JP5652375B2 - 積層塗膜 - Google Patents

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Description

本発明は、シリコーン樹脂膜と、その表面にコートし、加熱硬化することにより、硬度が高く、耐擦傷性、耐クラック性に優れた塗膜を与え、また塗液の保存安定性に優れたシリコーンハードコート組成物によるシリコーンハードコート膜とを構成要件とする積層塗膜に関する。
従来、プラスチック等の有機樹脂基材の表面に、高硬度、耐擦傷性の付与を目的とした表面保護塗膜を形成するコーティング剤として、加水分解性オルガノシランを加水分解もしくは部分加水分解して得られる組成物からなるコーティング剤、あるいは該組成物にコロイダルシリカを混合したコーティング剤が知られている。
例えば、特開昭51−2736号公報(特許文献1)、特開昭53−130732号公報(特許文献2)、特開昭63−168470号公報(特許文献3)には、オルガノアルコキシシラン、該オルガノアルコキシシランの加水分解物及び/又はその部分縮合物、及びコロイダルシリカからなり、過剰の水でアルコキシ基をシラノールに変換してなるコーティング剤が提案されている。
これらのコーティング剤により得られる塗膜は、硬度が高く、基材保護用として優れているが、靭性に乏しく、厚い塗膜においては、加熱硬化中、硬化加熱炉から取り出す際や、屋外で使用中、急激な温度変化が起こったときなどに容易にクラックが発生する。とりわけ、硬化触媒として緩衝化されていない塩基性化合物、例えば、トリエチルアミン、ベンジルトリメチルアミン、ピリジン等のアミン、水酸化ナトリウム、ナトリウムメトキシド等のアルカリ金属の水酸化物あるいはアルコキシドなどを用いた場合、得られる塗膜の硬度は非常に優れるものの、塗膜クラックが発生し易くなり、また塗液の保存安定性も著しく低下する。
塗膜の高硬度化と塗液の保存安定性を両立するための硬化触媒として、緩衝化された塩基性化合物、例えば蟻酸カリウム、酢酸ナトリウム、プロピオン酸カリウム等のカルボン酸のアルカリ金属塩、酢酸アンモニウム、酢酸ジメチルアミン、酢酸エタノールアミン、ジメチルアニリン蟻酸塩等のアミンカルボキシレート、テトラメチルアンモニウムアセテート、ベンジルトリメチルアンモニウムアセテート、テトラエチルアンモニウムベンゾエート等の4級アンモニウムカルボキシレートなどが用いられており、特開平9−71654号公報(特許文献4)に記載されている。
しかし、硬化触媒として保存安定性を考慮し、緩衝化された塩基性触媒が使用されているにもかかわらず、これらのコーティング用組成物は、アルコキシシランの加水分解物/縮合物が比較的低分子量体を主成分としており、これらに含まれるシラノールの反応性は非常に高く、またその含有量も多量であるため、常温でも徐々にそれらの縮合反応が起こり、経時で高分子量化し、得られる塗膜の硬度が低下したり、ゲル化する場合もあり、コーティング剤として使用できなくなるという問題が依然として残されたままであった。
とりわけ、シリコーンコーティング剤による厚い膜を形成しようとして、シリコーン層に直接シリコーン層を積層形成することは、一度塩基性硬化触媒により硬化したシリコーン膜表面上に、同一の塩基性触媒で架橋するシリコーン層を密着性よく形成することが困難であるため、積層したトップ膜において、加熱硬化中、あるいは、屋外で使用中、急激な温度変化が起こったときなどに容易にクラックが発生するという欠陥があった。
特開昭51−2736号公報 特開昭53−130732号公報 特開昭63−168470号公報 特開平9−71654号公報
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、シリコーン樹脂膜と、塗液の保存安定性に優れ、かつ高硬度で耐擦傷性に優れ、密着性も良好であり、しかも靭性も高く、急激な温度変化があってもクラックが発生しない塗膜を形成することができるシリコーンコーティング組成物の塗膜とを構成要件とする積層塗膜を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、塗液の保存安定性に優れ、シリコーン樹脂膜の表面上に積層されたシリコーンハードコート膜を形成できるシリコーンコーティング組成物として、〈i〉加水分解性ケイ素化合物と二酸化ケイ素微粒子の共加水分解物、〈ii〉硬化触媒、〈iii〉有機溶剤を含有する組成物が有効であることを見出した。この場合、この組成物で用いる硬化触媒を、この組成物によるシリコーンハードコート膜が積層される下層のシリコーン樹脂硬化膜の形成に用いられた硬化触媒よりも、硬化活性が強い、つまり塩基性の高い硬化触媒を用いると共に、好ましくはこれに適切な制御剤を組み合わせることにより、塗液の保存安定性に優れ、かつ高硬度で耐擦傷性に優れ、密着性も良好であり、しかも靭性も高く、急激な温度変化があってもクラックの発生しない厚膜が形成できることを見出したものである。
シリコーンハードコート塗膜を形成するためのシリコーンコーティング組成物中の硬化触媒は、保存安定性を付与する酸性の制御剤と、ケイ素化合物のシラノール基やアルコキシシリル基の縮合反応を促進して架橋により硬化を進め、ハードコート層の硬さと基板との密着性をも発現させる塩基性の硬化剤とから形成することが好ましい。活性の弱い硬化系は、活性の弱い触媒と活性の強い制御剤とから、あるいは少量の触媒と大量の制御剤で作ることができ、活性の強い硬化系は、活性の強い触媒と活性の弱い制御剤系とから、あるいは大量の触媒と少量の制御剤系で作ることができる。
本発明は、この組成物で用いる硬化触媒を、シリコーン樹脂硬化膜で用いられた硬化触媒よりも、硬化活性が強い硬化触媒を用いていることと、好ましくはこれに適切な制御剤を組み合わせることにより、保存安定性に優れ、かつ高硬度で耐擦傷性に優れ、密着性も良好であり、しかも靭性も高く、急激な温度変化があってもクラックの発生しない厚膜が形成できるものである。
この場合、シリコーンハードコート膜を形成するシリコーンコーティング組成物の硬化触媒が、塩基性有機化合物の硬化剤と酸性有機化合物の制御剤からなり、塩基性有機化合物が下記一般式(1)のアンモニウム化合物であることが好ましい。この塩基性有機化合物の硬化活性は、置換基のR1,R2,R3,R4の選択により制御でき、硬化活性の弱い触媒は、メチル以外のアルキルアンモニウム化合物にすればよく、硬化活性の強い触媒は、メチルのアルキルアンモニウム化合物にすればよい。縮合反応を促進して架橋により硬化を進めるが、これのみでは保存中にゲル化を起こす危険性があるため、酸性の制御剤を併用することで、保存中のシラノール基やアルコキシシリル基の縮合反応を制御して、適切な塗液の保存安定性と硬化膜形成を発現させることが好ましい。
従って、本発明は下記積層塗膜を提供する。
<1> 塩基触媒としてテトラブチルアンモニウムヒドロキサイドとアルコキシシリル基及び/又はシラノール基を有する硬化性シリコーンとを含むシリコーン樹脂組成物を硬化させることによって形成されたシリコーン樹脂膜と、その表面に直接形成されたシリコーンハードコート膜とを構成要件とする積層塗膜であって、上記シリコーンハードコート膜を形成するシリコーンコーティング組成物
〈i〉加水分解性ケイ素化合物と二酸化ケイ素微粒子との共(部分)加水分解物又は共(部分)加水分解縮合物、
〈ii〉テトラメチルアンモニウムヒドロキサイド、テトラメチルアンモニウムアセテート、テトラメチルアンモニウムフォーメートから選択される化合物からなる硬化剤と酸性有機化合物の制御剤とからなる硬化触媒
〈iii〉有機溶剤
を含有するものであることを特徴とする積層塗膜
<2> 〈ii〉成分のうち酸性有機化合物が、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、乳酸、クエン酸、コハク酸、マロン酸、酒石酸、酪酸から選ばれるものである<1>記載の積層塗膜。
<3> シリコーンコーティング組成物が、更に下記平均組成式(D)
R''' b Si(OR'''') c (OH) d (4-b-c-d)/2 (D)
(式中、R'''は、同一又は異種のアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、ハロゲン置換アルキル基から選ばれる炭素数1〜18の非置換又は置換の一価炭化水素基、R''''は、同一又は異種の炭素数1〜4のアルキル基又はアルケニル基を示し、b,c及びdは、0.8≦b≦1.5、0≦c≦0.3、0.001≦d≦0.5、0.801≦b+c+d<2を満たす数である。)
で示されるシロキサン樹脂を含有する<1>又は<2>記載の積層塗膜。
本発明によれば、塗膜クラックがなく、耐摩耗性及び接着性をバランスよく両立でき、しかも塗膜の保存安定性にも優れる加熱硬化性のシリコーンコーティング組成物が得られ、この組成物の硬化被膜は、積層して厚い膜の形成ができるため、耐擦傷性に優れるものとなり得る。
本発明のシリコーンコーティング組成物は、シリコーン樹脂膜の表面上に積層されたシリコーンハードコート膜を形成できる組成物であって、〈i〉加水分解性ケイ素化合物と二酸化ケイ素微粒子との共加水分解物又は共加水分解縮合物、〈ii〉硬化触媒、及び〈iii〉有機溶剤であって、シリコーン樹脂硬化膜で用いられた硬化触媒よりも、硬化活性が強い硬化触媒を用いていることを特徴とするシリコーンコーティング組成物である。
本発明を具体化する硬化触媒は、塩基性有機化合物の硬化剤と酸性有機化合物の制御剤とからなり、塩基性有機化合物が下記一般式(1)で表せるアンモニウム化合物であることが好ましい。
〔(R1)(R2)(R3)(R4)N〕+- (1)
(式中、R1,R2,R3,R4は、独立に水素原子又は炭素数1〜18のアルキル基もしくはハロゲン化アルキル基であって、X-は、ヒドロキサイドアニオン又は有機カルボン酸アニオンである。)
以下に、本発明の各成分を詳細に説明する。
1)〈i〉成分
本発明の組成物の〈i〉成分は、下記一般式(A)で表される少なくとも1種の加水分解性ケイ素化合物と二酸化ケイ素微粒子の共(部分)加水分解物又は共(部分)加水分解縮合物である。
R’aSi(OR”)(4-a) (A)
(式中、R’は炭素数1〜18の有機基、R”は、同一又は異種の炭素数1〜6の有機基を示し、aは0≦a≦2の整数である。)
R’は炭素数1〜18の有機基であり、特に炭素数1〜10の非置換又は置換の一価炭化水素基が好ましい。これらの一価炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、デシル基、シクロヘキシル基、1,1,2−トリメチルプロピル基等の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、フェニル基、トリル基等のアリル基、ベンジル基、フェニルエチル基等のアラルキル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基等のアルケニル基等が例示される。これらの中でも、特に耐擦傷性や耐候性が要求される用途に使用する場合にはアルキル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
(OR”)は加水分解性基であり、炭素数1〜6の加水分解性基等が挙げられる。具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、フェノキシ基、イソプロペノキシ基等のオルガノキシ基を挙げることができる。この中で、特に操作性、副産物の留去の容易さ、安定性から炭素数1〜4のアルコキシ基が好ましく、とりわけメトキシ基、エトキシ基が好ましく、ハードトップ剤の硬度、耐摩耗性、密着性の観点から、3官能性加水分解性シラン(a=1のシラン)が40モル%以上、特に50モル%以上含まれることが好ましく、100モル%であってもよい。
具体的なケイ素化合物としては、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン等が挙げられる。
上記ケイ素化合物を後述する二酸化ケイ素微粒子と共加水分解する場合、水量の上限に制限はないが、上記ケイ素化合物1モルに対し通常10モル以下、特には5モル以下である。また、その下限は1モル以上、特に1.2モル以上とすることが好ましい。
加水分解に使用する水には、極性有機溶剤を加えることが好ましく、極性有機溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、ジアセトンアルコール等のアルコール類、エチレングリコール、モノエチレングリコールモノエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノエーテル等が例示される。
〈i〉成分は、その他の成分として、紫外線吸収剤を加えることによって調製することができる。この紫外線吸収剤は、分子内にベンゾフェノン系の骨格を持ち、これが紫外線の吸収に寄与する化合物を用いることができる。
上記加水分解性ケイ素化合物と共加水分解される二酸化ケイ素微粒子は、塗膜に硬度・耐摩耗性を与える充填剤の役割と、粒子表面でバインダーとしての〈i〉成分中のシラノール基と結合を形成するため、架橋剤としての役割を果たすと考えられる。即ち、微粒子表面は水酸基(Si−OH)が存在しており、〈i〉成分との間で結合生成(Si−O−Si)が可能である。この二酸化ケイ素微粒子としては、特に、コロイド状の酸化ケイ素分散液、即ちコロイダルシリカで、分散媒中に分散された状態(酸化物ゾル)で使用するのが好ましい。分散媒は、水、アルコール等の極性溶剤が好ましい。
二酸化ケイ素微粒子の粒径は、塗膜の透明性が維持できるほど小さいものであれば使用可能であるが、1〜300nm、特に1〜100nmの範囲にあるものが好ましい。粒子の分散安定性を増す目的でシランカップリング剤やテトラエトキシシラン等のテトラアルコキシシラン、チタンカップリング剤、カルボキシル基含有有機ポリマー等で一部処理・被覆されたものを用いてもよい。但し、ここでの主成分は、無機二酸化ケイ素であって、安定化のため添加し、被覆に使用される有機物含有量は10質量%以下であることが好ましい。
二酸化ケイ素微粒子の配合量は、上記加水分解性ケイ素化合物100質量部に対して5〜300質量部、特に5〜100質量部が好ましい。
〈i〉成分は、上記二酸化ケイ素微粒子の水分散液を、原料である加水分解性ケイ素化合物に加えることによって調製するのが好ましい。これは、二酸化ケイ素微粒子共存下で〈i〉成分を製造することを意味する。この方法は、酸性あるいはアルカリ性の水分散の二酸化ケイ素ゾルを使用する場合に効率のよい製造方法であり、本発明では、特に酸性水分散二酸化ケイ素ゾルを用いることが好ましい。この調製法を用いた場合でも、加水分解性基(OR”)1モルに対し、水分散二酸化ケイ素ゾル中の水が1モル以上、好ましくは1.2モル以上であることが好ましい。1モル未満だと、加水分解性基が残存することになり、架橋密度の低下による硬度低下、密着性低下が起こる。なお、水量の上限に制限はないが、通常10モル以下、特には5モル以下である。
共加水分解に際し、加水分解触媒を使用してもよい。加水分解触媒としては、従来公知の触媒を使用することができ、特に酸性のハロゲン化水素、カルボン酸、スルホン酸、酸性あるいは弱酸性の酸化物や無機塩、イオン交換樹脂等の固体酸等を使用することができる。これらの例としては、酢酸、マレイン酸に代表される有機酸、表面にスルホン酸基又はカルボン酸基を有するカチオン交換樹脂等を好適に用いることができる。加水分解触媒の量は、加水分解性基(OR”)1モルに対して0.001〜10モル%が好ましい。また、加水分解は弱酸性条件下で加水分解することが好ましく、特にpHが2〜7の範囲で反応させることが好ましい。加水分解を弱酸性下で行わない場合は生成するシラノール基が不安定となり、縮合反応が進み、分子量が大きくなりすぎることがある。
とりわけ、トップ膜の高硬度を得るには、前記の加水分解に続いて、縮合させることが好ましい。縮合は、加水分解に続いて連続的に行えばよく、通常、液温が常温又は100℃以下の加熱下で行われる。100℃より高い温度ではゲル化する場合がある。更に80℃以上、常圧又は減圧下にて、加水分解で生成したアルコールを留去することにより、縮合を促進させることができる。更に、縮合を促進させる目的で、塩基性化合物、酸性化合物、金属キレート化合物等の縮合触媒を添加してもよい。縮合工程の前又は最中に、縮合の進行度及び濃度を調整する目的で有機溶剤を添加してもよく、また二酸化ケイ素ゾル等の金属酸化物微粒子を水もしくは有機溶剤中に分散させたものを添加してもよい。一般的にシリコーンレジンは縮合が進行すると共に、高分子量化し、水や生成アルコールへの溶解性が低下していくため、添加する有機溶剤としては、生成物をよく溶解し、沸点が80℃以上の比較的極性の高い有機溶剤が好ましい。このような有機溶剤の具体例としてはイソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、ジアセトンアルコール等のアルコール類;メチルプロピルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール等のケトン類;ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、アニソール、ジオキサン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエーテル類;酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸シクロヘキシル等のエステル類などを挙げることができる。
この縮合により得られたシリコーン生成物のGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)分析におけるポリスチレン換算数平均分子量は、1,500以上であることが好ましく、1,500〜50,000であることがより好ましく、2,000〜20,000であることが更に好ましい。分子量がこの範囲より低いと、塗膜の靱性が低く、クラックが発生しやすくなる傾向があり、一方、分子量が高すぎると、硬度が低くなる傾向があり、また塗膜中の樹脂が相分離するために塗膜白化を引き起こす場合がある。
また、シリコーンハードコート膜の可撓性を向上させることを目的として、下記平均組成式(D)で示されるシロキサン樹脂を共存させることができる。
R'''bSi(OR'''')c(OH)d(4-b-c-d)/2 (D)
(式中、R'''は、同一又は異種の炭素数1〜18の有機基、R''''は、同一又は異種の炭素数1〜4の有機基を示し、b,c及びdは、0.8≦b≦1.5、0≦c≦0.3、0.001≦d≦0.5、0.801≦b+c+d<2を満たす数である。)
で表され、ハードトップコート膜の高硬度性を維持しながら、柔軟性を与え、クラック等を防止する成分である。
この作用は、式(D)のシロキサン樹脂の末端基(OR''''及びOH)量が比較的少なく、ハードトップコート剤の架橋反応に限定的にしか関与せず、架橋ネットワークの隙間を埋める緩衝材のような役割を演じているためと考えられる。この場合、末端基量が少なすぎると、膜内に強固に固定されないので、耐溶剤性等で不利になる場合がある。従って、上記シロキサン樹脂としては、末端基量は比較的少ないが、限定的にハードトップコート膜内に固定化されるだけの結合形成を〈i〉成分との間で行うことができるものが必要である。
R'''は、同一又は異種の炭素数1〜18、特に1〜10の有機基であり、非置換又は置換の一価炭化水素基、例えばアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、ハロゲン置換アルキル基等が挙げられ、アルキル基、アリール基が好ましい。例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ビニル基、トリフルオロプロピル基等が挙げられる。
R''''は、同一又は異種の炭素数1〜4の有機基であり、特にアルキル基又はアルケニル基が挙げられる。(OR'''')は、シロキサン樹脂の末端基のうち、シラノール基(Si−OH)以外の部分を示し、具体例としてメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられ、原料の入手が容易なメトキシ基、エトキシ基が好ましい。
b,c及びdは、0.8≦b≦1.5、0≦c≦0.3、0.001≦d≦0.5、0.801≦b+c+d<2を満たす数である。R'''の含有量bが0.8未満だとクラック防止性が低下し、1.5を超えると、有機基が多くなって疎水性が高くなるため、ハードトップコート層への相溶性が低下し、膜内からブリードするため、クラック防止効果がなくなるだけでなく、ハジキ等の外観不良が生じる。OR''''の含有量cが0.3を超えると、末端基量が多く、〈i〉成分との縮合反応に関与してくる比率が高まり、クラック防止性能が発現しなくなる。これらのアルコキシ基等は赤外吸収スペクトル(IR)、アルカリクラッキングによるアルコール定量法等で定量可能である。
OHの含有量dが0.5を超えると、加熱硬化時〈i〉、〈ii〉成分との縮合反応に関与してくる比率が高まり、高硬度ではあるが耐クラック性に乏しくなる。dが0.001未満だと、〈i〉成分との結合生成が全くなくなり、膜内に固定化されず、硬度低下、耐溶剤性低下をもたらす。より好ましくは、0.9≦b≦1.3、0.001≦c≦0.2、0.01≦d≦0.3、0.911≦b+c+d≦1.8である。
上記シロキサン樹脂は、40℃以下で固体である。40℃以下で液体だと、加熱硬化時に上記シロキサン樹脂と〈i〉成分の間で結合が生成したとしても、塗膜の硬度、耐溶剤性が低下する。また、上記シロキサン樹脂中に含まれる揮発分は、105℃,3時間乾燥にて2質量%以下であることが好ましい。2質量%を超えると40℃以下でも固体が流動したり、融着したりして作業性が低下する場合がある。シロキサン樹脂は、軟化点が60〜90℃であることが好ましい。60℃未満だと、ハードトップコート膜の硬度、耐摩耗性が低下する場合があり、90℃を超えると、〈i〉成分への相溶性、耐クラック性が低下する場合がある。なお、軟化点はJIS K2207に準拠した環球法で測定した値である。
このシロキサン樹脂の分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によって測定することができる。本発明のシロキサン樹脂は、GPCにより測定したポリスチレン標準で換算した重量平均分子量が2,000以上、好ましくは2,000〜10,000である。分子量が2,000未満だと、末端基量が多すぎて架橋に関与してしまうためクラック防止性に乏しくなり、分子量が大きすぎると、〈i〉成分等との相溶性が低下し、塗膜が不透明になることがある。
シロキサン樹脂の製造方法は、以下のような従来公知のレジン製造方法が適用できる。即ち、1種類以上の加水分解性シラン化合物、あるいはこれらと有機溶剤との混合液に対し、水を加えて撹拌し、加水分解性シラン化合物と水を接触させることによって加水分解反応をさせ、加水分解反応によって発生するシラノール基を、互いに、あるいは他の加水分解性基と反応させてシロキサン結合(−Si−O−Si−)を生成させ、縮重合させることによる重合体製造法である。重合後、中和し、最終的に有機溶剤を留去することによって、固形のシロキサン樹脂を得ることができる。この固形レジンは、溶剤不溶のゲルとは異なり、再び有機溶剤に溶解するものである。特に本発明に用いる場合に有利な製造方法としては、加水分解を強酸性条件下(特にpHが2より小さいことが好ましい)に行うことがよい。このような強酸性条件下では、縮重合反応に寄与するシラノール基が弱酸性時に比べ不安定で、反応が次々と急速に進行するため高分子量体となる。
加水分解に用いる好ましい水量は、原料として用いるシランの加水分解性基の種類によるが、アルコキシシランを原料とした場合、加水分解性基OR''''1モルに対し、1.5モル未満、特に0.6〜1.0モルであることが好ましい。この場合のような強酸性条件での縮重合反応で、加水分解水量が1.5モル以上であると、急速に3次元的な縮合が進み、ゲル化するので不適である。また、原料がクロルシランの場合は、加水分解水量は特に問わない。
加水分解には有機溶剤を用いてもよく、有機溶剤は、水への溶解性の低い非極性溶剤が好ましい。具体的には、トルエン、キシレン、ヘキサン等の炭化水素系溶剤が主に好ましく用いられるが、水との混和性が低すぎると加水分解反応が進行しにくいので、アルコール等の極性溶剤を併用しても構わない。
原料となる加水分解性シラン化合物は、具体的にはビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルメチルジクロルシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、テトラクロルシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリクロルシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、プロピルトリクロルシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリクロルシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、フェニルトリクロルシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン等が好ましい。特にメチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリメトキシシランが好ましい。
上記シロキサン樹脂の配合量は、〈i〉成分の合計100質量部に対し、シロキサン樹脂が0〜100質量部、特に3〜80質量部であることが好ましい。シロキサン樹脂を配合しない場合、熱硬化の条件によってはクラックが発生する場合があり、100質量部を超えると、ハードトップコートとしての硬度、耐摩耗性が極端に低下する場合がある。
シロキサン樹脂を配合する場合に、シロキサン樹脂の有機溶剤溶液をあらかじめ調製しておいて、これを上記各成分と混合してもよい。シロキサン樹脂を溶剤に溶かす際、加熱を要する場合があるからである。溶剤としては、好ましくはエタノール、イソプロパノール、イソブタノール、プロピレングリコールモノアルキルエーテル、ダイアセトンアルコール等が使用できるが、これに限定されるものではない。
2)〈ii〉成分
〈ii〉成分は、シリコーンハードコート膜を形成するための上記〈i〉成分の共加水分解物又は共加水分解縮合物の硬化触媒であって、塩基性の硬化剤と酸性の制御剤とからなるものが好ましい。塩基性の硬化剤は、ケイ素化合物のシラノール基やアルコキシシリル基の縮合反応を促進して架橋により硬化を進め、ハードコート層の硬さと基板との密着性をも発現させ、酸性の制御剤はゲル化を制御して溶液の保存安定性を付与する役割を持っている。
本発明は、この組成物で用いる硬化触媒を、シリコーン樹脂硬化膜で用いられた硬化触媒よりも、硬化活性が強い、つまり塩基性の高い硬化触媒を用いていることと、好ましくは適切な制御剤を組み合わせることにより、塗液の保存安定性に優れ、かつ高硬度で耐擦傷性に優れ、密着性も良好であり、しかも靭性も高く、急激な温度変化があってもクラックの発生しない厚膜が形成できることを見出したものである。
シリコーンコーティング組成物の硬化触媒は、縮合反応を促進して架橋により硬化を進めるが、これのみでは保存中にゲル化を起こす危険性がある。酸性の制御剤を併用することで、保存中のシラノール基やアルコキシシリル基の縮合反応を制御して、適切な塗液の保存安定性と硬化膜形成を発現させるものである。
水溶液中において最も著しい強塩基は、アルカリ金属及びテトラアルキルアンモニウムの水酸化物である。水溶液中において酸HAがプロトンを放出した共役塩基A-の塩基解離定数は酸解離定数と以下の関係にあり、弱い酸であるほどその共役塩基は強い塩基となる。
金属の水酸化物の塩基強度は、金属イオンの電荷が小さく、イオン半径が大きいほど水酸化物イオンとの静電気力が弱くなり、強塩基となり、水に対する溶解度及び溶解度積も大きくなる。また、塩基強度は、金属の電気陰性度が小さいほどイオン結合性が強くなり、大きくなる。従って、金属アクアイオンの酸解離定数pKaは電荷をe、イオン半径をrとして(e2/r)とほぼ直線関係にあり、金属アクアイオンのpKaが大きく加水分解しにくいものほど、その金属の水酸化物は強塩基であることになる。強塩基とは、塩基解離定数の大きい塩基を指し、狭義には水溶液中において電離度が1に近く水酸化物イオンを定量的に生成し、塩基解離定数がpKb<0程度のものをいう。水溶性でかつ水溶液中において強塩基であるものは特に強アルカリともよばれる。
第四級アンモニウムカチオンは、分子式NR4+で表される正電荷を持った多原子イオンである。Rはアルキル基又はアリール基を示す。アンモニウムイオンNH4+や第一級・第二級・第三級アンモニウムカチオンとは違い、第四級アンモニウムカチオンは常に帯電していて、溶液のpHに左右されない。第四級アンモニウム塩や第四級アンモニウム化合物は第四級アンモニウムカチオンとほかのアニオンとの塩である。第四級アンモニウム化合物は第三級アミンのアルキル化で合成され、このプロセスは第四級化とよばれる。
硬化剤は、塩基性化合物、とりわけ、上記有機のアンモニウム化合物がよく、下記一般式(1)で表せるテトラアルキルアンモニウム化合物が望ましい。
第四級アンモニウム水酸化物の特徴は、アルカリ金属水酸化物と異なり、100〜300℃といった温度に晒すと容易に低沸点アミンとアルコールに分解し、塩基性が消失することである。このことが、硬化後のハードコート膜の耐久性の向上に寄与していると考えられる。
〔(R1)(R2)(R3)(R4)N〕+- (1)
(式中、R1,R2,R3,R4は、独立に水素原子又は炭素数1〜18のアルキル基もしくはハロゲン化アルキル基であって、X-は、ヒドロキサイドアニオン又は有機カルボン酸アニオンである。)
上記式中、R1,R2,R3,R4のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜18、好ましくは1〜12のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、クロロメチル基、γ−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン化アルキル基が挙げられる。有機カルボン酸アニオンとしては、ギ酸アニオン、酢酸アニオン、プロピオン酸アニオン、酪酸アニオン、吉草酸アニオン、カプロン酸アニオン等が挙げられる。
このような成分の具体例としては、例えば、テトラn−プロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラn−ブチルアンモニウムヒドロキシド、テトラn−ペンチルアンモニウムヒドロキシド、テトラn−ヘキシルアンモニウムヒドロキシド、テトラシクロヘキシルアンモニウムヒドロキシド、テトラキス(トリフルオロメチル)アンモニウムヒドロキシド、トリメチルシクロヘキシルアンモニウムヒドロキシド、トリメチル(トリフルオロメチル)アンモニウムヒドロキシド、トリメチルt−ブチルアンモニウムヒドロキシド等のヒドロキシド類を挙げることができる。
この塩基性の強さは、置換基の大きさに反比例し、例えばアルキル基の場合の塩基性の強さ、つまり、硬化活性の強さは、メチル基>エチル基>プロピル基>ブチル基>ペンチル基>ヘキシル基>ヘプチル基>オクチル基である。
塩基触媒とアルコキシシリル基により硬化させたシリコーン樹脂膜と積層されたシリコーンハードコート膜を形成できる組成物の硬化触媒は異なっていて、前者の硬化触媒の塩基性よりも、後者の硬化触媒の塩基性が強いことが必要であるが、このためにはこうしたアルキル基の選択を行えばよい。また、一般的に活性の弱い硬化系は、硬化性の弱い触媒と活性の強い制御剤系と、少量の触媒と大量の制御剤系で作ることができ、活性の強い硬化系は、活性の強い触媒と活性の弱い制御剤系と、大量の触媒と少量の制御剤系で作ることができる。硬化活性の弱い触媒は、メチル以外のアルキルアンモニウム化合物にすればよく、硬化活性の強い触媒は、メチルのアルキルアンモニウム化合物にすればよい。例えば、前者の塩基性硬化触媒が、テトラブチルアンモニウムアセテートであり、後者の塩基性硬化触媒が、テトラメチルアンモニウムヒドロキサイド、テトラメチルアンモニウムアセテート、テトラメチルアンモニウムフォーメートから選択される化合物が好適に使用できる。
制御活性の弱い制御剤は、分子量の高いカルボン酸化合物にすればよく、活性の強い制御剤は、分子量の低いカルボン酸化合物にすればよい。カルボン酸はカルボキシル基を持っており酸性である。カルボン酸は最も小さな炭素一つのギ酸から、炭素16個のパルミチン酸など大きさが様々であるが、置換基を持たないカルボン酸は分子量が大きくなるにつれ、水素イオンの解離が減ってくる。つまり、酸としての強さが減るのである。これがどういった理由によるのかというと、カルボキシル基の電子密度が高いか低いかによって決まる。アルキル基は電子供与性基であり、これが結合している原子や置換基は電子がアルキル基から押し付けられるので、電子の密度が高くなる。そうすると、カルボキシル基の酸素の電子密度が高くなるため、水素との間の結合が堅牢になる。結果、水素はカルボキシル基から離れにくくなり、酸性度が低下する。アルキル基を構成する炭素の数が多いほどこの傾向は顕著である。逆に、カルボン酸のカルボキシル基に隣接する炭素に電子求引性基が結合していた場合、酸性度は強くなる。例えば、クロロ酢酸(CH2Cl−COOH)は酢酸よりも強い。電子求引性基の数が増えれば更に酸性度は強くなる。
具体的には、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、乳酸、クエン酸、コハク酸、マロン酸、酒石酸、酪酸など、緩衝作用を持たせうる弱酸が好適に使用できるが、特にギ酸、酢酸が望ましい。
〈ii〉成分の配合量は、〈i〉成分のシリコーンを硬化させるのに有効な量であればよく、特に限定されるものではないが、具体的には、〈i〉、〈ii〉成分の固形分に対し、0.0001〜30質量%であることが好ましく、より好ましくは0.001〜10質量%である。0.0001質量%未満であると硬化が不十分となり、硬度が低下する場合があり、30質量%より多いと塗膜にクラックが発生しやすくなる場合や、耐水性が低下する場合がある。なお、硬化剤と制御剤の量比は、制御剤1モルに対して硬化剤0.3〜3モルであることが好ましい。硬化剤が多すぎると保存安定性が低下することがあり、少なすぎると硬化性が低下することがある。
3)〈iii〉有機溶剤
〈iii〉溶剤は、二酸化ケイ素微粒子を除く〈i〉、〈ii〉成分を溶解するものであれば特に限定されるものではないが、極性の高い有機溶剤が主溶剤であることが好ましい。有機溶剤の具体例としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、ジアセトンアルコール等のアルコール類;メチルプロピルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール等のケトン類;ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、アニソール、ジオキサン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸シクロヘキシル等のエステル類などを挙げることができ、これらからなる群より選ばれた1種もしくは2種以上の混合物を使用することができる。
溶剤の添加量としては、本発明のシリコーンコーティング組成物の固形分濃度を1〜30質量%、特に5〜25質量%とする量を用いることが好ましい。この範囲外では該組成物を塗布、硬化した塗膜に不具合が生じることがある。上記範囲未満の濃度では塗膜にタレ、ヨリ、マダラが発生し易くなり、所望の硬度、耐擦傷性が得られない場合がある。また上記範囲を超える濃度では、塗膜のブラッシング、白化、クラックが生じ易くなるおそれがある。
ここで、本発明のシリコーンコーティング組成物は、塩基触媒と、アルコキシシリル基及び/又はシラノール基を有する硬化性シリコーンとを含むシリコーン樹脂組成物を硬化させることによって形成されたシリコーン樹脂膜の表面に直接シリコーンハードコート膜を形成する目的で用いられる。この場合、上記シリコーン樹脂組成物としては、アルコキシシリル基及び/又はシラノール基を有し、塩基触媒の作用でアルコキシシリル基及び/又はシラノール基が架橋反応を起こし、硬化するものであればいずれのものでもよく、公知のものや市販品を使用し得、典型的には、上記シリコーンコーティング組成物で説明した〈i〉、〈iii〉成分及び硬化触媒を含むものを使用し得るが、この硬化触媒については、上記シリコーンコーティング組成物で用いた〈ii〉成分の硬化触媒よりも硬化活性が弱い硬化触媒を使用するものである。特に、この硬化触媒としては、上記シリコーンコーティング組成物の硬化触媒の硬化剤が上記式(1)においてR1〜R4の少なくとも1個がメチル基である場合、該硬化剤としてR1〜R4のいずれもが炭素数2以上のアルキル基であるものを用いるものである。より好ましくは、上記シリコーンコーティング組成物の硬化触媒の硬化剤が、テトラメチルアンモニウムヒドロキサイド、テトラメチルアンモニウムアセテート、テトラメチルアンモニウムフォーメートから選択される化合物であり、上記シリコーン樹脂組成物の塩基触媒の硬化剤が、テトラブチルアンモニウムヒドロキサイドである。
本発明のシリコーンコーティング組成物は、上記シリコーン樹脂組成物によるシリコーン樹脂膜上に塗布、硬化することにより被膜を形成した被覆物品を得ることができる。
コーティング組成物の塗布方法としては、通常の塗布方法で基材にコーティングすることができ、例えば、刷毛塗り、スプレー、浸漬、フローコート、ロールコート、カーテンコート、スピンコート、ナイフコート等の各種塗布方法を選択することができる。
塗膜の形成方法は、以下の工程からなるものが好ましい。必要によりプライマー層を介して従来公知の下塗り層(上記シリコーン樹脂組成物のシリコーン樹脂膜)を第一層として基材に塗布する工程、塗布した膜を風乾、あるいは加熱硬化することにより硬化させる工程、本発明のシリコーンコーティング組成物を下塗り層上に塗布する工程、室温乾燥、あるいは加熱してハードコート層を形成させることによって第二層とする工程を順次行うことにより達成される。
また、ここで用いられる基材としては、プラスチック成形体、あるいはプラスチックとセラミックス、ガラス又は金属の複合物等が挙げられ、各種プラスチック材料(有機樹脂基材)に好適に使用され、ポリカーボネート、ポリスチレン、アクリル樹脂、ABS樹脂、塩化ビニル樹脂等が好ましく、特にポリカーボネート樹脂等が好ましい。
本発明の組成物を塗布した後の硬化は、空気中に放置して風乾させてもよいし、加熱してもよい。硬化温度、硬化時間は限定されるものではないが、基材の耐熱温度以下で10分〜2時間加熱するのが好ましい。具体的には80〜145℃で10分〜2時間加熱するのがより好ましい。
各塗膜の厚みは特に制限はなく、0.01〜100μm、特に0.5〜60μmであればよいが、塗膜の硬さ、耐擦傷性、長期的に安定な密着性、及びクラックが発生しないことを満たすためには、1〜30μmが好ましい。なお、以上の操作を繰り返し、重ね塗りを行ってもよい。とりわけ、下塗り層の厚みは、プラスチック材を紫外線から保護するために重要で、5〜20μmが好ましい。0.1μm未満では、トップ層との密着性が十分でない場合があり、また、100μmを超えると発泡が起こりやすく硬さが十分でない場合がある。また、トップ層においては、0.1μm未満では、硬さが十分でない場合があり、また、100μmを超えるとクラックが起こりやすくなる。
以下、合成例、製造例、参考例、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、以下の例において、部は質量部、%は質量%を示す。
以下にまず、プライマー塗料、硬化剤を含まないシリコーンハードコート塗料の合成例を示す。
1)プライマー塗料の製造
[合成例1]
〈i〉ポリマー合成例1: プライマー用ポリマーの合成
撹拌機、コンデンサー及び温度計を備えた2リットルフラスコに溶剤としてジアセトンアルコール248gを仕込み、窒素気流下にて80℃に加熱した。
ここに予め調製しておいたモノマー混合溶液(2−[2’−ヒドロキシ−5’−(2−メタクリロキシエチル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール(RUVA−93と略記、大塚化学(株)製)72g、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(KBM−503と略記、信越化学工業(株)製)80g、メチルメタクリレート(MMAと略記)248g、ジアセトンアルコール(DAAと略記)600g)のうち400g及び予め調製しておいた重合開始剤としての2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)(V59と略記)3gをジアセトンアルコール200gに溶解した溶液のうち150gを順次投入した。
80℃で30分間反応させた後、残りのモノマー混合溶液と残りの重合開始剤溶液を同時に80〜90℃で1.5時間かけて滴下した。更に80〜90℃で5時間撹拌し、アルコキシシリル基と紫外線吸収性基とを含有する共重合体を得た。
この共重合体溶液中の紫外線吸収性基単位の含有量は18%、アルコキシシリル基単位の含有量は20%であるが、この粘度は5,370mPa・sであった。また、標準ポリスチレンを基準とするGPC分析による重量平均分子量は27,600で、その他の溶液物性は表1にまとめた。この共重合体溶液をUVポリマー1とする。
(注)KBM−503:γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
RUVA−93:2−[2’−ヒドロキシ−5’−(2−メタクリロキシエチル)
フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール(大塚化学(株)製)
MMA:メチルメタクリレート
原料ポリマーと塗料の組成物と物性
(1)プライマー用ポリマーの合成組成と溶液物性
Figure 0005652375
[合成例2]
〈ii〉プライマー合成例1 プライマー組成物Aの合成
UVポリマー1に、溶剤(DAA,MFDG,EA)、並びに、シリカゾル溶液(PGMAC(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)に分散したコロイダルシリカ、商品名:PMA−ST、固形分濃度30%、一次粒子径10〜15nm、日産化学工業(株)製)、オルソギ酸トリエチル(OFE)を加え、プライマー組成物Aとした。プライマー組成物A溶液の溶剤の種類と配合量、及び物性は、表2にまとめた。
(注)DAA:ジアセトンアルコール
MFDG:ジ(プロピレングリコール)モノメチルエーテル
PGMAC:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
EA:エチルアセテート
OFE:オルソギ酸トリエチル
(2)プライマー組成物Aの配合組成と溶液物性
Figure 0005652375
2)シリコーンハードコート塗料の製造
[合成例3]
〈iii〉合成例1 可撓性付与ポリシロキサン(C)の製造
温度計、撹拌機、冷却器を備えた2L三口フラスコに、メチルトリメトキシシラン408部、トルエン400部を仕込み、98%メタンスルホン酸11部を触媒として添加し、内温を30℃以下に保ちながら水146部を滴下し、メチルトリメトキシシランを加水分解した。滴下終了後、室温で2時間撹拌して反応を完結させた。
その後、酸性成分を中和し、生成したメタノールを減圧留去した。2回水洗することにより完全に中和塩を除去した後、再び減圧にて105℃,3時間乾燥前後の質量減少が1.1%となるまでトルエン等の溶剤成分を除去することにより、無色透明固体のシロキサン樹脂210部を得た。
この樹脂のGPCから得られた重量平均分子量は7.5×103であった。また、この樹脂の29Si−NMR及びIRスペクトルの結果から、このシロキサン樹脂の平均組成式は、下記式(C)であった。
MeSi(OMe)0.06(OH)0.12(O)1.41 (C)
(式中、Meはメチル基を示す。)
この透明固体樹脂の軟化点をJIS K2207に準拠し、環球式自動軟化点試験機で測定したところ、75℃であった。物性は、表3にまとめた。
このシロキサン樹脂283部は、イソプロパノール717部を加えて溶解させることにより、固形分濃度28%のシロキサン樹脂溶液Cとした。
(3)可撓性ポリシロキサンCの物性
Figure 0005652375
2)シリコーンハードコート塗料Bの合成
[合成例4]
トップ合成例1
撹拌機、コンデンサー及び温度計を備えた2リットルフラスコにメチルトリメトキシシラン381gを仕込み、撹拌しながら20℃に維持し、ここに水分散コロイダルシリカ(スノーテックスO(平均粒子径15〜20nm)、日産化学工業(株)製、SiO2 20%含有品)108gと0.25Nの酢酸水溶液252gとの混合溶液を添加して高速撹拌した。
次いで、60℃にて3時間撹拌後、シクロヘキサノン330gを添加したのち、常圧にて副生したメタノールと一部の水、計335gを留去した。
撹拌しながら室温まで放冷後、イソプロパノール205g、28%の可撓性付与シロキサン樹脂溶液C400g、ポリエーテル変性シリコーンKP−341(信越化学工業(株)製)0.6gを添加した。
こうして得られたオルガノポリシロキサン溶液の粘度は6.39mm2/s、GPC分析による重量平均分子量は2,500であった。このものをシリコーンハードコート組成物B(トップ剤ベース)とする。
これらの物性については、表4にまとめた。
(4)シリコーンハードコート塗料Bの溶液物性
Figure 0005652375
3)硬化剤の製造
以下の方法で異なる塩基性触媒と制御剤と溶剤を用いて、異なる硬化活性の硬化剤を製造した。
(1)テトラブチルアンモニウム系硬化剤(低活性)
[製造例1]
〈i〉テトラブチルアンモニウム−酢酸系硬化剤の製造(TBAH/Ac)
100mlフラスコにイソプロピルアルコール(IPA)54.5gを仕込み、硬化触媒として10%テトラブチルアンモニウムヒドロキシドの水溶液44gを加え、撹拌しながら20℃に維持し、ここに制御剤として、酢酸1.5gを添加して30分間高速撹拌した。
こうして得られた透明溶液の粘度は3.92mm2/s、pHは6.36、150℃,30分間での加熱残量は2.39%であった。このものは、テトラブチルアンモニウム系硬化剤(TBAH/Ac)とする。
(2)テトラメチルアンモニウム系硬化剤の製造(高活性)
[製造例2]
〈i〉テトラメチルアンモニウム硬化剤の製造(TMAH)
100mlフラスコにイソプロピルアルコール(IPA)56gを仕込み、硬化触媒として20%テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの水溶液44gを加え、撹拌した。
こうして得られた透明溶液の粘度は1.39mm2/s、pHは14<、150℃,30分間での加熱残量は6.15%であった。このものは、テトラメチルアンモニウム硬化剤(TMAH)とする。
[製造例3]
〈ii〉テトラメチルアンモニウム−酢酸硬化剤の製造(TMAH/Ac)(TMAH/Ac−2)
100mlフラスコにイソプロピルアルコール(IPA)50gを仕込み、硬化触媒として20%テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの水溶液44gを加え、撹拌しながら20℃に維持し、ここに制御剤として、酢酸6gを添加して30分間高速撹拌した。
こうして得られた透明溶液の粘度は4.86mm2/s、pHは8.07、150℃,30分間での加熱残量は14.87%であった。このものは、テトラメチルアンモニウム−酢酸硬化剤(TMAH/Ac)とする。同様にして、酢酸を3gにした溶液の粘度は3.86mm2/s、pHは14以上、150℃,30分間での加熱残量は10.27%であった。このものは(TMAH/Ac−2)とする。
[製造例4]
〈iii〉テトラメチルアンモニウムアセテート硬化剤の製造(TMAH・Ac)
100mlフラスコにイソプロピルアルコール(IPA)14.3gを仕込み、硬化触媒兼制御剤として15%テトラメチルアンモニウムアセテートの水溶液85.7gを加え、撹拌しながら添加して30分間高速撹拌した。
こうして得られた透明溶液の粘度は2.53mm2/s、pHは8.77、150℃,30分間での加熱残量は15.42%であった。このものは、テトラメチルアンモニウムアセテート硬化剤(TMAH・Ac)とする。
[製造例5]
〈iv〉テトラメチルアンモニウム−ギ酸硬化剤の製造(TMAH/Fo)
100mlフラスコにイソプロピルアルコール(IPA)52gを仕込み、硬化触媒として20%テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの水溶液44gを加え、撹拌しながら20℃に維持し、ここに制御剤として、ギ酸4gを添加して30分間高速撹拌した。
こうして得られた透明溶液の粘度は4.40mm2/s、pHは14以上、150℃,30分間での加熱残量は13.1%であった。このものは、トップ用硬化剤(TMAH/Fo)とする。
これらの物性については、表5にまとめた。
硬化剤の物性
Figure 0005652375
4)塗膜用液組成物の製造
[製造例6]
プライマー塗料のプライマー組成物Aは、そのまま、実施例のための下塗り剤とした。シリコーンハードコート塗料Bは、塗料B100gに、各々トップ用硬化剤(TBAH/Ac、TMAH/Ac)2.0gを加え、実施例、比較例の下地のシリコーン樹脂組成物とした。
また、シリコーンハードコート塗料B100gに、各々トップ用硬化剤(TBAH/Ac、TMAH/Ac、TMAH、TMAH・Ac、TMAH/Fo)2.0gを加え、実施例、比較例の積層用のシリコーンコーティング組成物とした。
[実施例1〜4、比較例1〜4]
(1)下地シリコーン層塗膜の作製
シリコーンハードコート膜を積層するための下地シリコーン樹脂膜は以下の方法により作製した。
0.5mmポリカーボネート樹脂板(ユーピロンシート、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製)に、プライマー組成物Aを硬化塗膜として10μmになるようにフローコーティング法にて塗布し、室温で20分間風乾した後、120℃で60分間硬化させた。
その上に硬化剤を加えたシリコーン樹脂組成物を硬化塗膜として5μmになるようにフローコーティング法にて塗布し、室温で20分間風乾した後、120℃で60分間硬化させ、シリコーン樹脂膜を形成した(下地シリコーン層)。
(2)実施例、参考例並びに比較例[実施例1〜3、比較例1〜3、参考例1]
下地シリコーン樹脂膜の上に、硬化剤を加えたシリコーンコーティング組成物を硬化塗膜として5μmになるようにフローコーティング法にて塗布し室温で20分間風乾した後、120℃で60分間硬化させた(積層シリコーン層)。
このようにして得られた塗膜を下記評価方法で評価した。各種物性評価の結果を表6に示した。
Figure 0005652375

保存安定性評価:○:実用上合格、×:実用上不合格、△条件により使用可能
外観(初期Hz)評価:◎:0.3より小さい、○:1.5より小さい、
△:3より小さい、×:3以上
密着性評価:○:初期と煮沸ともに100%、×:初期のみ100%、
××:初期も100%でない
硬度(ΔHz)評価:◎:2より小さい、○:10より小さい、×:10以上
総合評価:◎:非常に良い、○:実用上合格、×:実用上不合格、△:条件により使用可能
参考例については、混合直後は良好な塗膜が形成できたが、40℃、1日後にはゲル化が起こり、塗膜形成ができなかった。したがって、この系は、2液タイプでのように条件により使用が可能である。
一方、比較例1のように、制御剤がない場合は、混合直後からゲル化が起こり、塗膜物性の評価ができなかった。
本発明の下地シリコーン樹脂膜とシリコーンハードコート膜(トップコート層)を有するプラスチックポリカーボネート樹脂は、優れた外観、密着性、硬度を発現し、総合評価として優れた膜であることが明らかとなった。
評価実施例
実施例中の各種物性の測定及び評価は以下の方法で行った。
1)評価の方法
評価は、シリコーンハードコート膜を有するポリカーボネート樹脂について、膜特性(製膜性、外観、密着性、硬度)について行った。
(1)製膜性の評価
プライマー層、シリコーン樹脂膜、シリコーンハードコート膜を順次硬化・積層したポリカーボネート樹脂フィルムの試験片の塗膜外観を目視にてひび割れの有無を観察した。
(2)膜外観の評価
積層した試験片の塗膜外観は、ヘイズメータNDH2000(日本電色工業(株)製)にて、曇価(ヘイズ、Hzと表記)にて、0.3より小さい時を◎(非常に良好)、0.3以上1.5より小さい時を○(実用上使用可能)、1.5以上3より小さい時を△(用途や条件により使用可能)、3以上の時を×(実用上使用不可能)と評価した。
(3)膜のポリカーボネート樹脂フィルムへの密着特性の評価
初期密着は、JIS K5400に準拠し、試験片をカミソリの刃で2mm間隔の縦横6本ずつ切れ目を入れて25個の碁盤目を作り、市販のセロハン粘着テープをよく密着させた後、90度手前方向に急激に剥がした時、被膜が剥離せずに残存したマス目数(X)をX/25で調べ、%表示した。更に、煮沸密着性の評価として、試験片を沸騰水中に4時間浸漬した後に、目視にて外観観察、及び前記と同様にして密着性試験を行った。
密着性の評価として、初期密着性試験と煮沸密着性試験の結果が共に100%の場合を○(実用上使用可能)、初期密着性試験は100%であるが煮沸密着性試験の結果が100%より小さい場合を△(用途や条件により使用可能)、初期密着性試験と煮沸密着性試験の結果が共に100%より小さい場合を×(実用上使用不可能)と評価した。
(4)膜の硬度の評価
耐擦傷性の試験として、ASTM 1044に準拠し、テーバー摩耗試験機(東洋精機(株)製Taber 5130 Abraser)にて摩耗輪CS−10Fを装着し、荷重500g下で500回転後の曇価を測定した。
耐擦傷性(%)ΔHzは(試験後の曇価)−(試験前の曇価)で示した。
膜の硬度の評価は、
◎(非常に良好):ΔHz<2.0
○(実用上使用可能):2.0≦ΔHz<10.0
×(実用上使用不可能):10.0≦ΔHz

Claims (3)

  1. 塩基触媒としてテトラブチルアンモニウムヒドロキサイドとアルコキシシリル基及び/又はシラノール基を有する硬化性シリコーンとを含むシリコーン樹脂組成物を硬化させることによって形成されたシリコーン樹脂膜と、その表面に直接形成されたシリコーンハードコート膜とを構成要件とする積層塗膜であって、上記シリコーンハードコート膜を形成するシリコーンコーティング組成物
    〈i〉加水分解性ケイ素化合物と二酸化ケイ素微粒子との共(部分)加水分解物又は共(部分)加水分解縮合物、
    〈ii〉テトラメチルアンモニウムヒドロキサイド、テトラメチルアンモニウムアセテート、テトラメチルアンモニウムフォーメートから選択される化合物からなる硬化剤と酸性有機化合物の制御剤とからなる硬化触媒
    〈iii〉有機溶剤
    を含有するものであることを特徴とする積層塗膜
  2. 〈ii〉成分のうち酸性有機化合物が、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、乳酸、クエン酸、コハク酸、マロン酸、酒石酸、酪酸から選ばれるものである請求項1記載の積層塗膜。
  3. シリコーンコーティング組成物が、更に下記平均組成式(D)
    R''' b Si(OR'''') c (OH) d (4-b-c-d)/2 (D)
    (式中、R'''は、同一又は異種のアルキル基、アリール基、アラルキル基、アルケニル基、ハロゲン置換アルキル基から選ばれる炭素数1〜18の非置換又は置換の一価炭化水素基、R''''は、同一又は異種の炭素数1〜4のアルキル基又はアルケニル基を示し、b,c及びdは、0.8≦b≦1.5、0≦c≦0.3、0.001≦d≦0.5、0.801≦b+c+d<2を満たす数である。)
    で示されるシロキサン樹脂を含有する請求項1又は2記載の積層塗膜。
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