以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について詳説する。
〔第1の実施形態〕
図1は、本実施形態に係るインクジェット記録装置10のシステム構成を示すブロック図である。なお、同図では、主に画像データの処理に関連する部分のみを示している。同図に示したように、本例のインクジェット記録装置10は、ホストコンピュータ等の外部の画像生成部101と通信を行うためのインターフェース部(ホストインターフェース部)110、中央演算処理装置(CPU)112、画像ページメモリ114、並べ替え部116、画像バッファメモリ118、後処理演算部120、ラインヘッド200にデータを転送する転送制御部122等を備えている。
インクジェット記録装置10は、ラインヘッド200から用紙P上にインクを打滴して用紙P上に画像を記録する装置である。図2に示すように、インクジェット記録装置10は、搬送装置(不図示)により用紙Pをラインヘッド200に対して副走査方向に相対移動させ、ラインヘッド200の下方を通過させる。ラインヘッド200は、下面(ノズル面)に配列された各ノズルからインクを吐出し、用紙P上に画像を形成する。なお、図2は、ラインヘッド200の上面図であり、下面に配列されたノズルを透過させて図示したものである。
ラインヘッド200は、非反転ヘッド200A及び反転ヘッド200Bの2つのヘッドモジュールから構成される。図2に示すように、非反転ヘッド200Aは、32個のノズルが、副走査方向と直交する主走査方向に対して一定の角度θを有する斜めの列方向に沿って一定の配列パターンで格子状に配置されている。図2において各ノズルの位置に付された数字は、そのノズルの番号(ノズル番号)を示している。これらのノズルは、主走査方向について、実質的に各ノズルが一定のピッチで直線状に配列されたものと等価的に取り扱うことができるように配置されている。すなわち、1番ノズルで打滴したインク滴の主走査方向に隣接するインク滴は2番ノズルで打滴することができ、2番ノズルで打滴したインク滴の主走査方向に隣接するインク滴は3番ノズルで打滴することができる。
また、8番ノズルで打滴したインク滴の主走査方向に隣接するインク滴は9番ノズルで打滴することができるとともに、この9番ノズルは1番ノズルと主走査方向の直線上に配置されている。このように、主走査方向に隣り合うノズル(例えば1、9、17、25番ノズル)は、搬送される用紙Pに対して同じ遅延量を有するグループとして扱うことができる。
反転ヘッド200Bは、図2に示すように、非反転ヘッド200Aをノズル面の向きを一定として(ノズル面を記録媒体に向けたまま)180度回転(反転)させたものである。なお、ここでいう180度とは、180度を中心とする一定範囲を含んでおり、180度以外の角度を排除するものではない。例えば、180度±1%の範囲であれば、後述する画像記録に支障がないため、本実施形態に含むことができる。
したがって、反転ヘッド200Bは、1番ノズル〜32番ノズルの配置が非反転ヘッド200Aとは180度反転している。また、非反転ヘッド200Aと反転ヘッド200Bとは、主走査方向の直線上に配置されており、非反転ヘッド200Aと反転ヘッド200Bの主走査方向に隣り合うノズル(例えば非反転ヘッド200Aの1,9,17,25番ノズルと反転ヘッド200Bの32、24、16、8番ノズル)は、主走査方向の直線上に配置されている。すなわち、非反転ヘッド200Aと反転ヘッド200Bの主走査方向に隣り合うノズルは、同じ遅延量を有するグループとして扱うことができる。
図1に戻り、ホストインターフェース部110は、画像生成部101から送られてくる画像データを受信する画像入力手段として機能する通信インターフェース部(画像入力部)であり、CPUバス126を介してCPU112に接続されている。このホストインターフェース部110にはUSB(Universal Serial Bus)、IEEE1394、イーサネット(登録商標)、無線ネットワークなどのシリアルインターフェースやセントロニクスなどのパラレルインターフェースを適用することができる。この部分には、通信を高速化するためのバッファメモリ(不図示)を搭載してもよい。
CPU112は、所定のプログラムに従ってインクジェット記録装置10の全体を制御する制御装置として機能するとともに、各種演算を行う演算装置として機能する。すなわち、CPU112は、ホストインターフェース部110による画像生成部101との間の通信制御、画像ページメモリ114及びROM130の読み書き制御等を行う。
ROM130には、CPU112が実行するプログラム及び制御に必要な各種データ(ノズル特性を検出するためのテストパターンのデータを含む)などが格納されている。ROM130は、書換不能な記憶手段であってもよいが、各種のデータを必要に応じて更新する場合は、EEPROMのような書換可能な記憶手段を用いることが好ましい。
画像ページメモリ114は、ホストインターフェース部110を介して入力された画像を格納する記憶手段であり、1ページ分の画像データを記憶し得る記憶容量(例えば、数100MB〜1GB)を有する。本例の画像ページメモリ114にはDRAM(dynamic random-access memory)が用いられる。画像ページメモリ114は、CPUバス126に接続され、CPU112を通じてデータの読み書きが行われる。この画像ページメモリ114は、印刷用の画像データの一時記憶領域として利用されるとともに、CPU112が実行するプログラムの展開領域及びCPU112の演算作業領域としても利用される。なお、この画像ページメモリ114は、アクセスの効率化のため、例えば32bit幅を単位(1ワード)として構成する。
並べ替え部116は、入力側ラインメモリ140と、並べ替え回路142と、出力側ラインメモリ144と、画像バッファメモリ書き込み制御部146とを含んで構成される。
入力側ラインメモリ140はCPUバス126を介して画像ページメモリ114と接続されている。一方、出力側ラインメモリ144は第1画像出力バス151を介して画像バッファメモリ118に接続されている。
並べ替え部116における処理の詳細は後述するが、この並べ替え部116では、ヘッドの主走査方向線上に並ぶ隣接ノズルのデータが同一ワード内又は隣接ワード内に配置されるようにデータ列の並べ替えが行われる。並べ替えが行われた1ライン分のデータは、出力側ラインメモリ144から画像バッファメモリ書き込み制御部146を介して画像バッファメモリ118に転送され、当該1ライン分のデータが画像バッファメモリ118上において連続するアドレスで格納される。
本例の画像バッファメモリ118は、32bit幅を1ワードとするDRAMで構成されており、少なくともラインヘッド200におけるノズルの2次元マトリクス配列の占有面積分に相当する画像領域(後述する図6において符号170で示した点線で囲んだ範囲に相当)のデータを記憶する容量を有し、ヘッド占有面積相当の複数ライン分の印字データが蓄積される。
後処理演算部120は、画像バッファメモリ118上で、例えば、異常ノズルに対するマスク処理(打滴禁止処理)や、シェーディング補正処理(ノズルごとに打滴率を加減する処理)など、を行う演算手段である。画像バッファメモリ118に記憶されている印字データに対して、後処理演算部120によって所定の後処理が行われ、処理後のデータが画像バッファメモリ118に書き戻される。
画像バッファメモリ118は、第2画像出力バス152を介して転送制御部122に接続されている。画像バッファメモリ118から1回の打滴分(全ノズル分)の印字データが読み出され、転送制御部122を介して非反転ヘッド200A及び反転ヘッド200Bに転送される。転送制御部122は、1回の打滴分の印字データを記憶するラインメモリ124(図1では不図示)を有し、この印字データを各ヘッド200A、200Bに送信するための分割処理や、転送フォーマット調整を行う。また、転送制御部122において印字データをシリアル変換して非反転ヘッド200A及び反転ヘッド200Bに印字データを転送することにより、非反転ヘッド200A及び反転ヘッド200Bへの信号線の本数を削減することができる。
こうして、印字内容に応じた印字データが非反転ヘッド200A及び反転ヘッド200Bに加えられることによって、非反転ヘッド200A及び反転ヘッド200Bの各ノズルに対応するアクチュエータ(図22に図示する圧電素子220)の駆動が制御され、該当するノズルからインクが吐出される。用紙Pの搬送速度に同期して非反転ヘッド200A及び反転ヘッド200Bからのインク吐出を制御することにより、用紙P上に画像が形成される。
図3に並べ替え部116の構造例を示す。入力側ラインメモリ140と出力側ラインメモリ144は、いわゆるレジスタ(フリップフロップ)で構成される。また、並べ替え回路142は、例えば、入力側ラインメモリ140における各フリップフロップの出力端子と、出力側ラインメモリ144における各フリップフロップの入力端子の接続(結線)を規定する回路により構成される。出力側ラインメモリ144の出力端子は、セレクタ/マスク処理を行う画像バッファメモリ書き込み制御部146を介して画像出力バス151に接続される。なお、並べ替え回路142の結線形態を適宜変更することにより、所望の並べ替えを実現することが可能である。
図4は、並べ替え部116の他の構造例を示す図である。同図において図3の構成と同一又は類似する要素には同一の符号を付し、その説明は省略する。
図3の例では、入力側と出力側の2本のラインメモリ(140、144)を有する構成を説明したが、高速アクセスが可能なレジスタであれば、該レジスタへの入力の切り替えと、出力と入力の接続(結線)により、ラインメモリ1本で構成することも可能である。
図4は、並べ替え部116を1本のラインメモリで構成する例である。図示のセレクタ148は、ラインメモリ141への入力を切り替える手段である。このセレクタ148により、CPUバス126からデータをラインメモリ141に入力させる接続形態と、並べ替え回路142からの出力をラインメモリ141に入力させる接続形態とが選択的に切り替えられる。
CPUバス126を介して、1ライン分のデータがラインメモリ141へ書き込まれると、そのラインメモリ141の出力を並べ替え回路142(結線)によって並べ替える。この並べ替えられたデータはセレクタ148を介してラインメモリ141に入力され、ラインメモリ141に記憶される。
こうして、得られた1ライン分の並べ替えデータ(ラインメモリ141に再格納されたデータ)は、画像バッファメモリ書き込み制御部146を介して第1画像出力バス151経由で画像バッファメモリ118へと転送される(図1参照)。
図5は、並べ替え部116の更に他の構造例を示す図である。同図に示す態様は、4本(2組)のラインメモリを用いる構成であり、図3で説明した入力側と出力側の2本のラインメモリを有する並べ替え処理の構成を2組備えるものである。図5において図3の構成と同一又は類似する要素には同一の符号を付し、その説明は省略する。
図5では、入力側ラインメモリ140-1、並べ替え回路142-1、出力側ラインメモリ144-1から構成される第1の並べ替え部116-1と、入力側ラインメモリ140-2、並べ替え回路142-2、出力側ラインメモリ144-2から構成される第2の並べ替え部116-2を備えており、これら2組の並べ替え部116-1、116-2を交互に使うことで、1ラインずつの並べ替え処理を高速化できる。
また、図5のような構成を採用することで、図4で説明した高速のレジスタを用いる態様に代えて、比較的低速のレジスタを用いて実現することができる。もちろん、図5に示した4本(2組)のラインメモリを用いる構成を更に拡張して多数組(3組以上)の構成とし、一層の高速化を達成することも可能である。
次に、並べ替え部116における処理と画像バッファメモリ118への書き込み及び読み出しについて更に具体的に説明する。なお、ここでは、説明の便宜上、1ワードを4ビットの単位とし、図6に示した画像データ(印字データ)の転送について解説する。
図6は1ページ分の印字データを表しており、図中の点線170で囲んだ範囲は、ラインヘッド200の占有面積領域を表している。また、図中の左側半分の1〜32の番号で表したセルの位置は、非反転ヘッド200Aにおけるノズル番号1〜32に、図中の右側半分の1〜32の番号で表したセルの位置は、反転ヘッド200Bにおけるノズル番号1〜32に、それぞれ対応している。すなわち、印字データのうち左側半分は非反転ヘッド200Aによって印字され、右側半分は反転ヘッド200Bによって印字される。なお、ここでいう1ページ分の印字データとは、印刷、製本後の1ページを指すのではなく、ラインヘッド200において記録しようとする1つのデータのまとまりを指す。
印刷すべき画像の1ページ分の印字データ(図6)は、図1で説明した画像ページメモリ114に記憶され、この画像ページメモリ114から、主走査方向(図6の横方向)に並ぶ画素列の1ラインずつデータが読み出され、1ライン分のデータが並べ替え部116の入力側ラインメモリ140に転送される。
図7(a)は、非反転ヘッド200Aと反転ヘッド200Bの各ノズル番号のノズルの位置を示している。また、図7(b)は、図6の符号kで示した行番号の1ライン分のデータを入力側ラインメモリ140に格納した様子を示している。入力側ラインメモリ140のアドレスを左から右に向かって1〜64とすると、アドレス1〜32のデータについては非反転ヘッド200Aにおいて印字し、アドレス33〜64のデータについては反転ヘッド200Bにおいて印字することになる。
図7(a)、(b)に示すように、この1ライン分のデータのうち、非反転ヘッド200Aの主走査方向に隣り合う1番ノズル、9番ノズル、17番ノズル、25番ノズルに対応するデータは、入力側ラインメモリ140のアドレス1,9,17,25に格納されている。このように、隣接ノズルに対応するデータは1ライン上でとびとびの位置に存在しており、これらを同一ワード(ここでは4ビット単位)内に配置するように、並べ替え部116によってデータの並べ替えが行われる。
また、反転ヘッド200Bの主走査方向に隣り合う32番ノズル、24番ノズル、16番ノズル、8番ノズルに対応するデータは、入力側ラインメモリ140のアドレス33,41,49,57に格納されている。非反転ヘッド200Aの場合と同様に、これらを同一ワード内に配置するように、並べ替え部116によってデータの並べ替えが行われる。また、反転ヘッド200Bは、ノズルの配置が非反転ヘッド200Aとは180度反転しているため、これを考慮した並べ替えが行われる。
まず、並べ替え回路142のうち非反転ヘッド200Aに対応する部分は、出力側ラインメモリ144のアドレスを左から右に向かって1〜64とすると、入力側ラインメモリ140のアドレス1,9,17,25に格納されたデータを、出力側ラインメモリ144のアドレス1,2,3,4に格納するように結線されている。同様に、入力側ラインメモリ140のアドレス2,10,18,26のデータを出力側ラインメモリ144のアドレス5,6,7,8に格納するように結線されている。
これにより、入力側ラインメモリ140のアドレス1〜32のデータ列を{a1,a2,a3,・・・a32}とするとき、{a1,a9,a17,a25,a2,a10,a18,a26,a3,a11,a19,a27,・・・}という順番のデータ列とする並べ替えが行われ、並べ替え後のデータ列は出力側ラインメモリ144のアドレス1〜32に格納される。
このように、非反転ヘッド200Aの主走査方向に隣り合う隣接ノズル1,9,17,25のデータが、1ワード内で連続するデータに並び替えられる。また、出力側ラインメモリ144のアドレス1から32までを4ビット(1ワード)単位で区切ったデータ列{a1,a9,a17,a25},{a2,a10,a18,a26},…は、非反転ヘッド200Aにおける主走査方向に並ぶ隣接ノズルに対応するものとなる。
また、並べ替え回路142のうち反転ヘッド200Bに対応する部分は、入力側ラインメモリ140のアドレス33,41,49,57に格納されたデータを、出力側ラインメモリ144のアドレス64,63,62,61に格納するように結線されている。同様に、入力側ラインメモリ140のアドレス34,42,50,58に格納されたデータを、出力側ラインメモリ144のアドレス60,59,58,57に格納するように結線されている。
これにより、入力側ラインメモリ140のアドレス33〜64のデータ列を{a33,a34,a35,・・・a64}とするとき、{a33,a41,a49,a57,a34,a42,a50,a58,a35,a43,a51,a59,・・・}という順番のデータ列とする並べ替えが行われ、並べ替え後のデータ列は出力側ラインメモリ144のアドレス64〜33に反転して格納される。
このように、反転ヘッド200Bの主走査方向に隣り合う隣接ノズル32,24,16,8のデータが、1ワード内で連続するデータに並び替えられる。また、出力側ラインメモリ144のアドレス64から33までの4ビット(1ワード)単位で区切ったデータ列{a33,a41,a49,a57},{a34,a42,a50,a58},…は、反転ヘッド200Bにおける主走査方向に並ぶ隣接ノズルに対応するものとなる。
なお、図示の簡略化のために、ここでは非反転ヘッド200A及び反転ヘッド200Bにおける主走査方向の線上に並ぶノズル数をそれぞれ4個(例えば、ノズル番号1,7,13,19)としているため、これらに対応するデータが同一の1ワード内に配置されるが、ノズル数が更に多数となる実際の装置構成では、各ノズルに対応したデータが連続アドレスで複数ワードにまたがって格納されることになるため、主走査方向の線上に並ぶ隣接ノズルに対応するデータは同一ワード内に配置されるか、又は隣接するワード内に配置されることになる。
図6に示した印字データにおける他の行番号のデータ列についても、上記同様に1ラインずつ並べ替えの処理が行われ、図7(c)に示すように、画像バッファメモリ118上に複数ライン分(ヘッド面積相当分)の印字データ(並べ替え後)が格納される。
続いて、この画像バッファメモリ118から、転送制御部122によって非反転ヘッド200A及び反転ヘッド200Bの1回の打滴分(1吐出分)の印字データに対応するデータ(非反転ヘッド200Aのノズル番号1〜32及び反転ヘッド200Bのノズル番号32〜1に対応するデータ)がラインメモリ124に読み出される(図7(d))。
図7の場合、非反転ヘッド200Aの最初の1回分の打滴データは、ラインメモリ124のアドレスを左から右に向かって1〜64とすると、画像バッファメモリ118の第1行目(図7(c)の最下行)、第5行目、第9行目、第13行目、第17行目、第21行目、第25行目、第29行目から、それぞれ図示のようにワード(4ビット)単位でラインメモリ124のアドレス1から順方向に集められる。このように、画像バッファメモリ118からのデータの読み出しはワード単位で行われるが、ヘッド上で主走査方向に隣り合う隣接ノズル(同じ遅延量を有するノズル)のデータが同一ワード内で連続しているため、1回分の打滴データを高速に転送することができる。
また、反転ヘッド200Bの最初の1回分の打滴データは、画像バッファメモリ118の第1行目、第5行目、第9行目、第13行目、第17行目、第21行目、第25行目、第29行目から、それぞれ図示のようにワード(4ビット)単位でラインメモリ124のアドレス64から逆方向に集められる。このように、反転ヘッド200Bはノズルの配置が180度反転しているため、ヘッド上で主走査方向に隣り合う隣接ノズル(同じ遅延量を有するノズル)のデータを同一ワード内で連続させてアドレス逆方向に並べられる。
なお、2回目の打滴データは、画像バッファメモリ118の第2行目、第6行目、第10行目、第14行目、第18行目、第22行目、第26行目、第30行目からそれぞれワード単位で集められる。以後、同様に、画像バッファメモリ118から1回の打滴分のデータが読み出される。
このようにラインメモリ124に読み出された1回分の打滴データは、転送制御部122により非反転ヘッド200A及び反転ヘッド200Bへ転送され、各ノズルの吐出駆動が制御される。図7(e)は、各ノズルが打滴するデータを示している。
すなわち、転送制御部122から非反転ヘッド200Aに、ラインメモリ124のアドレス1〜32のデータ列{a1,a9,a17,a25},{a2,a10,a18,a26},…が転送される。これらのデータは、それぞれ非反転ヘッド200Aのノズル番号1,9,17,25,2,10,18,26、…の各ノズルに割り振られる。
非反転ヘッド200Aへの転送が終了すると、引き続き転送制御部122から反転ヘッド200Bにラインメモリ124のアドレス33〜64のデータ列{a64,a56,a48,a40},{a63,a55,a47,a39},…が転送される。これらのデータは、それぞれ反転ヘッド200Bのノズル番号1,9,17,25,2,10,18,26、…の各ノズルに割り振られる。
このように、反転ヘッド200Bに対しては、ノズルの配置が180度反転していることに対応させて、転送するデータを反転させておく。これにより、ラインヘッド200では、非反転ヘッド200A、反転ヘッド200Bにかかわらず、転送制御部122から転送されてきたデータをノズル番号1,9,17,25,2,10,18,26、…の順に各ノズルに割り振ることができる。すなわち、転送制御部122とラインヘッド200の各ヘッドとのインターフェースの仕様を、反転ヘッド200Bの有無にかかわらず共通化することができる。
なお、並べ替え部116におけるデータの並べ替えについては、非反転ヘッド200Aと反転ヘッド200Bについて同様の並べ替えを行い、出力側ラインメモリ144から画像バッファメモリ118への読み出し処理について、反転ヘッド200Bに対応するデータを反転して行うことで、上記と同様に、転送制御部122とラインヘッド200の各ヘッドとのインターフェースの仕様を共通化することができる。
なお、本実施形態において、主走査方向に沿った直線上に並ぶ隣接記録素子に対応する画素のデータを同一ワード内又は隣接ワード内に配置するようにデータを並べ替えることは必須な要件ではない。すなわち、画像ページメモリ114から各ノズルに対応する印字データを直接転送制御部122のラインメモリ124に読み出す態様であっても、反転ヘッド200Bに対応する領域については、非反転ヘッド200Aに対応する領域とはデータ順を反転してラインメモリ124に読み出すことで、転送制御部122とラインヘッド200の各ヘッドとのインターフェースの仕様を共通化することができる。
次に、上記の如く構成された本例のインクジェット記録装置10の動作をプリント時のデータの流れに沿って説明する。図8は、画像データの流れを示した模式図である。
ここでは、インクジェット記録装置10内に画像ページメモリ114を具備する構成とし、画像生成部101から所定の通信インターフェースを介して、1ページ分の画像データをプリンタに転送するものとする。また、並べ替えの処理部には、図3で例示した構成が採用されているものとする。
(ステップ1)まず、印刷しようとする1ページ分の画像データを、画像ページメモリ114に格納する。このとき、入力画像が多階調であれば、誤差拡散処理やブルーノイズマスク処理などのいわゆる2値化処理を行い、1画素あたり1bit〜2bit程度のデータに変換して画像ページメモリ114に格納する。この変換処理は、一般的には画像生成部101で行うが、プリンタ内部のCPU112で行ってもよい。
(ステップ2)次いで、画像ページメモリ114内の印字データを、主走査方向の1ラインずつ、並べ替え部116の入力側ラインメモリ140に転送する。このときの転送は、画像ページメモリ114のワード単位(本例では32bit幅)で行われる。
(ステップ3)入力側ラインメモリ140のデータを、並べ替え回路142で並べ替え、出力側ラインメモリ144に書き込む。この並べ替え処理は、マトリクス型のラインヘッドにおける隣接ノズル(主走査方向に並ぶノズル)のデータが同一ワード内或いは隣接ワード内に配置されるように行う。また、反転ヘッドについては、非反転ヘッドとはノズルの配置が180度異なることが考慮される。
(ステップ4)出力側ラインメモリ144から画像バッファメモリ118に転送する。このとき、画像バッファメモリ118には、転送された1ライン分のデータが連続するアドレスで格納される。
(ステップ5)画像バッファメモリ118からラインメモリ124に1回の打滴分の印字データを読み出し、転送制御部122を介して非反転ヘッド200A及び反転ヘッド200Bに転送する。画像バッファメモリ118からのデータ読み出し時は、書き込み時とは異なり、完全には連続するアドレスからの読み出しではないが、データがワード単位でまとまっているので、ワード単位での連続アクセスが可能である。また、メモリの構成としても特殊なものではなく、例えば、32bitを単位とする一般的なDRAMを用いて容易に構成できる。
なお、画像バッファメモリ118への格納から非反転ヘッド200A及び反転ヘッド200Bへの転送の間に後処理演算部120(図1参照)などによって、画像バッファメモリ118上で印字データに処理を行うことも可能である。既述のとおり、この画像バッファメモリ118上では、複数回印字分のデータが格納されており、また非反転ヘッド200A及び反転ヘッド200Bのノズル位置と画像バッファメモリ118上のアドレスが対応しているため、例えば、画像データ上では処理が複雑になるようなノズルに対応した印字データの後処理を、容易(高速に)に実現できるという利点がある。
後処理演算部120における処理の一例として、画像バッファメモリ118上でのマスク処理の例を図9に示す。図9は、後処理演算部120の一例を示す説明図である。
画像バッファメモリ118上では、複数回の打滴分の印字データが、ヘッドのノズル位置とメモリアドレスが対応する形で格納されている。したがって、この図9の例に示すように、画像バッファメモリ118に対し、マスクパターン176をAND演算することにより、特定のノズルのデータを制御できる。
この例では、マスクパターン176として、ノズル番号「1」と「25」に対応する位置に「1(ON)」と「0(OFF)」を交互に割り当てたマスクパターンが用いられ、ノズル番号「1」と「25」に対し、1回の打滴ごとに強制的に吐出をOFFにしている。
例えば吐出不良ノズルに対して、上記のマスク処理を適用することで、吐出不良ノズルの動作を禁止することができる。
後処理演算部120における処理の他の例として、ノズル毎に打滴率を加減するシェーディング補正が挙げられる。
〔第2の実施形態〕
第1の実施形態の非反転ヘッド200Aは、ヘッドの中心に関してノズルの配置が点対称であるため、非反転ヘッド200Aと反転ヘッド200Bとは、ノズルの配置が等価である。本実施形態では、ヘッドの中心に関してノズルの配置が非対称に配置されたヘッドを用いた場合について説明する。なお、本実施形態に係るインクジェット記録装置10のシステム構成は、図1に示したブロック図と同様であるので、詳細な説明は省略する。
本実施形態に係る非反転ヘッド200Cは、図10(a)に示すように、32個のノズルが、主走査方向に対して角度θ又は180度−θを有する斜めの列方向に沿って配置されている。これらのノズルは、主走査方向について、実質的に各ノズルが一定のピッチで直線状に配列されたものと等価的に取り扱うことができるように配置されている。
また、主走査方向に隣り合う隣接ノズル(例えば1,16,17,32番ノズル)は、主走査方向の直線上に配置されており、搬送される用紙Pに対して同じ遅延量を有する。
反転ヘッド200Dは、図10(a)に示すように、非反転ヘッド200Cをノズル面の向きを一定として(ノズル面を記録媒体に向けたまま)180度回転(反転)させたものである。ヘッドの中心に関してノズルの配置が非対称であるので、非反転ヘッド200Cと反転ヘッド200Dとは、ノズルの配置が異なったものとなる。
また、非反転ヘッド200Cと反転ヘッド200Dとは、主走査方向の直線上に配置されており、非反転ヘッド200Cと反転ヘッド200Dの主走査方向に隣り合うノズル(例えば非反転ヘッド200Cの1,16,17,25番ノズルと反転ヘッド200Dの25,24,9,8番ノズル)は、主走査方向の直線上に配置されている。すなわち、非反転ヘッド200Cと反転ヘッド200Dの主走査方向に隣り合うノズルは、同じ遅延量を有する。
図10(b)は、1ライン分のデータを入力側ラインメモリ140に格納した様子を示している。入力側ラインメモリ140のアドレス1〜32のデータについては非反転ヘッド200Cにおいて印字し、アドレス33〜64のデータについては反転ヘッド200Dにおいて印字することになる。
図10(a)、(b)に示すように、この1ライン分のデータのうち、非反転ヘッド200Cの主走査方向に隣り合う1,16,17,32番ノズルに対応するデータは、入力側ラインメモリ140のアドレス1,16,17,32に格納されている。並べ替え部116は、これらを同一ワード(ここでは4ビット単位)内に配置するように並べ替えを行う。
また、反転ヘッド200Dの主走査方向に隣り合う25,24,9,8番ノズルに対応するデータは、入力側ラインメモリ140のアドレス40,41,56,57に格納されている。非反転ヘッド200Cの場合と同様に、並べ替え部116は、これらを同一ワード内に配置するように並べ替えを行う。ただし、反転ヘッド200Dは、ノズルの配置が非反転ヘッド200Cとは180度反転しているため、これを考慮した並べ替えを行う。
まず、並べ替え回路142のうち非反転ヘッド200Cに対応する部分は、入力側ラインメモリ140のアドレス1,16,17,32に格納されたデータを、出力側ラインメモリ144のアドレス1,2,3,4に格納するように結線されている。同様に、入力側ラインメモリ140のアドレス2,15,18,31に格納されたデータを出力側ラインメモリ144のアドレス5,6,7,8に格納するように結線されている。
これにより、入力側ラインメモリ140のアドレス1〜32のデータ列を{a1,a2,a3,・・・a32}とするとき、{a1,a16,a17,a32,a2,a15,a18,a31,a3,a14,a19,a30,・・・}という順番のデータ列とする並べ替えが行われ、並べ替え後のデータ列は出力側ラインメモリ144のアドレス1〜32に格納される。
このように、非反転ヘッド200Cの主走査方向に隣り合う隣接ノズル1,16,17,32のデータが1ワード内で連続するデータに並び替えられる。また、出力側ラインメモリ144のアドレス1から32までを4ビット(1ワード)単位で区切ったデータ列{a1,a16,a17,a32},{a2,a15,a18,a31},…は、非反転ヘッド200Cにおける主走査方向に並ぶ隣接ノズルに対応するものとなる。
また、並べ替え回路142のうち反転ヘッド200Dに対応する部分は、入力側ラインメモリ140のアドレス40,41,56,57に格納されたデータを、出力側ラインメモリ144のアドレス64,63,62,61に格納するように結線されている。同様に、入力側ラインメモリ140のアドレス39,42,55,58に格納されたデータを、出力側ラインメモリ144のアドレス60、59、58、57に格納するように結線されている。
これにより、入力側ラインメモリ140のアドレス33〜64のデータ列を{a33,a34,a35,・・・a64}とするとき、{a40,a41,a56,a57,a39,a42,a55,a58,a38,a43,a54,a59,・・・}という順番のデータ列とする並べ替えが行われ、並べ替え後のデータ列は出力側ラインメモリ144のアドレス64〜33に反転して格納される。
このように、反転ヘッド200Dの主走査方向に隣り合う隣接ノズル25,24,9,8のデータが、1ワード内で連続するデータに並び替えられる。また、出力側ラインメモリ144のアドレス64から33までの4ビット(1ワード)単位で区切ったデータ列{a40,a41,a56,a57},{a39,a42,a55,a58},…は、反転ヘッド200Dにおける主走査方向に並ぶ隣接ノズルに対応するものとなる。
第1の実施形態と同様に、印字データにおける他の行番号のデータ列についても1ラインずつ並べ替えの処理が行われ、図10(c)に示すように、画像バッファメモリ118上に複数ライン分(ヘッド面積相当分)の印字データ(並べ替え後)が格納される。
続いて、この画像バッファメモリ118から、転送制御部122によって非反転ヘッド200C及び反転ヘッド200Dの1回の打滴分(1吐出分)の印字データに対応するデータがラインメモリ124に読み出される(図10(d))。
図10の場合、非反転ヘッド200Cの最初の1回分の打滴データは、画像バッファメモリ118の第1行目(図10(c)の最下行)、第5行目、第9行目、第13行目、第17行目、第21行目、第25行目、第29行目からそれぞれ図示のようにワード(4ビット)単位でラインメモリ124のアドレス1から順方向に集められる。
また、反転ヘッド200Dの最初の1回分の打滴データは、画像バッファメモリ118の第1行目、第5行目、第9行目、第13行目、第17行目、第21行目、第25行目、第29行目からそれぞれ図示のようにワード(4ビット)単位でラインメモリ124のアドレス64から逆方向に集められる。このように、反転ヘッド200Dはノズルの配置が180度反転しているため、ヘッド上で主走査方向に隣り合う隣接ノズルのデータを同一ワード内で連続させてアドレス逆方向に並べられる。
なお、2回目の打滴データは、画像バッファメモリ118の第2行目、第6行目、第10行目、第14行目、第18行目、第22行目、第26行目、第30行目からそれぞれワード単位で集められる。以後、同様に、画像バッファメモリ118から1回の打滴分のデータが読み出される。
このようにラインメモリ124に読み出された1回分の打滴データは、転送制御部122により非反転ヘッド200C及び反転ヘッド200Dへ転送され、各ノズルの吐出駆動が制御される。
すなわち、転送制御部122から非反転ヘッド200Cに、ラインメモリ124のアドレス1〜32のデータ列{a1,a16,a17,a32},{a2,a15,a18,a31},…が転送される。これらのデータは、それぞれ非反転ヘッド200Cのノズル番号1,16,17,32,2,15,18,31,…の各ノズルに割り振られる。
非反転ヘッド200Cへの転送が終了すると、引き続き転送制御部122から反転ヘッド200Dに、ラインメモリ124のアドレス33〜64のデータ列{a64,a49,a48,a33},{a63,a50,a47,a34},…が転送される。これらのデータは、それぞれ反転ヘッド200Bのノズル番号1,16,17,32,2,15,18,31,…の各ノズルに割り振られる。
このように、ラインヘッド200では、非反転ヘッド200C、反転ヘッド200Dにかかわらず、転送制御部122から転送されてきたデータをノズル番号1,16,17,32,2,15,18,31,…の順に各ノズルに割り振ることができる。すなわち、転送制御部122とラインヘッド200とのインターフェースの仕様を、反転ヘッド200Dの有無にかかわらず共通化することができる。
〔第3の実施形態〕
図11は、本実施形態に係るインクジェット記録装置10のシステム構成を示すブロック図である。なお、図1に示すブロック図と共通する部分には同一の符号を付し、その詳細な説明は省略する。同図に示すように、本実施形態のラインヘッド500は、非反転ヘッドユニット510A及び反転ヘッドユニット510Bの2つのヘッドモジュールから構成される。また、転送制御部122は、非反転ヘッドユニット510Aと反転ヘッドユニット510Bに印字データを転送する。本実施形態では、この非反転ヘッドユニット510Aへのデータ転送と反転ヘッドユニット510Bへのデータ転送のインターフェースの仕様を共通化できるように、印字データの並べ替えを行う。
図12は、本実施形態に係るラインヘッド500を示す模式図である。同図に示すように、ラインヘッド500は、非反転ヘッドユニット510Aと反転ヘッドユニット510Bとが、交互に配置されている。
非反転ヘッドユニット510Aは、千鳥配置された3つのヘッドモジュールであるヘッド520a、520b、520cを備えている。各ヘッド520a、520b、520cは、それぞれ図2に示す非反転ヘッド200Aと同様のノズル配置となっている。
反転ヘッドユニット510Bは、非反転ヘッドユニット510Aをノズル面の向きを一定として(ノズル面を記録媒体に向けたまま)180度回転(反転)させたものである。したがって、反転ヘッドユニット510Bは、3つのヘッド520a、520b、520cが千鳥配置されており、各ヘッド520a、520b、520cは、それぞれ図2に示す反転ヘッド200Bと同様のノズル配置となっている。
更に、非反転ヘッドユニット510Aは、図12の左からヘッド520a、520b、520cの順に並ぶのに対し、反転ヘッドユニット510Bは、図12の左からヘッド520c、520b、520aの順に並ぶことになる。
次に、図13、図14を用いて、非反転ヘッドユニット510Aに転送する印字データの処理について説明する。
図13(a)は、非反転ヘッドユニット510Aの各ヘッド520a、520b、520cの配置と、各ヘッド520a、520b、520cに転送される印字データの関係を示す模式図である。同図に示すように、印字データは、ヘッド毎の遅延量が考慮されて転送されるため、ダミーデータ部(図13(a)のハッチング部分)が存在する。
図13(b)は、図13(a)の破線囲み部分の拡大図であり、付された数字は非反転ヘッドユニット510Aのノズル番号を示している。すなわち、ヘッド520aのノズル番号1〜32を1〜32、ヘッド520bのノズル番号1〜32を33〜64、ヘッド520cのノズル番号1〜32を65〜96とした全体のノズル番号である。同図に示すように、本実施形態では、ダミーデータ部の副走査方向の大きさは、ヘッドの副走査方向の幅(8ノズル分)と、副走査方向のギャップ幅(2ノズル分)との和となっている。
図14(a)は、非反転ヘッドユニット510Aのヘッド520a、520b、520cの配置と、各ノズル番号のノズルの位置を示している。これら3つのヘッドのノズルは、主走査方向について、実質的に各ノズルが一定のピッチで直線状に配列されたものと等価的に取り扱うことができるように配置されている。
また、ヘッド520aとヘッド520cは、主走査方向の直線上に配置されている。したがって、ヘッド520aとヘッド520cの主走査方向に隣り合うノズル(例えばヘッド520aの1,9,17,25番ノズルとヘッド520cの1,9,17,25番ノズル)は、主走査方向の直線上に配置されている。すなわち、ヘッド520aとヘッド520cの主走査方向に隣り合うノズルは、同じ遅延量を有する。
ヘッド520bについても、主走査方向に隣り合うノズルが、主走査方向の直線上に配置されている。更に、ヘッド520bは、ヘッド520a及び520cに対し、副走査方向に所定の遅延量を持つように記録媒体の搬送方向下流側に配置されている。ここでは、ヘッド520aの主走査方向に隣り合う8,16,24,32番ノズルと、ヘッド520bの主走査方向に隣り合う1,9,17,25番ノズルとは、ノズル2つ分のギャップ(遅延量)を有している。
図14(b)は、1ライン分のデータを入力側ラインメモリ140に格納した様子を示している。入力側ラインメモリ140のアドレスを左から右に向かって1〜96とすると、アドレス1〜32のデータについてはヘッド520aにおいて印字し、アドレス33〜64のデータについてはヘッド520bにおいて印字し、アドレス65〜96のデータについてはヘッド520cにおいて印字することになる。
この1ライン分のデータについて、並べ替え部116によって並べ替えを行う。ヘッド520a〜520cは、全て非反転であるから、第1の実施形態の非反転ヘッド200Aと同様に並べ替えればよい。
まず、並べ替え回路142のうちヘッド520aに対応する部分は、出力側ラインメモリ144のアドレスを左から右に向かって1〜96とすると、入力側ラインメモリ140のアドレス1,9,17,25に格納されたデータを、出力側ラインメモリ144のアドレス1,2,3,4に格納するように結線されている。同様に、入力側ラインメモリ140のアドレス2,10,18,26のデータを出力側ラインメモリ144のアドレス5,6,7,8に格納するように結線されている。
これにより、入力側ラインメモリ140のアドレス1〜32のデータ列を{a1,a2,a3,・・・a32}とするとき、{a1,a9,a17,a25,a2,a10,a18,a26,a3,a11,a19,a27,・・・}という順番のデータ列とする並べ替えが行われ、並べ替え後のデータ列は出力側ラインメモリ144のアドレス1〜32に格納される。
並べ替え回路142のうち、ヘッド520b及びヘッド520cに対応する部分についても同様に並べ替えを行う。
これにより、入力側ラインメモリ140のアドレス33〜64のデータ列を{a33,a34,a35,・・・a64}とするとき、{a33,a41,a49,a57,a34,a42,a50,a58,a35,a43,a51,a59,・・・}という順番のデータ列とする並べ替えが行われ、並べ替え後のデータ列は出力側ラインメモリ144のアドレス33〜64に格納される。また、入力側ラインメモリ140のアドレス65〜96のデータ列を{a65,a66,a67,・・・a96}とするとき、{a65,a73,a81,a89,a66,a74,a82,a90,a67,a75,a83,a91,・・・}という順番のデータ列とする並べ替えが行われ、並べ替え後のデータ列は出力側ラインメモリ144のアドレス65〜96に格納される。
このように並べ替えることで、出力側ラインメモリ144のアドレス1から96までを4ビット(1ワード)単位で区切ったデータ列{a1,a9,a17,a25},{a2,a10,a18,a26},…は、ヘッド520a、520b、520cの主走査方向に並ぶ隣接ノズルに対応するものとなる。
印字データの他の行番号のデータ列についても、上記同様に1ラインずつ並べ替えの処理が行われる。並べ替え処理された印字データは、図14(c)に示すように、ヘッド520a、520b、520cの配置(遅延量)が考慮されて画像バッファメモリ118上に格納される。画像バッファメモリ118において、ヘッド520a、520b、520cのいずれも配置されない位置に相当する部分には、ダミーデータ(例えば全て0)が格納される。
続いて、この画像バッファメモリ118から、転送制御部122によってヘッド520a、520b、520cの1回の打滴分(1吐出分)の印字データに対応するデータがラインメモリ124に読み出される(図14(d))。
上記のように読み出された1回分の打滴データは、転送制御部122によりヘッド520a、520b、520cへ転送され、各ノズルの吐出駆動が制御される。
すなわち、転送制御部122からヘッド520aに、ラインメモリ124のアドレス1〜32のデータ列{a1,a9,a17,a25},{a2,a10,a18,a26},…が転送される。これらのデータは、それぞれヘッド520aのノズル番号1,9,17,25,2,10,18,16,…の各ノズルに割り振られる。
ヘッド520aへの転送が終了すると、引き続き転送制御部122からヘッド520bに、ラインメモリ124のアドレス33〜64のデータ列{a33,a41,a49,a57},{a34,a42,a50,a58},…が転送される。これらのデータは、それぞれヘッド520bのノズル番号1,9,17,25,2,10,18,16,…の各ノズルに割り振られる。
ヘッド520bへの転送が終了すると、最後に転送制御部122からヘッド520cに、ラインメモリ124のアドレス65〜96のデータ列{a65,a73,a81,a89},{a66,a74,a82,a90},…が転送される。これらのデータは、それぞれヘッド520cのノズル番号1,9,17,25,2,10,18,16,…の各ノズルに割り振られる。
このように、非反転ヘッドユニット510Aへ印字データが転送され、各ノズルの吐出駆動が制御される。
次に、図15、図16を用いて、反転ヘッドユニット510Bに転送する印字データの処理について説明する。
図15は、反転ヘッドユニット510Bの各ヘッド520c、520b、520aの配置と、各ヘッド520a、520b、520cに転送される印字データの関係を示す模式図であり、付された数字は反転ヘッドユニット510Bのノズル番号を示している。
図16(a)は、反転ヘッドユニット510Bのヘッド520a、520b、520cの配置と、各ノズル番号のノズルの位置を示している。前述のように、反転ヘッドユニット510Bは、非反転ヘッドユニット510Aをノズル面の向きを一定として180度反転させたものである。したがって、各ヘッド520a、520b、520cが180度反転しているとともに、ヘッド520aとヘッド520cとの左右が反転している。更に、ヘッド520a及び520cは、ヘッド520bに対し、副走査方向に所定の遅延量を持つように記録媒体の搬送方向下流側に配置されている。
これら3つのヘッドのノズルは、主走査方向について、実質的に各ノズルが一定のピッチで直線状に配列されたものと等価的に取り扱うことができるように配置されており、主走査方向に隣り合うノズルは、主走査方向の直線上に配置されている。
図16(b)は、1ライン分のデータを入力側ラインメモリ140に格納した様子を示している。反転ヘッドユニット510Bの場合は、アドレス1〜32のデータについてはヘッド520cにおいて印字し、アドレス33〜64のデータについてはヘッド520bにおいて印字し、アドレス65〜96のデータについてはヘッド520aにおいて印字することになる。
この1ライン分のデータについて、並べ替え部116によって並べ替えを行う。反転ヘッドユニット510Bにおいては、非反転ヘッドユニット510Aとは各ヘッド520a〜520cのノズル位置が180度反転していること、及びヘッド520aとヘッド520cとの左右の位置が反転していることを考慮した並べ替えが行われる。
すなわち、入力側ラインメモリ140のアドレス1〜96のデータのうち、アドレス1〜32のデータ、アドレス33〜64のデータ、アドレス65〜96のデータについて、それぞれ反転を考慮した並べ替えを行う。更に、入力側ラインメモリ140のアドレス1〜32のデータを出力側ラインメモリ144のアドレス65〜96に、入力側ラインメモリ140のアドレス65〜96のデータを出力側ラインメモリ144のアドレス1〜32にスイッチングして格納する。
例えば、並べ替え回路142のうち、ヘッド520cに対応する部分は、入力側ラインメモリ140のアドレス1,9,17,25に格納されたデータを出力側ラインメモリ144のアドレス96,95,94,93に格納するように結線されている。また、ヘッド520bに対応する部分は、入力側ラインメモリ140のアドレス33,41,49、57のデータを出力側ラインメモリ144のアドレス64,63,62,61に格納するように結線されている。更に、ヘッド520aに対応する部分は、入力側ラインメモリ140のアドレス65,73,81,89のデータを出力側ラインメモリ144のアドレス32,31,30,29に格納するように結線されている。
これにより、入力側ラインメモリ140のアドレス1〜32のデータ列を{a1,a2,a3,・・・a32}とするとき、{a1,a9,a17,a25,a2,a10,a18,a26,a3,a11,a19,a27,・・・}という順番のデータ列とする並べ替えが行われ、この並べ替え後のデータ列は出力側ラインメモリ144のアドレス96〜65に反転して格納される。
また、入力側ラインメモリ140のアドレス33〜64のデータ列を{a33,a34,a35,・・・a64}とするとき、{a33,a41,a49,a57,a34,a42,a50,a58,a35,a43,a51,a59,・・・}という順番のデータ列とする並べ替えが行われ、この並べ替え後のデータ列は出力側ラインメモリ144のアドレス64〜33に反転して格納される。
更に、入力側ラインメモリ140のアドレス65〜96のデータ列を{a65,a66,a67,・・・a96}とするとき、{a65,a73,a81,a89,a66,a74,a82,a90,a67,a75,a83,a91,・・・}という順番のデータ列とする並べ替えが行われ、この並べ替え後のデータ列は出力側ラインメモリ144のアドレス32〜1に反転して格納される。
このように並べ替えることで、出力側ラインメモリ144の4ビット(1ワード)単位で区切ったデータ列{a1,a9,a17,a25},{a2,a10,a18,a26},…は、ヘッド520c、520b、520aの主走査方向に並ぶ隣接ノズルに対応するものとなる。
印字データの他の行番号のデータ列についても、上記同様に1ラインずつ並べ替えの処理が行われる。並べ替え処理された印字データは、図16(c)に示すように、ヘッド520c、520b、520aの配置(遅延量)が考慮されて画像バッファメモリ118上に格納される。画像バッファメモリ118において、ヘッド520c、520b、520aのいずれも配置されない位置に相当する部分には、ダミーデータ(例えば全て0)が格納される。
続いて、この画像バッファメモリ118から、転送制御部122によってヘッド520c、520b、520aの1回の打滴分(1吐出分)の印字データに対応するデータがラインメモリ124に読み出される(図16(d))。
図16の場合、ヘッド520aの最初の1回分の打滴データは、画像バッファメモリ118の第41行目、第45行目、第49行目、第53行目、第57行目、第61行目、第65行目、第69行目からそれぞれ図示のようにワード(4ビット)単位でラインメモリ124のアドレス96から逆方向に集められる。
また、ヘッド520bの最初の1回分の打滴データは、画像バッファメモリ118の第1行目、第5行目、第9行目、第13行目、第17行目、第21行目、第25行目、第29行目からそれぞれ図示のようにワード(4ビット)単位でラインメモリ124のアドレス64から逆方向に集められる。
更にヘッド520cの最初の1回分の打滴データは、画像バッファメモリ118の第41行目、第45行目、第49行目、第53行目、第57行目、第61行目、第65行目、第69行目からそれぞれ図示のようにワード(4ビット)単位でラインメモリ124のアドレス32から逆方向に集められる。
このように、画像バッファメモリ118からのデータの読み出しはワード単位で行われるが、ヘッド上で主走査方向に隣り合う隣接ノズルのデータが同一ワード内で連続しているため、1回分の打滴データを高速に転送することができる。
上記のように転送制御部122により読み出された1回分の打滴データは、ヘッド520a、520b、520cへ転送され、各ノズルの吐出駆動が制御される。
すなわち、転送制御部122からヘッド520aに、ラインメモリ124のアドレス1〜32のデータ列{a96,a88,a80,a72},{a95,a87,a79,a71},…が転送される。このデータは、ヘッド520aのノズル番号1,9,17,25,2,10,18,26,…の各ノズルに割り振られる。
ヘッド520aへの転送が終了すると、引き続き転送制御部122からヘッド520bに、ラインメモリ124のアドレス33〜64のデータ列{a64,a56,a48,a40},{a63,a55,a47,a39},…が転送される。このデータは、ヘッド520bのノズル番号1,9,17,25,2,10,18,26,…の各ノズルに割り振られる。
ヘッド520bへの転送が終了すると、最後に転送制御部122からヘッド520cに、ラインメモリ124のアドレス65〜96のデータ列{a32,a24,a16,a8},{a31,a23,a15,a7},…が転送される。このデータは、ヘッド520cのノズル番号1,9,17,25,2,10,18,26,…の各ノズルに割り振られる。
このように、反転ヘッドユニット510Bへ印字データが転送され、各ノズルの吐出駆動が制御される。反転ヘッドユニット510Bに対しては、非反転ヘッドユニット510Aとは各ヘッド520a〜520cのノズル位置が180度反転していること、及びヘッド520aとヘッド520cとの左右の位置が反転していることに対応させてデータを反転させておく。これにより、ラインヘッド500では、非反転ヘッドユニット510A、反転ヘッドユニット510Bにかかわらず、転送制御部122から転送されてきたデータをヘッド520aのノズル番号1,9,17,25,2,10,18,26,…、ヘッド520bのノズル番号1,9,17,25,2,10,18,26,…、ヘッド520cのノズル番号1,9,17,25,2,10,18,26,…の順に各ノズルに割り振ることができる。すなわち、転送制御部122とラインヘッド500とのインターフェースの仕様を、非反転ヘッドユニット510Aと反転ヘッドユニット510Bとで共通化することができる。
なお、図12に示すラインヘッド500は、各ヘッドユニットの取付け誤差等により、隣り合うヘッドのノズルがオーバーラップする場合がある。例えば、図12の左側の非反転ヘッドユニット510Aとその右側の反転ヘッドユニット510Bとが、設計値よりも近い距離で取り付けられた場合に、非反転ヘッドユニット510Aのヘッド520cの32番ノズルと、反転ヘッドユニット510Bのヘッド520cの32番ノズルとが、主走査方向について一定のピッチとならず、オーバーラップしてしまう場合がある。
このような場合に、図9を用いて説明したマスク処理を用いることができる。すなわち、オーバーラップしたノズルのうちいずれか一方をマスク処理することで、オーバーラップ部分の打滴量が多くなってしまうことを防止することができる。
〔第4の実施形態〕
第3の実施形態では、反転ヘッドユニット510Bの印字データについて、ヘッド520aとヘッド520cとの左右の位置が反転していることに伴うデータ群のスイッチングを並べ替え部116によって行った。
これに対し、本実施形態では、転送制御部122においてデータ群のスイッチングを行う。
図17(a)は、反転ヘッドユニット510Bのヘッド520a、520b、520cの配置と、各ノズル番号のノズルの位置を示している。
図17(b)は、1ライン分のデータを入力側ラインメモリ140に格納した様子を示している。この1ライン分のデータについて、並べ替え部116によって並べ替えを行う。ここでは、各ヘッド520a〜520cのノズル位置が180度反転していることを考慮して並べ替えが行われる。
まず、並べ替え回路142のうち、ヘッド520cに対応する部分は、入力側ラインメモリ140のアドレス1,9,17,25に格納されたデータを出力側ラインメモリ144のアドレス32,31,30,29に格納するように結線されている。また、ヘッド520bに対応する部分は、入力側ラインメモリ140のアドレス33,41,49、57のデータを出力側ラインメモリ144のアドレス64,63,62,61に格納するように結線されている。更に、ヘッド520aに対応する部分は、入力側ラインメモリ140のアドレス65,73,81,89のデータを出力側ラインメモリ144のアドレス96,95,94,93に格納するように結線されている。
これにより、入力側ラインメモリ140のアドレス1〜32のデータ列を{a1,a2,a3,・・・a32}とするとき、{a1,a9,a17,a25,a2,a10,a18,a26,a3,a11,a19,a27,・・・}という順番のデータ列とする並べ替えが行われ、この並べ替え後のデータ列は出力側ラインメモリ144のアドレス32〜1に反転して格納される。
また、入力側ラインメモリ140のアドレス33〜64のデータ列を{a33,a34,a35,・・・a64}とするとき、{a33,a41,a49,a57,a34,a42,a50,a58,a35,a43,a51,a59,・・・}という順番のデータ列とする並べ替えが行われ、この並べ替え後のデータ列は出力側ラインメモリ144のアドレス64〜33に反転して格納される。
更に、入力側ラインメモリ140のアドレス65〜96のデータ列を{a65,a66,a67,・・・a96}とするとき、{a65,a73,a81,a89,a66,a74,a82,a90,a67,a75,a83,a91,・・・}という順番のデータ列とする並べ替えが行われ、この並べ替え後のデータ列は出力側ラインメモリ144のアドレス96〜65に反転して格納される。
このように並べ替えることで、出力側ラインメモリ144の4ビット(1ワード)単位で区切ったデータ列{a1,a9,a17,a25},{a2,a10,a18,a26},…は、ヘッド520c、520b、520aの主走査方向に並ぶ隣接ノズルに対応するものとなる。
印字データの他の行番号のデータ列についても、上記同様に1ラインずつ並べ替えの処理が行われる。並べ替え処理された印字データは、図17(c)に示すように、ヘッド520c、520b、520aの配置(遅延量)が考慮されて画像バッファメモリ118上に格納される。画像バッファメモリ118において、ヘッド520c、520b、520aのいずれも配置されない位置に相当する部分には、ダミーデータ(例えば全て0)が格納される。
しかしながら、図18に示すように、この画像バッファメモリ118のデータの配置は、ヘッド520aに対応する印字データとヘッド520cに対応する印字データとが逆転している。したがって、本実施形態では、転送制御部122によりヘッド520aに対応する印字データとヘッド520cに対応する印字データとのスイッチングを行う。
図17(d)に示すように、転送制御部122は、この画像バッファメモリ118から、ヘッド520c、520b、520aの1回の打滴分(1吐出分)の印字データに対応するデータをラインメモリ124に読み出す。
まず、ヘッド520aの最初の1回分の打滴データは、画像バッファメモリ118の第41行目、第45行目、第49行目、第53行目、第57行目、第61行目、第65行目、第69行目からそれぞれ図示のようにワード(4ビット)単位でラインメモリ124のアドレス96から逆方向に集められる。
また、ヘッド520bの最初の1回分の打滴データは、画像バッファメモリ118の第1行目、第5行目、第9行目、第13行目、第17行目、第21行目、第25行目、第29行目からそれぞれ図示のようにワード(4ビット)単位でラインメモリ124のアドレス64から逆方向に集められる。
更にヘッド520cの最初の1回分の打滴データは、画像バッファメモリ118の第41行目、第45行目、第49行目、第53行目、第57行目、第61行目、第65行目、第69行目からそれぞれ図示のようにワード(4ビット)単位でラインメモリ124のアドレス32から逆方向に集められる。
このように、転送制御部122においてデータ群のスイッチングを行うことで、ヘッドへ転送する印字データは、図16(d)に示した印字データと同じデータとなる。
上記のように転送制御部122により読み出された1回分の打滴データは、ヘッド520a、520b、520cへ転送され、各ノズルの吐出駆動が制御される。
〔第5の実施形態〕
図19は、本実施形態に係るラインヘッド502を示す模式図である。同図に示すように、ラインヘッド502は、複数のヘッドユニット510Cが主走査方向に配置されている。
ヘッドユニット510Cは、非反転ヘッド520dと反転ヘッド520eの2種類のヘッドモジュールから構成され、2つの非反転ヘッド520dと2つの反転ヘッド520eとが千鳥配置されている。
非反転ヘッド520dは、図2に示す非反転ヘッド200Aと同様のノズル配置となっている。また、反転ヘッド520eは、非反転ヘッド520dをノズル面の向きを一定として180度反転させたものであり、図2に示す反転ヘッド200Bと同様のノズル配置となっている。
これら4つのヘッドのノズルは、主走査方向について、実質的に各ノズルが一定のピッチで直線状に配列されたものと等価的に取り扱うことができるように配置されており、主走査方向に隣り合うノズルは、主走査方向の直線上に配置されている。
また、ヘッド520eは、ヘッド520dに対し、副走査方向に所定の遅延量を持つように記録媒体の搬送方向下流側に配置されている。
このラインヘッド502に転送する印字データの処理についても、これまでと同様に行うことができる。
すなわち、並べ替え部116において、非反転ヘッド520dに対して並べ替え処理を行うとともに、反転ヘッド520eに対して非反転ヘッド520dとはデータを反転する並べ替え処理を行う。
この並べ替え処理された印字データは、ヘッド520d、520eの配置(遅延量)を考慮して画像バッファメモリ118上に格納する。画像バッファメモリ118において、ヘッド520d、520eのいずれも配置されない位置に相当する部分には、ダミーデータ(例えば全て0)を格納する。
最後に、転送制御部122が、画像バッファメモリ118から、ヘッド520d、520eの1回の打滴分(1吐出分)の印字データに対応するデータをラインメモリ124に読み出し、ラインヘッド502に転送する。
このように処理することで、ヘッドユニット内において非反転ヘッドと反転ヘッドが混在する場合であっても、転送制御部と各ヘッドとのインターフェースの仕様を共通化することができる。
〔インクジェット記録装置の全体構成〕
図20は、各実施形態に係るインクジェット記録装置の全体構成を示した構成図である。同図に示すインクジェット記録装置10は、色材を含有するインクと該インクを凝集させる機能を有する凝集処理液を用いて、所定の画像データに基づいて記録媒体14(用紙Pに相当)の記録面に画像を形成する2液凝集方式の記録装置である。
インクジェット記録装置10は、主として、給紙部20、処理液塗布部30、描画部40、乾燥処理部50、定着処理部60、及び排出部70を備えて構成される。処理液塗布部30、描画部40、乾燥処理部50、定着処理部60の前段に搬送される記録媒体14の受け渡しを行う手段として渡し胴32,42,52,62が設けられるとともに、処理液塗布部30、描画部40、乾燥処理部50、定着処理部60のそれぞれに記録媒体14を保持しながら搬送する手段として、ドラム形状を有する圧胴34,44,54,64が設けられている。
渡し胴32,42,52,62及び圧胴34,44,54,64は、外周面の所定位置に記録媒体14の先端部を挟んで保持するグリッパー80A,80Bが設けられている。グリッパー80A及びグリッパー80Bにおける記録媒体14の先端部を挟んで保持する構造、及び他の圧胴又は渡し胴に備えられるグリッパーとの間で記録媒体14の受け渡しを行う構造は同一であり、かつ、グリッパー80Aとグリッパー80Bは、圧胴34の外周面の圧胴34の回転方向について180°移動させた対称位置に配置されている。
グリッパー80A,80Bにより記録媒体14の先端部を狭持した状態で渡し胴32〜62及び圧胴34,44,54,64を所定の方向に回転させると、渡し胴32〜62及び圧胴34,44,54,64の外周面に沿って記録媒体14が回転搬送される。
なお、図20中、圧胴34に備えられるグリッパー80A,80Bのみ符号を付し、他の圧胴及び渡し胴のグリッパーの符号は省略する。
給紙部20に収容されている記録媒体(枚葉紙)14が処理液塗布部30に給紙されると、圧胴34の外周面に保持された記録媒体14の記録面に、凝集処理液(以下、単に「処理液」と記載することがある。)が付与される。なお、「記録媒体14の記録面」とは、圧胴34,44,54,64の保持された状態における外側面であり、圧胴34,44,54,64に保持される面と反対面である。
その後、凝集処理液が付与された記録媒体14は描画部40に送出され、描画部40において記録面の凝集処理液が付与された領域に色インクが付与され、所望の画像が形成される。
更に、該色インクによる画像が形成された記録媒体14は乾燥処理部50に送られ、乾燥処理部50において乾燥処理が施されるとともに、乾燥処理後に定着処理部60に送られ、定着処理が施される。乾燥処理及び定着処理が施されることで、記録媒体14上に形成された画像が堅牢化される。このようにして、記録媒体14の記録面に所望の画像が形成され、該画像が記録媒体14の記録面に定着した後に、排出部70から装置外部に搬送される。
以下、インクジェット記録装置10の各部(給紙部20、処理液塗布部30、描画部40、乾燥処理部50、定着処理部60、排出部70)について詳細に説明する。
(給紙部)
給紙部20は、給紙トレイ22と不図示の送り出し機構が設けられ、記録媒体14は給紙トレイ22から一枚ずつ送り出されるように構成されている。給紙トレイ22から送り出された記録媒体14は、渡し胴(給紙胴)32のグリッパー(不図示)の位置に先端部が位置するように不図示のガイド部材によって位置決めされて一旦停止する。
(処理液塗布部)
処理液塗布部30は、給紙胴32から受け渡された記録媒体14を外周面に保持して記録媒体14を所定の搬送方向へ搬送する圧胴(処理液ドラム)34と、処理液ドラム34の外周面に保持された記録媒体14の記録面に処理液を付与する処理液塗布装置36と、含んで構成されている。処理液ドラム34を図20における反時計回りに回転させると、記録媒体14は処理液ドラム34の外周面に沿って反時計回り方向に回転搬送される。
図20に示す処理液塗布装置36は、処理液ドラム34の外周面(記録媒体保持面)と対向する位置に設けられている。処理液塗布装置36の構成例として、処理液が貯留される処理液容器と、処理液容器の処理液に一部が浸漬され、処理液容器内の処理液を汲み上げる汲み上げローラと、汲み上げローラにより汲み上げられた処理液を記録媒体14上に移動させる塗布ローラと、を含んで構成される態様が挙げられる。
なお、該塗布ローラを上下方向(処理液ドラム34の外周面の法線方向)に移動させる塗布ローラ移動機構を備え、該塗布ローラとグリッパー80A,80Bとの衝突を回避可能に構成する態様が好ましい。
処理液塗布装置36により記録媒体14に付与される処理液は、描画部40で付与されるインク中の色材(顔料)を凝集させる色材凝集剤を含有し、記録媒体14上で処理液とインクとが接触すると、インク中の色材と溶媒との分離が促進される。
処理液塗布部30は、記録媒体14に塗布される処理液量を計量しながら塗布することが好ましく、記録媒体14上の処理液の膜厚は、描画部40から打滴されるインク液滴の直径より十分に小さくすることが好ましい。
(描画部)
描画部40は、記録媒体14を保持して搬送する圧胴(描画ドラム)44と、記録媒体14を描画ドラム44に密着させるための用紙抑えローラ46と、記録媒体14にインクを付与するインクジェットヘッド48M,48K,48C,48Y(ラインヘッド200、500に相当)を備えている。なお、描画ドラム44の基本構造は、先に説明した処理液ドラム34と共通しているので、ここでの説明は省略する。
用紙抑えローラ46は、描画ドラム44の外周面に記録媒体14を密着させるためのガイド部材であり、描画ドラム44の外周面に対向し、渡し胴42と描画ドラム44との記録媒体14の受渡位置よりも記録媒体14の搬送方向下流側であり、且つ、インクジェットヘッド48M,48K,48C,48Yよりも記録媒体14の搬送方向上流側に配置される。
渡し胴42から描画ドラム44に受け渡された記録媒体14は、グリッパー(符号省略)によって先端が保持された状態で回転搬送される際に、用紙抑えローラ46によって押圧され、描画ドラム44の外周面に密着する。このようにして、記録媒体14を描画ドラム44の外周面に密着させた後に、描画ドラム44の外周面から浮き上がりのない状態で、インクジェットヘッド48M,48K,48C,48Yの直下の印字領域に送られる。
インクジェットヘッド48M,48K,48C,48Yはそれぞれ、マゼンダ(M)、黒(K)、シアン(C)、イエロー(Y)の4色のインクに対応しており、描画ドラム44の回転方向(図1における反時計回り方向)に上流側から順に配置されるとともに、インクジェットヘッド48M,48K,48C,48Yのインク吐出面(ノズル面、図22に符号224を付して図示するノズル板の表面。)が描画ドラム44に保持された記録媒体14の記録面と対向するように配置される。なお、「インク吐出面(ノズル面)」とは、記録媒体14の記録面と対向するインクジェットヘッド48M,48K,48C,48Yの面であり、後述するインクが吐出されるノズル(図20中不図示、図22に符号202を付して図示する。)が形成される面である。
また、図20に示すインクジェットヘッド48M,48K,48C,48Yは、描画ドラム44の外周面に保持された記録媒体14の記録面とインクジェットヘッド48M,48K,48C,48Yのノズル面が略平行となるように、水平面に対して傾けられて配置されている。
インクジェットヘッド48M,48K,48C,48Yは、記録媒体14における画像形成領域の最大幅(記録媒体14の搬送方向と直交する方向の長さ)に対応する長さを有するフルライン型のヘッドであり、記録媒体14の搬送方向と直交する方向に延在するように固定設置される。
インクジェットヘッド48M,48K,48C,48Yのノズル面(液体吐出面)には、記録媒体14の画像形成領域の全幅にわたってインク吐出用のノズルがマトリクス配置されて形成されている。
記録媒体14がインクジェットヘッド48M,48K,48C,48Yの直下の印字領域に搬送されると、インクジェットヘッド48M,48K,48C,48Yから記録媒体14の凝集処理液が付与された領域に画像データに基づいて各色のインクが吐出(打滴)される。
インクジェットヘッド48M,48K,48C,48Yから、対応する色インクの液滴が、描画ドラム44の外周面に保持された記録媒体14の記録面に向かって吐出されると、記録媒体14上で処理液とインクが接触し、インク中に分散する色材(顔料系色材)又は不溶化する色材(染料系色材)の凝集反応が発現し、色材凝集体が形成される。これにより、記録媒体14上に形成された画像における色材の移動(ドットの位置ズレ、ドットの色ムラ)が防止される。
また、描画部40の描画ドラム44は、処理液塗布部30の処理液ドラム34に対して構造上分離しているので、インクジェットヘッド48M,48K,48C,48Yに処理液が付着することがなく、インクの吐出異常の要因を低減することができる。
なお、本例では、CMYKの標準色(4色)の構成を例示したが、インク色や色数の組み合わせについては本実施形態に限定されず、必要に応じて淡インク、濃インク、特別色インクを追加してもよい。例えば、ライトシアン、ライトマゼンタなどのライト系インクを吐出するインクジェットヘッドを追加する構成も可能であり、各色ヘッドの配置順序も特に限定はない。
(乾燥処理部)
乾燥処理部50は、画像形成後の記録媒体14を保持して搬送する圧胴(乾燥ドラム)54と、該記録媒体14上の水分(液体成分)を蒸発させる乾燥処理を施す乾燥処理装置56を備えている。なお、乾燥ドラム54の基本構造は、先に説明した処理液ドラム34及び描画ドラム44と共通しているので、ここでの説明は省略する。
乾燥処理装置56は、乾燥ドラム54の外周面に対向する位置に配置され、記録媒体14に存在する水分を蒸発させる処理部である。描画部40により記録媒体14にインクが付与されると、処理液とインクとの凝集反応により分離したインクの液体成分(溶媒成分)及び処理液の液体成分(溶媒成分)が記録媒体14上に残留してしまうので、かかる液体成分を除去する必要がある。
乾燥処理装置56は、ヒータによる加熱、ファンによる送風、又はこれらを併用して記録媒体14上に存在する液体成分を蒸発させる乾燥処理を施し、記録媒体14上の液体成分を除去するための処理部である。記録媒体14に付与される加熱量及び送風量は、記録媒体14上に残留する水分量、記録媒体14の種類、及び記録媒体14の搬送速度(干渉処理時間)等のパラメータに応じて適宜設定される。
乾燥処理装置56による乾燥処理が行われる際に、乾燥処理部50の乾燥ドラム54は、描画部40の描画ドラム44に対して構造上分離しているので、インクジェットヘッド48M,48K,48C,48Yにおいて、熱又は送風によるヘッドメニスカス部の乾燥によるインクの吐出異常の要因を低減することができる。
記録媒体14のコックリングの矯正効果を発揮させるために、乾燥ドラム54の曲率を0.002(1/mm)以上とするとよい。また、乾燥処理後の記録媒体の湾曲(カール)を防止するために、乾燥ドラム54の曲率を0.0033(1/mm)以下とするとよい。
また、乾燥ドラム54の表面温度を調整する手段(例えば、内蔵ヒータ)を備え、該表面温度を50℃以上に調整するとよい。記録媒体14の裏面から加熱処理を施すことによって乾燥が促進され、次段の定着処理時における画像破壊が防止される。かかる態様において、乾燥ドラム54の外周面に記録媒体14を密着させる手段を具備すると更に効果的である。記録媒体14を密着させる手段の一例として、真空吸着、静電吸着などが挙げられる。
なお、乾燥ドラム54の表面温度の上限については、特に限定されるものではないが、乾燥ドラム54の表面に付着したインクをクリーニングするなどのメンテナンス作業の安全性(高温による火傷防止)の観点から75℃以下(より好ましくは60℃以下)に設定されることが好ましい。
このように構成された乾燥ドラム54の外周面に、記録媒体14の記録面が外側を向くように(すなわち、記録媒体14の記録面が凸側となるように湾曲させた状態で)保持し、回転搬送しながら乾燥処理を施すことで、記録媒体14のシワや浮きに起因する乾燥ムラが確実に防止される。
(定着処理部)
定着処理部60は、記録媒体14を保持して搬送する圧胴(定着ドラム)64と、画像形成がされ、更に、液体が除去された記録媒体14に加熱処理を施すヒータ66と、該記録媒体14を記録面側から押圧する定着ローラ68と、を備えて構成される。なお、定着ドラム64基本構造は処理液ドラム34、描画ドラム44、及び乾燥ドラム54と共通しているので、ここでの説明は省略する。ヒータ66及び定着ローラ68は、定着ドラム64の外周面に対向する位置に配置され、定着ドラム64の回転方向(図20において反時計回り方向)の上流側から順に配置される。
定着処理部60では、記録媒体14の記録面に対してヒータ66による予備加熱処理が施されるとともに、定着ローラ68による定着処理が施される。ヒータ66の加熱温度は記録媒体の種類、インクの種類(インクに含有するポリマー微粒子の種類)などに応じて適宜設定される。例えば、インクに含有するポリマー微粒子のガラス転移点温度や最低造膜温度とする態様が考えられる。
定着ローラ68は、乾燥させたインクを加熱加圧することによってインク中の自己分散性ポリマー微粒子を溶着し、インクを被膜化させるためのローラ部材であり、記録媒体14を加熱加圧するように構成される。具体的には、定着ローラ68は、定着ドラム64に対して圧接するように配置されており、定着ドラム64との間でニップローラを構成するようになっている。これにより、記録媒体14は、定着ローラ68と定着ドラム64との間に挟まれ、所定のニップ圧でニップされ、定着処理が行われる。
定着ローラ68の構成例として、熱伝導性の良いアルミなどの金属パイプ内にハロゲンランプを組み込んだ加熱ローラによって構成する態様が挙げられる。かかる加熱ローラで記録媒体14を加熱することによって、インクに含まれるポリマー微粒子のガラス転移点温度以上の熱エネルギーが付与されると、該ポリマー微粒子が溶融して画像の表面に透明の被膜が形成される。
この状態で記録媒体14の記録面に加圧を施すと、記録媒体14の凹凸に溶融したポリマー微粒子が押し込み定着されるとともに、画像表面の凹凸がレベリングされ、好ましい光沢性を得ることができる。なお、画像層の厚みやポリマー微粒子のガラス転移点温度特性に応じて、定着ローラ68を複数段設けた構成も好ましい。
また、定着ローラ68の表面硬度は71°以下であることが好ましい。定着ローラ68の表面をより軟質化することで、コックリングにより生じた記録媒体14の凹凸に対して追随効果を期待でき、記録媒体14の凹凸に起因する定着ムラがより効果的に防止される。
図20に示すインクジェット記録装置10は、定着処理部60の処理領域の後段(記録媒体搬送方向の下流側)に、インラインセンサ(ILS)82(撮像手段に相当)が設けられている。ILS82は、記録媒体14表面に形成された画像(又は記録媒体14の余白領域に形成されたチェックパターン)を読み取るためのセンサである。
ILS82としては、CCDラインセンサが好適に用いられ、例えば125dpiの解像度のものを用いることができる。この場合、画素ピッチは約0.2mmであり、記録媒体14の搬送速度を500mm/secとすると、読み出し時間は0.4msecである。
本例に示すインクジェット記録装置10は、ILS82の読取結果に基づいてインクジェットヘッド48M,48K,48C,48Yの吐出異常の有無が判断される。また、ILS82は、水分量、表面温度、光沢度などを計測するための計測手段を含む態様も可能である。かかる態様において、水分量、表面温度、光沢度の読取結果に基づいて、乾燥処理部50の処理温度や定着処理部60の加熱温度及び加圧圧力などのパラメータを適宜調整し、装置内部の温度変化や各部の温度変化に対応して、上記制御パラメータが適宜調整される。
(排出部)
図20に示すように、定着処理部60に続いて排出部70が設けられている。排出部70は、張架ローラ72A,72Bに巻きかけられた無端状の搬送ベルト74と、画像形成後の記録媒体14が収容される排出トレイ76と、を備えて構成されている。
定着処理部60から送り出された定着処理後の記録媒体14は、搬送ベルト74によって搬送され、排出トレイ76に排出される。
〔インクジェットヘッドの構造〕
次に、描画部40に具備されるインクジェットヘッド48M,48K,48C,48Yの構造について説明する。なお、各色に対応するインクジェットヘッド48M,48K,48C,48Yの構造は共通しているので、以下、これらを代表して符号48によってインクジェットヘッド(以下、単に「ヘッド」ともいう。)を示すものとする。
ヘッド48は、例えば図2に示すようにノズル面にノズルが配置されている。
記録媒体14上に形成されるドットピッチを高密度化するためには、ヘッド48におけるノズルピッチを高密度化する必要がある。本例のヘッド48は、図21に示すように、インク吐出口であるノズル202と、各ノズル202と連通する圧力室204と、不図示の共通流路と各圧力室204とを連通させる供給口206等からなる複数のインク室ユニット(記録素子単位としての液滴吐出素子)208をマトリクス配置した構造を有し、これにより、ヘッド48の長手方向である主走査方向に沿って並ぶように投影される実質的なノズル間隔(符号Pnを付して図示する投影ノズルピッチ)の高密度化を達成している。
ノズル202と連通する圧力室204は、その平面形状が概略正方形となっており、対角線上の両隅部の一方にノズル202が設けられ、他方に供給口206が設けられている。なお、圧力室204の形状は本例に限定されず、平面形状が四角形(菱形、長方形など)、五角形、六角形その他の多角形、円形、楕円形など、多様な形態があり得る。
図21に示すように、ノズル202及び圧力室204等からなるインク室ユニット208を、主走査方向(符号Mを付して図示)に沿う行方向及び主走査方向に対して直交しない一定の角度θ(0°<θ<90°)を有する斜めの列方向(符号S’を付して図示する。)に沿って一定の配列パターンでマトリクス配列させることにより、本例の高密度ノズルヘッドが実現されている。
すなわち、主走査方向に対してある角度θをなす方向に沿ってインク室ユニット208を一定のピッチgで複数配列する構造により、主走査方向に並ぶように投影されたノズルの投影ノズルピッチPnはg×cosθとなり、主走査方向については、各ノズル202が一定のピッチPnで直線状に配列されたものと等価的に取り扱うことができる。このような構成により、主走査方向に並ぶように投影されるノズル列は、1インチ当たり1200個(1200ノズル/インチ)におよぶ高密度配置を実現することが可能になる。
図22は、図21に示すヘッド48(インク室ユニット208)の立体構造を示す断面図である。
ノズル202と連通する圧力室204は、供給口206を介して共通流路210と連通している。共通流路210はインク供給源たるインクタンク(不図示)と連通しており、該インクタンクから供給されるインクは共通流路210を介して各圧力室204に供給される。
圧力室204の上面を構成する振動板212には、個別電極214と共通電極216とを具備し、個別電極214と共通電極216との間に圧電体部218が挟まれた構造を有する圧電素子220が接合されている。また、図22に示すヘッド48は、圧力室204、供給口206、及び共通流路210などの流路構造が形成された構造体に、ノズル202の開口部222が形成されるノズル板224を接合した構造を有している。
個別電極214と共通電極216との間に所定の駆動電圧を印加することによって圧電素子220及び振動板212が変形し、これに伴い圧力室204の容積が変化する。圧力室204の容積変化により圧力室204内部のインクに圧力変化が生じ、圧力室204の容積変化に対応する体積のインクがノズル202から吐出される。インクが吐出された後は、圧電素子220及び振動板212が元の状態に戻る際に、共通流路210から供給口206を通って新しいインクが圧力室204に充填される。
本例では、ヘッド48に設けられたノズル202から吐出させるインクの吐出力発生手段として圧電素子220を適用したが、圧力室204内にヒータを備え、ヒータの加熱による膜沸騰の圧力を利用してインクを吐出させるサーマル方式を適用することも可能である。
〔制御系の説明〕
図23は、インクジェット記録装置10の制御系の概略構成を示すブロック図である。インクジェット記録装置10は、通信インターフェース240、システム制御部242、搬送制御部244、画像処理部246、ヘッド駆動部248を備えるとともに、記憶部(メモリ)250、一時記憶部252を備えている。
通信インターフェース240は、ホストコンピュータ254から送られてくる画像データを受信するインターフェース部である。通信インターフェース240は、USB(Universal Serial Bus)などのシリアルインターフェースを適用してもよいし、セントロニクスなどのパラレルインターフェースを適用してもよい。通信インターフェース240は、通信を高速化するためのバッファメモリ(不図示)を搭載してもよい。
システム制御部242は、中央演算処理装置(CPU)及びその周辺回路等から構成され、所定のプログラムに従ってインクジェット記録装置10の全体を制御する制御装置として機能するとともに、各種演算を行う演算装置として機能し、更に、記憶部250及び一時記憶部252のメモリコントローラとして機能する。すなわち、システム制御部242は、通信インターフェース240、搬送制御部244等の各部を制御し、ホストコンピュータ254との間の通信制御、記憶部250及び一時記憶部252の読み書き制御等を行うとともに、上記の各部を制御する制御信号を生成する。
ホストコンピュータ254から送出された画像データは通信インターフェース240を介してインクジェット記録装置10に取り込まれ、画像処理部246によって所定の画像処理が施される。
画像処理部246は、画像データから印字制御用の信号を生成するための各種加工、補正などの処理を行う信号(画像)処理機能を有し、生成した印字データをヘッド駆動部248に供給する制御部である。図1や図11に示した並べ替え部116や画像バッファメモリ118、転送制御部122等を含んで構成される。
画像処理部246において所要の信号処理が施され、該画像データに基づいて、ヘッド駆動部248を介してヘッド48の吐出液滴量(打滴量)や吐出タイミングの制御が行われる。駆動部248には、ヘッド48の各ノズル202に対応したアクチュエータ(図22に図示した圧電素子220)を駆動するための駆動信号波形を生成する駆動波形発生部が含まれる。駆動波形発生部から出力される信号は、デジタル波形データであってもよいし、アナログ電圧信号であってもよい。この信号波形は、ヘッド48の各ノズルが1回の吐出(「1度の記録動作」に相当)を行うための1吐出周期分の波形が、所定の周期で繰り返し出力される。
これにより、所望のドットサイズやドット配置が実現される。なお、図23に示すヘッド駆動部248には、ヘッド48の駆動条件を一定に保つためのフィードバック制御系を含んでいてもよい。
また、搬送制御部244は、画像処理部246により生成された印字制御用の信号に基づいて記録媒体14(図20参照)の搬送タイミング及び搬送速度を制御する。図23における搬送駆動部256は、図20の圧胴34,44,54,64を回転させるモータや、渡し胴32〜62を回転させるモータ、給紙部20における記録媒体14の送出機構のモータ、排出部70の張架ローラ72A(72B)を駆動するモータなどが含まれ、搬送制御部244は上記のモータのドライバーとして機能している。
記憶部250は、システム制御部242のCPUが実行するプログラムや、装置各部の制御に必要な各種データ、制御パラメータなどが格納されており、システム制御部242を通じてデータの読み書きが行われる。記憶部250は、半導体素子からなるメモリに限らず、ハードディスクなど磁気媒体を用いてもよい。また、外部インターフェースを備え、着脱可能な記憶媒体を用いてもよい。
一時記憶部(一時記憶メモリ)252は、通信インターフェース240を介して入力された画像データを一旦格納する一時記憶手段としての機能や、記憶部250に記憶されている各種プログラムの展開領域及びCPUの演算作業領域(例えば、画像処理部246の作業領域)としての機能を有している。一時記憶部252には、逐次読み書きが可能な揮発性メモリ(RAM)が用いられる。
更に、このインクジェット記録装置10は、処理液付与制御部260、乾燥処理制御部262、及び定着処理制御部264を備えており、システム制御部242からの指示に従って、それぞれ、処理液塗布部30、乾燥処理部50、及びヒータ66、定着ローラ68(図20参照)を含む定着処理部60の各部の動作を制御する。
処理液付与制御部260は、処理液付与のタイミングの制御を制御するとともに、処理液の付与量を制御する。処理液塗布部30に具備される処理液塗布装置36は、塗布ローラに対して塗布ローラへ供給される処理液量を計量するアニロックスローラの当接(接触)及び離間が可能となるように、該アニロックスローラを移動させるアニロックスローラ移動機構を備えている。
図23に示す処理液付与制御部260は、アニロックスローラと塗布ローラとの当接タイミング及び離間タイミングを制御している。
乾燥処理制御部262は、乾燥処理のタイミングを制御するとともに、処理温度、送風量等を制御し、定着処理制御部264は、ヒータ66の温度を制御するとともに、定着ローラ68の押圧を制御する。
検出部266は、図20に示したILS82から出力される読取信号にノズル除去や増幅、波形整形などの所定の信号処理を施す信号処理部を含む処理ブロックである。システム制御部242は、検出部266により得られた検出信号に基づいて、ヘッド48の吐出異常の有無を判断する。
エンコーダ268は、圧胴34,44,54,64を回転させるための駆動源となるモータに取り付けられたものであり、該モータの回転に応じたパルス信号が出力される。エンコーダ268から出力されるパルス信号をカウントすることで、圧胴34,44,54,64の回転量を把握することができる。また、エンコーダ268から出力されるパルス信号の周波数変動に基づいて圧胴34,44,54,64の回転ムラを把握することができる。
すなわち、エンコーダ268から出力されたパルス列は、波形整形やノイズ除去などの所定の信号処理が施され、システム制御部242へ送られる。システム制御部242は、エンコーダ268から取得したパルス列に基づいて、アニロックスローラの当接タイミング、離間タイミングを制御するための指令信号を処理液付与制御部260へ送出する。
用紙センサ270は、記録媒体14の搬送経路に設けられるセンサであり、用紙センサ270の検出結果に基づいて記録媒体14の搬送経路上の位置を把握することができる。例えば、圧胴34(44,54,64)のグリッパー80の近傍に設けられる用紙センサ270が記録媒体14を検出すると、グリッパー80を動作させて記録媒体14の先端部を挟持し、圧胴34の吸着制御や温度制御が記録媒体保持状態に切り換えられる。
図23では、記録媒体の搬送路上に設けられる複数の用紙センサを代表して、符号270を付して図示されている。
本例では、圧胴搬送方式が適用されるインクジェット記録装置10を例示したが、記録媒体14の搬送方式は圧胴搬送方式に限定されず、搬送ベルト上に記録媒体を吸着保持して記録媒体を搬送するベルト搬送方式や他の搬送方式を適宜選択することも可能である。
以上説明したように、本実施形態によれば、画像ページメモリからのデータ読み出しを効率化できる。すなわち、ワード内で読み捨てるビットがなく、また、連続するアドレスで読み出せるため、読み出し及び転送が効率的(高速)であり、安価なDRAMで構成できる。
また、高速アクセスが必要なのは、並べ替え処理に用いる数ライン程度のラインメモリだけでよく、あとは安価なDRAMで構成されたバッファメモリがあればよいので、マトリクス型ヘッドの場合にも高速のデータの転送を容易に実現できる。
更に、画像ページメモリからの読み出しが印字ライン単位であり、効率的であるので、上述した実施形態に代えて、ホストコンピュータ上に画像ページメモリを持ち、ここからのデータの読み出しによってプリンタ側にデータを転送する構成を採用することも可能である。この場合、プリンタ内の画像ページメモリを省略することができる。
上記実施形態では、フルラインタイプの記録ヘッドを用いたインクジェット記録装置を例示したが、本発明の適用範囲はこれに限定されず、記録媒体の幅に満たない長さのノズル列を有する短尺ヘッドを用いて、複数回走査を行うことにより画像形成を行う場合にも本発明は適用可能である。特に、本発明は記録ヘッドと被記録媒体の相対的な移動を1回だけ行うことによって、当該記録ヘッドのノズル列(記録素子列)がカバーする相対移動の範囲(走査範囲)について画像記録を完了させる、いわゆるシングルパス方式の画像形成について適用することが有益である。
また、上記実施の形態では画像形成装置の一例としてインクジェット記録装置を説明したが、本発明の適用範囲はこれに限定されない。インクジェット方式以外では、ラインヘッドを有する熱転写記録装置(サーマル素子を記録素子とする装置)、LED電子写真プリンタ、LEDライン露光ヘッドを有する銀塩写真方式プリンタ(LED素子を記録素子とする装置)など各種方式の画像形成装置についても本発明を適用することが可能である。
本発明の技術的範囲は、上記実施形態に記載の範囲には限定されない。各実施形態における構成等は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、各実施形態間で適宜組み合せることができる。