JP5656762B2 - 重合体およびその製造方法 - Google Patents
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Y−O(CH2CH2O)nH (R1)
(式中Yはフェニル基、nは平均付加モル数であり、2〜200の数である。)
特許文献2には、さらに、上記液体洗浄剤組成物は、保存安定性に優れ、泥再付着防止性能にも優れることが開示されている。
式中、Rは直鎖または分岐の炭素数10〜20のアルキル基またはアルケニル基を表し;Xは、
を表し;pは0または1であり;Yは、
式中、R1〜R4は炭素数2〜6のアルキレン基を表し、R5は水素原子、または下記化学式(R2−2)で表される基;
式中、R6、R7は、炭素数2〜6のアルキレン基を表し、sは0〜200の整数である、
である:
であり;Zは炭素数2〜6のオキシアルキレン基を表し;qは17〜200の整数であり;rは1〜6の整数である、
で表されるポリオキシアルキレン系化合物に対して、アニオン性基または水酸基を有する親水性単量体を含む単量体成分がグラフト重合されてなる、炭化水素基含有グラフト重合体が開示されている。
特許文献3には、さらに、炭化水素基含有グラフト重合体を洗剤ビルダーとして用いると、高硬度の水を用いて洗浄しても界面活性剤の析出が効果的に抑制され、かつ、汚れの再汚染が効果的に防止されうることが開示されている。
そこで本発明は、疎水汚れの再汚染を効果的に抑制することが可能な重合体を提供することを目的とする。
一般式(1)中、Rは、芳香族環を有する基で置換されている炭素数12〜50のアリール基を表し、Xは、カルボニル基を表し、pは、0または1であり、Yは、下記式(2)から選択される構造を有する基であり、Zは炭素数2〜6のオキシアルキレン基を表し、qは3〜300の整数であり、rは1〜6の整数である。
式(2)中、R1〜R4は炭素数2〜6のアルキレン基を表し、R5は水素原子、または下記一般(3)で表される基である。
一般式(3)中、R6、R7は、炭素数2〜6のアルキレン基を表し、sは0〜200の整数である。
[ポリオキシアルキレン系化合物]
本発明の重合体は、下記一般式(1)で表されるポリオキシアルキレン系化合物に由来する構造単位(p)を、所定の範囲で含有することを特徴としている。なお、「本発明の重合体」には、未反応の下記一般式(1)で表されるポリオキシアルキレン化合物も含まれる。
一般式(1)中、Rは、芳香族環を有する基で置換されている炭素数12〜50のアリール基を表し、Xは、カルボニル基を表し、pは、0または1であり、Yは、下記式(2)から選択される構造を有する基であり、Zは炭素数2〜6のオキシアルキレン基を表し、3〜300の整数であり、rは1〜6の整数である。
式(2)中、R1〜R4は炭素数2〜6のアルキレン基を表し、R5は水素原子、または下記一般(3)で表される基である。
一般式(3)中、R6、R7は、炭素数2〜6のアルキレン基を表し、sは0〜200の整数である。
芳香族環を有する基とは、芳香族環が含まれる基であり、例えば、ベンジル基、モノ(α−メチルベンジル)フェニル基、ジ(α−メチルベンジル)フェニル基、トリ(α−メチルベンジル)フェニル基、フェニル基、ナフチル基、フェノキシ基、フェニレン基等が例示される。本発明の重合体の再汚染防止能が向上する傾向にあることから、芳香族環を有する基としては、ベンジル基、モノ(α−メチルベンジル)フェニル基、ジ(α−メチルベンジル)フェニル基、トリ(α−メチルベンジル)フェニル基、であることが好ましい。
芳香族環を有する基で置換されているアリール基とは、具体的には、ベンジル化フェニル基、ジベンジル化フェニル基、トリフェニル化フェニル基、スチレン化フェニル基、ジスチレン化フェニル基、トリスチレン化フェニル基、フェノキシ化フェニル基、ベンジル化ナフチル基、スチレン化ナフチル基、等が例示される。好ましくは、本発明の重合体の再汚染防止能や疎水成分の分散性がより向上する傾向にあることから、ベンジル化フェニル基、スチレン化フェニル基、ジスチレン化フェニル基、トリスチレン化フェニル基である。
「芳香族環を有する基で置換されている炭素数12〜50のアリール基」とは、芳香族環を有する基で置換されているアリール基全体で、炭素数12〜50であることを表す。芳香族環を有する基で置換されているアリール基の炭素数は、好ましくは、13〜40であり、より好ましくは14〜30である。芳香族環を有する基で置換されているアリール基の炭素数が上記範囲であることにより、本発明の重合体の再汚染防止能や疎水成分の分散性が向上する傾向にある。
上記一般式(1)において、qはZの繰り返し数を表す。qは、3〜300が好ましく、5〜200がより好ましく、10〜99がさらに好ましい。
上記アルキレンオキシドとしては、エチレンオキシド(EO)、プロピレンオキシド(PO)、ブチレンオキシド等が例示される。
上記アルコールとしては、たとえば、ベンジル化フェノール、スチレン化フェノール、ジスチレン化フェノール、トリスチレン化フェノール、フェノキシ化フェノール、ビスフェノール、ベンジル化ナフトール、スチレン化ナフトール等を挙げることができ、これらが1種または2種以上使用される。
本発明の重合体は、モノカルボン酸系単量体に由来する構造単位(a)を、上記一般式(1)で表されるポリオキシアルキレン系化合物に由来する構造単位と全単量体に由来する構造単位との合計100質量%に対して10質量%以上、50質量%以下有している。より好ましくは12〜45質量%であり、更に好ましくは15〜40質量%である。
上記モノカルボン酸系単量体に由来する構造単位(a)の質量割合(質量%)を計算するときは、酸型換算で計算する。酸型換算とは、モノカルボン酸系単量体に由来する構造単位がカルボキシル基の塩を含む場合、対応する酸として計算することを言う。具体的には、モノカルボン酸系単量体に由来する構造単位がアクリル酸ナトリウムに由来する構造単位である場合、対応する酸であるアクリル酸に由来する構造単位として計算する。
本発明においてモノカルボン酸系単量体(単量体(A)ともいう)とは、1分子にカルボキシル基またはカルボキシル基の塩を一つ有する単量体である。上記塩とは、金属塩、アンモニウム塩、アミン塩を表す。
モノカルボン酸系単量体としては、具体的にはアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、α−ヒドロキシアクリル酸、およびこれらの塩等が例示される。モノカルボン酸系単量体のなかでも、重合性が高く、残存単量体を低減することが可能であること、得られる重合体の再汚染防止能が向上することから、アクリル酸、メタクリル酸、及びこれらの塩から選ばれる単量体がより好ましい。これらのモノカルボン酸系単量体は、1種のみが単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
本発明の重合体は、その他の単量体に由来する構造単位(e)を上記一般式(1)で表されるポリオキシアルキレン系化合物に由来する構造単位と全単量体に由来する構造単位との合計100質量%に対して0質量%以上、25質量%以下有している。より好ましくは0〜20質量%であり、更に好ましくは0〜15質量%である。
上記その他の単量体に由来する構造単位(e)の質量割合(質量%)を計算するときは、酸基を有する場合は、酸型換算で計算し、アミノ基を有する場合にはアミン換算で計算する。アミン換算とは、その他の単量体に由来する構造単位がアミノ基の塩を含む場合、対応するアミンとして計算することを言う。具体的には、その他の単量体に由来する構造単位(e)がビニルアミンの塩酸塩に由来する構造単位である場合、対応するアミンであるビニルアミンに由来する構造単位として質量割合を計算する。
その他の単量体に由来する構造単位(e)が上記範囲内を超えた場合、重合体の再汚染防止能、無機粒子の分散性や重合体の経時安定性が低下する傾向にある為、好ましくない。
また、上記他の単量体(E)は、1種を単独で使用してもあるいは2種以上の混合物の形態で使用されてもよい。
本発明の重合体は、酸量が上記一般式(1)で表されるポリオキシアルキレン系化合物に由来する構造単位と全単量体に由来する構造単位の合計に対して1〜40質量%であることが好ましい。酸量が上記範囲内であれば、無機粒子の分散性が向上する傾向にある。上記酸量は、後述する実施例に記載した方法により測定した数値である。
本発明の重合体の重量平均分子量は、各用途における所望の性能などを考慮して適宜設定されうるため、特に限定されないが、本発明のグラフト重合体の重量平均分子量は、具体的には、好ましくは400〜50000であり、より好ましくは500〜30000であり、さらに好ましくは1000〜20000である。この重量平均分子量の値が大きすぎると、粘度が高くなり、取扱いが煩雑になる虞がある。一方、この重量平均分子量の値が小さすぎると、再汚染防止能、無機微粒の分散性が低下する傾向にある。なお、本発明の重合体の重量平均分子量の値としては、後述する実施例に記載の手法により測定される値を採用するものとする。
本発明の重合体組成物は、本発明の重合体を必須に含む。この他、未反応の酸基含有不飽和単量体、未反応の重合開始剤、重合開始剤分解物等の重合反応の原料残渣や副生成物が含まれうる。
なお、本発明の重合体とは、単量体と上記一般式(1)で表されるポリオキシアルキレン系化合物との共重合体および(未反応の)上記一般式(1)で表されるポリオキシアルキレン系化合物からなる。
本発明の重合体組成物は、必要に応じて溶剤を含む。溶剤としては、水を必須として含むものが好ましく、水であることがより好ましい。本発明の重合体組成物が水等の溶剤を含む場合の溶剤の含有量は、取扱い性の観点から、重合体組成物100質量%に対して、10質量%〜99質量%であることが好ましい。
本発明の重合体組成物は、重合体組成物(固形分換算)100質量%に対して、上記一般式(1)で表されるポリオキシアルキレン系化合物の含有量が1〜30質量%であることが好ましい。上記一般式(1)で表されるポリオキシアルキレン系化合物の含有量が上記範囲であることにより、保存安定性(特に水溶液として保存した場合の分離安定性)が良好なものとなる。
重合体組成物(固形分換算)100質量%に対する、上記一般式(1)で表されるポリオキシアルキレン系化合物の含有量は3〜28質量%であることが好ましく、5〜25質量%であることがより好ましい。
なお、上記一般式(1)で表されるポリオキシアルキレン系化合物とモノカルボン酸系単量体との共重合体は、「上記一般式(1)で表されるポリオキシアルキレン系化合物」には該当しないものとする。
本発明において、重合体(組成物)の製造方法については特に言及する場合を除き、特に制限はなく、従来公知の知見を適宜参照することにより、製造可能である。好ましくは、本発明の重合体は、重合開始剤および上記一般式(1)で表されるポリオキシアルキレン系化合物の存在下で、単量体を重合する工程を必須として製造される。より好ましくは、溶媒の存在量を制限して重合する形態、具体的には、実質的に塊状重合(バルク重合)の形態や、溶媒の含有量が反応系の全量に対して10質量%以下で重合が行われる。この場合、塊状重合(バルク重合)に関する従来公知の知見が適宜参照され、さらに必要に応じて改良されうる。
上記重合開始剤は、公知のラジカル重合開始剤を用いることができる。ラジカル重合開始剤としては、有機過酸化物が好ましく用いられる。有機過酸化物としては、例えば、シクロヘキサノンパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、メチルシクロヘキサノンパーオキサイド、メチルアセトアセテートパーオキサイド、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類;1,1−ビス(tert−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(tert−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(tert−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等のパーオキシケタール類;p−メンタンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、tert−ヘキシルハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類;α,α’−ビス(tert−ブチルパーオキシ)p−ジイソプロピルベンゼン、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン等のジアルキルパーオキサイド類;イソブチリルパーオキサイド、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類;ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、ビス−(4−tert−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ−2−エトキシエチルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート等のパーオキシジカーボネート類;α,α’−ビス(ネオデカノパーオキシ)ジイソプロピルベンゼン、クミルパーオキシネオデカノエート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシネオデカノエート、tert−ヘキシルパーオキシネオデカノエート、tert−ブチルパーオキシネオデカノエート、tert−ヘキシルパーオキシビバレート、tert−ブチルパーオキシビバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−ブチルパーオキシマレイックアシッド、tert−ブチルパーオキシ−3,5,5−トリメチルシクロヘキサノエート、tert−ブチルパーオキシラウレート、2,5−ジブチル−2,5−ビス(m−トルイルパーオキシ)ヘキサン、tert−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート等のパーオキシエステル類;tert−ブチルパーオキシアリルカーボネート、tert−ブチルトリメチルシリルパーオキサイド、アセチルシクロヘキシルスルフォニルパーオキサイド等のその他有機過酸化物類;等が挙げられる。
なかでも、上記有機過酸化物として、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカルボナート(10時間半減期温度98.7℃)、t−ブチルパーオキシラウレート(10時間半減期温度98.3℃)等の10時間半減期温度が80℃以上、100℃以下である有機過酸化物であることが、重合体の収率の向上がより良好であることから好ましく、また、ジカルボン酸系単量体の反応率が向上する傾向にあることから、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカルボナートが特に好ましい。
上記10時間半減期温度は、過酸化物濃度0.10mol/L、ベンゼン中における熱分解により算出された数値である。
本発明の重合体(組成物)の製造方法は、上記一般式(1)で表されるポリオキシアルキレン系化合物の一部または全部を反応系に仕込んだ状態で、重合を開始することが好ましい。上記一般式(1)で表されるポリオキシアルキレン系化合物を幹とするグラフト重合が進行しやすくなる観点から、上記一般式(1)で表されるポリオキシアルキレン系化合物の使用量の全量を反応系に仕込んだ状態で、重合を開始することが特に好ましい。
なお、重合は、回分式で行われてもよいし、連続式で行われてもよい。
本発明の重合体(組成物)の製造方法において、上記一般式(1)で表されるポリオキシアルキレン系化合物の使用量は、上記一般式(1)で表されるポリオキシアルキレン系化合物と全単量体(モノカルボン酸系単量体、その他の単量体)の使用量の合計の質量100質量%に対して、50質量%以上、90質量%以下とすることが好ましい。より好ましくは55質量%以上、85質量%以下であり、更に好ましくは60質量%以上、80質量%以下である。
本発明の重合体(組成物)の製造方法において、モノカルボン酸系単量体の使用量は、上記一般式(1)で表されるポリオキシアルキレン系化合物と全単量体の使用量の合計の質量100質量%に対して、10質量%以上、50質量%以下とすることが好ましい。より好ましくは12質量%以上、45質量%以下であり、更に好ましくは15質量%以上、40質量%以下である。
本発明の重合体(組成物)の製造方法において、その他の単量体の使用量は、上記一般式(1)で表されるポリオキシアルキレン系化合物と全単量体の使用量の合計の質量100質量%に対して、0質量%以上、25質量%以下とすることが好ましい。より好ましくは0〜20質量%であり、更に好ましくは0〜15質量%である。
本発明の重合体(組成物)の製造方法において、重合温度は、100℃以上、150℃以下に設定することが好ましい。
上記温度範囲で重合することにより、重合体の収率が向上する傾向にある。
上記重合温度の下限は好ましくは105℃以上、さらに好ましくは110℃以上であり、上記重合温度の上限は好ましくは145℃以下、さらに好ましくは140℃以下である。
上記重合する工程(重合工程)は、その一部の時間において上記温度範囲になるように設定すれば良いが、重合時間(単量体を添加しながら重合を進める場合には、単量体を添加している時間をいい、単量体を一括で添加して重合開始剤を添加しながら重合を進める場合には、重合開始剤を添加している時間をいい、単量体および重合開始剤を共に一括で添加して重合する場合には加熱している時間をいう)の50%以上の時間帯において上記温度範囲に保持することが好ましく、80%以上の時間帯において上記温度範囲に保持することがより好ましく、重合時間の100%の時間帯において上記温度範囲に保持することが更に好ましい。
なお、重合時間以外の時間帯(重合開始前や重合開始後)においても上記温度範囲に設定しても構わない。
本発明の重合体(組成物)の製造方法において、重合時間は特に制限されないが、好ましくは30〜420分であり、より好ましくは45〜390分であり、さらに好ましくは60〜360分であり、最も好ましくは90〜300分である。なお、本発明において、「重合時間」とは上記の通りである。
反応系内の圧力としては、常圧(大気圧)下、減圧下、加圧下のいずれであってもよいが、得られる重合体の分子量の点では、常圧下、または、反応系内を密閉し、加圧下で行うことが好ましい。また、加圧装置や減圧装置、耐圧性の反応容器や配管等の設備の点では、常圧(大気圧)下で行うことが好ましい。反応系内の雰囲気としては、空気雰囲気でもよいが、不活性雰囲気とするのが好ましく、例えば、重合開始前に系内を窒素等の不活性ガスで置換することが好ましい。
上記の通り、溶媒の使用量は、反応系の全量に対して好ましくは10質量%以下である。溶媒の使用量は、より好ましくは7質量%以下であり、さらに好ましくは5質量%以下であり、特に好ましくは3質量%以下であり、得られる重合体のグラフト率が向上する観点からは、最も好ましくは実質的に溶媒を含まない。「実質的に溶媒を含まない」とは、グラフト重合時に積極的に溶媒を添加しない形態を意味し、不純物程度の溶媒の混入は許容されうることを意味する。
一方で、重合反応を有機溶剤のリフラックス下で実施することにより、反応器内の壁面や上部にゲル状付着物が付着するのを抑制することが可能となる。そのような観点からは、少量の有機溶剤を使用することが好ましい。
本発明の重合体(組成物)の製造方法は、上述した重合開始剤に加えて、重合開始剤の分解触媒や還元性化合物を反応系に添加してもよい。
重合開始剤の分解触媒としては、例えば、塩化リチウム、臭化リチウム等のハロゲン化金属;酸化チタン、二酸化ケイ素等の金属酸化物;塩酸、臭化水素酸、過塩素酸、硫酸、硝酸等の無機酸の金属塩;ギ酸、酢酸、プロピオン酸、ラク酸、イソラク酸、安息香酸等のカルボン酸、そのエステルおよびその金属塩;ピリジン、インドール、イミダゾール、カルバゾール等の複素環アミンおよびその誘導体等が挙げられる。これらの分解触媒は1種のみが単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
本発明の重合体(組成物)の製造方法は、単量体を重合する工程(重合工程)の他に、熟成工程を設けても良い。
熟成工程は、例えば、単量体の滴下終了後に、重合温度を保持したまま、あるいは重合温度を変化させて、熟成を行うことにより実施することができる。熟成工程を含むことにより、残存単量体の低減が可能となる。一方で、重合体(組成物)の色調が悪化する傾向にある。また経済性の面も考慮すると、熟成時間は短い方がよい。例えば熟成工程は、30分〜6時間が好ましく、1〜3時間がより好ましい。
本発明の重合体(または重合体組成物)は、水処理剤、スケール防止剤(スケール抑制剤)、繊維処理剤、分散剤、金属イオン封止剤、増粘剤、各種バインダー、乳化剤、スキンケア剤、ヘアケア剤、洗剤組成物等として用いられうる。
本発明の重合体(または重合体組成物)は、水処理剤に用いることができる。該水処理剤には、必要に応じて、他の配合剤として、重合リン酸塩、ホスホン酸塩、防食剤、スライムコントロール剤、キレート剤を用いても良い。
本発明の重合体(または重合体組成物)は、繊維処理剤に用いることができる。該繊維処理剤は、染色剤、過酸化物および界面活性剤からなる群より選ばれる少なくとも1つと、本発明の重合体(または重合体組成物)を含む。
本発明の重合体(または重合体組成物)は、無機顔料分散剤に用いることができる。該無機顔料分散剤には、必要に応じて、他の配合剤として、縮合リン酸およびその塩、ホスホン酸およびその塩、ポリビニルアルコールを用いても良い。
本発明の重合体(組成物)は、洗剤組成物にも添加しうる。
本発明の重合体(組成物)は、上述した重合体を含むが、優れたビルダー性能を発揮しうるという観点からは、当該重合体の含有量は、洗剤組成物の全量に対して、好ましくは0.1〜15質量%であり、より好ましくは0.3〜10質量%であり、さらに好ましくは0.5〜5質量%である。
重合体の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミネーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定した。
GPCの測定条件:
装置:日立社製 L−7000シリーズ
検出器:RI
カラム:昭和電工社製 SHODEX Asahipak GF−310−HQ, GF−710−HQ, GF−1G 7B
カラム温度:40℃
流速:0.5ml/min
検量線:ジーエルサイエンス株式会社製 Polyethylene Oxide STANDARD
溶離液:0.1M酢酸ナトリウム水溶液/アセトニトリル=75/25(wt/wt)。
残存単量体は、液体クロマトグラフィーを用いて定量した。
液体クロマトグラフィーの測定条件:
測定装置:東ソー株式会社製 8020シリーズ
カラム:株式会社資生堂製 CAPCELL PAK C1 UG120 250mm 2本
温度:40.0℃
溶離液:10mmol/Lリン酸水素二ナトリウム・12水和物水溶液(リン酸でpH7に調整)/アセトニトリル=45/55(体積比)
流速:1.0ml/min
検出器:UV(検出波長215nm)。
重合体組成物(固形分換算)中のグラフト重合体の含有量(質量%)=グラフト体収率とした。すなわち、重合体組成物の固形分の質量に対する、重合体組成物に含まれるグラフト重合体の質量の割合であり、以下の式で算出する。
100(%)−(重合体組成物中の未反応ポリオキシアルキレン化合物含有量(%)+重合体組成物中の固形物中の単量体含有量(%))
<重合体組成物の固形分測定方法>
窒素雰囲気下、130℃に加熱したオーブンで重合体組成物(重合体組成物1.0g+水3.0g)を1時間放置して乾燥処理した。乾燥前後の重量変化から、固形分(%)と、揮発成分(%)を算出した。
(1)Test fabric社より入手したポリエステル布を5cm×5cmに切断し、白布を作成した。この白布を予め日本電色工業株式会社製の測色色差計SE2000型を用いて、白色度を反射率にて測定した。
(2)塩化カルシウム2水和物11.0gに純水を加えて15kgとし、硬水を調製した。
(3)ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム4.0g、炭酸ナトリウム6.0g、硫酸ナトリウム2.0gに純水を加えて100.0gとし、界面活性剤水溶液を調製した。
(4)ターゴットメーターを28℃にセットし、硬水1Lおよび界面活性剤水溶液5g、固形分換算で5.0%の重合体組成物水溶液1g、カーボンブラック1.0gをポットに入れ、150rpmで1分間攪拌した。その後、白布5枚を入れて100rpmで10分間攪拌した。
(5)手で白布の水を切り、28℃にした硬水1Lをポットに入れ、100rpmで2分間攪拌した。これを2回行った。
(6)白布に当て布をして、アイロンでしわを伸ばしながら乾燥させた後、上記測色色差計にて再度白布の白色度を反射率にて測定した。
(7)以上の測定結果から下記数式2により再汚染防止率を求めた。なお、再汚染防止率が高いほど、再汚染防止能に優れることを意味する。
<カーボンブラック分散性評価方法>
(1)グリシン67.6g、塩化ナトリウム52.6g、1mol/LのNaOH水溶液60mlにイオン交換水を加えて600gとしたグリシン緩衝液を調製した。
(2)塩化カルシウム2水和物0.082g、(1)で調製したグリシン緩衝液60.0gに純水を加えて1000gとし、分散液を調製した。
(3)固形分換算で0.1%の重合体組成物水溶液を調製した。
(4)約30cc容量の一般的な試験管に、カーボンブラック(洗濯科学協会より入手)0.1g、(2)の分散液を27g、(3)の重合体水溶液を3gを添加した。この時、試験液のカルシウム濃度は炭酸カルシウム換算で50ppmとなっていた。
(5)試験管をゴム栓で密封した後、上下に60回振った。この試験管を直射日光の当たらないところに25時間静置した後、分散液を目視にて観察した。
(6)カーボンブラックの分散性評価結果を以下のように表記した。
分散性○:カーボンブラックが全体的に分散している
分散性△:カーボンブラックの分散量が少ない
分散性×:カーボンブラックが完全に分離している。
温度計、攪拌機、窒素導入管、還流冷却器を備えたガラス製反応器に、重量平均分子量1300のジスチレン化フェノキシポリエチレングリコール(ジスチレン化フェノールにエチレンオキサイド平均20モル付加させて得られたもの。以下、DSPH200と称す。)192.0質量部を仕込んだ。仕込物を窒素気流下、加熱して溶解させ、攪拌下128℃まで昇温した。次に温度を128℃に保ちながら、パーブチルI(tert-ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート75%含有、日本油脂株式会社製。以下、PBIと称す。)7.5質量部を250分にわたって連続的に滴下した。PBIの滴下を開始してから20分後にアクリル酸64.0質量部を240分にわたって滴下した。アクリル酸の滴下が終了してからさらに55分間攪拌を続けて重合体を得た。
得られた重合体にイオン交換水137.8質量部を添加したのち、35%H2O2(ADEKA製)1.05質量部を添加して、50〜70℃で30分熟成することにより、本発明の重合体を含む重合体組成物(1)を得た。得られた重合体組成物中の重合体のグラフト体収率は79%、重量平均分子量は9800であった。
また、重合体組成物(1)のアクリル酸の含有量は、重合体組成物(固形分換算)100質量%に対して0ppmであった。
温度計、攪拌機、窒素導入管、還流冷却器を備えたガラス製反応器に、DSPH200を192.0質量部、マレイン酸12.8質量部、イソプロピルアルコール1.1質量部を仕込んだ。仕込物を窒素気流下、加熱して溶解させ、攪拌下128℃まで昇温した。次に温度を128℃に保ちながら、パーブチルI(tert-ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート75%含有、日本油脂株式会社製。以下、PBIと称す。)7.5質量部を250分にわたって連続的に滴下した。PBIの滴下を開始してから20分後にアクリル酸51.2質量部を240分にわたって滴下した。アクリル酸の滴下が終了してからさらに55分間攪拌を続けて重合体を得た。
得られた重合体にイオン交換水137.8質量部を添加したのち、35%H2O2(ADEKA製)1.05質量部を添加して、50〜70℃で30分熟成することにより、本発明の重合体を含む重合体組成物(2)を得た。得られた重合体組成物中の重合体のグラフト体収率は83%、重量平均分子量は6900であった。
また、重合体組成物(2)の単量体の含有量は、重合体組成物(固形分換算)100質量%に対してマレイン酸が40ppmであり、アクリル酸が150ppmであった。
合成例1においてDSPH200を重量平均分子量2100のジスチレン化フェノキシポリエチレングリコール(ジスチレン化フェノールにエチレンオキサイド平均40モル付加させて得られたもの。以下、DSPH400と称す。)に変更したほかは合成例1と同様にして重合体組成物(3)を得た。
得られた重合体組成物中の重合体のグラフト体収率は94%、重量平均分子量は19000であった。
また、重合体組成物(3)のアクリル酸の含有量は、重合体組成物(固形分換算)100質量%に対して0ppmであった。
合成例2においてDSPH200をDSPH400に変更したほかは合成例2と同様にして重合体組成物(4)を得た。
得られた重合体組成物中の重合体のグラフト体収率は89%、重量平均分子量は13500であった。
また、重合体組成物(4)の単量体の含有量は、重合体組成物(固形分換算)100質量%に対してマレイン酸が100ppmであり、アクリル酸が140ppmであった。
合成例1においてDSPH200を重量平均分子量1000のフェノキシポリエチレングリコール(フェノールにエチレンオキサイド平均20モル付加させて得られたもの。以下、PH200と称す。)に変更したほかは合成例1と同様にして比較重合体組成物(1)を得た。得られた重合体組成物中の重合体のグラフト体収率は75%、重量平均分子量は4500であった。また比較重合体組成物(1)のアクリル酸の含有量は、重合体組成物(固形分換算)100質量%に対して0ppmであった。
次に、上記合成例1〜4で得られた重合体組成物(1)〜(4)、上記比較合成例1で得られた比較重合体組成物(1)およびポリアクリル酸ナトリウム(日本触媒製、製品名:アクアリックYS100)について、洗剤組成物としての評価を行うため、上記方法に従って、再汚染防止率の評価を行った。その評価結果を表2にまとめた。また、カーボンブラックの分散性についても評価を行った。その評価結果を表3にまとめた。
Claims (2)
- 下記一般式(1)で表されるポリオキシアルキレン系化合物に由来する構造単位(p)、および、
モノカルボン酸系単量体に由来する構造単位(a)とを必須として有する重合体であり、
構造単位(p)の含有量が50〜90質量%、
構造単位(a)の含有量が10〜50質量%、
である重合体。
一般式(1)中、Rは、ジスチレン化フェニル基を表し、Xは、カルボニル基を表し、pは、0または1であり、Yは、下記式(2)から選択される構造を有する基であり、Zは炭素数2〜6のオキシアルキレン基を表し、qは、3〜300の整数であり、rは1である。
- 請求項1に記載の重合体を含む洗剤組成物。
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