JP5659297B2 - 燻煙型揮散剤、燻煙型空間処理装置、空間処理方法 - Google Patents
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Description
本願は、2011年4月28日に、日本に出願された特願2011−102352号、及び2011年8月19日に、日本に出願された特願2011−179604号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
この一例として、農業用途において、モーター又はガソリンエンジンを駆動源とした装置を用い、コンプレッサーにより薬液を加圧状態で噴霧ノズルから噴出する農薬散布方法が開示されている(たとえば特許文献1参照)。この方法によれば、ハウス内に均一に農薬を散布できる。
燻煙剤は、種々の燃焼剤、発泡剤等を混合した発熱性基剤と、有効成分とを主成分とする固形製剤である。発熱性基剤としては、ニトロセルロース、アゾジカルボンアミド、p,p’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン等が一般的に用いられている。
使用時において燻煙剤を加熱すると、発熱性基剤が燃焼又は分解することで煙(ガス及び微粒子)が発生し、この煙と熱の作用により有効成分が空気中に揮散する。そのため、短時間で有効成分が空間内全体に行き渡り、その空間に処理を施すことができる。
特許文献2〜3に記載されているようなアゾジカルボンアミド等の発熱性基剤を含有する燻煙剤は、有効成分の揮散力に優れるものの、発生した煙により白色沈降物等による空間の汚染を生じる問題がある。
また、特許文献4〜5に記載されているタイプの加熱蒸散剤は、発熱性基剤を含有しないため、空間の汚染は生じにくいが、有効成分の揮散が緩やかであるために、空間の隅々まで有効成分が充分に行き渡らない。そのため、得られる効果が弱いという問題がある。その上、有効成分の揮散状態が、燻煙剤を加熱して生じる煙のように視認できないため、使用者が実効感を得られにくいという問題もある。
本発明は上記事情を鑑みてなされたものであり、取扱いが簡便で、低汚染性であり、有効成分による効果が高く、かつ、使用者が実効感を得られる燻煙型揮散剤、前記燻煙型揮散剤を用いた燻煙型空間処理装置及び空間処理方法を提供することを課題とする。
本発明は、以下の態様を有する。
[1](A)ポリオールと、(B)微生物失活成分、忌避成分及び香料成分からなる群より選ばれる1種以上の成分を含む有効成分と、を含有し、前記(A)成分の含有量が、20〜98質量%であり、前記(B)成分の含有量が、0.001〜10質量%である燻煙型揮散剤。
[2]水をさらに含有し、(A)成分/水で表される質量比が20/80〜98/2である、[1]に記載の燻煙型揮散剤。
[3]前記(B)成分が微生物失活成分であり、水の含有量が、1〜50質量%である、[2]に記載の燻煙型揮散剤。
[4]前記(B)成分が忌避成分であり、水の含有量が、50質量%以下である、[2]に記載の燻煙型揮散剤。
[5]前記(B)成分が香料成分であり、水の含有量が、10〜70質量%である、[2]に記載の燻煙型揮散剤。
[6]自己反応性の発熱性基剤を含有しない、[1]〜[5]のいずれか一項に記載の燻煙型揮散剤。
[7]前記(A)成分が、下記一般式(A1)又は(A2)で表される化合物である、[1]〜[6]のいずれか一項に記載の燻煙型揮散剤。
HO−R 1 −OH ・・・(A1)
HO−(R 2 O) n −H ・・・(A2)
[式中、R 1 及びR 2 はそれぞれ独立に、炭素数2〜18の2価の脂肪族炭化水素基であり、nは2〜14の整数である。]
[8][1]〜[7]のいずれか一項に記載の燻煙型揮散剤と、150〜450℃の熱を発生する発熱部とが、伝熱部を介して配置された燻煙型空間処理装置。
[9][1]〜[7]のいずれか一項に記載の燻煙型揮散剤を150〜450℃で加熱する空間処理方法。
本発明の燻煙型揮散剤は、(A)ポリオール(以下(A)成分という。)と(B)有効成分(以下(B)成分という。)とを含有する。
燻煙型揮散剤は、加熱されることで蒸気を発し、この蒸気で有効成分を空間内に揮散して空間処理を施すものである。
本発明において「空間処理を施す」とは、家屋内等の処理対象の空間、又はその空間内に存在する物品等に、有効成分の効果を及ばせることを意味する。
空間処理の処理対象となり得る空間としては、たとえば家屋内(浴室、居間、寝室、押入れ等)、車両内等の密閉可能な空間が好適である。
加えて、本発明の燻煙型揮散剤においては、自己反応性の発熱性基剤を含有しないことが好ましい。これにより、燻煙型揮散剤が、発熱性基剤の燃焼又は分解により生じる微粒子を含まないことから、白色沈降物による空間の汚染を防止できる。
ここで「発熱性基剤」は、加熱されて燃焼又は分解し、これにより生じる燃焼熱又は分解熱で有効成分を揮散させる成分であり、有機発泡剤、発熱剤、燃焼剤等の種々のものが用いられ、具体的には、ニトロセルロース、アゾジカルボンアミド、p・p’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)、N,N’−ジニトロソペンタメチレンテトラミン等が挙げられる。
ここで「自己反応性の発熱性基剤」とは、ある一定以上の温度に達すると燃焼又は分解反応が能動的に進行するのものをいう。具体的には、アゾジカルボンアミドが挙げられる。
「ポリオール」は、分子内に2個以上の水酸基を有する化合物であり、水酸基を2つ有するものを2価アルコール(グリコール)、3つ有するものを3価アルコールといい、2つ以上有するものは一括して多価アルコールとも称される。ポリオールは、150〜450℃で加熱すると、現行の燻煙剤と同様に白色の煙状物が発生するという特徴を見出し、本発明においては発煙基剤として用いられる。
(A)成分は、特に限定されず、医薬品、医薬部外品、化粧品、雑貨品、工業品等に使用されているもののなかから、(B)成分の揮散性、溶解・分散性、使用時の加熱温度等を考慮して適宜選択される。
(A)成分の沸点は、(B)成分の揮散性の点から、150〜300℃が好ましく、170〜300℃がより好ましい。
(A)成分としては、2価アルコール(グリコール)、3価以上の多価アルコール、糖、糖アルコール等が挙げられる。
前記化合物において、脂肪族炭化水素は、飽和であっても不飽和であってもよい。また、前記脂肪族炭化水素は鎖状であっても環状であってもこれらの組み合わせであってもよく、鎖状であることが好ましい。鎖状である場合、前記脂肪族炭化水素は直鎖状でも分岐鎖状でもよい。環状である場合、前記脂肪族炭化水素は単環式でも多環式でもよい。
このような化合物としてより具体的には、下記一般式(A1)又は(A2)で表される化合物が挙げられる。
HO−R1−OH …(A1)
HO−(R2O)n−H …(A2)
[式中、R1及びR2はそれぞれ独立に、炭素数2〜18の2価の脂肪族炭化水素基であり、nは2〜14の整数である。]
式(A2)で表される化合物は、いわゆるポリエーテルである。
式(A2)中、R2としては、R1と同様のものが挙げられ、エチレン基又はプロピレン基が好ましく、エチレン基が特に好ましい。
nは2〜14の整数であることが好ましく、2〜4の整数であることがより好ましい。
上記一般式(A2)で表される化合物の例として、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、平均分子量200〜20000のポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、平均分子量300〜2000のポリプロピレングリコール等が挙げられる。なかでもジプロピレングリコールが好ましい。
平均分子量200〜20000のポリエチレングリコールは、マクロゴールとも称され、ポリエチレングリコール200(平均分子量190〜210)、ポリエチレングリコール300(平均分子量280〜320)、ポリエチレングリコール400(平均分子量380〜420)、ポリエチレングリコール600(平均分子量570〜630)、ポリエチレングリコール1000(平均分子量950〜1050)、ポリエチレングリコール1500(ポリエチレングリコール300とポリエチレングリコール1540の等量混合物)、ポリエチレングリコール1540(平均分子量1290〜1650)、ポリエチレングリコール2000(平均分子量1850〜2150)、ポリエチレングリコール4000(平均分子量2600〜3800)、ポリエチレングリコール6000(平均分子量7300〜9300)、ポリエチレングリコール10000(平均分子量9300〜12500)、ポリエチレングリコール20000(平均分子量15500〜20000)等が挙げられる。なかでも分子量200〜600のポリエチレングリコールが好ましい。
これらのポリエチレングリコールは、たとえば三洋化成工業(株)や日油(株)から入手することができる市販品が利用できる。ポリエチレングリコールの市販品には通常、平均分子量が数値として付されており、商品によっては、たとえばポリエチレングリコール#1000のように、ポリエチレングリコールと数値との間に#がつく場合がある。
なお、上記のポリエチレングリコールの平均分子量は医薬部外品原料規格2006記載の平均分子量を示し、医薬部外品原料規格2006記載の測定法による値である。
平均分子量300〜2000のポリプロピレングリコールとしては、重合度が4〜34のものが挙げられ、このようなポリプロピレングリコールとしては、ニューポールPP−400、PP−1000、PP−2000(三洋化成工業株式会社製)等の市販品を用いることができる。
なお、ポリプロピレングリコールの平均分子量は数平均分子量であり、水酸基価から求めた値である。
糖アルコールのなかで好適なものとしては、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、エリスリトール、キシリトール、D−ソルビトール、マンニトール、マルチトール等が挙げられる。グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリンは、たとえば阪本薬品工業(株)等の市販品を用いることができる。
(A)成分の種類により、又は、異なる(A)成分の併用により、発生する煙状物の色の濃さ、煙状物の発生量、煙状物が発生し続ける時間(発煙継続時間)を制御でき、さらには、(B)成分の空間への揮散量も制御することができる。
本発明の燻煙型揮散剤中、(A)成分の含有量は、燻煙型揮散剤の総質量に対し、20質量%以上が好ましく、25質量%以上がより好ましく、30質量%以上がさらに好ましい。20質量%未満であると、(B)成分が充分に揮散しないおそれがある。
(A)成分の含有量の上限は、全配合成分の合計量が100質量%となる範囲内であれば特に限定されず、他の成分の配合量に応じて適宜設定できる。(A)成分の含有量は、燻煙型揮散剤の総質量に対し、98質量%以下であり、90質量%以下が好ましく、85質量%以下がより好ましい。(A)成分の含有量が98質量%を超えると、相対的に(B)成分の含有量が少なくなることで、(B)成分が充分に揮散せず、有効成分による効果が不充分となるおそれがある。
すなわち、(A)成分の含有量は、燻煙型揮散剤の総質量に対し、20〜98質量%であり、20〜90質量%が好ましく、25〜85質量%がより好ましい。
有効成分は、処理対象の空間全体に揮散されてその空間に効果を及ぼす成分であり、用途に応じて適宜選択される。
(B)成分としては、たとえば以下に示す用途に用いられるものが挙げられる。
・家屋内等の空間の殺菌、抗菌、ウイルス活性低下、アレルゲン活性低下、殺黴、又は防黴等の用途:微生物失活成分。
・ダニ等の生物忌避の用途:忌避成分。
・身体(皮膚、髪など)の美容用途:美容成分。
・帯電防止用途:帯電防止成分。
・芳香、消臭等の用途:香料成分。
微生物失活成分とは、殺菌、殺黴、ウイルス失活等の効果を有するものであり、空間に存在する微生物を失活させる、又は微生物の増加を抑制する成分を包含する(同一の成分がこれらの複数の効果を有するものも含まれる)。
微生物失活成分としては、トリクロサン、イソプロピルメチルフェノール、チモール、フェノキシエタノール、3−ヨード−2−プロピニルブチルカーバメート、パラオキシ安息香酸メチルエステル、パラオキシ安息香酸エチルエステル、トリクロロカルバニリド、ヒノキチオール、パラオキシ安息香酸ブチルエステル、パラオキシ安息香酸プロピルエステル、塩酸クロルヘキシジン等の非イオン性化合物;塩酸クロルヘキシジン、グルコン酸クロルヘキシジン、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化ジデシルジメチルアンモニウム等のカチオン性化合物;次亜塩素酸又はその塩、亜塩素酸又はその塩、二酸化塩素、塩素化イソシアヌール酸又はその塩、ポリビニルピロリドンヨード、パラクロロフェニル−3−ヨードプロパギルフォルマール、3−ヨード−2−プロパギルブチルカーバメート等のハロゲン化物;5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、1,2−ベンゾチアゾロン等のイソチアゾロン系化合物などが挙げられる。
上記のなかでも、非イオン性化合物が好ましく、イソプロピルメチルフェノール(沸点246℃)、ヒノキチオール(沸点140℃)が特に好ましい。なお、本明細書において「沸点」は常圧での沸点を意味する。
(B)成分がイソプロピルメチルフェノール(沸点246℃)のとき、(A)成分としてジプロピレングリコール(沸点230℃)を使用することが好ましい。この組合せにより、優れた除菌効果を発揮することができる。
また、(B)成分がヒノキチオール(沸点140℃)のとき、(A)成分としてプロピレングリコール(沸点190℃)を使用することが好ましい。この組合せにより、優れた除菌効果を発揮することができる。
本発明の燻煙型揮散剤に含まれる微生物失活成分は、1種でも2種以上でもよい。
忌避成分とは、空間に獣(ネズミ等)、虫(蚊、ゴキブリ、ハエ等)、ダニなどが侵入することを抑制する成分をいう。
忌避成分としては、N,N−ジエチル−3−メチルベンズアミド(別名ディート)、ローズマリー油、ラベンダー油、ペパーミント油、バジル油、シトロネラール等が挙げられる。
上記のなかでも、N,N−ジエチル−3−メチルベンズアミド(沸点285℃)、シトロネラール(沸点206℃)が好ましい。
(B)成分がN,N−ジエチル−3−メチルベンズアミド(沸点285℃)のとき、(A)成分としてトリプロピレングリコール(沸点273℃)を使用することが好ましい。この組合せにより、優れた忌避効果を発揮することができる。
また、(B)成分がシトロネラール(沸点206℃)のとき、(A)成分としてプロピレングリコール(沸点189℃)を使用することが好ましい。この組合せにより、優れた忌避効果を発揮することができる。
本発明の燻煙型揮散剤に含まれる忌避成分は、1種でも2種以上でもよい。
美容成分とは、身体(皮膚、髪など)に作用する成分であり、化粧料などで使用される有効成分を包含する。
美容成分としては、ピロリドンカルボン酸塩、乳酸ナトリウム、ヒアルロン酸、スクワレン、シリコーン油等の保湿成分;枇杷葉エキス、地黄エオキス等の血行促進成分などが挙げられる。
上記の保湿成分なかでは、スクワレン(沸点285℃)が特に好ましい。
(B)成分がスクワレン(沸点285℃)のとき、(A)成分としてトリプロピレングリコール(沸点273℃)を使用することが好ましい。この組合せにより、優れた保湿効果を発揮することができる。
本発明の燻煙型揮散剤に含まれる美容成分は、1種でも2種以上でもよい。
帯電防止成分とは、空間に静電気が発生するのを抑制する成分、ホコリや花粉等の空中に浮遊しているものに吸着して空中からそのものを除去する成分などをいう。
帯電防止成分としては、第四級アンモニウム塩、アミン、アミン塩、アミド、リン酸エステル等が挙げられる。
上記のなかでも、第四級アンモニウム塩が好ましい。
第四級アンモニウム塩としては、炭素数12〜22のアルキル基もしくはアルケニル基を有するモノ又はジ長鎖第四級アンモニウム塩、アルキルイミダゾリニウム塩、ジ(アルキルアミドエチル)メチルヒドロキシエチルアンモニウム塩、ジ(アルカロイルオキシエチル)メチルヒドロキシエチルアンモニウム塩等が挙げられ、具体的には、ジ(硬化牛脂アルキル)メチルエチルアンモニウムエチルサルフェート、ジステアリルジメチルアンモニウムメチルサルフェート、ジ(硬化牛脂アルキル)ジメチルアンモニウムアセテート、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ジオレイルジメチルアンモニウム、ジ(パーム油アルキル)ジメチルアンモニウムホスフェート、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム等が挙げられる。これらの中でも、塩化ステアリルトリメチルアンモニウムが特に好ましい。
(B)成分が塩化ステアリルトリメチルアンモニウム(沸点100℃)のとき、(A)成分としてプロピレングリコール(沸点189℃)を使用することが好ましい。この組合せにより、優れた帯電防止効果を発揮することができる。
アミンとしては、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチルアミン)が挙げられる。
アミン塩としては、ステアリルアミンアセテートが挙げられる。
アミドとしては、ステアリン酸ジエタノールアミドが挙げられる。
リン酸エステルとしては、ラウリルリン酸ナトリウムが挙げられる。
本発明の燻煙型揮散剤に含まれる帯電防止成分は、1種でも2種以上でもよい。
香料成分は、天然香料、精油、合成香料を任意に配合して使用できる。
香料成分としては、レモン油、オレンジ油、ベルガモット油、イランイラン油、パチュリ油、シトロネラ油、レモングラス油、ボアドローズ油、チョウジ油、ユーカリ油、セダー油、ラベンダー油、ビャクダン油、ベチバー油、ゼラニウム油、ラブダナム油、ペパーミント油、ローズ油、ジャスミン油、リッツアキュベバ油などの天然源植物性精油;これらの天然源植物性精油より分離されたゲラニオール、シトロネロール、オイゲノールなどの単離香料類;ムスク、シベット、アンバーグリス、カストリウムなどの天然源動物性香料類;フェニルエチルアルコール、ジヒドロミルセノール、ベンジルアセテート、バニリン、シンナミックアルデヒド、ヘリオトロピン、アニスアルコール、アニスアルデヒド、イオノン、シス−3−ヘキセノール、ベンジルアルコール、アミルシンナミックアルコール、ジメチルベンジルカルビニルアセテート、シンナミルアセテート、イソアミルサリシレート、メチルジヒドロジャスモネート、α−ピペロニルプロパナール、ゲラニルニトリル、シトロネリルニトリル、ヘキシルシンナミックアルデヒド、リリアール、シクラメンアルデヒド、γ−ウンデカラクトン、ベロネート、アンブロキサン、ガラクソライドなどの合成香料等が挙げられる。
その他の香料成分としては、化学総覧,1,2,3[奥田治著 廣川書店出版]、Perfume and flavor Chemicals,1,2[Steffen Arctander著]、”合成香料 化学と商品知識”[印藤元一著 化学工業日報社出版]、周知・慣用技術集(香料)第3部香粧品用香料、香料の事典[荒井綜一、小林彰夫、矢島泉、川崎通昭 朝倉書店]、”香料の実際知識”[印藤元一著 東洋経済出版]などに記載されている天然香料、香料化合物が挙げられる。
上記のなかでも、睡眠導入効果の点で、ヘリオトロピン(沸点264℃)が特に好ましい。
(B)成分がヘリオトロピン(沸点264℃)のとき、(A)成分としてジプロピレングリコール(沸点230℃)を使用することが好ましい。この組合せにより、優れた睡眠導入効果を発揮することができる。
(B)成分としては、上述した微生物失活成分、忌避成分、美容成分、帯電防止成分及び香料成分からなる群より選ばれる1種以上の成分を含むものが好ましい。
また、(B)成分は、より揮散しやすいことから、(A)成分の沸点と近いものが好ましい。(B)成分としては、沸点が100〜450℃のものが好ましく、150〜300℃のものがより好ましい。(B)成分の沸点が前記範囲であると、より揮散しやすくなる。特に従来の自然蒸散、又は有効成分を溶剤に溶解した液状組成物が含浸した吸液芯を加熱蒸散する方法では揮散し難い有効成分でも揮散しやすくなる。
(B)成分の含有量が0.001質量%未満であると、有効成分による効果が不充分となるおそれがある。10質量%を超えると、相対的に(A)成分の含有量が少なくなり、(B)成分の揮散効率が低下するおそれがある。また、(A)成分への溶解性や分散性が損なわれ、製剤化が困難になる場合がある。また、10質量%を超えて配合しても、有効成分による効果はほとんど変わらないため、経済的視点からも好ましくない。
水としては、精製水、イオン交換水、蒸留水等が使用できる。
水の含有量は、燻煙型揮散剤の総質量に対し、50質量%以下が好ましく、20質量%以下がより好ましく、10質量%以下が特に好ましい。水の含有量が50質量%以下であると、加熱時に発生する蒸気の比熱が充分に小さいため、濃い煙状物が発生しやすくなり、視認性がより良好となる。
ただし、水の含有量は、用途、(B)成分の種類に応じて適宜設定すればよい。たとえば、(B)成分として微生物失活成分を用いる場合、水の含有量は、燻煙型揮散剤の総質量に対し、1〜50質量%が好ましく、2〜20質量%がより好ましく、3〜10質量%がさらに好ましく、水を含有していなくてもよい。(B)成分として香料成分を用いる場合、水の含有量は、燻煙型揮散剤の総質量に対し、10〜90質量%が好ましく、30〜80質量%がより好ましく、50〜70質量%がさらに好ましい。
そのなかでも、発生する煙状物の色の濃さ、煙状物の発生量及び発煙継続時間の制御、並びに(B)成分の空間への揮散量と、汚染性の低減との両立を図りやすいことから、(A)成分/水で表される質量比で30/70〜98/2であることがより好ましく、50/50〜98/2であることがさらに好ましく、80/20〜95/5であることが特に好ましい。
界面活性剤としては、通常、医薬品、医薬部外品、化粧品、雑貨品等に使用されるものであれば特に限定されず、(A)成分への溶解性、分散性の観点から、非イオン界面活性剤が好ましい。具体的には、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ソルビタン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル等が挙げられる。
本発明の燻煙型揮散剤は、上記の各成分を混合することにより調製できる。
本発明の燻煙型揮散剤は、上述したとおり、150〜450℃で加熱されることにより白色の煙状物が発生するとともに(B)成分が揮散する。家屋内、車両内等の空間内で本発明の燻煙型揮散剤を加熱すると、前記煙状物によって(B)成分が短時間で前記空間内に揮散し、空間処理が施される(有効成分による各種効果が発揮される)。
燻煙型揮散剤の加熱温度は、150〜450℃であり、170〜400℃が好ましく、190〜400℃がより好ましい。150℃以上で加熱することで、発生した(A)成分の蒸気を煙状に噴出させることができ、短時間で(B)成分を処理対象の空間全体に拡散させることができる。前記範囲内においては、加熱温度が高いほど、(B)成分が空間内全体に拡散する時間が短くなり、その拡散範囲も広くなる。加熱温度が450℃を超えると、(B)成分が熱分解し、有効な状態(未分解の状態)で揮散する量が減少(揮散効率が低下)するおそれがある。
加熱手段としては、特に限定されず、従来、間接加熱方式に用いられている加熱手段を用いることができる。たとえば、水と接触して発熱する物質を水と接触させ、その反応熱を利用する方法、金属と前記金属よりイオン化傾向の小さい金属酸化物又は酸化剤とを混合(たとえば鉄粉と酸化剤(塩素酸アンモニウム等)とを混合)し、その酸化反応により生じる熱を利用する方法、電熱線のような電気的な力(たとえばホットプレート等)によって発生した熱を利用する方法等が挙げられる。これらの中でも、実用性の観点から、水と接触して発熱する物質を水と接触させ、その反応熱を利用する方法が好ましく、酸化カルシウムと水との反応熱を利用する方法がより好ましい。
水と接触して発熱する物質としては、酸化カルシウム、塩化マグネシウム、塩化アルミニウム、塩化カルシウム、塩化鉄等が挙げられる。たとえば酸化カルシウムと水とを反応させると、200〜400℃程度の熱が発生する。
間接加熱方式による加熱は、たとえば、従来、間接加熱方式の燻煙装置に用いられている容器に、本発明の燻煙型揮散剤を組み込むことにより実施できる。
さらに、任意の設定温度をなるべく長い時間保持することが好ましい。具体的には、好ましくは90秒間以上、より好ましくは150秒間以上、設定温度を保持するように加熱を行う。このように設定温度を保持することにより、発煙継続時間が長くなり、(B)成分を処理対象の空間全体により拡散できる、又は、(B)成分の空間への揮散量をより増加させることができる。
前記の設定温度、加熱速度及び保持時間は、(B)成分の種類に応じて適宜設定すればよい。水と接触して発熱する物質として酸化カルシウムを用いる場合、酸化カルシウムと水との比率、酸化カルシウムの使用量、酸化カルシウムの商品グレードの選択により制御できる。また、燻煙型揮散剤を収容する容器の容量又は材質等によっても制御できる。
処理時間(加熱開始後、対象空間を密閉する時間)は、特に限定されず、10分間以上が好ましく、1時間以上がより好ましい。
本発明の燻煙型空間処理装置は、前記本発明の燻煙型揮散剤と、150〜450℃の熱を発生する発熱部とが、伝熱部を介して配置されたものである。
本発明の燻煙型空間処理装置の構成は、燻煙剤の代わりに本発明の燻煙型揮散剤を用いる以外は、公知の間接加熱方式の燻煙装置の構成と同様のもの等が挙げられる。
本発明の燻煙型空間処理装置の一実施形態を、添付の図面を用いて説明する。
図1は、本実施形態の燻煙型空間処理装置1の構成を示す概略断面図である。
燻煙型空間処理装置1は、外容器10と、外容器10の内側に設けられた内容器20と、外容器10と内容器20との間に設けられた発熱部30と、内容器20に収容された燻煙型揮散剤40とで概略構成されている。
燻煙型揮散剤40としては、前記本発明の燻煙型揮散剤が用いられる。
酸化カルシウムと水との比率は、発生する煙状物の色の濃さ、煙状物の発生量、発煙継続時間、(B)成分の揮散量などを勘案して適宜決定すればよい。
なお、ここでは水と接触して発熱する物質が充填された例を示したが、本発明はこれに限定されるものではない。たとえば発熱部30内に仕切り材を配置して独立した複数の区画を形成し、各区画にそれぞれ金属と、前記金属よりイオン化傾向の小さい金属酸化物又は酸化剤とを充填してもよい。
内容器20の材質は、伝熱性を有するものであればよく、たとえば金属、プラスチック、紙等が挙げられる。
内容器20は、発熱部30と接触していても離間していてもよい。
本体12、蓋部14、底部16のそれぞれの材質は、発熱部30で発生する熱や燻煙型揮散剤40から発生する高温の蒸気による変形等が生じない耐熱性を有するものが用いられ、たとえば金属、セラミック、紙等が挙げられる。
本体12は略円筒状で、その内径は内容器20の外径よりも大きく、また、高さは内容器20の高さよりも高い。これにより、外容器10内に内容器20を設置した際に、内容器20の側壁及び底壁との間に隙間が形成されるようになっている。
蓋部14は、蒸気が通過する孔を有するものであり、メッシュ、パンチングメタル、格子状の枠体等が挙げられる。
底部16は、水を透過し、かつ発熱部30を構成する物質(水と接触して発熱する物質)を透過しない孔を有するもの、たとえば不織布、メッシュ等で構成される。これにより、使用時に底部16から水を発熱部30内に浸入させ、発熱させることができるようになっている。
なお、底部16の構造は、発熱部30の構成に応じて決定され、たとえば、発熱部30に金属と、前記金属よりイオン化傾向の小さい金属酸化物又は酸化剤とが充填されている場合は、底部16の構造は水を透過しないものであってよい。
まず、燻煙型空間処理装置1を対象空間内に設置する。次いで、発熱部30の機構に応じて発熱部30を発熱させる。たとえば、酸化カルシウムを充填した発熱部30が設けられている場合、外容器10の底部16を水中に浸漬する。これにより、底部16から浸入した水が発熱部30で酸化カルシウムと反応し、200〜350℃程度の熱が発生する。
このとき、内容器20の内側底面中央部22の温度を、外容器10の底部16を水中に浸漬した時点から短時間で、好ましくは120秒以内に、より好ましくは60秒以内に、任意の設定温度に到達するように制御することが好ましい。加えて、内側底面中央部22の温度を、任意の設定温度に90秒間以上(より好ましくは150秒間以上)保持することが好ましい。なお、内側底面中央部22の温度は、酸化カルシウムと反応する水の量を調整することによって制御できる。
そして、底部16から浸入した水が発熱部30で酸化カルシウムと反応して発生した熱が内容器20の側壁や底壁を介して燻煙型揮散剤40に伝わり、燻煙型揮散剤40の温度が上昇して(A)成分の蒸気が発生する。生じた蒸気と共に(B)成分が蓋部14の孔を通過して拡散する。そして、対象空間内に(B)成分が拡散することで、有効成分による効果を得ることができる。また、(A)成分の蒸気は白煙のように視認され、使用者は実効感を得られる。このように、燻煙型空間処理装置1を用いることで簡便に空間処理を施すことができる。
以下の各例で使用した原料は下記の通りである。
プロピレングリコール:関東化学(株)製。
イソプロピルメチルフェノール:大阪化成(株)製。
ヒノキチオール:高砂香料工業(株)製。
ヘリオトロピン:高砂香料工業(株)製。
N,N−ジエチル―3−メチルベンズアミド:日本精化株式会社
シトロネラール:関東化学(株)
トリプロピレングリコール:ナカライテスク(株)
表1、2中、各成分の配合量の単位は質量%であり、各例の燻煙型揮散剤は、全量が100質量%となるようにそれぞれ調製した。
そして、図1に示す実施形態の燻煙型空間処理装置1と同一の実施形態の燻煙型空間処理装置を用いた。具体的には、ライオン(株)製「水ではじめるバルサン25g」に使用されているブリキ缶(Lサイズ;直径66mm×高さ75mm)の発熱部に、加熱剤として酸化カルシウムを充填し、専用の底蓋を取り付け、各例の燻煙型揮散剤を内容器に収容して燻煙型空間処理装置とした。
実施例1〜2、比較例1〜3では、発熱部に酸化カルシウム75gを充填し、燻煙型揮散剤8gを収容した。実施例3、比較例4〜5では、発熱部に酸化カルシウム70gを充填し、燻煙型揮散剤10gを収容した。
各燻煙型空間処理装置について以下の評価を行った。その結果を表1、2に併記した。
[除菌効果の評価]
滅菌済みの試験片(ステンレス鋼製円板;直径20mm、表面グレード2B)に、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus IFO12732)の分散液(生菌数を1.25×108〜6.25×108cfu/mLに調製)0.01mLを接種し、室温乾燥させて試験片(試験菌付き試験片)を作製した。
次いで、内容積4.75m3の試験室内の中央床面に、試験菌を摂取した前記試験菌付き試験片を設置した。次に、直径8cm、高さ7cmのプラスチックカップに水26gを入れ、前記プラスチックカップを前記試験室内の中央床面に設置した。その後、前記プラスチックカップに、燻煙型空間処理装置を配置した。燻煙を開始してから10分後に試験片を回収し、下記のようにして除菌効果について評価を行った。
Δlog=log(空間処理を施さない試験菌付き試験片の培養後菌数)−log(空間処理を施した試験菌付き試験片の培養後菌数)
(評価基準)
A:Δlogが2以上。
B:Δlogが1以上2未満。
C:Δlogが1未満。
縦12cm×横12cmの素材板(フローリング)を用い、前記素材板の左半面(縦12cm×横6cm)を紙で覆い、残り右半面が露出した状態のサンプル板を作製した。
8畳相当のチャンバー試験室(横3.42m×縦3.82m×高さ2.4m)の床面に前記サンプル板を配置し、前記試験室内中央床面で、除菌用の燻煙型空間処理装置を燻煙し、2時間密閉した。
2時間密閉の後、前記試験室内からサンプル板を取り出し、覆っていた紙を剥がし、10名のパネラーにより、サンプル板の汚染性について、下記基準に従い、評点付けを行った。そして、10名の平均点を算出し、下記判定基準により汚染性を評価した。
(評点)
4点:サンプル板面において、左右の境界線が容易に判別でき、サンプル板の右半面(露出部分)の色が変化していた。
3点:サンプル板面において、左右の境界線が判別でき、サンプル板の右半面(露出部分)の色が若干変化して見えた。
2点:サンプル板面において、左右の境界線は注視すると判別できるが、サンプル板の右半面(露出部分)の色の変化は認められなかった。
1点:サンプル板面において、わずかに左右の境界線は判別できるが、判別しにくいものであった。
0点:サンプル板面において、左右の境界線は注視しても判別できなかった(汚染性がない)。
(判定基準)
◎:10名の平均点が0.5点未満。
○:10名の平均点が0.5点以上、1.5点未満。
△:10名の平均点が1.5点以上、2.5点未満。
×:10名の平均点が2.5点以上。
表1に示す結果から、本発明を適用した実施例1〜2は、比較例1〜3に比べて、除菌効果が高いことが確認できた。加えて、実施例1〜2は、低汚染性であることも確認できた。さらに、大がかりな装置を必要とせず、取扱いが簡便であった。
[香り強さの評価]
直径8cm、高さ7cmのプラスチックカップに水24gを入れ、前記プラスチックカップを内容積9.7m3の試験室内(温度25±2℃、相対湿度45±5%RH)の中央床面に設置した。その後、前記プラスチックカップに、燻煙型空間処理装置を配置した。
配置(燻煙を開始)してから10分後に専門パネル5名が入室し、燻煙型空間処理装置から1m離れた位置で、前記試験室内の臭いを嗅ぐ試験を行った。そして、下記の評価基準に従い、香り強さについて評価した。
(評価基準)
◎:5名全員が香りを感知できた、と評価した。
○:香りを感知できると評価したものが5名中4名であった。
△:香りを感知できると評価したものが5名中3名であった。
×:香りを感知できると評価したものが5名中2人以下であった。
汚染性の評価は、除菌用の燻煙型空間処理装置の代わりに、芳香用の燻煙型空間処理装置を用いた以外は、前述した[汚染性の評価]と同様にして行った。
表2に示す結果から、本発明を適用した実施例3は、比較例4〜5に比べて、香りが強く感じられることが確認できた。加えて、実施例3は、低汚染性であることも確認できた。さらに、大がかりな装置を必要とせず、取扱いが簡便であった。
ポリオールとしてプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、グリセリンを用い、これらの各ポリオールと水とを表3〜5に示す比率(質量比)で混合した混合溶液(有効成分を含有していない)をそれぞれ調製した。
次いで、燻煙型揮散剤40の代わりに前記混合溶液を内容器20に収容した以外は、図1に示す実施形態の燻煙型空間処理装置1と同一の実施形態の燻煙型空間処理装置を用いた。具体的には、ライオン(株)製「水ではじめるバルサン25g」に使用されているブリキ缶(Lサイズ;直径66mm×高さ75mm)の発熱部に、酸化カルシウム75gを充填し、専用の底蓋を取り付け、前記混合溶液3g、9gをそれぞれ内容器に収容したものを用いた。そして、以下の評価を行った。その結果を表3〜5に併記した。
水26gを入れたプラスチックカップ(直径8cm、高さ7cm)を、内容積23.8m3(床面積9.9m2×高さ2.4m)の試験室内(温度25±2℃、相対湿度45±5%RH)の中央床面に設置した。その後、前記プラスチックカップに、上記のポリオールと水との混合溶液を内容器に収容した燻煙型空間処理装置を配置し、燻煙を開始した。
燻煙を開始してから、燻煙が終了するまでビデオ撮影を行い、煙状物が発生し始めるまでの時間(発煙開始時間)、煙状物が発生し続けている時間(発煙継続時間)、煙状物の煙の濃さ、煙状物の発生量について、以下のようにして評価を行った。尚、試験室天井には直管型蛍光灯40形(37W相当)2本を設置して各評価をそれぞれ行った。
水の入った前記プラスチックカップに前記燻煙型空間処理装置を配置した時点から、煙状物が発生し始めるまでの発煙開始時間(秒)と、煙状物が発生し始めてからその発煙が終了するまでの発煙継続時間(秒)とをそれぞれ計測した。3回計測を行い、平均値を評価結果とした。
発煙が終了した時点のビデオ画像を、画像解析ソフトWinROOF(三谷商事株式会社製のビジュアルシステム)を用いて解析した。画像選択枠(ROI)を、発煙が終了した時点における煙状物の最も白い部分に設定し、色抽出処理を行った。
その際、RGB(RGBカラーモデル)値を測定し、煙状物の煙の濃さとしてB値(青値)を使用した。3回計測を行い、平均値を評価結果とした。
尚、煙状物の外観とB値との関係は以下の通りである。
B値が110未満 :煙状物を視認できるが、その煙の白さが非常に薄い。
B値が110以上150未満:煙状物を充分に視認できる。
B値が150以上170未満:煙状物の煙の白さが濃い。
B値が170以上 :煙状物の煙の白さが非常に濃い。
発煙が終了した時点のビデオ画像より、下記の評価基準に従い、煙状物の発生量について評価した。3回計測を行い、平均値を四捨五入して整数とし、かかる評価の結果とした。
(評価基準)
5点:煙状物が試験室内に充満し、天井の蛍光灯の形状がほとんど見えない。
4点:煙状物が試験室内に充満し、天井の蛍光灯の形状がかすんで見える。
3点:煙状物が試験室内に充満し、天井の蛍光灯の形状がくっきり見える。
2点:煙状物が試験室内に残っているが、試験室の一部の空間に滞留している。
1点:煙状物が試験室内にほとんど残っていない。
加えて、前記混合溶液中のポリオールの比率が高くなるほど、発煙継続時間が長くなる、煙状物の煙の白さが濃くなる、煙状物の発生量が多くなる傾向が見られる。
プロピレングリコール、トリプロピレングリコール、グリセリンのなかでは、トリプロピレングリコールが、最も、発煙継続時間が長く、煙状物の煙の白さが濃く、煙状物の発生量が多いことが分かる。
図1に示す実施形態の燻煙型空間処理装置1において内容器20に燻煙型揮散剤40を収容していない実施形態の燻煙型空間処理装置を用い、内容器20の内側底面中央部22の温度変化を測定した。具体的には、ライオン(株)製の「水ではじめるバルサン12.5g」に使用されているブリキ缶(Sサイズ;直径52mm×高さ67mm)の発熱部に酸化カルシウム(37g、50g)をそれぞれ充填し、及び、「水ではじめるバルサン25g」に使用されているブリキ缶(Lサイズ;直径66mm×高さ75mm)の発熱部に酸化カルシウム(75g)を充填し、それぞれのブリキ缶に、専用の底蓋を取り付け、温度センサーを内側底面中央部に固定した内容器を配置した形態の燻煙型殺虫装置を用いた。
そして、所定量(23g、16g、26g)の水をそれぞれ入れたプラスチックカップ(いずれも直径8cm、高さ7cm)を、内容積23.8m3(床面積9.9m2×高さ2.4m)の試験室内(温度25±2℃、相対湿度45±5%RH)の中央床面に設置した。
その後、前記プラスチックカップに、上記の内容器に温度センサーを備えた燻煙型空間処理装置を配置し、燻煙を開始すると同時に、内容器の内側底面中央部の温度測定を開始した。前記内側底面中央部の温度を1秒毎に測定し、最高温度と、300℃に到達するまでに要した時間と、350℃に到達するまでに要した時間と、300℃以上に保持された保持時間とをそれぞれ測定した。これらの測定は各装置につき3回行い、その平均した結果を表6に併記した。
なお、温度センサーとしてテープ形、製品名ST−13E−015−GW1−ANP、安立計器株式会社製を用いた。前記温度センサーと接続される温度計として製品名COMPACT THERMO LOGGER AM−8000E、安立計器株式会社製を用いた。
表7に示す各成分を混合、溶解することにより、各例の燻煙型揮散剤を調製した。
表7中、各成分の配合量の単位は質量%であり、各例の燻煙型揮散剤は、全量が100質量%となるようにそれぞれ調製した。
ライオン(株)製「水ではじめるバルサン25g」に使用されているブリキ缶(Lサイズ;直径66mm×高さ75mm)の発熱部に、酸化カルシウム50gを充填し、専用の底蓋を取り付け、表7に示す燻煙型揮発剤3gを内容器に収容したものを用いた。そして、以下の評価を行った。その結果を表7に併記した。
内容積0.5m3のアクリルチャンバー内において、水30gを入れたプラスチックカップ(直径8cm、高さ7cm)に、前記燻煙型揮発剤を収納した燻煙装置を入れて、燻煙し30分間密閉した。5分間換気した後、薬剤処理ボックス内に脱脂綿に染み込ませた1%砂糖水を入れ、蚊50頭を放した薬剤無処理のアクリルチャンバーと連結し蚊が自由に行き来できる状態にした。薬剤処理ボックスのみを黒い布で覆いボックス内を暗くし3時間放置した。3時間経過後に黒い布を取り外し、薬剤処理ボックス内に係留している蚊の頭数を計測し、以下の基準で忌避効果を評価した。
(評価基準)
◎:0〜10頭 蚊の忌避効果が十分に認められる。
○:11〜20頭 蚊の忌避効果がやや認められる。
△:21〜30頭 蚊の忌避効果があまり認められない。
×:31〜50頭 蚊の忌避効果が認められない。
Claims (9)
- (A)ポリオールと、
(B)微生物失活成分、忌避成分及び香料成分からなる群より選ばれる1種以上の成分を含む有効成分と、
を含有し、
前記(A)成分の含有量が、20〜98質量%であり、
前記(B)成分の含有量が、0.001〜10質量%である燻煙型揮散剤。 - 水をさらに含有し、(A)成分/水で表される質量比が20/80〜98/2である、請求項1に記載の燻煙型揮散剤。
- 前記(B)成分が微生物失活成分であり、
水の含有量が、1〜50質量%である、請求項2に記載の燻煙型揮散剤。 - 前記(B)成分が忌避成分であり、
水の含有量が、50質量%以下である、請求項2に記載の燻煙型揮散剤。 - 前記(B)成分が香料成分であり、
水の含有量が、10〜70質量%である、請求項2に記載の燻煙型揮散剤。 - 自己反応性の発熱性基剤を含有しない、請求項1〜5のいずれか一項に記載の燻煙型揮散剤。
- 前記(A)成分が、下記一般式(A1)又は(A2)で表される化合物である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の燻煙型揮散剤。
HO−R1−OH ・・・(A1)
HO−(R2O)n−H ・・・(A2)
[式中、R1及びR2はそれぞれ独立に、炭素数2〜18の2価の脂肪族炭化水素基であり、nは2〜14の整数である。] - 請求項1〜7のいずれか一項に記載の燻煙型揮散剤と、150〜450℃の熱を発生する発熱部とが、伝熱部を介して配置された燻煙型空間処理装置。
- 請求項1〜7のいずれか一項に記載の燻煙型揮散剤を150〜450℃で加熱する空間処理方法。
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