8:ハイブリッド車両 10:動力伝達装置 12:エンジン 14:出力軸 16:動力分配機構 18:自動変速機 20:差動歯車装置 22:駆動輪 26:ブレーキペダル 28:インバータ 30:インバータ 32:蓄電装置 34:シフトレバー 36:クランク軸 38:ダンパ 40:ハウジング 50:油圧制御回路 60:電子制御装置 70:機械式オイルポンプ 72:電気式オイルポンプ 74:プライマリレギュレータバルブ 76:モジュレータバルブ 78:油圧アクチュエータ 80:第1フェールセーフバルブ 82:油圧アクチュエータ 84:第2フェールセーフバルブ 100:入力ポート 102:出力ポート 104:入力ポート 106:出力ポート 108:スプリング 110:入力ポート 112:出力ポート 114:入力ポート 116:出力ポート 118:スプリング 130:ハイブリッド駆動制御手段 132:変速制御手段 134:異常検出手段 136:システム起動要求判定手段 138:変速終了判定手段 140:異常除去手段 142:本異常確定手段 146:油圧スイッチ使用禁止手段 160:動力伝達装置 162:トルクコンバータ 164:自動変速機 166:第1遊星歯車装置 168:第1変速部 170:第2遊星歯車装置 172:第3遊星歯車装置 174:第2変速部 176:入力軸 178:出力歯車 180:ケース 202:シフト操作装置 204:シフトレバー 206:Pスイッチ 208:シフト操作検出装置 210:電子制御装置 212:SBWアクチュエータ 214:切換シャフト 216:レバー 218:シフト切換バルブ 220:スプール 222:油圧制御回路 224:B2コントロールバルブ 226:供給油路 228:前進用油路 230:後輪用油路 232:非接触式ポジションセンサ SW1〜SW5:油圧スイッチ
図1は、本発明が好適に適用されるハイブリッド車両8を説明する図である。この図1に示すハイブリッド車両8は、主動力源としてのエンジン12から出力される動力を第1電動機MG1と伝達部材としての出力軸14とに分配する動力分配機構16と、出力軸14に歯車機構としての自動変速機18を介して作動的に連結された第2電動機MG2とを有する車両用動力伝達装置(以下、動力伝達装置)10を備えて構成されている。この動力伝達装置10は、FR(フロントエンジン・リアドライブ)車両等に好適に用いられるものであって、エンジン12、第2電動機MG2等から出力されるトルクが出力軸14に伝達され、その出力軸14から差動歯車装置20を介して左右一対の後輪(駆動輪)22にトルクが伝達されるようになっている。なお、動力伝達装置10は、その中心線に対して対称的に構成されているため、図1ではそれらの半分を省略して示している。
動力伝達装置10では、第2電動機MG2から出力軸14へ伝達されるトルクが自動変速機18において設定される変速比γs(=MG2の回転速度/出力軸14の回転速度)に応じて増減されるようになっている。この自動変速機18の変速比γsは、「1」以上の複数段に設定されるように構成されており、第2電動機MG2から出力トルクTMG2を出力する力行時にはそのMG2トルクTMG2を増大させて出力軸14へ伝達することができるので、第2電動機MG2を一層低容量若しくは小型に構成することができる。これにより、例えば高車速に伴って出力軸14の回転速度が増大した場合には、第2電動機MG2の運転効率を良好な状態に維持するために、自動変速機18の変速比γsを低下させることで第2電動機MG2の回転速度が低下させられる。また、出力軸14の回転速度が低下した場合には、自動変速機18の変速比γsが適宜増大させられる。
エンジン12は、ハイブリッド車両8の主動力源であり、例えばガソリンエンジンやディーゼルエンジン等、所定の燃料を燃焼させて動力を出力させる公知の内燃機関である。また、ハイブリッド車両8には、マイクロコンピュータを主体とする電子制御装置60が備えられており、エンジン12は、電子制御装置60が有するエンジン制御用電子制御装置(E−ECU)によって、スロットル開度或いは吸入空気量、燃料供給量、点火時期等の運転状態が電気的に制御されるように構成されている。また、上記エンジン制御用電子制御装置(E−ECU)には、アクセルペダル24の操作量を検出するアクセル開度センサAS、ブレーキペダル26の操作を検出するためのブレーキセンサBS等からの検出信号が供給されるようになっている。
第1電動機MG1及び第2電動機MG2は、駆動トルクを発生させる電動機(モータ)としての機能及び発電機(ジェネレータ)としての機能のうち少なくとも一方を備えた例えば同期電動機であって、好適には、発動機又は発電機として選択的に作動させられるモータジェネレータである。これら第1電動機MG1及び第2電動機MG2は、インバータ28、30を介してバッテリやコンデンサ等の蓄電装置32に接続されており、電子制御装置60が有するモータジェネレータ制御用電子制御装置(MG−ECU)によってそのインバータ28、30が制御されることにより、第1電動機MG1及び第2電動機MG2の出力トルクあるいは回生トルクが調節或いは設定されるようになっている。また、上記モータジェネレータ制御用電子制御装置(MG−ECU)には、シフトレバー34の操作位置を検出する操作位置センサSS、車速に対応する出力軸14の回転速度を検出する出力回転速度センサNS等からの検出信号が供給されるようになっている。
動力分配機構16は、サンギヤS0と、そのサンギヤS0に対して同心円上に配置されたリングギヤR0と、それらサンギヤS0及びリングギヤR0に噛み合うピニオンギヤP0を自転且つ公転自在に支持するキャリアCA0とを三つの回転要素として備えて公知の差動作用を生じるシングルピニオン型の遊星歯車装置から構成されている。この遊星歯車装置は、エンジン12及び自動変速機18と同心に設けられている。また、動力伝達装置10において、エンジン12のクランク軸36は、ダンパ38を介して動力分配機構16のキャリアCA0に連結されている。これに対してサンギヤS0には第1電動機MG1が連結され、リングギヤR0には出力軸14が連結されている。動力分配機構16において、キャリアCA0は入力要素として機能し、サンギヤS0は反力要素として機能し、リングギヤR0は出力要素として機能している。
動力分配機構16における各回転要素の回転速度の相対的関係は、図2の共線図により示される。この共線図において、縦軸S、縦軸CA、及び縦軸Rは、サンギヤS0の回転速度、キャリアCA0の回転速度、及びリングギヤR0の回転速度をそれぞれ表す軸であり、縦軸S、縦軸CA、及び縦軸Rの相互の間隔は、縦軸Sと縦軸CAとの間隔を1としたとき、縦軸CAと縦軸Rとの間隔がρ(サンギヤS0の歯数Zs/リングギヤR0の歯数Zr)となるように設定されたものである。斯かる動力分配機構16において、キャリアCA0に入力されるエンジン12の出力トルク(エンジントルク)TEに対して、第1電動機MG1による反力トルクがサンギヤS0に入力されると、出力要素となっているリングギヤR0には、エンジン12から入力されたトルクより大きいトルクが現れるので、第1電動機MG1は発電機として機能する。すなわち、動力分配機構16においては、エンジン12に動力伝達可能に連結され、動力伝達可能に連結された差動用電動機としての第1電動機MG1を有し、第1電動機MG1の運転状態が制御されることにより差動状態が制御される電気式変速機構である電気式無段変速機が構成される。従って、エンジン12の動力は、この無段変速機としての動力分配機構16を介して出力軸14に伝達される。
動力分配機構16の差動状態が制御されることにより、リングギヤR0の回転速度(出力軸回転速度)NOUTが一定であるとき、第1電動機MG1の回転速度を上下に変化させることで、エンジン12の回転速度NEを連続的に(無段階に)変化させることができる。図2の破線は第1電動機MG1の回転速度を実線に示す値から下げたときにエンジン12の回転速度(エンジン回転速度)NEが低下する状態を示している。また、動力分配機構16が無段変速機として機能することにより、例えば燃費が最もよいエンジン12の動作点(運転点:例えばエンジン回転速度NEとエンジントルクTEとで定められる)に設定する制御を、第1電動機MG1を制御することによって実行することができる。
図1に戻って、自動変速機18は、一組のラビニヨ型遊星歯車機構によって構成されている。すなわち、第1サンギヤS1と第2サンギヤS2とが設けられており、その第1サンギヤS1にショートピニオンP1が噛合するとともに、そのショートピニオンP1がそれより軸長の長いロングピニオンP2に噛合し、そのロングピニオンP2が前記各サンギヤS1、S2と同心円上に配置されたリングギヤR1に噛合している。上記各ピニオンP1、P2は、共通のキャリアCA1によって自転且つ公転自在にそれぞれ保持されている。また、第2サンギヤS2がロングピニオンP2に噛合している。また、第2サンギヤS2には第2電動機MG2が連結され、キャリアCA1が出力軸14に連結されている。第1サンギヤS1とリングギヤR1とは、各ピニオンP1、P2と共にタプルピニオン型遊星歯車装置に相当する機構を構成し、また第2サンギヤS2とリングギヤR1とは、ロングピニオンP2と共にシングルピニオン型遊星歯車装置に相当する機構を構成している。
また、自動変速機18には、第1サンギヤS1を選択的に固定するためにその第1サンギヤS1と非回転部材であるハウジング40との間に設けられた第1ブレーキB1と、リングギヤR1を選択的に固定するためにそのリングギヤR1とハウジング40との間に設けられた第2ブレーキB2とが設けられている。これらのブレーキB1、B2は摩擦力によって制動力を生じる所謂摩擦係合装置であって、好適には互いに重ねられた複数枚の摩擦板が油圧アクチュエータにより押圧される湿式多板型の油圧式摩擦係合装置や、回転するドラムの外周面に巻き付けられた1本又は2本のバンドの一端が油圧アクチュエータによって引き締められるバンドブレーキなどにより構成され、それが介挿されている両側の部材を選択的に連結するためのものである。そして、これらのブレーキB1、B2を作動させるための作動油の油圧(係合圧)に応じてブレーキB1、B2のトルク容量が連続的に変化するように構成されている。
以上のように構成された自動変速機18では、第2サンギヤS2が入力要素として機能すると共にキャリアCA1が出力要素として機能し、第1ブレーキB1が係合させられると「1」より大きい変速比γshの高速段「2nd」が達成される。また、第1ブレーキB1に替えて第2ブレーキB2が係合させられるとその高速段「2nd」の変速比γshより大きい変速比γslの低速段「1st」が設定されるように構成されている。このように、自動変速機18は、油圧式摩擦係合装置の係合と解放とにより変速段が切り替えられる機械式変速機構である。
上記変速段「2nd」及び「1st」の間での変速は、車速や要求駆動力関連値(目標駆動力関連値)等の走行状態に基づいて実行される。より具体的には、例えば予め実験的に定められた変速段領域を予めマップ(変速線図)として記憶しておき、検出された運転状態に応じていずれかの変速段を設定するように制御を行う。電子制御装置60には、その制御を行うための変速制御用電子制御装置(T−ECU)が設けられている。この変速制御用電子制御装置(T−ECU)には、作動油の温度(作動油温)THOILを検出するための油温センサTS、第1ブレーキB1の係合油圧を検出するための油圧スイッチSW1、第2ブレーキB2の係合油圧を検出するための油圧スイッチSW2、ライン油圧PLを検出するための油圧スイッチSW3、及び出力回転速度センサNS等からの検出信号等が供給されるようになっている。
また、前記要求駆動力関連値における駆動力関連値とは、車両の駆動力に1対1に対応するものであって、駆動輪22での駆動トルク或いは駆動力のみならず、例えば出力軸14の出力トルク(出力軸トルク)、エンジントルク、車両加速度であってもよい。また、要求駆動力関連値は、例えばアクセル開度(或いはスロットル弁開度、吸入空気量、空燃比、燃料噴射量)に基づいて決定される駆動力関連値の要求値(目標値)であるが、アクセル開度等がそのまま用いられても良い。
図3は、自動変速機18を構成しているラビニヨ型遊星歯車機構についての各回転要素の相互関係を表すために4本の縦軸S1、縦軸R1、縦軸CA1、及び縦軸S2を有する共線図を示している。これら縦軸S1、縦軸R1、縦軸CA1、及び縦軸S2は、第1サンギヤS1の回転速度、リングギヤR1の回転速度、キャリアCA1の回転速度、及び第2サンギヤS2の回転速度をそれぞれ示すものである。自動変速機18では、第2ブレーキB2によってリングギヤR1が固定されると、低速段「1st」が設定され、第2電動機MG2の出力したアシストトルクがそのときの変速比γslに応じて増幅されて出力軸14に付加される。これに替えて、第1ブレーキB1によって第1サンギヤS1が固定されると、低速段「1st」の変速比γslよりも小さい変速比γshを有する高速段「2nd」が設定される。この高速段「2nd」における変速比も「1」より大きいので、第2電動機MG2の出力したアシストトルクがその変速比γshに応じて増大させられて出力軸14に付加される。尚、各変速段「1st」、「2nd」が定常的に設定されている状態では、出力軸14に付加されるトルクは、第2電動機MG2の出力トルクを各変速比に応じて増大させたトルクとなるが、自動変速機18の変速過渡状態では各ブレーキB1、B2でのトルク容量や回転数変化に伴う慣性トルク等の影響を受けたトルクとなる。また、出力軸14に付加されるトルクは、第2電動機MG2の駆動状態では正トルク(駆動トルク)となり、被駆動状態では負トルク(ブレーキトルク)となる。すなわち、第2電動機MG2の被駆動状態においては、回生作動により回生制動力が発生させられる。
図4は、自動変速機18における変速段を切り替えるための油圧制御回路50(図5参照)の作動を説明する図表であり、○印が油圧出力状態或いはブレーキの係合状態を示し、×印が油圧非出力状態或いは解放状態を示している。この図4に示すように、リニヤソレノイドバルブSL1(図5参照)が油圧非出力状態とされると共にリニアソレノイドバルブSL2(図5参照)が油圧出力状態とされると、第1ブレーキB1が解放状態且つ第2ブレーキB2が係合状態とされ、自動変速機18の低速段「1st」が達成される。一方、リニヤソレノイドバルブSL1が油圧出力状態とされると共に、リニアソレノイドバルブSL2が油圧非出力状態とされると、第1ブレーキB1が係合状態且つ第2ブレーキB2が解放状態とされ、自動変速機18の高速段「2nd」が達成される。
図5および図6は、油圧制御回路50の構成の概略を示す構成図である。油圧制御回路50は、エンジン12によって駆動される機械式オイルポンプ70、電動機によって駆動される電気式オイルポンプ72、機械式オイルポンプ70および電気式オイルポンプ72の少なくとも一方の作動によって発生させられる油圧を元圧としてライン油圧PLを調圧する例えばリリーフ式のプライマリレギュレータバルブ74(以下、プライマリバルブ74と記載)、プライマリバルブ74によるライン油圧PLの調圧のためにプライマリバルブ74から排出される油圧を元圧としてモジュレータ油圧PMを一定値に調圧するモジュレータバルブ76、アクセル開度Acc或いはスロットル弁開度θTHで表されるエンジン負荷等に応じたライン油圧PLに調圧されるためにプライマリバルブ86に信号圧PSLTを供給するリニアソレノイドバルブSLTを備えている。
そして、ブレーキB1の油圧アクチュエータ78には、ライン油圧PLを元圧として油圧アクチュエータ78に供給される係合油圧PB1を調圧するリニアソレノイドバルブSL1から、第1フェールセーフバルブ80を介して係合油圧PB1が供給される。また、ブレーキB2の油圧アクチュエータには、ライン油圧PLを元圧して油圧アクチュエータ82に供給される係合油圧PB2を調圧するリニアソレノイドバルブSL2から、フェールセーフバルブ82を介して係合油圧PB2が供給される。
リニアソレノイドバルブSL1、SL2、SLTは、基本的には何れも同じ構成であり、電子制御装置60により独立に励磁、非励磁され、各油圧アクチュエータ78、82の油圧が独立に調圧制御されてブレーキB1およびB2の係合圧が制御される。そして、自動変速機18は、例えば図4の係合作動表に示すように予め定められた係合装置が係合されることによって各変速段が成立させられる。このように、自動変速機18のブレーキB1およびブレーキB2がリニアソレノイドバルブSL1、SL2により各々制御されるので、係合装置の作動の応答性が向上される。或いはまた、その係合装置の係合/解放作動の為の油圧制御回路が簡素化される。
ここで、上述したように、ブレーキB1の油圧アクチュエータ78の手前、すなわちリニアソレノイドバルブSL1と油圧アクチュエータ78との間、および、ブレーキB2の油圧アクチュエータ82の手前、すなわちリニアソレノイドバルブSL2と油圧アクチュエータ82との間には、ブレーキB1およびブレーキB2が同時に係合されることを防止する第1フェールセーフバルブ80および第2フェールセーフバルブ84が配設されている。
第1フェールセーフバルブ80は、リニアソレノイドバルブSL1から係合油圧PB1が供給される入力ポート100と、ブレーキB1の油圧アクチュエータ78に接続されている出力ポート102と、第2フェールセーフバルブ84を介してソレノイドバルブSL2からの油圧PB2が供給される入力ポート104と、後述する油圧スイッチSW2に接続されている出力ポート106と、図示しないスプールとを、備えて構成されている。
第1フェールセーフバルブ80においては、リニアソレノイドバルブSL2の出力油圧(係合油圧)PB2およびスプリング108の弾性復帰力FS1が作用することで、スプールを一方向側に付勢する一方、モジュレータ油圧PMがスプールを一方向側とは反対の他方向側に付勢するように構成されており、スプールの位置に応じて第1フェールセーフバルブ80の油路が切り換えられる。例えば係合油圧PB2が出力されない場合、スプリング108の弾性復帰力FS1に抗って、モジュール油圧PMによってスプールが他方向側に移動させられ、図5に示すように油路が切り換えられる。すなわち、入力ポート100と出力ポート102とが連通させられることにより、油圧アクチュエータ78にリニアソレノイドバルブSL1から係合油圧PB1が供給可能な状態となる一方、入力ポート104と出力ポート106との連通が遮断されて油圧スイッチSW2への油圧供給が阻止される。
また、第1フェールセーフバルブ80に係合油圧PB2が作用する場合、モジュール油圧PMによる付勢力に抗って、係合油圧PB2による付勢力およびスプリング108による弾性復帰力FS1によってスプールが一方向側に移動させられ、図6に示すように第1フェールセーフバルブ80の油路が切り換えられる。すなわち、入力ポート100と出力ポート102との連通が遮断されて、油圧アクチュエータ78への油圧供給が阻止される一方、入力ポート104と出力ポート106とが連通されて油圧スイッチSW2への油圧供給が可能となる。
第2フェールセールバルブ84は、リニアソレノイドバルブSL2から係合油圧PB2が供給される入力ポート110と、ブレーキB2の油圧アクチュエータ82に接続されている出力ポート112と、第1フェールセールバルブ80を介してソレノイドバルブSL1からの油圧PB1が供給される入力ポート114と、後述する油圧スイッチSW1に接続されている出力ポート116と、図示しないスプールとを、備えて構成されている。
第2フェールセーフバルブ84においては、リニアソレノイドバルブSL1の出力油圧(係合油圧)PB1およびスプリング118の弾性復帰力FS2が作用することで、スプールを一方向側に付勢する一方、モジュレータ油圧PMがスプールを一方向側とは反対の他方向側に付勢するように構成され、スプールの位置に応じて油路が切り換えられる。例えば、係合油圧PB1が出力される場合、モジュール油圧PMの付勢力に抗って、係合油圧PB1による付勢力およびスプリング108の弾性復帰力FS2によってスプールが一方向側に移動させられ、図5に示すように第2フェールセーフバルブ84の油路が切り換えられる。すなわち、入力ポート110と出力ポート112との連通が遮断されて、油圧アクチュエータ82への油圧供給が阻止される一方、入力ポート114と出力ポート116とが連通されて油圧スイッチSW1への油圧供給が可能となる。
また、係合油圧PB1が出力されない場合、スプリング118の弾性復帰力FS2に抗って、モジュール油圧PMによってスプールが他方向側に移動させられ、図6に示すように第2フェールセーフバルブ84の油路が切り換えられる。すなわち、入力ポート110と出力ポート112とが連通させられることにより、油圧アクチュエータ82にリニアソレノイドバルブSL2から係合油圧PB2が供給可能となる一方、入力ポート114と出力ポート116との連通が遮断されて油圧スイッチSW1への油圧供給が阻止される。
ここで、図5がブレーキB1が係合される状態を示している。すなわち、リニアソレノイドバルブSL1から係合油圧PB1が出力される一方、リニアソレノイドバルブSL2から係合油圧PB2が出力されない状態を示している。具体的には、リニアソレノイドバルブSL2から係合油圧PB2が出力されないため、第1フェールセーフバルブ80が図5に示すように切り換えられ、係合油圧PB1が油圧アクチュエータ78に供給される。また、リニアソレノイドバルブSL1から係合油圧PB1が出力されるため、第2フェールセーフバルブ84が図5に示すように切り換えられ、リニアソレノイドバルブSL2と油圧アクチュエータ82との連通が遮断される。したがって、ブレーキB1の係合中は、ブレーキB2の油圧アクチュエータ82に油圧が供給されないので、ブレーキB1およびブレーキB2の同時係合が阻止される。
このとき、入力ポート114と出力ポート116とが連通されるため、油圧スイッチSW1に係合油圧PB1が供給される。そして、油圧スイッチSW1に油圧が供給されると、その油圧によって油圧スイッチSW1の接点が導通させられるに従い、油圧信号が出力される。すなわち、図5に示すように、ブレーキB1の油圧アクチュエータ78へ油圧が供給されると共に、ブレーキB2の油圧アクチュエータ82への油圧供給が遮断されたとき、油圧スイッチSW1から油圧信号が出力される。上記より、油圧スイッチSW1は、油圧制御回路50が正常に作動しているか否かを検出するセンサとして機能する。
また、図6がブレーキB2が係合される状態を示している。すなわち、リニアソレノイドバルブSL2から係合油圧PB2が出力される一方、リニアソレノイドバルブSL1から係合油圧PB1が出力されない状態を示している。具体的には、リニアソレノイドバルブSL1から係合油圧PB1が出力されないため、第2フェールセーフバルブ84が図6に示すように切り換えられ、係合油圧PB2がブレーキB2の油圧アクチュエータ82に供給される。また、リニアソレノイドバルブSL2から係合油圧PB2が出力されるため、第1フェールセーフバルブ80が図6に示すように切り換えられ、リニアソレノイドバルブSL1とブレーキB1の油圧アクチュエータ78との連通が遮断される。したがって、ブレーキB2の係合中は、ブレーキB1の油圧アクチュエータ78に油圧が供給されないので、ブレーキB1およびブレーキB2の同時係合が阻止される。
このとき、第1フェールセーフバルブ80において、入力ポート104と出力ポート106とが連通されるため、油圧スイッチSW2に係合油圧PB2が供給される。そして、油圧スイッチSW2に油圧が供給されると、その油圧によって油圧スイッチSW2の接点が導通させられるに従い、油圧信号が出力される。すなわち、図6に示すように、ブレーキB2の油圧アクチュエータ82へ油圧が供給されると共に、ブレーキB1の油圧アクチュエータ78への油圧供給が遮断されたとき、油圧スイッチSW2から油圧信号が出力される。上記より、油圧スイッチSW2は、油圧制御回路50が正常に作動しているか否かを検出するセンサとして機能する。
図7は、ハイブリッド車両8(動力伝達装置10)を制御するために電子制御装置60に備えられた制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。
図7において、ハイブリッド駆動制御手段130は、例えば、キーが図示しないキースロットに挿入された後、ブレーキペダル26が操作された状態でレディーオン(パワーオンスイッチ)が操作されることにより制御が起動されると、アクセル操作量に基づいて運転者の要求出力を算出し、低燃費で排ガス量の少ない運転となるようにエンジン12および/または第2電動機MG2から要求出力を発生させる。例えば、エンジン12を停止し専ら第2電動機MG2を駆動源とするモータ走行モード、エンジン12の動力で発電を行い第2電動機MG2を駆動源として走行する走行モード、エンジン12の動力を機械的に出力軸14(駆動輪22)に伝えて走行するエンジン走行モード、エンジン走行モードにおいて第2電動機MG2を駆動して出力軸14にトルクを負荷するアシスト走行モード等を、走行状態に応じて選択的に成立させる。
また、ハイブリッド駆動制御手段130は、エンジン12を駆動する場合に、エンジン12が最適燃費曲線上で作動するように第1電動機MG1によってエンジン回転速度NEを制御すると共に、エンジントルクTEを制御する。また、第2電動機MG2を駆動してトルクアシストする場合、車速Vが比較的遅い状態では自動変速機18を低速段「1st」に設定して出力軸14に付加するトルクを大きくし、車速が比較的増大した状態では、自動変速機18を高速段「2nd」に設定して第2電動機MG2の回転速度を相対的に低下させて損失を低減し、効率の良いトルクアシストを実行させる。更に、コースト走行時には車両の有する慣性エネルギで第1電動機MG1或いは第2電動機MG2を回転駆動することにより電力として回生し、蓄電装置32にその電力を蓄える。上記エンジン走行モードにおける制御を一例としてより具体的に説明すると、ハイブリッド駆動制御手段130は、動力性能や燃費向上などのために、エンジン12を効率のよい作動域で作動させる一方で、そのエンジン12と第2電動機MG2との駆動力の配分や第1電動機MG1の発電による反力を最適になるよう制御する。
また、ハイブリッド駆動制御手段130は、予め記憶された駆動力マップから運転者の出力要求量としてのアクセル開度や車速などに基づいて目標駆動力関連値例えば要求出力軸トルクTRを決定し、その要求出力軸トルクTRから充電要求値等を考慮して要求出力軸パワーを算出し、その要求出力軸パワーが得られるように伝達損失、補機負荷、第2電動機MG2のアシストトルクや自動変速機18の変速段等を考慮して目標エンジンパワーPE *を算出し、エンジン回転速度NEとエンジントルクTEとを変数とする二次元座標内において運転性と燃費性とを両立するように予め実験的に求められて記憶されたエンジンの最適燃費率曲線(燃費マップ、関係)に沿ってエンジン12を作動させつつ目標エンジンパワーPE *が得られるエンジン12の動作点(運転点)すなわちエンジン回転速度NEとエンジントルクTEとなるように、エンジン12を制御すると共に第1電動機MG1の発電量を制御する。
また、ハイブリッド駆動制御手段130は、第1電動機MG1により発電された電気エネルギをインバータ28、30を介して蓄電装置32や第2電動機MG2へ供給する制御を行う。エンジン12の動力の主要部は機械的に出力軸14へ伝達されるが、そのエンジン12の動力の一部は第1電動機MG1の発電のために消費されてそこで電気エネルギに変換され、インバータ28、30を介してその電気エネルギが第2電動機MG2へ供給され、斯かる電気エネルギによりその第2電動機MG2が電動機として駆動されることで、その第2電動機MG2から出力される動力が自動変速機18を介して出力軸14へ伝達される。この電気エネルギの発生から第2電動機MG2で消費されるまでに関連する機器により、エンジン12の動力の一部を電気エネルギに変換し、その電気エネルギを機械的エネルギに変換するまでの電気パスが構成される。尚、ハイブリッド駆動制御手段130は、電気パスによる電気エネルギ以外に、蓄電装置32からインバータ30を介して直接的に電気エネルギを第2電動機MG2へ供給してその第2電動機MG2を駆動することが可能である。
また、ハイブリッド駆動制御手段130は、車両の停止中又は走行中に拘わらず、動力分配機構16の差動作用により第1電動機MG1を制御することでエンジン回転速度NEを略一定に維持したり任意の回転速度に制御することができる。換言すれば、ハイブリッド駆動制御手段130は、エンジン回転速度NEを略一定に維持したり任意の回転速度に制御しつつ第1電動機MG1を任意の回転速度に回転制御することができる。
また、ハイブリッド駆動制御手段130は、スロットル制御のためにスロットルアクチュエータにより電子スロットル弁を開閉制御する他、燃料噴射制御のために燃料噴射装置による燃料噴射量や噴射時期を制御したり、点火時期制御のためにイグナイタ等の点火装置による点火時期を制御するための指令を単独で或いは組み合わせて図示しないエンジン出力制御装置に出力して、必要なエンジン出力を発生させるようにエンジン12の出力制御を実行するエンジン出力制御手段を機能的に備えている。
変速制御手段132は、自動変速機18における変速動作を判定し、その判定された変速動作を実行する。例えば、図8に示すような変速線図から、車両の速度V(出力回転速度NOUT)及び駆動力に基づいて自動変速機18の変速段の変更が行われるか否かを判定し、自動変速機18の変速段を決定する。また、好適には、パワーオン変速動作を判定する。すなわち、アクセル開度センサASにより検出されるアクセル開度が所定値以上である場合において自動変速機18の変速段の変更が行われるか否かを判定し、自動変速機18の変速段を決定する。
変速制御手段132は、上記のようにして自動変速機18の変速段が決定された場合、その決定された変速段に自動的に切り換えられるように第1ブレーキB1及び第2ブレーキB2を制御する。すなわち、低速段「1st」から高速段「2nd」への変速動作が判定された場合、変速用の油圧制御回路50を介して第1ブレーキB1を係合させると共に第2ブレーキB2を解放させるようにそれらブレーキB1、B2の油圧アクチュエータを制御する。また、高速段「2nd」から低速段「1st」への変速動作が判定された場合、油圧制御回路50を介して第1ブレーキB1を解放させると共に第2ブレーキB2を係合させるようにそれらブレーキB1、B2の油圧アクチュエータを制御する。例えば、低速段「1st」から高速段「2nd」への変速動作、高速段「2nd」から低速段「1st」への変速動作の何れにおいても所謂クラッチ・ツウ・クラッチ変速が行われる。
ここで、本実施例においては、油圧スイッチSW1および油圧スイッチSW2(以下、特に区別しない場合は油圧スイッチSWと記載)から出力される信号に基づいて油圧制御回路50が正常か否かが判定されるが、油圧スイッチSW自体が故障して、油圧制御回路50が正常に作動しないものと判定される可能性がある。そこで、異常検出手段134は、油圧スイッチSWの異常を走行に影響しない状況下において逐次検出する。異常検出手段134は、例えば車両のシステム起動時や自動変速機18の変速終了時など、車両の走行に影響しない状況下において実施される。
システム起動要求判定手段136は、キーが図示しないキースロットに挿入された後、ブレーキペダル26(図1参照)が操作された状態でシステムを起動させるための図示しないレディーオンスイッチ(パワースイッチ)がオン操作されたか否かを判定する。レディーオンスイッチがオン操作されると、第2電動機MG2によるモータ走行に備えて、ブレーキB2に係合油圧が供給される。したがって、例えば電気式オイルポンプ72が駆動させられてライン油圧PLが発生させられる。なお、ライン油圧PLが発生したか否かは、油圧制御回路50のレギュレータバルブ74の下流側に配設された油圧スイッチSW3から出力される油圧スイッチ信号に基づいて判定される。そして、ライン油圧PLの発生が検出されると、そのライン油圧PLを元圧としてリニアソレノイドバルブSL2から係合油圧PB2が出力される。したがって、油圧制御回路50が図6に示す状態となり、第1フェールセーフバルブ80を介して油圧スイッチSW2に係合油圧PB2が供給される。
異常検出手段134は、上記状態において、油圧スイッチSW2が正常に作動するか否かを判定する。具体的には、油圧スイッチSW2に係合油圧PB2が供給された状態で、油圧スイッチSW2から油圧信号が出力されているか否かが判定される。油圧スイッチSW2が正常に作動するのであれば、油圧スイッチSW2から油圧信号が出力される。また、油圧スイッチSW2に異常があれば、係合油圧PB2が供給された状態であっても油圧信号が出力されない。上記に基づいて、油圧スイッチSW2が正常に作動するか否かが判定される。また、システム起動時において、リニアソレノイドバルブSL1から係合油圧PB1を出力させることで、油圧スイッチSW1が正常に作動するか否かを判定する制御を併せて実施することもできる。
変速終了判定手段138は、走行中において自動変速機18の変速が実施されてその変速が終了したか否かを判定する。変速が終了すると、ブレーキB1またはブレーキB2が係合された状態であることから、その係合状態に応じて油圧スイッチSWが正常に作動するか否かを判定することが可能となる。異常検出手段134は、それに従って油圧スイッチSWが正常に作動しているか否かを判定する。なお、異常検出手段134は、変速終了直後に実施されるのではなく、走行状態が安定した状態を待って実施される。
ところで、油圧スイッチSWの接点に酸化物や作動油内の異物(化学反応物)が付着する、所謂接点腐食が発生し、油圧が正常に供給されても油圧スイッチSWの接点が正常にオン作動されない所謂オフ故障が発生する可能性がある。上記のような異常は、一時的に発生するものであり、油圧の変動等によって接点腐食が除去されて正常に復帰する可能性がある。しかしながら、異常検出手段134によって、油圧スイッチSWの異常が検出されると、それに応じたフェールセーフが実施され、駆動力やモータ走行が制限される可能性がある。
そこで、本実施例では、異常検出手段134によって油圧スイッチSWの異常が検出されると、その異常を仮異常とし、異常除去手段140を実施する。異常除去手段140は、油圧スイッチSWの接点に付着した酸化物や異物を除去して、油圧スイッチSWの接点を復活させるものである。異常除去手段140による作動を図9および図10を用いて説明する。
図9は、車両のシステム起動時のライン油圧PLと油圧スイッチSWの出力信号の状態を示すタイムチャートである。なお、本タイムチャートにおいては、車両システム起動時にブレーキB2に係合油圧PB2が供給されるものとする。t1時点において、システム起動要求すなわちレディーオンスイッチがオン操作されると、ライン油圧PLが予め車両起動時に設定されている高圧側油圧Hまで立ち上げられる。このとき、油圧スイッチSW2が正常であれば、破線に示すように、油圧スイッチSW2から油圧信号が出力される。一方、油圧スイッチSW2の接点に接点腐食が発生している場合、油圧スイッチSW2の接点が正常にオン作動されず、実線に示すようにオフ状態のままとなる(オフ故障)。したがって、t2時点において、油圧スイッチSW2の仮異常が検出される。
上記仮異常が検出されると、異常除去手段140が実施される。異常除去手段140は、t2時点〜t3時点の間に図9に示すように、ライン油圧PLを高圧側油圧Hおよび低圧側油圧Lに予め設定された所定回数だけ周期的に切り換えて変化させる。ライン油圧PLが上記のように変化させられるに伴い、油圧スイッチSW2に供給される係合油圧PB2も同様に上下に変化させられて、油圧スイッチSW2がオンオフ作動させられる。これにより、油圧スイッチSW2の接点に設けられている図示しない皿バネが油圧の変化に伴って変化させられるため、接点に付着する異物が除去される。なお、上記ライン油圧PLの変化は、リニアソレノイドバルブSLTによって制御される。また、上記高圧側油圧Hおよび低圧側油圧Lは、予め実験的に設定され、油圧スイッチSW2をオンオフ作動させることが可能となる油圧、具体的には、油圧スイッチSW2の接点に設けられている皿バネを変化させることが可能となる程度の油圧に設定される。
そして、異常除去手段140の作動が終了すると、t3時点において、再び異常検出手段134が実施される。このときに、油圧スイッチSW2から油圧信号が出力されると、異常検出手段134によって設定された仮異常は解除され、油圧スイッチSW2が正常に機能するものと判定される。一方、異常除去手段140による作動に拘わらず、油圧スイッチSW2の異常が持続する場合には、本異常確定手段142は、油圧スイッチSW2の異常を確定させる。そして、油圧スイッチ使用禁止手段146は、本異常確定手段142によって本異常と確定された油圧スイッチSW2の使用を禁止する。例えば、油圧スイッチSW2の故障に基づいて、油圧スイッチSW2に関係するブレーキB2の使用を制限するフェールセーフを実施する。
図10は、自動変速機18の変速時のライン油圧PLと油圧スイッチSWの出力信号の状態を示すタイムチャートである。なお、本タイムチャートにおいては、自動変速機18が高速段「2nd」から低速段「1st」に変速される場合、すなわちブレーキB1の係合からブレーキB2の係合に切り換えられる場合を示している。t1時点において、図8に示す変速線図に基づいて自動変速機18が高速段「2nd」から低速段「1st」へのダウン変速が実施されると、変速過渡期おいてライン油圧PLを安定させるため、ライン油圧PLが低圧側油圧Lから高圧側油圧Hに引き上げられる。そして、t2時点において、自動変速機18の変速が終了される。変速が終了すると、油圧スイッチSW2が正常であれば、ライン油圧PLが高圧側油圧Hに引き上げられているため、油圧スイッチSW2の接点が通電され、破線に示すように、油圧スイッチSW2から油圧信号が出力される。一方、油圧スイッチSW2に接点腐食が発生している場合、油圧スイッチSW2の接点が正常にオン動作(通電)されず、実線に示すようにオフ状態のままとなる。したがって、t3時点において、異常検出手段134によって仮異常が検出される。
上記仮異常が検出されると、異常除去手段140が実施される。異常除去手段140は、ライン油圧PLを低圧側油圧Lおよび高圧側油圧Hに周期的に予め実験的に設定された所定回数だけ切り換えて変化させる。そして、ライン油圧PLが上下に変化させられるに伴い、油圧スイッチSW2に作用する係合油圧PB2も同様に上下に変化させられる。これより、油圧スイッチSW2の接点に設けられている図示しない皿バネが油圧PB2の変化に伴って変化させられるため、接点に付着する異物が除去される。なお、上記ライン油圧PLの変化は、リニアソレノイドバルブSLTによって制御される。また、上記高圧側油圧Hおよび低圧側油圧Lは、予め実験的に設定され、油圧スイッチSW2をオンオフ作動させることが可能となる油圧、具体的には、油圧スイッチSW2の接点に設けられている皿バネを変化させることが可能となる程度であって、且つ、ライン油圧PLが低圧側油圧Lに変化しても自動変速機18のブレーキB2に滑りが生じない程度の値に設定される。
また、異常除去手段140は、上記のように油圧スイッチSWを強制的に作動させる他、油圧スイッチSWに流れる電流を増加させて異物を電気的に除去することもできる。上記は、ライン油圧PLによる油圧スイッチSWの作動による除去と併せて実施されてもよい。
また、例えば運転者が乗車する前のプレ空調時やリモートスタート時において、異常検出手段134および異常除去手段140を実施させることもできる。上記のような状態において異常検出手段134および異常除去手段140が実施されても車両の走行には影響されないので、駆動力制限やモータ走行制限等が回避され、運転者に違和感を与えることない状態での実施が可能となる。さらには、充電を要する車両にあっては充電時等に実施される構成であってもよい。
図11は、電子制御装置60の制御機能の要部すなわち車両のシステム起動時において油圧スイッチSWの異常を検出し油圧スイッチSWの信頼性を向上させる制御作動を説明するためのフローチャートであり、例えば数msec乃至数十msec程度の極めて短いサイクルタイムで繰り返し実行されるものである。
まず、システム起動要求判定手段136に対応するステップSA1において、車両のシステム起動要求が為されたか否か、具体的には、システムを起動させるためのレディーオンスイッチ(パワーオンスイッチ)がオン操作された否かが判定される。SA1が否定されると、本ルーチンは終了させられる。SA1が肯定されると、ハイブリッド制御手段130に対応するSA2において、車両のシステム起動に伴ってライン油圧PLが高圧側油圧Hまで立ち上げられる。そして、異常検出手段134に対応するSA3において、油圧スイッチSWの仮異常が検出されるか否かが判定される。油圧スイッチSWが正常である場合、SA3が否定され、SA7において、正常時の制御が実施される。一方、油圧スイッチSWに異常が検出されると、SA3が肯定され、異常除去手段140に対応するSA4において、ライン油圧PLが高圧側油圧Hおよび低圧側油圧Lに繰り返し切り換えられることで、油圧スイッチSWが作動させられて、接点に付着する異物が除去される。なお、異物除去の代替手段として、油圧スイッチSWに流れる電流を増加させて電気的に異物を除去することもでき、これらを併せて実施しても構わない。そして、本異常確定手段142に対応するSA5において、油圧スイッチSWの異常が確定される。例えばSA5において、SA3において検出された仮異常が解除されると、SA5は否定され、SA7において、正常時の制御が実施される。一方、SA4の作動が実施されたにも拘わらず、油圧スイッチSWの異常が持続されると、SA5が肯定されて油圧スイッチSWの異常が確定されることとなる。そして、油圧スイッチ使用禁止手段146に対応するSA6において、異常が確定された油圧スイッチSWの使用が禁止され、例えば異常が確定された油圧スイッチSWに関係する係合装置等の使用が制限されるなどのフェールセーフが実施される。
図12は、電子制御装置60の制御機能の要部すなわち自動変速機18の変速終了時において油圧スイッチSWの異常を検出し油圧スイッチSWの信頼性を向上させる制御作動を説明するためのフローチャートであり、例えば数msec乃至数十msec程度の極めて短いサイクルタイムで繰り返し実行されるものである。
先ず、変速終了判定手段138に対応するSB1において、自動変速機18の変速が終了したか否かが判定される。SB1が否定されると、本ルーチンは終了させられる。SB1が肯定されると、異常検出手段134に対応するSB2において、油圧スイッチSWの仮異常が検出されるか否かが判定される。油圧スイッチSWが正常である場合、SA3が否定され、SB6において、正常時の制御が実施される。一方、油圧スイッチSWの異常が検出されると、SB2が肯定され、異常除去手段140に対応するSB3において、ライン油圧PLが高圧側油圧Hおよび低圧側油圧Lに繰り返し切り換えられることで、油圧スイッチSWが作動させられて、接点に付着する異物が除去される。なお、異物除去の代替手段として、油圧スイッチSWに流れる電流を増加させて電気的に異物を除去することもでき、これらを併せて実施しても構わない。そして、本異常確定手段142に対応するSB4において、油圧スイッチSWの本異常が判定される。具体的には、SB4において、SB2において検出された仮異常が解除されると、SB4は否定され、SB6において正常時の制御が実施される。一方、SB3の作動が実施されたのにも拘わらず、油圧スイッチSWの異常が持続されると、SB4が肯定されて油圧スイッチSWの異常が確定されることとなる。そして、油圧スイッチ使用禁止手段146に対応するSB5において、異常が確定された油圧スイッチSWの使用が禁止される。例えば、油圧スイッチSW2の異常が確定されると、その油圧スイッチSW2に関係する係合装置等の使用が制限されるなどのフェールセーフが実施される。
図13は、本発明の他の実施例である動力伝達装置160を示す骨子図である。動力伝達装置160は、FF(フロントエンジン・フロントドライブ)車両などの横置き型の動力伝達装置であり、ガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関によって構成されている。エンジン12の出力は、トルクコンバータ162、自動変速機164を経て、図示しない差動歯車装置から駆動輪(前輪)へ伝達されるようになっている。上記エンジン12は車両走行用の動力源(原動機)で、トルクコンバータ162は流体継手である。
自動変速機164は、シングルピニオン型の第1遊星歯車装置166を主体として構成されている第1変速部168と、シングルピニオン型の第2遊星歯車装置170およびダブルピニオン型の第3遊星歯車装置172を主体として構成されている第2変速部174とを同軸線上に有し、入力軸176の回転を変速して出力歯車178から出力する。入力軸176は入力部材に相当するもので、本実施例ではトルクコンバータ162のタービン軸であり、出力歯車178は出力部材に相当するもので、差動歯車装置を介して左右の駆動輪を回転駆動する。なお、自動変速機164は中心線に対して略対称的に構成されており、図13では中心線の下半分が省略されている。
上記第1変速部168を構成している第1遊星歯車装置166は、サンギヤS1、キャリアCA1、およびリングギヤR1の3つの回転要素を備えており、サンギヤS1が入力軸176に連結されて回転駆動されるとともに、リングギヤR1が第3ブレーキB3を介して回転不能にケース180に固定されることにより、キャリアCA1が中間出力部材として入力軸176に対して減速回転させられて出力する。また、第2変速部174を構成している第2遊星歯車装置170および第3遊星歯車装置172は、一部が互いに連結されることによって4つの回転要素RM1〜RM4が構成されており、具体的には、第3遊星歯車装置172のサンギヤS3によって第1回転要素RM1が構成され、第2遊星歯車装置170のリングギヤR2および第3遊星歯車装置172のリングギヤR3が互いに連結されて第2回転要素RM2が構成され、第2遊星歯車装置170のキャリアCA2および第3遊星歯車装置172のキャリアCA3が互いに連結されて第3回転要素RM3が構成され、第2遊星歯車装置170のサンギヤS2によって第4回転要素RM4が構成されている。上記第2遊星歯車装置170および第3遊星歯車装置172は、キャリアCA2およびCA3が共通の部材にて構成されているとともに、リングギヤR2およびR3が共通の部材にて構成されており、且つ第2遊星歯車装置170のピニオンギヤが第3遊星歯車装置172の第2ピニオンギヤを兼ねているラビニヨ型の遊星歯車列とされている。
上記第1回転要素RM1(サンギヤS3)は第1ブレーキB1によって選択的にケース180に連結されて回転停止させられ、第2回転要素RM2(リングギヤR2、R3)は第2ブレーキB2によって選択的にケース180に連結されて回転停止させられ、第4回転要素RM4(サンギヤS2)は第1クラッチC1を介して選択的に前記入力軸176に連結され、第2回転要素RM2(リングギヤR2、R3)は第2クラッチC2を介して選択的に入力軸176に連結され、第1回転要素RM1(サンギヤS3)は中間出力部材である前記第1遊星歯車装置166のキャリアCA1に一体的に連結され、第3回転要素RM3(キャリアCA2、CA3)は前記出力歯車178に一体的に連結されて回転を出力するようになっている。
上記クラッチC1、C2およびブレーキB1、B2、B3(以下、特に区別しない場合は単にクラッチC、ブレーキBという)は、多板式のクラッチやブレーキなど油圧アクチュエータによって係合制御される油圧式摩擦係合装置であり、図14に示す油圧制御回路222によってそれぞれ係合解放制御されることにより、シフト操作装置202(図15参照)のシフト操作位置PSHに応じて適宜クラッチCおよびブレーキBが係合され、前進6段、後進1段の各ギヤ段が成立させられる。
図14は、上記動力伝達装置160の油圧制御回路222を示す図である。図14に示すように、油圧制御回路222は、エンジン12によって回転駆動される機械式オイルポンプ70、プライマリレギュレータバルブ74、シフト切換バルブ218、リニアソレノイドバルブSL1〜SL4、およびB2コントロールバルブ224等を備えており、機械式オイルポンプ70によって汲み上げられた作動油は、図示しないリニアソレノイドバルブSLTから信号圧が供給されるプライマリレギュレータバルブ74により、アクセル操作量(運転者の出力要求量)等に応じて所定のライン油圧PLに調圧される。そして、第3ブレーキB3は、ライン油圧PLがそのまま供給されるリニアソレノイドバルブSL4によって係合油圧が制御され、係合解放制御される。
図15は、動力伝達装置160において、運転者によるシフトレバーの操作に応じてシフト切換バルブ218のシフト位置を電気的に切り換えるための制御系統を説明するブロック線図である。シフト切換バルブ218は、シフト操作装置202の操作に応じて油路を切り換えることにより、前記クラッチC1、C2、第1ブレーキB1に対応して配設されたリニアソレノイドバルブSL1〜SL3、およびB2コントロールバルブ224に前進用油圧PD を供給したり、B2コントロールバルブ224に後進用油圧PR を供給したり、それ等のバルブに対する油圧供給を停止したりする。シフト操作装置202は、運転者のシフト意思に応じて操作されるもので、図15に示すように後進走行用の「R(リバース)」、動力伝達を遮断する「N(ニュートラル)」、前進走行用の「D(ドライブ)」、およびエンジンブレーキ用の「B(ブレーキ)」の4位置へ移動操作されるシフトレバー204と、駐車する際に押圧操作される押釦式のPスイッチ206とを備えている。シフトレバー204は、常には図に示す中立位置に自動的に復帰させられるモーメンタリータイプで、上記各操作位置「R」、「N」、「D」、「B」へ操作されたことを検出するシフト操作検出装置208を備えており、Pスイッチ206のON操作(操作位置「P」)を含めて、それ等のシフト操作位置PSH、すなわち運転者のシフト意思が電気的に検出される。そして、そのシフト操作位置PSHに応じて電子制御装置(ECU)210によりSBW(シフトバイワイヤ)アクチュエータ212が制御され、切換シャフト214が軸心まわりに回転させられることにより、レバー216を介してシフト切換バルブ218のスプール(弁体)220が機械的に一直線方向へ移動させられ、4箇所のシフト位置「P」、「R」、「N」、「D」に位置決めされて油路を切り換えるようになっている。なお、シフト操作位置PSHが「B」の場合は、「D」による前進走行を前提としており、マニュアルバルブ46はシフト位置「D」のままで、電気的に変速制御が実行されることによりエンジンブレーキが増大させられる。
上記シフト切換バルブ218のシフト位置「D」は、前進走行するための前進駆動位置で、図14から明らかなように、シフト切換バルブ218はライン油圧PLが供給される供給油路226と前進用油路228とを連通する状態となり、その前進用油路228にライン油圧PLと等しい前進用油圧PD を出力する。前進用油路228は、リニアソレノイドバルブSL1〜SL3、およびB2コントロールバルブ48に接続されており、前進用油圧PD がそれ等によって調圧制御されることにより、クラッチC1、C2、ブレーキB1、B2がそれぞれ係合解放制御され、前記第3ブレーキB3の係合解放制御と合わせて、前記第1速ギヤ段「1st」〜第6速ギヤ段「6th」の何れかの前進ギヤ段が成立させられる。B2コントロールバルブ224には、図示しないソレノイドバルブSLUおよびSLから信号油圧が供給されるようになっており、ソレノイドバルブSLUの信号油圧に基づいて第2ブレーキB2の係合油圧が制御される。
シフト切換バルブ218のシフト位置「R」は、後進走行するための後進駆動位置で、シフト切換バルブ218はライン油圧PLが供給される供給油路226と後進用油路230とを連通する状態となり、その後進用油路230にライン油圧PLと等しい後進用油圧PR を出力する。後進用油路230は、B2コントロールバルブ224に接続されており、後進用油圧PR がそのB2コントロールバルブ224を経て第2ブレーキB2に供給されることにより、その第2ブレーキB2が係合させられ、前記第3ブレーキB3が係合させられることにより、前記後進ギヤ段「Rev」が成立させられる。
シフト切換バルブ218のシフト位置「P」は、駆動力源からの動力伝達を遮断するとともに図示しないパーキングロック装置により機械的に駆動輪の回転を阻止するパーキング位置で、シフト切換バルブ218はライン油圧PLが供給される供給油路226と前進用油路228、後進用油路230との連通を何れも遮断するとともに、それ等の前進用油路228、後進用油路230をEXポートに連通し、作動油をドレーンする。また、シフト位置「N」は、駆動力源からの動力伝達を遮断する遮断位置であり、シフト切換バルブ218はライン油圧PLが供給される供給油路226と前進用油路228、後進用油路230との連通を何れも遮断するとともに、後進用油路230をEXポートに連通して作動油をドレーンする。なお、図14のシフト切換バルブ218は、このシフト位置「N」の状態を示している。
本実施例では、シフト切換バルブ218および前記切換シャフト14を含んで車両の駆動状態、すなわち複数のシフト位置のいずれかへ機械的に切り換えるシフト機構200が構成されており、SBWアクチュエータ212は運転者のシフト意思に基づいて電気的に制御されるシフト駆動手段に相当する。このSBWアクチュエータ212は、本実施例ではSRモータ(Switched Reluctance Motor )にて構成されており、前記切換シャフト214に減速機等を介して連結されて回転駆動する。
上記切換シャフト214には、非接触式ポジションセンサ232が配設されている。この非接触式ポジションセンサ232は、シフト機構200の機械的変位、ここでは切換シャフト214の回転変位(機械的変位)の絶対的位置情報を検出する非接触式回転角センサである。非接触式ポジションセンサ232は、切換シャフト214の回転角度に応じて変化するポジション電圧PVの大きさに基づいて切換シャフト214の回転角度、言い換えれば、シフト切換バルブ218のシフト位置「P」、「R」、「N」、「D」を検出することができる。
上記のように、切換シャフト214のシフト位置がSBWアクチュエータ212によって電気的に切り換えられる。このように構成されるシフト機構200においは、電気的な故障によってシフト切換が誤操作されてしまう可能性があるため、図14に示す前進用油路228および後進用油路230にそれぞれ油圧スイッチSW4およびSW5が設けられている。そして、例えばシフト位置が「P」に切り換えられた場合、油圧スイッチSW4から油圧信号が出力されているか否を判定し、前進用油圧PD が供給されているにも拘わらず油圧信号が出力されない場合、シフト機構200の異常を判断する。また、例えばシフト位置が「R」に切り換えられた場合、油圧スイッチSW5から油圧信号が出力されているか否かを判定し、後進用油圧PR が供給されているにも拘わらず油圧信号が出力されない場合、シフト機構200の異常を判断する。
上記のように構成される動力伝達装置160においても、油圧スイッチSW4および油圧スイッチSW5に関する異常検出手段134や異常除去手段140等を備えることで、油圧スイッチSW(油圧スイッチSW4および油圧スイッチSW5)の信頼性を向上させることができる。
例えば、車両のシステム起動時において、ライン油圧PLを前進用油路228および後進用油路230に供給することで、油圧スイッチSW(SW4、SW5)の異常を検出する。なお、このとき、供給油路226に設けられている油圧スイッチSW6が正常に作動する、すなわち油圧スイッチSW6からライン油圧PLの供給に基づいて、信号油圧が出力されていることを前提とする。そして、油圧スイッチSW4または油圧スイッチSW5に異常が検出される場合、異常除去手段140を実行することで、油圧スイッチSW(SW4、SW5)に付着する異物(接点腐食)を除去することができる。具体的には、異常除去手段140は、SBWアクチュエータ212によって、シフト位置の切換を複数回実行する。例えば、油圧スイッチSW4において、異常除去手段140は、シフト位置「D」からシフト位置「N」への切換を所定回数繰り返し実施することで、油圧スイッチSW4の接点に付着する異物を取り除く。また、油圧スイッチSW5において、異常除去手段140は、シフト位置「R」からシフト位置「N」への切換を所定回数繰り返し実行することで、油圧スイッチSW5の接点に付着する異物を取り除く。なお、このとき、上記手段に代わって、油圧スイッチSWに流れる電流を増加させて異物を電気的に除去する手段を実施してもよく、或いは上記手段に併せて実施しても構わない。そして、上記異常除去手段134を実施したのにも拘わらず油圧スイッチSWの異常が持続する場合、本異常確定手段142は、油圧スイッチSWの異常を確定する。また、前述の実施例と同様に、例えば自動変速機164の変速終了後に同様の制御を実施しても構わない。
上述のように、本実施例によれば、例えば油圧スイッチSWの接点腐食のような復帰の可能性がある異常が発生した場合、油圧スイッチSWの異常が検出されるが、このときに異常除去手段140を実施することで、上記接点腐食を除去することができる。したがって、上記接点腐食が除去された状態で再び異常検出が実施されることで、油圧スイッチSWの異常検出の信頼性を高めることができる。
また、本実施例によれば、異常除去手段140は、油圧スイッチSWにかかる油圧を断続的に変化させることにより、油圧スイッチSWの接点のオンオフ動作を繰り返させるものである。このようにすれば、油圧スイッチSWの接点に付着した酸化物や異物を除去することができる。
また、本実施例によれば、異常除去手段140は、車両のシステム起動時に実施されるものである。このようにすれば、車両の走行に影響が生じない状態で油圧スイッチSWの異常を検出することができる。
また、本実施例によれば、異常除去手段140は、自動変速機18、164の変速終了後に実施されるものである。このようにすれば、変速終了後であれば、例えば油圧を変化させても走行状態に影響が生じないので、車両の走行に影響が生じない状態で油圧スイッチSWの異常を検出することができる。
また、本実施例によれば、異常除去手段140による作動に拘わらず油圧スイッチSWの異常が持続する場合には、油圧スイッチSWを本異常と確定する本異常確定手段142と、本異常確定手段142により本異常と確定された油圧スイッチSWの使用を禁止する油圧スイッチ使用禁止手段146とを、含むものである。このようにすれば、油圧スイッチSWの異常に伴う走行異常を回避することができる。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、これはあくまでも一実施形態であり、本発明はその他の態様においても適用される。
たとえば、前述の実施例において、車両用動力伝達装置の車両に対する搭載姿勢は、駆動装置の軸線が車両の幅方向となるFF(フロントエンジン・フロントドライブ)車両などの横置き型でも、駆動装置の軸線が車両の前後方向となるFR(フロントエンジン・リヤドライブ)車両などの縦置き型でも良い。また、四輪駆動用動力伝達装置であっても本発明を適用することができる。
また、前述の実施例において、ハイブリッド車両およびシフトバイワイヤ型式(SBW形式)の車両に本発明が適用されているが、特に上記車両に限定されず、手動切換によって油圧制御回路の油路が切り換えられる従来の自動変速機やCVT無段変速機等においても本発明を適用することができる。要するに、油圧制御回路と油圧スイッチとを備えた動力伝達装置であれば、本発明を適用することができる。
また、前述の実施例において、上記油圧制御回路は、例えばリニアソレノイドバルブの出力油圧をクラッチCおよびブレーキBの油圧アクチュエータ(油圧シリンダ)にそれぞれ供給することが応答性の点で望ましいが、そのリニアソレノイドバルブの出力油圧をパイロット油圧として用いることによりシフトコントロールバルブを制御して、そのコントロールバルブから油圧アクチュエータに作動油を供給するように構成することもできる。
また、前述の実施例において、リニアソレノイドバルブは、例えば複数の油圧式摩擦係合装置の各々に対応して1つずつ設けられるが、同時に係合したり係合、解放制御したりすることがない複数の油圧式摩擦係合装置が存在する場合には、それ等に共通のリニアソレノイドバルブを設けることもできるなど、種々の態様が可能である。また、必ずしも全ての油圧式摩擦係合装置の油圧制御をリニアソレノイドバルブで行う必要はなく、一部乃至全ての油圧制御をON−OFFソレノイドバルブのデューティ制御など、リニアソレノイドバルブ以外の調圧手段で行っても良い。
また、前述の実施例において、車両のシステム起動時において油圧スイッチSW2の異常検出および異常除去が実施されたが、さらに、リニアソレノイドバルブSL1から係合油圧PB1を出力することで、油圧スイッチSW1の異常検出および異常除去を実施しても構わない。さらに、油圧スイッチ3および油圧スイッチSW6について上記制御を実施しても構わない。
また、前述の実施例では、高速段「2nd」から低速段「1st」へのダウン変速において、油圧スイッチSW2の異常検出および異常除去が実施されているが、低速段「1st」から高速段「2nd」へのアップ変速時において上記制御を実施しても構わない。なお、このときは油圧スイッチSW1の異常検出および異常除去が実施される。
なお、上述したのはあくまでも本発明の一実施形態であり、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。