JP5652173B2 - 樹脂組成物及び成形体 - Google Patents
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Description
一方、PCC樹脂と芳香族ポリカーボネート樹脂との混合物に、エポキシ化ジエン系ブロック共重合体を添加することで、透明性と耐衝撃性とを両立させる技術が開示されている(特許文献2)。但し、この方法は芳香族ポリカーボネート樹脂を主成分とした硬質樹脂の耐衝撃性改良を目的としており、柔軟性の向上については配慮されていない。
さらに、本発明者が検討した結果、成形直後は透明性が良好であっても、該成形品が高温環境におかれた際には透明性が低下する場合があることが判明した。従って、上記の要求特性を達成し、しかも高温の条件においても透明性を維持し得る樹脂または樹脂組成物を得ることは、一層困難であった。
すなわち本発明は、以下の[1]〜[7]を要旨とする。
[1] 下記の成分(A)、成分(B)及び成分(C)を含有し、成分(A)/〔成分(B)+成分(C)〕の重量割合が95/5〜35/65であり、かつ成分(B)/成分(C)の重量割合が99/1〜63/37であることを特徴とする樹脂組成物。
成分(A):1,4−シクロヘキサンジカルボン酸由来の単位及び1,4−シクロヘキサンジメタノール由来の単位を主な構成単位とするセグメントとポリアルキレンポリオールセグメントを有し、ポリアルキレンポリオールを7〜30重量%有する、融点が160℃以上210℃以下の脂環式ポリエステル系ブロック共重合樹脂
成分(B):ビニル芳香族化合物を主体とする少なくとも2個の重合体ブロックPと、ブタジエン及び/またはイソプレンを主体とする少なくとも1個の重合体ブロックQからなり、重合体ブロックPが34〜55重量%を占めるブロック共重合体及び/または該ブロック共重合体を水素添加して得られる水添ブロック共重合体
成分(C):炭化水素系ゴム用軟化剤
P−(Q−P)m (1)
(式中Pは重合体ブロックPを、Qは重合体ブロックQを、mは1〜5の整数をそれぞれ表す)
[3] [1]または[2]において、成分(A)に含まれるポリアルキレンポリオール成分が、ポリテトラメチレンエーテルグリコールである樹脂組成物。
[4] [1]〜[3]の何れかにおいて、JIS−K7105に基づき測定した全光線透過率の値が75%以上である樹脂組成物。
[5] [1]〜[4]の何れかにおいて、成分(B)の重量平均分子量が60,000以上550,000以下である樹脂組成物。
[6] [1]〜[5]の何れかに記載の樹脂組成物を成形してなる成形体。
[7] [1]〜[5]の何れかに記載の樹脂組成物を成形してなる携帯電話用ジャックカバー。
[8] [1]〜[5]の何れかに記載の樹脂組成物を含有する層と、芳香族ポリカーボネート又はアクリロニトリル−スチレン共重合体を含有する層とを積層してなる積層体。
また、本発明の樹脂組成物は、耐熱性や柔軟性等の特性を維持したまま芳香族ポリカー
ボネート樹脂やアクリロニトリル−スチレン共重合体等と相溶・融着することが可能であり、家電機器等の多様な用途に適用する樹脂材料が提供可能となる。このような特性から、特に携帯電話用ジャックカバーとして好適に使用できる樹脂材料が提供可能となる。
成分(A):1,4−シクロヘキサンジカルボン酸由来の単位及び1,4−シクロヘキサンジメタノール由来の単位を主な構成単位とするセグメントとポリアルキレンポリオールセグメントを有し、ポリアルキレンポリオールを7〜30重量%有する、融点が160℃以上210℃以下の脂環式ポリエステル系ブロック共重合樹脂
成分(B):ビニル芳香族化合物を主体とする少なくとも二個の重合体ブロックPと、ブタジエン及び/またはイソプレンを主体とする少なくとも一個の重合体ブロックQからなり、重合体ブロックPが34〜55重量%を占めるブロック共重合体及び/または該ブロック共重合体を水素添加して得られる水添ブロック共重合体
成分(C):炭化水素系ゴム用軟化剤
本発明における成分(A)は、ジカルボン酸成分として1,4−シクロヘキサンジカルボン酸を、ジオール成分として1,4−シクロヘキサンジメタノールを主な構成単位とするハードセグメントと、ポリアルキレンポリオールからなるソフトセグメントを有し、該ポリアルキレンポリオールを7〜30重量%有する脂環式ポリエステル系ブロック共重合樹脂である。
ここで、「主な」とは、ハードセグメント中の全ジカルボン酸構成単位中の1,4−シクロヘキサンジカルボン酸由来の構成単位の割合、又は該ハードセグメント中の全ジオール成分由来の構成単位中の1,4−シクロヘキサンジメタノール由来の構成単位の割合が、それぞれ50モル%以上、好ましくは60モル%以上、更に好ましくは70モル%以上、特に好ましくは80モル%であることを言う。なお、その上限は100モル%である。
本発明に使用する脂環式ポリエステル系ブロック共重合樹脂に用いることができる、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸以外のジカルボン酸成分としては、例えば、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−デカヒドロナフタレンジカルボン酸、1,5−デカヒドロナフタレンジカルボン酸等の脂環式ジカルボン酸;テレフタル酸、フタル酸、イソフタル酸、フェニレンジオキシジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸、4,4’−ジフェニルケトンジカルボン酸、4,4’−ジフェノキシエタンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルスルホンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸;コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカジカルボン酸、ドデカジカルボン酸等の脂肪族ジカルボン酸が挙げられる。これらのジカルボン酸成分は、1種または2種以上を併用して用いることができる。
上記のジカルボン酸としては、脂肪族ジカルボン酸又は脂環式ジカルボン酸が好ましく用いられる。
また、本発明において、上記のジカルボン酸は脂環式ポリエステル系ブロック共重合樹脂製造に際して、炭素数1〜4のアルキルエステル及びこれらのハロゲン化物等として使用してもよい。
ジオール成分が脂環式ジオールである場合、該ジオール中のトランス体の割合は任意であるが、上述の脂環式ジカルボン酸成分に含まれるトランス体の割合と同様な理由により、トランス体の割合としては、60モル%以上であるのが好ましく、70モル%以上であるのが更に好ましく、また、一方、98モル%以下であるのが好ましい。
脂環式ポリエステル系ブロック共重合樹脂中のポリアルキレンポリオールの量は、樹脂組成物の柔軟性の点では多い方が好ましいが、一方、ポリアルキレンポリオールが過度に多くなると、脂環式ポリエステル系ブロック共重合樹脂の融点が低くなるため、樹脂組成物の耐熱性や透明性が損なわれる可能性がある。また、ポリアルキレンポリオールの量が過度に少ない場合、成形時の微小結晶の成長が阻害されることから、耐熱試験で白化する可能性がある。
あるのが好ましい。なお、脂環式ポリエステル系ブロック共重合樹脂中のポリアルキレンポリオールの含有量は、製造時の仕込割合から算出するか、又は1H−NMRスペクトル分析法のような機器分析法により定量することができる。
ポリアルキレンポリオールの分子量は限定されないが、靭性や耐衝撃性の観点から数平均分子量が200以上であるのが好ましく、一方、重合反応性の観点からは数平均分子量が3000以下であるのが好ましい。
本発明における成分(B)は、ビニル芳香族化合物を主体とする少なくとも2個の重合体ブロックPと、ブタジエン及び/またはイソプレンを主体とする少なくとも1個の重合体ブロックQを有するブロック共重合体及び/または該ブロック共重合体を水素添加して得られる水添ブロック共重合体である(以下、重合体ブロックPを「ブロックP」、重合体ブロックQを「ブロックQ」と略記することがある)。
ここで、「ビニル芳香族化合物を主体とする重合体」とは、ビニル芳香族化合物を主体とする単量体を重合したものを意味し、「ブタジエン及び/またはイソプレンを主体とする重合体」とは、ブタジエン及び/またはイソプレンを主体とする単量体を重合したものを意味する。また、ここで「主体とする」とは、50モル%以上であることを意味する。
ブロックQは、重合後に有する二重結合を水素添加した水素添加誘導体であってもよい。ブロックQの水素添加率は限定されないが、50〜100重量%が好ましく、80〜100%が好ましい。ブロックQを前記範囲で水素添加することにより、得られる樹脂組成物の熱安定性が向上する傾向にある。なお、ブロックPが、原料としてジエン成分を用いた場合についても同様である。水素添加率は、13C−NMRにより測定することができる。
さらに、下記式(1)又は(2)で表されるブロック共重合体は、水素添加誘導体(以下、水添ブロック共重合体と略記する場合がある)が更に好ましい。下記式(1)又は(2)で表される共重合体が水添ブロック共重合体であると、熱安定性が良好になる。
P−(Q−P)m (1)
(P−Q)n (2)
(式中Pは重合体ブロックPを、Qは重合体ブロックQをそれぞれ表し、mは1〜5の整数を表し、nは2〜5の整数を表す)
式(1)又は(2)においてm及びnは、ゴム的高分子体としての秩序−無秩序転移温度を下げる点では大きい方がよいが、製造のしやすさ及びコストの点では小さい方がよい。本発明においてはm及びnが1〜5の整数で与えられるものが好ましく、より好ましくは2〜4である。
ブロック共重合体または水添ブロック共重合体(以下、まとめて「(水添)ブロック共重合体」と記す)としては、ゴム弾性に優れることから、式(2)で表される(水添)ブロック共重合体よりも式(1)で表される(水添)ブロック共重合体の方が好ましく、mが3以下である式(1)で表される(水添)ブロック共重合体がより好ましく、mが2以下である式(1)で表される(水添)ブロック共重合体が更に好ましい。
本発明における成分(B)の重量平均分子量が限定されないが、通常60,000以上、好ましくは80,000以上、より好ましくは100,000以上であり、通常550,000以下、好ましくは500,000以下、より好ましくは400,000以下であるのが望ましい。成分(B)の重量平均分子量が前記範囲内であると、成形性と耐熱性が良好であるので望ましい。
(測定条件)
機 器:日本ミリポア株式会社製「150C ALC /GPC」
カラム:昭和電工株式会社製「AD80M/S」3本
検出器:FOXBORO社製赤外分光光度計「MIRANIA」測定
波長3.42μm
溶 媒:o−ジクロロベンゼン
温 度:140℃
流 速:1cm3/分
注入量:200マイクロリットル
濃 度:2mg/cm3
酸化防止剤として2,6−ジ−t−ブチル−p−フェノール0.2重量%添加。
また、ブロック共重合体の水素添加(水添)は、例えば、特公昭42−8704号公報、特公昭43−6636号公報、特開昭59−133203号公報及び特開昭60―79005号公報などに記載された方法により、不活性溶媒中で水添触媒の存在下で行うことができる。
非水添型のブロック共重合体の市販品としては、シェルケミカルズジャパン株式会社製「KRATON−A」、株式会社クラレ製「ハイブラー」の一部グレード、旭化成株式会社製「タフプレン」等が挙げられる。
本発明においては、成分(C)として炭化水素系ゴム用軟化剤を用いる。本発明において炭化水素系ゴム用軟化剤とは、分子構造中の炭化水素構造の重量割合が90%以上であり、かつ成分(A)及び成分(B)からなる樹脂組成物の硬度を調整する機能及び成形性を改良する機能を果たすことが可能な化合物を意味する。成分(C)は単一の化合物でもよいが、通常は異なる分子構造や分子量の化合物の混合物である。
炭化水素系ゴム用軟化剤としては、成分(B)への親和性が高いことから、鉱物油系又は合成樹脂系の軟化剤が好ましく、鉱物油系軟化剤がより好ましい。鉱物油系軟化剤は、一般的に、芳香族炭化水素、ナフテン系炭化水素及びパラフィン系炭化水素の混合物であり、全炭素原子の50%以上がパラフィン系炭化水素であるものがパラフィン系オイル、
全炭素原子の30〜45%程度がナフテン系炭化水素(シクロパラフィン系炭化水素)であるものがナフテン系オイル、全炭素原子の35%以上が芳香族系炭化水素であるものが芳香族系オイルと各々呼ばれている。これらのうち、色相が良好であることから、パラフィン系オイルが好ましい。また、合成樹脂系軟化剤としては、ポリブテン及び低分子量ポリブタジエン等が挙げられる。なお、炭化水素系ゴム用軟化剤は、上述の各種軟化剤の何れか1種を単独で用いても、複数種の混合物でも構わない。
炭化水素系ゴム用軟化剤の引火点(COC法)は限定されないが、200℃以上であるのが好ましく、250℃以上であるのが更に好ましい。
本発明における成分(A)と成分(B)+成分(C)との配合割合は、成分(A)/〔成分(B)+成分(C)〕として、95/5〜35/65(重量比)の範囲であり、90/10〜40/60であるのが好ましく、より好ましくは85/15〜45/55である
。成分(B)+成分(C)の配合割合が前記下限値未満の場合は、耐熱性や耐薬品性が大きく劣ることとなるため好ましくなく、一方、成分(B)+成分(C)の配合割合が前記上限値を超える場合は、耐衝撃性の向上や柔軟性の向上が不十分となるため好ましくない。
また、成分(B)/成分(C)の配合割合は重量比で99/1〜63/37であることが好ましく、より好ましくは97/3〜70/30であり、最も好ましくは95/5〜76/24である。成分(B)と成分(C)の割合が前記下限値未満、及び前記上限値以上の場合、初期の透明性やエージング後の透明性に劣るため好ましくない。
なお、本発明の樹脂組成物中の成分(C)の含有量は、通常0.05重量%以上、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは1重量%以上であり、通常20重量%以下、好ましくは15重量%以下、より好ましくは10重量%以下である。樹脂組成物中の成分(C)の含有量が前記下限値未満であるとエージング後の透明性が悪化する傾向にあり、前記上限値を超えると、初期の全光線透過率が損なわれる傾向にある。
本発明の樹脂組成物には、本発明の効果を著しく妨げない範囲で、上述の成分(A)、成分(B)、及び成分(C)以外の樹脂や添加剤等を用いてもよい。
成分(A)、成分(B)以外の樹脂としては、具体的には、例えば、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・メタクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体、エチレン・メタクリル酸エステル共重合体等のエチレン系共重合体;ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂;ポリフェニレンエーテル系樹脂;ナイロン66、ナイロン11等のポリアミド系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂及びポリメチルメタクリレート系樹脂等のアクリル/メタクリル系樹脂;等の熱可塑性樹脂等を挙げることができる。また、成分(A)、成分(B)以外の各種熱可塑性エラストマーを用いてもよい。
熱安定剤及び酸化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール類、リン化合物、ヒンダードアミン、イオウ化合物、銅化合物、アルカリ金属のハロゲン化物等が挙げられる。
充填剤は、有機充填剤と無機充填剤に大別される。有機充填剤としては、澱粉、セルロ
ース微粒子、木粉、おから、モミ殻、フスマ等の天然由来のポリマーやこれらの変性品等が挙げられる。また、無機充填剤としては、タルク、炭酸カルシウム、炭酸亜鉛、ワラストナイト、シリカ、アルミナ、酸化マグネシウム、ケイ酸カルシウム、アルミン酸ナトリウム、アルミン酸カルシウム、アルミノ珪酸ナトリウム、珪酸マグネシウム、ガラスバルーン、カーボンブラック、酸化亜鉛、三酸化アンチモン、ゼオライト、ハイドロタルサイト、金属繊維、金属ウイスカー、セラミックウイスカー、チタン酸カリウム、窒化ホウ素、グラファイト、炭素繊維等が挙げられる。
本発明の樹脂組成物は、上述の各成分を所定の割合で混合することにより得ることができる。
混合の方法については、原料成分が均一に分散すれば特に制限は無い。すなわち、上述の各原料成分等を同時に又は任意の順序で混合することにより、各成分が均一に分布した組成物を得ることができる。
より均一な混合・分散のためには、所定量の上記原料成分を、溶融混合することが好ましく、例えば、本発明の樹脂組成物の各原料成分等を任意の順序で混合してから加熱したり、全原料成分等を順次溶融させながら混合しても良いし、各原料成分等の混合物をペレット化したり目的成形品を製造する際の成形時に溶融混合してもよい。
ましい。
また、本発明の樹脂組成物は、高温に保持した状態においても透明性が良好であることが特徴である。すなわち、厚さ2mmの成形品とし、該成形品を120℃、1時間のエージング(熱処理)を行った際のJIS K7105に従って測定したヘーズが、45以下が好ましく、42以下がより好ましく、40以下が更に好ましく、30以下が特に好ましい。
本発明の樹脂組成物は、柔軟性及び透明性が良好である。特に芳香族ポリカーボネート樹脂と併用すると、本発明の樹脂組成物と芳香族ポリカーボネート樹脂との相溶性が良好であるので、透明性が良好な成形品を得ることが可能である。
本発明の成形体は、上述の本発明の樹脂組成物を成形することにより得ることができる。ここで、本発明の成形体の製造方法は、本発明の樹脂組成物を成形できれば特に制限はない。具体的には、例えば、射出成形、ブロー成形、押出成形、インフレーション成形及びシート成形後の真空成形、圧空成形、真空圧空成形等の各種成形方法が挙げられる。これらのうち、グリップ部材やフィルム等を製造することを考慮すると、射出成形又は押出成形が好ましい。
本発明の成形体は、本発明の樹脂組成物を成形して得られる成形体であれば、どのような形状でも構わないが、特に、チューブ、フィルムやシート、容器状、ヒレ(フィン)状、グリップ状、ジャックカバー状等の形状を有する成形品が本発明の樹脂組成物の特徴の一つである柔軟性や透明性を活かしやすいので好ましい。
本発明の成形体の厚さは、透明性を活用する点では薄い方が好ましいが、柔軟性の利点を生かして良好な触感を得られる点では厚い方が好ましい。本発明の成形体は、透明性に優れるので、ある程度の厚さがあっても実用上十分な透明性を確保しやすい。
また、前記の他の層としては、例えば、芳香族ポリカーボネートやアクリロニトリル−スチレン共重合体、エチレン・α−オレフィン共重合体、スチレン−エチレン−ブチレン共重合体等から形成される層が挙げられる。中でも、芳香族ポリカーボネート又はアクリルニトリル−スチレン共重合体を含有する層とを積層してなる積層体が好適である。
本発明の樹脂組成物は、特に芳香族ポリカーボネート樹脂やアクリロニトリル−スチレ
ン共重合体に対して優れた相溶性を有することから、これらの樹脂層との積層体とした場合に、高い層間接着性を得ることができる。
本発明の実施例及び比較例では、以下の原料を用いた。
<成分(A)>
(A−1)PCCP−1
1,4−シクロヘキサンジカルボン酸と1,4−シクロヘキサンジメタノールからなるポリエステルをハードセグメントとし、ポリテトラメチレンエーテルグリコールをソフトセグメントとするポリエーテルエステルブロック共重合体。
(1H−NMRで定量化したポリテトラメチレンエーテルグリコールの含有量:15重量%。1,4−シクロヘキサンジカルボン酸のトランス率:88%。1,4−シクロヘキサンジメタノールのトランス率:69%。示差走査熱測定計(DSC)を用い、10℃/minの昇温速度で測定した融点は200℃。JIS規格K7210の試験条件4に従って230℃、2.16kg荷重(kgf)で測定したメルトフローレートは35g/10min。)
(B−1) シェル・ケミカル株式会社製「クレイトンA−1536HU」:スチレン−ブタジエン−スチレン水添ブロック共重合体。前記式(1)の構造を有し、m=2である。(スチレン(ブロックP)含量:42重量%)
(B−2) シェル・ケミカル株式会社製「クレイトンA−1535HU」:スチレン−ブタジエン−スチレン水添ブロック共重合体。前記式(1)の構造を有し、m=2である。(スチレン(ブロックP)含量:58重量%)
(B−3) シェル・ケミカル株式会社製「クレイトンG−1641HU」:スチレン−イソプレン−スチレン水添ブロック共重合体。前記式(1)の構造を有し、m=1である。(スチレン(ブロックP)含量:33重量%(カタログ値))
(C−1) 出光興産株式会社製「PW−90」:パラフィン系プロセスオイル。
表−1に示す配合割合(重量部)に基づき、二軸押出機(株式会社日本製鋼所製「TEX−30αII」、シリンダー口径30mm)によって、設定温度200℃で溶融混練して樹脂組成物のペレットを得た。
このペレットを用い、射出成形機(東芝機械株式会社製「IS−130t」)で80mm×120mm×2mmのプレートと80mm×10mm×4mmの試験片を成形した。射出成形の条件は、樹脂温度:180〜240℃、射出時間:2〜20秒、金型温度:25℃、冷却時間:10〜40秒とした。
(1)ヘーズ及び全光線透過率
JIS K7105に従い、80mm×120mm×2mmのプレートを用いてヘーズ及び全光線透過率を測定した。
(2)エージング後のヘーズ
射出成形で得られた80mm×120mm×2mmのプレートをギアオーブン(タバイ社製「GPH−100」)中で温度:120℃、加熱時間:1時間の空気中エージング処理を行い、その後のプレートのヘーズをJIS K7105に従って測定した。
JIS K6251に従って、射出成形で得られた80mm×120mm×2mmのプレートを打ち抜いて得られる3号ダンベルの試験片を、オートグラフを用いて500mm/minの速度で引張って、破断するまでの伸び率(引張り伸び率)及び破断時の強度(引張り破断強度)を測定した。また、100%の伸び率を示したときに得られる応力(100%モデュラス)及び300%の伸び率を示したときに得られる応力(300%モデュラス)も併せて測定した。
JIS K7171に従い、射出成形で得られた80mm×10mm×4mmの試験片を、オートグラフを用いて2mm/minの速度で垂直の変位を加え、0.1〜0.5mm変位における応力から曲げ弾性率を、得られた最大応力から最大曲げ強度を各々測定した。
<成形体の評価>
実施例1、2及び比較例1〜5で得られた樹脂組成物及び成形体について、前記の方法によって評価した結果を表−1に示す。
Claims (8)
- 下記の成分(A)、成分(B)及び成分(C)を含有し、成分(A)/〔成分(B)+成分(C)〕の重量割合が95/5〜35/65であり、かつ成分(B)/成分(C)の重量割合が99/1〜63/37であることを特徴とする樹脂組成物。
成分(A):1,4−シクロヘキサンジカルボン酸由来の単位及び1,4−シクロヘキサンジメタノール由来の単位を主な構成単位とするセグメントとポリアルキレンポリオールセグメントを有し、ポリアルキレンポリオールを7〜30重量%有する、融点が160℃以上210℃以下の脂環式ポリエステル系ブロック共重合樹脂
成分(B):ビニル芳香族化合物を主体とする少なくとも2個の重合体ブロックPと、ブタジエン及び/またはイソプレンを主体とする少なくとも1個の重合体ブロックQからなり、重合体ブロックPが34〜55重量%を占めるブロック共重合体及び/または該ブロック共重合体を水素添加して得られる水添ブロック共重合体
成分(C):炭化水素系ゴム用軟化剤 - 成分(B)が下記式(1)によって表される請求項1に記載の樹脂組成物。
P−(Q−P)m (1)
(式中Pは重合体ブロックPを、Qは重合体ブロックQを、mは1〜5の整数をそれぞれ表す) - 成分(A)に含まれるポリアルキレンポリオール成分が、ポリテトラメチレンエーテルグリコールである請求項1または2に記載の樹脂組成物。
- JIS−K7105に基づき測定した全光線透過率の値が75%以上であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の樹脂組成物。
- 成分(B)の重量平均分子量が60,000以上550,000以下である請求項1〜4の何れかに記載の樹脂組成物。
- 請求項1〜5の何れかに記載の樹脂組成物を成形してなる成形体。
- 請求項1〜5の何れかに記載の樹脂組成物を成形してなる携帯電話用ジャックカバー。
- 請求項1〜5の何れかに記載の樹脂組成物を含有する層と、芳香族ポリカーボネート又はアクリロニトリル−スチレン共重合体を含有する層とを積層してなる積層体。
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