JP5665535B2 - 遠心圧縮機 - Google Patents
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Description
一般的なスプリッタブレード03の場合、図11のように、フルブレード01の入口端縁(LE1)より一定距離下流側にスプリッタブレード03の入口端縁(LE2)が位置され、出口端縁(TE)は一致して設けられ、スプリッタブレード03の入口端縁の翼角θ(入口端縁の方向とインペラ05の軸方向Gとの成す角度として示す)は、フルブレード01間の流路を流れる流体の流れ方向Fと同一に設定されている。
また、スプリッタブレードの入口端部を、フルブレードの負圧面側に傾けたものとして特許文献2(特許3876195号公報)についても知られている。
このように、第1スプリッタブレード、および、第2スプリッタブレードの両方共に翼端漏れ渦を回避できるようになり、複数のスプリッタブレードを備えた遠心圧縮機の効率向上と性能改善を行うことができる。
さらに、第2スプリッタブレードの前縁部のシュラウド側へ進む翼端漏れ渦は、フルブレードによる翼端漏れ渦と、第1スプリッタブレードによる翼端漏れ渦とが重なるため、効果的な翼端漏れ渦の回避を行うには、第2スプリッタブレードの前記フルブレードの負圧面側への寄せ量を、前記第1スプリッタブレードの前記フルブレードの負圧面側への寄せ量より大きくする必要がある。これによって、さらに確実に漏れ渦の回避が可能になる。
圧縮機の回転方向の上流側のフルブレードの負圧面に近い側に設けられ、且つ該上流側のフルブレードの次に流路方向長さが短い第1スプリッタブレードと、該第1スプリッタブレードの負圧面側に設けられ前記第1スプリッタブレードの次に流路方向長さが短い第2スプリッタブレードと、を備え、前記第1スプリッタブレードおよび第2スプリッタブレードの前縁部のシュラウド側をフルブレード間のスプリッタブレード数で等間隔に分割した位置より前記フルブレードの負圧面側に寄せ、
前記第1スプリッタブレードおよび第2スプリッタブレードの各スプリッタブレードの後縁部のハブ側をフルブレードの周方向等間隔位置からフルブレードの負圧面側に寄せ、
前記第1スプリッタブレードおよび第2スプリッタブレードのそれぞれの後縁部のシュラウド側をフルブレードの周方向等間隔位置からフルブレードの正圧面側に寄せたことを特徴とする。
従って、シュラウド側の負荷を下げて剥離等の発生リスクを低減しつつ、ハブ側の負荷増大によってスプリッタブレードのハブ側とシュラウド側との翼負荷のバランスを均等化して圧縮機のさらなる性能向上および耐久性を向上できる。
すなわち、前縁部のシュラウド側は、前述のように翼端漏れ渦との干渉回避のために、フルブレードの負圧面側に寄せたことによってシュラウド側には大きな翼負荷が作用している。この翼負荷のバランスを均等化させるために、後縁部のハブ側をフルブレードの周方向等間隔位置からフルブレードの負圧面側に寄せているが、これだけではシュラウド側の翼負荷の増大負担を解消できない場合には、シュラウド側の剥離等の危険性が依然としてのこる問題があり、このような場合には、さらに、後縁部のシュラウド側をフルブレードの周方向等間隔位置からフルブレードの正圧面側に寄せることによって、シュラウド側の負荷低減をさらに行うことができる。
圧縮機の回転方向の上流側のフルブレードの負圧面に近い側に設けられ、且つ該上流側のフルブレードの次に流路方向長さが短い第1スプリッタブレードと、該第1スプリッタブレードの負圧面側に設けられ前記第1スプリッタブレードの次に流路方向長さが短い第2スプリッタブレードと、を備え、前記第1スプリッタブレードおよび第2スプリッタブレードの前縁部のシュラウド側をフルブレード間のスプリッタブレード数で等間隔に分割した位置より前記フルブレードの負圧面側に寄せ、
前記第2スプリッタブレードの負圧面側であって、前記第2スプリッタブレードの次に流路方向長さが短い第3スプリッタブレードを備え、該第3スプリッタブレードの前縁部のシュラウド側をフルブレード間のスプリッタブレード数で等間隔に分割した位置より前記フルブレードの負圧面側に寄せたことを特徴とする。
また、前記第3スプリッタブレードの前記フルブレードの負圧面側への寄せ量を、前記第2スプリッタブレードの前記フルブレードの負圧面側への寄せ量より大きくするとよい。
このように構成することで、第3スプリッタブレードについても、前記第2スプリッタブレードと同様の作用効果が得られ、フルブレード、第1スプリッタブレード、および第2スプリッタブレードの翼端から生じる翼端漏れ渦との干渉を回避できる。
但し、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
図1は本発明のスプリッタブレードが適用される遠心圧縮機のインペラ(羽根車)の要部を示す斜視図である。インペラ1は、図示しないローター軸に嵌着されたハブ3の上面に複数の互いに隣り合うフルブレード(全翼)5と、そのフルブレード5の間に設けられる第1スプリッタブレード(短翼)7と、第2スプリッタブレード(短翼)8が、周方向に等ピッチΔP(図2参照)でそれぞれ立設されている。
そして、第1スプリッタブレード7、および第2スプリッタブレード8は、フルブレード5よりも流体の流れ方向に対して長さが短く、さらに、第2スプリッタブレード8は、第1スプリッタブレード7より短く、前後のフルブレード5の間に形成される流路9の途中から出口部にかけて設けられている。インペラ1は矢印方向に回転し、その中心がOで示される。
第1スプリッタブレード7のリーディングエッジである前縁7aは、フルブレード5のリーディングエッジである前縁5aより流れ方向下流側に位置し、第2スプリッタブレード8のリーディングエッジである前縁8aは、第1スプリッタブレード7のリーディングエッジである前縁7aより流れ方向下流側に位置し、第1スプリッタブレード7のトレーリングエッジの後縁7bと、第2スプリッタブレード8のトレーリングエッジの後縁8bと、フルブレード5のトレーリングエッジの後縁5bとの位置は周方向で一致して設けられている。
従って、フルブレード5の前縁5aの先端部分(シュラウド側)とシュラウドとの隙間部分を通って回転方向上流側のフルブレード5(前側フルブレード5F)の正圧面側の流体がフルブレード5の負圧面側に漏れる翼端漏れ渦Wが生じる。
この翼端漏れ渦Wは、強い渦流を伴っており、フルブレード5に沿う流れに対して強いブロック作用を有するため、第1スプリッタブレード7の前縁7aの近傍では、流れはフルブレード5に沿った流れとはならず、前記渦を核としてスプリッタブレード7の前縁に向かう偏流Mを生じる。
広範囲の運転領域への対応のために、効率ピーク時における翼端漏れ渦Wを基準の方向として設定している。
この第1スプリッタブレード7の前縁7aの位置、つまり長さ方向の位置の設定には種々の手法がある。
または、後側フルブレード5Rの前縁5aから該後側フルブレード5Rに隣接して回転方向前側に設けられる前側フルブレード5Fの負圧面Sb側への最小距離を形成する所謂スロートの中心位置と、前側フルブレード5Fの前縁5aとを結んで形成されるラインを翼端漏れ渦の向きとして線Z1とし、その線Z1と前後のフルブレード5Fと5Rの3等分との交点として設定する場合がある。
何れの手法にしても、基準となる翼端漏れ渦の方向を示す線Z1を求めて、そのラインと前後のフルブレード5Fと5Rの3等分位置との交点として設定される。
この寄せ量Δθ1及び開始点については、シミュレーションによる数値解析結果、実機確認結果を基に、圧縮機の運転状態が小量運転から大量運転の広い範囲にわたって、第1スプリッタブレード7の前縁7aと翼端漏れ渦との干渉を回避できる範囲として求められたものである。
すなわち、基準となる第1スプリッタブレード7の前縁7aの翼端漏れ渦の方向を示す線Z2を求めて、そのラインと前後のフルブレード5Fと5Rの3等分位置との交点として設定される。
これは、第2スプリッタブレード8の前縁8aのシュラウド側へ進む翼端漏れ渦は、第1スプリッタブレード7の前縁7aによって発生するため、第1スプリッタブレード7の前縁7aの寄せ量Δθ1より大きくする必要がある。
次に、図3(a)〜(d)を参照して、第2実施形態について説明する。この第2実施形態は、第1実施形態に対して、第1スプリッタブレード7の後縁7bを前側フルブレード5Fの負圧面Sb側に偏らせ、および第2スプリッタブレード8の後縁8bを第1スプリッタブレード7側に偏らせるものである。
第1スプリッタブレード7の後縁7bを前側フルブレード5Fの負圧面Sb側に偏らせ、および第2スプリッタブレード8の後縁8bを第1スプリッタブレード7側に偏らせることで、図3(d)に示すように、第1スプリッタブレード7の後縁7bおよび第2スプリッタブレード8の後縁8bは、前側フルブレード5Fや後側フルブレード5Rのハブ3に対する立設状態より立った状態になる。
第1実施形態においては図2(a)のように、第1スプリッタブレード7の前縁7aのシュラウド側を前側フルブレード5Fの負圧面Sb側に偏らせ、第2スプリッタブレード8の前縁8aのシュラウド側を第1スプリッタブレード7側に偏らせることによって、それぞれのスプリッタブレード7、8の前縁7a、8aのシュラウド側における翼端漏れ渦との干渉を回避する。
しかし、それぞれのスプリッタブレード7、8の前縁7a、8aのシュラウド側は回転方向上流側に向かって傾斜することによって、翼曲率(翼負荷)が大きくなっている。
このようにシュラウド側の翼負荷の増大に対応させるようにハブ側の翼負荷を増大させることによって、それぞれのスプリッタブレード7、8においてハブ側とシュラウド側との翼負荷のバランスを均等化させている。
なお、入口面積、出口面積は、流路に直交する方向の断面積である。
次に、図4を参照して、第3実施形態を説明する。
第3実施形態は、第2実施形態に加えてさらに、第1スプリッタブレード7の後縁7bのシュラウド側を第2スプリッタブレード8側へ偏らせ、第2スプリッタブレード8の後縁8bのシュラウド側を後側フルブレード5Rの正圧面Sa側に偏らせて配置することに特徴がある。
これによって、第2実施形態よりもさらにシュラウド側の負荷低減効果を得ることができ、各スプリッタブレード7、8のハブ側とシュラウド側との翼負荷の均一化を達成できる。
次に第4実施形態について、図5を参照して説明する。第1〜第3実施形態は、スプリッタブレードが2枚の場合について説明したが、3枚でも、それ以上であってもよい。第4実施形態は、3枚の場合について説明する。
図5に示すように、第1スプリッタブレード21、第2スプリッタブレード23、第3スプリッタブレード25が前後のフルブレード5F、5Rの間に、3等分位置に配置されている。
前側フルブレード5Fの前縁5aの翼端漏れ渦に対する干渉を回避するために、第1スプリッタブレード21の前縁21aのシュラウド側は、寄せ量Δα1に設定され、また、第1スプリッタブレード21の前縁21aの翼端漏れ渦に対する干渉を回避するために、第2スプリッタブレード23の前縁23aのシュラウド側は、寄せ量Δα2に設定され、また、第2スプリッタブレード23の前縁23aの翼端漏れ渦に対する干渉を回避するために、第3スプリッタブレード25の前縁25aのシュラウド側は、寄せ量Δα3に設定されている。そして、Δα1<Δα2<Δα3の関係になっている。
その他の作用効果については、第1実施形態〜第3実施形態で説明した2枚のスプリッタブレードの場合と同様である。
次に第5実施形態について、図6を参照して説明する。第5実施形態は、第4実施形態以外の3枚のスプリッタブレードの配置パターンの場合について説明する。
図6に示すように、第1スプリッタブレード31、第2スプリッタブレード33、第3スプリッタブレード35が前後のフルブレード5F、5Rの間に、3等分位置に配置されている。
そして、第1スプリッタブレード31が最も短く、第2スプリッタブレード33より第3スプリッタブレード35が短くなっている。
寄せ量については、第2スプリッタブレード33の前縁33aのシュラウド側へ進む翼端漏れ渦は、前側フルブレード5Fの前縁5aによって発生し、第3スプリッタブレード35の前縁35aのシュラウド側へ進む翼端漏れ渦は、第2スプリッタブレード33の前縁33aのシュラウド側によって発生する。
第3スプリッタブレード35の前縁35aの寄せ量Δγ2は、第2スプリッタブレード33の寄せ量Δγ1より大きく設定されるとよい。
なお、第1スプリッタブレード31については、翼端漏れ渦の影響がないため、前縁31aの偏る設定は行われず、標準的に前後のフルブレード5F、5R間の3等分位置に配置されている。
作用効果については、第1実施形態〜第3実施形態で説明した2枚のスプリッタブレードの場合と同様のことが言える。
3 ハブ
5 フルブレード
5a フルブレードの前縁
5b フルブレードの後縁
5F 前側フルブレード
5R 後側フルブレード
7、21、31 第1スプリッタブレード
7a 第1スプリッタブレードの前縁(前縁部)
7b 第1スプリッタブレードの後縁(後縁部)
8、23、33 第2スプリッタブレード
8a 第2スプリッタブレードの前縁(前縁部)
8b 第2スプリッタブレードの後縁(後縁部)
9、11、12、13 流路
25、35 第3スプリッタブレード
B 前側フルブレードの先端隙間
M 偏流
W 翼端漏れ渦
Sa フルブレードの正圧面
Sb フルブレードの負圧面
β スプリッタブレードの前縁の傾斜角度
Δθ1、Δθ2 寄せ量
Δα1、Δα2、Δα3 寄せ量
Δγ1、Δγ2 寄せ量
Claims (4)
- ハブ面上に流体の入口部から出口部にかけて周方向に複数枚を均等間隔に立設されたフルブレードと、互いに隣り合わせて設けられた前記フルブレードの間に形成される流路の途中から出口部にかけて設けられるスプリッタブレードとを備えるとともに、前記フルブレード間に、該フルブレードのハブ面からの高さと同一の高さを有する2枚以上の複数枚のスプリッタブレードを設けた遠心圧縮機において、
圧縮機の回転方向の上流側のフルブレードの負圧面に近い側に設けられ、且つ該上流側のフルブレードの次に流路方向長さが短い第1スプリッタブレードと、該第1スプリッタブレードの負圧面側に設けられ前記第1スプリッタブレードの次に流路方向長さが短い第2スプリッタブレードと、を備え、前記第1スプリッタブレードおよび第2スプリッタブレードの前縁部のシュラウド側をフルブレード間のスプリッタブレード数で等間隔に分割した位置より前記フルブレードの負圧面側に寄せ、前記第2スプリッタブレードの前記フルブレードの負圧面側への寄せ量を、前記第1スプリッタブレードの前記フルブレードの負圧面側への寄せ量より大きくしたことを特徴とする遠心圧縮機。 - ハブ面上に流体の入口部から出口部にかけて周方向に複数枚を均等間隔に立設されたフルブレードと、互いに隣り合わせて設けられた前記フルブレードの間に形成される流路の途中から出口部にかけて設けられるスプリッタブレードとを備えるとともに、前記フルブレード間に、該フルブレードのハブ面からの高さと同一の高さを有する2枚以上の複数枚のスプリッタブレードを設けた遠心圧縮機において、
圧縮機の回転方向の上流側のフルブレードの負圧面に近い側に設けられ、且つ該上流側のフルブレードの次に流路方向長さが短い第1スプリッタブレードと、該第1スプリッタブレードの負圧面側に設けられ前記第1スプリッタブレードの次に流路方向長さが短い第2スプリッタブレードと、を備え、前記第1スプリッタブレードおよび第2スプリッタブレードの前縁部のシュラウド側をフルブレード間のスプリッタブレード数で等間隔に分割した位置より前記フルブレードの負圧面側に寄せ、
前記第1スプリッタブレードおよび第2スプリッタブレードの各スプリッタブレードの後縁部のハブ側をフルブレードの周方向等間隔位置からフルブレードの負圧面側に寄せ、
前記第1スプリッタブレードおよび第2スプリッタブレードのそれぞれの後縁部のシュラウド側をフルブレードの周方向等間隔位置からフルブレードの正圧面側に寄せたことを特徴とする遠心圧縮機。 - ハブ面上に流体の入口部から出口部にかけて周方向に複数枚を均等間隔に立設されたフルブレードと、互いに隣り合わせて設けられた前記フルブレードの間に形成される流路の途中から出口部にかけて設けられるスプリッタブレードとを備えるとともに、前記フルブレード間に、該フルブレードのハブ面からの高さと同一の高さを有する2枚以上の複数枚のスプリッタブレードを設けた遠心圧縮機において、
圧縮機の回転方向の上流側のフルブレードの負圧面に近い側に設けられ、且つ該上流側のフルブレードの次に流路方向長さが短い第1スプリッタブレードと、該第1スプリッタブレードの負圧面側に設けられ前記第1スプリッタブレードの次に流路方向長さが短い第2スプリッタブレードと、を備え、前記第1スプリッタブレードおよび第2スプリッタブレードの前縁部のシュラウド側をフルブレード間のスプリッタブレード数で等間隔に分割した位置より前記フルブレードの負圧面側に寄せ、
前記第2スプリッタブレードの負圧面側であって、前記第2スプリッタブレードの次に流路方向長さが短い第3スプリッタブレードを備え、該第3スプリッタブレードの前縁部のシュラウド側をフルブレード間のスプリッタブレード数で等間隔に分割した位置より前記フルブレードの負圧面側に寄せたことを特徴とする遠心圧縮機。 - 前記第3スプリッタブレードの前記フルブレードの負圧面側への寄せ量を、前記第2スプリッタブレードの前記フルブレードの負圧面側への寄せ量より大きくしたことを特徴とする請求項3記載の遠心圧縮機。
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