まず、実施例の詳細な説明に先立って、本発明に係る表示制御手法の概要について図1を用いて説明する。図1は、本発明に係る表示制御手法の概要を示す図である。ここで、同図の(A)には、全体的に暗い画像の一部に高輝度画素が含まれる様子を示し、同図の(B)には、同図の(A)に示した画像の輝度分布を示している。
なお、本発明に係る表示制御手法では、入力された画像データの輝度値分布(以下、「ヒストグラム」と記載する)に基づいてバックライトの発光量を決定することとしている。具体的には、本発明に係る表示制御手法では、暗い画像の場合には、低輝度側に位置する画素の数が多いためバックライトの発光量を少なく設定し、明るい画像の場合には、高輝度側に位置する画素の数が多いためバックライトの発光量を多く設定する。
このため、同図の(A)に示したように、全体的に暗い画像の一部に高輝度画素が含まれる場合には、低輝度画素の数が多いためバックライトの発光量が少なく設定される。しかしながら、バックライトの発光量が少なめに設定されると、高輝度画素によって表示される部分に色つぶれ現象(以下、「ハレーション」と記載する)が発生し、かかる部分の視認性が低下するおそれがある。
そこで、本発明に係る表示制御手法では、全体的に暗い画像の一部に高輝度画素が含まれる場合には、バックライトの発光量を少なくしすぎないこととした。また、本発明に係る表示制御手法では、かかる場合に、バックライトの発光量を単純に高輝度画素に合わせた発光量とするのではなく、バックライトによる消費電力の削減も考慮して発光量を決定することとした。
具体的には、同図の(B)に示したように、本発明に係る表示制御手法では、画像データが入力されると、画像データを構成する画素の数を輝度値の高いものから順に累積加算する。すなわち、本発明に係る表示制御手法では、ヒストグラム上の最高輝度値(たとえば、8bit分解能の場合には、「255」)を算出開始ポイントとし、算出開始ポイントから低輝度側へ向かって各輝度値の画素数を順次累積加算していく(同図の(B−1)参照)。なお、ヒストグラム上の再高輝度値は、分解能に応じて変化するものである。
また、本発明に係る表示制御手法では、各輝度値の画素数を累積加算するごとに、累積加算済みの画素(以下、「累積画素」と記載する)の平均輝度(以下、「部分平均輝度」と記載する)を算出する(同図の(B−2)参照)。
すなわち、現在累積加算中の輝度値、言い換えれば、累積加算済みの画素の輝度値のうちの最低輝度値(以下、「算出ポイント」と記載する)は、画素数を累積加算するごとに低輝度側へ向かって遷移していく。また、これに伴い、部分平均輝度も低輝度側へ遷移していくこととなる。
ここで、全体的に暗い画像の一部に明るい部分が含まれる場合には、同図の(B)に示したように、高輝度側に少数の画素が存在し、残り大多数の画素が低輝度側に存在するヒストグラムとなる。このため、このようなヒストグラムを用いて高輝度側から画素数を累積加算していくと、高輝度画素の数を累積加算し終えた時点で累積画素数がほとんど増えない状態となり、これに伴い、部分平均輝度もほとんど変化しなくなる。
すなわち、全体的に暗い画像の一部に明るい部分が含まれる場合には、算出ポイントが低輝度側へ遷移するほど、部分平均輝度と算出ポイントとの間に大きな差が生じることとなる。そこで、本発明に係る表示制御手法では、部分平均輝度と算出ポイントとの差が所定の閾値以上となった場合に(同図の(B−3)参照)、全体的に暗い画像の一部に高輝度画素が含まれると判定することとした。
そして、本発明に係る表示制御手法では、部分平均輝度との差が所定の閾値以上となった場合における算出ポイントに基づいてバックライトの発光量を決定する(同図の(B−4)参照)。具体的には、本発明に係る表示制御手法では、0から255までの輝度値に対してそれぞれ0%から100%までの発光量があらかじめ対応付けられている。そして、本発明に係る表示制御手法では、上記算出ポイントの輝度値に対応する発光量をバックライトの発光量として決定する。
このように、本発明に係る表示制御手法では、全体的に暗い画像の一部に高輝度画素が含まれる場合に、バックライトの発光量を低輝度画素に合わせて下げすぎないようにしたため、高輝度画素の視認性を高めることができる。
しかも、かかる場合に、バックライトの発光量を単純に高輝度画素に合わせた発光量とするのではなく、高輝度画素と低輝度画素との間(ここでは、算出ポイント)の輝度値に対応する発光量をバックライトの発光量とすることとした。したがって、バックライトによる消費電力を抑えつつ、高輝度画素の視認性を高めることができる。
なお、本発明に係る表示制御手法では、算出ポイントと部分平均輝度との差が所定の閾値以上となる前に、累積画素数が所定の画素数を超えた場合には、累積画素数が所定の画素数を超えた時点の算出ポイントに基づいてバックライトの発光量を決定する。これにより、全体的に暗い画像の一部に高輝度画素が含まれるような特殊なケースでない場合には、通常通り、入力画像全体の明るさに応じた発光量をバックライトの発光量とすることができる。
ところで、同図の(B)に示したヒストグラムにおいて高輝度画素の分布と低輝度画素の分布とが比較的近い位置に存在する場合には、算出ポイントと部分平均輝度との差が所定の閾値以上となる前に、累積画素数が所定の画素数を超えてしまう場合がある。このような場合には、全体的に暗い画像の一部に高輝度画素が含まれているにもかかわらず、高輝度画素の視認性を適切に高めることができない。
そこで、本発明に係る表示制御手法では、部分平均輝度の値に応じて所定の閾値を変更することによって上記のような状況を回避することとしている。かかる点の詳細については、実施例において後述する。
以下では、図1を用いて説明した表示制御手法を適用した表示制御装置についての実施例を詳細に説明する。なお、以下に示す実施例では、車載装置に搭載される液晶ディスプレイの表示制御を行う表示制御装置に対して本発明を適用する場合について説明する。ただし、本発明にかかる表示制御装置は、これに限ったものではなく、携帯端末装置やPC(Personal Computer)あるいはTV(Television)のように、バックライトを用いて表示を行う表示部を備える各種の装置に対して適用することができる。
また、以下では、全体的に暗い画像の一部に高輝度画素が含まれる場合にヒストグラム上に形成される2つの分布のうち(図1参照)、高輝度側の分布に属する画素を高輝度画素と呼び、低輝度側の分布に属する画素を低輝度画素と呼ぶこととする。
図2は、本実施例に係る表示制御装置の構成を示すブロック図である。なお、同図には、表示制御装置の特徴を説明するために必要な構成要素のみを示しており、一般的な構成要素についての記載を省略している。
同図に示すように、本実施例に係る表示制御装置10は、車載装置に搭載される液晶ディスプレイ20の表示制御を行う装置である。ここで、液晶ディスプレイ20は、液晶パネル21と、バックライトモジュール22とを備えている。液晶パネル21は、表示制御装置10から出力される画像データを表示する表示部である。また、バックライトモジュール22は、液晶パネル21の背面側に設けられた照明装置であり、液晶パネル21に対して背面側から光を照射する。かかるバックライトモジュール22による消費電力の高さが省電力化の妨げとなっている。
つづいて、本実施例に係る表示制御装置10の構成について説明する。本実施例に係る表示制御装置10は、制御部11と、記憶部12とを備えている。また、制御部11は、画像データ取得部11aと、サブサンプリング部11bと、ヒストグラム生成部11cと、ヒストグラム解析部11dと、発光量変更部11eと、PWM(Pulse Width Modulation)生成部11fと、RGB変換部11gとを備えている。また、記憶部12は、閾値情報12aと、RGB変換情報12bとを記憶している。
画像データ取得部11aは、ナビゲーション画像等の画像データを車載装置から取得する処理部である。また、画像データ取得部11aは、取得した画像データをサブサンプリング部11bおよびRGB変換部11gへ渡す処理も併せて行う。
サブサンプリング部11bは、画像データ取得部11aから画像データを取得した場合に、取得した画像データに対してサブサンプリングを行う処理部である。また、サブサンプリング部11bは、サブサンプリング後の画像データをヒストグラム生成部11cへ渡す処理も併せて行う。
ここで、サブサンプリングとは、取得した画像データから画素を間引く処理を示す。このように、取得した画像データに対してサブサンプリングを行うことによって、後述するヒストグラム生成部11cやヒストグラム解析部11dといった処理部の処理速度を高めることができる。なお、ここでは、WVGAサイズ(800×480)の画像データが128×64のサイズに縮小されるものとする。
ヒストグラム生成部11cは、サブサンプリング部11bから取得したサブサンプリング後の画像データを用いてヒストグラムを生成する処理部である。ヒストグラムとは、上述したように、画像データを構成する画素の輝度分布をあらわす情報である。ここで、ヒストグラム生成部11cは、画像データに含まれるR,G,Bの各成分うち、最も値の大きい成分を用いてヒストグラムを生成する。また、ヒストグラム生成部11cは、生成したヒストグラムをヒストグラム解析部11dへ渡す処理も併せて行う。
ヒストグラム解析部11dは、ヒストグラム生成部11cによって生成されたヒストグラムを閾値情報12aを用いて解析することによって、バックライトモジュール22の発光量を決定する処理部である。
ここで、かかるヒストグラム解析部11dの具体的な構成について図3を用いて説明する。図3は、実施例1に係るヒストグラム解析部11dの構成を示すブロック図である。同図に示すように、ヒストグラム解析部11dは、累積加算部111と、部分平均輝度算出部112と、発光量決定部113とを備えている。また、閾値情報12aは、DNUM121と、AVEDIS122とを含んでいる。
累積加算部111は、ヒストグラム生成部11cから取得したヒストグラムを用いて輝度値の高いものから順に画素数を累積加算する処理部である。また、累積加算部111は、画素数を累積加算するごとに、累積加算した画素数である累積画素数および現在の算出ポイントを発光量決定部113へ渡す処理も併せて行う。
たとえば、輝度値「255」の画素数が1個であり、輝度値「254」の画素数が2個であり、輝度値「253」の画素数が3個であるとする。かかる場合、累積加算部111は、輝度値「253」までの画素数を累積加算したならば、累積画素数「6」および現在の算出ポイント「253」を発光量決定部113へ渡す。
また、累積加算部111は、現在の算出ポイントを部分平均輝度算出部112へ渡す処理も行う。
部分平均輝度算出部112は、累積加算部111によって累積加算済みの画素の平均輝度を部分平均輝度として算出する処理部である。すなわち、部分平均輝度算出部112は、累積加算部111から算出ポイントを受け取ると、算出開始ポイントから算出ポイントまでに含まれる画素の部分平均輝度を算出する。
ここで、部分平均輝度は、Σ{(算出ポイント)×(画素数)}/(累積画素数)によってあらわされる。すなわち、部分平均輝度は、各算出ポイント(輝度値)と当該算出ポイントの画素数とを乗じた値を算出開始ポイントから現在の算出ポイントまで総和し、総和した値を累積画素数で除算することによって求められる。
たとえば、輝度値「255」の画素数が1個、輝度値「254」の画素数が2個、輝度値「253」の画素数が3個であり、現在の算出ポイントが「253」であるとする。かかる場合、部分平均輝度は、{(255×1)+(254×2)+(253×3)}/6≒254となる。
部分平均輝度算出部112は、部分平均輝度を算出すると、算出した部分平均輝度を発光量決定部113へ渡す。
発光量決定部113は、累積加算部111および部分平均輝度算出部112から受け取った情報と、閾値情報12aであるDNUM121およびAVEDIS122とを用いてバックライトモジュール22の発光量を決定する処理部である。ここで、DNUM121とは、累積画素数の閾値を示す情報である。また、AVEDIS122は、部分平均輝度と現在の算出ポイントとの差の閾値を示す情報である。
具体的には、発光量決定部113は、累積画素数がDNUM121に達する前に、部分平均輝度と現在の算出ポイントとの差(以下、「輝度差分値」と記載する)がAVEDIS122以上となった場合に、現在の算出ポイントに対応する発光量をバックライトモジュール22の発光量として決定する。また、発光量決定部113は、累積加算部111から受け取った累積画素数がDNUM121に達した場合の算出ポイントに対応する発光量をバックライトモジュール22の発光量として決定する。
ここで、発光量決定部113の動作例について図4を用いて説明する。図4は、全体的に暗い画像の中に高輝度画素が含まれる場合における発光量決定部113の動作例を示す図である。
同図の(A)に示すように、全体的に暗い画像の一部に明るい部分が含まれる場合には、高輝度側に少数の画素が存在し、残り大多数の画素が低輝度側に存在するようなヒストグラムとなる。ここで、同図の(A)に示したように、累積加算部111によって高輝度側の画素数を累積加算している場合、すなわち、現在の算出ポイントが高輝度側に位置する場合には、部分平均輝度と現在の算出ポイントとの差はあまり開かない。したがって、算出ポイントおよび部分平均輝度は、輝度差分値がAVEDIS122未満の状態で低輝度側へ遷移していく(同図の(A−1)参照)。
一方、同図の(B)に示したように、累積加算部111が高輝度画素の画素数を累積加算し終えると、算出ポイントが低輝度側へ到達するまで累積画素数がほとんど増えない状態となる。これは、高輝度画素および低輝度画素間の輝度値に対応する画素数が少ないためである。これに伴い、部分平均輝度もほとんど変化しなくなる。
したがって、全体的に暗い画像の一部に明るい部分が含まれる場合には、算出ポイントが低輝度側へ遷移するにしたがって、輝度差分値が大きくなっていき、ある算出ポイントにおいてAVEDIS122以上となる(同図の(B−1)参照)。かかる場合に、発光量決定部113は、この算出ポイントに対応する発光量をバックライトモジュール22の発光量とする。
一方、発光量決定部113は、累積画素数がDNUM121に達した場合には、かかる場合の算出ポイントに対応する発光量をバックライトモジュール22の発光量とする。かかる場合について図5を用いて説明する。また、図5は、発光量決定部113の他の動作例を示す図である。なお、同図には、画素が満遍なく分布したヒストグラムを示している。
同図の(A)に示したように、累積加算部111は、累積画素数がDNUM121に達するまで、算出ポイントを順次低輝度側へ遷移させて画素数を累積加算していく(同図の(A−1)参照)。
ここで、同図の(B)に示したように、画素が満遍なく分布している場合には、算出ポイントおよび部分平均輝度は、輝度差分値がAVEDIS122未満の状態で共に低輝度側へ遷移していくこととなる(同図の(B−1)参照)。このような場合には、輝度差分値がAVEDIS122以上となることなく累積画素数がDNUM121に達することとなる(同図の(B−2)参照)。したがって、発光量決定部113は、累積画素数がDNUM121に達した場合の算出ポイントに対応する発光量をバックライトモジュール22の発光量として決定する。
このように、本実施例では、累積画素数がDNUM121に達する前に、輝度差分値がAVEDIS122以上となった場合に、かかる場合の算出ポイントに基づいてバックライトモジュール22の発光量を決定することとした。したがって、累積画素数がDNUM121に達した場合の算出ポイントに対応する発光量よりも多い発光量がバックライトモジュール22の発光量として決定されることとなる。このため、全体的に暗い画像の一部に高輝度画素が含まれる場合に、かかる高輝度画素の視認性を高めることができる。
また、本実施例では、累積画素数がDNUM121に達した場合には、累積画素数がDNUM121に達した場合の算出ポイントに基づいてバックライトモジュール22の発光量を決定することとした。したがって、高輝度画素の視認性を高める処理が必要ない場合には、通常通り、画像全体の輝度値に応じた発光量をバックライトモジュール22の発光量とすることができる。
なお、閾値情報12aとして記憶されるDNUM121およびAVEDIS122の値は、任意に変更することができる。
図2に戻り、制御部11の説明を続ける。発光量変更部11eは、バックライトモジュール22の発光量の急激な変化によって生じる画面のちらつきを防止するため、ヒストグラム解析部11dから取得した発光量と現在の発光量との差分に基づいて発光量の変化量を制限する発光量変更処理を行う処理部である。
具体的には、発光量変更部11eは、確定発光量と現在の発光量との差分が所定の閾値よりも大きい場合に、変化量の上限値として予め決められた値を現在の発光量に対して加算(あるいは減算)した値を最終的な発光量として決定する。また、発光量変更部11eは、最終的な発光量(以下、「変更後発光量」と記載する)を決定すると、この変更後発光量をPWM生成部11fへ渡す。
また、発光量変更部11eは、変更後発光量を決定すると、RGB変換情報12bを用いて変更後発光量に対応するRGB変換係数を決定し、決定したRGB変換係数をRGB変換部11gへ渡す処理も行う。
ここで、RGB変換情報12bは、「変更後発光量」ごとに「RGB変換係数」を対応付けた情報である。ここで、「変更後発光量」は、発光量変更部11eによって決定された変更後発光量を示す。また、「RGB変換係数」は、R,G,Bの各成分の値(RGB値)に対して掛け合わせる係数である。
たとえば、変更後の発光量が「100%」である場合には、RGB変換係数は「1.00」となる。これは、入力データのRGB値が、そのまま出力データのRGB値となることを示している。また、変更後の発光量が「50%」である場合には、RGB変換係数は「1.26」となる。これは、入力データのRGB値を1.26倍した値が出力データのRGB値となることを示している。なお、ここでは、R,G,Bの各成分に対してRGB変換係数をそれぞれに掛け合わせるものとする。
このように、RGB変換情報12bでは、発光後発光量が少なくなるほど、すなわち、バックライトモジュール22の発光量が少なくなり画面が暗くなるほど、RGB変換係数が高くなるように設定されている。なお、発光量変更部11eは、変更後発光量を決定すると、決定した変更後発光量と対応付けられたRGB変換係数をRGB変換情報12bから取り出し、取り出したRGB変換係数をRGB変換部11gへ渡す。
PWM生成部11fは、発光量変更部11eから変更後発光量を取得すると、バックライトモジュール22の発光量が変更後発光量となるようにパルス幅が調整されたPWM信号を生成してバックライトモジュール22へ出力する処理部である。なお、PWM生成部11fは、VSYNC(Vertical Synchronizing signal:垂直同期信号)が1回出力されるごとに、デフォルトでは、PWM信号を4回出力することとしている。ただし、VSYNCの単位出力当たりのPWM信号の出力回数は、レジスタにより適宜調整可能である。
RGB変換部11gは、画像データ取得部11aから取得した画像データに含まれるR,G,Bの各成分の値に対して、発光量変更部11eから取得したRGB変換係数を掛け合わせるRGB変換処理を行う処理部である。また、RGB変換部11gは、RGB変換処理後の画像データを液晶パネル21へ出力する処理も併せて行う。
たとえば、RGB変換部11gは、RGB変換係数「1.26」を取得した場合、画像データ取得部11aから取得した画像データに含まれるR,G,Bの各成分の値を1.26倍する。そして、RGB変換部11gは、R,G,Bの各成分の値を1.26倍した画像データを液晶パネル21へ出力する。
次に、本実施例に係る表示制御装置10の具体的動作について図6を用いて説明する。図6は、本実施例に係る表示制御装置10の処理手順を示すフローチャートである。なお、同図においては、表示制御装置10が実行する処理手順のうち、バックライトモジュール22の発光量制御に関する処理手順のみを示している。
同図に示すように、表示制御装置10では、サブサンプリング部11bが、画像データ取得部11aによって取得された画像データに対してサブサンプリングを行う(ステップS101)。また、表示制御装置10では、ヒストグラム生成部11cが、サブサンプリング後の画像データを用いてヒストグラムを生成し(ステップS102)、生成したヒストグラムを累積加算部111および部分平均輝度算出部112へ渡す。
つづいて、累積加算部111は、ヒストグラム生成部11cから受け取ったヒストグラムを用いて算出開始ポイントから画素数を順次累積加算する累積加算処理を開始する(ステップS103)。つづいて、部分平均輝度算出部112は、累積加算部111によって累積加算済みの画素の平均輝度である部分平均輝度を算出する(ステップS104)。
つづいて、発光量決定部113は、累積画素数がDNUM121に達したか否かを判定し(ステップS105)、累積画素数がDNUM121未満である場合には(ステップS105、No)、輝度差分値がAVEDIS122以上となったか否かを判定する(ステップS106)。
そして、輝度差分値がAVEDIS122以上となったと判定した場合(ステップS106、Yes)、発光量決定部113は、輝度差分値がAVEDIS122以上となった時点の算出ポイントに対応する発光量をバックライトモジュール22の発光量として決定する(ステップS107)。一方、輝度差分値がAVEDIS122未満である場合には(ステップS106、No)、発光量決定部113は、ステップS104〜S106の処理を繰り返す。
また、累積画素数がDNUM121に達したと判定した場合には(ステップS105、Yes)、発光量決定部113は、累積画素数がDNUM121に達した時点の算出ポイントに対応する発光量をバックライトモジュール22の発光量として決定する(ステップS108)。
ステップS107またはステップS108の処理を終えると、発光量変更部11eは、発光量決定部113によって決定された発光量に対して発光量変更処理を行って変更後発光量を決定する(ステップS109)。つづいて、PWM生成部11fは、変更後発光量に応じたPWM信号を生成してバックライトモジュール22へ出力する(ステップS110)。
また、RGB変換部11gは、画像データ取得部11aから取得した画像データに含まれるR,G,Bの各成分の値に対して、変更後発光量に対応するRGB変換係数を掛け合わせるRGB変換処理を行う(ステップS111)。そして、RGB変換部11gは、RGB変換処理後の画像データを液晶パネル21へ出力して(ステップS112)、処理を終了する。
上述してきたように、本実施例では、累積加算部が、入力された画像データに対して当該画像データを構成する画素の数を輝度値の高いものから順に累積加算し、部分平均輝度算出部が、累積加算済みの画素の平均輝度を部分平均輝度として算出し、発光量決定部が、算出した部分平均輝度と累積加算済みの画素の輝度値のうちの最低輝度値との差が所定の閾値以上となった場合に、当該最低輝度値に基づいてバックライトの発光量を決定することとした。したがって、全体的に暗い画像の一部に高輝度の画素が含まれる場合に、バックライトによる消費電力を抑えつつ、高輝度画素の視認性を高めることができる。
ところで、上述してきた実施例では、画像中の暗い部分と明るい部分との輝度差が大きい場合、すなわち、ヒストグラムにおいて高輝度画素の分布と低輝度画素の分布とが大きく離れている場合を例として説明してきた。しかしながら、これに限ったものではなく、たとえば、画像中の明るい部分の輝度値があまり高くない場合のように、高輝度画素の分布と低輝度画素の分布とが比較的近い位置に存在する場合もある。
かかる場合には、全体的に暗い画像の一部に高輝度画素が含まれているにもかかわらず、輝度差分値がAVEDIS122以上となる前に、累積画素数がDNUM121に達してしまうおそれがある。そこで、高輝度画素の輝度値が比較的低い場合には、高輝度画素の輝度値が高い場合と比較してAVEDIS122の値を小さくすることとしてもよい。
以下では、かかる場合について図7を用いて説明する。図7は、部分平均輝度の値に応じてAVEDIS122を変更する場合について説明するための図である。なお、同図の(A)には、部分平均輝度と閾値Aとの大小関係に応じて異なるAVEDIS121が対応付けられる様子を示している。また、同図の(B)には、部分平均輝度が閾値A以上である場合にAVEDIS(大)が適用される様子を、同図の(C)には、部分平均輝度が閾値A未満である場合にAVEDIS(小)が適用される様子を、それぞれ示している。
同図の(A)に示したように、記憶部12には、AVEDIS122として、AVEDIS(大)と、AVEDIS(大)よりも値の小さいAVEDIS(小)とが記憶されている。
そして、発光量決定部113は、部分平均輝度算出部112によって算出された部分平均輝度が閾値A以上である場合には、輝度差分値とAVEDIS(大)とを比較し、輝度差分値がAVEDIS(大)以上となったか否かを判定する(同図の(B)参照)。これは、部分平均輝度が閾値A(「所定の輝度値」に相当)以上である場合には、低輝度画素と高輝度画素との輝度差が大きいと見なすことができるためである。
一方、発光量決定部113は、部分平均輝度が閾値A未満となった場合には、輝度差分値とAVEDIS(小)とを比較し、輝度差分値がAVEDIS(小)以上となったか否かを判定する(同図の(C)参照)。これは、部分平均輝度が閾値A未満となった場合には、低輝度画素と高輝度画素との輝度差が小さいと見なすことができるためである。
このように、部分平均輝度算出部112によって算出された部分平均輝度が所定の輝度値未満である場合には、部分平均輝度が所定の輝度値以上である場合と比較してAVEDISを小さくすることとした。したがって、高輝度画素と低輝度画素との輝度差が小さい場合に、輝度差分値がAVEDIS122以上となる前に、累積画素数がDNUM121に達してしまうことが防止される結果、高輝度画素の視認性を適切に高めることができる。
なお、AVEDIS122として記憶されるAVEDIS(大)およびAVEDIS(小)の値は、AVEDIS(小)がAVEDIS(大)を超えない範囲であれば、任意に設定変更可能である。
ところで、上述してきた実施例では、AVEDIS122を導入することによって、全体的に暗い画像の一部に高輝度画素が含まれる場合における高輝度画素の視認性を高める方式について説明してきたが、他の方式によっても高輝度画素の視認性を高めることができる。たとえば、画像データに含まれる全画素を高輝度画素および低輝度画素の2つに分類し、累積加算部111によって画素数の累積加算を行う場合に、高輝度画素の累積画素数を低輝度画素の各輝度値の画素数へ加算しながら順次累積加算していくことによって、累積画素数を通常よりも早くDNUM121に到達させるようにしてもよい。
以下では、かかる場合について図8を用いて説明する。図8は、累積加算部111の他の動作例を示す図である。ここで、同図の(A)には、累積加算部111の通常の動作例を示し、同図の(B)には、累積加算部111の他の動作例を示している。なお、ここでは、DNUM121の値を「60」として説明する。また、同図の(B)に示したように、ここでは、輝度値「200」〜「255」までの画素を高輝度画素とし、輝度値「0」〜「199」の画素を低輝度画素として分類するものとする。
同図の(A)に示したように、通常の動作において、累積加算部111は、算出開始ポイントから低輝度へ向かって画素数を順次累積加算していく。そして、累積画素数がDNUM121を超えた時点の算出ポイント(ここでは、輝度値「100」)に対応する発光量「39%」をバックライトモジュール22の発光量として決定する。
一方、他の動作において、累積加算部111は、同図の(B)に示したように、高輝度画素の累積画素数が「15」である場合には、低輝度画素に分類される各輝度値の画素数に対してそれぞれ「15」を加算したものを累積加算していく。たとえば、累積加算部111は、輝度値「199」の画素数「1」に対して「15」を加算した値「16」を累積加算する。
このように、低輝度画素に分類される各輝度値の画素数に対して高輝度画素の累積画素数を加算したものを順次累積加算していくことによって、累積画素数は、同図の(A)に示した場合よりも早くDNUM121に達することとなる。すなわち、かかる処理によって、累積画素数がDNUM121に達した時点における算出ポイント(ここでは、輝度値「197」)を同図の(A)に示した場合よりも高くすることができ、結果として、バックライトモジュール22の発光量も同図の(A)に示した場合よりも多くすることができる。
したがって、かかる方式を用いた場合であっても、全体的に暗い画像の一部に高輝度画素が含まれる場合に、高輝度画素の視認性を高めることができる。なお、高輝度画素と低輝度画素との境界値は、任意に設定変更可能である。
また、その他の方式として、全体平均輝度が所定の閾値以下であり、かつ、高輝度画素の累積画素数が所定数以上である場合に、暗い画像の一部に高輝度画素が含まれると判定し、既定の発光量をバックライトモジュール22の発光量として決定してもよい。以下では、かかる場合について図9を用いて説明する。図9は、発光量決定部113の他の動作例を示す図である。
同図に示したように、部分平均輝度算出部112は、画像データの全画素の平均輝度である全体平均輝度を算出し、発光量決定部113へ渡す。また、累積加算部111は、高輝度画素の累積画素数を発光量決定部113へ渡す。なお、高輝度画素の累積画素数とは、輝度値「255」から所定の輝度値(たとえば、「200」)までの画素の累積数を示す。
また、発光量決定部113は、部分平均輝度算出部112から全体平均輝度を受け取ると、全体平均輝度が閾値B未満であるか否かを判定する(同図の(1)参照)。また、発光量決定部113は、高輝度画素の累積画素数が所定数以上であるか否かを判定する(同図の(2)参照)。そして、発光量決定部113は、全体平均輝度が閾値B未満であると判定し、かつ、高輝度画素の累積画素数が所定数以上であると判定した場合には、暗い画像の一部に高輝度画素が含まれると判定する(同図の(3)参照)。
そして、暗い画像の一部に高輝度画素が含まれると判定すると、発光量決定部113は、既定の発光量をバックライトモジュール22の発光量として決定する(同図の(4)参照)。ここで、既定の発光量とは、全体平均輝度に対応する発光量よりも多い発光量とする。
このように、全体平均輝度が所定の閾値以下であり、かつ、高輝度画素の累積画素数が所定数以上である場合に、既定の発光量をバックライトモジュール22の発光量として決定する方式を用いた場合であっても、全体的に暗い画像の一部に含まれる高輝度画素の視認性を高めることができる。なお、上記の所定数や閾値Bの値は、任意に変更することができる。