JP5664736B2 - 光学補償フィルム - Google Patents

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Description

本発明は、光学補償フィルム、特にセルロース系樹脂製フィルムである透明樹脂フィルム基材上に少なくとも2層以上のN−置換マレイミド重合体樹脂又はN−置換マレイミド−無水マレイン酸共重合体樹脂であるマレイミド系樹脂フィルムを含む光学補償フィルムであり、特定条件の下において二軸延伸加工することでカールが無く、面内位相差及び面外位相差を有し光学補償機能を発現する液晶表示素子用の光学補償フィルムに関するものである。
液晶ディスプレイは、マルチメディア社会における最も重要な表示デバイスとして、携帯電話からコンピューター用モニター、ノートパソコン、テレビまで幅広く使用されている。液晶ディスプレイには表示特性向上のため多くの光学フィルムが用いられている。
特に光学補償フィルムは、正面や斜めから見た場合のコントラスト向上、色調の補償などに大きな役割を果たしている。
塗工(コーティング)により光学補償機能を発現させる光学補償膜の検討がなされている例としては、例えば、アクロン大学のハリス及びチェンは、剛直棒状のポリイミド、ポリエステル、ポリアミド、ポリ(アミド−イミド)、ポリ(エステル−イミド)よりなる光学補償膜を提案しており(例えば特許文献1,2参照。)、これらの材料は、自発的な分子配向性を有していることから塗工により延伸工程を経ることなく位相差を発現するという特徴がある。
更に、ポリイミドの塗工性(溶剤への溶解性)を向上したポリイミドからなる光学補償膜(例えば特許文献3参照。)、ディスコティック液晶化合物を偏光板の保護フィルムに塗工した偏光板(例えば特許文献4参照。)、等が提案されている。
また、フェニルマレイミド−イソブテン共重合体からなる延伸フィルム(例えば特許文献5参照。)が提案されている。
また、マレイミド樹脂よりなる塗工膜を一軸延伸してなる光学補償膜が開示されている(例えば特許文献6参照)。
米国特許第5344916号公報 特表平10−508048号公報 特開2005−070745号公報 特許第2565644号公報 特開2004−269842号公報 特開2009−156908号公報
しかし、特許文献1〜3において提案された方法で用いられるポリマーは、芳香族ポリマーであることから位相差の波長依存性が大きく、液晶表示素子の光学補償膜として用いた場合に色ずれなど画質低下の課題を有するものであった。
また、特許文献4に提案されているディスコティック液晶化合物を用いる方法は、液晶化合物を均一に配向させることが必要となり塗工プロセスが煩雑化する、配向ムラが大きい等の課題を有するばかりか、該液晶化合物も芳香族化合物が主体となることから位相差の波長依存性が大きいという品質上の課題も有するものであった。
特許文献5で得られる延伸フィルムは、塗工するだけでは位相差は発現しない(nx=ny=nz)。
特許文献6には塗工した膜を一軸延伸した塗工膜について記載されているももの、2層以上塗工した膜を二軸延伸した場合の位相差特性、波長依存性ならびにフィルム平滑性などの改善効果などについては記載されていない。
そこで、本発明は、光学特性に優れた光学補償フィルムを提供することを目的とするものであり、さらに詳しくは、セルロース系樹脂製フィルムである透明樹脂フィルム基材上に2層以上の透明性に優れた特定のマレイミド樹脂フィルムを含む光学補償フィルムであり、面内位相差量(以下Reと称する)と面外位相差量(以下Rthと称する)を有し、位相差量の波長分散性を制御したフィルムカール(反り)が無くフィルム平滑性に優れる光学補償フィルムを提供することを目的とするものである。
本発明者らは、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、透明樹脂フィルム基材上に少なくとも2層以上のマレイミド系樹脂フィルムを含む二軸延伸光学補償フィルムが液晶表示素子用の光学補償に好適な光学補償フィルムとなることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、セルロース系樹脂製フィルムである透明樹脂フィルム基材上に少なくとも2層以上のN−置換マレイミド重合体樹脂又はN−置換マレイミド−無水マレイン酸共重合体樹脂であるマレイミド系樹脂フィルムを含む二軸延伸光学補償フィルムであって、該マレイミド系樹脂フィルムが溶液粘度1〜1000cpsのマレイミド樹脂溶液を塗工して得られる塗工膜で乾燥後の各層の膜厚みが1〜10μmであり、該二軸延伸の二軸延伸加工温度が130℃から200℃であって、延伸軸方向をフィルム面内のx軸及びy軸とし、これと直行する面外方向をz軸とし、x軸方向の屈折率をnx、y軸方向の屈折率をny、z軸方向の屈折率をnzとした際の3次元屈折率関係がnx>ny>nz、nx=ny>nzまたはny>nx>nzでありフィルム反り(カール)がなく平滑フィルムであることを特徴とする光学補償フィルムに関するものである。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の光学補償フィルムに用いる透明樹脂フィルム基材としては、例えばトリアセチルセルロース樹脂、セルロース・アセテート・ブチレート樹脂、セルロース・アセテート・プロピオネート樹脂などのセルロース系樹脂;環状オレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート(PET)等からなるフィルムが挙げられ、その中でも透明性、強度、接着性に優れる光学補償フィルムとなることからセルロース系樹脂製フィルムが好ましい。
ここでセルロース系樹脂フィルムとしては、可塑剤、紫外線安定剤などの添加剤の他に複屈折を制御するための複屈折向上剤などを配合したものでも良く、更には延伸配向させられた透明樹脂フィルムであっても良い。ここで用いられる可塑剤、紫外線安定剤および複屈折向上剤は公知のものを用いることができ、延伸する手段として一軸ないし二軸延伸法として公知の方法により延伸したものでよい。
本発明の光学補償フィルムにおけるマレイミド系樹脂フィルムに用いるマレイミド系樹脂としては、例えばN−置換マレイミド重合体樹脂、N−置換マレイミド−無水マレイン酸共重合体樹脂等が挙げられ、該マレイミド系樹脂を構成するN−置換マレイミド残基単位としては、例えば下記一般式(1)で示されるN−置換マレイミド残基単位を挙げることができる。
Figure 0005664736
(ここで、Rは、炭素数1〜18の直鎖状アルキル基,炭素数1〜18の分岐状アルキル基,炭素数1〜18の環状アルキル基、ハロゲン基、エーテル基、エステル基、アミド基を示す。)
一般式(1)で示されるN−置換マレイミド残基単位におけるR1は、炭素数1〜18の直鎖状アルキル基,炭素数1〜18の分岐状アルキル基,炭素数1〜18の環状アルキル基、ハロゲン基、エーテル基、エステル基、アミド基であり、炭素数1〜18の直鎖状アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−ラウリル基等が挙げられ、炭素数1〜18の分岐状アルキル基としては、例えばイソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基等が挙げられ、炭素数1〜18の環状アルキル基としては、例えばシクロヘキシル基が挙げられ、ハロゲン基としては、例えば塩素、臭素、フッ素、ヨウ素等があげられ、好ましくはn−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基であり、特に好ましくはn−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基である。
一般式(1)で示されるN−置換マレイミド残基単位の具体的例示としては、例えばN−メチルマレイミド残基単位、N−エチルマレイミド残基単位、N−n−プロピルマレイミド残基単位、N−n−ブチルマレイミド残基単位、N−ヘキシルマレイミド残基単位、N−n−オクチルマレイミド残基単位、N−n−ラウリルマレイミド残基単位、N−イソプロピルマレイミド残基単位、N−イソブチルマレイミド残基単位、N−s−ブチルマレイミド残基単位、N−t−ブチルマレイミド残基単位、N−シクロヘキシルマレイミド残基単位、N−クロロエチルマレイミド残基単位、N−メトキシエチルマレイミド残基単位等の1種又は2種以上が挙げられ、特に位相差が発現しやすく、溶剤への溶解性、機械的強度に優れる光学補償フィルムとなることから、N−n−ブチルマレイミド残基単位、N−n−ヘキシルマレイミド残基単位、N−n−オクチルマレイミド残基単位、N−イソブチルマレイミド残基単位、N−s−ブチルマレイミド残基単位、N−t−ブチルマレイミド残基単位が好ましく、特にN−n−ブチルマレイミド残基単位、N−n−ヘキシルマレイミド残基単位、N−n−オクチルマレイミド残基単位が好ましい。
具体的なN−置換マレイミド−無水マレイン酸共重合体樹脂としては、例えばN−メチルマレイミド−無水マレイン酸共重合体樹脂、N−エチルマレイミド−無水マレイン酸共重合体樹脂、N−クロロエチルマレイミド−無水マレイン酸共重合体樹脂、N−メトキシエチルマレイミド−無水マレイン酸共重合体樹脂、N−n−プロピルマレイミド−無水マレイン酸共重合体樹脂、N−イソプロピルマレイミド−無水マレイン酸共重合体樹脂、N−n−ブチルマレイミド−無水マレイン酸共重合体樹脂、N−イソブチルマレイミド−無水マレイン酸共重合体樹脂、N−s−ブチルマレイミド−無水マレイン酸共重合体樹脂、N−t−ブチルマレイミド−無水マレイン酸共重合体樹脂、N−n−ヘキシルマレイミド−無水マレイン酸共重合体樹脂、N−シクロヘキシルマレイミド−無水マレイン酸共重合体樹脂、N−n−オクチルマレイミド−無水マレイン酸共重合体樹脂、N−n−ラウリルマレイミド−無水マレイン酸共重合体樹脂等を挙げることができる。
その中でも、特に製膜時の成膜性に優れ、光学補償機能、耐熱性に優れた光学補償フィルムとなることからN−n−ブチルマレイミド重合体樹脂、N−n−ヘキシルマレイミド重合体樹脂、N−n−オクチルマレイミド重合体樹脂、N−n−オクチルマレイミド−無水マレイン酸共重合体樹脂が好ましい。
また、本発明の光学補償フィルムにおけるマレイミド系樹脂フィルムを構成するマレイミド系樹脂は、本発明の目的を逸脱しない限りにおいてN−置換マレイミド残基単位、無水マレイン酸残基単位以外の残基単位を含有するものであってもよく、該残基単位としては、例えばスチレン残基単位、α−メチルスチレン残基単位等のスチレン類残基単位;アクリル酸残基単位;アクリル酸メチル残基単位、アクリル酸エチル残基単位、アクリル酸ブチル残基単位等のアクリル酸エステル残基単位;メタクリル酸残基単位;メタクリル酸メチル残基単位、メタクリル酸エチル残基単位、メタクリル酸ブチル残基単位等のメタクリル酸エステル残基単位;酢酸ビニル残基単位、プロピオン酸ビニル残基単位等のビニルエステル類残基単位;アクリロニトリル残基単位;メタクリロニトリル残基単位等の1種又は2種以上を挙げることができる。
また、該マレイミド系樹脂としては、ゲル・パーミエイション・クロマトグラフィー(以下、GPCと記す。)により測定した溶出曲線より得られる標準ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)が1×10以上のものであることが好ましく、特に機械特性に優れ、製膜時の成形加工性に優れた光学補償フィルムとなることから2×10以上2×10以下であることが好ましい。
本発明の光学補償フィルムにおけるマレイミド系樹脂フィルムを構成するマレイミド系樹脂の製造方法としては、該マレイミド系樹脂が得られる限りにおいて如何なる方法により製造してもよく、例えばN−置換マレイミド類、無水マレイン酸、場合によってはN−置換マレイミド類と共重合可能な単量体を併用しラジカル重合あるいはラジカル共重合を行うことにより製造することができる。この際のN−置換マレイミド類としては、例えばN−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−クロロエチルマレイミド、N−メトキシエチルマレイミド、N−n−プロピルマレイミド、N−イソプロピルマレイミド、N−n−ブチルマレイミド、N−イソブチルマレイミド、N−s−ブチルマレイミド、N−t−ブチルマレイミド、N−n−ヘキシルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−n−オクチルマレイミド、N−n−ラウリルマレイミド等の1種又は2種以上が挙げられ、共重合可能な単量体としては、例えばスチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類;アクリル酸;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル等のアクリル酸エステル類;メタクリル酸;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル等のメタクリル酸エステル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ピバリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等のビニルエステル類;アクリロニトリル;メタクリロニトリル等の1種又は2種以上を挙げることができる。
また、ラジカル重合法としては、公知の重合方法で行うことが可能であり、例えば塊状重合法、溶液重合法、懸濁重合法、沈殿重合法、乳化重合法等のいずれもが採用可能である。
ラジカル重合法を行う際の重合開始剤としては、例えばベンゾイルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート等の有機過酸化物;2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−ブチロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)等のアゾ系開始剤が挙げられる。
そして、溶液重合法、懸濁重合法、沈殿重合法、乳化重合法において使用可能な溶媒として特に制限はなく、例えばベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族溶媒;メタノール、エタノール、プロピルアルコール、ブチルアルコール等のアルコール系溶媒;シクロヘキサン;ジオキサン;テトラヒドロフラン(THF);アセトン;メチルエチルケトン;ジメチルホルムアミド;酢酸イソプロピル;水;N−メチルピロリドン等が挙げられ、これらの混合溶媒も挙げられる。
また、ラジカル重合を行う際の重合温度は、重合開始剤の分解温度に応じて適宜設定することができ、一般的には40〜150℃の範囲で行うことが好ましい。
本発明の光学補償フィルムは、透明樹脂フィルム基材上に少なくとも2層以上のマレイミド系樹脂フィルムを含む二軸延伸光学補償フィルムであり、好ましい製造方法として、例えば透明樹脂フィルム基材上にマレイミド系樹脂と溶媒からなるマレイミド系樹脂溶液を塗工、乾燥し透明樹脂フィルム基材上にマレイミド系樹脂フィルムを得た後、二軸延伸加工することにより製造する方法が挙げられる。
ここで、用いる溶媒としては、マレイミド系樹脂が溶解可能であれば特に制限はなく、例えばトルエン、キシレン、クロロベンゼン、ニトロベンゼン等の芳香族系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル等の酢酸エステル系溶剤;ヘキサン、シクロヘキサン、オクタン、デカン等の炭化水素系溶剤;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール系溶剤;四塩化炭素、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、トリクロロエタン等の塩素系溶剤;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶剤;N−メチルピロリドン等が挙げられ、これらは2種類以上組み合わせて用いることが出来る。
また、溶媒を除去する方法としては、例えば自然乾燥、加熱乾燥等の方法を用いることができる。
マレイミド系樹脂を塗工する方法としては、例えばマレイミド系樹脂を予め溶剤に溶解させた溶液を透明樹脂フィルム基材上に塗工後、加熱等により溶媒を除去する方法が挙げられる。その際の塗工方法としては、例えばドクターブレード法、バーコーター法、グラビアコーター法、スロットダイコーター法、リップコーター法、コンマコーター法等が用いられる。工業的には薄膜塗工はグラビアコーター法、厚膜塗工はコンマコーター法が一般的である。少なくとも2層以上塗工するために、最初に透明樹脂フィルム基材上に上記のいずれかの塗工方法を用いて塗工し、乾燥した後に再び塗工を繰り返す方法或いは透明樹脂フィルム基材の両面に同時に塗工し、乾燥することで2層形成することもできる。2層以上の繰返し塗工する場合、基材の両面に塗工してもよく、既塗工面に重ねて塗工してもよい。
塗工の際に使用する溶剤としては、マレイミド系樹脂が溶解する溶剤であれば特に制限はなく、例えばトルエン、キシレン、クロロベンゼン、ニトロベンゼン等の芳香族系溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル等の酢酸エステル系溶剤;ヘキサン、シクロヘキサン、オクタン、デカン等の炭化水素系溶剤;メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール系溶剤;四塩化炭素、クロロホルム、塩化メチレン、ジクロロエタン、トリクロロエタン等の塩素系溶剤;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド系溶剤;N−メチルピロリドン等が挙げられ、これらは2種類以上組み合わせて用いることが出来る。マレイミド系樹脂と溶剤からなる溶液の塗工においては、より容易に高い透明性を有し、且つ厚み精度、表面平滑性に優れた光学補償フィルムが得られることから、溶液粘度を0.1〜2000cpsとすることが好ましく、特に1〜1000cpsとすることが好ましい。
このマレイミド樹脂溶液を塗工する際、表面平滑性に優れた光学補償フィルムが得られることから、マレイミド系樹脂からなる塗工膜の各層の厚みとしては、それぞれ各塗工層の乾燥後の膜厚みが1〜10μmであることが好ましく、特に好ましくは2〜10μmである。
マレイミド系樹脂溶液からなる塗工膜を乾燥する方法としては、例えばバッチ式オーブン、防爆送風乾燥機、連続製膜における連続乾燥炉などが挙げられる。
二軸延伸加工する方法としては、公知の延伸加工方法を用いることができる。公知の延伸加工方法としては、例えばテンター延伸機などの連続延伸装置、小型の枚様試験片を延伸するための延伸機などを用いることができる。
二軸延伸加工において、二軸延伸加工温度は動的粘弾性測定や示差走査型熱量計などによって判定される透明樹脂フィルム基材のガラス転移温度域即ち、透明樹脂フィルムのガラス状態にある時の材料弾性率から高温側のゴム状態の弾性率に材料の状態が転移するガラス転移温度域を選んで延伸加工することが好ましく、透明樹脂フィルムのガラス転移温度としては130℃以上かつ200℃未満が好ましく、特に130℃以上かつ180℃未満が好ましい。また、延伸倍率は1.05倍以上3倍未満が好ましく、特に1.05倍以上2倍未満が好ましい。
製造方法で用いることのできるマレイミド系樹脂としては、例えばN−置換マレイミド重合体樹脂、N−置換マレイミド−無水マレイン酸共重合体樹脂等が挙げられ、該マレイミド系樹脂を構成するN−置換マレイミド残基単位としては、例えば前記一般式(1)で示されるN−置換マレイミド残基単位を挙げることができる。
本発明の光学補償フィルムは、透明樹脂フィルム基材上に少なくとも2層以上のマレイミド系樹脂フィルムを含む二軸延伸光学フィルムであって、延伸軸方向をフィルム面内のx軸及びy軸とし、これと直行する面外方向をz軸とし、x軸方向の屈折率をnx、y軸方向の屈折率をny、z軸方向の屈折率をnzとした際の3次元屈折率関係がnx>ny>nz、ny>nx>nzまたはnx=ny>nz、好ましくはnx>ny>nz、ny>nx>nzであることを特徴とする光学補償フィルムであり、特に光学補償フィルムとして用いる際の光学補償機能に優れたものである。
本発明の光学補償フィルムに用いる塗工膜は、未延伸でも膜の厚み方向の屈折率が小さくなるという特異な挙動を有し、更には二軸延伸加工することで、面外位相差量に加えて面内位相差量も操作することができることを見出した。また、面外位相差量を発現させながら面内位相差量を制御するためのフィルム面内複屈折としてnx>ny>nz、nx=ny>nzまたはny>nx>nzを示し、フィルム反りの少ない平滑フィルムの状態にて得られることを見出した。
本発明の光学補償フィルムの面内位相差量(Re)および面外位相差量(Rth)は、二軸延伸操作により容易に制御することが可能であり、延伸軸方向であるx軸方向とy軸方向の延伸倍率、速度ならびに延伸モードとしてx軸とy軸の延伸を同時に行う方法または逐次とする方法によって得られる光学フィルムの3次元屈折率を操作することができる。例えば、延伸方向としてx軸の延伸倍率をy軸の延伸倍率よりも大きくすることによりx軸方向の屈折率nxをy軸の屈折率nyよりも大きくすることができ、またy軸の延伸倍率をx軸の延伸倍率よりも大きくすることでnyをnxよりも大きくすることができる。
本発明の光学補償フィルムは位相差フィルムとしての適応が期待できる光学補償フィルムとなることから、測定波長550nmの光で測定した際の下記式(2)で示される面内位相差量(Re)が10〜150nmの範囲にあることが好ましく、特に30〜150nmであることが好ましい。
Re=|(nx−ny)|×d (2)
(ここで、dは光学補償フィルムの膜厚(nm)を示す。)
更に、下記式(3)で示される面外位相差量(Rth)が30〜2000nmの範囲にあることが好ましく、さらに30〜1000nm、特に30〜500nmであることが好ましい。
Rth=((nx+ny)/2−nz)×d (3)
(ここで、dは光学補償フィルムの膜厚(nm)を示す。)
該マレイミド系樹脂フィルムの各層の厚みは、位相差フィルムとしての適応が期待できる光学補償フィルムとなることから10μm以下が好ましく、特に2〜10μmが好ましい。
本発明の光学補償フィルムは、液晶表示素子に用いた際に色ずれの改善に効果的なものとなることから位相差量の波長依存性が小さい光学補償フィルムを作成する場合、特に光学フィルムを40度傾斜させ測定波長450nmの光で測定した位相差量(R450)と測定波長550nmの光で測定した位相差量(R550)の比で示される位相差量の波長依存性(R450/R550)が1.0以上1.1以下および測定波長630nmの光で測定した位相差量(R630)と測定波長550nmの光で測定した位相差量(R550)の比で示される(R630/R550)が1.0未満を示す光学補償フィルム或いは、光学フィルムを40度傾斜させ、測定波長450nmの光で測定した位相差量(R450)と測定波長550nmの光で測定した位相差量(R550)の比で示される(R450/R550)が1.0未満および測定波長630nmの光で測定した位相差量(R630)と測定波長550nmの光で測定した位相差量(R550)の比で示される(R630/R550)が1.0を上回る逆波長分散性を示す光学補償フィルムことを特徴とすることが好ましい。
光学フィルムを40度傾斜させ測定波長450nmの光で測定した位相差量(R450)と測定波長550nmの光で測定した位相差量(R550)の比で示される位相差量の波長依存性(R450/R550)が1.0以上1.1以下および測定波長630nmの光で測定した位相差量(R630)と測定波長550nmの光で測定した位相差量(R550)の比で示される(R630/R550)が1.0未満を示す光学補償フィルム或いは光学フィルムを40度傾斜させ、測定波長450nmの光で測定した位相差量(R450)と測定波長550nmの光で測定した位相差量(R550)の比で示される位相差量の波長依存性(R450/R550)が1.0未満および測定波長630nmの光で測定した位相差量(R630)と測定波長550nmの光で測定した位相差量(R550)の比で示される(R630/R550)が1.0を上回る逆波長分散性を示す光学補償フィルムとするためには、130℃から200℃において二軸延伸加工する必要があり、中でもセルロース系フィルムを透明フィルム基材として用い、130℃から200℃の範囲内においてセルロース系フィルムのガラス転移温度域にて選択的に二軸延伸加工を行うことで、位相差量の波長依存性(R450/R550)が1.0未満および測定波長630nmの光で測定した位相差量(R630)と測定波長550nmの光で測定した位相差量(R550)の比で示される(R630/R550)が1.0を上回る逆波長分散性を発現させることができ、セルロース系材料のガラス転移温度域を超える温度域、ガラス転移温度域を下回る温度域または、それ以外の樹脂フィルムとして環状ポリオレフィンやPETフィルムを用いた場合には任意の温度における二軸延伸加工によって光学フィルムを40度傾斜させ測定波長450nmの光で測定した位相差量(R450)と測定波長550nmの光で測定した位相差量(R550)の比で示される位相差量の波長依存性(R450/R550)が1.0以上1.1以下および測定波長630nmの光で測定した位相差量(R630)と測定波長550nmの光で測定した位相差量(R550)の比で示される(R630/R550)が1.0未満を示す光学補償フィルムを得ることができる。
本発明の光学補償フィルムは、液晶表示素子に用いた際に画質の特性が良好なものとなることから、JIS K 7361−1(1997年版)を準拠し測定した光学補償フィルムの光線透過率が85%以上であることが好ましく、特に90%以上であることが好ましい。また、JIS K 7136(2000年版)を準拠し測定した光学補償フィルムのヘーズ(曇り度)が2%以下であることが好ましく、特に1%以下であることが好ましい。
本発明の光学補償フィルムは、液晶表示素子に用いた際の品質の安定性から耐熱性が高いものであることが好ましく、光学補償フィルムを構成するマレイミド系樹脂フィルムに用いるマレイミド系樹脂のガラス転移温度が100℃以上であるものが好ましく、さらに120℃以上であるものが好ましく、特に135℃以上であるものが好ましい。
本発明の光学補償フィルムは、偏光板と積層して用いることもできる。
また、本発明の光学補償フィルムは熱安定性を高めるために酸化防止剤が配合されていても良い。該酸化防止剤としては、例えばヒンダードフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、その他酸化防止剤が挙げられ、これら酸化防止剤はそれぞれ単独又は併用して用いても良い。そして、相乗的に酸化防止作用が向上することからヒンダードフェノール系酸化防止剤とリン系酸化防止剤を併用して用いることが好ましく、その際には例えばヒンダードフェノール系酸化防止剤100重量部に対してリン系酸化防止剤を100〜500重量部で混合して使用することが特に好ましい。また、酸化防止剤の添加量としては、本発明の光学補償フィルムを構成するマレイミド系樹脂100重量部に対して0.01〜10重量部が好ましく、特に0.5〜1重量部の範囲であることが好ましい。
さらに、紫外線吸収剤として、例えばベンゾトリアゾール、ベンゾフェノン、トリアジン、ベンゾエートなどの紫外線吸収剤を必要に応じて配合していてもよい。
本発明の光学補償フィルムは、発明の主旨を越えない範囲で、その他ポリマー、高分子電解質、導電性錯体、無機フィラー、顔料、染料、帯電防止剤、アンチブロッキング剤、可塑剤、滑剤等が配合されたものであってもよい。
本発明の光学補償フィルムは、セルロース系樹脂製フィルムである透明樹脂フィルム基材上に少なくとも2層以上のN−置換マレイミド重合体樹脂又はN−置換マレイミド−無水マレイン酸共重合体樹脂であるマレイミド系樹脂フィルムを含む二軸延伸光学補償フィルムであり、その光学補償機能の制御も容易であることから液晶表示素子、特にVA−モードの液晶テレビのコントラストや視角特性の改良に有効な光学補償フィルムとして有用なものである。
以下に本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれら実施例によりなんら制限されるものではない。
〜マレイミド系樹脂の数平均分子量の測定〜
ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)(東ソー株式会社製、商品名HLC−802A)を用い、ジメチルホルムアミドを溶剤とし標準ポリスチレン換算値として求めた。
〜ガラス転移温度の測定〜
示差走査型熱量計(セイコー電子工業(株)製、商品名DSC2000)を用い、10℃/min.の昇温速度にて測定した。
〜光線透過率の測定〜
透明性の一評価として、JIS K 7361−1(1997年版)に準拠して光線透過率の測定を行った。
〜ヘーズの測定〜
透明性の一評価として、JIS K 7136(2000年版)に準拠してヘーズの測定を行った。
〜屈折率の測定〜
JIS K 7142(1981年版)に準拠してアッベ屈折率計(アタゴ製)を用いて測定した。
〜3次元屈折率の計算〜
試料傾斜型自動複屈折計(王子計測機器(株)製、商品名KOBRA−WR)を用いて仰角を変えて測定波長550nmの光でフィルム面内位相差量(Re)ならびに3次元屈折率を測定した。さらに、3次元屈折率より面外位相差量(Rth)を算出した。
合成例1(N−n−ブチルマレイミド重合体樹脂の製造例)
ガラス封管中に、N−n−ブチルマレイミド32.4g、重合開始剤としてジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート0.054gを仕込み、窒素置換後、重合温度60℃、重合時間5時間の条件にてラジカル重合反応を行なった。反応後、クロロホルムを加えポリマー溶液とした後に、過剰のメタノールと混合することにより重合体を析出させた。得られた重合体を濾過後、メタノールで十分洗浄し80℃にて乾燥し20gのN−n−ブチルマレイミド重合体樹脂を得た。得られたN−n−ブチルマレイミド重合体樹脂の数平均分子量は120,000であった。また、ガラス転移温度(以下、Tgと称する)は185℃であった。
合成例2(N−n−ヘキシルマレイミド重合体樹脂の製造例)
ガラス封管中に、N−n−ヘキシルマレイミド40g、重合開始剤として、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート0.05gを仕込み、窒素置換後、重合温度60℃、重合時間5時間の条件にてラジカル重合反応を行なった。反応後、クロロホルムを加えポリマー溶液とした後に、過剰のメタノールと混合することにより重合体を析出させた。得られた重合体を濾過後、メタノールで十分洗浄し80℃にて乾燥し32gのN−n−ヘキシルマレイミド重合体樹脂を得た。得られたN−n−ヘキシルマレイミド重合体樹脂の数平均分子量は160,000であった。また、Tgは148℃であった。
合成例3(N−n−オクチルマレイミド重合体樹脂の製造例)
ガラス封管中に、N−n−オクチルマレイミド28g、重合開始剤として、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート0.032gを仕込み、窒素置換後、重合温度60℃、重合時間5時間の条件にてラジカル重合反応を行なった。反応後、クロロホルムを加えポリマー溶液とした後に、過剰のメタノールと混合することにより重合体を析出させた。得られた重合体を濾過後、メタノールで十分洗浄し80℃にて乾燥し15gのN−n−オクチルマレイミド重合体樹脂を得た。得られたN−n−オクチルマレイミド重合体樹脂の数平均分子量は270,000であった。また、Tgは138℃であった。
合成例4(N−n−オクチルマレイミド−無水マレイン酸共重合体樹脂の製造例1)
ガラス封管中に、N−n−オクチルマレイミド26g、無水マレイン酸2.4g、重合開始剤として、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチレート0.036gを仕込み、窒素置換後、重合温度60℃、重合時間5時間の条件にてラジカル重合反応を行なった。反応後、クロロホルムを加えポリマー溶液とした後に、過剰のメタノールと混合することにより重合体を析出させた。得られた重合体を濾過後、メタノールで十分洗浄し80℃にて乾燥し19gのN−n−オクチルマレイミド−無水マレイン酸共重合体樹脂を得た。得られたN−n−オクチルマレイミド−無水マレイン酸共重合体樹脂は、無水マレイン酸残基を20重量%含有するものであり、数平均分子量は120000であった。また、Tgは150℃であった。
実施例1
合成例1で得られたN−n−ブチルマレイミド重合体樹脂を50重量%のトルエンと50重量部のメチルエチルケトンからなる混合溶剤に溶解し、13重量%の樹脂固形分溶液を調整し、フィルムコーターを用いてトリアセチルセルロース樹脂フィルム基材(富士フィルム製、製品名フジタックTD60UL、厚さ60μm、ガラス転移温度域150〜180℃)の片面にそれぞれ幅270mm、厚さ7μmの塗工膜(マレイミド系樹脂フィルム)を2層塗工し、室温にて24時間乾燥することで膜形成した。この塗工膜を形成したフィルムを井元製作所製の二軸延伸装置を用いて、温度150℃、延伸速度10mm/min.、同時二軸延伸にてそれぞれx軸方向に1.2倍、y軸方向に1.05倍延伸した。得られたフィルムの物性を以下に示す。
得られたフィルムは、フィルムカール(反り)も無く平滑であり、光線透過率91%、ヘーズ0.7%であり、フィルムの3次元屈折率の関係はnx>ny>nzであり、屈折率はそれぞれnx=1.51497、ny=1.51413、nz=1.51260であり、面内位相差量Re=+60nm、面外位相差量Rth=+138nmであり、面内位相差量と面外位相差量を共に有する位相差フィルムとして波長と共に発現し、位相差量の波長依存性としてR450/R550=0.82およびR630/R550=1.09であり位相差量が波長と共に増加するような光学補償の機能を有する。
実施例2
実施例1において塗工膜を形成した後、この塗工膜を形成したフィルムを井元製作所製の二軸延伸装置を用いて、温度150℃、延伸速度10mm/min.、同時二軸延伸にてそれぞれx軸方向に1.1倍、y軸方向に1.05倍延伸した。得られたフィルムの物性を以下に示す。
得られたフィルムは、フィルムカール(反り)も無く平滑であり、光線透過率91%、ヘーズ0.5%であり、フィルムの3次元屈折率の関係はnx>ny>nzであり、屈折率はそれぞれnx=1.51466、ny=1.51426、nz=1.51278であり面内位相差量Re=+30nm、面外位相差量Rth=+125nmであり、面内位相差量と面外位相差量を共に有する位相差フィルムとして波長と共に発現し、位相差量の波長依存性としてR450/R550=0.87およびR630/R550=1.05であり位相差量が波長と共に増加するような光学補償の機能を有する。
実施例3
トリアセチルセルロース樹脂フィルム基材(富士フィルム製、製品名フジタックTD80UL、厚さ80μm)の片面にそれぞれ幅270mm、厚さ7μmの塗工膜を2層形成した以外は、実施例1と同様の方法により塗工膜を形成した後、この塗工膜を形成したフィルムを井元製作所製の二軸延伸装置を用いて、温度155℃、延伸速度10mm/min.、同時二軸延伸にてそれぞれx軸方向に1.2倍、y軸方向に1.05倍延伸した。得られたフィルムの物性を以下に示す。
得られたフィルムは、フィルムカール(反り)も無く平滑であり、光線透過率91%、ヘーズ0.4%であり、フィルムの3次元屈折率の関係はnx>ny>nzであり屈折率はそれぞれnx=1.51453、ny=1.51417、nz=1.51301であり、面内位相差量Re=+33nm、面外位相差量Rth=+122nmであり、面内位相差量と面外位相差量を共に有する位相差フィルムとして波長と共に発現し、位相差量の波長依存性としてR450/R550=0.86およびR630/R550=1.06であり位相差量が波長と共に増加するような光学補償の機能を有する。
実施例4
実施例1において塗工膜を形成した後、延伸加工温度を160℃とした以外は、実施例1と同様の方法により同時二軸延伸した。得られたフィルムの物性を以下に示す。
得られたフィルムは、フィルムカール(反り)も無く平滑であり、厚さ83μm、光線透過率92.0%、ヘーズ0.4%であり、フィルムの3次元屈折率の関係はnx>ny>nzであり屈折率はそれぞれnx=1.51481、ny=1.51420、nz=1.51269であり、面内位相差量Re=+40nm、面外位相差量Rth=+120nmであり、面内位相差量と面外位相差量を共に有する位相差フィルムとして波長と共に発現し、位相差量の波長依存性としてR450/R550=0.88およびR630/R550=1.05であり位相差量が波長と共に増加するような光学補償の機能を有する。
実施例5
実施例1において、同時二軸延伸する際のx軸方向の延伸倍率を1.05倍、y軸方向の延伸倍率を1.20倍とした以外は、実施例1と同様の方法により同時二軸延伸した。得られたフィルムの物性を以下に示す。
得られたフィルムは、フィルムカール(反り)も無く平滑であり、厚さ83μm、光線透過率91.0%、ヘーズ0.7%であり、フィルムの3次元屈折率の関係はny>nx>nzであり屈折率はそれぞれnx=1.51412、ny=1.51506、nz=1.51252であり面内位相差量Re=+62nm、面外位相差量Rth=+136nmであり、面内位相差量と面外位相差量を共に有する位相差フィルムとして波長と共に発現し、位相差量の波長依存性としてR450/R550=0.82およびR630/R550=1.09であり位相差量が波長と共に増加するような光学補償の機能を有する。
実施例6
合成例2で得られたN−n−ヘキシルマレイミド重合体樹脂を用い、溶剤としてクロロホルムを用いて、トリアセチルセルロース樹脂フィルム基材(富士フィルム製、製品名フジタックTD60UL、厚さ60μm)の片面にそれぞれ幅270mm厚み4μmの塗工膜(マレイミド系樹脂フィルム)を2層形成した以外は、実施例1と同様の方法により塗工膜を形成した後、この塗工膜を形成したフィルムを井元製作所製の二軸延伸装置を用いて、温度150℃、延伸速度10mm/min.にて同時二軸延伸にてそれぞれx軸方向に1.2倍、y軸方向に1.05倍延伸した。得られたフィルムの物性を以下に示す。
得られたフィルムは、フィルムカール(反り)も無く平滑であり、光線透過率91%、ヘーズ0.5%であり、フィルムの3次元屈折率の関係はnx>ny>nzであり屈折率はそれぞれnx=1.51263、ny=1.51214、nz=1.51063であり面内位相差量Re=+30nm、面外位相差量Rth=+106nmであり、面内位相差量と面外位相差量を共に有する位相差フィルムとして波長と共に発現し、位相差量の波長依存性としてR450/R550=0.85およびR630/R550=1.05であり位相差量が波長と共に増加するような光学補償の機能を有する。
実施例7
合成例3で得られたN−n−オクチルマレイミド重合体樹脂を溶剤としてクロロホルムを用いて、トリアセチルセルロース樹脂フィルム基材(富士フィルム製、製品名フジタックTD60UL、厚さ60μm)の片面にそれぞれ幅270mm厚み6.5μmの塗工膜(マレイミド系樹脂フィルム)を2層形成した以外は、実施例1と同様の方法により塗工膜を形成した後、この塗工膜を形成したフィルムを井元製作所製の二軸延伸装置を用いて、温度155℃、延伸速度10mm/min.にて同時二軸延伸にてそれぞれx軸方向に1.2倍、y軸方向に1.05倍延伸した。得られたフィルムの物性を以下に示す。
得られたフィルムは、フィルムカール(反り)も無く平滑であり、光線透過率90%、ヘーズ0.5%であり、フィルムの3次元屈折率の関係はnx>ny>nzであり、屈折率はそれぞれnx=1.51440、ny=1.50991、nz=1.50849であり面内位相差量Re=+32nm、面外位相差量Rth=+108nmであり、面内位相差量と面外位相差量を共に有する位相差フィルムとして波長と共に発現し、位相差量の波長依存性としてR450/R550=0.86およびR630/R550=1.08であり位相差量が波長と共に増加するような光学補償の機能を有する。
実施例8
実施例1において、塗工するためのフィルム基材として環状ポリオレフィンフィルム(日本ゼオン製、製品名ゼオノアフィルムZF14、厚さ100μm)を用いた以外は同様にして塗工膜を形成し、同時二軸延伸加工を実施した。
得られたフィルムは、フィルムカール(反り)も無く平滑であり、光線透過率91%、ヘーズ0.5%であり、フィルムの3次元屈折率の関係はnx>ny>nzであり、屈折率はそれぞれnx=1.51443、ny=1.51406、nz=1.51320であり面内位相差量Re=+38nm、面外位相差量Rth=+106nmであり、位相差量の波長依存性としてR450/R550=1.03およびR630/R550=0.95であり、位相差量は波長の増加に対して徐々に減少した。
実施例9
実施例1において、140℃にて二軸延伸加工を実施した以外は同様にしてフィルムを得た。
得られたフィルムは、フィルムカール(反り)も無く平滑であり、光線透過率91%、ヘーズ0.7%であり、フィルムの3次元屈折率の関係はnx>ny>nzであり、屈折率はそれぞれnx=1.51475、ny=1.51440、nz=1.51254であり面内位相差量Re=+23nm、面外位相差量Rth=+134nmであり、位相差量の波長依存性としてR450/R550=1.02およびR630/R550=0.98であり、位相差量は波長の増加に対して徐々に減少した。
実施例10
実施例1において、145℃にて二軸延伸加工を実施した以外は同様にしてフィルムを得た。
得られたフィルムは、フィルムカール(反り)も無く平滑であり、光線透過率91%、ヘーズ0.7%であり、フィルムの3次元屈折率の関係はnx>ny>nzであり、屈折率はそれぞれnx=1.51474、ny=1.51439、nz=1.51257であり面内位相差量Re=+26nm、面外位相差量Rth=+132nmであり、位相差量の波長依存性としてR450/R550=0.98およびR630/R550=1.02であり、位相差量は波長の増加に対して徐々に減少した。
実施例11
実施例1において、185℃にて二軸延伸加工を実施した以外は同様にしてフィルムを得た。
得られたフィルムは、フィルムカール(反り)も無く平滑であり、光線透過率91%、ヘーズ0.4%であり、フィルムの3次元屈折率の関係はnx>ny>nzであり、屈折率はそれぞれnx=1.51481、ny=1.51402、nz=1.51288であり面内位相差量Re=+52nm、面外位相差量Rth=+101nmであり、位相差量の波長依存性としてR450/R550=1.08およびR630/R550=0.92であり、位相差量は波長の増加に対して徐々に減少した。
実施例12
実施例1において塗工膜を2層形成し、二軸延伸としてx軸方向とy軸方向共に1.12倍延伸した。
得られたフィルムは、光線透過率91%、ヘーズ0.7%であり、フィルムの3次元屈折率の関係はnx=ny>nzであり、屈折率はそれぞれnx=1.51457、ny=1.51457、nz=1.51257であった。また、面内位相差量はRe=0nmであり、面外位相差量Rth=+132nmであり、位相差量の波長依存性としてR450/R550=0.95およびR630/R550=1.04であり位相差量が波長と共に増加するような光学補償の機能を有する。
比較例1
実施例1においてN−n−ブチルマレイミド重合体樹脂の溶液からなる塗工膜を形成させず、トリアセチルセルロース樹脂フィルム基材のみを用いた以外は、同様の方法によりこのフィルムを井元製作所製の二軸延伸装置を用いて、温度150℃、延伸速度10mm/min.にて同時二軸延伸した。得られたフィルムの物性を以下に示す。
得られたフィルムは、光線透過率92%、ヘーズ0.4%であり、フィルムの3次元屈折率の関係はnx>ny>nzであり、屈折率はそれぞれnx=1.49033、ny=1.49023、nz=1.48944であり面内位相差量Re=+5nm、面外位相差量Rth=+45nmであり、位相差量の波長依存性としてR450/R550=1.02およびR630/R550=1.02であり、フィルムカール(反り)も無く平滑なフィルムであったが、マレイミド樹脂フィルムを用いなかったことから面内位相差が非常に小さく、位相差量は波長に依らずほぼ一定値を示した。
比較例2
実施例1において塗工膜を2層形成したが、その後延伸しなかった。
得られたフィルムは、光線透過率91%、ヘーズ0.6%であり、フィルムの3次元屈折率の関係はnx=ny>nzであり、屈折率はそれぞれnx=1.51440、ny=1.51440、nz=1.51291であった。また、面内位相差量はRe=0nmであり、面外位相差量Rth=+110nmであり、位相差量の波長依存性としてR450/R550=1.03およびR630/R550=1.05であり、二軸延伸しなかったことから面内位相差を発現することができず、位相差量は波長に依らずほぼ一定値を示した。
比較例3
実施例1において塗工膜を片面に1層7μm形成した以外は同様に延伸加工を実施した。得られたフィルムは、光線透過率91%、ヘーズ0.5%であり、フィルムの3次元屈折率の関係はnx>ny>nzであり、屈折率はそれぞれnx=1.51446、ny=1.51432、nz=1.51292であった。また、面内位相差量Re=10nm、面外位相差量Rth=+101nmであり、位相差量の波長依存性としてR450/R550=1.05およびR630/R550=0.98であり、1層のマレイミド樹脂フィルムしか形成しなかったため内向きフィルムカールを発生し、位相差量は波長の増加に対して徐々に小さくなった。
以上の評価結果を表1に示す。
Figure 0005664736

Claims (4)

  1. セルロース系樹脂製フィルムである透明樹脂フィルム基材上に、片面のみに少なくとも2層以上または両面に少なくとも1層以上N−n−ブチルマレイミド重合体樹脂であるマレイミド系樹脂フィルムを含む二軸延伸光学補償フィルムであって、該マレイミド系樹脂フィルムが溶液粘度1〜1000cpsのマレイミド樹脂溶液を塗工して得られる塗工膜で乾燥後の各層の膜厚み1〜10μmであり、該二軸延伸の二軸延伸加工温度が130℃から200℃であって、延伸軸方向をフィルム面内のx軸及びy軸とし、これと直行する面外方向をz軸とし、x軸方向の屈折率をnx、y軸方向の屈折率をny、z軸方向の屈折率をnzとした際の3次元屈折率関係がnx>ny>nz、nx=ny>nzまたはny>nx>nzであり、かつ、位相差量の波長依存性として、光学補償フィルムを40度傾斜させ、測定波長450nmの光で測定した位相差量(R450)と測定波長550nmの光で測定した位相差量(R550)の比で示される(R450/R550)が1.0以上1.02以下および測定波長630nmの光で測定した位相差量(R630)と測定波長550nmの光で測定した位相差量(R550)の比で示される(R630/R550)が1.0未満を示すことを特徴とする光学補償フィルム。
  2. 延伸倍率が1.05倍以上3倍未満の範囲において二軸延伸加工することを特徴とする請求項1に記載の光学補償フィルム。
  3. 透明樹脂フィルム基材上に少なくとも2層以上のマレイミド系樹脂からなる塗工膜としてそれぞれ10μm以下となるように塗工し更に乾燥を施し、二軸延伸加工した光学フィルムであって、面内位相差量Reおよび面外位相差量Rthがそれぞれ測定波長550nmの光で測定した際の下記式(2)で示される面内位相差量(Re)が10〜150nmの範囲内にあり、かつ下記式(3)で示される面外位相差量(Rth)が30〜2000nmの範囲にあることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学補償フィルム。
    Re=|(nx−ny)|xd (2)
    Rth=((nx+ny)/2−nz)×d (3)
    (ここで、dは光学補償フィルムの膜厚(nm)を示す。)
  4. 請求項1〜のいずれかに記載の光学補償フィルムよりなることを特徴とする液晶表示素子用光学補償フィルム。
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