以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。以下においては、偏光板用の保護フィルムを光学フィルムの一例に挙げて、本発明の一実施の形態を説明する。なお、本明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺および縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
図1〜図4は本発明による一実施の形態を説明するための図である。このうち図4は、偏光板に含まれる保護フィルムの製造方法および製造装置を説明するための図である。一方、図1〜図3は、図4の製造方法で作製され得る保護フィルム、並びに、この保護フィルムを用いて作製され得る偏光板、液晶表示パネルおよび表示装置の一例を説明するための図である。まず、図1〜図3を参照して、本実施の形態で作製され得る保護フィルム、偏光板、液晶表示パネルおよび表示装置について説明し、その後、保護フィルムの製造方法を説明する。
図1に示された表示装置10は、液晶表示装置であって、液晶表示パネル15と、液晶表示パネル15の背面側(観察者側とは反対側)に配置された光源25と、光源25を背面側から覆う反射板21と、を有している。光源25は、複数の発光体26を含んでおり、液晶表示パネル15を背面側から照明する。一方、液晶表示パネル15は、光源25の発光体26で発光された光の透過または遮断を画素毎に制御するシャッターとして機能し、画像を形成する装置である。
液晶表示パネル15は、詳しくは後述するように、一対の偏光板12,40と、一対の偏光板間に配置された液晶セル11と、を有している。そして、液晶表示パネル15の一対の偏光板のうちの入光側の偏光板40と、光源25をなす発光体26と、によって、光学モジュール20が形成されている。なお、以下においては、液晶表示パネル15に含まれる一対の偏光板を区別するため、表示装置10の配置状態に関係なく、入光側の偏光板40の偏光板を下偏光板と呼び、出光側の偏光板12を上偏光板と呼ぶ。
この表示装置10は、直下型の液晶表示装置として構成されており、光源25をなす発光体26は、液晶表示パネル15と正面方向ndに直面する位置に、配置されている。すなわち、光源25をなす発光体26は、液晶表示パネル15の最入光側に位置する下偏光板40と正面方向ndに直面する位置に、配置されている。したがって、光源25をなす発光体26と、液晶表示パネル15の最入光側に位置する下偏光板40と、の間には、他の部材が介在しておらず、発光体26で発光された光は、直接、下偏光板40に入射するようになる。
光源25をなす発光体26として、種々の既知な発光体、例えば冷陰極管を用いることができる。ただし、図示する例では、複数の発光ダイオード(LED)26によって光源25が構成されている。図1から理解され得るように、多数の発光体26は、仮想平面上に二次元的に配置されている。すなわち、多数の発光体26が、仮想平面上において、一方向のみに配列されているのではなく、平面的な広がりを持って配置されている。とりわけ、図1に示す例において、光源25をなす発光体26は、第1の配列方向d1に並べられるとともに、当該第1の配列方向と直交する第2の配列方向d2にも並べられるようにして、配置されている。
また、反射板21は、光源25の発光体26で発光された光を液晶表示パネル15の側へ向けるための部材である。反射板21の少なくとも内側表面は、例えば金属等の高い反射率を有する材料からなっている。
なお、本明細書において、「出光側」とは、進行方向を折り返されることなく光源25の発光体26から液晶表示パネル15を経て観察者へ向かう光の進行方向における下流側(観察者側、図1においては紙面の上側)のことであり、「入光側」とは、進行方向を折り返されることなく光源25の発光体26から液晶表示パネル15を経て観察者へ向かう光の進行方向における上流側のことである。
また、本明細書において、「シート」、「フィルム」、「板」の用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。したがって、例えば、「シート」はフィルムや板とも呼ばれ得るような部材も含む概念である。一具体例として、「保護フィルム」には、「保護シート」と呼ばれる部材も含まれる。
さらに、本明細書において、「シート面(フィルム面、板面)」とは、対象となるシート状の部材を全体的かつ大局的に見た場合において対象となるシート状部材の平面方向と一致する面のことを指す。そして、本実施の形態においては、液晶表示パネル15のパネル面、下偏光板40の板面、後述する保護フィルム50のフィルム面、後述する保護フィルム50の本体部の入光側面55b等は、互いに平行となっている。また、本明細書において、「正面方向」とは、表示装置10の表示面10aへの法線方向ndと平行な方向のことを指し、本実施の形態においては、下偏光板40の板面への法線方向と平行となっている。
さらに、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件を特定する用語、例えば、「平行」、「直交」、「対称」等の用語については、厳密な意味に縛られることなく、同様の光学的機能を期待し得る程度の誤差を含めて解釈することとする。
次に、液晶表示パネル15について説明する。液晶表示パネル15は、上述したように、一対の偏光板12,40と、一対の偏光板12,40の間に配置された液晶セル11と、を有している。このうち偏光板12,40は、入射した光を直交する偏光成分に分解し、一方の偏光成分を透過させ、もう一方の偏光成分を吸収する機能(吸収型の偏光分離機能)を有している。
一方、液晶セル11は、一対の透明基板と、この透明基板間に設けられた液晶層と、を有している。液晶層に対して、一つの画素を形成する領域毎に、電界印加がなされ得るようになっている。そして、電界印加された液晶層の配向は変化するようになる。入光側に配置された下偏光板40を透過した特定方向(透過軸と平行な方向)の偏光成分は、一例として、液晶セル11のうちの電界印加されている液晶層の領域を通過する際にその偏光方向を90°回転させ、電界印加されていない液晶層を通過する際にその偏光方向を維持する。このため、液晶層の各領域への電界印加の有無によって、下偏光板40を透過した特定方向の偏光成分が、下偏光板40の出光側に配置された上偏光板12をさらに透過するか、あるいは、上偏光板12で吸収されて遮断されるか、を制御することができる。
ここで、図2および図3を参照して、下偏光板40についてさらに詳述しておく。下偏光板40は、吸収型の偏光分離機能を発揮し得る偏光子41と、偏光子41と接着された保護フィルム50と、を有している。図3に示すように、保護フィルム50は、液晶セル11に対面しない側から、言い換えると入光側から偏光子41に積層されており、偏光子41を外部から保護するようになっている。
また、偏光子41および保護フィルム50に隣接するようにして偏光子41および保護フィルム50の間に位置し、偏光子41および保護フィルム50を互いに接着する接着層(図示せず)を、設けるようにしてもよい。偏光子41および保護フィルム50の密着性を高めるための接着層は、従来からある種々の接着剤を用いて形成され得る。一具体例として、例えばポリビニルアルコール系樹脂を主成分とする水性接着剤を用いて接着層を形成することができる。なお、本明細書における接着は、粘着や糊付けを含む概念であり、同様に、本明細書における接着剤とは、粘着剤や糊を含む概念である。
今日まで種々の偏光子が開発されてきており、これらの任意の偏光子を偏光子41として用いることができる。一具体例として、ポリビニルアルコール系フィルムを基材とした偏光子41を用いることができる。ポリビニルアルコール系フィルムを基材とした偏光子41は、ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素や染料などの二色性色素を吸着あるいは染色させ、その後、一軸延伸して配向させることによって、光の吸収異方性がポリビニルアルコール系フィルムに付与され得る。
次に、保護フィルム50について説明する。ここで説明する保護フィルム50は、光の進行方向を変化させる光制御機能を有している。具体的な構成として、保護フィルム50の入光側面50bが、図2および図3によく示されているように、並べて配置された単位光学要素(単位プリズム)60によって形成された光学要素面(プリズム面)として構成されている。この光学要素面によって、保護フィルム50は集光機能を発現するようになっている。また、保護フィルム50は、バインダー樹脂中に分散された拡散成分59bを含んでおり、この拡散成分59bによって、保護フィルム50は光拡散機能を発現するようになっている。以下、保護フィルム50の構成について、さらに詳述する。
なお、本明細書における「単位光学要素」とは、屈折や反射等の光学的作用を光に及ぼして、当該光の進行方向を変化させる機能を有した要素のことを指し、「単位形状要素」、「単位プリズム」および「単位レンズ」といった要素と呼称の違いのみに基づいて区別されるものではない。同様に、「プリズム」および「レンズ」は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。
図3によく示されているように、保護フィルム50は、シート状の本体部55と、本体部55の入光側面55bに並べて配置された単位光学要素60と、を有している。各単位光学要素60は、その配列方向と交差する方向であって且つ保護フィルム50のフィルム面と平行な方向に、延びている。また、保護フィルム50に含まれる単位光学要素60は、互いに同一に構成されている。本実施の形態において、下偏光板40の板面への法線方向と平行な方向から観察した場合、単位光学要素60の配列方向は、複数の発光体26の第1の配列方向d1(図1参照)と平行となっている。
ところで、液晶表示パネル15は、多数の画素を画成する。液晶表示パネル15は、この画素毎に光の透過および遮断を制御することによって、映像を形成する。そして、単位光学要素60の配列方向は、下偏光板40の板面への法線方向と平行な方向から観察した場合、液晶表示パネル15の液晶セル11の画素の配列方向と交差、すなわち、画素の配列方向に対して傾斜または直交していることが好ましい。具体的には、下偏光板40の板面への法線方向と平行な方向から観察した場合に、単位光学要素60の配列方向と液晶セル11の画素の配列方向とが、1°以上45°以下の角度で傾斜していることが好ましく、2°以上15°以下の角度で傾斜していることがさらに好ましい。この場合、画素の規則的な配列に起因した周期性と、単位光学要素60の規則的な配列に起因した周期性と、の干渉によって生じるモアレ(干渉縞)を効果的に目立たなくさせることができる。また、モアレを目立たなくさせる観点からすれば、単位光学要素60の配列ピッチが、30μm以下となっていることが好ましい。
図3に示された断面は、単位光学要素60の配列方向と保護フィルム50のフィルム面への法線方向との両方向に沿った断面(以下。単に「主切断面」とも呼ぶ)である。図3に示すように、各単位光学要素60は、主切断面において、三角形形状となっている。とりわけ図示する例においては、単位光学要素60の主切断面における断面形状は、保護フィルム50のフィルム面への法線方向を中心として左右対称に配置された二等辺三角形状となっている。この二等辺三角形形状の頂角の角度θa(図3参照)は、集光機能を考慮して、例えば15°以上100°以下とすることができる。
また、保護フィルム50は、上述したように、拡散成分59bを有しており、この拡散成分59bによって、保護フィルム50は光拡散機能を発現するようになっている。より厳密には、保護フィルム50は、樹脂からなる主部59aと、主部59a中に分散された拡散成分59bと、を有する光拡散層51aを含んでいる。
本実施の形態における保護フィルム50は、図3によく示されているように、光拡散層51aと、拡散成分59bを含有していない樹脂層51bと、を有している。図示する例において、樹脂層51bは、光拡散層51aよりも入光側に配置されている。すなわち、光拡散層51aは、樹脂層51bよりも偏光子41の側に配置されている。
樹脂層51bは、上述した単位光学要素60と、本体部55の入光側の部分と、を構成している。一方、光拡散層51aは、樹脂層51bに隣接する本体部55の出光側の部分を構成している。また、後述する製造方法に起因して、光拡散層51aの主部59aと樹脂層51bとの間に、光学界面が存在しない。すなわち、光は、保護フィルム50内において樹脂層51bから光拡散層51aへ、光学作用を及ぼされることなく入射する。
樹脂層51bをなす樹脂材料および光拡散層51aの主部59aをなす樹脂材料として、優れた光学特性を有する種々の樹脂材料、例えば、ポリカーボネート系樹脂を用いることができる。ポリカーボネート系樹脂は、低リタデーションである点においても、下偏光板40に用いられる材料として好適である。
一方、光拡散層51aに分散された拡散成分59bは、主部59aとは異なる屈折率を有した粒状物、あるいは、それ自体が反射性を有した粒状物等から構成され得る。この拡散成分59bをなす粒状物は、金属化合物であってもよいし、気体を含有した多孔質物であってもよいし、さらには、単なる気泡であってもよい。また、粒状物からなる拡散成分59bの形状は、特に問われることはない。したがって、拡散成分59bは、図示された例のように球状(粒子状)である必要はなく、例えば回転楕円体形状や線状等の種々の形状を有することができる。
保護フィルム50は、拡散成分59bを含んだ光拡散層51aに起因して、光を拡散させる拡散機能を発現することができる。このように内添された拡散成分59bに起因した保護フィルム50の光拡散機能の程度は、主部59aをなす樹脂材料、主部59aの厚み、拡散成分59bの構成(形状、大きさ(粒径)、屈折率等)、拡散成分59bの濃度等を適宜設定することにより、極めて広い範囲内で調節可能である。具体的には、単なる表層部をマット面化(粗面化)しただけでは通常到達することが不可能な程度、例えば60%以上90%以下の範囲内に、保護フィルム50のヘイズ値を設定することも可能である。
ところで、下偏光板40の入光側面、言い換えると、液晶表示パネル15の入光面をなす保護フィルム50の入光側面50bは、単位光学要素60からなる光学要素面として形成されている。一方、保護フィルム50の出光側面50aは、平坦面として形成されている。これにより、空気等の混入を防止しながら、保護フィルム50と偏光子41とを安定して積層および接着することが可能となる。
なお、本明細書において、保護フィルム50の偏光子41に対面する側の面50a、つまり保護フィルム50の出光側面50aに対して用いる「平坦」とは、保護フィルム50と偏光子41との安定した積層および接着を確保し得る程度の平坦を指す。例えば、保護フィルム50の偏光子41に対面する側の面50aの表面粗さが、JISB0601(1982年)に準拠して十点平均粗さRzとして測定された場合に、1.0μm以下であれば平坦と言える。
このように保護フィルム50が拡散成分59bを内添されているにもかかわらず、保護フィルム50の出光側面50aが平坦であることから、いわゆる「水貼り」によって、保護フィルム50および偏光子41を積層および接着することができる。具体的には、水、或いは、界面活性剤等の好適な添加剤が混合された水溶液(または、懸濁液)を間に介在させた状態で、保護フィルム50および偏光子41を互いに重ね合わせていく。これにより、空気等の異物の混入を防止しながら、保護フィルム50および偏光子41を積層することができる。またこの際、水あるいは水溶液(または懸濁液)に接着剤(例えば糊等)を混合しておくことにより、あるいは、保護フィルム50および偏光子41の少なくとも一方に接着層を予め設けておき、保護フィルム50および偏光子41を積極的に接着するようにしてもよい。
なお、「水貼り」後に、保護フィルム50および偏光子41からの水分の除去を促進するため、保護フィルム50の透湿度が、温度40℃、湿度90%RHでの状況下で、10g/m2・24hr以上となっていることが好ましい。ただし、透湿度が高すぎると、吸湿に起因した反りや曲がりが発生し得るため、透湿度が、温度40℃、湿度90%RHで測定して400g/m2・24hr以下であることが好ましい。なお、本明細書における透湿度とは、JISZ0208に準拠してカップ法を用いて測定された数値を指す。
次に、主に図4を参照して、以上のような構成からなる保護フィルム50の製造方法の一例について説明する。なお、以下の説明では、保護フィルム50が、押し出し加工によって押し出された押し出し材として形成されている。
まず、保護フィルム50の製造に用いられる押し出し装置(保護フィルムの製造装置)80について説明する。図4に示すように、保護フィルムの製造装置としての押し出し装置80は、ダイ82aを含む押し出し機82と、成型ロール84と、成型ロール84に対向して配置されたバックアップ手段86と、成型ロール84およびバックアップ手段86の下流側に配置された誘導手段88と、を有している。誘導手段88は、一対のガイドロール88aとして構成されている。また、押し出し装置80は、成型ロール84を加熱する加熱手段83と、成型ロール84を冷却する冷却手段87と、を有している。
成型ロール84は、円柱状の外形状を有しており、本例において、成型ロール84の円柱状の外周面には、単位光学要素60の断面形状に対応した形状を有する溝が、螺旋状に形成されている或いは周状に多数形成されている。円柱状の成型ロール84は、当該円柱の中心を通過する回転軸線を中心として回転可能となっている。
また、成型ロール84は、中心部85aと、表層部85cと、中心部85aおよび表層部85cの間に設けられ表層部85cを中心部85aから隔離する断熱部(断熱層)85bと、を有している。表層部85cは、成型ロール84の成型面84aを構成し、成型面84aには、押し出し機82から押し出されたフィルム材料90に転写すべき凹凸形状が形成されている。断熱部85bは、表層部85cおよび中心部85aのいずれよりも高い断熱性を有している。なお、断熱性の高低は、熱伝導率を用いて評価され得り、熱伝導率の値が小さいほど、断熱性が高いと言える。一例として、断熱部85bを、ポリエーテルエーテルケトン等のスーパーエンプラや、セラミクスから形成し、表層部85cおよび中心部85aを鋼から構成することができる。
バックアップ手段86は、二以上の支持ロール86aと、二以上の支持ロール86a間に架け渡された無縁のベルト部材(ベルト)86bと、を有している。図示する例では、バックアップ手段86は、二つの支持ロール86aを有している。各支持ロール86aは、円柱状に形成され、当該円柱の中心を通過する回転軸線を中心として回転可能となっている。各支持ロール86aの回転軸線は、互いに平行であり、且つ、成型ロール84の回転軸線とも平行になっている。そして、二以上の支持ロール86aは、回転軸線を中心として回転することにより、当該支持ロール86aに架け渡されたベルト部材86bを駆動することができる。
図示する例において、二つの支持ロール86aのうちの一方は、成型ロール84に対向して配置されたニップロール86a1として構成されている。二つの支持ロール86aのうちの他方は、ニップロール86a1との間で、ベルト部材86bの移動経路を確定する調整ロール86a2として構成されている。
図4に示すように、ニップローロール86a1と調整ロール86a2との間において、ベルト部材86bは、成型ロール84からの押圧により、成型ロール84の外輪郭に対応して変形するようになっている。このため、後述するようにベルト部材86bと成型ロール84との間を通過するフィルム材料90が、その移動経路に沿った或る長さのニップ区間NZにわたって、ベルト部材86bと成型ロール84とによって加圧され続けることになる。図4に示す構成では、例えば、ニップ区間NZの長さは、支持ロール86a、とりわけ調整ロール86a2の位置を調整することによって、適宜調整され得る。
このような成型ロール84、ニップロール86a1、調整ロール86a2およびベルト部材86bは、種々の材料を用いて構成される。例えば、成型ロール84、ニップロール86a1および調整ロール86a2については、金属製のロールや、中心部が金属製であるとともに表層部が弾性体(例えばゴム)からなるロール等を用いることができる。また、ベルト部材86bとしては、耐久性を有した金属製の無縁ベルト、例えば、クロム合金やニッケル合金などの金属合金製のベルト状の部材を、用いることができる。
なお、以上の例に限られず、バックアップ手段86が単なる金属ロールまたはゴムロール等から構成されていてもよい。
加熱手段83は、図4に示すように、成型ロール84のうちのバックアップ手段86と対面する直前の位置において、すなわち、成型ロール84のうちの押し出し材90に接触する直前の位置において、成型ロール84を成型面84aから加熱することができる。加熱手段83としては、図4に示すように、遠赤外線ヒータ83aを用いることができる。
一方、冷却手段87は、押し出し材90の移動経路に沿ったバックアップ手段86と調整手段88との間となる位置において、成型ロール84に対向して配置されている。冷却手段87は、押し出し材90を介して成型ロール84の表層部85cに当接し、成型ロール84を成型面84aから冷却することができる。冷却手段87としては、内部に冷媒(例えば、冷却水)の循環路が形成された冷却ロール87aを用いることができる。
なお、上述したように、成型ロール84は、成型面84aをなす表層部85cに隣接し、断熱性に優れた断熱部85bを設けられている。したがって、加熱手段83から熱を加えられるのは、主として、成型ロール84の表層部85cとなり、且つ、冷却手段87に熱を奪われるのは、主として、成型ロール84の表層部85cとなる。このため表層部85cの層厚を薄くして表層部85cの熱容量を小さくしておくことにより、加熱手段83および冷却手段87を用いて、成型ロール84の表層部85cの温度を迅速に且つ大幅に変化させることが可能となる。具体的には、冷却手段87によって冷却された成型ロール84の表層部85cを、加熱手段83からの加熱によって、短時間で加熱することができ、逆に、加熱手段83によって加熱された成型ロール84の表層部85cを、冷却手段87による冷却によって、短時間で冷却することができる。
次に、このような製造装置(押し出し装置)80を用いて、上述した保護フィルム50を製造する方法について説明する。ここで説明する方法においては、いわゆる共押し出しにより、上述した光拡散層51aおよび樹脂層51bを含んでなる押し出し材としてのフィルム材料90を製造する。そして、得られたこのフィルム材料90が保護フィルム50をなすようになる。
まず、光拡散層51aをなすようになる第1の材料と、樹脂層51bをなすようになる第2の材料と、を押し出し機82に投入する。光拡散層51aをなすようになる第1の材料には、主部59aをなすようになる熱可塑性樹脂(例えば、ペレット状の熱可塑性樹脂材料)と、拡散成分59bをなすようになる粒状物と、が含まれている。また、樹脂層51bをなすようになる第2の材料には、樹脂層51bをなすようになる熱可塑性樹脂(例えば、ペレット状の熱可塑性樹脂材料)が含まれる。第2の材料に含まれる第2の熱可塑性樹脂は、第1の材料に含まれる第1の熱可塑性樹脂と異なる樹脂材料であってもよいし、第1の材料に含まれる熱可塑性樹脂と同一の樹脂材料であってもよい。
押し出し機82に投入された第1および第2の樹脂材料をなす熱可塑性樹脂は、押し出し機82内でガラス転移点温度以上に加熱される。そして、加熱されて軟化した第1および第2の樹脂材料が押し出し機82によって押し出される。
一例として、ガラス転移点温度が140℃近辺となるポリカーボネート系樹脂が、第1および第2の樹脂材料に含まれる熱可塑性樹脂として用いられる場合、ダイ82aを通過した直後の熱可塑性樹脂の温度が300℃程度となるように、押し出し機82内で熱可塑性樹脂を加熱するようにしてもよい。また、押し出し加工によって保護フィルム50を作製する場合、拡散成分59bをなすようになる粒状物の平均粒径(体積相当法で算出された粒径、すなわち体積相当径の算術平均、以下同様)を0.8μm〜15μmとし、拡散成分59bをなすようになる粒状物の含有量が0重量%を超え40重量%以下とすることができる。
このようにして、熱可塑性樹脂と熱可塑性樹脂内に分散された拡散成分とを有した第1の層(光拡散層51aをなすようになる層)と、熱可塑性樹脂からなる第2の層(樹脂層51bをなすようになる層)と、を有するフィルム材料90が、押し出し材として、形成される。この際、押し出し機82のダイ82aにおいて、フィルム材料90の厚みは所望の厚さに制御され得る。
押し出し機82から押し出されたフィルム材料90は、成型ロール84とバックアップ手段86との間へ進む。この際、フィルム材料90のうちの、熱可塑性樹脂と熱可塑性樹脂内に分散された拡散成分とを有した第1の層(光拡散層51aをなすようになる層)が、バックアップ手段86と接触し、熱可塑性樹脂からなる第2の層(樹脂層51bをなすようになる層)が成型ロール84と接触するようになる。そして、フィルム材料90は、バックアップ手段86の無縁ベルト86bによって熱可塑性樹脂および粒状物からなる第1の層(光拡散層51aをなすようになる層)の側から支持された状態で、成型ロール84によって熱可塑性樹脂からなる第2の層(樹脂層51bをなすようになる層)の側から押圧される。バックアップ手段86の無縁ベルト86bと成型ロール84とによるフィルム材料90の押圧は、フィルム材料90が、所定長さの区間NZを進む間に亘って、継続される。
このようにして、成型ロール84の型面84aがフィルム材料90の熱可塑性樹脂からなる層(樹脂層51bをなすようになる層)に押し付けられ、成型面84aの凹凸形状がフィルム材料90に転写される。また、フィルム材料90が、成型ロール84とバックアップ手段86の無縁ベルト86bとによって挟圧されている間に、拡散成分はフィルム材料90の内部に押し込まれる。
なお、無縁ベルト86bは、成型ロール84と比較して熱容量が格段に小さく、また、ヒータ等によって加熱されない。したがって、無縁ベルト86bは、フィルム材料90から熱を吸収したとしても、フィルム材料90に接触していない間に十分な放熱を行う。このため、無縁ベルト86bが再度フィルム材料90に接触する際には、無縁ベルト86bの温度は十分に低下しており、無縁ベルト86bはフィルム材料90の冷却を促進する。結果として、フィルム材料90がバックアップ手段86の無縁ベルト86bから離間する際に、フィルム材料90の無縁ベルト86bに接触していた熱可塑性樹脂および粒状物からなる第1層(光拡散層51aをなす層)が十分に冷却される。すなわち、当該層に含まれる熱可塑性樹脂がそのガラス転移点温度未満の温度に到達するよう、無縁ベルト86bによってフィルム材料90を十分に冷却することができる。
しかも、このように、光拡散層51aの主部59aをなすようになる樹脂材料についてのガラス転移点温度未満まで、光拡散層51aをなすようになる第1層の温度が低下している場合には、当該熱可塑性樹脂材料は或る程度の変形抵抗を有するようになる。このため、主部59aをなすようになる樹脂材料の熱膨張率と、拡散成分59bをなすようになる粒状物の熱膨張率との差に起因した熱変形が生じにくくなる。すなわち、その後の冷却過程において、主部59aをなすようになる樹脂材料の部分が後退し、拡散成分59bをなすようになる粒状物の輪郭が浮き上がってくることが抑制され、フィルム材料90の無縁ベルト86bに接触していた面を平坦な面に維持することができる。
一方、押し出し機82から押し出された直後のフィルム材料90の温度は、300℃程度にまで上昇している。このフィルム材料90に接触することになる成型ロール84は、フィルム材料90に接触を開始する直前に、加熱手段83によって成型面84aの側から加熱される。成型面84aを含む表層部85cは、断熱部85bによって中心部85aから区画されており、迅速に且つ大幅にその温度を上昇させられ得る。この際、成型面84aの温度は、フィルム材料90の成型ロール84によって賦型されるようになる樹脂材料のガラス転移点温度以上の温度、例えば、賦型される樹脂材料がポリカーボネートである場合には160℃程度にまで加熱される。このようにして、押し出された直後のフィルム材料90が、加熱されて当該フィルム材料90をなす熱可塑性樹脂のガラス転移点温度以上の表面温度を有した成型ロール84の成型面84aと、バックアップ手段86の無縁ベルト86bと、によって加圧される。
フィルム材料90は、所定長さの区間NZを進む間に亘って、バックアップ手段86の無縁ベルト86bと成型ロール84との間で押圧された状態となる。この間、上述したようにフィルム材料90はバックアップ手段86の無縁ベルト86bに熱を奪われ、また、フィルム材料90は成型ロール84からも熱を奪われる。ただし、上述したように無縁ベルト86bの側からはフィルム材料90の熱が急速に奪われるが、成型ロール84は、フィルム材料90に接触する直前に加熱されている。したがって、賦型されるべき樹脂が、高温、好ましくはそのガラス転移転温度以上の温度に維持された状態で、所定の時間に亘って、成型ロール84の成型面84aによって押圧されることになる。この結果、フィルム材料90には、所望の凹凸形状が精度良く賦型されることになる。
図4に示すように、バックアップ手段86と成型ロール84との間での押圧から解放されたフィルム材料90は、その後においても、バックアップ手段86および誘導手段88に支持された状態で、成型ロール84の成型面84aへ向けて押圧されている。成型ロール84の成型面84a上に配置されたフィルム材料90は、その後、成型ロール84と冷却手段87をなす冷却ロール87aとの間を通過する。冷却ロール87aは、その表面温度が、フィルム材料をなす熱可塑性樹脂のガラス転移点温度未満の温度となるように、維持されている。この冷却手段87によって、フィルム材料90は、成型面84aに向けて押圧されながら冷却される。したがってこの冷却中、フィルム材料90は、成型面84aに向けて押圧されることから変形を拘束される。これにより、フィルム材料90の賦型された凹凸形状(単位光学要素60をなすようになる凹凸形状)が、熱収縮によって期待された形状から大きく変形してしまうことを、効果的に防止することができる。
同時に、成型ロール84の成型面84aを含む表層部85cも、冷却ロール87aにより、フィルム材料90を介して冷却される。これにより、フィルム材料90を、成型ロール84の表層部85cとともに、当該フィルム材料をなす樹脂材料のガラス転移点温度未満の温度にまで、例えば、冷却される樹脂材料がポリカーボネートである場合には130℃程度にまで安定して冷却され得る。このようにして。成型ロール84の表層部85cの温度までもが、当該フィルム材料90をなす樹脂材料のガラス転移点温度未満まで冷却されるので、その後、フィルム材料90の温度が再びガラス転移点温度を越す温度まで上昇することもなく、これにより、成型ロール84の予備加熱に起因して高精度に賦型された形状をその後もそのままに維持することができる。
成型ロール84から離型した押し出し材90は、その後、誘導手段88によって、冷却されるとともに、適度なテンションを付加されて反りや曲がりを矯正されながら、誘導される。以上のようにして、熱可塑性を有した樹脂材料を粒状物とともに押し出してなるフィルム材料(押し出し材)90からなる保護フィルム50が作製される。なお、保護フィルム50の平坦な出光側面50aは、フィルム材料90のバックアップ手段86に接触していた面によって形成され、保護フィルム50の単位光学要素60が形成された入光側面50bは、押し出し材90の成型ロール84に接触していた面によって形成される。
上述してきた製造方法によれば、ウェブ状の保護フィルム50(ウェブ状のフィルム材料90)が作製され得る。このため、ウェブ状の保護フィルム50に、作製されるべき下偏光板40に対応した大きさ(一枚取り又は複数枚取り)となっている枚葉状の偏光子41を順次接着していくことにより、あるいは、ウェブ状に形成された偏光子41を接着していくことにより、ウェブ状の材料が得られ、このウェブ状材料は、互いにつなぎあわされた多数の下偏光板40を含んでいる。そして、このウェブ状材料を切断(または打ち抜き等の適切な取り出し加工)していくことにより、下偏光板が順次得られるようになる。
すなわち、上述した製造方法によれば、ウェブ状の保護フィルム50を作製することができ、且つ、この保護フィルム50をロール・トゥ・ロールで取り扱いながら下偏光板540を効率的に作製していくことができる。これにより、上述した方法によれば、保護フィルム50を安価に製造することを可能にするだけでなく、作製された保護フィルム50を用いることによって下偏光板40の製造を容易にし、結果として、下偏光板40を極めて安価に作製することを可能にし得る。
なお、ここでの説明では、偏光板用の保護フィルムを光学フィルムの一例として製造しているが、この例に限られず、種々の用途に用いられる光学フィルムを高精度に製造することができる。
次に、主として図3を参照しながら、保護フィルム50に起因した表示装置10の作用について説明する。
図3において、光源25の発光体26で発光された光は、直接または反射板21で反射した後に観察者側に進み、液晶表示パネル15に入射する。液晶表示パネル15の最入光側には下偏光板40が設けられている。そして、下偏光板40の保護フィルム50が、液晶表示パネル15の最入光側面を形成している。
保護フィルム50は、上述したように、光の進行方向が正面方向ndに対してなす角度を全体的に小さくするように当該光の進行方向を変化させる集光機能と、光を拡散させる光拡散機能を有している。このうち集光機能は、保護フィルム50の単位光学要素60によって発現され、光拡散機能は、保護フィルム50の光拡散層51aによって主として発現される。そして、単位光学要素60が、保護フィルム50の入光側面を形成し、光拡散層51aは、保護フィルム50の出光側に設けられている。このため、保護フィルム50に入射した光には、まず、集光機能が及ぼされ、その後に光拡散機能が及ぼされるようになる。
図3によく示されているように、単位光学要素60による集光機能の基本原理は、単位光学要素60の一方の入光側面60b1から入射した光L31,L32を、他方の入光側面60b2において全反射させることにより、当該光の進行方向が正面方向ndに対してなしている角度を減じるものである。すなわち、単位光学要素60による集光機能は、主として、単位光学要素60の配列方向と平行な光の成分に対して及ぼされる。そして、単位光学要素60の断面形状を適宜設計しておくことにより、図3に示すように、保護フィルム50の単位光学要素60での集光機能が、その配列方向に隣り合う二つの発光体26の中間点に対面する位置を含む領域であって、明るさが低下してしまう傾向のある領域において、顕著に発揮されるようになる。
すなわち、単位光学要素60は、その配列方向に沿った光の成分を集光させるだけでなく、その配列方向に沿った明るさのムラを緩和する機能も発揮する。上述したように、単位光学要素60が主としてその配列方向と平行な光の成分に対して光学機能を発揮することから、図1および図3に示す例のように、単位光学要素60の配列方向が発光体26の配列方向と平行な場合に、当該発光体26の配列方向に沿った明るさのばらつきを、効果的に均一化して目立たなくさせることができる。したがって、図1に示された例では、二次元配列された発光体26の第1の配列方向が、単位光学要素60の配列方向と平行になっているため、第1の配列方向に沿った明るさのムラを解消し、輝度の面内分布を効果的に均一化することができる。
以上のように、保護フィルム50の単位光学要素60は、正面方向輝度の向上に役立つとともに、光源25の発光体26の構成(配置)に起因した明るさのムラ(輝度の面内ばらつき)を緩和することにも役立つ。加えて、本実施の形態においては、単位光学要素60中に拡散成分59bが分散されていないため、入射面60b1および全反射面60b2として機能する単位光学要素60の表面(プリズム面)が、拡散成分59bに起因した凹凸のない平坦面として高精度に形成され得る。これにより、保護フィルム50の単位光学要素60が、期待された所望の光学機能を発揮することができる。
保護フィルム50内におけるこのような集光機能の程度は、隣り合う二つの発光体26の配置ピッチpa1、保護フィルム50のフィルム面への法線方向に沿った発光体26と保護フィルム28との離間距離la1、単位光学要素60の形状、単位光学要素60の屈折率等を適宜設定することにより、極めて広い範囲内で調節可能である。
単位光学要素60を介して保護フィルム50へ入射した光は、その後、本体部55内を、樹脂層51bから、光拡散機能を有した光拡散層51aへと進む。この光拡散層51aは、主部59aと、主部59a中に分散された拡散成分59bと、を有しており、この内添された拡散成分59bに起因して光拡散機能を発現する。このような内添された拡散成分59bに起因した光拡散層51aでの光拡散機能は、例えば賦型によって表面をマット面化すること或いは表層部に粒状物を設けることによって表面をマット面化することに起因した光拡散機能と比較して、程度(拡散の強さ)および質(拡散の均一性)において格段に優れる。
具体的には、単に表面がマット化されたに過ぎない場合には、素抜けしてしまう光(進行方向を変化させられない)が生じてしまう。その一方で、内添された拡散成分59bによれば、平面方向だけでなく厚さ方向にも拡散成分59bが分散することになる。このため、光拡散層51aに入射した光は、高い確率で、一回以上拡散成分59bに衝突して、その進行方向を変化させるようになる。また、上述したように、主部59aをなす樹脂材料、主部59aの厚み、拡散成分59bの構成(形状、大きさ(粒径)、屈折率等)、拡散成分59bの濃度等を適宜設定することにより、極めて広い範囲内で光拡散層51aの光拡散機能の程度を調節することができる。
以上のようにして、面光源装置20からの光を保護フィルム50の光拡散層51aで或る程度拡散させることができる。これにより、保護フィルム50の単位光学要素60によって集光された後での、輝度の角度分布を滑らかに変化させるようにすることができる。また、保護フィルム50の光拡散層51aにおける光拡散機能の程度を適宜調節しておくことにより、第1配列方向d1および第2配列方向d2に沿った発光体26の配列に起因する輝度の面内分布を効果的に均一化して、発光体26の像(ライトイメージ)が視認されてしまうことをより確実に防止することもできる。
保護フィルム50の光拡散層51aで拡散された光は、その後、保護フィルム50の出光側に配置された下偏光板40の偏光子41、液晶セル11および上偏光板12に向かうことになる。この際、液晶セル11は、画素毎に光を選択的に透過させ、これにより、表示装置10の観察者が、映像を観察することができるようになる。
以上のような本実施の形態によれば、加熱されて押し出された押し出し材からなるフィルム材料90に、成型ロール84を用いて成型加工を施すことによって、保護フィルム50が作製される。この際、成型ロール84は、中心部85aと、成型面84aをなす表層部85cと、中心部85aおよび表層部85cのいずれよりも高い断熱性を有するとともに中心部85aと表層部85cとの間に設けられ表層部85cを中心部85aから離間させる断熱部85bと、を有している。そして、成型ロール84の成型面84aが、フィルム材料90と接触を開始する際に、フィルム材料90をなす熱可塑性樹脂のガラス転移点温度以上の温度となっているよう、成型ロール84の表層部85cが、フィルム材料90との接触を開始する前に、加熱される。成型ロール84の表層部85cは、断熱部85によって、中心部85aから離間されているため、その温度を短時間で大きく上昇させられ得る。これにより、成型ロール84を用いた成型加工を、高い賦型率で、極めて高精度に行うことが可能となる。これにより、得られた保護フィルム50は、光の進行方向を変化させ得る優れた光制御機能を有するようになり、この点において、偏光板、とりわけ下偏光板40用の保護フィルムとして好適に使用され得る。また、このような高性能な保護フィルム50を、いわゆる押し出し加工によって、安価に製造することができる。
以上のように、本実施の形態による保護フィルム50によれば、表示装置10の輝度特性や視野角特性についての設計の自由度を格段に向上させることができる。そして、表示装置10に求められる品質等に応じ、保護フィルム50の優れた光制御機能によって、図12に示された従来の表示装置1の面光源装置内に組み込まれていた拡散板A、下拡散シートB、集光シートCおよび上拡散シートD等の光学シート類の全部または一部を削除することも可能となる。
このように、表示装置に組み込まれる部材(光学シート)を削除することができれば、表示装置の製造コストを直接的に大幅に低減することができる。また、表示装置あるいは面光源装置の組み立て時に必要となる光学シート類の位置決めといった煩雑な作業を省くことが可能となり、この点からも表示装置の製造コストを低減することができる。さらに、表示装置に組み込まれる部材(光学シート)の一部または全部を省くことにより、表示装置の薄型化も可能となる。
また、従来の表示装置に組み込まれていた光学シート類は、光の進行方向を補正するための部材であったが、その反面、入射光の一部を吸収してしまっていた。加えて、従来の表示装置においては、多くの光が、いずれかの光学シートにおいて反射し、その進行方向を一回以上折り返した後に表示パネル内に入射していた。結果として、光源25となる発光体26で発光された光の多くが、いずれかの光学シートに吸収され、映像の表示に使用され得なかった。一方、図示された実施の形態によれば、光源25をなす発光体26が偏光板40の保護フィルム50に直面、すなわち、間に何らの部材を介すことなく対面している。したがって、発光体26で発光された光は、直接、液晶表示パネル15の偏光板40へ入射することができ、仮に反射されたとしても、反射板21での一回の反射で、液晶表示パネル15の偏光板40へ再入射することができる。このため、発光体26で発光された光の利用効率を大幅に上昇させることができる。この結果、例えば、従来の表示装置と比較して光源25の出力を増強することなく、正面方向輝度を維持しながら視野角を大幅に広げることも可能となる。
さらに、光源25をなす発光体26と偏光板40の保護フィルム50との間に位置する光学シートの全部または一部を削減することができれば、光学シートの曲がり、撓み、反り等の変形に起因した表示画質の劣化といった不具合を回避することができる。なお、従来の表示装置では、図12に示すように、発光体に直面する部材(拡散板A)の厚みは、発光体からの発熱で変形してしまわないように、さらには、当該部材の出光側に位置する部材(拡散シートや集光シート)へ向けた熱移動を遮断できるよう、厚くなっていた。このように、拡散板Aの厚みが増すと、拡散板Aの材料費や重量が嵩み、結果として、表示装置の製造コストが上昇してしまうといった不具合が生じていた。また、或る程度の厚みを有した拡散板Aを面光源装置に組み込もうとすると、それなりの支持機構を設置する必要も生じていた。一方、上述した本実施の形態によれば、発光体26に直面する保護フィルム50は、偏光板40の一部として、液晶表示パネル15に積層されている。すなわち、保護フィルム50は液晶表示パネル15に直接支持されているので、保護フィルム50を支持するための特別の支持機構は不要であるとともに、液晶表示パネル15によって保護フィルム50の変形が拘束される。したがって、保護フィルム50の厚みは、保護フィルム50に期待される光学作用および偏光子の保護作用の観点から決定され得り、結果として、表示装置10の製造コストを低減することができる。
なお、図12に示された従来の表示装置1において、光源25、反射板21、液晶セル11および上偏光板12の構成は、上述した実施の形態と同様に構成され得る。
上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、図面を適宜参照しながら、変形の一例について説明する。以下の説明で用いる図面では、上述した実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いており、重複する説明を省略する。
上述した実施の形態において、光学モジュール20の光源25をなす発光体26が、二次元配列された点状の発光体、典型的には発光ダイオードからなる例を示した。しかしながら、発光体26は、上述した例に限られることなく、種々の既知な発光体、例えば、冷陰極管や、面状に発光するEL(電場発光体)等を用いることもできる。図5には、発光体26として線状の冷陰極管を用いた冷が開示されている。図5に示された例において、発光体26をなす線状の冷陰極管は、互いに平行となるように、所定の配列方向に配置されている。線状の冷陰極管の配列方向は、保護フィルム50の単位光学要素60の配列方向と平行になっている。この態様によれば、上述した実施の形態で既に説明したように、冷陰極管26の配列に起因して生じる輝度の面内ばらつきを単位光学要素60によって緩和し、冷陰極管26の像(ライトイメージ)を視認されにくくすることができる。
また、上述した実施の形態において、偏光板40をなす保護フィルム50は、樹脂材料からなる主部59aおよび主部59a中に分散された拡散成分59bからなる光拡散層51aと、拡散成分59bを含有せず樹脂材料のみからなる樹脂層51bと、を有していた。言い換えると、拡散成分59bは、保護フィルム50の一部分のみに分散されていた。しかしながら、例えば図6および図7に示すように、拡散成分59bが保護フィルム50の全域に分散されるようにしてもよい。このような例においては、保護フィルム50が、樹脂材料からなる主部59aと、主部59a中に分散された拡散成分59bと、を有する光拡散層51aのみから構成されることになり、単位光学要素60は光拡散層51aの一部として構成される。この場合、保護フィルム50の光拡散機能の程度を、さらに自由に調節することができる。
さらに、上述した実施の形態において、保護フィルム50の単位光学要素60の主切断面における断面形状が、三角形形状からなる例を示したが、これに限られず、保護フィルム50の単位光学要素60の主切断面における断面形状は種々の形状に設計され得る。例えば、保護フィルム50の主切断面における単位光学要素60の断面形状をなす三角形形状の頂部が面取りされていてもよい。また、図3に二点鎖線で示すように、保護フィルムの主切断面において、上述した三角形形状の本体部55から延び出る二辺が、外方に膨出した曲線となるように変形されてもよい。
さらに、図6に示すように、保護フィルム50の主切断面において、単位光学要素60が、曲線状の外輪郭を有するようにしてもよい。すなわち、単位光学要素60の入光面が曲面として構成されてもよい。具体的な形状の例として、保護フィルム50の主切断面において、単位光学要素60が、楕円の一部(一例として半楕円)または円の一部(一例として半円)に相当する形状を有するようにしてもよい。さらに、図7に示すように、保護フィルム50の主切断面において、単位光学要素60が、上述した主切断面における三角形形状の頂部を取り除いてなる形状を有するようにしてもよい。具体的な形状の例として、保護フィルム50の主切断面において、単位光学要素60が、図7に示すように等脚台形形状となるようにしてもよいし、或いは、当該等脚台形形状の上底を曲線に変更してなる形状を持つようにしてもよい。
なお、図6および図7に示された保護フィルム50は、図4を参照しながら既に説明した製造装置(押し出し装置)80を用いて製造され得る。この際、作製対象となる単位光学要素60の断面形状に対応した形状の溝が成型面84aに形成された成型ロール84を用いることになる。また、押し出し機82から押し出されるフィルム材料90は、光拡散層51aをなすようになる層のみからなる単層の押し出し材となる。
さらに、上述した実施の形態において、単位光学要素60が、本体部55上に一次元配列されている例、すなわち、線状の単位光学要素60が、本体部55上に並列配置されている例を示したが、これに限られない。単位光学要素60が、いわゆるフライアイレンズ(またはマイクロレンズ)を構成するよう、本体部55上に二次元配列されていてもよい。この例においては、単位光学要素60は、本体部55上に、規則的な配列で配置されていてもよいし、不規則的な配列で配置されていてもよい。点状の単位光学要素60が本体部55上に規則的な配列で二次元的に配置される場合には、単位光学要素60の第1の配列方向が発光体26の第1の配列方向d1(図1参照)と平行となり、単位光学要素60の第2の配列方向が発光体26の第2の配列方向d2(図1参照)と平行となるようにしてもよい。また、フライアイレンズ(またはマイクロレンズ)を構成する点状の単位光学要素60の形状としては、球の一部(例えば半球)、回転楕円体の一部(例えば半回転楕円体)、円錐および四角錐等の多角錐等の錐体、円錐台および四角錐台等の多角錐台等の錐台体等を、一例として、挙げることができる。
さらに、上述した実施の形態において、保護フィルム60が、光拡散機能および集光機能の両方を有している例を示したが、これに限られない。例えば、発光体26からの光が十分に散乱された状態となっていれば、保護フィルム60に光拡散機能を付与する必要はない。すなわち、保護フィルム50に拡散成分59bを分散させる必要はない。同様に、発光体26からの光が十分に集光された状態となっていれば、保護フィルム60に集光機能を付与する必要はない。すなわち、保護フィルム50に単位光学要素60を設ける必要はない。
さらに、上述した実施の形態における保護フィルム50の光拡散機能は、等方性光拡散機能であってもよいし、異方性光拡散機能であってもよい。一例として、図8に示すように、長手方向ldを有する拡散成分59bを、所定の方向odへの配向を持つようにして、保護フィルム50内に配置することにより、異方性光拡散機能を保護フィルム50に付与することができる。ここで、拡散成分59bの長手方向とは、対象となる拡散成分59bの最も長さが長くなる方向として特定することができる。また、「長手方向ldを有する拡散成分59bが、所定の方向odへの配向を持つ」とは、各拡散成分59bの長手方向ldが所定の方向odに対してなす角度が、0°以上45°以下となることであり、拡散成分59bが、所定の方向odを基準とした方向的な規則性を持って配置されることを意味している。
なお、図8に示された保護フィルム50は、長手方向を有する拡散成分59bを、主部59aをなすようになる樹脂材料とともに、原料として用い、上述した押し出し加工で製造され得る。長手方向を有する拡散成分59bは、押し出し機82のダイ82aを樹脂材料とともに通過する際に、高圧下でその長手方向ldが押し出し方向(機械方向)に沿うように、向けられる。これにより、押し出し材中の拡散成分59bが、特定の方向odへの配向を持つようにして、保護フィルム50内に分散されるようになる。またこの場合、拡散成分59bの配向方向は、並列配置された線状の単位光学要素60の長手方向と平行になる。
長手方向ldを有する拡散成分59bの形状としては、一例として、板状、粒状(米粒状)、針状、鱗状、微細板状等の種々の形状を採用することができる。また、具体的な例として、平均アスペクト比(長手方向ldに沿った拡散成分59bの長さの、長手方向ldに直交する方向に沿った当該拡散成分59bの長さに対する比の平均値)が、1.5以上50以下であって、拡散成分59bの平均粒径(体積相当法で算出された粒径、すなわち体積相当径の算術平均、以下同様)が0.5μ以上100μm以下の気泡を、長手方向ldを有した拡散成分59bとして、用いることができる。また、有機繊維からなる拡散成分59b、例えば、アラミド繊維、全芳香族ポリエステル繊維、ポリイミド繊維等の耐熱性有機繊維からなる拡散成分59bを用いることもできる。また、無機繊維からなる拡散成分59b、例えば、ガラス繊維、シリカ繊維、アルミナ繊維、ジルコニア繊維等の繊維状フィラーからなる拡散成分59bを用いることもできる。さらに、薄板状フィラー(マイカ)からなる拡散成分59bを用いることもできる。さらに、不定形フィラーからなる拡散成分59b、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、クレー、タルク、二酸化チタン等の無機系白色顔料からなる拡散成分59bを用いることもできる。
長手方向ldを有する拡散成分59bは、その長手方向と平行な方向よりも、その長手方向に直交する方向へ、強い光拡散機能を呈するようになる。したがって、長手方向ldを有する拡散成分59bが単位光学要素60の長手方向と平行な方向に配向されている図8に示された態様においては、保護フィルム50の光拡散層51aに起因した光拡散機能は、単位光学要素60の長手方向と平行な方向よりも、単位光学要素60の配列方向と平行な方向に、より強く発揮されるようになる。すなわち、図8に示された態様では、保護フィルム50の集光機能が主として発揮される方向と光拡散機能が主として発揮される方向とが一致する。このため、単位光学要素60から集光作用を主として及ぼされる面内での輝度の角度分布を選択的に滑らかにすることができる。結果として、保護フィルム50へ入射した光を必要以上に拡散する必要がなくなるので、光の有効利用を図ることが可能なる。
とりわけ、図5に示すように、光源25が線状の冷陰極管26を並列配置してなる場合には、冷陰極管26の配列方向に沿って光を拡散することのみによって、発光体26の配列に起因した明るさのムラを解消することができるため、図8に示された保護フィルム50を好適に用いることができる。
さらに、上述した実施の形態において、保護フィルム50が水貼りによって偏光子41に接合される例を示したが、これに限られない。例えば、図9に示すように、接着剤49aと、接着剤49a内に分散された拡散成分49bと、を含有した接着層49が、保護フィルム50と偏光子41との間に配置されるようにしてもよい。図9に示された態様によれば、保護フィルム50における光拡散機能の有無あるいは保護フィルム50の光拡散機能の程度から独立して、接着層49による光拡散機能の程度を適宜調節することができる。これにより、下偏光板40が発揮し得る光拡散機能の程度をより自由に設計することができる。なお、接着層49に含有される拡散成分49bは、保護フィルム50に含まれ得る拡散成分59bとして例示したものを同様に用いることができる。また、接着層49による光拡散機能の程度は、保護フィルム50における光拡散機能の程度と同様の手法により、適宜調節され得る。
さらに、接着層49の光拡散機能が、等方性であってもよいし、異方性であってもよい。また、接着層49が異方性光拡散機能を有する場合には、当該接着層49によって光拡散機能が強く発揮される方向が、図8に示された態様と同様に単位光学要素60の配列方向(集光機能が強く発揮される方向)と平行であってもよいし、或いは、単位光学要素60の長手方向(集光機能が強く発揮されない方向)と平行であってもよい。
さらに、上述した実施の形態において、下偏光板40が、偏光子41と、偏光子41に入光側から接合された保護フィルム50と、からなる例を示したが、これに限られず、偏光子41の出光側にも、例えばTACフィルムからなる保護フィルムが設けられていてもよい。また、光の位相差を補償するための位相差板が下偏光板40と液晶セル11との間に設けられることもがあるが、この場合、下偏光板40の出光側の保護フィルムが、位相差板の入光側の保護フィルムを兼ねるようにしてもよい。また、下偏光板40が、図10に示すように、偏光子41よりも入射側に位置する他の部材をさらに含むようにしてもよい。偏光子41よりも入射側に位置する他の部材として、例えばTACフィルムを設けることができる。
図10に示す例においては、保護フィルム50と偏光子41との間の中間フィルム48として、特定の偏光成分を透過させるとともに、その他の偏光成分を反射して再び光源側へ戻す機能を有した偏光分離フィルム48が設けられている。すなわち、偏光分離フィルム48を設けることによって、偏光子41を透過し得る偏光成分の光を選択的に偏光子41へ入射させ、その他の光を光源側に戻すことができる。光源側に戻された光は、その後の反射等によって、偏光状態を変化させて偏光分離フィルム48へ再度入射し得る。輝度の向上に役立ち得る偏光分離フィルム48として、米国3M社から入手可能な「DBEF」(登録商標)を用いることができる。また、「DBEF」以外にも、韓国Shinwha Intertek社から入手可能な高輝度偏光シート「WRPS」や、あるいは、ワイヤーグリッド偏光子等を、偏光分離フィルム48として用いることができる。
さらに、下偏光板40の偏光子41と保護フィルム50との間の中間フィルム48として、光拡散機能を有した光拡散シートが設けられていてもよい。この際、この光拡散シートが、等方性光拡散機能を有していてもよいし、異方性光拡散機能を有していてもよい。また、光拡散シートが異方性光拡散機能を有する場合には、当該光拡散シートによって光拡散機能が強く発揮される方向が、図8に示された態様と同様に単位光学要素60の配列方向(集光機能が強く発揮される方向)と平行であってもよいし、或いは、単位光学要素60の長手方向(集光機能が強く発揮されない方向)と平行であってもよい。
さらに、上述した実施の形態において、光制御機能を有した保護フィルム50を含む偏光板40の直下に、光源25をなす発光体26が配置される例、すなわち、光制御機能を有した保護フィルム50を含む偏光板40が、直下型の液晶表示装置10に適用されている例を示したが、これに限られない。図11に示すように、光制御機能を有した保護フィルム50を含む偏光板40が、発光体26からの光を受ける導光板23に直面する位置に配置されるようにしてもよい。
図11に示された例において、偏光板40は、発光体26と発光体26からの光を受ける導光板23とを有した面光源装置22とともに使用され、面光源装置22の導光板23に直面する位置に配置されている。この例では、光学モジュール20が、偏光板40と、偏光板40の保護フィルム50に直面する位置に配置された導光板23と、を有している。なお、図11に示された例において、偏光板40を含む液晶表示パネル15が、上述した実施の形態と同様に構成され得る。
図11に示された例において、面光源装置22は、導光板23と、導光板23の側方に配置された発光体26と、導光板23の背面に配置された反射シート21aと、を有し、いわゆるエッジライト型(サイドライト型)のバックライトとして構成されている。光源25の発光体26からの光は、導光板23の側面(入射面)から導光板23内に入射し、導光板23の一対の主面間で反射を繰り返しながら導光板23内を導光方向に沿って進む。導光板23には、図示しない光取り出し要素、例えば、反射シート21aに対面する導光板23の裏面に設けられた白色ドットや、導光板23内に分散された拡散成分等が設けられており、出光量が導光方向に沿って概ね均一となるように、導光板23内を進む光が導光板23から観察者側へ出射していく。この際、図11に示すように、導光板23から出射する多くの光L111は、正面方向ndから大きく傾斜した方向に向けて出射するようになる。
このような導光板23に対して、保護フィルム50の単位光学要素60は、その配列方向が導光板23の導光方向と平行となるように配置されている。また、単位光学要素60は、導光板23の側へ向けて、保護フィルム50から突出している。そして、正面方向ndから大きく傾斜した方向に沿って液晶表示パネルに向かう光L111は、単位光学要素60の一方の面60b1を介して保護フィルム50へ入射し、その後、単位光学要素60の他方の面60b2で反射(とりわけ、全反射)して進行方向を正面方向nd側へ偏向する。このようにして、保護フィルム50は集光機能を発揮することができる。
これに対して、図13に示すように、従来の下偏光板13を含む液晶表示パネルとの組み合わせで用いられる従来のエッジライト型の面光源装置には、多くの場合、導光板23の出光側に集光シート(プリズムシート、反射型プリズムシート、逆プリズムシート)Cが設けられていた。このため、保護フィルム50の集光機能を、図13に示された従来の面光源装置に含まれていた集光シート(プリズムシート、反射型プリズムシート、逆プリズムシート)Cの集光機能と同様にすることにより、表示装置1全体としての光学特性を維持しながら、この集光シートCを面光源装置から省くことが可能となる。同様に、図13に示された従来の面光源装置には、集光シートCのさらに出光側に光拡散シートDが設けられているが、保護フィルム50が拡散成分59bを含有している場合には、この拡散成分59bに起因した光拡散機能の程度を適宜調節することによって、光拡散シートDも省くことが可能となる。これにより、図11に示された態様によっても、上述した実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
なお、図13に示された従来の表示装置1のうち、既に説明した構成と同一に構成され得る部分に対しては、当該既に説明した構成に対して用いた符号と同一の符号を用いており、重複する説明を省略する。
以上において上述した実施の形態に対するいくつかの変形例を説明してきたが、複数の変形例を適宜組み合わせて適用することも可能である。
なお、光源25をなす発光体26または導光板23と、液晶表示パネルと、の間に多数の光学シートが含まれた従来の表示装置1との比較において、本発明の一実施の形態の利点を説明したが、このような記載は、本発明の一実施の形態に係る表示装置10、偏光板40および保護フィルム50を、その入光側に配置される光学シートと組み合わせて用いることを排除するものではない。すなわち、本発明は、表示装置10、偏光板40および保護フィルム50と、発光体26または導光板23との間に、一以上の光学シートが配置されている態様をも含み、このような態様においても、保護フィルム50に起因する優れた作用効果を享受することができる。
また、上述した実施の形態では、光学フィルムの一例として偏光板用の保護フィルムを製造する例を説明したが、これに限られず、種々の用途に用いられる光学フィルムを製造することができる。