JP5618240B2 - 定量分析方法 - Google Patents

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Description

本発明は、XAFS(X-ray absorption fine structure)スペクトルを用いて試料中に含まれる元素を定量分析する方法に関し、特に、試料中に含まれる微量元素を定量するのに好適な定量分析方法に関するものである。
従来、材料や産業副生成物等の物質中に存在する微量元素が、物質の機能発現や、環境安全性に大きく影響を与えることが知られている。具体的には、例えばフェライト組織中にナノメートルサイズのTi−Mo複合炭化物を析出させてなる鋼材は、高い強度と加工性を発現することが知られており、また、六価クロムを微量でも含有する物質は、強い毒性を発揮し、環境を汚染することが知られている。
そのため、近年では、物質の機能発現を制御したり、環境安全性を確保したりする観点から、物質中の微量元素を正確に定量する技術を確立することが求められている。
ここで、一般に、物質中の微量元素を比較的高精度で定量する手法としては、溶解させた試料をICP発光分光分析法などで化学分析する湿式分析法が知られている。しかし、湿式分析法には、試料(分析対象物)を溶解する必要があるため、試料を非破壊で定量分析することができず、また、試料の特定部分のみを局所的に定量分析することが困難であるという問題点があった。
そこで、試料の特定部分のみを非破壊で定量分析し得る手法として、蛍光X線分析法や、X線吸収端付近におけるX線透過率の比を用いた方法(例えば特許文献1参照)が提案されている。
しかし、蛍光X線スペクトルのピーク強度を用いて定量分析を行う蛍光X線分析法には、特に複数の元素のピークが近接、或いは、重なって検出された場合に、ピークを分離して解析することが困難であり、十分に高い精度で微量元素を定量することができないという問題がある。
また、特許文献1に記載の、試料にX線を照射した際の透過X線を分光し、特定の元素のX線吸収端の前後の波長におけるX線透過率の比を求めることにより試料中の微量元素を定量分析する方法には、透過X線を分光してX線透過率を求める必要があるため、液体試料や厚みの薄い試料(薄厚試料)等のX線が透過し易い試料しか分析することができないという問題がある。また、このX線吸収端付近におけるX線透過率の比を用いた方法には、試料の種類や厚さ、元素の結合状態などによって透過X線の強度が影響を受けるため、十分に高い精度で微量元素を定量することができないという問題もある。
特開2002−214162号公報
そこで、この発明は、様々な性状の試料の特定部分のみを非破壊かつ高精度で微量元素まで定量分析することができる定量分析方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意研究を行い、従来は試料中の元素の化学結合状態の解析(即ち、定性分析)に用いられていたXAFSスペクトルを利用して、様々な性状の試料の特定部分のみを非破壊で定量分析することに想到した。そして更に、本発明者らは、XAFSスペクトルを利用して微量元素まで高精度で定量分析を行うには、特定の方法を用いてXAFSスペクトルを解析する必要があることを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の定量分析方法は、試料中に含まれる特定の元素を定量分析する方法であって、試料に対してX線を波長掃引しながら照射し、XAFSスペクトルを得るスペクトル取得工程と、前記XAFSスペクトル中における前記特定の元素のX線吸収端よりも高いエネルギー領域に位置するスペクトルのデータを用いて仮想高エネルギー領域曲線を作成する仮想高エネルギー領域曲線作成工程と、前記XAFSスペクトル中の前記特定の元素のX線吸収端よりも低いエネルギー領域に位置するスペクトルのデータを用いて仮想バックグラウンド曲線を作成する仮想バックグラウンド曲線作成工程と、前記仮想高エネルギー領域曲線と、前記仮想バックグラウンド曲線との差を用いて前記特定の元素を定量する解析工程とを含むことを特徴とする。
また、本発明の定量分析方法は、試料中に含まれる特定の元素を定量分析する方法であって、試料に対してX線を波長掃引しながら照射し、XAFSスペクトルを得るスペクトル取得工程と、前記XAFSスペクトル中における前記特定の元素のX線吸収端よりも高いエネルギー領域に位置するスペクトルのデータを用いて仮想高エネルギー領域曲線を作成する仮想高エネルギー領域曲線作成工程と、X線のエネルギーとXAFSスペクトルの強度との関係を仮定し、前記仮想高エネルギー領域曲線を用いて仮想バックグラウンド曲線を作成する仮想バックグラウンド曲線作成工程と、前記仮想高エネルギー領域曲線と、前記仮想バックグラウンド曲線との差を用いて前記特定の元素を定量する解析工程とを含むことを特徴とする。
なお、本明細書において、「特定の元素」とは、定量分析の対象である元素を指す。また、「XAFSスペクトルの強度」とは、XAFSスペクトルの測定方法によって異なり、例えばX線の透過強度を測定してXAFSスペクトルを求めた場合にはX線吸収係数であり、蛍光X線収量法によりXAFSスペクトルを求めた場合には特定元素の蛍光X線、或いは、特定元素の蛍光X線を含むX線の強度Iを照射したX線の強度Iで除した蛍光X線強度比(I/I)であり、全電子収量法や部分電子収量法によりXAFSスペクトルを求めた場合には試料から放出される二次電子量若しくは試料吸収電流量(全電子収量法の場合)または試料から放出される二次電子のあるエネルギー領域の強度(部分電子収量法の場合)、或いは、オージェ電子の強度(オージェ電子収量法の場合)を指す。
ここで、本発明の定量分析方法は、前記解析工程で、前記XAFSスペクトルの所定範囲について、前記仮想高エネルギー領域曲線と前記仮想バックグラウンド曲線との差を積算し、該積算値を用いて前記特定の元素を定量することが好ましい。
更に、本発明の定量分析方法は、前記解析工程で、前記仮想高エネルギー領域曲線と前記仮想バックグラウンド曲線との差を複数のエネルギー位置で求め、該差の平均値を算出し、該平均値を用いて前記特定の元素を定量することが好ましい。
また、本発明の定量分析方法は、前記XAFSスペクトルを用い、前記解析工程で特定の元素を定量したのと同一の分析領域における前記特定の元素の化学結合状態を解析する定性分析工程を更に含むことが好ましい。
本発明によれば、様々な性状の試料の特定部分のみを非破壊かつ高精度で微量元素まで定量分析することができる。
本発明に従う代表的な定量分析方法を用いて鉄鋼材料中に含まれているニオブ(Nb)を定量分析した際のXAFSスペクトルである。 本発明に従う別の定量分析方法を用いて鉄鋼材料中に含まれているニオブ(Nb)を定量分析した際のXAFSスペクトルである。 実施例でニオブの定量分析を行う際に用いた検量線を示すグラフである。 鉄鋼材料中に含まれている、析出物として析出したニオブ(Nb)の含有量について、湿式分析法で定量分析した値と、本発明に従う代表的な定量分析方法で定量分析した値との関係を示すグラフである。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。本発明に係る定量分析方法は、鉄鋼材料、金属材料、酸化物その他の化合物材料等の各種試料中に含まれる元素、特に含有量が数質量ppmレベルの微量元素の定量分析に用いることができる。そして、本発明の定量分析方法は、まず、分析対象の試料のXAFSスペクトルを測定し、次に、定量したい元素について、得られたXAFSスペクトルを用いて仮想高エネルギー領域曲線および仮想バックグラウンド曲線を作成した後、仮想高エネルギー領域曲線と仮想バックグラウンド曲線との差を用いて試料中に含まれる元素を定量することを特徴とする。なお、本発明の定量分析方法は、液体試料、気体試料の分析にも適用し得る。
ここで、本発明の定量分析方法の第一実施形態を用いて鉄鋼材料中に含まれているニオブ(Nb)を定量分析した際のXAFSスペクトルを図1に示す。この第一実施形態の定量分析方法では、まず、分析対象試料である鉄鋼材料の特定部分(局所的な分析領域)に対してX線を波長掃引しながら照射し、X線吸収係数に関するXAFSスペクトル(X線吸収スペクトル)を得る(スペクトル取得工程)。次に、XAFSスペクトル中の、定量分析の対象であるNbのX線吸収端よりも高いエネルギー領域に位置するスペクトルのデータを用いて仮想高エネルギー領域曲線を作成すると共に(仮想高エネルギー領域曲線作成工程)、NbのX線吸収端よりも低いエネルギー領域に位置するスペクトルのデータを用いて仮想バックグラウンド曲線を作成する(仮想バックグラウンド曲線作成工程)。そして、仮想高エネルギー領域曲線と仮想バックグラウンド曲線との差(X線吸収係数の差に関係するXAFSスペクトル強度差)を用いて鉄鋼材料中に含まれるNbの量を定量する(解析工程)。なお、この第一実施形態の定量分析方法では、任意に、定量分析に使用したXAFSスペクトルを用いて、定量分析を行った部分と同一の分析領域についてNbの化学結合状態を解析しても良い(定性分析工程)。
スペクトル取得工程におけるXAFSスペクトルの測定は、鉄鋼材料の分析領域に対し、定量分析の対象である元素(Nb)のX線吸収端近傍で波長を連続的に変化させながら(即ち、波長掃引しながら)X線を照射することにより実施できる。そして、このスペクトル取得工程では、図1に示すような、縦軸がX線吸収係数に関係する値で、横軸が試料に対して照射したX線のエネルギー値であるXAFSスペクトルが得られる。なお、スペクトル取得工程における分析領域の位置決めは、感光物質等を用いて鉄鋼材料に対するX線の照射位置を調整し、また、X線の照射角度を制御して鉄鋼材料に対するX線の照射深さを調整することにより実施できる。なお、X線の照射面積はスリットやX線集光装置を用いて任意に設定することができる。
ここで、本発明の定量分析方法では、XAFSスペクトルの測定に、試料を透過する前後のX線強度からXAFSスペクトルを求める透過法と、試料におけるX線の吸収に伴って発生する蛍光X線の強度から蛍光XAFSスペクトルを求める蛍光X線収量法との何れを用いても良いが、透過法ではX線が透過可能な薄厚の試料や液体試料しか測定できないため、様々な性状の試料を測定可能であり、且つ検出感度が高い蛍光X線収量法を用いることが好ましい。また、本発明の定量分析方法では、試料の表面近傍を分析したい場合には、全電子収量法や部分電子収量法等の電子収量法も採用することができる。
なお、本発明の定量分析方法では、分析対象の試料中の元素濃度が5質量%以下の場合には、蛍光X線収量法を用いることが好ましい。高精度で定量分析を実施することができるからである。
仮想高エネルギー領域曲線作成工程における仮想高エネルギー領域曲線の作成は、様々な方法を用いて実施することができる。
具体的には、X線吸収端よりも高いエネルギー領域側(短波長側)に位置するスペクトルのデータのうち、最初に現れるピークを除いたスペクトルデータに関し、下記(A)〜(D)の何れかの方法等を用いて、図1に破線で示すような仮想高エネルギー領域曲線を作成することができる。
(A)隣り合う一組の山谷(または谷山)のXAFSスペクトル強度の平均値を山谷(または谷山)の中間のX線エネルギー位置にプロットし、それらを直線で結ぶ方法
(B)cubic spline法(XAFSスペクトルをいくつかの区間にわけ、各区間について、3次関数を、区間の境界における該3次関数の1次微分値とXAFSスペクトル強度の値とが一致するような3次関数にフィットさせる方法)
(C)適当な多項式(一次式を含む)を最小自乗法でフィットさせる方法
(D)移動平均法
なお、最初のピークを除くのは、この最初のピークの形や強度は、元素の結合状態に強く依存して変化し、仮想高エネルギー領域曲線に影響を与えるためである。因みに、「X線吸収端よりも高いエネルギー領域側」のエネルギー範囲は、特に限定しないが、X線吸収端から150eV以上あることが望ましい。因みに、上記方法(B)〜(D)は、拡張X線吸収端微細構造(EXAFS)の解析にも用いられており、上記方法(B)〜(D)でEXAFS解析を行うためには通常少なくともX線吸収端から500eV以上のエネルギー範囲で解析を行う。しかし、元素の定量を行うことを目的とした本方法では、EXAFS解析を行う場合よりも短いエネルギー範囲で解析を行うことができ、短時間で分析を行うことができる。
また、仮想バックグラウンド曲線作成工程における仮想バックグラウンド曲線の作成も、様々な方法を用いて実施することができる。
具体的には、X線吸収端よりも低いエネルギー領域側に位置するスペクトルのデータについて、下記(a),(b)の何れかの方法等を用いて、図1に一点鎖線で示すような仮想バックグラウンド曲線を作成することができる。
(a)X線吸収端よりも低いエネルギー領域側のスペクトルを適当な多項式でフィットさせ(Victoreenの式)、それをX線吸収端よりも高いエネルギー領域側に外挿する方法
(b)分析対象元素を含有せず、主要元素の濃度がほぼ同じ試料を同一条件で測定し、バックグラウンドの形を実験的に求め、それに適当な係数をかけてX線吸収端よりも低いエネルギー領域でフィットさせる方法
なお、上記「Victoreenの式」とは、Victoreenにより提案されたX線吸収端近傍以外のエネルギー領域におけるX線吸収係数などのスペクトルデータを表す経験式である。そして、Victoreenの式としては、例えば“「X線吸収微細構造」、日本分光学会測定法シリーズ26、宇田川康夫編、学会出版センター、1993年、P.51,P.172”(非特許文献1)に記載されている、下記式(1)または下記式(2)を用いることができる。
μ/ρ=Cλ−Dλ+const ・・・・・ (1)
μ/ρ=Cλ−Dλ ・・・・・ (2)
式中、μは吸光度(ln(I/I))、ρは試料の密度、constはフィッティングの際に定まる定数である。C、Dについては、非特許文献1に出典が記載されており、また非特許文献1の第172ページにも抜粋した表が記載されている。
解析工程では、仮想高エネルギー領域曲線と仮想バックグラウンド曲線との差(XAFSスペクトル強度の差)の大きさが、分析対象試料である鉄鋼材料中に含まれている定量分析の対象元素であるNbの量と相関関係を有していることを利用して、仮想高エネルギー領域曲線と仮想バックグラウンド曲線との差から鉄鋼材料中に含まれているNbの量を算出する。
具体的には、この第一実施形態の定量分析方法の解析工程では、例えば、定量分析の対象元素であるNbのX線吸収端よりも高エネルギー側の領域の所定範囲(図1に斜線で示す領域)において、仮想高エネルギー領域曲線と仮想バックグラウンド曲線との差を積算し、Nb含有量既知の標準試料を用いて予め作成しておいた検量線と、求めた積算値とを用いてNbの量を算出する。なお、差を積算する「所定の範囲」は、任意の範囲とすることができるが、定量分析の統計精度をより高める観点からは広いほど好ましく、少なくとも50eV以上のエネルギー範囲とすることが好ましい。また、X線吸収端近傍のスペクトルの急激な変化が仮想高エネルギー領域曲線に与える影響を低減する観点からは、「所定の範囲」の開始位置は、X線吸収端よりも50eV以上高エネルギー側の位置とすることが好ましい。
ここで、検量線は、Nb含有量が互いに異なる複数の標準試料に対し、分析対象試料である鉄鋼材料と同一の条件でXAFSスペクトルの測定を行い、得られたXAFSスペクトルを用いて鉄鋼材料と同一の手法で仮想高エネルギー領域曲線と仮想バックグラウンド曲線との差の積算値を求めることにより作成できる。具体的には、まず、鉄鋼材料のXAFSスペクトルを測定するのと同一の試料および装置(例えば、X線検出器等)の配置・条件で、組成が既知の各標準試料のXAFSスペクトルを測定する。次に、得られたXAFSスペクトルのそれぞれについて、鉄鋼材料と同じ手法で仮想高エネルギー領域曲線と仮想バックグラウンド曲線を作成する。そして最後に、鉄鋼材料と同じ手法で仮想高エネルギー領域曲線と仮想バックグラウンド曲線との差の積算値を求め、各標準試料のNb含有量を横軸に、積算値を縦軸にとって、検量線を作成する。なお、測定条件のうち、X線の照射面積は、XAFSスペクトル強度が、絶対値ではなく、X線吸収係数(透過法の場合)或いは蛍光X線強度比(I/I)(蛍光X線収量法の場合)等であるため、サンプルと標準試料とで変更することができる。
なお、本発明の定量分析方法の解析工程では、NbのX線吸収端よりも高エネルギー側の領域の複数のエネルギー位置において、仮想高エネルギー領域曲線と仮想バックグラウンド曲線との差を算出し、既知のNb含有量の標準試料を用いて予め作成しておいた検量線と、算出した差の平均値とを用いてNbの含有量を算出しても良い。なお、差の平均値を用いる場合の検量線は、後に詳述する第二実施形態において説明する手法と同様の手法で作成することができる。
因みに、本発明の定量分析方法の解析工程では、NbのX線吸収端よりも低エネルギー側の領域において、仮想高エネルギー領域曲線と仮想バックグラウンド曲線との差の積算値または平均値を求めてNbの含有量を算出しても良いが、定量分析の精度をより高める観点からは、NbのX線吸収端よりも高エネルギー側の領域において、仮想高エネルギー領域曲線と仮想バックグラウンド曲線との差の積算値または平均値を求めてNbの含有量を算出することが好ましい。
定性分析工程におけるNbの化学結合状態の解析は、XAFSスペクトル中のX線吸収微細構造について、XANES(X線吸収端近傍微細構造)のスペクトルを、標準試料のスペクトルや、計算により求めた化合物のスペクトルと比較したり、拡張X線吸収微細構造(EXAFS)のスペクトルを解析したり、計算により求めた化合物のスペクトルで分析対象の試料のXAFSスペクトルをフィッティングしたりすることにより実施することができる。
そして、上記第一実施形態の定量分析方法によれば、XAFSスペクトルを用いて定量分析を行うことができるので、様々な性状の試料について定量分析を行うことができる。また、特定部分(局所的な分析領域)に対してX線を照射して得たXAFSスペクトルを用いて定量分析を行っているので、試料の特定部分のみを非破壊で分析することができる。更に、所定の方法で作成した仮想高エネルギー領域曲線と仮想バックグラウンド曲線との差を用いて定量分析の対象である元素を定量しているので、ppmレベルの微量元素を含む様々な量の元素を高精度で定量分析することができる。また、定量分析に用いたXAFSスペクトルを利用して定量分析の対象である元素の化学結合状態も解析しているので、試料の局所領域について、定量分析と定性分析との双方を同時に行うことができる。
なお、この第一実施形態の定量分析方法では、XAFSスペクトルを利用しているので、ピーク分解能の低い蛍光X線分析法と比較して高精度で定量分析を実施できる。また、湿式分析法と比較して短時間で定量分析を行うことができる。更に、この第一実施形態の定量分析方法では、仮想高エネルギー領域曲線と仮想バックグラウンド曲線との差の積算値を用いてNbの量を算出しているので、分析対象試料の状態や厚み等に起因したXAFSスペクトル形状の変動(バックグラウンドやX線吸収端後のXAFSスペクトルの変動)の影響を殆ど受けることなく高精度で分析ができる。
次に、本発明の定量分析方法の第二実施形態を用いて鉄鋼材料中に含まれているニオブ(Nb)を定量分析した際のXAFSスペクトルを図2に示す。この第二実施形態の定量分析方法は、第一実施形態とは異なる鉄鋼材料を分析した点、蛍光X線収量法により蛍光XAFSスペクトルを測定した点、仮想バックグラウンド曲線作成工程における仮想バックグラウンド曲線の作成を、X線のエネルギーとXAFSスペクトル強度との関係を仮定し、仮想高エネルギー領域曲線を用いて行った点、および、解析工程におけるNbの量の算出を、複数のエネルギー位置における仮想高エネルギー領域曲線と仮想バックグラウンド曲線との差(XAFSスペクトル強度である蛍光X線強度比(I/I)の差)の平均値を用いて行った点で先の第一実施形態とは異なり、他の点は先の第一実施形態と同様にして実施する。
ここで、この第二実施形態の定量分析方法の仮想バックグラウンド曲線作成工程における仮想バックグラウンド曲線の作成は、先の第一実施形態と同様の手法で作成した、図2に破線で示す仮想高エネルギー領域曲線を用いて、以下のような方法で実施することができる。
具体的には、下記(a’)〜(c’)の何れかの方法等を用いて、図2に一点鎖線で示すような仮想バックグラウンド曲線を作成することができる。
(a’)仮想高エネルギー領域曲線の低エネルギー領域側への外挿線と、第一実施形態における仮想バックグラウンド曲線の求め方と同様の方法で求めたバックグラウンド曲線(図2に二点鎖線で示す)の高エネルギー領域側への外挿線との、X線吸収端における差を出発点とし、それより高エネルギー領域側の仮想高エネルギー領域曲線とバックグラウンド曲線との差(すなわち、分析対象元素の蛍光X線強度)がマクマスター係数(例えば、“「Compilation of X-ray cross Sections」、W.H.McMaster, N.Kerr, Del Grande, J.H.Millet, and J.H.Hubell、National Technical Information Service、Springer-field、1969年”(非特許文献2)に記載)のエネルギー依存性と一致すると仮定して、仮想バックグラウンド曲線を求める方法
(b’)(a’)において、X線吸収端の位置における差ではなく、X線吸収端の前後(50eV以内)の特定のエネルギー位置における仮想高エネルギー領域曲線と、バックグラウンド曲線との差、或いは、X線吸収端の前後(50eV以内)のエネルギー領域における仮想高エネルギー領域曲線と、バックグラウンド曲線との差の平均値を出発点とする方法(なお、平均化の方法は特に限定されず、また、平均値を算出する際に用いる差の数は任意の数とすることができる。)
(c’)(a’)(b’)において、マクマスター係数に代えて、例えば、Victoreenの式や適当な多項式などの他のスペクトルデータのエネルギー依存性を用いる方法
なお、図2は、(a’)の方法を用いて仮想バックグラウンド曲線を作成した例を示している。第二実施形態の定量分析方法は、X線吸収端の低エネルギー領域側に分析対象元素以外の元素のX線吸収端が存在する場合や、散乱光の影響等によりX線吸収端よりも低エネルギー領域側のスペクトルから良好な仮想バックグラウンド曲線を求めることができない場合に有効である。
また、解析工程では、NbのX線吸収端よりも高エネルギー側の領域の複数のエネルギー位置(図2ではα、β、γの3点)において、仮想高エネルギー領域曲線と仮想バックグラウンド曲線とのXAFSスペクトル強度(蛍光X線の強度Iを照射したX線の強度Iで除した蛍光X線強度比(I/I))の差(Δα、Δβ、Δγ)を算出し、Nb含有量既知の標準試料を用いて予め作成しておいた検量線と、算出したXAFSスペクトル強度I/Iの差の平均値とを用いてNbの含有量を算出する。なお、平均値の算出に用いるXAFSスペクトル強度I/Iの差の数は、任意の数とすることができるが、定量分析の精度をより高める観点からは多いほど好ましい。また、XAFSスペクトル強度I/Iの差の平均値を取る範囲は、仮想バックグラウンド曲線の不確定さを考慮し、例えばX線吸収端から200eVまでの範囲内とすることができる。
ここで、検量線は、Nb含有量が互いに異なる複数の標準試料に対し、分析対象試料である鉄鋼材料と同一の条件でXAFSスペクトルの測定を行い、得られたXAFSスペクトルを用いて鉄鋼材料と同一の手法で仮想高エネルギー領域曲線と仮想バックグラウンド曲線とのXAFSスペクトル強度I/Iの差の平均値を求めることにより作成できる。具体的には、まず、鉄鋼材料のXAFSスペクトルを測定するのと同一の試料および装置(例えば、X線検出器等)の配置・条件で、各標準試料のXAFSスペクトルを測定する。次に、得られたXAFSスペクトルのそれぞれについて、鉄鋼材料と同じ手法で仮想高エネルギー領域曲線と仮想バックグラウンド曲線を作成する。そして最後に、鉄鋼材料と同じ手法で仮想高エネルギー領域曲線と仮想バックグラウンド曲線とのXAFSスペクトル強度I/Iの差の平均値を求め、各標準試料のNb含有量を横軸に、平均値を縦軸にとって、検量線を作成する。
なお、この第二実施形態の定量分析方法の解析工程では、先の第一実施形態と同様に、仮想高エネルギー領域曲線と仮想バックグラウンド曲線とのXAFSスペクトル強度I/Iの差の積算値を用いてNbの含有量を算出しても良い。
そして、この第二実施形態の定量分析方法によれば、先の第一実施形態と同様に、XAFSスペクトルを用いて定量分析を行うことができるので、様々な性状の試料について定量分析を行うことができる。また、特定部分(局所的な分析領域)に対してX線を照射して得たXAFSスペクトルを用いて定量分析を行っているので、試料の特定部分のみを非破壊で分析することができる。更に、所定の方法で作成した仮想高エネルギー領域曲線と仮想バックグラウンド曲線とのXAFSスペクトル強度I/Iの差を用いて定量分析の対象である元素を定量しているので、ppmレベルの微量元素を含む様々な量の元素を高精度で定量分析することができる。また、定量分析に用いたXAFSスペクトルを利用して定量分析の対象である元素の化学結合状態も解析しているので、試料の局所領域について、定量分析と定性分析との双方を同時に行うことができる。更に、この第二実施形態の定量分析方法では、先の第一実施形態と同様に、XAFSスペクトルを利用しているので、ピーク分解能の低い蛍光X線分析法と比較して高精度で定量分析を実施できる。また、湿式分析法と比較して短時間で定量分析を行うことができる。
なお、この第二実施形態の定量分析方法では、複数のエネルギー位置における仮想高エネルギー領域曲線と仮想バックグラウンド曲線とのXAFSスペクトル強度I/Iの差の平均値を用いてNbの量を算出しているので、統計精度を大幅に向上させることができる。
以上、本発明の定量分析方法について実施形態を用いて説明したが、本発明の定量分析方法は、上記第一および第二実施形態に限定されることはなく、本発明の定量分析方法には、適宜変更を加えることができる。また、本発明の定量分析方法を用いて複数の試料の定量分析を実施する場合、試料間で仮想高エネルギー領域曲線を求める方法を変えても良い。仮想高エネルギー領域曲線は、原子が孤立していると仮定した時のXAFSスペクトルと同じ物理的な意味を持つものであるからである。
以下、実施例1により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は下記の実施例1に何ら限定されるものではない。
(鉄鋼材料中のNbの分析)
[検量線の作成]
まず、濃度が16、31、110、160、170、450、500、2100質量ppmとなるようにNbを添加した標準鉄鋼試料1〜8を準備した。
次に、標準鉄鋼試料1〜8のそれぞれの表面を研磨し、高エネルギー加速器研究機構の放射光ビームラインBL27Bにおいて、7素子半導体検出器を用いた蛍光X線収量法により、研磨面についてNbのK吸収端近傍の蛍光XAFSスペクトルを測定した。なお、測定は、同一配置・条件で行った。また、X線の照射面積(分析エリア)は17mm×1mmとした。
そして、得られた蛍光XAFSスペクトルについて、仮想高エネルギー領域曲線を上述したcubic spline法(方法(B))で求め、仮想バックグラウンド曲線を、マクマスター係数から計算されたXAFSスペクトル強度の変化を仮想高エネルギー領域曲線から引くこと(方法(a’))で求めた。次に、仮想高エネルギー領域曲線と仮想バックグラウンド曲線との差の平均値をX線のエネルギーが19050〜19150eVの範囲で求めた。そして、図3に示すような、各標準鉄鋼試料のNb含有量(濃度)を横軸に、XAFSスペクトル強度の差の平均値を縦軸にとった検量線を作成した。
その結果、相関係数R=0.9996の非常に直線性の高い良好な検量線が得られた。
[析出物として析出したNbの分析]
Nb濃度が123質量ppm〜164質量ppmで、熱処理を種々変更した11種類の鋼材を準備した。そして、各鋼材について、上記の方法でXAFSスペクトルの測定を行い、仮想高エネルギー領域曲線と仮想バックグラウンド曲線との差の平均値を求め、図3の検量線を用いてNbの定量を行った。次に、同じXAFSスペクトルを用いて、“M.Nagoshi, T.Kawano, K.Sato, M.Funakawa, T.Shiozaki and K.Kobayashi、「Physica Scripta.」Vol.T115、P.480〜482、2005年”(非特許文献3)に記載の方法のうちEXAFSスペクトルを利用する方法を用いてNbの固溶率を求めた。具体的にはEXAFSスペクトルから振動成分を抽出し、フーリエ変換してNb原子周りの動径分布関数を求めて固溶したNb原子周りの第一近接Fe原子の配位数を計算した。その際、同じ条件で測定した、Nbを0.21質量%含有し、1200℃で30分加熱した後に急冷した試料をNbが100%固溶状態で存在する参照試料とした。100%固溶状態の場合、第一近接Fe原子の配位数は8となる。そして、Nb濃度が123質量ppm〜164質量ppmの試料の配位数(X)を求め、その試料の固溶したNbの割合(固溶率)を(X/8)×100(%)として決定した。
その後、Nbの析出率(%)を(100−固溶率)として求め、これにXAFSスペクトルから前述の方法で得られたNbの定量値を乗じて、析出物として析出したNbの濃度を求めた。
また、湿式分析法で各鋼材のNb濃度を定量すると共に、“「高強度鋼中合金元素の固溶定量法の開発」、CAMP-ISIJ、Vol.23、2010年、P.1348”に記載の方法を用いて鋼材中の固溶Nb量を求め、その差より析出物として析出したNbの濃度を求めた。具体的には、鋼材を適当な大きさに切断し、10%AA系電解液(10体積%アセチルアセトン−1質量%塩化テトラメチルアンモニウム−メタノール)中で、約0.2gの切断した鋼材を電流密度20mA/cmで定電流電解した。電解後の電解液を分析溶液とし、ICP質量分析法を用いてNbの液中濃度と、比較元素としてのFeの液中濃度とを測定した。そして、得られた液中濃度を基に、Feに対するNbの液中濃度比を算出し、更に鋼材中のFeの濃度を乗じることで、固溶状態にあるNbの濃度(鋼材に対する濃度)を求めた。なお、鋼材中のFeの濃度は、Fe以外の組成の合計を100%から減算することで求めることができる。
そして、湿式分析法を用いて求めたNb析出量を縦軸に、本発明に従う方法で求めたNb析出量を横軸にプロットして、図4に示すグラフを作成した。図4より、両者は良い相関関係にあることがわかる。
この結果から、本発明に従う定量分析方法を用いると、一つのXAFSスペクトルから、微量元素の定量と結合状態の評価との双方を行い得ることが分かる。また、X線を狙った場所に照射することで、固体のまま(試料を溶かすことなく非破壊で)局所の微量元素の定量と結合状態の評価を同一分析領域について行うことができることが分かる。
以下、実施例2により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は下記の実施例2に何ら限定されるものではない。
Nbを31質量ppm(ICP発光分光分析法での測定値)含有する鉄鋼試料Aに対し、以下の分析手法1〜4でNbの定量分析を実施した。各分析手法の測定値および測定に要した時間を表1に示す。また、各分析手法に関し、化学結合状態の定性分析が可能であるか否か、非破壊で定量分析可能であるか否か、および、局所領域の分析が可能であるか否かについても、表1に併せて記載した。
(分析手法1)
まず、濃度が16、31、110、160、170、2100質量ppmとなるようにNbを添加した標準鉄鋼試料1〜5、8を準備した。次に、標準鉄鋼試料1〜5、8のそれぞれの表面を研磨し、高エネルギー加速器研究機構の放射光ビームラインBL27Bにおいて、7素子半導体検出器を用いた蛍光X線収量法により、研磨面についてNbのK吸収端近傍のXAFSスペクトルを測定した。なお、測定は、同一配置・条件で行った。その後、得られたXAFSスペクトルについて、仮想高エネルギー領域曲線を上述したcubic spline法(方法(B))で求め、仮想バックグラウンド曲線を、マクマスター係数から計算されたXAFSスペクトル強度の変化を仮想高エネルギー領域曲線から引くこと(方法(a’))で求めた。次に、仮想高エネルギー領域曲線と仮想バックグラウンド曲線との差の平均値をX線のエネルギーが19050〜19150eVの範囲で求めた。そして、検量線を作成した。
その結果、相関係数R=0.9953の非常に直線性の高い良好な検量線が得られた。
また、鉄鋼試料Aに対しても、検量線を作成した際と同様にして、高エネルギー加速器研究機構の放射光ビームラインBL27Bにおいて、7素子半導体検出器を用いた蛍光X線収量法により、NbのK吸収端近傍のXAFSスペクトルを測定し、解析を行った。そして、検量線を用いて鉄鋼試料A中のNbの量を算出した。
(分析手法2)
JIS G1258−4に準拠して、ICP発光分光分析法により鉄鋼試料A中のNbの量を測定した。
(分析手法3)
市販の蛍光X線装置(Ph管球)を用いて、鉄鋼試料AのNb−K線のピーク強度を測定した。しかし、ピーク強度が弱いためノイズによりピーク強度を測定できなかった(即ち、定量限界以下であった)。
(分析手法4)
鉄鋼試料Aを研磨して約10ミクロンの薄片にした。そして、高エネルギー加速器研究機構の放射光ビームラインBL27Bにおいて透過法によりX線吸収スペクトルを測定した。そして、特開2002−214162号公報を参照して、X線吸収端の前後(X線吸収端±50eV)で各1点の強度を読み取ろうとしたが、X線吸収スペクトルにはX線吸収端が見られなかった。即ち、Nbを検出できなかった。
Figure 0005618240
表1より、分析手法1によれば、試料の特定部分のみを非破壊かつ高精度で微量元素まで定量分析し得ることが分かる。また、分析手法1では、定量分析したのと同一の分析領域において、試料中の元素の化学結合状態の解析のような定性分析も併せて行い得ることも分かる。
本発明によれば、様々な性状の試料の特定部分のみを非破壊かつ高精度で微量元素まで定量分析し得る定量分析方法を提供できる。

Claims (5)

  1. 試料中に含まれる特定の元素を定量分析する方法であって、
    試料に対してX線を波長掃引しながら照射し、XAFSスペクトルを得るスペクトル取得工程と、
    前記XAFSスペクトル中における前記特定の元素のX線吸収端よりも高いエネルギー領域に位置するスペクトルのデータを用いて仮想高エネルギー領域曲線を作成する仮想高エネルギー領域曲線作成工程と、
    前記XAFSスペクトル中の前記特定の元素のX線吸収端よりも低いエネルギー領域に位置するスペクトルのデータを用いて仮想バックグラウンド曲線を作成する仮想バックグラウンド曲線作成工程と、
    前記仮想高エネルギー領域曲線と、前記仮想バックグラウンド曲線との差を用いて前記特定の元素を定量する解析工程と、
    を含むことを特徴とする、定量分析方法。
  2. 試料中に含まれる特定の元素を定量分析する方法であって、
    試料に対してX線を波長掃引しながら照射し、XAFSスペクトルを得るスペクトル取得工程と、
    前記XAFSスペクトル中における前記特定の元素のX線吸収端よりも高いエネルギー領域に位置するスペクトルのデータを用いて仮想高エネルギー領域曲線を作成する仮想高エネルギー領域曲線作成工程と、
    X線のエネルギーとXAFSスペクトルの強度との関係を仮定し、前記仮想高エネルギー領域曲線を用いて仮想バックグラウンド曲線を作成する仮想バックグラウンド曲線作成工程と、
    前記仮想高エネルギー領域曲線と、前記仮想バックグラウンド曲線との差を用いて前記特定の元素を定量する解析工程と、
    を含むことを特徴とする、定量分析方法。
  3. 前記解析工程で、前記XAFSスペクトルの所定範囲について、前記仮想高エネルギー領域曲線と前記仮想バックグラウンド曲線との差を積算し、該積算値を用いて前記特定の元素を定量することを特徴とする、請求項1または2に記載の定量分析方法。
  4. 前記解析工程で、前記仮想高エネルギー領域曲線と前記仮想バックグラウンド曲線との差を複数のエネルギー位置で求め、該差の平均値を算出し、該平均値を用いて前記特定の元素を定量することを特徴とする、請求項1または2に記載の定量分析方法。
  5. 前記XAFSスペクトルを用い、前記解析工程で特定の元素を定量したのと同一の分析領域における前記特定の元素の化学結合状態を解析する定性分析工程を更に含む、請求項1〜4の何れかに記載の定量分析方法。
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