JP5650559B2 - 複合成形体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、強化繊維と熱可塑性樹脂とを含む複合成形体の製造方法であり、立体形状であっても繊維配向の乱れの少ない成形体を量産性に適した方法で得ることのできる複合成形体の製造方法である。
熱可塑性樹脂をマトリックスとした繊維強化複合材料は近年、その量産性、リサイクル性の期待から盛んに開発が行なわれている。
熱可塑性樹脂をマトリックスとした繊維強化複合材料の一般的な製造方法として含浸工程で平板を成形し、別工程で賦形を行なうコールドプレス(特許文献1)や熱可塑スタンピング成形(特許文献2)などが提案されている。
前者のコールドプレス成形では熱可塑性樹脂が含浸された平板を加熱炉にて熱可塑性樹脂が非晶性樹脂であるならばガラス転移以上の温度に、熱可塑性樹脂が結晶性樹脂であるならば融点以上の温度に加熱してプレス機まで搬送して賦形する製造方法であり、成形時間が大幅に短縮できる。その一方で金型温度がコールドであるため立体形状の賦形性が難しいことや、平板搬送時に掴みの部分が必要であるため賦形後のトリミングが必要となり工程の煩雑化や材料の無駄が出てしまう問題点があった。
後者の熱可塑性スタンピング成形では熱可塑性樹脂が含浸されたチョップドファイバーを加熱炉で融点以上に加熱し金型へ投入後プレス機にて型締めを行い、型内にて繊維と樹脂を流動させて立体形状の製品を得る製造方法である。この成形では予め樹脂を含浸させた繊維を用いることにより、約1分程度という短い時間で成形体の製造が可能であるが型内を繊維と樹脂を流動させるために、薄肉ものが作れないことや流動させることによる繊維配向の乱れにより物性の制御が困難である等の問題があった。
特公平5−23578号公報 特公昭58−34292号公報
本発明は、熱可塑性樹脂複合成形体の製造方法では困難であった含浸と賦形を同時に行なって複合成形体を得る方法であり、立体形状であっても繊維配向の乱れの少ない成形体を量産性に適した方法で得ることのできる複合成形体の製造方法である。
本発明は繊維長5mm超100mm以下の強化繊維と繊維状および/または粒子状の熱可塑性樹脂とから構成される熱可塑性樹脂が未含浸状態の前駆体(以下前駆体という)をホットプレスすることで、同一の金型内でシワや材料の破断を起すことなく、立体形状であっても繊維のランダム性を維持したまま、含浸工程と立体形状の賦形を一括して施すことが可能な複合成形体の製造方法である。
本発明の製造方法により、同一の金型内で、シワの発生や材料の破断を起すことなく、立体形状であっても、前駆体における強化繊維の二次元ランダム性を維持した成形体を提供することができる。本発明の製造方法により、含浸工程と立体形状の賦形が1工程ででき、トリミングなどの後工程も最小限にすることができる。本発明の製造方法により、各種構成部材、例えば自動車の内板(内装パネル等)、外板(ルーフ、ボンネット、バンパー等)、構成部材(ピラー、フロア等)、また各種電気製品の筐体、機械・装置のフレームや筐体といった立体形状の成形体を好ましく得ることができる。
実施例1、2の製品平面図 実施例3の製品平面図 実施例で用いた金型のシェアエッジ部分の模式図
[前駆体]
本発明の製造方法に用いる熱可塑性樹脂が未含浸状態の前駆体(以下前駆体)は、熱可塑性樹脂と強化繊維を2次元的に配置した複合体であり、熱可塑性樹脂が強化繊維中に分散はしているが含浸はしていない状態である。
前駆体を構成する強化繊維として炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維を使用することができる。これらは単独または、2種類以上を併用して使用することも可能である。特に軽量性、強度、剛性に効果の大きい炭素繊維が好ましい。
前駆体における強化繊維の形態は不連続であり、実質的に二次元ランダムもしくは特定の向きに配向している繊維とすることが好ましい。さらに、立体賦形のし易さから実質的に二次元ランダム配向がより好ましい。
強化繊維の平均繊維長は、5mm超100mm以下である。ある程度長い強化繊維を含んで強化機能が発現できることから、好ましくは強化繊維の平均繊維長が10mm超60mm以下が好ましい。
強化繊維が炭素繊維の場合、平均繊維径は好ましくは3〜12μmであり、より好ましくは5〜7μmである。一般的に、炭素繊維は、数千〜数万本のフィラメントが集合した繊維束となっている。特に薄肉のコンポジットを得る場合、炭素繊維を繊維束のまま使用すると、繊維の交絡部が局部的に厚くなり、薄肉のものが得られない。そのため、炭素繊維を開繊して使用することが重要となる。本発明により機械強度に優れた複合成形体を得ようとする場合、熱可塑性樹脂マトリクス中の強化繊維の開繊程度をコントロールし、特定本数以上の強化繊維からなる強化繊維束と、それ以外の開繊された強化繊維を特定の割合で含むことが望ましい。すなわち、前駆体においては、式(1)
臨界単糸数=600/D (1)
(ここでDは強化繊維の平均繊維径(μm)である)
で定義する臨界単糸数以上で構成される強化繊維束(A)について、繊維全量に対する割合が30Vol%以上90Vol%未満であることが、優れた機械物性を得る目的において好ましい。前駆体中には、強化繊維束(A)以外の強化繊維として、単糸の状態または臨界単糸数未満で構成される繊維束が存在する。機械物性に優れた成形体を得ようとする場合の、強化繊維束(A)の割合はより好ましくは30Vol%以上80Vol%未満である。
さらに臨界単糸数以上で構成される強化繊維束(A)中の平均繊維数(N)が下記式(2)
0.7×10/D<N<6.0×10/D (2)
(ここでDは強化繊維の平均繊維径(μm)である)
を満たすことが好ましい。
強化繊維束(A)中の平均繊維数(N)が0.7×10/D以下の場合、高い繊維体積含有率(Vf)を得ることが困難となる。また強化繊維束(A)中の平均繊維数(N)が6.0×10/D以上の場合、局部的に厚い部分が生じ、ボイドの原因となりやすい。
また、前駆体における強化繊維と熱可塑性樹脂の混合割合は強化繊維100重量部に対して熱可塑性樹脂50〜1000重量部であることが好ましい。成形性と成形品外観が良好である割合として熱可塑性樹脂60〜300重量部の範囲であることが好ましい。
前駆体における熱可塑性樹脂は、繊維状および/または粒子状の固体形状を有する。熱可塑性樹脂は1つの形態で使用されることに限定されず、2種以上の固体形状の組み合わせでも良い。熱可塑性樹脂が繊維状の場合、繊度100〜5000dtexのもの、より好ましくは繊度1000〜2000dtexものがより好ましく、平均繊維長としては0.5〜50mmが好ましく、より好ましくは平均繊維長1〜10mmである。熱可塑性樹脂が粒子状の場合、球状、細片状、あるいはペレットのような円柱状が好ましく挙げられる。球状の場合は、真円または楕円の回転体、あるいは卵状ような形状が好ましく挙げられる。球とした場合の好ましい平均粒子径は0.01〜1000μmである。より好ましくは平均粒子径0.1〜900μmものがより好ましく、更に好ましくは平均粒子径1〜800μmものがより好ましい。粒子径分布についてはとくに制限はないが、分布シャープなものがより薄い成形体を得る目的としてはより好ましいが、分級等の操作により所望の粒度分布として用いることが出来る。細片状の場合、ペレットのような円柱状や、角柱状、リン片状が好ましい形状として挙げられる。この場合ある程度のアスペクト比を有しても良いが、好ましい長さは上記の繊維状の場合と同程度とする。
前駆体を構成する熱可塑性樹脂は成形時の温度におけるゼロせん断溶融粘度が100〜1500pa・secの範囲内にあるものが好ましい。ゼロせん断溶融粘度が低い方が含浸が容易であるが、低すぎると流動が大きく、シェアエッジ部でのバリ発生につながり、それは複合成形体の厚さムラ原因になり、ゼロせん断溶融粘度が高すぎると含浸が困難になることがある。さらには成形時の温度におけるゼロせん断溶融粘度は300〜800pa・secの範囲内にあることが好ましい。
前駆体を構成する熱可塑性樹脂の種類は特に限定は無いが、具体的にはポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ナイロン等のポリアミド、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートあるいはポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリ乳酸、ポリアセタール、ポリフェニレンスルフィド、ポリ(スチレン−アクリロニトリル−ブタジエン)系共重合体(ABS樹脂)、ポリ(アクリロニトリル−スチレン)系共重合体(AS樹脂)あるいはハイインパクトポリスチレン(HIPS)等のスチレン系樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂等、または、これらのアロイを挙げることができる。
[前駆体の製造工程]
前駆体は、具体的には以下の工程1〜4を含む方法で、好ましく得ることができる。
1.カッターにて強化繊維をカットする工程、
2.カットされた強化繊維を連続的に管内に導入し、圧力空気を直接繊維に吹き付けることにより、繊維束をバラバラに開繊させる工程、
3.開繊させた強化繊維を拡散させると同時に、繊維状又はパウダー状の熱可塑性樹脂とともに吸引し、開繊装置下部に設けた通気性シート上に強化繊維と熱可塑性樹脂を同時に散布する塗布工程、
4.塗布された強化繊維および熱可塑性樹脂を通気性シート下部よりエアを吸引して繊維定着させる工程。
これらの工程により強化繊維の開繊程度をコントロールすることができる。
[ホットプレス]
本発明の複合成形体の製造方法は、前駆体を、ホットプレスすることにより、熱可塑性樹脂の含浸工程と成形体の立体賦形工程を同時に行うことを特徴とする。熱可塑性樹脂と強化繊維とが特定の条件で配置されている前駆体を用いることで、ホットプレスにより熱可塑性樹脂の含浸工程と成形体の立体賦形工程を同時に行うといった本発明の製造方法を好ましく実施することができる。
本発明の製造方法によれば、プレス時の強化繊維の流動を最小限に止め、複合成形体を得ることができ、前駆体における強化繊維の二次元的な配向と強化繊維の繊維長を複合成形体中で保つことが可能である。したがって本発明の製造方法により、強化繊維の配向が等方であり、かつ繊維長分布がシャープなものが得ることができ、均質な物性を有する複合成形体を好ましく提供できる。
ここでホットプレスとは、金型の温度を、熱可塑性樹脂が結晶性の場合は融点以上の温度まで、非晶性の場合はガラス転移温度以上の温度として成形する方法である。金型の温度は、好ましくは熱可塑性樹脂が結晶性の場合は、融点+10℃以上の温度、さらに好ましくは融点+20℃以上の温度、非晶性の場合はガラス転移温度+100℃以上の温度とする。金型温度の実質的な上限は樹脂の熱分解温度である。
本発明の製造方法で使用するプレス用金型はコア側および/またはキャビ側がシェアエッジ構造(食い切り構造)を有しているものが好ましい。シェアエッジ構造のシェアの角度はとくに限定はないが、1°〜3°であることが好ましい。またプレス用金型の、コア側とキャビ側のクリアランスが0.05〜0.2mmであることが好ましい。クリアランスが0.05mm未満であるとコアとキャビがかんでしまい金型の破損につながることがある。クリアランスが0.2mmよりも大きいと成形時にバリの発生の原因となることがある。好ましくはクリアランス0.07〜0.1mmの範囲である。
本発明の製造方法は、含浸と立体形状の賦形が1工程ででき、トリミングなどの後工程も最小限にすることができるので、量産性が必要な各種構成部材にも適用することができる。量産性が必要な構成部材として、例えば自動車の内板(内装パネル等)、外板(ルーフ、ボンネット、バンパー等)、構成部材(ピラー、フロア等)、また各種電気製品の筐体、機械・装置のフレームや筐体等に用いることができる。
[前駆体をホットプレスする工程]
前駆体は、具体的には以下の工程1〜4を含む方法で、好ましくホットプレスすることができる。
1.前駆体を熱可塑性樹脂が結晶性の場合は融点以上の温度まで、非晶性の場合はガラス転移温度以上の温度以上に加熱された金型内へセットする工程。
2.型締めをして、圧力を上げていき目標圧力まで上昇させる工程。
3.目標圧力到達後、未含浸状態の前駆体に金型の熱を伝え含浸と賦形を完了させる工程。
4.金型を熱可塑性樹脂の固化温度以下に冷却し、形状を安定化させる工程。
工程1の金型内へセットする前駆体の大きさは、金型表面積の90%〜100%であることが好ましい。
工程2の目標圧力まで圧力上昇に要する時間はとくに制限はないが、10秒〜60秒かけて徐々に上げていくことが好ましい。
工程3の含浸および賦形に要する時間はとくに制限はないが、60秒〜120秒が好ましい。
工程4の冷却された金型の温度は熱可塑性樹脂の固化温度以下であるが、好ましくは結晶性樹脂の場合結晶化温度−30℃以下であり、非晶性樹脂の場合はガラス転移温度−30℃以下である。上記温度以下まで金型を冷却させることで、金型から成形体を取り出すことができる。金型の冷却方法にとくに限定はなく、冷却媒体を流すなどの方法により適宜冷却すれば良い。
以下に実施例を示すが、本発明はこれらに制限されるものではない。
1)前駆体における強化繊維束の分析
強化繊維束(A)のマットの繊維全量に対する割合の求め方は、以下の通りである。
前駆体を100mm×100mmに切り出し、厚み(Ta)と重量を測定する(Wa)。
切り出したマットより、繊維束をピンセットで全て取り出し、繊維束を太さ毎に分類する。本実施例では分類は、太さ0.2mm程度単位で分類した。
分類毎に、全ての繊維束の長さ(Li)と重量(Wi)、繊維束数(I)を測定し、記録する。ピンセットにて取り出すことができない程度に繊維束が小さいものについては、まとめて最後に重量を測定する(Wk)。このとき、1/1000gまで測定可能な天秤を用いる。なお、特に強化繊維を炭素繊維とした場合や、繊維長が短い場合には、繊維束の重量が小さく、測定が困難になる。こういった場合には、分類した繊維束を複数本まとめて重量を測定する。
測定後、以下の計算を行う。使用している強化繊維の繊度(F)より、個々の繊維束の繊維本数(Ni)は次式により求められる。
Ni=Wi/(Li×F)。
強化繊維束(A)中の平均繊維数(N)は以下の式により求める。
N=ΣNi/I
また、個々の繊維束の体積(Vi)及び、強化繊維束(A)の繊維全体に対する割合(VR)は、使用した強化繊維の繊維比重(ρ)を用いて次式により求められる。
Vi=Wi/ρ
VR=ΣVi/Va×100
ここで、Vaは切り出したマットの体積であり、Va=100×100×Ta
[実施例1]
強化繊維として、東邦テナックス社製の炭素繊維“テナックス”(登録商標)STS40−24KS(平均繊維径7μm、引張強度4000MPa)を使用した。炭素繊維を10mmの長さにカット、散布と同時に、2mmにドライカットしたPA66繊維(旭化成せんい製 T5ナイロン 1400dTex、融点260℃、成形時の温度におけるゼロせん断溶融粘度は530Pa・sec)を炭素繊維の供給量を100重量部に対して、マトリックス樹脂の供給量を270重量部の割合で吹き付け、炭素繊維とポリアミドが混合され、炭素繊維が二次元ランダムに配置された厚み10mm程度の前駆体を得た。炭素繊維の目付け量1000g/mであった。
得られた前駆体について、強化繊維束(A)の割合と、平均繊維数(N)を調べたところ、式(1)で定義される臨界単糸数は86であり、マットの繊維全量に対する割合は86%、強化繊維束(A)中の平均繊維数(N)は900であった。図1に記載の製品形状(最大高さ100mm、最大幅350mm)のものを得る目的で金型表面積に対して95%の割合でこの前駆体を沿わせ、金型温度280℃、10秒かけて2.5MPaまで圧力を上げ、ホットプレスし2分間保持後、冷却媒体を使用して金型を100℃まで冷却し、厚さ3.2mmの当該成形品を取り出した。図3に用いた金型のシェアエッジ部分の模式図を示すが、金型のシェア角度は2度、金型シェアエッジ部のクリアランスは0.1mmであった。成形品は材料の割れやシワの発生が無く、成形前後で炭素繊維の配置の外観は変わらず、表面外観も良好な成形品を得ることが出来た。
[実施例2]
強化繊維として、東邦テナックス社製の炭素繊維“テナックス”(登録商標)STS40−24KS(平均繊維径7μm、引張強度4000MPa)を使用した。炭素繊維を20mmの長さにカット、散布と同時に、帝人化成社製のポリカーボネート“パンライト”(登録商標)(ガラス転移温度150℃、成形時の温度におけるゼロせん断溶融粘度は680Pa・sec)を冷凍粉砕し、更に、20メッシュ、及び100メッシュにて分級した粒子を用いた。ポリカーボネートパウダーの平均粒径は約710μmであった。そして、炭素繊維の供給量を100重量部に対して、マトリックス樹脂の供給量を270重量部の割合で吹き付け、炭素繊維と熱可塑性樹脂が混合され、炭素繊維が二次元ランダムに配置された、厚み1mm程度の前駆体を得た。炭素繊維の目付け量は、200g/mであった。
得られた前駆体について、強化繊維束(A)の割合と、平均繊維数(N)を調べたところ、式(1)で定義される臨界単糸数は86であり、マットの繊維全量に対する割合は35%、強化繊維束(A)中の平均繊維数(N)は240であった。図1に記載の製品形状(最大高さ100mm、最大幅350mm)のものを得る目的で金型表面積に対して95%の割合でこの前駆体を沿わせ、金型温度280℃、10秒かけて2.5MPaまで圧力を上げ、ホットプレスし、2分間保持後、冷却媒体を使用して金型を100℃まで冷却し、厚さ0.6mmの当該成形品を取り出した。用いた金型のシェアエッジ部分の模式図を示すが、金型のシェア角度は2度、金型シェアエッジ部のクリアランスは0.1mmであった。成形品は材料の割れやシワの発生が無く、成形前後で炭素繊維の配置の外観は変わらず、表面外観も良好な成形品を得ることが出来た。
[実施例3]
強化繊維として、東邦テナックス社製の炭素繊維“テナックス”(登録商標)STS40−24KS(平均繊維径7μm、引張強度4000MPa)を使用した。炭素繊維を10mmの長さにカット、散布と同時に、2mmにドライカットしたPA66繊維(旭化成せんい製 T5ナイロン 1400dTex、融点260℃、成形時の温度におけるゼロせん断溶融粘度は530Pa・sec)を炭素繊維の供給量を100重量部に対して、マトリックス樹脂の供給量を270重量部の割合で吹き付け、炭素繊維とポリアミドが混合され、炭素繊維が二次元ランダムに配置された厚み10mm程度の前駆体を得た。炭素繊維の目付け量1000g/mであった。
得られた前駆体について、強化繊維束(A)の割合と、平均繊維数(N)を調べたところ、式(1)で定義される臨界単糸数は86であり、マットの繊維全量に対する割合は86%、強化繊維束(A)中の平均繊維数(N)は900であった。図2に記載の製品形状(最大高さ50mm、最大幅350mm)のものを得る目的で、金型表面積に対して95%の割合でこの前駆体を沿わせ、金型温度280℃、10秒かけて2.5MPaまで圧力を上げ、ホットプレスし2分間保持後、冷却媒体を使用して金型を100℃まで冷却し、厚さ3.2mmの当該成形品を取り出した。図3に用いた金型のシェアエッジ部分の模式図を示すが、金型のシェア角度は2度、金型シェアエッジ部のクリアランスは0.1mmであった。成形品は材料の割れやシワの発生が無く、成形前後で炭素繊維の配置の外観は変わらず、表面外観も良好な成形品を得ることが出来た。
1 製品形状平面図
2 B−B断面図
3 A−A断面図

Claims (10)

  1. 繊維長5mm超100mm以下の強化繊維と、繊維状および/または粒子状の熱可塑性樹脂とから構成される熱可塑性樹脂が未含浸状態の前駆体を、ホットプレスすることにより熱可塑性樹脂の含浸工程と成形体の立体賦形工程を同時に行う、強化繊維と熱可塑性樹脂とを含む複合成形体の製造方法であって、前駆体において強化繊維が実質的に二次元ランダムに配向しており、強化繊維のうち式(1)
    臨界単糸数=600/D (1)
    (ここでDは強化繊維の平均繊維径(μm)である)
    で定義する臨界単糸数以上で構成される強化繊維束(A)について、繊維全量に対する割合が30Vol%以上90Vol%未満である複合成形体の製造方法。
  2. 強化繊維束(A)中の平均繊維数(N)が下記式(2)
    0.7×10 /D <N<6.0×10 /D (2)
    (ここでDは強化繊維の平均繊維径(μm)である)
    を満たす請求項1に記載の複合成形体の製造方法。
  3. 強化繊維が、炭素繊維および/またはガラス繊維である1または2に記載の複合成形体の製造方法。
  4. 前駆体において、熱可塑性樹脂の存在量は強化繊維100重量部に対し、50〜1000重量部である1〜3のいずれかに記載の複合成形体の製造方法。
  5. プレス時の温度における熱可塑性樹脂のゼロせん断溶融粘度が100〜1500Pa・secの範囲にある1〜4のいずれかに記載の複合成形体の製造方法。
  6. コア側および/またはキャビ側のプレス用金型がシェアエッジ構造を有し、そのシェア角が1°〜3°である1〜5のいずれかに記載の複合成形体の製造方法。
  7. シェアエッジ部のクリアランスが0.05〜0.2mmのプレス用金型を用いる請求項1〜6のいずれかに記載の複合成形体の製造方法。
  8. 強化繊維束(A)として、太さ0.2mm単位で分類される異なった太さの強化繊維束(A)を含む請求項1〜7のいずれかに記載の複合成形体の製造方法。
  9. 熱可塑性樹脂が、平均粒子径0.01〜1000μmの粒子状の熱可塑性樹脂である請求項1〜8のいずれかに記載の複合成形体の製造方法。
  10. 粒子状の熱可塑性樹脂が、分級されたものである請求項9に記載の複合成形体の製造方法。
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