以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。図3は、第一の実施の形態における電力平準化システムの構成例を示す図である。同図において、電力平準化システム1は、蓄電装置20a及び20b等、複数の蓄電装置20を含む。
蓄電装置20は、充電及び放電の可能ないわゆる蓄電池を含む装置である。各蓄電装置20は、商用電源に接続された電力ネットワークの基幹線(以下、「電力ネットワーク40」という。)に接続され、商用電源より電力の供給を受けられるようになっている。また、各蓄電装置20は、電力線41を介して電力消費装置30と接続され、電力線41を介して電力消費装置30への電力の供給が可能とされている。電力消費装置30は、1台又は2台以上の家電製品やPC(Personal Computer)等、電力を消費する装置又は機器(電力消費負荷)の集合である。すなわち、一つの蓄電装置20に対して複数の電力消費負荷が電力線41を介して接続されうる。
各蓄電装置20及び各電力消費装置30は、LAN(Local Area Network)等の情報通信ネットワーク50(有線又は無線の別は問わない。)を介して平準化制御装置10に接続される。平準化制御装置10は、情報通信ネットワーク50を介して、蓄電装置20の蓄電量及び電力消費装置30の消費電力量等の収集を行い、各蓄電装置20の充電電力量及び放電電力量を示す値(充放電値)を所定の演算により算出する。平準化制御装置10は、算出された充放電値を含む充放電制御情報を、情報通信ネットワーク50を介して蓄電装置20内の充放電制御部23に送信する。
図4は、蓄電装置の機能構成例を示す図である。同図において、蓄電装置20は、通信部21、蓄電部22、及び充放電制御部23等を有する。通信部21は、情報通信ネットワーク50を通じて平準化制御装置10と通信を行う。通信部21は、平準化制御装置10に対して蓄電部22の蓄電量(残量)を平準化制御装置10に送信する。通信部21は、また、平準化制御装置10より平準化制御情報を受信する。
蓄電部22は、電力ネットワーク40を介して供給される電力を蓄えておく蓄電池である。充放電制御部23は、通信部21を介して受信される充放電制御情報に基づいて蓄電装置20の充放電量を制御する。充放電制御部23は、充電制御部231及び放電制御部232等を有する。充電制御部231は、電力ネットワーク40から蓄電部22への充電を制御する。放電制御部232は、蓄電部22から電力消費装置30への放電を制御する。但し、充放電制御部23は、充放電制御情報に基づいて、電力ネットワーク40から得た電力の全て又はその一部を、蓄電部22に充電するのではなく電力消費装置30に対して供給することもある。
なお、電力平準化システム1において、各蓄電装置20同士の電力の交換はできないものとする。すなわち、蓄電装置20同士を電力線41により接続し、蓄電した電力を相互に交換したり、蓄電した電力を電力ネットワーク40へ逆潮流により戻したりすることはできないシステムを想定する。
図5は、電力消費装置の機能構成例を示す図である。同図において、電力消費装置30は、消費電力監視部31及び通信部32等を含む。消費電力監視部31は、電力消費装置30が消費した電力量(消費電力量)を測定する。通信部32は、当該消費電力量を示す情報を平準化制御装置10に送信する。
なお、消費電力監視部31及び通信部32は、必ずしも電力消費負荷の内部に備えられていなくてもよく、電力消費負荷の外部の装置が有していてもよい。
図6は、平準化制御装置の機能構成例を示す図である。平準化制御装置10は、通信部11及び平準化制御部12等を有する。通信部11は、蓄電装置20及び電力消費装置30との通信を制御する。
平準化制御部12は、目標値探索部121、消費電力量取得部122、蓄電量取得部123、平準化制御情報生成部124、平準化制御情報送信部125、消費電力量記憶部126、電力消費装置情報記憶部127、蓄電装置情報記憶部128、及び目標値記憶部129等を有する。
消費電力量記憶部126は、各電力消費装置30による過去の消費電力量を記憶する。蓄電装置情報記憶部128は、各蓄電装置20に関する情報(蓄電装置情報)を記憶する。蓄電装置情報には、例えば、情報通信ネットワーク50を介した通信用の識別情報(例えば、IPアドレス)、単位時間(例えば、1分)あたりの放電可能な電力量(単位放電可能電力量)、単位時間あたりの充電可能な電力量(単位充電可能電力量)、及び蓄電部22の容量(充電可能な電力量の最大値)等が含まれる。電力消費装置情報記憶部127には、各電力消費装置30に関する情報(電力消費装置情報)を記憶する。電力消費装置情報には、情報通信ネットワーク50を介した通信用の識別情報(例えば、IPアドレス)等が含まれる。
目標値探索部121は、消費電力量記憶部126及び蓄電装置情報記憶部128等を用いて、平準化制御部12による制御において使用される閾値(目標値)を探索する。目標値は、平準化の効果が高くなるような(例えば、効果が最高に近くなる)値が探索される。探索手法には、例えば、メタヒューリスティクス手法の一つであるPSO(Particle Swarm Optimization)等を用いることが可能である。目標値探索部121は、探索された目標値を目標値記憶部129に記録する。なお、目標値探索部121による処理は、平準化のための制御処理の前処理又は準備処理として位置付けられる。
消費電力量取得部122は、平準化のための制御処理のために、各電力消費装置30より消費電力量を周期的に取得する。蓄電量取得部123は、平準化のための制御処理のために、各蓄電装置20の蓄電量を周期的に取得する。
平準化制御情報生成部124は、各電力消費装置30より取得された消費電力量、各蓄電装置20より取得された蓄電量、及び目標値記憶部129に記憶された目標値等を用いて、充放電制御情報を生成する。平準化制御情報送信部125は、生成された平準化制御情報を各蓄電装置20に送信する。
図7は、平準化制御装置のハードウェア構成例を示す図である。図7の平準化制御装置10は、それぞれバスBで相互に接続されているドライブ装置100と、補助記憶装置102と、メモリ装置103と、CPU104と、インタフェース装置105とを有する。
平準化制御装置10での処理を実現するプログラムは、CD−ROM等の記録媒体101によって提供される。プログラムを記録した記録媒体101がドライブ装置100にセットされると、プログラムが記録媒体101からドライブ装置100を介して補助記憶装置102にインストールされる。但し、プログラムのインストールは必ずしも記録媒体101より行う必要はなく、ネットワークを介して他のコンピュータよりダウンロードするようにしてもよい。補助記憶装置102は、インストールされたプログラムを格納すると共に、必要なファイルやデータ等を格納する。
メモリ装置103は、プログラムの起動指示があった場合に、補助記憶装置102からプログラムを読み出して格納する。CPU104は、メモリ装置103に格納されたプログラムに従って平準化制御装置10に係る機能を実行する。インタフェース装置105は、ネットワークに接続するためのインタフェースとして用いられる。
なお、CPU104が、目標値探索部121、消費電力量取得部122、蓄電量取得部123、平準化制御情報生成部124、及び平準化制御情報送信部125等として機能する。メモリ装置103又は補助記憶装置102が、消費電力量記憶部126、電力消費装置情報記憶部127、蓄電装置情報記憶部128、及び目標値記憶部129として機能する。また、インタフェース装置105が、通信部11として機能する。
以下、第一の実施の形態の平準化制御装置10による処理内容について説明する。第一の実施の形態では、目標値探索部121によって、蓄電装置20ごとに個別の目標値(以下、「個別目標値」という。)が探索される。平準化制御情報に基づく制御が行われた場合に、電力ネットワーク40から供給電力量のピークが最小になる可能性が高くなる値が、個別目標値として探索される。斯かる個別目標値を用いて、図8に示されるような制御が行われる。
図8及び図9は、第一の実施の形態の平準化制御の概要を説明するための図である。同図においては一つの蓄電装置20に関する制御内容が示されている。図8及び図9に示される4つのグラフの横軸は時間であり、縦軸は電力量である。各グラフは、時間の経過に応じた電力消費装置30の消費電力量(以下、単に「負荷」といもいう。)の推移を示す。
(A)において、時刻t0〜t1の期間は、負荷が個別目標値以下である。このような期間では、負荷の分は、電力ネットワーク40から給電される。また、(個別目標値−負荷)の分は、蓄電装置20に充電される。
一方、時刻t1〜t2の期間は、負荷が個別目標値より大きい。このような期間では、個別目標値の分だけ電力ネットワーク40より給電される。一方、[負荷−個別目標値]の分は、蓄電装置20からの放電によって賄われる。なお、(B)は、負荷が常に個別目標値よりも小さい場合があることの例示である。この場合は、常に、(A)の時刻t0〜t1の期間と同様の制御がなされる。
図9(C)は、蓄電装置20(ここでは蓄電装置20aとする。)から[負荷−個別目標値]分を放電中に、時刻t3において蓄電装置20aの蓄電量が無くなってしまった場合を示す。この場合、蓄電装置20aに係る全ての負荷は電力ネットワーク40からの給電によって賄われる。また、他の蓄電装置20において、電力量の肩代わりが行われる。
すなわち、或る蓄電装置20が放電中にバッテリ切れになった場合、本来であれば当該蓄電装置20が行うべき放電分の電力量を肩代わりする他の蓄電装置20が選択される。選択された蓄電装置20(ここでは蓄電装置20bとする。)は、(D)に示されるように、時刻t3より肩代わりを行う。肩代わりは、肩代わり分の電力量に応じ、充電を抑制すること、又は充電を抑制し、かつ、放電を行うことにより行われる。(D)の時刻t3〜t4において、蓄電装置20bは、充電を抑制し、かつ、放電を行うことにより肩代わりを行っている。時刻t4〜t5において、蓄電装置20bは、充電を抑制することにより肩代わりを行っている。蓄電装置20bにより充電が抑制され、又は放電が行われることにより、蓄電装置20bに対する電力ネットワーク40からの供給電力量(消費電力量)は、蓄電装置20aに対する供給量の増加分(目標値を超える分)だけ減少する。その結果、電力平準化システム1全体として、電力ネットワーク40からの供給電力量は、個別目標値の総和以下となり、平準化される。
電力量の肩代わりをする蓄電装置20の選択に際しては、蓄電量の残り時間が最も長いものが優先される。
なお、肩代わり先として選択された蓄電装置20は、バッテリ切れとなった他の蓄電装置20の不足分電力量の総和を、可能な限りにおいて肩代わりすることを試みる。一台のみで不足分電力量の総和を肩代わりすることが出来ない場合、蓄電量の残り時間が次に長い蓄電装置20が選択され、当該蓄電装置20によって残りの不足分電力量に関して肩代わりが行われる。
以上のような制御によれば、各蓄電装置20において蓄電量が多いもの程肩代わり先として選ばれやすくなる。このため、各蓄電装置20に蓄えられている電力は略均一に使用される。その結果、各蓄電装置20に蓄えられた電力を十分に活用することが可能となり、電力平準化システム1全体について商用電源からの消費電力量を効果的に平準化することができる。
続いて、上記の処理内容をフローチャートを用いて更に詳細に説明する。
図10は、第一の実施の形態の平準化制御装置による目標値の探索処理の処理手順を説明するためのフローチャートである。
上記したように、目標値の探索処理は、平準化のための制御の準備処理であり、平準化の制御を開始する前に1回実行されればよい。但し、電力消費装置30の消費電力量の時間的推移が季節等に応じて変化する可能性もある。したがって、目標値は定期的(例えば、1日に1回、数ヶ月に1回等)に再計算されることが望ましい。
同図では、個別目標値の仮の値(仮目標値)がランダムに設定され、当該仮目標値と消費電力量記憶部126に記録されている過去の消費電力量の時間的推移を示す情報とに基づいて、平準化のための制御を行った場合の消費電力量のピーク値が求められる。この処理が仮目標値の組み合わせを変化させつつ繰り返し行われることにより、当該ピーク値が最小となる仮目標値が探索される。当該ピーク値が最小となる仮目標値が個別目標値として採用される。なお、同図の処理は、複数の蓄電装置20のそれぞれの個別目標値を同時に探索するものである。
ステップS101において、目標値探索部121は、最小ピーク電力量を無限大としておく。最小ピーク電力量は、目標値の探索の過程において繰り返し求められる消費電力量ピーク値が、以前に求められたピーク値より小さい場合に更新される。
続いて、目標値探索部121は、制御時刻を、消費電力量記憶部126における開始時刻に設定する(S102)。
図11は、消費電力量記憶部の記憶内容の例を示す図である。同図に示されるように、消費電力量記憶部126には、時刻に応じて、負荷a、負荷b、負荷c、負荷d、及び負荷総計が記録されている。負荷aは、電力消費装置30aによる消費電力量である。負荷bは、電力消費装置30bによる消費電力量である。負荷c及び負荷dは、非図示の電力消費装置30c又は30dの消費電力量である。また、負荷総計は、同じ時間帯における4つ負荷の合計値である。なお、各負荷の単位は、Whである。
同図では、例えば、時刻8:00に対する負荷aの値として12が記録されている。これは、8:00〜9:00までの1時間の電力消費装置30aによる消費電力量を示す。なお、図11の内容は、図10が実行される前に(例えば前日に)予め計測され消費電力量記憶部126に記録されている。
図11において、開始時刻は8:00である。したがって、ステップS102では、8:00が制御時刻として設定される。また、目標値探索部121は、ピーク電力量を0に初期化する。
続いて、目標値探索部121は、仮目標値の初期値を蓄電装置20ごとに設定する(S103)。図11によれば、4つの蓄電装置20が想定されている。したがって、この場合、4つの仮目標値が設定される。仮目標値の初期値は、ランダムに選択されればよい。但し、経験値に基づく値が選択されてもよい。経験値に基づく値とは、各蓄電装置20について過去に目標値が算出されたことが有る場合は、当該目標値が当該蓄電装置20の仮目標値の初期値とされてもよい。または、過去に目標値が算出されたことの無い蓄電装置20については、他の蓄電装置20について過去に算出された目標値、又は当該目標値が補正された値が仮目標値の初期値として設定されてもよい。当該目標値が補正された値とは、例えば、当該他の蓄電装置20に対する負荷と、当該蓄電装置20に対する負荷との相違に基づいて補正された値である。なお、仮目標値の総和は、後述される制御間隔あたりに商用電源より供給可能な最大の電力量以下である。
続いて、目標値探索部121は、仮目標値、消費電力量記憶部126、及び蓄電装置情報記憶部128等を用いて、制御時刻に対応する(例えば、8:00〜9:00)電力ネットワーク40からの消費電力量を算出する(S104)。当該消費電力量は、電力平準化システム1全体に対して一つ算出される。すなわち、蓄電装置20ごとではない。本実施の形態は、電力平準化システム1全体における、電力ネットワーク40からの消費電力量の平準化を目的とするからである。
続いて、目標値探索部121は、算出された消費電力量をピーク電力量と比較する(S105)。消費電力量がピーク電力量より大きい場合(S105でYes)、目標値探索部121は、消費電力量によってピーク電力量を更新する(S106)。消費電力量がピーク電力量未満である場合(S105でNo)、ピーク電力量は更新されない。
続いて、目標値探索部121は、制御時刻を制御間隔分進めて(S107)、ステップS104以降を繰り返す。本実施の形態では、制御間隔は1時間であるとする。したがって、1時間後が新たな制御時刻とされる。ここで、制御間隔とは、平準化の制御が行われる間隔である。具体的には、平準化制御情報が生成され、当該平準化制御情報が各蓄電装置20に送信される間隔である。なお、後述より明らかなように、本実施の形態における平準化制御情報の生成処理は、高速に実行可能であるため、実際は、ほぼリアルタイムに平準化のための制御を行うことが可能である。すなわち、制御間隔は、略リアルタイム性を確保可能な程度に、非常に短い時間とすることが可能である。但し、ここでは、図11に示されるデータが1時間間隔であるため、便宜上制御間隔も1時間であるとする。換言すれば、消費電力量記憶部126における時刻の間隔は、制御間隔であることが望ましい。
ステップS104〜S107が、制御間隔単位で消費電力量記憶部126における終了時刻まで繰り返されることにより(S108)、ピーク電力量の値は、開始時刻から終了時刻までの間に制御間隔ごとに算出された消費電力量の最大値(ピーク値)となる。
ステップS109に進み、目標値探索部121は、ピーク電力量を最小ピーク電力量と比較する(S109)。ピーク電力量の方が小さい場合(S109でYes)、目標値探索部121は、最小ピーク電力量をピーク電力量によって更新する(S110)。続いて、目標値探索部121は、仮目標値を目標値とする(S111)。蓄電装置20ごとの仮目標値がそれぞれの目標値とされる。一方、ピーク電力量が最小ピーク電力量以上である場合(S109でNo)、最小ピーク電力量及び目標値の更新は行われない。
続いて、目標値探索部121は、図10の処理の試行回数が、予め設定された最大値に達しているか否かを判定する(S112)。試行回数が最大値に達していない場合、ステップS102以降が繰り返される。ステップS102以降が繰り返される場合、ステップS103では、これまでと異なる値が仮目標値として設定される。ここで、一部の蓄電装置20に対する仮目標値のみが変更されてもよい。すなわち、複数の仮目標値の組み合わせの内容がこれまでと異なっていればよい。
ステップS102以降の試行回数が最大値に達すると(S112でYes)、目標値探索部121は、蓄電装置20ごとのそれぞれの目標値を、それぞれの個別目標値として目標値記憶部129に記録する(S113)。したがって、第一の実施の形態では、蓄電装置20の個数分の個別目標値が目標値記憶部129に記録される。なお、ここで記録される個別目標値群は、試行回数内において消費電力量のピーク値が最小であったときの仮目標値群である。
続いて、ステップS104の詳細について説明する。図12は、電力ネットワークからの消費電力量の算出処理の処理手順を説明するためのフローチャートである。
ステップS121において、目標値探索部121は、消費電力量記憶部126において制御時刻に対して蓄電装置20ごとに記録されている負荷の値を、各蓄電装置20に対する負荷のとして取得する。図11の例によれば、制御時刻が8:00の場合、負荷aの値(12)、負荷bの値(13)、負荷cの値(13)、負荷dの値(12)が、それぞれ蓄電装置20a、20b、20c、20dに対する負荷の値として取得される。
続いて、目標値探索部121は、各蓄電装置20の予測蓄電量を取得し、予測蓄電量と負荷の値とに基づいて、蓄電装置20ごとに残り時間(放電可能な時間)を計算する(S122)。図10において最初にステップS104が実行されるときの各蓄電装置20の予測蓄電量は、各蓄電装置20の容量とされる。すなわち、各蓄電装置20は、満タンに(容量分)充電されていると仮定される。各蓄電装置20の容量は、蓄電装置情報記憶部128より取得される。また、各蓄電装置20の残り時間は、各蓄電装置20の予測蓄電量÷各蓄電装置20の負荷によって算出される。
続いて、目標値探索部121は、各蓄電装置20について、現在の制御時刻から次の制御時刻まで期間(すなわち、制御間隔)における充放電値等を仮目標値等に基づいて算出する(S123)。より詳しくは、電力ネットワーク40から負荷に対する供給電力量(以下、「電源供給電力量」という。)、電力ネットワーク40から蓄電装置に充電される充電電力量(以下、「充電電力量」という。)、及び蓄電装置20から負荷に対して放電(給電)される電力量(以下、「放電電力量」という。)の3つのパラメータが、蓄電装置20ごとに算出される。
続いて、目標値探索部121は、蓄電装置20ごとに、充電電力量及び放電電力量を用いて予測蓄電量を更新し、更新後の予測蓄電量をメモリ装置103に記録しておく(S124)。具体的には、現在の(ステップS122において取得された)予測蓄電量+充電電力量−放電電力量が新たな予測蓄電量とされる。なお、更新された予測蓄電量は、次回のステップS122において使用される。
続いて、目標値探索部121は、電源供給電力量の総和に充電電力量の総和を加算することにより、制御時刻(厳密には、制御時刻を開始時点とする制御間隔)における電力ネットワーク40からの消費電力量を算出する(S125)。
続いて、ステップS123の詳細について説明する。図13は、第一の実施の形態における充放電値の算出処理の処理手順を説明するためのフローチャートである。
ステップS131において、目標値探索部121は、蓄電量の残り時間の降順に蓄電装置20をソートする(S131)。すなわち、残り時間が最大の蓄電装置20が先頭となる。続いて、目標値探索部121は、変数iを0に初期化することにより、ソート順において先頭の蓄電装置20を処理対象とする(S132)。すなわち、変数iは、ソート順において処理対象の蓄電装置20の位置(順番)を示す変数である。また、不足電力量の総和が0に初期化される。
続いて、目標値探索部121は、ステップS134〜S137を蓄電装置20ごとにソート順に実行する(S133、S138)。ステップS134において、目標値探索部121は、処理対象の蓄電装置20(以下、「対象蓄電装置20」という。)に対する負荷の値は、対象蓄電装置20に対する目標値(ここでは、仮目標値)より大きいか否かを判定する(S134)。目標値は、バッテリ切れが発生しない限りにおいて、電力ネットワーク40からの供給電力量の最大値である。したがって、ステップS134は、当該負荷の分を電力ネットワーク40からの供給電力量のみで賄えないか否かの判定に相当する。
当該負荷の分を電力ネットワーク40からの供給電力量のみで賄えない場合(S134でYes)、目標値探索部121は、[当該負荷の値−当該目標値]が、制御時刻からの制御間隔における対象蓄電装置20の放電可能電力量より大きいか否かを判定する(S135)。[負荷の値−目標値]は、電力ネットワーク40からの供給電力量では賄えない電力量である。したがって、ステップS135は、電力ネットワーク40からの供給電力量では賄えない電力量を対象蓄電装置20によって補えないか否かの判定に相当する。なお、対象蓄電装置20の放電可能電力量は、蓄電装置情報記憶部128に記録されている、対象蓄電装置20の単位放電可能電力量(単位時間あたりの放電可能電力量)と、制御間隔と、制御時刻における対象蓄電装置20の蓄電量とに基づいて算出すればよい。蓄電量がパラメータとされるのは、バッテリ切れを考慮するためである。すなわち、制御時刻からの制御間隔における対象蓄電装置20の放電可能電力量は、制御間隔×単位放電可能電力量(但し、制御時刻における対象蓄電装置20の蓄電量以下)となる。なお、制御間隔×単位放電可能電力量という式は、制御間隔と単位時間との時間の単位が一致しているという前提である。当該時間の単位が一致していない場合は、時間の単位を一致させて計算すればよい。
電力ネットワーク40からの供給電力量では賄えない電力量を対象充電装置20からの放電可能電力量では補えない場合(S135でYes)、[当該負荷の値−当該目標値]分の電力量は対象蓄電装置20にとって不足分である。したがって、目標値探索部121は、不足電力量の総和に、[当該負荷の値−当該目標値]を加算する(S136)。続いて、目標値探索部121は、対象蓄電装置20を不足リストに追加する(S137)。不足リストとは、制御時刻からの制御間隔において、蓄電量が無くなる(不足分が発生する)蓄電装置20を記憶するためのリストである。
一方、当該負荷の分を電力ネットワーク40からの供給電力量のみで賄える場合(S134でNo)、又は電力ネットワーク40からの供給電力量では賄えない電力量を対象蓄電装置20によって補える場合(S135でNo)、不足電力量の総和への加算は行われない。
ステップS134〜S137までが、全ての蓄電装置20に関して実行されることにより、不足電力量の総和は、制御時刻に係る電力平準化システム1全体の電力量の不足分を示すものとなる。
続いて、目標値探索部121は、ステップS131においてソートされた順に、全ての蓄電装置20に関してステップS141以降を実行する(S139、S140、S144)。ステップS140以降のループにおいて処理対象とされている蓄電装置20を「対象蓄電装置20」という。
ステップS141において、目標値探索部121は、対象蓄電装置20が不足リストに含まれているか否かを判定する。対象蓄電装置20が不足リストに含まれている場合(S141でYes)、目標値探索部121は、対象蓄電装置20に対する制御時刻に係る電源供給電力量を、対象蓄電装置20に対する制御時刻に係る負荷の値とする(S142)。また、対象蓄電装置20に対する制御時刻に係る充電電力量及び放電電力量は、共に0とされる。これは、制御時刻からの制御間隔において、対象蓄電装置20が、図9のt3〜t5に示される状態となる場合に相当する。
一方、対象蓄電装置20が不足リストに含まれていない場合(S141でNo)、目標値探索部121は、対象蓄電装置20について、電力量の肩代わりを考慮した充放電値の割り当て処理を実行する(S143)。
ステップS141〜S143が全ての蓄電装置20について終了すると(S140でNo)、図13の処理は終了する。その結果、蓄電装置20ごとに、制御時刻に係る電源供給電力量、充電電力量、及び放電電力量が算出された状態となる。
続いて、ステップS143の詳細について説明する。図14は、第一の実施の形態における電力量の肩代わりを考慮した充放電値の割り当て処理の処理手順を説明するためのフローチャートである。なお、同図において、時刻に応じて変化するパラメータの値は、制御時刻に係る値が採用される。
ステップS151において、目標値探索部121は、対象蓄電装置20に対する目標値(仮目標値)を図14において用いる閾値とする。閾値は、対象蓄電装置20が肩代わり可能な電力量の最大値としての意味を有する。
続いて、目標値探索部121は、閾値が、[対象蓄電装置20に対する負荷(以下、「対象負荷」という。)+対象蓄電装置の充電可能電力量]以下であるか否かを判定する(S152)。閾値が、[対象負荷+対象蓄電装置の充電可能電力量]を超える場合(S152でNo)、目標値探索部121は、対象負荷の値に対象蓄電装置の充電可能電力量を加算した値を新たに閾値とする(S153)。すなわち、閾値が下げられる。
対象蓄電装置20によって肩代わりされる電力量が最大となるのは、対象蓄電装置20による充電が抑制され、かつ、対象負荷が対象蓄電装置20による放電のみによって賄われるときである。このときに肩代わりされる電力量は、[対象蓄電装置20の充電可能電力量+対象負荷の値]である。したがって、ステップS153では、閾値が、対象蓄電装置20によって実際に肩代わり可能な電力量の最大値に補正されているのである。
または、次のように考えてもよい。電力ネットワーク40から対象蓄電装置20に対して供給される電力量が最大となるのは、対象蓄電装置20が充電のみを行い、対象負荷の全部が電力ネットワーク40によって賄われている場合である。このときの電力ネットワーク40から対象蓄電装置20への供給電力量は、[対象蓄電装置20の充電可能電力量+対象負荷の値]である。そして、対象蓄電装置20が肩代わり可能な電力量の最大値は、電力ネットワーク40から対象蓄電装置20に対して供給される電力量が最大値である。したがって、閾値の最大値は、[対象蓄電装置20の充電可能電力量+対象負荷の値]となる。すなわち、閾値は、電力ネットワーク40から対象蓄電装置20へ供給される電力量の最大値としての意味も有する。
なお、対象蓄電装置20の充電可能電力量は、蓄電装置情報記憶部128に記録されている、対象蓄電装置20の単位充電可能電力量(単位時間あたりの充電可能電力量)と、制御間隔と、制御時刻における対象蓄電装置20の蓄電量及び容量とに基づいて算出すればよい。蓄電量及び容量がパラメータとされるのは、満タンを考慮するためである。すなわち、制御時刻からの制御間隔における対象蓄電装置20の充電可能電力量は、制御間隔×単位充電可能電力量(但し、[対象蓄電装置20の容量−制御時刻における対象蓄電装置20の蓄電量]以下)となる。
続いて、目標値探索部121は、[閾値−対象負荷の値]が、不足電力量の総和より大きいか否かを判定する(S154)。ここで、[閾値−対象負荷の値]は、本来であれば対象蓄電装置20に充電される電力量である。したがって、ステップS154は、不足電力量の総和を、対象蓄電装置20の充電分(本来であれば充電される電力量)を減らすことで肩代わり可能か否かの判定に相当する。換言すれば、対象蓄電装置20は、放電を行わなくても肩代わり可能か否かの判定に相当する。
対象蓄電装置20の充電分によって不足電力量の総和を肩代わり可能な場合(S154でYes)、目標値探索部121は、[閾値−対象負荷の値−不足電力量の総和]を対象蓄電装置20の制御時刻に係る充電電力量とする(S155)。すなわち、本来であれば充電にあてられる電力量から肩代わりした分(不足電力量の総和)を除いた電力量が対象蓄電装置20の充電電力量とされる。
続いて、目標値探索部121は、対象蓄電装置20に関する電源供給電力量を対象負荷の値とし、放電電力量を0とする(S156)。続いて、目標値探索部121は、不足電力量の総和を0とする(S157)。不足電力量の総和分は、対象蓄電装置20によって肩代わりされたからである。
一方、不足電力量の総和を、対象蓄電装置20の充電量を減らすことでは肩代わりできない場合(S154でNo)、目標値探索部121は、閾値が不足電力量の総和より大きいか否かを判定する(S158)。すなわち、対象蓄電装置20が肩代わり可能な最大値によって不足電力量の総和が解消できるか否かが判定される。換言すれば、対象蓄電装置20が自らに対する負荷を自らの放電のみによって賄った場合に、対象蓄電装置20によって不足電力量の総和を解消できるか否かが判定される。
対象蓄電装置20が肩代わり可能な最大値によって不足電力量の総和が解消できる場合(S158でYes)、目標値探索部121は、対象蓄電装置20の放電可能電力量が、[不足電力量の総和−閾値+対象負荷の値]より大きいか否かを判定する(S159)。すなわち、対象蓄電装置20による放電によって、不足電力量の総和を肩代わり可能か否かが判定される。なお、[不足電力量の総和+対象負荷の値]は、消費される電力量である。このうち、閾値分は、電力ネットワーク40からの供給によって賄われる。したがって、対象蓄電装置20の放電可能電力量と、[不足電力量の総和−閾値+対象負荷の値]とを比較することにより、対象蓄電装置20による放電によって不足電力量の総和を肩代わり可能か否かが判定できる。
対象蓄電装置20による放電によって不足電力量の総和を肩代わり可能である場合(S159でYes)、目標値探索部121は、対象蓄電装置20の制御時刻に係る放電電力量を、[不足電力量の総和−閾値+対象負荷の値]とする(S160)。続いて、目標値探索部121は、対象蓄電装置20に対する電源供給電力量を[閾値−不足電力量の総和]とし、充電電力量を0とする(S161)。本来あれば、閾値分だけ電力ネットワーク40より供給されるところ、不足電力量の総和を肩代わりしたため、電源供給電力量が不足電力量の総和分減るからである。続いて、目標値探索部121は、不足電力量の総和を0とする(S162)。
一方、対象蓄電装置20による放電によって不足電力量の総和の全部を肩代わりすることは不可能である場合(S159でNo)、目標値探索部121は、対象蓄電装置20の放電可能電力量を対象蓄電装置20の放電電力量とする(S163)。すなわち対象蓄電装置20に可能な限り肩代わりさせる。続いて、目標値探索部121は、[対象負荷の値−対象蓄電装置20の放電可能電力量]を対象蓄電装置20への電源供給電力量とし、対象蓄電装置20の充電電力量を0とする(S164)。すなわち、対象蓄電装置20の放電では賄えない負荷分が電力ネットワーク40からの供給で補われる。続いて、目標値探索部121は、[閾値−対象負荷の値+対象蓄電装置20の放電可能電力量]を不足電力量の総和より減算する(S165)。[閾値−対象負荷の値+対象蓄電装置20の放電可能電力量]は、対象蓄電装置20によって肩代わされるからである。すなわち、[閾値−対象負荷の値+対象蓄電装置20の放電可能電力量]は、[閾値−(対象負荷の値−対象蓄電装置20の放電可能電力量)]である。ここで、(対象負荷の値−対象蓄電装置20の放電可能電力量)は、対象蓄電装置20の放電のみでは賄えない負荷分である。そして、対象負荷分は、電力ネットワーク40からの供給によって補われる。したがって、肩代わり可能な最大値である[閾値−対象負荷の値]が、対象蓄電装置20による肩代わり分となる。
更に、対象蓄電装置20が肩代わり可能な最大値によって不足電力量の総和が解消できない場合(S158でNo)、目標値探索部121は、対象蓄電装置20の放電可能電力量は、対象負荷の値より大きいか否かを判定する(S166)。すなわち、負荷の全部を放電によって賄うことが可能か否かが判定される。負荷の全部を放電によって賄える場合(S166でYes)、目標値探索部121は、対象負荷の値を対象蓄電装置20の放電電力量とする(S167)。続いて、目標値探索部121は、対象蓄電装置20の電源供給電力量及び充電電力量をそれぞれ0にする(S168)。続いて、目標値探索部121は、不足電力量の総和から閾値を減算する(S169)。この場合、対象蓄電装置20によって閾値分の電力が肩代わりされるからである。
なお、ソート順(残り時間の降順)において次の蓄電装置20が図14の処理対象とされた場合、不足電力量の総和は、当該蓄電装置20より前の蓄電装置20に対する処理によって更新された値が使用される。したがって、残り時間の多い蓄電装置20から順に、肩代わり先とされる。
以上で、目標値(個別目標値)の探索処理についての説明は終了する。なお、目標値は、他の処理によって定められてもよい。例えば、経験値に基づいて設定されてもよい。
次に、目標値探索部121によって探索された個別目標値用いて、電力平準化システム1における消費電力量を平準化するための処理について説明する。目標値探索部121による処理を準備処理とすると、以降の処理は、本番処理として位置付けられる。
図15は、第一の実施の形態の平準化制御装置による電力ネットワークからの給電制御及び蓄電装置の充放電制御の処理手順を説明するためのフローチャートである。同図の処理は、制御間隔を1周期として繰り返し実行される。当該制御間隔は、図10において説明した制御間隔のことである。
ステップS201において、消費電力量取得部122は、通信部11を介して、各電力消費装置30の消費電力監視部31より、消費電力量(以下、「負荷」という。)を取得する。当該消費電力量は、直近の制御間隔における消費電力量である。
続いて、蓄電量取得部123は、通信部11を介して、各蓄電装置20より現在の蓄電量(残量)を取得する。蓄電量取得部123は、各蓄電装置20について、取得された蓄電量をステップS201において取得された負荷の値によって除することにより、蓄電量の残り時間を算出する(S202)。
続いて、平準化制御情報生成部124は、充放電値の算出処理のための目標値を目標値記憶部129より取得する(S203)。第一の実施の形態では、蓄電装置20ごとの個別目標値が取得される。続いて、平準化制御情報生成部124は、充放電値の算出処理を実行する(S204)。ステップS204の詳細な処理手順は、図13及び図14と同様である。但し、ステップS204内において図13及び図14が実行される場合、各ステップの実行主体は、平準化制御情報生成部124である。また、負荷の値は、ステップS201において取得された値が利用される。また、蓄電量の残り時間は、ステップS202において算出された値が利用される。更に、目標値は、仮目標値ではなく、ステップS203において取得された個別目標値が利用される。ステップS204の実行の結果、現在の制御時刻に係る電源供給電力量、充電電力量、及び放電電力量が蓄電装置20ごとに算出される。
続いて、平準化制御情報送信部125は、蓄電装置20ごとに算出された電源供給電力量、充電電力量、及び放電電力量を含む平準化制御情報を、通信部11を利用して各蓄電装置20に送信する(S205)。
その後、各蓄電装置20の充放電制御部23は、受信された平準化制御情報に含まれている充電電力量及び放電電力量に基づいて、蓄電部22に関する充放電を制御する。また、充放電制御部23は、平準化制御情報に含まれている電源供給電力量に基づいて、充電せずにそのまま電力消費装置30へ供給する電力量を判定する。
次に、第二の実施の形態について説明する。第二の実施の形態において、特に言及しない点については、第一の実施の形態と同様でよい。
第二の実施の形態では、目標値探索部121によって、複数の蓄電装置20に対して一つの(共通の)目標値(以下、「全体目標値」という。)が探索される。平準化制御情報に基づく制御が行われた場合に、電力ネットワーク40から供給電力量のピークが最小になる可能性が高くなる値が、全体目標値として探索される。探索手法には、例えば、メタヒューリスティクス手法の一つであるPSO(Particle Swarm Optimization)等を用いることが可能である。なお、全体目標値は、制御間隔あたりに商用電源より供給可能な最大の電力量以下である。
斯かる全体目標値を用いて、図16及び図17に示されるような制御が行われる。
図16は、第二の実施の形態の平準化制御の概要を説明するための第一の図である。同図において、(B)には、蓄電装置20a〜20dと、それぞれに対する負荷a〜dが示されている。負荷a〜dは、電力消費装置30a〜30dによるそれぞれの消費電力量を表現したものである。図16及び図17における各蓄電装置20の蓄電量の残り時間は、蓄電装置20a≦蓄電装置20b≦蓄電装置20c≦蓄電装置20dの関係にあるとする。
(C)には、時刻taにおける負荷a〜dの値が両矢印の長さによって示されている。
(A)では、全体目標値と、時刻taにおける負荷a〜dの合計とが比較されている。同図では、全体目標値が、負荷の合計以上である場合が示されている。この場合、電力ネットワーク40から全体目標値分の電力量が、各蓄電装置20への負荷、及び各蓄電装置20への充電に割り当てられる。より詳しくは、各蓄電装置20に対する負荷の全部は、電力ネットワーク40からの供給によって賄われる。したがって、各蓄電装置20から放電は行われない。また、[全体目標値−負荷の合計]である余り分の分配については、残り時間が短い蓄電装置20が優先される。余り分を分配された蓄電装置20は、分配された電力量だけ電力ネットワーク40から充電を行う。同図では、蓄電装置20a及び20bに余り分が分配された例が示されている。
また、図17は、第二の実施の形態の平準化制御の概要を説明するための第二の図である。同図において、(B)の内容は、図16と同様である。
(C)には、時刻taにおける負荷a〜dの値が両矢印の長さによって示されている。但し、負荷cに関しては、二つの両矢印が縦に並べられている。これは、後述されるように、電力ネットワーク40からの給電によって賄われる分と、蓄電装置20cからの放電によって補われる分とが区別されているためである。すなわち、図17の(C)の両矢印のハッチングの形態の相違は、負荷に対する電力の供給元の相違を示す。
(A−1)では、全体目標値と、時刻taにおける負荷a〜dの合計とが比較されている。同図では、全体目標値が、負荷の合計未満である場合が示されている。この場合、電力ネットワーク40から全体目標値分の電力が可能な限り負荷へ割り当てられる。より詳しくは、電力ネットワーク40からの電力量の割り当ては、残り時間が短い蓄電装置20が優先される。電力量を割り当てられた蓄電装置20は、割り当てられた分を充電せずに当該蓄電装置20に対応する負荷へ給電する。一方、[負荷の総和−全体目標値]である不足分については、蓄電装置20からの放電によって補われる。
同図の(A−2)では、負荷a及びbと、負荷cの一部とについては、電力ネットワーク40からの給電によって賄われており、負荷cの残りの部分及び負荷dについては、蓄電装置20c又は20dからの放電によって補われている例が示されている。
すなわち、第二の実施の形態では、放電によってバッテリ切れが発生しないように、電力ネットワーク40による負荷への割り当ては、蓄電量の少ない蓄電装置20が優先される。また、蓄電装置20から負荷に対する放電は、蓄電量の多い蓄電装置20が優先的行う。これにより、各蓄電装置20の電力量は略均一に使用され、各蓄電装置20に蓄えられた電力を十分に活用することが可能となる。
続いて、上記の処理内容をフローチャートを用いて更に詳細に説明する。全体目標値の探索処理の処理手順については、第一の実施の形態(図10)とほぼ同様でよい。但し、第二の実施の形態における全体目標値は、複数の蓄電装置20に対して一つであるため(共通であるため)、第一の実施の形態において複数の個別目標値に関して行われていたステップは、一つの全体目標値に関して実行される。
例えば、図10のステップS103では、仮目標値は一つ設定される。また、ステップS111に係る目標値は一つである。ステップS113では、当該ステップの実行時の目標値が全体目標値として目標値記憶部129に記録される。その他、個別目標値が利用されていたステップでは、当該個別目標値が全体目標値によって置き換えられればよい。
また、図12のステップS123では、図13の代わりに図18が実行される。
図18は、第二の実施の形態における充放電値の算出処理の処理手順を説明するためのフローチャートである。
ステップS301において、目標値探索部121は、蓄電量の残り時間の昇順に蓄電装置20をソートする。すなわち、残り時間が最小の蓄電装置20が先頭となる。続いて、目標値探索部121は、負荷の値の総和が全体目標値(一つの仮目標値)以下であるか否かを判定する(S302)。負荷の値の総和が全体目標値以下である場合(S302でYes)、目標値探索部121は、負荷の値の総和が全体目標値以下である場合の充放電値の割り当て処理を実行する(S303)。すなわち、図16において説明した処理が実行される。一方、負荷の値の総和が全体目標値を超える場合(S302でNo)、目標値探索部121は、負荷の値の総和が全体目標値を超える場合の充放電値の割り当て処理を実行する(S304)。すなわち、図17において説明した処理が実行される。
続いて、ステップS303の詳細について説明する。図19は、第二の実施の形態において負荷の値の総和が全体目標値以下である場合の充放電値の割り当て処理の処理手順を説明するためのフローチャートである。
ステップS311において、目標値探索部121は、[全体目標値−負荷の値の総和]を電力量とする。また、目標値探索部121は、変数iを0に初期化することにより、ソート順において先頭の蓄電装置20を処理対象(対象蓄電装置20)とする。すなわち、変数iは、ソート順において対象蓄電装置20の位置(順番)を示す変数である。なお、図19における残電力量は、図16における余り分に相当する。続いて、目標値探索部121は、ステップS313以降を蓄電装置20ごとにソート順に実行する(S312、S320)。
ステップS313において、目標値探索部121は、対象蓄電装置20の放電電力量を0とする。図16の場合、放電が行われる蓄電装置20は無いからである。続いて、目標値探索部121は、対象負荷の値を対象蓄電装置20に対する電源供給電力量とする(S314)。図16の場合、負荷の全部は、電力ネットワーク40からの供給によって賄われるからである。続いて、目標値探索部121は、対象蓄電装置20の充電可能電力量は、残電力量未満であるか否かを判定する(S315)。
対象蓄電装置20の充電可能電力量が残電力量未満である場合(S315でYes)、目標値探索部121は、残電力量から当該充電可能電力量を減算する(S316)。続いて、目標値探索部121は、当該充電可能電力量を対象蓄電装置20の充電電力量とする(S317)。
一方、対象蓄電装置20の充電可能電力量が残電力量を超える場合(S315でNo)、目標値探索部121は、残電力量の全てを対象蓄電装置20の充電電力量とする(S318)。続いて、目標値探索部121は、残電力量を0とする(S319)。
ステップS313以降が全ての蓄電装置20について実行されることにより、各蓄電装置20に対する電源供給電力量、放電電力量、及び充電電力量が決定される。また、ステップS313以降は、蓄電量の残り時間の昇順に実行されるため、当該残り時間が少ない蓄電装置20から先に残電力量(余り分)が分配される。
続いて、図18のステップS304の詳細について説明する。図20は、第二の実施の形態において負荷の値の総和が全体目標値を超える場合の充放電値の割り当て処理の処理手順を説明するためのフローチャートである。
ステップS331において、目標値探索部121は、全体目標値を残電力量とする。また、目標値探索部121は、変数iを0に初期化することにより、ソート順において先頭の蓄電装置20を処理対象(対象蓄電装置20)とする。なお、図20における残電力量は、電力ネットワーク40より供給可能な電力量である。続いて、目標値探索部121は、ステップS333以降を蓄電装置20ごとにソート順に実行する(S332、S345)。
ステップS333において、目標値探索部121は、対象蓄電装置20の充電電力量を0とする。図17の場合、充電が行われる蓄電装置20は無いからである。続いて、目標値探索部121は、対象負荷の値が残電力量未満であるか否かを判定する(S334)。対象負荷の値が、残電力未満である場合(S334でYes)、目標値探索部121は、対象蓄電装置20に対する電源供給電力量を対象負荷の値とし、放電電力量を0とする(S335)。対象負荷の全ては電力ネットワーク40からの供給で賄われるため、対象蓄電装置20は放電する必要が無いからである。続いて、目標値探索部121は、残電力量から対象負荷の値を減算する(S336)。
一方、対象負荷の値が残電力量以上である場合(S334でNo)、目標値探索部121は、[対象負荷の値−残電力量]を不足分とする(S337)。続いて、目標値探索部121は、残電力量を対象蓄電装置20の電源供給電力量とする(S338)。続いて、目標値探索部121は、残電力量を0とする(S339)。残電力量の全ては対象蓄電装置20に割り当てられてしまったからである。
続いて、目標値探索部121は、不足分が対象蓄電装置20放電可能電力量未満であるか否かを判定する(S340)。すなわち、不足分を補えるだけの放電の可否が判定される。不足分を補えるだけの放電が可能である場合(S340でYes)、目標値探索部121は、不足分を対象蓄電装置20の放電電力量とする(S341)。
一方、不足分を補えるだけの放電が不可能である場合(S340でNo)、目標値探索部121は、不足分から対象蓄電装置20の放電可能電力量を減算する(S342)。続いて、目標値探索部121は、当該放電可能電力量を対象蓄電装置20の放電電力量とする(S343)。すなわち、対象蓄電装置20が可能な限り放電させる。続いて、目標値探索部121は、対象蓄電装置20の電源供給電力量(ステップS338において設定された値)に不足分を加算する(S344)。この場合、残電力量分と不足分とが電力ネットワーク40より供給される必要があるからである。
ステップS333以降が全ての蓄電装置20について実行されることにより、各蓄電装置20に対する電源供給電力量、放電電力量、及び充電電力量が決定される。また、ステップS333以降は、蓄電量の残り時間の昇順に実行されるため、当該残り時間が少ない蓄電装置20から先に残電力量(全体目標値分の電力量)が割り当てられる。その結果、当該残り時間が多い蓄電装置20ほど、放電電力量が大きくなる。
以上で、全体目標値の探索処理についての説明は終了する。続いて、上記のように探索された全体目標値を使用して平準化制御装置10によって実行される、電力ネットワーク40からの給電制御及び蓄電装置20の充放電制御(すなわち、平準化制御)について説明する。第二の実施の形態における給電制御及び充放電制御の処理手順は、図15とほぼ同様でよい。但し、ステップS203において取得されるのは一つの全体目標値である。また、ステップS204において、図13の代わりに図18が実行される。
次に、第三の実施の形態について説明する。図21は、第三の実施の形態における電力平準化システムの構成例を示す図である。図21中、図3と同一部分又は対応する部分には同一符号を付し、その説明は省略する。
同図において、電力平準化システム2は、スイッチ60を更に含む。スイッチ60は、蓄電装置20ごとに設けられる。各蓄電装置20は、電力ネットワーク40にではなく、当該蓄電装置20に対応するスイッチ60に電力線42を介して接続される。第三の実施の形態において、平準化制御装置10によって生成される平準化制御情報は、スイッチ60に送信される。当該平準化制御情報は、スイッチのON又はOFFを示す情報である。スイッチ60は、当該平準化制御情報に従って、自らをON状態(通電状態)又はOFF状態(遮断状態)とし、電力線42を介して接続される蓄電装置20への電力の供給を制御する。
図22は、スイッチの機能構成例を示す図である。同図において、スイッチ60は、通信部61及びスイッチ制御部62を有する。通信部61は、平準化制御装置10より平準化制御情報を受信する。スイッチ制御部62は、受信された平準化制御情報に従ってスイッチ60をON状態又はOFF状態とする。スイッチ60がON状態となると、電力ネットワーク40からの電力が蓄電装置20へ供給される。スイッチ60がOFF状態となると、電力ネットワーク40からの電力は遮断され、蓄電装置20へは供給されない。なお、スイッチ60は、蓄電装置20内部に含まれていてもよい。
図23は、第三の実施の形態における蓄電装置の機能構成例である。図23中、図4と同一部分又は対応する部分には同一符号を付している。
第三の実施の形態では、スイッチ60のON/OFFによって電力の供給が制御される。したがって、蓄電装置20の充放電制御部23は、電力ネットワーク40より供給される電力が検出されると、一定量を蓄電部22に充電し、残りの電力を電力消費装置30に供給するだけである。一方、電力が検出されない場合、充放電制御部23は、電力消費装置30が必要とする電力量を蓄電部22より放電する。
なお、スイッチ60がON状態のとき、蓄電部22に蓄えられている電力の放電は行われない。したがって、スイッチ60がON状態のときは、電力ネットワーク40より供給される電力のみが使用される。また、スイッチ60がOFF状態のときは、蓄電部22に蓄えられた電力のみが使用される。すなわち、或る時点における電力消費装置40への電力の供給は、電力ネットワーク40又は蓄電装置20のいずれかのみにより可能な場合を想定する。
以下、第三の実施の形態の平準化制御装置10による処理内容について説明する。特に明記しない点については、第二の実施の形態と同様でよい。
第三の実施の形態では、目標値探索部121によって、電力平準化システム2に対して一つの目標値(以下、「全体目標値」という。)が探索される。平準化制御情報に基づく制御が行われた場合に、電力ネットワーク40から供給電力量のピークが最小になる可能性が高くなる値が、全体目標値として探索される。探索手法には、例えば、メタヒューリスティクス手法の一つであるPSO(Particle Swarm Optimization)等を用いることが可能である。斯かる全体目標値を用いて、図24及び図25に示されるような制御が行われる。
図24は、第三の実施の形態の平準化制御の概要を説明するための第一の図である。同図において、(B)には、蓄電装置20a〜20eと、それぞれに対する負荷a〜eが示されている。負荷a〜eは、電力消費装置30a〜30eによるそれぞれの消費電力量を表現したものである。
(C)には、時刻taにおける負荷a〜eの値と、蓄電装置20a〜20eへの充電電力量の値とがそれぞれ両矢印の長さによって示されている。負荷を示す曲線の下側の両矢印は負荷の値を示し、曲線の上側の両矢印が充電電力量を示す。なお、両矢印のハッチングの形態の相違は、電力ネットワーク40より供給される電力量の用途(負荷又は充電)の相違を示す。
(A)では、全体目標値と、時刻taにおける各負荷の値及び各蓄電装置20への充電電力量の合計とが比較されている。同図では、全体目標値が、当該負荷及び当該充電電力量の合計以上である場合が示されている。この場合、電力ネットワーク40から全体目標値分の電力量が、各負荷及び各蓄電装置20の充電に割り当てられる。すなわち、全てのスイッチ60がON状態とされる。
また、図25は、第三の実施の形態の平準化制御の概要を説明するための第二の図である。同図において、(B)及び(C)の内容は、図24と同様である。但し、(C)において、負荷に関する両矢印のハッチングの形態の相違は、負荷に対する電力の供給元の相違を示す。
(A)では、全体目標値と、時刻taにおける各負荷の値及び各蓄電装置20への充電電力量の合計とが比較されている。同図では、全体目標値が、当該負荷及び当該充電電力量の合計未満である場合が示されている。この場合、電力ネットワーク40から全体目標値分の電力量が可能な限り各負荷、及び蓄電装置20への充電に割り当てられる。電力量の割り当てに関しては、蓄電量の残り時間が短い蓄電装置20から順に、当該蓄電装置20の[負荷+蓄電装置20の充電電力量]分が割り当てられる。電力量が割り当てられた蓄電装置20に対応するスイッチ60はON状態とされる。
[負荷+蓄電装置20の充電電力量]分の電力量を全体目標値から各蓄電装置20に割り当てていく過程において、割り当てられた[負荷+蓄電装置20の充電電力量]の総和が全体目標値を超えてしまう場合、残りの負荷に対しては蓄電装置20から給電が行われる。すなわち、当該蓄電装置20に対応するスイッチ60がOFF状態とされる。
なお、[全体目標値−(割り当てられた負荷の総和+割り当てられた蓄電装置20の充電電力の総和)]>0である場合、すなわち、余り分がある場合は、できるだけ多くの蓄電装置20に対して電力ネットワーク40からの電力量が割り当てられるように制御される。具体的には、電力量が割り当ててられていない蓄電装置20の中から、残り時間が短いものから順番に[負荷+蓄電装置20の充電電力]が、余り分[全体目標値−(割り当てられた負荷の総和+割り当てられた蓄電装置20の充電電力量の総和)]以下になるものが検索される。該当する蓄電装置20が検索されれば、当該蓄電装置20に余り分が割り当てられる。すなわち、当該蓄電装置20に対応するスイッチ60がON状態とされる。
例えば、図25(A)において、各蓄電装置20の蓄電量の残り時間が、蓄電装置20a>蓄電装置20b>蓄電装置20c>蓄電装置20d>蓄電装置20eであるとすると、蓄電装置20eに係る負荷及び充電量から順に、電力ネットワーク40からの電力量の割り当てが行われる。そうすると、(A−1)に示されるようになる。この場合、蓄電装置20c、20b、及び20aに関しては、電力ネットワーク40からの電力量の割り当てを行うことはできない。蓄電装置20cについては、[負荷+充電電力量]の一部が全体目標値を超える部分に含まれているが、第三の実施の形態では、当該一部について放電によって補うことはできない(すなわち、電力ネットワーク40からの供給と放電とは同時に行うことはできない)。したがって、蓄電装置20cに対応するスイッチ60についてもOFF状態とせざるをえない。
一方、蓄電装置20aに係る[負荷+充電電力量]であれば、[全体目標値−蓄電装置20e及び20dに係る(負荷+充電電力量)の総和]の余り分に収まる。そこで、(A−2)に示されるように、蓄電装置20aに係る[負荷+充電電力量]については、電力ネットワーク40からの電力量が割り当てられる。
第三の実施の形態では、バッテリ切れが発生しないように、電力ネットワーク40からの電力量の割り当てに関しては、蓄電装置20の蓄電量が少ない蓄電装置20が優先される。また、負荷に対して放電を行う蓄電装置20は、蓄電量が多いものが優先される。これにより、各蓄電装置20の電力は略均一に使用され、各蓄電装置20に蓄えられた電力を十分に活用することが可能になる。
続いて、上記の処理内容をフローチャートを用いて更に詳細に説明する。全体目標値の探索処理の処理手順については、第二の実施の形態(図10)とほぼ同様でよい。但し、図12のステップS123では、図18の代わりに図26が実行される。
図26は、第三の実施の形態における充放電値の算出処理の処理手順を説明するためのフローチャートである。
ステップS401において、目標値探索部121は、スイッチ60ごとに、制御時刻に係る状態(ON状態又はOFF状態)を判定する(S401)。なお、ステップS401は、各スイッチ60がどのような状態であるべきかを判定する処理であり、実際にスイッチ60の状態を制御するものではない。
続いて、目標値探索部121は、各蓄電装置20に対してステップS404〜S406を実行する(S402、S403、S407)。
ステップS404において、目標値探索部121は、処理対象とされた蓄電装置20(対象蓄電装置20)に対応するスイッチ60(以下、「対象スイッチ60」という。)に関するステップS401の判定結果は、ON状態であるか否かを判定する。
対象スイッチ60に対する判定結果がON状態である場合(S404でYes)、目標値探索部121は、対象負荷の値を対象蓄電装置20に係る電源供給電力量とする。また、目標値探索部121は、対象蓄電装置20の充電可能電力量を対象蓄電装置20に係る充電電力量とする。また、目標値探索部121は、対象蓄電装置20に係る放電電力量を0とする(S405)。
一方、対象スイッチ60に対する判定結果がOFF状態である場合(S404でNo)、目標値探索部121は、対象負荷の値を対象蓄電装置20に係る放電電力量とする。また、目標値探索部121は、対象蓄電装置20に係る充電電力量及び電源供給電力量をそれぞれ0とする(S406)。
ステップS404〜S406が全ての蓄電装置20について終了すると(S403でNo)、全ての蓄電装置20に関して、充電電力量、放電電力量、及び電源供給電力量が決定された状態となる。なお、第三の実施の形態において、充電電力量、放電電力量、及び電源供給電力量は、全体目標値を探索するために算出されるものであり、電力平準化のための充放電制御処理には利用されない。上記したように、第三の実施の形態における平準化制御情報は、スイッチ60のON又はOFFを示すものだからである。
続いて、ステップS401の詳細について説明する。図27は、各スイッチの状態の判定処理の処理手順を説明するためのフローチャートである。
ステップS411において、目標値探索部121は、蓄電量の残り時間の昇順で蓄電装置20をソートする。続いて、目標値探索部121は、[全ての負荷の値の総和+全ての蓄電装置20の充電可能電力量の総和]が全体目標値(仮目標値)以下であるか否かを判定する(S412)。すなわち、図24のケースに相当するか、図25のケースに相当するかが判定される。図24のケースに相当する場合(S412でYes)、目標値探索部121は、全てのスイッチ60をON状態にすべきと判定し、判定結果をメモリ装置103に記録する(S413)。
一方、図25のケースに相当する場合(S412でNo)、目標値探索部121は、全体目標値を残電力量とする(S414)。残電力量は、電力ネットワーク40より供給可能な電力量を示す。また、目標値探索部121は、変数iを0に初期化することにより、ソート順において先頭の蓄電装置20を処理対象(対象蓄電装置20)とする。続いて、目標値探索部121は、ステップS416〜S419を蓄電装置20ごとにソート順に実行する(S415、S420)。
ステップS416において、目標値探索部121は、対象蓄電装置20について、[負荷の値+充電可能電力量]が、残電力量未満であるか否かを判定する。[負荷の値+充電可能電力量]が残電力量未満である場合(S416でYes)、目標値探索部121は、対象蓄電装置20に対応するスイッチ60をON状態にすべきと判定し、判定結果をメモリ装置103に記録する(S417)。続いて、目標値探索部121は、対象蓄電装置20を割り当て済みリストに追加する(S418)。割り当て済みリストは、電力ネットワーク40からの電力量が割り当てられた蓄電装置20を記憶するためのリストである。続いて、目標値探索部121は、対象電力装置20に割り当てた電力量([負荷の値+充電可能電力量])を残電力量より減算する(S419)。
ステップS416〜S419がソート順に全ての蓄電装置20について実行されることにより、残り時間が短い蓄電装置20から順に電力ネットワーク40からの電力が割り当てられる。また、ソート順において先である蓄電装置20に関して割り当てが不可能であると判定された場合であっても、ループが継続されることにより、[負荷の値+充電可能電力量]の値が残電力量より小さい蓄電装置20に電力ネットワーク40からの電力量を割り当てることができる。
続いて、目標値探索部121は、全ての蓄電装置20についてソート順にステップS423〜S426を実行する(S421、S422、S427)。
ステップS423において、目標値探索部121は、処理対象の蓄電装置20(対象蓄電装置20)は、割り当て済みリストに含まれているか否かを判定する。対象蓄電装置20が、割り当て済みリストに含まれている場合(S423でYes)、ソート順で次の蓄電装置20が処理対象とされる(S427)。
対象蓄電装置20が、割り当て済みリストに含まれていない場合(S423でNo)、目標値探索部121は、対象蓄電装置20の放電可能電力量が対象負荷の値より大きいか否かを判定する(S424)。当該放電可能電力量が対象負荷の値より大きい場合(S424でYes)、目標値探索部121は、対象蓄電装置20に対するスイッチ60をOFF状態にすべきと判定し、判定結果をメモリ装置103に記録する(S425)。すなわち、対象負荷に対する電力は、対象蓄電装置20からの放電によって賄うべきであると判定される。一方、当該放電可能電力量が対象負荷の値以下である場合(S424でNo)、目標値探索部121は、対象蓄電装置20に対応するスイッチ60をON状態にすべきと判定し、判定結果をメモリ装置103に記録する(S426)。
以上で、目標値の探索処理についての説明は終了する。続いて、上記のように探索された全体目標値を使用して平準化制御装置10によって実行される、電力ネットワーク40からの給電制御及び蓄電装置20の充放電制御(すなわち、平準化制御)の処理手順について説明する。但し、第三の実施の形態において、直接的に制御の対象とされるのはスイッチ60である。
図28は、第三の実施の形態の平準化制御装置による電力ネットワークからの給電制御及び蓄電装置の充放電制御の処理手順を説明するためのフローチャートである。同図の処理は、制御間隔を1周期として繰り返し実行される。
ステップS431〜S433は、図15のステップS201〜S203と同様である。したがって、現時点の実際の負荷の値及び蓄電量が、各電力消費装置30又は各蓄電装置20より取得される。但し、ステップS433では、一つの全体目標値が取得される。
続いて、平準化制御情報生成部124は、各スイッチ60の状態の判定処理を実行する(S434)。ステップS434の詳細な処理手順は、図27と同様である。但し、ステップS434内において図27が実行される場合、各ステップの実行主体は、平準化制御情報生成部124である。また、負荷の値は、ステップS431において取得された値が利用される。また、蓄電量の残り時間は、ステップS432において算出された値が利用される。更に、目標値は、仮目標値ではなく、ステップS433において取得された全体目標値が利用される。ステップS434の実行の結果、現在の制御時刻に係るON/OFF状態がスイッチ60ごとに判定される。
続いて、平準化制御情報生成部124は、全ての蓄電装置20について、ステップS437〜S439を実行する(S435、S436、S440)。
ステップS437において、平準化制御情報生成部124は、処理対象とされた蓄電装置20(対象蓄電装置20)に対応するスイッチ60(対象スイッチ60)に関するステップS434の判定結果は、ON状態であるか否かを判定する。
対象スイッチ60に対する判定結果がON状態である場合(S437でYes)、平準化制御情報生成部124は、ON状態を示す平準化制御情報を対象スイッチ60に送信する(S438)。その結果、対象スイッチ60はON状態とされ、電力ネットワーク40からの電力が、対象蓄電装置20及び対象蓄電装置20に対応する電力消費装置30に供給される。
一方、対象スイッチ60に対する判定結果がOFF状態である場合(S437でNo)、平準化制御情報生成部124は、OFF状態を示す平準化制御情報を対象スイッチ60に送信する(S439)。その結果、対象スイッチ60はOFF状態とされ、対象蓄電装置20の蓄電部22に蓄えられている電力が、対象蓄電装置20に対応する電力消費装置30に供給される。
次に、第四の実施の形態について説明する。第四の実施の形態では、第三の実施の形態と同様にスイッチ60が利用される。したがって、負荷に対しては電力ネットワーク40又は蓄電装置20のいずれかのみより給電が可能な場合が想定される。一方、第四の実施の形態では、全体目標値が探索された後、全体目標値に基づいて、蓄電装置20ごとに個別目標値が算出される。当該個別目標値を利用して平準化のための制御(スイッチ60のON/OFF制御)が行われる。また、第四の実施の形態では、瞬間的な電力量のピークを平準化させる(低下させる)ものではない点において第一から第三の実施の形態と異なる。第四の実施の形態では、一定期間ごと(例えば、30分ごと)の電力量の累積値のピークが、長期的な観点(例えば、1日間)において最小化されるように制御される。なお、第四の実施の形態において、特に言及しない点については第三の実施の形態と同様でよい。
図29は、第四の実施の形態の平準化制御の概要を説明するための図である。図中(A)には、一つの蓄電装置20に対する負荷の値の時間の経過に応じた推移を示す曲線A−1と、当該負荷の値に当該蓄電装置20の充電電力量を加算した値の時間の経過に応じた推移を示す曲線A−2とが示されている。但し、曲線A−2において、スイッチ60の状態がOFFの期間(以下「OFF期間」という。)については、曲線A−2によって示される充電電力量は発生しない。また、曲線A−1において、スイッチ60の状態がONの期間(以下「ON期間」という。)の負荷は、電力ネットワーク40より供給される電力量によって賄われる。一方、OFF期間の負荷は、蓄電装置20からの放電電力量によって賄われる。
(B)は、(A)において電力ネットワーク40より負荷に対して供給される電力量と、充電電力量とのそれぞれについて一定期間ごとに積分を行った結果である。ここで、充電電力量も、電力ネットワーク40より供給される電力量である。したがって、(B)は、一定期間ごとの電力ネットワーク40より供給される電力量の累積値の推移を示すものである。
(B)より明らかなように、ON期間において累積値は上昇し、OFF期間において累積値は変化しない。OFF期間では、電力ネットワーク40からの電力の供給は無いからである。第四の実施の形態では、当該累積値のピークが、個別目標値以下となるように制御される。同図では、個別目目標値pn=An+Cnという関係が確保されていることが示されている。Anは、蓄電装置20nに係る負荷に対する一定期間における供給電力量である。Cnは、蓄電装置20nによる一定期間における充電電力量である。なお、Anは、(A)における曲線A−1のON期間の面積に相当する。また、Cnは、曲線A−2のON期間の面積から当該ON期間のAnを減算したものである。
個別目標値は、その総和が全体目標値と一致し、かつ、後述の平準化制御が行われた場合に、一定期間後における各蓄電装置20の蓄電量が等しくなるような値が設定される。具体的には、個別目標値pnは、一定期間ごとに以下の式(1)を用いて計算される。
ここで、各パラメータの意味は以下の通りである。
P0:全体目標値
pn:蓄電装置20nの個別目標値
Ln:蓄電装置20nの一定期間の負荷の値
Bn:蓄電装置20nの一定期間の開始時の蓄電量
すなわち、式(1)では、或る蓄電装置20の個別目標値pnは、負荷の総和に対する当該蓄電装置20に係る負荷の割合を、全体目標値と蓄電量の総和との和に乗じた結果より、当該蓄電装置20の蓄電量を減ずることにより算出されることが示されている。
但し、pn<0となる蓄電装置20が存在する場合、当該蓄電装置20の個別目標値pnは、以下のように再設定される。
pn=0
再設定が行われた場合、当該蓄電装置20に係る負荷の値及び蓄電量を除いて、式(1)によって残りの蓄電装置20の個別目標値の再計算が行われる。当該再計算は、pn<0となる蓄電装置20が無くなるまで繰り返される。
また、pn>Ln+Cnとなる蓄電装置20が存在する場合、当該蓄電装置20の個別目標値pnは、以下のように再設定される。なお、Cnは、蓄電装置20nによる一定期間における充電電力量である。
pn=Ln+Cn
当該蓄電装置20の個別目標値pnに対する供給電力量の余り分[pn−(Ln+Cn)]は、蓄電量の少ない他の蓄電装置20に分配される。
以上のように算出される個別目標値を用いて、蓄電装置20ごとに、一定期間における電力ネットワーク40からの消費電力量が個別目標値となるまで、対応するスイッチ60がON状態とされる。当該消費電力量が個別目標値に達すると当該スイッチ60はOFF状態とされる。その結果、蓄電装置20からの放電によって負荷に対する給電が行われる。各蓄電装置20の個別目標値の計算は、各一定期間の開始時に行われる。
第四の実施の形態では、各蓄電装置20の蓄電量が同じになるように個別目標値が算出され、当該個別目標値に基づいて制御が行われる。したがって、各蓄電装置20の電力は略均一に使用され、それぞれに蓄えられた電力を十分に活用することが可能となる。
続いて、上記の処理内容をフローチャートを用いて更に詳細に説明する。図30は、第四の実施の形態の平準化制御装置による全体目標値の探索処理の処理手順を説明するためのフローチャートである。図30中、図10と同一ステップには同一ステップ番号を付し、その説明は適宜省略する。
ステップS103aにおいて、目標値探索部121は、全体目標値に対する一つの仮目標値を設定する。続いて、目標値探索部121は、仮目標値、消費電力量記憶部126、及び蓄電装置情報記憶部128等を用いて、制御時刻からの一定期間の電力ネットワーク40からの消費電力量を算出する(S104a)。すなわち、図29における、An+Cnが蓄電装置20ごとに算出され、その総和が一定期間の電力ネットワーク40からの消費電力量として算出される。なお、当該一定期間は、図29の説明における一定期間と同義である。また、第四の実施の形態の説明において「一定期間」というとき、当該一定期間のことをいう。なお、一定期間は予め設定される。
続いて、目標値探索部121は、算出された一定期間の消費電力量をピーク電力量と比較する(S105a)。一定期間の消費電力量がピーク電力量より大きい場合(S105aでYes)、目標値探索部121は、当該一定期間の消費電力量によってピーク電力量を更新する(S106a)。消費電力量がピーク電力量未満である場合(S105aでNo)、ピーク電力量は更新されない。続いて、目標値探索部121は、制御時刻を一定期間分進めて(S107a)、ステップS104a以降を繰り返す。
以降の処理手順は、図10において説明したものと同様でよいため、その説明は省略する。図30の処理の終了時点では、一定期間の消費電力量が最小となる全体目標値が探索され、当該全体目標値が目標値記憶部129に記録された状態となる。
続いて、ステップS104aの詳細について説明する。図31は、第四の実施の形態において電力ネットワークからの一定期間の消費電力量の算出処理の処理手順を説明するためのフローチャートである。
ステップS501において、目標値探索部121は、消費電力量記憶部126において制御時刻に対して蓄電装置20ごとに記録されている負荷の値を取得し、各蓄電装置20に対する負荷の値とする。続いて、目標値探索部121は、各蓄電装置20の予測蓄電量を取得する(S502)、図30において最初にステップS104aが実行されるときの各蓄電装置20の予測蓄電量は、各蓄電装置20の容量とされる。
続いて、目標値探索部121は、各蓄電装置20に対する個別目標値の算出処理を実行する(S503)。続いて、目標値探索部121は、全ての蓄電装置20に対する仮想スイッチをONとする(S504)。仮想スイッチとは、例えば、各スイッチ60の状態を記憶するための変数である。ここでは、実際にスイッチ60の状態が変更されることではないことを明確にするため、「仮想スイッチ」という用語が用いられている。
続いて、目標値探索部121は、制御時刻から一定期間内を制御間隔単位で刻む時刻tを制御時刻で初期化する(S505)。続いて、目標値探索部121は、図31の処理の出力値である一定期間の消費電力量を0に初期化する(S506)。
続いて、目標値探索部121は、制御時刻からの一定期間について、制御間隔ごとにステップS508以降の処理を実行する(S507、S520)。ステップS508以降において、目標探索部は、ステップS510以降の処理を蓄電装置20ごとに実行する(S508、S509、S519)。すなわち、ステップS510〜S518の処理は、制御時刻からの一定期間について、全ての蓄電装置20に関して制御間隔ごとに実行される。
ステップS510において、目標値探索部121は、処理対象の蓄電装置20(対象蓄電装置20)に対応するスイッチ60(対象スイッチ60)の仮想スイッチがONであるか否かを判定する(S510)。ステップS504において全ての仮想スイッチにONが設定されているため、各蓄電装置20についてステップS510が初めて実行されるときは、この判定は肯定的なもの(Yes)となる。
対象スイッチ60の仮想スイッチがONである場合(S510でYes)、目標値探索部121は、[対象負荷の値+対象蓄電装置20の充電可能電力量]が対象蓄電装置20の個別目標値(以下、「対象個別目標値」という。)以下であるか否かを判定する(S511)。ここで、対象負荷の値は、時刻tに対して消費電力量記憶部126に記録されている値である。また、当該充電可能電力量は、時刻tからの制御間隔における充電可能電力量である。
[対象負荷の値+対象蓄電装置20の充電可能電力量]が対象個別目標値以下である場合(S511でYes)、目標値探索部121は、[対象負荷の値+対象蓄電装置20の充電可能電力量]を対象個別目標値より減算する(S512)。ここで、[対象負荷の値+対象蓄電装置20の充電可能電力量]は、時刻tからの制御間隔において電力ネットワーク40からの消費電力量である。したがって、ステップS512では、対象個別目標値より当該消費電力量が減算されたことになる。
続いて、目標値探索部121は、当該消費電力量([対象負荷の値+対象蓄電装置20の充電可能電力量])を一定期間の消費電力量に加算する(S513)。続いて、目標値探索部121は、当該充電可能電力量を対象蓄電装置20の予測蓄電量に加算する(S514)。
一方、[対象負荷の値+対象蓄電装置20の充電可能電力量]が対象個別目標値を超える場合(S511でNo)、すなわち、一定期間における消費電力量の累積値が、当初の個別目標値を超えた場合、目標値探索部121は、対象蓄電装置20の仮想スイッチをOFFとする(S515)。なお、当初の個別目標値とは、ステップS503において算出された個別目標値をいう。すなわち、ステップS512おける減算が適用されていない初期状態の個別目標値である。
続いて、目標値探索部121は、対象負荷の値が、対象蓄電装置20の放電可能電力量未満であるか否かを判定する(S516)。当該放電可能電力量は、時刻tからの制御間隔における放電可能電力量である。対象負荷の値が対象蓄電装置20の放電可能電力量未満である場合(S516でYes)、目標値探索部121は、対象蓄電装置20の予測蓄電量より対象負荷の値を減算する(S517)。すなわち、対象負荷の分だけ対象蓄電装置20より放電されることにより、対象蓄電装置20の蓄電量が減少するからである。
一方、対象負荷の値が、対象蓄電装置20の放電可能電力量以上である場合(S516でNo)、目標値探索部121は、対象蓄電装置20の仮想スイッチをONとする(S518)。対象蓄電装置20からの放電では対象負荷を賄えないため、電力ネットワーク40からの給電を可能とするためである。
上記ステップS510〜S518の処理が、制御時刻からの一定期間に関して各蓄電装置20に関して制御間隔ごとに実行されることにより、制御時刻からの一定期間における消費電力量が算出される。当該一定期間の消費電力量は、電力平準化システム2全体としての消費電力量である。
続いて、ステップS503の詳細について説明する。図32は、第四の実施の形態において各蓄電装置に対する個別目標値の算出処理の処理手順を説明するためのフローチャートである。
ステップS531において、目標値探索部121は、蓄電量の残り時間の昇順に蓄電装置20をソートする。続いて、目標値探索部121は、式(1)を用いて、各蓄電装置20の個別目標値(pn)を算出する(S532)。なお、ここでは、仮目標値が全体目標値P0に代入される。続いて、目標値探索部121は、個別目標値が0未満である蓄電装置20の有無を判定する(S533)。該当する蓄電装置20が有る場合(S533でYes)、目標値探索部121は、個別目標値が0未満となる蓄電装置20の個別目標値を0に設定する。また、目標値探索部121は、個別目標値を0に設定された蓄電装置20に係る、制御時刻からの一定期間の負荷の値と、制御時刻における蓄電量を式(1)への代入対象より除外し(S534)、個別目標値の再計算を行う(S532)。ステップS532〜S534は、個別目標値が0未満となる蓄電装置20が無くなるまで繰り返される。
全ての蓄電装置20に対して0以上の個別目標値が設定されると(S533でNo)、目標値探索部121は、余剰電力量を0に初期化する(S535)。余剰電力量は、個別目標値を超えて供給される電力量を記憶するためのものである。続いて、目標値探索部121は、全ての蓄電装置20についてソート順にステップS538からS540を実行する(S536、S537、S541)。
ステップS538において、目標値探索部121は、処理対象の蓄電装置20(対象蓄電装置20)の個別目標値は、制御時刻からの一定期間における対象蓄電装置20に対する負荷(対象負荷)の値と当該一定期間における対象蓄電装置20の充電可能電力量との和より大きいか否かを判定する(S538)。すなわち、pn>Ln+Cnか否かが判定される。
pn>Ln+Cnである場合(S538でYes)、目標値探索部121は、当該個別目標値から対象負荷の値と当該充電可能電力量との和を減じた値(すなわち、[pn−(Ln+Cn)])を余剰電力量に加算する(S539)。続いて、目標値探索部121は、対象負荷と当該充電可能電力量との和(Ln+Cn)を対象蓄電装置20の個別目標値とする(S540)。ステップS538〜S540が全ての蓄電装置20に関して実行されることにより、個別目標値を超える供給電力量([pn−(Ln+Cn)])の総和が、余剰電力量として記憶される。
続いて、目標値探索部121は、ステップS545〜S549を、余剰電力量が0になるまで各蓄電装置20についてソート順に実行する(S542、S543、S544、S550)。
ステップS545において、目標値探索部121は、余剰電力量と対象蓄電装置20の個別目標値との和が、対象負荷と制御時刻からの一定期間における対象蓄電装置20の充電可能電力量との和より大きいか否かを判定する。すなわち、対象蓄電装置20の負荷及び充電可能電力量の和は、個別目標値の範囲内であるか、又は個別目標値に対して余剰電力量の一部又は全部を加算した範囲内であるか否かが判定される。
余剰電力量と当該個別目標値との和の方が大きい場合(S545でYes)、目標値探索部121は、対象負荷と当該充電可能電力量との和から当該個別目標値を減じた値を余剰電力量より減ずる(S546)。続いて、目標値探索部121は、対象負荷と当該充電可能電力量との和を対象蓄電装置20の個別目標値とする(S547)。すなわち、ステップS546は、対象負荷と当該充電可能量とが個別目標値を超える蓄電装置20に対して、余剰電力量から分配する分を当該余剰電力量より減ずる処理である。
一方、余剰電力量と対象蓄電装置20の個別目標値との和が、対象負荷と制御時刻からの一定期間における対象蓄電装置20の充電可能電力量との和以下である場合(S545でNo)、目標値探索部121は、対象蓄電装置20の個別目標値に余剰電力量を加算する(S548)。続いて、全ての余剰電力量は分配されたため、目標値探索部121は余剰電力量を0とする(S549)。
ステップS545以降が、蓄電量の少ない蓄電装置20から順に実行されることにより、蓄電量の少ない蓄電装置20に対して余剰電力量を優先的に分配することができる。
以上で、全体目標値の探索処理についての説明は終了する。続いて、上記のように探索された全体目標値を使用して平準化制御装置10によって実行される、電力ネットワーク40からの給電制御及び蓄電装置20の充放電制御(すなわち、平準化制御)の処理手順について説明する。但し、第四の実施の形態において、直接的に制御の対象とされるのはスイッチ60である。
図33は、第四の実施の形態の平準化制御装置による電力ネットワークからの給電制御及び蓄電装置の充放電制御の処理手順を説明するためのフローチャートである。同図の処理は、制御間隔を1周期として繰り返し実行される。
ステップS561及びS562は、図15のステップS201及びS202と同様である。したがって、現時点の実際の負荷の値及び蓄電量が、各電力消費装置30又は各蓄電装置20より取得される。
続いて、平準化制御情報生成部124は、制御時刻が、周期的に訪れる一定期間の開始時刻であるか否かを判定する(S563)。すなわち、前回の個別目標値設定時から一定期間が経過しているか、又は個別目標値は一回も設定されていないか否かが判定される。制御時刻が一定期間の開始時刻である場合(S563でYes)、平準化制御情報生成部124は、目標値記憶部129より全体目標値を取得する(S564)。
続いて、平準化制御情報生成部124は、各蓄電装置20に対する個別目標値の算出処理を実行する(S565)。ステップS565の詳細な処理手順は、図32と同様である。但し、ステップS565内において図32が実行される場合、各ステップの実行主体は、平準化制御情報生成部124である。また、負荷の値は、ステップS561において取得された値が利用される。また、蓄電量の残り時間は、ステップS562において算出された値が利用される。更に、式(1)に代入される全体目標値は、仮目標値ではなく、ステップS564において取得された全体目標値が利用される。ステップS565の実行の結果、現在の制御時刻からの一定期間に対する個別目標値が、蓄電装置20ごとに算出される。続いて、平準化制御情報生成部124は、全ての蓄電装置20の仮想スイッチをONとする(S566)。
ステップS566又はステップS563でNoの場合に続いて、平準化制御情報生成部124は、全ての蓄電装置20について、ステップS569〜S576を実行する(S567、S568、S577)。
ステップS569において、平準化制御情報生成部124は、処理対象の蓄電装置20(対象蓄電装置20)の仮想スイッチはONであるか否かを判定する(S569)。なお、一定期間における開始時以外は、前回の制御時刻における仮想スイッチの値が判定されることになる。一方、一定期間の開始時は、ステップS566において全ての仮想スイッチについてONが設定されている。
当該仮想スイッチがONの場合(S569でYes)、平準化制御情報生成部124は、対象蓄電装置20に対する負荷(対象負荷)と対象蓄電装置20の充電可能電力量との和は、対象蓄電装置20の個別目標値以下であるか否かを判定する(S570)。なお、当該対象負荷は、制御時刻からの制御間隔における負荷である。また、当該充電可能電力量は、制御時刻からの制御間隔における充電可能電力量である。
対象負荷と当該充電電力可能量との和が、対象蓄電装置20の個別目標値以下である場合(S570でYes)、平準化制御情報生成部124は、対象負荷と当該充電可能電力量との和(すなわち、当該制御間隔における消費電力量)を、当該個別目標値より減ずる(S571)。この場合は、一定期間内の消費電力量が当初の個別目標値以下である場合に相当する。なお、対象負荷と当該充電可能電力量との和が減ぜられた個別目標値は、次の制御時刻において利用される。続いて、平準化制御情報生成部124は、ON状態を示す平準化制御情報を対象蓄電装置20に対応するスイッチ60(対象スイッチ60)に送信する(S572)。その結果、対象スイッチ60はON状態とされ、電力ネットワーク40からの電力が、対象蓄電装置20及び対象蓄電装置20に対応する電力消費装置30に供給される。
一方、対象負荷と当該充電電力可能量との和が、対象蓄電装置20の個別目標値を超える場合(S570でNo)、平準化制御情報生成部124は、対象蓄電装置20の仮想スイッチをOFFとする(S573)。この場合は、一定期間内の消費電力量が当初の個別目標値を超える場合に相当する。
ステップS573又はステップS569でNoの場合に続いて、平準化制御情報生成部124は、対象負荷の値は対象蓄電装置20の放電可能電力量より小さいか否かを判定する(S574)。対象負荷の値が当該放電可能電力量より小さい場合(S574でYes)、平準化制御情報生成部124は、OFF状態を示す平準化制御情報を対象スイッチ60に送信する(S575)。その結果、対象スイッチ60はOFF状態とされ、対象蓄電装置20の蓄電部22に蓄えられている電力が、対象蓄電装置20に対応する電力消費装置30に供給される。
一方、対象負荷の値が当該放電可能電力量以上である場合(S574でNo)、平準化制御情報生成部124は、対象蓄電装置20の仮想スイッチをONとし(S576)、ステップS571以降を実行する。
続いて、上記式(1)の妥当性について説明する。図34は、第四の実施の形態における個別目標値の算出式の妥当性を説明するための図である。
同図には、図29(A)の最初の一定期間が抽出されている。各パラメータの意味は、図29において説明した通りである。ここで、全体目標値P0は、充電電力量と負荷との総和であるため、以下の式(2)に示されるように定義される。
また、一定期間後において全ての蓄電装置20の蓄電量が同じであるためには、以下の式(3)が満たされる必要がある。
上記式(2)及び(3)と、Ln=An+Dn、pn=Cn+Anとの関係とに基づいて、上記式(1)が導出される。
次に、シミュレーション環境において上記第一の実施の形態から第四の実施の形態を適用した結果として得られたデータについて説明する。当該シミュレーション環境では、それぞれ別個にバッテリ(蓄電装置20)を有する4台のノートPC(電力消費装置30)が用いられている。
まず、参考として、本実施の形態が適用されていない状態において、ノートPCごとに個別に平準化が行われた場合について示す。図35は、個別に平準化制御を行った場合の各バッテリの残量の時間的推移を示す図である。
図1において説明したように、個別に制御が行われた場合、当該シミュレーション環境においても各バッテリの残量(蓄電量)が最小になるタイミングは大きく異なるのが分かる。
図36は、第一の実施の形態を適用した場合の各バッテリの残量の時間的推移を示す図である。同図では、バッテリ0及び2については残量が最小になるタイミングにずれが認められるものの、他のバッテリの残量が最小になるタイミングはほぼ一致している。なお、第一の実施の形態における電力量の肩代わりは、或るバッテリについてバッテリ切れが発生した場合に行われるため、一部のバッテリの残量が最小となるタイミングにずれが生じうるものと考えられる。
また、図37は、第一の実施の形態を適用した場合の商用電源からの消費電力量の時間的推移を示す図である。同図において、L1は、ノートPCによる消費電力量を示す。L2は、第一の実施の形態を適用した場合の商用電源からの消費電力量を示す。L1とL2とを比較すると、L2ではピーク値が明らかに平準化されていることが分かる。また、L3は、ノートPCごとに個別に平準化が行われた場合の商用電源からの消費電力量を示す。L2とL3とを比較しても、L2のピーク値の方が明らかに平準化されていることが分かる。
続いて、図38は、第二の実施の形態を適用した場合の各バッテリの残量の時間的推移を示す図である。同図に示されるように、第二の実施の形態を適用した場合、全てのバッテリについて、残量が最小になるタイミングはほぼ一致している。
図39は、第二の実施の形態を適用した場合の商用電源からの消費電力量の時間的推移を示す図である。L1〜L3の意味は、図37と同様である。同図に示されるように、L2のピーク値が明らかに平準化されていることが分かる。
図40は、バッテリ残量の時間的推移を示す図である。同図において、B0は、個別に平準化が行われた場合、B1は、第一の実施の形態が適用された場合、B2は、第二の実施の形態が適用された場合のバッテリ残量(総和)の時間的推移を示す。B0より明らかなように、個別に平準化された場合は、システム全体としてバッテリが十分使用されていないことが分かる。一方、B1及びB2では、バッテリの最小値が0に近く、バッテリが十分使用されていることが分かる。
続いて、図41は、第三の実施の形態を適用した場合の商用電源からの消費電力量の時間的推移を示す図である。同図において、L1〜L3の意味は、上記した通りである。なお、個別の平準化についてもスイッチが利用されている。同図に示されるように、L3に比べてL2のピーク値の方が明らかに平準化されていることが分かる。
続いて、図42は、第四の実施の形態を適用した場合の商用電源からの消費電力量の時間的推移を示す図である。同図において、L1〜L3の意味は、上記した通りである。第四の実施の形態の場合、瞬間的な消費電力量は大きく変化している。第四の実施の形態では、各一定周期の最初において全てのスイッチはONにされ、その後個別目標値分消費したものからスイッチがOFFにされるため、全てのスイッチがONの状態又はOFF状態が発生するためであると考えられる。但し、第四の実施の形態は、一定期間ごとの消費電力量のピークを平準化させるものである。図42の内容を一定期間ごとに積分すると図43のようになる。
図43は、第四の実施の形態を適用した場合の商用電源からの消費電力量の時間的推移を示す図である。当該シミュレーション環境では、一定期間は30分とされている。したがって、同図は、30分ごとの商用電源からの消費電力量の推移を示す。
同図に示されるように、L3に比べてL2のピーク値の方が明らかに平準化されていることが分かる。
以上、本発明の実施例について詳述したが、本発明は斯かる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
以上の説明に関し、更に以下の項を開示する。
(付記1)
電源からの充電が可能な複数の蓄電装置ごとに配置され、前記電源及び前記蓄電装置に充電された電力を消費する電力消費装置より消費電力量を取得する消費電力量取得手段と、
前記蓄電装置ごとに所定の閾値を記憶した閾値記憶手段と、
前記消費電力量が当該電力消費装置に係る前記所定の閾値以下である第一の前記電力消費装置については前記電源より給電させ、前記第一の電力消費装置に対応する前記蓄電装置については前記所定の閾値からの当該消費電力量の差分を充電させ、前記消費電力量が当該電力消費装置に係る前記所定の閾値を超える第二の前記電力消費装置については前記所定の閾値分を前記電源より給電させ、前記第二の電力消費装置に対応する前記蓄電装置については前記消費電力量からの前記所定の閾値の差分を前記第二の電力消費装置に放電させる制御手段とを有する電力平準化制御装置。
(付記2)
それぞれの前記蓄電装置の蓄電量を取得する蓄電量取得手段を有し、
前記制御手段は、前記消費電力量からの前記所定の閾値の差分が前記蓄電量に基づく放電可能電力量を超える第一の前記蓄電装置に対応する前記電力消費装置については、前記消費電力量の全部を前記電源より給電させ、前記消費電力量からの前記所定の閾値の差分が前記蓄電量に基づく放電可能電力量を超える分について、前記第一の蓄電装置以外の前記蓄電装置に充電量の減少及び放電量の増加の少なくともいずれか一方を実行させる付記1記載の電力平準化制御装置。
(付記3)
前記制御手段は、前記消費電力量からの前記所定の閾値の差分が前記蓄電量に基づく放電可能電力量を超える分について、前記第一の蓄電装置以外の前記蓄電装置の中で前記蓄電量の残り時間が多いものから順に、充電量の減少及び放電量の増加の少なくともいずれか一方を実行させる付記2記載の電力平準化制御装置。
(付記4)
前記電力消費装置ごとに時間の経過に応じた消費電力量を記憶した消費電力量記憶手段と、
前記消費電力量記憶手段に記録された前記消費電力量に関して前記制御手段による制御が行われた場合に、前記電源からの消費電力量の最大値が最小となる値を前記所定の閾値として探索する探索手段を有する付記1乃至3いずれか一項記載の電力平準化制御装置。
(付記5)
電源からの充電が可能な複数の蓄電装置ごとに配置され、前記電源の電力及び前記蓄電装置に充電された電力を消費する各電力消費装置より消費電力量を取得する消費電力量取得手段と、
所定の閾値を記憶した閾値記憶手段と、
前記消費電力量の総和が前記所定の閾値以下である場合は、全ての前記電力消費装置について前記電源より給電させ、前記消費電力量の総和からの前記所定の閾値の差分を、一部の前記蓄電装置に充電させる制御手段とを有する電力平準化制御装置。
(付記6)
前記制御手段は、前記消費電力量の総和が前記所定の閾値を超える場合は、該超える分について、一部の前記蓄電装置より前記電力消費装置に放電させる付記5記載の電力平準化制御装置。
(付記7)
それぞれの前記蓄電装置の蓄電量を取得する蓄電量取得手段を有し、
前記制御手段は、前記超える分の電力量を放電させる電力装置として、前記蓄電量の残り放電時間が長い前記蓄電装置を選択する付記6記載の電力平準化制御装置。
(付記8)
前記電力消費装置ごとに時間の経過に応じた消費電力量を記憶した消費電力量記憶手段と、
前記消費電力量記憶手段に記録された前記消費電力量に基づいて前記制御手段による制御が行われた場合に、前記電源からの給電量の最大値が最小となる値を前記所定の閾値として設定する設定手段を有する請求項5乃至7いずれか一項記載の電力平準化制御装置。
(付記9)
電源からの充電が可能な複数の蓄電装置ごとに配置され、前記電源及び前記蓄電装置に充電された電力を消費する電力消費装置より消費電力量を取得する消費電力量取得手段と、
複数の前記蓄電装置に対して共通の所定の閾値を記憶した閾値記憶手段と、
前記消費電力量の総和が前記所定の閾値以下である場合は、前記蓄電装置ごとに設けられた全てのスイッチを通電状態とする制御手段とを有し、
前記通電状態のスイッチに係る前記蓄電装置は前記電源より充電し、該蓄電装置に対応する前記電力消費装置には前記電源より給電される電力平準化制御装置。
(付記10)
前記制御手段は、前記消費電力量の総和が前記所定の閾値を超える場合は、積算値が前記所定の閾値以下となる一部の前記消費電力量に係る前記電力消費装置に対応する第一のスイッチは通電状態とし、前記第一のスイッチ以外の前記スイッチは遮断状態とし、
前記遮断状態のスイッチに係る前記蓄電装置は前記電力消費装置に放電する付記9記載の電力平準化制御装置。
(付記11)
それぞれの前記蓄電装置の蓄電量を取得する蓄電量取得手段を有し、
前記制御手段は、前記蓄電量の残り時間が短い前記蓄電装置から順に、当該蓄電装置に対応する前記電力消費装置の消費電力量を積算して前記積算値を算出する付記10記載の電力平準化制御装置。
(付記12)
前記制御手段は、前記蓄電量の残り時間が短い前記蓄電装置から順に、当該蓄電装置に対応する前記電力消費装置の消費電力量を積算して前記積算値を算出し、前記積算値が前記所定の閾値を超えたときに積算された第一の前記消費電力量より小さい第二の前記消費電力量であって、前記第二の消費電力量を前記第一の消費電力量の代わりに積算した場合に前記積算値が前記所定の閾値以下となるときは、前記第二の消費電力量に係る前記電力消費装置に係る前記スイッチを通電状態とする付記11記載の電力平準化制御装置。
(付記13)
前記電力消費装置ごとに時間の経過に応じた消費電力量を記憶した消費電力量記憶手段と、
前記消費電力量記憶手段に記録された前記消費電力量に関して前記制御手段による制御が行われた場合に、前記電源からの消費電力量の最大値が最小となる値を前記所定の閾値として探索する探索手段を有する付記9乃至12いずれか一項記載の電力平準化制御装置。
(付記14)
電源からの充電が可能な複数の蓄電装置ごとに配置され、前記電源及び前記蓄電装置に充電された電力を消費する電力消費装置より消費電力量を取得する消費電力量取得手段と、
前記蓄電装置ごとの第一の閾値を取得する閾値取得手段と、
周期的な一定期間の開始時において、前記蓄電装置ごとに設けられた全てのスイッチを通電状態とし、前記一定期間内における前記消費電力量が前記第一の閾値を超えた前記電力消費装置に係る前記スイッチを遮断状態とする制御手段とを有し、
前記通電状態のスイッチに係る前記蓄電装置は前記電源より充電し、該蓄電装置に対応する前記電力消費装置には前記電源より給電され、
前記遮断状態のスイッチに係る前記蓄電装置は前記電力消費装置に放電する電力平準化制御装置。
(付記15)
複数の前記蓄電装置に対して共通な第二の閾値を記憶する閾値記憶手段と、
それぞれの前記蓄電装置の蓄電量を取得する蓄電量取得手段と、
前記閾値取得手段は、前記消費電力量取得手段により取得された消費電力量の総和に対する当該蓄電装置に係る消費電力量の割合を前記第一の閾値と前記蓄電量の総和との和に乗じた結果より当該蓄電装置の蓄電量を減ずることにより前記第一の閾値を算出する付記14記載の電力平準化制御装置。
(付記16)
前記電力消費装置ごとに時間の経過に応じた消費電力量を記憶した消費電力量記憶手段と、
前記消費電力量記憶手段に記録された前記消費電力量に関して前記制御手段による制御が行われた場合に、前記一定期間における前記電源からの消費電力量の最大値が最小となる値を前記第二の閾値として探索する探索手段を有する付記14又は15記載の電力平準化制御装置。
(付記17)
コンピュータが、
電源からの充電が可能な複数の蓄電装置ごとに配置され、前記電源及び前記蓄電装置に充電された電力を消費する電力消費装置より消費電力量を取得する消費電力量取得手順と、
前記消費電力量が当該電力消費装置に係る所定の閾値以下である第一の前記電力消費装置については前記電源より給電させ、前記第一の電力消費装置に対応する前記蓄電装置については前記所定の閾値からの当該消費電力量の差分を充電させ、前記消費電力量が当該電力消費装置に係る前記所定の閾値を超える第二の前記電力消費装置については前記所定の閾値分を前記電源より給電させ、前記第二の電力消費装置に対応する前記蓄電装置については前記消費電力量からの前記所定の閾値の差分を前記第二の電力消費装置に放電させる制御手順とを実行する電力平準化制御方法。
(付記18)
コンピュータが、
電源からの充電が可能な複数の蓄電装置ごとに配置され、前記電源の電力及び前記蓄電装置に充電された電力を消費する各電力消費装置より消費電力量を取得する消費電力量取得手順と、
前記消費電力量の総和が所定の閾値以下である場合は、全ての前記電力消費装置について前記電源より給電させ、前記消費電力量の総和からの前記所定の閾値の差分を、少なくとも一部の前記蓄電装置に充電させる制御手順とを実行する電力平準化制御方法。
(付記19)
コンピュータが、
電源からの充電が可能な複数の蓄電装置ごとに配置され、前記電源及び前記蓄電装置に充電された電力を消費する電力消費装置より消費電力量を取得する消費電力量取得手順と、
前記消費電力量の総和が複数の前記蓄電装置に対して共通の所定の閾値以下である場合は、前記蓄電装置ごとに設けられた全てのスイッチを通電状態とする制御手順とを実行し、
前記通電状態のスイッチに係る前記蓄電装置は前記電源より充電し、該蓄電装置に対応する前記電力消費装置には前記電源より給電される電力平準化制御方法。
(付記20)
コンピュータが、
電源からの充電が可能な複数の蓄電装置ごとに配置され、前記電源及び前記蓄電装置に充電された電力を消費する電力消費装置より消費電力量を取得する消費電力量取得手順と、
前記蓄電装置ごとに第一の閾値を取得する閾値取得手順と、
周期的な一定期間の開始時において、前記蓄電装置ごとに設けられた全てのスイッチを通電状態とし、前記一定期間内における前記消費電力量が前記蓄電装置ごとの第一の閾値を超えた前記電力消費装置に係る前記スイッチを遮断状態とする制御手順とを実行し、
前記通電状態のスイッチに係る前記蓄電装置は前記電源より充電し、該蓄電装置に対応する前記電力消費装置には前記電源より給電され、
前記遮断状態のスイッチに係る前記蓄電装置は前記電力消費装置に放電する電力平準化制御方法。
(付記21)
コンピュータに、
電源からの充電が可能な複数の蓄電装置ごとに配置され、前記電源及び前記蓄電装置に充電された電力を消費する電力消費装置より消費電力量を取得する消費電力量取得手順と、
前記消費電力量が当該電力消費装置に係る所定の閾値以下である第一の前記電力消費装置については前記電源より給電させ、前記第一の電力消費装置に対応する前記蓄電装置については前記所定の閾値からの当該消費電力量の差分を充電させ、前記消費電力量が当該電力消費装置に係る前記所定の閾値を超える第二の前記電力消費装置については前記所定の閾値分を前記電源より給電させ、前記第二の電力消費装置に対応する前記蓄電装置については前記消費電力量からの前記所定の閾値の差分を前記第二の電力消費装置に放電させる制御手順とを実行させるプログラム。
(付記22)
コンピュータに、
電源からの充電が可能な複数の蓄電装置ごとに配置され、前記電源の電力及び前記蓄電装置に充電された電力を消費する各電力消費装置より消費電力量を取得する消費電力量取得手順と、
前記消費電力量の総和が所定の閾値以下である場合は、全ての前記電力消費装置について前記電源より給電させ、前記消費電力量の総和からの前記所定の閾値の差分を、少なくとも一部の前記蓄電装置に充電させる制御手順とを実行させるプログラム。
(付記23)
コンピュータに、
電源からの充電が可能な複数の蓄電装置ごとに配置され、前記電源及び前記蓄電装置に充電された電力を消費する電力消費装置より消費電力量を取得する消費電力量取得手順と、
前記消費電力量の総和が複数の前記蓄電装置に対して共通の所定の閾値以下である場合は、前記蓄電装置ごとに設けられた全てのスイッチを通電状態とする制御手順とを実行させ、
前記通電状態のスイッチに係る前記蓄電装置は前記電源より充電し、該蓄電装置に対応する前記電力消費装置には前記電源より給電されるプログラム。
(付記24)
コンピュータに、
電源からの充電が可能な複数の蓄電装置ごとに配置され、前記電源及び前記蓄電装置に充電された電力を消費する電力消費装置より消費電力量を取得する消費電力量取得手順と、
前記蓄電装置ごとに第一の閾値を取得する閾値取得手順と、
周期的な一定期間の開始時において、前記蓄電装置ごとに設けられた全てのスイッチを通電状態とし、前記一定期間内における前記消費電力量が前記蓄電装置ごとの第一の閾値を超えた前記電力消費装置に係る前記スイッチを遮断状態とする制御手順とを実行させ、
前記通電状態のスイッチに係る前記蓄電装置は前記電源より充電し、該蓄電装置に対応する前記電力消費装置には前記電源より給電され、
前記遮断状態のスイッチに係る前記蓄電装置は前記電力消費装置に放電するプログラム。