JP5669782B2 - 放射能検査装置 - Google Patents

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Description

本発明は、放射能汚染の検査など、検査対象に付着した放射性物質が発生する放射線を検出する装置に関する。
放射性物質の漏洩事故等が発生した場合、放射能汚染の検査が必要になる。一般に、放射性物質の有無の判定は、放射性物質から放出されるα線およびβ線を検出することによって行われる。放射能汚染検査装置は、検査対象に付着した放射性物質からのα線およびβ線を検出し、検査対象に放射性物質が付着しているかどうかを検査するために用いられるものであり、検査対象に付着した放射性物質のからのα線およびβ線を効率よく検出することが求められている。
一般に、放射性核種から放出されるα線のエネルギーは、おおよそ5MeV近辺に集中しており、5MeVのα線の飛程は、空気中で約4cm、水中で0.1mm以下である。このため、α線を効率的に計測するためには、α線を放出する核種と検出器との間の距離を小さくし、両者の間にα線を遮蔽するものがない状態にする必要がある。
β線は高速の電子であり、放射性核種のβ崩壊の過程で放出されるニュートリノとの間で運動エネルギーを分け合うため、その運動エネルギーは単一ではなく、ゼロから、取り得る最大のエネルギーまでの広い範囲に亘って連続な確率分布となる。電子の飛程は、α線の飛程よりも長いが、エネルギーに依存している。水中での飛程は、1MeVの電子で約5mmであるが、エネルギーが100keVまで低くなれば、0.1mm程度まで短くなる。
そのため、検査対象の表面に付着した放射性物質を検査する目的の場合は、放射線検出器を検査対象にできるだけ近づけ、検査対象の表面全体を計測できるように、大面積のプラスチックシンチレータが用いられる場合が多い(例えば、特許文献1,2)。
また、α線や、特にエネルギーの低いβ線を対象とした計測では、検出対象と検出器の間に存在する空気による減衰を避けるため、検査対象を液体シンチレータに浸ける方法(例えば、非特許文献1)や、検査対象に蛍光体をスプレー塗布する方法(例えば、特許文献3)が提案されている。
特開平3−12581号公報 特許第2650420号公報 特開平6−324151号公報
G. F. Knoll著(木村逸郎、阪井英次訳)「放射線計測ハンドブック第2版、10.3節、液体シンチレーションカウンタ」、日刊工業新聞社、p.348-350
透過力の低いα線やエネルギーの低いβ線を計測する場合、検査対象と検出器の間の距離を短くし、その間にα線やβ線を遮蔽するものが無い状態にすることが望ましい。しかし、検査対象と検出器を接触させてしまった場合は、検出器自体に放射性物質が付着し検出器が自己汚染してしまう可能性がある。つまり、従来の固体検出器式表面汚染検査では、検出器を検査対象に接触させることができないため、検査対象と検出器の間に空気の層が生じてしまう。α線やエネルギーの低いβ線の場合には、この空気層を通過する間に減衰されるため、低エネルギーのα線やβ線の検出が困難である。換言すると、検出可能なα線、β線のエネルギーは、放射性物質と検出器との間の空気層を透過可能な程度に高いエネルギーの放射線に制限されることになる。このため、低エネルギーのα線やβ線のみを放出する放射性核種を検出することは困難である。
一方、非特許文献1のように、液体シンチレータを用いる方法では、液体シンチレータ中にサンプルを浸けるため、低エネルギーのα線やβ線が計測可能であったが、検出器である液体シンチレータに放射性核種が混ざってしまい、液自体が自己汚染されるため、計測毎に液の交換が必要になる。さらに、多くの液体シンチレータは有害物質であるため、廃液や交換用液体の保管およびそれらの取扱いにも多大な管理コストを必要とする。
また、計測のために液体シンチレータ中に浸漬したサンプルについても、液体シンチレータを除去するための洗浄が必要になる。このことは、例えば、計測の結果、放射能汚染は無いと判定された場合でも、測定サンプルを別の用途に再利用することが困難になることを意味する。
本発明の目的は、測定サンプルや検出器の汚染を防止でき、従来計測が困難であった低エネルギーのα線やβ線を検出することが可能な放射能検査装置を提供することである。
上記目的を達成するために、本発明は、検査対象に付着した放射性物質が発生する放射線を検出するための放射能検査装置であって、
シンチレーション材料で形成され、検査対象を収納するための収納容器と、
収納容器が発生するシンチレーション光を受光して電気信号を出力する光検出器と、
収納容器の外側に設けられ、外部光が光検出器に入射するのを防止するための遮光筐体と、を備え
前記収納容器は、検査対象を収納した状態で、遮光筐体への収納および遮光筐体からの取り出しが可能であるように構成されることを特徴とする。
また本発明は、検査対象に付着した放射性物質が発生する放射線を検出するための放射能検査装置であって、
シンチレーション材料で形成され、検査対象を収納するための収納容器と、
収納容器が発生するシンチレーション光を受光して電気信号を出力する光検出器と、
収納容器の外側に設けられ、外部光が光検出器に入射するのを防止するための遮光筐体と、を備え、
収納容器は、可撓性のプラスチックシンチレータ材料で袋状に形成されていることを特徴とする。
また本発明は、検査対象に付着した放射性物質が発生する放射線を検出するための放射能検査装置であって、
シンチレーション材料で形成され、検査対象を収納するための収納容器と、
収納容器が発生するシンチレーション光を受光して電気信号を出力する光検出器と、
収納容器の外側に設けられ、外部光が光検出器に入射するのを防止するための遮光筐体と、を備え、
遮光筐体の内部空間に、収納容器の外面および光検出器の光学窓の両方に接触するように液体が充填されていることを特徴とする。



本発明によれば、検査対象を収納するための収納容器をシンチレーション材料で形成することによって、検査対象に付着した放射性物質が発生する放射線がシンチレーション材料に効率良く到達できるようになり、その結果、放射線の検出効率を向上させることができる。
また、検査対象を収納容器に収納することによって、検査対象と検査装置の相互隔離が可能になるため、その結果、放射性物質が付着していた場合の汚染を防止できる。
本発明の実施の形態1を示す構成図である。 シンチレーション容器を可撓性のプラスチックシンチレータ材料で袋状に形成した例を示す。 α線とβ線でシンチレーション光の発光時間の違いを示す説明図である。 本発明の実施の形態2を示す構成図である。 本発明の実施の形態3を示す構成図である。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1を示す構成図である。放射能検査装置は、例えば、食品、飼料、衣類、土壌などの検査対象1を収納するためのシンチレーション容器2と、シンチレーション光を受光する光検出器4と、シンチレーション容器2の外側に配置された遮光筐体5と、信号処理部101と、計測部102と、表示装置103などで構成される。
シンチレーション容器2は、シンチレーション材料、好ましくは有機シンチレーション材料で形成される。ここで、有機シンチレーション材料とは、放射線が入射した場合、放射線から受けたエネルギーにより材料の分子が励起され、基底状態に戻る際に蛍光を発生する材質であり、一般的なシンチレーション式放射線検出器に用いられているシンチレーション材料のうち、有機物の高分子化合物を指す。そのため、検査対象1に付着した放射性物質が発生する放射線がシンチレーション容器2に入射すると、シンチレーション材料に固有の波長を持つシンチレーション光が発生する。
シンチレーション容器2は、例えば、容器本体と、検査対象1の収納/取り出しのために開閉可能な蓋とを備える。容器2の全体をシンチレーション材料で形成してもよく、あるいは、容器2の一部だけをシンチレーション材料で形成してもよい。例えば、容器本体だけをシンチレーション材料で形成し、開閉蓋は非シンチレーション材料で形成することも可能である。
シンチレーション容器2は、大気圧より低い圧力に保持されていることが好ましい。容器2の内部圧力を下げることにより、容器2内の空気による放射線の減衰量を抑制できるため、特に、エネルギーの低い放射線に対する検出効率が向上するようになる。シンチレーション容器2は、例えば、吸引可能な閉止弁付き真空容器として構成できる。この場合、検査対象1を収納した後、密閉し吸引を行って閉止弁を閉じることによって、容器2の内部を減圧状態に保持できる。
シンチレーション容器2は、図2に示すように、可撓性のプラスチックシンチレータ材料で袋状に形成することも可能である。袋の開口部は、チャックやバンドなど密閉用具2aを用いて封止できる。また。必要に応じて吸引を行って、容器2の内部を減圧状態に保持できる。この場合、検査対象1の形状が複雑であっても、シンチレーション容器2の形状が検査対象1の形状に合わせて変形可能になり、さらに、検査対象1とシンチレーション容器2とが密着して、両者間の距離が短くなる。その結果、検査対象1からの放射線が効率良くシンチレーション材料に入射するようになり、放射能汚染の測定感度が向上する。
こうして検査対象1をシンチレーション容器2に収納することによって、検査対象1と検査装置の相互隔離が可能になるため、その結果、放射性物質が付着していた場合の汚染を防止できる。そのため、例えば、食品サンプルが放射能検査に合格した場合、食品サンプルは、洗浄することなく別の用途に再利用できる。
光検出器4は、例えば、半導体検出器、光電子増倍管などで構成され、シンチレーション容器2が発生するシンチレーション光を受光して、電気信号を出力する。光検出器4の出力電荷量は、入射光量に比例し、かつその応答時間はシンチレーション光の発光時間に比べて短いため、光検出器4の出力信号は、シンチレーション光の発光量の時間変化に比例する。光検出器4の受光面には、シンチレーション光に対して透明な材料からなる光学窓3が設けられる。
遮光筐体5は、例えば、金属などの遮光材料で形成され、シンチレーション容器2を内部に収納した状態で、外部光が光検出器に入射するのを防止する機能を有する。遮光筐体5は、例えば、筐体本体と、容器2の収納/取り出しのために開閉可能な遮光蓋6とを備える。
遮光筐体5の内部空間は、空気などの気体や、水、油などの液体からなる光学媒質11が充填される。ここで、シンチレーション容器2の材料として、光学窓3の屈折率と近い屈折率を有する材料を選定し、さらに、遮光筐体5の内部の光学媒質11として、シンチレーション容器2の屈折率と光学窓3の屈折率に近い液体を選定することが好ましい。
即ち、遮光筐体5の内部空間は、シンチレーション容器2の外面および光検出器4の光学窓3の両方に接触するように液体の光学媒質11が充填される。そして、容器2の外面の屈折率n1、光検出器4の光学窓3の屈折率n2、液体の屈折率n3は、互いに近い値を持ち、各々の比率n2/n1およびn3/n1はそれぞれ0.9〜1.1程度の範囲であることが好ましい。例えば、シンチレーション容器2を一般的な有機シンチレータ材料で形成した場合、容器2の屈折率は1.5程度になるため、光学窓3の屈折率n2は1.35〜1.65の範囲が好ましく、液体の屈折率n3は1.35〜1.65の範囲が好ましい。こうした構成により、シンチレーション容器2で発生したシンチレーション光が、光学媒質11、光学窓3を通過し、光検出器4に到達するまでの経路において、材料境界面を通過する際のフレネル反射損失が減少する。その結果、シンチレーション容器2で発生したシンチレーション光が光検出器4に入射する割合が増加し、光検出器4の出力を増加させることができる。
さらに、遮光筐体5の内面の全部または一部に、拡散反射面を設けることが好ましく、これによりシンチレーション光が光検出器4に到達するまでの反射回数が少なくなり、反射に伴う光の損失量を低減できる。その結果、シンチレーション容器2で発生したシンチレーション光がより効率的に光検出器4に到達するようになる。
信号処理部101は、光検出器4からの電気信号を処理する機能を有し、例えば、シンチレーション光の発光時間および発光量を測定する機能を有する。計測部102は、信号処理部で処理された情報に基づいて、放射線の種類毎の放射線量を計測する機能を有する。信号処理部101および計測部102は、例えば、単一または複数のマイクロプロセッサで構成される。表示装置103は、例えば、液晶ディスプレイなどで構成され、計測部102による計測結果を表示する機能を有する。
本実施形態において、複数の光検出器4を使用して、シンチレーション容器2からのシンチレーション光を同時計数することも可能である。これによりシンチレーション光のみの加算処理が可能になるため、熱雑音などの光検出器自身のノイズを低減でき、検査装置のSN比を改善することができる。
ここで、2つの光検出器4を使用し、シンチレーション容器2を中心としてそれぞれ対向配置させた場合、光検出器が1台の場合に比べて、反対方向に放出されたシンチレーション光も検出することができる。さらに光検出器4の台数を増やし、遮光筐体5の内面を全てカバーするように配置した場合、全方向に放出されたシンチレーション光を回収できるため、光検出器の出力をさらに増大することが可能である。
信号処理部101は、光検出器4から出力される電荷出力を受け取り、その時間変化および総量を測定する。光検出器4の出力電荷の時間変化は、シンチレーション光の発光量の時間変化に比例するため、信号処理部101は、シンチレーション光の発光量の時間変化を測定する。シンチレーション光の発光量の時間変化を測定することにより、シンチレーション光の発光時間を測定することができ、この発光時間に基づいて放射線の種類を弁別することが可能である。
シンチレーション材料は、放射線が入射した場合、放射線からエネルギーを受け取ることで材料の分子が励起されるが、放射線の種類により励起モードが異なるため、励起状態から基底状態に戻るまでの時間が異なる。そのため、放射線の種類により発光時間に違いが生じる。
図3は、α線とβ線で、シンチレーション光の発光時間の違いを示す説明図である。縦軸はシンチレーション光の発光量、横軸は時間である。β線の発光時間に比べてα線の発光時間の方が長くなる傾向があるため、発光時間の長短でα線とβ線が弁別可能である。
そこで、シンチレーション光の発光時間を計測することにより、放射線の種類を弁別することが可能である。この方法はパルス波形弁別法と呼ばれ、シンチレーション検出器による粒子弁別として、一般的に用いられている方法である。本実施形態では、信号処理部101がシンチレーション光の発光時間を測定することによって、こうした波形弁別機能を備えている。
光検出器4から出力される電荷量は、シンチレーション光の発光量に比例する。シンチレーション光の発光量は、入射放射線がシンチレーション容器2に与えたエネルギーの量に比例するため、信号処理部101で計測した光検出器4の出力電荷量は、シンチレーション容器2に与えられた放射線のエネルギーに比例する。
一般に、放射線計測においては、放射線による信号とノイズを識別するために、検出器からの出力電荷量に閾値を設け、ノイズと信号の分離を行っている。信号処理部101では、光検出器4の出力電荷量を計測し、その値が所定の閾値を超えた場合のみ、計測したシンチレーション光の発光時間と発光量を後段の計測部102に出力する。
計測部102は、信号処理部101から出力される信号を受け取り、発光時間別に光検出器4からの信号を計数する。ここで、発光時間別に計数する目的は、例えば、α線とβ線のように、放射線の種類毎に別々に計数することである。そこで、α線とβ線が取り得る発光時間の幅を設定し、入力された発光時間情報を分類することで、放射線の種類毎に計数することが可能である。
表示装置103は、計測部102で計測された放射線の種類毎の発光量分布、即ち、シンチレーション容器2に付与された放射線のエネルギースペクトルを表示する。放射線のエネルギースペクトルの積算値は、検出された放射線の数となるので、表示装置103は放射線の種類毎の測定エネルギースペクトルと検出数を表示する。
実施の形態2.
図4は、本発明の実施の形態2を示す構成図である。本実施形態は、図1と同様な構成を有するが、シンチレーション容器2は、互いに異なるシンチレーション材料からなる複数のシンチレーション層21,22で形成される点が相違している。ここでは、2つのシンチレーション層21,22を例示するが、3つ以上のシンチレーション層を配置することも可能である。
各シンチレーション層21,22の厚さは、検査対象の放射線の飛程に適合するように定められており、各シンチレーション層21,22は異なる発光時間を有する。
シンチレーション層21,22はともにシンチレーション材料、好ましくは有機シンチレーション材料で形成される。本実施形態では、シンチレーション層21,22は、シンチレーション光の発光時間が互いに異なる材料で形成される。両者は、互いに密着しているか、もしくは両者の間は、光学媒質(例えば、光学接着剤)で満たされ光学的に接合されている。
一般に、放射性核種から放出されるα線のエネルギーは5MeV程度であり、有機シンチレーション材料中での飛程は約50μm程度である。これに対し、β線はα線よりも透過力が高いため、同様のシンチレーション材料中での飛程は、500keVの電子で約0.2mmと長くなる。
そこで、検査対象1から最も近い第1シンチレーション層21の厚さを、α線の飛程より大きく、かつβ線の飛程より小さくなるように設定し、例えば、0.1mm程度に設定した場合、β線は十分透過することができるが、α線は第1シンチレーション層21内でほぼ停止することになる。このためβ線のみが、第1シンチレーション層21の外側に位置する第2シンチレーション層22に入射して、第2シンチレーション層22はβ線によるシンチレーション光を発生する。また、第2シンチレーション層22の厚さを、β線の飛程より大きくなるように設定した場合、β線は第2シンチレーション層22内でほぼ停止し、容器2の外部へ漏出するのを防止できる。
ここで、第1シンチレーション層21と第2シンチレーション層22では、シンチレーション光の発光時間が異なるため、実施の形態1と同様に、信号処理部101で発光時間を計測することで、どちらのシンチレーション層が発光したものかを判定することが可能である。これにより第1シンチレーション層21が発光した場合は、検査対象1からα線が放出されたと判断し、第2シンチレーション層22が発光した場合は、検査対象1からβ線が放出されたと判断することが可能である。
さらに、シンチレーション層を3層以上に増加させた場合、それぞれの層で発光時間が異なるような組み合わせに設定することによって、放射線が何番目の層まで達したかを判定することが可能にある。放射線のエネルギーに依存して、到達可能な厚さが決まるため、到達した層の厚さは放射線のエネルギーに比例するようになる。このため、放射線のエネルギーを到達した層の枚数として計測可能である。
ここで、第1シンチレーション層21はβ線に対しても有感であり、β線が通過する際にもシンチレーション光を発光する。しかし、α線とβ線では、同じシンチレーション材料の場合でも発光時間が異なることを利用して、実施の形態1と同様に、パルス波形弁別機能を用いた粒子弁別が可能である。また、内側の層から外側の層に向かって、シンチレーション光の発光時間が長くなるような組み合わせとすることで、発光したシンチレーション層の混同を避けることができる。
さらに、遮光筐体5の内部空間に充填される光学媒質11を、液体シンチレーション材料として使用することも可能である。この場合、光学媒質11全体が最も外側のシンチレーション層として機能するため、全てのシンチレーション層を通過し、容器2の外側にまで到達するようなエネルギーの高いβ線についても、光学媒質11内で完全に停止させエネルギーを全て光学媒質11に付与できる。その結果、高エネルギーβ線のエネルギーを高精度で計測することが可能である。
例えば、90Y(イットリウム)から放出されるβ線の最大エネルギーは2MeVを超えており、その飛程は一般的なプラスチックシンチレータ中で約1.5mmである。このため、1mm程度の厚さでは透過してしまい、90Yから放出されるβ線のエネルギーを正確に計測することはできないが、光学媒質11を液体シンチレータとして使用することで、全エネルギーを正確に計測することが可能である。
実施の形態3.
図5は、本発明の実施の形態3を示す構成図である。本実施形態は、図4と同様な構成を有するが、複数のシンチレーション層21,22が異なる発光波長を有し、各シンチレーション層21,22に対応して同数の光検出器41,42が配置され、各光検出器41,42は、各シンチレーション層21,22の発光波長を選択的に検出している点が相違している。ここでは、2つのシンチレーション層21,22と2つの光検出器41,42を例示するが、3つ以上のシンチレーション層および3つ以上の光検出器を配置することも可能である。
本実施形態では、実施の形態2と同様に、第1シンチレーション層21の厚さを0.1mm程度に設定する。検査対象1からα線が放出された場合、第1シンチレーション層21内で停止するため、第1シンチレーション層21に固有の波長を持つシンチレーション光が発生する。シンチレーション光は、光学媒質11を伝搬して第1光検出器41と第2光検出器42の双方に入射する。
ここで、第1光検出器41の分光感度は、第1シンチレーション層21で発生するシンチレーション光の波長域で高く、他の波長域では極めて低くなるように設定している。また、第2光検出器42の分光感度は、第2シンチレーション層22で発生するシンチレーション光の波長域で高く、他の波長域では極めて低くなるように設定している。分光感度の設定は、例えば、有感波長域が各シンチレーション層の発光波長に適合した分光感度を持つ光検出器の組み合わせを選択することも可能である。また、例えば、光検出器41,42の受光面に所望の透過スペクトルを有する光学フィルタをそれぞれ配置することでも分光感度の調整が可能である。
このため、第1シンチレーション層21で発生したシンチレーション光は、第1光検出器41のみで検出され、第2シンチレーション層22で発生したシンチレーション光は第2光検出器42のみで検出される。従って、第1シンチレーション層21内で停止したα線は、第1光検出器41だけで検出され、それに対応した電気信号が出力される。
検査対象1からβ線が放出された場合は、第1シンチレーション層21を通過し、第2シンチレーション層22に入射するため、第1シンチレーション層21および第2シンチレーション層22の双方からシンチレーション光が発生し、第1光検出器41および第2光検出器42の双方から電気信号が出力される。
各光検出器41,42から出力される電気信号は、独立して信号処理部101に入力され、発光したシンチレーション層の判定が行われる。光検出器41,42の両方から信号が出力された場合は、放射線が第2シンチレーション層21まで到達しているため、検査対象1からβ線が放出されたと判断される。また第1光検出器41のみから信号が出力された場合は、放射線が第1シンチレーション層21内で停止しているため、検査対象1からα線もしくは低エネルギーのβ線が放出されたと判定される。
続いて、図3に示したように、α線とβ線では、同じシンチレーション材料の場合でも発光時間が異なることを利用して、実施の形態1と同様に、波形弁別機能を用いた粒子弁別が可能である。
1 検査対象、 2 シンチレーション容器、 2a 密閉用具、 3 光学窓、
4 光検出器、 5 遮光筐体、 6 遮光蓋、 11 光学媒質、
21 第1シンチレーション層、 22 第2シンチレーション層、
41 第1光検出器、 42 第2光検出器、
101 信号処理部、 102 計測部、 103 表示装置。

Claims (12)

  1. 検査対象に付着した放射性物質が発生する放射線を検出するための放射能検査装置であって、
    シンチレーション材料で形成され、検査対象を収納するための収納容器と、
    収納容器が発生するシンチレーション光を受光して電気信号を出力する光検出器と、
    収納容器の外側に設けられ、外部光が光検出器に入射するのを防止するための遮光筐体と、を備え
    前記収納容器は、検査対象を収納した状態で、遮光筐体への収納および遮光筐体からの取り出しが可能であるように構成されることを特徴とする放射能検査装置。
  2. 検査対象に付着した放射性物質が発生する放射線を検出するための放射能検査装置であって、
    シンチレーション材料で形成され、検査対象を収納するための収納容器と、
    収納容器が発生するシンチレーション光を受光して電気信号を出力する光検出器と、
    収納容器の外側に設けられ、外部光が光検出器に入射するのを防止するための遮光筐体と、を備え
    収納容器は、可撓性のプラスチックシンチレータ材料で袋状に形成されていることを特徴とする放射能検査装置。
  3. 検査対象に付着した放射性物質が発生する放射線を検出するための放射能検査装置であって、
    シンチレーション材料で形成され、検査対象を収納するための収納容器と、
    収納容器が発生するシンチレーション光を受光して電気信号を出力する光検出器と、
    収納容器の外側に設けられ、外部光が光検出器に入射するのを防止するための遮光筐体と、を備え
    遮光筐体の内部空間に、収納容器の外面および光検出器の光学窓の両方に接触するように液体が充填されていることを特徴とする放射能検査装置。
  4. 収納容器の外面の屈折率n1、光検出器の光学窓の屈折率n2、遮光筐体内に充填されている光学媒質である液体の屈折率n3が、
    0.9≦n2/n1≦1.1 および 0.9≦n3/n1≦1.1
    を満たすことを特徴とする請求項記載の放射能検査装置。
  5. 収納容器の内部は、大気圧より低い圧力に保持されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の放射能検査装置。
  6. 遮光筐体の内面は、拡散反射面が設けられることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の放射能検査装置。
  7. 光検出器からの電気信号を処理する信号処理部と、
    信号処理部で処理された信号を計測する計測部とをさらに備え、
    信号処理部は、シンチレーション光の発光時間を測定する機能を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の放射能検査装置。
  8. 複数の光検出器を使用して、収納容器からのシンチレーション光を同時計数することを特徴とする請求項7記載の放射能検査装置。
  9. 収納容器は、互いに異なる材料からなる複数のシンチレーション層で形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の放射能検査装置。
  10. 検査対象から最も近い第1シンチレーション層の厚さは、α線の飛程より大きく、かつβ線の飛程より小さく設定され、
    第1シンチレーション層の外側に位置する第2シンチレーション層の厚さは、β線の飛程より大きく設定されることを特徴とする請求項9記載の放射能検査装置。
  11. 光検出器からの電気信号を処理する信号処理部と、
    信号処理部で処理された信号を計測する計測部とをさらに備え、
    各シンチレーション層は、異なる発光時間を有し、
    信号処理部は、シンチレーション光の発光時間を測定する機能を有することを特徴とする請求項9記載の放射能検査装置。
  12. 各シンチレーション層は、異なる発光波長を有し、
    各シンチレーション層に対応して同数の光検出器が配置され、各光検出器は、各シンチレーション層の発光波長を選択的に検出することを特徴とする請求項9記載の放射能検査装置。
JP2012077475A 2012-03-29 2012-03-29 放射能検査装置 Active JP5669782B2 (ja)

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