsの平均厚さGsとの比(Gb/Gs)を変えたことが異なる他は、同一のものとした。
すなわち、実施例12〜15の空気入りタイヤは、タイヤ最大幅位置からビードトウに亘るビード領域Rbの平均厚さGbより、タイヤ最大幅位置からベルト層端の対応位置Luに亘るバットレス領域Rsの平均厚さGsが薄いため、耐空気透過性、屈曲疲労性、および耐クラック性に優れたものであった。一方、比較例12の空気入りタイヤは、タイヤ最大幅位置からビードトウに亘るビード領域Rbの平均厚さGbと、タイヤ最大幅位置からベルト層端の対応位置Luに亘るバットレス領域Rsの平均厚さGsとが同じであるため、実施例12〜15の空気入りタイヤに比して、耐空気透過性、屈曲疲労性、および耐クラック性のいずれもが不十分な性能であった。
これに対し、比較例1、9、および10の空気入りタイヤは、第1層にSIBSを含まないため、参考例1〜15の空気入りタイヤに比して、耐空気透過性、屈曲疲労性、および耐クラック性のいずれもが不十分な性能であった。
比較例4および6の空気入りタイヤは、インナーライナーが有機化処理粘度鉱物を含まないため、参考例1〜15の空気入りタイヤに比して、耐空気透過性は同等程度であるが、屈曲疲労性、および耐クラック性が顕著に低いものであった。
比較例7、9、および10の空気入りタイヤは、インナーライナーがSIBSを60質量部未満含むものであるため、参考例1〜15の空気入りタイヤに比して、耐空気透過性、屈曲疲労性、および耐クラック性のいずれもが不十分な性能であった。
比較例8の空気入りタイヤは、インナーライナーがポリアミド系ポリマーを含まないものであるため、参考例1〜15の空気入りタイヤに比して、耐空気透過性、屈曲疲労性、および耐クラック性のいずれもが不十分な性能であった。
今回開示された実施の形態および実施例はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 空気入りタイヤ、2 トレッド部、3 サイドウォール部、4 ビード部、5 ビードコア、6 カーカスプライ、7 ベルト層、8 ビードエーペックス、9 インナーライナー、10 ポリマー積層体、11 第1層、12 SIS層、13 SIB層、Rb ビード領域、Rs バットレス領域、Le タイヤ最大幅位置、Lt ビードトウ、Lu ベルト層端の対応位置。

Claims (6)

  1. タイヤ内側にインナーライナーを備えた空気入りタイヤであって、
    前記インナーライナーは、スチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体90〜60質量%と、ポリアミドを分子鎖に含むショアD硬度が70以下のポリアミド系ポリマー10〜40質量%とを含むポリマー混合物100質量部に対し、有機化処理粘鉱物0.1〜50質量部を含むポリマー組成物からなる厚さ0.05〜0.4mmの第1層と、スチレン−イソブチレンジブロック共重合体を含み、厚さ0.01〜0.2mmの第2層とからなるポリマー積層体で構成され、
    前記第2層がカーカスプライのゴム層と接するように配置され、
    前記インナーライナーは、タイヤ最大幅位置からビードトウに亘るビード領域Rbの平均厚さGbより、タイヤ最大幅位置からベルト層端の対応位置Luに亘るバットレス領域Rsの平均厚さGsが薄いことを特徴とする空気入りタイヤ。
  2. 前記インナーライナーのバットレス領域の平均厚さGsと、ビード領域の平均厚さGbの比(Gs/Gb)は、0.33〜0.75である、請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 前記インナーライナーのバットレス領域の平均厚さGsは、0.〜0.45mmである、請求項1または2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 前記ポリマー混合物は、エチレン−ビニルアルコール共重合体20〜40質量%を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  5. 前記スチレン−イソブチレン−スチレントリブロック共重合体は、10〜25質量%のスチレンを含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
  6. 前記ポリアミド系ポリマーは、ポリアミド成分およびポリエーテル成分からなるブロック共重合体である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の空気入りタイヤ。
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