JP5626538B2 - ポリ塩化ビフェニル類の抽出方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリ塩化ビフェニル類の抽出方法、特に、ポリ塩化ビフェニル類を含む油性液体からポリ塩化ビフェニル類を抽出するための方法に関する。
トランスやコンデンサなどの電気機器の電気絶縁油として、電気絶縁性に優れたポリ塩化ビフェニル類(以下、「PCB類」と称することがある。)を含む鉱物油からなるものが多用されていたが、生体に対するPCB類の毒性が確認されたことから、本邦では、PCB類の製造や輸入が禁止されており、また、PCB類を含む電気絶縁油等の使用も実質的に禁止されるに至っている。しかし、過去に使用されたPCB類含有電気絶縁油等のPCB類廃棄物は、処理過程において環境汚染を引き起こす懸念があったことから、電気機器の製造事業者若しくは使用事業者自身または廃棄物処理事業者などにおいて、現在に至るまで長期間に渡ってそのまま保管され続けている。
なお、PCB類は、塩素数の観点でモノクロロビフェニルからデカクロロビフェニルまでの10種類が存在し、塩素の置換位置によって209種類が存在する多数の化合物を総称したものである。
一方、PCB類を無害化するための化学的処理方法の研究が進められ、現在では、PCB類を金属ナトリウムと反応させることで脱塩素化し、無害な脱塩素化物に変換する方法(以下、「金属ナトリウム法」と称することがある。)に代表される安全な処理方法が確立されたことを背景として、本邦ではいわゆるPCB特別措置法が平成13年に制定され、これによって平成28年7月までの間にこれまで使用または保管されていたPCB類廃棄物の処理が義務付けられることになった。
金属ナトリウム法によるPCB類の脱塩素化処理過程では、塩素数の多いPCB類(以下、「高塩化PCB類」と称することがある。)が段階的な脱塩素化反応を受けることで塩素数の少ないPCB類(以下、「低塩化PCB類」と称することがある。)へ移行し、最終的には全塩素が脱離した脱塩素化物に変換される。したがって、金属ナトリウム法では、高塩化PCB類の脱塩素化が不十分であると、処理後のPCB類廃棄物において多量の低塩化PCB類が残留する可能性がある。
そこで、金属ナトリウム法によるPCB類廃棄物の処理では、処理過程において、PCB類廃棄物中のPCB類が脱塩素化物に変換されていることを確認する必要がある。特に、PCB類廃棄物は、蓄積量が膨大であるために効率的な処理が要請されていることから、連日の処理管理において、この確認を迅速にすることが求められる。これは、PCB類廃棄物におけるPCB類の量(濃度)、特に低塩化PCB類の量(濃度)を測定することで確認することができる。この測定では、通常、ガスクロマトグラフ質量分析法(GC/MS法)やガスクロマトグラフ電子捕獲検出法(GC/ECD法)のような高感度の分析法が用いられることから、処理後または処理中のPCB類廃棄物から採取した試料は、分析装置での測定前に、測定結果に影響する妨害成分(夾雑成分)を除去するための高度な前処理が必要になる。
このような前処理は、通常、非特許文献1に記載の方法(以下、「公定法」と云う)に従って実施されている。公定法は、低塩化PCB類から高塩化PCB類までの幅広い塩素数のPCB類を高精度に分析するのに適した前処理方法であるが、ジメチルスルホキシド(DMSO)/ヘキサン分配、硫酸処理、アルカリ処理およびシリカゲルカラム処理などの多工程で煩雑な処理を必要とするため、完了までに日単位の長時間を要し、また、その実施のための費用も非常に高額である。ところが、これまでに保管されてきたPCB類廃棄物量は膨大であるため、公定法による前処理をしながらPCB類廃棄物の処理を進めるのは時間的、経済的観点から非常に困難である。
そこで、公定法に代わるPCB類含有試料の前処理方法が種々検討されている。
例えば、非特許文献2には、PCDDs、PCDFsおよびDL−PCB等のダイオキシン類を含む試料からダイオキシン類の測定用試料を抽出するための前処理方法が記載されており、この前処理方法では、試料中の有機成分を有機溶媒で抽出した抽出液を調製し、この抽出液を次の(a)〜(c)のいずれかの方法で処理する。
(a)抽出液を硫酸処理した後にクロマトグラフィーの手法でシリカゲルカラムに通過させ、シリカゲルカラムからの溶出液を濃縮する。そして、この濃縮液をクロマトグラフィーの手法でアルミナカラムに通過させた後、アルミナカラムに抽出溶媒を供給し、その溶出液を採取する。
(b)クロマトグラフィーの手法でシリカゲル層、硫酸シリカゲル層および硝酸銀シリカゲル層を含む多層シリカゲルカラムに抽出液を通過させ、多層シリカゲルカラムからの溶出液を濃縮する。そして、この濃縮液をクロマトグラフィーの手法でアルミナカラムに通過させた後、アルミナカラムに抽出溶媒を供給し、その溶出液を採取する。
(c)(b)の方法において、多層シリカゲルカラムの替わりに硫酸シリカゲルカラムを用いる。
これらの前処理方法では、抽出液に含まれるダイオキシン類以外の夾雑成分の一部がシリカゲル系カラム(すなわち、方法(a)のシリカゲルカラム、方法(b)の多層シリカゲルカラムまたは方法(c)の硫酸シリカゲルカラム)を通過する際に分解され、この分解生成物がシリカゲル系カラムにより捕捉される。そして、残余の夾雑成分はアルミナカラムを通過し、ダイオキシン類はアルミナカラムにより捕捉されることから、アルミナカラムに抽出溶媒を供給してその溶出液を採取すると、夾雑成分が分離されたダイオキシン類溶液(PCDDsおよびPCDFsを含む溶液とDL−PCBを含む溶液との2種類)が得られ、これを分析用試料として用いることができる。
しかし、この代替方法は、(a)〜(c)のいずれの方法においても処理のために必要な時間が依然として1〜2日程度の長時間であるし、前処理のための費用も高額になる。また、(a)〜(c)のいずれの方法についても、シリカゲル系カラムおよびアルミナカラムからの溶出液を減量のために繰り返して濃縮する必要があり、このときに低塩化PCB類、特に、塩素数が1のPCB類が溶媒とともに溶出液から散逸しやすいことから、低塩化PCB類の回収率が低下しやすい問題がある。したがって、この代替方法は、金属ナトリウム法によるPCB類廃棄物の処理過程においてPCB類を測定するときのような、低塩化PCB類の測定が重要な場合の前処理方法として不適当である。
また、特許文献1には、PCB類含有試料の前処理方法として、硫酸シリカゲル層と硝酸銀シリカゲル層とを含む多層シリカゲル層およびアルミナ層を用いたPCB類の抽出方法が記載されている。この方法では、PCB類を含む試料を添加した硫酸シリカゲル層を35℃以上に加熱することで試料中の夾雑成分の一部を分解した後、常温へ冷却した硫酸シリカゲル層へ脂肪族炭化水素溶媒を供給し、この脂肪族炭化水素溶媒を硫酸シリカゲル層、硝酸銀シリカゲル層およびアルミナ層の順に通過させる。そして、アルミナ層に対してPCB類を溶解可能な疎水性溶媒を供給することで、アルミナ層に捕捉されたPCB類を抽出する。
しかし、この抽出方法も、低塩化PCB類、特に、塩素数が1のPCB類の回収率が非常に低いことから、金属ナトリウム法によるPCB類廃棄物の処理過程においてPCB類を測定するときのような、低塩化PCB類の測定が重要な場合の前処理方法として不適当である。
なお、この抽出方法は、硫酸シリカゲル層と硝酸銀シリカゲル層との間に金属含水塩シリカゲル層を配置した場合、低塩化PCB類の回収率が高まるが、回収率が高まるのは塩素数が2のPCB類までであり、塩素数が1のPCB類についてはやはり抽出が困難である。
平成4年厚生省告示第192号の別表第二「特別管理一般廃棄物及び特別管理産業廃棄物に係る基準の検定方法」 日本工業規格 JIS K 0311(2005)、排ガス中のダイオキシン類の測定方法(6.4.4および6.4.5)
国際公開2008/123393号(請求の範囲、明細書20頁5〜23行)
本発明の目的は、PCB類を含む油性液体から、低塩化PCB類を含むPCB類を簡単な操作により短時間で抽出できるようにすることにある。
本発明に係る抽出方法は、ポリ塩化ビフェニル類を含む油性液体からポリ塩化ビフェニル類を抽出するための方法に関するものであり、硫酸シリカゲルからなる単層のシリカゲル層とアルミナ層とを備えた一連の流路系のシリカゲル層へ油性液体を添加する工程1と、シリカゲル層に対して脂肪族炭化水素溶媒を供給し、当該脂肪族炭化水素溶媒をシリカゲル層とアルミナ層とにこの順で通過させる工程2と、アルミナ層に対し、ポリ塩化ビフェニル類を溶解可能な疎水性溶媒を供給して通過させる工程3と、アルミナ層を通過した疎水性溶媒を確保する工程4とを含み、工程1および工程2において、シリカゲル層の温度を35℃未満に設定する。
この抽出方法において、工程1でシリカゲル層へ添加された油性液体は、工程2で供給される脂肪族炭化水素溶媒に溶解し、脂肪族炭化水素溶媒とともにシリカゲル層とアルミナ層とを通過する。この際、油性液体に含まれるPCB類はアルミナ層に捕捉され、また、PCB類以外の夾雑成分は一部がシリカゲル層に捕捉され、残余が脂肪族炭化水素溶媒とともにシリカゲル層およびアルミナ層を通過する。このため、工程3においてアルミナ層へ供給した疎水性溶媒を工程4で確保すると、PCB類の疎水性溶媒溶液が得られる。
この抽出方法において、流路系は、例えば、シリカゲル層が充填された第一カラムと、アルミナ層が充填された、第一カラムに対して着脱可能な第二カラムとを備えている。
この抽出方法は、通常、工程3において、アルミナ層に対し、脂肪族炭化水素溶媒の通過方向とは逆方向に疎水性溶媒を供給して通過させるのが好ましい。また、工程3においてアルミナ層に対して疎水性溶媒を供給する前に、アルミナ層に残留している脂肪族炭化水素溶媒を除去するのが好ましい。さらに、工程3において、アルミナ層を少なくとも35℃に加熱しながらアルミナ層に対して疎水性溶媒を供給するのが好ましい。
他の観点に係る本発明は、ポリ塩化ビフェニル類を含む油性液体に含まれるポリ塩化ビフェニル類を測定するための方法に関するものであり、この測定方法は、硫酸シリカゲルからなる単層のシリカゲル層とアルミナ層とを備えた一連の流路系のシリカゲル層へ油性液体を添加する工程1と、シリカゲル層に対して脂肪族炭化水素溶媒を供給し、当該脂肪族炭化水素溶媒をシリカゲル層とアルミナ層とにこの順で通過させる工程2と、アルミナ層に対し、ポリ塩化ビフェニル類を溶解可能な疎水性溶媒を供給して通過させる工程3と、アルミナ層を通過した疎水性溶媒を確保する工程4と、確保した疎水性溶媒をガスクロマトグラフィー法により分析する工程5とを含み、工程1および工程2において、硫酸シリカゲル層の温度を35℃未満に設定する。
さらに他の観点に係る本発明は、油性液体に含まれるポリ塩化ビフェニル類の脱塩素化処理方法に関するものであり、この処理方法は、油性液体に含まれるポリ塩化ビフェニル類を脱塩素化処理することで脱塩素化物に変換する工程を含み、本発明に係る測定方法により油性液体に含まれるポリ塩化ビフェニル類を測定することで上記工程の完了時期を判断する。
さらに他の観点に係る本発明は、ポリ塩化ビフェニル類を含む油性液体からポリ塩化ビフェニル類を抽出するために用いられるカラムに関するものであり、この抽出用カラムは、硫酸シリカゲルからなる単層のシリカゲル層が充填された第一カラムと、第一カラムの一端に着脱可能に連結された、アルミナ層を充填した第二カラムとを備えている。
本発明に係るPCB類の抽出方法は、上述の工程1〜4を含むものであるため、PCB類を含む油性液体から、低塩化PCB類を含むPCB類を簡単な操作により短時間で抽出することができる。
本発明に係るPCB類の測定方法は、本発明に係る抽出方法の工程4において確保した疎水性溶媒をガスクロマトグラフィー法により分析しているため、油性液体に含まれるPCB類、特に低塩化PCB類を高精度に測定することができる。
本発明に係るPCB類の脱塩素化処理方法は、油性液体に含まれるPCB類を本発明の測定方法により測定することで脱塩素化処理工程の完了時期を判断しているため、低塩化PCB類の脱塩素化処理の確実性を高めることができる。
本発明に係るPCB類の抽出用カラムは、上述の第1カラムおよび第2カラムを備えたものであるため、本発明の抽出方法や測定方法において用いることができる。
本発明に係るPCB類の抽出方法において利用可能なカラムの一例の概略図である。 前記カラムを用いた抽出操作の一工程を示す図である。 前記カラムを用いた抽出操作の他の工程を示す図である。 前記カラムを用いた抽出操作のさらに他の工程を示す図である。 前記カラムを用いた抽出操作のさらに他の工程を示す図である。
本発明に係るポリ塩化ビフェニル類(PCB類)の抽出方法は、PCB類を含む油性液体からPCB類を抽出するための方法に関するものである。PCB類の抽出対象となる油性液体は、特に限定されるものではないが、例えば、トランスやコンデンサなどの電気機器において用いられていたPCB類を含む鉱物油や合成油(通常は脂肪族炭化水素、特に、炭素数が10〜15個程度の直鎖脂肪族炭化水素を主成分とするもの。)であって金属ナトリウム法等によるPCB類の脱塩素化処理を適用中のもの若しくは適用されたものや、化学実験や化学工場において発生したPCB類を含む廃有機溶媒、PCB類を含む試料(例えば、焼却施設から排出される排ガスや焼却灰、大気、土壌、工業排水、血液、母乳並びに海水、河川水、湖沼水および地下水等の環境水。)からPCB類の分析のために有機溶媒(例えば、ヘキサン等の脂肪族炭化水素溶媒やトルエン等の芳香族炭化水素溶媒。)でPCB類を抽出した抽出液などであり、特に、塩素数が1つのPCB類等の低塩化PCB類を含み得るものである。
図1を参照して、本発明に係るPCB類の抽出方法を実施するために用いられるカラムの一例を説明する。図において、カラム1は、主に、第一カラム10、第二カラム20および両カラム10、20を連結するための連結部材30を備えており、第一カラム10から第二カラム20にかけて一連の流路系を形成している。
第一カラム10は、下端部10aの外径および内径が縮小された円筒状に形成されており、上端部および下端部にそれぞれ開口部11、12を有している。この第一カラム10は、例えば、ガラスまたは耐溶媒性を有するプラスチックを用いて形成されており、内部に硫酸シリカゲルからなる単層のシリカゲル層13が充填されている。
ここで用いられる硫酸シリカゲルは、濃硫酸をシリカゲル表面に均一に添加して調製されたものである。シリカゲル層13において、硫酸シリカゲルの充填密度は、特に限定されるものではないが、通常、0.3〜1.1g/cmに設定するのが好ましく、0.5〜1.0g/cmに設定するのがより好ましい。
第二カラム20は、円筒状に形成されており、上端部および下端部にそれぞれ開口部21、22を有している。この第二カラム20は、例えば、ガラスまたは耐溶媒性および耐熱性を有する樹脂材料を用いて形成されており、内部にアルミナを充填した層、すなわちアルミナ層23が充填されている。このアルミナ層23は、第二カラム20の開口部22側に空隙24が形成されるよう、開口部21側に片寄って充填されている。同様の空隙は、開口部21側にも設けられていてもよい。第二カラム20の外径および内径は、通常、第一カラム10の下端部10aのこれらの径よりも大きく設定するのが好ましいが、下端部10aのこれらの径と同じに設定することもできる。
アルミナ層23において用いられるアルミナは、PCB類を吸着可能なものであれば特に限定されるものではなく、塩基性アルミナ、中性アルミナおよび酸性アルミナのいずれのものであってもよい。また、アルミナは、活性度が限定されるものではなく、各種の活性度のものを用いることができる。アルミナ層23におけるアルミナの充填密度は、特に限定されるものではないが、通常、0.5〜1.2g/cmに設定するのが好ましく、0.8〜1.1g/cmに設定するのがより好ましい。
連結部材30は、第一カラム10の下端部10aと第二カラム20の上端部とを挿入可能な筒状の部材であり、各種の溶媒、特に炭化水素溶媒に対して安定で耐熱性を有する材料、例えば、耐溶媒性および耐熱性を有する樹脂材料等を用いて形成されている。この連結部材30は、第一カラム10の下端部10aと第二カラム20の上端部とを着脱可能に連結している。したがって、カラム1において、アルミナ層23部分はシリカゲル層13から独立して分離可能である。
カラム1の大きさは、油性液体からのPCB類の抽出目的(後述)に応じて適宜設定することができる。例えば、油性液体に含まれるPCB類の濃度を測定するために油性液体からPCB類を抽出する前処理を目的とするときは、油性液体から少量若しくは微量の試料を採取して本発明の抽出方法を適用すれば足りるため、それに応じてカラム1を小型に設定することができる。一方、大量の油性液体に含まれるPCB類の脱塩素化処理や焼却処理といった無害化処理を効率的に実施するために、油性液体に含まれるPCB類を少量の有機溶媒に転溶するようなときは、比較的多量の油性液体を一度に処理する必要があるため、処理すべき油性液体量に応じてカラム1を大型に設定することができる。
例えば、油性液体に含まれるPCB類の濃度を測定するために、当該油性液体から採取した1.0〜500mg程度の試料からPCB類を抽出する場合、カラム1における第一カラム10の大きさ(シリカゲル層13を充填可能な部分の大きさ)は、内径10〜20mmで長さが30〜110mmのものが好ましく、また、第二カラム20の大きさ(アルミナ層23を充填可能な部分の大きさ)は、内径2.0〜10.0mmで長さが10〜200mmのものが好ましい。
次に、上述のカラム1を用いたPCB類の抽出方法を説明する。ここでは、油性液体に含まれるPCB類の濃度を測定するために、当該油性液体から夾雑成分を分離してPCB類を抽出する場合の例を中心として説明する。
この抽出方法では、先ず、図2に示すように、第二カラム20の下端部にカラム1を通過する後述の脂肪族炭化水素溶媒を受けるための溶媒容器40を配置する。
次に、油性液体から少量若しくは微量(通常は1.0〜500mg程度)の試料を採取し、この試料を第一カラム10の上端部の開口部11からシリカゲル層13へ添加する(工程1)。この際、シリカゲル層13へ試料を添加するとともに、シリカゲル層13へ試料、すなわち油性液体を溶解可能でありかつ後述の脂肪族炭化水素溶媒と混和可能な炭化水素溶媒を添加し、試料を希釈してもよい。炭化水素溶媒は、通常、シリカゲル層13へ試料を添加した直後に続けて添加してもよいし、予め試料へ添加しておいてもよい。
次に、図3に示すように、第一カラム10の上端側の開口部11に対して第一カラム10へ溶媒を供給するためのリザーバ50を装着し、このリザーバ50内に脂肪族炭化水素溶媒を貯留する。そして、リザーバ50に対し、その内部を加圧するための加圧装置51を装着し、そのポンプ52を作動することでリザーバ50内を加圧する。これにより、リザーバ50内に貯留された脂肪族炭化水素溶媒は、第一カラム10内へ連続的に徐々に供給される(工程2)。リザーバ50から第一カラム10内へ供給された脂肪族炭化水素溶媒は、シリカゲル層13へ供給されてこの層を通過する。そして、シリカゲル層13を通過した脂肪族炭化水素溶媒は、第一カラム10の開口部12から連結部材30を経由して開口部21から第二カラム20内へ流れる。
この際、シリカゲル層13に添加された試料中のPCB類は、脂肪族炭化水素溶媒に溶解し、脂肪族炭化水素溶媒とともに第二カラム20内へ流れる。また、試料中に含まれる各種の夾雑成分の一部は、シリカゲル層13に吸着して捕捉され、第一カラム10内に保持される。
第二カラム20内へ流れた脂肪族炭化水素溶媒は、第二カラム20内のアルミナ層23へ供給されてこの層を通過し、開口部22から排出されて溶媒容器40により受けられる。この際、第一カラム10からの脂肪族炭化水素溶媒中に溶解しているPCB類は、アルミナ層23により捕捉され、第二カラム20内に保持される。特に、PCB類は、アルミナ層23により捕捉されやすいため、第二カラム20内の上端部の開口部21付近で主に保持される。一方、シリカゲル層13において吸着・捕捉されずにPCB類とともに第二カラム20へ流れた残余の夾雑成分は、脂肪族炭化水素溶媒とともにアルミナ層23を通過し、溶媒容器40により受けられる。
この工程で用いる脂肪族炭化水素溶媒は、試料中のPCB類を溶解可能なものであり、通常は炭素数が5〜8個の脂肪族飽和炭化水素溶媒、例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、イソオクタンおよびシクロヘキサンなどである。特に、n−ヘキサンが好ましい。リザーバ50における脂肪族炭化水素溶媒の貯留量、すなわち、第一カラム10へ供給する脂肪族炭化水素溶媒の総量は、通常、10〜120mLに設定するのが好ましい。また、リザーバ50からの脂肪族炭化水素溶媒の供給速度は、ポンプ52によるリザーバ50内の加圧状態の調節により、通常、0.2〜5.0mL/分に設定するのが好ましい。
ここまでの工程1,2では、シリカゲル層13の温度を35℃未満、好ましくは30℃以下、より好ましくは28℃以下に設定する必要がある。このため、この抽出操作を高温環境下で実施する場合であってシリカゲル層13の温度が35℃以上になるようなときは、冷却材や冷却装置を用いてシリカゲル層13の温度を35℃未満に制御する。シリカゲル層13の温度が35℃以上のときは、低塩化PCB類がシリカゲル層13で分解されたり吸着されたりしやすくなり、低塩化PCB類の抽出率(回収率)が低下する。なお、シリカゲル層13の温度の下限は、脂肪族炭化水素溶媒が円滑に流通可能な温度領域内であれば特に限定されるものではないが、通常は10℃程度が好ましい。
次に、連結部材30から第一カラム10を取り外すことで第二カラム20と第一カラム10とを分離する。そして、図4に示すように、第二カラム20の上下を反転し、そのアルミナ層23の周りに加熱装置60を配置する。また、図4に示すように、上下反転により第二カラム20の上端側に移動した開口部22に加圧装置51を装着する。そして、加熱装置60によりアルミナ層23を35〜90℃程度に加熱しながらポンプ52を作動させ、開口部22から第二カラム20内に窒素ガス等の不活性ガスや空気を供給する。これにより、第二カラム20内に残留している脂肪族炭化水素溶媒等の溶媒が不活性ガスとともに第二カラム20の下端側に移動した開口部21から排出され、アルミナ層23から脂肪族炭化水素溶媒等の溶媒が除去される。この結果、第二カラム20内のアルミナ層23は、乾燥処理される。なお、ここで用いられる加熱装置60は、ヒーターやペルチェ素子などであり、第二カラム20内のアルミナ層23全体を所要の温度に加熱可能なものである。
なお、図4において、第二カラム20は連結部材30が取り付けられた状態で表示されているが、連結部材30は、第二カラム20から取り外されていてもよい。
次に、加圧装置51を第二カラム20から取り外し、図5に示すように、第二カラム20の上端側に移動した開口部22側の空隙24へ疎水性溶媒を供給して貯留する。これにより、この疎水性溶媒をアルミナ層23内へ自重により流下させて供給する(工程3)。
アルミナ層23へ供給された疎水性溶媒は、アルミナ層23を通過して第二カラム20の下端側に移動した開口部21から排出される。この際、疎水性溶媒は、アルミナ層23に捕捉されたPCB類を溶解し、このPCB類とともに開口部21から排出される。このため、開口部21から排出される疎水性溶媒を確保すると、PCB類の疎水性溶媒溶液、すなわち、目的とするPCB類の抽出液が得られる(工程4)。
ここで、PCB類は、主に、アルミナ層23の開口部21側付近において捕捉されているため、アルミナ層23に捕捉されたPCB類の実質的に全量は、第二カラム20から排出される主に初流部分の疎水性溶媒に溶解した状態になる。したがって、開口部21から排出される初流部分の疎水性溶媒を確保するだけで、目的とするPCB類の抽出液を得ることができる。この抽出液は、分量の少ない上述の初流部分からなるため、後述する分析操作において利用しやすい少量になる。また、ここで得られるPCB類の抽出液は、アルミナ層23より脂肪族炭化水素溶媒を除去してから第二カラム20へ疎水性溶媒を供給して得られたものであるため、脂肪族炭化水素溶媒およびそれに溶解している夾雑成分の混入が少ない、高純度の抽出液になり得る。
本実施の形態に係る抽出方法によれば、通常、作業開始工程(第一カラム10への試料添加工程)から0.5〜1時間程度の短時間で上述の抽出液を得ることができる。
このような抽出工程において、アルミナ層23は、第二加熱装置60により加熱しながら疎水性溶媒を供給するのが好ましい。アルミナ層23の加熱温度は、通常、少なくとも35℃になるよう設定するのが好ましく、60℃以上になるよう設定するのがより好ましい。加熱温度の上限は、特に限定されるものではないが、通常、90℃程度である。このようにアルミナ層23を加熱すると、アルミナ層23に捕捉されたPCB類は、より少量の疎水性溶媒により全量が抽出されやすくなるので、PCB類の抽出液量を後述する分析操作において利用しやすいより少量に設定することができる。
この抽出工程において用いる疎水性溶媒は、PCB類を溶解可能なものであれば特に限定されるものではないが、通常、トルエン、トルエンと脂肪族炭化水素溶媒(例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、シクロヘキサンなど)との混合溶媒および有機塩素系溶媒(例えば、ジクロロメタン、トリクロロメタン、テトラクロロメタンなど)と脂肪族炭化水素溶媒(例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、シクロヘキサンなど)との混合溶媒などである。このうち、より少量の使用でアルミナ層23からPCB類を抽出できるトルエンが好ましい。
油性液体に含まれるPCB類の濃度を測定する場合は、上述の抽出操作において得られた抽出液、すなわち、PCB類の疎水性溶媒溶液を分析用試料としてガスクロマトグラフィー法で分析する(工程5)。ガスクロマトグラフィー法は、各種の検出器を備えたガスクロマトグラフィーを用いて実施することができるが、通常は、PCB類に対する感度が良好なガスクロマトグラフ質量分析法(GC/MS法)またはガスクロマトグラフ電子捕獲検出法(GC/ECD法)が好ましい。特に、GC/MS法によれば、分析用試料に含まれるPCB類を異性体や同族体の単位で定量することができるため、分析結果からより多くの知見を得ることができる。
なお、上述の抽出操作において得られた抽出液は、ガスクロマトグラフィー法での分析に当り、必要なときは適宜濃縮して用いることもできる。
本発明の抽出方法は低塩化PCB類、特に、塩素数が1のPCB類を高回収率で抽出可能なことから、この抽出方法を用いた本発明に係るPCB類の測定方法は、低塩化PCB類を高精度で測定することができる。このため、本発明の測定方法は、例えば、PCB類を含む鉱物油や合成油等の油性液体を廃棄するために、油性液体に含まれるPCB類を脱塩素化物に変換するための金属ナトリウム法等の脱塩素化処理をする場合において、PCB類が脱塩素化物に変換されていることの確認、すなわち、脱塩素化処理工程の完了時期の判断のために用いることができる。
この場合、油性液体に含まれるPCB類を脱塩素化処理することで脱塩素化物に変換する工程において、処理中の油性液体の一部を適時に採取して上記測定方法を適用し、油性液体中のPCB類の濃度を測定する。そして、PCB類濃度が実質的に0の測定結果が得られたとき、油性液体に含まれるPCB類が脱塩素化物に変換されたものと見なすことができることから、脱塩素化処理工程を終了する。
上述の実施の形態は、例えば、以下のような変形が可能である。
(1)上述の実施の形態では、第一カラム10と第二カラム20との間を連結部材30により着脱可能に連結しているが、カラム間の連結には他の手段を用いることもできる。例えば、カラムの連結部に摺り合わせ部を設け、カラム間をこの摺り合わせ部の接続により着脱可能に連結することができる。
(2)上述の実施の形態では、リザーバ50に貯留した脂肪族炭化水素溶媒を加圧装置51により加圧することで第一カラム10へ供給しているが、リザーバ50の脂肪族炭化水素溶媒は、加圧装置51を用いずに自然に第一カラム10へ流下させることもできる。また、脂肪族炭化水素溶媒は、シリンジポンプなどの定量ポンプや吸引装置を用いて第一カラム10へ供給することもできる。さらに、脂肪族炭化水素溶媒は、ピペットなどの供給器具を用いた手作業により第一カラム10へ供給することもできる。
(3)上述の実施の形態では、第二カラム20の空隙24へ供給した疎水性溶媒をアルミナ層23に対して自重により自然に供給するようにしたが、第二カラム20の開口部21または反転により第二カラム20の上端側へ移動した開口部22へ疎水性溶媒を供給するためのリザーバを設置し、このリザーバへ供給した疎水性溶媒を第二カラム20に対して自重により自然に供給するように変更することもできる。また、疎水性溶媒は、シリンジポンプなどの定量ポンプや吸引装置を用いて第二カラム20へ供給することもできる。
(4)上述の実施の形態では、第二カラム20へ不活性ガスや疎水性溶媒を供給する際に、第二カラム20を第一カラム10から分離しているが、第二カラム20を第一カラム10から分離せずに、第二カラム20に対して不活性ガスや疎水性溶媒を供給可能なように変更することもできる。これは、例えば、第一カラム10と第二カラム20とを流路切替弁を有する連結装置を用いて連結することで実現することができる。この場合に用いられる流路切替弁は、不活性ガスの導入口と疎水性溶媒の排出口とを有し、また、第一カラム10と第二カラム20とを連絡するための流路、不活性ガスの導入口と第二カラム20とを連絡するための流路および第二カラム20と疎水性溶媒の排出口とを連絡するための流路を有するものであり、流路の切替えにより、第一カラム10から第二カラム20への脂肪族炭化水素溶媒の供給、不活性ガス導入口から第二カラム20への不活性ガスの導入、および、第二カラム20へ供給された疎水性溶媒の排出口からの排出のいずれかを選択可能なものである。
(5)上述の実施の形態では、油性液体に含まれるPCB類の濃度を測定するために、当該油性液体から採取した試料からPCB類を抽出する場合を中心に本発明を説明したが、本発明は他の目的において利用することもできる。例えば、PCB類を含む油性液体は廃棄処分する際にPCB類を脱塩素化処理や焼却処理することで無害化する必要があるが、処分量が多い場合はこのような無害化処理を円滑に進めるのが困難なことがある。そこで、廃棄処分する油性液体に対して本発明の抽出方法を適用すれば、油性液体に含まれるPCB類を減量された疎水性溶媒溶液に変換することができ、PCB類の無害化処理を実施しやすくなる。
模擬試料の調製
n−トリデカン(炭化水素系溶剤)90重量%とビフェニル10重量%とを混合し、以下の実施例および比較例で用いる模擬試料を調製した。
実施例1
内径13mmで長さ70mmのカラム内に3.8gの硫酸シリカゲル(三浦工業株式会社の商品名「ラピアナ硫酸シリカ」)を高さが40mmになるよう充填し、第一カラムを作成した。また、内径4.6mmで長さ100mmのカラム内に0.6gのアルミナ(MP Biomedicals社の商品名「MP Alumina B Super I for Dioxin Analysis」)を高さが35mmになるよう充填し、第二カラムを作成した。
起立状態の第一カラムの下端側へ第二カラムを連結し、第一カラムの上端側へ模擬試料50mgおよび濃度算出用の内標準物質溶液(CIL社の商品名「EC−5411」)50μLを添加した。そして、20mLのn−ヘキサンを2mL/分の速度で第一カラムの上端へ供給し、第二カラムの下端から流出させた(初期工程)。初期工程の間、第一カラムの硫酸シリカゲル層の温度を室温(20℃)に維持した。そして、n−ヘキサンの供給終了後、第一カラムと第二カラムとを分離し、第二カラムのアルミナ層を85℃に加熱しながらn−ヘキサンの通過方向とは逆方向に窒素ガスを供給することで、第二カラムに残留しているn−ヘキサンを除去した。
次に、第二カラムに対し、n−ヘキサンの通過方向とは逆方向に疎水性溶媒を供給し、第二カラムのアルミナ層に捕捉されているPCB類を抽出した。ここでは、アルミナ層を85℃に加熱し、疎水性溶媒としてトルエンを用いた。また、疎水性溶媒の供給速度を50μL/分に設定し、第二カラムから排出される初流の200μLをPCB類の抽出液として採取した。操作開始からこの抽出液が得られるまでに要した時間は、約0.5時間であった。
採取した抽出液について、PCB類濃度の測定をした。ここでは、抽出液に対して回収率算出用の内標準物質溶液(CIL社の商品名「EC−5415」)50μLを添加することで分析用試料を調製し、この分析用試料を平成10年10月に環境庁から提示された「外因性内分泌攪乱化学物質調査暫定マニュアル」に記載の方法に従ってHRGC/LRMS法で分析するとともに、同マニュアルに記載の方法でPCB類濃度を計算した。
実施例2
第一カラムの上端側へ模擬試料50mg、濃度算出用の内標準物質溶液50μLおよびイソオクタン0.9mLを添加した点を除き、実施例1と同様に操作してPCB類の抽出液を採取し、そのPCB類の濃度を実施例1と同様にして測定した。なお、PCB類の抽出液を得るまでに要した時間は約0.5時間であった。
実施例3
第一カラムの上端側へ模擬試料50mg、濃度算出用の内標準物質溶液50μLおよびn−ヘキサン0.9mLを添加した点、疎水性溶媒の供給時のアルミナ層の加熱温度を60℃に変更した点、および、疎水性溶媒としてジクロロメタン含有n−ヘキサン(ジクロロメタン濃度20重量%)を用いた点を除き、実施例1と同様に操作してPCB類の抽出液を採取し、そのPCB類の濃度を実施例1と同様にして測定した。なお、PCB類の抽出液を得るまでに要した時間は約0.6時間であった。
比較例1
平成4年厚生省告示第192号「特別管理一般廃棄物及び特別管理産業廃棄物に係る基準の検定方法」の別表第二に記載の方法(すなわち、先に説明した公定法)に従って模擬試料からPCB類の分析用試料を調製した。分析用試料の調製に要した時間は約3日であった。また、上記公定法に従い、調製した分析用試料のPCB類濃度をHRGC/HRMS法により測定した。
比較例2
内径13mmで長さ70mmのカラム内に0.6gの硝酸銀シリカゲルを10mmの高さになるよう充填し、その上に3.8gの硫酸シリカゲル(実施例1で用いたものと同じもの)を高さ40mmになるようさらに充填して第一カラムを調製した。また、内径4.6mmで長さ100mmのカラム内に0.6gのアルミナ(実施例1で用いたものと同じもの)を高さが35mmになるよう充填し、第二カラムを調製した。
硫酸シリカゲル層が上層になるよう起立させた第一カラムの上端側へ、模擬試料50mgおよびイソオクタン0.90mLを添加した。この第一カラムの硫酸シリカゲル層を85℃で30分加熱して室温まで冷却した後、第一カラムの下端側へ第二カラムを連結した。そして、20mLのn−ヘキサンを2mL/分の速度で第一カラムの上端へ供給し、第二カラムの下端から流出させた。n−ヘキサンの供給終了後、第一カラムと第二カラムとを分離し、第二カラムを85℃に加熱しながら窒素ガスを供給することで、第二カラムに残留しているn−ヘキサンを除去した。
次に、第二カラムに対し、n−ヘキサンの通過方向とは逆方向にトルエンを供給し、第二カラムにおいて捕捉されているPCB類を抽出した。ここでは、第二カラムを85℃に加熱するとともにトルエンの供給速度を50μL/分に設定し、第二カラムから排出される初流の200μLをPCB類の抽出液として採取した。操作開始からこの抽出液が得られるまでに要した時間は、約2時間であった。採取した抽出液について、そのPCB類の濃度を実施例1と同様にして測定した。
比較例3
第一カラムの上端側へ模擬試料50mg、濃度算出用の内標準物質溶液50μLおよびイソオクタン0.9mLを添加した点、および、初期工程の間に第一カラムの硫酸シリカゲル層の温度を加熱により85℃に維持した点を除き、実施例1と同様に操作してPCB類の抽出液を採取し、そのPCB類の濃度を実施例1と同様にして測定した。
比較例4
第一カラムを比較例2で用いたものに変更した点、および、第一カラムの上端側(硫酸シリカゲル層側の端部側)へ模擬試料50mg、濃度算出用の内標準物質溶液50μLおよびイソオクタン0.9mLを添加した点を除き、実施例1と同様に操作してPCB類の抽出液を採取し、そのPCB類の濃度を実施例1と同様にして測定した。
実施例1〜3および比較例1〜4における操作条件等をまとめて表1に示す。また、実施例1〜3および比較例1〜4に関し、PCB類濃度の測定結果から算出したPCB類の回収率を表2に示す。表2に示したPCB類の回収率は、濃度算出用の内標準物質および回収率算出用の内標準物質に基づくものである。
Figure 0005626538
Figure 0005626538

Claims (8)

  1. ポリ塩化ビフェニル類を含む油性液体から前記ポリ塩化ビフェニル類を抽出するための方法であって、
    硫酸シリカゲルからなる単層のシリカゲル層とアルミナ層とを備えた一連の流路系の前記シリカゲル層へ前記油性液体を添加する工程1と、
    前記シリカゲル層に対して脂肪族炭化水素溶媒を供給し、当該脂肪族炭化水素溶媒を前記シリカゲル層と前記アルミナ層とにこの順で通過させる工程2と、
    前記アルミナ層に対し、前記ポリ塩化ビフェニル類を溶解可能な疎水性溶媒を供給して通過させる工程3と、
    前記アルミナ層を通過した前記疎水性溶媒を確保する工程4とを含み、
    工程1および工程2において、前記シリカゲル層の温度を35℃未満に設定する、
    ポリ塩化ビフェニル類の抽出方法。
  2. 前記流路系は、前記シリカゲル層が充填された第一カラムと、前記アルミナ層が充填された、前記第一カラムに対して着脱可能な第二カラムとを備えている、請求項1に記載のポリ塩化ビフェニル類の抽出方法。
  3. 工程3において、前記アルミナ層に対し、前記脂肪族炭化水素溶媒の通過方向とは逆方向に前記疎水性溶媒を供給して通過させる、請求項1または2に記載のポリ塩化ビフェニル類の抽出方法。
  4. 工程3において前記アルミナ層に対して前記疎水性溶媒を供給する前に、前記アルミナ層に残留している前記脂肪族炭化水素溶媒を除去する、請求項1から3のいずれかに記載のポリ塩化ビフェニル類の抽出方法。
  5. 工程3において、前記アルミナ層を少なくとも35℃に加熱しながら前記アルミナ層に対して前記疎水性溶媒を供給する、請求項1から4のいずれかに記載のポリ塩化ビフェニル類の抽出方法。
  6. ポリ塩化ビフェニル類を含む油性液体に含まれる前記ポリ塩化ビフェニル類を測定するための方法であって、
    硫酸シリカゲルからなる単層のシリカゲル層とアルミナ層とを備えた一連の流路系の前記シリカゲル層へ前記油性液体を添加する工程1と、
    前記シリカゲル層に対して脂肪族炭化水素溶媒を供給し、当該脂肪族炭化水素溶媒を前記シリカゲル層と前記アルミナ層とにこの順で通過させる工程2と、
    前記アルミナ層に対し、前記ポリ塩化ビフェニル類を溶解可能な疎水性溶媒を供給して通過させる工程3と、
    前記アルミナ層を通過した前記疎水性溶媒を確保する工程4と、
    確保した前記疎水性溶媒をガスクロマトグラフィー法により分析する工程5とを含み、
    工程1および工程2において、前記硫酸シリカゲル層の温度を35℃未満に設定する、
    油性液体中のポリ塩化ビフェニル類の測定方法。
  7. 油性液体に含まれるポリ塩化ビフェニル類を脱塩素化処理することで脱塩素化物に変換する工程を含み、
    請求項6に記載の測定方法により前記油性液体に含まれる前記ポリ塩化ビフェニル類を測定することで前記工程の完了時期を判断する、
    ポリ塩化ビフェニル類の脱塩素化処理方法。
  8. ポリ塩化ビフェニル類を含む油性液体から前記ポリ塩化ビフェニル類を抽出するために用いられるカラムであって、
    硫酸シリカゲルからなる単層のシリカゲル層が充填された第一カラムと、
    前記第一カラムの一端に着脱可能に連結された、アルミナ層を充填した第二カラムと、
    を備えたポリ塩化ビフェニル類の抽出用カラム。
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