JP5647758B2 - 新しいカロテノイドケトラーゼ - Google Patents

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Description

関連出願との関係
本願明細書は、2003年12月19日に出願された米国仮特許出願第60/531310号明細書の優先権の利益を主張する。
本発明は、微生物学および分子生物学分野に関する。より具体的には、本発明は、環状ケトカロテノイド化合物の微生物による生産に有用な酵素をコードする核酸断片に関する。
カロテノイドは、自然界全体に遍在性で、全ての光合成生物によって、そして一部の従属栄養性生育細菌および真菌において合成される顔料である。カロテノイドは、花、野菜、昆虫、魚、および鳥に色を提供する。カロテノイドの色は黄色から赤に及び、褐色および紫のバリエーションがある。ビタミンAの前駆物質として、カロテノイドは、我々の食餌の基礎的構成要素であり、それらはヒトの健康において追加的な重要な役割を果たす。動物は、カロテノイドを新規に(de novo)合成できないので、それらを食餌の手段によって得なくてはならない。したがって植物または細菌におけるカロテノイド生成および組成の操作は、新しいまたは改善されたカロテノイド源を提供できる。カロテノイドの工業的使用の例としては、医薬品、食品サプリメント、動物飼料添加剤、および化粧品の着色剤などが挙げられる。
天然で確認された600を越える異なるカロテノイドの存在にもかかわらず、工業的には、食物色素、動物飼料、医薬品、および化粧品のためにわずかなカロテノイドが使用されるのみである。これは生産の困難さが主因である。現在、工業目的で使用されるほとんどのカロテノイドは化学合成によって生産されるが、これらの化合物は化学的に製造することが非常に困難である(非特許文献1)。天然カロテノイドは、植物材料の抽出または微生物合成のいずれかによって得ることができる。しかし商業的なカロテノイド生産にはわずかな植物種のみが広く使用され、これらの植物におけるカロテノイド合成の生産性は比較的低い。その結果、これらの植物から生成されるカロテノイドは非常に高価である。生合成の生産能力を増大させる一方法は、組換えDNA技術を応用することである((非特許文献2)でレビューされている)。したがって非カロテン産生性細菌および酵母菌中でカロテノイドを生成することにより、最も適切で効率的な産生生物の質、量、および選択のコントロールを可能にすることが望ましい。後者は、消費者にとって商業的生産経済(ひいては入手可能性)のために、特に重要である。
カロテノイドケトラーゼは、β−カロテンなどの環状カロテノイドのイオノン環に、ケト基を導入してケトカロテノイドを生成する酵素のクラスである。ケトカロテノイドの例としては、アスタキサンチン、カンタキサンチン、アドニキサンチン、アドニルビン、エキネノン、3−ヒドロキシエキネノン、3’−ヒドロキシエキネノン、4−ケト−γ−カロテン、4−ケト−ルビキサンチン、4−ケト−トルレン、3−ヒドロキシ−4−ケト−トルレン、デオキシフレキシキサンチン、およびミキソバクトン(myxobactone)が挙げられる。2つのクラスのケトラーゼ、CrtWおよびCrtOが報告されている。2つのクラスは同様の官能基を有するにもかかわらず、それらは配列類似性が非常にわずかなので、独立して生じたようにみえる。CrtWは、β−カロテンのケト−基を双方の環に付加する対称的に作用する酵素である(非特許文献3)。(非特許文献4)は、シネコシスティス(Synechocystis)種PCC6803からのCrtOケトラーゼ酵素が、β−カロテンの2つのβ−イオノン環の1つのみにケト−基を対称的に付加することを報告した。
CrtWケトラーゼのいくつかの例が、アグロバクテリウム・アウランティアカム(Agrobacterium aurantiacum)(特許文献1)、ブラディリゾビウム(Bradyrhizobium)種(特許文献2)、およびブレバンジモナス・アウランティアカム(Brevundimonas aurantiacum)(特許文献3)をはじめとする種々の細菌において報告されている。しかしカンタキサンチンおよびアスタキサンチンなどの価値のあるケトカロテノイドの生成のために、遺伝子工学工業的に適切な微生物のために有用な追加的な新しいCrtWケトラーゼ遺伝子を同定する必要性がある。さらに高度に相同的な遺伝子の同時発現は、遺伝的不安定性(すなわち望ましくない相同的な遺伝子組換え)をもたらしがちなので、比較的低から中程度の配列相同性(すなわち<65%のヌクレオチド配列同一性)を有するCrtWタイプケトラーゼを同定する、特に重要な必要性がある。比較的低から中程度の配列相同性を有するcrtW遺伝子を発現することによって、通常では高度に相同的な遺伝子の発現にむすびつく、遺伝的不安定性の確率が低下するはずである。これは所望の生成物(すなわちケトカロテノイド)の最適生成のために、遺伝的に安定した市販系統を開発する際に特に重要である。
多岐にわたるヌクレオチド配列を有するCrtW遺伝子は、単一組換え宿主細胞中で複数のケトラーゼを発現するために最も適切である。これはケトラーゼ活性がケトカロテノイド生合成経路において律速段階になった場合、特に重要である。利用できる基質プールが無制限であると仮定して、生成宿主中で同時に発現できるcrtW遺伝子の数を増加させることで、ケトカロテノイド生成を増大させることが期待できる。
さらにCrtWケトラーゼは、基質融通性を示す傾向がある。しかし異なるCrtWケトラーゼが1つ以上の可能な基質(すなわちβ−カロテン対ゼアキサンチン)に対して、優先的な活性を示すかもしれないことが想定できる。好ましい基質に基づいてそれぞれ選択された複数のCrtWケトラーゼの同時発現を、所望のケトカロテノイドの最適生成のために使用してもよい。当業者は所望のケトカロテノイドの最適生成のために、所望の宿主細胞中の入手できる基質プールを分析し、ケトラーゼの適切な組み合わせを選択的に発現することで、所望のケトカロテノイド最終生成物の生成を最適化するかもしれない。
米国特許第6,150,130号明細書 米国特許出願公開第20030087337号明細書 国際公開第02/079395号パンフレット ネリス(Nelis)およびリーンハー(Leenheer)、Appl. Bacteriol.、70:181−191(1991) ミサワ(Misawa)およびシマダ(Shimada)、J.Biotech.、59:169−181(1998) ハンニバル(Hannibal)ら、J.Bacteriol.、182:3850〜3853(2000) フェルナンデス−ゴンザレス(Fernandez−Gonzalez)ら、J.of Biol.Chem.、272:9728〜9733(1997)
したがって解決すべき問題は、ケトカロテノイド(すなわちカンタキサンチンおよびアスタキサンチン)の工学生成のために有用な新しいcrtWケトラーゼ遺伝子を同定し、単離することである。本発明は、組換え宿主細胞中におけるケトカロテノイド生成に有用な3つの新しいcrtW遺伝子を提供することによって、既述の問題を解決した。本CrtWケトラーゼを使用してケトカロテノイドを生成する方法もまた、提供される。
本発明は、環状カロテノイドから環状ケトカロテノイドへの転換ができる新しいカロテノイドケトラーゼ酵素に関する。よって本発明は、
(a)配列番号2、4、6に記載のアミノ酸をコードする単離された核酸分子、
(b)0.1×SSC、0.1%SDSで65℃の洗浄条件で(a)とハイブリダイズする単離された核酸分子、または
(a)または(b)と相補的な単離された核酸分子
よりなる群から選択されるカロテノイドケトラーゼ酵素コードする単離された核酸分子を提供する。
同様に本発明は、適切な調節配列に作動的に結合した単離された核酸分子、本発明の単離された核酸分子によってコードされるポリペプチド、および同物質を含んでなる形質転換された生成宿主細胞を含んでなる遺伝的キメラを提供する。
本発明は、プライマー誘導増幅またはハイブリダイゼーション法のどちらかによって、本発明の核酸分子を得る方法をさらに提供する。
別の実施態様では、本発明は、
(a)環状カロテノイドを生成する宿主細胞を提供し、
(b)(a)の宿主細胞をカロテノイドケトラーゼ酵素をコードする本発明の遺伝子で形質転換し、そして
(c)(b)の形質転換宿主細胞を環状ケトカロテノイドが生成する条件下で生育させる、
ことを含んでなる、環状ケトカロテノイド化合物の生成方法を提供する。
同様に本発明は、
(a)適切な調節配列の制御下にある本発明のカロテノイドケトラーゼ遺伝子を宿主細胞に導入し、
(b)(a)の宿主細胞をカロテノイドケトラーゼ遺伝子が発現し、環状ケトカロテノイドの生合成が制御される条件下で生育させる、
ことを含んでなる、生物において環状ケトカロテノイド生合成を制御する方法を提供する。
代案の実施態様では、本発明は、
(a)環状カロテノイドを生成する宿主細胞を提供し、
(b)(a)の宿主細胞をCrtWカロテノイドケトラーゼ酵素をコードする本発明の第1の遺伝子で形質転換し、
(c)(a)の宿主細胞をCrtWカロテノイドケトラーゼ酵素をコードする第2の遺伝子で形質転換し、そして
(d)前記(a)の第1の遺伝子および前記(b)の第2の遺伝子を含んでなる形質転換宿主細胞を前記第1の遺伝子または前記第2の遺伝子いずれかのみを発現する形質転換宿主細胞に比べて、環状ケトカロテノイドの生成が増大する条件下で生育させる、
ことを含んでなり、
前記第2の遺伝子が前記第1の遺伝子と比べると65%未満の核酸配列同一性を有する、
環状ケトカロテノイド化合物の生成を増大させる方法を提供する。
(a)i)天然カロテノイドケトラーゼ遺伝子、
ii)前記天然カロテノイドケトラーゼ遺伝子とハイブリダイズするヌクレオチド断片の第1の集団、
iii)前記天然カロテノイドケトラーゼ遺伝子とハイブリダイズしないヌクレオチド断片の第2の集団
を含んでなるヌクレオチド配列の混合物を制限エンドヌクレアーゼで消化して、制限酵素断片の混合物が生成され、
(b)前記制限酵素断片の混合物を変性させ、
(c)ステップ(b)の変性した前記制限酵素断片の混合物をポリメラーゼと共にインキュベートし、
(d)ステップ(b)および(c)を反復して、改変された生物学的活性を有するタンパク質をコードする変異カロテノイドケトラーゼ遺伝子が生成される、
ことを含んでなる方法によって生成される、本発明の変異遺伝子もまた提供される。
配列説明
本願明細書の一部を形成する以下の詳細な説明および添付の配列説明によって、本発明をより完全に理解できるであろう。
以下の配列は、37C.F.R.1.821〜1.825(「ヌクレオチド配列および/またはアミノ酸配列開示を含む特許出願の要件−配列規則」)を満たし、世界知的所有権機関(WIPO)標準ST.25(1998)およびEPOおよびPCTの配列表要件(規則5.2および49.5(aの2)、および実施細則第208号および附属書C)に一致する。ヌクレオチドおよびアミノ酸配列データのために使用される記号および型式は、37C.F.R.§1.822で述べられる規則に従う。
配列番号1は、スフィンゴモナス・メロニス(Sphingomonas melonis)DC18 crtW ORFのヌクレオチド配列である。
配列番号2は、スフィンゴモナス・メロニス(Sphingomonas melonis)DC18 CrtWケトラーゼの推定アミノ酸配列である。
配列番号3は、ブレバンジモナス・ベシキュラリス(Brevundimonas vesicularis)DC263 crtW ORFのヌクレオチド配列である。
配列番号4は、ブレバンジモナス・ベシキュラリス(Brevundimonas vesicularis)DC263 CrtWケトラーゼの推定アミノ酸配列である。
配列番号5は、フラボバクテリウム(Flavobacterium)種K1−202C crtW ORFのヌクレオチド配列である。
配列番号6は、フラボバクテリウム(Flavobacterium)種K1−202C CrtWケトラーゼの推定アミノ酸配列である。
配列番号7は、16S rRNA遺伝子配列決定に使用されるプライマー(「HK12」)のヌクレオチド配列である。
配列番号8は、16S rRNA遺伝子配列決定に使用されるプライマー(「JCR14」)のヌクレオチド配列である。
配列番号9は、16S rRNA遺伝子配列決定に使用されるプライマー(「JCR15」)のヌクレオチド配列である。
配列番号10は、スフィンゴモナス・メロニス(Sphingomonas melonis)DC18 16S rRNA遺伝子のヌクレオチド配列である。
配列番号11は、ブレバンジモナス・ベシキュラリス(Brevundimonas vesicularis)DC263 16S rRNA遺伝子のヌクレオチド配列である。
配列番号12は、パントエア・アグロメランス(Pantoea agglomerans)DC404(米国特許出願第60/477874号明細書)からのcrtEidiYIBZカロテノイド合成遺伝子クラスターのヌクレオチド配列である。
配列番号13は、プライマーpWEB404Fのヌクレオチド配列である。
配列番号14は、プライマーpWEB404Rのヌクレオチド配列である。
配列番号15は、P.アグロメランス(agglomerans)DC404からのcrtEidiYIB遺伝子クラスターのヌクレオチド配列である。
配列番号16は、プライマーcrtW−18_Fのヌクレオチド配列である。
配列番号17は、プライマーcrtW−18_Rのヌクレオチド配列である。
配列番号18は、プライマーcrtW−263_Fのヌクレオチド配列である。
配列番号19は、プライマーcrtW−263_Rのヌクレオチド配列である。
配列番号20は、プライマーcrtW/K1−202CFのヌクレオチド配列である。
配列番号21は、プライマーcrtW/K1−202CRのヌクレオチド配列である。
配列番号22は、アグロバクテリウム・アウランティアカム(Agrobacterium aurantiacum)crtZ水酸化酵素遺伝子のヌクレオチド配列である。
配列番号23は、アグロバクテリウム・アウランティアカム(Agrobacterium aurantiacum)crtWケトラーゼ遺伝子のヌクレオチド配列である。
配列番号24は、プライマーcrtZW_Fのヌクレオチド配列である。
配列番号25は、プライマーcrtZW_soe_Rのヌクレオチド配列である。
配列番号26は、プライマーcrtZW_soe_Fのヌクレオチド配列である。
配列番号27は、プライマーcrtZW_Rのヌクレオチド配列である。
配列番号28は、プライマーcrt−260_Fのヌクレオチド配列である。
配列番号29は、プライマーcrt−260SOE_Rのヌクレオチド配列である。
配列番号30は、プライマーcrt−260SOE_Fのヌクレオチド配列である。
配列番号31は、プライマーcrt−260R1_Rのヌクレオチド配列である。
配列番号32は、プライマーcrt−260R1_Fのヌクレオチド配列である。
配列番号33は、プライマーcrt−260_Rのヌクレオチド配列である。
以下の生物学的寄託は、「特許手続上の微生物の寄託の国際的承認に関するブダペスト条約」の条項に従って行った。
Figure 0005647758
ここでの用法では、「ATCC」は、米国VA20110−2209マナッサスのユニバーシティ・ブールヴァード10801のATCCに所在する米国微生物系統保存機関国際寄託局を指す。「国際寄託名」は、ATCCに寄託された培養物の登録番号である。
列挙した寄託株は、表示された国際受託機関に少なくとも30年間保存され、それを開示する特許の付与時に一般に公開される。寄託株の利用可能性は、政府の行動によって付与された特許権を失墜させて主題発明を実施する認可とはみなされない。
本crtW遺伝子およびそれらの発現生成物であるカロテノイドケトラーゼは、環状ケトカロテノイド化合物を生成する能力を有する組換え生物を作り出す上で有用である。CrtWケトラーゼをコードする核酸断片は、スフィンゴモナス・メロニス(Sphingomonas melonis)DC18、ブレバンジモナス・ベシキュラリス(Brevundimonas vesicularis)DC263、およびフラボバクテリウム(Flavobacterium)種K1−202Cをはじめとするいくつかの細菌株から単離されている。単離された核酸断片は、当業者によく知られているBLASTおよびFASTAアルゴリズムを使用して、ヌクレオチドおよびタンパク質配列を含有する公開データベースと比較することで同定され、特性決定された。
本crtWケトラーゼ遺伝子は、操作されて適切な基質(すなわちβ−カロテン)を生成する遺伝子導入微生物宿主中で発現される。遺伝子の機能的発現は、異種の宿主中でのケトカロテノイド(例えばカンタキサンチンおよびアスタキサンチン)の生成によって測定された。さらに遺伝子導入宿主内のケトカロテノイド生成に対する多岐にわたるケトラーゼ同時発現の効果は、ケトカロテノイド生成の相対変化を測定することで特性決定された。
本発明の遺伝子および遺伝子産物は、環状ケトカロテノイド化合物の生成または制御のために多様なやり方で使用してもよい。本crtWケトラーゼ遺伝子は、適切な基質を生成する能力を有する異種の宿主中におけるケトカロテノイド生成のために使用できる。さらにケトカロテノイドの最適化された生成のために、異種の宿主中で2つの以上の本crtWケトラーゼ遺伝子が同時に発現されてもよい。本crtW遺伝子の同時発現は、その他の既知のCrtWケトラーゼに対するそれらの比較的低〜中程度のヌクレオチド配列相同性のために、可能である。比較的低/中程度の相同性は、最適のケトカロテノイド生成のための組換え宿主細胞中における複数のCrtWケトラーゼの安定した発現を可能にする。
ここで述べる遺伝子および遺伝子配列は、ケトカロテノイドの生成を工業的に適切な宿主細胞に直接組み込むことを可能にする。この側面によって、その中にこれらの遺伝子が組み込まれたあらゆる組換え宿主は、より望ましい生成宿主になる。生成したケトカロテノイドは、動物飼料をはじめとする多様な用途で使用するために、生成宿主から単離できる。望ましい着色と健康上の利点を追加することが知られているカロテノイドの存在のために、任意に組換え宿主細胞(細胞全体、均質化、または自己融解細胞)を動物飼料に直接に組み込むことができる(カロテノイド単離ステップなし)。サケとエビの水産養殖は、カロテノイド着色がこれらの生物の価値にとって決定的に重要であるので、本発明の特に有用な用途である(F.シャヒディ(Shahidi)、J.A.ブラウン(Brown)、「海産食品および水産養殖におけるカロテノイド顔料(Carotenoid pigments in seafood and aquaculture)」、Critical Reviews in Food Science、38(1):1〜67(1998))。さらにケトカロテノイドアスタキサンチンは、強力な抗酸化剤であることが知られており、ヒトにおいて免疫機能を高め発ガンを低下させることが報告されている(ジョウノウチ(Jyonouchi)ら、Nutr.Cancer、23:171〜183(1995);タナカ(Tanaka)ら、Cancer Res.、55:4059〜4064(1995))。
本開示中では、いくつかの用語および略語が使用される。以下の定義が提供される。
ここでの用法では「含んでなる」という用語は、特許請求の範囲で言及される既述された徴群、整数、ステップ、または構成要素の存在を意味するが、1つ以上のその他の徴群、整数、ステップ、構成要素またはそれらの群の存在または添加を除外しない。
「読み取り枠」はORFと略記される。
「ポリメラーゼ連鎖反応」はPCRと略記される。
ここでの用法では、「単離された核酸断片」または「単離された核酸分子」という用語は同義的に使用され、場合により合成、非天然または修飾ヌクレオチド塩基を含有する一本鎖または二本鎖であるRNAまたはDNAのポリマーを指す。DNAポリマーの形態の単離された核酸断片は、1個またはそれ以上のcDNA、ゲノムDNAまたは合成DNAの断片を含んでなっても良い。
「pBHR−crt1」という用語は、β−カロテン生成プラスミドを指す。プラスミドはパントエア・スティワルティ(Pantoea stewartii)(ATCC8199)からのcrtEXYIBカロテノイド遺伝子クラスターをpBHR1中にクローンして構築された(ドイツ国ゲッティンゲンのモビテック(MoBioTech(Goettingen,Germany))、および参照によってここに援用する米国特許出願第09/941947号明細書)。得られるプラスミドは、クロラムフェニコール抵抗性遺伝子プロモーターの制御下で発現されるP.スティワルティ(stewartii)遺伝子クラスターを含有した。
「pDCQ329」という用語は、β−カロテン生成プラスミドを指す。プラスミドは、腸内細菌科(Enterobactericeae)DC260からのcrtEXYIBカロテノイド遺伝子クラスターをpBHR1(米国特許出願第10/808979号明細書)中にクローンして構築された。
「pDCQ330」という用語は、β−カロテン生成プラスミドを指す。プラスミドは、パントエア・アグロメランス(Pantoea agglomerans)DC404からのcrtEidiYIBカロテノイド遺伝子クラスターを広域宿主範囲ベクターpBHR1中にクローンして構築された。
「pCDQ335」という用語は、pDCQ330からのβ−カロテン合成遺伝子クラスターおよびアグロバクテリウム・アウランティアカム(Agrobacterium aurantiacum)crtZW遺伝子を含んでなるプラスミドを指す。プラスミドpDCQ335は、crtZWEidiYIB遺伝子をクロラムフェニコール抵抗性遺伝子プロモーターの制御下にあるオペロン中に含有する。得られるプラスミドを適切な異種の宿主中に形質転換すると、アスタキサンチンが生成できる(図1)。
「pDCQ335TA」という用語は、pTrcHis2−TOPO発現ベクター中にクローンされたアグロバクテリウム・アウランティアカム(Agrobacterium aurantiacum)crtWZ遺伝子を含んでなるプラスミドを指す(カリフォルニア州カールスバッドのインビトロジェン(Invitrogen(Carlsbad,CA)))。
「pDCQ340」という用語は、β−カロテン生成プラスミドを指す。プラスミドは、広域宿主範囲ベクターpBHR1中にクローンされた腸内細菌科(Enterobactericeae)DC260からのcrtEYIB遺伝子を含有する。
「pDCQ341TA」という用語は、pTrcHis2−TOPOベクター中にクローンされたスフィンゴモナス・メロニス(Sphingomonas melonis)DC18からのcrtW遺伝子を発現するプラスミドを指す(インビトロジェン(Invitrogen))。
「pDCQ342TA」という用語は、pTrcHis2−TOPOベクター中にクローンされたブレバンジモナス・ベシキュラリス(Brevundimonas vesicularis)DC263からのcrtW遺伝子を発現するプラスミドを指す(インビトロジェン(Invitrogen))。
「pDCQ339TA」という用語は、pTrcHis2−TOPOベクター中にクローンされたフラボバクテリウム(Flavobacterium)種K1−202CからのcrtW遺伝子を発現するプラスミドを指す(インビトロジェン(Invitrogen))。
化合物について言及される「イソプレノイド」または「テルペノイド」という用語は、カロテノイドおよびキサントフィルなどの炭素10個のテルペノイドおよびそれらの誘導体をはじめとする、イソプレノイド経路から誘導されるあらゆる分子である。
「カロテノイド」という用語は、炭素5個のイソプレン単位から縮合したポリエン主鎖から構成される化合物を指す、「カロテノイド」は、非環状であることができ、または1個(単環式)または2個(二環式)の環状末端基で終結することができる。「カロテノイド」という用語は、カロテンおよびキサントフィルの双方を含んでも良い。「カロテン」とは、炭化水素カロテノイドを指す。ヒドロキシ−、メトキシ−、オキソ−、エポキシ−、カルボキシ−、またはアルデヒド官能基の形態で、あるいはグリコシド、グリコシドエステル、またはスルフェート内に1つ以上の酸素原子を含有するカロテン誘導体は、まとめて「キサントフィル」として知られている。本発明で特に適切なカロテノイドは単環式および二環式カロテノイドである。
「カロテノイド生合成経路」という用語は、上流イソプレノイド経路、および/または下流カロテノイド生合成経路の構成要素を構成する遺伝子を指す。
「上流イソプレノイド経路」および「上流経路」という用語は区別なく使用され、ピルビン酸およびグリセルアルデヒド−3−リン酸からファルネシルピロリン酸(FPP)への転換に関与する酵素を指す。これらの酵素をコードする遺伝子としては、「dxs」遺伝子(1−デオキシキシルロース−5−リン酸シンターゼをコードする)、「dxr」遺伝子(1−デオキシキシルロース−5−リン酸レダクトイソメラーゼをコードする、ispCとしても知られている)、「ispD」遺伝子(2C−メチル−D−エリスリトールシチジル転移酵素をコードする、ygbPとしても知られている)、「ispE」遺伝子(4−ジホスホシチジル−2−C−メチルエリスリトールキナーゼをコードする、ychBとしても知られている)、「ispF」遺伝子(2C−メチル−D−エリスリトール2,4−シクロ二リン酸シンターゼをコードする、ygbBとしても知られている)、「pyrG」遺伝子(CTPシンターゼをコードする、ispFとしても知られている)、ジメチルアリル二リン酸の形成に関与する「lytB」遺伝子(ispHとしても知られている)、2−C−メチル−D−エリスリトール4−リン酸の合成に関与する「gcpE」遺伝子(ispGとしても知られている)、「idi」遺伝子(IPPからジメチルアリルピロリン酸への分子内転換に関与する)、およびイソプレノイド経路中の「ispA」遺伝子(ゲラニル転移酵素またはファルネシル二リン酸シンターゼをコードする)が挙げられるが、これに限定されるものではない。
用語「下流カロテノイド生合成経路」および「下流経路」は区別なく使用され、FPPを一連のカロテノイドに転換する酵素を指す。これらとしては(合成がC30カロテノイド生合成にユニークな第1のステップを代表する)ジアポフィトエン、または(合成がC40カロテノイド生合成にユニークな第1のステップを代表する)フィトエンのいずれかの合成に関与する、遺伝子および遺伝子産物が挙げられる。様々なC30〜C40カロテノイド生成をもたらす全ての引き続く反応は、下流カロテノイド生合成経路に含まれる。これらの遺伝子および遺伝子産物には、crtM、crtN、crtN2、crtE、crtX、crtY、crtI、crtB、crtZ、crtW、crtO、crtR、crtA、crtC、crtD、crtF、およびcrtUをはじめとするが、これに限定されるものではない「crt」遺伝子の全てが含まれる。最後に「下流カロテノイド生合成酵素」という用語は、CrtM、CrtN、CrtN2、CrtE、CrtX、CrtY、CrtI、CrtB、CrtZ、CrtW、CrtO、CrtR、CrtA、CrtC、CrtD、CrtF、およびCrtUをはじめとするが、これに限定されるものではない、下流経路中の酵素の全部または一部を指す包括的用語である。
「C30ジアポカロテノイド」は、2個の中央メチル基が1,6−位の関係にあり、残りの非末端メチル基が1,5−位の関係にあるように、イソプレノイド単位の配置が分子の中央で逆転するような様式で結合する6個のイソプレノイド単位からなる。全てのC30カロテノイドは、(i)水素付加、(ii)脱水素化、(iii)環化、(iv)酸化、(v)エステル化/グリコシル化、またはこれらのプロセスのいずれかの組み合わせによって、接合二重結合の長い中央鎖を有する非環状C3042構造から形式的に誘導されても良い。
「テトラテルペン」または「C40カロテノイド」は、2個の中央メチル基が1,6−位の関係にあり、残りの非末端メチル基が1,5−位の関係にあるように、イソプレノイド単位の配置が分子の中央で逆転するような様式で結合した8個のイソプレノイド単位からなる。全てのC40カロテノイドは、非環状C4056構造から形式的に誘導されても良い。C40カロテノイドの制限を意図しない例としては、フィトエン、リコペン、β−カロテン、ゼアキサンチン、アスタキサンチン、およびカンタキサンチンが挙げられる。
「CrtE」という用語は、crtE遺伝子によってコードされ、トランス−トランス−ファルネシル二リン酸とイソペンテニル二リン酸をピロリン酸とラニルゲラニル二リン酸に転換する、ゲラニルゲラニルピロリン酸シンターゼを指す。
「Idi」という用語は、idi遺伝子によってコードされるイソペンテニル二リン酸イソメラーゼ(E.C.5.3.3.2)を指す。
「CrtY」という用語は、crtY遺伝子によってコードされ、リコペンをβ−カロテンに転換するリコペン環化酵素を指す。
「CrtI」という用語は、crtI遺伝子によってコードされるフィトエン不飽和化酵素を指す。CrtIは4個の二重結合の導入により、フィトフルエン、ζ−カロテン、およびニューロスポレンの中間物を通じて、フィトエンをリコペンに転換する。
「CrtB」という用語は、プレフィトエン二リン酸からフィトエンへの反応を触媒するcrtB遺伝子によってコードされるフィトエンシンターゼを指す。
「CrtZ」という用語は、β−カロテンからゼアキサンチンへの水酸化反応を触媒するcrtZ遺伝子によってコードされる、β−カロテン水酸化酵素を指す。
「CrtW」という用語は、環状カロテノイドのイオノン環上にケト基が導入される酸化反応を触媒するcrtW遺伝子によってコードされる、β−カロテンケトラーゼ酵素を指す。CrtWケトラーゼは、典型的に基質融通性を示すことが知られている。「カロテノイドケトラーゼ」または「ケトラーゼ」という用語は、ケト基を環状カロテノイドのイオノン環に付加できる酵素群を指す。
「CrtX」という用語は、ゼアキサンチンをゼアキサンチン−β−ジグルコシドに転換し、crtX遺伝子によってコードされるゼアキサンチングルコシル転移酵素を指す。
「ケト基」または「ケトン基」という用語は区別なく使用されて、その中でカルボニル基が2つの炭素原子に結合する群を指す:RC=O(どちらがもRがHでなくてもよい)。
「ケトカロテノイド」という用語は、環状カロテノイドのイオノン環上に少なくとも1つのケト基有するカロテノイドを指す。ケトカロテノイドの例としては、カンタキサンチンおよびアスタキサンチンが挙げられるが、これに限定されるものではない。
ここでの用法では、「実質的に類似した」とは、1個またはそれ以上のヌクレオチド塩基の変化が、1個またはそれ以上のアミノ酸の置換をもたらすが、DNA配列によってコードされるタンパク質の官能特性に影響しない核酸断片を指す。「実質的に類似した」とは、1個またはそれ以上ヌクレオチド塩基の変化が、アンチセンスまたはコサプレッション技術によって、遺伝子発現の変更を媒介する核酸断片の能力に影響しない核酸断片も指す。「実質的に類似した」とは、得られる転写物の官能特性実質的に影響しない、1個またはそれ以上のヌクレオチド塩基の欠失または挿入などの本発明の核酸断片の修飾も指す。したがって本発明は特定の例示的な配列以上のものを包含するものと理解される。
例えば特定部位で化学的に等価のアミノ酸の生産をもたらすが、コードされるタンパクの機能特性に影響しない遺伝子の変化が一般的であることは、技術分野で周知である。本発明の目的では、置換は以下の5つの群中の1つの交換として定義される。
1.小型脂肪族、非極性またはわずかに極性の残基:Ala、Ser、Thr(Pro、Gly)、
2.極性、負に帯電した残基およびそれらのアミド:Asp、Asn、Glu、Gln、
3.極性、正に帯電した残基:His、Arg、Lys、
4.大型脂肪族、非極性残基:Met、Leu、Ile、Val(Cys)、および
5.大型芳香族残基:Phe、Tyr、Trp。
したがって疎水性アミノ酸であるアミノ酸アラニンのためのコドンは、別のより疎水性が低い残基(グリシンなど)または疎水性がより高い残基(バリン、ロイシン、またはイソロイシンなど)をコードするコドンによって置換されても良い。同様に、1つの負に帯電した残基を別のものにする(グルタミン酸からアスパラギン酸など)、または1つの正に帯電した残基を別のものにする(アルギニンからリジンになど)置換をもたらす変化も機能的に等しい生成物を生じることが期待できる。
多くの場合、タンパク分子のN−末端およびC−末端部分の変化をもたらすヌクレオチド変化もタンパク活性を変更させるとは考えられない。
それぞれの提案される変更は、十分に技術分野のルーチン技術の範囲内であり、コードされる生成物の生物学的活性保持の判定も同様である。さらに当業者は、本発明によって包含される実質的に類似した配列が、ストリンジェントな条件(0.1×SSC、0.1%SDSで65℃、および2×SSC、0.1%SDSで洗浄後、0.1×SSC、0.1%SDS)下で、ここで例証する配列とハイブリダイズするそれらの能力によっても定義されることを認識する。一実施態様では、本発明の実質的に類似した核酸断片は、そのDNA配列が、ここで報告する核酸断片のDNA配列と少なくとも約80%同一の核酸断片である。さらに別の実施態様では、実質的に類似した核酸断片は、ここで報告する核酸断片のDNA配列と少なくとも約90%同一である。なおさらに別の実施態様では、実質的に類似した核酸断片は、ここで報告する核酸断片のDNA配列に少なくとも約95%同一である。
核酸分子は、適切な温度および溶液イオン強度条件下で、核酸分子の一本鎖形態がその他の核酸分子とアニールできる場合、cDNA、ゲノムDNA、またはRNAなどの別の核酸分子と「ハイブリダイズ可能」である。ハイブリダイゼーションおよび洗浄条件については良く知られており、サムブルック(Sambrook)、J.、フリッチュ(Fritsch)、E.F.およびマニアティス(Maniatis)、T.「分子クローン化:実験室マニュアル(Molecular Cloning:A Laboratory Manual)」、第二版、Cold Spring Harbor Laboratory Press、Cold Spring Harbor,(1989)(以下「マニアティス(Maniatis)」)の特に第11章およびその表11.1で例証される。温度およびイオン強度条件が、ハイブリダイゼーションの「ストリンジェンシー」を定める。ストリンジェンシー条件は、遠縁の生物からの相同的配列などの中程度に類似の断片をスクリーニングするため、そして機能性酵素を複製する近縁の生物からの遺伝子などの高度に類似した断片をスクリーニングするために調節できる。ハイブリダイゼーション後の洗浄が、ストリンジェンシー条件を決定する。一実施態様では、ストリンジェンシー条件は、室温において6×SSC、0.5%SDSで約15分間に始まり、次に約45℃において2×SSC、0.5%SDSで約30分間を反復し、次に約50℃において0.2×SSC、0.5%SDSを約30分間を2回反復する、一連の洗浄を使用する。別の実施態様では、ストリンジェンシー条件はより高い温度を使用し、そこでは洗浄は、最後の0.2×SSC、0.5%SDS中での2回の30分間の洗浄の温度を約60℃に増大させること以外は上述したのと同一である。さらに別の実施態様では、高度にストリンジェントな条件は、0.1×SSC、約65℃での0.1%SDS中での2回の最終洗浄を使用する。ハイブリダイゼーションのストリンジェンシー次第で塩基間のミスマッチは可能であるが、ハイブリダイゼーションは、2つの核酸が相補的配列を含有することを要求する。核酸がハイブリダイズする適切なストリンジェンシーは、技術分野で良く知られた変数である核酸の長さおよび相補性の程度に左右される。2つのヌクレオチド配列間の類似性または相同性の程度が高い程、これらの配列を有する核酸ハイブリッドのTm値は大きくなる。核酸ハイブリダイゼーションの相対安定性(より高いTmに対応する)は、次の順で低下する。RNA:RNA、DNA:RNA、DNA:DNA。長さが100ヌクレオチドを超えるハイブリッドでは、Tmを計算する式が導かれている(サムブルック(Sambrook)ら、前述9.50〜9.51参照)。より短かい核酸、すなわちオリゴヌクレオチドによるハイブリダイゼーションのためにはミスマッチの配置がより重要になり、オリゴヌクレオチドの長さがその特異性を決定する(サムブルック(Sambrook))ら、前述11.7〜11.8参照)。一実施態様では、ハイブリダイズ可能な核酸の長さは少なくともヌクレオチド約10個である。別の実施態様では、ハイブリダイズ可能な核酸の最小の長さは少なくともヌクレオチド約15個、さらに別の実施態様では少なくともヌクレオチド約20個、そしてさらにまた別の実施態様では長さが少なくともヌクレオチド約30個である。さらに当業者は、温度および洗浄液の塩濃度が、プローブの長さなどの要因次第で必要に応じて調節できることを認識する。
アミノ酸またはヌクレオチド配列の「かなりの部分」は、当業者による配列の手動評価によって、あるいはBLAST(「基礎的局在性整列化検索ツール(Basic Local Alignment Search Tool)」、アルトシュル(Altschul)S.F.ら、(1993)J.Mol.Biol.215:403〜410)などのアルゴリズムを使用したコンピュータ支援配列比較および同定によって、遺伝子またはポリペプチドの推定上の同定を得るのに十分なポリペプチドまたは遺伝子のヌクレオチド配列のアミノ酸配列を含んでなる。推定的にポリペプチドまたは核酸配列が既知のタンパク質または遺伝子に相同的であると同定するためには、概して10個以上の隣接するアミノ酸または30個以上のヌクレオチド配列が必要である。さらにヌクレオチド配列に関して、約20〜30個の隣接するヌクレオチドを含んでなる遺伝子特異的オリゴヌクレオチドプローブを配列依存遺伝子同定法(例えばサザンハイブリダイゼーション)および単離(例えば細菌コロニーまたはバクテリオファージ・プラークの原位置(in situ)ハイブリダイゼーション)において使用しても良い。さらにプライマーを含んでなる特定の核酸断片を得るために、塩基約12〜15個の短いオリゴヌクレオチドをPCRで増幅プライマーとして使用しても良い。したがってヌクレオチド配列の「かなりの部分」は、配列を含んでなる核酸断片を特異的に同定および/または単離できるようにする十分な配列を含んでなる。本願明細書は、1つまたはそれ以上の特定の微生物タンパク質をコードする部分的または完全アミノ酸およびヌクレオチド配列を教示する。当業者はここで報告される配列の恩恵を被り、当業者に知られている目的のために、今や開示された配列の全てまたはかなりの部分を使用できる。したがって本発明は、添付の配列表で報告される完全な配列、ならびに上で定義される配列のかなりの部分を含んでなる。
「相補的」と言う用語は、互いにハイブリダイズできるヌクレオチド塩基間の関係について述べるために使用される。例えばDNAについて、アデノシンはチミンに相補的であり、シトシンはグアニンに相補的である。したがって本発明は添付の配列表で報告されるような完全な配列、ならびに実質的に類似した核酸配列に相補的である単離された核酸断片も含む。
技術分野で既知の「パーセント同一性」と言う用語は、配列を比較して判定される2つ以上のポリペプチド配列または2つ以上のポリヌクレオチド配列の関係である。技術分野において「同一性」は、場合によってはこのような配列ストリング間の整合によって判定されるような、ポリペプチドまたはポリヌクレオチド配列間の配列関連性の程度も意味する。「同一性」および「類似性」は、「計算分子生物学(Computational Molecular Biology)(レスク(Lesk)A.M.編)、Oxford University Press、NY(1988)、「バイオコンピューティング:情報科学およびゲノムプロジェクト(Biocomputing:Informatics and Genome Projects)」(スミス(Smith)D.W.編)、Academic Press、NY(1993)、「配列データのコンピュータ分析(Computer Analysis of Sequence Data)」、第一部、(グリフィン(Griffin)A.M.、およびグリフィン(Griffin)H.G.編)、Humana Press、NJ(1994)、「分子生物学における配列分析(Sequence Analysis in Molecular Biology)」(フォン・ハインェ(von Heinje)G.編)、Academic Press(1987)、「配列分析入門(Sequence Analysis Primer)」(グリブスコフ(Gribskov)M.およびデュヴルー(Devereux)J.編)、Stockton Press、NY(1991)で述べられたものをはじめとするがこれに限定されるものではない既知の方法によって容易に計算できる。一実施態様では、同一性を判定するために使用される方法は、試験される配列間に最良の整合を与えるようにデザインされる。同一性および類似性を判定する方法は、一般に入手できるコンピュータプログラムで体系化される。配列整合およびパーセント同一性の計算は、ウィスコンシンマディソンのDNASTAR(DNASTAR Inc.(Madison、WI))からのLASERGENEバイオインフォマティクス計算スイートのMegalignプログラムを使用して実施しても良い。Clustal整合法(ヒギンズ(Higgins)およびシャープ(Sharp)、CABIOS.5:151〜153(1989))を使用して、デフォルトのパラメータ(GAP PENALTY=10、GAP LENGTH PENALTY=10)で、配列の複数の整合を実施できる。Clustal法を使用した対整合のデフォルトのパラメータは、KTUPLE 1、GAP PENALTY=3、WINDOW=5、およびDIAGONALS SAVED=5であった。
適切な核酸断片(本発明の単離ポリヌクレオチド)は、少なくとも約75%同一のポリペプチドをコードする。一実施態様では、適切な核酸断片は、ここで報告するアミノ酸配列と少なくとも約85%同一である。さらに別の実施態様では、核酸断片は、ここで報告するアミノ酸配列と少なくとも約90%同一のアミノ酸配列をコードする。さらにまた別の実施態様では、核酸断片は、ここで報告するアミノ酸配列と少なくとも約95%同一のアミノ酸配列をコードする。なおさらに別の実施態様では、適切な核酸断片は、ここで報告するアミノ酸配列と少なくとも約99%同一のアミノ酸配列をコードする。本発明の適切な核酸断片は上の相同性を有するだけでなく、典型的に少なくとも約240個のアミノ酸を有するポリペプチドをコードする。
本発明では、「多岐にわたる遺伝子」、「多岐にわたるケトラーゼ」、および「多岐にわたる配列」という用語は区別なく使用されて、CrtWケトラーゼ間の核酸断片配列の同一性の欠如を指す。2つ以上のcrtW遺伝子間のヌクレオチド配列比較によって、配列同一性の相対程度についての関連性の分類が可能になる。高度に相同的な遺伝子の同時発現は、遺伝的不安定性をもたらす(すなわち相同的遺伝子組換え率が増大する)傾向がある。中程度にまたは高度に多岐にわたる遺伝子の発現は、遺伝的安定性をもたらす可能性が高い。ここでの用法では「遺伝的安定性」または「遺伝的に安定した」は、本カロテノイドケトラーゼ遺伝子と核酸配列同一性が75%未満、好ましくは核酸配列同一性が65%未満のコード配列を有する複数のカロテノイドケトラーゼ遺伝子の発現について述べるために使用される。これは遺伝的に安定した形質転換体中でケトカロテノイド生成を増大させるために、2個以上のカロテノイドケトラーゼ遺伝子を染色体性に組み込む場合に、特に重要である。一実施態様では、同時発現のために有用なcrtWケトラーゼ遺伝子は、配列アライメントによって比較すると、同一性が75%未満のものである。別の実施態様では、同時発現のために使用されるcrtWケトラーゼ遺伝子は、配列アライメントによって比較すると、同一性が約65%未満のものである。さらに別の実施態様では、同時発現のために使用されるcrtWケトラーゼ遺伝子は、配列アライメントによって比較すると、同一性が約55%未満のものである。なおさらに別の実施態様では、同時発現のために使用されるcrtWケトラーゼ遺伝子は、配列アライメントによって比較すると、同一性が約45%未満のものである。
「コドン縮重」とは、コードされるポリペプチドのアミノ酸配列に影響しないヌクレオチド配列の変動を可能にする遺伝子コード中の性質を指す。したがって本発明は、配列番号2、4、および6で示される本微生物のポリペプチドをコードするアミノ酸配列の全てまたはかなりの部分をコードするあらゆる核酸断片に関する。当業者は、任意のアミノ酸を特定化するためのヌクレオチドコドンの利用において、特定の宿主細胞によって示される「コドンバイアス」を十分承知している。したがって宿主細胞中における改善された発現のために遺伝子を合成する場合、コドン使用頻度が、宿主細胞の好ましいコドン使用頻度に近くなるようように、遺伝子をデザインすることが望ましい。
「合成遺伝子」は、当業者に知られた手順を使用して化学的に合成されるオリゴヌクレオチド構成単位から構築できる。これらの構成単位をライゲートしアニールして遺伝子セグメントを形成し、次にそれを酵素的にアセンブルして遺伝子全体を構成しても良い。DNA配列に関連して「化学的に合成された」とは、構成要素ヌクレオチドが生体外で(in vitro)アセンブルされたことを意味する。DNAの手動化学合成は確立した手順を使用して達成されても良く、あるいはいくつかの市販の機器の1つを使用して自動化学合成を実施できる。したがって遺伝子をヌクレオチド配列の最適化に基づいて、最適な遺伝子発現のために調整し、宿主細胞のコドンバイアスを反映させることができる。当業者は、コドン利用が宿主によって好まれるコドンに偏っている場合の遺伝子発現成功の見込みの真価を認める。好まれるコドンの判定は、配列情報が利用できる宿主細胞に由来する遺伝子の調査に基づくことができる。
「遺伝子」とは、コード配列に先行する調節配列(5’非コード配列)およびその後ろの調節配列(3’非コード配列)を含めた特異性タンパクを発現する核酸断片を指す。「天然遺伝子」とは、それ自体の調節配列を有して自然界に見いだされる遺伝子を指す。「キメラ遺伝子」とは、自然界には一緒に見られない制御およびコード配列を含んでなる天然遺伝子でないあらゆる遺伝子を指す。したがってキメラ遺伝子は、異なる供給源から誘導される調節配列およびコード配列、あるいは同一供給源から誘導されるが、自然界に見られるのとは異なるやり方で配列された調節配列およびコード配列を含んでなっても良い。「内在性遺伝子」とは、生物のゲノム中の自然な部位にある天然遺伝子を指す。「外来性」遺伝子とは、通常では宿主生物に見られないが、遺伝子移入によって宿主生物中に導入される遺伝子を指す。外来遺伝子は、非天然生物に挿入された天然遺伝子、またはキメラ遺伝子を含んでなることができる。「導入遺伝子」とは、形質転換手順によってゲノム中に導入された遺伝子である。
「コード配列」とは、特定のアミノ酸配列をコードするDNA配列を指す。「適切な調節配列」とは、コード配列の上流(5’非コード配列)、配列内、または下流(3’非コード配列)に位置して、転写、RNAプロセシングまたは安定性、または関連コード配列の翻訳に影響を及ぼすヌクレオチド配列を指す。調節配列は、プロモーター、翻訳リーダー配列、イントロン、ポリアデニル化認識配列、RNAプロセッシング部位、エフェクター結合部位、およびステム−ループ構造を含んでも良い。
「プロモーター」とは、コード配列または機能性RNAの発現を調節できるDNA配列を指す。概してコード配列は、プロモーター配列に対して3’に位置する。プロモーターは、そっくりそのまま天然遺伝子から誘導されても良く、あるいは自然界に見られる異なるプロモーターから誘導される異なる要素からなっても良く、あるいは合成DNAセグメントを含んでなってさえ良い。異なるプロモーターは、異なる組織または細胞タイプ中で、あるいは異なる発達段階において、あるいは異なる環境または生理学的条件に呼応して、遺伝子の発現を導いても良いことが当業者には理解される。ほとんどの細胞タイプ中でほとんどの場合に遺伝子の発現を引き起こすプロモーターは、一般に「構築プロモーター」と称される。ほとんどの場合、調節配列のはっきりした境界は完全に画定されていないので、異なる長さのDNA断片が同一のプロモーター活性を有しても良いこともさらに認識される。
「3’非翻訳配列」は、コード配列の下流に位置するDNA配列を指し、ポリアデニル化認識配列(通常では真核細胞に限られる)およびmRNAプロセッシングまたは遺伝子発現に影響できる調節シグナルをコードするその他の配列を含む。ポリアデニル化シグナルは、通常、mRNA前駆物質の3’末端へのポリアデニル酸トラクトの付加(通常では真核細胞に限られる)に影響することで特徴づけられる。
「RNA転写物」とは、DNA配列のRNAポリメラーゼ触媒転写から得られる生成物を指す。RNA転写物がDNA配列の完全な相補的コピーである場合、それは一次転写物と称され、あるいはそれは一次転写物の転写後プロセッシングから誘導されるRNA配列であるかもしれず、成熟RNAと称される。「メッセンジャーRNA(mRNA)」とはイントロンがなく、細胞によってタンパク質に翻訳されることができるRNAを指す。「cDNA」とは、mRNAに対して相補的であり、それから誘導される二重鎖DNAを指す。「センスRNA」とは、mRNAを含み、細胞によってタンパク質に翻訳されることができるRNA転写物を指す。「アンチセンスRNA」とは、標的一次転写物またはmRNAの全部または一部に相補的であり、標的遺伝子の発現をブロックするRNA転写物を指す(米国特許第50,107,065号明細書、国際公開第99/28508号パンフレット)。アンチセンスRNAの相補性は、特定の遺伝子転写物のあらゆる部分、すなわち5’非コード配列、3’非コード配列、またはコード配列にあっても良い。「機能RNA」とは、翻訳されないがそれでもなお細胞過程に影響するアンチセンスRNA、リボザイムRNA、またはその他のRNAを指す。
「作動可能に連結した」と言う用語は、1つの機能が他方の機能によって影響される、単一核酸断片上の核酸配列のつながりを指す。例えばプロモーターはコード配列の発現に影響できる場合、そのコード配列と作動可能に連結する(すなわちコード配列がプロモーターの転写調節の下にある)。コード配列は、センスまたはアンチセンス方向で調節配列に作動可能に連結できる。
「発現」と言う用語は、ここでの用法では、本発明の核酸断片から誘導されるセンス(mRNA)またはアンチセンスRNAの転写および安定した蓄積を指す。発現はまた、mRNAのポリペプチドへの翻訳を指しても良い。
「形質転換」は、遺伝的に安定した遺伝形質をもたらす、宿主生物ゲノム中への核酸断片の転移を指す。ここでの用法では宿主細胞ゲノムは、宿主細胞内の染色体または染色体外(すなわちベクター)遺伝子の双方を含む。形質転換核酸断片を含有する宿主生物は、「遺伝子導入」または「組換え」または「形質転換」生物と称される。
「接合」とは、1つの細菌細胞(すなわち「供与体」)から別の(すなわち「受容体」)細菌細胞への一方向性のDNA転位(例えば細菌プラスミドからの)が起きる、特定のタイプの形質転換を意味する。プロセスは直接的な細胞と細胞の接触を伴う。
「炭素基質」という用語は、本発明の宿主生物によって代謝されることができる炭素源、特に単糖類、オリゴ糖、多糖類、および一炭素基質またはそれらの混合物よりなる群から選択される炭素源を指す。用語「C炭素基質」は、炭素−炭素結合を欠くあらゆる炭素含有分子を指す。制限を意図しない例は、メタン、メタノール、ホルムアルデヒド、ギ酸、ホルマート、メチル化アミン(例えばモノ−、ジ−、およびトリ−メチルアミン)、メチル化チオール、および二酸化炭素である。一実施態様では、C炭素基質はメタノールおよび/またはメタンである。
「C代謝個体」という用語は、その唯一のエネルギーおよび生物量源として、単一炭素基質を使用する能力を有する微生物を指す。C代謝個体は、典型的にメチロトローフおよび/またはメタノトローフである。「C代謝性細菌」という用語は、それらの唯一のエネルギーおよび生物量源として単一炭素基質を使用する能力を有する細菌を指す。C代謝個体のサブセットであるC代謝性細菌は、典型的にメチロトローフおよび/またはメタノトローフである。一実施態様では、C代謝個体はメチトローフであり、単一炭素基質はメタンおよび/またはメタノールよりなる群から選択される。別の実施態様では、C代謝個体はメタノトローフであり、単一炭素基質はメタンおよび/またはメタノールよりなる群から選択される。
「メチロトローフ」という用語は、炭素−炭素結合を含有しない有機化合物を酸化できる生物を意味する。メチロトローフがCHを酸化できる場合、メチロトローフはメタノトローフでもある。
「メタノトローフ」または「メタノトローフ細菌」という用語は、その主要な炭素およびエネルギー源として、メタンを利用できる原核生物を意味する。メタンから二酸化炭素への完全な酸化は、好気性分解経路によって起きる。本発明で有用な典型的なメタノトローフの例としては、メチロモナス(Methylomonas)、メチロバクター(Methylobacter)、メチロコッカス(Methylococcus)、およびメチロジーナス(Methylosinus)属が挙げられる(が、これに限定されるものではない)。
「高生育メタノトローフ細菌株」という用語は、メタンおよび/またはメタノールを唯一の炭素およびエネルギー源として生育でき、機能的エムデンマイヤーホフ炭素流束経路を有して、高い生育速度と、代謝されるC基質のグラム当たりの高細胞量生成量とが得られる細菌を指す(米国特許第6,689,601号明細書)。ここで述べられる特定の「高生育メタノトローフ細菌株」は、「メチロモナス(Methylomonas)16a」、「16a」または「メチロモナス(Methylomonas)種16a」と称され、それらの用語は区別なく使用されて、本発明で使用されるメチロモナス(Methylomonas)株を指す。
「CrtN1」という用語は、crtN1遺伝子によってコードされ、メチロモナス(Methylomonas)種16aの天然カロテノイド生合成経路において活性である酵素を指す。この遺伝子は、crtN2およびaldを含んでなるオペロン内に位置する。
「ALD」という用語は、ald遺伝子によってコードされ、メチロモナス(Methylomonas)種16aの天然カロテノイド生合成経路において活性である酵素を指す。この遺伝子は、crtN1およびcrtN2を含んでなるオペロン内に位置する。
「CrtN2」という用語は、crtN2遺伝子によってコードされ、メチロモナス(Methylomonas)種16aの天然カロテノイド生合成経路において活性である酵素を指す。この遺伝子は、crtN1およびaldを含んでなるオペロン内に位置する。
「CrtN3」という用語は、crtN3遺伝子によってコードされ、メチロモナス(Methylomonas)種16aの天然カロテノイド生合成において活性である酵素を指す。この遺伝子はcrt遺伝子クラスター内に位置せず、代わりにこの遺伝子はメチロモナス(Methylomonas)ゲノムの異なる位置に存在する。
「crtN1遺伝子クラスター」、「C30crt遺伝子クラスター」、「crt遺伝子クラスター」、および「内在性メチロモナス(Methylomonas)crt遺伝子クラスター」という用語は、メチロモナス(Methylomonas)種16aの天然カロテノイド生合成経路内で活性であるcrtN1、ald、およびcrtN2遺伝子を含んでなるオペロンを指す。
「MWM1200(Δcrtクラスタープロモーター+ΔcrtN3)」という用語は、その中でC30crtクラスタープロモーターおよびcrtN3遺伝子が中断されているメチロモナス(Methylomonas)種16aの変異体を指す。天然C30カロテノイド生合成経路の中断は、C40カロテノイド生成を操作するための適切な背景をもたらす。メチロモナス(Methylomonas)MWM1200株が以前作り出されており、適切なカロテノイド生成宿主である(米国特許出願第60/527083号明細書、参照によってここに援用する)。「無着色」または「白色変異体」という用語は、その中で天然ピンク顔料(例えばC30カロテノイド)が生成されないメチロモナス(Methylomonas)種16a細菌を指す。したがって細菌細胞は、色がピンクとは対照的に白色であるように見える。
「プラスミド」、「ベクター」、および「カセット」という用語は、多くは細胞の中心的代謝の一部でない遺伝子を保有して、通常環状二本鎖DNA断片の形態である染色体外要素を指す。このような要素は、自律的複製配列、ゲノム組み込み配列、ファージまたはヌクレオチド配列、その中でいくつかのヌクレオチド配列がユニークな構造に結合または組換えられた、あらゆる供給源から誘導される直線または環状の一本鎖または二本鎖DNAまたはRNAであってもよい。「形質転換カセット」は、外来遺伝子を含有し、外来遺伝子に加えて、特定の宿主細胞の形質転換を容易にする要素を有する特定のベクターを指す。「発現カセット」は、外来遺伝子を含有し、外来遺伝子に加えて、異種宿主におけるその遺伝子の増強された発現を可能にする要素を有する特定のベクターを指す。
「配列分析ソフトウェア」と言う用語は、ヌクレオチドまたはアミノ酸配列の分析のために有用なあらゆるコンピュータアルゴリズムまたはソフトウェアプログラムを指す。「配列分析ソフトウェア」は、市販のものでも、あるいは独立して開発されても良い。典型的な配列分析ソフトウェアとしては、ウィスコンシン州マディソンのジェネティック・コンピュータ・グループ(GCG)(Genetics Computer Group(Madison,WI))からのGCGパッケージプログラム(ウィスコンシン・パッケージ(Wisconsin Package))バージョン9.0、BLASTP、BLASTN、BLASTX(アルシュール(Altschul)ら著、J.Mol.Biol.215:403〜410(1990))、およびウィスコンシン州53715マディソン、サウスパーク通り1228のDNASTAR(DNASTAR,Inc.1228 S.Park St.Madison,WI 53715 USA)からのDNASTAR、およびスミス−ウォーターマン・アルゴリズムを組み入れたFASTAプログラム(W.R.ピアースン(Pearson)著、Comput.Methods Genome Res.[国際シンポジウム議事録](1994)、1992年会議、111〜20、編集者:スハイ,サンドル(Suhai,Sandor)、出版社:Plenum、New York,NY)が挙げられるが、これに限定されるものではない。本願明細書の文脈内では、配列分析ソフトウェアを分析のために使用する場合、分析結果は特に断りのない限り、言及されるプログラムの「デフォルト値」に基づくものと理解される。ここでの用法では、「デフォルト値」とは、最初に初期化されたときにソフトウェアに元々ロードされた、(製造業者によって設定されるような)あらゆる値またはパラメータの組を意味する。
本発明は、カロテノイドケトラーゼをコードする新たに発見されたcrtW遺伝子を提供する。本CrtWケトラーゼは、環状カロテノイド化合物からのケトカロテノイド生成のために、生体外(in vitro)および/または生体内(in vivo)で使用してもよい。
スフィンゴモナス・メロニス(Sphingomonas melonis)DC18 crtWヌクレオチド塩基および推定アミノ酸配列と公開データベースとの比較からは、スミス−ウォーターマン(Smith−Waterman)アライメントアルゴリズムを使用して、最も類似した既知の配列が、ここで報告されるアミノ酸配列とアミノ酸249個の長さにわたり約57%同一であることが明らかにされた(W.R.ピアソン(Pearson)、Comput.Methods Genom Res.、[国際シンポジウム議事録](1994)、1992年会議、111〜20、スハイ,サンドール(Suhai,Sandor)編、出版社:Plenum、New York,NY)。
ブレバンジモナス・ベシキュラリス(Brevundimonas vesicularis)DC263 crtWヌクレオチド塩基および推定アミノ酸配列と公開データベースとの比較からは、スミス−ウォーターマン(Smith−Waterman)アライメントアルゴリズムを使用して、最も類似した既知の配列が、ここで報告されるアミノ酸配列とアミノ酸260個の長さにわたり約63%同一であることが明らかにされた。
フラボバクテリウム(Flavobacterium)種K1−202C crtWヌクレオチド塩基および推定アミノ酸配列と、公開データベースとの比較からは、スミス−ウォーターマン(Smith−Waterman)アライメントアルゴリズムを使用して、最も類似した既知の配列が、ここで報告されるアミノ酸配列とアミノ酸256個の長さにわたり約47%同一であることが明らかにされた。
一実施態様では、本発明は、ここでの配列と少なくとも約75%〜85%同一のアミノ酸配列をコードする核酸断片を含んでなる。別の実施態様では、本発明は、ここで報告されるアミノ酸配列と少なくとも約85%〜約95%同一のアミノ酸配列をコードする核酸断片を含んでなる。さらに別の実施態様では、本発明は、ここで報告されるアミノ酸配列と少なくとも約95%同一のアミノ酸配列をコードする核酸断片を含んでなる。さらにまた別の実施態様では、本発明は、ここで報告されるアミノ酸配列と少なくとも約99%同一のアミノ酸配列をコードする核酸断片を含んでなる。
同様に、適切な核酸断片は、ここで報告される核酸配列と少なくとも約80%同一である、対応する活性CrtWケトラーゼをコードする核酸配列を含んでなるものである。一実施態様では、適切なcrtW核酸断片は、ここでの核酸配列と少なくとも約90%同一の核酸配列を有するものである。別の実施態様では、適切なcrtW核酸断片は、ここでの核酸配列と少なくとも約95%同一の核酸配列を有するものである。さらに別の実施態様では、適切なcrtW核酸断片は、ここで報告される核酸配列と少なくとも約99%同一の核酸配列を有するものである。
相同体の単離
本発明の核酸断片を使用して、同一またはその他の微生物種から相同タンパク質をコードする遺伝子を単離しても良い。配列依存プロトコルを使用した相同遺伝子の単離は、技術分野で良く知られている。配列依存プロトコルの例としては、以下が挙げられるが、これに限定されるものではない。核酸ハイブリダイゼーション法、および様々な核酸増幅技術の使用によって例証されるようなDNAおよびRNA増幅法(例えばポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、ミュリス(Mullis)ら、米国特許第4,683,202号明細書;リガーゼ連鎖反応(LCR)、タボール(Tabor)S.ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA82:1074(1985);または鎖置換増幅(SDA)、ウォーカー(Walker)ら、Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.、89:392(1992))。
例えば、本発明のものと類似したタンパク質またはポリペプチドをコードする遺伝子は、当業者に良く知られている方法を使用して、本核酸断片の全部または一部をDNAハイブリダイゼーションプローブとして使用して、あらゆる所望の細菌からのライブラリーをスクリーニングして直接単離できる。本核酸配列に基づく特定のオリゴヌクレオチドプローブは、技術分野で既知の方法によってデザインして合成できる(マニアティス(Maniatis))。さらに利用できる生体外(in vitro)転写システムを使用して、ランダムプライマーDNA標識、ニックトランスレーション、末端標識技術またはRNAプローブなどの当業者に知られている方法によって、配列全体を直接使用してDNAプローブを合成できる。さらに特定のプライマーをデザインして使用し、本配列の一部(または全長)を増幅できる。得られる増幅生成物を増幅反応中に直接標識し、または増幅反応後に標識して、プローブとして使用し、適切な厳密さ条件下で完全長DNA断片を単離できる。
典型的にPCRタイプ増幅技術ではプライマーは異なる配列を有し、互いに相補的でない。所望の試験条件次第で、プライマーの配列は、標的核酸の効率的かつ忠実な複製を提供するようにデザインされるべきである。PCRプライマーデザインの方法は一般的であり、技術分野で周知である(「ヒト遺伝病:実際的アプローチ(Human Genetic Deseases:A Practical Approach)」K.E.デービス(Davis)編、からテイン(Thein)およびウォーレス(Wallace)著、「遺伝病における特異的ハイブリダイゼーションプローブとしてのオリゴヌクレオチドの使用(The use of oligonucleotide as specific hybridization probes in the Diagnosis of Genetic Disorders)」、(1986)、33〜50ページ、IRL Press、Herndon、バージニア(Virginia);リュクリック(Rychlik)W.「分子生物学的方法:PCRプロトコル:現行の方法と応用(Methods in Molecular Biology:PCR Protocols:Current Methods and Applications)」第15巻、31〜39ページ、ホワイト(White),B.A.編(1993)、Humania Press:Totowa,NJ)。
概してポリメラーゼ連鎖反応プロトコルにおいて、本配列の2本の短い断片を使用して、DNAまたはRNAから相同的遺伝子をコードするより長い核酸断片を増幅しても良い。またポリメラーゼ連鎖反応は、1つのプライマーの配列が本核酸断片から誘導され、別のプライマーの配列が真核生物遺伝子のmRNA前駆物質の3’末端のポリアデニル酸のトラクトの存在を利用する、クローン化された核酸断片のライブラリーにおいて実施しても良い。ポリアデニル化mRNAを欠く微生物遺伝子の場合、ランダムプライマーを使用してもよい。ランダムプライマーはまた、DNAからの増幅にも有用かもしれない。
代案としては、第2のプライマー配列は、クローン化ベクターから誘導される配列に基づいても良い。例えば当業者は、RACEプロトコル(フローマン(Frohman)ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:8998(1988))に従って、PCRを使用して、転写物の一点と3’または5’末端との間の領域のコピーを増幅し、cDNAを作り出すことができる。3’および5’方向に向けたプライマーは、本配列からデザインできる。市販される3’RACEまたは5’RACE系(BRL)を使用して、特定の3’または5’cDNA断片を単離できる(オハラ(Ohara)ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:5673(1989);ロー(Loh)ら、Science 243:217(1989))。
代案としては、相同体の同定のために、ハイブリダイゼーション形成試薬として本配列を用いても良い。核酸ハイブリダイゼーション試験の基本的構成要素には、プローブ、関心のある遺伝子または遺伝子断片を含有することが疑われるサンプル、および特定のハイブリダイゼーション法が含まれる。本発明のプローブは典型的に、検出する核酸配列に相補的な一本鎖核酸配列である。プローブは、検出する核酸配列と「ハイブリダイズ可能」である。プローブの長さは、5個の塩基から数万個の塩基の間で変動しても良く、実施する特定の試験に左右される。典型的に、約15個の塩基から約30個の塩基のプローブ長が適切である。プローブ分子の一部のみが、検出する核酸配列に相補的である必要がある。さらにプローブと標的配列との間の相補性は完璧でなくても良い。ハイブリダイゼーションは不完全に相補的な分子間でも生じ、その結果、ハイブリダイズした領域内の特定の塩基の一部は、適切な相補的塩基と対合形成しない。
ハイブリダイゼーション法は良く定義されている。典型的には、プローブおよびサンプルは、核酸ハイブリダイゼーションを可能にする条件下で混合されなくてはならない。これは適切な濃度および温度条件下において、無機または有機塩存在下で、プローブとサンプルを接触させることを伴う。プローブとサンプル核酸の間であらゆる可能なハイブリダイゼーションが起きるように、プローブおよびサンプル核酸は、十分長い時間接触しなくてはならない。混合物中のプローブまたは標的濃度が、ハイブリダイゼーションが生じるのに必要な時間を決定する。プローブまたは標的濃度が高いほど、必要なハイブリダイゼーションインキュベーション時間は短くなる。場合により、カオトロピック剤を添加しても良い。カオトロピック剤は、ヌクレアーゼ活性を阻害することによって核酸を安定化させる。さらにカオトロピック剤は、室温において短いオリゴヌクレオチドプローブの高感応性でストリンジェントなハイブリダイゼーションを可能にする(ヴァン・ネス(Van Ness)およびチェン(Chen)Nucl.Acids Res.19:5143〜5151(1991))。適切なカオトロピック剤としては、特に塩化グアニジニウム、グアニジニウムチオシアネート、ナトリウムチオシアネート、リチウムテトラクロロ酢酸、過塩素酸ナトリウム、ルビジウムテトラクロロ酢酸、ヨウ化カリウム、およびセシウムトリフルオロ酢酸が挙げられる。典型的にカオトロピック剤は、約3Mの最終濃度で存在する。所望するならば、ハイブリダイゼーション混合物にホルムアミドを典型的に30〜50%(v/v)で添加できる。
様々なハイブリダイゼーション溶液を用いることができる。典型的にこれらは、約20〜60%、好ましくは30%容積の極性有機溶剤を含んでなる。一般的なハイブリダイゼーション溶液では、約30〜50%v/vのホルムアミド、約0.15〜1Mの塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、トリス−HCl、PIPESまたはHEPESなどの約0.05〜0.1Mの緩衝液(pH範囲約6〜9)、ドデシル硫酸ナトリウムなどの約0.05〜0.2%の界面活性剤、または0.5〜20mMのEDTA、ファーマシア(Pharmacia Inc.)からのFICOLL(約300〜500キロダルトン)、ポリビニルピロリドン(約250〜500kD)、および血清アルブミンを用いる。また典型的なハイブリダイゼーション溶液には、約0.1〜5mg/mLの未標識のキャリア核酸、仔ウシ胸腺またはサケ***DNA、または酵母RNAなどの断片化核DNA、および場合により約0.5〜2%重量/容積のグリシンも含まれる。ポリエチレングリコールなどの多様な極性水溶性剤または膨潤剤をはじめとする容積排除剤、例えばポリアクリレートまたはポリメチルアクリレートなどのアニオン性ポリマー、および硫酸デキストランなどのアニオン性糖ポリマーなどその他の添加剤を含めても良い。
核酸ハイブリダイゼーションは多様なアッセイ型式に適合できる。最も適切なものの1つは、サンドイッチアッセイ型式である。サンドイッチアッセイは、特に非変性条件下でのハイブリダイゼーションに適合できる。サンドイッチ−タイプアッセイの主要構成要素は固形担体である。固形担体はそれに吸着され、あるいはそれと共有結合的に結合する、未標識で配列の一部分と相補的な固定核酸プローブを有する。
本ヌクレオチドおよび推定されるアミノ酸配列の利用可能性は、DNA発現ライブラリーの免疫学的スクリーニングを容易にする。本アミノ酸配列の一部を代表する合成ペプチドを合成しても良い。これらのペプチドを用して、動物を免疫し、アミノ酸配列を含んでなるペプチドまたはタンパク質に対して特異性があるポリクローナルまたはモノクローナル抗体を生成できる。次にこれらの抗体を使用して、DNA発現ライブラリーをスクリーニングし、関心のある完全長DNAクローンを単離する(ラーナー(Lerner)R.A.、Adv.Immunol.36:1(1984)、マニアティス(Maniatis)、前出)。
カロテノイド生成に関与する遺伝子
カロテノイドの生合成に関与する酵素経路は、ピルビン酸およびグリセルアルデヒド−3−リン酸からファルネシルピロリン酸(FPP)への転換を提供する上流イソプレノイド経路、およびフィトエンの合成と、全ての引き続いて生成されるカロテノイドを提供する下流カロテノイド生合成経路の2つの部分に都合良く分けることができる。上流経路は多くの非カロテノイド産生性微生物に遍在性であり、これらの場合、所望のカロテノイド生合成のための下流経路を含んでなる遺伝子を導入することだけが必要である。2つの経路間の主要な区分は、ファルネシルピロリン酸塩の合成に関わる。FPPが天然に存在する場合、下流カロテノイド経路の要素のみが必要である。しかしカロテノイド生成において下流経路カロテノイド遺伝子が効果的であるためには、宿主細胞が細胞内に適切なレベルのFPPを有することが必要なことが理解される。別の実施態様では、イソプレノイド生合成遺伝子を任意にアップレギュレートされて、利用できるカロテノイド生合成のFPPのレベルが増大されてもよい。FPP合成が宿主細胞によって提供されない場合、FPPの生成に必要な遺伝子を導入することが必要である。これらの各経路について下で詳細に述べる。
上流イソプレノイド経路
イソプレノイド生合成は、一般的なCイソプレンサブユニットであるイソペンテニルピロリン酸塩(IPP)を生じる2つの経路のどちらかを通じて起きる。最初に良く知られている酢酸/メバロン酸経路を通じてIPPを合成しても良い。しかし最近の研究は、メバロン酸依存経路が全ての生物で作動しているわけではないことを実証している。IPP生合成のための代案のメバロン酸非依存経路が、細菌および緑藻類および高等植物で特性決定されている(ホルバック(Horbach)ら、FEMS Microbiol.Lett.111:135〜140(1993);ローマー(Rohmer)ら、Biochem.295:517〜524(1993);シュベンダー(Schwender)ら、Biochem.316:73〜80(1996);およびアイゼンライヒ(Eisenreich)ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA93:6431〜6436(1996))。
メバロン酸非依存イソプレノイド経路中の多くのステップが知られている。例えばIPPの生成をもたらす代案の経路の最初のステップは、コール(Cole)ら(Nature 393:537〜544(1998))によって結核菌(Mycobacterium tuberculosis)において研究されている。経路の第1のステップは、D−1−デオキシキシルロース−5−リン酸として知られている五炭素化合物を生じる、2つの三炭素分子(ピルビン酸およびD−グリセルアルデヒド3−リン酸)の縮合を伴う。この反応はdxs遺伝子によってコードされるDXS酵素によって起きる。次にD−1−デオキシキシルロース−5−リン酸の異性化および還元から、2−C−メチル−D−エリスリトール−4−リン酸が生じる。異性化および還元プロセスに関与する酵素の1つは、遺伝子dxrによってコードされるD−1−デオキシキシルロース−5−リン酸レダクトイソメラーゼ(DXR)(ispCとしても知られている)である。2−C−メチル−D−エリスリトール−4−リン酸を引き続いて、注釈なしの遺伝子ygbPでコードされる酵素によって、CTP−依存反応において4−ジホスホシチジル−2C−メチル−D−エリスリトールに転換する。しかし最近ygbP遺伝子は、isp遺伝子クラスターの一部としてispDと改名された(SwissProtein登録番号Q46893)。
次にychB遺伝子によってコードされる酵素によって、4−ジホスホシチジル−2C−メチル−D−エリスリトールの第2位のヒドロキシ基をATP−依存反応においてリン酸化できる。YchBは4−ジホスホシチジル−2C−メチル−D−エリスリトールをリン酸化して、4−ジホスホシチジル−2C−メチル−D−エリスリトール2−リン酸が得られる。ychB遺伝子もまたisp遺伝子クラスターの一部としてispEと改名された(SwissProtein登録番号P24209)。YchBはCTP−依存様式で、4−ジホスホシチジル−2C−メチル−D−エリスリトール2−リン酸を2C−メチル−D−エリスリトール2,4−シクロ二リン酸に転換する。この遺伝子もまた最近ispF(SwissProtein登録番号P36663)と改名されている。
gcpE(ispGとしても知られている)およびlytB(ispHとしても知られている)(およびおそらくはその他の)遺伝子によってコードされる酵素はイソペンテニルピロリン酸(IPP)およびジメチルアリルピロリン酸(DMAPP)の形成をもたらす反応に関与すると考えられる。IPPは、idi遺伝子によってコードされるIPPイソメラーゼを通じてDMAPPに異性化しても良い。しかしこの酵素は生存には必須ではなく、2−C−メチル−D−エリスリトール4−リン酸(MEP)経路を使用するいくつかの細菌では不在でも良い。最近の証拠はMEP経路がIPPの前に分岐して、lytB遺伝子産物を通じてIPPとDMAPPを別個に生成することを示唆する。lytBノックアウト変異は、IPPおよびDMAPPの双方を補った培地中以外では、大腸菌に対して致死性である。
FPPの合成は、IPPのジメチルアリルピロリン酸への異性化を通じて起きる。この反応に、ispAによって触媒される2つのプレニル転移酵素反応手順が続き、ゲラニルピロリン酸(GPP、炭素数10の分子)およびファルネシルピロリン酸(FPP、炭素数15の分子)の生成をもたらす。
上流経路の要素をコードする遺伝子は、表1に示すように多様な植物、動物、および細菌源から知られている。
Figure 0005647758
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下流カロテノイド生合成経路
上流イソプレノイド経路と下流カロテノイド経路の間の区分は、いくぶん主観的である。FPP合成はカロテン産生性および非カロテン産生性細菌の双方において一般的であるので、下流カロテノイド生合成経路中の第1のステップは、ファルネシルピロリン酸(FPP)をゲラニルゲラニルピロリン酸(GGPP)に転換する、プレニル転移酵素反応によって開始すると考えられる。GGPP合成酵素をコードする遺伝子crtEは、IPPをFPPに付加して炭素数20の分子であるGGPPを生成するこのプレニル転移酵素反応に関与する。2つのGGPP分子の縮合反応が起きて、下流カロテノイド生合成経路における第1の炭素数40の分子であるフィトエン(PPPP)が形成する。この酵素的反応は、フィトエンシンターゼをコードするcrtBによって触媒される。
「赤」色のスペクトルを与えるリコペンは、遺伝子crtI(フィトエンデサチュラーゼをコードする)によって触媒される8個の水素原子の除去によって、4回の逐次脱水素化反応を通じてフィトエンから生成する。この反応の中間体は、フィトフルエン、ζ−カロテン、およびニューロスポレンである。
リコペン環化酵素(crtY)リコペンをβ−カロテンに転換する。本発明では、遺伝的最終生成物としてβ−カロテンを生成するレポータープラスミドが使用される。しかし追加的遺伝子を使用して、多様なその他のカロテノイドを作り出してもよい。例えばβ−カロテンは、β−カロテン水酸化酵素(crtZ遺伝子によってコードされる)の活性がもたらす水酸化反応を通じて、ゼアキサンチンに転換される。β−クリプトキサンチンはこの反応の中間体である。
β−カロテンは、crtWまたはcrtO遺伝子のどちらかによってコードされるβ−カロテンケトラーゼによって、カンタキサンチンに転換される。エキネノンはこの反応の中間体である。次にカンタキサンチンは、crtZまたはcrtR遺伝子によってコードされるβ−カロテン水酸化酵素によってアスタキサンチンに転換できる。アドンビルブリンはこの反応の中間体である。
ゼアキサンチンは、ゼアキサンチン−β−ジグルコシドに転換できる。この反応はゼアキサンチングルコシル転移酵素(crtX)によって触媒される。
下流カロテノイド生合成経路の要素をコードする遺伝子は、表2に示すように多様な植物、動物、および細菌源から知られている。
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好ましい非crtWカロテノイド遺伝子供給源は、パントエア・スティワルティ(Pantoea stewartii)(ATCC8199;国際公開第02/079395号パンフレット)、腸内細菌科(Enterobactericeae)DC260(米国特許出願第10/808979号明細書)、およびパントエア・アグロメランス(Pantoea agglomerans)DC404(米国特許出願第10/808807号明細書)である。好ましいcrtW遺伝子供給源は、スフィンゴモナス・メロニス(Sphingomonas melonis)DC18(配列番号1)、ブレバンジモナス・ベシキュラリス(Brevundimonas vesicularis)DC263(配列番号3)、およびフラボバクテリウム(Flavobacterium)種K1−202C(配列番号5)である。
宿主生物中で十分なFPP源が利用できれば、本発明の方法を使用して、表2に示す遺伝子と、本発明の好ましいcrtW遺伝子との様々な組み合わせを使用することで、多数の異なるカロテノイドおよびカロテノイド誘導体を作ることができる。例えば遺伝子クラスターcrtEXYIBは、β−カロテンの生成を可能にする。crtEXYIBへのcrtW遺伝子の添加は、カンタキサンチンの生成を可能にする。
本発明の有用な生成物は、アンテラキサンチン、アドニキサンチン、アスタキサンチン、カンタキサンチン、β−クリプトキサンチン、ケト−γ−カロテン、エキネノン、3−ヒドロキシエキネノン、3’−ヒドロキシエキネノン、およびC30−ケトカロテノイドをはじめとするが、これに限定されるものではない、ここで定義されるようなあらゆるケトカロテノイド化合物を含むことが想定された。
組換え発現−微生物
本配列の遺伝子および遺伝子産物は、異種の宿主細胞中、特に微生物宿主の細胞中で生成されてもよい。組換え微生物宿主中での発現は、様々な経路中間体の発現のため、宿主中に既存の経路の調節のため、またはこれまで宿主を使用して可能でなかった新しい生成物の合成のために有用かもしれない。
本遺伝子および核酸断片の発現のために好ましい異種宿主細胞は、真菌または細菌系統群中に広く見られ、広範な温度、pH価、および溶剤耐性で生育する微生物宿主である。例えばあらゆる細菌、酵母菌、および糸状菌が、本核酸断片の発現のための適切な宿主であることが考察された。転写、翻訳およびタンパク質生合成器官は、それぞれの細胞供給原料に関係なく同一であるので、細胞バイオマスを生成するのに使用される炭素供給材料に関係なく、機能性遺伝子が発現される。大規模微生物生育させるおよび機能遺伝子発現は、広範な単純または複合炭水化物、有機酸およびアルコール、光合成または化学的自己栄養宿主の場合は、メタンまたは二酸化炭素などの飽和炭化水素を利用しても良い。しかし機能遺伝子は、窒素、亜リン酸、イオウ、酸素、炭素、または小型無機イオンをはじめとするあらゆる微量栄養素の形態および量をはじめとする特定の生育させる条件によって、制御され、阻止され、または抑圧されても良い。さらに機能遺伝子の制御は、培養に添加される典型的に栄養素またはエネルギー源とは見なされない、特定の制御分子の存在または不在によって達成されても良い。生育させる速度もまた、遺伝子発現における重要な制御因子であっても良い。宿主株の例としては、アスペルギルス(Aspergillus)、トリコデルマ(Trichoderma)、サッカロミセス(Saccharomyces)、ピチア(Pichia)、カンジダ(Candida)、ハンゼヌラ(Hansenula)などの細菌、真菌または酵母種、またはサルモネラ(Salmonella)、バシラス(Bacillus)、アシネトバクター(Acinetobacter)、ザイモモナス(Zymomonas)、アグロバクテリウム(Agrobacterium)、エリスロバクター(Erythrobacter)、クロロビウム(Chlorobium)、クロマチウム(Chromatium)、フラボバクテリウム(Flavobacterium)、サイトファーガ(Cytophaga)、ロドバクター(Rhodobacter)、ロドコッカス(Rhodococcus)、ストレプトマイセス(Streptomyces)、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)、コリネバクテリア(Corynebacteria)、マイコバクテリウム(Mycobacterium)、デイノコッカス(Deinococcus)、エシェリヒア(Escherichia)、エルウィニア(Erwinia)、パントエア(Pantoea)、シュードモナス(Pseudomonas)、スフィンゴモナス(Sphingomonas)、メチロモナス(Methylomonas)、メチロバクター(Methylobacter)、メチロコッカス(Methylococcus)、メチロジーナス(Methylosinus)、メチロミクロビウム(Methylomicrobium)、メチロシスティス(Methylocystis)、アルカリゲネス(Alcaligenes)、シネコシスティス(Synechocystis)、シネココッカス(Synechococcus)、アナベナ(Anabaena)、チオバシラス(Thiobacillus)、メタノバクテリウム(Methanobacterium)、クレブシエラ(Klebsiella)、およびミクソコッカス(Myxococcus)などの細菌種が挙げられるが、これに限定されるものではない。一実施態様では、適切な細菌宿主株として、エシェリヒア(Escherichia)、バシラス(Bacillus)、およびメチロモナス(Methylomonas)が挙げられる。
外来性タンパクの高レベル発現を導く調節配列を含有する微生物発現システムおよび発現ベクターは、当業者には周知である。本ケトラーゼの発現のために、これらのいずれでも使用してキメラ遺伝子を構築できる。次に形質転換を通じて、これらキメラ遺伝子を適切な微生物に導入し、酵素の高レベル発現を提供できる。
したがって適切なプロモーター制御下にある本細菌酵素をコードするキメラ遺伝子の導入が、増大または改変された環状ケトカロテノイド生成を実証することが期待される。本遺伝子を天然宿主細胞、ならびに異種の宿主の双方において発現することが有用であることが考察された。本crtW遺伝子の天然宿主中への導入は、既存のケトカロテノイドの改変されたレベルの生成をもたらす。さらに本遺伝子はまた、既存のカロテノイド経路が操作されていてもよい非天然宿主細菌中に導入しても良い。
本発明によって生成される具体的なケトカロテノイドとしては、カンタキサンチン、アスタキサンチン、アドニキサンチン、アドニルビン、エキネノン、3−ヒドロキシエキネノン、3’−ヒドロキシエキネノン、4−ケト−γ−カロテン、4−ケト−ルビキサンチン、4−ケト−トルレン、3−ヒドロキシ−4−ケト−トルレン、デオキシフレキシキサンチン、およびミキソバクトンが挙げられるが、これに限定されるものではない。特に関心が高いのは、その合成が図1で示されるアスタキサンチンおよびカンタキサンチンの生成である。本CrtW酵素のための特異的基質は、環状カロテノイドである。環状カロテノイドは技術分野でよく知られており、市販されている。本発明で好ましいのは、β−カロテン、γ−カロテン、ゼアキサンチン、β−クリプトキサンチン、3’−ヒドロキシエキネノン、ルビキサンチン、エキネノン、およびトルレンをはじめとするが、これに限定されるものではないCrtWケトラーゼ基質である。
適切な宿主細胞の形質転換のために有用なベクターまたはカセットは、技術分野で周知である。典型的にベクターまたはカセットは、関連性のある遺伝子の転写および翻訳を導く配列、選択可能マーカー、および自律的複製または染色体組み込みができるようにする配列を含有する。適切なベクターは、転写イニシエーション制御を含む遺伝子の5’領域、および転写終結を制御するDNA断片の3’領域を含んでなる。双方の制御領域が、形質転換宿主細胞に相同的な遺伝子から誘導されることが最も好ましいが、このような制御領域は、必ずしも産生宿主として選択された特定種に固有の遺伝子から誘導されなくて良いものと理解される。
所望の宿主細胞において本ORFの発現を駆動させるのに有用なイニシエーション調節領域、またはプロモーターは多数有り、当業者には良く知られている。実質的にこれらの遺伝子を駆動できる、以下をはじめとするが、これに限定されるものではないあらゆるプロモーターが、本発明において適切である。CYC1、HIS3、GAL1、GAL10、ADH1、PGK、PHO5、GAPDH、ADC1、TRP1、URA3、LEU2、ENO、TPI(サッカロミセス(Saccharomyces)における発現に有用)、AOX1(ピチア(Pichia)における発現に有用)、およびlac、ara、tet、trp、lP、lP、T7、tac、およびtrc(大腸菌(Escherichia coli)における発現に有用)、ならびに例えばバシラス(Bacillus)における発現に有用なamy、apr、nprプロモーター、および様々なファージプロモーター、およびメチロモナス(Methylomonas)(米国特許出願第10/689200号明細書)における発現に有用な、nrtA、glnB、moxF、glyoxII、htpG、およびhps遺伝子から単離されたプロモーター。さらにクロラムフェニコール抵抗性遺伝子プロモーターなどのプロモーターもまた、メチロモナス(Methylomonas)中での発現において有用かもしれない。
終結制御領域はまた、好ましい宿主に固有の様々な遺伝子から誘導されても良い。場合により、終結部位は必要ないかもしれないが、含まれることが最も好ましい。
本遺伝子の配列の知識は、このような経路を有するあらゆる生物中で、特にメチロモナス(Methylomonas)種16aおよび大腸菌中でカロテノイド生合成経路を操作する上で有用である。遺伝的経路を操作する方法は一般的であり、技術分野でよく知られている。特定の経路中で選択された遺伝子は、種々の方法によってアップレギュレートまたはダウンレギュレートされてもよい。さらに競合経路生物は、遺伝子中断および類似した技術によって除外または昇華してもよい。
ひとたび重要な遺伝的経路が同定および配列決定されると、特定の遺伝子をアップレギュレートして経路の産出量を増大できる。例えばpBR322などのマルチコピープラスミド上で、標的遺伝子の追加的コピーを宿主細胞に導入しても良い。代案としては、非天然プロモーターの調節の下におかれるように標的遺伝子を変性しても良い。経路が、細胞サイクル中または発酵生産中の特定点で作動することが所望される場合、制御されたまたは誘導性プロモーターを使用して、標的遺伝子の天然プロモーターを置き換えても良い。同様に場合によっては、天然または内在性プロモーターを変性させて、遺伝子発現を増大させても良い。例えば内在性プロモーターは、生体内で(in vivo)突然変異、欠失、および/または置換によって変性できる(クミーク(Kmiec)の米国特許第5,565,350号明細書、ザーリング(Zarling)らのPCT/US93/03868号明細書を参照されたい)。
代案としては、標的経路、またはエネルギーまたは炭素の競合シンクとして役割を果たすかもしれない競合経路における特定の遺伝子の発現を低下させるまたは除外することが必要かもしれない。この目的で遺伝子をダウンレギュレートする方法が探求された。中断する遺伝子配列が知られている場合、遺伝子ダウンレギュレートの最も効果的な方法の1つは、外来性DNAを構造的な遺伝子に挿入して転写を中断する、標的を定めた遺伝子中断である。これは、中断する遺伝子の一部に対して高度な相同性を有する配列で両脇を挟まれた、挿入するDNA(遺伝子マーカーであることが多い)を含んでなる遺伝子カセットの製造によってもたらされる。カセットの宿主細胞への導入は、細胞の天然DNA複製機序を通じた、構造的遺伝子への外来性DNAの挿入をもたらす。(例えばハミルトン(Hamilton)ら、J.Bacteriol.171:4617〜4622(1989);バルバス(Balbas)ら、Gene、136:211〜213(1993);ゲルデナー(Gueldener)ら、Nucleic Acid Res.24:2519〜2524(1996);およびスミス(Smith)ら、Methods Mol.Cell.Biol.5:270〜277(1996)参照)。
アンチセンス技術は、標的遺伝子配列が知られている場合に遺伝子をダウンレギュレートする別の方法である。これを達成するために、所望の遺伝子からの核酸セグメントをクローン化して、RNAのアンチセンス鎖が転写されるようにプロモーターに作動可能に連結する。次にこのコンストラクトを宿主細胞に導入し、RNAのアンチセンス鎖を生成する。アンチセンスRNAは、関心のあるタンパク質をコードするmRNAの蓄積を防止することで、遺伝子発現を阻害する。当業者は、特定の遺伝子の発現を低下させるために、特別な考察がアンチセンス技術の使用に関わることを理解する。例えば、アンチセンス遺伝子の適切な発現レベルは、当業者に知られている異なる調節因子を使用した、異なるキメラ遺伝子の使用を必要とするかもしれない。
配列が知られている場合、標的を定めた遺伝子中断およびアンチセンス技術が遺伝子をダウンレギュレートする効果的手段を提供するが、配列ベースではないその他のより特異性が低い方法が開発されている。例えば細胞をUV放射線暴露して、次に所望の表現型についてスクリーンしても良い。変異体を作り出すために、化学薬品による変異誘発もまた効果的であり、一般に使用される物質としては、HNOおよびNHOHなどの非複製DNAに影響する化学物質、ならびにフレームシフト変異を引き起こすことで注目に値するアクリジン染料などの複製DNAに影響する薬剤が挙げられる。放射線または化学薬品を使用して変異体を作り出す特定の方法は、技術分野で良く文書化されている。例えばトーマスD.ブロック(Thomas D.Brock)著「バイオテクノロジー:工業微生物学テキストブック(Biotechnology:A Textbook of Industrial Microbiology)第二版(1989)Sinauer Associates,Inc.、Sunderland、MA、またはデシュパンデ,ムカンド(Deshpande,Mukund)V.、Appl.Biochem.Biotechnol.、36、227(1992)を参照されたい。
別の非特異的遺伝子中断方法は、転移因子またはトランスポゾンの使用である。トランスポゾンは、DNAに無作為に挿入される遺伝的因子であるが、後で配列に基づいて検索して、挿入がどこで起きたのか判定できる。生体内(in vivo)および生体外(in vitro)転位法の双方が知られている。どちらの方法にもトランスポザーゼ酵素と組み合わされた転移因子の使用が関与する。転移因子またはトランスポゾンがトランスポザーゼ存在下で核酸断片に接触すると、転移因子が核酸断片中に無作為に挿入される。中断された遺伝子は転移因子配列に基づいて同定されても良いので、技術は、ランダム変異誘発のため、そして遺伝子単離のために有用である。生体外(in vitro)転位のためのキットは市販される(例えばニュージャージー州ブランチバーグのパーキン・エルマー・アプライド・バイオシステムズ(Perkin Elmer Applied Biosystems(Branchburg、NJ))から入手できる酵母菌Ty1因子に基づく、プライマー・アイランド転位キット(Primer Island Transposition Kit)、マサチューセッツ州のニュー・イングランド・バイオ・ラブズ(New England Biolabs、(Beverly、MA))から入手できる細菌性トランスポゾンTn7に基づくゲノム・プライミング・システム(Genome Priming System)、およびウィスコンシン州マディソンのエピセンター・テクノロジーズ(Epicentre Technologies(Madison、WI))から入手できる、Tn5細菌性転移因子に基づくEZ::TNトランスポゾン挿入システムを参照されたい。)
微生物宿主としてのメチロトローフおよびメチロモナス(Methylomonas)種16a
組換え微生物源からいくつかのカロテノイドが生成されている[例えばリコペン生成のための大腸菌およびカンジダ・ユチリス(Candida utilis)(ファーマー(Farmer)W.R.およびJ.C.リヤオ(Liao)、Biotechnol.Prog.17:57〜61(2001);ワング(Wang)C.ら、Biotechnol Prog.16:922〜926(2000);ミサワ(Misawa)N.およびH.シマダ(Shimada)、J.Biotechnol.59:169〜181(1998);シマダ(Shimada)H.ら、Appl.Environm.Microbiol.64:2676〜2680(1998));β−カロテン生成のための大腸菌、カンジダ・ユチリス(Candida utilis)、およびパフィア・ロドジマ(Pfaffia rhodozyma)(アルブレヒト(Albrecht)M.ら、Biotechnol.Lett.21:791〜795(1999);ミウラ(Miura)Y.ら、Appl.Environm.Microbiol.64:1226〜1229(1998);米国特許第5,691,190号明細書);ゼアキサンチン生成のための大腸菌およびカンジダ・ユチリス(Candida utilis)(アルブレヒト(Albrecht)M.ら、前出;ミウラ(Miura)Y.ら、前出);アスタキサンチン生成のための大腸菌およびパフィア・ロドジマ(Pfaffia rhodozyma)(米国特許第5,466,599号明細書、米国特許第6,015,684号明細書、米国特許第5,182,208号明細書、米国特許第5,972,642号明細書;米国特許第5,656,472号明細書、米国特許第5,545,816号明細書、米国特許第5,530,189号明細書、米国特許第5,530,188号明細書、米国特許第5,429,939、および米国特許第6,124,113号明細書もまた参照されたい)]が、異なるcrt遺伝子の様々な組み合わせを使用したこれらのカロテノイド生成法には、低い収率と比較的高価な供給材料への依存という欠点がある。したがって微生物宿主中で安価な供給材料から、高収率のカロテノイドを製造する方法を同定することが望ましい。
単一エネルギー源として単一炭素基質を利用する、いくつかの微生物がある。このような微生物はここで「C1代謝個体」と称される。これらの生物は、単一エネルギーおよびバイオマス源として炭素−炭素結合が欠如している炭素基質を使用する能力によって特徴付けられる。これらの炭素基質としては、メタン、メタノール、ホルメート、ホルムアルデヒド、ギ酸、メチル化アミン(例えば、モノ−、ジ−、およびトリ−メチルアミン)、メチル化チオール、二酸化炭素、およびその他の様々なあらゆる炭素−炭素結合が欠如している還元炭素化合物が挙げられるが、これに限定されるものではない。一実施態様では、単一炭素基質はメタンおよびメタノールよりなる群から選択される。全てのC1代謝性微生物は、概してメチロトローフとして分類される。メチロトローフは、炭素−炭素結合を含有しない有機化合物を酸化できるあらゆる生物として定義されても良い。しかし通性メチロトローフ、絶対メチロトローフ、絶対メタノトローフは、全てメチロトローフの様々なサブセットである。具体的には次のようである。
・通性メチロトローフは、炭素−炭素結合を含有しない有機化合物を酸化する能力を有するが、エネルギーおよびバイオマスのために、糖および複合炭水化物などのその他の炭素基質を使用しても良い。通性メチロトローフ細菌は多くの環境中に見られるが、最も一般には土壌、ごみ埋め立て、および廃棄物処理場から単離される。多くの通性メチロトローフは、プロテオバクテリア(Proteobacteria)のβおよびγ亜群のメンバーである(ハンソン(Hanson)ら、Microb.Growth C1 Compounds[国際シンポジウム]第7回(1993)、p285〜302、マレルJ.コリン(Murrell J.Collin)およびドンP.ケリー(DonP.Kelly)編、Intercept:Andover、UK;マディガン(Madigan)ら、ブロックの微生物生物学(Brock Biology of Microorganisms)、第8版、Prentice Hall:Upper Saddle River、NJ(1997))。
・絶対メチロトローフは、エネルギー生成が、炭素−炭素結合を含有しない有機化合物の使用に限定された生物である。
・絶対メタノトローフは、メタンを酸化する特徴的能力を有する絶対メチロトローフである。
さらに単一炭素基質を利用する能力は細菌に限定されず、酵母菌および真菌にも及ぶ。いくつかの酵母菌属は、エネルギー源としてより複雑な材料に加えて単一炭素基質を使用できる(すなわちメチロトローフ酵母菌)。
数多くのこれらのメチロトローフ生物が知られているが、これらの微生物のわずかなものだけが材料合成のための工業プロセスにおいて成功裏に利用されている。そして単一炭素基質は対費用効果の高いエネルギー源であるが、これらの微生物の遺伝子操作における困難さ、ならびにそれらの遺伝的機構に関する情報不足が、主に天然生成物合成のためのそれらの使用を制限している。
これらの困難さにもかかわらず、多くのメタノトローフはこれらの生物が色素を合成できるようにする固有のイソプレノイド経路を含有し、様々な非内在性イソプレノイド化合物を生成するために、これらの微生物を遺伝子操作する構想の可能性を提供する。メタノトローフは単一炭素基質(すなわちメタンおよび/またははメタノール)をエネルギー源として使用できるので、これらの生物においてカロテノイドを安価に生成することが可能であろう。メタノトローフがβ−カロテン生成のために遺伝子操作される実施例の1つは、参照によってここに援用する米国特許出願第09/941947号明細書で述べられる。
単一炭素基質を唯一のエネルギー源として使用できる微生物における、カロテノイド化合物生合成に関与する遺伝子発現のための方法が提供される。宿主微生物は、カロテノイドのための代謝前駆物質として、ファルネシルピロリン酸(FPP)を合成する能力を有するあらゆるC1代謝個体であっても良い。より具体的には、本発明で適切な通性メチロトローフ細菌としては、メチロフィラス(Methylophilus)、メチロバシラス(Methylobacillus)、メチロバクテリウム(Methylobacterium)、ヒフォミクロビウム(Hyphomicrobium)、キサントバクター(Xanthobacter)、バシラス(Bacillus)、パラコッカス(Paracoccus)、ノカルジア(Nocardia)、アルスロバクター(Arthrobacter)、ロドシュードモナス(Rhodopseudomonas)、およびシュードモナス(Pseudomonas)が挙げられるが、これに限定されるものではない。本発明で有用な具体的なメチロトローフ酵母菌としては、カンジダ(Candida)、ハンゼヌラ(Hansenula)、ピチア(Pichia)、トルロプシス(Torulopsis)、およびロドトルラ(Rhodotorula)が挙げられるが、これに限定されるものではない。例示的なメタノトローフとしては、メチロモナス(Methylomonas)、メチロバクター(Methylobacter)、メチロコッカス(Methylococcus)、メチロジーナス(Methylosinus)、メチロシクティス(Methylocyctis)、メチロミクロビウム(Methylomicrobium)、およびメタノモナス(Methanomonas)属が挙げられるが、これに限定されるものではない。
本発明で特に興味深いのは、エネルギー的に好ましい炭素流経路を有する高生育させる絶対メタノトローフである。例えばメタノトローフの特定の株は、いくつかの経路特性を有し、それを炭素流束操作のために特に有用なものにする。この株はメチロモナス(Methylomonas)種16a(ATCCPTA2402)(米国特許第6,689,601号明細書)として知られており、この特定の株およびその他の近縁メチロトローフは、C40カロテノイド生成に有用な本発明の遺伝子産物発現のための好ましい微生物宿主である。
メチロモナス(Methylomonas)種16aの最適化されたバージョンが作りされ、メチロモナス(Methylomonas)種16a MWM1200(米国特許出願第60/527083号明細書)と称された。内在性C30カロテノイド経路がノックアウトされ(Δcrtクラスタープロモーター+ΔcrtN3)、C40カロテノイド発現のための最適化されたプラットフォームが作り出された。内在性crtクラスター(crtN1−ald−crtN2クラスター)の発現に関与するプロモーターの欠失は、無着色株(天然に生成するC30カロテノイドのために通常ではピンク色の野生型株)をもたらした。この最適化された宿主内のC40カロテノイド生合成遺伝子発現は、所望のC40カロテノイドの増大する生成を可能にした。
C1代謝性細菌の形質転換
C1代謝性細菌形質の転換技術は十分開発されていないが、当業者に良く知られているその他の細菌のために用いられる一般方法を応用しても良い。メチロバクテリウム・エキストロクエン(Methylobacterium extorquens)AM1(トヤマ(Toyama)H.ら、FEMS Microbiol.Lett.166:1〜7(1998))、メチロフィラス・メチロトロファス(Methylophilus methylotrophus)AS1(キム(Kim)C.S.およびT.K.ウッド(Wood)、Appl.Microbiol.Biotechnol.48:105〜108(1997))、およびメチロバシラス(Methylobacillus)種株12S(ヨシダ(Yoshida)T.ら、Biotechnol.Lett.、23:787〜791(2001))の形質転換のために、電気穿孔が成功裏に使用されている。しかし当業者には良く知られているように、1つの特定のC1代謝性利用生物から別の生物への具体的電気穿孔パラメーターの推定は、困難かもしれない。
供与細胞と受容細胞の直接接触に依存する細菌接合は、C1代謝性細菌中への遺伝子の転位のために、より容易に受け入れられることが多い。簡単に述べると、この細菌接合プロセスは、「供与」細胞と「受容」細胞を互いに密接に接触させて一緒に混合することを伴う。接合は、新たに合成された供与DNAの受容細胞中への直接転位を伴う、「供与」細菌と「受容」細菌間の細胞質連絡の形成によって起きる。技術分野で良く知られているように、接合の受容体は、供与細菌からの水平転位を通じてDNAを受容できるあらゆる細胞として定義される。接合転位中の供与体は、接合プラスミド、接合トランスポゾン、または可動性プラスミドを含有する細菌である。供与体プラスミドの物理的転位は、下で述べられる2つの様式の1つによって起きることができる。
1.場合によっては、供与体と受容体のみが接合にとって必要とされる。これは転位されるプラスミドが接合性かつ可動性である自己伝播性のプラスミドの場合(すなわちtra−遺伝子と、Mobタンパク質をコードする遺伝子の双方を保有する)に起きる。一般にプロセスは、1.)oriT中の特定部位で二本鎖プラスミドDNAにニックが入れられ、2.)細孔構造または繊毛構造を通じて、一本鎖DNAが受容体に放出され、3.)DNAリラクセース酵素が二本鎖DNAをoriTで開裂して結合し、5’末端を放出し(中間体構造としてリラクソゾームを形成する)、そして4.)引き続いて、補助タンパク質の複合体がoriTでアセンブルして、DNA転位プロセスを容易にする、ことを伴う。
2.代案としては、供与体プラスミドの受容体への転位のために「三親交雑」接合が必要とされる。このタイプの接合には、供与細胞、受容細胞、および「ヘルパー」プラスミドが関与する。供与細胞は、可動性プラスミドまたは接合トランスポゾンを保有する。可動性ベクターは、ニッケースをコードする遺伝子であるoriTを含有し、Mobタンパク質をコードする遺伝子を有する。しかしMobタンパク質は、単独ではゲノムの転位達成するのに十分でない。したがって可動性プラスミドは、ヘルパープラスミド(供与体内または「ヘルパー」細胞内に位置する)によって適切な接合システムが提供されない限り、それら自身の転位を促進できない。プラスミドは、細孔または繊毛の形成に関与する転位タンパク質(Tra)をコードするので、接合プラスミドは噛合対の形成およびDNA転位のために必要とされる。
C1代謝性細菌が関与する成功裏の接合の例としては、ストリアー(Stolyar)ら(Mikrobiologiya64(5):686〜691(1995));モトヤマ(Motoyama),H.ら(Appl.Micro.Biotech.42(1):67〜72(1994));ロイド(Lloyd),J.S.ら(Archives of Microbiology 171(6):364−370(1999));およびオドム(Odom),J.M.ら(米国特許出願第09/941947号明細書)の研究が挙げられる。
工業生産
本crtW遺伝子を使用した環状ケトカロテノイド化合物の商業的生産が所望される場合、多様な培養方法を応用してもよい。例えば、組換え微生物宿主から過剰発現する特定の遺伝子産物の大規模生産は、バッチおよび連続の培養方法の双方で生産してもよい。
古典的なバッチ培養法は閉鎖システムであり、そこでは培地の組成が発酵の最初に設定され、培養プロセス中の人為的変化を受けない。したがって培養プロセス開始時に培地に所望の生物または生物群を接種し、生育させるまたは代謝活動を生じさせながらシステムには何も添加しない。しかし典型的には「バッチ」培養は、炭素源の添加に関するバッチであり、pHおよび酸素濃度などの因子の調節が試みられることが多い。バッチシステムでは、システムの代謝産物および生物質量組成は、培養が終結する時点まで常に変化する。バッチ培養内で細胞は、静的な遅滞期から高い対数増殖期へ、そして最後に成長率が減退または停止する静止期へ調節される。処置を施さない場合、静止期にある細胞はやがて死滅する。システムによっては対数期にある細胞が、最終生成物または中間体の生産の大部分を担うことが多い。その他のシステムでは、静止または対数期後生成を得ることができる。
標準バッチシステムのバリエーションが、流加バッチシステムである。流加バッチ培養プロセスも本発明において適切であり、培養の進行と共に基質が段階的に添加されること以外は、典型的なバッチシステムを含んでなる。流加バッチシステムは、異化代謝産物抑制が細胞の代謝を阻害する傾向があって、培地中に限定量の基質を有することが望ましい場合に有用である。流加バッチシステム中の実際の基質濃度の測定は困難であるので、pH、溶存酸素、およびCOなどの排ガス分圧などの測定可能因子の変化に基づいて推定される。バッチおよび流加バッチ培養法は、技術分野で一般的であり周知であって、実例はトマスD.ブロック(Thomas D.Brock)著、バイオテクノロジー:工業微生物学テキスト(Biotechnology:A Textbook of Industrial Microbiology)、第二版(1989)Sinauer Associates,Inc.、Sunderland、MA.、またはデシュパンデ,ムカンド(Deshpande,Mukund V.)、Appl.Biochem.Biotechnol.、36:227、(1992)にある。
環状ケトカロテノイドの商業生産は、連続培養によって達成しても良い。連続の培養は開放システムであり、規定の培地をバイオリアクターに連続的に添加して、等量の慣熟培地を工程から同時に除去する。連続培養は、概して細胞を恒常的な高い液相密度に維持し、そこでは細胞が主に対数増殖期にある。代案としては連続培養を固定細胞で実施しても良く、そこでは炭素および養素が連続的に添加され、価値ある生成物、副産物または老廃物は細胞集団から連続的に除去される。細胞固定化は、天然および/または合成材料から構成される広範囲の固体担体を使用して実施しても良い。
連続または半連続培養は、細胞生育させるまたは最終生成物濃度に影響する1つの因子またはあらゆるいくつかの因子の調節を可能にする。例えば一方法では、炭素源または窒素レベルなどの制限的栄養物質を固定された割合に維持し、その他の全パラメーターの調節ができるようにする。別のシステムでは、培地濁度によって測定される細胞濃度を一定に保ちながら、生育させるに影響するいくつかの因子を連続的に変化させることができる。連続システムは定常状態生育させる条件を維持することを目指すので、培地が抜き取られることによる細胞損失は、培養中の細胞生育させる率に対してバランスが取れていなくてはならない。連続的培養プロセスのために栄養素および成長因子を調節する方法、ならびに生成物形成速度を最大化する技術は工業微生物学の技術分野で良く知られており、多様な方法が上記のブロック(Brock)で詳述される。
本発明における発酵培地は、適切な炭素基質を含有しなくてはならない。適切な基質としては、グルコースおよびフルクトースなどの単糖類と、ラクトースまたはスクロースなどの二糖類と、デンプンまたはセルロースまたはそれらの混合物などの多糖類と、乳清透過液、コーンスティープリーカー、甜菜モラセス、および大麦の麦芽などの再生可能な供給材料からの未精製混合物とが挙げられるが、これに限定されるものではない。さらに炭素基質は、重要な生化学的中間体への代謝転換が実証されている、二酸化炭素、メタンおよび/またはメタノールなどの一炭素基質であっても良い。一または二炭素基質に加えて、メチロトローフ生物はまた、メチルアミン、グルコサミン、および代謝活性のための多様なアミノ酸などのいくつかのその他の炭素含有化合物を利用することが知られている。例えば、メチロトローフ酵母菌は、メチルアミンからの炭素を利用してトレハロースまたはグリセロールを形成することが知られている(ベリオン(Bellion)ら、Microb.Growth C1 Compounds[国際シンポジウム]第7回(1993)、415〜32。編集者:マレル,J.コリン(Murrell,J.Collin)、ケリー,ドンP.(Kelly,Don P.)、出版社:Intercept:Andover,UK)。同様に、様々なカンジダ(Candida)種が、アラニンまたはオレイン酸を代謝する(サルター(Sulter)ら、Arch.Microbiol.153:485〜489(1990))。したがって本発明で用いられる炭素源は多種多様な炭素含有基質を包含しても良く、生物の選択によってのみ制限されることが考察された。
植物における組換え発現
植物および藻類もまた、カロテノイド化合物を製造することが知られている。本発明の核酸断片を使用して、微生物タンパク質を発現する能力を有する遺伝子導入植物を作り出しても良い。好ましい植物宿主は、本タンパク質の高生成レベルを支えるいずれかの品種であることができる。適切な緑色植物としては、ダイズ、アブラナ(Brassica napus、B.campestris)、コショウ、ヒマワリ(Helianthus annus)、綿(Gossypium hirsutum)、トウモロコシ、タバコ(Nicotiana tabacum)、アルファルファ(Medicago sativa)、コムギ(Triticum種)、オオムギ(Hordeum vulgare)、カラスムギ(Avena sativa、L)、モロコシ(Sorghum bicolor)、イネ(Oryza sativa)、シロイヌナズナ(Arabidopsis)、アブラナ科野菜(ブロッコリー、カリフラワー、キャベツ、アメリカボウフウなど)、メロン、ニンジン、セロリ、パセリ、トマト、ジャガイモ、イチゴ、落花生、ブドウ、草種子、甜菜、サトウキビ、豆、エンドウ豆、ライムギ、亜麻、堅木、軟木、および飼料としての草が挙げられるが、これに限定されるものではない。商業的に重要な宿主としては、スピルリナ(Spirulina)、ヘマトコッカス(Haematococcus)、およびデュナリエラ(Dunaliella)などの藻類の種が挙げられるが、これに限定されるものではない。カロテノイド化合物の生成は、最初に本発明のキメラ遺伝子を構築することによって達成されても良く、その中でコード領域は、所望の発生段階で所望の組織中の遺伝子の発現を導くプロモーターに作動可能に連結される。便宜上、キメラ遺伝子は、同一遺伝子に由来するプロモーター配列および翻訳リーダー配列を含んでなっても良い。転写終止シグナルをコードする3’非コード配列もまた、提供されなくてはならない。本キメラ遺伝子はまた、遺伝子発現を容易にするために1個もしくはそれ以上のイントロンも含んでなる。
コード領域の発現を誘導できるあらゆるプロモーターとあらゆるターミネーターのあらゆる組み合わせをキメラ遺伝子配列で使用しても良い。プロモーターおよびターミネーターのいくつかの適切な例としては、ノパリンシンターゼ(nos)、オクトピンシンターゼ(ocs)、およびカリフラワーモザイクウィルス(CaMV)遺伝子からのものが挙げられる。使用しても良い効率的な植物プロモーターの1タイプは、高等植物プロモーターである。本発明の遺伝子配列と機能的に連結するこのようなプロモーターは、本遺伝子産物の発現を促進できなくてはならない。本発明で使用しても良い高等植物プロモーターとしては、例えばダイズからのリブロース−1,5−ビスリン酸カルボキシラーゼの小型サブユニット(ss)のプロモーター(ベリー−ロウ(Berry−Lowe)ら、J.Molecular and App.Gen.、1:483〜498(1982))、およびクロロフィルa/b結合タンパク質のプロモーターが挙げられる。これらの2つのプロモーターは、植物細胞において光誘導されることが知られている(例えば「植物の遺伝子操作、農業における展望(Genetic Engineering of Plants,an Agricultural Perspective)」A.キャッシュモア(Cashmore)、Plenum:NY(1983)、29〜38ページ;コルッジ(Coruzzi)G.ら、J.Biol.Chem.、258:1399(1983);およびダンスミア(Dunsmuir)P.ら、J.Mol.Appl.Gen.、2:285(1983)参照)。
次に本キメラ遺伝子を含んでなるプラスミドベクターを構築できる。プラスミドベクターの選択は、宿主植物を形質転換するのに使用される方法に左右される。当業者は、キメラ遺伝子を含有する宿主細胞を成功裏に形質転換し、選択して増殖するためにプラスミドベクター上に存在しなくてはならない遺伝的要素を良く知っている。当業者はまた、異なる独立形質転換イベントが、異なるレベルおよびパターンの発現をもたらすことを認識するので(ジョーンズ(Jones)ら、EMBO J.4:2411〜2418(1985);デ・アルメイダ(De Almeida)ら、Mol.Gen.Genetics 218:78〜86(1989))、所望の発現レベルおよびパターンを示す系統を得るためには、複数イベントをスクリーニングしなくてはならない。このようなスクリーニングは、DNAブロットのサザン分析(サザン(Southern)、J.Mol.Biol.98:503(1975))、mRNA発現のノーザン分析(クロツェック(Kroczek)、J.Chromatogr.Biomed.Appl.、618(1〜2):133〜145(1993))、タンパク質発現のウエスタン分析、または表現型分析によって達成しても良い。
用途によっては、本タンパク質を異なる細胞区画に方向付けることが有用であろう。したがってトランジット配列(キーグストラ(Keegstra),K.、Cell 56:247〜253(1989))、シグナル配列または小胞体局在化をコードする配列(クリスピールス(Chrispeels),J.J.、Ann.Rev.Plant Phys.Plant Mol.Biol.42:21〜53(1991))、または核局在化シグナル(ライケル(Raikhel),N.、Plant Phys.100:1627〜1632(1992))などの適切な細胞内標的配列を添加することで、および/または既存の標的配列を除去することで、酵素をコードするコード配列を変更して上述のキメラ遺伝子をさらに補完しても良いことが想定された。引用した参考文献はこれらの各例を示すが、リストは網羅的でなく、有用なさらに多くの標的シグナルが、将来発見されるかもしれない。
タンパク質操作
本ヌクレオチドを使用して、向上されたまたは改変された活性を有する遺伝子産物を製造できるかもしれないことが考察された。誤りがちなPCR(メルニコフ(Melnikov)ら、Nucleic Acids Research、27(4):1056〜1062(1999))、部位特異的変異誘発(クームズ(Coombs)ら、Proteins(1998)、259〜311、1図版。編集者(ら):(アンジェレッティ,ルース・ホーグ(Angeletti,Ruth Hogue)、出版社:Academic:SanDiego、CA)、および「遺伝子シャフリング(gene shuffling)」(参照によってここに援用する米国特許第5,605,793号明細書、米国特許第5,811,238号明細書、米国特許第5,830,721号明細書、米国特許第5,837,458号明細書、および米国特許出願第10/374366号明細書)をはじめとするが、これに限定されるものではない、天然遺伝子配列を変異させて活性が改変または向上された遺伝子産物を生成する様々な方法が知られている。
遺伝子シャッフリング法は、その容易な実行、および高率な変異誘発と容易なスクリーニングのために特に魅力的である。遺伝子シャフリングのプロセスは、関心のある遺伝子と類似したまたは違っているDNA領域の追加的集団存在下における、関心のある遺伝子の特定サイズの断片への制限エンドヌクレアーゼ開裂を伴う。次に断片のプールを変性させ再アニールして、変異遺伝子を作り出す。次に変異した遺伝子を変更した活性についてスクリーニングする。
本発明の本微生物の配列を変異させて、この方法によって変更されまたは増強される活性についてスクリーニングしても良い。配列は二本鎖であるべきで、50bp〜10kB範囲の様々な長さであることができる。配列は技術分野で良く知られている制限エンドヌクレアーゼを使用して、約10bp〜1000bpの範囲の断片に無作為に消化されても良い(マニアティス(Maniatis)、同上)。本微生物の配列に加えて、微生物の配列の全部または部分とハイブリダイズ可能な断片集団を添加しても良い。同様に、本配列とハイブリダイズ可能でない断片集団を添加しても良い。典型的にこれらの追加的断片集団は、総核酸と比較して重量で約10〜20倍過剰に添加される。一般にこのプロセスに従えば、混合物中の異なる特定の核酸断片の数は約100〜約1000個になる。無作為核酸断片の混合集団は、変性されて一本鎖核酸断片を形成し、次に再アニールされる。その他の一本鎖核酸断片との相同性領域を有する一本鎖核酸断片のみが再アニールする。無作為核酸断片は、加熱によって変性されても良い。当業者は、二本鎖核酸を完全に変性するのに必要な条件を判定できる。好ましくは温度は、80℃〜100℃である。核酸断片を冷却によって再アニールしても良い。好ましくは温度は20℃〜75℃である。再生は、ポリエチレングリコール(「PEG」)または塩の添加によって加速できる。適切な塩濃度は、0mM〜200mMの範囲であっても良い。次にアニールされた核酸断片は、核酸ポリメラーゼおよびdNTP(すなわちdATP、dCTP、dGTPおよびdTTP)存在下でインキュベートされる。核酸ポリメラーゼは、クレノウ断片、Taqポリメラーゼまたは技術分野で知られているあらゆるその他のDNAポリメラーゼであっても良い。アニールに先だって、アニールと同時に、またはアニール後に、ポリメラーゼを無作為核酸断片に添加しても良い。変性、再生、およびポリメラーゼ存在下でのインキュベーションのサイクルは、所望の回数反復される。好ましくはサイクルは2〜50回反復され、より好ましくは手順は10〜40回反復される。得られる核酸は約50bp〜約100kBの範囲のより大きな二本鎖ポリヌクレオチドであり、標準クローン化および発現プロトコルによって、発現および変更された活性についてスクリーニングしても良い(マニアティス(Maniatis)、同上)。
さらにハイブリッドタンパク質は、遺伝子シャフリング(エクソンシャフリング)法を使用した、機能性領域の融合によってアセンブルできる(ニクソン(Nixon)ら、PNAS、94:1069〜1073(1997))。本遺伝子の機能性領域は、その他の遺伝子の機能性領域と組み合わせて、所望の触媒機能を有する新しい酵素作り出すことができる。PCRオーバーラップ伸長法を使用してハイブリッド酵素を構築し、当業者に良く知られている技術使用して、様々な発現ベクター中にクローン化しても良い。
好ましい実施態様の説明
着色微生物は、環境サンプルから単離され、標準微生物学的技術使用して培養された(実施例1)。2つの着色コロニー(DC18およびDC263)を選択し、16S rRNA遺伝子配列決定を実施した。DC18株(配列番号4)からの16S rRNA遺伝子配列をジェンバンク(GenBank)(登録商標)に対するBLASTNを使用したクエリー検索として使用した。公開データベースに対する最も近い整合は、スフィンゴモナス・メロニス(Sphingomonas melonis)に対して98%同一であった。本株をスフィンゴモナス・メロニス(Sphingomonas melonis)DC18と命名した。DC263株(配列番号5)からの16S rRNA遺伝子配列は、ブレバンジモナス・ベシキュラリス(Brevundimonas vesicularis)に対して相同性(99%同一)を示した。単離された株をブレバンジモナス・ベシキュラリス(Brevundimonas vesicularis)DC263と命名した。第3の着色微生物株(フラボバクテリウム(Flavobacterium)種K1−202C)は、ドイツ国のJ.W.ゲーテ大学(J.W.Goethe University,Germany)のゲルハルト・サンドマン(Gerhard Sandmann)博士から得られた。この株は、サイトファーガ(Cytophaga)種KK1020Cとしても知られており、日本国の海洋バイオテクノロジー研究所(MBI)から入手できる。
各株からのカロテノイドサンプルをHPLC/LC−Mによって分析した。スフィンゴモナス・メロニス(Sphingomonas melonis)DC18中の主要カロテノイドは、テトラヒドロキシ−β,β’−カロテン−4−オンと判定された。ブレバンジモナス・ベシキュラリス(Brevundimonas vesicularis)DC263中の主要カロテノイドは、テトラヒドロキシ−β,β’−カロテン−4,4’−ジオンと判定された。フラボバクテリウム(Flavobacterium)種K1−202C中の主要カロテノイドは、フレキシキサンチンであった。全3株中の主要カロテノイドはケトカロテノイドであり、それらが全てカロテノイドケトラーゼを有することが示唆された。
pEZseqベクター(実施例2)中の小型挿入物ライブラリー(4〜6kbの断片)を作るために、各株からゲノムDNAを調製した。それぞれのプラスミドをβ−カロテン生成プラスミドを含む大腸菌細胞中に電気穿孔した。オレンジ色の形質転換体が単離され、それぞれのカロテノイド含量が分析された。ケトカロテノイドは、各オレンジ色形質転換体によって生成される。
pEZベースのプラスミド上の挿入物をランダムトランスポゾン挿入によって、および/またはプライマー歩行によって配列決定した。挿入物の配列をアセンブルし、ジェンバンク(登録商標)に対してBLAST分析した(BLASTNnrおよびBLASTXnr)。CrtWケトラーゼをコードする遺伝子を同定した(実施例3、表3)。本crtW配列およびいくつかの以前報告されたcrtWs(表4)を使用して、ペアワイズ比較分析を行った。本crtW配列は、以前報告されたカロテノイドケトラーゼに対して中程度の相同性のみを示す。
本カロテノイドケトラーゼ遺伝子をpTrcHis2−TOPO発現ベクター(実施例5)中に個別にクローンした。各crtW発現ベクターをβ−カロテン蓄積大腸菌株中に形質転換した。それぞれのオレンジ形質転換体のカロテン含量をHPLCによって分析した。カンタキサンチンが単独に、それぞれの形質転換体中で生成された。
いくつかのβ−カロテン発現プラスミド(pDCQ340、pDCQ330)を作り出し、本crtWケトラーゼ遺伝子を発現する効果を測定した(実施例4および7)。腸内細菌科(Enterobactericeae)DC260(米国特許出願第10/808979号明細書)またはパントエア・アグロメランス(Pantoea agglomerans)DC404(米国特許出願第10/808807号明細書)のいずれかから、カロテノイド遺伝子クラスターをクローンして発現プラスミドを作り出した。本CrtWケトラーゼは、β−カロテンをカンタキサンチンに転換する能力を示す。
別の実施態様では、多岐にわたるケトラーゼの同時発現を行った(実施例6)。実施例5で使用したβ−カロテン合成遺伝子(pDCQ330)を発現するプラスミドを操作して、アグロバクテリウム・アウランティアカム(Agrobacterium aurantiacum)からのcrtWZ遺伝子をさらに発現させた。得られたプラスミド(pDCQ335)を使用して、アスタキサンチン/アドニキサンチン生成大腸菌株を作り出した。DC263(pDCQ342TA)からのcrtWまたはK1−202C(pDCQ339TA)からのcrtWのいずれかを発現するプラスミドをアスタキサンチン/アドニキサンチン生成株中に形質転換した。pDCQ335のみを含む株と、追加的プラスミドpDCQ342TAまたはpDCQ339TAを含有する株との比較を行った。1つ以上の多岐にわたるケトラーゼ遺伝子を発現する株では、ケト基付加の効率が改善され、アスタキサンチンの生成が増大した。
以下の実施例で本発明をさらに明らかにする。これらの実施例は、本発明の好ましい実施態様を示しながら、例証のみのために提供されるものと理解される。上記考察およびこれらの実施例から、当業者は本発明の本質的特質を把握でき、その範囲と精神を逸脱することなく、本発明の様々な変化と修正を行って、様々な利用法および条件に適合させることができる。
一般方法
実施例で使用される標準組換えDNAおよび分子クローン化技術は技術分野で良く知られており、サムブルック(Sambrook)J.、フリッチュ(Fritsch)E.F.、およびマニアティス(Maniatis)T.「分子クローン化:実験室マニュアル(Molecular Cloning:A Laboratory Manual)」;Cold Spring Harbor Laboratory Press:Cold Spring Harbor(1989)(マニアティス(Maniatis))、およびT.J.シルハビー(Silhavy)、M.L.ベンナン(Bennan)およびL.W.エンクイスト(Enquist)「遺伝子融合実験(Experiments with Gene Fusions)」Cold Spring Harbor Laboratory、Cold Spring Harbor,NY(1984);およびオースベル(Ausubel)F.M.ら「分子生物学現代プロトコル(Current Protocols in Molecular Biology)」Greene Publishing Assoc.and Wiley−Interscienceによる出版(1987)で述べられている。
細菌培養の維持および生育させるに適した材料および方法は、技術分野で良く知られている。以下の実施例で使用するのに適した技術は、以下で述べられる。「一般微生物学方法マニュアル(Manual of Methods for General Bacteriology」、フィリップ・ゲアハルト(Phillipp Gerhardt)、R.G.E.マレー(R.G.E.Murray)、ラルフN.コスティロウ(Ralph N.Costilow)、ユージーンW.ネスター(Eugene W.Nester)、ウィリスA.ウッド(Willis A.Wood)、ノエルR.クリーグ(Noel R.Krieg)、およびG.ブリッグス・フィリップス(G.Briggs Phillips)編、米国微生物学会、Washington,D.C.(1994)またはトーマスD.ブロック(Thomas D.Brock)著「バイオテクノロジー:工業微生物学テキストブック(Biotechnology:A Textbook of Industrial Microbiology)第2版(1989)Sinauer Associates:Sunderland,MA(1989)。細菌細胞の生育させるおよび維持のために使用される全ての試薬、制限酵素および材料は、特に断りのない限り、ウィスコンシン州ミルウォーキーのアルドリッチ・ケミカルズ(Aldrich Chemicals(Milwaukee,WI))、メリーランド州スパークスのディフコ・ラボラトリーズ/BDダイアグノスティックス(DIFCO Laboratories/BD Diagnostics(Sparks,MD))、ウィスコンシン州マディソンのプロメガ(Promega(Madison,WI))、マサチューセッツ州ベヴァリーのニューイングランドバイオラブズ(New England Biolabs(Beverly,MA))、カリフォルニア州カールズバッドのギブコ/BRLライフテクノロジーズ(GIBCO/BRL Life Technologies(Carlsbad,CA))、またはミズーリ州セントルイスのシグマケミカル(Sigma Chemical Company(St.Louis,MO))から得た。
遺伝的配列操作は、ウィスコンシン州マディソンのジェネティックス・コンピューター・グループ(GCG)(Genetics Computer Group Inc.(Madison,WI))から入手できる一式のプログラム(ウィスコンシン・パッケージ(Wisconsin Package)バージョン9.0)を使用して達成した。GCGプログラム「パイルアップ(Pileup)」では、ギャップ生成デフォルト値12を使用して、ギャップ延長デフォルト値4を使用した。CGC「ギャップ(Gap)」または「ベストフィット(Bestfit)」プログラムでは、デフォルトギャップ生成ペナルティ50を使用し、デフォルトギャップ延長ペナルティ3を使用した。スミス−ウォーターマン(Smith−Waterman)アルゴリズムを組み込んだFASTAプログラムを使用して、複数の整列化を作り出した(W.R.ピアソン(Pearson)、Comput.Methods Genom Res.、[国際シンポジウム議事録](1994)、1992年会議、111〜20、編集者(ら):スハイ,サンドール(Suhai,Sandor)編、出版社:Plenum、New York,NY)。これらのまたはあらゆるその他のプログラムにおいて、プログラムパラメーターについて言及されない場合は、デフォルト値を使用した。
略語の意味は次のとおり。「h」は時間を意味し、「min」は分を意味し、「sec」は秒を意味し、「d」は日を意味し、「mL」はミリリットルを意味し、「μL」はマイクロリットルを意味し、「L」はリットルを意味し、「g」はグラムを意味し、「mg」はミリグラムを意味し、「μg」はマイクログラムを意味し、「ppm」は100万分の1を意味する。
実施例1
細菌株生成するケトカロテノイド
この実施例は、ケトカロテノイドを生成する3つの細菌株の単離、およびそれらのカロテノイドの予備分析について述べる。
株単離および分類
新しいカロテノイド生成細菌株を単離するために、環境サンプルのコレクションからから着色微生物を単離した。デラウェア州ウィルミントン(Wilmington,Delaware)の庭からのおよそ1gの表面土壌を10mLの水道水に再懸濁した。10μLのループを満たす水をルリアブロス(LB)プレート上に画線し、プレートを30℃でインキュベートした。多様なコロニーの外見がある着色細菌を拾い出し、均一に2回LBプレートに画線して、30℃でインキュベートした。これらのコロニーから、オレンジ〜ピンクのコロニーを形成したものをDC263株と命名した。DC18株は、ペンシルベニア州の河川から単離した。水性サンプルの連続希釈(10−2、10−4、および10−6)をトリプトンおよび酵母で栄養強化した基礎培地の大型245×245mm 15%寒天プレート上に播種した。基礎培地構成要素(1リットルあたり)は次のようであった。NHCl 0.8g、KHPO 0.5g、MgCl・6H0 0.2g、CaCl・2H0 0.1g、NaNO 1.3g、およびNaSO 0.5g。原液1の構成要素(1リットルあたり)は次のようであった。ニトリロ三酢酸12.8g、FeCl・4HO 0.3g、CuCl・2HO 0.0254g、MnCl・4HO 0.1g、CoCl・6HO 0.312g、ZnCl 0.1g、HBO 0.01g、NaMoO・2HO 0.01g、およびNiCl・6HO 0.184g。1リットルの基礎培地あたり10ミリリットルの原液1を添加した。培地を濃度10g/Lのトリプトンおよび5g/Lの酵母抽出物で強化した。培地のpHを7に調節した。プレートを室温でインキュベートし、単一コロニーを同一プレートに2回画線した。オレンジコロニーを形成した1つの株を選択して、DC18株と命名した。
DC18およびDC263で16S rRNA遺伝子配列決定を実施した。具体的には、プライマーHK12:5’−gagtttgatcctggctcag−3’(配列番号7)およびJCR14:5’−ACGGGCGGTGTGTAC−3’(配列番号8)を使用して、株の16S rRNA遺伝子をPCRによって増幅した。製造業者(キアゲン(Qiagen))の使用説明書に従ってキアクイック(QIAquick)PCR精製キットを使用し、増幅された16S rRNA遺伝子を精製して自動化ABIシーケンサー上で配列決定した。プライマーHK12、JCR14、およびJCR15:5’−GCCAGCAGCCGCGGTA−3’(配列番号9)で、シーケンス反応を開始した。アセンブリされたDC18の1291bp 16S rRNA遺伝子配列(配列番号10)およびDC263の1268bp 16S rRNA遺伝子配列(配列番号11)をジェンバンク(登録商標)に対するBLASTN検索(アルトシュル(Altschul)ら、Nucleic Acids Res.、25:3389〜3402(1997))のクエリー配列として使用した。DC18の16S rDNA配列は、スフィンゴモナス(Sphingomonas)株のそれに対する相同性を示し、トップヒットはスフィンゴモナス・メロニス(Sphingomonas melonis)と98%同一であった。したがってこの株は、スフィンゴモナス・メロニス(Sphingomonas melonis)DC18と命名された。DC263の16S rDNA配列は、ブレバンジモナス(Brevundimonas)株に対して相同性を示し、トップヒットはブレバンジモナス・ベシキュラリス(Brevundimonas vesicularis)と99%同一であった。したがってこの株は、ブレバンジモナス・ベシキュラリス(Brevundimonas vesicularis)DC263と命名された。
フラボバクテリウム(Flavobacterium)種K1−202Cは海洋から単離され、ドイツ国のJ.W.ゲーテ大学(J.W.Goethe University,Germany)のゲルハルト・サンドマン(Gerhard Sandmann)博士から得られた。フラボバクテリウム(Flavobacterium)種K1−202Cはサイトファーガ(Cytophaga)種KK10202C(MBIC0139)としても知られており、日本国岩手県のの海洋バイオテクノロジー研究所(MBI)から入手できる。
カロテノイド分析
スフィンゴモナス・メロニス(Sphingomonas melonis)DC18を株単離について述べたのと同一の100mLの培地中で生育させた。ブレバンジモナス・ベシキュラリス(Brevundimonas vesicularis)DC263を100mLのLB中で生育させた。フラボバクテリウム(Flavobacterium)種K1−202Cをミシガン州デトロイトのディフコ(Difco(Detroit,MI))からの100mLのマリンブロス中で生育させた。3株は全て振盪して30℃で一晩生育させた。4000gで15minの遠心分離によって細胞をペレットにし、細胞ペレットを10mLのアセトンで抽出した。抽出物を窒素下で乾燥させ、1〜2mLのアセトンに再溶解した。抽出物をミシガン州アナーバーのパル・コーポレーション(Pall Corporation(Ann Arbor,MI))からのアクロディスク(Acrodisc)aCR25mmシリンジフィルターで濾過した。次にそれをカリフォルニア州フォスター・シティのアジレント(Agilent(Foster City,CA))からのアジレント・シリーズ(Agilent Series)1100LC/MSDSIを使用して、HPLC分析用0.1mL 10%アセトン+90%アセトニトリル中で濃縮した。
サンプル(20μL)をアジレント・テクノロジーズ(Agilent Technologies,Inc.)からの150mm×4.6mm ZORBAX C18(3.5μm粒子)カラムに装填した。カラム温度を40℃に維持した。流速は1mL/minであり、使用した通過溶剤プログラムは次のとおりであった。
・0〜2min:95%緩衝液Aおよび5%緩衝液B、
・2〜10min:95%緩衝液Aおよび5%緩衝液Bから60%緩衝液Aおよび40%緩衝液Bへの直線濃度勾配、
・10〜12min:60%緩衝液Aおよび40%緩衝液Bから50%緩衝液Aおよび50%緩衝液Bへの直線濃度勾配、
・12〜18min:50%緩衝液Aおよび50%緩衝液B、および
・18〜20min:95%緩衝液Aおよび5%緩衝液B。
緩衝液Aは95%アセトニトリルおよび5% dHOであり、緩衝液Bは100%テトラヒドロフランであった。
図2a、2b、および2cは、DC18、DC263、およびK1−202C中で生成するカロテノイドのHPLCプロフィールを示す。各株について主要カロテノイドの吸収スペクトルも示される。主要カロテノイドの分子量は、LC−MSによって求めた。50μLの各サンプルをカリフォルニア州のアジレント・テクノロジーズ(Agilent Technologies(CA))からのZorbax 2.1×150mm SB−C18LCカラムに、以下の溶剤プログラムで通過させた。
・0〜30min:70%アセトニトリルおよび30%水から100%アセトニトリルへの直線濃度勾配、
・30〜45min:100%アセトニトリル。
英国マイクロマス・リミテッド(Micromass Limited(UK))からの質量分析器マイクロマス・クアトロLC(Micromass Quattro LC)トリプル四重極をコロナ放電針3KVおよびAPCI(大気圧化学イオン化)プローブ450℃で、APCIモードにおいて0.1secの飛び越し走査遅延で、100〜1000 AMUを0.9secでスキャンした。LC−MS分析は、DC18中の主要カロテノイド分子量を614、DC263中の主要カロテノイド分子量を628、K1−202C中の主要カロテノイド分子量を582と判定した。HPLC溶出時間、吸収スペクトル、および分子量に基づいて、DC18中の主要カロテノイドは、テトラヒドロキシ−β,β’−カロテン−4−オンであると予想された。DC263中の主要カロテノイドは、テトラヒドロキシ−β,β’−カロテン−4,4’−ジオンであると予想された。DC18およびDC263中の主要カロテノイドについて我々が判定した特性は、これらのカロテノイドに関する文献で報告されたものと一致した(ヨコヤマ(Yokoyama)ら、Biosci.Biotech.Biochem.、60:200〜203、(1996);クライニッヒ(Kleinig)ら、Helvetica Chimica Acta、60:254〜258(1977))。K1−202C中の主要カロテノイドは、サンドマン(Sandmann)のグループによってフレキシキサンチンであると判定された。K1−202C中の主要カロテノイドについて判定された特性は、フレキシキサンチンについて報告されたものと一致した(オーセン(Aasen)ら、Acta Chemica Scandinavica、20:1970〜1988(1966);アンドリュー(Andrewes)ら、Acta Chemica Scandinavica、B38:337〜339(1984))。3つの株全てにおいて主要カロテノイドはケトカロテノイドであるので、これらの3つの株はカロテノイドケトラーゼ遺伝子の潜在的供給源である。
実施例2
小型挿入物ライブラリーの構築およびスクリーニング
この実施例は、細菌株からの小型挿入物ライブラリーの構築、および潜在的にケトラーゼ遺伝子を含有する陽性クローンの同定について述べる。
ライブラリー構築
実施例1で述べるようにしてDC18、DC263、およびK1−202Cの細胞を生育させた。キアゲン(Qiagen)ゲノムDNA調製キットを使用して、細胞からゲノムDNAを調製した。部分的制限酵素消化法によって、K1−202C株の小型挿入物ライブラリーを調製した。K1−202CのゲノムDNAをウィスコンシン州マディソンのプロメガ(Promega(Madison,WI))からのHincIIで部分的に消化し、0.8%アガロース・ゲル上で分離した。4〜6kbの画分をゲルから切り取って、キアゲンミンエリュート(Qiagen MinElute)ゲル抽出キットを使用して抽出した。抽出したDNAをウィスコンシン州ミドルタウンのルシジェン(Lucigen(Middletown,WI))からのpEZSeqブラント(Blunt)クローニングキットを使用して、pEZseqベクターにライゲートした。ライゲーション混合物をβ−カロテン生成プラスミドpBHR−crt1(米国特許出願第09/941947号明細書)を含有する、新鮮に調製した大腸菌10Gのコンピテント細胞中に電気穿孔した。形質転換体を100μg/mLアンピシリンおよび50μg/mLカナマイシンと共にLBプレートに播種した。
DC18およびDC263株の小型挿入物ライブラリーをランダム剪断方法によって調製した。ニュージャージー州フランクリンレイクスのベクトン・ディッキンソン(Becton Dickinson,Franklin Lakes,NJ)からの291/2Gインシュリンシリンジを約300回通過させて、DC18およびDC263のゲノムDNAを剪断し、0.8%アガロース・ゲル上で分離した。4〜6kbの画分をゲルから切除し、キアゲン(Qiagen)からのキアゲンミンエリュート(Qiagen MinElute)ゲル抽出キットを使用して抽出した。ルシジェン(Lucigen)DNAターミネーター修復キットを使用して、抽出したDNAの末端を修復した。ルシジェン(Lucigen)からのpEZSeqブラントクローニングキットを使用して、修復したDNA挿入物をpEZseqベクターにライゲートした。ライゲーション混合物をβ−カロテン生成プラスミドpDCQ329(米国特許出願第10/808979号明細書、参照によってここに援用する)を含有する、新鮮に調製した大腸菌10Gのコンピテント細胞中に電気穿孔した。形質転換体を100μg/mLアンピシリンおよび50μg/mLカナマイシンと共にLBプレートに播種した。
陽性クローンの同定および分析
各ライブラリーからおよそ20,000〜100,000個の形質転換体が得られた。各ライブラリーについて、数万の黄色コロニーからいくつかのオレンジコロニーが同定された。これらの陽性クローンをβ−カロテンをケトカロテノイドに転換するケトラーゼ遺伝子をおそらく含有するものとして同定した。各陽性株を抗生物質と共に100mLのLB中で振盪して30℃で3日間生育させた。実施例1で述べるようにして、細胞からのカロテノイドを抽出し、HPLCで分析した。DC18、DC263、およびK1−202Cのライブラリーから単離された陽性大腸菌クローン中で、ケトカロテノイド(カンタキサンチンおよびエキネノン)が生成された。
実施例3
新しいカロテノイドケトラーゼ遺伝子の単離
この実施例は、陽性大腸菌クローン上の挿入物の配列決定、および挿入物上にコードされる新しいカロテノイドケトラーゼ遺伝子の同定について述べる。
カロテノイド分析は、陽性クローンが、β−カロテンからカンタキサンチンおよびエキネノンへの転換に関与するケトラーゼ遺伝子をおそらく含有することを示唆した。アンピシリン抵抗性でカナマイシン感応性のクローンについて選択して、pEZベースのプラスミドをβ−カロテンレポータープラスミドから分離した。ウィスコンシン州マディソンのエピセンター(Epicentre(Madison,WI))からのEZ−TN<TET−1>キットを使用したランダムトランスポゾン挿入、および/またはプライマー歩行によって、pEZベースのプラスミド上への挿入物を配列決定した。ミシガン州アナーバーのジーン・コーズ(Gene Codes Corp.(Ann Arbor,MI))からのシーケンチャー(Sequencher)プログラムによって、配列をアセンブリした。
BLAST「nr」データベース(全ての非重複性ジェンバンク(登録商標)CDS翻訳、3次元構造ブルックヘブンタンパク質データバンクから誘導される配列、SWISS−PROTタンパク質配列データベース、EMBL、およびDDBJデータベースを含んでなる)に含有される配列に対する類似性について、BLAST(「基礎的局在性整列化検索ツール(Basic Local Alignment Search Tool)」アルトシュル(Altschul)S.F.ら、J.Mol.Biol.215:403〜410(1993))検索を行って、CrtWケトラーゼをコードする遺伝子を同定した。全米バイオテクノロジー情報センター(NCBI)によって提供されるBLASTNアルゴリズムを使用して、「nr」データベースに含有されるあらゆる一般公開されたDNA配列に対する類似性について、配列を分析した。NCBIによって提供されるBLASTXアルゴリズム(ギッシュ(Gish),W.およびステーツ(States),D.J.、Nature Genetics、3:266〜272(1993))を使用して、全ての読み枠でDNA配列を翻訳し、「nr」データベースに含有されるあらゆる一般公開されたタンパク質配列に対する類似性について比較した。
全ての比較は、BLASTNnrまたはBLASTXnrアルゴリズムのいずれかを使用して実施した。各遺伝子が最も高い類似性を有する配列を要約した表3に、BLAST比較の結果を示す。表3はBLASTXnrアルゴリズムに基づくデータを示し、値は期待値で報告される。ヌクレオチドおよびアミノ酸配列はまた、ベクターNTI中の複数の配列アライメントアルゴリズムを使用して、いくつかの既知のケトラーゼ遺伝子とも比較した。表4は、ペアワイズ比較についてのヌクレオチド配列同一性およびアミノ酸配列同一性の百分率を示す。単離された3つのcrtW遺伝子は、既知のcrtW遺伝子と中程度の相同性のみを有する。さらにそれらは表4におけるペアワイズ比較から示されるように、互いに非常に異なる。
Figure 0005647758
Figure 0005647758
実施例4
β−カロテン合成プラスミドpDCQ330の構築
P.アグロメランス(agglomerans)DC404は、カロテノイド合成遺伝子クラスターcrtEidiYIBZ(配列番号12)(米国特許出願第10/808807号明細書参照)を含有する環境単離物であった。
デラウェア州ウィルミントン(Wilmington,Delaware)の宅地野菜畑からの土壌を収集して、LB培地に再懸濁した。10μLのループを満たす再懸濁液をLBプレート上に画線し、プレートを30℃でインキュベートした。多様なコロニーの外見がある着色細菌を拾い出し、均一に2回LBプレートに画線して、30℃でインキュベートした。これらのコロニーから、淡黄色のなめらかで半透明なコロニーを形成したものを「DC404株」と命名した。
P.アグロメランス(agglomerans)株DC404を25mLのLB培地中で30℃で一晩通気して生育させた。細菌細胞を4,000×gで10min遠心分離した。細胞ペレットを5mLの50mMトリス−10mMEDTA(pH8.0)に穏やかに再懸濁し、リゾチームを最終濃度2mg/mLに添加した。懸濁液を37℃で1hrインキュベートした。次にドデシル硫酸ナトリウムを最終濃度1%に、タンパク質分解酵素Kを100μg/mLに添加した。懸濁液を55℃で2hインキュベートした。懸濁液は透明になり、透明溶解産物を等容積のフェノール:クロロホルム:イソアミルアルコール(25:24:1)で2回、クロロホルム:イソアミルアルコール(24:1)で1回抽出した。4,000rpmで20minの遠心処理後、水性相を注意深く除去して新しい試験管に移した。2倍量のエタノールを添加して、DNAを密封したガラスパスツールピペットで穏やかに巻き取った。70%エタノールを含有する試験管にDNAを浸した。風乾後、DNAをRNaseA(100μg/mL)と共に400μLのTE(10mMトリス−1mMEDTA、pH8.0)中に再懸濁し、4℃で保存した。DNAの濃度および純度は、分光光度法によりOD260/OD280で判定した。
ウィスコンシン州マディソンのエピセンター(Epicentre(Madison,WI))からのpWEBコスミドクローニングキットを使用して、製造業者の使用説明書に従って、DC404のコスミドライブラリーを構築した。シリンジ針を通過させてゲノムDNAを剪断した。剪断されたDNAを末端修復し、低融点アガロース上で40kBの標準と比較してサイズ選択した。大きさがおよそ40kBのDNA断片を精製して、ブラントエンドクローニング−レディpWEBコスミドベクター中にライゲートした。超高効率マックスプラックス(MaxPlax)ラムダパッケージング抽出物を使用して、ライブラリーをパッケージングし、EPI100大腸菌細胞上に播種した。コスミドライブラリークローンから2つの黄色コロニーが同定された。2つのクローンからのコスミドDNAは、類似した制限酵素消化パターンを有した。ここでpWEB−404と称されるこのコスミドDNAは、配列番号12として示されるcrtWEidiYIBZ遺伝子クラスターを含有した。
プライマーpWEB404F:5’−GAATTCACTAGTCGAGACGCCGGGTACCAACCAT−3’(配列番号13)およびpWEB404R:5’−GAATTCTAGCGCGGGCGCTGCCAGA−3’(配列番号14)を使用して、PCRによって、crtEidiYIB遺伝子(配列番号15)を含有するDC404からの断片を増幅した。コスミドDNApWEB−404をテンプレートとして、カリフォルニア州ラ・ホーヤのストラタジーン(Stratagene(La Jolla,CA))からのプロターボ(PfuTurbo)TMポリメラーゼ、および92℃(5min)、94℃(1min)、60℃(1min)、72℃(9min)を25回、および72℃(10min)の加熱サイクル条件と共に使用した。ゲル電気泳動に続いて、およそ5.6kBの単一生成物が観察された。インディアナ州インディアナポリスのロッシュ・アプライド・サイエンス(Roche Applied Science(Indianapolis,IN))からのTaqポリメラーゼを72℃で10分間の反応において使用し、pTrcHis2−TOPO中へのTOPO(登録商標)(インビトロジェン(Invitrogen))クローニングのために、追加的3’アデノシンヌクレオチドを断片に付加した。大腸菌TOP10細胞への形質転換に続いて、いくつかのコロニーの色は明るい黄色に見え、それらがカロテノイド化合物を生成していることが示唆された。次に遺伝子クラスターをフロリダ州マルコアイランドのモビテック(MoBiTec,LLC(Marco Island,FL))からの広域宿主範囲ベクターpBHR1中にサブクローンし、ウィスコンシン州ミドルタウンのルシジェン(Lucigen(Middletown,WI))からの大腸菌10G細胞中に電気穿孔した。得られるプラスミドpDCQ330を含有する形質転換体を50μg/mLカナマイシン含有LB培地上で選択した。pDCQ330では、crtE上流でユニークなSpeI部位を操作した。
実施例5
大腸菌中における新しいCrtWカロテノイドケトラーゼ遺伝子の発現
この実施例は、β−カロテンを生成する大腸菌株における、新しいカロテノイドケトラーゼ遺伝子の発現について述べる。ケトラーゼ遺伝子の機能は、β−カロテンのカンタキサンチンへの転換によって実証された。
この実験で使用されたβ−カロテン生成株は、パントエア・アグロメランス(Pantoea agglomerans)DC404(米国特許出願第10/808807号明細書)からのβ−カロテン合成遺伝子クラスターを運ぶプラスミドpDCQ330を含有する大腸菌株であった。3つの細菌株からの推定上のケトラーゼ遺伝子は、PCRによって増幅された。DC18からのcrtWは、プライマーcrtW−18_F:5’−ACTAGTAAGGAGGAATAAACCATGACCGTCGATCACGACGCAC−3’(配列番号16)およびcrtW−18_R:5’−TCTAGACTACCGGTCTTTGCTTAACGAC−3’(配列番号17)を使用して増幅された。DC263からのcrtWは、プライマーcrtW−263_F:5’−ACTAGTAAGGAGGAATAAACCATGCGGCAAGCGAACAGGATG−3’(配列番号18)およびcrtW−263_R:5’−TCTAGACTAGCTGAACAAACTCCACCAG−3’(配列番号19)を使用して増幅された。K1−202CからのcrtWは、プライマーcrtW/K1−202CF:5’−ACTAGTAAGGAGGAATAAACCATGGCTGATGGAGGAAGTGAAGG−3’(配列番号20)およびcrtW/K1−202CR:5’−TCTAGATTAGTTTGATTGAGATTCTT−3’(配列番号21)を使用して増幅された。PCR生成物をpTrcHis2−TOPO(インビトロジェン(Invitrogen))ベクター中にクローンして、挿入物を順方向に含有するクローンについてスクリーンした。これらはDC18からのcrtW遺伝子を発現するpDCQ341TA、DC263からのcrtW遺伝子を発現するpDCQ342TA、およびK1−202CからのcrtW遺伝子を発現するpDCQ339TAをもたらした。これらのコンストラクトをpDCQ330を含有するβ−カロテン蓄積大腸菌株に形質転換した。オレンジ形質転換体を得て、それらのカロテノイドを実施例1で述べるようにHPLCによって分析した。HPLC結果を図3に示す。7.29minで溶出されたカンタキサンチンは、それぞれの株で限定的に生成されたカロテノイドであった。カンタキサンチン標準は、スイス国ルプシンゲンのカロテナチュア(CaroteNature(Lupsingen,Switzerland))から購入した。これは3つの新しいcrtW遺伝子のケトラーゼ機能を明らかに実証した。
実施例6
大腸菌中における多岐にわたるケトラーゼ遺伝子の同時発現
この実施例は、アスタキサンチンおよび中間体を生成する大腸菌株中における多岐にわたるケトラーゼ遺伝子の同時発現について述べる。追加的ケトラーゼ遺伝子の発現は、アスタキサンチン生成を増大させた。
アグロバクテリウム・アウランティアカム(Agrobacterium aurantiacum)からのcrtWおよびcrtZ遺伝子を使用して、大腸菌などの異種の宿主中においてアスタキサンチンを生成した。我々は、多岐にわたるcrtWの同時発現がアスタキサンチン転換を改善するかどうか評価した。3つの新たに単離されたDC18、DC263、およびK1−202Cからのカロテノイドケトラーゼ遺伝子は、表4に示すようにいくつかの既知のcrtWケトラーゼ遺伝子と中程度の相同性しか有さない。具体的にはDC18からのcrtW遺伝子は、アグロバクテリウム・アウランティアカム(Agrobacterium aurantiacum)からのcrtW遺伝子(配列番号23)に対して、57%のDNA配列同一性および48%のアミノ酸配列同一性を有する。DC263からのcrtWは、アグロバクテリウム・アウランティアカム(Agrobacterium aurantiacum)からのcrtW遺伝子に対して、55%のDNA配列同一性および45%のアミノ酸配列同一性を有する。K1−202CからのcrtWは、アグロバクテリウム・アウランティアカム(Agrobacterium aurantiacum)からのcrtW遺伝子に対して、39%のDNA配列同一性および31%のアミノ酸配列同一性を有する。それらの相互の中程度〜低い相同性のために、単一宿主中のcrtW遺伝子の複数のコピーの存在が不安定性の問題を引き起こす可能性は低い。
プラスミドpDCQ335は、pDCQ330中のβ−カロテン合成遺伝子クラスター中への合成アグロバクテリウム(Agrobacterium)crtZW遺伝子のクローニングによって構築された。crtZ(配列番号22)およびcrtW(配列番号23)遺伝子は、SOEing PCRによって結合された。crtZ遺伝子は、順方向プライマーcrtZW_F:5’−ACTAGTAAGGAGGAATAAACCATGACCAAC−3’(配列番号24)および逆方向プライマーcrtZW_soe_R:5’−AGGGCATGGGCGCTCATGGTATATTCCTCCTTTCTAGATTAGGTGCGTTCTTGGGCTTC−3’(配列番号25)を使用して増幅された。crtW遺伝子は、順方向プライマーcrtZW_soe_F:5’−GAAGCCCAAGAACGCACCTAATCTAGAAAGGAGGAATATACCATGAGCGCCCATGCCCT−3’(配列番号26)および逆方向プライマーcrtZW_R:5’−GCTAGCTGTACATCACGCGGTGTCGCCTTTGG−3’(配列番号27)を使用して増幅された。2つのPCR生成物をゲル精製し、プライマーcrtZW_FおよびcrtZW_Rを使用してPCRによって結合させた。1272bpのPCR生成物をインビトロジェン(Invitrogen)からのpTrcHis2−Topoベクター中にクローンして、プラスミドpDCQ335TAを得た。crtZW遺伝子を含有するpDCQ335TAからの約1.2kbのNheI/SpeI断片をpDCQ330中のユニークなSpeI部位中にライゲートした。得られたコンストラクトpDCQ335中で、crtZWEidiYIB遺伝子はオペロン中に編成され、ベクターのクロラムフェニコール抵抗性遺伝子プロモーターの制御下にある。
DC263からのcrtW遺伝子を発現するプラスミドpDCQ342TA、およびK1−202CからのcrtW遺伝子を発現するプラスミドpDCQ339TAを、pDCQ335を含有する大腸菌細胞中に形質転換した。アグロバクテリウム・アウランティアカム(Agrobacterium aurantiacum)からのcrtW遺伝子を含有するプラスミドpDCQ335は、プラスミドpDCQ342TAまたはpDCQ339TAと適合性である。pDCQ335のみを含有する大腸菌株、および追加的プラスミドpDCQ342TAまたはpDCQ339TAを含有する株をLB中で30℃で3日間生育させ、実施例1で述べるようにしてHPLC分析を実施した。結果を図4に示す。その溶出時間、吸収スペクトル、および分子量をミズーリ州セントルイスのシグマ(Sigma(St.Louis,MO))からの純正標準のそれらと比較して、アスタキサンチンを同定した。吸収スペクトルおよびその分子量(582ダルトン)に基づいて、アドニキサンチンの存在を予測した。pDCQ335のみを含有する大腸菌株では、生成された全カロテノイドのおよそ24%がアスタキサンチン(5.0min)であり、カロテノイドの大部分(46%)はアドニキサンチン(5.6min)であった。pDCQ342TAまたはpDCQ339TAと同時発現するpDCQ335を含有する株では、生成したカロテノイドのおよそ50%がアスタキサンチン(4.8−4.9min)であり、およそ10%がアドニキサンチン(5.5min)であった。この結果は、2つ以上の多岐にわたるケトラーゼ遺伝子の同時発現が、ケト基付加の効率を改善してアスタキサンチンなどのケトカロテノイド生成を増大させることを実証した。
実施例7
β−カロテン合成プラスミドpDCQ340の構築
この実施例の目的は、ここでpDCQ340と称されるβ−カロテン発現プラスミドを調製することである。腸内細菌科(Enterobactericeae)DC260(米国特許出願第10/808979号明細書、参照によってここに援用する)は、天然遺伝子クラスターcrtEXYIBZを含有する。β−カロテン合成に必要な遺伝子(すなわちcrtEYIB)は、PCRによって結合される。crtE遺伝子は、プライマーcrt−260_F:5−GAATTCACTAGTACCAACCATGGATAGCCATTATG−3’(配列番号28)およびcrt−260SOE_R:5’−ATCAGGTCGCCTCCGCCAGCACGACTTTCAGTTGAATATCGCTAGCTGTTG−3’(配列番号29)を使用して増幅された。crtY遺伝子は、プライマーcrt−260SOE_F:5’−CAACAGCTAGCGATATTCAACTGAAAGTCGTGCTGGCGGAGGCGACCTGAT−3’(配列番号30)およびcrt−260R1_R:5’−CATTTTTTCTTCCCTGGTTCGACAGAGTTCAACAGCGCGCGCAGCGCTT−3’(配列番号31)を使用して増幅された。crtIB遺伝子は、プライマーcrt−260R1_F:5’−AAGCGCTGCGCGCGCTGTTGAACTCTGTCGAACCAGGGAAGAAAAAATG−3’(配列番号32)およびcrt−260_R:5’−GAATTCAACGAGGACGCTGCCACAGA−3’(配列番号33)を使用して増幅された。crtY遺伝子の3’末端に広がるプライマーに導入されたサイレント変化によって、crtY遺伝子の3’末端のEcoRI部位を除去した。crtEY遺伝子を最初にプライマーcrt−260_F(配列番号28)およびcrt−260R1_R(配列番号31)を使用して、SOEing PCRによって結合した。次にcrt−260_F(配列番号28)プライマーおよびcrt−260_R(配列番号32)プライマーを使用して、crtIB遺伝子とのPCRによってcrtEY遺伝子を結合した。最終的な4.5kBのcrtEYIB断片をpTrcHis2−TOPOベクター中にクローンして、次にpBHR1中にサブクローンしてpDCQ340を得た。pDCQ340を含有する大腸菌細胞は、β−カロテンを生成することが示された。
実施例8
メチロモナス(Methylomonas)中における新しいカロテノイドケトラーゼ遺伝子の発現
この実施例は、以前報告された方法(米国特許出願第09/941947号明細書)および(米国特許出願第60/527083号明細書)に基づいて、当業者が、メチロモナス(Methylomonas)種16a(ATCCPTA−2402)中において、カンタキサンチンなどのケトカロテノイドの生成のための新しいカロテノイドケトラーゼ遺伝子をどのようにして発現できるかについて述べる。
スフィンゴモナス・メロニス(Sphingomonas melonis)DC18およびブレバンジモナス・ベシキュラリス(Brevundimonas vesicularis)DC263からのcrtW遺伝子をβ−カロテン合成プラスミドpDCQ340(実施例7)中に個別にクローンして、プラスミドpDCQ341およびpDCQ342をそれぞれ生成した。
三親接合交配(米国特許出願第60/527083号明細書)によって、プラスミドpDCQ341およびpDCQ342をメチロモナス(Methylomonas)16aに転移した。pRK2013(ATCCNo.37159)を含有する大腸菌ヘルパー株、およびプラスミドpDCQ341またはpDCQ342を含有する大腸菌10Gドナー株をカナマイシン(50μg/mL)を含有するLB培地中で一晩生育させ、LBで3回洗浄し、元の培養容積のおよそ60倍の濃度に相当する容積のLBに再懸濁した。
メチロモナス(Methylomonas)種16a MWM1200株は、天然crtN1aldcrtN2遺伝子クラスターのためのプロモーターの二重交差ノックアウト、および天然crtN3遺伝子のノックアウトを含有して、天然C30カロテノイド(米国特許出願第60/527083号明細書)の合成を中断する。このMWM1200株は、米国特許出願第09/941947号明細書で述べられる一般条件を使用して、受容株として生育できる。簡単に述べると、少なくとも8:1の気体/液体比(すなわち総容積160mL中の20mLの硝酸塩液体「BTZ−3」培地)を使用して、30℃で絶え間なく振盪しながら、メチロモナス(Methylomonas)16a MWM1200株をイリノイ州ホイートンのホイートン・サイエンティフィック(Wheaton Scientific(Wheaton,IL))からの血清ストッパーホイートン・ボトル(Wheaton bottles)中で生育させた。
メチロモナス(Methylomonas)16Aのための硝酸塩培地
ここで「合成培地」または「BTZ−3」培地とも称される硝酸塩液体培地は、下で示されるように(表5および6)溶液1と混合された様々な塩を含んでなり、明記される場合は、硝酸塩は15mM塩化アンモニウムで置き換えられた。溶液1は、微量元素の100倍濃縮原液のための組成を提供する。
Figure 0005647758
Figure 0005647758
培養のための標準気相は、空気中に25%のメタンを含有する。メチロモナス(Methylomonas)種16a MWM1200受容株をこれらの条件下で48時間BTZ−3培地中で培養し、BTZ−3で3回洗浄し、元の培養容積のおよそ150倍の濃度に相当する容積のBTZ−3に再懸濁した。
0.5%(w/v)の酵母抽出物を含有するBTZ−3寒天プレート表面で、ドナー、ヘルパー、および受容細胞ペーストをそれぞれ1:1:2の比率で合わせた。プレートを25%メタン中で30℃に16〜72時間維持して接合を生じさせ、その後細胞ペーストを収集してBTZ−3に再懸濁した。カナマイシン(50μg/mL)を含有するBTZ−3寒天に希釈溶液を播種して、25%メタン中で30℃で1週間までインキュベートした。橙赤色の接合完了体をカナマイシン(50μg/mL)と共にBTZ−3寒天上に画線した。
カロテノイド組成物の分析のために、接合完了体をカナマイシン(50μg/mL)を含有する25mLBTZ−3中で培養し、唯一の炭素源として25%メタン中で30℃で1週間までインキュベートして、細胞を遠心分離によって採取して−20℃で凍結した。解凍後実施例1に述べるようにペレットを抽出し、HPLCでカロテノイド含量を分析した。
pDCQ340を含有するメチロモナス(Methylomonas)16a MWM1200からの抽出物のHPLC分析(図5)は、β−カロテンの合成を示した。pDCQ341またはpDCQ342のいずれかを含有するメチロモナス(Methylomonas)16a MWM1200はカンタキサンチンを合成し、それはこのメタノトローフ宿主中の新しいケトラーゼのケトラーゼ活性を証明した。
は、β−カロテンからのケトラーゼおよび水酸化酵素反応を通じたアスタキサンチン合成における可能な経路中間体を図示する。 細菌株によって生成されるカロテノイドのHPLC分析である。 S.メロニス(melonis)DC18の分析からのHPLCデータを示す。 B.ベシキュラリス(vesicularis)DC263の分析からのHPLCデータを示す。 フラボバクテリウム(Flavobacterium)種K1−202Cの分析からのHPLCデータを示す。 多岐にわたるcrtW遺伝子を発現するβ−カロテン蓄積大腸菌株によって生成されるカロテノイドの分析からのHPLCデータである。 多岐にわたるcrtW遺伝子を発現するアスタキサンチン生成大腸菌株によって生成されるカロテノイドの分析からのHPLCデータである。 β−カロテン合成遺伝子によって、多岐にわたるcrtW遺伝子を発現するメチロモナス(Methylomonas)種16a細胞のHPLC分析である。

Claims (25)

  1. (a)配列番号4に記載のアミノ酸をコードする単離された核酸分子、
    (b)0.1×SSC、0.1%SDSで65℃の洗浄を含むストリンジェントな条件下で(a)とハイブリダイズする単離された核酸分子であって、カロテノイドケトラーゼ酵素をコードする核酸分子、または
    (a)または(b)と相補的な単離された核酸分子
    よりなる群から選択される、カロテノイドケトラーゼ酵素をコードする単離された核酸分子。
  2. 配列番号3で示される配列を有する請求項1に記載の単離された核酸分子。
  3. 請求項1に記載の単離された核酸分子によってコードされる、ポリペプチド。
  4. 配列番号4に記載の配列を有するポリペプチドと比較すると、スミス−ウォーターマンのアライメント法に基づいて少なくとも90%の同一性を有する、少なくともアミノ酸260個のカロテノイドケトラーゼ酵素をコードする第1のヌクレオチド配列を含んでなるか、または該第一のヌクレオチド配列の相補体を含む第2のヌクレオチド配列を含んでなる、単離された核酸分子。
  5. 適切な調節配列に作動的に結合した、請求項1または2に記載の単離された核酸分子を含んでなるキメラ遺伝子。
  6. 請求項5に記載のキメラ遺伝子を含んでなる形質転換宿主細胞。
  7. 宿主細胞が、細菌、酵母、糸状菌類、藻類、および緑色植物よりなる群から選択される、請求項6に記載の形質転換宿主細胞。
  8. 宿主細胞が、アスペルギルス(Aspergillus)、トリコデルマ(Trichoderma)、サッカロミセス(Saccharomyces)、ピチア(Pichia)、カンジダ(Candida)、ハンゼヌラ(Hansenula)、またはサルモネラ(Salmonella)、バシラス(Bacillus)、アシネトバクター(Acinetobacter)、ザイモモナス(Zymomonas)、アグロバクテリウム(Agrobacterium)、エリスロバクター(Erythrobacter)、クロロビウム(Chlorobium)、クロマチウム(Chromatium)、フラボバクテリウム(Flavobacterium)、サイトファーガ(Cytophaga)、ロドバクター(Rhodobacter)、ロドコッカス(Rhodococcus)、ストレプトマイセス(Streptomyces)、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)、コリネバクテリア(Corynebacteria)、マイコバクテリウム(Mycobacterium)、デイノコッカス(Deinococcus)、エシェリヒア(Escherichia)、エルウィニア(Erwinia)、パントエア(Pantoea)、シュードモナス(Pseudomonas)、スフィンゴモナス(Sphingomonas)、メチロモナス(Methylomonas)、メチロバクター(Methylobacter)、メチロコッカス(Methylococcus)、メチロジーナス(Methylosinus)、メチロミクロビウム(Methylomicrobium)、メチロシスティス(Methylocystis)、アルカリゲネス(Alcaligenes)、シネコシスティス(Synechocystis)、シネココッカス(Synechococcus)、アナベナ(Anabaena)、チオバシラス(Thiobacillus)、メタノバクテリウム(Methanobacterium)、クレブシエラ(Klebsiella)、およびミクソコッカス(Myxococcus)よりなる群から選択される、請求項7に記載の形質転換宿主細胞。
  9. 宿主細胞がC1代謝性細菌である、請求項7の形質転換宿主細胞。
  10. 宿主細胞が、ダイズ、アブラナ、ヒマワリ、綿、トウモロコシ、タバコ、アルファルファ、コムギ、オオムギ、カラスムギ、モロコシ、イネ、アラビドプシス(Arabidopsis)、アブラナ科野菜、メロン、ニンジン、セロリ、パセリ、トマト、ジャガイモ、イチゴ、落花生、ブドウ、草種子、甜菜、サトウキビ、豆、エンドウ豆、ライムギ、亜麻、堅木、軟木、および牧草よりなる群から選択される、請求項7の形質転換宿主細胞。
  11. (a)ゲノムライブラリーを請求項1または2に記載の核酸分子でプローブし、
    (b)0.1×SSC、0.1%SDSで65℃の洗浄を含むストリンジェントな条件下で、請求項1または2に記載の核酸分子とハイブリダイズするDNAクローンであって、カロテノイドケトラーゼ酵素をコードするDNAクローンを同定し、そして
    (c)ステップ(b)で同定されたクローンを含んでなるゲノム断片を配列決定する、ことを含んでなり、
    配列決定されたゲノム断片がカロテノイドケトラーゼ酵素をコードする、
    カロテノイドケトラーゼ酵素をコードする核酸分子を得る方法。
  12. ステップ(a)の核酸分子が、配列番号4で示されるアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする、請求項11に記載の方法。
  13. (a)環状カロテノイドを生成する宿主細胞を提供し、
    (b)(a)の宿主細胞をカロテノイドケトラーゼ酵素をコードする請求項1または2に記載の遺伝子で形質転換し、そして
    (c)(b)の形質転換宿主細胞を環状ケトカロテノイドが生成する条件下で生育させる、ことを含んでなる環状ケトカロテノイド化合物の生成方法。
  14. カロテノイドケトラーゼ遺伝子が、配列番号4で示されるアミノ酸配列を有するポリペプチドをコードする、請求項13に記載の方法。
  15. 環状ケトカロテノイド化合物が、カンタキサンチン、アスタキサンチン、アドニキサンチン、アドニルビン、エキネノン、3−ヒドロキシエキネノン、3'−ヒドロキシエキネノン、4−ケト−γ−カロテン、4−ケト−ルビキサンチン、4−ケト−トルレン、3−ヒドロキシ−4−ケト−トルレン、デオキシフレキシキサンチン、ミキソバクトンよりなる群から選択される、請求項13に記載の方法。
  16. 環状カロテノイドが、β−カロテン、γ−カロテン、ゼアキサンチン、β−クリプトザンチン、アドニキサンチン、3−ヒドロキシエキネノン、3'−ヒドロキシエキネノン、ルビキサンチン、エキネノンおよびトルレンよりなる群から選択される、請求項13に記載の方法。
  17. 形質転換された宿主が、細菌、酵母、糸状菌類、藻類、および緑色植物よりなる群から選択される、請求項13に記載の方法。
  18. 形質転換宿主細胞が、アスペルギルス(Aspergillus)、トリコデルマ(Trichoderma)、サッカロミセス(Saccharomyces)、ピチア(Pichia)、カンジダ(Candida)、ハンゼヌラ(Hansenula)、またはサルモネラ(Salmonella)、バシラス(Bacillus)、アシネトバクター(Acinetobacter)、ザイモモナス(Zymomonas)、アグロバクテリウム(Agrobacterium)、エリスロバクター(Erythrobacter)、クロロビウム(Chlorobium)、クロマチウム(Chromatium)、フラボバクテリウム(Flavobacterium)、サイトファーガ(Cytophaga)、ロドバクター(Rhodobacter)、ロドコッカス(Rhodococcus)、ストレプトマイセス(Streptomyces)、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)、コリネバクテリア(Corynebacteria)、マイコバクテリウム(Mycobacterium)、デイノコッカス(Deinococcus)、エシェリヒア(Escherichia)、エルウィニア(Erwinia)、パントエア(Pantoea)、シュードモナス(Pseudomonas)、スフィンゴモナス(Sphingomonas)、メチロモナス(Methylomonas)、メチロバクター(Methylobacter)、メチロコッカス(Methylococcus)、メチロジーナス(Methylosinus)、メチロミクロビウム(Methylomicrobium)、メチロシスティス(Methylocystis)、アルカリゲネス(Alcaligenes)、シネコシスティス(Synechocystis)、シネココッカス(Synechococcus)、アナベナ(Anabaena)、チオバシラス(Thiobacillus)、メタノバクテリウム(Methanobacterium)、クレブシエラ(Klebsiella)、およびミクソコッカス(Myxococcus)よりなる群から選択される、請求項17に記載の方法。
  19. 形質転換宿主細胞がC1代謝性細菌である、請求項17に記載の方法。
  20. 形質転換宿主細胞が、ダイズ、アブラナ、ヒマワリ、綿、トウモロコシ、タバコ、アルファルファ、コムギ、オオムギ、カラスムギ、モロコシ、イネ、アラビドプシス(Arabidopsis)、アブラナ科野菜、メロン、ニンジン、セロリ、パセリ、トマト、ジャガイモ、イチゴ、落花生、ブドウ、草種子、甜菜、サトウキビ、豆、エンドウ豆、ライムギ、亜麻、堅木、軟木、および牧草よりなる群から選択される、請求項17に記載の方法。
  21. (a)環状カロテノイドを生成する宿主細胞を提供し、
    (b)(a)の宿主細胞をCrtWカロテノイドケトラーゼ酵素をコードする請求項1または2に記載の遺伝子から選択される第1の遺伝子で形質転換し、
    (c)(a)の宿主細胞を前記第1の遺伝子と比較すると65%未満の核酸配列同一性を有し、CrtWカロテノイドケトラーゼ酵素をコードする第2の遺伝子で形質転換し、そして
    (d)前記(a)の第1の遺伝子および前記(b)の第2の遺伝子を含んでなる形質転換宿主細胞を前記第1の遺伝子または前記第2の遺伝子のみを発現する形質転換宿主細胞に比べて環状ケトカロテノイドの生成が増大する条件下で生育させる、
    ことを含んでなる環状ケトカロテノイド化合物の生成を増大させる方法。
  22. 宿主細胞が細菌、酵母、糸状菌類、藻類、および緑色植物よりなる群から選択される請求項21に記載の方法。
  23. 形質転換宿主細胞が、アスペルギルス(Aspergillus)、トリコデルマ(Trichoderma)、サッカロミセス(Saccharomyces)、ピチア(Pichia)、カンジダ(Candida)、ハンゼヌラ(Hansenula)、またはサルモネラ(Salmonella)、バシラス(Bacillus)、アシネトバクター(Acinetobacter)、ザイモモナス(Zymomonas)、アグロバクテリウム(Agrobacterium)、エリスロバクター(Erythrobacter)、クロロビウム(Chlorobium)、クロマチウム(Chromatium)、フラボバクテリウム(Flavobacterium)、サイトファーガ(Cytophaga)、ロドバクター(Rhodobacter)、ロドコッカス(Rhodococcus)、ストレプトマイセス(Streptomyces)、ブレビバクテリウム(Brevibacterium)、コリネバクテリア(Corynebacteria)、マイコバクテリウム(Mycobacterium)、デイノコッカス(Deinococcus)、エシェリヒア(Escherichia)、エルウィニア(Erwinia)、パントエア(Pantoea)、シュードモナス(Pseudomonas)、スフィンゴモナス(Sphingomonas)、メチロモナス(Methylomonas)、メチロバクター(Methylobacter)、メチロコッカス(Methylococcus)、メチロジーナス(Methylosinus)、メチロミクロビウム(Methylomicrobium)、メチロシスティス(Methylocystis)、アルカリゲネス(Alcaligenes)、シネコシスティス(Synechocystis)、シネココッカス(Synechococcus)、アナベナ(Anabaena)、チオバシラス(Thiobacillus)、メタノバクテリウム(Methanobacterium)、クレブシエラ(Klebsiella)、およびミクソコッカス(Myxococcus)よりなる群から選択される、請求項22に記載の方法。
  24. 形質転換宿主細胞が、スピルリナ(Spirulina)、ヘマトコッカス(Haematococcus)、およびデュナリエラ(Dunaliella)よりなる群から選択される、請求項22に記載の方法。
  25. 形質転換宿主細胞が、ダイズ、アブラナ、ヒマワリ、綿、トウモロコシ、タバコ、アルファルファ、コムギ、オオムギ、カラスムギ、モロコシ、イネ、アラビドプシス(Arabidopsis)、アブラナ科野菜、メロン、ニンジン、セロリ、パセリ、トマト、ジャガイモ、イチゴ、落花生、ブドウ、草種子、甜菜、サトウキビ、豆、エンドウ豆、ライムギ、亜麻、堅木、軟木、および牧草よりなる群から選択される請求項22に記載の方法。
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