JP5664359B2 - 有機エレクトロニクス用材料、インク組成物、有機エレクトロニクス素子、有機エレクトロルミネセンス素子、表示素子、照明装置、及び表示装置 - Google Patents

有機エレクトロニクス用材料、インク組成物、有機エレクトロニクス素子、有機エレクトロルミネセンス素子、表示素子、照明装置、及び表示装置 Download PDF

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Description

本発明は、有機エレクトロニクス用材料、インク組成物、当該有機エレクトロニクス用材料を用いた有機エレクトロニクス素子、有機エレクトロルミネセンス素子(以下、有機EL素子とも表す)、表示素子、照明装置、及び表示装置に関する。
有機エレクトロニクス素子は、有機物を用いて電気的な動作を行う素子であり、省エネルギー、低価格、柔軟性といった特長を発揮できると期待され、従来のシリコンを主体とした無機半導体に替わる技術として注目されている。
有機エレクトロニクス素子の中でも有機EL素子は、例えば、白熱ランプ、ガス充填ランプの代替えとして、大面積ソリッドステート光源用途として注目されている。また、フラットパネルディスプレイ(FPD)分野における液晶ディスプレイ(LCD)に置き換わる最有力の自発光ディスプレイとしても注目されており、製品化が進んでいる。
有機EL素子は、用いる材料及び製膜方法から低分子型有機EL素子、高分子型有機EL素子の2つに大別される。高分子型有機EL素子は、有機材料が高分子材料により構成されており、真空系での成膜が必要な低分子型有機EL素子と比較して、印刷やインクジェットなどの簡易成膜が可能なため、今後の大画面有機ELディスプレイには不可欠な素子である。
低分子型有機EL素子、高分子型有機EL素子とも、これまで精力的に研究が行われてきたが、未だに発光効率の低さ、素子寿命の短さが大きな問題となっている。この問題を解決する一つの手段として、低分子型有機EL素子では多層化が行われている。
低分子型有機EL素子は蒸着法で製膜を行うため、用いる化合物を順次変更しながら蒸着を行うことで容易に多層化が達成できる。一方、高分子型有機EL素子は印刷やインクジェットといった湿式プロセスを用いて製膜を行うため、多層化するためには、新たな層を製膜する際に既に製膜した層が変化しないような方法が必要である。高分子型有機EL素子で多層化が困難であったのは、先に形成された下層が、上層形成時に溶解してしまう為である。
この問題に対処するために、溶解度の大きく異なる化合物を利用した検討がなされている。この典型的な例として、水分散液を用いて製膜を行うポリチオフェン:ポリスチレンスルホン酸(PEDOT:PSS)からなる正孔注入層、トルエン等の芳香族系有機溶媒を用いて製膜を行う発光層の2層構造からなる素子が挙げられる。この場合、PEDOT:PSS層はトルエンに溶解しないため、2層構造を作製することが可能となっている。
しかし、水を除去することが困難であり、有機エレクトロニクス素子の特性を劣化させる原因となる。また水の除去の為に、高温、長時間の乾燥が必要になり、樹脂基材への有機エレクトロニクス素子の作製が困難であったり、減圧条件などプロセスに大きな制限が生じたりする。
また、有機溶媒を用いた例として、先に形成した下層に影響しない溶媒を選択する方法が開示されている(特許文献1参照)。
しかし、このような方法では使用できる溶媒が下層を溶解しないものに限定される為、材料の選択の幅が少なくなるという問題がある。また、上層形成時にある程度の下層の侵食が生じる。
多層化構造をつくる他の方法として、架橋反応を使用する方法が開示されている。特許文献2には、トリフェニルアミン含有エーテルポリエーテルケトンを紫外線照射により、架橋し不溶化する方法が開示されている。この方法で、十分に不溶化するためには、長時間の紫外線照射が必要であり、トリフェニルアミンなどの分解が生じるなどの問題がある。
また、特許文献3、特許文献4、非特許文献1、非特許文献2には、オキセタン基の架橋による多層化が開示されている。これらの方法では、光開始剤を使うため、光による劣化が懸念される。また、低温での十分な不溶化が進行されず、低温硬化が必要な樹脂基板の適用が制限されるなどの問題や上層形成時上層と下層が混ざり合って有機EL特性が低下するなどの問題がある。
特開2003−07763号公報 特許第3643433号公報 特開2004−199935号公報 特表2007−514298号公報
Macromol.Rapid Commun.20,224−228(1999) Nature,421(2003)829−833
本発明は、上記の従来の問題に鑑み、塗布法により層形成が可能で、かつ当該形成した層を低温で硬化できる有機エレクトロニクス用材料、該有機エレクトロニクス材料を含むインク組成物、及び該有機エレクトロニクス材料を用いた有機エレクトロニクス素子を提供することを目的とする。
本発明はさらに、発光効率及び寿命特性に優れた有機エレクトロルミネセンス素子、表示素子、照明装置、及び表示装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討した結果、a)1つ以上のカチオン重合性置換基を有する電荷輸送性化合物と、b)カチオン重合開始剤と、c)ラジカル重合開始剤とを含有する有機エレクトロニクスを含有する有機エレクトロニクス用材料で、上記の課題を解決することができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1)a)1つ以上のカチオン重合性置換基を有する電荷輸送性化合物と、
b)カチオン重合開始剤と、
c)ラジカル重合開始剤と、
を含有することを特徴とする有機エレクトロニクス用材料。
(2)前記電荷輸送性化合物が、芳香族アミン、カルバゾール、及びチオフェン化合物のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする前記(1)に記載の有機エレクトロニクス用材料。
(3)前記電荷輸送性化合物がポリマー又はオリゴマーであることを特徴とする前記(1)又は(2)に記載の有機エレクトロニクス用材料。
(4)前記(1)〜(3)のいずれかに記載の有機エレクトロニクス材料と溶媒とを含むことを特徴とするインク組成物。
(5)前記(1)〜(3)のいずれかに記載の有機エレクトロニクス用材料を基板上に塗布し、成膜した層を有することを特徴とする有機エレクトロニクス素子。
(6)成膜した前記層を重合したことを特徴とする前記(5)に記載の有機エレクトロニクス素子。
(7)前記重合した層上に、さらに別の層を成膜し、多層化したことを特徴とする前記(6)に記載の有機エレクトロニクス素子。
(8)基板が、樹脂フィルムであることを特徴とする前記(5)〜(7)いずれかに記載の有機エレクトロニクス素子。
(9)前記(1)〜(3)のいずれかに記載の有機エレクトロニクス用材料より形成された層を有することを特徴とする有機エレクトロルミネセンス素子。
(10)少なくとも基板、陽極、正孔注入層、重合層、発光層および陰極を積層してなる有機エレクトロルミネセンス素子であって、前記重合層が、前記(1)〜(3)のいずれかに記載の有機エレクトロニクス用材料により形成された層であることを特徴とする有機エレクトロルミネセンス素子。
(11)少なくとも基板、陽極、重合層、正孔輸送層、発光層および陰極を積層してなる有機エレクトロルミネセンス素子であって、前記重合層が、前記(1)〜(3)のいずれかに記載の有機エレクトロニクス用材料により形成された層であることを特徴とする有機エレクトロルミネセンス素子。
(12)有機エレクトロルミネセンス素子の発光色が白色であることを特徴とする前記(9)〜(11)のいずれかに記載の有機エレクトロルミネセンス素子。
(13)基板が、フレキシブル基板であることを特徴とする前記(9)〜(12)のいずれかに記載の有機エレクトロルミネセンス素子。
(14)基板が、樹脂フィルムであることを特徴とする前記(9)〜(12)のいずれかに記載の有機エレクトロルミネセンス素子。
(15)前記(9)〜(14)のいずれかに記載の有機エレクトロルミネセンス素子を備えた表示素子。
(16)前記(9)〜(14)のいずれかに記載の有機エレクトロルミネセンス素子を備えた照明装置。
(17)前記(16)に記載の照明装置と、表示手段として液晶素子と、を備えた表示装置。
本発明によれば、塗布法により層形成が可能で、かつ当該形成した層を低温で硬化できる有機エレクトロニクス用材料、及びインク組成物、並びに発光効率及び寿命特性に優れた有機エレクトロニクス素子、有機エレクトロルミネセンス素子、表示素子、照明装置、及び表示装置を提供することができる。
<有機エレクトロニクス用材料>
本発明の有機エレクトロニクス用材料は、a)1つ以上のカチオン重合性置換基を有する電荷輸送性化合物と、b)カチオン重合開始剤と、c)ラジカル重合開始剤と、を含有することを特徴としている。
以下に、本発明の有機エレクトロニクス用材料の各成分について詳述する。
[a)電荷輸送性化合物]
本発明において、「電荷輸送性化合物」とは、電荷輸送性ユニットを有する化合物を言う。また、本発明において「電荷輸送性ユニット」とは、正孔または電子を輸送する能力を有した原子団であり、以下、その詳細について述べる。
本発明に係るa)電荷輸送性化合物は、1つ以上のカチオン重合性置換基を有し、正孔または電子を輸送する能力を有していればよく、特に限定されないが、芳香族アミンやカルバゾール、チオフェン化合物のうちの少なくとも1つを含むことが好ましく、例えば、下記一般式(1)〜(58)で表される部分構造を有することが好ましい。
Figure 0005664359
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Figure 0005664359
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Figure 0005664359
(式中、Eはそれぞれ独立に−R1、−OR2、−SR3、−OCOR4、−COOR5、−SiR678、上記一般式(59)〜(61)(ただし、R〜R11は、水素原子、炭素数1〜22個の直鎖、環状もしくは分岐アルキル基、または炭素数2〜30個のアリール基もしくはヘテロアリール基を表し、aおよびbおよびcは、1以上の整数を表す。ここで、アリール基とは、芳香族炭化水素から水素原子一個を除いた原子団であり、置換基を有していてもよく、ヘテロアリール基とは、ヘテロ原子を有する芳香族化合物から水素原子1個を除いた原子団であり、置換基を有していてもよい。)、またはカチオン重合性置換基のいずれかを表す。Arは、それぞれ独立に炭素数2〜30個のアリーレン基、もしくはヘテロアリーレン基を表す。アリーレン基とは芳香族炭化水素から水素原子2個を除いた原子団であり置換基を有していてもよく、例えば、フェニレン、ビフェニル−ジイル、ターフェニル−ジイル、ナフタレン−ジイル、アントラセン−ジイル、テトラセン−ジイル、フルオレン−ジイル、フェナントレン−ジイル等が挙げられる。ヘテロアリール基とは、ヘテロ原子を有する芳香族化合物から水素原子2個を除いた原子団であり置換基を有していてもよく、例えば、ピリジン−ジイル、ピラジン−ジイル、キノリン−ジイル、イソキノリン−ジイル、アクリジン−ジイル、フェナントロリン−ジイル、フラン−ジイル、ピロール−ジイル、チオフェン−ジイル、オキサゾール−ジイル、オキサジアゾール−ジイル、チアジアゾール−ジイル、トリアゾール−ジイル、ベンゾオキサゾール−ジイル、ベンゾオキサジアゾール−ジイル、ベンゾチアジアゾール−ジイル、ベンゾトリアゾール−ジイル、ベンゾチオフェン−ジイル等が挙げられる。XおよびZはそれぞれ独立に二価の連結基で、特に制限はないが、前記Rのうち水素原子を1つ以上有する基から、さらに1つの水素原子を除去した基や下記連結基群(A)で例示される基が好ましい。xは0〜2の整数を表す。Yは前記三価の連結基であり、前記Rのうち、水素原子を2つ以上有する基から2つの水素原子を除去した基を表す。)。
連結基群(A)
Figure 0005664359
また、本発明において電荷輸送性化合物は溶解度、成膜性の観点からポリマー又はオリゴマーであることが好ましい。
また、本発明に係る電荷輸送性化合物(ポリマー又はオリゴマー)は溶剤への溶解性、成膜性の観点から数平均分子量が、1,000以上1,000,000以下であることが好ましい。より好ましくは2,000〜900,000以下、さらに好ましくは3,000〜800,000以下である。これより小さいと化合物が結晶化しやすくなり、成膜性に劣ってしまう。また、これより大きいと溶剤への溶解度が低下し、塗布溶液や塗布インクを作製するのが困難になる。
また、本発明に係る電荷輸送性化合物(ポリマー又はオリゴマー)は下記一般式(1a)〜(84a)で表される繰り返し単位を含むことが好ましい。
Figure 0005664359
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また、本発明において、上記電荷輸送性化合物(ポリマー又はオリゴマー)は溶解度を変化させるため、Eのうち1つ以上が「カチオン重合可能な置換基(カチオン重合性置換基)」とする。ここで、「カチオン重合可能な置換基」とは、エポキシ化合物(脂環式エポキシ化合物、グリシジルエーテル)、オキセタン化合物、ビニルエーテルである。溶解度を大きく変化させるためにEのうち2つ以上がカチオン重合可能な置換基であることが好ましく、これらは同一であっても別々であってもよい。
また、本発明に係る電荷輸送性化合物(ポリマー又はオリゴマー)は、溶解度や耐熱性、電気的特性の調整のため、上記繰り返し単位の他に、上記アリーレン基、ヘテロアリーレン基もしくは下記一般式1〜28で表される構造を共重合繰り返し単位として有する共重合体であってもよい。この場合、共重合体では、ランダム、ブロックまたはグラフト共重合体であってもよいし、それらの中間的な構造を有する高分子、例えばブロック性を帯びたランダム共重合体であってもよい。また、本発明で用いるポリマー又はオリゴマーは、主鎖中に枝分かれを有し、末端が3つ以上あってもよい。
Figure 0005664359
[b)カチオン重合開始剤]
本発明に係るb)カチオン重合開始剤は、熱、光、マイクロ波、放射線、電子線の印加およびこれらの併用によって、カチオン重合可能な置換基を重合させる能力を発現するものであればよく、従来から知られている公知の化合物を用いることができる。当該カチオン重合開始剤は、特に限定されないが、放射線照射、光照射または加熱によって重合を開始させるものであることが好ましく、光照射によって重合を開始させるもの(以後、光開始剤と記す)、加熱によって重合を開始させるもの(以後、熱開始剤と記す)であることが重合を簡便に開始できる観点からより好ましい。光開始剤としては、200nmから800nmの光照射、熱開始剤としては300℃以下の加熱によって重合可能な置換基を重合させる能力を発現するものであればよく、特に限定されないが、例えば、カチオン重合可能な置換基がオキセタン基の場合には、対カチオンと対アニオンからなるイオン化合物が反応性の観点から好ましく、以下その詳細について述べる。
(対カチオン)
対カチオンとしては、H、カルベニウムイオン、アンモニムイオン、アニリニウムイオン、ピリジニウムイオン、イミダゾリウムイオン、ピロリジニウムイオン、キノリニウムイオン、イモニウムイオン、アミニウムイオン、オキソニウムイオン、ピリリニウムイオン、クロメニリウム、kサンチリウムイオン、ヨードニウムイオン、スルホニウムイオン、ホスホニウムイオン、トロピリウムイオン、遷移金属を有するカチオンなどがあげられ、反応性の観点からH+、カルベニウムイオン、アニリニウムイオン、アミニウムイオン、ヨードニウムイオン、スルホニウムイオン、ホスホニウムイオン、トロピリウムイオンが好ましい。保存安定性との両立の観点からヨードニウムイオン、スルホニウムイオンがより好ましい。
(対アニオン)
対アニオンとしては、従来公知のアニオンであればいかなるものでもよく、例えば、F、Cl、Br、Iなどのハロゲンイオン;OH;ClO ;FSO 、ClSO 、CHSO 、CSO 、CFSO などのスルホン酸イオン類;HSO 、SO 2−などの硫酸イオン類;HCO 、CO 2−などの炭酸イオン類;HPO 、HPO 2−、PO 3−などのリン酸イオン類;PF 、PFOHなどのフルオロリン酸イオン類、[(CFCFPF、[(CFCFCFPF、[((CFCF)PF、[((CFCF)PF、[((CFCFCFPFおよび[((CFCFCFPFなどのフッ素化アルキルフルオロリン酸イオン類;(CFSO、(CFSOなどのフルオロアルカンスルホニルメチド、イミドイオン類、BF 、B(C 、B(CCF などのホウ酸イオン類、SbF 、SbFOHなどのフルオロアンチモン酸イオン類、あるいはAsF−、AsFOH−などのフルオロヒ素酸イオン類、AlCl 、BiFがあげられるが、前述のカチオンと組合わせたときに、低温硬化が可能な重合開始剤となることから、PF 、PFOHなどのフルオロリン酸イオン類、[(CFCFPF、[(CFCFCFPF、[((CFCF)PF、[((CFCF)PF、[((CFCFCFPFおよび[((CFCFCFPFなどのフッ素化アルキルフルオロリン酸イオン類;(CFSO、(CFSOなどのフルオロアルカンスルホニルメチド,イミドイオン類、BF 、B(C 、B(CCF などのホウ酸イオン類、SbF 、SbFOHなどのフルオロアンチモン酸イオン類が好ましい。
また、上記開始剤が光開始剤の場合、感光性を向上させるために光増感剤と併用してもよい。光増感剤としては、例えば、アントラセン誘導体、チオキサントン誘導体が挙げられる。
また、カチオン重合開始剤の配合割合は、電荷輸送性化合物とカチオン重合性化合物、または1つ以上のカチオン重合性置換基を有する電荷輸送性化合物の質量を100質量%としたとき、0.1〜30質量%の範囲であることが好ましく、0.2〜25質量%の範囲であることがより好ましく、0.5〜20質量%の範囲であることが特に好ましい。重合開始剤の配合割合が0.1質量%未満であると溶解度の変化が十分でないために積層化が困難になる傾向があり、30質量%を越えると薄膜中に残存する重合開始剤および/または分解物によって素子特性が低下する傾向がある。
[c)ラジカル重合開始剤]
本発明に係るc)ラジカル重合開始剤は、従来から知られている過酸化物やアゾ化合物等公知の化合物を用いることができる。
具体的には、クミルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシネオヘプタノエート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート、t−アミルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、3−ヒドロキシ−1,1−ジメチルブチルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−アミルパーオキシネオデカノエート、t−アミルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル、1,1’−アゾビス(1−アセトキシ−1−フェニルエタン)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、ジメチル−2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリン酸)、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサンカルボニトリル)、t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシマレイン酸エステル、t−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(3−メチルベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ジブチルパーオキシトリメチルアジペート、t−アミルパーオキシノルマルオクトエート、t−アミルパーオキシイソノナノエート、t−アミルパーオキシベンゾエート等が挙げられる。これらの化合物は、単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
これらの中でもラジカル重合開始剤の1分間半減期温度が90〜175℃であることが好ましい。
また、ラジカル重合開始剤の添加量は、電荷輸送性化合物とカチオン重合性化合物、または1つ以上のカチオン重合性置換基を有する電荷輸送性化合物の質量を100質量%としたとき、0.1〜30質量%の範囲であることが好ましく、0.2〜20質量%の範囲であることがより好ましく、0.5〜15質量%の範囲であることが特に好ましい。ラジカル重合開始剤の配合割合が0.1質量%未満であると低温での重合反応開始が困難になる傾向があり、ラジカル重合開始剤の添加量が30質量%を超えると、貯蔵安定性が低下する傾向にある。
重合を開始させる契機としては、熱、光、マイクロ波、放射線、電子線等の印加によって、重合可能な置換基を重合させる能力を発現するものであればよく、特に限定されないが、光照射および/または加熱によって重合を開始させるものであることが好ましく、加熱によることが最も好ましい。
<有機エレクトロニクス素子>
本発明の有機エレクトロニクス素子は、以上の本発明の有機エレクトロニクス用材料を基板上に塗布し、成膜した層を有することを特徴としている。
本発明の有機エレクトロニクス用材料を基板に塗布する手法としては、例えば、当該有機エレクトロニクス用材料を含むインク組成物を調製し、それを基板に塗布する手法が挙げられる。当該インク組成物は、すなわち本発明のインク組成物は、以下のように調製することができる。
本発明のインク組成物は、既述の本発明の有機エレクトロニクス用材料と溶媒とを含み、その他の添加剤、例えば重合禁止剤、安定剤、増粘剤、ゲル化剤、難燃剤、酸化防止剤、還元防止剤、酸化剤、還元剤、表面改質剤、乳化剤、消泡剤、分散剤、界面活性剤などを含んでいてもよい。前記溶媒としては、水やメタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール、ペンタン、ヘキサン、オクタン等のアルカン、シクロヘキサン等の環状アルカン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリン、ジフェニルメタン等の芳香族溶媒、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテルアセタート等の脂肪族エーテル、1,2−ジメトキシベンゼン、1,3−ジメトキシベンゼン、アニソール、フェネトール、2−メトキシトルエン、3−メトキシトルエン、4−メトキシトルエン、2,3−ジメチルアニソール、2,4−ジメチルアニソール等の芳香族エーテル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル等の脂肪族エステル、酢酸フェニル、プロピオン酸フェニル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸n−ブチル等の芳香族エステル、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等のアミド系溶媒、その他、ジメチルスルホキシド、テトラヒドロフラン、アセトン、クロロホルム、塩化メチレンなどが挙げられるが、好ましくは芳香族溶媒、脂肪族エステル、芳香族エステル、脂肪族エーテル、芳香族エーテルを使用することができる。
前記インク組成物において、溶媒に対する有機エレクトロニクス用材料の含有量は、種々の塗布プロセスに適用できる観点から0.1〜30質量%とすることが好ましい。
本発明の有機エレクトロニクス素子は、基板上に成膜した有機エレクトロニクス用材料の層を重合硬化させることにより、種々の溶媒に対して不溶化することができる。従って、重合した層の上に、さらに塗布層を形成する際にその重合した層が溶解してしまうことがないため、各層の成分が混じり合うことなく多層化することができる。その結果、素子の特性の劣化を防止することができる。
本発明の有機エレクトロニクス素子は、本発明の有機エレクトロニクス用材料を用いて形成する層を含み、該層は低温での重合硬化が可能であり、例えば耐熱性が低い基板(例えば、樹脂フィルム(詳細は後述する。))を選択できるなど、使用する基板を幅広く選択することができる。
<有機EL素子>
本発明の有機エレクトロニクス素子は、既述の本発明の有機エレクトロニクス用材料より形成された層(以下、重合層とも表す)を有することを特徴としている。本発明の有機EL素子は、発光層、重合層、陽極、陰極、基板を備えていれば特に限定されず、正孔注入層、電子注入層、正孔輸送層、電子輸送層などの他の層を有していてもよい。特に、少なくとも基板、陽極、正孔注入層、重合層、発光層および陰極を積層してなる態様、少なくとも基板、陽極、重合層、正孔輸送層、発光層および陰極を積層してなる態様が好ましい。以下、各層について詳細に説明する。以下、各層について詳細に説明する。
[発光層]
発光層に用いる材料としては、低分子化合物であっても、ポリマーまたはオリゴマーであってもよく、デンドリマー等も使用可能である。蛍光発光を利用する低分子化合物としては、ペリレン、クマリン、ルブレン、キナクドリン、色素レーザー用色素(例えば、ローダミン、DCM1等)、アルミニウム錯体(例えば、Tris(8-hydroxyquinolinato)aluminum(III)(Alq))、スチルベン、これらの誘導体があげられる。蛍光発光を利用するポリマーまたはオリゴマーとしては、ポリフルオレン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン(PPV)、ポリビニルカルバゾール(PVK)、フルオレンーベンゾチアジアゾール共重合体、フルオレン−トリフェニルアミン共重合体、及びこれらの誘導体や混合物が好適に利用できる。
一方、近年有機EL素子の高効率化のため、燐光有機EL素子の開発も活発に行われている。燐光有機EL素子では、一重項状態のエネルギーのみならず三重項状態のエネルギーも利用することが可能であり、内部量子収率を原理的には100%まで上げることが可能となる。燐光有機EL素子では、燐光を発するドーパントとして、白金やイリジウムなどの重金属を含む金属錯体系燐光材料を、ホスト材料にドーピングすることで燐光発光を取り出す((M.A.Baldo et al.,Nature,vol.395,p.151(1998)、M.A.Baldo et al.,Apllied Physics Letters,vol.75,p.4(1999)、又はM.A.Baldo et al.,Nature,vol.403,p.750(2000)参照。)。)。
本発明の有機EL素子においても、高効率化の観点から、発光層に燐光材料を用いることが好ましい。燐光材料としては、IrやPtなどの中心金属を含む金属錯体などが好適に使用できる。具体的には、Ir錯体としては、例えば、青色発光を行うFIr(pic)〔イリジウム(III)ビス[(4,6-ジフルオロフェニル)-ピリジネート-N,C2]ピコリネート〕、緑色発光を行うIr(ppy)〔ファク トリス(2−フェニルピリジン)イリジウム〕(前記の非特許文献3参照)又はAdachi etal.,Appl.Phys.Lett.,78no.11,2001,1622に示される赤色発光を行う(btp)Ir(acac){bis〔2−(2’−ベンゾ[4,5−α]チエニル)ピリジナート−N,C3〕イリジウム(アセチル−アセトネート)}、Ir(piq)〔トリス(1−フェニルイソキノリン)イリジウム〕等が挙げられる。
Pt錯体としては、例えば、赤色発光を行う2、3、7、8、12、13、17、18−オクタエチル−21H、23H−フォルフィンプラチナ(PtOEP)等が挙げられる。
燐光材料は、低分子又はデンドライド種、例えば、イリジウム核デンドリマーが使用され得る。またこれらの誘導体も好適に使用できる。
また、発光層に燐光材料が含まれる場合、燐光材料の他に、ホスト材料を含むことが好ましい。
ホスト材料としては、低分子化合物であっても、高分子化合物であってもよく、デンドリマーなども使用できる。
低分子化合物としては、例えば、CBP(4,4'-Bis(Carbazol-9-yl)-biphenyl)、mCP(1,3-bis(9-carbazolyl)benzene)、CDBP(4,4'-Bis(Carbazol-9-yl)-2,2’-dimethylbiphenyl)などが、高分子化合物としては、例えば、ポリビニルカルバゾール、ポリフェニレン、ポリフルオレンなどが使用でき、これらの誘導体も使用できる。
発光層は、蒸着法により形成してもよく、塗布法により形成してもよい。
塗布法により形成する場合、有機EL素子を安価に製造することができ、より好ましい。発光層を塗布法によって形成するには、燐光材料と、必要に応じてホスト材料を含む溶液を、例えば、インクジェット法、キャスト法、浸漬法、凸版印刷、凹版印刷、オフセット印刷、平板印刷、凸版反転オフセット印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷等の印刷法、スピンコーティング法などの公知の方法で所望の基体上に塗布することで行うことができる。
[陰極]
陰極材料としては、例えば、Li、Ca、Mg、Al、In、Cs、Ba、Mg/Ag、LiF、CsF等の金属又は金属合金であることが好ましい。
[陽極]
陽極としては、金属(例えば、Au)又は金属導電率を有する他の材料、例えば、酸化物(例えば、ITO:酸化インジウム/酸化錫)、導電性高分子(例えば、ポリチオフェン−ポリスチレンスルホン酸混合物(PEDOT:PSS))を使用することもできる。
[電子輸送層、電子注入層]
電子輸送層、電子注入層としては、例えば、フェナントロリン誘導体(例えば、2,9-dimethyl-4,7-diphenyl-1,10-. phenanthroline(BCP))、ビピリジン誘導体、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、ナフタレンペリレンなどの複素環テトラカルボン酸無水物、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン及びアントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体(2-(4-Biphenylyl)-5-(4-tert-butylphenyl-1,3,4-oxadiazole) (PBD))、アルミニウム錯体(例えば、Tris(8-hydroxyquinolinato)aluminum(III)(Alq))などが挙げられる。さらに、上記オキサジアゾール誘導体において、オキサジアゾール環の酸素原子を硫黄原子に置換したチアジアゾール誘導体、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有するキノキサリン誘導体も用いることができる。
[基板]
本発明の有機EL素子に用いることができる基板として、ガラス、プラスチック等の種類は特に限定されることはなく、また、透明のものであれば特に制限は無いが、ガラス、石英、光透過性樹脂フィルム等が好ましく用いられる。樹脂フィルムを用いた場合には、有機EL素子にフレキシブル性を与えることが可能であり、特に好ましい。
樹脂フィルムとしては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、ポリイミド、ポリカーボネート(PC)、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)等からなるフィルム等が挙げられる。
また、樹脂フィルムを用いる場合、水蒸気や酸素等の透過を抑制するために、樹脂フィルムへ酸化珪素や窒化珪素等の無機物をコーティングして用いてもよい。
[発光色]
本発明の有機EL素子における発光色は特に限定されるものではないが、白色発光素子は家庭用照明、車内照明、時計や液晶のバックライト等の各種照明器具に用いることができるため好ましい。
白色発光素子を形成する方法としては、現在のところ単一の材料で白色発光を示すことが困難であることから、複数の発光材料を用いて複数の発光色を同時に発光させて混色させることで白色発光を得ている。複数の発光色の組み合わせとしては、特に限定されるものではないが、青色、緑色、赤色の3つの発光極大波長を含有するもの、青色と黄色、黄緑色と橙色等の補色の関係を利用した2つの発光極大波長を含有するものが挙げられる。また発光色の制御は、燐光材料の種類と量を調整することによって行うことができる。
<表示素子、照明装置、表示装置>
本発明の表示素子は、既述の本発明の有機EL素子を備えたことを特徴としている。
例えば、赤・緑・青(RGB)の各画素に対応する素子として、本発明の有機EL素子を用いることで、カラーの表示素子が得られる。
画像の形成には、マトリックス状に配置した電極でパネルに配列された個々の有機EL素子を直接駆動する単純マトリックス型と、各素子に薄膜トランジスタを配置して駆動するアクティブマトリックス型とがある。前者は、構造は単純ではあるが垂直画素数に限界があるため文字などの表示に用いる。後者は、駆動電圧は低く電流が少なくてすみ、明るい高精細画像が得られるので、高品位のディスプレイ用として用いられる。
また、本発明の照明装置は、既述の本発明の有機EL素子を備えたことを特徴としている。さらに、本発明の表示装置は、照明装置と、表示手段として液晶素子と、を備えたことを特徴としている。バックライト(白色発光光源)として上述の本発明の照明装置を用い、表示手段として液晶素子を用いた表示装置、すなわち液晶表示装置としてもよい。この構成は、公知の液晶表示装置において、バックライトのみを本発明の照明装置に置き換えた構成であり、液晶素子部分は公知技術を転用することができる。
以下に、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
1つ以上のカチオン重合性置換基を有する電荷輸送性化合物として下記化合物1(5mg、Mw=8200、PDI=1.44)のトルエン溶液(400μl)と、カチオン重合開始剤として下記化合物2(0.5g)の酢酸エチル溶液(100μl)、ラジカル重合開始剤として脂肪族系ジアシルパーオキサイド(パーロイルL、日本油脂株式会社)(0.5g)のトルエン溶液(100μl)を混合した塗布溶液を、3000rpmで石英板上にスピンコートした。ついで、ホットプレート上で、120℃で10分間加熱して重合反応を行った。加熱後にトルエン:酢酸エチル(4:1)の混合溶媒に石英板を1分間浸漬し、洗浄をおこなった。そして、洗浄前後のUV−visスペクトルにおける吸収極大(λmax)の吸光度(Abs)の比から、残膜率を測定した。測定結果を表1に示す。
Figure 0005664359
Figure 0005664359
[比較例1]
カチオン重合開始剤を用いなかったこと以外は、実施例1と同様の方法で重合反応を行い、残膜率を測定した。測定結果を表1に示す。
[比較例2]
ラジカル重合開始剤を用いなかったこと以外は、実施例1と同様の方法で重合反応を行い、残膜率を測定した。測定結果を表1に示す。
Figure 0005664359
表1より、実施例1と比較例1及び2との残膜率の差は歴然であり、実施例1は、低温でも重合反応が十分に進行し、膜の不溶化ができたことが分かる。
[実施例2]
三口丸底フラスコに、下記モノマー1(4.0mmol)、下記モノマー2(5.0mmol)、下記モノマー3(2.0mmol)、及びアニソール(20ml)を加え、さらに調製したPd触媒溶液(7.5ml)を加えた。30分撹拌した後、10%テトラエチルアンモニウム水酸化物水溶液(20ml)を加えた。すべての溶媒は30分以上窒素バブルにより脱気した後、使用した。この混合物を2時間加熱・還流した。ここまでの全ての操作は窒素気流下で行った。
Figure 0005664359
反応終了後、有機層を水洗し、有機層をメタノール−水(9:1)に注いだ。生じた沈殿を吸引ろ過し、メタノール−水(9:1)で洗浄した。得られた沈殿をトルエンに溶解し、メタノールから再沈殿した。得られた沈殿を吸引ろ過し、トルエンに溶解し、triphenylphosphine,polymer-bound on styrene-divinylbenzene copolymer(strem chemicals社、ポリマー100mgに対して200mg)を加えて、一晩撹拌した。撹拌終了後、triphenylphosphine,polymer-bound on styrene-divinylbenzene copolymerと不溶物をろ過して取り除き、ろ液をロータリーエバポレーターで濃縮した。残さをトルエンに溶解した後、メタノール−アセトン(8:3)から再沈殿した。生じた沈殿を吸引ろ過し、メタノール−アセトン(8:3)で洗浄した。得られた沈殿を真空乾燥し、化合物4を得た。分子量は、溶離液にTHFを用いたGPC(ポリスチレン換算)により測定した。得られた化合物4の数平均分子量は7,800、重量平均分子量は31,000であった。
1つ以上のカチオン重合性置換基を有する電荷輸送性化合物として化合物4(5mg)のトルエン溶液(400μl)と、カチオン重合開始剤として下記化合物5(0.15g)の酢酸エチル溶液(100μl)、ラジカル重合開始剤として脂肪族系ジアシルパーオキサイド(パーロイルL、日本油脂株式会社)(0.15g)のトルエン溶液(100μl)を混合した塗布溶液を、3000rpmで石英板上にスピンコートした。ついで、ホットプレート上で、120℃で10分間加熱して重合反応を行った。加熱後にトルエン:酢酸エチル(4:1)の混合溶媒に石英板を1分間浸漬し、洗浄をおこなった。洗浄前後のUV−visスペクトルにおける吸収極大(λmax)の吸光度(Abs)の比から、残膜率を測定した。測定結果を表2に示す。
Figure 0005664359
[比較例3]
カチオン重合開始剤を用いなかったこと以外は、実施例2と同様の方法で重合反応を行い、残膜率を測定した。測定結果を表2に示す。
[比較例4]
ラジカル重合開始剤を含まない以外は、実施例2と同様の方法で重合反応を行い、残膜率を測定した。測定結果を表2に示す。
Figure 0005664359
表2より、実施例2と比較例3及び4との残膜率の差は歴然であり、実施例2においても、低温でも重合反応が十分に進行し、膜の不溶化ができたことが分かる。
[実施例3]
ITOを1.6mm幅にパターンニングしたガラス基板上に、乾燥窒素環境下で上記化合物1(5mg、Mw=8200,PDI=1.44)のトルエン溶液(400μl)と、カチオン重合開始剤として上記化合物2(0.5g)の酢酸エチル溶液(100μl)、ラジカル重合開始剤として脂肪族系ジアシルパーオキサイド(パーロイルL、日本油脂株式会社)(0.5g)のトルエン溶液(100μl)を混合した塗布溶液を、3000rpmで石英板上にスピンコートした。ついで、ホットプレート上で、120℃で10分間加熱して重合反応を行い、厚さ40nmの正孔注入層を作製した。さらに、下記一般式で表される化合物6(Mw=60,000、5mg)のトルエン溶液(550μl)を3000rpmで正孔注入層上へ塗布して正孔輸送層を作製した。
Figure 0005664359
次に、得られたガラス基板を真空蒸着機中に移し、CBP+Ir(piq)(40nm)、BAlq(10nm)、Alq(30nm)、LiF(膜厚0.5nm)、Al(膜厚100nm)の順に蒸着した。
電極形成後、大気開放することなく、乾燥窒素環境中に基板を移動し、0.7mmの無アルカリガラスに0.4mmのザグリを入れた封止ガラスとITO基板を、光硬化性エポキシ樹脂を用いて貼り合わせることにより封止を行い、多層構造の高分子型有機EL素子を作製した。以後の実験は大気中、室温(25℃)で行った。この有機EL素子のITOを正極、Alを陰極として電圧を印加したところ、5Vで赤色発光が観測され、輝度1000cd/mにおける電流効率は2.5cd/Aであった。なお、電流電圧特性はヒューレットパッカード社製の微小電流計4140Bで測定し、発光輝度はフォトリサーチ社製の輝度計プリチャード1980Bを用いて測定した。
また、寿命特性として、定電流を印加しながらトプコン社製BM−7で輝度を測定し、輝度が初期輝度(1000cd/m)から半減する時間を測定したところ、150時間であった。
[比較例5]
正孔注入層を形成しなかったこと以外は実施例3と同様に有機EL素子を作製した。9Vで赤色発光が観測され、輝度1000cd/mにおける電流効率は0.9cd/Aであった。また、寿命特性として、定電流を印加しながらトプコン社製BM−7で輝度を測定し、輝度が初期輝度(1000cd/m)から半減する時間を測定したところ、10時間であった。
[比較例6]
ITOを1.6mm幅にパターンニングしたガラス基板上に、PEDOT:PSS分散液(シュタルク・ヴィテック社製、CH8000 LVW233)を4000rpmでスピン塗布し、ホットプレート上で空気中200℃/10分加熱乾燥して正孔注入層(40nm)を形成した以外は実施例3と同様に有機EL素子を作製した。4.5Vで赤色発光が観測され、輝度1000cd/mにおける電流効率は2.0cd/Aであった。また、寿命特性として、定電流を印加しながらトプコン社製BM−7で輝度を測定し、輝度が初期輝度(1000cd/m)から半減する時間を測定したところ、13時間であった。
以上の結果より、実施例3の有機EL素子は、比較例5及び6の有機EL素子よりも、発光効率及び寿命特性が優れていたことが分かる。これは、本発明の有機エレクトロニクス用材料を用いて形成した正孔注入層を十分に不溶化し、その上に正孔輸送層を形成したことから、正孔輸送層の形成時に正孔注入層が変化しなかったためと考えられる。

Claims (17)

  1. a)1つ以上のカチオン重合性置換基を有する電荷輸送性化合物と、
    b)カチオン重合開始剤と、
    c)ラジカル重合開始剤と、
    を含有することを特徴とする有機エレクトロニクス用材料。
  2. 前記電荷輸送性化合物が、芳香族アミン、カルバゾール、及びチオフェン化合物のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロニクス用材料。
  3. 前記電荷輸送性化合物がポリマー又はオリゴマーであることを特徴とする請求項1又は2に記載の有機エレクトロニクス用材料。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機エレクトロニクス材料と溶媒とを含むことを特徴とするインク組成物。
  5. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機エレクトロニクス用材料を基板上に塗布し、成膜した層を有することを特徴とする有機エレクトロニクス素子。
  6. 成膜した前記層を重合したことを特徴とする請求項5に記載の有機エレクトロニクス素子。
  7. 前記重合した層上に、さらに別の層を成膜し、多層化したことを特徴とする請求項6に記載の有機エレクトロニクス素子。
  8. 基板が、樹脂フィルムであることを特徴とする請求項5〜7いずれか1項に記載の有機エレクトロニクス素子。
  9. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機エレクトロニクス用材料より形成された層を有することを特徴とする有機エレクトロルミネセンス素子。
  10. 少なくとも基板、陽極、正孔注入層、重合層、発光層および陰極を積層してなる有機エレクトロルミネセンス素子であって、前記重合層が、請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機エレクトロニクス用材料により形成された層であることを特徴とする有機エレクトロルミネセンス素子。
  11. 少なくとも基板、陽極、重合層、正孔輸送層、発光層および陰極を積層してなる有機エレクトロルミネセンス素子であって、前記重合層が、請求項1〜3のいずれか1項に記載の有機エレクトロニクス用材料により形成された層であることを特徴とする有機エレクトロルミネセンス素子。
  12. 有機エレクトロルミネセンス素子の発光色が白色であることを特徴とする請求項9〜11のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネセンス素子。
  13. 基板が、フレキシブル基板であることを特徴とする請求項9〜12のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネセンス素子。
  14. 基板が、樹脂フィルムであることを特徴とする請求項9〜12のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネセンス素子。
  15. 請求項9〜14のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネセンス素子を備えた表示素子。
  16. 請求項9〜14のいずれか1項に記載の有機エレクトロルミネセンス素子を備えた照明装置。
  17. 請求項16に記載の照明装置と、表示手段として液晶素子と、を備えた表示装置。
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