以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1から図3は、本発明の一実施の形態に係る運動補助具1の構成を表すものである。この運動補助具1は、足Mを載せる足載せ台10と、この足載せ台10を回転可能に支持する支持台20とを備えている。足載せ台10は、例えば、踵側を載せる基本台部11と、爪先を載せる爪先台部12とを有している。基本台部11及び爪先台部12は、例えば、板状部材により構成されており、爪先台部12は基本台部11に対して屈曲して設けられている。
基本台部11の上面には、足Mの踵側、具体的には中足骨から踵側を載せる基本面11Aが形成され、爪先台部12の上面には足Mの爪先を載せる爪先面12Aが形成されている。爪先面12Aは、基本面11Aに対して先端側が上に向かって傾斜するように設けられている。基本台部11と爪先台部12との屈曲部に中足骨頭付近を当て、爪先面12Aに爪先を当てて立つことにより、足Mの親指の付け根及び親指に力を入れやすくなり、容易かつ安定して足載せ台10を回転させることができるからである。また、爪先を足Mの甲の方に曲げた状態で足載せ台10を回転させることにより、爪先面の先端側を下に移動させた時には、自然と爪先立ちの状態となり、足裏から骨盤まわりまでの筋肉に力を入れることができ、逆に、基本面の後端側を下に移動させた時には、自然と爪先及び足首が上の方に曲がった状態となり、足裏から腿をより伸ばすことができるからである。なお、先端側というのは、基本面11Aに踵側を載せ、爪先面12Aに爪先を載せた時の爪先側である。
基本面11Aと爪先面12Aとのなす角θ1の角度は、120度以上160度以下であることが好ましい。角θ1が160度よりも大きいと、爪先立ちにならないので力が入り難くなり、角θ1が120度よりも小さいと、爪先の曲りが大きくなり、足Mに負担がかかって痛くなってしまうからである。角θ1の角度は、例えば、130度以上160度以下であればより好ましく、130度以上150度以下であれば更に好ましい。より高い効果を得ることができるからである。
足載せ台10は、例えば、両方の足Mを並べて載せることができる大きさに形成されている。具体的には、両方の足Mを肩幅程度に広げて載せることができる程度の大きさであることが好ましい。基本面11A及び爪先面12Aには、例えば、滑り止めが設けられていることが好ましい。
足載せ台10の底面には、例えば、シャフト13が配設されており、支持台20に設けられたベアリング21により回転可能に支持されている。シャフト13は、例えば、基本台部11の先端側において、足載せ台10の幅方向、すなわち、基本面11Aに踵側を載せ、爪先面12Aに爪先を載せた時の足Mの幅方向に伸長して設けられている。これにより、足載せ台10は、支持台20により、基本面11Aの後端側を上に移動させたときに爪先面12Aの先端側が下に移動し、基本面11Aの後端側を下に移動させたときに爪先面12Aの先端側が上に移動するように回転可能に支持されている。なお、後端側というのは、基本面11Aに踵側を載せ、爪先面12Aに爪先を載せた時の踵側である。
足載せ台10の回転軸線13Aは、基本面11Aの先端側から後端側に向かい0.5cm以上6cm以下の範囲内で離れた基準領域、及び、この基準領域に対応する基本面11Aに対して垂直方向の基準垂直領域よりなる回転軸線領域14内に位置するようにすることが好ましい。図2に足載せ台10を取り出して表し回転軸線領域14を網掛けで示す。足載せ台10の回転軸線13Aが回転軸線領域よりも先端側にあると、爪先に力を入れて爪先面12Aの先端側を下に移動させるのが難しくなり、足載せ台10の回転軸線13Aが回転軸線領域よりも後端側にあると、踵側に体重を移動させて基本面11Aの後端側を下に移動させるのが難しくなるからである。
また、足載せ台10の回転軸線13Aは、基本面11Aに対する垂直方向においては、基本面11Aに近い方が好ましく、例えば、基本面11Aから4cm以内、更には、3cm以内の範囲内に位置するようにすればより好ましい。回転軸線13Aが基本面11から離れると、足載せ台10を回転させた際に、基本面11が前後に移動する距離が長くなり、安定して足載せ台10を回転させることが難しくなるからである。
足載せ台10の回転範囲は、図3(A)に示したように、爪先面12Aの先端側を下に移動させた時に、爪先面12Aの先端側が水平状態よりも下で、爪先面12Aと水平面とのなす角θ2の角度が0度よりも大きく12度以下の範囲内まで下がるように調整されていることが好ましい。爪先面12Aの先端側を水平状態よりも下まで下げることにより、爪先立ちの状態となり、足裏、ふくらはぎ、腿、及び、骨盤まわりの筋肉に力を入れることができるからである。また、角θ2をあまり大きくすると利用者がバランスを保ち難くなるからである。なお、この運動補助具1では、爪先面12Aを基本面11Aに対して先端側が上に向くように所定の角度で傾斜させているので、角θ2をあまり大きくしなくても筋肉に力が入り、筋力を効果的に強化することができるようになっている。足載せ台10の回転範囲は、爪先面12Aの先端側が水平状態よりも下で、角θ2の角度が2度以上9度以下の範囲内まで下がるようにすればより好ましい。
また、足載せ台10の回転範囲は、図3(B)に示したように、基本面11Aの後端側を下に移動させた時に、基本面11Aの後端側が水平状態よりも下で、基本面11Aと水平面とのなす角θ3の角度が20度以上40度以下の範囲内まで下がるように調整されていることが好ましい。基本面の後端側をこの範囲内まで下げることにより、足裏、ふくらはぎ、及び、腿を効果的に伸ばすことができ、より高いストレッチ効果を得ることができるからである。足載せ台10の回転範囲は、基本面11Aの後端側が水平状態よりも下で、角θ3の角度が22度以上30度以下の範囲内まで下がるようにすればより好ましい。
支持台20には、例えば、基本面11Aの後端側が所定の位置よりも下に移動しないように足載せ台10の回転を停止する基本面停止部22と、爪先面12Aの先端側が所定の位置よりも下に移動しないように足載せ台10の回転を停止する爪先面停止部23とが設けられている。基本面停止部22は、例えば、基本面11Aの後端側が下に下がるように移動してきた時に、基本台部11の底面に一部が当接するように構成され、爪先面停止部23は、例えば、爪先面12Aの先端側が下に下がるように移動してきた時に、爪先台部12の底面に一部が当接するように構成されている。基本面停止部22の基本台部11との当接面、及び、爪先面停止部23の爪先台部12との当接面には、例えば、当接時の衝撃を緩和するために、ゴムなどよりなる緩衝材が配設されている。
支持台20には、また、足載せ台10の前方側に立設して、利用者が握って体を支えるための握部材24が設けられていることが好ましい。利用者が身体を支えるのに利用すると共に、運動補助具1の前方側を重くすることにより、基本面11Aの後端側を下に下げた時に利用者の体重が後端側にかかり、運動補助具1が後方側に傾いてしまうことを防止するためである。前方側というのは、基本面11Aに踵側を載せ、爪先面12Aに爪先を載せた時の前方側であり、後方側というのは、その反対側である。
支持台20には、更に、足載せ台10の後方側に、伸長可能に転倒防止部材25が設けられていることが好ましい。基本面11Aの後端側を下に下げた時に、利用者の体重が後端側にかかり、運動補助具1が後方側に傾いてしまうことを防止するためである。転倒防止部材25は、例えば、足載せ台10の下に収納されており、利用時に、足載せ台10の後方側に引き出すことができるように構成されていることが好ましい。
また、この運動補助具1は、例えば、基本面11Aの後端側が下に移動する方向に足載せ台10を付勢する付勢部材30を備えていてもよい。足載せ台10の爪先面12Aの先端側を下に移動させる際に負荷を加えることにより、筋力をより効果的に強化することができるからである。付勢部材30は、例えば、ばね、ゴムチューブ、又は、シリンダーにより構成され、一端部が基本台部11の底面に配設され、他端部が支持台20に配設されている。
この運動補助具1は、例えば、次のようにして用いられる。まず、利用者は、基本台部11と爪先台部12との屈曲部に中足骨頭付近を当て、基本面11Aに踵側を当て、爪先面12Aに爪先を当てて、足載せ台10の上に両方の足Mで立つ。次いで、例えば、足Mの親指の付け根及び親指に力を入れて爪先面12Aを押し、体重をかける位置を移動させて足載せ台10を回転させ、爪先面12Aの先端側を下に移動させる。これにより、利用者は、自然に爪先立ちの状態となり、足裏、ふくらはぎ、腿、及び、骨盤まわりの筋肉に力が入り、筋力が強化される。続いて、例えば、体重を移動させて踵側で基本面11Aを押して足載せ台10を回転させ、基本面11Aの後端側を下に移動させる。これにより、利用者は、自然に爪先が上を向くように足首を曲げて立った状態となり、足裏、ふくらはぎ、及び、腿を伸ばすことができる。
このように、本実施の形態によれば、爪先面12Aを基本面11Aに対して先端側が上に向かい所定の範囲の角度で傾斜させて設けるようにしたので、爪先面12Aに爪先を当てて立つことにより、足Mの親指の付け根及び親指に力を入れやすくなり、容易かつ安定して足載せ台を回転させることができる。
また、爪先面12Aを基本面11Aに対して先端側が上に向かって傾斜するように設け、かつ、爪先面12Aの先端側が水平状態よりも下の所定の範囲内の位置まで下がるようにしたので、爪先面12Aの先端側を下に移動させた時に、自然と爪先立ちの状態となり、足裏、ふくらはぎ、腿、及び、骨盤まわりの筋肉に力を入れることができる。よって、足裏から骨盤まわりまでの筋力を効果的に強化することができる。
更に、爪先面12Aを基本面11Aに対して先端側が上に向かって傾斜するように設け、かつ、基本面11Aの後端側が水平状態よりも下の所定の範囲内の位置まで下がるようにしたので、基本面11Aの後端側を下に移動させた時に、自然と爪先及び足首が上の方に曲がった状態となり、爪先が曲がっていない場合に比べて、足裏、ふくらはぎ、及び、腿を効果的に伸ばすことができる。よって、より高いストレッチ効果を得ることができる。
加えて、足載せ台10の回転軸線13Aが基本面11Aの先端側から後端側に向かい0.5cm以上6cm以下の範囲内で離れた回転軸線領域内に位置するようにすれば、足Mの親指の付け根及び親指に力を入れて、より容易かつ安定して足載せ台を回転させることができる。また、足首を動かしやすくなり、バランス運動を容易に行うことができる。
以上、実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、種々変形可能である。例えば、上記実施の形態では、シャフト13の両端部を足載せ台10の横まで伸長し、足載せ台10の横において支持台20に回転可能に配設するようにしたが、例えば、図4に示したように、足載せ台10の下において支持台20に回転可能に配設するようにしてもよい。