JP5654403B2 - 防錆塗料用水性樹脂組成物 - Google Patents
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Description
防錆塗料は、有機溶剤系防錆塗料と水系防錆塗料とに大別される。有機溶剤系防錆塗料は、防錆性、密着性、耐水性等に優れるが、溶剤による中毒や火災等の危険性や、大気汚染等の環境への影響が問題であった。そこで近年は、作業時の安全性の向上や環境負荷の軽減の観点から、優れた性能を発揮する水系防錆塗料の開発が望まれており、研究が盛んに行われている。
以下に本発明を詳述する。
また、上記防錆塗料用水性樹脂組成物において、水性樹脂は、例えばエマルションのように、媒体中に均一に分散された形態で存在することが好ましい。
上記媒体としては、水性媒体であることが好ましく、例えば、水や、水と混じりあう溶媒と水との混合溶媒等が挙げられる。中でも、本発明の防錆塗料用水性樹脂組成物を塗布する際の安全性や環境への影響を考慮すると、水性媒体100質量%中、水が50質量%以上であることが好適である。より好ましくは70質量%以上であり、更に好ましくは100質量%、すなわち水を媒体として用いることである。
上記水性樹脂を媒体中に分散させて用いる場合、予め水性樹脂を水性媒体中に分散して組成物に混合してもよいし、水性樹脂を未分散状態で混合後、最終的に組成物中で水性媒体中に分散されるようにしてもよい。
水性樹脂がコア・シェル構造を有する形態においては、不飽和カルボン酸単量体及びその他の共重合可能な不飽和単量体は、水性樹脂のコア部を形成する単量体成分、シェル部を形成する単量体成分のいずれに含まれていてもよく、これらの両方に用いられるものであってもよい。
エチレン系不飽和カルボン酸単量体としては特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、モノメチルフマレート、モノエチルフマレート、モノメチルマイエート、モノエチルマイエート等の不飽和カルボン酸類又はその誘導体等の1種又は2種以上が挙げられる。これらの中でも、(メタ)アクリル酸又はその塩(以下、「(メタ)アクリル酸系単量体」とも称する。)が好適である。
上記塩としては、金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩等が好適である。金属塩を形成する金属原子としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属原子等の1価の金属原子;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属原子等の2価の金属原子;アルミニウム、鉄等の3価の金属原子が好適であり、また、有機アミン塩としては、エタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩等のアルカノールアミン塩や、トリエチルアミン塩が好適である。
なお、上記塩としては、上述した(メタ)アクリル酸系単量体の塩と同様の形態であることが好ましい。
なお、上記単量体成分中の(メタ)アクリロイル基を有する不飽和単量体((メタ)アクリル系単量体)、すなわち上述した(メタ)アクリル酸系単量体や(メタ)アクリル酸系単量体以外の(メタ)アクリル系単量体の含有量としては、これらの合計量が、全単量体成分100質量%中、20質量%以上となることが好適である。より好ましくは30質量%以上である。
上記芳香環を有する不飽和単量体の割合としては、全単量体成分100質量%中、0〜80質量%であることが好適である。より好ましくは10〜75質量%である。
上記炭素数1〜20の炭化水素基は特に限定されず、飽和炭化水素基であっても、不飽和炭化水素基であってもよい。また、直鎖状炭化水素基、分岐状炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基のいずれであってもよく、これらのうち複数種類の構造を有する基であってもよい。また、置換基を有していてもよい。なかでも、炭素数1〜10の炭化水素基が好ましく、より好ましくは、炭素数1〜3の炭化水素基であり、更に好ましくは、炭素数1〜2の飽和アルキル基又は不飽和アルキル基である。
炭素数1〜20の炭化水素基として具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロへキシル基等の、炭素数1〜20の脂肪族又は脂環式アルキル基;フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基等の、炭素数6〜20のアリール基;o−,m−又はp−トリル基、2,3−又は2,4−キシリル基、メシチル基等の、アルキル基で置換されたアリール基;ビフェニリル基等の、(アルキル)フェニル基で置換されたアリール基;ベンジル基、フェネチル基、ベンズヒドリル基、トリチル基等の、アリール基で置換されたアルキル基等が挙げられる。
上述したもののうち、R5、R6、R7としては、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基が好ましく、水素原子及びメチル基がより好ましく、水素原子が最も好ましい。
上記炭素数1〜20の2価の炭化水素基は特に限定されず、飽和炭化水素基であっても、不飽和炭化水素基であってもよい。また、直鎖状炭化水素基、分岐状炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基のいずれであってもよく、これらのうち複数種類の構造を有する基であってもよい。また、置換基を有していてもよい。
なかでも、炭素数1〜10の2価の炭化水素基が好ましく、より好ましくは、炭素数1〜5の2価の炭化水素基であり、更に好ましくは、炭素数1〜5のアルキレン基であり、特に好ましくは、炭素数1〜3のアルキレン基である。
上記炭素数1〜20の2価の炭化水素基として具体的には、メチレン基(−CH2−)、エチレン基(−CH2CH2−)、トリメチレン基(−CH2CH2CH2−)、テトラメチレン基(−CH2CH2CH2CH2−)、ペンタメチレン基、へキサメチレン基等の、直鎖のアルキレン基;エチリデン基[−CH(CH3)−]、プロピレン基[−CH(CH3)CH2−]、プロピリデン基[−CH(CH3CH2)−]、イソプロピリデン基[−C(CH3)2−]、等の分岐鎖のアルキレン基等が挙げられる。これらの中でも、メチレン基、エチレン基が好ましく、特にメチレン基であることが好ましい。
R8が−O−RX−で表される基である場合、上記一般式(1)で表される化合物はエステル基とRXで表される2価の炭化水素基とを有することになる。R8が−N−RX−で表される基である場合、上記一般式(1)で表される化合物はアミド基とRXで表される2価の炭化水素基とを有することになる。RXで表される2価の炭化水素基としては、上述した炭素数1〜20の2価の炭化水素基と同様のものを挙げることができる。
上述したもののうち、R8としては、直接結合、メチレン基、エチレン基が好ましく、直接結合、メチレン基がより好ましく、直接結合が最も好ましい。
炭素数1〜20の炭化水素基は、R5、R6、R7について上述したものと同様である。
−RX−O−RYで表される基は、構造中にエーテル基と炭化水素基とを有する基である。RXで表される2価の炭化水素基は、R8について上述したものと同様である。また、RYで表される炭化水素基は、R5、R6、R7について上述したものと同様である。−RX−O−RYで表される基として具体的には、メトキシメチル基、エトキシメチル基、アリルオキシメチル基、メトキシエチル基等を挙げることができる。好ましくはメトキシメチル基である。
−RX−OHで表される基は、構造中にアルコール末端(アルコール基、ヒドロキシル基)と炭化水素基とを有する基である。RXで表される炭化水素基は、R8について上述したものと同様である。−RX−OHで表される基として具体的には、ヒドロキシメチル基(メチロール基)、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基等を挙げることができる。好ましくはヒドロキシメチル基(メチロール基)である。
R9、R10としては、一方が水素原子、他方がイソプロピル基である形態が特に好ましい。
上記窒素原子と2〜6個の炭素原子とにより構成される環構造としては、例えば、下記一般式(2−1)〜(2−5)で表される構造や、それらが有する水素原子の1又は2以上が他の基によって置換された構造を挙げることができる。
上記官能基を有する不飽和単量体の含有量は、全単量体成分100質量%に対して10質量%未満であることが好適であり、より好ましくは0.1〜3質量%である。
上記Tgは、水性樹脂を構成する各単量体のホモポリマー(単独重合体)のガラス転移温度(Tgn)を用いて、下記Foxの式より計算することができる(単位:K、絶対温度)。
1/Tg=Σ(Wn/Tgn)/100
(式中、Wnは、全単量体成分に対する単量体nの質量分率(質量%)を表す。Tgnは、単量体nからなるホモポリマーのガラス転移温度(単位:K)を表す。)
なお、3種以上の重合体を含む場合には、このうちの少なくとも2種の重合体のTgが異なればよく、残りの1種以上については、当該2種の重合体のいずれかとTgが同じであってもよい。
なお、重量平均分子量は、以下の測定条件下で、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)測定により求めることができる。
測定機器:HLC−8120GPC(商品名、東ソー社製)
分子量カラム:TSK−GEL GMHXL−Lと、TSK−GELG5000HXL(いずれも東ソー社製)とを直列に接続して使用
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
検量線用標準物質:ポリスチレン(東ソー社製)
測定方法:測定対象物を固形分が約0.2質量%となるようにTHFに溶解し、フィルターにてろ過した物を測定サンプルとして分子量を測定する。
水性樹脂粒子の平均粒子径は、より好ましくは、60〜350nmであり、更に好ましくは、70〜300nmである。最も好ましくは、80〜250nmである。
平均粒子径は、動的光散法により求めることが可能であり、NICOM P Model 380(粒度分布測定器、商品名、パーティクル サイジング システムズ[Particle Sizing Systems]社製)でウインドウズベースのソフトウェア(Windows(登録商標) Based Software)を用いて測定することにより求めることができる。解析は、ボリューム−ウエイテッド ガウシアン ディストリビューション アナリシス(VOLUME−Weighted GAUSSIAN DISTRIBUTION Analysis)(固体粒子[Solid Particle])により行うことができる。
上記コア・シェル複合構造においては、コア部の表面がシェル部によって被覆された形態であることが好ましい。この場合、コア部の表面は、シェル部によって完全に被覆されていることが好適であるが、完全に被覆されていなくてもよく、例えば、網目状に被覆されている形態や、所々においてコア部が露出している形態であってもよい。
上記コア部とシェル部とを有する水性樹脂の分散体は、後述する乳化重合法(多段重合)を用いて得ることができる。
pHは、pHメーター(堀場製作所社製「F−23」)により測定することができる。
上記水分散性樹脂の形成成分は、エポキシ樹脂、不飽和脂肪酸及び(メタ)アクリル系単量体を必須とする限り、更に他の成分を含んでいてもよく、各成分は、それぞれ1種又は2種以上を使用することができる。
また、上記水分散性樹脂は、上記水性樹脂と異なるものであり、かつ、上述した形成成分を必須成分とする限り、更に他の成分を含んで形成されてもよく、各成分は、それぞれ1種又は2種以上を使用することができる。
上記水分散性樹脂の形成成分を含む場合には、エポキシ樹脂、不飽和脂肪酸及び(メタ)アクリル系単量体の全てが未反応の状態であってもよいし、上記3成分のうちの一部又は全部が他の成分と反応した状態で含んでいてもよい。上記3成分のうちの一部又は全部が他の成分と反応した状態としては、上記3成分のうちの1〜3成分が上記3成分のうちの他の成分と反応した状態(例えば、エポキシ樹脂と不飽和脂肪酸とが反応し、(メタ)アクリル系単量体は未反応である状態)や、上記3成分のうちの1〜3成分が上記3成分以外の他の成分と反応した状態が含まれる。
なお、上記水分散性樹脂の形成成分及び水分散性樹脂はいずれも、防錆塗料用水性樹脂組成物中で水等の水性媒体中に分散された状態で含まれていればよく、予め水分散性樹脂の形成成分及び/又は水分散性樹脂を水性媒体中に分散して組成物に混合してもよいし、それらを未分散状態で混合後、最終的に組成物中で水性媒体中に分散されるようにしてもよい。
エポキシ樹脂としては、ビスフェノール型エポキシ樹脂やノボラック型エポキシ樹脂等を用いることができるが、中でもビスフェノール型エポキシ樹脂を用いることが好ましい。これにより、塗膜の防食性や耐薬品性、金属に対する密着性等を向上させることができる。
上記ビスフェノール型エポキシ樹脂のエポキシ当量は150〜3000であることが好ましく、分子量は300〜4000であることが好ましい。
上記乾性油由来の脂肪酸としては、亜麻仁油、桐油、脱水ヒマシ油、大豆油、米油、紅花油、向日葵油、護謨種子油、重合油等の乾性油に由来する脂肪酸を挙げることができる。中でも、脱水ヒマシ油を用いることが好ましい。
また、上記不飽和脂肪酸とともに、上述した乾性油用いてもよい。上記不飽和脂肪酸及び乾性油は、2種以上を混合して用いてもよい。
上記カルボキシル基含有(メタ)アクリル系単量体は、分子内に少なくとも1つのカルボキシル基を有し、かつ、(メタ)アクリロイル基を有する化合物であり、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸及びこれらの無水物・塩・モノエステル等が挙げられる。好ましくは、(メタ)アクリル酸である。
上記共重合可能な単量体としては、スチレン等の芳香族系ビニル単量体(ビニルトルエン、α−メチルスチレン、クロロスチレン、スチレンスルホン酸等)、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、iso−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、iso−オクチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキルエステル;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリルアミド誘導体類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等;(メタ)アクリロニトリル等;エチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;ビニルピリジン等の塩基性モノマー類等が挙げられる。
好ましくは、スチレンである。
脂肪酸の金属塩としては、コバルト、マンガン、ジルコニウム、リチウム、バリウム、亜鉛、銅、鉄、カルシウム、マグネシウム、セリウム、アルミニウム、ストロンチウム等の金属と脂肪酸との塩の1種又は2種以上を用いることができる。
脂肪酸としては、オクチル酸、ナフテン酸、ネオデカン酸、酪酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグリノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸、トウハク酸、リンデル酸、ツズ酸、マッコウ酸、ミリストオレイン酸、ゾーマリン酸、ペトロセリン酸、オレイン酸、バクセン酸、ガドレイン酸、鯨油酸、エルシン酸、サメ油酸、リノール酸、ヒラゴ酸、エレオステアリン酸、ブニカ酸、トリコサン酸、リノレン酸、モロクチ酸、パリナリン酸、アラキドン酸、イワシ酸、ヒラガシラ酸、ニシン酸、大豆油脂肪酸、ステアリン酸、トール油脂肪酸等が挙げられる。
脂肪酸の金属塩として好ましくは、ナフテン酸コバルト、オクチル酸コバルト、ナフテン酸マンガン、オクチル酸マンガンである。
上記金属ドライヤーとしては、脂肪酸の金属塩以外に、上で例示した金属の単体や酸化物の1種又は2種以上を用いることもできる。
なお、上記防錆塗料用水性樹脂組成物が金属ドライヤーを含む形態において無機顔料を用いる場合には、無機顔料として該金属ドライヤーとは異なるものを用いることが好ましい。
すなわち、本発明の防錆塗料用水性樹脂組成物が、更に、金属ドライヤーとは異なる無機顔料を含むことは、本発明の好適な実施形態の1つである。
金属ドライヤーとしての作用を発揮しない無機顔料としては、カーボン・ブラックが好ましい。
同様に、防錆塗料用水性樹脂組成物が無機顔料以外の他の成分を含む場合、他の成分としては、金属ドライヤーとしての作用を発揮しないものであることが好ましい。
なお、複数種類の無機顔料を用いる場合には、全ての種類の無機顔料の合計量が上記範囲内にあることが好ましい。
上記水性樹脂のエマルションの製造方法としては、乳化剤の存在下で乳化重合法により単量体成分を重合することになるが、乳化重合を行う形態としては特に限定されず、例えば、水性媒体中に単量体成分、重合開始剤及び乳化剤を適宜加えて重合することにより行うことができる。また、分子量調節のために重合連鎖移動剤等を用いてもよい。
また、乳化剤及び/又は保護コロイドの存在下、水性媒体中で単量体成分を乳化重合させてコア部を形成した後、該コア部を含むエマルションに更に単量体成分を乳化重合させてシェル部を形成する多段重合により得ることが好ましい。
シード粒子を形成させるため重合器に直接仕込む水・乳化剤・重合性単量体からなる単量体乳化物は、フィードするトータル量の0.5〜10質量%であることが好ましい。また、乳化剤水溶液のみを直接重合器に仕込む手法も好ましい手法の1つであり、トータルの重合性単量体に対し、乳化剤固形分に換算して0.05〜2.0質量%の量が好ましい。
なお、上記水性媒体の使用量は、得ようとするエマルションの所望の樹脂固形分を考慮して適宜設定すればよい。
上記アニオン性乳化剤としては特に限定されず、例えば、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンオレイルエーテル硫酸ナトリウム塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、ポリオキシアルキレン(モノ、ジ、トリ)スチリルフェニルエーテル硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレン(モノ、ジ、トリ)ベンジルフェニルエーテル硫酸エステル塩、アルケニルコハク酸ジ塩;ナトリウムドデシルサルフェート、カリウムドデシルサルフェート、アンモニウムアルキルサルフェート等のアルキルサルフェート塩;ナトリウムドデシルポリグリコールエーテルサルフェート;ナトリウムスルホリシノエート;スルホン化パラフィン塩等のアルキルスルホネート;ナトリウムドデシルベンゼンスルホネート、アルカリフェノールヒドロキシエチレンのアルカリ金属サルフェート等のアルキルスルホネート;高アルキルナフタレンスルホン酸塩;ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物;ナトリウムラウレート、トリエタノールアミンオレエート、トリエタノールアミンアビエテート等の脂肪酸塩;ポリオキシアルキルエーテル硫酸エステル塩;ポリオキシエチレンカルボン酸エステル硫酸エステル塩;ポリオキシエチレンフェニルエーテル硫酸エステル塩;コハク酸ジアルキルエステルスルホン酸塩;ポリオキシエチレンアルキルアリールサルフェート塩等が挙げられる。
上記カチオン性乳化剤としては特に限定されず、例えば、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、エステル型ジアルキルアンモニウム塩、アミド型ジアルキルアンモニウム塩、ジアルキルイミダゾリニウム塩等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
上記高分子乳化剤としては特に限定されず、例えば、ポリビニルアルコール及びその変性物;(メタ)アクリル系水溶性高分子;ヒドロキシエチル(メタ)アクリル系水溶性高分子;ヒドロキシプロピル(メタ)アクリル系水溶性高分子;ポリビニルピロリドン等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
上記乳化剤の使用量としては、用いる乳化剤の種類や単量体成分の種類等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、上記エマルションを形成するのに用いられる単量体成分の総量100重量部に対して、0.1〜10重量部であることが好ましく、より好ましくは、0.5〜6重量部である。
上記保護コロイドの使用量としては、使用条件等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、上記エマルションを形成するのに用いられる単量体成分の総量100重量部に対して、5重量部以下であることが好ましく、より好ましくは3重量部以下である。
上記重合開始剤の使用量としては特に限定されず、重合開始剤の種類等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、上記単量体成分の総量100重量部に対して、0.1〜2重量部であることが好ましく、より好ましくは、0.15〜1重量部である。
上記還元剤の使用量としては特に限定されず、例えば、上記エマルションを形成するのに用いられる単量体成分の総量100重量部に対して、0.05〜1重量部であることが好ましい。
また単量体成分や重合開始剤等の添加方法としては特に限定されず、例えば、一括添加法、連続添加法、多段添加法等の方法を適用することができる。また、これらの添加方法を適宜組み合わせてもよい。
増粘剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、セルロース系誘導体、ポリカルボン酸系樹脂等が挙げられる。
増粘剤の配合量は、上記防錆塗料用水性樹脂組成物の固形分100重量部に対し、固形分で0.01〜2重量部とすることが好ましい。より好ましくは、0.05〜1.5重量部であり、更に好ましくは、0.1〜1重量部である。
<不揮発分>
得られたエマルション約1gを秤量し、熱風乾燥機で110℃×1時間乾燥後、乾燥残量を不揮発分として、乾燥前質量に対する比率を質量%で表示した。
各段で用いた単量体組成から、上述したFoxの式を用いて算出した。なお、全ての段で用いた単量体組成から算出したTgを「トータルTg」として記載した。
Foxの式により重合性単量体成分のガラス転移温度(Tg)を算出するのに使用したそれぞれのホモポリマーのTg値を下記に示した。
2−エチルヘキシルメタクリレート(2EHA):−70℃
シクロヘキシルメタクリレート(CHMA):66℃
メチルメタクリレート(MMA):105℃
スチレン(St):100℃
イソボルニルメタクリレート(IBMA):180℃
メタクリル酸(MAA):130℃
アクリル酸(AA):95℃
N−イソプロピルアクリルアミド(NIPAM):134℃
動的光散法により求めた。製造したエマルションを蒸留水で希釈し充分に攪拌混合した後、ガラスセルに約10ml採取し、これを動的光散法によるNICOM P Model 380(粒度分布測定器、商品名、パーティクル サイジング システムズ[Particle Sizing Systems]社製)でウインドウズベースのソフトウェア(Windows(登録商標) Based Software)を用いて測定することにより求めた。解析は、ボリューム−ウエイテッド ガウシアン ディストリビューション アナリシス(VOLUME−Weighted GAUSSIAN DISTRIBUTION Analysis)(固体粒子[Solid Particle])により行った。
製造例1
攪拌機、還流冷却管、温度計、窒素導入管及び滴下ロートを取り付けた重合器に、脱イオン水551.4部、及び、25%水溶液に調製したアデカリアソープSR−10(商品名、反応性乳化剤、ADEKA(株)社製)2部を仕込んだ。その後、窒素ガス気流下で攪拌しながら内温を80℃まで昇温した。一方、上記滴下ロートに2−エチルヘキシルアクリレート253.5部、メチルメタクリレート222.9部、メタクリル酸3.0部、アクリル酸4.4部、t−ドデシルメルカプタン0.2部、25%水溶液に調製したアデカリアソープSR−10を23.2部及び脱イオン水181.4部からなる第1段目の単量体乳化物を仕込んだ。次に、重合器の内温を80℃に維持しながら、上記単量体乳化物のうちの23部、4%ACVA(商品名、大塚化学(株)社製)水溶液24.5部を添加し、初期重合を開始した。30分後、反応系内を80℃に維持したまま、残りの単量体乳化物を100分にわたって均一に滴下した。同時に1.3%ACVA水溶液30.8部を100分かけて均一に滴下し、滴下終了後60分同温度を維持した。次に滴下ロートに2−エチルヘキシルアクリレート27.3部、スチレン382.6部、アクリル酸6.1部、25%水溶液に調製したアデカリアソープSR−10を19.6部及び脱イオン水147.3部からなる第2段目の単量体乳化物を仕込み、80分にわたって均一に滴下した(トータルTg23℃)。同時に1.3%ACVA水溶液37.6部を80分かけて均一に滴下し、滴下終了後90分同温度を維持し、重合を終了した。得られた反応液を室温まで冷却後、アンモニア水を添加し、不揮発分45%、粒子径160nm、pH9.2のエマルション(a−1)を得た。
攪拌機、還流冷却管、温度計、窒素導入管及び滴下ロートを取り付けた重合器に、脱イオン水540部を仕込んだ。その後、窒素ガス気流下で攪拌しながら内温を75℃まで昇温した。一方、上記滴下ロートにスチレン262.6部、アクリル酸7.4部、25%水溶液に調製したハイテノールNF−08(商品名、アニオン性乳化剤、第一工業製薬(株)社製)6.0部及び脱イオン水110部からなる第1段目の単量体乳化物を仕込んだ。次に、重合器の内温を80℃に維持しながら、上記単量体乳化物のうちの17部、4%V−50(商品名、和光純薬工業(株)社製)水溶液25部を添加し、初期重合を開始した。30分後、反応系内を80℃に維持したまま、残りの単量体乳化物を60分にわたって均一に滴下した。同時に3%V−50水溶液23部を60分かけて均一に滴下し、滴下終了後60分同温度を維持した。次に滴下ロートに2−エチルヘキシルアクリレート315部、メチルメタクリレート308部、アクリル酸7部、25%水溶液に調製したハイテノールNF−08を4.5部及び脱イオン水250部からなる第2段目の単量体乳化物を仕込み、120分にわたって均一に滴下した(トータルTg16℃)。同時に3%V−50水溶液46部を120分かけて均一に滴下し、滴下終了後90分同温度を維持し、重合を終了した。得られた反応液を室温まで冷却後、アンモニア水を添加し、不揮発分45%、粒子径110nm、pH9.0のエマルション(a−2)を得た。
攪拌機、還流冷却管、温度計、窒素導入管及び滴下ロートを取り付けた重合器に、脱イオン水655.1部、及び、25%水溶液に調製したアクアロンKH−05(商品名、反応性乳化剤、第一工業製薬社製)80部を仕込んだ。その後、窒素ガス気流下で攪拌しながら内温を80℃まで上昇した。一方、上記滴下ロートに2−エチルヘキシルアクリレート258部、スチレン211.6部、N−イソプロピルアクリルアミド(NIPAM)18部、アクリル酸7.4部、t−ドデシルメルカプタン0.2部、25%水溶液に調製したアクアロンKH−05を30.1部及び脱イオン水174.2部からなる第1段目の単量体乳化物を仕込んだ(1段目のTg−12℃)。次に、重合器の内温を80℃に維持しながら、上記単量体乳化物のうちの23部、4%V−50(商品名、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジヒドロクロライド、重合開始剤、和光純薬工業社製)水溶液24.5部を添加し、初期重合を開始した。30分後、反応系内を80℃に維持したまま、残りの単量体乳化物を100分にわたって均一に滴下した。同時に1.3%ACVA水溶液30.8部を100分かけて均一に滴下し、滴下終了後60分同温度を維持した。次に滴下ロートに2−エチルヘキシルアクリレート27.3部、スチレン371.4部、アクリル酸6.1部、25%水溶液に調製したアクアロンKH−05を40部及び脱イオン水130.5からなる第2段目の単量体乳化物を仕込み、80分にわたって均一に滴下した(2段目のTg80℃、トータルTg22℃)。同時に1.3%ACVA水溶液37.6部を80分かけて均一に滴下し、滴下終了後90分同温度を維持し、重合を終了した。得られた反応液を室温まで冷却後、アンモニア水を添加し、不揮発分42%、粒子径88nm、pH9.2のエマルション(a−3)を得た。
製造例4
攪拌機、温度計、冷却器、滴下ロートおよび窒素ガス導入管のついた四ツ口フラスコに、脱水ヒマシ油脂肪酸250部、エポトートYD−128(東都化成(株)社製、エポキシ樹脂)380部、エポトートYD−014(東都化成(株)社製、エポキシ樹脂)70部と、ブチルセロソルブ250部およびトリエチルアミン1.5部を仕込み、窒素ガスを吹き込みながら140℃まで昇温し、2時間反応させ、酸価が1以下になったところで反応を終了し、エポキシエステルを得た。
この反応物に、第2段の反応原料として、スチレン150部、アクリル酸50部、ブチルメタクリレート75部と、パーブチルD(日本油脂(株)社製、重合開始剤)6部からなる混合物を2時間にわたって滴下ロートから滴下し、さらに140℃で4時間保持した後、80℃まで冷却し、トリエチルアミン50部および脱イオン水1180部を加えて、不揮発分40.0%のアクリル変性エポキシエステルの水分散体(水分散性樹脂分散体(1))を得た。
実施例1〜9、比較例1〜2
実施例1
製造例1で得たエマルション(a−1)と、製造例4で得た水分散性樹脂分散体(1)とを不揮発分の重量比が70:30となるように混合することにより得た樹脂組成物230部に、Disperbyk−190(ビックケミージャパン(株)製、表面調整剤)0.4部、SNデフォーマー325(サンノプコ(株)社製、消泡剤)0.4部を加えて混合し、増粘剤を適宜添加して防錆塗料用水性樹脂組成物(1)を得た。
エマルション(a−1)に代えて製造例2で得たエマルション(a−2)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、防錆塗料用水性樹脂組成物(2)を得た。
実施例1の配合に、更に、ディックネート(DICNATE)3111(DIC(株)社製、金属ドライヤー)0.2部を加えて、防錆塗料用水性樹脂組成物(3)を得た。
ディックネート3111の添加量を0.6部としたこと以外は実施例3と同様にして、防錆塗料用水性樹脂組成物(4)を得た。
エマルション(a−2)と水分散性樹脂分散体(1)とを、不揮発分の重量比が90:10となるように混合したこと以外は実施例2と同様にして、防錆塗料用水性樹脂組成物(5)を得た。
エマルション(a−1)に代えてアデカレジンEP−6000(ADEKA(株)社製、エポキシ樹脂)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、防錆塗料用水性樹脂組成物(6)を得た。
エマルション(a−1)に代えてウォーターゾールBC−3010(DIC(株)社製、アルキド樹脂)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、防錆塗料用水性樹脂組成物(7)を得た。
実施例3の配合に、更に、脱イオン水6.0部、カーボンブラックMA100(三菱化学(株)社製、着色顔料)2.0部、酸化亜鉛(ハクスイテック(株)社製、防錆顔料)5.0部を加えて、防錆塗料用水性樹脂組成物(8)を得た。
エマルション(a−1)に代えて製造例3で得たエマルション(a−3)を用いたこと以外は実施例1と同様にして、防錆塗料用水性樹脂組成物(9)を得た。
ディックネート3111の添加量を1.0部としたこと以外は実施例3と同様にして、比較用水性樹脂組成物(1)を得た。
ディックネート3111の添加量を2.0部としたこと以外は実施例3と同様にして、比較用水性樹脂組成物(2)を得た。
自動車用鋼板、SPCC、0.8×70×150mm(日本テストパネル社製)をキシレン、次いでアセトンで洗浄し脱脂したものを基材とした。脱イオン水で不揮発分40%に調整した樹脂溶液を用い、No.42バーコーターにて基材に塗布した。塗布後、室温で10分、次いで60℃で20分乾燥させ、24時間養生後に測定に用いた。乾燥後の塗工厚は25±5μmであった。
JIS K5600に準じ、鉛筆引っかき硬度試験機(株式会社安田精機製作所製)を用いて鉛筆引っかき試験を行い、以下の基準で擦り傷による評価を行った。
◎:F以上
○:B以上F未満
×:B未満
JIS K5600に準じ、積層体の樹脂硬化物表面に碁盤目の切り込み(1mm×1mm、100桝)を入れ、セロハン粘着テープによる剥離試験を実施し、以下のように評価した。
○:剥離なし
△:剥離面積20%未満
×:剥離面積20%以上
JIS K5600に準じ、塗膜面の交差する2本の対角線にカッターナイフで傷をつけた試験片を、ソルトスプレー試験機を用いて480時間試験を行った後、カッターナイフで傷をつけた部分にテープを密着させてはがし、以下のように評価した。
○:剥離幅1mm未満
△:剥離幅1mm以上7mm未満
×:剥離幅7mm以上
JIS K5600に準じ、試験片の2/3を40℃温水に浸漬し、240時間試験を行った後、一次密着と同様に碁盤目の切り込みによるテープ剥離により、以下の基準で評価した。
◎:剥離なし
○:剥離面積2%未満
△:剥離面積2%以上20%未満
×:剥離面積20%以上
JIS K5600に準じ、塗膜面の交差する2本の対角線にカッターナイフで傷を付けた試験片について、ソルトスプレー試験機を用いて240時間及び480時間試験を行い、以下の基準で評価した。
◎:錆面積10%未満
○:錆面積10%以上30%未満
△:錆面積30%以上50%未満
×:錆面積50%以上
JIS K5600に準じ、試験片の2/3を40℃温水に240時間浸漬した後、目視評価を実施し、以下のように評価した。
◎:白化なし
○:若干白化
△:明瞭な白化
また、N−イソプロピルアクリルアミドを含む単量体成分を用いて形成したエマルションを用いた実施例9では、塗膜の防錆性が著しく向上することが分かった。
Claims (5)
- 水性樹脂を含む防錆塗料用水性樹脂組成物であって、
該水性樹脂は、(メタ)アクリル系単量体として(メタ)アクリル酸系単量体と(メタ)アクリル酸系単量体以外の(メタ)アクリル系単量体とを含み、(メタ)アクリル酸系単量体と(メタ)アクリル酸系単量体以外の(メタ)アクリル系単量体との合計量が全単量体成分100質量%中、20質量%以上であり、(メタ)アクリル酸系単量体の含有量が0.5〜2.0質量%であり、更に、芳香環を有する不飽和単量体の含有量が10〜80質量%である単量体成分から得られた樹脂であり、
該水性樹脂組成物は、更に、該水性樹脂とは異なる水分散性樹脂の形成成分、及び/又は、該水分散性樹脂の形成成分からなる水分散性樹脂を含み、
該水分散性樹脂の形成成分は、エポキシ樹脂10〜60質量%、不飽和脂肪酸10〜50質量%及び(メタ)アクリル系単量体10〜50質量%を必須とし、
該水性樹脂組成物は、金属ドライヤーの含有量が、水性樹脂、水分散性樹脂の形成成分及び水分散性樹脂の総量100質量%に対して0.6質量%以下である
ことを特徴とする防錆塗料用水性樹脂組成物。 - 前記エポキシ樹脂は、ビスフェノール型エポキシ樹脂である
ことを特徴とする請求項1に記載の防錆塗料用水性樹脂組成物。 - 前記水分散性樹脂の形成成分を構成する(メタ)アクリル系単量体は、ケト基又はアルデヒド基に由来する活性カルボニル基含有(メタ)アクリル系単量体及び/又はカルボキシル基含有(メタ)アクリル系単量体である
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の防錆塗料用水性樹脂組成物。 - 前記水性樹脂の粒子と、水分散性樹脂の形成成分及び/又は水分散性樹脂(不揮発分)との質量比(水性樹脂粒子)/(水分散性樹脂の形成成分及び水分散性樹脂の合計)は、45/55〜95/5であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の防錆塗料用水性樹脂組成物。
- 前記防錆塗料用水性樹脂組成物は、更に、前記金属ドライヤーとは異なる無機顔料を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の防錆塗料用水性樹脂組成物。
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