JP5671295B2 - 潜像を有する物品 - Google Patents
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Description
[1]基材と、該基材の表面に設けられた複屈折パターン膜とを含む物品であり、
前記複屈折パターン膜は2つ以上の複屈折性の異なる領域を有するパターン化光学異方性層を含み、
前記基材は、表面に凹凸である部分を含み、
前記凹凸は高さが1〜100μmであり、ピッチが前記高さの5倍〜50倍であり、
前記部分の反射率が40%以上であり、
前記部分の少なくとも一部の上に、前記複屈折パターン膜の少なくとも一部が接触している物品。
[3]前記パターン化光学異方性層が少なくとも1つの反応性基を有する液晶性化合物を含む組成物から形成された層である[1]または[2]に記載の物品。
[4]前記複屈折パターン膜が前記液晶性化合物の配向のための配向層を含む[3]に記載の物品。
(1)液晶性化合物を含む組成物からなる層を加熱または光照射する工程;
(2)該層にパターン露光を行う工程;
(3)得られた層を50℃以上400℃以下に加熱する工程。
[6]基材がフィルムである[1]〜[5]のいずれか一項に記載の物品。
[7]基材が商品パッケージである[1]〜[6]のいずれか一項に記載の物品。
(1)凹凸を有し、かつ反射率が40%以上である部分を表面に含む基材であって、前記凹凸は、高さが1〜100μmであり、ピッチが前記高さの5倍〜50倍である基材を用意する工程;
(2)前記基材の、前記部分の少なくとも一部を含む表面上に複屈折パターン膜を接着する工程。
[9]前記接着が、前記複屈折パターン膜の片側全面が前記部分の少なくとも一部に接触するように行われる[8]に記載の方法。
(1)凹凸を有し、かつ反射率が40%以上である部分を表面に含む基材であって、前記凹凸は、高さが1〜100μmであり、ピッチが前記高さの5倍〜50倍である基材を用意する工程;
(2)前記基材の、前記部分の少なくとも一部を含む表面上に、液晶性化合物を含む組成物を加熱または光照射して得られた光学異方性層を設ける工程;
(3)前記光学異方性層にパターン露光を行う工程;
(4)工程(3)で得られた層を50℃以上400℃以下に加熱する工程。
[11]前記光学異方性層の片側全面が前記部分の少なくとも一部に接触するように、前記光学異方性層が基材に設けられる[10]に記載の方法。
なお、本明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
複屈折パターンとは、広義には複屈折性の異なる2つ以上の領域が2次元の面内または3次元的に配置されて描かれたパターンを差す。なお特に2次元の面内においては、複屈折性は屈折率が最大となる遅相軸の方向と領域内のレターデーションの大きさの2つのパラメータにより定義される。例えば液晶性化合物による位相差フィルムなどにおける面内の配向欠陥や厚み方向の液晶の傾斜分布も広義には複屈折パターンと言えるが、狭義にはあらかじめ決めたデザインなどを基に、意図して複屈折性を制御してパターン化したものを複屈折パターンと定義することが望ましい。複屈折パターンは特に記載しない限り、複数層に渡っていてもよく、複数層のパターンの境界は一致していても異なっていてもよい。
本明細書において、「複屈折パターン膜」とは、複屈折パターンを有する膜であり、パターン化光学異方性層を含む。複屈折パターン膜は、パターン化光学異方性層のほか、後述する各種機能層を含んでいてもよい。複屈折パターン膜は、仮支持体および接着層等を有する複屈折パターン転写箔から、所定のプロセスを経ることによりパターン化光学異方性層を基材に転写させて形成されたものであってもよく、または、基材上に直接、または他の層を介して後述の光学異方性層を塗布し、乾燥、パターン露光などの工程を経て形成されたものであってもよい。なお、本明細書において「パターン化光学異方性層」とは複屈折パターンを有する光学異方性層のことであり、さらに言い換えると複屈折性の異なる領域を2つ以上有する光学異方性層を意味する。パターン化光学異方性層は複屈折性の異なる領域を3つ以上有することがさらに好ましい。複屈折性が同一である個々の領域は連続的形状であっても非連続的形状であってもよい。パターン化光学異方性層は例えば後述の複屈折パターン作製材料を用いて容易に作製することができるが、複屈折性が異なる領域を有する層であれば作製方法は特に限定されない。
本明細書において「基材」は、複屈折パターンを設けるための支持体となるものを意味する。本明細書において「基材」は、通常、複屈折パターンによる潜像が付与されていない物品に対応する。
また、前記部分は偏光解消性を実質的に有していないことが好ましい。
表面加工としては、例えばアルミニウム蒸着、エンボス加工が挙げられる。
本発明の物品表面の複屈折パターンは通常はほぼ無色透明で、ほとんど視認できないか、印刷層などに基づく像が視認できるのみである一方で、偏光板を介した場合においては、追加の特徴的な明暗、あるいは色を示し容易に目視で認識できる。この性質を生かして、本発明の物品は、例えば偽造防止手段として利用することができる。すなわち、複屈折パターン有する物品は、偏光板を用いることで通常の目視ではほぼ不可視である多色の画像が識別することができる。複屈折パターンは偏光板を介さずにコピーしても何も映らず、逆に偏光板を介してコピーすると永続的な、つまりは偏光板無しでも目視可能なパターンとして残る。従って複屈折パターンの複製は困難である。このような複屈折パターンの作製法は広まっておらず、材料も特殊であることから、偽造防止手段として用いるに適していると考えられる。
図1は、本発明の物品の1例の構成を示す図である。本発明の物品は、少なくとも、所定の特性を有する表面部分を含む基材と、該基材上に設けられたパターン化光学異方性層101を有する(図1(a))。パターン化光学異方性層が複屈折パターン転写箔を用いて基材上に設けられた物品等においては接着層12を有する(図1(b))。
図では複屈折性が異なる領域を101A、101B、101Cとして例示する。
複屈折パターン膜の前記パターン化光学異方性層を作製する方法は特に限定されないが、例えば以下に示す複屈折パターン作製材料を用いる方法が挙げられる。複屈折パターン作製材料はパターン化光学異方性層を作製するための材料であり、所定の工程を経ることでパターン化光学異方性層を作成することができる材料を指す。複屈折パターン作製材料を用いて所定の工程を経てパターン化光学異方性層を作製した上で、さらに必要に応じて追加の層を形成することにより複屈折パターン膜作製のための複屈折パターン転写箔を作製することができ、または、支持体を前記基材として、基材上で複屈折パターン膜を作製することもできる。
光学異方性層は複屈折性を有する層であり、一軸または二軸延伸されたポリマー層や配向した液晶性化合物を固定化した層、配向が揃った有機または無機単結晶層などにより形成されていればよい。光学異方性層としては、フォトマスクによる露光あるいはデジタル露光などのパターン露光や、ホットスタンプやサーマルヘッド、赤外線レーザ露光などのパターン加熱、針やペンによって機械的に加圧またはせん断を加える触針描画、反応性化合物の印刷などにより、光学異方性を任意に制御する機能を有することができる層が好ましい。そのような機能を有する光学異方性層は、後述の方法などにより、パターン化光学異方性層を得ることが容易であるからである。パターン形成のためには、フォトマスクによる露光あるいは走査露光などのパターン露光を用いることが好ましい。該パターニング工程に加えて必要に応じて熱や薬液による漂白、現像などと組み合わせてパターンを形成することもできる。この場合支持体の制約が少ないことから熱による漂白、現像が好ましい。
図8(a)〜(c)は後に複屈折パターン転写箔として用いるための剥離層13および/もしくは離型層14をあらかじめ有する複屈折パターン作製材料の例である。剥離層13と離型層14は複屈折パターン転写箔において機能を発揮する機能性層であるが、必要に応じて複屈折パターン作製材料の途中に形成しておいてもよい。
複屈折パターン作製材料における光学異方性層はパターン化光学異方性層の元となる層であり、レターデーションを測定したときにレターデーションが実質的に0でない入射方向が一つでもある、即ち等方性でない光学特性を有する層である。
光学異方性層の製法として少なくとも1つの反応性基を有する液晶性化合物を含んでなる溶液を塗布乾燥して液晶相を形成した後、加熱または光照射して重合固定化して作製する場合について以下に説明する。本製法は、後述するポリマーを延伸して光学異方性層を得る製法と比較して、薄い膜厚で同等のレターデーションを有する光学異方性層を得ることが容易であり、好ましい。
一般的に、液晶性化合物はその形状から、棒状タイプと円盤状タイプに分類できる。さらにそれぞれ低分子と高分子タイプがある。高分子とは一般に重合度が100以上のものを指す(高分子物理・相転移ダイナミクス,土井 正男 著,2頁,岩波書店,1992)。本発明では、いずれの液晶性化合物を用いることもできるが、棒状液晶性化合物を用いることが好ましい。
たとえばエチレン性不飽和二重結合を2個以上有し、光の照射によって付加重合するモノマー又はオリゴマーを用いることができる。
そのようなモノマー及びオリゴマーとしては、分子中に少なくとも1個の付加重合可能なエチレン性不飽和基を有する化合物を挙げることができる。その例としては、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート及びフェノキシエチル(メタ)アクリレートなどの単官能アクリレートや単官能メタクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)シアヌレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパンやグリセリン等の多官能アルコールにエチレンオキシド又はプロピレンオキシドを付加した後(メタ)アクリレート化したもの等の多官能アクリレートや多官能メタクリレートを挙げることができる。
また、この他、特開平11−133600号公報に記載の「重合性化合物B」も好適なものとして挙げることができる。これらのモノマー又はオリゴマーは、単独でも、二種類以上を混合して使用してもよい。
液晶性化合物を含有する組成物を、塗布液として、例えば支持体又は後述する配向層等の表面に塗布する場合の塗布液の調製に使用する溶媒としては、有機溶媒が好ましく用いられる。有機溶媒の例としては、アミド(例、N,N−ジメチルホルムアミド)、スルホキシド(例、ジメチルスルホキシド)、ヘテロ環化合物(例、ピリジン)、炭化水素(例、ベンゼン、ヘキサン)、アルキルハライド(例、クロロホルム、ジクロロメタン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸ブチル)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン)、エーテル(例、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン)が挙げられる。また、二種類以上の溶媒を混合して使用してもよい。上記の中で、アルキルハライド、エステル、ケトンおよびそれらの混合溶媒が好ましい。
液晶性化合物の配向の固定化は、液晶性化合物に導入した反応性基の架橋反応により実施することが好ましく、反応性基の重合反応により実施することがさらに好ましい。重合反応には、熱重合開始剤を用いる熱重合反応と光重合開始剤を用いる光重合反応とが含まれるが、光重合反応がより好ましい。光重合反応としては、ラジカル重合、カチオン重合のいずれでも構わない。ラジカル光重合開始剤の例には、α−カルボニル化合物(米国特許2367661号、同2367670号の各明細書記載)、アシロインエーテル(米国特許2448828号明細書記載)、α−炭化水素置換芳香族アシロイン化合物(米国特許2722512号明細書記載)、多核キノン化合物(米国特許3046127号、同2951758号の各明細書記載)、トリアリールイミダゾールダイマーとp−アミノフェニルケトンとの組み合わせ(米国特許3549367号明細書記載)、アクリジンおよびフェナジン化合物(特開昭60−105667号公報、米国特許4239850号明細書記載)およびオキサジアゾール化合物(米国特許4212970号明細書記載)が含まれる。カチオン光重合開始剤の例には、有機スルフォニウム塩系、ヨードニウム塩系、フォスフォニウム塩系等を例示することができ、有機スルフォニウム塩系、が好ましく、トリフェニルスルフォニウム塩が特に好ましい。これら化合物の対イオンとしては、ヘキサフルオロアンチモネート、ヘキサフルオロフォスフェートなどが好ましく用いられる。
前記光学異方性層は、偏光照射による光配向で面内のレターデーションが発現あるいは増加した層であってもよい。偏光照射は、特開2009−69793号公報の段落「0091」〜「0092」の記載、特表2005−513241号公報(国際公開WO2003/054111)の記載などを参照して行うことができる。
前述したように、液晶性化合物が重合条件の異なる2種類以上の反応性基を有することもまた好ましい。この場合、条件を選択して複数種類の反応性基の一部種類のみを重合させることにより、未反応の反応性基を有するポリマーを含む光学異方性層を作製することが可能である。このような液晶性化合物として、ラジカル性の反応基とカチオン性の反応基を有する液晶性化合物(具体例としては例えば、前述のI−8〜I−15)を用いた場合に特に適した重合固定化の条件について以下に説明する。
前記光学異方性層の形成用組成物中に、特開2009−69793号公報の段落「0098」〜「0105」に記載の、一般式(1)〜(3)で表される化合物および一般式(4)のモノマーを用いた含フッ素ホモポリマーまたはコポリマーの少なくとも一種を含有させることで、液晶性化合物の分子を実質的に水平配向させることができる。液晶性化合物を水平配向させる場合、その傾斜角は0〜5度が好ましく、0〜3度がより好ましく、0〜2度がさらに好ましく、0〜1度が最も好ましい。
水平配向剤の添加量としては、液晶性化合物の質量の0.01〜20質量%が好ましく、0.01〜10質量%がより好ましく、0.02〜1質量%が特に好ましい。なお、特開2009−69793号公報の段落「0098」〜「0105」に記載の一般式(1)〜(4)にて表される化合物は、単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
光学異方性層はポリマーの延伸によって作製されたものでもよい。光学異方性層は少なくとも1つの未反応の反応性基を持つことが好ましいが、このようなポリマーを作製する際にはあらかじめ反応性基を有するポリマーを延伸してもよいし、延伸後の光学異方性層にカップリング剤などを用いて反応性基を導入してもよい。延伸法によって得られる光学異方性層の特長としては、コストが安いこと、及び自己支持性を持つ(光学異方性層の形成及び維持に支持体を要しない)ことなどが挙げられる。
上記のように複屈折パターン作製材料は、光学異方性層を2層以上有してもよい。2層以上の光学異方性層は法線方向に互いに隣接していてもよいし、間に別の機能性層を挟んでいてもよい。2層以上の光学異方性層は互いにほぼ同等のレターデーションを有していてもよく、異なるレターデーションを有していてもよい。また遅相軸の方向が互いにほぼ同じ方向を向いていてもよく、異なる向きを向いていてもよい。遅相軸の方向が互いにほぼ同じ方向を向いている2層以上の光学異方性層を用いることによって、大きなレターデーションを有するパターンを作製することができる。
作製された光学異方性層を改質するために、様々な後処理を行ってもよい。後処理としては例えば、密着性向上のためのコロナ処理や、柔軟性向上のための可塑剤添加、保存性向上のための熱重合禁止剤添加、反応性向上のためのカップリング処理などが挙げられる。また、光学異方性層中のポリマーが未反応の反応性基を有する場合、該反応性基に対応する重合開始剤を添加することも有効な改質手段である。例えば、カチオン性の反応性基とラジカル性の反応性基を有する液晶性化合物をカチオン光重合開始剤を用いて配向固定化した光学異方性層に対してラジカル光重合開始剤を添加することで、後にパターン露光を行う際の未反応のラジカル性の反応性基の反応を促進することができる。可塑剤や光重合開始剤の添加手段としては、例えば、光学異方性層を該当する添加剤の溶液に浸漬する手段や、光学異方性層の上に該当する添加剤の溶液を塗布して浸透させる手段などが挙げられる。また、光学異方性層の上に他の層を塗布する際にその層の塗布液に添加剤を添加しておき、光学異方性層に浸漬させる添加剤層を用いる方法もあげられる。この際に浸漬させる添加剤、特には光重合開始剤の種類や量により、後に述べる複屈折パターン作製材料へのパターン露光時の各領域への露光量と最終的に得られる各領域のレターデーションとの関係を調整し、所望する材料特性に近づけることが可能である。
前記光学異方性層上に形成する添加剤層は、フォトレジストのような感光性樹脂層の他、透過光の散乱を制御する散乱層、下層の傷つきを防止するハードコート層、帯電によるごみつきを防止する帯電防止層、印刷の下地となる印刷塗工層を共用してもよい。感光性樹脂層としては、少なくとも1種のポリマーと少なくとも1種の光重合開始剤を含んでいることが好ましい。前記光学異方性層中の未反応の反応性基による重合反応を開始させる機能を有する重合開始剤を少なくとも一種以上含む層が設けられていることが好ましい。光学異方性層と重合開始剤を含む添加剤層は隣接していることが好ましい。このような構成とすることによって、別に重合開始剤を添加することなくパターン状の熱処理又は電離放射線照射により複屈折パターンの形成が可能な複屈折パターン作製材料とすることができる。重合開始剤を含む添加剤層の構成としては特に限定は無いが、重合開始剤以外に少なくとも1種のポリマーを含むことが好ましい。
重合開始剤としては熱重合開始剤、光重合開始剤などが挙げられ、手法に合わせて適宜用いられる。光重合開始剤としてはラジカル性光重合開始剤、カチオン性光重合開始剤のいずれでも構わない。
添加剤層に散乱性を付与することにより、複屈折パターン物品のギラツキを制御したり、コバート性を制御したりすることができる。散乱層としては、エンボスによる表面凹凸層、粒子などのマット剤を含むマット層が好ましい。また、コバート性を向上させる粒子に関して、粒径は、0.01μm〜50μmが好ましく、0.05μm〜30μmがより好ましい。含有濃度は、0.01%〜5%が好ましく、0.02%〜1%がより好ましい。
ハードコート性を持たせるために、添加剤層中のポリマーとしてTgの高いポリマー用いることが好ましく、そのTgは50℃以上が好ましく、80℃以上であればより好ましく、100℃以上であればさらに好ましい。ポリマーのTgを上げるために、水酸基、カルボン酸基、アミノ基といった極性基を導入するとよい。高Tgポリマーの一例として、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレートの反応物。アルキル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸との共重合体。2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレートの反応物。アルキル(メタ)アクリレートと、水酸基含有(メタ)アクリレートと無水コハク酸、無水フタル酸等の酸無水物との反応物であるハーフエステルの共重合体等が挙げられる。
可視または紫外線や赤外線などで視認できるパターンを形成するために、添加剤層上に印刷インクが塗工できることが好ましい。インクの濡れ性向上を目的としてポリマーの側鎖にカルボン酸基やヒドロキシル基などの極性基を導入することも好ましい。次に、濡れ性を向上させること手法として、表面改質処理を併用してもよい。表面改質処理として、低圧水銀灯やエキシマ処理等のUV処理、コロナ放電、グロー放電等の放電処理が挙げられる。UV処理の中では、より高エネルギーで改質効率の高いエキシマ処理が好ましい。
複屈折パターン作製材料はそれぞれ、力学的な安定性を保つ目的で支持体を有していてもよい。複屈折パターン作製材料における支持体は仮支持体として機能し、基材上に、光学異方性層を含む複屈折パターン作製材料が転写され、その後パターン露光等の工程が行われてもよく、または、支持体が前記基材であり、前記部分を含む表面に光学異方性層等の層が設けられ、さらに後述の所定の工程を経て、基材上で複屈折パターンが形成されてもよい。さらには、複屈折パターン作製材料における支持体がそのまま複屈折パターン転写箔における仮支持体となっていてもよく、複屈折パターン転写箔における仮支持体が複屈折パターン作製材料における支持体とは別に(複屈折パターン形成時または形成後に、複屈折パターン作製材料における支持体と代わって又は追加で)設けられてもよい。支持体としては特に限定はなく剛直なものでもフレキシブルなものでもよいが、フレキシブルなものが好ましい。剛直な支持体としては特に限定はないが表面に酸化ケイ素皮膜を有するソーダガラス板、低膨張ガラス、ノンアルカリガラス、石英ガラス板等の公知のガラス板、アルミ板、鉄板、SUS板などの金属板、樹脂板、セラミック板、石板などが挙げられる。フレキシブルな支持体としては特に限定はないがセルロースエステル(例、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート)、ポリオレフィン(例、ノルボルネン系ポリマー)、ポリ(メタ)アクリル酸エステル(例、ポリメチルメタクリレート)、ポリカーボネート、ポリエステルおよびポリスルホン、ノルボルネン系ポリマーなどのプラスチックフィルムや紙、アルミホイル、布などが挙げられる。取扱いの容易さから、剛直な支持体の膜厚としては、100〜3000μmが好ましく、300〜1500μmがより好ましい。フレキシブルな支持体の膜厚としては、3〜500μmが好ましく、10〜200μmがより好ましい。支持体は後に述べるベークで着色したり変形したりしないだけの耐熱性を有することが好ましい。後述する反射層の代わりに、支持体自体が反射機能を有していてもよい。
既に説明したように、光学異方性層の形成には、配向層を利用してもよい。配向層は、一般に支持体もしくは仮支持体上又は支持体もしくは仮支持体上に塗設された下塗層上に設けられる。配向層は、その上に設けられる液晶性化合物の配向方向を規定するように機能する。配向層は、光学異方性層に配向性を付与できるものであれば、どのような層でもよい。配向層の好ましい例としては、有機化合物(好ましくはポリマー)のラビング処理された層、アゾベンゼンポリマーやポリビニルシンナメートに代表される偏光照射により液晶の配向性を発現する光配向層、無機化合物の斜方蒸着層、およびマイクログルーブを有する層、さらにω−トリコサン酸、ジオクタデシルメチルアンモニウムクロライドおよびステアリル酸メチル等のラングミュア・ブロジェット法(LB膜)により形成される累積膜、あるいは電場あるいは磁場の付与により誘電体を配向させた層を挙げることができる。配向層としてはラビングの態様ではポリビニルアルコールを含むことが好ましく、配向層の上または下の少なくともいずれか1層と架橋できることが特に好ましい。配向方向を制御する方法としては、光配向層およびマイクログルーブが好ましい。光配向層としては、ポリビニルシンナメートのように二量化によって配向性を発現するものが特に好ましく、マイクログルーブとしてはあらかじめ機械加工またはレーザ加工により作製したマスターロールのエンボス処理が特に好ましい。
複屈折パターン作製材料は、製造プロセス中の露光を効率的に行うため、あるいは製造途中での光学特性の評価を容易にするために反射層を有していてもよい。反射層としては特に限定されないが、偏光解消性のないものが好ましく、例えばアルミや銀などの金属層、誘電体多層膜による反射層、光沢を有する印刷層が挙げられる。また、透過率が好ましくは20〜70%、より好ましくは30〜60%の半透過半反射層を用いることもできる。半透過半反射層は金属層の厚みを薄くする方法が安価で製造できるので好ましい。一方、金属による半透過半反射層は吸収を有しているため、吸収なしに透過率と反射率を制御できる誘電体多層膜は光利用効率の観点から好ましい。
後に述べる複屈折パターン転写箔を構成する層、例えば剥離層、離型層、接着層などについては必要に応じて複屈折パターンを形成する前、あるいは光学異方性層を形成する前に形成してもよい。特に複屈折パターン作製材料の支持体がそのまま複屈折パターン転写箔の仮支持体となる場合、光学異方性層よりも仮支持体側に存在するべきである離型層と剥離層については光学異方性層を形成する前に形成しておくことが好ましい。これらの層の詳細については後に述べる。
光学異方性層、所望により形成される配向層、などの各層は、ディップコート法、エアーナイフコート法、スピンコート法、スリットコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法やエクストルージョンコート法(米国特許2681294号明細書)により、塗布により形成することができる。二以上の層を同時に塗布してもよい。同時塗布の方法については、米国特許2761791号、同2941898号、同3508947号、同3526528号の各明細書および原崎勇次著、コーティング工学、253頁、朝倉書店(1973)に記載がある。
複屈折パターン作製材料に所定の工程を行ってパターン化光学異方性層を作製し、さらに必要に応じて追加の層を形成することにより複屈折パターン転写箔を作製することができる。パターン化光学異方性層の作製に際して行う工程は特に限定されないが、例えば、パターン露光、加熱、熱書き込みなどが挙げられる。好ましくは複屈折パターン作製材料にパターン露光と加熱をこの順で行うことにより、効率的にパターン化光学異方性層を作製することができる。
本明細書において、パターン露光とは、複屈折パターン作製材料の一部の領域のみが露光されるように行う露光又は2つ以上の領域に互いに露光条件の異なる露光を意味する。互いに露光条件の異なる露光には、未露光(露光しないこと)が含まれていてもよい。パターン露光の手法としてはマスクを用いたコンタクト露光、プロキシ露光、投影露光などでもよいし、レーザや電子線などを用いてマスクなしに決められた位置にフォーカスして直接描画する走査露光を用いてもよい。また、複屈折パターン作製材料の形態が枚葉であればバッチ式露光、ロール形態であればRtoR式露光でもよい。前記露光の光源の照射波長としては250〜450nmにピークを有することが好ましく、300〜410nmにピークを有することがさらに好ましい。具体的には、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプ、青色レーザ等が挙げられる。好ましい露光量としては通常3〜2000mJ/cm2程度であり、より好ましくは5〜1000mJ/cm2程度、最も好ましくは10〜500mJ/cm2程度である。パターン露光の解像度を1200dpi以上にすることにより、マイクロ印刷潜像が形成でき、好ましい。解像度を高めるためには、パターン露光時にパターン化光学異方性層が固体であり、尚且つ厚みが10μm以下であることが必要であり、好ましい。厚み10μm以下で実現するためにはパターン化光学異方性層が重合性液晶化合物を含む層を配向固定化したものであることが好ましく、重合性液晶化合物が架橋機構の異なる2種類以上の反応性基を有することが特に好ましい。また、RtoR式露光を使用する場合に用いる巻き芯としては、特に制限は無いが、外径10mm〜3000mm程度のものが好ましく、より好ましくは20mm〜2000mm程度のもの、さらに好ましくは30mm〜1000mm程度のものである。巻き芯に巻きつける際のテンションとしては、特に制限は無いが、1N〜2000N程度が好ましく、より好ましくは3N〜1500N程度であり、さらに好ましくは5N〜1000N程度である。
複屈折パターン作製材料の2つ以上の領域に互いに露光条件の異なる露光を行う際、「2つ以上の領域」は互いに重なる部位を有していても有していなくてもよいが、互いに重なる部位を有していないことが好ましい。パターン露光は複数回の露光によって行われてもよく、もしくは、例えば領域によって異なる透過スペクトルを示す2つ以上の領域を有するマスク等を用いて1回の露光によって行われていてもよく、又は両者が組み合わされていてもよい。すなわち、パターン露光時に、異なる露光条件で露光された2つ以上の領域を生ずるような形で露光が行われていればよい。走査露光を用いる場合には、露光領域によって光源強度を変える、露光領域の照射スポットを変える、走査速度を変えるなどの手法で領域ごとに露光条件を変えることが可能であり、好ましい。
露光条件の異なる露光領域を生じる手段の一つとして、露光マスクを用いた露光は有用である。例えば1つの領域のみを露光するような露光マスクを用いて露光を行った後に、温度、雰囲気、露光照度、露光時間、露光波長を変えて別のマスクを用いた露光や全面露光を行うことで、先に露光された領域と後に露光された領域の露光条件は容易に変更することができる。また、露光照度、あるいは露光波長を変えるためのマスクとして領域によって異なる透過スペクトルを示す2つ以上の領域を有するマスクは特に有用である。この場合、ただ一度の露光を行うだけで複数の領域に対して異なる露光照度、あるいは露光波長での露光を行うことができる。異なる露光照度の下で同一時間の露光を行うことで異なる露光量を与えることができることは言うまでもない。
走査露光は、例えば、光により所望の2次元パターンを描画面上に形成する描画装置を応用して行うことができる。
このような描画装置の代表的な例として、光ビーム発生手段から導出された光ビームを、光ビーム偏向走査手段を介して被走査体上に走査させることにより、所定の画像等を記録するように構成された画像記録装置がある。この種の画像記録装置では、画像等の記録に際して、光ビーム発生手段から導出される光ビームを画像信号に対応して変調させる(特開平7−52453号公報)。
露光ヘッドの光源としては、上記したレーザ光源の他に、ランプ等も使用可能である。
複屈折パターン作製材料にパターン露光を行って得られた積層体の上に新たな複屈折パターン作製用転写材料を転写し、その後に新たにパターン露光を行ってもよい。この場合、一度目及び二度目ともに未露光部である領域(通常レターデーション値が一番低い)、一度目に露光部であり二度目に未露光部である領域、及び、一度目及び二度目ともに露光部である領域(通常レターデーション値が一番高い)でベーク後に残るレターデーションの値を効果的に変えることができる。なお、一度目に未露光部であり二度目に露光部である領域は、二度目の露光により一度目及び二度目ともに露光部である領域と同様となると考えられる。同様にして転写とパターン露光を交互に三度、四度と行うことにより、四つ以上の領域を作ることも容易にできる。この手法は、異なる領域の間で、露光条件だけでは与え得ないような差異(光学軸の方向の違いや非常に大きなレターデーションの差異など)を持たせたい時に有用である。
パターン露光された複屈折パターン作製材料に対して50℃以上400℃以下、好ましくは80℃以上400℃以下に加熱を行うことにより複屈折パターンを作製することができる。加熱に使用する機器としては、温風炉、マッフル炉、IRヒーター、セラミックヒーター、電気炉等が使用できる。また、複屈折パターン作製材料の形態が枚葉であればバッチ式加熱、ロール形態であればRtoR式加熱でもよい。RtoR式加熱を使用する場合に用いる巻き芯としては、特に制限は無いが、外径10mm〜3000mm程度のものが好ましく、より好ましくは20mm〜2000mm程度のもの、さらに好ましくは30mm〜1000mm程度のものである。巻き芯に巻きつける際のテンションとしては、特に制限は無いが、1N〜2000N程度が好ましく、より好ましくは3N〜1500N程度であり、さらに好ましくは5N〜1000N程度である。
なお、複屈折パターンはレターデーションが実質的に0である領域を含んでいてもよい。例えば、2種類以上の反応性基を有する液晶性化合物を用いて光学異方性層を形成した場合において、パターン露光で未露光であると上記ベークによってレターデーションが消失し、実質的に0となる場合がある。
上記のように、未露光領域にベークを行うことによってレターデーションを実質的に0にすることが可能であるため、複屈折パターンを有する物品には、パターン露光に基づく潜像に加えて、熱書き込みによる潜像が含まれていてもよい。熱書き込みはサーマルヘッド又は、赤外線やYAGなどのレーザ描画を用いて行うことができる。例えば、サーマルヘッドを有する小型のプリンタとの組み合わせで、秘匿を必要とする情報(個人情報、暗証番号、意匠性を損なう商品管理コードなど)を簡便に潜像化することができ、ダンボール箱などに熱書き込みする赤外線やYAGレーザをそのまま用いることもできる。
複屈折パターン膜を構成する機能性層としてはパターン化光学異方性層の他に、配向層、印刷層のほか、転写箔に由来する仮支持体、接着層、剥離層、離型層、などが挙げられる。これらの機能性層はあらかじめ複屈折パターン作製材料に含まれていてもよいし、パターン化光学異方性層が作製された後に形成されてもよい。なお、複屈折パターン作製材料の支持体がそのまま複屈折パターン転写箔の仮支持体となる場合には、離型層と剥離層については光学異方性層を形成する前に形成しておくことが好ましい。
複屈折パターン転写箔を構成する仮支持体としては特に限定はなく剛直なものでもフレキシブルなものでもよいが、フレキシブルなものが好ましい。剛直な支持体としては特に限定はないが表面に酸化ケイ素皮膜を有するソーダガラス板、低膨張ガラス、ノンアルカリガラス、石英ガラス板等の公知のガラス板、アルミ板、鉄板、SUS板などの金属板、樹脂板、セラミック板、石板などが挙げられる。フレキシブルな支持体としては特に限定はないがセルロースエステル(例、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート)、ポリオレフィン(例、ノルボルネン系ポリマー)、ポリ(メタ)アクリル酸エステル(例、ポリメチルメタクリレート)、ポリカーボネート、ポリエステルおよびポリスルホン、ノルボルネン系ポリマーなどのプラスチックフィルムや紙、アルミホイル、布などが挙げられる。取扱いの容易さから、剛直な支持体の膜厚としては、100〜3000μmが好ましく、300〜1500μmがより好ましい。フレキシブルな支持体の膜厚としては、3〜500μmが好ましく、10〜200μmがより好ましい。
複屈折パターン転写箔においては接着層が設けられていることが好ましい。接着層としては基材との十分な接着性を発揮できれば特に制限はなく感圧性樹脂層、感光性樹脂層および感熱性樹脂層などが挙げられるが、感熱性樹脂層が望ましい。また、半透明の反射層を用いる半透明な複屈折パターン転写箔や反射層を有しない透明な複屈折パターン転写箔に用いる場合には透過率、ヘイズ、レターデーションなどの光学特性が適切な範囲に収められていることが好ましい。
複屈折パターン転写箔においては、転写時の剥離性を向上させるために、剥離層を設けてもよい。剥離層の利用により、剥離層と仮支持体との間の剥離が安定し、転写時の転写性を向上させることができる。また剥離層は転写後に最表面となることから、表面保護性を有する事が好ましい。
複屈折パターン転写箔においては転写時の剥離性を向上させるために、離型層を設けてもよい。離型層の利用により、離型層と離型層から見て仮支持体と反対側に形成される隣接層(剥離層、配向層、パターン化光学異方性層等)との間の剥離が安定し、転写時の転写性を向上させることができる。また必要に応じて離型層と剥離層の両方を設けてもよく、両方を設けた場合には、剥離層と離型層の間が剥離界面となり、離型層(および仮支持体)の転写時の転写性をさらに向上させることができる。
複屈折パターン転写箔は必要とする視覚効果を得るために反射層を有していてもよい。本発明の物品は基材表面に反射性を有する部分を含むため、この部分の上にパターン化異方性層が設けられる場合は、複屈折パターン膜において反射層を有している必要はないが、透過光と反射光の見え具合の調整のために反射率を調整した半透明の反射層を設けることは有用である。反射層としては特に限定されないが偏光解消性のないものが好ましく、金属薄膜層、金属粒子含有層、誘電体薄膜層等が挙げられる。
誘電体薄膜層は単層膜であっても、多層膜であってもよい。用いる材料としては隣接する層との屈折率差が大きい材料を用いて作製された薄膜が好ましい。高屈折率材料としては、酸化チタン、酸化ジルコニウム、硫化亜鉛、酸化インジウム等が挙げられる。低屈折率材料としては、二酸化珪素、フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化アルミニウム等が挙げられる。
複屈折パターン転写箔を用いて所定の工程を行うことにより、所望の基材上に複屈折パターンを転写することが可能となる。転写方法については特に制限されず、接着層に対応した接着方法により複屈折パターン転写箔を物品に圧着させた後、仮支持体を剥離することによって複屈折パターンを基材に転写させることができる。
接着層に対応した接着法として、感圧性樹脂層に対しては単純な加圧転写が、感光性樹脂層に対しては露光と組み合わせた加圧転写が、感熱性樹脂層に対しては加温下での熱圧転写(ホットスタンプ、ホットラミネート等)が好ましい。
熱圧転写を用いる場合の加熱温度としては、基材の種類によって異なるが60℃〜200℃程度であることが好ましく、さらには100℃〜160℃の範囲内が好ましい。また熱圧転写の際の圧力としては、基材の種類によって異なるが、0.5Mpa〜15Mpaの範囲とすることが好ましい。
また複屈折パターン転写箔を転写する場合にはホットスタンプやコールドスタンプなどの手段を用いて複屈折パターン転写箔の一部のみを転写してもよいし、ホットラミネートなどの手段を用いて転写箔の全体を転写してもよい。
複屈折パターン膜は必要とする視覚効果を得るために印刷層を有していてもよい。印刷層とは、可視または紫外線や赤外線などで視認できるパターンを形成した層などが挙げられる。UV蛍光インクやIRインクはそれ自体もセキュリティ印刷であるため、セキュリティ性が向上するので好ましい。印刷層を形成する方法は特に限定はないが、一般的に知られている凸版印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷、オフセット印刷、スクリーン印刷の他、インクジェットやゼログラフィなどを用いることができる。インクとしては、各種インクを用いることができるが、耐久性の観点から、UVインクを用いることが好ましい。また、解像度を1200dpi以上のマイクロ印刷にすることによっても、セキュリティ性を高めることができるので好ましい。
(剥離層用塗布液FL−1の調製)
下記の組成物を調製後、孔径0.2μmのポリプロピレン製フィルタでろ過して、剥離層用塗布液FL−1として用いた。
────────────────────────────────────────
剥離層用塗布液(質量%)
────────────────────────────────────────
バインダ(MH−101−5、藤倉化成(株)製) 16.00
メチルエチルケトン 76.00
シクロヘキサノン 8.00
────────────────────────────────────────
下記の組成物を調製し、孔径30μmのポリプロピレン製フィルタでろ過して、配向層用塗布液AL−1として用いた。
────────────────────────────────────────
配向層用塗布液組成(質量%)
────────────────────────────────────────
ポリビニルアルコール(PVA205、クラレ(株)製) 3.21
ポリビニルピロリドン(Luvitec K30、BASF社製) 1.48
蒸留水 52.10
メタノール 43.21
────────────────────────────────────────
下記の組成物を調製後、孔径0.2μmのポリプロピレン製フィルタでろ過して、光学異方性層用塗布液LC−1として用いた。
LC−1−1は2つの反応性基を有する液晶化合物であり、2つの反応性基の片方はラジカル性の反応性基であるアクリル基、他方はカチオン性の反応性基であるオキセタン基である。
────────────────────────────────────────
光学異方性層用塗布液組成(質量%)
────────────────────────────────────────
重合性液晶化合物(LC−1−1) 32.88
水平配向剤(LC−1−2) 0.05
カチオン系光重合開始剤
(CPI100−P、サンアプロ株式会社製) 0.66
重合制御剤
(IRGANOX1076、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製)
0.07
メチルエチルケトン 46.34
シクロヘキサノン 20.00
────────────────────────────────────────
下記の組成物を調製後、孔径0.2μmのポリプロピレン製フィルタでろ過して、添加剤層用塗布液OC−1として用いた。ラジカル光重合開始剤RPI−1としては2−トリクロロメチル−5−(p−スチリルスチリル)1,3,4−オキサジアゾールを用いた。下記組成はその溶液としての使用量である。
添加剤層用塗布液組成(質量%)
────────────────────────────────────────
ベンジルメタクリレート/メタクリル酸/メタクリル酸メチル
=35.9/22.4/41.7モル比のランダム共重合物
(質量平均分子量3.8万) 7.63
ラジカル光重合開始剤(RPI−1) 0.49
界面活性剤 0.03
(メガファックF−176PF、大日本インキ化学工業(株)製)
メチルエチルケトン 91.85
────────────────────────────────────────
下記の組成物を調製後、孔径0.2μmのポリプロピレン製フィルタでろ過して、転写接着層用塗布液AD−1として用いた。
────────────────────────────────────────
転写接着層用塗布液組成(質量%)
────────────────────────────────────────
PES―375S40(ムロマチテクノス(株)社製) 37.50
メチルエチルケトン 62.50
────────────────────────────────────────
厚さ50μmのポリイミドフィルム(カプトン200H、東レデュポン(株)製)の上にアルミニウムを60nm蒸着し、反射層つき仮支持体を作製した。そのアルミニウムを蒸着した面上にワイヤーバーを用いて剥離層用塗布液FL−1を塗布、乾燥した。乾燥膜厚は2.3μmであった。次いで配向層用塗布液AL−1を塗布、乾燥した。乾燥膜厚は0.6μmであった。配向層をラビング処理した後、ワイヤーバーを用いて光学異方性層用塗布液LC−1を塗布、膜面温度90℃で2分間乾燥して液晶相状態とした後、空気下にて160W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて紫外線を照射してその配向状態を固定化して厚さ4.5μmの光学異方性層を形成した。この際用いた紫外線の照度はUV−A領域(波長320nm〜400nmの積算)において500mW/cm2、照射量はUV−A領域において500mJ/cm2であった。光学異方性層のレターデーションは400nmであり、20℃で固体のポリマーであった。次に、光学異方性層の上に添加剤層用塗布液OC−1を塗布、乾燥して0.9μmの添加剤層を形成し形成し、複屈折パターン作製材料P−1を作製した。
P−1をレーザ走査露光によるデジタル露光機(INPREX IP−3600H、富士フイルム(株)製)にて図14に示すように、0mJ/cm2、16mJ/cm2、50mJ/cm2の露光量を用いてRtoRでパターン露光した。図中、無地で示した領域の露光量が0mJ/cm2、横線で示した領域の露光量が16mJ/cm2、縦線で示した領域の露光量が50mJ/cm2となるように露光した。その後、遠赤外線ヒータ連続炉を用い、RtoRにて、膜面温度が210℃となるように17分間加熱して、複屈折パターンを有する物品P−2を作製した。物品P−2の上に偏光板(HLC−5618、サンリッツ(株)製)をかざしたところ、所定の方向でかざしたときに、物品P−2に施した複屈折パターンを確認することができた。物品P−2の上に偏光板を介して観察されたパターンの拡大図を図15に示す。図中、地のアルミ箔が銀色を呈するのに対し、格子部は紺色ないし水色、斜線部は黄色ないし橙色を呈する二色のパターンが観察された。
上記のように、パターンの作製を確認した材料に転写接着層用塗布液AD−1を塗布、乾燥して、2.8μmの転写接着層を形成し、仮支持体付転写箔を作製した。この仮支持体付転写箔を表1に示す全輝度反射率、ヘイズ、凹凸高さ、および凹凸ピッチを有する反射性基材それぞれに熱圧着後、仮支持体を剥離した。作製した複屈折パターンの上記の潜像の視認性およびコバート性の結果を表1に示す。ここでコバート性とは偏光板不使用時の潜像不可視性のことを言う。潜像視認性およびコバート性は目視で判断した。実施例1−5の基材はアルミニウム箔に所定の凹凸高さとピッチになるようエンボス加工を施すことで得た。実施例6の基材はアルミニウム箔をエンボス加工を施すことなくそのまま用いた。実施例7の基材は灰色の紙にパール加工を施すことで得た。比較例1の基材は、厚さ50μmのPENフィルム(東レデュポン(株)製)の上にアルミニウムを60nm蒸着することで得た。
(反射率)
基材上に分光測色計CM−700d(商品名、コニカミノルタ製)を設置し、拡散輝度反射率および全輝度反射率を測定した。
(ヘイズ)
ヘイズ=(拡散輝度反射率/全輝度反射率)×100を計算することにより、ヘイズを見積もった。
基材の表面凹凸差とピッチは、レーザー顕微鏡(VK−9500、KEYENCE製)および原子間力顕微鏡(VN−8000、KEYENCE製)を用いて測定した。
厚さ50μmのポリイミドフィルム(カプトン200H、東レデュポン(株)製)の上にアルミニウムを60nm蒸着した後、凹凸加工を施すことで、表2に示す全輝度反射率、ヘイズ、凹凸高さ、および凹凸ピッチを有する反射性基材をそれぞれ作製した。なお、実施例11の基材はアルミニウム箔をエンボス加工を施すことなくそのまま用いたものである。実施例12,13の基材はアルミニウム箔に所定の凹凸高さとピッチになるようエンボス加工を施すことで得た。比較例11の基材は、厚さ50μmのPENフィルム(東レデュポン(株)製)の上にアルミニウムを60nm蒸着することで得た。
P−3をレーザ走査露光によるデジタル露光機(INPREX IP−3600H、富士フイルム(株)製)にて図14に示すように、0mJ/cm2、16mJ/cm2、50mJ/cm2の露光量を用いてRtoRでパターン露光した。図中、無地で示した領域の露光量が0mJ/cm2、横線で示した領域の露光量が16mJ/cm2、縦線で示した領域の露光量が50mJ/cm2となるように露光した。その後、遠赤外線ヒータ連続炉を用い、RtoRにて、膜面温度が210℃となるように17分間加熱して、複屈折パターンを有する物品P−4を作製した。物品P−4の上に偏光板(HLC−5618、サンリッツ(株)製)をかざしたところ、所定の方向でかざしたときに、物品P−2に施した複屈折パターンを確認することができた。物品P−2の上に偏光板を介して観察されたパターンの拡大図を図15に示す。図中、地のアルミ箔が銀色を呈するのに対し、格子部は紺色ないし水色、斜線部は黄色ないし橙色を呈する二色のパターンが観察された。
作製した複屈折パターンの上記の潜像の視認性およびコバート性の結果を表2に示す。
101 パターン化光学異方性層
11 仮支持体または支持体
12 接着層
13 剥離層
14 離型層
15 配向層
16 印刷層
17 添加剤層
20 光学異方性層
21 反射層
Claims (11)
- 基材と、該基材の表面に設けられた複屈折パターン膜とを含む物品であり、
前記複屈折パターン膜は2つ以上の複屈折性の異なる領域を有するパターン化光学異方性層を含み、
前記基材は、表面に金属反射面を有する基材であり、
前記基材は、前記表面に凹凸である部分を含み、
前記凹凸は、高さが1〜100μmであり、かつピッチが前記高さの5倍〜50倍であり、
前記部分は、反射率が40%以上であり、かつヘイズ値が77%〜90%であり、
前記部分の少なくとも一部の上に、前記複屈折パターン膜の少なくとも一部が接触している物品。 - 前記複屈折パターン膜の片側全面が前記部分の少なくとも一部に接触している請求項1に記載の物品。
- 前記パターン化光学異方性層が少なくとも1つの反応性基を有する液晶性化合物を含む組成物から形成された層である請求項1または2に記載の物品。
- 前記複屈折パターン膜が前記液晶性化合物の配向のための配向層を含む請求項3に記載の物品。
- 前記パターン化光学異方性層が下記(1)〜(3)の工程をこの順で含む方法で形成されたものである請求項3または4に記載の物品:
(1)液晶性化合物を含む組成物からなる層を加熱または光照射する工程;
(2)該層にパターン露光を行う工程;
(3)得られた層を50℃以上400℃以下に加熱する工程。 - 基材がフィルムである請求項1〜5のいずれか一項に記載の物品。
- 基材が商品パッケージである請求項1〜6のいずれか一項に記載の物品。
- 請求項1〜7のいずれか一項に記載の物品の製造方法であって、以下の工程を含む方法:
(1)表面に金属反射面を有する基材であって、前記表面に、凹凸を有し、反射率が40%以上であり、かつヘイズ値が77%〜90%である部分を含み、前記凹凸は高さが1〜100μmでありピッチが前記高さの5倍〜50倍である基材を用意する工程;
(2)前記基材の、前記部分の少なくとも一部を含む表面上に複屈折パターン膜を接着する工程。 - 前記接着が、前記複屈折パターン膜の片側全面が前記部分の少なくとも一部に接触するように行われる請求項8に記載の方法。
- 請求項1〜7のいずれか一項に記載の物品の製造方法であって、以下の工程を含む方法:
(1)表面に金属反射面を有する基材であって、前記表面に、凹凸を有し、反射率が40%以上であり、かつヘイズ値が77%〜90%である部分を含み、前記凹凸は高さが1〜100μmでありピッチが前記高さの5倍〜50倍である基材を用意する工程;
(2)前記基材の、前記部分の少なくとも一部を含む表面上に、液晶性化合物を含む組成物を加熱または光照射して得られた光学異方性層を設ける工程;
(3)前記光学異方性層にパターン露光を行う工程;
(4)工程(3)で得られた層を50℃以上400℃以下に加熱する工程。 - 前記光学異方性層の片側全面が前記部分の少なくとも一部に接触するように、前記光学異方性層が基材に設けられる請求項10に記載の方法。
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