JP5617428B2 - 高硬度鋼加工用小径ドリル - Google Patents

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Description

本発明はHRC45以上に調質された高硬度鋼を加工するための、刃径が1mm以下の小径ドリルに関する。
鋼製の金型や部品加工においては、省力化、省資源化の要請から、HRC45以上に焼入れ焼戻し処理した高硬度鋼や、工具鋼メーカーで調質したプリハードン鋼での切削加工が増大している。これらの鋼は、用途上でエジェクターピン通過穴やガス抜き穴のために深穴加工が必要であり、ドリルでは刃径(以下、Dともいう。)の10倍を超える深さの穴あけ加工が増えている。しかも最近の傾向として、これらの穴径は金型や部品の小型化と精密化に伴い小さくなり、ドリルの刃径が1mm以下の小径の穴あけ加工が要請されている。このような高硬度鋼の用途に最適な小径ドリルは未開拓であるのが現状であり、従来のドリルを使用した加工現場では、加工深さが10D程度ではせいぜい10穴程度の工具寿命であり、加工深さが30D程度になると工具寿命は0穴〜5穴程度と短いものであった。それでも適正なドリルが無いので我慢して市販の従来のドリルを使用するか、ワイヤ放電加工に依存して穴あけをしているのが現状である。
すなわち、本発明が対象とするドリルは、刃径Dが1mm以下の小径で首下の長いドリルが必要とされ、高硬度鋼の穴あけを安定して行うことを求められる部品加工や金型加工といった分野を対象としている。
従来の深穴加工用の分野で用いられている汎用的なドリルは、ねじれ角を30°以下にして、芯厚を50%以上にしたものや、リーディングエッジ部にネガランドを設けるなどして、刃先の強度を向上したものなどがある。
特許文献1には、超硬素材のドリルに付随する、ねじれ、曲げ剛性不足の問題、切り屑排出性の問題、溶着及び切れ刃の欠損の問題、切削力増加の問題、外周マージン部の摩耗の問題を解決することを目的としたドリルが提案されている。しかしながら、この提案のドリルの刃径も、その実施例から明らかなように、発明の対象は10mm程度と太いものである。
特許文献2には、高硬度材の深穴加工用ロングドリルとして、切り屑の排出性能を確保して折損強度を確保する目的から、ウェブの厚さをドリル先端部からシャンク側に変化させる形状のものが提案されている。この提案が発明の対象とする刃径は、その実施例から明らかなようにせいぜい6mm程度と太いものである。
特許文献3には、高硬度材の深穴加工を目的としたドリル加工の方法であって、首下部分の軸方向先端部の一部のみに切れ刃に連続して切り屑排出溝を設けたドリルで、加工穴に対してドリルを出し入れして切り屑を排出するステップ加工の方法が提案されている。
本出願人においても、これらの用途にも適用できるドリルとして、ドリル切削の穴位置確保と切り屑の排出性を極めて高め、穴刃径に対する穴長さとの比が50倍を超えて、かつ小径であっても穴加工が可能なマイクロステップ加工の概念を提案している。特許文献4はその一例である。
実開昭60−17号 特開2008−194774号公報 特開2003−266223号公報 国際公開番号WO2009/001681
しかしながら、汎用的に使用されているドリルは、特に高硬度材に特化したものではないので、調質済みのHRC50以上のSKD11クラスの金型による切削経験によると、特にドリル先端部のすくい面にチッピングが生じやすく、工具寿命が短いという問題が恒常的に生じていた。
特許文献1に記載のドリルは、刃先の剛性を向上してかつ、先端側に壁面を持たせて切り屑を外周側に流す作用を持たせている。しかし、壁面を持たせるためには先端付近におけるドリルの回転方向後方にある背中の肉厚を削り取る必要があり、ドリルの剛性が低下する問題が有る。特に本発明が対象にする刃径が1mm以下の場合、特許文献1に記載の10mm等の刃径が大きなドリルと比べて、工具の剛性確保が非常に重要である。また刃径が1mm以下の小径ドリルの場合には、切り屑をシャンク方向に素早く流す必要があり、壁面に当てて外周側に流すと、切り屑詰まりの原因になりやすいといった問題がある。特に刃径が1mm以下の場合、特許文献3、4に提案されているようにステップ加工が望ましい場合が多い。ステップ加工では高硬度材の切り屑は小さくカールするため、特許文献1に記載のドリルのように、壁面に切り屑を当てると、シャンク側に切り屑が排出されにくくなってしまうという問題がある。
特許文献2に記載のドリルはウェブテーパの幅を変化させる必要があり、特許文献2に記載されるようにドリルの刃径が6mm程度の太いドリルであれば実用性はあるが、本発明が対象とするドリルの刃径1mm以下の小径ドリルにおける研削加工でウェブテーパの幅を変化させることは製造コスト的に難がある。
特許文献3、4に提案されているステップ加工は切り屑の排出性は確保されやすいものの、特にHRC45以上の硬さの被削材を切削するためには、刃形に充分な特徴を持たせる必要があり課題があった。
従って、本発明の目的は、HRC45以上の高硬度鋼に穴径が1mm以下の穴あけ加工を行う際にチッピングや欠けなどの発生を抑制して安定した穴あけ加工が可能な長寿命の小径ドリルを提供することにある。
本発明はプリハードンでHRC45以上に調質された高硬度鋼やHRC45以上に焼入れ焼戻しされた高硬度鋼に穴あけ加工をする場合において穴あけ加工に用いるドリルが刃径が1mm以下の小径ドリルであっても、早期折損等を回避しながら十分な深さまで穴あけ加工できる小径ドリルを、ドリル形状の検討を行い新規な形状として創出したものである。
すなわち本発明は、HRC45以上、望ましくはHRC45〜72の高硬度鋼の穴あけを行う刃径1mm以下の刃部、首部及びシャンクを有し、前記刃部の先端側に切れ刃が形成され、前記切れ刃に沿って外周側と中心側にねじれ角が同じである2つのギャッシュが形成され、前記2つのギャッシュのシャンク側に溝が形成された小径ドリルであって、前記刃部の先端側のねじれ角を形成した部分が前記刃部の先端からシャンク側の軸方向に向かって前記刃径の80%以内にあるとともに、前記刃部の先端側のねじれ角を形成した部分におけるシャンク側の軸方向端が前記溝の先端側の軸方向端よりシャンク側に突出した構造の超硬合金又は立方晶窒化硼素(CBN)からなり、ねじれ角が前記刃部の先端側とシャンク側の2段で形成され前記刃部の先端側のねじれ角は工具中心と平行な直線を基準として−5°〜15°の範囲にあり、シャンク側のねじれ角は工具中心を基準として20°〜30°の範囲にあり、切れ刃の逃げ角は2°〜7°の範囲にあり前記2つのギャッシュのそれぞれの先端側端部に形成される中心側切れ刃と外周側切れ刃がなす角度を工具先端視において200°〜250°の範囲にしたことにより、外周側切れ刃及び中心側切れ刃が生成した切り屑が当該ドリルの中心側から外周側に向かって流れるようにしたことを特徴とする高硬度鋼加工用小径ドリルである。
以下、本発明を適宜「本発明のドリル」ともいう。また、「刃部の先端」とは本発明のドリルの先端をいい、「工具中心」とは本発明のドリルの軸方向をいう。
本発明において、望ましくはHRC45〜72と規定したのは、HRC45未満のものは本発明の対象外であり、HRC72超のものは工業生産が困難だからである。
本発明において、前記刃部の先端側のねじれ角を形成した部分が立方晶窒化硼素(CBN)で形成される場合、その形成範囲は、工具先端から0.05mm以上0.3mm未満であることが望ましい。
本発明のドリルによって、例えばHRC45以上の高硬度鋼において、穴径が1mm以下の穴あけを行う際、チッピングや欠けなどの発生を抑制して安定して穴あけ加工することが可能になる。
SKD11(H)に代表される高硬度鋼は焼入れ後HRC60前後の硬さになるうえ、溶着しやすいという問題があった。以下、鋼種名の次に記載の(H)は焼入れ焼き戻しされた状態を示す。しかし、本発明のドリルを使用し1mm以下の穴径の穴あけ加工を行うと、生成した切り屑を切れ刃からスムーズに剥がすことができ、生成した切り屑を溝にスムーズに流すことができる。
これにより、本発明のドリルは、従来のドリルと比べて高硬度鋼を長寿命に加工することが可能である。さらに、本発明のドリルの先端部における素材をCBNなどにすることで、大幅に工具寿命を向上することができ、例えば一般的な超硬素材のドリルに比べて10倍以上の寿命を実現することも可能である。
従来のドリルでは数穴〜数十穴の加工にて工具を交換していたが、本発明のドリルによれば、1本のドリルで長寿命に加工できるようになるため、加工費の削減に大きく寄与する。加工費とは、具体的には加工時間のことを言い、工具交換時間や段取り時間を含む。本発明のドリルによれば、送り速度やステップ量を上げて直接的な加工時間も短縮することが可能である。
本発明のドリルによれば、HRC60前後のSKD11(H)であっても、加工深さが10D程度では100穴前後の寿命が得られ、加工深さが30D程度でも50穴程度の穴あけ加工が可能となる。
本発明のドリルによれば、CBNの範囲を先端から0.05mm以上0.3mm未満にすることにより、逃げ面摩耗の進行に伴う切削トルクの上昇時においても、CBNと超硬素材の一体焼結部に掛かるねじれ応力を極力少なくすることができ、長時間に渡って安定して加工できるようになる。さらにCBNの先端部における、切り屑の滞留及び、溝部への溶着を抑制し、切り屑排出性を向上することで切り屑詰まりが原因による折損の発生を抑制することが可能になる。特に、CBNは素材特性として超硬と比較して硬度は高く、摩耗の進行を抑制する効果を有しているが、一方で脆くカケや折損が生じやすいため、突発的な折損を生じやすい。つまり、本発明により先端部をCBNで形成した場合における特有の問題を解決したといえる。
ドリル先端に超硬質工具材料を接合した本発明のドリルの一実施例の正面図である。 刃部全体を超硬合金とした本発明のソリッドドリルの正面図である。 図1又は図2の先端側側面図である。 図1の先端付近正面拡大図である。 図1のドリル1の先端付近の正面拡大図を、工具軸を中心に工具回転方向に90°回転した図である。 高硬度鋼の代表であるSKD11(H)などを本発明のドリルで穴あけ加工をしたときの、切り屑の剥離現象をモデル的に示した図である。 中心側切れ刃と外周側切れ刃のなす角度が200°未満のドリルで穴あけ加工をしたときの、切り屑の剥離現象をモデル的に示した図である。 中心側切れ刃と外周側切れ刃のなす角度が200°未満のドリルで穴あけ加工をしたときの、切り屑の剥離現象をモデル的に示した図である。 SKD11(H)を図7のドリルで切削試験後の外観を撮影した写真である。 図10は、中心側切れ刃と外周側切れ刃のなす角度12が250°を超えた場合のドリル先端視での形状と、切り屑の排出の様子を示した図である。 本発明のドリルを用いて同様に切削した後の外観を撮影した写真である。 特許文献1に記載のドリルを示す図である。 本発明のドリルの先端をCBNにした場合の一例を示す図である。 本発明のドリルがCBNと超硬合金の一体焼結部で破壊した場合の一例を示す図である。 本発明のドリルを用いて切削した場合の一例を示す図である。 本発明のドリルの先端をCBNにし、更に、中心側切れ刃及び外周側切れ刃の合計の軸方向長さよりもCBNの範囲の軸方向長さを小さくした場合の一例を示す図である。 図1に示す本発明のドリルにおける首部付近の拡大図及び本発明のドリルを用いて切削した場合に生じる応力の分布を示す図である。
以下、本発明の実施の形態を図面により詳細に説明する。
図1はドリル先端に超硬質工具材料を接合した本発明のドリルの一実施例の正面図である。図1はドリル先端部を立方晶窒化硼素(CBN)として、このドリル先端部を超硬合金製の首部4に接合したタイプのものであり、接合面は拡散接合またはロウ付けが施されている。
図2は図1の刃部全体を超硬合金とした本発明のソリッドドリルの正面図である。図2において、図1と同一の構成部分は同一の符号を付している。図2に示すドリル31は刃部32からシャンク3まで工具全体が超硬合金製の一体ものである、いわゆるソリッドタイプのドリルである。本発明のドリルの用途がHRC60前後の高硬度鋼の穴あけ加工の場合や、より高寿命のドリルを目的とする場合は図2のタイプではなく、コストはやや高くなるものの超硬合金の先端に立方晶窒化硼素(CBN)を接合した図1のタイプが望ましい。
図1と図2に共通して、本発明のドリル1又は31は、刃部2又は32、首部4及びシャンク3からなる。
本発明において、ドリル先端部とは、ドリル1又は31の先端よりシャンク3に向かってその軸方向におけるドリル刃径Dの80%以内で、かつ少なくとも中心側切れ刃を含む範囲をいう。
本発明のドリルの刃径Dは1mm以下であり、0.01〜1mmとするのが好ましく、0.1〜1.0mmとするのがより好ましい。刃径Dが1mm超では本発明の有利な効果を奏する必要性が消失し、刃径Dが0.01mm未満のものは工業生産が困難である。
刃部2と首部4の長さの合計が首下長7であり、刃部32と首部4の長さの合計が首下長37である。前記刃部2、32には所定のねじれ角を有する溝5、35がそれぞれ形成されており、溝5の長さすなわち溝長6若しくは溝35の長さすなわち溝長36は軸方向長さとして1Dないし5Dの範囲で設けることが望ましい。溝長6、36が1D未満であると切り屑の適正な排出効果を得づらい。逆に本発明のドリルの切削対象はHRC45以上の高硬度鋼なので、切り屑は小さくカールする傾向にあり、溝長6、36は5Dを超える必要はない。この溝長6、36の制限により首部4の剛性を向上させ、刃径Dが1mm以下という小径であるにもかかわらず、ドリルの折損を回避しながら、回転安定性にも優れたドリル加工が可能となる。
また、本発明のドリルはステップ加工を行った後、ワークの上面付近までドリル先端を戻すというサイクルを繰り返すことで穴あけ加工を行うステップ加工用工具である。刃径Dが1mm以下のドリルを用いて加工する場合は、切り屑の排出を考慮して一般的にはステップ加工を用い、具体的には1回のステップで切削後、ワークの上面付近まで工具を戻すペックドリリング加工を用いて行う。穴径の深さが、刃径Dの2倍以下の場合は、ノンステップにて加工することも可能であるが、この場合、前記溝長6は軸方向長さとして長めの3Dないし5Dで設けることが望ましい。
次に、本発明の最も特徴部分であるドリルの先端部とその周辺の形状について説明する。図3は図1又は図2の先端側側面図である。図3は中心側ギャッシュ8と外周側ギャッシュ9の形状と相互の位置関係を示している。図3から分かるように、本発明のドリルでは、ドリル先端部の中心側と外周側に2つのギャッシュを入れていること、また、中心側ギャッシュ8と逃げ面21で形成される中心側切れ刃10と外周側ギャッシュ9と逃げ面21にて形成される外周側切れ刃11のなす角度である、中心側切れ刃と外周側切れ刃のなす角度12は200°〜250°であることを発明の特徴の一つとしている。図3に示すとおり、角度12とは、中心側切れ刃10と外周側切れ刃11とがなす角度のうちの大きい方の角度をいう。
以下に本発明のドリルでのねじれ角と切れ刃の逃げ角について説明する。図4は図1の先端付近正面拡大図であり、本発明のドリルの先端部付近を含んで、ねじれ角と切れ刃の逃げ角の様子が分かる角度からのドリル先端側の正面図である。
図4において、本発明のドリル1の先端部は立方晶窒化硼素(CBN)であり、接合面Fで拡散接合またはロウ付けにより超硬合金と接合されている。図4では、ドリル1の先端部において、工具中心20と平行な直線を基準としたときの先端側のねじれ角14と、工具中心20を基準としたときのシャンク側のねじれ角15が異なることを示している。また、図4においてドリル1の先端側のねじれ角14は工具中心20を基準として−5°〜15°の範囲に設ける。この条件により、高硬度鋼の切削において、欠けやチッピングが生じることが無く、安定して加工できるようになる。
先端側のねじれ角14が15°を超えて大きくなると、刃先の剛性が小さくなるためにチッピングが発生し、その後折損してしまう。この場合、特にすくい面へのチッピングが発生する。一方、先端側のねじれ角14が−5°未満の負のねじれ角の場合、切り屑が先端側に向かって生成されてしまうため、切れ刃への溶着が発生し、切り屑詰まりを引き起こしてしまう。これにより、寿命が低下し安定して加工ができない。
また、図4においてドリル1のリーディングエッジ16における刃部の先端側のねじれ角を形成した範囲17は、前記刃部の先端からシャンク側に向かってその軸方向における刃径Dの80%以内であるとともに、前記刃部の先端側のねじれ角を形成した部分におけるシャンク側の軸方向端が前記溝の先端側の軸方向端よりシャンク側に突出した構造になっていることが必要である。これにより、切れ刃が生成した切り屑を溝5まで排出しやすくなる。
さらに図4においてシャンク側のねじれ角15は、工具中心を基準として20°〜30°の範囲とする。シャンク側のねじれ角が20°よりも小さいと、先端切れ刃が生成した切り屑をシャンク側に排出することができなくなり、切り屑が溝5に詰まることで折損が発生してしまう。また、シャンク側のねじれ角は30°を超えて大きくすると、刃径が1mm以下しかない本発明のドリルの切れ刃付近の肉厚が低下して、先端部の剛性が下がる。これにより、チッピングや欠けが発生するなど、安定した加工ができなくなる。更に、シャンク側のねじれ角15が30°を超えて大きい場合、被削材にリーディングエッジ16が食い付いてしまい、穴の内面にカッターマークが残って加工面粗さを悪化させる他、振動の発生によってリーディングエッジ16にチッピングが発生するといった問題も生じてしまう。
また、図4に示す様に、本発明の高硬度鋼加工用小径ドリルの切れ刃の逃げ角18は2°〜7°であることが必要である。切れ刃の逃げ角18は2°よりも小さくすると、送り速度を大きくしたとき、逃げ面が被削材に接触する範囲が大きくなってしまうため、スラスト方向の抵抗が大きくなり、折損が発生しやすくなる。また、送り速度を上げることができないため、加工能率が下がると共に、被削材と接触する時間が長くなり、結果的に摩耗も進行しやすくなる。逃げ角を7°超にすると、切れ刃の剛性が低下し、逃げ面側へのチッピングが発生しやすくなる。これにより、安定した加工ができなくなる。
図5は、図1のドリル1の先端付近の正面拡大図を、工具軸を中心に工具回転方向に90°回転した図である。
図5において、本発明のドリル1の先端部は立方晶窒化硼素(CBN)であり、接合面Fで拡散接合またはロウ付けにより超硬合金と接合されている。また、図5において、ドリル先端部には中心側ギャッシュ8及び外周側ギャッシュ9が形成されている。また、中心側切れ刃10と、外周側切れ刃11は共に同じねじれ角となるように中心側ギャッシュ8及び外周側ギャッシュ9を形成する。中心側切れ刃10を、外周側切れ刃11と同じねじれ角にするには、外周側切れ刃11を形成するギャッシュ面を成形した砥石を使用し、工具軸心からの砥石の傾きを外周側切れ刃11を形成するギャッシュ面を成形したときと同じとして、工具軸心の位相のみを変えて加工すればよい。これにより、中心側から外周側の全ての切れ刃において、同等の切れ刃剛性、切れ味を有した刃形にすることができる。
図4、図5に例示するように、本発明のドリルは、刃部の先端側のねじれ角を形成した範囲17は、超硬合金又は立方晶窒化硼素(CBN)により形成する。範囲17が立方晶窒化硼素(CBN)により形成された場合は、更に必要に応じて刃部2及び溝5のいずれか又は双方に硬さがHV2000以上の硬質皮膜を被覆する。範囲17が超硬合金により形成された場合は、刃部32及び溝35のいずれか又は双方に硬さがHV2000以上の硬質皮膜を、実用上の点から必ず被覆する。これにより、高硬度鋼の切削において、従来にはない長寿命の穴あけ加工を実現することが可能になる。例えば、前記範囲17をCBNにて形成すると、超硬合金と比較をして10倍以上の寿命を得ることができる。
図6は高硬度鋼の代表であるSKD11(H)などを本発明のドリルで穴あけ加工をしたときの、切り屑の剥離現象をモデル的に示した図である。図6は本発明の図3のドリルが工具回転方向19に回転しているときに、切り屑は切り屑の離れる方向13を向いている。図6で二つの切り屑の離れる方向13が表現されているように、外周側切れ刃11で生成した切り屑は中心側から外周側に向かって離れやすくなり、中心側切れ刃10が生成した切り屑も中心から外側に向かって流れやすくなる。これは、中心側切れ刃と外周側切れ刃のなす角度12が工具先端視において200°〜250°であることによって得られる効果である。
図6のように、本発明のドリルでは、切り屑は中心から外側に向けて離れやすくなり、特に本発明のドリルの形状は溶着しやすい材料を削る場合に有効であることが分かった。被削材が鋼材の場合、硬度が高くなると溶着し難くなるのが一般的であるが、たとえばSKD11(H)の場合は、更に硬度が高い上に溶着が発生することで、摩耗が進行しやすくなる。このような、硬くてねばい被削材の加工において、特に本発明の効果を発揮することができる。
中心側切れ刃と外周側切れ刃のなす角度が工具先端視において200°〜250°の範囲を外れると、生成した切り屑は工具中心から外周に向かって流れにくくなる。図7、図8は中心側切れ刃と外周側切れ刃のなす角度が200°未満のドリルで穴あけ加工をしたときの、切り屑の剥離現象をモデル的に示した図である。図7、図8の形状のドリルでは、中心側切れ刃10も外周側切れ刃11も工具回転方向19に対してほぼ垂直に向いているので、切り屑が生成される範囲が大きくなり、ドリルが工具回転方向19の方向に回転することで、生成された切り屑は切り屑の離れる方向13に押しやられ、切り屑の排出性が悪くなる。そのために切れ刃に被削材の溶着が生じやすい。
具体的にSKD11(H)を図7のドリルで切削試験後の外観を撮影した写真を図9に示す。図9中、右下のスケールは1目盛りが20μmである。図9から明らかな様に、中心側切れ刃と外周側切れ刃のなす角度が200°未満である180°付近に設計したドリルでは、切り屑離れが悪く、切れ刃全体に溶着Wが発生していることが分かる。
図10は、中心側切れ刃と外周側切れ刃のなす角度12が250°を超えた場合のドリル先端視での形状と、切り屑の排出の様子を示した図である。
図10に示すように、工具回転方向19に対して、切り屑の離れる方向13は、中心側切れ刃10と外周側切れ刃11で異なる。そのためドリルが工具回転方向19の方向に回転することで、中心側切れ刃10は切り屑を内側に巻き込む形になってしまい、中心側で生成する切り屑が外側に流れずに中心側切れ刃10の付近で詰まってしまう。これらの要因により、高硬度鋼の安定した加工ができなくなってしまう。一方で、本発明のドリルを用いて同様に切削した後の外観を撮影した写真を図11に示す。図11中、右下のスケールは1目盛りが20μmである。本発明のドリルの場合、切り屑が中心から外側に向けて離れやすくなり、切り屑溶着の発生が少なく、安定して加工できている。
図13は本発明のドリルの先端をCBNにした場合の一例を示す図である。図13に示す本発明のドリルはCBNの範囲23の軸方向長さが0.2mmの場合である。CBNの範囲23は、刃部の先端側にあるCBN24を工具中心20に沿ってその軸方向に測定したときの長さで表す。CBNの範囲23は、刃部の先端からシャンク方向に向かって0.05mm以上0.3mm未満であることが望ましい。
図14は本発明のドリルがCBNと超硬合金の一体焼結部で破壊した場合の一例を示す図である。図15は本発明のドリルを用いて切削した場合の一例を示す図である。CBNの範囲23が刃部の先端からシャンク方向に向かって0.3mm以上である場合、突発的な折損が発生する可能性が高くなる。突発的な折損が発生する原因として、切削時に生じる切削トルクに対する応力の発生により、図14に示すようにCBN24と超硬合金の一体焼結部での破壊が生じること、または、図15に示すように切り屑25が先端部に滞留し、切り屑詰まりが生じることによるものが挙げられる。さらに、刃径Dが0.3mmで、CBNの範囲23を先端から0.5mmというように、CBNの範囲23が0.3mm以上であり、なおかつ刃径DよりCBNの範囲23が大きい場合には、これらの現象がより顕著なものとなる。CBNの範囲23を刃部の先端から0.05mm以上0.3mm未満にすることで、CBNと超硬合金の素材の一体焼結面の強度が低い場合においても突発的な折損の発生を抑え、かつ切り屑の排出性を高めることにより、突発的な折損を抑制して長時間に渡って安定して加工できるようになる。
本発明のドリルにおいて、CBNの範囲23は、工具中心に沿って測定したときにおける中心側切れ刃及び外周側切れ刃の合計の長さと同じか、もしくは工具中心に沿って測定したときにおける中心側切れ刃及び外周側切れ刃の合計の長さよりも大きくなることが望ましい。
図16は本発明のドリルの先端をCBNにし、更に、中心側切れ刃及び外周側切れ刃の合計の軸方向長さよりもCBNの範囲23の軸方向長さを小さくした場合の一例を示す図である。図16に示すように、CBNの範囲23の軸方向長さを、中心側切れ刃及び外周側切れ刃の合計の軸方向長さ26よりも小さくした場合には、最も摩耗が進行しやすい外周コーナ部が超硬合金で形成されるため、切れ刃の摩耗形態が不安定になる。特に60HRC以上の高硬度材を切削したとき、CBNによる切れ刃の摩耗に対して超硬合金の摩耗は大きく進行する。これにより、CBNを工具素材にしたことによるメリットは少なくなり、早期に寿命に達してしまう。よって、CBNの範囲23は、中心側切れ刃及び外周側切れ刃の合計の軸方向長さ26と同じか、もしくは大きくすることが望ましい。これにより、超硬合金に比べて大幅に寿命を向上することができる。
CBNと超硬合金の素材の一体焼結面の強度が刃部2よりも首部4のシャンク3側に位置するほど低くなることについて以下に説明する。
一般的にCBNは超硬合金などの素材と共にホットプレス工法を用いて接合する。ここでCBNの素材を製造するためのホットプレス工法とは、焼結して成形された超硬合金の素材の上に、CBNの粒子とCBNの粒子同士を結合するバインダーとを混ぜ合わせた混合粉末を載せた後、前記混合粉末の上面から均一に圧力をかけた状態で真空炉の中で高温度に加熱して焼結する製造方法である。しかしながら、CBNと超硬合金の一体焼結面(界面部)の強度はCBN、または超硬合金単体の一部と比較して低くなりやすい。特に、ホットプレス工法による接合時における圧力が前記素材の中で不均一になるなど、CBNと超硬合金の一体焼結面の強度が前記素材の部位によってバラツキが生じることがある。このような状態で製造されたCBN−超硬合金の接合素材を用いて本発明に係る小径のドリルを製作し切削を行ったとき、切削トルクの上昇に伴う折損が発生する確率は更に高くなってしまう。図17の上側には図1に示す本発明のドリル1における刃部2、首部4付近の拡大図を示す。図17の下側には本発明のドリルを用いて切削した場合に生じる応力の分布をグラフで示す。このグラフから、本発明のドリル1の先端からの距離(位置)Xと、切削時に、図4、5における接合面Fを介して接合されたCBNと超硬合金との一体焼結部に掛かるねじれ応力の大きさYとの関係が分かる。穴あけ加工においては切削時に生じる切削トルクにより、工具回転方向とは反対に工具本体(ドリル1)が抵抗を受ける。前記グラフは、この抵抗による、各部における前記ねじれ応力の大きさY(相対値)を矢印の大きさで示したものである。前記ねじれ応力の大きさYは、首部4のシャンク3側が最も大きく、刃部2の先端側に向かって徐々に小さくなることが分かった。従って、CBNと超硬合金との一体焼結面の位置が首部4のシャンク側にあると折損は生じやすくなり、逆に刃部2の先端側に位置すると折損の発生が生じにくくなる。
また、工具素材をCBNと超硬合金で形成したときの溝部における切り屑排出の問題について以下に示す。CBNと超硬合金をそれぞれ形成する組織の粒径は対比して大きく異なる。例えばCBN粒子の平均粒径は1μm〜4μm程度であるのに対して、超硬合金のWC粒子の平均粒径は1μm以下(例えば0.4μm程度)である。ここでCBNと超硬合金を一体焼結した素材から、研削工程により溝部等を形成したCBN−超硬合金の接合部材による本発明に係るドリルの場合などにおいても、それぞれの平均粒径が異なるため研削により形成される表面の粗さはCBNと超硬合金とで異なる。すなわち、CBNによる先端部の表面粗さは超硬合金素材と比べて粗くなる傾向にある。このような理由から、切削加工にて生成した切り屑は、溝部を通って排出されるとき、CBNで形成される先端部の溝部には細かな切り屑の滞留、及び切り屑の溶着が発生しやすくなる。この点に鑑み、本発明のドリルではCBNの範囲を刃部の先端から0.05mm以上0.3mm未満にすることにより、切り屑が刃部の先端付近に滞留、及び溶着するのを抑制して、スムーズにシャンク側に流すことで、切れ刃の異常摩耗、及び切り屑の噛み込みによるチッピングを抑制するとともに、切り屑詰まりによる突発的な折損を抑制して、安定して加工することが可能になる。
以上のように刃径1mm以下の小径ドリルではCBNの範囲を刃部の先端から0.05mm以上0.3mm未満に設計することにより、工具の安定性を更に向上することができる。
ここで、CBNの範囲を刃部の先端から0.05mm以上0.3mm未満に設計する場合において、現在のCBNの製造技術ではいくつかの課題があるが、次のような方法で製造すれば、生産性を極端に低下することなく、また製造コストを極端に向上させることなく製造できる。
現在の課題として、ホットプレス工法ではCBNの厚みは1mm程度までしか薄く製造できない。また、同時にCBNと超硬合金の素材の厚みは、ホットプレス工法を実施する際にひずみが生じるために均一になりにくいという問題がある。例えば、直径約φ30mmのCBNの場合は部位によって0.1mm〜0.2mm程度でCBNの厚みの違いが生じることもある。
そこで、本発明のドリルの製造においては、ホットプレス後にワイヤーカットにて必要な素材径に切り出して、CBN−超硬合金の接合素材の厚みを整えるようにした。かかる工夫により、刃部の研磨工程の生産性を極力落とさずに製造するというメリットも得られた。こうして新規で高性能な本発明のドリルを開発することができた。
以下、本発明を下記の実施例により詳細に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例に限定されるものではない。
なお、以下の試料番号は従来例、比較例、本発明、参考例を含めて、通し番号で付与されている。
(実施例1)
従来例1、従来例2、従来例3との対比で、本発明4の適正な形状の確認のために以下の試料の作製、テスト及び評価を行った。ドリルは、これらすべてが刃径が0.5mm、刃数が2枚刃、シャンク径が3mmの超硬合金を母材とするソリッドドリルである。従来例1は特許文献2に記載のドリル、従来例2は特許文献4に記載のドリル、従来例3は特許文献1に記載のドリルである。図12は特許文献1に記載のドリルを示す図である。図12に示すように、従来例3として用いる特許文献1に記載のドリルには側壁面22が設けられている。従来例1、従来例2、本発明4には側壁面22は設けられていない。従来例1、従来例2、従来例3及び本発明4は、切れ刃の逃げ角を5°で一定として、それぞれ溝長、先端側のねじれ角、シャンク側のねじれ角、側壁面の有無、中心側切れ刃と外周側切れ刃のなす角度を変えて作製し、テストに供した。このとき、従来例2と本発明4は溝長よりシャンク側に2mmの位置から、首部の首径を0.48mmとした円筒部を設けており、この円筒部の長さを刃部の先端から10.5mmまで形成した。また、本発明4の刃部の先端側のねじれ角を形成した範囲は、刃部の先端から刃径の80%以内とした。
切削テスト条件として、被削材には幅50mm、奥行き50mm、高さ20mmのSKD11(H)(HRC60)の焼入れ鋼を用い、下穴加工は、刃径が0.5mmの別のドリルを用いて行った。下穴の穴深さはワーク上面から0.3mmとし、本評価テストではそれぞれのドリルでワーク上面から10mm深さまで穴あけ加工した。回転数は10000min−1、送り速度は30mm/min、ステップ量は0.01mmとして、ペックドリリング加工にて行った。クーラントにはエマルジョンの水溶性クーラントを使用した。
評価方法として、1穴加工後の工具状態を観察し、欠け、チッピング及び異常な摩耗が発生せず、なおかつ溶着が付着していないものを「良好」とした。1穴加工後に欠け、チッピングもしくは異常な摩耗が発生したものは、その工具状態を記載した。
各試料の仕様及び切削テストの結果を表1に示す。


表1から、従来例1、従来例2ではすくい面に大きなチッピングが発生した。これは、先端側のねじれ角が大きいため、切れ刃の剛性が低くなり、スラスト方向の力がすくい面側に顕著に表れて生じたためであると考えられる。また、従来例3では、先端にカケが発生しており、切れ刃の外周側に溶着が観察された。これは、特許文献1に記載される側壁面が大きな障害になって、切り屑が充分にシャンク側に排出できていないために起こっていると考えられる。また、中心部には完全に切り屑が詰まっていた。これは中心側切れ刃と外周側切れ刃のなす角度が大きいことにより、中心側切れ刃で生成された切り屑が排出されていないためであると考えられる。これらに対して、本発明4は欠けやチッピングの発生は無く、特に切れ刃への切り屑溶着が付着していないことから、安定して加工できることを確認することができた。
(実施例2)
本発明のドリルの内、本発明4を基本形状にして、切れ刃の逃げ角を5°、シャンク側のねじれ角を25°、中心側切れ刃と外周側切れ刃のなす角度を230°に揃えて、先端側のねじれ角の最適範囲を確認するために以下の試料の作製、テスト及び評価を行った。ドリル材質は先端部の母材をCBNとして超硬合金に接合したものとし、比較例5、本発明6、本発明7、本発明8、本発明9、本発明10、本発明11、本発明12、比較例13でそれぞれ先端側のねじれ角を変えたものを製作し、切削テストに供した。評価は実施例1にて、1穴加工後の確認により結果が明らかであったので、切削テスト条件、評価方法は実施例1と同様とした。
各試料の仕様及び切削テストの結果を表2に示す。










表2から、先端側のねじれ角を−5°〜15°にした本発明6乃至12は、チッピングなどの発生は無く安定して加工することが可能であった。これに対して比較例5は、中心側切れ刃に大きなチッピングが発生していた。これは先端側のねじれ角を大きな負のすくい角にしたため、切れ刃が生成した切り屑が充分にシャンク側に排出できておらず、切り屑が詰まったことによって発生したものと考えられる。一方の、先端側ねじれ角を15°を超えて設計した比較例13は、外周側切れ刃にチッピングが発生した。これは、高硬度鋼を切削するにあたり、切れ刃の剛性が低下したためであると考えられる。
(実施例3)
本発明のドリルの内、本発明4を基本形状にして、先端側のねじれ角を0°、切れ刃の逃げ角を5°、中心側切れ刃と外周側切れ刃のなす角度を230°に揃えて、シャンク側のねじれ角の最適範囲を確認するために以下の試料の作製、テスト及び評価を行った。ドリル材質は先端部の母材をCBNとして超硬合金に接合したものとし、比較例14、本発明15、本発明16、本発明17、本発明18、比較例19、比較例20でシャンク側のねじれ角を10°乃至40°まで変えたものを製作し切削テストに供した。切削テスト条件、評価方法は実施例1と同様とした。
各試料の仕様及び切削テストの結果を表3に示す。








表3から、外周側のねじれ角を20°〜30°にした本発明16乃至18はチッピングなどの発生は無く、安定して加工することが可能であった。これに対して比較例14は、折損が発生した。これはシャンク側のねじれ角が小さすぎたために、切れ刃が生成した切り屑をシャンク側に持っていくことができず、切り屑詰まりが発生したためであると考えられる。比較例15は、先端に欠けが発生した。これも比較例14と同様の現象で、切り屑排出が充分でなかったために生じたものであると考えられる。
一方の、シャンク側のねじれ角を30°を超えて大きくした比較例19、比較例20は、切れ刃の剛性が低下したために、チッピング、欠けが発生したものと考えられる。更に、比較例20の場合、リーディングエッジにもチッピングが発生していた。これは、外周のねじれ角が大きいために、リーディングエッジが被削材の穴内面に食い付きが生じて、振動が発生したためと考えられる。
(実施例4)
本発明のドリルの内、本発明4を基本形状にして、先端側のねじれ角を0°、シャンク側のねじれ角を25°、中心側切れ刃と外周側切れ刃のなす角度を230°に揃えて、切れ刃の逃げ角の最適範囲を確認するために以下の試料の作製、テスト及び評価を行った。ドリル材質は先端部の母材をCBNとして超硬合金に接合したものとし、比較例21、本発明22、本発明23、本発明24、比較例25、比較例26として、切れ刃の逃げ角を1°乃至12°まで変えたものを製作しテストに供した。切削テスト条件、評価方法は実施例1と同様とした。
各試料の仕様及び切削テストの結果を表4に示す。








表4から、切れ刃の逃げ角を2°〜7°にした本発明22乃至24はチッピングなどの発生が無く安定して加工することが可能であった。これに対して比較例21は、摩耗幅が大きくなった。これは、切れ刃の逃げ角が1°と小さすぎたために、逃げ面が被削材と擦れる範囲が大きくなって摩耗したものであると考えられる。一方の、比較例25、比較例26は、外周側の逃げ面に大きく欠けが発生した。これらは、切れ刃の逃げ角が10°以上であるため切れ刃の逃げ面側への剛性が低下し、欠けたものと考えられる。
(実施例5)
中心側切れ刃と外周側切れ刃のなす角度の最適範囲を確認するために以下の試料の作製、テスト及び評価を行った。前記中心側切れ刃と外周側切れ刃のなす角度以外は本発明23と同じ形状に揃え、ドリル材質は先端部の母材をCBNとして超硬合金に接合したものとし、比較例27、比較例28、本発明29、本発明30、本発明31、本発明32、比較例33、比較例34として、中心側の切れ刃と外周側の切れ刃のなす角度を変えたものを製作し、切削テストに供した。切削テスト条件、評価方法は実施例1と同様とした。
各試料の仕様及び切削テストの結果を表5に示す。






表5から、中心側の切れ刃と外周側の切れ刃のなす角度を200°〜250°にした本発明29乃至32は1穴加工後において、チッピング、溶着などの発生は無く、さらに継続して穴加工ができる状態であった。これに対して比較例27は、欠けが発生した。また、中心側切れ刃及び外周側切れ刃への溶着が大きく発生しており、これに起因して欠けが生じたものと考えられる。また、比較例28は、微少なチッピングと、大きな溶着が発生していた。これは比較例27と同様に、切り屑離れが悪くこのような結果が生じたものと考えられる。比較例33は、中心側の切れ刃に溶着が多く発生していた。比較例34は先端部に若干の欠けが発生していた、さらに比較例33と同様に中心側切れ刃に多くの溶着が発生しており、中心側切れ刃のポケットが切り屑で完全に埋まっていた。これより、中心側切れ刃と外周側切れ刃のなす角度が250°を超えて大きくなると、中心側切れ刃で生成した切り屑の排出性が悪くなり、溶着が発生し、かつ切り屑詰まりが生じて安定して加工できないことが分かった。
(実施例6)
刃部の先端側のねじれ角を形成した範囲以外は本発明31と同じ形状にして、ドリル材質は先端部の母材をCBNとして超硬合金に接合したものとし、本発明35、本発明36、本発明37、参考例38参考例39として、刃部の先端側のねじれ角を形成した範囲を変えたものを製作し、テストに供した。切削テスト条件、評価方法は実施例1と同様とした。
各試料の仕様及び切削テストの結果を表6に示す。
表6から、刃部の先端側のねじれ角を形成した範囲が80%以下の場合、問題無く安定して加工できた。一方で参考例38参考例39は若干の溶着が工具先端側のねじれ角を形成した範囲に発生していることから、刃部の先端側のねじれ角を形成した範囲を80%以下に設計することにより、より安定して加工できることがわかった。
(実施例7)
従来例3及び本発明31のドリルをそれぞれ用いて、浅い穴の穴あけ加工における性能評価を行った。ここで、従来例3のドリルは、上記のとおり、側壁面が設けられている。従来例3及び本発明31のドリルは、いずれも、刃径が0.5mm、刃数が2枚刃、シャンク径が3mmの超硬合金を母材とするソリッドドリルである。
切削テスト条件として、被削材には幅50mm、奥行き50mm、高さ20mmのSKD11(H)(HRC60)の焼入れ鋼を用い、被削材の高さが1mmになるようにボールエンドミルを用いてポケット状に削り込み、下穴加工は、刃径が0.5mmの別のドリルを用いて行った。下穴の穴深さはワーク上面から0.3mmとし、本評価テストではそれぞれのドリルでワーク上面から1mm深さまで穴あけ加工し、ドリルは貫通させた。回転数は10000min−1、送り速度は30mm/minとして、ノンステップ加工にて行った。クーラントにはエマルジョンの水溶性クーラントを使用した。
評価方法は実施例1と同様とした。各試料の仕様及び切削テストの結果を表7に示す。

表7から、従来例3のドリルの先端に欠けが生じ、多くの溶着が発生していた。これに対して、本発明31のドリルはチッピングや溶着などの発生は無く安定した摩耗状態であった。本発明31はこのような浅くて小さな穴あけ加工においては、ノンステップで加工できることも確認できた。
(実施例8)
本発明のドリルの工具寿命を評価するため、本発明8、本発明9、本発明29、本発明30と同じ形状及びドリル材質のドリルを用いて、寿命に至るまで穴あけテストを行った。
切削テスト条件として、被削材には幅50mm、奥行き50mm、高さ10mmのSKD11(H)(HRC60)の焼入れ鋼を用い、下穴加工は、刃径が0.5mmの別のドリルを用いて行った。下穴の穴深さはワーク上面から0.3mmとし、本評価テストではそれぞれのドリルでワーク上面から5mm深さまで穴あけ加工した。回転数は10000min−1、送り速度は30mm/min、ステップ量は0.01mmとして、ペックドリリング加工にて行った。クーラントにはエマルジョンの水溶性クーラントを使用した。切削テストは工具折損が発生するまで行い、評価方法は工具折損が発生するまでの加工穴数を測定し、加工穴数が50穴以上のものを良好とした。
各試料の仕様及び切削テストの結果を表8に示す。





表8から、全てのドリルが60穴以上加工できており良好であることを確認した。中でも中心側切れ刃と外周側切れ刃のなす角度を230°にした本発明30が最も寿命が長い結果となった。
(実施例9)
さらに高アスペクト比の穴あけ加工を行う際の本発明の工具寿命を評価するため、実施例8と同じく本発明8、本発明9、本発明29、本発明30と同じ形状及びドリル材質のドリルを用いて穴あけテストを行った。
切削テスト条件として、被削材には幅50mm、奥行き50mm、高さ20mmのSKD11(H)(HRC60)の焼入れ鋼を用い、下穴加工は、刃径が0.5mmの別のドリルを用いて行った。下穴の穴深さはワーク上面から0.3mmとし、本評価テストではそれぞれのドリルでワーク上面から15mm深さまで穴あけ加工した。回転数は10000min−1、送り速度は30mm/min、ステップ量は0.01mmとして、ペックドリリング加工にて行った。クーラントにはエマルジョンの水溶性クーラントを使用した。切削テストは工具折損が発生するまで行い、評価方法は工具折損が発生するまでの加工穴数を測定し、加工穴数が15穴以上のものを良好とした。
各試料の仕様及び切削テストの結果を表9に示す。





表9から、本発明8、9、29及び30ではいずれも、全て15穴以上加工できており、条件の厳しい高アスペクト比の穴空け加工においても良好であった。本発明30が最も寿命が長い結果となった。
(実施例10)
次に、本発明40乃至45において、刃部の先端部におけるCBNの先端からの範囲を変えた場合の安定性を評価するため、先端からのCBNの範囲を変えて穴あけテストを行った。本発明40乃至45は先端からのCBNの範囲をそれぞれ0.12mm、0.25mm、0.3mm、0.5mm、0.75mm、0.9mmとし、その他の緒元を本発明29と同じ仕様とした。
切削テスト条件として、被削材には幅50mm、奥行き50mm、高さ20mmのSKD11(H)(HRC60)の焼入れ鋼を用い、下穴加工は、刃径が0.5mmの別のドリルを用いて行った。下穴の穴深さはワーク上面から0.3mmとし、本評価テストではそれぞれのドリルでワーク上面から5mm深さまで穴あけ加工した。回転数は10000min−1、送り速度は30mm/minを基準として、4穴加工毎に5mm/minずつ上げた。またステップ量は0.02mmとして、ペックドリリング加工にて行った。クーラントにはミストクーラントを使用した。切削テストは工具折損が発生するまで行い、評価方法は工具折損が発生する寸前の、4穴加工できた送り速度を測定し、その送り速度を各試料における送り速度の限界値とした。そして、送り速度の限界値が50mm/min以上のものを良好とした。各試料の仕様及び切削テストの結果を表10に示す。






表10から、本発明40乃至45は送り速度の限界値が50mm/min以上であり、良好な結果を示した。特にCBNの範囲が0.12mmである本発明40及びCBNの範囲が0.25mmである本発明41は、送り速度の限界値が90mm/min以上であり、非常に良好な結果を示した
(実施例11)
次に、刃部の先端部におけるCBNの先端からの範囲を変えた場合の寿命を評価するため、実施例10と同じく本発明40乃至45を用いて穴あけテストを行った。
切削テスト条件として、被削材には幅50mm、奥行き50mm、高さ20mmのSKD11(H)(HRC60)の焼入れ鋼を用い、下穴加工は、刃径が0.5mmの別のドリルを用いて行った。下穴の穴深さはワーク上面から0.3mmとし、本評価テストではそれぞれのドリルでワーク上面から5mm深さまで穴あけ加工した。回転数は10000min−1、送り速度は30mm/min、ステップ量は0.01mmとして、ペックドリリング加工にて行った。クーラントにはミストクーラントを使用した。切削テストは工具折損が発生するまで行い、評価方法は工具折損が発生するまでの加工穴数を測定し、加工穴数が50穴以上のものを良好とした。各試料の仕様及び切削テストの結果を表11に示す。








表11から、本発明40乃至45は加工穴数が50穴以上であり、良好な結果を示した。特にCBNの範囲が0.12mmである本発明40及びCBNの範囲が0.25mmである本発明41は、加工穴数が180穴以上であり、非常に良好な結果を示した
(実施例12)
次に、刃部の先端部におけるCBNの先端からの範囲を変えた場合の安定性を評価するため、本発明40及び本発明43をそれぞれ3本ずつ用いて穴あけテストを行った。
切削テスト条件は実施例11と同様である。切削テストは工具折損が発生するまで行い、評価方法はそれぞれ10穴加工毎に工具の刃先に欠けやチッピングが無いことを確認し、折損が発生するまでの加工穴数を測定し、加工穴数が3本とも50穴以上のものを良好とした。各試料の仕様及び切削テストの結果を表12に示す。


表12から、本発明40及び43は加工穴数が3本とも50穴以上であり、良好な結果を示した。また、本発明43の1本目と3本目は加工穴数が約90穴であった。しかし本発明43の2本目は80穴加工した段階で刃先は安定した摩耗状態であったにもかかわらず、加工穴数が81穴となる時点で突発的に折損が生じた。この原因は、80穴加工した時点で溝部に細かな切り屑が付着していたことから、切り屑噛み込みによる折損が生じたためだと考えられる。しかし、CBNの範囲が刃部の先端から0.12mmである本発明40は、加工穴数が3本とも50穴以上であることに加え、最大の加工穴数である3本目の加工穴数は201穴であり、最小の加工穴数である2本目の加工穴数は198穴であった。そのためCBNと超硬素材の一体焼結部に掛かるねじれ応力を極力少なくすることで突発的な折損の発生を抑制し、非常に安定性が高い加工ができることがわかった。
(実施例13)
次に、工具刃径を変えて刃部の先端部におけるCBNの先端からの範囲を変えた場合の寿命を評価するため、刃径が0.1mmである本発明46乃至50を用いて穴あけテストを行った。
本発明46乃至50は、これらすべてが刃径が0.1mm、刃数が2枚刃、シャンク径が3mmの超硬合金を母材とするソリッドドリルである。その他の緒元は本発明29と同じ仕様とした。
切削テスト条件として、被削材には幅50mm、奥行き50mm、高さ20mmのSKD11(H)(HRC60)の焼入れ鋼を用い、下穴加工は、刃径が0.1mmの別のドリルを用いて行った。下穴の穴深さはワーク上面から0.06mmとし、本評価テストではそれぞれのドリルでワーク上面から1mm深さまで穴あけ加工した。回転数は25000min−1、送り速度は25mm/min、ステップ量は0.003mmとして、ペックドリリング加工にて行った。クーラントにはミストクーラントを使用した。切削テストは工具折損が発生するまで行い、評価方法は工具折損が発生するまでの加工穴数を測定し、加工穴数が10穴以上のものを良好とした。各試料の仕様及び切削テストの結果を表13に示す。






表13から、本発明46乃至50は加工穴数が10穴以上であり、良好な結果を示した。特にCBNの範囲が0.05mmである本発明46、CBNの範囲が0.1mmである本発明47及びCBNの範囲が0.2mmである本発明48は、加工穴数が50穴以上であり、非常に良好な結果を示した。このことから、刃径を0.1mmにした場合においても工具寿命は特に長くなる傾向になることを確認した。
(実施例14)
次に、工具刃径を変えて刃部の先端部におけるCBNの先端からの範囲を変えた場合の寿命を評価するため、刃径が1mmである本発明51乃至55を用いて穴あけテストを行った。
本発明51乃至55は、これらすべてが刃径が1mm、刃数が2枚刃、シャンク径が3mmの超硬合金を母材とするソリッドドリルである。その他の緒元は本発明29と同じ仕様とした。
切削テスト条件として、被削材には幅50mm、奥行き50mm、高さ20mmのSKD11(H)(HRC60)の焼入れ鋼を用い、下穴加工は、刃径が1mmの別のドリルを用いて行った。下穴の穴深さはワーク上面から0.6mmとし、本評価テストではそれぞれのドリルでワーク上面から1mmの深さまで穴あけ加工した。回転数は6000min−1、送り速度は42mm/min、ステップ量は0.03mmとして、ペックドリリング加工にて行った。クーラントにはミストクーラントを使用した。切削テストは工具折損が発生するまで行い、評価方法は工具折損が発生するまでの加工穴数を測定し、加工穴数が70穴以上のものを良好とした。各試料の仕様及び切削テストの結果を表14に示す。






表14から、本発明51乃至55は加工穴数が70穴以上であり、良好な結果を示した。特にCBNの範囲が0.1mmである本発明51及びCBNの範囲が0.2mmである本発明52は、加工穴数が200穴以上であり、非常に良好な結果を示した。よって本発明49、50は更に工具寿命が高いことがわかった。このことから刃径を1mmにした場合においても工具寿命は特に長くなる傾向になることを確認した。
HRC45以上、望ましくはHRC45〜72の高硬度鋼の金型や部品の加工において、ドリルの刃径が1mm以下であってもチッピングや折損の心配がなく、穴あけ加工ができる。従来のドリルではやむを得ずワイヤー放電加工が必要であった部分についても、本発明の小径ドリルによって、精度の高い穴あけ加工が可能となるので、ドリルによる高硬度鋼の加工の領域を大きく広げることができる。
1、31 ドリル
2、32 刃部
3 シャンク
4 首部
5、35 溝
6、36 溝長
7、37 首下長
8 中心側ギャッシュ
9 外周側ギャッシュ
10 中心側切れ刃
11 外周側切れ刃
12 中心側切れ刃と外周側切れ刃のなす角度
13 切り屑の離れる方向
14 先端側のねじれ角
15 シャンク側のねじれ角
16 リーディングエッジ
17 刃部の先端側のねじれ角を形成した範囲
18 切れ刃の逃げ角
19 工具回転方向
20 工具中心(ドリルの軸方向)
21 逃げ面
22 側壁面
23 CBNの範囲
24 CBN
25 切り屑
26 中心側切れ刃及び外周側切れ刃の合計の軸方向長さ
D 刃径
F 接合面
W 溶着
X 先端からの位置
Y ねじれ応力の大きさ

Claims (2)

  1. HRC45以上の高硬度鋼の穴あけを行う刃径1mm以下の刃部、首部及びシャンクを有し、前記刃部の先端側に切れ刃が形成され、前記切れ刃に沿って外周側と中心側にねじれ角が同じである2つのギャッシュが形成され、前記2つのギャッシュのシャンク側に溝が形成された小径ドリルであって、
    前記刃部の先端側のねじれ角を形成した部分が前記刃部の先端からシャンク側の軸方向に向かって前記刃径の80%以内にあるとともに、前記刃部の先端側のねじれ角を形成した部分におけるシャンク側の軸方向端が前記溝の先端側の軸方向端よりシャンク側に突出した構造の超硬合金又は立方晶窒化硼素(CBN)からなり
    ねじれ角が前記刃部の先端側とシャンク側の2段で形成され
    前記刃部の先端側のねじれ角は工具中心と平行な直線を基準として−5°〜15°の範囲にあり、
    シャンク側のねじれ角は工具中心を基準として20°〜30°の範囲にあり、
    切れ刃の逃げ角は2°〜7°の範囲にあり
    前記2つのギャッシュのそれぞれの先端側端部に形成される中心側切れ刃と外周側切れ刃がなす角度を工具先端視において200°〜250°の範囲にしたことにより、外周側切れ刃及び中心側切れ刃が生成した切り屑が当該ドリルの中心側から外周側に向かって流れるようにしたことを特徴とする高硬度鋼加工用小径ドリル。
  2. 前記刃部の先端側のねじれ角を形成した部分が立方晶窒化硼素(CBN)で形成されており、その形成範囲は、前記刃部の先端から0.05mm以上0.3mm未満であることを特徴とする請求項1に記載の高硬度鋼加工用小径ドリル。
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