JP5675289B2 - 電子写真感光体および電子写真装置 - Google Patents

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Description

本発明は、電子写真感光体および電子写真装置に関する。特には、水素化アモルファスシリコンカーバイド(以下「a−SiC」とも表記する。)で構成された中間層および表面層(以下、a−SiCで構成された中間層を「a−SiC中間層」とも表記し、a−SiCで構成された表面層を「a−SiC表面層」とも表記する。)を有する電子写真感光体、および、該電子写真感光体を有する電子写真装置に関する。
基体(導電性基体)上にアモルファス材料で構成された光導電層(感光層)を有する電子写真感光体は広く知られている。特に、金属などの基体上に化学気相成長法(CVD法)、物理気相成長法(PVD法)などの成膜技術により形成されたアモルファスシリコン(以下「a−Si」とも表記する。)の光導電層を有する電子写真感光体は、すでに製品化されている。以下、a−Siで構成された光導電層を「a−Si光導電層」とも表記し、a−Si光導電層を有する電子写真感光体を「a−Si感光体」とも表記する。
このようなa−Si感光体の基本構成としては、図5(b)に示すようなプラス帯電用a−Si感光体5000が知られている。プラス帯電用a−Si感光体5000は、導電性基体5001上にa−Siで構成された光受容層5002を形成し、さらに光受容層5002上にa−SiC表面層5005を形成した構成となっている。
さらに、図5(a)に示すように、電荷注入阻止層5003上の光導電層5004とa−SiC表面層5005との間に中間層5006を設けることも知られている。また、光導電層5004とa−SiC表面層5005との界面近傍の領域で光導電層5004またはa−SiC表面層5005を構成する原子の含有量を制御することにより、感光体特性が向上することが知られている。
特許文献1には、基体上にa−Si光導電層とa−SiC表面層を形成してなるa−Si感光体において、光導電層と表面層との界面近傍における水素原子の含有量が、光導電層および表面層のいずれかの層の水素原子の含有量よりも多くなるようにしたa−Si感光体を作製する技術が開示されている。このように、光導電層と表面層との界面近傍に水素原子の含有量が高い領域を形成することにより、光感度に優れたa−Si感光体の作製が可能となる。
また、特許文献2には、基体上にa−Si光導電層とa−SiC表面層を形成してなるa−Si感光体において、表面層中の炭素原子の含有率の層厚方向(積層方向)に対する分布に極大値を有する負帯電用電子写真感光体を作製する技術が開示されている。特許文献2では、表面層中の炭素原子の含有率が85〜95原子%のピーク領域を有するように炭素原子の含有率を層厚方向に不均一にすることにより、負帯電時の帯電能、感度および光メモリー、画像流れに優れた電子写真感光体の作製が可能となる。
さらに、特許文献3には、基体上にa−Si光導電層とa−SiC表面層を形成してなるa−Si感光体において、表面層中の炭素原子の含有率の層厚方向に対する分布に2つ以上の極大値を有する電子写真感光体を作製する技術が開示されている。また、特許文献3には、表面層中の周期表第13族元素の含有率も層厚方向に対する分布に極大値を有する電子写真感光体を作製する技術が開示されている。特許文献3では、表面層中における炭素原子の含有率の極大値と周期表第13族元素の含有率の極大値を層厚方向で交互に分布させることにより、感光体特性および画像欠陥に優れた電子写真感光体の作製が可能となる。
特開平07−175244号公報 特開2002−123020号公報 特開2004−133397号公報
近年、市場では、電子写真装置の高速化およびカラー化が進み、従来に比べ、摩耗し易い電子写真プロセスへと変化してきている。これらの市場要求に対し、電子写真装置における改善も必要ではあるが、同時に良好な感光体特性を維持しつつ、さらなる高寿命を実現可能な電子写真感光体も必要となっている。
電子写真感光体にて寿命を向上させるためには、良好な感光体特性を維持しつつ、a−SiC表面層の厚膜化、または、a−SiC表面層自体の硬度向上が必要となる。
しかしながら、光導電層上に表面層を厚く形成すると、急激な環境の変化(温度、湿度の急激な変化)が生じた場合に、光導電層とa−SiC表面層との界面近傍で剥がれが生じる場合があった。この急激な環境の変化の一例としては、電子写真感光体の航空機輸送が上げられる。
この光導電層とa−SiC表面層との界面近傍で生じる剥がれは、a−SiC表面層の層厚を厚くするほど表面層自体の内部応力が大きくなるためだと考えられる。この理由としては、a−SiC表面層の層厚が厚くなるほど、光導電層とa−SiC表面層の内部応力の差が広がるため、光導電層とa−SiC表面層との間の界面近傍に応力が集中してしまうためであると考えられる。
また、a−SiC表面層自体の硬度を向上させるためには、従来よりも緻密なa−SiC表面層にすることにより達成することができる。
しかしながら、緻密なa−SiC表面層を光導電層上に形成すると、a−SiC表面層の厚膜化と同様に、急激な環境の変化が生じた場合に、光導電層とa−SiC表面層との界面近傍で剥がれが生じる場合があった。この光導電層とa−SiC表面層との界面近傍で生じる剥がれの原因も、a−SiC表面層の厚膜化と同様である。つまり、a−SiC表面層を緻密にするほどa−SiC表面層自体の内部応力が大きくなるため、光導電層とa−SiC表面層との間の界面近傍に応力が集中してしまうためであると考えられる。
以上のことから、従来の電子写真感光体において、内部応力が高いa−SiC表面層を光導電層上に形成した場合に、急激な環境の変化が生じた場合において、光導電層とa−SiC表面層の良好な密着性を維持することは困難な課題であった。
本発明の目的は、内部応力が高いa−SiC表面層を光導電層上に形成した場合においても、良好な感光体特性を維持しつつ、急激な環境の変化が生じた場合でも良好な密着性を実現し、高寿命な電子写真感光体を提供することにある。
本発明者らは、まず、電子写真感光体の寿命向上を目的として、内部応力が高いa−SiC表面層の密着性向上について検討した。その結果、光導電層とa−SiC表面層の間に中間層を設け、中間層の表面層側に水素原子比(ケイ素原子の原子数(Si)と炭素原子の原子数(C)と水素原子の原子数(H)との和に対する水素原子の原子数(H)の比(H/(Si+C+H))で定義される。)が高い領域を形成することにより、内部応力の高い表面層であっても良好な密着性が得られることを見出した。
本発明者らは、中間層の表面層側に水素原子比が高い領域を形成することにより、密着性が向上した理由を下記のように推察している。
まず、a−SiC中間層において、多量の水素原子を含有させると、a−SiC中に存在するダングリングボンドに水素原子が結合することにより、a−SiCを構成している各原子間の結合の自由度が上がる。そのため、表面層から高い応力を受けたとしても、中間層の水素原子比が高い領域で表面層から受ける高い応力を緩和することが可能となると推察される。そのため、表面層に近い中間層の領域に水素原子比が高い領域を形成することにより、局所的な応力の集中を抑制することが可能となり密着性が良好となる。
しかしながら、中間層に多量の水素原子が含有された領域を形成すると、電子写真装置で画像を出力した際、出力された画像上の文字が細くなる場合があることがわかった。
そこで、本発明者らは、密着性の向上と良好な感光体特性の両立を実現するため、鋭意検討を行った。
その結果、中間層に形成された多量の水素原子が含有された領域の抵抗が高抵抗化していることがわかった。これにより、像露光により発生した電荷が高抵抗領域で層厚方向への移動を制限されてしまい、電荷が高抵抗領域で層厚方向に対して垂直方向に拡散してしまうため、出力された画像上の文字が細くなると推察される。
このことから、中間層の水素原子比が高い領域の抵抗を制御することが必要であることがわかり、中間層の水素原子比が高い領域での抵抗制御に関して検討を行った。
その結果、中間層の水素原子比が高い領域で中間層の炭素原子含有量を低減することにより、中間層の水素原子比が高い領域での抵抗の低減が可能となることを見出した。
しかしながら、中間層の水素原子比が高い領域以外で炭素原子含有量を低減してしまうと、電子写真装置で画像を出力した際、出力された画像上の文字が細くなる場合があることがわかった。
そこで、本発明者らは、さらなる感光体特性の向上を実現するために検討を行った。
その結果、中間層の水素原子比が高い領域で中間層の炭素原子比を低減すること、より詳細には、水素原子比が高い領域を炭素原子比の層厚方向分布の極小領域とすることにより、中間層の水素原子比が高い領域での抵抗低減が可能となり、密着性の向上と良好な感光体特性の両立が可能であることを見出した。
一方、中間層において、炭素原子比を光導電層側から表面層側に向かって連続的に増加させることにより、像露光照射時の干渉を低減可能となる。このことから、中間層の表面層側にa−SiC表面層の密着性向上を目的とした水素原子比が高い領域を形成する。さらに、良好な感光体特性を得るために、水素原子比の高い領域での炭素原子比を低減させる。そして、水素原子比が高い領域以外の中間層においては、干渉低減を目的とした炭素原子比を連続的に増加させる従来の炭素原子比の層厚方向(積層方向)分布を組み合わせる。
これにより、中間層における水素原子比の層厚方向分布に極大領域が形成され、その水素原子比の層厚方向分布の極大領域で中間層における炭素原子比の層厚方向分布に極小領域が形成される。その結果、中間層における水素原子比の層厚方向分布の極大領域より光導電層側に、炭素原子比の層厚方向分布の極大領域が形成される。このような中間層における炭素原子比および水素原子比の層厚方向分布を形成することにより、a−SiC表面層の密着性向上と良好な感光体特性の両立が可能となり、上述した課題に対して大きな効果があることを見出し、本発明を完成させるに至ったものである。
すなわち、本発明は、基体、基体上の光導電層、該光導電層上の中間層、および、該中間層上の水素化アモルファスシリコンカーバイドで構成された表面層を有する電子写真感光体において、該中間層が、ケイ素原子、炭素原子および水素原子を含有し、該中間層におけるケイ素原子の原子数(Si)と炭素原子の原子数(C)と水素原子の原子数(H)との和に対する水素原子の原子数(H)の比(H/(Si+C+H))で定義される水素原子比の分布が、該中間層の層厚方向において極大領域を有し、該中間層における水素原子比の分布の極大領域における水素原子比の最大値が、該表面層の水素原子比よりも大きく、該表面層における水素原子比が、0.30以上0.45以下であり、該中間層におけるケイ素原子の原子数(Si)と炭素原子の原子数(C)との和に対する炭素原子の原子数(C)の比(C/(Si+C))で定義される炭素原子比の分布が、該中間層の層厚方向において極大領域および極小領域を有し、該中間層における炭素原子比の分布の極大領域における炭素原子比が、0.53以上0.63以下であり、該中間層における炭素原子比の分布の極小領域における炭素原子比が、0.47以上、かつ、該中間層における炭素原子比の分布の極大領域における炭素原子比よりも小さく、該中間層における水素原子比の極大領域の少なくとも一部が、該中間層における炭素原子比の極小領域と重なっており、
該中間層における水素原子比の分布の極大領域は、
該表面層の水素原子比が一定の場合は、該表面層における水素原子比の分布で最も光導電層側の位置を位置Pとし、該位置Pと同じ値の水素原子比となる位置であって、該光導電層側に最も近い位置を位置Qとしたとき、該位置Pと該位置Qの間が水素原子比の分布の極大領域であり、
該表面層の水素原子比が一定でない場合は、該表面層における水素原子比の分布の最大値の位置を位置Pとし、該位置Pと同じ値の水素原子比となる位置であって、該光導電層側に最も近い位置を位置Qとしたとき、該位置Pと該位置Qの間が水素原子比の分布の極大領域であり、
該中間層における炭素原子比の分布の極大領域は、
該中間層において炭素原子比の分布の極大値の位置が極大領域であり、
該極大値の位置が層厚方向に幅を有する場合は、その領域が極大領域であり、
該中間層における炭素原子比の分布の極小領域は、
該中間層において炭素原子比の分布の極大値の位置を位置Aとし、該位置Aよりも該表面層側に位置し、該位置Aと同じ値の炭素原子比となる位置を位置Bとしたとき、該位置Aと該位置Bの間が炭素原子比の分布の極小領域であり、
該中間層において炭素原子比の分布の極大値の位置が層厚方向に幅を有する場合は、極大領域で最も表面層側の位置を位置Aとし、該位置Aよりも表面層側に位置し、該位置Aと同じ値の炭素原子比となる位置を位置Bとしたとき、該位置Aと該位置Bの間が炭素原子比の分布の極小領域であることを特徴とする電子写真感光体である。
また、本発明は、上記電子写真感光体を有する電子写真装置である。
本発明により、良好な感光体特性を維持しつつ、急激な環境の変化が生じた場合でも良好な密着性を実現し、高寿命な電子写真感光体を提供可能となる。
中間層での炭素原子比および水素原子比の層厚方向における分布を示す図である。 比較例の中間層の炭素原子比および水素原子比の層厚方向における分布を示す図である。 電子写真感光体の作製に用いられるプラズマCVD装置の一例を示す図である。 炭素原子比および水素原子比の層厚方向における分布を示す図である。 プラス帯電用a−Si感光体の層構成の一例を示す図である。 a−Si感光体を有する電子写真装置の一例を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。
(中間層)
本発明において、中間層とは、光導電層とa−SiC表面層(水素化アモルファスシリコンカーバイドで構成された表面層)との間に形成されたすべての層である。中間層は、複数の層により構成されていてもよい。
光導電層と中間層の境界は、炭素原子比(ケイ素原子の原子数(Si)と炭素原子の原子数(C)との和に対する炭素原子の原子数(C)の比(C/(Si+C))で定義される。)の層厚方向の分布において、光導電層から中間層の領域で実質的に炭素原子が検出された位置とする。
次に、表面層と中間層の境界を以下に示す。
表面層の炭素原子比が一定の場合は、電子写真感光体の表面側から基体方向に向かう炭素原子比の層厚方向の変化において、層厚当たりの炭素原子比の変化率が負となる位置を中間層と表面層の境界とする。そして、表面層の炭素原子比が層厚方向で連続的に変化している場合は、下記に示す境界条件のうち、最も表面層側に存在する条件を中間層と表面層の境界とする。第1の境界条件は、電子写真感光体の表面側から基体方向に向かう炭素原子比の層厚方向の変化において、層厚当たりの炭素原子比の変化率の変化が負となる位置である。第2の境界条件は、電子写真感光体の表面より光導電層側に位置し、炭素原子比が0.61となる位置である。
ただし、表面層の炭素原子比が電子写真感光体の表面から連続的かつ直線状に減少している場合は、電子写真感光体の表面より光導電層側に位置し、炭素原子比が0.61となる位置を中間層と表面層の境界とする。
図1は、本発明に係る中間層での炭素原子比および水素原子比(ケイ素原子の原子数(Si)と炭素原子の原子数(C)と水素原子の原子数(H)との和に対する水素原子の原子数(H)の比(H/(Si+C+H))で定義される。)の層厚方向における分布を示したものである。
図1(a)は、中間層内に一定層がない、もしくは、きわめて一定層の領域が狭い場合の炭素原子比および水素原子比の層厚方向における分布を示したものである。図1(b)は、中間層内の一定層の領域が広い場合の炭素原子比および水素原子比の層厚方向における分布を示したものである。
本発明では、図1に示すような中間層の層厚方向に対して不均一に分布している水素原子比の分布に極大領域を有し、中間層における水素原子比の分布の極大領域における水素原子比の最大値が、表面層における水素原子比よりも大きい。また、中間層の層厚方向に対して不均一に分布している炭素原子比の分布に極大領域および極小領域を有し、かつ、中間層における水素原子比の極大領域の少なくとも一部が、中間層における炭素原子比の極小領域と重なっていることを特徴としている。
中間層における炭素原子比の極大領域について、図1を用いて説明する。
図1(a)に示すような炭素原子比の層厚方向における分布の場合は、中間層において炭素原子比の分布の極大値の位置が極大領域となる。
また、図1(b)に示すような中間層における炭素原子比の分布の極大値を示す位置が層厚方向に幅を有する場合は、この領域が極大領域となる。
中間層における炭素原子比の極小領域について、図1を用いて説明する。
図1(a)に示すような炭素原子比の層厚方向における分布の場合は、中間層において炭素原子比の分布の極大値の位置を位置Aとする。その位置Aよりも表面層側に位置し、位置Aと同じ値の炭素原子比となる位置を位置Bとしたとき、位置Aと位置Bの間が炭素原子比の分布の極小領域となる。
また、図1(b)に示すような中間層における炭素原子比の分布の極大領域が形成されている場合は、炭素原子比の分布の極大領域で最も表面層側の位置を位置Aとする。その位置Aよりも表面層側に位置し、位置Aと同じ値の炭素原子比となる位置を位置Bとしたとき、位置Aと位置Bの間が炭素原子比の分布の極小領域となる。
中間層における水素原子比の極大領域について、図1を用いて説明する。
表面層の水素原子比が一定の場合は、表面層における水素原子比の分布で最も光導電層側の位置を位置Pとする。その位置Pと同じ値の水素原子比となる位置であって、光導電層側に最も近い位置を位置Qとしたとき、位置Pと位置Qの間が水素原子比の分布の極大領域となる。
表面層の水素原子比が一定でない場合は、表面層における水素原子比の分布の最大値の位置を位置Pとする。その位置Pと同じ値の水素原子比となる位置であって、光導電層側に最も近い位置を位置Qとしたとき、位置Pと位置Qの間が水素原子比の分布の極大領域となる。
中間層における水素原子比および炭素原子比の分布を上述した分布とすることで、感光体特性を維持しつつ、急激な環境の変化が生じた場合であっても良好な密着性が得られる。この理由を以下に示す。
まず、a−SiCにおいて、a−SiC構造の骨格を形成するSiとC、つまり炭素原子比を一定にして、a−SiC中の水素原子比を増加させることにより、外部からの力を受けた際に骨格を構成する原子間の結合間距離が大きく変化することが可能となると考えられる。これは、a−SiC中に存在するダングリングボンドに、水素原子が結合することにより、a−SiCを構成している各原子間の結合の自由度が上がることに起因していると考えられる。
このことから、水素原子比が少ないa−SiCに比べ、水素原子比が多いa−SiCの方が外部からの力をより吸収することが可能となると考えられる。
表面層が剥がれる原因としては、光導電層とa−SiC表面層の間に位置する中間層が表面層から受ける応力が大きいためであると考えられる。そのため、表面層から受ける応力を中間層で吸収するためには、表面層の水素原子比よりも水素原子比が高い領域の方を中間層の一部に有することが必要である。
これにより、表面層から受ける応力を中間層の水素原子比が高い領域で緩和することが可能となるため、表面層の剥がれの抑制に大きな効果が得られると考えられる。
一方、a−SiC中の水素原子比を増加させると、a−SiC中に存在するダングリングボンドに水素原子が結合する。そのため、表面層よりも水素原子比が多い中間層の領域では、ダングリングボンドが減少するため、a−SiCの抵抗(電気抵抗)は増加してしまう。
これにより、中間層中に水素原子比が高い領域が存在すると、その領域での抵抗が他の領域よりも高くなるため、高抵抗領域が形成されてしまう。
このような中間層中に高抵抗な領域が形成されてしまうと、層厚方向への電荷の移動を妨げるため、層厚方向に対し垂直方向に電荷が流れてしまい、良好な階調性および解像性が得られない場合がある。そのため、中間層の水素原子比が高い領域の少なくとも一部で中間層の炭素原子比を低減することにより、中間層の水素原子比が高い領域での抵抗低減が可能となり、階調性および解像性改善に対して大きな効果が得られると考えられる。
一方で、像露光照射時の干渉低減の観点からは、中間層における炭素原子比の層厚方向分布を光導電層側から表面層側に向かって連続的に増加させることが好ましい。
そこで、中間層の表面層側にa−SiC表面層の密着性向上を目的とした水素原子比が高い領域を形成する。さらに、良好な感光体特性を得るために、水素原子比の高い領域での炭素原子比を低減させる。そして、水素原子比が高い領域以外の中間層においては、干渉低減を目的とした炭素原子比を連続的に増加させる従来の炭素原子比の層厚方向分布を組み合わせる。
中間層における炭素原子比の層厚方向分布をこのようにし、中間層における水素原子比の層厚方向分布の極大領域を形成し、その水素原子比の層厚方向分布の極大領域で中間層における炭素原子比の層厚方向分布に極小領域を形成する。これにより、中間層における水素原子比の層厚方向分布の極大領域より光導電層側に、炭素原子比の層厚方向分布の極大領域が形成される。このとき、中間層における水素原子比の極大領域の少なくとも一部が、中間層における炭素原子比の極小領域と重なっていることが必要である。
このような中間層における炭素原子比および水素原子比の層厚方向分布を形成することにより、良好な感光体特性と急激な環境の変化が生じた場合であっても優れた密着性を両立した電子写真感光体の作製が可能となる。
また、上述の効果を得るためには、中間層における水素原子比の極大領域の少なくとも一部が、中間層における炭素原子比の極小領域と重なっていることが必要である。
さらに、上述の効果をより得るためには、上述した理由により、中間層における水素原子比の極大領域の最大値となる位置と中間層における炭素原子比の極小領域の最小値となる位置が一致することが、より好ましい。
上述した中間層における炭素原子比の分布において、中間層の炭素原子比の極大領域における炭素原子比は、0.53以上0.63以下とすることを特徴としている。
a−SiCにおいて、炭素原子比が大きくなると光吸収が増加する場合がある。そのため、中間層の炭素原子比の極大領域における炭素原子比を0.63より大きくすると、中間層中における光吸収の高い領域が増加するため、感度が低下してしまう場合がある。
また、中間層の炭素原子比の極大領域における炭素原子比を0.53より小さくすると、階調性が低下してしまう場合がある。この理由を以下のように推察している。炭素原子比が高いa−SiCでは、炭素原子比の低下に伴いa−SiCの抵抗が低下する。このことから、中間層の炭素原子比の極大領域における炭素原子比が0.53よりも小さくなると、中間層中に低抵抗な領域が広がってしまうため、像露光により生成された電荷が層厚方向以外に拡散しやすくなり、その結果、階調性が低下するものと推察している。
上述した中間層における炭素原子比の分布において、中間層の炭素原子比の極小領域における炭素原子比は、0.47以上、かつ、極大領域における炭素原子比よりも小さいことを特徴としている。
中間層の炭素原子比の極小領域における炭素原子比を0.47より小さくすると、階調性が低下してしまう場合がある。この理由を以下のように推察している。中間層の炭素原子比の極小領域は、中間層の水素原子比の極大領域と少なくとも一部が重なっているため、他の中間層の領域と比べて、炭素原子比の低下による低抵抗化が進みにくいと考えられる。そのため、中間層の炭素原子比の極小領域では、中間層の炭素原子比の極大領域よりも低い炭素原子比であっても、良好な階調性を維持することが可能であると考えられる。しかしながら、中間層の炭素原子比の極小領域における炭素原子比を0.47より小さくすると、水素原子比が多いことによる抵抗改善効果が十分に得られず、階調性が低下するものと推察している。
上述した中間層における水素原子比の分布において、中間層の水素原子比の極大領域における水素原子比の最大値を0.50以下にすることにより、さらに良好な感光体特性が得られる。
これは、中間層の一部の領域で水素原子比を多くすると、その領域ではダングリングボンドを終端する水素原子が増加するため、他の中間層の領域よりも抵抗が増加する。けれども、中間層の水素原子比の極大領域における水素原子比の最大値が0.50より大きくなると、水素原子比が高い領域で炭素原子比による抵抗制御が困難となる場合がある。そのため、中間層の水素原子比の極大領域における水素原子比の最大値を0.50以下にすることによりさらに階調性が良好となる。
本発明において、中間層における炭素原子比の分布の極大領域での炭素原子比の最大値をC1とし、中間層における炭素原子比の分布の極大領域での炭素原子比が最大値となる位置での水素原子比をH1とする。また、中間層における炭素原子比の分布の極小領域での炭素原子比の最小値をC2とし、中間層における水素原子比の分布の極大領域での水素原子比の最大値をH2とする。このとき、C2−C1が−0.06以上−0.01以下、かつH2−H1が0.05以上0.15以下とすることにより、すなわち下記の式1および式2を満たすことにより、さらに良好な感光体特性を維持しつつ急激な環境の変化が生じても表面層の剥がれ抑制に大きな効果を得ることが可能となる。
(式1) −0.06≦C2−C1≦−0.01
(式2) 0.05≦H2−H1≦0.15
C2−C1を−0.06以上−0.01以下、かつH2−H1が0.05以上0.15以下とすることにより、中間層における層厚方向での電荷の移動を阻害しない層厚方向での抵抗分布を形成可能となり、階調性がさらに良好となると考えられる。
また、本発明において、中間層の水素原子比の極大領域と表面層の間における層厚方向での水素原子比の変化は特に制限はない。けれども、密着性向上の観点から、中間層の水素原子比の極大領域から表面層の中間層側に向かって、水素原子比が連続的に減少する方が好ましい。
本発明において、表面層の層厚に対する中間層の炭素原子比の極大領域から表面層までの距離d2を300Å以上5000Å以下にすることが好ましい。
d2が短くなると、中間層の水素原子比が高い領域が狭くなるため、中間層が受ける表面層からの応力が大きくなると剥がれ抑制が難しくなる場合があるため、d2は300Å以上にすることが好ましい。また、d2を5000Å以下とすることにより、中間層での光吸収を抑制することが可能となるため感度がより良好となる。
さらに、表面層の層厚d1に対する中間層の炭素原子比の極大領域から表面層までの距離d2の比(d2/d1)を0.05以上とすることにより、より表面層の剥がれ抑制効果が得られる。
表面層の層厚d1が厚くなると、中間層が受ける表面層からの応力が大きくなる。また、炭素原子比の極大値から表面層までの距離d2が短くなると、中間層の水素原子比が高い領域が狭くなるため、中間層が受ける表面層からの応力が大きくなると剥がれ抑制が難しくなる場合がある。
炭素原子比の極大値から表面層までの距離d2について図1を用いて説明する。図1(a)に示すような炭素原子比および水素原子比の層厚方向における分布の場合は、中間層における炭素原子比の分布の極大領域で炭素原子比が最大値C1となる位置から表面層までの距離がd2である。また、図1(b)に示すような中間層における炭素原子比の分布の極大領域が形成されている場合は、炭素原子比がC1である極大領域の中で最も表面層側(炭素原子比C1となる一定層の表面層側)の位置から表面層までの間の距離がd2である。
また、本発明において、光導電層から中間層における炭素原子比の極大領域までの層厚は、300Å以上5000Å以下であることが好ましい。
光導電層から中間層における炭素原子比の極大領域までの層厚d3を300Åより薄くすると、成膜時に放電が不安定となる場合がある。これにより、光導電層から中間層における炭素原子比の極大領域との間に界面が形成される場合があり、この界面において剥がれが生じる場合がある。そのため、光導電層から中間層における炭素原子比の極大領域までの層厚d3を300Å以上とすることが好ましい。
また、中間層における炭素原子比が低い領域が広くなるほど、中間層内に低抵抗な領域が多くなる。そのため、光導電層から中間層における炭素原子比の極大領域までの層厚を5000Å以下とすることにより、階調性がさらに良好となる。
(表面層)
本発明では、表面層における水素原子比を0.30以上0.45以下にすることを特徴としている。これにより、感光体特性が良好、かつ、耐摩耗性に優れた電子写真感光体が得られる。
原子密度の高いa−SiC表面層において、光学的バンドギャップが狭くなり、光吸収が増加することにより感度が低下する場合がある。また、a−SiC表面層の層厚を厚くすると、層厚の増加に伴いa−SiC表面層での光吸収が多くなってしまう。
そのため、水素原子比を0.30以上とすることで、光学的バンドギャップが広がり、光吸収を低減することが可能となるため、感度の良化が図れる。
一方、水素原子比を0.45より大きくすると、a−SiC表面層中には、メチル基のような水素原子の多い終端基が増加する傾向がみられる。メチル基のような複数の水素原子を有する終端基がa−SiC表面層中に存在すると、a−SiCの構造中に大きな空間を形成するとともに、周囲に存在する原子間の結合にひずみを生じさせる。そのため、水素原子をa−SiC表面層中に多量に含有させると、a−SiC表面層における骨格原子であるケイ素原子と炭素原子のネットワーク化の促進が図りづらくなる。
このような理由により、水素原子比を0.45以下とすることで、a−SiC表面層における骨格原子であるケイ素原子と炭素原子のネットワーク化の促進および原子間の結合に生じていたひずみの低減が可能となり、耐摩耗性が良好になると考えられる。
よって、a−SiC表面層において、水素原子比を0.30以上0.45以下にすることにより、感光体特性が良好で、かつ、耐摩耗性の向上が可能となる。
また、本発明では、a−SiC表面層のケイ素原子の原子数と炭素原子の原子数の和に対する炭素原子の原子数の比が0.61以上0.75以下の範囲で、a−SiC表面層のケイ素原子の原子密度と炭素原子の原子密度の和を6.60×1022原子/cm以上にすることが好ましい。
a−SiC表面層のケイ素原子の原子密度と炭素原子の原子密度の和を6.60×1022原子/cm以上とすることにより、耐摩耗性の向上に大きな効果が得られる。この理由を以下に示す。
a−SiC表面層を構成するケイ素原子および炭素原子の原子密度を高くすることにより、ケイ素原子と炭素原子との結合を切れにくくすること、および空間率の低減が可能となると考えられる。これにより、a−SiC表面層の構成原子の結合力が高くなるため、高硬度なa−SiC表面層が得られ、その結果、耐摩耗性も向上すると推察される。
そのため、a−SiC表面層のケイ素原子の原子密度と炭素原子の原子密度の和が高い方がより好ましく、6.81×1022原子/cm以上にすることで、さらに、耐摩耗性の向上に大きな効果が得られる。なお、本発明のa−SiCにおけるケイ素原子の原子密度と炭素原子の原子密度の和の上限値は、13.0×1022原子/cmとなる。この理由は、ケイ素原子の原子密度と炭素原子の原子密度の和が最も高くなるのは、結晶のときである。そのため、シリコンカーバイドの結晶とダイヤモンドの原子密度を用い、結晶における炭素原子比と原子密度の関係を直線近似により求める。得られた関係式より炭素原子比0.75での原子密度は13.0×1022原子/cmとなるため、本発明においては、ケイ素原子の原子密度と炭素原子の原子密度の和の上限は13.0×1022原子/cmとなる。
ケイ素原子の原子密度と炭素原子の原子密度の和を上記範囲とし、かつ、a−SiC表面層の炭素原子比を0.61以上0.75以下の組成範囲とすることで、より感光体特性に優れた電子写真感光体が作製可能となる。
a−SiC表面層において、炭素原子比を0.61よりも小さくすると、原子密度の高いa−SiCを形成した場合、特にa−SiCの抵抗が低下する場合がある。このような場合、静電潜像形成時にキャリアが表面層中で横流れを生じやすくなる。そのため、静電潜像として孤立ドットを形成した場合に、表面層中でのキャリアの横流れにより孤立ドットが小さくなる。その結果、出力された画像において、特に、低濃度側での画像濃度が低下してしまうために、階調性の低下を生じる場合がある。このような理由により、原子密度の高いa−SiC表面層においては、炭素原子比を0.61以上にすることが好ましい。
また、炭素原子比を0.75より大きくすると、原子密度の高いa−SiCを形成した場合には、特に、a−SiC表面層での光吸収が急激に増加する場合がある。このような場合、静電潜像形成時に必要となる像露光光量が多くなり、感度が極端に低下してしまう。また、a−SiC表面層の摩耗量に対する感度変動が大きくなることから、電子写真感光体に削れムラが生じた場合に、画像濃度ムラが生じる場合がある。このような理由により、原子密度の高いa−SiC表面層においては、炭素原子比を0.75以下にすることが好ましい。
本発明の電子写真感光体において、クリーニングブレードによる電子写真感光体の表面のクリーニング性の観点から、原子間力顕微鏡(AFM)により電子写真感光体の表面を10μm×10μmの範囲で測定したときに得られる微視的形状から求められる中心線平均粗さRaは、10nm以上80nm以下の範囲が好ましく、10nm以上50nm以下の範囲がより好ましい。
また、同様にクリーニング性の観点から、AFMにより電子写真感光体の表面を10μm×10μmの範囲で測定したときに得られる微視的形状から求められる算術平均傾斜Δaは、0.10以上0.40以下の範囲が好ましい。
(光導電層)
本発明の電子写真感光体における光導電層は、電子写真特性上の性能を満足できる光導電特性を有するものであればいずれのものであっても差し支えない。
しかし、アモルファスシリコン(以下「a−Si」とも表記する)から形成された光導電層が、耐久性、安定性の観点から、本発明における表面層に対して望ましく、水素化アモルファスシリコンがより好ましい。
本発明で光導電層としてa−Siを用いる場合は、a−Si中の未結合手を補償するため、水素原子に加えて、ハロゲン原子を含有させることができる。
水素原子(H)およびハロゲン原子の含有量の合計は、ケイ素原子と水素原子およびハロゲン原子の和に対して10原子%以上、特に15原子%以上であることが好ましく、また、30原子%以下、特に25原子%以下であることが好ましい。
本発明において、光導電層には必要に応じて伝導性を制御する原子を含有させることが好ましい。伝導性を制御する原子は、光導電層中に満遍なく均一に分布した状態で含有されていてもよいし、また、層厚方向には不均一な分布状態で含有している部分があってもよい。
伝導性を制御する原子としては、半導体分野における、いわゆる不純物を挙げることがでる。すなわち、p型伝導性を与える周期表13族に属する原子(以後「第13族原子」と略記する)またはn型伝導性を与える周期表15族に属する原子(以後「第15族原子」と略記する)を用いることができる。
第13族原子としては、具体的には、ホウ素(B)、アルミニウム(Al)、ガリウム(Ga)、インジウム(In)、タリウム(Tl)があり、特にホウ素、アルミニウム、ガリウムが好適である。第15族原子としては、具体的にはリン(P)、砒素(As)、アンチモン(Sb)、ビスマス(Bi)があり、特にリン、砒素が好適である。
光導電層に含有される伝導性を制御する原子の含有量は、Siに対して1×10―2原子ppm以上、特に5×10−2原子ppm以上、さらには1×10−1原子ppm以上であることが好ましい。また、1×10原子ppm以下、特に5×10原子ppm以下、さらには1×10原子ppm以下であることが好ましい。
本発明において、光導電層の層厚は、所望の電子写真特性が得られること、経済的効果の点から適宜所望にしたがって決定されるが、15μm以上、特に20μm以上とすることが好ましく、また、60μm以下、特に50μm以下、さらには40μm以下とすることが好ましい。光導電層の層厚が15μm以上とすることにより、帯電部材への通過電流量の増大を抑制し、劣化し難くさせることができる。光導電層の層厚を60μm以内とすることにより、a−Siの異常成長部位を大きくし難くすることができる。
なお、光導電層は単一の層から形成されても良いし、電荷発生層と電荷輸送層を分離した複数構成としてもよい。
a−Si光導電層の形成方法はプラズマCVD法、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法などの公知の方法によって形成可能であるが、原料供給の容易さからプラズマCVD法が最も好ましい方法として採用できる。
以下、光導電層の形成方法についてプラズマCVD法を例にとって記述する。
光導電層を形成するには、基本的にケイ素原子供給用の原料ガスと、水素原子供給用の原料ガスを、内部を減圧にし得る反応容器内に所望のガス状態で導入し、該反応容器内にグロー放電を生起させる。これによって導入した原料ガスを分解し、あらかじめ所定の位置に設置されてある導電性の基体上にa−Siからなる層を形成すればよい。
本発明において、ケイ素原子を供給しえる原料ガスとしては、シラン(SiH)、ジシラン(Si)などのシラン類が好適に使用できる。また、光導電層中に水素原子を供給しえる原料ガスとしては、上記シラン類に加えて、水素(H)も好適に使用できる。
また、上述のハロゲン原子、伝導性を制御する原子、あるいは炭素原子、酸素原子、窒素原子などの添加物を含有させる場合には、それぞれの原子を含むガス状、または容易にガス化しえる物質を材料として適宜使用すればよい。
(電荷注入阻止層)
本発明の電子写真感光体において、基体と光導電層との間に基体側からの電荷の注入を阻止する働きを有する電荷注入阻止層を設けることが効果的である。すなわち、電荷注入阻止層は電子写真感光体の自由表面が一定極性の帯電処理を受けた際、基体から光導電層への電荷の注入を阻止する機能を有している。このような機能を付与するために、電荷注入阻止層には伝導性を制御する原子を光導電層に比べて比較的多く含有させる。
伝導性を制御するために電荷注入阻止層に含有させる原子は、電荷注入阻止層中に満遍なく均一に分布した状態で含有されていてもよいし、また、層厚方向には不均一な分布状態で含有している部分があってもよい。分布濃度が不均一な場合には、基体側に多く分布するように含有させるのが好適である。しかしながら、いずれの場合においても、伝導性を制御する原子を基体の表面に対して平行面内方向に均一な分布で含有されることが、特性の均一化を図る上からも望ましい。
伝導性を制御するために電荷注入阻止層に含有させる原子としては、帯電極性に応じて第13族原子または第15族原子を用いることができる。
さらに、電荷注入阻止層には、炭素原子、窒素原子および酸素原子のうち少なくとも1種の原子を含有させることにより、電荷注入阻止層を基体との間の密着性の向上を図ることが可能となる。
電荷注入阻止層に含有される炭素原子、窒素原子および酸素原子のうち少なくとも1種の原子は、層中に均一に分布されても良いし、あるいは、層厚方向には均一に含有されてはいるが、不均一に分布する状態で含有している部分があってもよい。しかしながら、いずれの場合にも、基体の表面に対して平行面内方向に均一な分布で含有されることが、特性の均一化を図る上からも望ましい。
電荷注入阻止層の層厚は、所望の電子写真特性が得られることおよび経済的効果の点から、好ましくは0.1〜10μm、より好ましくは0.3〜5μm、さらに好ましくは0.5〜3μmとされる。層厚を0.1μm以上とすることにより、基体からの電荷の注入阻止能を十分に有することができ、好ましい帯電能を得ることができる。一方、5μm以下とすることにより、形成時間の延長による製造コストの増加を防ぐことができる。
(基体)
基体は、導電性を有し表面に形成される光導電層および表面層を保持し得るものであれば特に限定されずいずれのものであってもよい。例えば、Al、Cr、Mo、Au、In、Nb、Te、V、Ti、Pt、Pd、Feなどの金属、および、これらの合金、例えばAl合金、ステンレスが挙げられる。また、ポリエステル、ポリエチレン、ポリカーボネート、セルロースアセテート、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレンもしくはポリアミドなどの合成樹脂のフィルム、またはシート、ガラスもしくはセラミックなどの電気絶縁性支持体も使用できる。この場合、電気絶縁性支持体の少なくとも光導電層を形成する側の表面を導電処理すればよい。
<本発明の電子写真感光体を製造するための製造装置および製造方法>
図3は、電子写真感光体の作製に用いられるプラズマCVD装置の一例を示す図である。
この装置は大別すると、反応容器3110を有する堆積装置3100、原料ガス供給装置3200、および、反応容器3110の中を減圧する為の排気装置(図示せず)から構成されている。
反応容器3110の中にはアースに接続された導電性基体3112、導電性基体加熱用ヒーター3113、および、原料ガス導入管3114が設置されている。さらに、絶縁材料3121で絶縁されたカソード電極3111には高周波マッチングボックス3115を介して高周波電源3120が接続されている。
原料ガス供給装置3200は、SiH,H,CH,NO,Bなどの原料ガスのボンベ3221〜3225、バルブ3231〜3235、圧力調整器3261〜3265、流入バルブ3241〜3245、流出バルブ3251〜3255およびマスフローコントローラ3211〜3215から構成されている。各原料ガスを封入したガスのボンベは補助バルブ3260およびガス配管3116を介して反応容器3110の中の原料ガス導入管3114に接続されている。
次にこの装置を使った堆積膜の形成方法について説明する。まず、あらかじめ脱脂洗浄した導電性基体3112を反応容器3110に受け台3123を介して設置する。次に、排気装置(図示せず)を運転し、反応容器3110の中を排気する。真空計3119の表示を見ながら、反応容器3110の中の圧力がたとえば1Pa以下の所定の圧力になったところで、基体加熱用ヒーター3113に電力を供給し、導電性基体3112を例えば50℃から350℃の所望の温度に加熱する。このとき、ガス供給装置3200より、Ar、Heなどの不活性ガスを反応容器3110に供給して、不活性ガス雰囲気中で加熱を行うこともできる。
次に、ガス供給装置3200より堆積膜形成に用いるガスを反応容器3110に供給する。すなわち、必要に応じバルブ3231〜3235、流入バルブ3241〜3245、流出バルブ3251〜3255を開き、マスフローコントローラ3211〜3215に流量設定を行う。各マスフローコントローラの流量が安定したところで、真空計3119の表示を見ながらメインバルブ3118を操作し、反応容器3110の中の圧力が所望の圧力になるように調整する。所望の圧力が得られたところで高周波電源3120より高周波電力を印加すると同時に高周波マッチングボックス3115を操作し、反応容器3110の中にプラズマ放電を生起する。その後、速やかに高周波電力を所望の電力に調整し、堆積膜の形成を行う。
所定の堆積膜の形成が終わったところで、高周波電力の印加を停止し、バルブ3231〜3235、流入バルブ3241〜3245、流出バルブ3251〜3255、および補助バルブ3260を閉じ、原料ガスの供給を終える。同時に、メインバルブ3118を全開にし、反応容器3110の中を1Pa以下の圧力まで排気する。
以上で、堆積層の形成を終えるが、複数の堆積層を形成する場合、再び上記の手順を繰り返してそれぞれの層を形成すれば良い。原料ガス流量や、圧力を光導電層形成用の条件に一定の時間で変化させて、接合領域の形成を行うこともできる。
すべての堆積膜形成が終わった後、メインバルブ3118を閉じ、リークバルブ3117を開けて、反応容器3110の中を大気圧に戻す。その後、導電性基体3112を反応容器3110から取り出す。
本発明では、従来周知の表面層に比べて緻密なa−SiC表面層を形成した場合であっても感光体特性を維持しつつ、良好な密着性を得ることが可能となる。緻密なa−SiC表面層が形成可能となることにより、耐摩耗性が向上し、さらなる高寿命な電子写真感光体の作製が可能となる。
緻密なa−SiC表面層を形成する場合には、表面層形成時の条件にもよるが、一般的に、反応容器に供給するガス量が少ない方が良く、高周波電力は高い方が良く、反応容器内の圧力が高い方が良く、さらに、導電性基体の温度が高い方が良い。
まず、反応容器内に供給するガス量を減らし、かつ高周波電力を上げることにより、ガスの分解を促進させることができる。これにより、ケイ素原子供給源(例えば、SiH)よりも分解し難い炭素原子供給源(例えば、CH)を効率良く分解することができる。その結果、水素原子の少ない活性種が生成され、基体上に堆積した膜中の水素原子が減少するため原子密度の高いa−SiC表面層が形成可能となる。
また、反応容器内の圧力を高めることで、反応容器内に供給された原料ガスの滞留時間が長くなる、また、原料ガスの分解により生じた水素原子により弱結合水素の引き抜き反応が生じるために、ケイ素原子と炭素原子のネットワーク化が促進したためだと考えている。
さらに、導電性基体の温度を上げることにより、導電性基体に到達した活性種の表面移動距離が長くなり、より安定した結合をつくることができる。その結果、a−SiC表面層として、より構造的に安定した配置に各原子が結合できると考えられる。
<本発明の電子写真感光体を有する電子写真装置>
a−Si感光体を有する電子写真装置による画像形成方法について、図6を用いて説明する。まず、電子写真感光体6001を回転させ、電子写真感光体6001の表面を主帯電器6002により均一に帯電させる。その後、静電潜像手段6006により電子写真感光体6001の表面に光を照射し、電子写真感光体6001の表面に静電潜像を形成した後、現像器6012より供給されるトナーを用いて現像を行う。この結果、電子写真感光体6001の表面にトナー像が形成される。そして、転写帯電器6004により、このトナー像を搬送手段6011により搬送された転写材6010に転写し、分離帯電器6005により、電子写真感光体6001から転写材6010を分離して、トナー像を転写材に定着させる。
一方、クリーナー6009に設けられたマグネットローラー6007およびクリーニングブレード6008により、電子写真感光体6001の表面に残留するトナーを除去する。その後、除電器6003により、電子写真感光体6001の表面を露光することにより電子写真感光体6001中の静電潜像時の残キャリアを除電する。この一連のプロセスを繰り返すことで連続して画像形成が行われる。
本発明の電子写真感光体を搭載する電子写真装置に関しては特に制限はなく、図6に示す従来の電子写真装置であっても、耐摩耗性において、従来の電子写真感光体よりも大きな効果が得られる。
以下、実施例および比較例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらにより何ら制限されるものではない。
<実験例1>
図3に示す、周波数としてRF帯の高周波電源を用いたプラズマ処理装置を用いて、円筒状基体(直径80mm、長さ358mm、厚さ3mmの鏡面加工を施した円筒状のアルミニウム基体)上に下記表1に示す条件で電荷注入阻止層、光導電層を形成した。そして、光導電層を形成した後、下記表2に示す中間層成膜条件および下記表3に示す表面層成膜条件を用いて下記表4に示す条件によりプラス帯電用a−Si感光体を作製した。
その際、下記表4の成膜条件No.1および2に関しては、変化層1では、層厚が0.20μmとなるように成膜時間を調整し、内圧および高周波電力は一定層1と同様の条件とした。また、CH流量は、変化層1の成膜開始時は0sccm(standard cm/min)であり、変化層1終了時に一定層1のCH流量となるように直線状に変化させた。
下記表4の成膜条件No.3〜7に関しては、変化層1は成膜条件No.1および2と同様に行った。また、変化層2および変化層3に関しては、表1に示す層厚となるように成膜時間を調整した。さらに、変化層2および変化層3に関しては、高周波電力、SiH流量、CH流量、内圧は、各変化層の前に形成された層の成膜条件から各変化層の後に形成される成膜条件となるように直線状に変化させて形成した。表中の矢印は、変化層前に形成される層から変化層後に形成される層での成膜条件への直線状の変化を示す。
下記表4の成膜条件No.8に関しては、実質的に光導電層から表面層までの間の層厚が0μmとなるように、高周波電力、SiH流量、CH流量、内圧を切り替えて形成した。
Figure 0005675289
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Figure 0005675289
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実験例1により作製した成膜条件No.1〜7の電子写真感光体を用いて、中間層における炭素原子比、水素原子比、C2−C1およびH2−H1を後述の分析方法により求めた。
また、成膜条件No.8の電子写真感光体を用いて、表面層における炭素原子比、水素原子比、ケイ素原子の原子密度(以下、「Si原子密度」とも表記する。)、炭素原子の原子密度(以下、「C原子密度」とも表記する。)、前記Si原子密度と前記C原子密度の和(以下、「Si+C原子密度」とも表記する。)を後述の分析方法により求めた。これら結果を表5に示す。
(炭素原子比、水素原子比、C2−C1、H2−H1の測定)
実験例1の各成膜条件により作製した電子写真感光体を任意の周方向における長手方向の中央部を15mm四方(15mm×15mm)で切り出し、測定用試料を作製した。そして、測定用試料をRBS(ラザフォード後方散乱法)(日新ハイボルテージ(株)製:後方散乱測定装置 AN−2500)により、RBSの測定面積におけるケイ素原子および炭素原子の原子数の深さ方向測定を行った。測定したケイ素原子および炭素原子の原子数から、中間層における層厚方向での炭素原子比の分布、中間層および表面層の炭素原子比を求めた。そして、中間層における層厚方向での炭素原子比の分布に極大領域および極小領域が形成されていた場合は、極大領域での炭素原子比の最大値C1および極小領域での炭素原子比の最小値C2を求め、その差分であるC2−C1を求めた。
RBSと同時に、上述した測定用試料をHFS(水素前方散乱法)(日新ハイボルテージ(株)製:後方散乱測定装置 AN−2500)により、HFSの測定面積における表面層中の水素原子の原子数を測定した。HFSの測定面積から求めた水素原子の原子数の深さ方向測定を行った。そして、RBSの測定面積から求めたケイ素原子の原子数および炭素原子の原子数を用いて、中間層における層厚方向での水素原子比分布、中間層および表面層の水素原子比を求めた。さらに、中間層における層厚方向での炭素原子比の分布に極大領域が形成されていた場合は、炭素原子比の分布の極大領域での最大値C1の位置での水素原子比H1を求めた。
また、中間層における層厚方向での水素原子比の分布に極大領域が形成されていた場合は、水素原子比の分布の極大領域での水素原子比の最大値H2を求め、その差分であるH2−H1を求めた。
RBSおよびHFSの具体的な測定条件は、入射イオン:4He+、入射エネルギー:2.3MeV、入射角:75°、試料電流:35nA、入射ビーム経:1mmであり、RBSの検出器は、散乱角:160°、アパーチャ径:8mm、HFSの検出器は、反跳角:30°、アパーチャ径:8mm+Slitで測定を行った。
(層厚測定)
炭素原子比の測定および水素原子比の測定で用いた測定用試料を3mm四方(3mm×3mm)、高さ1mmに切り出した。この切り出した測定用試料を、FIB(日立ハイテクノロジーズ製:FB−2100)を用いて、幅0.05μm〜0.15μm、深さ(層厚方向)3μm〜5μmに薄片加工した。次に、この薄片加工した測定用試料を透過電子顕微鏡:TEM(日立ハイテクノロジーズ製:H−7500形)により層厚方向から観察し、得られた透過像から各成膜条件で形成した中間層および/または、表面層の層厚を確認した。
(Si+C原子密度、Si原子密度およびC原子密度の測定)
上述した炭素原子比の測定、水素原子比の測定により得られたRBSの測定面積から求めたケイ素原子および炭素原子の原子数と、上述した層厚測定により求めた表面層の層厚を用いて、Si原子密度、C原子密度およびSi+C原子密度を求めた。
実験例1について、成膜条件No.3〜7に関して、以下のものを表5に示す。
1)中間層における炭素原子比および水素原子比の層厚方向分布
2)炭素原子比の極大領域における炭素原子比の最大値C1
3)炭素原子比の極大領域における炭素原子比の最大値C1位置での水素原子比の最小値H1
4)炭素原子比の極小領域における炭素原子比の最小値C2
5)水素原子比の極大領域における水素原子比の最大値H2
また、成膜条件No.8に関しては、表面層の炭素原子比、水素原子比、Si原子密度、C原子密度およびSi+C原子密度に関して表5に示す。
なお、炭素原子比および水素原子比の層厚方向分布に関しては、図4に示す分布を用いて表中に記載した。
Figure 0005675289
光導電層上に変化層1および一定層1のみを形成した成膜条件No.1の電子写真感光体に関しては、一定層1での炭素原子比=0.62、水素原子比=0.33であった。また、成膜条件No.1と同様に、光導電層上に変化層1および一定層1のみを形成した成膜条件No.2の電子写真感光体に関しては、一定層1での炭素原子比=0.54、水素原子比=0.32であった。
成膜条件No.3に関しては、図1(a)に示すような炭素原子比および水素原子比の層厚方向で不均一な分布であった。また、炭素原子比の極小領域での最小値と水素原子比の極大領域での最大値は、層厚方向で同じ位置であった。
また、中間層での炭素原子比の層厚方向における極大領域の最大値は一定層1の領域であり、中間層での炭素原子比の層厚方向における極小領域の最小値および水素原子比の層厚方向における極大領域の最大値は一定層2の領域であった。そして、変化層1から一定層1までの領域は、成膜条件No.1と同様な炭素原子比および水素原子比の層厚方向分布であった。
成膜条件No.4に関しては、図2(b)に示すような炭素原子比および水素原子比の層厚方向で、炭素原子比の層厚方向での分布は、表面層に向かって連続的に増加する分布であった。また、変化層1から一定層1までの領域は、成膜条件No.1および3と同様な炭素原子比および水素原子比の層厚方向分布であった。
成膜条件No.6に関しては、図2(a)に示すような炭素原子比の層厚方向での分布が層厚方向で不均一な分布であり、炭素原子比に極大領域および極小領域を有する分布であった。また、水素原子比の層厚方向での分布が、表面層に向かって連続的に増加している分布であった。そして、炭素原子比の層厚方向での極小領域の最小値の位置での水素原子比は、表面層と同等の値であり、水素原子比の層厚方向において極大領域は存在しなかった。また、変化層1から一定層1までの領域は、成膜条件No.1、3および4と同様な炭素原子比および水素原子比の層厚方向分布であった。
成膜条件No.5と7に関しては、炭素原子比の層厚方向での分布が、表面層に向かって連続的に増加する分布であった。また、水素原子比の層厚方向での分布は層厚方向で不均一な分布であり、水素原子比に極大領域を有する分布であった。成膜条件No.5は図2(c)、成膜条件No.7は図2(d)に示す炭素原子比および水素原子比の層厚方向の分布であった。
成膜条件No.5の変化層1から一定層1までの領域は、成膜条件No.1、3、4および6と同様な炭素原子比および水素原子比の層厚方向分布であった。
成膜条件No.7の一定層2から表面層までの領域は、成膜条件No.3と同様な炭素原子比および水素原子比の層厚方向分布であった。また、変化層1から一定層1までの領域は、成膜条件No.2と同様な炭素原子比および水素原子比の層厚方向分布であり、成膜条件3、4、5、6での変化層1から一定層1までの領域よりも炭素原子比が少ない分布であった。
そのため、成膜条件No.5と7における中間層での炭素原子比の層厚方向分布は、中間層の最も光導電層側と最も表面層側の炭素原子比が同等で、その他の中間層領域においては、成膜条件No.7は成膜条件No.5よりも炭素原子比が小さい層厚方向分布であった。
<実施例1>
実験例1と同様に図3に示す周波数としてRF帯の高周波電源を用いたプラズマ処理装置を用いて、円筒状基体上に上記表1に示す条件で電荷注入阻止層、光導電層を形成した。そして、光導電層を形成した後、上記表4に示す成膜条件No.3の条件にて表面層を形成してプラス帯電用a−Si感光体を5本作製した。その際、表面層の層厚は、2.00μmになるように調整して形成した。また、上記表4に示す成膜条件No.3の条件における中間層成膜条件を上記表2に示す。
実施例1により作製した5本の電子写真感光体について後述の条件にて表面粗さ測定を行いRaおよびΔaを算出した。その後、4本の電子写真感光体を用いて、後述の評価条件にて密着性の評価を行った。そして、残りの1本の電子写真感光体により、後述の評価条件にて耐摩耗性、階調性および感度の評価を行った。これら結果を表6に示す。
<比較例1>
実施例1と同様に図3に示す周波数としてRF帯の高周波電源を用いたプラズマ処理装置を用いて、プラス帯電用a−Si感光体を5本作製した。ただし、中間層成膜条件は、上記表4に示す成膜条件No.4〜7の条件にて行った。その際、表面層の層厚は、2.00μmになるように調整して作製した。
比較例1により作製した電子写真感光体について、実施例1と同様に、表面粗さを算出した後、密着性、耐摩耗性、階調性および感度を評価した。それら結果を表6に示す。
(密着性評価)
密着性評価の方法は、以下のように促進評価法を用いて行った。
まず、評価位置は、作製した電子写真感光体の任意の周方向で長手方向3点(電子写真感光体の長手方向中央を基準として、0mm、±130mm)、および前記任意の周方向から120°および240°回転させた位置での長手方向3点、合計9点の位置である。
上述した測定位置を中心に50mm×50mmの範囲内にカッターナイフにより電子写真感光体の表面に傷をつけて、10mm×10mmの正方形25個を作製した。このとき作製した電子写真感光体の表面の傷は、基体まで到達させるように傷をつけた。
上述した方法で、作製した電子写真感光体4本に傷を作製した。この4本の電子写真感光体をケースに入れ、電子写真感光体全体が純水で覆われるまで純水を入れ、2週間放置した。
純水中で2週間放置した後に、電子写真感光体をケースより取り出し、10mm×10mmの正方形に剥がれがあるかを確認し、50mm×50mmの範囲の合計36ヶ所に対して剥がれが発生した50mm×50mmの範囲の比率を求め、密着性の評価を行った。このとき、50mm×50mmの範囲内にある10mm×10mmの正方形で発生した剥がれの数に関係なく、10mm×10mmの正方形の範囲が1つでも剥がれが発生した場合、その50mm×50mmの範囲は、剥がれが発生した範囲としてカウントした。
そして、比較例1で作製した成膜条件No.4で作製した電子写真感光体における50mm×50mmの範囲の合計36ヶ所に対して剥がれが発生した範囲の比を1.00とした相対比較を密着性の指標として評価した。なお、密着性評価に対して、C以上で本発明の効果が得られていると判断した。
A‥比較例1の成膜条件No.4における50mm×50mmの範囲の合計36ヶ所に対して剥がれが発生した50mm×50mmの範囲の数の比に対する、各成膜条件における50mm×50mmの範囲の合計36ヶ所に対して剥がれが発生した50mm×50mmの範囲の数の比が0.10未満。
B‥比較例1の成膜条件No.4における50mm×50mmの範囲の合計36ヶ所に対して剥がれが発生した50mm×50mmの範囲の数の比に対する、各成膜条件における50mm×50mmの範囲の合計36ヶ所に対して剥がれが発生した50mm×50mmの範囲の数の比が0.10以上0.25未満。
C‥比較例1の成膜条件No.4における50mm×50mmの範囲の合計36ヶ所に対して剥がれが発生した50mm×50mmの範囲の数の比に対する、各成膜条件における50mm×50mmの範囲の合計36ヶ所に対して剥がれが発生した50mm×50mmの範囲の数の比が0.25以上0.50未満。
D‥比較例1の成膜条件No.4における50mm×50mmの範囲の合計36ヶ所に対して剥がれが発生した50mm×50mmの範囲の数の比に対する、各成膜条件における50mm×50mmの範囲の合計36ヶ所に対して剥がれが発生した50mm×50mmの範囲の数の比が0.50以上。
(階調性評価)
階調性評価は、キヤノン製デジタル電子写真装置iR−5065の改造機を用いた。そして、まず、画像露光光による45度170lpi(1インチあたり170線)の線密度で面積階調ドットスクリーンを用い面積階調(すなわち画像露光を行うドット部分の面積階調)によって、全階調範囲を18段階に均等配分した階調データを作成した。このとき最も濃い階調を17、最も薄い階調を0として各階調に番号を割り当て、階調段階とする。
次に、上記の改造した電子写真装置に電子写真感光体を設置し、上記階調データを用いて、テキストモードを用いてA3用紙に出力する。このとき、温度22℃、相対湿度50%の環境下で、感光体ヒーターをONにして、電子写真感光体の表面を40℃に保った条件で出力した。
得られた画像を各階調ごとに反射濃度計(X−Rite Inc製:504 分光濃度計)により画像濃度を測定した。なお、反射濃度測定では各々の階調毎に3枚の画像を出力し、それら濃度の平均値を評価値とした。
こうして得られた評価値と階調段階との相関係数を算出した。そして、比較例1で作製した成膜条件No.7で作製した電子写真感光体の相関係数を1.00とした相対比較を階調性の指標として評価した。この評価において、数値が大きいほど階調性が優れており、直線的に近い階調表現がなされていることを示している。なお、階調性評価に対して、Cで本発明の効果が得られていると判断した。
A‥比較例1で作製した成膜条件No.7で作製した電子写真感光体の相関係数に対する各成膜条件にて作製された電子写真感光体の相関係数の比が1.10以上。
B‥比較例1で作製した成膜条件No.7で作製した電子写真感光体の相関係数に対する各成膜条件にて作製された電子写真感光体の相関係数の比が1.07以上1.10未満。
C‥比較例1で作製した成膜条件No.7で作製した電子写真感光体の相関係数に対する各成膜条件にて作製された電子写真感光体の相関係数の比が1.04以上1.07未満。
D‥比較例1で作製した成膜条件No.7で作製した電子写真感光体の相関係数に対する各成膜条件にて作製された電子写真感光体の相関係数の比が1.04未満。
(感度評価)
キヤノン製デジタル電子写真装置iR−5065の改造機を用いた。画像露光を切った状態で帯電器のワイヤーおよびグリットに、それぞれ高圧電源を接続し、グリット電位を820Vとし、帯電器のワイヤーへ供給する電流を調整して電子写真感光体の表面電位を400Vとなるように設定した。
次に、先に設定した帯電条件で帯電させた状態で、画像露光を照射し、その照射エネルギーを調整することにより現像器位置の電位を100Vとした。
感度評価で用いた電子写真装置の画像露光光源は、発振波長が658nmの半導体レーザーである。評価結果は比較例1で作製した成膜条件No.4の電子写真感光体を搭載した場合の照射エネルギーを1.00とした相対比較で示した。なお、感度評価に対して、B以上で本発明の効果が得られていると判断した。
A‥比較例1で作製した成膜条件No.4の電子写真感光体での照射エネルギーに対する照射エネルギーの比が1.10未満。
B‥比較例1で作製した成膜条件No.4の電子写真感光体での照射エネルギーに対する照射エネルギーの比が1.10以上1.15未満。
C‥比較例1で作製した成膜条件No.4の電子写真感光体での照射エネルギーに対する照射エネルギーの比が1.15以上。
(表面粗さの測定)
2本の電子写真感光体において、任意の周方向における長手方向の中央部を原子間力顕微鏡(AFM)(Quesant社製:Q−SCOPE250(Version3.181))により測定し、中心線平均粗さRaおよび算術平均傾斜Δaを算出した。得られたRaおよびΔaの平均値をRaおよびΔaの値とした。
具体的には、ヘッド:Tape10、プローブ:NSC16を用い、10μm×10μmの範囲をSCANRATE:4Hz、Integral Gain:600、Proportional Gain:500、Scan Resolution:300の測定条件で、Wavemadeにて測定した。解析ソフト:Quesant社製 Q−SCOPE250により得られたAFM観察像をTilt RemovalのParabolic Line By Lineを用いて、補正を行った。補正したAFM観察像をHistogram AnalysisにてRa、Δaを算出した。ただし、HistogramAnalysisでのRaは、Meas Deviationで表される値を用いた。実施例1および比較例1について、中間層における密着性、階調性および感度に関する結果を表6に示す。なお、表6に記載のC1、C2、H1およびH2は、実験例1により算出した結果である。
Figure 0005675289
実験例1より、成膜条件No.3で作製した電子写真感光体は、中間層における水素原子比の分布の極大領域における水素原子比の最大値が、表面層の水素原子比よりも大きく、かつ、層厚方向における炭素原子比の分布に極大領域および極小領域を有し、かつ、中間層における水素原子比の極小領域の少なくとも一部が、中間層における炭素原子比の極大領域とが重なっている分布であった。
このような中間層での炭素原子比および水素原子比の層厚方向の分布を有することで、良好な感光体特性を維持しつつ、密着性が良好であることがわかった。
実施例1および比較例1に用いた表面層は、実験例1と同様の成膜条件にて形成したものである。この表面層のSi+C原子密度は、7.14×1022原子/cmであり、実施例1で形成した中間層を用いることで、高密度な表面層を形成した場合であっても良好な密着性が得られることがわかった。また、表面層は、炭素原子比=0.71、水素原子比=0.39であった。
実施例1および比較例1で作製した電子写真感光体の表面粗さは、Raが32nm〜36nm、Δaが0.13〜0.16の範囲であった。
<実施例2>
実施例1と同様に、図3に示す周波数としてRF帯の高周波電源を用いたプラズマ処理装置を用いて、円筒状基体上に下記表7に示す条件で電荷注入阻止層、光導電層、中間層、表面層の順に成膜を行った。その際、中間層は下記表8に示す中間層形成条件を用いて下記表9に示す成膜条件No.に記載の条件にて行い、各成膜条件でプラス帯電用a−Si感光体を7本作製した。また、表面層の層厚は、作製した電子写真感光体のうち5本は2.00μm、1本は0.30μm、残り1本は0.05μmとなるように調整して形成した。
Figure 0005675289
Figure 0005675289
Figure 0005675289
実施例2により形成した表面層の層厚が2.00μmの電子写真感光体については、実施例1と同様に表面粗さを算出した後、4本の電子写真感光体を用いて密着性を評価し、残りの1本の電子写真感光体を用いて階調性および感度を評価した。また、実施例2により形成した表面層の層厚が0.05μmの電子写真感光体により、実験例1と同様に中間層の層厚方向における炭素原子比および水素原子比の分布、C1、C2、H1、H2、C2−C1、H2−H1を求めた。さらに、実施例2により形成した表面層の層厚が0.30μmの電子写真感光体により、表面層における炭素原子比、水素原子比、Si原子密度、C原子密度、Si+C原子密度、を後述の分析方法により求めた。それら結果を表12に示す。
(炭素原子比、水素原子比、Si原子密度、C原子密度、Si+C原子密度)
まず、電荷注入阻止層および光導電層のみを形成した電子写真感光体を作製し、任意の周方向における長手方向の中央部を15mm四方で切り出し、リファレンス試料1を作製した。
次に、電荷注入阻止層、光導電層および表面層を形成した電子写真感光体を、同様に切り出し、測定用試料を作製した。リファレンス試料1と測定用試料を分光エリプソメトリー(J.A.Woollam社製:高速分光エリプソメトリー M−2000)により測定し、表面層の層厚を求めた。
分光エリプソメトリーの具体的な測定条件は、入射角:60°、65°、70°、測定波長:195nmから700nm、ビーム径:1mm×2mmである。
まず、リファレンス試料1を分光エリプソメトリーにより各入射角で波長と振幅比Ψおよび位相差Δの関係を求めた。
次に、リファレンス試料1の測定結果をリファレンスとして、測定用試料をリファレンス試料と同様に分光エリプソメトリーにより各入射角で波長と振幅比Ψおよび位相差Δの関係を求めた。
さらに、電荷注入阻止層、光導電層、表面層を順次形成し、最表面に表面層と空気層が共存する粗さ層を有する層構成を計算モデルとして用いて、解析ソフトにより粗さ層の表面層と空気層の体積比を変化させて、各入射角における波長とΨおよびΔの関係を計算により求めた。そして、各入射角における上記計算により求めた波長とΨおよびΔの関係と測定用試料を測定して求めた波長とΨおよびΔの関係の平均二乗誤差が最小となるときの計算モデルを選択した。この選択した計算モデルにより表面層の層厚を算出し、得られた値を表面層の層厚とした。なお、解析ソフトはJ.A.Woollam社製のWVASE32を用いた。また、粗さ層の表面層と空気層の体積比に関しては、表面層:空気層を10:0から1:9まで粗さ層における空気層の比率を1ずつ変化させて計算をした。本実施例で各成膜条件により作製されたプラス帯電a−Si感光体においては、粗さ層の表面層と空気層の体積比が8:2のときに計算によって求められた波長とΨおよびΔの関係と測定して求められた波長とΨおよびΔの関係の平均二乗誤差が最小となった。
分光エリプソメトリーによる測定が終了した後、上記測定用試料をRBS(ラザフォード後方散乱法)(日新ハイボルテージ(株)製:後方散乱測定装置 AN−2500)により、RBSの測定面積における表面層中のケイ素原子および炭素原子の原子数を測定した。測定したケイ素原子および炭素原子の原子数から、炭素原子比を求めた。次に、RBSの測定面積から求めたケイ素原子および炭素原子に対し、分光エリプソメトリーにより求めた表面層の層厚を用いて、Si原子密度、C原子密度およびSi+C原子密度を求めた。
RBSと同時に、上記測定用試料をHFS(水素前方散乱法)(日新ハイボルテージ(株)製:後方散乱測定装置 AN−2500)により、HFSの測定面積における表面層中の水素原子の原子数を測定した。HFSの測定面積から求めた水素原子の原子数と、RBSの測定面積から求めたケイ素原子の原子数および炭素原子の原子数により、水素原子比を求めた。
RBSおよびHFSの具体的な測定条件は、前述した条件と同じである。
<比較例2>
実施例2と同様に図3に示す周波数としてRF帯の高周波電源を用いたプラズマ処理装置を用いて、円筒状基体上に上記表7に示す条件で電荷注入阻止層、光導電層、中間層、表面層の順に成膜を行った。その際、中間層は下記表10に示す中間層形成条件を用いて下記表11に示す成膜条件No.に記載の条件にて行い、各成膜条件でプラス帯電用a−Si感光体を6本作製した。また、表面層の層厚は、作製した電子写真感光体のうち5本は2.00μm、残り1本は0.05μmとなるように調整して形成した。
Figure 0005675289
Figure 0005675289
比較例2により作製した電子写真感光体について、実施例2と同様に、表面粗さを算出した後、中間層の層厚方向における炭素原子比および水素原子比の分布、C1、C2、H1、H2、C2−C1、H2−H1を求め、密着性、階調性、感度を評価した。それら結果を表12に示す。
実施例2および比較例2での測定結果および評価結果を表12に示す。
Figure 0005675289
実施例2および比較例2の中間層における炭素原子比および水素原子比の層厚方向の分布は図1(a)と同様の分布であった。
また、中間層での炭素原子比の層厚方向における極大領域の最大値は一定層1に、また、中間層での炭素原子比の層厚方向における極小領域の最小値および水素原子比の層厚方向における極大領域の最大値は一定層2に位置していた。
表12の結果より、中間層での炭素原子比の層厚方向における分布の極大領域の炭素原子比の最大値を0.53以上0.63以下とすることにより、階調性および感度が良好な電子写真感光体を作製することができた。
実施例2および比較例2に用いた表面層のSi+C原子密度は、7.73×1022原子/cmであった。このことから、中間層における炭素原子比および水素原子比の層厚方向の分布を図1(a)とすることで、高密度な表面層を形成した場合であっても良好な密着性が得られることがわかった。また、表面層の炭素原子比は0.67、水素原子比は0.30であった。
実施例2および比較例2で作製した電子写真感光体の表面粗さは、Raが32nm〜36nm、Δaが0.13〜0.16の範囲であった。
<実施例3>
実施例2と同様に、図3に示す周波数としてRF帯の高周波電源を用いたプラズマ処理装置を用いて、円筒状基体上に下記表13に示す条件で電荷注入阻止層、光導電層、中間層、表面層の順に成膜を行った。その際、中間層は、下記表14に示す中間層形成条件を用いて下記表15に示す成膜条件No.に記載の条件にて行い、各成膜条件でプラス帯電用a−Si感光体を6本作製した。また、表面層の層厚は、作製した電子写真感光体のうち5本は2.00μm、残り1本は0.05μmとなるように調整して作製した。
Figure 0005675289
Figure 0005675289
Figure 0005675289
実施例3により作製した電子写真感光体について、実施例2と同様に、表面粗さを算出した後、中間層の層厚方向における炭素原子比および水素原子比の分布、C1、C2、H1、H2、C2−C1、H2−H1を求め、密着性、階調性、感度を評価した。それら結果を表18に示す。
<比較例3>
実施例3と同様に図3に示す周波数としてRF帯の高周波電源を用いたプラズマ処理装置を用いて、円筒状基体上に上記表13に示す条件で電荷注入阻止層、光導電層、中間層、表面層の順に成膜を行った。その際、中間層は、下記表16に示す中間層形成条件を用いて下記表17に示す成膜条件No.に記載の条件にて行い、各成膜条件でプラス帯電用a−Si感光体を6本作製した。また、表面層の層厚は、作製した電子写真感光体のうち5本は2.00μm、残り1本は0.05μmとなるように調整して形成した。
Figure 0005675289
Figure 0005675289
比較例3により作製した電子写真感光体について、実施例2と同様に、表面粗さを算出した後、中間層の層厚方向における炭素原子比および水素原子比の分布、C1、C2、H1、H2、C2−C1、H2−H1を求め、密着性、階調性、感度を評価した。それら結果を表18に示す。
実施例3および比較例3での測定結果および評価結果を表18に示す。
Figure 0005675289
実施例3および比較例3の中間層における炭素原子比および水素原子比の層厚方向の分布は、成膜条件No.14〜17は図1(a)と同様の分布であり、また、成膜条件No.18は図2(c)と同様の分布であった。成膜条件No.18の変化層1から一定層1の領域は、成膜条件No.14〜17の変化層1から一定層1の領域と同様であった。
表18の結果より、中間層における炭素原子比の分布の極大領域での炭素原子比の最大値をC1、中間層における炭素原子比の分布の極小領域での炭素原子比の最小値をC2としたとき、C2が0.47以上、C1より小さくすることにより、階調性が良好であった。
また、C2−C1を−0.06以上−0.01以下にすることにより、さらに階調性が良好であった。
実施例3および比較例3に用いた表面層は、実験例1と同様の成膜条件にて形成したものである。この表面層のSi+C原子密度は、7.04×1022原子/cmであった。このことから、中間層における炭素原子比および水素原子比の層厚方向の分布を図1(a)とすることで、高密度な表面層を形成した場合であっても良好な密着性が得られることがわかった。また、表面層の炭素原子比は0.71、水素原子比は0.39であった。
実施例3および比較例3で作製した電子写真感光体の表面粗さは、Raが32nm〜36nm、Δaが0.13〜0.16の範囲であった。
<実施例4>
実施例2と同様に、図3に示す周波数としてRF帯の高周波電源を用いたプラズマ処理装置を用いて、円筒状基体上に下記表19に示す条件で電荷注入阻止層、光導電層、中間層、表面層の順に成膜を行った。その際、中間層は、下記表20に示す中間層形成条件を用いて下記表21に示す成膜条件No.に記載の条件にて行い、各成膜条件でプラス帯電用a−Si感光体を6本作製した。また、表面層の層厚は、作製した電子写真感光体のうち5本は2.00μm、残り1本は0.05μmとなるように調整して形成した。
Figure 0005675289
Figure 0005675289
Figure 0005675289
実施例4により作製した電子写真感光体について、実施例2と同様に、表面粗さを算出した後、中間層の層厚方向における炭素原子比および水素原子比の分布、C1、C2、H1、H2、C2−C1、H2−H1を求め、密着性、階調性、感度を評価した。それら結果を表24に示す。
<比較例4>
実施例4と同様に図3に示す周波数としてRF帯の高周波電源を用いたプラズマ処理装置を用いて、円筒状基体上に上記表19に示す条件で電荷注入阻止層、光導電層、中間層、表面層の順に成膜を行った。その際、中間層は、下記表22に示す中間層形成条件を用いて下記表23に示す成膜条件No.に記載の条件にて行い、各成膜条件でプラス帯電用a−Si感光体を6本作製した。また、表面層の層厚は、作製した電子写真感光体のうち5本は2.00μm、残り1本は0.05μmとなるように調整して形成した。
Figure 0005675289
Figure 0005675289
比較例4により作製した電子写真感光体について、実施例2と同様に、表面粗さを算出した後、中間層の層厚方向における炭素原子比および水素原子比の分布、C1、C2、H1、H2、C2−C1、H2−H1を求め、密着性、階調性、感度を評価した。それら結果を表24に示す。
実施例4および比較例4での測定結果および評価結果を表24に示す。
Figure 0005675289
実施例4および比較例4の中間層における炭素原子比および水素原子比の層厚方向の分布は、成膜条件No.19〜23は図1(a)と同様の分布であり、成膜条件No.24は図2(a)と同様の分布であった。成膜条件No.24の変化層1から一定層1の領域は、成膜条件No.19〜23の変化層1から一定層1の領域と同様であった。
表24の結果より、中間層における水素原子比の分布の極大領域での水素原子比の最大値H2を0.50以下にすることにより、階調性が良好な電子写真感光体が得られた。そして、中間層におけるH2−H1を0.05以上0.15以下にすることにより、さらに階調性が良好な電子写真感光体が得られた。炭素原子比の分布の極大領域での炭素原子比の最大値C1位置での水素原子比をH1とし、中間層における水素原子比の分布の極大領域での水素原子比の最大値をH2とした。
実施例4および比較例4に用いた表面層は、実施例2と同様の成膜条件にて形成したものである。この表面層のSi+C原子密度は、7.73×1022原子/cmであった。このことから、中間層における炭素原子比および水素原子比の層厚方向の分布を図1(a)とすることで、高密度な表面層を形成した場合であっても良好な密着性が得られることがわかった。また、表面層の炭素原子比は0.67、水素原子比は0.30であった。
実施例4および比較例4で作製した電子写真感光体の表面粗さは、Raが32nm〜36nm、Δaが0.13〜0.16の範囲であった。
<実施例5>
実施例2と同様に、図3に示す周波数としてRF帯の高周波電源を用いたプラズマ処理装置を用いて、円筒状基体上に下記表25に示す条件で電荷注入阻止層、光導電層、中間層、表面層の順に成膜を行った。その際、変化層2、一定層2、変化層3の各層厚を下記表26に示す条件となるように成膜時間を調整し、各成膜条件でプラス帯電用a−Si感光体を6本作製した。また、表面層の層厚は、作製した電子写真感光体のうち5本は2.00μm、残り1本は0.05μmとなるように調整して形成した。
Figure 0005675289
Figure 0005675289
実施例5により作製した電子写真感光体について、実施例2と同様に、表面粗さを算出した後、中間層の層厚方向における炭素原子比および水素原子比の分布、C1、C2、H1、H2、C2−C1、H2−H1を求め、密着性、階調性、感度を評価した。それら結果を表27に示す。
Figure 0005675289
実施例5の中間層における炭素原子比および水素原子比の層厚方向の分布は、図1(a)と同様の分布であった。
表27の結果より、中間層における炭素原子比の分布の極大領域から表面層までの距離d2を300Å以上とすることにより密着性がより向上した。さらに、表面層の層厚d1に対する中間層における炭素原子比の分布の極大領域から表面層までの距離d2の比(d2/d1)を0.05以上とすることで、さらに密着性が向上した。
また、中間層における炭素原子比の分布の極大領域から表面層までの距離d2を7000Å以下とすることにより感度が良好となった。
実施例5に用いた表面層は、実験例1と同様の成膜条件にて形成したものである。この表面層のSi+C原子密度は、7.04×1022原子/cmであった。このことから、中間層における炭素原子比および水素原子比の層厚方向の分布を図1(a)とすることで、高密度な表面層を形成した場合であっても良好な密着性が得られることがわかった。また、表面層の炭素原子比は0.71、水素原子比は0.39であった。
実施例5で作製した電子写真感光体の表面粗さは、Raが32nm〜36nm、Δaが0.13〜0.16の範囲であった。
<実施例6>
実施例2と同様に、図3に示す周波数としてRF帯の高周波電源を用いたプラズマ処理装置を用いて、円筒状基体上に下記表28に示す条件で電荷注入阻止層、光導電層、中間層、表面層の順に成膜を行った。その際、表面層形成時の高周波電力、SiH流量、CH流量および内圧を下記表29に示す成膜条件とし、各成膜条件No.でプラス帯電用a−Si感光体を6本作製した。また、表面層の層厚は、作製した電子写真感光体のうち5本は2.00μm、残り1本は0.30μmとなるように調整して形成した。
Figure 0005675289
Figure 0005675289
実施例6により形成した表面層の層厚が2.00μmの電子写真感光体については、実施例2と同様に表面粗さを算出した後、4本の電子写真感光体を用いて密着性を評価した。そして、残りの1本の電子写真感光体を用いて実施例2と同様に階調性および感度を評価した後、後述の評価条件にて耐摩耗性を評価した。また、実施例6により形成した表面層の層厚が0.30μmの電子写真感光体により、実施例2と同様に表面層の炭素原子比、水素原子比、Si原子密度、C原子密度およびSi+C原子密度を求めた。これら結果を表30に示す。
(耐摩耗性評価)
耐摩耗性の評価方法は、作製直後の電子写真感光体の表面層層厚を電子写真感光体の任意の周方向で長手方向9点(電子写真感光体の長手方向中央を基準として、0mm、±50mm、±90mm、±130mm、±150mm)、および前記任意の周方向から180°回転させた位置での長手方向9点、合計18点を測定し、その18点の平均値により算出した。
測定方法は、2mmのスポット径で電子写真感光体の表面に垂直に光を照射し、分光計(大塚電子製:MCPD−2000)を用いて、反射光の分光測定を行った。得られた反射波形をもとに表面層層厚を算出した。このとき、波長範囲を500nmから750nm、光導電層の屈折率は3.30とし、表面層の屈折率は前述したSi+C原子密度測定の際に行った分光エリプソメトリーの測定より求まる値を用いた。
層厚測定後、図6に示す構成の電子写真装置、より具体的には、キヤノン製デジタル電子写真装置iR−5065に電子写真感光体を温度25℃、相対湿度75%(容積絶対湿度17.3g/cm)の高湿環境下に設置し、連続通紙試験を実施した。
連続通紙試験時は、電子写真装置を稼働して連続通紙試験を実施している間および電子写真装置を停止している間を通じて常に感光体ヒーターをOFFにする条件で実施した。
具体的には、印字率1%のA4テストパターンを用いて、一日当たり2.5万枚の連続通紙試験を10日間実施して25万枚まで行う。
25万枚連続通紙試験が終了した後、電子写真感光体を電子写真装置から取り出し、作製直後と同じ位置で層厚を測定し、作製直後と同様に連続通紙試験した後の表面層層厚を算出した。そして、作製直後および連続通紙試験後で得られた表面層の平均層厚から差分を求め25万枚連続通紙試験での摩耗量を算出した。そして、実施例6で作製した成膜条件No.31の電子写真感光体の作製直後および連続通紙試験後で得られた表面層の平均層厚の差分を1.00とした相対比較により耐摩耗性を評価した。
A‥実施例6で作製した成膜条件No.31の電子写真感光体の表面層の平均層厚の差分に対する各成膜条件にて作製された電子写真感光体の表面層の平均層厚の差分の比率が0.60以下。
B‥実施例6で作製した成膜条件No.31の電子写真感光体の表面層の平均層厚の差分に対する各成膜条件にて作製された電子写真感光体の表面層の平均層厚の差分の比率が0.60より大きく0.70以下。
C‥実施例6で作製した成膜条件No.31の電子写真感光体の表面層の平均層厚の差分に対する各成膜条件にて作製された電子写真感光体の表面層の平均層厚の差分の比率が0.70より大きく0.80以下。
D‥実施例6で作製した成膜条件No.31の電子写真感光体の表面層の平均層厚の差分に対する各成膜条件にて作製された電子写真感光体の表面層の平均層厚の差分の比率が0.80より大きく0.90以下。
E‥実施例6で作製した成膜条件No.31の電子写真感光体の表面層の平均層厚の差分に対する各成膜条件にて作製された電子写真感光体の表面層の平均層厚の差分の比率が0.90より大きく1.00以下。
F‥実施例6で作製した成膜条件No.31の電子写真感光体の表面層の平均層厚の差分に対する各成膜条件にて作製された電子写真感光体の表面層の平均層厚の差分の比率が1.00より大きい。
実施例6により作製した電子写真感光体について、実施例2と同様に、表面粗さを算出した後、表面層の炭素原子比、水素原子比、Si原子密度、C原子密度、Si+C原子密度を求め、耐摩耗性、密着性、階調性、感度を評価した。それら結果を表30に示す。
Figure 0005675289
実施例6の中間層における炭素原子比および水素原子比の層厚方向の分布は、実施例1の成膜条件No.3と同じであり、図1(a)と同様の分布であった。
表30の結果より、表面層のSi+C原子密度を6.60×1022原子/cm以上とすることにより、耐摩耗性に優れた電子写真感光体が得られることがわかった。そして、表面層のSi+C原子密度を6.81×1022原子/cm以上とすることにより、さらに耐摩耗性に優れた電子写真感光体が得られることがわかった。
また、中間層における炭素原子比および水素原子比の層厚方向の分布を図1(a)とすることにより、高密度な表面層を形成した場合であっても、良好な密着性が得られることがわかった。そして、高密度な表面層を形成することで、耐摩耗性の向上により高寿命な電子写真感光体が得られた。
実施例6で作製した電子写真感光体の表面粗さは、Raが32nm〜36nm、Δaが0.13〜0.16の範囲であった。
<実施例7>
実施例6と同様に、図3に示す周波数としてRF帯の高周波電源を用いたプラズマ処理装置を用いて、円筒状基体上に上記表28に示す条件で電荷注入阻止層、光導電層、中間層、表面層の順に成膜を行った。その際、表面層形成時の高周波電力、SiHおよびCHの流量を下記表31に示す成膜条件とし、各成膜条件No.でプラス帯電用a−Si感光体を6本作製した。また、表面層の層厚は、作製した電子写真感光体のうち5本は2.00μm、残り1本は0.30μmとなるように調整して形成した。
Figure 0005675289
実施例7により作製した電子写真感光体について、実施例2と同様に表面粗さを算出した後、実施例6と同様に、表面層の炭素原子比、水素原子比、Si原子密度、C原子密度、Si+C原子密度を求め、耐摩耗性、密着性、階調性、感度を評価した。これら結果を表32に示す。
Figure 0005675289
実施例7の中間層における炭素原子比および水素原子比の層厚方向の分布は、実施例1の成膜条件No.3と同じであり、図1(a)と同様の分布であった。
表32の結果より、表面層のSi+C原子密度を6.60×1022原子/cm以上とした上で炭素原子比を0.61以上にすることで階調性が良好となることがわかった。また、表面層のSi+C原子密度を6.60×1022原子/cm以上とした上で炭素原子比を0.75以下にすることで、光吸収が抑制され、感度が良好となることがわかった。実施例7で作製した電子写真感光体の表面粗さは、Raが32nm〜36nm、Δaが0.13〜0.16の範囲であった。
<実施例8>
実施例6と同様に、図3に示す周波数としてRF帯の高周波電源を用いたプラズマ処理装置を用いて、円筒状基体の上に前記表28に示す条件で電荷注入阻止層、光導電層、中間層、表面層の順に成膜を行った。その際、表面層形成時の高周波電力、SiHおよびCHの流量を下記表33に示す成膜条件とし、各成膜条件No.でプラス帯電用a−Si感光体を6本作製した。また、表面層の層厚は、作製した電子写真感光体のうち5本は2.00μm、残り1本は0.30μmとなるように調整して形成した。
Figure 0005675289
実施例8により作製した電子写真感光体について、実施例2と同様に表面粗さを算出した後、実施例6と同様に、表面層の炭素原子比、水素原子比、Si原子密度、C原子密度、Si+C原子密度を求め、耐摩耗性、密着性、階調性、感度を評価した。これら結果を表35に示す。
<比較例5>
実施例8と同様に図3に示す周波数としてRF帯の高周波電源を用いたプラズマ処理装置を用いて、円筒状基体の上に上記表28に示す条件で電荷注入阻止層、光導電層、中間層、表面層の順に成膜を行い、プラス帯電用a−Si感光体を6本作製した。その際、表面層形成時の高周波電力、SiHおよびCHの流量を下記表34に示す条件とした。また、表面層の層厚は、作製した電子写真感光体のうち5本は2.00μm、残り1本は0.30μmとなるように調整して形成した。
Figure 0005675289
比較例5により作製した電子写真感光体について、実施例2と同様に表面粗さを算出した後、実施例6と同様に、表面層の炭素原子比、水素原子比、Si原子密度、C原子密度、Si+C原子密度を求め、耐摩耗性、密着性、階調性、感度を評価した。これら結果を表35に示す。
実施例8および比較例5での測定結果および評価結果を表35に示す。
Figure 0005675289
実施例8の中間層における炭素原子比および水素原子比の層厚方向の分布は、実施例1の成膜条件No.3と同じであり、図1(a)と同様の分布であった。
表35の結果より、表面層のH原子比を0.30以上にすることで、光吸収が抑制され、感度が良好となることがわかった。また、表面層のH原子比を0.45以下とすることで、耐摩耗性がさらに良好となることがわかった。
実施例8で作製した電子写真感光体の表面粗さは、Raが32nm〜36nm、Δaが0.13〜0.16の範囲であった。
なお、上記各例において、表面層の層厚をFIBおよびTEM、または、分光エリプソメトリーを用いて測定しているが、どちらの方法で測定しても、同じ値が得られた。
3100‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥堆積装置
3110‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥反応容器
3111‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥カソード電極
3112‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥導電性基体
3113‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥基体加熱用ヒーター
3114‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ガス導入管
3115‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥高周波マッチングボックス
3116‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ガス配管
3117‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥リークバルブ
3118‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥メインバルブ
3119‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥真空計
3120‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥高周波電源
3121‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥絶縁材料
3123‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥受け台
3200‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ガス供給装置

Claims (8)

  1. 基体、基体上の光導電層、該光導電層上の中間層、および、該中間層上の水素化アモルファスシリコンカーバイドで構成された表面層を有する電子写真感光体において、
    該中間層が、ケイ素原子、炭素原子および水素原子を含有し、
    該中間層におけるケイ素原子の原子数(Si)と炭素原子の原子数(C)と水素原子の原子数(H)との和に対する水素原子の原子数(H)の比(H/(Si+C+H))で定義される水素原子比の分布が、該中間層の層厚方向において極大領域を有し、
    該中間層における水素原子比の分布の極大領域における水素原子比の最大値が、該表面層の水素原子比よりも大きく、
    該表面層における水素原子比が、0.30以上0.45以下であり、
    該中間層におけるケイ素原子の原子数(Si)と炭素原子の原子数(C)との和に対する炭素原子の原子数(C)の比(C/(Si+C))で定義される炭素原子比の分布が、該中間層の層厚方向において極大領域および極小領域を有し、
    該中間層における炭素原子比の分布の極大領域における炭素原子比が、0.53以上0.63以下であり、
    該中間層における炭素原子比の分布の極小領域における炭素原子比が、0.47以上、かつ、該中間層における炭素原子比の分布の極大領域における炭素原子比よりも小さく、該中間層における水素原子比の極大領域の少なくとも一部が、該中間層における炭素原子比の極小領域と重なっており、
    該中間層における水素原子比の分布の極大領域は、
    該表面層の水素原子比が一定の場合は、該表面層における水素原子比の分布で最も光導電層側の位置を位置Pとし、該位置Pと同じ値の水素原子比となる位置であって、該光導電層側に最も近い位置を位置Qとしたとき、該位置Pと該位置Qの間が水素原子比の分布の極大領域であり、
    該表面層の水素原子比が一定でない場合は、該表面層における水素原子比の分布の最大値の位置を位置Pとし、該位置Pと同じ値の水素原子比となる位置であって、該光導電層側に最も近い位置を位置Qとしたとき、該位置Pと該位置Qの間が水素原子比の分布の極大領域であり、
    該中間層における炭素原子比の分布の極大領域は、
    該中間層において炭素原子比の分布の極大値の位置が極大領域であり、
    該極大値の位置が層厚方向に幅を有する場合は、その領域が極大領域であり、
    該中間層における炭素原子比の分布の極小領域は、
    該中間層において炭素原子比の分布の極大値の位置を位置Aとし、該位置Aよりも該表面層側に位置し、該位置Aと同じ値の炭素原子比となる位置を位置Bとしたとき、該位置Aと該位置Bの間が炭素原子比の分布の極小領域であり、
    該中間層において炭素原子比の分布の極大値の位置が層厚方向に幅を有する場合は、極大領域で最も表面層側の位置を位置Aとし、該位置Aよりも表面層側に位置し、該位置Aと同じ値の炭素原子比となる位置を位置Bとしたとき、該位置Aと該位置Bの間が炭素原子比の分布の極小領域であ
    ことを特徴とする電子写真感光体。
  2. 前記中間層における炭素原子比の分布の極大領域での炭素原子比の最大値をC1とし、前記中間層における炭素原子比の分布の極大領域での炭素原子比の最大値となる位置での水素原子比をH1とし、前記中間層における炭素原子比の分布の極小領域での炭素原子比の最小値をC2とし、前記水素原子比の分布の極大領域での水素原子比の最大値をH2としたとき、下記の式1および式2を満たす請求項1に記載の電子写真感光体。
    (式1) −0.06≦C2−C1≦−0.01
    (式2) 0.05≦H2−H1≦0.15
  3. 前記中間層における水素原子比の分布の極大領域における水素原子比の最大値が、0.50以下である請求項1または2に記載の電子写真感光体。
  4. 前記中間層における炭素原子比の分布の極大領域から前記表面層までの距離d2が300Å以上5000Å以下である請求項1〜3のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  5. 前記中間層において、前記表面層の層厚d1に対する前記中間層における炭素原子比の分布の極大領域から前記表面層までの距離d2の比(d2/d1)が、0.05以上である請求項1〜4のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  6. 前記表面層における炭素原子比が0.61以上0.75以下であり、ケイ素原子の原子密度と炭素原子の原子密度の和が6.60×1022原子/cm以上であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  7. 前記光導電層が、水素化アモルファスシリコンで構成されたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の電子写真感光体。
  8. 請求項1〜7のいずれか1項に記載の電子写真感光体を有する電子写真装置。
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