以下、本発明に係る実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一の符合を付した構成は、同一の構成であることを示し、その説明を省略する。
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る送受信機を用いて構築された送受信システムの一例を模式的に示した図である。
図1に示されるように、当該送受信システムは、複数の送受信機Aが組み合わされて構成されている。このシステムでは、複数の送受信機Aが相互に伝送路Lを通じて接続されている。当該システムでは、或る送受信機Aから宛先となる送受信機を指定して、伝送路Lを通じてデータを伝送することができる構成とされている。
図2は、第1実施形態に係る送受信機の機能モジュールの一例を示したブロック図である。送受信機Aは、図2に示されるように、CPU(Central Processing Unit)などで構成され、送受信機Aを統括的に制御する制御回路100と、送信ブロック1と、受信ブロック2(受信部)とを備えている。
送信ブロック1は、変調器10、第1取得部11、セレクタ12、OFDM(Orthogonal Frequency-Division Multiplexing)変調器13、フレーミング回路14、オーバーサンプル回路150及びフィルタ151を有する波形整形回路15、デジタルアナログ変換回路(DAC)16、及び、アナログフロントエンド(FE)回路17(送信部)を備える。
そして、制御回路100、セレクタ12、及びOFDM変調器13によって、第1信号生成部の一例が構成されている。この第1信号生成部は、所定の変調方式(例えば、後述する16QAM)で変調された所定ビット数の複数のデータを表す複数の変調データ信号X0〜X15を受け付ける。以下、変調データ信号X0〜X15の順序を信号順と称し、Xmのmを信号順を表す信号番号とする。
そして、第1信号生成部は、信号順の各変調データ信号を、互いに周波数の異なる複数のサブキャリアに対して、各サブキャリアの周波数の大きさ順である第1の順に割り当てることによって、第1マルチキャリア変調信号を生成する。第1の順は、例えばサブキャリアの周波数が小さい順(増加していく順)である。
例えば図4(a)に示すように、サブキャリアの周波数を横軸のf0〜f15(添え字の数値が大きいほど周波数が大きい)で表すと、信号順の各変調データ信号X0〜X15が、それぞれ周波数f0〜f15のサブキャリアに割り当てられる。以下、f0〜f15の添え字の数値をサブキャリア番号と称する。
また、制御回路100、セレクタ12、第1取得部11、及びOFDM変調器13によって、第2信号生成部の一例が構成されている。この第2信号生成部は、複数の変調データ信号を受け付け、信号順の各変調データ信号を、第1の順とは逆の順である第2の順に各サブキャリアに割り当てて第2マルチキャリア変調信号を生成する。第2の順は、例えばサブキャリアの周波数が大きい順(減少していく順)である。例えば図4(b)に示すように、信号順の各変調データ信号X0〜X15が、それぞれ周波数f15〜f0のサブキャリアに割り当てられる。
なお、第1の順をサブキャリアの周波数が大きい順(減少していく順)とし、第2の順をサブキャリアの周波数が小さい順(増加していく順)としてもよい。
また、受信ブロック2は、アナログフロントエンド(FE)回路20、アナログデジタル変換回路(ADC)21、ダウンサンプル回路220及びフィルタ221を有する波形整形回路22、ガードインターバル(GI)除去回路23、同期回路24、OFDM復調器25、セレクタ26、第2取得部27、平均化回路28(平均信号取得部)、等化器29、及び、復調器30を備える。
この受信ブロック2は、第1マルチキャリア変調信号及び第2マルチキャリア変調信号を受信する。そして、受信ブロック2は、第1のマルチキャリア変調信号に含まれる各変調データ信号と、第2マルチキャリア変調信号に含まれる各変調データ信号とについて、同じデータ(同じ情報)を表す変調データ信号同士(信号番号が同じ変調データ信号同士)の間の平均を表す平均信号を取得する(図4(c),(d)参照)。
そして、制御回路100、OFDM復調器25、及びセレクタ26によって、第1信号取得部の一例が構成されている。この第1信号取得部は、送信元の送受信機から第1マルチキャリア変調信号及び第2マルチキャリア変調信号が送信されたときに、第1マルチキャリア変調信号の各サブキャリアから、サブキャリアの周波数が小さい順(第1の順)に各変調データ信号を取得する。そうすると、第1信号取得部によって、前記信号順に各変調データ信号が取得され、平均化回路28へ送信される。
また、制御回路100、OFDM復調器25、セレクタ26、及び第2取得部27によって、第2信号取得部の一例が構成されている。この第2信号取得部は、送信元の送受信機(例えば、図1に示す送受信機Aのいずれか)から第1マルチキャリア変調信号及び第2マルチキャリア変調信号が送信されたときに、第2マルチキャリア変調信号に含まれる各変調データ信号を、サブキャリアの周波数が大きい順(第2の順)に取得する。そうすると、前記信号順に各変調データ信号が取得され、平均化回路28へ送信される。
さらに、受信ブロック2では、平均化回路28が、第1信号取得部(つまり、OFDM復調器25)により取得された変調データ信号と、第2信号取得部(つまり、OFDM復調器25及び第2取得部27)により取得された変調データ信号との間の平均を表す平均信号を取得する。そうすると、第1及び第2信号取得部は、いずれも前記信号順に各変調データ信号を出力するから、平均化回路28は、第1及び第2信号取得部から変調データ信号が出力された順に、順次平均化処理を行うことで、同じ信号番号の変調データ信号同士が平均化される。
以下、送受信機Aの各構成要素の機能を説明する。送信ブロック1において、変調器10は、データのビット列の入力を受け付けて、予め定められた変調方式(例えば16QAM)で変調することにより、変調後のデータのビット列を表す変調データ信号を得る。
例えば、変調器10は、16QAM(16 Quadrature Amplitude Modulation)でデータのビット列を変調する場合には、搬送波の振幅及び位相のそれぞれに4種類の値を持たせる。その結果、振幅と位相の組み合わせにより、16種類の変調データ信号を得ることができる。
16QAMでデータのビット列が変調された場合には、変調データ信号は、実数を表すI信号(In−Phase信号)と、虚数を表すQ信号(Quadrature信号)とで構成される。
第1取得部11は、変調器10から出力される複数の変調データ信号を受け付け、各変調データ信号の受付順にバッファなどのメモリに順次格納する。これにより、変調器10から変調データ信号が、例えば、変調データ信号X1、変調データ信号X2、・・・、変調データ信号Xnの順に出力されていれば、第1取得部11において、各変調データ信号が、変調データ信号X1、変調データ信号X2、・・・、変調データ信号Xnの順に格納される。
第1取得部11は、変調データ信号を所定の数(例えば、OFDM変調器13及びOFDM復調器25が用いるサブキャリアの数)だけ格納すると、各変調データ信号を、各変調データ信号の受付順とは逆の順に取り出す。これにより、第1取得部11において、変調データ信号X1、変調データ信号X2、・・・変調データ信号Xnの信号順に格納されていた変調データ信号が、変調データ信号Xn、変調データ信号Xn−1、・・・変調データ信号X1の順に取得される。すなわち第1取得部11は、受信した順序と逆の順序で変調データ信号を出力する。
セレクタ12は、接点a及びbを備えており、変調器10により得られた変調データ信号をOFDM変調器13に入力させる際には接点b閉じ(接点a開き)の状態とされており、各変調データ信号を第1取得部11に入力させる際には接点a閉じ(接点b開き)の状態とされる。このセレクタ12は、制御回路100から出力される切り替え信号により閉じる接点が接点aと接点bとの間で切り替えられる。
OFDM変調器13は、各変調データ信号を、互いに周波数が異なる複数のサブキャリアを用いて変調して、各変調データ信号が各サブキャリアに割り当てられたマルチキャリア変調信号を生成する。
このOFDM変調器13は、変調器10により順次出力される各変調データ信号をサブキャリアの数だけ受け付けて、受け付けた変調データ信号をシリアル/パラレル変換する。そして、OFDM変調器13は、サブキャリアの数と同じ数のパラレル信号にされた変調データ信号を逆高速フーリエ変換(IFFT;Inverse Fast Fourier Transform)する。
これにより、OFDM変調器13は、周波数領域の各変調データ信号を、各サブキャリアの周波数の小さい順に各サブキャリアに割り当てて、時間領域のマルチキャリア変調信号を生成することができる。
以上に示すOFDM変調器13の処理は、以下の式(1)で表すことができる。
但し、nは時間インデックス、kは変調器10により得られた素数シンボル信号の周波数インデックスをそれぞれ示す。
フレーミング回路14は、OFDM変調器13からマルチキャリア変調信号を受け付け、受け付けたマルチキャリア変調信号の後ろ半分をコピーしてガードインターバルとして当該マルチキャリア変調信号の前に付加する。
波形整形回路15は、マルチキャリア変調信号の波形整形を行う。つまり、波形整形回路15では、オーバーサンプル回路150が、デジタルアナログ変換回路16によって用いられるサンプリング周波数の少なくとも2倍以上のサンプリング周波数を用いて、マルチキャリア変調信号のサンプリングを行い、所定の間引き処理や補完処理を行う。
また、波形整形回路15では、フィルタ151がローパスフィルタとして設けられており、このフィルタ151は、一定の周波数よりも小さな周波数成分のみを通過させて、マルチキャリア変調信号に混入している高周波ノイズを除去する。
デジタルアナログ変換回路16は、デジタル信号として入力されるマルチキャリア変調信号をアナログ信号の形に変換する。アナログフロントエンド回路17は、アナログ信号の形とされたマルチキャリア変調信号の波形整形及び増幅を行う。このように、アナログフロントエンド回路17により波形整形が施されたマルチキャリア変調信号は、伝送路Lへ送信される。
また、受信ブロック2において、アナログフロントエンド回路20は、伝送路Lを通じて送信されてきたマルチキャリア変調信号を受信し、当該マルチキャリア変調信号の波形整形及び増幅を行う。アナログデジタル変換回路21は、アナログ信号の形で入力されたマルチキャリア変調信号をデジタル信号の形に変換する。
波形整形回路22は、デジタル信号の形に変換されたマルチキャリア変調信号α,βの波形整形を行う。波形整形回路22のダウンサンプル回路220は、アナログデジタル変換回路21によりオーバーサンプリングされたマルチキャリア変調信号をデシメーションする。フィルタ221は、ローパスフィルタで構成されており、伝送途中にマルチキャリア変調信号に混入した高周波ノイズを除去する。ガードインターバル除去回路23は、マルチキャリア変調信号の先頭に付加されたガードインターバルを除去する。
同期回路24は、ガードインターバル除去回路23が、マルチキャリア変調信号の先頭に付加されたガードインターバルを除去するためのタイミング信号を、ガードインターバル除去回路23に出力する。
OFDM復調器25は、アナログデジタル変換回路21によりデジタル信号の形に変換されたマルチキャリア変調信号に含まれる各変調データ信号を取得する。
このOFDM復調器25は、時間領域のマルチキャリア変調信号を高速フーリエ変換(FFT;Fast Fourier Transform)して、周波数領域の各変調データ信号をパラレル信号の形で取得する。そして、OFDM復調器25は、パラレル信号の形で取得した各変調データ信号を、パラレル/シリアル変換してシリアル信号の形に変換する。
これにより、OFDM復調器25は、マルチキャリア変調信号から、各サブキャリアの周波数の小さい順(第1の順)に、各変調データ信号を取得する。
セレクタ26は、接点a及びbを備えており、OFDM復調器25により得られた各変調データ信号を平均化回路28に入力させる際には接点b閉じ(接点a開)の状態とされており、各変調データ信号を第2取得部27に入力させる際には接点a閉じ(接点b開)の状態とされる。このセレクタ26は、制御回路100から出力される切り替え信号により閉じる接点が接点aと接点bとの間で切り替えられる。
第2取得部27は、OFDM復調器25により取得される複数の変調データ信号を受け付け、各変調データ信号の受付順にバッファなどのメモリに順次格納する。これにより、OFDM復調器25から変調データ信号が、例えば、変調データ信号Xn、変調データ信号Xn−1、・・・、変調データ信号X1の順に出力されていれば、第2取得部27において、各変調データ信号が、変調データ信号Xn、変調データ信号Xn−1、・・・、変調データ信号X1の順に格納される。
第2取得部27は、変調データ信号を所定の数(例えば、OFDM変調器13及びOFDM復調器25が用いるサブキャリアの数)だけ格納すると、各変調データ信号を、各変調データ信号の受付順とは逆の順に取り出す。これにより、第2取得部27において、変調データ信号Xn、変調データ信号Xn−1、・・・変調データ信号X1の順に格納されていた変調データ信号が、変調データ信号X1、変調データ信号X2、・・・変調データ信号Xnの順に取得される。すなわち第2取得部27は、受信した順序と逆の順序で変調データ信号を出力する。
等化器29は、平均化回路28により得られた平均信号に、予め設定された等化係数で等化処理を行う。復調器30は、等化処理された平均信号を、変調器10における変調方式に対応する復調方式で復調する。
このような構成の送受信機Aは、例えば、以下の基本処理を行う。尚、以下の説明において、初期状態とは、セレクタ12及びセレクタ26の双方を接点b閉じにした状態のことを表す。
(送信側となったときの基本処理)
初期状態を保持している送受信機Aにおいて、送信元の送受信機を指定したデータの伝送指示があったときには、制御回路100は、変調器10によりデータを所定のビット数ずつ復調させることによって、各変調データ信号を前記信号順に順次生成する。
初期状態では、セレクタ12は接点b閉じの状態とされているため、変調器10により順次生成された変調データ信号は、第1取得部11に到達するとともに、接点bを通じてOFDM変調器13に到達する。
制御回路100の制御に応じて、OFDM変調器13は、前記信号順に生成された各変調データを、サブキャリアの周波数の小さい順に各サブキャリアに割り当てることによって、マルチキャリア変調信号(第1マルチキャリア変調信号)S1を生成し、フレーミング回路14に出力する。
これとともに、制御回路100は、変調器10により順次生成された変調データ信号を、前記信号順に第1取得部11に順次格納する。そして、第1取得部11に、OFDM変調器13及びOFDM復調器25が用いるサブキャリアの数だけ変調データ信号が格納されると、第1取得部11は、各変調データ信号を、各変調データ信号の受付順とは逆の順(前記信号順の逆)に並び替えて出力する。
制御回路100は、OFDM変調器13からのマルチキャリア変調信号S1の出力が完了すると、セレクタ12を接点a閉じの状態にして、前記信号順と逆の順並び替えられた各変調データ信号を、第1取得部11から接点aを通じてOFDM変調器13へ出力させる。
そして、制御回路100からの制御に応じて、OFDM変調器13は、第1取得部11から順次出力された各変調データ信号X15〜X0を、サブキャリアの周波数の順が小さい順(増加していく順)に各サブキャリアに割り当てる。そうすると、各変調データ信号15〜X0は、第1取得部11によって前記信号順と逆の順序に並び替えられているから、図4(b)に示すように各変調データ信号X15〜X0が周波数f0〜f15に割り当てられて、マルチキャリア変調信号(第2マルチキャリア変調信号)S2が生成される。
すなわち、前記信号順の各変調データ信号がサブキャリアに、第1の順とは逆の第2の順に割り当てられて、マルチキャリア変調信号(第2マルチキャリア変調信号)S2が生成される。そしてOFDM変調器13は、マルチキャリア変調信号(第2マルチキャリア変調信号)S2をフレーミング回路14に出力する。
以上に示される制御回路100の処理により、フレーミング回路14には、マルチキャリア変調信号S1とマルチキャリア変調信号S2とが交互に出力される。フレーミング回路14は、マルチキャリア変調信号S1が入力されるとそのマルチキャリア変調信号S1の前にガードインターバルGを付加し、マルチキャリア変調信号S2が入力されるとそのマルチキャリア変調信号S2の前にガードインターバルGを付加する。
図3は、フレーミング回路14により生成される信号のフレーム構成の一例を示した図である。この信号Sは、図3に示されるように、マルチキャリア変調信号S1と、マルチキャリア変調信号S2とを交互に含んでいる。図3に示されるように、各マルチキャリア変調信号S1、及び、各マルチキャリア変調信号S2の前にはフレーミング回路14によりガードインターバルGが付加されている。
フレーミング回路14により生成された信号Sは、波形整形回路15により波形整形され、デジタルアナログ変換回路16によりアナログ信号とされた後、アナログフロントエンド回路17により波形整形がなされた後、伝送路Lへ出力される。
(受信側となったときの基本処理)
初期状態を保持している送受信機Aにおいて、送信元の送受信機から、信号Sを受信したときには、制御回路100は、受信した信号Sをアナログフロントエンド回路20で波形整形させる。
制御回路100は、波形整形された信号Sを、アナログデジタル変換回路21によりデジタル信号の形に変換させ、波形整形回路22により波形整形させた後、ガードインターバル除去回路23に出力させる。
制御回路100は、同期回路24によって、ガードインターバル除去回路23が信号SからガードインターバルGを除去するためのタイミング信号を出力させる。例えば、制御回路100は、信号SのうちガードインターバルGに相当する部分がアナログデジタル変換回路21によりデジタル化された時点で、同期回路24によりタイミング信号を出力する。
これにより、信号Sは、アナログ信号からデジタル信号の形に変換されるとともにガードインターバルGが除去されながら、順次OFDM復調器25に入力される。
信号Sが順次OFDM復調器25に入力されると、まず、マルチキャリア変調信号S1がOFDM復調器25に入力されるので、制御回路100は、OFDM復調器25により、マルチキャリア変調信号S1から、各サブキャリアの周波数が小さい順(第1の順)に、各サブキャリアに割り当てられている各変調データ信号X0〜X15を取得させる(図4(a)参照)。
このとき、送受信機Aはセレクタ26が接点b閉じの初期状態を保っているため、OFDM復調器25によりマルチキャリア変調信号S1から取得された各変調データ信号X0〜X15は、セレクタ26の接点bを通じて平均化回路28に入力される。
制御回路100は、平均化回路28に入力された各変調データ信号を、各変調データ信号の入力順に、バッファなどのメモリに順次格納する。これにより、平均化回路28には、マルチキャリア変調信号S1から取得された各変調データ信号X0〜X15が、各変調データ信号の入力順(前記信号順)に格納される(図4(c)におけるX0〜X15参照)。
その後、制御回路100は、セレクタ26を接点a閉じの状態にして、OFDM復調器25によるマルチキャリア変調信号S2からの変調データ信号の取得に対して待機する。
制御回路100は、OFDM復調器25にマルチキャリア変調信号S2が入力されると、OFDM復調器25により、マルチキャリア変調信号S2から、各サブキャリアの周波数が小さい順(第1の順)に変調データ信号X0〜X15を取得させる。そうすると、マルチキャリア変調信号S2は、前記信号順の変調データ信号X0〜X15が、各サブキャリアの周波数が大きい順(第2の順)に各サブキャリアに割り当てられているから、変調データ信号X0〜X15は、OFDM復調器25によって、前記信号順とは逆の順序で取得されることになる。(図4(b)参照)。
このとき、セレクタ26は接点a閉じの状態を保っているため、OFDM復調器25によりマルチキャリア変調信号S2から取得された各変調データ信号は、セレクタ26の接点aを通じて第2取得部27に入力される。
第2取得部27では、マルチキャリア変調信号S2から取得された各変調データ信号が、各変調データ信号の入力順とは逆の順、すなわち前記信号順に並び替えられる。制御回路100は、第2取得部27による並び替えが終了すると、並び替えられた各変調データ信号を第2取得部27から平均化回路28へ順次出力させる。
平均化回路28は、第2取得部27から出力された各変調データ信号を、各変調データ信号の入力順に、バッファなどのメモリに順次格納する。これにより、平均化回路28には、マルチキャリア変調信号S2から取得され、第2取得部27により順番が並び替えられた各変調データ信号変調データ信号X0’〜X15’が順次格納される(図4(c)におけるX0’〜X15’参照)。
平均化回路28は、第1マルチキャリア変調信号S1から取得された各変調データ信号の格納と、第2マルチキャリア変調信号S2から取得され、第2取得部27により順番が並び替えられた各変調データ信号の格納とが終了すると、以下の処理を行う。
平均化回路28は、第1マルチキャリア変調信号S1から取得されて格納された各変調データ信号X0〜X15と、第2マルチキャリア変調信号S2から取得され、第2取得部27により並び替えられて格納された各変調データ信号X0’〜X15’とを、同じ入力順の変調データ信号同士(信号番号が同じ変調データ信号同士)平均することで、同じデータを表す変調データ信号同士が平均された平均信号を取得する(図4(d)参照)。
以上に示される送受信機Aの基本処理を、図4を用いて更に説明する。図4(a),(b)は、各変調データ信号が割りあてられるサブキャリアの周波数と、各サブキャリアの特性との関係を示した図である。ここにおいて、各サブキャリアの特性として、SN比が例示されている。図4(c),(d)は、各変調データ信号の信号番号と、各変調データ信号のSN比との関係を示した図である。
尚、図4において、f0〜f15は、サブキャリア番号0〜15のサブキャリア0〜15の周波数を示している。図4は、サブキャリアの周波数がf0からf15と変化するにつれて、各サブキャリアの周波数が順次大きくなることを示している。
さらに、図4において、X0〜X15は、各変調データ信号を識別するための変調データ信号識別情報である。図4は、変調データ信号識別情報がX0からX15と変化するにつれて、各変調データ信号が後に生成された変調データであることを示している。
OFDM変調器13により得られたマルチキャリア変調信号S1が伝送路Lに出力されて受信側に到達したときには、受信側において、例えば、図4(a)に示される周波数スペクトラムが得られる。
この周波数スペクトラムでは、サブキャリア番号が大きくなるにつれて、つまり、サブキャリアの周波数が大きくなるほどSN比が小さくなることが判る。したがって、サブキャリアの周波数が大きくなるほど、各サブキャリアに割り当てられた変調データ信号は、伝送路Lを通じた伝送途中において減衰し易いことが判る。
マルチキャリア変調信号S1では、先述されたように、前記信号順の各変調データ信号を各サブキャリアの周波数が小さい順(第1の順)に各サブキャリアに割り当てている。すなわち、マルチキャリア変調信号S1では、図4(a)に示すように、変調データ信号X0〜X15が、サブキャリア0〜15(周波数f0〜f15)に割り当てられている。
図4(a)から判るように、サブキャリアの周波数が大きくなるほど、サブキャリアに割り当てられた変調データ信号が減衰し易いため、変調データ信号が生成される順が新しくなるほど、伝送途中において減衰し易い。
一方、OFDM変調器13により得られたマルチキャリア変調信号S2が伝送路Lに出力されて受信側に到達したときには、受信側において、例えば、図4(b)に示される周波数スペクトラムが得られる。
この周波数スペクトラムでは、伝送路Lの特性が図4(a)の場合と同じであるため、図4(a)と同じように、サブキャリアの周波数が大きくなるほどSN比が小さくなることが判る。したがって、サブキャリアの周波数が大きくなるほど、各サブキャリアに割り当てられた変調データ信号は、伝送路Lを通じた伝送途中において減衰し易いことが判る。
マルチキャリア変調信号S2では、先述されたように、各変調データ信号を各サブキャリアの周波数が大きい順に各サブキャリアに割り当てられている。すなわち、マルチキャリア変調信号S2では、図4(b)に示すように、変調データ信号X0〜X15が、サブキャリア15〜0(周波数f15〜f0)に割り当てられている。
図4(b)から判るように、サブキャリアの周波数が小さくなるほど、サブキャリアに割り当てられた変調データ信号が減衰しにくいため、変調データ信号が生成される順が新しくなるほど、伝送途中において減衰しにくい。
以上のように、マルチキャリア変調信号S1が受信側に到達した時点において、図4(a)に示される周波数スペクトラムが得られる一方で、マルチキャリア変調信号S2が受信側に到達した時点において、図4(b)に示される周波数スペクトラムが得られる。
このように、マルチキャリア変調信号S2において、マルチキャリア変調信号S1とは逆の順に各サブキャリアに割り当てられた各変調データは、第2取得部27により、マルチキャリア変調信号S1と同じ順、すなわち前記信号順に取り出される。
その結果、平均化回路28に、マルチキャリア変調信号S1から取得された変調データ信号X0〜X15、及び、マルチキャリア変調信号S2から取得された変調データ信号X0’〜X15’が格納されると、図4(c)に示す周波数スペクトラムが得られる。
図4(c)において、平均化回路28への入力順が後になるほど、信号番号が大きくなっている。
平均化回路28は、変調データ信号X0〜X15と、変調データ信号X0’〜X15’とを、第1及び第2信号取得部から出力された順に平均することで、同じ信号番号の変調データ信号同士を平均化して平均信号を生成する。
すなわち、図4(c)を用いて説明すると、平均化回路28は、変調データ信号X0の信号レベルと変調データ信号X0’の信号レベルとの間の平均レベルを平均信号として取得する。平均化回路28は、同様の処理を、変調データ信号X1〜X15、及び、変調データ信号X1’〜X15’についても行う。
これにより、伝送路の特性やインパルス的なノイズの発生などにより、或るサブキャリアのSN比が、変調データ信号を16QAMで復調することができる閾値(図4の波線で示すSN比)を下回る程小さくなっても、SN比が小さくなったサブキャリアに割りあてられた変調データ信号の信号レベルが、SN比がさほど小さくなっていないサブキャリアに割りあてられた変調データ信号により、閾値を上回る程度にまで補完される(図4(d)参照)。
また、送受信機Aによれば、以下に示す利点がある。図5は、送受信機Aから各変調データ信号を送信する際にノッチ帯域が生じたときにおける効果を説明するための図である。
図5(a)に示されるように、マルチキャリア変調信号S1が伝送される途中において、周波数がf1〜f7のサブキャリア1〜7においてノッチ帯域が生じたと仮定する。
マルチキャリア変調信号S2では、各変調データ信号がマルチキャリア変調信号S1とは逆の順に各サブキャリアに割りあてられる。そのため、マルチキャリア変調信号S1ではノッチ帯域になっている周波数f1〜f7のサブキャリアに割り当てられる変調データ信号X1〜X7が、マルチキャリア変調信号S2では、図5(b)に示すように、ノッチ帯域ではない周波数f8〜f14のサブキャリア8〜14に割り当てられる。
マルチキャリア変調信号S2に割り当てられた各変調データ信号は、第2取得部27により、当該第2取得部27が各変調データを受け付けた順とは逆の順に並び替えられた状態で平均化回路28に格納される。また、マルチキャリア変調信号S1に割り当てられた各変調データ信号も平均化回路28に格納される。
そのため、図5(c)に示すように、平均化回路28では、マルチキャリア変調信号S1のノッチ帯域で伝送された変調データ信号X1〜X7、及び、マルチキャリア変調信号S2のノッチ帯域ではない帯域で伝送された変調データ信号X1’〜X7’が少なくとも格納された状態となる。
そして、平均化回路28により、ノッチ帯域で伝送された各変調データ信号と、ノッチ帯域はない帯域で伝送された各変調データ信号との間の平均信号が取得される。
これにより、マルチキャリア変調信号S1が伝送路Lを通じて伝送されている途中でノッチ帯域が生じても、ノッチ帯域に存在する各変調データ信号の信号レベルを、各変調データ信号を16QAMで復調することができる閾値(図5の破線で示すSN比)を下回らない程度に補完することが可能となる。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る送受信機について、図6及び図7を用いて説明する。尚、図6に示す送受信機A1は、送信ブロック1Aが、変調器10の後段に変調器10と隣接する拡散器(拡散処理部)18を備えるとともに、拡散符号を生成して拡散器18に出力する拡散符号生成部19を備える点で、図2に示す送受信機Aと異なる。
また、図6に示す送受信機A1は、受信ブロック2Aが、平均化回路28の後段に平均化回路28と隣接する逆拡散器(逆拡散処理部)31を備えるとともに、拡散符号を生成して逆拡散器31に出力する拡散符号生成部32を備える点で、図2に示す送受信機Aと異なる。
その他の構成は図2に示す送受信機Aと同様であるため説明及び図示を省略し、以下、本実施形態の特徴的な点について説明する。
図6は、本発明の第2実施形態に係る送受信機の機能モジュールの一例を示したブロック図である。拡散器18は、OFDM変調器13及びOFDM復調器25が用いるサブキャリアの数に等しい桁数を有する拡散符号を、各変調データ信号に乗じることにより拡散処理を行う。そして、拡散器18は、拡散処理された変調データ信号(以下、拡散変調データ信号という)をサブキャリアの数だけ取得する。
拡散符号生成部19は、サブキャリアの数と同じ桁数の拡散符号として、例えば、直交符号(Walsh code)を生成する。拡散符号生成部19は、OFDM変調器13及びOFDM復調器25が用いるサブキャリアの数が16本である場合には、16桁の直交符号、例えば、[c0、c1、c2、・・・、c15]で表される直交符号を生成する。ここにおいて、c0、c1、c2、・・・、c15の各々の値は、ユーザの違いに応じて適宜設定される値である。
拡散符号生成部19はこの種の直交符号を拡散器18に出力する。拡散器18は、拡散符号生成部19から出力された直交符号を受け付け、変調器10から順次出力される各変調データ信号に乗じる。
これにより、拡散器18は、拡散変調データ信号をサブキャリアの数(例えば16個)だけ取得する。拡散器18は、変調データ信号がX0で表される場合には、拡散変調データ信号として、拡散変調データ信号c0X0、拡散変調データ信号c1X0、拡散変調データ信号c2X0・・・、拡散変調データ信号c15X0を得る。以下、拡散変調データ信号c0X0から拡散変調データ信号c15X0に至るこの順を、図6に示す送受信機A1における信号順と称する。
拡散器18は、これらの拡散変調データ信号を、拡散変調データ信号c0X0、拡散変調データ信号c1X0、拡散変調データ信号c2X0・・・、拡散変調データ信号c15X0の順、すなわち信号順に、第1取得部11及びセレクタ12へ出力する。
これにより、送信ブロック1Aからは、前記信号順の拡散変調データ信号c0X0〜c15X0が、各サブキャリアの周波数が小さい順(第1の順)に各サブキャリアに割り当てられた第1マルチキャリア変調信号S1、及び、前記信号順の拡散変調データ信号c0X0〜c15X0が、各サブキャリアの周波数が大きい順(第2の順)すなわち第1マルチキャリア変調信号S1とは逆の順に各サブキャリアに割り当てられた第2マルチキャリア変調信号S2が交互に送信されることになる。
一方で、受信ブロック2Aが、これらのマルチキャリア変調信号S1及びマルチキャリア変調信号S2を受信したときには、まず先に、マルチキャリア変調信号S1がOFDM復調器25に入力され、次に、マルチキャリア変調信号S2がOFDM復調器25に入力される。
これにより、受信ブロック2Aにおいて、各サブキャリアの周波数が小さい順に各サブキャリアに割り当てられた各拡散変調データ信号c0X0〜c15X0がマルチキャリア変調信号S1として取得され(図7(a)参照)、次に、受信ブロック2Aにおいて、各サブキャリアの周波数が大きい順に各サブキャリアに割り当てられた各拡散変調データ信号c0X0〜c15X0がマルチキャリア変調信号S2として取得される(図7(a)参照)。
なお、図7においては、拡散変調データ信号c0X0〜c15X0を簡略化して、C0〜C15と表記している。以下、拡散変調データ信号c0X0〜c15X0のことを拡散変調データ信号C0〜C15と表記する。そして、符号Cに添えられた数字が、各拡散変調データ信号の信号順を表す信号番号を示している。
そして、受信ブロック2Aにおいて、マルチキャリア変調信号S1から取得された各拡散変調データ信号C0〜C15が、OFDM復調器25において取得された順(信号順)に順次平均化回路28に格納され、マルチキャリア変調信号S2から取得された各拡散変調データ信号C0’〜C15’が、OFDM復調器25において取得された順とは逆の順に並び替えられて、順次平均化回路28に格納される(図7(c)参照)。
そして、平均化回路28により、マルチキャリア変調信号S1に含まれる拡散変調データ信号と、第2マルチキャリア変調信号S2に含まれ、第1マルチキャリア変調信号S1に含まれる拡散変調データ信号と同じ内容を表す拡散変調データ信号との間の平均を表す平均信号が取得される((図7(d)参照)。
拡散符号生成部32は、送信ブロック1内の拡散符号生成部19と同じ拡散符号を生成して逆拡散器31に出力する。逆拡散器31は、平均化回路28により取得された平均信号を、拡散符号生成部32から出力された拡散符号で除して、信号レベルが平均化された変調データ信号X0を取得する。
送受信機A1は、以上の処理を、変調データ信号X1、変調データ信号X2・・・、変調データ信号X15についても順次行う。これにより、特定のユーザに対する変調データ信号X0〜X15で表されるデータの伝送を、高品質で行うことができる。
図7は、第2の実施形態に係る送受信機A1の基本処理を説明するための図である。図7(a),(b)は、拡散変調データ信号C0〜C15が割りあてられるサブキャリアの周波数と、各サブキャリアの特性との関係(SN比)を示した図である。図7(c),(d)は、各拡散変調データ信号の信号番号と、各拡散変調データ信号のSN比との関係を示した図である。図7は、拡散変調データ信号の信号番号が大きくなるほど、拡散変調データ信号が後に生成された変調データであることを示している。
OFDM変調器13により得られたマルチキャリア変調信号S1が伝送路Lに出力されて受信側に到達したときには、受信側において、例えば、図7(a)に示される周波数スペクトラムが得られる。
この周波数スペクトラムでは、サブキャリアの周波数が大きくなるほどSN比が小さくなることが判る。したがって、サブキャリアの周波数が大きくなるほど、各サブキャリアに割り当てられた拡散変調データ信号は、伝送路Lを通じた伝送途中において減衰し易いことが判る。
マルチキャリア変調信号S1では、先述されたように、各拡散変調データ信号を各サブキャリアの周波数が小さい順(増加していく順)に各サブキャリアに割り当てている。すなわち、マルチキャリア変調信号S1では、拡散変調データ信号C0〜C15が、図7(a)に示すように、周波数f0〜f15のサブキャリア0〜15に割り当てられている。
図7(a)から判るように、サブキャリアの周波数が大きくなるほど、サブキャリアに割り当てられた拡散変調データ信号が減衰し易いため、拡散変調データ信号が生成される順が新しくなるほど、伝送途中において減衰し易い。
一方、OFDM変調器13により得られたマルチキャリア変調信号S2が伝送路Lに出力されて受信側に到達したときには、受信側において、例えば、図7(b)に示される周波数スペクトラムが得られる。
この周波数スペクトラムでは、伝送路Lの特性が同じであるため、図7(a)と同じように、サブキャリアの周波数が大きくなるほどSN比が小さくなることが判る。したがって、サブキャリアの周波数が大きくなるほど、各サブキャリアに割り当てられた拡散変調データ信号は、伝送路Lを通じた伝送途中において減衰し易いことが判る。
マルチキャリア変調信号S2では、先述されたように、前記信号順の各拡散変調データ信号が各サブキャリアの周波数が大きい順(減少していく順)に各サブキャリアに割り当てられている。すなわち、マルチキャリア変調信号S2では、拡散変調データ信号C0〜C15が、図7(b)に示すように、周波数f15〜f0のサブキャリア15〜0に割り当てられている。
図7(b)から判るように、サブキャリアの周波数が小さくなるほど、サブキャリアに割り当てられた拡散変調データ信号が減衰しにくいため、拡散変調データ信号が生成される順が新しくなるほど、伝送途中において減衰しにくい。
以上のように、マルチキャリア変調信号S1が受信側に到達した時点において、図7(a)に示される周波数スペクトラムが得られる一方で、マルチキャリア変調信号S2が受信側に到達した時点において、図7(b)に示される周波数スペクトラムが得られる。
このように、マルチキャリア変調信号S2によって、マルチキャリア変調信号S1とは逆の順に各サブキャリアに割り当てられた各拡散変調データ信号は、第2取得部27により信号順に並び替えられて、平均化回路28へ出力される。
その結果、平均化回路28に、マルチキャリア変調信号S1から取得された各拡散変調データ信号、及び、マルチキャリア変調信号S2から取得された各拡散変調データ信号が格納されると、図7(c)に示す周波数スペクトラムが得られる。
尚、第2取得部27により並び替えられた各拡散変調データ信号として、図7(c)では、拡散変調データ信号C0’〜C15’が各々例示されている。また、図7(c)において、拡散変調データ信号の信号番号は、平均化回路28への入力順が後になるほど大きな数値になっている。
平均化回路28は、第1マルチキャリア変調信号S1から取得されて格納された拡散変調データ信号C0〜C15と、第2マルチキャリア変調信号S2から取得され、第2取得部27により並び替えられて格納された拡散変調データ信号C0’〜C15’とを、同じ入力順の拡散変調データ信号同士(信号番号が同じ拡散変調データ信号同士)平均することで、平均信号を取得する(図7(d)参照)。
すなわち、図7(c)、(d)を用いて説明すると、平均化回路28は、拡散変調データ信号C0の信号レベルと、拡散変調データ信号C0と同じ入力順の拡散変調データ信号C0’の信号レベルとの間の平均レベルを平均信号として取得する。平均化回路28は、同様の処理を、拡散変調データ信号C1〜C15、及び、拡散変調データ信号C1’〜C15’についても行う。
これにより、伝送路の特性やインパルス的なノイズの発生などにより、或るサブキャリアのSN比が、拡散変調データ信号を逆拡散したときに得られる変調データ信号を16QAMで復調することができる閾値(図7の破線で示すSN比)を下回る程小さくなっても、SN比が小さな拡散変調データ信号の信号レベルは、SN比がさほど小さくなっていないサブキャリアに割りあてられた拡散変調データ信号により、閾値を上回る程度にまで補完される(図7(d)参照)。
本発明の一局面に従う送受信機は、所定の変調方式で変調され、所定の順番が信号順として付与された複数の変調データ信号を、互いに周波数の異なる複数のサブキャリアに対して、前記各サブキャリアの周波数の大きさ順である第1の順に割り当てることによって第1マルチキャリア変調信号を生成する第1信号生成部と、前記複数の変調データ信号を前記第1の順とは逆の順である第2の順に前記各サブキャリアに割り当てることによって第2マルチキャリア変調信号を生成する第2信号生成部と、前記第1マルチキャリア変調信号及び前記第2マルチキャリア変調信号を送信する送信部と、前記第1マルチキャリア変調信号及び前記第2マルチキャリア変調信号を受信して、前記第1のマルチキャリア変調信号に含まれる各変調データ信号と、前記第2マルチキャリア変調信号に含まれる各変調データ信号との間で、前記信号順における順番が等しい変調データ信号同士の平均を表す平均信号を取得する受信部とを備える。
この構成によれば、送信側となった送受信機から、各変調データ信号が各サブキャリアの周波数の大きさ順である第1の順に各サブキャリアに割り当てられた第1マルチキャリア変調信号と、各変調データ信号が第1の順とは逆の順である第2の順に各サブキャリアに割り当てられた第2マルチキャリア変調信号とが、受信側の送受信機に送信される。
一方で、受信側となった送受信機は、送信側の送受信機から第1マルチキャリア変調信号を受信したときに、第1のマルチキャリア変調信号に含まれる変調データ信号と、第2マルチキャリア変調信号に含まれる各変調データ信号との間で、信号順における順番が等しい変調データ信号同士を平均して平均信号を生成する。信号順における順番が等しい変調データ信号同士は、互いに内容が等しい(サブキャリアで変調される前に二つの変調データ信号が表していた情報が等しい)。
これにより、或る周波数のサブキャリアに割り当てられて受信側の送受信機に到来した変調データ信号と、当該変調データ信号と同じ内容ではあるが別の周波数のサブキャリアに割り当てられて受信側の送受信機に到来した変調データ信号との間の平均信号が取得される。
そのため、送受信機同士を接続する伝送路の特性により、或る周波数のサブキャリアに割り当てられた変調データ信号のSN比が小さな場合でも、その変調データ信号のレベルが、その変調データ信号と同じ内容の変調データ信号ではあるが他の周波数のサブキャリアに割り当てられた変調データ信号のレベルにより補完される。
これにより、特定の周波数の搬送波においてSN比が小さくなっても、変調後のデータを伝送する本来の機能を阻害することなく、高品質なデータ伝送を実現することが可能となる。
また、前記受信部は、前記送信部から前記第1マルチキャリア変調信号及び前記第2マルチキャリア変調信号が送信されたときに、前記第1マルチキャリア変調信号から、前記第1の順に前記各変調データ信号を取得することにより、前記信号順にされた前記各変調データ信号を取得する第1信号取得部と、前記送信部から前記第1マルチキャリア変調信号及び前記第2マルチキャリア変調信号が送信されたときに、前記第2マルチキャリア変調信号から、前記第2の順に前記各変調データ信号を取得することにより、前記信号順にされた前記各変調データ信号を取得する第2信号取得部と、前記第1信号取得部により取得された各変調データ信号と、前記第2信号取得部により取得された各変調データ信号とについて、前記信号順における順番が等しい変調データ信号同士を平均することにより、前記各変調データ信号についての平均信号を取得する平均信号取得部と、を備えることが好ましい。
この構成によれば、送信部から第1マルチキャリア変調信号及び第2マルチキャリア変調信号が送信されてきたときには、第1信号取得部が第1マルチキャリア変調信号から第1の順に各変調データ信号を取得する。これとともに、第2信号取得部が第2マルチキャリア変調信号に含まれる各変調データ信号を、第1の順とは逆の第2の順に取得する。
そして、平均信号取得部が、第1信号取得部により取得された各変調データ信号と、第2信号取得部により取得された各変調データ信号とについて、第1信号取得部により取得された順と第2信号取得部により取得した順とが等しい変調データ信号同士を平均することにより、各変調データ信号についての平均信号を取得する。
これにより、或る周波数のサブキャリアに割り当てられて受信側の送受信機に到来した変調データ信号と、当該変調データ信号と同じ内容ではあるが別の周波数のサブキャリアに割り当てられて受信側の送受信機に到来した変調データ信号との間の平均信号を取得する構成を具現化することができる。
また、前記各変調データ信号を順次受け付け、受け付けた前記各変調データ信号を前記第1の順に前記各サブキャリアに割り当てるOFDM変調器と、前記第1マルチキャリア変調信号又は前記第2マルチキャリア変調信号の入力を受け付けて、受け付けたマルチキャリア変調信号から、前記第1の順に前記各変調データ信号を取得するOFDM復調器とをさらに備え、前記第1信号生成部は、前記各変調データ信号を前記信号順に前記OFDM変調器へ出力することによって、前記OFDM変調器により前記第1マルチキャリア変調信号を生成させ、前記第2信号生成部は、前記各変調データ信号を前記信号順と逆の順に前記OFDM変調器へ出力することによって、前記OFDM変調器により前記第2マルチキャリア変調信号を生成させ、前記第1信号取得部は、前記OFDM復調器によって前記第1マルチキャリア変調信号の入力が受け付けられたとき、前記OFDM復調器によって取得された前記各変調データ信号を前記信号順にされた各変調データ信号として取得し、前記第2信号取得部は、前記OFDM復調器によって前記第2マルチキャリア変調信号の入力が受け付けられたとき、前記OFDM復調器によって取得された前記各変調データ信号の順序を逆転させて、前記信号順にされた各変調データ信号として取得することが好ましい。
この構成によれば、第1信号生成部と第2信号生成部とで、一つのOFDM変調器を共用して利用することができる。また、第1信号取得部と第2信号取得部とで、一つのOFDM復調器を共用して利用することができる。従って、送受信機の回路を簡素化することが容易となる。
また、前記送信部は、前記第1マルチキャリア変調信号と前記第2マルチキャリア変調信号とを交互に含む信号を送信することが好ましい。
この構成によれば、送信部は、第1マルチキャリア変調信号と第2マルチキャリア変調信号とを交互に含む信号を送信するため、当該信号を受信した受信部は、当該信号から、第1マルチキャリア変調信号及び第2マルチキャリア変調信号を容易に取得することができる。
また、前記第1信号生成部及び前記第2信号生成部の前段に設けられ、前記各変調データ信号に、複数桁の拡散符号を乗算する拡散処理を施すことによって前記各変調データ信号が拡散変調された信号である複数の拡散変調データ信号を生成し、前記第1信号生成部及び前記第2信号生成部によって、前記各拡散変調データ信号を前記各変調データ信号の代わりに用いさせることによって、前記第1マルチキャリア変調信号及び前記第2マルチキャリア変調信号を生成させる拡散処理部をさらに備えることが好ましい。
この構成によれば、拡散処理部は、各変調データ信号に、複数桁の拡散符号を乗算する拡散処理を施して、拡散処理された各変調データ信号である複数の拡散変調データ信号を取得し、各拡散変調データ信号に基づき、第1信号生成部及び第2信号生成部によって、第1マルチキャリア変調信号及び前記第2マルチキャリア変調信号を生成させることができる。
これにより、各変調データ信号に、複数桁の拡散符号を乗算する拡散処理を施すことにより取得した拡散変調データ信号の複数を用いたマルチキャリア通信、いわゆるマルチキャリアCDMA(Code Division Multiple Access)通信を行うことができる。
そのため、伝送路中において、相互に相手先が異なるマルチキャリア変調信号が混在していても、受信側の送受信機では、目的のマルチキャリア変調信号に対応する拡散符号を用いて当該マルチキャリア変調信号から各変調データ信号を適切に取得することができるため、高品質なデータ伝送を実現することができる。
また、前記受信部により取得された平均信号に、前記拡散符号を除する逆拡散処理を施して、前記平均信号から、信号レベルが平均化された各変調データ信号を取得する逆拡散処理部をさらに備えることが好ましい。
この構成によれば、受信部により取得された平均信号に拡散符号を除した逆拡散処理を施して、平均信号から、信号レベルが平均化された各変調データ信号を取得する。
これにより、マルチキャリアCDMA通信を行う際に、特定のサブキャリアで減衰が生じていても、減衰が生じたサブキャリアに割り当てられた変調データ信号の信号レベルと、減衰が生じていないサブキャリアに割り当てられ、減衰が生じたサブキャリアに割り当てられた変調データ信号と同じ内容の変調データ信号の信号レベルとの間の平均が取得される。
したがって、マルチキャリアCDMA通信を行うに際し、特定の周波数のサブキャリアのSN比が小さくなっても、高品質なデータ伝送を実現することができる。
上述したように、特定の周波数の搬送波においてSN比が小さくなっても、変調後のデータを伝送する本来の機能を阻害することなく、高品質なデータ伝送を実現できる送受信機を低コストで提供することができる。
この出願は、2010年2月19日に出願された日本国特許出願特願2010−034968を基礎とするものであり、その内容は、本願に含まれるものである。
なお、発明を実施するための形態の項においてなされた具体的な実施態様又は実施例は、あくまでも、本発明の技術内容を明らかにするものであって、そのような具体例にのみ限定して狭義に解釈されるべきものではなく、本発明の精神と次に記載する特許請求事項との範囲内で、種々変更して実施することができるものである。