JP5671422B2 - 高強度7000系アルミニウム合金部材の製造方法および高強度7000系アルミニウム合金部材 - Google Patents
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本発明における7000系アルミニウム合金押出形材(素材)は、JIS規格およびAA規格を含むAl−Zn−Mg系組成あるいはAl−Zn−Mg−Cu系組成である。但し、部材としての要求される高強度を満たすためには、通常の調質T5〜T7の人工時効処理条件である120〜160℃×6〜16hrの範囲で、この人工時効処理後の部材強度を0.2%耐力で300MPa以上、好ましくは400MPa以上とする必要がある。
7000系アルミニウム合金素材として押出形材を例にして説明する。なお、熱処理における記載温度は全て実体温度であって、炉の雰囲気温度ではない。
先ず、溶解、鋳造工程では、上記7000系成分組成範囲内に溶解調整されたアルミニウム合金溶湯を、半連続鋳造法(DC鋳造法)等の通常の溶解鋳造法を適宜選択して鋳造してビレットとする。
熱間押出に先立って、鋳造されたアルミニウム合金ビレット(鋳塊)を470〜565℃の範囲で均質化熱処理(均熱処理)し、組織の均質化(鋳塊組織中の結晶粒内の偏析をなくすなど)を行う。均熱処理温度は470〜565℃の範囲、均質化時間は2時間以上の範囲から選択される。この均熱処理温度が高すぎると、形材組織中の分散粒子が粗大化し、結晶粒を微細化、高強度化できない。一方、この均熱処理温度が低すぎても、ビレット組織の均質化ができない。
この均質化後の7000系アルミニウム合金ビレットを熱間押出(直接押出、間接押出)するが、押出形材の再結晶粒層を抑制し、組織を微細化、均質化させる条件にて熱間押出することが好ましい。ビレットの押出開始温度は好ましくは350〜450℃とする。
本発明の復元処理は、これら従来の復元処理とは違い、7000系アルミニウム合金押出形材素材を、鋳塊からの熱間押出(塑性加工)によって製造後に、自然時効による硬化以外は、溶体化および焼入れ処理などの調質することなく復元処理を行う。言い換えると、自然時効(室温時効)した7000系アルミニウム合金押出形材素材に対して、本発明の復元処理を施してこそ、その後の成形加工時に付与される残留応力が低減された上で、成形後の調質で部材強度を0.2%耐力で300MPa以上に確保できる効果が得られる。
そして、この復元処理の条件も、この復元処理による前記効果の発現のために重要である。すなわち、0.5℃/秒以上の加熱速度による急速加熱(急熱)によって、7000系アルミニウム合金押出形材素材の実体温度を200℃を超え、500℃以下まで加熱し、この温度範囲に20秒未満のごく短時間だけ保持する。そして、保持後直ちに、室温まで0.5℃/秒以上の冷却速度で、強制的に急冷(空冷、水冷、ミスト冷却)する。
但し、この復元処理効果を成形加工において発現させるためには、復元処理後になるべく早く(遅滞なく)成形加工する必要がある。すなわち、7000系アルミニウム合金押出形材素材の部材形状(製品形状)への成形加工は、復元処理後の自然時効が進まないうちに、あるいは自然時効が進んでも微小なうちに、行う必要がある。この目安としては、勿論、7000系アルミニウム合金押出形材素材の製造条件にもよるが、これらを押しなべて決定すると、前記復元処理の急冷直後から、成形加工を開始するまでの(所要)時間を1時間(hr)以内とする。1時間を超えると、高強度な7000系アルミニウム合金押出形材素材では、その組成からして、前記した通り自然時効が進みすぎて、成形性が著しく低下し、復元処理する意義が失われる。
本発明では、前記成形加工後の部材(7000系アルミニウム合金押出形材製部材)に人工時効処理を行い、強度を高める。本発明では、前記した押出直後(押出機の出側で)の押出工程上で連続してオンラインにて行われる急冷あるいは焼入れ処理が行われている場合は、この成形加工後で人工時効処理前の、再加熱による溶体化および焼入れ処理は行わない。
前記部材の押出方向に任意の位置から採取したJIS4号引張試験片を用い、JISZ2241に規定する金属材料試験方法に準じ、引張強さ、耐力、及び伸びを測定した。なお、これらの測定値は、各例とも3つの採取試験片の測定値の平均値とした。この結果を表3に示す。
残留応力の測定法は切断法により次の手順で行った。前記部材の前記各加工位置(曲げ加工は金型押し込み中央位置、断面の潰し加工は潰し加工中央位置、打抜き加工は孔周縁位置)を測定対象位置とした。そして、これら測定対象位置表面をサンドペーパーで研磨後、アセトン洗浄し、この研磨部位に歪みゲージ2を瞬間接着剤で接着し、24時間室温放置後、歪みゲージ2のリード線3を歪み計に接続してゼロ点設定をし、歪みゲージ2の周囲を金属のこぎりで10mm角、深さ2mmに切断して応力開放し、切断後の歪み量εを計測し、次式にて残留応力値σを算出した。 σ=−E×ε(E;ヤング率)、ここでE=68894N/mm2 とした。
この結果、各発明例は表3に示すとおり、前記復元処理の諸効果を確実に発揮させることができている。すなわち、調質後の部材の0.2%耐力が最低でも300MPa以上、より高い例では350MPa以上あるいは400MPa以上である。同時に、前記成形加工を受けた部材位置における残留応力も、高いものでも160MPa以下、より低い例では120MPa以下である。
Claims (3)
- 質量%で、Zn:5.0〜8.0%、Mg:0.3〜2.0%、Cu:0.05〜0.5%を含有し、さらに、Mn:0.01〜0.3%、Cr:0.01〜0.3%、Zr:0.01〜0.3%の一種または二種以上を含有し、残部が不可避的不純物およびアルミニウムからなる組成を有する7000系アルミニウム合金素材を、鋳塊からの塑性加工によって製造後に、自然時効以外は人工的に調質することなく復元処理を行い、この復元処理を、0.5℃/秒以上の加熱速度によって急熱し、200℃を超え、500℃以下の実体温度範囲にて20秒未満の短時間だけ保持した後に、室温まで0.5℃/秒以上の冷却速度で急冷して、この急冷直後の前記素材の0.2%耐力を120MPa以下とするとともに、この急冷直後の前記素材の導電率と、前記復元処理直前の前記素材の導電率との差を5%IACS未満とし、この復元処理の前記室温までの急冷終了後から1時間以内に、この復元処理以外は人工的に調質することなく、曲げ加工、断面の潰し加工、打抜き加工から選択される残留応力の発生を伴う成形加工を行って部材化し、この部材に対して、溶体化および焼入れ処理することなく人工時効処理し、この人工時効処理後の部材の0.2%耐力を300MPa以上とするとともに、前記成形加工を受けた部材位置における残留応力を160MPa以下としたことを特徴とする高強度7000系アルミニウム合金部材の製造方法。
- 前記アルミニウム合金素材がアルミニウム合金押出形材であり、前記塑性加工が熱間押出加工である請求項1に記載の高強度7000系アルミニウム合金部材の製造方法。
- 質量%で、Zn:5.0〜8.0%、Mg:0.3〜2.0%、Cu:0.05〜0.5%を含有し、さらに、Mn:0.01〜0.3%、Cr:0.01〜0.3%、Zr:0.01〜0.3%の一種または二種以上を含有し、残部が不可避的不純物およびアルミニウムからなる組成を有する7000系アルミニウム合金押出形材が復元処理されて、この復元処理後の急冷直後の前記押出形材の0.2%耐力が120MPa以下とされるとともに、この急冷直後の前記押出形材の導電率と、前記復元処理直前の前記押出形材の導電率との差が5%IACS未満とされた上で、曲げ加工、断面の潰し加工、打抜き加工から選択される残留応力の発生を伴う成形加工によって部材化されるとともに、この成形加工の後に溶体化および焼入れ処理されることなく人工時効処理が施された7000系アルミニウム合金部材であって、0.2%耐力が300MPa以上であるとともに、前記成形加工を受けた部材位置における残留応力が160MPa以下であることを特徴とする高強度7000系アルミニウム合金部材。
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