JP5672736B2 - 材質安定性に優れた高強度薄鋼板およびその製造方法 - Google Patents

材質安定性に優れた高強度薄鋼板およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、自動車や家電製品などの構造部品の部材として好適な材質安定性の優れた高強度薄鋼板およびその製造方法に関する。
近年、環境問題の高まりからCO排出規制が厳格化しており、自動車分野においては,車体の軽量化による燃費向上が大きな課題となっている。このため自動車部品への高強度鋼板の適用による薄肉化が進められており、これまで引張強度(TS)270〜440MPa級の鋼板が使用されていた部品に対して、TS590MPa級以上の鋼板の適用が進められている。
TS590MPa級以上の高強度鋼板の中でもTiやNbなどの炭化物生成元素を添加した、いわゆる析出強化型の高強度鋼板は、マルテンサイトなどの硬質な第2相を生成させた組織強化型の鋼板に比べ、所定の強度を確保するために必要な合金元素が少量で済むため、廉価に製造することができ、工業的に広く使用されている。
例えば、特許文献1には、Nb添加により析出強化したTS590MPa以上でプレス成形後の耐二次加工脆性に優れた溶融亜鉛めっき鋼板の製造方法が開示されており、特許文献2には,NbおよびTi添加により析出強化した、TSが490MPa以上720MPa未満の伸びフランジ成形性と衝突吸収エネルギー特性に優れた高強度冷延鋼板およびその製造方法が開示されている。
しかしながら、TS590MPa級以上の高強度鋼板は、従来使われていた軟鋼などの低強度の鋼板に比べ、強度や伸びといった材質のバラツキが大きくなるため、部品の寸法がばらついたり、ワレが発生するなどして生産性が低下するという問題がある。
このような材質のバラツキを改善する技術としては、特許文献3に合金化溶融亜鉛めっき鋼板の強度−延性バランスのバラツキ改善方法が開示されており、特許文献4にスポット溶接性および材質安定性に優れた高強度溶融亜鉛めっき鋼板が開示されている。
特許3873638号公報 特開2008−174776号公報 特開2007−327123号公報 特開2005−320561号公報
しかしながら、特許文献3に開示された技術は、残留オーステナイト中の炭素量を制御することで伸びの安定性を確保するものであり、強度のバラツキ低減について知見を与えるものではない。また、特許文献4に開示された技術は、Mnを多量に添加する必要があり高コストになること、および、マルテンサイト相を安定的に生成することを目的としているため、マルテンサイト相を少量しか含まない、または、全く含まない析出強化型の高強度鋼板に適用しても効果は小さいと考えられることから、析出強化型の高強度鋼板に適用できる技術ではない。
このように、析出強化型の高強度鋼板については、強度の変動を十分に抑える技術は未だ存在せず、析出強化型の高強度鋼板を適用する際には、依然として材質のバラツキが問題となっており、このような材質のバラツキに起因して鋼板使用時の生産性が阻害されるという問題がある。
したがって、本発明の課題は、材質、特に強度の安定性に優れた析出強化型の高強度薄鋼板およびその製造方法を提供することにある。
本発明者らは、材質変動の要因を精緻に検討した結果、析出物が、材質バラツキの主要因であることを見出した。そして、析出物の安定性を向上させるべく、さらに検討を続け、本発明に至った。
具体的には、NbとTaを同時に添加することで、安定した析出物を析出させ得ることを見出した。そして、このようにNbとTaを同時に添加した上で、熱延での仕上げ圧延後の冷却条件と巻取り温度、および、焼鈍条件を制御することで、実際に焼鈍後の材質が安定化することを見出した。詳細は必ずしも明らかではないが、析出物が(Nb,Ta)(C,N)のような複合炭窒化物になることで、析出物の安定性が向上して粗大化速度が著しく低下し、析出強化による強度寄与分が安定化するものと考えられる。
すなわち、本発明は、以下の(1)〜()を提供する。
(1) 質量%で、C:0.05〜0.15%、Si:0.06〜0.7%、Mn:1.0〜2.5%、P:0.01〜0.05%、S:0.0050%以下、Al:0.01〜0.10%、N:0.0050%以下、Nb:0.01〜0.10%、Ta:0.001〜0.010%を含み、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、引張強さTSが590MPa以上であり、降伏応力YSおよびTSそれぞれの最大値と最小値の差ΔYSおよびΔTSの両方が30MPa以下であることを特徴とする材質安定性に優れた高強度薄鋼板。
(2) 上記(1)の成分に加えて、さらに質量%で、V:0.10%以下、Ti:0.100%以下のうち一種以上を含み、残部がFeおよび不可避的不純物からなることを特徴とする材質安定性に優れた高強度薄鋼板。
(3)上記(1)または(2)の成分に加えて、さらに質量%で、Cr:0.5%以下、Mo:0.5%以下、Cu:0.50%以下、Ni:0.50%以下、B:0.0030%以下のうち一種以上を含み、残部がFeおよび不可避的不純物からなることを特徴とする材質安定性に優れた高強度薄鋼板。
) (1)〜(3)のいずれかに記載の組成を有する鋼スラブを、加熱温度1100〜1270℃、仕上げ圧延の終了温度830〜950℃の条件で熱間圧延を行い、圧延終了後1s以内に冷却を開始して平均冷却速度20〜200℃/sで650〜750℃まで急冷し、該温度にて2s以上空冷後、500〜650℃で巻取り、酸洗後、冷間圧延を施し、その後、3〜30℃/sの平均加熱速度で720〜860℃まで加熱し、720〜860℃での均熱時間を30〜300sとし、均熱温度から510℃までの範囲を平均冷却速度3〜30℃/sで冷却する条件にて焼鈍を施し、その後、0.3〜2.0%の伸長率で調質圧延を施し、引張強さTSが590MPa以上であり、降伏応力YSおよびTSそれぞれの最大値と最小値の差ΔYSおよびΔTSの両方が30MPa以下である高強度薄鋼板を得ることを特徴とする材質安定性に優れた高強度薄鋼板の製造方法。
本発明によれば、材質安定性に優れた高強度薄鋼板を提供することが可能になり、生産性の向上に大きく寄与するものである。
以下、本発明について具体的に説明する。
まず、本発明の高強度薄鋼板の組成限定理由について説明する。以下において、成分の「%」表示は、質量%を意味する。
C:0.05〜0.15%
Cは鋼板の高強度化に有効な元素であり、特に、NbやTaといった炭化物形成元素と微細な合金炭化物、あるいは、合金炭窒化物を形成して、鋼板の強化に寄与する。また,パーライトやマルテンサイトなどの第2相を形成することでも高強度化に寄与する。この効果を得るためには0.05%以上含有することが必要である。一方、過剰に含有すると鋼板が硬化し、成形性が低下するだけでなく、スポット溶接性も低下することから、その含有量を0.15%以下とする。良好な溶接性を確保する観点からは0.12%以下が好ましい。
Si:0.06〜0.7%
Siは主に固溶強化により高強度化に寄与する元素であり、強度上昇に対して延性の低下が比較的少なく、強度のみならず、強度−延性バランスの向上にも寄与する元素である。この効果を得るためには0.06%以上含有することが必要である。強度−延性バランスの向上の観点からは0.2%以上含有することが好ましい。一方、0.7%を超えると化成処理性が低下するため、その含有量を0.7%以下とする。
Mn:1.0〜2.5%
Mnは固溶強化および第2相を生成することで高強度化に寄与する元素であり、この効果を得るためには1.0%以上含有することが必要である。一方、過剰に含有した場合は成形性の低下が著しくなることから、その含有量を2.5%以下とする。
P:0.01〜0.05%
Pは固溶強化により高強度化に寄与する元素であり、この効果を得るためには0.01%以上含有することが必要である。過剰に含有した場合には、粒界への偏析が著しくなって粒界を脆化させたり、中央偏析しやすくなるため、その含有量を0.05%以下とする。
S:0.0050%以下
Sの含有量が多い場合には、MnSなどの硫化物が多く生成し、伸びフランジ性に代表される局部延性が低下するため上限を0.0050%とする。好ましくは、0.0030%以下である。特に下限は無いが,極低S化は製鋼コストが上昇するため、0.0005%以上とするのが好ましい。
Al:0.01〜0.10%
Alは脱酸に必要な元素であり、この効果を得るためには0.01%以上含有することが必要であるが、0.10%を超えて添加しても効果が飽和するので、0.10%以下とする。
N:0.0050%以下
Nは、Cと同様にNbやTaと化合物を形成して、合金窒化物や合金炭窒化物となり、高強度化に寄与する。しかし、窒化物は比較的高温で生成しやすいため、粗大になりやすく、炭化物に比べ強度への寄与が相対的に小さい。つまり高強度化には、N量を低減して、合金炭化物をより多く生成したほうが有利である。このような観点からNの含有量を0.0050%以下とする。好ましくは0.0030%以下である.
Nb:0.01〜0.10%
Nbは、CやNと化合物を形成して、炭化物や炭窒化物となり、高強度化に寄与する。この効果を得るためには0.01%以上含有することが必要である。しかし、過剰に添加した場合、成形性の低下が著しくなるため、その含有量を0.10%以下とする。
Ta:0.001〜0.010%
Taは、Nbと同様、合金炭化物や合金炭窒化物を形成して高強度化に寄与するのみならず、Nb炭化物やNb炭窒化物に一部固溶し、(Nb,Ta)(C,N)のような複合析出物を形成することで、析出物の粗大化を著しく抑制して、析出強化による強度への寄与を安定化させる効果があると考えられる。このような効果を得るためには0.001%以上含有することが必要である。しかし、過剰に添加した場合、上記の析出物安定化効果が飽和するのみならず、合金コストが上昇するため、その含有量を0.010%以下とする。
本発明では、上記の成分に加え、以下の成分を所定の範囲で添加してもよい。
V:0.10%以下
VはNbと同様、微細な炭窒化物を形成することで、強度上昇に寄与することができるため、必要に応じて添加することができる。このような効果を発揮させるためには、0.01%以上含有させることが好ましい。一方、多量にVを含有させても、0.10%を超えた分の強度上昇効果は小さく、そのうえ、合金コストの増加も招いてしまう。したがって、Vの含有量は0.10%以下とする。
Ti:0.100%以下
TiもNbと同様、微細な炭窒化物を形成することで、強度上昇に寄与することができるため、必要に応じて添加することができる。このような効果を発揮させるためには、Tiの含有量を0.005%以上とすることが好ましい。一方、多量にTiを添加すると、著しく成形性を低下させるため、その含有量を0.100%以下とする。
Cr:0.5%以下
Crは焼入れ性を向上させ、第2相を生成することで高強度化に寄与する元素であり、必要に応じて添加することができる。このような効果を発揮させるためには、0.1%以上含有させることが好ましい。一方、0.5%を超えて含有させても効果が飽和するため、その含有量を0.5%以下とする。
Mo:0.5%以下
Moは焼入れ性を向上させ、第2相を生成することで高強度化に寄与したり、一部炭化物を生成して高強度化に寄与する元素であり、必要に応じて添加することができる。これらの効果を発揮させるためには、0.05%以上含有させることが好ましい。一方、0.5%を超えて含有させても効果が飽和するため、その含有量を0.5%以下とする。
Cu:0.50%以下
Cuは固溶強化により高強度化に寄与し、また焼入れ性を向上させ、第2相を生成することで高強度化に寄与する元素であり、必要に応じて添加することができる。これらの効果を発揮させるためには、0.05%以上含有させることが好ましい。一方、0.50%を超えて含有させても効果が飽和し、またCuに起因する表面欠陥が発生しやすくなるため、その含有量を0.50%以下とする。
Ni:0.50%以下
NiもCuと同様、固溶強化により高強度化に寄与し、また焼入れ性を向上させ、第2相を生成することで高強度化に寄与する元素であり、必要に応じて添加することができる。これらの効果を発揮させるためには、0.05%以上含有させることが好ましい。また、Cuと同時に含有させると、Cu起因の表面欠陥を抑制する効果があるため、Cu添加時に有効である。一方、0.50%を超えて含有させても効果が飽和するため、その含有量を0.50%以下とする。
B:0.0030%以下
Bは焼入れ性を向上し、第2相を生成することで高強度化に寄与する元素であり、必要に応じて添加することができる。この効果を発揮させるためには、0.0005%以上含有させることが好ましい。一方、0.0030%を超えて含有させても効果が飽和するため、その含有量を0.0030%以下とする。
材質の安定性および強度
本発明の高強度薄鋼板は、材質安定性に優れたものである。材質の安定性を評価するに当たっては、コイル内の長手先端部、中央部、尾端部にて、それぞれ幅方向中央位置、両1/4幅位置の計9ヶ所について引張試験を行い、降伏応力YSおよび引張強さTSのそれぞれの最大値と最小値の差、ΔYS、ΔTSを評価し、ΔYSとΔTSの両方が30MPa以下であれば、材質のバラツキは許容範囲内であり、材質安定性に優れたものである。また、本発明の高強度薄鋼板は、引張強さTSが590MPa以上であることが好ましい。
次に、本発明の高強度薄鋼板の製造方法について説明する。
本発明の高強度薄鋼板は、上記組成を有する鋼スラブを、熱間圧延工程で加熱後、粗圧延、仕上げ圧延を施し、巻取った後、酸洗工程で熱延板表層のスケールを除去した後、冷間圧延工程を実施し、続いて焼鈍工程および調質圧延工程を実施することにより製造される。
[熱延条件]
加熱温度:1100〜1270℃
スラブの加熱温度は、1100℃未満になると圧延負荷が増大して生産性が低下し、1270℃超では加熱コストが増大するため、1100〜1270℃とする。
仕上げ圧延終了温度:830〜950℃
オーステナイト単相域にて熱延を終了する必要があるので、仕上げ圧延を830℃以上にて終了する必要がある。一方、950℃超えでは、熱延組織が粗大になり、焼鈍後の特性が低下する。このため、仕上げ圧延終了温度を830〜950℃とする。
仕上げ圧延後の急冷条件:1s以内に冷却を開始して平均冷却速度20〜200℃/sにて650〜750℃に急冷
中間空冷:650〜750℃で2s以上空冷
熱延終了後、フェライト域に急冷することによりフェライト変態を促進するとともに、微細かつ安定な合金炭化物((Nb,Ta)(C,N))などを析出させることで、材質の安定化を達成することができる。熱延終了後に高温で滞留すると析出物が粗大化してしまうので、圧延終了後、1s以内に冷却を開始して平均冷却速度20℃/s以上で650〜750℃まで急冷する必要がある。しかし、冷却速度が速すぎる場合、冷却のムラが発生し易くなり、材質の不安定要因になるため、平均冷却速度を200℃/s以下とする必要がある。また、フェライト域でも高温では析出物が粗大化しやすく、低温では析出が抑制されるため、急冷後、650〜750℃で2s以上の空冷が必要である。
巻取り温度:500〜650℃
巻取り温度が650℃を超えると、熱延後の冷却過程にて生成した合金炭化物などの析出物が著しく粗大化するため、巻取り温度の上限を650℃とする。一方、巻取り温度が低温になりすぎると、硬質なベイナイトやマルテンサイトが生成し、冷間圧延負荷が増大し、生産性を阻害するため、巻取り温度の下限を500℃とする。
[酸洗工程]
熱間圧延工程後、酸洗工程を実施し、熱延板表層のスケールを除去する。酸洗工程は特に限定されず、常法に従って実施すればよい。
[冷間圧延工程]
酸洗後の熱延板に対し、所定の板厚まで冷間圧延工程を実施する。冷間圧延工程は常法に従って実施すればよい。
[焼鈍工程]
焼鈍工程においては、フェライト組織の再結晶を進行させるとともに、析出物の溶解や粗大化を抑制することが材質の安定化にとって重要である。このような組織形成のためには、昇温中に再結晶を十分に進行させ、フェライト+オーステナイトの2相域にて均熱して一部をオーステナイトに変態させ、冷却中にパーライト、ベイナイト、マルテンサイトを含む第2相を少量生成させればよく、そのために以下の条件で焼鈍処理する。
平均加熱速度:3〜30℃/s
2相域に加熱する前にフェライト域で十分に再結晶を進行させることで材質を安定化することができる。急速に加熱すると再結晶が進行しにくくなるため、平均加熱速度の上限を30℃/sとする。逆に加熱速度が小さすぎるとフェライト粒が粗大になり強度が低下するため、3℃/s以上の平均加熱速度が必要である。
均熱温度:720〜860℃
均熱温度が低いと上記の加熱速度でも未再結晶組織が多く残存し、成形性が低下するため、均熱温度の下限を720℃とする。また、均熱温度が860℃超えの高温では、析出物が粗大化し、強度が低下するため、均熱温度の上限を860℃とする。好ましくは820℃以下である。
均熱時間:30〜300s
上記の均熱温度において、再結晶の進行および一部オーステナイト変態させるため30s以上の保持が必要である。一方、保持時間が長すぎるとフェライトが粗大化して強度が低下するため、300s以下とする必要がある。
510℃までの平均冷却速度:3〜30℃/s
冷却速度が小さい場合、フェライトの粗大化により強度が低下するため、3℃/s以上の平均冷却速度が必要である。一方、冷却速度が大きすぎると、第2相中のマルテンサイト分率が上昇してYSが低下してしまうので平均冷却速度の上限を30℃/sとする。
[調質圧延工程]
降伏点や降伏伸びが発生すると、強度、特にYSのバラツキが大きくなることから調質圧延を実施する。
調質圧延の伸長率:0.3〜2.0%
降伏点や降伏伸びを消去するためには伸長率0.3%以上が必要である。しかし、2.0%を超えて伸長率を大きくしても、上記の効果が飽和するのみならず、伸びが低下するため、伸長率の上限を2.0%とする。
なお、本発明の範囲内であれば、焼鈍工程において、溶融亜鉛めっきを施して溶融亜鉛めっき鋼板としてもよく、また、溶融亜鉛めっき後に合金化処理を施して合金化溶融亜鉛めっき鋼板としてもよい。
以下、本発明の実施例について説明する。
表1に示す成分の鋼を溶製して鋳造し、230mm厚のスラブを製造し、表2に示す製造条件にて熱間圧延、酸洗、冷間圧延および焼鈍を実施し、その後、スキンパス圧延(調質圧延)を実施した。なお、熱間圧延の際の加熱温度は1200℃、仕上げ圧延終了後の急冷開始時間は0.1s、急冷終了温度(MT)での空冷時間は2.5s、熱延板の板厚は3.2mm、冷延板の板厚は1.4mm、スキンパス圧延での伸長率は0.7%と一定とした。なお、表中のFDTは仕上げ圧延の終了温度、CTは巻取り温度、冷速1は熱延時の仕上げ圧延後の急冷時の平均冷却速度、冷速2は焼鈍時の均熱後の平均冷却速度を示す。
製造した鋼板の長手先端部、中央部、尾端部にて、それぞれ幅方向中央位置、両1/4幅位置の計9ヶ所から、JIS5号引張試験片を圧延直角方向から採取し、引張試験に供し、YSおよびTSならびに伸びElを測定し、YSおよびTSそれぞれの最大値と最小値の差ΔYS、ΔTSを評価した。YS、TS、Elの平均値およびΔYS、ΔTSの値を表2に併記する。
表2に示すように、本発明範囲内である鋼A〜Nでは、TS≧590MPaと良好な強度を有し、またΔYSおよびΔTSはいずれも30MPa以下であり、コイル内の強度バラツキが十分に小さいことが確認された。
これに対し、成分組成が本発明の範囲外である鋼Q〜Vでは、ΔYS、ΔTSが大きく材質安定性に劣ることが確認された。また、Cが低い鋼Q、Mnが低い鋼Tでは十分なTSが得られていない。
Figure 0005672736
Figure 0005672736

Claims (4)

  1. 質量%で、C:0.05〜0.15%、Si:0.06〜0.7%、Mn:1.0〜2.5%、P:0.01〜0.05%、S:0.0050%以下、Al:0.01〜0.10%、N:0.0050%以下、Nb:0.01〜0.10%、Ta:0.001〜0.010%を含み、残部がFeおよび不可避的不純物からなり、引張強さTSが590MPa以上であり、降伏応力YSおよびTSそれぞれの最大値と最小値の差ΔYSおよびΔTSの両方が30MPa以下であることを特徴とする材質安定性に優れた高強度薄鋼板。
  2. 請求項1の成分に加えて、さらに質量%で、V:0.10%以下、Ti:0.100%以下のうち一種以上を含み、残部がFeおよび不可避的不純物からなることを特徴とする材質安定性に優れた高強度薄鋼板。
  3. 請求項1または請求項2の成分に加えて、さらに質量%で、Cr:0.5%以下、Mo:0.5%以下、Cu:0.50%以下、Ni:0.50%以下、B:0.0030%以下のうち一種以上を含み、残部がFeおよび不可避的不純物からなることを特徴とする材質安定性に優れた高強度薄鋼板。
  4. 請求項1から請求項3のいずれかに記載の組成を有する鋼スラブを、加熱温度1100〜1270℃、仕上げ圧延の終了温度830〜950℃の条件で熱間圧延を行い、圧延終了後1s以内に冷却を開始して平均冷却速度20〜200℃/sで650〜750℃まで急冷し、該温度にて2s以上空冷後、500〜650℃で巻取り、酸洗後、冷間圧延を施し、その後、3〜30℃/sの平均加熱速度で720〜860℃まで加熱し、720〜860℃での均熱時間を30〜300sとし、均熱温度から510℃までの範囲を平均冷却速度3〜30℃/sで冷却する条件にて焼鈍を施し、その後、0.3〜2.0%の伸長率で調質圧延を施し、引張強さTSが590MPa以上であり、降伏応力YSおよびTSそれぞれの最大値と最小値の差ΔYSおよびΔTSの両方が30MPa以下である高強度薄鋼板を得ることを特徴とする材質安定性に優れた高強度薄鋼板の製造方法。
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