JP5630839B2 - オフガス燃焼装置 - Google Patents
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Description
嫌気性発酵プロセスから発生するメタンリッチなバイオガスからメタンを分離して、高純度メタンを精製するための技術として、例えば、PSA(Pressure Swing Adsorption)方式による分離技術や、膜分離法に係る分離技術が存在する。
吸着材が充填された塔P(PSA)にバイオガスを供給し、バイオガス中のメタン以外の成分を吸着材により吸着して除去すれば、残余のガスにおけるメタン濃度を高くすることが出来る。仮に、バイオガスがメタンと二酸化炭素(CO2)のみを含有するのであれば、CO2を吸着する触媒が充填された塔P内にバイオガスを供給すれば、塔Pから出てきたガス(メタンタンクに供給されるガス)はメタンのみを含有することになり、或いは、メタン濃度が高くなる。
すなわち、PSAをメタン分離装置として用いれば、メタン以外の成分(例えば、CO2)を吸着して除去することにより、相対的にメタン濃度(或いは純度)を高くすることが出来る。
連続してメタンの分離或いは精製を行なうためには、複数の塔Pを設け、再生された吸着材が充填されている塔にバイオガスの供給を行い、吸着材の吸着能力が低減した塔Pについては、バイオガスの供給を中止して、吸着材の脱着(再生)を行なう。すなわち、ある塔Pでは吸着材によりメタン以外の成分(例えばCO2を)吸着し、他の塔Pではメタン以外の成分(例えばCO2)を脱着して、吸着材を再生する。以って、バイオガスからメタン以外の成分を、連続的に、吸着処理するのである。
脱着工程において、減圧により塔P外へ排出(吸引)されたガスが、オフガスを構成する。
吸着工程の際に、メタンの純度を高くするためには、バイオガスにおけるメタン以外の成分(例えばCO2)がメタンに混入しない様に、注意しなければならない。そして、吸着材がメタン以外の成分を吸着しなくなり、メタン以外の成分がメタンと共にメタン貯蔵タンク側に出力されないようにするためには、吸着材の吸着能力に余裕がある段階で、吸着材による吸着工程から当該吸着材を再生する脱着工程に切り換える必要がある。すなわち、未だに吸着可能な吸着材が充填された塔について、脱着工程が行なわれる。
すなわち、メタンを包含するバイオガス(通常、バイオガスのメタン濃度は60%程度)がオフガスとして、塔外へ排出されるため、オフガスにはメタンが包含されてしまう。
例えば、膜分離法は、高分子膜、ゼオライト等の無機膜の制御された微細孔により、複数種類のガスの混合ガスから特定のガスを分離する方法であり、対象ガスの分子の大きさや、形状の違いを利用して、分離するべきガスを混合ガスから分離している。
しかし、係る膜分離法によるメタンの分離装置においても、オフガスにメタンガスが混入してしまう可能性があることは良く知られている。
現状では、メタン濃度がある程度高い場合には、大気放散することはできない。メタンは、同じモル数では、CO2の20〜30倍の温暖化係数を持ち、メタンを大気放散することは、CO2の大気放散よりも20倍〜30倍のオーダーで地球環境に悪影響を与えてしまうからである。
しかし、バイオガスにおけるメタン濃度は不安定であるため、上記オフガスにおけるメタン濃度も不安定である。そのため、補助燃料(例えば、都市ガス)を追加せずに、安定した燃焼をし続けることは困難である。そして、余剰燃焼塔で安定した燃焼をしないと失火の恐れがあり、余剰燃焼塔で失火すると、メタンを含有するオフガスが未燃物としてそのまま大気中に排出されてしまうので、メタンを大気放散するのと同様に、環境に対して甚大なる悪影響を及ぼしてしまう。
そのため、係る従来技術では、補助燃料(都市ガス等)を供給しつつ、メタンを含有するオフガスを燃焼しなければならず、補助燃料を供給するコストが必要となる。
また、バイオガスの供給量や成分に応じて補助燃料ガスと空気を混合し、燃料ガスとして利用する技術も提案されている(特許文献2参照)。
しかし、これ等の従来技術(特許文献1、特許文献2)は、何れもバイオガスからメタンを分離する装置からのオフガスに含有されるメタンの処理については開示していない。
オフガスに含有されるメタン濃度がバーナで燃焼できない様な低い場合に、燃焼触媒(7)でオフガスに含有されたメタンの燃焼を燃焼触媒側で実行することが出来る。
すなわち、本発明によれば、補助燃料を使用することなく、しかも、失火することなく、オフガスに含有されるメタンが確実に燃焼される。その結果、メタンの大気放散が完全に防止され、地球環境に悪影響を与えてしまうことはなくなる。
図1〜図5を参照して、本発明の実施形態について説明する。
PSA1は、メタンガス供給ラインL1を介して、図示しないメタンガス供給源と連通している。
メタンガス含有オフガスラインL3には、熱交換器5と第1の熱電対(温度センサ)21と電気ヒータ6と第2の熱電対22とが介装されている。
燃焼触媒7には、その表面温度を計測する第3の熱電対23が取り付けられ、燃焼触媒7の燃焼排ガスラインLxには第4の熱電対24が介装されている。
第1の分岐ラインLx1は熱交換器5を経由して大気に開放されており、分岐点Bと熱交換器5との間の領域には電動弁(流量制御弁)V3が介装されている。
第2の分岐ラインLx2も、大気に開放されている。
空気供給ラインLaには流量制御弁Vaが介装されており、且つ、その端部には空気供給用の機器であるブロワ8が接続されている。
PSA1、電気ヒータ6、電動弁V3、流量制御弁Vaは、何れも制御信号ラインSoを介して、コントロールユニット10と接続されている。
燃焼触媒7で燃焼するためには、所定温度以上に加熱することが必要である。ただし、触媒の種類によって、必要な温度範囲は異なる。図示の実施形態で用いられる触媒は、オフガスに含有されているメタンを燃焼するために、例えば、400℃〜800℃の範囲内に加熱される必要がある。換言すれば、燃焼温度の下限目標値が400℃であり、上限目標値が800℃である。
上述したように、燃焼触媒7は、バーナ4が安定燃焼する程度にメタン濃度が高いオフガスの燃焼よりも、バーナを用いては失火してしまう程度までメタン濃度が低いオフガスの燃焼に適している。
さらに、燃焼触媒7の焼結(シンタリング)を防止するため、燃焼触媒7の温度が上限値800℃を超えない様にすることも必要である。すなわち、燃焼触媒7における温度の上限値の制御も必要である。
ここで、図示の実施形態で用いられる燃焼触媒7において、400℃は燃焼温度の下限値に対して多少の余裕を有しており、800℃は燃焼温度の上限値に対して多少の余裕を持った数値として選定されている。
もちろん、触媒の種類によって、燃焼温度の上限値、下限値が異なるため、上述した温度800℃、400℃という上限目標値と下限目標値の具体例も異なる。
ここで、燃焼触媒7の燃焼状態によっては、熱交換器5で燃焼排ガスが保有する熱量を投入するのみでは、燃焼触媒7に流入するオフガスを必要な温度(400℃)まで昇温するのに不足である場合も存在する。その様な場合に対処するべく、図1では、メタン含有オフガスラインL3の熱交換器5よりも下流側(燃焼触媒7側)の領域には、加熱手段である電気ヒータ6が介装されており、燃焼触媒7に流入するオフガスを目標とする温度(例えば400℃)まで昇温することを可能にしている。
触媒温度が高くなり過ぎて、燃焼触媒7に流入するオフガスの温度を低下する必要がある場合には、電磁弁(流量制御弁)V3の開度を小さくして(電磁弁V3を絞って)、熱交換器5を流れる燃焼排ガスの流量を減少し、以って、燃焼触媒7に流入するオフガスに投入される熱量を減少している。
もちろん、図1で示すように、第3の熱電対23と第4の熱電対24を両方設けても良い。
しかし、図1で示す実施形態では、燃焼触媒7の上流側には、フィルタは介装されていない。
PSA1における図示しない吸着材により、異物が吸着されて除去されるからである。それに加えて、PSA1の出口側には、図示を省略したフィルタが設けられているので、異物はそこでも除去されるからである。
図2において、ステップS41で電気ヒータ6を作動させ、ステップS42においてはブロワ8を作動して、メタン含有オフガスラインL3に燃焼用空気を供給する。
ステップS43では電磁弁V3を全開にして、第2の熱電対22の計測値、すなわち燃焼触媒7に流入するオフガスの温度が400℃以上になるまで待機する(ステップS44がNOのループ)。
その後、ステップS46に進み、1塔目のPSA1において、脱着工程を開始する。脱着工程を開始することにより、1塔目のPSA1からのオフガスが、燃焼触媒7へ送られる。
そしてステップS47では、燃焼触媒7が定常状態である場合の制御(定常時の制御:図3、図4、図5)に移行する。
最初に、図3の電気ヒータ6の制御について説明する。
図3において、ステップS51では、第1の熱電対21をチェックする。
コントロールユニット10は、第1の熱電対21の計測値が400℃未満であるか否かを判断する(ステップS52)。
ステップS52において、第1の熱電対21の計測値が400℃以上であれば(ステップS52がNO)、燃焼触媒7に流入するオフガスの昇温(加熱量)は十分であると判断して、ステップS54に進み、電気ヒータ6を作動せず、電気ヒータ6が作動していればこれを停止し、ステップS60まで進む。
ステップS55の計測値が所定範囲であれば(ステップS56がYES)、燃焼触媒7に流入するオフガスの昇温(加熱量)が適正と判断して、ステップS57に進み、電気ヒータ6の出力をそのまま維持して、ステップS60に進む。
ステップS55の計測値が所定範囲よりも低温であれば(ステップS56が「低」)、燃焼触媒7に流入するオフガスの昇温(加熱量)が不足していると判断してステップS58に進み、電気ヒータ6の出力を増加して、ステップS60に進む。
ステップS55の計測値が所定範囲よりも高温ならば(ステップS56が「高」)、燃焼触媒7に流入するオフガスの昇温(加熱量)が過剰であると判断してステップS59に進み、電気ヒータ6の出力を減少させ、ステップS60に進む。
ステップS60では、コントロールユニット10は電気ヒータ6の制御を終了するか否かを判断する。電気ヒータ6の制御を終了するのであれば(ステップS60がYES)、そのまま制御を終える。一方、制御を続行するならば(ステップS60がNO)、ステップS51まで戻り、ステップS51以降を繰り返す。
図4において、ステップS61では、燃焼触媒7の表面温度を計測している第3の熱電対23をチェックする。そして、燃焼触媒7の表面温度が適正温度であるか否かを判断する(ステップS62)。
第3の熱電対23の計測値が適正温度(所定範囲、例えば、500℃〜700℃)であれば(ステップS62がYES)、ブロワ8〜の風量も適正であると判断して、ステップS63に進み、ブロワ8の風量を維持する。
燃焼触媒7に供給される空気流量(ブロワ風量)が減少すれば、第3の熱電対3が計測している燃焼触媒7の表面温度は昇温する。
ブロワ8の風量制御を続行するのであれば(ステップS66がNO)、ステップS61まで戻り、ステップS61以降を繰り返す。
図5において、ステップS71では、ブロワ8の風量が最大となるまで待機する(ステップS71がNOのループ)。ブロワ風量が最大となったなら(ステップS71がYES)、燃焼触媒7の燃焼排ガスの温度と対応する燃焼触媒7の表面温度を計測している第3の熱電対23、及び/又は、燃焼触媒7の出口における燃焼排ガス温度を計測している第3の熱電対24をチェックする(ステップS72)。
そしてステップS73において、燃焼触媒7の表面温度(第3の熱電対23の計測値)、及び/又は、燃焼触媒7の出口における燃焼排ガス温度(第3の熱電対24の計測値)に対応して、電磁弁V3の開度を適正な開度に制御する。ここで、燃焼触媒7の表面温度(第3の熱電対23の計測値)、及び/又は、燃焼触媒7の出口における燃焼排ガス温度(第4の熱電対24の計測値)と、電磁弁V3の適正な開度との関係は、予め設定して、特性式、特性表、特性マップ等の形態で、コントロールユニット10内に記憶されている。
ステップS74では電磁弁V3の開閉制御を終了するか否かを判断し、制御を続行するのであれば(ステップS74がNO)、ステップS71まで戻る。り、再びステップS71以降を繰り返す。
例えば、図示の実施形態では、バイオガスからメタンを精製或いは分離する装置として、PSA法によるメタン分離装置を用いているが、膜分離法によるメタン分離装置を用いても良い。
2・・・メタン貯蔵タンク
5・・・熱交換器
6・・・電気ヒータ
7・・・燃焼触媒
8・・・ブロワ
10・・・制御手段/コントロールユニット
21〜24・・・第1〜第4のの熱電対
L1・・・バイオガス供給ライン
L2・・・メタンガス搬送ライン
L3・・・メタン含有オフガスライン
Lx・・・排ガスライン
Claims (1)
- バイオガスからメタンを分離するメタン分離装置(1)のオフガスを燃焼するオフガス燃焼装置において、メタン分離装置(1)のオフガスが流れるオフガスライン(L3)と、オフガスを燃焼する燃焼触媒(7)とを備え、オフガスライン(L3)には、燃焼触媒(7)の排ガスが保有する熱量を燃焼触媒(7)に供給されるオフガスへ投入する熱交換器(5)と、熱交換器(5)と燃焼触媒(7)との間の領域で燃焼触媒(7)に供給されるオフガスを加熱する加熱装置(6)と、加熱装置(6)に供給されるオフガスの温度を計測する第1の温度計測装置(21)と、燃焼触媒(7)に供給されるオフガスの温度を計測する第2の温度計測装置(22)と、燃焼触媒(7)の表面温度を計測する第3の温度計測装置(23)とが介装されており、燃焼触媒(7)の排ガスが流れる排ガスライン(Lx)は、前記熱交換器(5)に連通している第1の排ガスライン(Lx1)と、前記熱交換器(5)をバイパスする第2の排ガスライン(Lx2)とに分岐しており、そして前記排ガスライン(Lx)にはオフガスの温度を計測する第4の温度計測装置(24)が介装され、排ガス流量を調整する機能を有する流量調整装置(V3)が第1の排ガスライン(Lx1)或いは第2の排ガスライン(Lx2)の何れかに介装されており、燃焼触媒(7)に燃焼用空気を供給する空気供給装置(8)が設けられ、空気供給装置(8)の吐出口と連通する空気供給ライン(La)は前記オフガスライン(L3)の熱交換器(5)よりも上流側の領域に合流しており、前記第1、第2、第3および第4の温度計測装置(21、22、23、24)はいづれも入力信号ライン(Si)を介してコントロールユニット(10)に接続され、コントロールユニット(10)は前記第1、第2、第3および第4の温度計測装置(21、22、23、24)の計測温度に応じて前記加熱装置(6)の作動、前記流量調整弁(V3)の開度、前記空気供給ライン(La)に設けた流量制御弁(Va)の開度を制御する機能を有することを特徴とするオフガス燃焼装置。
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