JP5648920B2 - 棺 - Google Patents

Description

本発明は、棺，石棺，骨壷等を覆う外覆いに関するものである。

葬儀屋業等の分野において、現在用いられている公知の棺は、一般に木材から作られ、該棺を注文した人からの要望に従って装飾のためのペンキが塗られる。

ペンキが塗られたそれら棺には、不都合な点が無いわけではなく、用いられるペンキが、環境と、該棺にペンキを塗るプロセスにおいてペンキを使用する作業員との双方にとって有毒であるという不都合がある。

この毒性は、棺が製造されている工場付近のエリアにおいて観察されている。

権限を有するローカル・ヘルス機関は、棺のペンキによって放出される気体に関係した高い割合の汚染と毒性とを実際に検出している。

例えば、イタリア市場だけにおける一年間の棺の生産量が５５０，０００本に匹敵することと、一本の棺にペンキを塗るのに用いられるペンキの平均的な消費量が４キログラムであることを考慮すると、２，２００，０００キログラムもの総消費量の高毒性物質が、棺が焼却され又は埋葬されるか否かによって、周囲，大気又は地中に巻き散らかされている。

より正確に言うと、棺が埋葬され又は聖遺物納入区画（ｌｏｃｕｌｕｓ）内に納められた場合には、該棺は、イタリアにおける現行法では１０年に匹敵する期間、処分されずに有毒で有害な状態のままにされる。

この期間が一旦経過すると、棺は、墓から掘り出されて、環境を保護することにはならないプロセスによって、非常に頻繁に苦労して処理されている。

火葬を目的として設計された棺に関しては、火葬場で焼却されるため、棺に施されたペンキが焼却されることにより有毒ガスが大気中に放出されることとなり、大気汚染の原因となる。

公知の棺の別の不都合な点は、棺を作るのに木材を継続的に使用することが環境及び自然のグローバルな開発に結び付いて、例えば、カラマツや落葉樹（ｄｕｒｍａｓｔ ｏａｋ）の如き特に貴重な樹木の数を絶えず減少させてしまう。

棺を提供するために直接的に用いられる木材の消費に加えて、かなりの量の木材が、例えば、節や木目に起因する欠陥の如き、消費者によって価値が認められない表面上の欠陥が存在するという理由により拒絶され乃至は使用されていないという現実があることを考慮しなければならない。

本発明は、背景技術の上述した問題点を解消することのできる、棺，石棺等の外覆いを提供することを目的とする。

上記目的の範囲内で、本発明は、棺のペインティングを全体的に又は部分的に回避することを可能にさせる、棺の外覆いを提供することを目的とする。

本発明の別の目的は、二次的に選択されるものと通常考えられて、使用に適さない木材であっても、棺を作るために用いることを可能にさせる、棺用の外覆いを提供することにある。

本発明の更に別の目的は、様々な粒体でプラニング及びサンディングすると共に様々な努力をするというような、棺を作るのに用いられる木材を用意するためのプロセスを劇的に減少させることにある。

本発明の更に別の目的は、焼却するのに完全に好適な棺を提供することにある。

以下の説明によってより明確になるであろう、上述した目標及び目的並びにその他の目的については、棺，石棺等の外表面全体に亘って均一に貼り付けることの可能な少なくとも一つの接着性フィルムを有することを特徴とする、棺，石棺等の外覆いによって達成される。

本発明の更なる特徴及び利点については、好ましいが、限定的でない、本発明による、棺，石棺等の外覆いに係る実施形態を図示した添付図面を参照して行った下記説明により明らかになるであろう。

図１は、本発明による外覆いが適用される棺の平面図である。 図２は、図１に示した棺の側面図である。 図３は、図１に示した棺の斜視図である。 図４は、図１に示した棺の変形例の斜視図である。 図４ａは、図４に示した棺の細部の拡大斜視図である。 図４ｂは、図４に示した棺の別の細部の拡大斜視図である。 図５は、図１に示した棺の一部の断面図である。 図６は、外覆いを取り除く作業中の、図１に示した棺の斜視図である。

添付図面を参照すると、本発明による、棺，石棺等の外覆いは、参照符号１を用いて示されている。この外覆い１は、例えば、函形の本体を有する棺３にエッジ，モールディング及びその他幾何学的形状が存在するような、特に複雑な表面であっても、棺３の外表面全体に均一に貼り付けることのできる少なくとも一枚の接着性フィルム２を含んでいる。

より正確には、接着性フィルム２は、該接着性フィルム２の一面に存在する接着層によって棺３の表面に均一に貼り付けることができる。

以下に詳述するように、接着性フィルム２の接着層は、接着性フィルム２が作られている材料のリサイクルを許容するように、焼却する前に焼却の作業員が接着性フィルム２を棺３から簡単に取り除くことを許容するようなものである。

好ましいことに、接着性フィルム２はリサイクル可能な材料から作られていて、相互に置換可能な変形例においては、接着性フィルム２は、プラスチック材料又は環境に優しい紙から作られている。

接着性フィルム２は、例えば、ポリプロピレン，ホモポリマー，コポリマー，ポリスチレン，ポリエチレン，エチレン，ポリ塩化ビニル，ポリメチルメタクリレート，スチレン アクリロニトリル（ｓｔｙｒｅｎｅ ａｃｒｙｌｏｎｉｔｒｉｌｅ）又は何らかの類似したその他の材料から作ることができる。

棺３の使用中等に棺３が晒される天候の影響に耐えられるようにするために、接着性フィルム２には、棺の購入者の好みに従って、文字を伴った又は文字を伴っていない、例えば、空想的な，写実的な，軍隊的な，抽象的な，宗教的な，芸術的な又は写真のような様々なタイプの装飾を設けることができ、それにより、接着性フィルム２を、耐水性，例えば光を通さない耐光性を有し、更に、風を通さず、風や熱にも耐えることができるものとすることができる。

その装飾は、植物及び動物から抽出された食べられる染料を用いて設けることができるので、有害ではなく、接着剤も同様に植物及び動物から抽出される。

究極的には、接着性フィルム２は、白黒又は多色のものであってもよく、また、平滑又はざらざらしていてもよく、更に、光沢のあるもの又は光沢がないものであってもよく、また、通気性があってもよく、更に、人目を引くものであってもよい。

接着性フィルム２は、棺等の様々な部分上に敷いて、過剰な部分はカッターで除去することにより適用することができる。接着性フィルムをより良好に接着させ、従って、棺上に存在する何らかの幾何学的形状のエッジ及びコーナーに接着性フィルムを正確に整列させるべく、熱気源を用いて接着性フィルムの一部を加熱する。何らかの気泡が生じた場合には、適切に用意されたスパチュラ（ｓｐａｔｕｌａ）によって取り除くことができる。

接着性フィルム２は、「真空」技術を用いて棺に貼り付けることのできる熱溶融接着性・熱収縮性フィルム（ｔｈｅｒｍｏａｄｈｅｓｉｖｅ， ｈｅａｔ−ｓｈｒｉｎｋ ｆｉｌｍ）であってもよい。

本発明による、棺，石棺等の外覆いは、一枚又はそれ以上の接着性フィルムを用いて棺又は石棺を完全且つ均一に覆うこと可能にさせ、しかも、該接着性フィルムは、写図器（ｐａｎｔｏｇｒａｐｈ）で描き又はプロッター（ｐｌｏｔｔｅｒ）で作り出す（この表現は、予め間隔を置いて配置するための技術等のカット（ｃｕｔｓ ｆｏｒ ｐｒｅ−ｓｐａｃｅｄ ｔｅｃｈｉｎｉｑｕｅｓ）に関するものである）こともできるので、本発明による外覆いは、実際に、所期の目標及び目的を達成するものであることが分かった。本質的には、棺を上述した接着性フィルムで実際に被覆する場合に、パターン及び装飾を有していないフィルム上に同様な特質を有したパターン及び装飾を施すことができる。

より正確に言えば、この接着性を有する外覆いは、棺を装飾するのに一般に用いられているペンキに完全に又は部分的に取って代わるもので、ペンキ以外の、棺を構成している木材の何らかの欠陥又は傷等を隠すものとして機能し、従って、例えば、節や目に見える木目によって齎される欠陥等を有する低品質の中実木材のボード又は斯かる木材の片，ラミネートされた木材，チップウッド（ｃｈｉｐｗｏｏｄ），合板又はセルロース抽出材（ｃｅｌｌｕｌｏｓｅ−ｄｅｒｉｖｅｄ ｍａｔｅｒｉａｌｓ）の如き木材で、ざらざらした即ち表面が未加工な木材又は返品が要求されるような木材から棺が作られていても、好ましい外観を呈するようにさせることができる。

こうして、森林の開発及び大気汚染から自然を保護することができる。

本発明による外覆いの別の利点は、接着性フィルムが印刷プロセスによって装飾されるので、接着性フィルム上に良質木材の木目模様を表現することができ、棺がそれ自体低価値の材料から作られている場合であっても、接着性フィルムを適用することにより、棺の審美性を向上させ、上品にさせることができるという点にある。

本発明による外覆いの更に別の利点は、除去された接着性フィルムが、捨てられることがなく、１００％完全にリサイクル可能な材料として認識することができる点にある。

従って、火葬場においては、火葬処理の前に、接着性フィルムを除去し回収して、１００％ざらざらとした即ち未加工の木製棺を剥き出しにさせることができるので、該棺を焼却しても大気汚染を齎すことがない。

本発明による外覆いは、外覆いの二つの表面の一方に結合させられ又は外覆い内にインサートされる、ウォーターマーク（ｗａｔｅｒｍａｒｋ），ホログラム（ｈｏｌｏｇｒａｍ），レフレクター（ｒｅｆｌｅｃｔｏｒ）等の証明手段を含んでいるのが都合よい。この証明手段は、覆いとして用いられたフィルムが汚染物質を残していないことを証明するものである。この特徴を確認することは、火葬前に棺から（十字架，ハンドル等の）真鍮部品を目下取り除いている作業者が、棺を火葬炉に入れる前に執り行われなければならないチェックである。

本発明による外覆いの更に別の利点は、ペンキのコストと、ペンキを塗ることによるコストと、ペンキに含有されている汚染物質を処分することによるコストと、過剰な有害物質を自然環境内に導入したことによる何らかの罰金と、安価な木材と高価な木材とのコスト差とに匹敵するコストの節約を可能にするので、背景技術の欄において説明したことに関連して、経済的に有利であるという点にある。

上述した実施形態の全ての部分については、技術的に均等な別の要素と置換することができる。

実際に、形状や寸法のみならず、用いられる材料については、これらが特定の用途と矛盾しない限り、需要者からの要望や最新技術に従った、どのようなものであってもよい。

本願が優先権主張の基礎としたイタリア実用新案登録出願第ＢＳ２００８Ｕ００００２５及びＢＳ２００９Ｕ０００００６に開示の内容は、援用することによって本明細書の内容を成すものである。

請求項において、本願発明の技術的特徴要素については参照符号を付して記載したが、そのような参照符号は、請求項に記載の発明の理解を容易にさせる目的のためにのみ請求項に記載したに過ぎないものであり、従って、そのような参照符号は、該参照符号によって例示的に同定された各構成要素の解釈に何ら限定的な影響を及ぼすものではない。

Claims (10)

1. 未加工な木材又は返品されるような木材から作られた函形の本体と該本体の外表面に貼り付けられる少なくとも一つの外覆いとを有する棺であって、前記外覆いが、一面側に接着剤を有し、該接着剤を介して前記本体の外表面に直接貼り付けられる、プラスチック材料又は環境に優しい紙から作られた接着性フィルムで、未加工な木材又は返品されるような木材から作られた前記本体に対して必要とされるペンキによる表面仕上げ層に代わるものとして、前記本体の前記外表面に付着するように貼り付けられていることを特徴とする棺。
2. 前記外覆いが、前記本体の外表面全体に亘って均一に貼り付けられている、請求項１に記載の棺。
3. 前記本体に一旦貼り付けられた前記外覆いが、前記本体から取り外し可能に構成されている、請求項１又は２に記載の棺。
4. 前記外覆いが、リサイクル可能な材料から作られている、請求項１〜３の何れかに記載の棺。
5. 前記外覆いが、耐水性を有している、請求項１〜４の何れかに記載の棺。
6. 前記外覆いが、光を通さない耐光性を有している、請求項１〜５の何れかに記載の棺。
7. 前記外覆いが、風を通さないように構成されている、請求項１〜６の何れかに記載の棺。
8. 前記外覆いが、熱収縮性フィルムである、請求項１〜７の何れかに記載の棺。
9. 前記外覆いが、食用染料を用いて設けられた装飾を有している、請求項１〜８の何れかに記載の棺。
10. 前記外覆いが、それの両面の何れか一方に、又は、前記外覆い内に設けるのに好適な証明手段を有している、請求項１〜９の何れかに記載の棺。

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