JP5617296B2 - ビ(アントラカルコゲノフェニル)誘導体、その前駆化合物及びそれらの製造方法 - Google Patents

ビ(アントラカルコゲノフェニル)誘導体、その前駆化合物及びそれらの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5617296B2
JP5617296B2 JP2010069477A JP2010069477A JP5617296B2 JP 5617296 B2 JP5617296 B2 JP 5617296B2 JP 2010069477 A JP2010069477 A JP 2010069477A JP 2010069477 A JP2010069477 A JP 2010069477A JP 5617296 B2 JP5617296 B2 JP 5617296B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
general formula
derivative
derivative represented
group
atom
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2010069477A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2010248184A (ja
Inventor
渡辺 真人
真人 渡辺
匠 藤田
匠 藤田
知一 大橋
知一 大橋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tosoh Corp
Original Assignee
Tosoh Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Tosoh Corp filed Critical Tosoh Corp
Priority to JP2010069477A priority Critical patent/JP5617296B2/ja
Publication of JP2010248184A publication Critical patent/JP2010248184A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5617296B2 publication Critical patent/JP5617296B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01LSEMICONDUCTOR DEVICES NOT COVERED BY CLASS H10
    • H01L29/00Semiconductor devices specially adapted for rectifying, amplifying, oscillating or switching and having potential barriers; Capacitors or resistors having potential barriers, e.g. a PN-junction depletion layer or carrier concentration layer; Details of semiconductor bodies or of electrodes thereof ; Multistep manufacturing processes therefor
    • H01L29/66Types of semiconductor device ; Multistep manufacturing processes therefor
    • H01L29/68Types of semiconductor device ; Multistep manufacturing processes therefor controllable by only the electric current supplied, or only the electric potential applied, to an electrode which does not carry the current to be rectified, amplified or switched
    • H01L29/76Unipolar devices, e.g. field effect transistors
    • H01L29/772Field effect transistors
    • H01L29/78Field effect transistors with field effect produced by an insulated gate

Landscapes

  • Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)
  • Thin Film Transistor (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Microelectronics & Electronic Packaging (AREA)
  • Power Engineering (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Ceramic Engineering (AREA)
  • Condensed Matter Physics & Semiconductors (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Computer Hardware Design (AREA)

Description

本発明は、有機半導体等の電子材料への展開が可能なビ(アントラカルコゲノフェニル)誘導体、その用途及びその製造方法に関する。さらに本発明は、該ビ(アントラカルコゲノフェニル)誘導体の前駆化合物であるビ(ハロアントラカルコゲノフェニル)誘導体及びジ(メチルカルコゲノ)ジアントリルブタジイン誘導体並びにそれらの製造方法に関する。
有機薄膜トランジスタに代表される有機半導体デバイスは、省エネルギー、低コスト及びフレキシブルといった無機半導体デバイスにはない特徴を有することから近年注目されるようになった。この有機半導体デバイスは有機半導体活性相、基板、絶縁相、電極等数種類の材料から構成されるが、中でも電荷のキャリアー移動を担う有機半導体活性相は該デバイスの中心的な役割を有している。この有機半導体活性相を構成する有機材料のキャリアー移動能により有機半導体デバイス性能が左右される。
有機半導体活性相を作製する方法としては一般的に、高温真空下、有機材料を気化させて実施する真空蒸着法及び有機材料を適当な溶媒に溶解させその溶液を塗布する塗布法が知られている。塗布法においては、塗布は高温高真空条件を用いることなく印刷技術を用いても実施することができる。そのため、塗布法は印刷によりデバイス作製の大幅な製造コストの削減を図ることができることから、経済的に好ましいプロセスである。しかし、従来、有機半導体デバイスとして性能が高い材料ほど塗布法で有機半導体活性相を形成することが困難になるという問題があった。
例えば、ペンタセン等の結晶性材料はアモルファスシリコン並みの高いキャリアー移動度を有し、優れた有機半導体デバイス特性を発現することが報告されている(例えば、非特許文献1参照)。又、ペンタセン等のポリアセンを溶解させ塗布法で有機半導体デバイスを製造する試みも報告されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、ペンタセンはその強い凝集性のため溶解性が低く、塗布法を適用するためには高温加熱等の条件が必要とされ、さらにペンタセンの溶液は極めて容易に空気酸化されることから、塗布法の適用はプロセス的、経済的に困難を伴うものであった。また、ポリ−(3−ヘキシルチオフェン)等の自己組織化材料は溶媒に可溶であり、塗布法による有機半導体デバイス作製が報告されてはいるが、キャリアー移動度が結晶性低分子化合物より1桁低いことから(例えば、非特許文献2参照)、得られた有機半導体デバイスの特性が低いという問題があった。
またベンゼン環とチオフェン環が縮環したビ(ベンゾチオフェニル)誘導体が報告されているが、分子長軸が短いことからキャリアー移動度が非常に小さいという問題があり(例えば、特許文献2参照)、さらにナフタレン環とチオフェン環が縮環したビ(ナフトチオフェニル)が報告されているが、溶解性が低いため有機半導体デバイスの作製には真空蒸着法を用いなければならない問題があった(例えば、非特許文献3参照)。
WO2003/016599号 特開2008−98481号
「ジャーナル オブ アプライドフィジックス」、(米国)、2002年、92巻、5259−5263頁 「サイエンス」、(米国)、1998年、280巻、1741−1744頁 「ジャーナル オブ マテリアルズ ケミストリィー」、(英国)、2008年、18巻、3442−3447頁
そこで、本発明は上記の従来技術が有する問題点に鑑み、優れた耐酸化性を有し、塗布法による有機半導体活性相形成が可能な、ビ(アントラカルコゲノフェニル)誘導体及びそれを用いた耐酸化性有機半導体材料並びに有機薄膜を提供することを目的とする。さらに、本発明は該ビ(アントラカルコゲノフェニル)誘導体の前駆体として有用なビ(ハロアントラカルコゲノフェニル)誘導体及びジ(メチルカルコゲノ)ジアントリルブタジイン誘導体並びにそれらの製造方法を提供することをも目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討の結果、本発明の新規なビ(アントラカルコゲノフェニル)誘導体を見出した。加えて、該ビ(アントラカルコゲノフェニル)誘導体は分子長軸が長いことから有機半導体デバイスとしての性能に優れると同時に耐酸化性にも優れ、さらに塗布法の適用が可能であること、及び塗布法で結晶性の薄膜を容易に安定して作製することができることから、該ビ(アントラカルコゲノフェニル)誘導体を含む耐酸化性有機半導体材料及びその有機薄膜を見出し、本発明を完成するに到った。
さらに本発明者らは、該ビ(アントラカルコゲノフェニル)誘導体を効率的に製造することができる新規な前駆化合物、即ち特定のビ(ハロアントラカルコゲノフェニル)誘導体及びその原料であるジ(メチルカルコゲノ)ジアントリルブタジイン誘導体を見出し、且つ係るビ(ハロアントラカルコゲノフェニル)誘導体及びジ(メチルカルコゲノ)ジアントリルブタジイン誘導体を効率的に製造する方法を見出し本発明を完成するに到った。
以下に本発明を詳細に説明する。説明はビ(アントラカルコゲノフェニル)誘導体及びその前駆化合物である特定のビ(ハロアントラカルコゲノフェニル)誘導体及びその原料のジ(メチルカルコゲノ)ジアントリルブタジイン誘導体、それらの製造方法、並びに該ビ(アントラカルコゲノフェニル)誘導体を含む耐酸化性有機半導体材料及びその有機薄膜について述べる。
(ビ(アントラカルコゲノフェニル)誘導体)
本発明のビ(アントラカルコゲノフェニル)誘導体は下記一般式(1)で示される。
Figure 0005617296
(ここで、置換基T及びTは同一又は異なって、硫黄原子、セレン原子、テルル原子を示し、置換基R〜Rは同一又は異なって、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数4〜30のアリール基、炭素数2〜30のアルキニル基、炭素数2〜30のアルケニル基を示し、記号mは0又は1の整数である。)
本発明の一般式(1)で示されるビ(アントラカルコゲノフェニル)誘導体の置換基について述べる。
置換基T及びTは、硫黄原子、セレン原子、テルル原子であり、その中でも好ましくは硫黄原子である。
置換基R〜Rにおける炭素数1〜30のアルキル基は、特に限定はなく、例えばメチル基、プロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、2−エチルヘキシル基等の鎖状アルキル基;シクロヘキシル基、シクロオクチル基等の環状アルキル基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、パーフルオロオクチル基、パーフルオロデシル基、パーフルオロドデシル基、パーフルオロテトラデシル基、パーフルオロオクタデシル基、パーフルオロシクロヘキシル基、パーフルオロシクロオクチル基等のパーフルオロアルキル基;ペンタデカフルオロオクチル基、オクタデカフルオロデシル基、2−エチルパーフルオロヘキシル基等の一部の水素がフッ素に置換されたハロゲン化アルキル基を挙げることができ、好ましくは炭素数6〜30のアルキル基であり、より好ましくは炭素数8〜30のアルキル基でありそれらの具体例としてはオクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、パーフルオロオクチル基、パーフルオロデシル基、パーフルオロドデシル基、パーフルオロテトラデシル基であり、特に好ましくはドデシル基、パーフルオロドデシル基である。
置換基R〜Rにおける炭素数4〜30のアリール基は、特に限定はなく、例えばフェニル基、p−トリル基、p−(ヘキシル)フェニル基、p−(オクチル)フェニル基、p−(デシル)フェニル基、p−(ドデシル)フェニル基、p−(シクロヘキシル)フェニル基、m−(オクチル)フェニル基、m−(ドデシル)フェニル基、p−フルオロフェニル基、ペンタフルオロフェニル基、p−(トリフルオロメチル)フェニル基、p−(パーフルオロオクチル)フェニル基、p−(パーフルオロドデシル)フェニル基、m−(パーフルオロドデシル)フェニル基、2−チエニル基、5−(ドデシル)−2−チエニル基、2,2’−ビチエニル−5−基、ビフェニル基、パーフルオロビフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−パーフルオロナフチル基、アントラセニル基等を挙げることができ、好ましくはフェニル基、p−(オクチル)フェニル基、p−(パーフルオロオクチル)フェニル基、5−(ドデシル)−2−チエニル基等であり、特に好ましくはフェニル基である。
置換基R〜Rにおける炭素数2〜30のアルキニル基は、特に限定はなく、例えば(トリイソプロピルシリル)エチニル基、(トリエチルシリル)エチニル基、(トリメチルシリル)エチニル基、エチニル基、メチルエチニル基、イソプロピルエチニル基、tert−ブチルエチニル基、(オクチル)エチニル基、(デシル)エチニル基、(トリフルオロメチル)エチニル基、(パーフルオロオクチル)エチニル基、(パーフルオロデシル)エチニル基、フェニルエチニル基、{p−(オクチル)フェニル}エチニル基、{p−(ドデシル)フェニル}エチニル基、{m−(ドデシル)フェニル}エチニル基、ナフチルエチニル基、アントラセニルエチニル基、ベンジルエチニル基、パーフルオロフェニルエチニル基、{p−(トリフルオロメチル)フェニル}エチニル基、{p−(パーフルオロオクチル)フェニル}エチニル基、{p−(パーフルオロドデシル)フェニル}エチニル基、{m−(パーフルオロドデシル)フェニル}エチニル基、{5−(ヘキシル)チエニル−2−}エチニル基、{5−(パーフルオロヘキシル)チエニル−2−}エチニル基等を挙げることができ、好ましくは(トリイソプロピルシリル)エチニル基、(トリエチルシリル)エチニル基、(オクチル)エチニル基、(デシル)エチニル基、(パーフルオロオクチル)エチニル基、(パーフルオロデシル)エチニル基等である。
置換基R〜Rにおける炭素数2〜30のアルケニル基は、特に限定はなく、例えばエテニル基、メチルエテニル基、イソプロピルエテニル基、tert−ブチルエテニル基、(オクチル)エテニル基、(デシル)エテニル基、(ドデシル)エテニル基、(トリフルオロメチル)エテニル基、(パーフルオロオクチル)エテニル基、(パーフルオロデシル)エテニル基、(パーフルオロドデシル)エテニル基、フェニルエテニル基、{p−(ヘキシル)フェニル}エテニル基、{p−(オクチル)フェニル}エテニル基、{p−(ドデシル)フェニル}エテニル基、{m−(ドデシル)フェニル}エテニル基、2−フェニル−1,2−ジフルオロエテニル基、2−フェニル−1,2−ジメチルエテニル基、ジフェニルエテニル基、トリフェニルエテニル基、ナフチルエテニル基、アントラセニルエテニル基、ベンジルエテニル基、フェニル(メチル)エテニル基、(パーフルオロフェニル)エテニル基、{p−(トリフルオロメチル)フェニル}エテニル基、{5−(ヘキシル)チエニル−2−}エテニル基、{5−(パーフルオロヘキシル)チエニル−2−}エテニル基等を挙げることができ、好ましくは(オクチル)エテニル基、(デシル)エテニル基、(パーフルオロオクチル)エテニル基、(パーフルオロデシル)エテニル基等である。なお、該炭素数2〜30のアルケニル基はトランス体及びシス体の何れであってもよく、またそれらの任意の割合の混合物であってもよい。
これらの置換基R〜Rの中でも、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数2〜30のアルキニル基が好ましく、さらに水素原子、フッ素原子、炭素数1〜30のアルキル基等が好ましく、特にオクチル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、パーフルオロオクチル基、パーフルオロデシル基、パーフルオロドデシル基、パーフルオロテトラデシル基等が好ましい。
一般式(1)における記号mは0又は1の整数であり、その中でも好ましくは1である。
本発明の一般式(1)で示されるビ(アントラカルコゲノフェニル)誘導体の置換基R〜Rの置換様式として、R〜Rが、同一又は異なって、フッ素原子、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数4〜30のアリール基からなる群から選ばれる少なくとも一種以上の基であり、且つR〜Rが、同一又は異なって、水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数4〜30のアリール基、炭素数2〜30のアルキニル基、及び炭素数2〜30のアルケニル基からなる群から選ばれる少なくとも一種以上の基であることが好ましい。
これらの中でも本発明の一般式(1)で示されるビ(アントラカルコゲノフェニル)誘導体は、該ビ(アントラカルコゲノフェニル)誘導体及び該ビ(アントラカルコゲノフェニル)誘導体を含む耐酸化性有機半導体材料及びその有機薄膜が、高い耐酸化性及びキャリアー移動度を発現することから、以下の化合物が好ましく、
Figure 0005617296
Figure 0005617296
Figure 0005617296
Figure 0005617296
Figure 0005617296
Figure 0005617296
Figure 0005617296
特に好ましくは
Figure 0005617296
である。
(ビ(ハロアントラカルコゲノフェニル)誘導体)
次に、本発明の一般式(1)で示されるビ(アントラカルコゲノフェニル)誘導体の前駆化合物であるビ(ハロアントラカルコゲノフェニル)誘導体について述べる。
本発明の一般式(1)で示されるビ(アントラカルコゲノフェニル)誘導体の前駆化合物であるビ(ハロアントラカルコゲノフェニル)誘導体は下記一般式(2)で示される。
Figure 0005617296
(ここで、置換基Xはヨウ素原子、臭素原子、塩素原子を示し、置換基Xはヨウ素原子、臭素原子、塩素原子、水素原子を示し、置換基T、T及びR〜R、並びに記号mは一般式(1)で示される置換基並びに記号と同意義を示す。)
置換基Xは、好ましくはヨウ素原子、臭素原子であり、より好ましくはヨウ素原子である。置換基Xは、好ましくはヨウ素原子、臭素原子、水素原子であり、より好ましくはヨウ素原子、水素原子である。
本発明の一般式(2)で示されるビ(ハロアントラカルコゲノフェニル)誘導体としては、以下の化合物が好ましく、
Figure 0005617296
Figure 0005617296
Figure 0005617296
Figure 0005617296
Figure 0005617296
Figure 0005617296
Figure 0005617296
Figure 0005617296
特に好ましくは
Figure 0005617296
Figure 0005617296
である。
(ジ(メチルカルコゲノ)ジアントリルブタジイン誘導体)
次に、本発明の一般式(2)で示されるビ(ハロアントラカルコゲノフェニル)誘導体の原料化合物であるジ(メチルカルコゲノ)ジアントリルブタジイン誘導体について述べる。
本発明の一般式(2)で示されるビ(ハロアントラカルコゲノフェニル)誘導体の原料化合物であるジ(メチルカルコゲノ)ジアントリルブタジイン誘導体は下記一般式(3)で示される。
Figure 0005617296
(ここで、置換基T、T及びR〜R並びに記号mは一般式(2)で示される置換基並びに記号と同意義を示す。)
本発明の一般式(3)で示されるジ(メチルカルコゲノ)ジアントリルブタジイン誘導体としては、以下の化合物が好ましく、
Figure 0005617296
Figure 0005617296
Figure 0005617296
Figure 0005617296
Figure 0005617296
Figure 0005617296
Figure 0005617296
特に好ましくは
Figure 0005617296
である。
(ジハロジアントリルブタジイン誘導体)
次に、本発明の一般式(1)で示されるビ(アントラカルコゲノフェニル)誘導体の別の前駆化合物であるジハロジアントリルブタジイン誘導体について述べる。
本発明の一般式(1)で示されるビ(アントラカルコゲノフェニル)誘導体の別の前駆化合物であるジハロジアントリルブタジイン誘導体は下記一般式(9)で示される。
Figure 0005617296
(ここで、置換基X及びXはヨウ素原子、臭素原子、塩素原子を示し、置換基R〜R並びに記号mは一般式(1)で示される置換基並びに記号と同意義を示す。)
置換基X及びXは、好ましくはヨウ素原子、臭素原子であり、より好ましくはヨウ素原子である。
本発明の一般式(9)で示されるジハロジアントリルブタジイン誘導体としては、以下の化合物が好ましく、
Figure 0005617296
Figure 0005617296
Figure 0005617296
Figure 0005617296
Figure 0005617296
Figure 0005617296
Figure 0005617296
特に好ましくは
Figure 0005617296
である。
(ビ(アントラカルコゲノフェニル)誘導体の製造方法)
本発明の一般式(1)で示されるビ(アントラカルコゲノフェニル)誘導体の製造方法について述べる。
本発明の一般式(1)で示されるビ(アントラカルコゲノフェニル)誘導体は、一般式(2)で示されるビ(ハロアントラカルコゲノフェニル)誘導体をメタル化剤と反応させた後、プロトン性化合物と反応させることにより製造することができる。
一般式(2)で示されるビ(ハロアントラカルコゲノフェニル)誘導体をメタル化剤と反応させる場合、用いるメタル化剤は、一般式(2)におけるX及びXをメタルに置換することができるものである限り特に限定はなく、例えばn−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、メチルリチウム、ヘキシルリチウム等のアルキルリチウム;フェニルリチウム、p−tert−ブチルフェニルリチウム、p−メトキシフェニルリチウム、p−フルオロフェニルリチウム等のアリールリチウム;リチウムジイソプロピルアミド、リチウムヘキサメチルジシラジド等のリチウムアミド;リチウムパウダー等のリチウム金属;メチルマグネシウムブロミド、エチルマグネシウムブロミド、イソプロピルマグネシウムブロミド、イソプロピルマグネシウムクロリド、tert−ブチルマグネシウムクロリド、シクロヘキシルマグネシウムブロミド等のアルキルグリニャール試薬;マグネシウム金属;亜鉛金属等を挙げることができ、好ましくはアルキルリチウム、アルキルグリニャール試薬であり、特に好ましくはn−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、イソプロピルマグネシウムブロミド、シクロヘキシルマグネシウムブロミドである。
本発明の一般式(1)で示されるビ(アントラカルコゲノフェニル)誘導体の製造方法では、一般式(2)におけるX及びXの両方を同時にメタルに置換した後、プロトン性化合物と反応させることもできるし、一般式(2)におけるXをメタルに置換した後、プロトン性化合物と反応させ、さらにXをメタルに置換した後、プロトン性化合物と反応させる段階的な反応で実施することもできる。
該メタル化剤の使用量は、X及びXの両方を同時にメタルに置換する場合、一般式(2)で示されるビ(ハロアントラカルコゲノフェニル)誘導体1当量に対し、1.8〜5.0当量が好ましく、さらに好ましくは1.9〜4.5当量、特に好ましくは2.0〜4.1当量である。また、X及びXの何れか一方をメタルに置換する場合、該メタル化剤の使用量は、一般式(2)で示されるビ(ハロアントラカルコゲノフェニル)誘導体1当量に対し、0.8〜3.0当量が好ましく、さらに好ましくは0.9〜2.5当量、特に好ましくは1.1〜2.1当量である。
該メタル化剤との反応は、好ましくは溶媒中で実施する。用いる溶媒は特に限定はなく、例えばテトラヒドロフラン(以下、THFと略す)、ジエチルエーテル(以下、エーテルと略す)、メチル−tert−ブチルエーテル、エチル−tert−ブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジオキサン、トルエン、ヘキサン、シクロヘキサン等であり、特に好ましくはTHF、エーテルである。又、これら溶媒は1種若しくは2種以上の混合物を用いても良い。該反応の温度は−90〜70℃で行うことが好ましく、特に好ましくは−80〜40℃である。反応時間は1〜240分が好ましく、特に好ましくは5〜120分である。なお、反応の進行は、反応液の一部を取り出し、水で反応を停止させた後、薄層クロマトグラフィーあるいはガスクロマトグラフィーで分析することで監視することができる。
該メタル化剤との反応は、一般式(2)で示されるビ(ハロアントラカルコゲノフェニル)誘導体に、メタル化剤を添加しても良いし、メタル化剤に一般式(2)で示されるビ(ハロアントラカルコゲノフェニル)誘導体を添加するいずれの方法を用いても実施することができる。
該メタル化剤との反応により生成したメタル塩は、次いでプロトン性化合物と反応させることにより、一般式(1)で示されるビ(アントラカルコゲノフェニル)誘導体が得られるものである。係るプロトン性化合物との反応は、前記メタル化剤との反応により生成したメタル塩を含む反応混合物に前記プロトン性化合物を添加する方法;生成したメタル塩を含む反応混合物を前記プロトン性化合物に添加する方法のいずれを用いてもよい。
該プロトン性化合物は、該反応でプロトンを供給できるものであり、生成したメタル塩と反応するものである限り特に限定はなく、例えば水、メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、tert−ブチルアルコール等のプロトン性溶媒;塩酸、硫酸、リン酸、p−トルエンスルホン酸、酢酸、シュウ酸等の酸性化合物;臭化イソプロピル、ヨウ化イソプロピル、臭化tert−ブチル、ヨウ化tert−ブチル、臭化ブチル、ヨウ化ブチル等のハロゲン化アルキル等を挙げることができ、好ましくは水、メチルアルコール、塩酸である。又、これらプロトン性化合物は1種若しくは2種以上の混合物を用いても良い。
メタル化剤との反応により生成したメタル塩とプロトン性化合物と反応させる際には、好ましくは溶媒中で実施する。用いる溶媒は特に限定はなく、例えばTHF、エーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、エチル−tert−ブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジグライム、ジオキサン、トルエン、ヘキサン、シクロヘキサン等であり、好ましくはTHF、エーテルである。用いるプロトン性化合物の使用量は、一般式(2)で示されるビ(ハロアントラカルコゲノフェニル)誘導体1当量に対し、1.0〜100当量が好ましく、特に好ましくは1.2〜50当量である。該反応剤との反応温度は−90〜50℃が好ましく、特に好ましくは−80〜30℃であり、反応時間は0.1〜2時間が好ましく、特に好ましくは0.2〜1時間である。
本発明の一般式(1)で示されるビ(アントラカルコゲノフェニル)誘導体の製造方法で、一般式(2)で示されるビ(ハロアントラカルコゲノフェニル)誘導体を原料とする別の製造方法について述べる。
本発明の一般式(1)で示されるビ(アントラカルコゲノフェニル)誘導体は、一般式(2)で示されるビ(ハロアントラカルコゲノフェニル)誘導体をパラジウム触媒及び/又はニッケル触媒存在下、炭素数1〜8のアルコール及び塩基と反応させる脱ハロゲン化により製造することができる。
一般式(2)で示されるビ(ハロアントラカルコゲノフェニル)誘導体の脱ハロゲン化反応に用いる触媒はパラジウム触媒及び/又はニッケル触媒であれば特に限定はなく、例えばテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム/トリフェニルホスフィン混合物、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(アセトニトリル)パラジウム、ビス(トリ−tert−ブチルホスフィン)パラジウム、ジアセタトビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロ(1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン)パラジウム、ジクロロ(1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン)パラジウム、酢酸パラジウム、酢酸パラジウム/トリフェニルホスフィン混合物、酢酸パラジウム/トリ(o−トリル)ホスフィン混合物、酢酸パラジウム/トリ−tert−ブチルホスフィン混合物、酢酸パラジウム/2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)−1,1’−ビフェニル混合物、ジクロロ(エチレンジアミン)パラジウム、ジクロロ(N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン)パラジウム、ジクロロ(N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン)パラジウム/トリフェニルホスフィン混合物等のパラジウム触媒;ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル、ジクロロ(1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン)ニッケル、ジクロロ(1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン)ニッケル、ジクロロ(エチレンジアミン)ニッケル、ジクロロ(N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン)ニッケル、ジクロロ(N,N,N’,N’−テトラメチルプロパンジアミン)ニッケル、ジクロロ(N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン)ニッケル/トリフェニルホスフィン混合物、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル/トリフェニルホスフィン混合物等のニッケル触媒;を挙げることができる。中でも、好ましい触媒はパラジウム触媒であり、特に好ましい触媒はテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、酢酸パラジウムである。又、これら触媒は1種若しくは2種以上の混合物を用いても良い。
これらのパラジウム触媒、ニッケル触媒の使用量は一般式(2)で示されるビ(ハロアントラカルコゲノフェニル)誘導体1モルに対し、0.05〜10モル%が好ましく、特に好ましくは0.1〜5モル%である。
該脱ハロゲン化反応に用いる炭素数1〜8のアルコールは、α位に水素を持つものであれば特に限定はなく、例えばメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、1−ヘキサノール、2−ヘキサノール、1−オクタノール、2−オクタノール等を挙げることができ、好ましくは1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノールである。
これらのアルコールの使用量は一般式(2)で示されるビ(ハロアントラカルコゲノフェニル)誘導体1ミリモルに対し、0.5〜100mlが好ましく、特に好ましくは1〜50mlである。
該脱ハロゲン化反応に用いる塩基は特に限定はなく、例えば炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸セシウム、りん酸カリウム、りん酸ナトリウム等の無機塩基;ナトリウムtert−ブトキサイド、カリウムtert−ブトキサイド、ナトリウムメトキサイド等のアルコキサイド;1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、エチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、ジイソプロピルアミン、ピリジン、テトラブチルアンモニウムフルオリド等の有機塩基を好適なものとして挙げることができる。
これらの塩基の使用量は一般式(2)で示されるビ(ハロアントラカルコゲノフェニル)誘導体1当量に対し、0.8〜6.0当量が好ましく、特に好ましくは0.9〜4.0当量である。
反応の際の温度は10〜140℃が好ましく、さらに好ましくは40〜120℃、特に好ましくは50〜110℃であり、反応時間は1〜72時間が好ましく、特に好ましくは2〜36時間である。
また、反応系中にトリフェニルホスフィン、トリ(o−トリル)ホスフィン等のホスフィンを存在させることもできる。これらのホスフィンの使用量は、該パラジウム及び/又はニッケル触媒1当量に対し、0.9〜5.0当量が好ましく、特に好ましくは1.0〜3.0当量である。
また該脱ハロゲン化反応は、「テトラヘドロン」、2007年、63巻、4266−4270頁に記載されている方法で実施することもできる。
本発明の一般式(1)で示されるビ(アントラカルコゲノフェニル)誘導体の別の製造方法について述べる。
本発明の一般式(1)で示されるビ(アントラカルコゲノフェニル)誘導体は、下記一般式(4)及び/又は下記一般式(5)で示されるアントラカルコゲノフェン誘導体をメタル化剤と反応させた後、銅化合物又は鉄化合物と反応させることにより製造することができる。
Figure 0005617296
Figure 0005617296
(ここで、置換基X及びXは水素原子、ヨウ素原子、臭素原子、塩素原子、又はトリメチルシリル基を示し、置換基T、T及びR〜R並びに記号mは一般式(1)で示される置換基並びに記号と同意義を示す。)
一般式(4)で示されるアントラカルコゲノフェン誘導体と一般式(5)で示されるアントラカルコゲノフェン誘導体は同じ化合物であることもできる。
一般式(4)及び一般式(5)の置換基X及びXは好ましくは水素原子、ヨウ素原子、臭素原子、トリメチルシリル基であり、より好ましくは水素原子、ヨウ素原子である。
具体的な一般式(4)、(5)で示されるアントラカルコゲノフェン誘導体としては、例えば7,8−ジ(ペンタデシル)−2−ヨードアントラチオフェン、7,8−ジ(ペンタデシル)−2−トリメチルシリルアントラチオフェン、7,8−ジ(ドデシル)−2−ヨードアントラチオフェン、7,8−ジ(ドデシル)−2−トリメチルシリルアントラチオフェン、5,6−ジ(ドデシル)−2−ヨードベンゾチオフェン、5,6−ジ(ドデシル)−2−トリメチルシリルベンゾチオフェン等が挙げられる。
一般式(4)で示されるアントラカルコゲノフェン誘導体と一般式(5)で示されるアントラカルコゲノフェン誘導体が異なる場合、一般式(5)で示されるアントラカルコゲノフェン誘導体の使用量は、一般式(4)で示されるアントラカルコゲノフェン誘導体1当量に対し、0.8〜1.2当量が好ましく、特に好ましくは0.9〜1.1当量である。
一般式(4)及び一般式(5)で示されるアントラカルコゲノフェン誘導体をメタル化剤と反応させる場合、用いるメタル化剤は一般式(4)及び一般式(5)におけるX及びXをメタルに置換することができるものである限り特に限定はなく、例えばn−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、メチルリチウム、ヘキシルリチウム等のアルキルリチウム;フェニルリチウム、p−tert−ブチルフェニルリチウム、p−メトキシフェニルリチウム、p−フルオロフェニルリチウム等のアリールリチウム;リチウムジイソプロピルアミド、リチウムヘキサメチルジシラジド等のリチウムアミド;リチウムパウダー等のリチウム金属;メチルマグネシウムブロミド、エチルマグネシウムブロミド、イソプロピルマグネシウムブロミド、イソプロピルマグネシウムクロリド、tert−ブチルマグネシウムクロリド、シクロヘキシルマグネシウムブロミド等のアルキルグリニャール試薬;マグネシウム金属;亜鉛金属等を挙げることができ、好ましくはアルキルリチウム、アルキルグリニャール試薬であり、特に好ましくはn−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、イソプロピルマグネシウムブロミド、シクロヘキシルマグネシウムブロミドである。
該メタル化剤の使用量は一般式(4)及び/又は一般式(5)で示されるアントラカルコゲノフェン誘導体1当量に対し、0.9〜4.0当量が好ましく、さらに好ましくは1.1〜3.0当量、特に好ましくは1.1〜2.5当量である。
該メタル化剤との反応は、好ましくは溶媒中で実施する。用いる溶媒は特に限定はなく、例えばTHF、エーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、エチル−tert−ブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジオキサン、トルエン、ヘキサン、シクロヘキサン等であり、特に好ましくはTHF、エーテルである。又、これら溶媒は1種若しくは2種以上の混合物を用いても良い。該メタル化の温度は−90〜60℃で行うことが好ましく、特に好ましくは−80〜30℃である。反応時間は1〜240分が好ましく、特に好ましくは10〜120分である。なお、メタル化の進行は、反応液の一部を取り出し、水で反応を停止させた後、薄層クロマトグラフィーあるいはガスクロマトグラフィーで分析することで監視することができる。
該メタル化剤との反応は、一般式(4)、一般式(5)で示されるアントラカルコゲノフェン誘導体に、メタル化剤を添加しても良いし、メタル化剤に一般式(4)、一般式(5)で示されるアントラカルコゲノフェン誘導体を添加する何れかの方法を用いても実施することができる。
該メタル化剤との反応により生成したメタル塩は、次いで銅化合物又は鉄化合物と反応させることにより、一般式(1)で示されるビ(アントラカルコゲノフェニル)誘導体が得られるものである。係る銅化合物又は鉄化合物との反応は、前記メタル化剤との反応により生成したメタル塩を含む反応混合物に前記銅化合物又は鉄化合物を添加する方法;前記メタル化剤との反応により生成したメタル塩を前記銅化合物又は鉄化合物に添加する方法の何れを用いてもよい。
係る銅化合物又は鉄化合物は、一般式(4)及び/又は一般式(5)で示されるアントラカルコゲノフェン誘導体と前記メタル化剤との反応で生成したメタル塩と反応し、炭素−炭素結合を生成させるものである限り特に限定はなく、例えば塩化銅(II)、臭化銅(II)、ヨウ化銅(II)、酢酸銅(II)、アセチルアセトナート銅(II)等の2価銅;塩化銅(I)、臭化銅(I)、ヨウ化銅(I)、酢酸銅(I)等の1価銅;塩化鉄(III)、臭化鉄(III)、酸化鉄(III)、硫酸鉄(III)、アセチルアセトナート鉄(III)等の3価鉄;塩化鉄(II)、臭化鉄(II)、シュウ酸鉄(II)、硫酸鉄(II)、酢酸鉄(II)等の2価鉄等を挙げることができ、好ましくは2価銅であり、特に好ましくは塩化銅(II)、臭化銅(II)である。
該銅化合物又は鉄化合物の使用量は、一般式(4)及び/又は一般式(5)で示されるアントラカルコゲノフェン誘導体1当量に対し、0.8〜3当量が好ましく、特に好ましくは0.9〜1.8当量である。銅化合物又は鉄化合物との反応温度は−70〜50℃が好ましく、特に好ましくは−60〜40℃であり、反応時間は1〜24時間が好ましく、特に好ましくは1〜18時間である。
該メタル化剤との反応により生成したメタル塩と銅化合物又は鉄化合物と反応させる際には、好ましくは溶媒中で実施する。用いる溶媒は特に限定はなく、例えばTHF、エーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、エチル−tert−ブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジグライム、ジオキサン、トルエン、ヘキサン、シクロヘキサン等であり、好ましくはTHF、エーテルである。
本発明の一般式(1)で示されるビ(アントラカルコゲノフェニル)誘導体の製造は、好ましくは窒素又はアルゴン等の不活性雰囲気下で実施する。
本発明の一般式(1)で示されるビ(アントラカルコゲノフェニル)誘導体のもう一つ別の製造方法について述べる。
本発明の一般式(1)で示されるビ(アントラカルコゲノフェニル)誘導体は、一般式(9)で示されるジハロジアントリルブタジイン誘導体をメタル化剤と反応させた後、カルコゲンと反応させることにより製造することができる。
一般式(9)で示されるジハロジアントリルブタジイン誘導体をメタル化剤と反応させる場合、用いるメタル化剤は一般式(9)におけるX及びXをメタルに置換することができるものである限り特に限定はなく、例えばn−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、メチルリチウム、ヘキシルリチウム等のアルキルリチウム;フェニルリチウム、p−tert−ブチルフェニルリチウム、p−メトキシフェニルリチウム、p−フルオロフェニルリチウム等のアリールリチウム;リチウムジイソプロピルアミド、リチウムヘキサメチルジシラジド等のリチウムアミド;リチウムパウダー等のリチウム金属;メチルマグネシウムブロミド、エチルマグネシウムブロミド、イソプロピルマグネシウムブロミド、イソプロピルマグネシウムクロリド、tert−ブチルマグネシウムクロリド、シクロヘキシルマグネシウムブロミド等のアルキルグリニャール試薬;マグネシウム金属;亜鉛金属等を挙げることができ、好ましくはアルキルリチウム、アルキルグリニャール試薬であり、特に好ましくはn−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、イソプロピルマグネシウムブロミド、シクロヘキシルマグネシウムブロミドである。
該メタル化剤の使用量は一般式(9)で示されるジハロジアントリルブタジイン誘導体1当量に対し、1.8〜4.6当量が好ましく、さらに好ましくは1.9〜4.4当量、特に好ましくは2.2〜4.2当量である。
該メタル化剤との反応は、好ましくは溶媒中で実施する。用いる溶媒は特に限定はなく、例えばTHF、エーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、エチル−tert−ブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジオキサン、トルエン、ヘキサン、シクロヘキサン等であり、特に好ましくはTHF、エーテルである。又、これら溶媒は1種若しくは2種以上の混合物を用いても良い。該メタル化の温度は−90〜60℃で行うことが好ましく、特に好ましくは−80〜30℃である。反応時間は1〜240分が好ましく、特に好ましくは10〜120分である。なお、メタル化の進行は、反応液の一部を取り出し、水で反応を停止させた後、薄層クロマトグラフィーあるいはガスクロマトグラフィーで分析することで監視することができる。
該メタル化剤との反応は、一般式(9)で示されるジハロジアントリルブタジイン誘導体に、メタル化剤を添加しても良いし、メタル化剤に一般式(9)で示されるジハロジアントリルブタジイン誘導体を添加する何れかの方法を用いても実施することができる。
該メタル化剤との反応により生成したメタル塩は、次いでカルコゲンと反応させることにより、一般式(1)で示されるビ(アントラカルコゲノフェニル)誘導体が得られるものである。係るカルコゲンとの反応は、前記メタル化剤との反応により生成したメタル塩を含む反応混合物に前記カルコゲンを添加する方法;前記メタル化剤との反応により生成したメタル塩をカルコゲンに添加する方法の何れを用いてもよい。
係るカルコゲンは、一般式(9)で示されるジハロジアントリルブタジイン誘導体と前記メタル化剤との反応で生成したメタル塩と反応し、カルコゲノフェニル環を生成させるものである限り特に限定はなく、例えば硫黄、セレン、テルルを挙げることができ、好ましくは硫黄である。
該カルコゲンの使用量は、一般式(9)で示されるジハロジアントリルブタジイン誘導体1当量に対し、1.8〜4.4当量が好ましく、特に好ましくは2.0〜4.0当量である。カルコゲンとの反応温度は−70〜50℃が好ましく、特に好ましくは−60〜40℃であり、反応時間は1〜24時間が好ましく、特に好ましくは1〜18時間である。
該メタル化剤との反応により生成したメタル塩とカルコゲンと反応させる際には、好ましくは溶媒中で実施する。用いる溶媒は特に限定はなく、例えばTHF、エーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、エチル−tert−ブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジグライム、ジオキサン、トルエン、ヘキサン、シクロヘキサン等であり、好ましくはTHF、エーテルである。
本発明の一般式(1)で示されるビ(アントラカルコゲノフェニル)誘導体の製造は、好ましくは窒素又はアルゴン等の不活性雰囲気下で実施する。
本発明の一般式(1)で示されるビ(アントラカルコゲノフェニル)誘導体のさらにもう一つ別の製造方法について述べる。
本発明の一般式(1)で示されるビ(アントラカルコゲノフェニル)誘導体は、一般式(4)又は一般式(5)で示されるアントラカルコゲノフェン誘導体をメタル化剤、次いでホウ素化合物、亜鉛化合物、錫化合物、又はケイ素化合物と反応させアントラカルコゲノフェニル−2−金属試薬とした後、一般式(4)又は一般式(5)で示されるアントラカルコゲノフェン誘導体とをパラジウム触媒存在下で反応させることにより製造することができる。
一般式(4)又は一般式(5)で示されるアントラカルコゲノフェン誘導体をメタル化剤と反応させる場合、用いるメタル化剤は上記の製造方法で挙げたメタル化剤を使用することができ、好ましくはn−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、イソプロピルマグネシウムブロミド、シクロヘキシルマグネシウムブロミドである。該メタル化後、反応させるホウ素化合物、亜鉛化合物、錫化合物、又はケイ素化合物としては、例えばトリメトキシボラン、トリ(イソプロポキシ)ボラン、2−イソプロポキシ−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン、塩化亜鉛、塩化トリブチル錫等を好適なものとして挙げることができる。
該反応に用いる触媒は、パラジウム触媒であれば特に限定はなく、例えばテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム/トリフェニルホスフィン混合物、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(アセトニトリル)パラジウム、ビス(トリ−tert−ブチルホスフィン)パラジウム、ジアセタトビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロ(1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン)パラジウムを挙げることができ、好ましくはテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムである。
該反応は、好ましくは溶媒中で実施する。用いる溶媒に特に限定はなく、例えばTHF、エーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、エチル−tert−ブチルエーテル、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサン、エタノール、水等を挙げることができ、又、これら溶剤は1種若しくは2種以上の混合物を用いても良く、例えばトルエン/水、トルエン/エタノール/水のような2乃至3成分系でも使用することができる。
パラジウム触媒の使用量は一般式(4)又は一般式(5)で示されるアントラカルコゲノフェン誘導体1モルに対し、0.05〜10モル%が好ましく、特に好ましくは0.1〜5モル%である。
反応の際の温度は10〜120℃が好ましく、さらに好ましくは20〜80℃、特に好ましくは20〜60℃であり、反応時間は1〜96時間が好ましく、特に好ましくは2〜72時間である。
なお、反応系中に塩基を存在させることもできる。この場合の塩基の種類としては特に限定はなく、例えば炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、りん酸カリウム、りん酸ナトリウム等の無機塩基;1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、エチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、ジイソプロピルアミン、ピリジン等の有機塩基を好適なものとして挙げることができる。これらの塩基の使用量は一般式(4)又は一般式(5)で示されるアントラカルコゲノフェン誘導体1当量に対し、0.8〜10.0当量が好ましく、特に好ましくは0.9〜4.0当量である。
なお、一般式(4)又は一般式(5)で示されるアントラカルコゲノフェン誘導体から調製したアントラカルコゲノフェニル−2−金属試薬1当量に対し、一般式(4)又は一般式(5)で示されるアントラカルコゲノフェン誘導体の使用量は、0.8〜1.5当量が好ましく、さらに好ましくは0.9〜1.2当量である。
かくして得られた、本発明の一般式(1)で示されるビ(アントラカルコゲノフェニル)誘導体は、さらに精製することができる。精製する方法は特に限定はなく、例えばカラムクロマトグラフィー、再結晶化、あるいは昇華による方法を挙げることができる。
(ビ(ハロアントラカルコゲノフェニル)誘導体の製造方法)
次に、本発明の一般式(1)で示されるビ(アントラカルコゲノフェニル)誘導体の前駆化合物である一般式(2)で示されるビ(ハロアントラカルコゲノフェニル)誘導体の製造方法について述べる。
本発明の一般式(2)で示されるビ(ハロアントラカルコゲノフェニル)誘導体は一般式(3)で示されるジ(メチルカルコゲノ)ジアントリルブタジイン誘導体とハロゲン誘導体と反応させることで製造することができる。
該ハロゲン誘導体は不飽和結合をハロゲン化できるものであれば特に限定はなく、例えばヨウ素、臭素、塩素、1塩化ヨウ素、1臭化ヨウ素、N−ヨードスクシンイミド、N−ブロモスクシンイミド、N−クロロスクシンイミド等を挙げることができ、好ましくはヨウ素、臭素であり、特に好ましくはヨウ素である。該ハロゲン誘導体の使用量は一般式(3)で示されるジ(メチルカルコゲノ)ジアントリルブタジイン誘導体1当量に対し、1.7〜4.0当量が好ましく、さらに好ましくは1.8〜3.5当量、特に好ましくは1.9〜2.5当量である。
該ハロゲン誘導体との反応は、好ましくは溶媒中で実施する。用いる溶媒は特に限定はなく、例えばジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、THF、エーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、エチル−tert−ブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジオキサン、トルエン、ヘキサン、シクロヘキサン等であり、特に好ましくは、ジクロロメタン、クロロホルムである。又、これら溶剤は1種若しくは2種以上の混合物を用いても良い。該反応の温度は20〜100℃で行うことが好ましく、特に好ましくは25〜70℃である。反応時間は1〜24時間が好ましく、特に好ましくは2〜12時間である。なお、該反応の進行は、薄層クロマトグラフィーあるいはガスクロマトグラフィーで分析することで監視することができる。
本発明の一般式(2)で示されるビ(ハロアントラカルコゲノフェニル)誘導体の別の製造方法について述べる。該製造方法においては一般式(2)における置換基Xが水素原子であることが好ましい。
即ち、一般式(2)で示されるビ(ハロアントラカルコゲノフェニル)誘導体は、下記一般式(6)で示される(メチルカルコゲノ)(アントラカルコゲノフェニルエチニル)アントラセン誘導体とハロゲン誘導体と反応させることでも製造することができる。
Figure 0005617296
(ここで、置換基X、T、T及びR〜R並びに記号mは、一般式(2)で示される置換基並びに記号と同意義を示す。)
該ハロゲン誘導体の種類及び該ハロゲン誘導体との反応条件は、上記一般式(3)で示されるジ(メチルカルコゲノ)ジアントリルブタジイン誘導体とハロゲン誘導体との反応で使用されるハロゲン誘導体並びに条件を適用することができる。
かくして得られた、一般式(2)で示されるビ(ハロアントラカルコゲノフェニル)誘導体は、さらに精製することができる。精製する方法は特に限定はなく、例えばカラムクロマトグラフィー、再結晶化、あるいは昇華による方法を挙げることができる。
(ジ(メチルカルコゲノ)ジアントリルブタジイン誘導体の製造方法)
次に、本発明の一般式(2)で示されるビ(ハロアントラカルコゲノフェニル)誘導体の原料化合物である一般式(3)で示されるジ(メチルカルコゲノ)ジアントリルブタジイン誘導体の製造方法について述べる。
本発明の一般式(3)で示されるジ(メチルカルコゲノ)ジアントリルブタジイン誘導体は、下記一般式(7)及び/又は下記一般式(8)で示される(メチルカルコゲノ)アントリルエチン誘導体を銅化合物の存在下、カップリング反応させることで製造することができる。
Figure 0005617296
Figure 0005617296
(ここで、置換基X及びXは水素原子、トリメチルシリル基、ヨウ素原子、臭素原子、又は塩素原子を示し、置換基T、T及びR〜R並びに記号mは一般式(3)で示される置換基並びに記号と同意義を示す。)
一般式(7)で示される(メチルカルコゲノ)アントリルエチン誘導体と一般式(8)で示される(メチルカルコゲノ)アントリルエチン誘導体は同じ化合物であることもできる。
一般式(7)及び一般式(8)の置換基X及びXは好ましくは水素原子、トリメチルシリル基、塩素原子であり、特に好ましくは水素原子である。
具体的な一般式(7)、(8)で示される(メチルカルコゲノ)アントリルエチン誘導体としては、例えば6,7−ジ(ペンタデシル)−2−トリメチルシリルエチニル−3−メチルチオアントラセン、6,7−ジ(ペンタデシル)−2−エチニル−3−メチルチオアントラセン、6,7−ジ(ドデシル)−2−トリメチルシリルエチニル−3−メチルチオアントラセン、6,7−ジ(ドデシル)−2−エチニル−3−メチルチオアントラセン、4,5−ジ(ドデシル)トリメチルシリルエチニル−2−メチルチオベンゼン、4,5−ジ(ドデシル)エチニル−2−メチルチオベンゼン、4,5−ジ(デシル)トリメチルシリルエチニル−2−メチルチオベンゼン、4,5−ジ(デシル)エチニル−2−メチルチオベンゼン等が挙げられる。
一般式(7)で示される(メチルカルコゲノ)アントリルエチン誘導体と一般式(8)で示される(メチルカルコゲノ)アントリルエチン誘導体が異なる場合、一般式(8)で示される(メチルカルコゲノ)アントリルエチン誘導体の使用量は、一般式(7)で示される(メチルカルコゲノ)アントリルエチン誘導体1当量に対し、0.8〜1.2当量が好ましく、特に好ましくは0.9〜1.1当量である。
本発明の一般式(3)で示されるジ(メチルカルコゲノ)ジアントリルブタジイン誘導体の製造に使用される銅化合物は特に限定はなく、例えば塩化銅(I)、臭化銅(I)、ヨウ化銅(I)、酢酸銅(I)等の1価銅;塩化銅(II)、臭化銅(II)、ヨウ化銅(II)、酢酸銅(II)、アセチルアセトナート銅(II)等の2価銅を挙げることができ、好ましくは1価銅であり、特に好ましくは塩化銅(I)、臭化銅(I)、ヨウ化銅(I)である。
該銅化合物の使用量は、一般式(7)及び/又は一般式(8)で示される(メチルカルコゲノ)アントリルエチン誘導体1当量に対し、0.01〜3.0当量が好ましく、特に好ましくは0.03〜1.8当量である。銅化合物との反応温度は0〜50℃が好ましく、特に好ましくは20〜40℃であり、反応時間は1〜40時間が好ましく、特に好ましくは1〜30時間である。
該反応は酸素雰囲気下で実施することもできる(酸素酸化)。酸素の圧力は特に限定はなく、常圧から5千ヘクトパスカルまでの加圧下で実施することができ、常圧下で酸素をバブリングしながら反応を行うことが好ましい。また、酸素の代わりに空気を用いることもできる。
該反応は好ましくは溶媒中で実施する。用いる溶媒は特に限定はなく、例えばo−ジクロロベンゼン、アセトン、THF、エーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、エチル−tert−ブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジグライム、ジオキサン、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、トルエン、ヘキサン、シクロヘキサン等であり、好ましくはo−ジクロロベンゼン、アセトン、トルエン、THF、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンである。又、これら溶媒は1種若しくは2種以上の混合物を用いても良く、例えばTHF/N,N−ジメチルホルムアミドあるいはTHF/N−メチルピロリドンのような2成分系でも使用することができる。
なお、反応系中にアミンを存在させることもできる。この場合のアミンの種類としては特に限定はなく、例えばN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、ジイソプロピルアミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、エチレンジアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、ピリジン等を挙げることができ、好ましくはN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、ジイソプロピルアミン、トリエチルアミンである。これらのアミンの使用量は一般式(7)及び/又は一般式(8)で示される(メチルカルコゲノ)アントリルエチン1当量に対し、0.2〜3.0当量が好ましく、特に好ましくは0.4〜1.5当量である。
なお、反応系中にパラジウム化合物を存在させることもできる。該パラジウム化合物としては特に限定はなく、例えばテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム/トリフェニルホスフィン混合物、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(アセトニトリル)パラジウム、ビス(トリ−tert−ブチルホスフィン)パラジウム、ジアセタトビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロ(1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン)パラジウム、ジクロロ(1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン)パラジウム、酢酸パラジウム/トリフェニルホスフィン混合物、酢酸パラジウム/トリ(o−トリル)ホスフィン混合物、酢酸パラジウム/トリ−tert−ブチルホスフィン混合物、酢酸パラジウム/2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)−1,1’−ビフェニル混合物、ジクロロ(エチレンジアミン)パラジウム、ジクロロ(N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン)パラジウム、ジクロロ(N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン)パラジウム/トリフェニルホスフィン混合物等を挙げることができる。中でも、好ましいパラジウム化合物はテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムである。該パラジウム化合物の使用量は一般式(7)及び/又は一般式(8)で示される(メチルカルコゲノ)アントリルエチン誘導体1モルに対し、0.05〜10モル%が好ましく、特に好ましくは0.1〜5モル%である。
また、本発明の一般式(3)で示されるジ(メチルカルコゲノ)ジアントリルブタジイン誘導体は、後述する一般式(13)及び/又は一般式(14)で示されるハロアントリルエチン誘導体から一般式(7)及び一般式(8)で示される(メチルカルコゲノ)アントリルエチン誘導体を製造する方法と同様の方法を用いて、一般式(9)で示されるジハロジアントリルブタジイン誘導体から製造することもできる。但し、用いるアルキルリチウムの使用量は、一般式(9)で示されるジハロジアントリルブタジイン誘導体1当量に対し、1.8〜4.5当量が好ましく、さらに用いるジメチルジカルコゲニドの使用量は、一般式(9)で示されるジハロジアントリルブタジイン誘導体1当量に対し、1.8〜4.2当量が好ましい。
かくして得られた、一般式(3)で示されるジ(メチルカルコゲノ)ジアントリルブタジイン誘導体は、さらに精製することができる。精製する方法は特に限定はなく、例えばカラムクロマトグラフィー、再結晶化、あるいは昇華による方法を挙げることができる。
(ジハロジアントリルブタジイン誘導体の製造方法)
次に、本発明の一般式(1)で示されるビ(アントラカルコゲノフェニル)誘導体の別の前駆化合物であるジハロジアントリルブタジイン誘導体の製造方法について述べる。
本発明の一般式(9)で示されるジハロジアントリルブタジイン誘導体は下記一般式(10)で示されるジハロアントラセン誘導体と(トリメチルシリル)ブタジインをパラジウム触媒及び/又はニッケル触媒存在下で反応させた後、得られた下記一般式(11)で示される2−(トリメチルシリル)ブタジイニル−3−ハロアントラセン誘導体を脱トリメチルシリル処理し、得られた2−ブタジイニル−3−ハロアントラセン誘導体と下記一般式(12)で示されるジハロアントラセン誘導体をパラジウム触媒及び/又はニッケル触媒存在下で反応させることにより製造することができる。なお、一般式(10)と一般式(12)で示されるジハロアントラセン誘導体が同じ化合物であっても良い。
Figure 0005617296
(ここで、置換基Xは臭素原子、ヨウ素原子又は塩素原子を示し、置換基X、R、R、R、及びRは一般式(9)で示される置換基と同意義を示す。)
Figure 0005617296
(ここで、置換基X、R、R、R、及びRは一般式(9)で示される置換基と同意義を示す。)
Figure 0005617296
(ここで、置換基Xは臭素原子、ヨウ素原子又は塩素原子を示し、置換基X、R、R、R、及びR並びに記号mは一般式(9)で示される置換基並びに記号と同意義を示す。)
一般式(10)及び(12)で示されるジハロアントラセン誘導体の置換基について、述べる。
一般式(10)の置換基Xは、好ましくは臭素原子及びヨウ素原子であり、さらに好ましくはヨウ素原子である。
一般式(12)の置換基Xは、好ましくは臭素原子及びヨウ素原子であり、さらに好ましくはヨウ素原子である。
具体的な一般式(10)及び一般式(12)で示されるジハロアントラセン誘導体としては、例えば2−ブロモ−3−ヨード−6,7−ジオクチルアントラセン、2,3−ジヨード−6,7−ジデシルアントラセン、2−ブロモ−3−ヨード−6,7−ジドデシルアントラセン、2,3−ジヨード−6,7−ジドデシルアントラセン、2−ブロモ−3−ヨード−6,7−ジペンタデシルアントラセン、2−ブロモ−3−ヨード−6−ドデシル−7−フルオロアントラセン、2,3−ジヨード−7−ドデシル−6−フルオロアントラセン、2−ブロモ−3−ヨード−6,7−ジ(パーフルオロドデシル)アントラセン、2−ブロモ−3−ヨード−6,7−ジフェニルアントラセン、1,2−ジブロモ−4,5−ジオクチルベンゼン、1,2−ジヨード−4,5−ジデシルベンゼン、1,2−ジヨード−4,5−ジドデシルベンゼン、1,2−ジブロモ−4,5−ジペンタデシルベンゼン、1,2−ジブロモ−4,5−ジ(パーフルオロドデシル)ベンゼン等が挙げられ、その中でも2,3−ジヨード−6,7−ジデシルアントラセン、2,3−ジヨード−6,7−ジドデシルアントラセン、2−ブロモ−3−ヨード−6,7−ジペンタデシルアントラセン、2−ブロモ−3−ヨード−6,7−ジ(パーフルオロドデシル)アントラセン、1,2−ジヨード−4,5−ジドデシルベンゼン等が好ましい。
一般式(11)で示される2−(トリメチルシリル)ブタジイニル−3−ハロアントラセン誘導体は、一般式(10)で示されるジハロアントラセン誘導体と(トリメチルシリル)ブタジインをパラジウム触媒及び/又はニッケル触媒存在下で反応させることで得ることができる。
一般式(10)で示されるジハロアントラセン誘導体と(トリメチルシリル)ブタジインの反応に用いる触媒はパラジウム触媒及び/又はニッケル触媒であれば特に限定はなく、例えばテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム/トリフェニルホスフィン混合物、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(アセトニトリル)パラジウム、ビス(トリ−tert−ブチルホスフィン)パラジウム、ジアセタトビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロ(1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン)パラジウム、ジクロロ(1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン)パラジウム、酢酸パラジウム/トリフェニルホスフィン混合物、酢酸パラジウム/トリ(o−トリル)ホスフィン混合物、酢酸パラジウム/トリ−tert−ブチルホスフィン混合物、酢酸パラジウム/2−(ジシクロヘキシルホスフィノ)−1,1’−ビフェニル混合物、ジクロロ(エチレンジアミン)パラジウム、ジクロロ(N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン)パラジウム、ジクロロ(N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン)パラジウム/トリフェニルホスフィン混合物等のパラジウム触媒;ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)ニッケル、ジクロロ(1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン)ニッケル、ジクロロ(1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン)ニッケル、ジクロロ(エチレンジアミン)ニッケル、ジクロロ(N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン)ニッケル、ジクロロ(N,N,N’,N’−テトラメチルプロパンジアミン)ニッケル、ジクロロ(N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン)ニッケル/トリフェニルホスフィン混合物、ビス(1,5−シクロオクタジエン)ニッケル/トリフェニルホスフィン混合物等のニッケル触媒;を挙げることができる。中でも、好ましい触媒はパラジウム触媒であり、特に好ましい触媒はテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムである。又、これら触媒は1種若しくは2種以上の混合物を用いても良い。
一般式(10)で示されるジハロアントラセン誘導体と(トリメチルシリル)ブタジインをパラジウム触媒及び/又はニッケル触媒存在下で反応させる際には、好ましくは溶媒中で実施する。用いる溶媒に特に限定はなく、例えばTHF、エーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、エチル−tert−ブチルエーテル、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサン、エタノール、水、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ピペリジン、ピロリジン、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン等を挙げることができ、又、これら溶剤は1種若しくは2種以上の混合物を用いても良く、例えばTHF/ジイソプロピルアミン、THF/トリエチルアミン、トルエン/ピペリジン、トルエン/水、ジイソプロピルアミン/トルエン/水、トルエン/エタノール/水のような2乃至3成分系でも使用することができる。
パラジウム触媒、ニッケル触媒の使用量は一般式(10)で示されるジハロアントラセン誘導体1モルに対し、0.05〜10モル%が好ましく、特に好ましくは0.1〜5モル%である。
(トリメチルシリル)ブタジインの使用量は一般式(10)で示されるジハロアントラセン誘導体1当量に対し、0.7〜1.8当量が好ましく、さらに好ましくは0.8〜1.6当量、特に好ましくは0.9〜1.2当量である。
なお、反応系中に銅化合物を存在させることが好ましい。該銅化合物しては特に限定はなく、例えば塩化銅(I)、臭化銅(I)、ヨウ化銅(I)、酢酸銅(I)等の1価銅;塩化銅(II)、臭化銅(II)、ヨウ化銅(II)、酢酸銅(II)、アセチルアセトナート銅(II)等の2価銅等を挙げることができる。その中でも好ましくは1価銅であり、特に好ましくはヨウ化銅(I)である。これらの銅化合物の使用量は該パラジウム触媒及び/又はニッケル触媒1当量に対し、0.5〜4.0当量が好ましく、特に好ましくは0.6〜2.0当量である。
反応の際の温度は10〜120℃が好ましく、さらに好ましくは20〜80℃、特に好ましくは20〜60℃であり、反応時間は1〜96時間が好ましく、特に好ましくは2〜72時間である。
なお、反応系中に塩基を存在させることもできる。この場合の塩基の種類としては特に限定はなく、例えば炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、りん酸カリウム、りん酸ナトリウム、ナトリウムtert−ブトキサイド、カリウムtert−ブトキサイド、フッ化カリウム、フッ化ナトリウム、フッ化セシウム等の無機塩基;1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、エチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、ジイソプロピルアミン、ピリジン、テトラブチルアンモニウムフルオリド等の有機塩基を好適なものとして挙げることができる。これらの塩基の使用量は一般式(10)で示されるジハロアントラセン誘導体1当量に対し、0.4〜10.0当量が好ましく、特に好ましくは0.5〜4.0当量である。さらにこれらの塩基と併用し、相間移動触媒を用いることもできる。相間移動触媒の種類は特に限定はなく、例えばトリオクチルメチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムクロライド、セチルピリジニウムクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド等を好適なものとして挙げることができる。これらの相間移動触媒の使用量は一般式(10)で示されるジハロアントラセン誘導体1当量に対し、0.1〜1.5当量が好ましく、特に好ましくは0.2〜0.8当量である。
さらに反応系中にトリフェニルホスフィン、トリ(o−トリル)ホスフィン等のホスフィンを存在させることもできる。これらのホスフィンの使用量は、該パラジウム及び/又はニッケル触媒1当量に対し、0.9〜5.0当量が好ましく、特に好ましくは1.0〜3.0当量である。
かくして得られた、一般式(11)で示される2−トリメチルシリルブタジイニル−3−ハロアントラセン誘導体はトリメチルシリル基を脱離(脱トリメチルシリル処理)することで2−ブタジイニル−3−ハロアントラセン誘導体へ変換することができる。トリメチルシリル基を脱離する方法としては、無機塩基あるいはフッ素化物を用いて実施することができる。該無機塩基としては、例えば炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等を挙げることができ、好ましくは炭酸カリウムである。一方、該フッ素化物としては、例えばテトラブチルアンモニウムフルオライド、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム等を挙げることができ、好ましくはテトラブチルアンモニウムフルオリドである。無機塩基あるいはフッ素化物の使用量は、2−トリメチルシリルブタジイニル−3−ハロアントラセン誘導体1当量に対し、0.8〜7当量が好ましく、特に好ましくは1.0〜4.0当量である。該脱トリメチルシリル化反応は好ましくは溶媒中で実施する。用いる溶媒は特に限定はなく、例えばTHF、エーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、トルエン、キシレン、ヘキサン、シクロヘキサン、エタノール、メタノール、水、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、トリエチルアミン、ピペリジン、ピロリジン、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン等を挙げることができ、又、これら溶剤は1種若しくは2種以上の混合物を用いても良く、例えばエーテル/メタノール、トルエン/水、トルエン/エタノール/水のような2乃至3成分系でも使用することができる。反応の際の温度は−10〜90℃が好ましく、さらに好ましくは0〜60℃、特に好ましくは20〜50℃であり、反応時間は1〜10時間が好ましく、特に好ましくは2〜4時間である。なお該脱トリメチルシリル化反応は、例えば、「シンレット」、2004年、165−168頁に記載のメタノール/エーテル中、炭酸カリウムで処理する方法で実施することもできる。
かくして得られた、2−ブタジイニル−3−ハロアントラセン誘導体は、精製することができる。精製する方法は特に限定はなく、例えばカラムクロマトグラフィー、再結晶化、あるいは昇華による方法を挙げることができる。また、単離精製することなく次の反応の原料として使用することもできる。
次に2−ブタジイニル−3−ハロアントラセン誘導体と一般式(12)で示されるジハロアントラセン誘導体をパラジウム触媒及び/又はニッケル触媒存在下で反応させる。該反応に用いる触媒はパラジウム触媒及び/又はニッケル触媒であれば特に限定はなく、上記一般式(10)で示されるジハロアントラセン誘導体とトリメチルシリルブタジインの反応で用いたパラジウム触媒及びニッケル触媒と同様の触媒を挙げることができる。これらの触媒の使用量、溶媒、反応条件、並びに銅化合物、塩基、ホスフィン等の添加物も上記一般式(10)で示されるジハロアントラセン誘導体とトリメチルシリルブタジインの反応と同様の、使用量、物質、条件を適用することができる。なお、一般式(12)で示されるジハロアントラセン誘導体の使用量は2−ブタジイニル−3−ハロアントラセン誘導体1当量に対し、0.8〜2.0当量が好ましく、さらに好ましくは1.0〜1.6当量、特に好ましくは1.0〜1.3当量である。
なお、(トリメチルシリル)ブタジインは、市販されているビス(トリメチルシリル)ブタジインの一つのトリメチルシリル基を脱離することで得ることができる。脱トリメチルシリル化は、一般式(11)で示される2−トリメチルシリルブタジイニル−3−ハロアントラセン誘導体のトリメチルシリル基を脱離する方法と同様の方法で実施することができる。
かくして得られた、一般式(9)で示されるジハロジアントリルブタジイン誘導体は、さらに精製することができる。精製する方法は特に限定はなく、例えばカラムクロマトグラフィー、再結晶化、あるいは昇華による方法を挙げることができる。
((メチルカルコゲノ)(アントラカルコゲノフェニルエチニル)アントラセン誘導体の製造方法)
一般式(6)で示される(メチルカルコゲノ)(アントラカルコゲノフェニルエチニル)アントラセン誘導体は、一般式(7)で示される(メチルカルコゲノ)アントリルエチン誘導体と後述する一般式(17)で示されるハロアントラカルコゲノフェン誘導体をパラジウム触媒存在下で反応させることにより製造することができる。
該パラジウム触媒及び反応条件は、後述する一般式(10)及び/又は一般式(12)で示されるジハロアントラセン誘導体と一般式(15)及び/又は下記一般式(16)で示されるアセチレン誘導体を反応させる場合に使用されるパラジウム触媒及び反応条件を適用することができる。
(アントラカルコゲノフェン誘導体の製造方法)
一般式(4)及び一般式(5)で示されるアントラカルコゲノフェン誘導体の製造方法について述べる。
即ち、一般式(4)及び一般式(5)で示されるアントラカルコゲノフェン誘導体は、下記一般式(13)及び/又は下記一般式(14)で示されるハロアントリルエチン誘導体を有機金属試薬を用いてメタル化し、カルコゲンと反応させることで製造することができる。
Figure 0005617296
Figure 0005617296
(ここで、置換基X及びXは臭素原子、ヨウ素原子、又は塩素原子を示し、置換基X、X、及びR〜R並びに記号mは一般式(4)及び一般式(5)で示される置換基並びに記号と同意義を示す。)
一般式(13)で示されるハロアントリルエチン誘導体と一般式(14)で示されるハロアントリルエチン誘導体は同じ化合物であることもできる。
一般式(13)及び一般式(14)の置換基X及びXは好ましくは臭素原子、ヨウ素原子である。
具体的な一般式(13)、(14)で示されるハロアントリルエチン誘導体としては、例えば6,7−ジ(ペンタデシル)−2−(トリメチルシリル)エチニル−3−ブロモアントラセン、6,7−ジ(ドデシル)−2−(トリメチルシリル)エチニル−3−ブロモアントラセン、6,7−ジ(ドデシル)−2−(トリメチルシリル)エチニル−3−ヨードアントラセン、4,5−ジ(ペンタデシル)(トリメチルシリル)エチニル−2−ブロモベンゼン、4,5−ジ(ドデシル)(トリメチルシリル)エチニル−2−ブロモベンゼン、4,5−ジ(ドデシル)(トリメチルシリル)エチニル−2−ヨードベンゼン等が挙げられる。
一般式(13)及び一般式(14)で示されるハロアントリルエチン誘導体をメタル化する場合、用いる有機金属試薬は、例えばn−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム等である。
該有機金属試薬の使用量は一般式(13)及び/又は一般式(14)で示されるハロアントリルエチン誘導体1当量に対し、0.9〜3.0当量が好ましく、特に好ましくは1.5〜2.5当量である。
該メタル化は、THF、エーテル等の溶媒中で実施することが好ましい。反応温度は−90〜40℃が好ましく、反応時間は1〜240分が好ましい。なお、メタル化の進行は、反応液の一部を取り出し、水で反応を停止させた後、薄層クロマトグラフィーあるいはガスクロマトグラフィーで分析することで監視することができる。
該メタル化により生成したメタル塩は、次いで硫黄、セレン、テルル等のカルコゲンと反応させることにより、一般式(4)、一般式(5)で示されるアントラカルコゲノフェン誘導体が得られる。なお、カルコゲンとの反応はTHF、エーテル等の溶媒中で実施することが好ましい。
用いるカルコゲンの使用量は、一般式(13)及び/又は一般式(14)で示されるハロアントリルエチン誘導体1当量に対し、0.9〜3当量が好ましく、特に好ましくは1.2〜2.5当量である。反応温度は−80〜30℃が好ましく、反応時間は0.5〜30時間が好ましく、特に好ましくは1〜10時間である。
さらに、該カルコゲンとの反応終了時に水、メタノール、塩酸水溶液等のプロトン性化合物を添加し、反応を完結させる。
また、一般式(4)及び一般式(5)で示されるアントラカルコゲノフェン誘導体の置換基X及びXは、水素原子、ヨウ素原子、臭素原子、塩素原子、又はトリメチルシリル基を示し、X及びXが水素原子の場合は、一般式(4)及び一般式(5)中のX及びXがトリメチルシリル基であるものから誘導することもできる。即ち、該トリメチルシリル基はテトラブチルアンモニウムフルオリド等のフッ素アニオンを持つ化合物と反応させることで容易に水素原子へ置換することができる。さらに一般式(4)及び一般式(5)中のX及びXがヨウ素原子の場合は、一般式(4)及び一般式(5)中のX及びXがトリメチルシリル基であるものを1塩化ヨウ素と反応させることでヨウ素原子へ置換することもできる。
((メチルカルコゲノ)アントリルエチン誘導体の製造方法)
一般式(7)及び一般式(8)で示される(メチルカルコゲノ)アントリルエチン誘導体の製造方法について述べる。
一般式(7)及び一般式(8)で示される(メチルカルコゲノ)アントリルエチン誘導体は、一般式(13)及び/又は一般式(14)示されるハロアントリルエチン誘導体をアルキルリチウムを用いてメタル化し、ジメチルジカルコゲニドと反応させることで製造することができる。
用いるアルキルリチウムは、例えばn−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム等であり、該アルキルリチウムの使用量は、一般式(13)及び/又は一般式(14)示されるハロアントリルエチン誘導体1当量に対し、0.9〜3.0当量が好ましい。
該メタル化は、THF、エーテル等の溶媒中で実施することが好ましい。該メタル化の温度は−90〜30℃が好ましく、反応時間は1〜240分が好ましい。
該メタル化により生成したリチウム塩は、次いでジメチルジカルコゲニドと反応させることにより、一般式(7)及び一般式(8)で示される(メチルカルコゲノ)アントリルエチン誘導体が得られる。
用いるジメチルジカルコゲニドは、例えばジメチルジスルフィド、ジメチルジセレニド、ジメチルジテルリド等が挙げられる。
メタル化により生成したリチウム塩とジメチルジカルコゲニドと反応させる際には、THF、エーテル等の溶媒中で実施することが好ましい。用いるジメチルジカルコゲニドの使用量は、一般式(13)及び/又は一般式(14)示されるハロアントリルエチン誘導体1当量に対し、0.9〜3.0当量が好ましい。該反応温度は−90〜30℃が好ましく、反応時間は0.5〜10時間が好ましい。
また、一般式(4)及び一般式(5)で示されるアントラカルコゲノフェン誘導体の置換基X及びXは、水素原子、ヨウ素原子、臭素原子、塩素原子、又はトリメチルシリル基を示し、X及びXが水素原子の場合は、一般式(4)及び一般式(5)中のX及びXがトリメチルシリル基であるものから誘導することもできる。即ち、該トリメチルシリル基は例えば、メチルアルコール/THF中、炭酸カリウム等の無機塩基で処理すると容易に水素原子へ置換することができる。
(ハロアントリルエチン誘導体の製造方法)
一般式(13)及び一般式(14)で示されるハロアントリルエチン誘導体の製造方法について述べる。
一般式(13)及び一般式(14)で示されるハロアントリルエチン誘導体は、一般式(10)及び/又は一般式(12)で示されるジハロアントラセン誘導体から製造することができる。
一般式(10)で示されるジハロアントラセン誘導体と一般式(12)で示されるジハロアントラセン誘導体は同じ化合物であることもできる。
一般式(13)及び一般式(14)で示されるハロアントリルエチン誘導体は、一般式(10)及び/又は一般式(12)で示されるジハロアントラセン誘導体と下記一般式(15)及び/又は下記一般式(16)で示されるアセチレン誘導体をパラジウム触媒存在下で反応させることにより製造することができる。
H−≡−X (15)
H−≡−X (16)
(ここで、置換基X及びXは一般式(13)及び一般式(14)で示される置換基と同意義を示す。)
具体的な一般式(15)、(16)で示されるアセチレン誘導体としては、例えばトリメチルシリルアセチレン、ブロモアセチレン、ヨードアセチレン、クロロアセチレン、アセチレン等を挙げることができ、好ましくはトリメチルシリルアセチレンである。
一般式(10)及び/又は一般式(12)で示されるジハロアントラセン誘導体と一般式(15)及び/又は一般式(16)で示されるアセチレン誘導体の反応に用いるパラジウム触媒は、例えばテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ジクロロ(1,2−ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン)パラジウム、ジクロロ(1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン)パラジウム等が挙げられる。
一般式(10)及び/又は一般式(12)で示されるジハロアントラセン誘導体と一般式(15)及び/又は一般式(16)で示されるアセチレン誘導体のパラジウム触媒反応は溶媒中で実施することが好ましい。該溶媒は、例えばTHF、エーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、エチル−tert−ブチルエーテル、トルエン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ピペリジン、ピロリジン、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン等を挙げることができ、これら溶剤は1種若しくは2種以上の混合物を用いても良い。
該パラジウム触媒の使用量は一般式(10)及び/又は一般式(12)示されるジハロアントラセン誘導体1モルに対し、0.05〜10モル%が好ましく、特に好ましくは0.1〜5モル%である。
一般式(15)及び/又は一般式(16)で示されるアセチレン誘導体の使用量は一般式(10)及び/又は一般式(12)示されるジハロアントラセン誘導体1当量に対し、0.8〜1.8当量が好ましい。
なお、反応系中に銅化合物を存在させることが好ましい。該銅化合物しては特に限定はなく、例えば塩化銅(I)、臭化銅(I)、ヨウ化銅(I)、酢酸銅(I)等の1価銅;塩化銅(II)、臭化銅(II)、ヨウ化銅(II)、酢酸銅(II)、アセチルアセトナート銅(II)等の2価銅等を挙げることができる。その中でも好ましくは1価銅であり、特に好ましくはヨウ化銅(I)である。これらの銅化合物の使用量は該パラジウム触媒1当量に対し、0.5〜4.0当量が好ましく、特に好ましくは0.6〜2.0当量である。
反応の際の温度は10〜120℃が好ましく、特に好ましくは20〜80℃であり、反応時間は1〜96時間が好ましく、特に好ましくは2〜72時間である。
なお、反応系中に塩基を存在させることもできる。この場合の塩基の種類としては例えば炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、りん酸カリウム、りん酸ナトリウム、ナトリウムtert−ブトキサイド、カリウムtert−ブトキサイド、フッ化カリウム、フッ化ナトリウム、フッ化セシウム等の無機塩基;1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、エチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、ジイソプロピルアミン、ピリジン、テトラブチルアンモニウムフルオライド等の有機塩基を好適なものとして挙げることができる。これらの塩基の使用量は一般式(10)及び/又は一般式(12)で示されるジハロアントラセン誘導体1当量に対し、0.9〜10.0当量が好ましく、特に好ましくは1.0〜4.0当量である。
また、一般式(13)及び一般式(14)で示されるハロアントリルエチン誘導体の置換基X及びXは、水素原子、ヨウ素原子、臭素原子、塩素原子、又はトリメチルシリル基を示し、X及びXが水素原子の場合は、一般式(13)及び一般式(14)中のX及びXがトリメチルシリル基であるものから誘導することもできる。即ち、該トリメチルシリル基は例えば、メチルアルコール/THF中、炭酸カリウム等の無機塩基で処理すると容易に水素原子へ置換することができる。
かくして得られた、一般式(13)及び一般式(14)で示されるハロアントリルエチン誘導体は、精製することができる。精製する方法は特に限定はなく、例えばカラムクロマトグラフィー、再結晶化、あるいは昇華による方法を挙げることができる。
(ハロアントラカルコゲノフェン誘導体の製造方法)
一般式(6)で示される(メチルカルコゲノ)(アントラカルコゲノフェニルエチニル)アントラセン誘導体を製造する場合の原料の一つである下記一般式(17)で示されるハロアントラカルコゲノフェン誘導体の製造方法について述べる。
Figure 0005617296
(ここで、置換基Xは一般式(5)で示される置換基と同意義を示し、置換基X、T、R、R、R、及びR並びに記号mは一般式(6)で示される置換基並びに記号と同意義を示す。)
即ち、一般式(17)で示されるハロアントラカルコゲノフェン誘導体は、一般式(8)で示される(メチルカルコゲノ)アントリルエチン誘導体をハロゲン誘導体と反応させることで製造することができる。
一般式(8)で示される(メチルカルコゲノ)アントリルエチン誘導体をハロゲン誘導体と反応させる場合のハロゲン誘導体の種類及び反応条件は、一般式(2)で示されるビ(ハロアントラカルコゲノフェニル)誘導体を一般式(3)で示されるジ(メチルカルコゲノ)ジアントリルブタジイン誘導体から製造する場合に使用されるとハロゲン誘導体及び反応条件を適用することができる。
また、一般式(17)で示されるハロアントラカルコゲノフェン誘導体の置換基Xは、ヨウ素原子、臭素原子、塩素原子、水素原子を示し、Xが水素原子の場合は、一般式(17)中のXがヨウ素原子、臭素原子、塩素原子であるものから誘導することができる。即ち、これらのハロゲン原子はメタル化剤との反応、続いてプロトン性化合物と反応させることで水素原子へ変換することができる。この場合、置換基Xはトリメチルシリル基であることが好ましい。該メタル化剤との反応続いてプロトン性化合物と反応させる場合のメタル化剤の種類及び反応条件、並びにプロトン性化合物の種類及び反応条件は、一般式(1)で示されるビ(アントラカルコゲノフェニル)誘導体を、一般式(2)で示されるビ(ハロアントラカルコゲノフェニル)誘導体から製造する場合に使用されるとメタル化剤及び反応条件、並びにプロトン性化合物の種類及び反応条件を適用することができる。
(耐酸化性有機半導体材料)
次に、本発明の一般式(1)で示されるビ(アントラカルコゲノフェニル)誘導体を含む耐酸化性有機半導体材料について述べる。該耐酸化性有機半導体材料は溶剤への溶解性、耐酸化性に優れ、好適な塗布性を有する。該耐酸化性有機半導体材料は本発明の一般式(1)で示されるビ(アントラカルコゲノフェニル)誘導体を溶剤に溶解することにより製造することができる。
本発明の一般式(1)で示されるビ(アントラカルコゲノフェニル)誘導体の溶解に用いる溶剤は、特に限定はなく、例えばo−ジクロロベンゼン、クロロベンゼン、トリクロロベンゼン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、クロロホルム、ジクロロメタン等のハロゲン系溶剤;THF、ジオキサン等のエーテル系溶剤;トルエン、キシレン、メシチレン、ビフェニル、エチルベンゼン、オクチルベンゼン等の芳香族の炭化水素系溶剤;酢酸エチル、γ−ブチロラクトン等のエステル系溶剤;N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミド系溶剤;等が挙げられる。又、これら溶剤は1種若しくは2種以上の混合物を用いても良い。中でも、好ましくはクロロベンゼン、トルエン等である。
上記に挙げた溶剤と一般式(1)で示されるビ(アントラカルコゲノフェニル)誘導体を混合攪拌することにより、一般式(1)で示されるビ(アントラカルコゲノフェニル)誘導体を含む耐酸化性有機半導体材料となるものである。混合攪拌する際の温度は10〜150℃が好ましく、特に好ましくは20〜110℃である。混合攪拌する際の一般式(1)で示されるビ(アントラカルコゲノフェニル)誘導体の濃度は、溶剤及び温度により変えることができ、0.01〜10.0重量%であることが好ましい。溶液の調製は空気中でも実施することができるが、好ましくは窒素、アルゴン等の不活性雰囲気下で調製する。
又、一般式(1)で示されるビ(アントラカルコゲノフェニル)誘導体を含む耐酸化性有機半導体材料中にポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル等のポリマーを存在させることもできる。該ポリマーの使用量は一般式(1)で示されるビ(アントラカルコゲノフェニル)誘導体に対して、1〜1000重量%であることが好ましい。
一般式(1)で示されるビ(アントラカルコゲノフェニル)誘導体を含む耐酸化性有機半導体材料の耐酸化性の評価は、該溶液を所定時間、空気と接触させる方法で実施することができる。まず用いる溶剤は予め脱気しておき、溶存酸素を除去する。空気との接触時間は、温度により適宜選択することができ、0.5分〜3時間が好適である。酸化の進行は、溶液の色の変化並びに薄層クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー(GC)−マススペクトル(GCMS)、及び高速液体クロマトグラフィー分析による酸化物の検出により行うことができる。
本発明の一般式(1)で示されるビ(アントラカルコゲノフェニル)誘導体を含む耐酸化性有機半導体材料は、用いられる一般式(1)で示されるビ(アントラカルコゲノフェニル)誘導体自体が適度の凝集性を有することから比較的に低温で溶剤へ溶解でき、且つ耐酸化性があることから、塗布法による有機薄膜の製造に好適に適用できる。即ち、雰囲気から厳密に空気を除く必要がないことから塗布工程を簡略化することができる。塗布は空気中でも実施できるが、好ましくは溶剤の乾燥を考慮して窒素気流下で行う。なお、好適な塗布性を得るために、本発明の一般式(1)で示されるビ(アントラカルコゲノフェニル)誘導体を含む耐酸化性有機半導体材料の粘度は、0.005〜20ポアズの範囲にあることが好ましい。
(有機薄膜)
次に本発明の一般式(1)で示されるビ(アントラカルコゲノフェニル)誘導体を含む耐酸化性有機半導体材料を用いた有機薄膜について述べる。係る有機薄膜は上記の耐酸化性有機半導体材料(溶液)の再結晶化若しくは基板への塗布により製造することができ、特に基板への塗布により製造することが好ましい。そして、基板への塗布により製造することにより、基板上に形成される有機薄膜となるものである。
再結晶化による薄膜は、前記耐酸化性有機半導体材料を冷却することで形成することができる。有機薄膜を冷却する時の雰囲気は、窒素、アルゴン等の不活性ガス又は空気下で行うことが好ましく、特に窒素、アルゴン等の不活性ガス下で行うことが好ましい。該溶液中の一般式(1)で示されるビ(アントラカルコゲノフェニル)誘導体の濃度は、特に限定はなく、例えば0.01〜10.0重量%である。冷却は60〜150℃の温度から−20〜60℃が好ましく、特に好ましくは−10〜40℃の間に冷却することにより好適に実施することができる。またこのようにして製造した結晶状の有機薄膜を適当な基板の上に張り合わせる、即ちラミネーション等により基板上に製造することもできる。再結晶化により得られる有機薄膜の膜厚は特に限定はなく、好ましくは50nm〜2mm、特に好ましくは100μm〜1mmである。
基板への塗布による有機薄膜の製造は、前記耐酸化性有機半導体材料を基板上に塗布した後、加熱、気流及び自然乾燥等の方法により溶剤を気化させることで実施することができる。該溶液中の一般式(1)で示されるビ(アントラカルコゲノフェニル)誘導体の濃度は、特に限定はなく、例えば0.01〜10.0重量%であることが好ましい。塗布温度は特に限定はなく、例えば20〜150℃の間で好適に実施することができる。塗布の具体的方法は特に限定はなく、公知の方法、例えばスピンコート、キャストコート及びディップコート等を用いることができる。さらにスクリーン印刷、インクジェット印刷、グラビア印刷等の印刷技術を用いても作製することが可能である。使用する基板の材料は特に限定はなく、結晶性、非結晶性の種々の材料を用いることができる。基板の具体例としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、環状ポリオレフィン、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリビニルフェノール、ポリビニルアルコール、ポリ(ジイソプロピルフマル酸)、ポリ(ジエチルフマル酸)、ポリ(ジイソプロピルマレイン酸)等のプラスチック基板;ガラス、石英、酸化アルミニウム、シリコン、酸化シリコン、二酸化タンタル、五酸化タンタル、インジウム錫酸化物等の無機材料基板;金、銅、クロム、チタン、アルミニウム等の金属基板を好適に用いることができる。またこれらの基板の表面は、例えばオクタデシルトリクロロシラン、オクチルトリクロロシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、β−フェネチルトリクロロシラン等のシラン類;ヘキサメチルジシラザン等のシリルアミン類で修飾処理したものであっても使用することができる。さらに、基板は絶縁性あるいは誘電性を有する材料であっても良い。塗布した後の溶剤の乾燥は、常圧若しくは減圧で除去することができる、又、加熱、窒素気流により乾燥してもよい。さらに、溶剤の気化速度を調節することで本発明の一般式(1)で示されるビ(アントラカルコゲノフェニル)誘導体の結晶成長を制御することができる。基板への塗布により得られる有機薄膜の膜厚は特に限定はなく、好ましくは1nm〜100μm、特に好ましくは10nm〜20μmである。
また、該有機薄膜は塗布乾燥後、40〜180℃にアニーリングすることも可能である。
本発明の一般式(1)で示されるビ(アントラカルコゲノフェニル)誘導体は平面剛直性の高い分子構造を有することから、優れた半導体特性を与えることが期待できる。又、該ビ(アントラカルコゲノフェニル)誘導体はアルキル基等の置換基を特定の位置に持つことができるため、トルエンあるいはクロロベンゼン等の溶媒に溶解し、さらに溶液状態にあっても容易に空気酸化されることはない。従って、塗布法により半導体薄膜を容易に作成できる。したがって、本発明の一般式(1)で示されるビ(アントラカルコゲノフェニル)誘導体は、電子ペーパー、有機ELディスプレイ、液晶ディスプレイ、ICタグ用等のトランジスタの有機半導体活性相用途;有機ELディスプレイ材料;有機半導体レーザー材料;有機薄膜太陽電池材料;フォトニック結晶材料等の電子材料に利用することができる。
分子長軸が長いことから高性能且つ優れた耐酸化性を有し、塗布法による有機半導体活性相形成が可能な、ビ(アントラカルコゲノフェニル)誘導体及びその用途を提供する。さらに、該ビ(アントラカルコゲノフェニル)誘導体の前駆化合物であるビ(ハロアントラカルコゲノフェニル)誘導体及びジ(メチルカルコゲノ)ジアントリルブタジイン誘導体及びそれらの製造方法をも提供する。
実施例1で合成したビス{6,7−ジ(ペンタデシル)−3−メチルチオアントリル−2−}ブタジインのH NMRスペクトル 実施例2で合成したビ{3−ヨード−7,8−ジ(ペンタデシル)アントラチオフェニル−2−}のH NMRスペクトル 実施例3で合成したビ{7,8−ジ(ペンタデシル)アントラチオフェニル−2−}のH NMRスペクトル 実施例9で合成した{7,8−ジ(ドデシル)アントラチオフェニル−2−}{5’,6’−ジ(ドデシル)ベンゾチオフェニル−2’−}のH NMRスペクトル
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
生成物の同定にはH−NMRスペクトル及びマススペクトルを用いた。なお、H−NMRスペクトルの測定は日本電子製JEOL GSX−270WB(270MHz)を用いた。マススペクトル(MS)は日本電子製JEOL JMS−700を用いて、試料を直接導入し、電子衝突(EI)法(70エレクトロンボルト)で測定した。
反応の進行の確認等は薄層クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー(GC)、ガスクロマトグラフィー−マススペクトル(GCMS)、及び高速液体クロマトグラフィー分析を用いた。
ガスクロマトグラフィー分析
装置 島津GC14B
カラム J&Wサイエンティフィック社製、DB−1,30m
ガスクロマトグラフィー−マススペクトル分析
装置 パーキンエルマーオートシステムXL(MS部;ターボマスゴールド)
カラム J&Wサイエンティフィック社製、DB−1,30m
高速液体クロマトグラフィー分析
装置 東ソー製
カラム TSKゲル ODS−100V、4.6mm×250mm
溶離液 ジクロロメタン:アセトニトリル=6:4
流速 1ml/分
反応用の試薬及び溶媒は、断りのない限り市販品を用いた。なお、グリニャール試薬あるいはブチルリチウム等の有機金属試薬を用いた場合は、市販の脱水溶媒をそのまま用いた。
合成例1 (4−ブロモ−5−ヨード無水フタル酸の合成)
4−ブロモ−5−ヨード無水フタル酸は「ジャーナル オブ オーガニック ケミストリー」(米国)、1951年、16巻、1577−1581頁を参考に、以下の様に合成した。
4−ブロモフタルイミド(東京化成工業製)9.95g(44.0mmol)を窒素ガスで置換した50mlの二口ナスフラスコに入れた。次いでヨウ素5.87g(23.1mmol)及び10%発煙硫酸(ヨツハタ化学工業製)12mlを加え、90℃で23時間反応を行った。反応混合物を室温に冷やして氷に注ぎ入れた後、ガラスフィルターでろ過し、黄色固体12.8gを得た。得られた固体を濃硫酸35mlに溶解させ、130℃で5時間反応を行った。反応混合物を氷冷後、氷水を加えて析出した固体をろ過し、フタル酸誘導体の固体13.8gを得た。次に得られた固体を、水酸化ナトリウム3.6gを水18mlに溶かした水溶液に室温で溶かした。この塩基性水溶液に酢酸を加えpHを3〜4に調整し、析出するフタル酸誘導体のモノナトリウム塩の白色沈殿をろ過した。得られた白色固体を水に懸濁させ、濃塩酸でpHを1以下にし、再びフタル酸誘導体として白色固体6.45gを得た。この固体をトルエン48mlに溶かし、無水酢酸8.7g(85.7mmol)を加え、105℃で4時間反応を行った。反応液を減圧濃縮して白色固体5.87gを得た。この固体をトルエンで再結晶精製し、4−ブロモ−5−ヨード無水フタル酸5.13g(14.5mmol)を得た(収率33%)。
H NMR(CDCl,22℃):δ=8.51(s,1H),8.23(s,1H)。
MS m/z: 353(M,100%),309(M−CO,18%),282(M−C,10%),155(M−C−I,16%),74(M−C−I−Br,32%)。
合成例2 (1,2−ジ(ペンタデシル)ベンゼンの合成)
1,2−ジ(ペンタデシル)ベンゼンは「日本化学会誌」1989年、983−987頁の方法を参考に、以下の様に合成した。
窒素雰囲気下、滴下ロート付き300ml三口フラスコ容器にマグネシウム1.85g(76.1mmol)、ヨウ素30mg、及びエーテル40mlを添加した。ここへ1−ブロモペンタデカン21.8g(74.8mmol)とエーテル15mlからなる溶液を少し加え、マグネシウムを活性化させた。その後穏やかに還流する程度に1−ブロモペンタデカンのエーテル溶液を滴下した。滴下終了後、さらに2時間撹拌することでペンタデシルマグネシウムブロミドを調製した。この得られた溶液に1,2−ジクロロベンゼン4.45g(30.3mmol)、ジクロロ[1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]ニッケル(東京化成工業製)648mg(1.20mmol)添加し、加熱還流下で17時間反応を行った。反応混合物を0℃に冷やして希塩酸を加え、エーテルで抽出した。エーテル溶液を水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水の順に洗浄し、塩化カルシウムで乾燥させた。得られた液体をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し(溶離液:ヘキサン)、1,2−ジ(ペンタデシル)ベンゼン12.1g(13.4mmol)を得た(収率80%)。
合成例3 (6,7−ジ(ペンタデシル)−2−ブロモ−3−ヨードアントラキノンの合成)
合成例1で得られた4−ブロモ−5−ヨード無水フタル酸1.06g(3.00mmol)、合成例2で得られた1,2−ジ(ペンタデシル)ベンゼン1.55g(3.11mmol)、及びジクロロエタン3.0mlの混合液に塩化アルミニウム818mg(6.13mmol)を加え、加熱還流下で1.5時間反応を行った。水を加えてクエンチし、さらに水洗浄を行い、加熱真空乾燥後、白色固体を2.7g得た。得られた固体に濃硫酸19mlを添加し、80℃で1時間反応した。反応混合物を氷に注ぎ入れ、析出した粘性固体をろ過して水で洗浄した。乾燥後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン:酢酸エチル=10:1)及びヘプタンからの再結晶で精製し、6,7−ジ(ペンタデシル)−2−ブロモ−3−ヨードアントラキノンの固体525mg(0.630mmol)を得た(収率21%)。
H NMR(CDCl,22℃):δ=8.73(s,1H),8.45(s,1H),8.05(s,2H),2.75(t,J=7.8Hz,4H),1.62(m,4H),1.26(m,48H),0.88(t,J=6.3Hz,6H)。
合成例4 (6,7−ジ(ペンタデシル)−2−ブロモ−3−ヨードアントラセンの合成)(一般式(10)、一般式(12)示されるジハロアントラセン誘導体の合成)
窒素雰囲気下、100mlシュレンク反応容器に合成例3で合成した6,7−ジ(ペンタデシル)−2−ブロモ−3−ヨードアントラキノン518mg(0.622mmol)を入れた。次いでTHF7mlを加え、水素化ジイソブチルアルミニウム(関東化学製、0.99mol/l、トルエン溶液)1.7ml(1.7mmol)を加え、室温で1.5時間反応を行った。次いで反応混合物に6M塩酸水溶液10mlを加え、65℃で3時間反応を行った。反応混合物を室温まで冷やし、エーテルで抽出した。エーテル溶液を飽和食塩水で洗浄して無水硫酸ナトリウムで乾燥、減圧濃縮した。得られた残渣の上記の水素化ジイソブチルアルミニウム還元/6M塩酸水溶液処理をさらに2回繰り返した。得られた粗生成物を、メタノール/クロロホルムから再沈殿精製することで、6,7−ジ(ペンタデシル)−2−ブロモ−3−ヨードアントラセンの淡黄色固体370mg(0.460mmol)を得た(収率74%)。
H NMR(CDCl,22℃):δ=8.55(s,1H),8.27(s,1H),8.16(s,1H),8.15(s,1H),7.72(s,2H),2.78(m,4H),1.71(m,4H),1.27(m,48H),0.88(t,J=6.3Hz,6H)。
合成例5 (6,7−ジ(ペンタデシル)−2−(トリメチルシリル)エチニル−3−ブロモアントラセンの合成)(一般式(13)、一般式(14)示されるハロアントリルエチン誘導体の合成)
窒素雰囲気下、100mlシュレンク反応容器に合成例4で合成した6,7−ジ(ペンタデシル)−2−ブロモ−3−ヨードアントラセン504mg(0.627mmol)、トルエン10ml、及びトリエチルアミン2mlを添加した。さらにジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(和光純薬工業製)13.2mg(0.0019mmol)、ヨウ化銅(I)(和光純薬工業製)7.2mg(0.039mmol)、及びトリメチルシリルアセチレン(和光純薬工業製)0.095ml(66mg、0.67mmol)(一般式(15)、(16)の化合物)を添加した。この混合物を室温で5時間反応を実施した。反応混合物をシリカゲル濾過(溶媒;トルエン)し、得られた濾液を減圧濃縮し、さらに真空乾燥した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し(溶媒;ヘキサン)、6,7−ジ(ペンタデシル)−2−(トリメチルシリル)エチニル−3−ブロモアントラセン440mgを得た(収率91%)。
H NMR(CDCl,23℃):δ=8.21(s,1H),8.19(s,1H),8.17(s,1H),8.15(s,1H),7.72(s,2H),2.78(t,J=7.7Hz,4H),1.71(m,4H),1.26(m,48H),0.88(t,J=6.5Hz,6H),0.32(s,9H)。
合成例6 (6,7−ジ(ペンタデシル)−2−エチニル−3−メチルチオアントラセンの合成)(一般式(7)、一般式(8)で示される(メチルカルコゲノ)アントリルエチン誘導体の合成)
合成例6−1) (6,7−ジ(ペンタデシル)−2−トリメチルシリルエチニル−3−メチルチオアントラセンの合成)
窒素雰囲気下、100mlシュレンク反応容器に合成例5で合成した6,7−ジ(ペンタデシル)−2−(トリメチルシリル)エチニル−3−ブロモアントラセン211mg(0.272mmol)及びエーテル10mlを添加した。得られた混合物を0℃に冷却し、n−ブチルリチウム(関東化学製、1.61mol/l、ヘキサン溶液)0.34ml(0.55mmol)を滴下した(メタル化)。0℃で5分間攪拌後、ジメチルジカルコゲニドとしてジメチルジスルフィド(シグマ−アルドリッチ製)55mg(0.58mmol)を滴下した。0℃で30分間攪拌後、水を加えて反応をクエンチした。エーテルを添加し分相後、有機相を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し(溶媒;ヘキサン:クロロホルム=9:1)、6,7−ジ(ペンタデシル)−2−トリメチルシリルエチニル−3−メチルチオアントラセンの黄色固体161mgを得た(収率80%)。
H NMR(CDCl,23℃):δ=8.16(s,1H),8.12(s,1H),8.10(s,1H),7.70(s,1H),7.68(s,1H),7.52(s,1H),2.77(t,J=7.0Hz,4H),2.60(s,3H),1.70(m,4H),1.26(m,48H),0.88(t,J=6.6Hz,3H),0.32(s,9H)。
合成例6−2) (6,7−ジ(ペンタデシル)−2−エチニル−3−メチルチオアントラセンの合成)
窒素雰囲気下、100mlシュレンク反応容器に合成例6−1)で合成した6,7−ジ(ペンタデシル)−2−(トリメチルシリル)エチニル−3−メチルチオアントラセン160mg(0.216mmol)、炭酸カリウム61.5mg(0.445mmol)、THF5ml、及びメチルアルコール2.5mlを添加した(脱トリメチルシリル化)。得られた混合物を室温で45分間撹拌した。水を加えて反応をクエンチし、トルエンを添加し、分相した。有機相を水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮し、6,7−ジ(ペンタデシル)−2−エチニル−3−メチルチオアントラセンの黄色固体142mgを得た(収率98%)。
H NMR(CDCl,23℃):δ=8.19(s,1H),8.14(s,2H),7.71(s,1H),7.70(s,1H),7.57(s,1H),3.46(s,1H),2.78(t,J=6.9Hz,4H),2.62(s,3H),1.71(m,4H),1.26(m,48H),0.88(t,J=6.8Hz,6H)。
実施例1 (ビス{6,7−ジ(ペンタデシル)−3−メチルチオアントリル−2−}ブタジインの合成)(一般式(3)で示されるジ(メチルカルコゲノ)ジアントリルブタジイン誘導体の合成)
100mlシュレンク反応容器に塩化銅(I)(和光純薬工業製)5g及び1M塩酸水溶液10mlを添加し、10分間撹拌した。静置後、上澄みを除去した。さらに1M塩酸水溶液10mlによる洗浄を4回繰り返した後、得られた残渣を真空乾燥した。このようにして得た塩化銅(I)の内、52.2mg(0.527mmol)を100mlシュレンク反応容器に加え、さらにアセトン3ml及びN,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン0.040mlを添加し、撹拌することで塩化銅(I)の溶液を調製した。
100mlシュレンク反応容器に合成例6で合成した6,7−ジ(ペンタデシル)−2−エチニル−3−メチルチオアントラセン142mg(0.212mmol)、o−ジクロロベンゼン15ml、及び上記で調製した塩化銅(I)の溶液の内1.3mlを添加した。得られた混合物を酸素バブリングをしながら室温で25時間反応を行った(カップリング反応)。1M塩酸水溶液を加えて反応をクエンチし、分相し、有機相を減圧濃縮後、メチルアルコールを添加すると、固体が析出した。この固体を濾別し、クロロホルムで洗浄し、真空乾燥後、ビス{6,7−ジ(ペンタデシル)−3−メチルチオアントリル−2−}ブタジインの黄色固体100mgを得た(収率71%)。
H NMR(CDCl,23℃):δ=8.23(s,2H),8.21(s,2H),8.15(s,2H),7.73(s,2H),7.70(s,2H),7.59(s,2H),2.79(t,J=7.8Hz,8H),2.65(s,6H),1.72(m,8H),1.26(m,96H),0.88(t,J=6.6Hz,12H)。
H NMRスペクトルを図1に示した。
NMR測定より、ビス{6,7−ジ(ペンタデシル)−3−メチルチオアントリル−2−}ブタジインが得られたことを確認した。なお、その構造式を下記に示す。
Figure 0005617296
実施例2 (ビ{3−ヨード−7,8−ジ(ペンタデシル)アントラチオフェニル−2−}の合成)(一般式(2)で示されるビ(ハロアントラカルコゲノフェニル)誘導体の合成)
窒素雰囲気下、100mlシュレンク反応容器に実施例1で合成したビス{6,7−ジ(ペンタデシル)−3−メチルチオアントリル−2−}ブタジイン31.0mg(23.2μmol)、クロロホルム10ml、及びヨウ素12.4mg(48.9μmol)を添加した。得られた混合物を加熱還流下で2.5時間反応を行った。得られた反応混合物を室温に冷却後、亜硫酸水素ナトリウム水溶液を添加し、分相し、有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。さらに減圧濃縮し、ビ{3−ヨード−7,8−ジ(ペンタデシル)アントラチオフェニル−2−}の黄色固体37.0mgを得た(収率100%)。
H NMR(CDCl,23℃):δ=8.59(s,2H),8.51(s,2H),8.40(s,4H),7.79(s,2H),7.77(s,2H),2.81(t,J=7.7Hz,8H),1.72(m,8H),1.25(m,96H),0.88(t,J=6.3Hz,12H)。
H NMRスペクトルを図2に示した。
NMR測定より、ビ{3−ヨード−7,8−ジ(ペンタデシル)アントラチオフェニル−2−}が得られたことを確認した。なお、その構造式を下記に示す。
Figure 0005617296
実施例3 (ビ{7,8−ジ(ペンタデシル)アントラチオフェニル−2−}の合成)(一般式(1)で示されるビ(アントラカルコゲノフェニル)誘導体の合成)
窒素雰囲気下、100mlシュレンク反応容器に実施例2で合成したビ{3−ヨード−7,8−ジ(ペンタデシル)アントラチオフェニル−2−}37.0mg(23.7μmol)及びエーテル5mlを添加した。−20℃に冷却後、n−ブチルリチウム(関東化学製、1.61M)のヘキサン溶液0.060ml(97μmol)を滴下した。−20℃で10分間反応後、プロトン性化合物として水を加えてクエンチした。得られた混合物を分相し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。得られた残渣をクロロホルムから再結晶精製し、ビ{7,8−ジ(ペンタデシル)アントラチオフェニル−2−}の赤色固体14.0mgを得た(収率45%)。
H NMR(重トルエン,90℃):δ=8.32(s,2H),8.19(s,2H),8.14(s,4H),7.76(s,2H),7.75(s,2H),7.46(s,2H),2.86(t,J=7.7Hz,8H),1.82(m,8H),1.30(m,96H),0.89(t,J=6.8Hz,12H)。
H NMRスペクトルを図3に示した。
NMR測定より、ビ{7,8−ジ(ペンタデシル)アントラチオフェニル−2−}が得られたことを確認した。なお、その構造式を下記に示す。
Figure 0005617296
合成例7 (7,8−ジ(ペンタデシル)アントラチオフェンの合成)(一般式(4)、一般式(5)で示されるアントラカルコゲノフェン誘導体の合成)
合成例7−1) (7,8−ジ(ペンタデシル)−2−トリメチルシリルアントラチオフェンの合成)
窒素雰囲気下、100mlシュレンク反応容器に合成例5で合成した6,7−ジ(ペンタデシル)−2−(トリメチルシリル)エチニル−3−ブロモアントラセン100mg(0.129mmol)及びエーテル5mlを添加した。得られた混合物を0℃に冷却し、n−ブチルリチウム(関東化学製、1.66mol/l、ヘキサン溶液)0.158ml(0.262mmol)を滴下した。0℃で5分間攪拌後、−50℃に冷却し、カルコゲンとして硫黄(シグマ−アルドリッチ製)10.3mg(0.323mmol)を投入した。1時間要して室温まで昇温した後、エチルアルコール1mlを加え、室温で一晩撹拌した。ここへ1M塩酸水溶液を加えて反応をクエンチし、エーテルを添加し、分相後、有機相を水で洗浄した。無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮し、7,8−ジ(ペンタデシル)−2−トリメチルシリルアントラチオフェンの黄色固体35.8mgを得た(収率38%)。
H NMR(CDCl,23℃):δ=8.47(s,2H),8.44(s,1H),8.38(s,1H),7.75(s,2H),7.51(s,1H),2.79(t,J=7.8Hz,4H),1.72(m,4H),1.26(m,48H),0.88(t,J=6.3Hz,6H),0.42(s,9H)。
合成例7−2) (7,8−ジ(ペンタデシル)アントラチオフェンの合成)
窒素雰囲気下、100mlシュレンク反応容器に合成例7−1)で合成した7,8−ジ(ペンタデシル)−2−トリメチルシリルアントラチオフェン35.8mg(0.049mmol)及びTHF5mlを添加した(脱トリメチルシリル化)。得られた混合物にテトラブチルアンモニウムフルオリド(シグマ−アルドリッチ製、1.0mol/l、THF溶液)0.1ml(0.1mmol)を滴下した。室温で1時間攪拌後、水を添加し、分相した。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧濃縮し、7,8−ジ(ペンタデシル)アントラチオフェンの黄色固体26.3mgを得た(収率82%)。
H NMR(CDCl,23℃):δ=8.46(s,1H),8.38(s,1H),8.23(s,1H),8.21(s,1H),7.76(s,1H),7.74(s,1H),7.52(d,J=5.4Hz,1H),7.47(d,J=5.4Hz,1H),2.81(t,J=7.6Hz,4H),1.73(m,4H),1.26(m,48H),0.88(t,J=6.6Hz,6H)。
NMR測定より、7,8−ジ(ペンタデシル)アントラチオフェンが得られたことを確認した。なお、その構造式を下記に示す。
Figure 0005617296
実施例4 (ビ{7,8−ジ(ペンタデシル)アントラチオフェニル−2−}の合成)(一般式(1)で示されるビ(アントラカルコゲノフェニル)誘導体の合成)
窒素雰囲気下、100mlシュレンク反応容器に合成例7で合成した7,8−ジ(ペンタデシル)アントラチオフェン26.3mg(0.040mmol)及びTHF5mlを添加した。−70℃に冷却後、n−ブチルリチウム(関東化学製、1.66M)のヘキサン溶液0.05ml(0.08mmol)を滴下した。−70℃で40分間反応後、−70℃下で塩化銅(II)10.8mg(0.080mmol)を投入し、一晩かけて室温まで昇温させた。得られた反応混合物に1M塩酸水溶液を添加してクエンチし、エーテルを添加し、分相した。有機相を水洗後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し(溶媒;ヘキサン:トルエン=9:1)、赤橙色固体9.7mgを得た。
合成例8 (1,2−ジドデシルベンゼンの合成)
1,2−ジクロロベンゼン2.22g(15.1mmol)、ジクロロ[1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン]ニッケル(東京化成工業製)131mg(0.24mmol)、エーテル12mlの混合液にドデシルマグネシウムブロミド(シグマ−アルドリッチ製、1.0mol/lエーテル溶液)45ml(45.0mmol)を窒素雰囲気中0℃で滴下した。35℃で20時間反応を行い、反応混合物を0℃に冷やして希塩酸を加え、エーテルで抽出した。エーテル溶液を水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、水の順に洗浄し、塩化カルシウムで乾燥させた。得られた液体をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン)及び加熱減圧乾燥で精製し、目的の1,2−ジドデシルベンゼンを5.56g(13.4mmol)を得た(収率88%)。
H NMR(CDCl,22℃):δ=7.11(m,4H),2.59(t,J=7.8Hz,4H),1.55(m,4H),1.26(m,36H),0.88(t,J=6.8Hz,6H)。
MS m/z: 414(M,100%),260(M−C1123,71%),106(M−C2246,98%)。
合成例9 (1,2−ジドデシル−4−ブロモ−5−ヨードベンゼンの合成)(一般式(12)で示されるジハロアントラセン誘導体(m=0)の合成)
窒素雰囲気下、100mlシュレンク反応容器に合成例8で合成した1,2−ジドデシルベンゼン2.95g(7.11mmol)、過ヨウ素酸・2水和物402mg(1.76mmol)、ヨウ素960mg(3.78mmol)、酢酸15ml、水0.8ml、及び硫酸0.11mlを添加した。65℃で17時間撹拌後、室温まで冷却後、亜硫酸水素ナトリウム水溶液を添加し、反応を停止させた。ジクロロメタンで抽出し、有機相を水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。有機相を減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し(溶媒;ヘキサン)、3.73gの液体を得た。この液体にジクロロメタン20mlを添加し、0℃に冷却した。鉄粉(シグマ−アルドリッチ製)67mg及びヨウ素10mg(0.04mmol)を添加後、臭素0.39ml(7.61mmol)を滴下した。0℃で6時間撹拌後、亜硫酸水素ナトリウム水溶液を添加し、反応を停止させた。有機相を水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルを用いて濾過し、濾液を濃縮後、−30℃下で2回ヘプタン再結晶精製を行い、1,2−ジドデシル−4−ブロモ−5−ヨードベンゼンを得た(3.14g、収率71%)。
H NMR(CDCl,22℃):δ=7.59(s,1H),7.36(s,1H),2.58−2.40(m,4H),1.57−1.45(m,4H),1.42−1.23(m,36H),0.90(t,J=6.6Hz,6H)。
合成例10 (1,2−ジドデシル−5−(トリメチルシリル)エチニル−4−ブロモベンゼンの合成)(一般式(14)で示されるハロアントリルエチン誘導体(m=0)の合成)
窒素雰囲気下、100mlシュレンク反応容器に合成例9で合成した1,2−ジドデシル−4−ブロモ−5−ヨードベンゼン2.78g(4.49mmol)、トルエン20ml、及びトリエチルアミン15mlを添加した。さらにジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(和光純薬工業製)33.3mg(0.047mmol)、ヨウ化銅(I)(和光純薬工業製)6.8mg(0.036mmol)、及びトリメチルシリルアセチレン(和光純薬工業製)0.67ml(0.46g、4.7mmol)(一般式(15)、(16)の化合物)を添加した。この混合物を50℃で7時間反応を実施した。得られた反応物にトルエン及び飽和食塩水を添加し、分相後、有機相を減圧濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し(溶媒;ヘキサン)、1,2−ジドデシル−5−(トリメチルシリル)エチニル−4−ブロモベンゼンの黄色油状物2.29gを得た(収率86%)。
H NMR(CDCl,22℃):δ=7.31(s,1H),7.26(s,1H),2.58−2.44(m,4H),1.58−1.44(m,4H),1.26(m,36H),0.88(t,J=6.9Hz,6H),0.28(s,9H)。
MS m/z:590(M,39%),575(M−CH,100%)。
NMR及びMS測定より、1,2−ジドデシル−5−(トリメチルシリル)エチニル−4−ブロモベンゼンが得られたことを確認した。
合成例11 (1,2−ジドデシル−5−エチニル−4−メチルチオベンゼンの合成)(一般式(8)で示される(メチルカルコゲノ)アントリルエチン誘導体(m=0)の合成)
合成例11−1) (1,2−ジドデシル−5−(トリメチルシリル)エチニル−4−メチルチオベンゼンの合成)
窒素雰囲気下、100mlシュレンク反応容器にTHF30mlを加え、−75℃に冷却し、tert−ブチルリチウム(関東化学製、1.46mol/l、ペンタン溶液)4.9ml(7.2mmol)を添加した。合成例10で合成した1,2−ジドデシル−5−(トリメチルシリル)エチニル−4−ブロモベンゼン1.66g(2.81mmol)及びTHF12mlからなる溶液をキャヌラーを用いて−75℃下で投入した。−75℃で40分間撹拌した後、−75℃でジメチルジカルコゲニドとしてジメチルジスルフィド(シグマ−アルドリッチ製)669mg(7.10mmol)を添加した。−75℃で1時間撹拌後、3M塩酸水溶液を添加し、反応を停止させた。トルエン及び水を加え分相し、トルエンで抽出した。有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し(溶媒;ヘキサン及びヘキサン:ジクロロメタン=10:1)、1,2−ジドデシル−5−(トリメチルシリル)エチニル−4−メチルチオベンゼンの薄黄色固油状物1.45gを得た(収率92%)。
H NMR(CDCl,22℃):δ=7.21(s,1H),6.92(s,1H),2.62−2.44(m,4H),2.47(s,3H),1.58−1.44(m,4H),1.26(m,36H),0.88(t,J=6.9Hz,6H),0.27(s,9H)。
NMR測定より、1,2−ジドデシル−5−(トリメチルシリル)エチニル−4−メチルチオベンゼンが得られたことを確認した。
合成例11−2) (1,2−ジドデシル−5−エチニル−4−メチルチオベンゼンの合成)
窒素雰囲気下、100mlシュレンク反応容器に合成例11−1)で合成した1,2−ジドデシル−5−(トリメチルシリル)エチニル−4−メチルチオベンゼン1.10(1.97mmol)を加え、合成例6−2)と同様な操作を繰り返して1,2−ジドデシル−5−エチニル−4−メチルチオベンゼンの合成した(907mg、収率95%)。
実施例5 ({6,7−ジ(ペンタデシル)−3−メチルチオアントリル−2−}{4’,5’−ジドデシル−2’−メチルチオフェニル}ブタジインの合成)(一般式(3)で示されるジ(メチルカルコゲノ)ジアントリルブタジイン誘導体(m=0)の合成)
100mlシュレンク反応容器に合成例6で合成した6,7−ジ(ペンタデシル)−2−エチニル−3−メチルチオアントラセン103mg(0.154mmol)及び合成例11で合成した1,2−ジドデシル−5−エチニル−4−メチルチオベンゼン76.6mg(0.158mmol)を加え、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製(溶媒;ヘキサン及びヘキサン:ジクロロメタン=10:1)した以外は実施例1と同様な操作を繰り返して{6,7−ジ(ペンタデシル)−3−メチルチオアントリル−2−}{4’,5’−ジドデシル−2’−メチルチオフェニル}ブタジインを合成した(40.8mg、収率23%)。
{6,7−ジ(ペンタデシル)−3−メチルチオアントリル−2−}{4’,5’−ジドデシル−2’−メチルチオフェニル}ブタジインの構造式を下記に示す。
Figure 0005617296
実施例6 ({3−ヨード−7,8−ジ(ペンタデシル)アントラチオフェニル−2−}{3’−ヨード−5’,6’−ジ(ドデシル)ベンゾチオフェニル−2’−}の合成)(一般式(2)で示されるビ(ハロアントラカルコゲノフェニル)誘導体(m=0)の合成)
窒素雰囲気下、100mlシュレンク反応容器に実施例5で合成した{6,7−ジ(ペンタデシル)−3−メチルチオアントリル−2−}{4’,5’−ジドデシル−2’−メチルチオフェニル}ブタジイン40.8mg(0.035mmol)を用いた以外は実施例2と同様な操作を繰り返して{3−ヨード−7,8−ジ(ペンタデシル)アントラチオフェニル−2−}{3’−ヨード−5’,6’−ジ(ドデシル)ベンゾチオフェニル−2’−}を合成した(46.2mg、収率96%)。
{3−ヨード−7,8−ジ(ペンタデシル)アントラチオフェニル−2−}{3’−ヨード−5’,6’−ジ(ドデシル)ベンゾチオフェニル−2’−}の構造式を下記に示す。
Figure 0005617296
実施例7 ({7,8−ジ(ペンタデシル)アントラチオフェニル−2−}{5’,6’−ジ(ドデシル)ベンゾチオフェニル−2’−}の合成)(一般式(1)で示されるビ(アントラカルコゲノフェニル)誘導体(m=0)の合成)
窒素雰囲気下、100mlシュレンク反応容器に実施例6で合成した{3−ヨード−7,8−ジ(ペンタデシル)アントラチオフェニル−2−}{3’−ヨード−5’,6’−ジ(ドデシル)ベンゾチオフェニル−2’−}46.2mg(0.034mmol)を添加し、実施例3と同様な操作を繰り返して{7,8−ジ(ペンタデシル)アントラチオフェニル−2−}{5’,6’−ジ(ドデシル)ベンゾチオフェニル−2’−}を合成した(19.5mg、収率51%)。
{7,8−ジ(ペンタデシル)アントラチオフェニル−2−}{5’,6’−ジ(ドデシル)ベンゾチオフェニル−2’−}の構造式を下記に示す。
Figure 0005617296
合成例12 (4,5−ジヨード無水フタル酸の合成)
合成例1で4−ブロモフタルイミドの代わりにフタルイミドを使用し、ヨウ素をフタルイミド1当量に対して1.05当量用いた以外は合成例1と同じ操作を繰り返して4,5−ジヨード無水フタル酸を収率45%で得た。
H NMR(重トルエン,80℃):δ=7.65(s,1H),7.07(s,1H)。
合成例13 (6,7−ジ(ドデシル)−2,3−ジヨードアントラキノンの合成)
合成例12で得られた4,5−ジヨード無水フタル酸12.6g(31.4mmol)、合成例8で得られた1,2−ジ(ドデシル)ベンゼン13.1g(31.4mmol)を用い、合成例3と同様の操作を繰り返すことで、6,7−ジ(ドデシル)−2,3−ジヨードアントラキノンの淡黄色固体9.76g(12.2mmol)を得た(収率39%)。
H NMR(CDCl,22℃):δ=8.69(s,2H),8.04(s,2H),2.75(t,J=7.6Hz,4H),1.67(m,4H),1.26(m,36H),0.88(t,J=6.3Hz,6H)。
合成例14 (6,7−ジ(ドデシル)−2,3−ジヨードアントラセンの合成)(一般式(10)、一般式(12)示されるジハロアントラセン誘導体の合成)
合成例13で得られた6,7−ジ(ドデシル)−2,3−ジヨードアントラキノン2.60g(3.26mmol)を用い、合成例4と同様の操作を繰り返すことで、6,7−ジ(ドデシル)−2,3−ジヨードアントラセンの黄色固体1.95gを得た(収率78%)。
H NMR(CDCl,22℃):δ=8.55(s,2H),8.13(s,2H),7.72(s,2H),2.78(t,J=7.6Hz,4H),1.71(m,4H),1.27(m,36H),0.88(t,J=6.5Hz,6H)。
合成例15 (6,7−ジ(ドデシル)−2−(トリメチルシリル)エチニル−3−ヨードアントラセンの合成)(一般式(13)、一般式(14)示されるハロアントリルエチン誘導体の合成)
合成例14で得られた6,7−ジ(ドデシル)−2,3−ジヨードアントラセン1.95g(2.54mmol)を用い、合成例5と同様の操作を繰り返すことで、6,7−ジ(ドデシル)−2−(トリメチルシリル)エチニル−3−ヨードアントラセン1.14gを得た(収率61%)
H NMR(CDCl,22℃):δ=8.49(s,1H),8.19(s,1H),8.13(s,2H),7.72(s,2H),2.78(m,4H),1.68(m,4H),1.27(m,36H),0.88(t,J=6.3Hz,6H),0.33(s,9H)。
合成例16 (6,7−ジ(ドデシル)−2−エチニル−3−メチルチオアントラセンの合成)(一般式(7)で示される(メチルカルコゲノ)アントリルエチン誘導体の合成)
合成例15で得られた6,7−ジ(ドデシル)−2−(トリメチルシリル)エチニル−3−ヨードアントラセン1.14g(1.55mmol)を用い、合成例6と同様の操作を繰り返すことで、(6,7−ジ(ドデシル)−2−エチニル−3−メチルチオアントラセン673mg(1.15mmol)を得た(収率74%)。
H NMR(CDCl,23℃):δ=8.19(s,1H),8.13(s,2H),7.71(s,1H),7.70(s,1H),7.56(s,1H),3.46(s,1H),2.78(t,J=7.6Hz,4H),2.62(s,3H),1.71(m,4H),1.26(m,36H),0.88(t,J=6.8Hz,6H)。
合成例17 5,6−ジ(ドデシル)−2−ヨードベンゾチオフェンの合成(一般式(17)で示されるハロアントラカルコゲノフェン誘導体(m=0)の合成)
合成例17−1) 5,6−ジ(ドデシル)−3−ヨード−2−(トリメチルシリル)ベンゾチオフェンの合成
窒素雰囲気下、200mlシュレンク反応容器に合成例11−1)で合成した1,2−ジ(ドデシル)−5−(トリメチルシリル)エチニル−4−メチルチオベンゼン(一般式(8)の化合物)1.73g(3.10mmol)及びジクロロメタン40mlを添加した。氷冷した後、ヨウ素810mg(3.19mmol)を添加し、室温で1時間攪拌した。得られた反応混合物に、亜硫酸水素ナトリウム水溶液を添加し、攪拌分相し、有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。さらに減圧濃縮し、5,6−ジ(ドデシル)−3−ヨード−2−(トリメチルシリル)ベンゾチオフェンのやまぶき色オイル2.06gを得た(収率99%)。
合成例17−2) 5,6−ジ(ドデシル)−2−(トリメチルシリル)ベンゾチオフェンの合成
窒素雰囲気下、100mlシュレンク反応容器に合成例17−1)で合成した5,6−ジ(ドデシル)−3−ヨード−2−(トリメチルシリル)ベンゾチオフェン2.06g(3.08mmol)及びTHF30mlを添加した。−66℃に冷却し、イソプロピルマグネシウムブロマイド(東京化成工業製、0.78M)のTHF溶液9.5ml(7.4mmol)を滴下した。8時間かけて−5℃まで昇温後、プロトン性化合物としてメタノールを加えて反応をクエンチした。さらに水、3M塩酸水溶液を添加後、ヘキサン抽出した。得られた有機相を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し(溶媒;ヘキサン)、5,6−ジ(ドデシル)−2−(トリメチルシリル)ベンゾチオフェンの無色オイル988mgを得た(収率59%)。
H NMR(CDCl,23℃):δ=7.63(s,1H),7.56(s,1H),7.35(s,1H),2.69(t,J=7.6Hz,4H),1.60(m,4H),1.27(m,36H),0.88(t,J=6.3Hz,6H),0.35(s,9H)。
合成例17−3) 5,6−ジ(ドデシル)−2−ヨードベンゾチオフェンの合成
窒素雰囲気下、100mlシュレンク反応容器に合成例17−2)で合成した5,6−ジ(ドデシル)−2−(トリメチルシリル)ベンゾチオフェン944mg(1.73mmol)及びジクロロメタン30mlを添加した。0℃に冷却後、1塩化ヨウ素(シグマーアルドリッチ製、1.0M)のジクロロメタン溶液1.75ml(1.75mmol)を添加した。得られた混合物を室温で1.5時間反応を行った。得られた反応混合物を0℃室温に冷却後、亜硫酸ナトリウム水溶液を添加し、分相し、有機相を無水硫酸マグネシウムで乾燥した。さらに減圧濃縮し、5,6−ジ(ドデシル)−2−ヨードベンゾチオフェンの淡黄固体1.03gを得た(収率100%)。
H NMR(CDCl,23℃):δ=7.51(s,1H),7.46(s,1H),7.40(s,1H),2.66(t,J=7.7Hz,4H),1.60(m,4H),1.26(m,36H),0.88(t,J=6.3Hz,6H)。
合成例18 3−メチルチオ−2−{5,6−ジ(ドデシル)−2−ベンゾチエニルエチニル}−6,7−ジ(ドデシル)アントラセンの合成(一般式(6)で示される(メチルカルコゲノ)(アントラカルコゲノフェニルエチニル)アントラセン誘導体(m=0)の合成)
窒素雰囲気下、100mlシュレンク反応容器に合成例16で合成した6,7−ジ(ドデシル)−2−エチニル−3−メチルチオアントラセン673mg(1.15mmol)、合成例17で合成した5,6−ジ(ドデシル)−2−ヨードベンゾチオフェン739mg(1.23mmol)、トルエン8ml、及びトリエチルアミン2mlを添加した。さらにジクロロビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(和光純薬工業製)9.1mg(0.013mmol)、及びヨウ化銅(I)(和光純薬工業製)2.5mg(0.013mmol)を添加した。この混合物を室温で1時間反応を実施した。得られた反応混合物を氷冷し、3M塩酸水溶液6mlを添加し反応をクエンチした。トルエンで抽出し、有機相を水で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し(溶媒;ヘキサン)、3−メチルチオ−2−{5,6−ジ(ドデシル)−2−ベンゾチエニルエチニル}−6,7−ジ(ドデシル)アントラセンの黄色固体1.05gを得た(収率86%)。
H NMR(CDCl,23℃):δ=8.21(s,1H),8.17(s,1H),8.15(s,1H),7.72(s,1H),7.70(s,1H),7.59(s,1H),7.55(s,1H),7.54(s,1H),7.49(s,1H),2.84−2.66(m,8H),2.65(s,3H),1.80−1.58(m,8H),1.27(m,72H),0.88(t,J=6.3Hz,12H)。
実施例8 ({3−ヨード−7,8−ジ(ドデシル)アントラチオフェニル−2−}{5’,6’−ジ(ドデシル)ベンゾチオフェニル−2’−}の合成)(一般式(2)で示されるビ(ハロアントラカルコゲノフェニル)誘導体(m=0)の合成)
窒素雰囲気下、100mlシュレンク反応容器に合成例18で合成した3−メチルチオ−2−{5,6−ジ(ドデシル)−2−ベンゾチエニルエチニル}−6,7−ジ(ドデシル)アントラセン1.05g(0.996mmol)及びジクロロメタン25mlを添加した。ここへヨウ素252mg(0.991mmol)を添加し、室温で1時間攪拌した。得られた反応混合物を減圧濃縮し、{3−ヨード−7,8−ジ(ドデシル)アントラチオフェニル−2−}{5’,6’−ジ(ドデシル)ベンゾチオフェニル−2’−}の赤色固体1.15gを得た(収率99%)。
H NMR(CDCl,23℃):δ=8.55(s,1H),8.44(s,1H),8.38(s,1H),8.33(s,1H),7.86(s,1H),7.77(s,2H),7.64(s,2H),2.85−2.70(m,8H),1.81−1.60(m,8H),1.28(m,72H),0.88(t,J=6.3Hz,12H)。
NMR測定より{3−ヨード−7,8−ジ(ドデシル)アントラチオフェニル−2−}{5’,6’−ジ(ドデシル)ベンゾチオフェニル−2’−}が得られたことを確認した。なお、その構造式を下記に示す。
Figure 0005617296
実施例9 ({7,8−ジ(ドデシル)アントラチオフェニル−2−}{5’,6’−ジ(ドデシル)ベンゾチオフェニル−2’−}の合成)(一般式(1)で示されるビ(ハロアントラカルコゲノフェニル)誘導体(m=0)の合成)
窒素雰囲気下、100mlシュレンク反応容器に実施例8で合成した{3−ヨード−7,8−ジ(ドデシル)アントラチオフェニル−2−}{5’,6’−ジ(ドデシル)ベンゾチオフェニル−2’−}1.15g(0.993mmol)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(東京化成工業製)12.0mg(0.0103mmol)、炭酸カリウム282mg(2.04mmol)、及び1−ブタノール30mlを添加した。得られた混合物を100℃で5時間反応させた。得られた反応混合物をそのままシリカゲルカラムクロマトグラフィーに通し、さらにヘキサン、ジクロロメタン、トルエンの順に溶媒を流し、目的物を含む成分を取りだした。得られた残渣をトルエンから4回再結晶精製し、{7,8−ジ(ドデシル)アントラチオフェニル−2−}{5’,6’−ジ(ドデシル)ベンゾチオフェニル−2’−}の橙色固体673mgを得た(収率65%、高速液体クロマトグラフィー分析による純度は99.1%)
H NMR(CDCl,50℃):δ=8.41(s,1H),8.35(s,1H),8.33(s,2H),7.73(s,2H),7.58(s,1H),7.55(s,1H),7.50(s,1H),7.46(s,1H),2.80(t,J=7.5Hz,4H)2.75−2.66(m,4H),1.80−1.55(m,8H),1.28(m,72H),0.88(t,J=6.3Hz,12H)。
MS m/z:1039(M,100%)。
NMR及びMS測定より{7,8−ジ(ドデシル)アントラチオフェニル−2−}{5’,6’−ジ(ドデシル)ベンゾチオフェニル−2’−}が得られたことを確認した。なお、その構造式を下記に示す。
Figure 0005617296
H NMRスペクトルを図4に示した。
実施例10 (耐酸化性有機半導体材料の合成及びその耐酸化性評価)
窒素雰囲気下、100mlシュレンク容器にトルエン5.4gを添加し、凍結(液体窒素)−減圧−窒素置換−融解から成るサイクルを3回繰り返すことで溶存酸素を除去した。そこへ実施例3で合成したビ{7,8−ジ(ペンタデシル)アントラチオフェニル−2−}の赤色固体7.1mgを添加し、80℃に加熱し溶解させ、ビ{7,8−ジ(ペンタデシル)アントラチオフェニル−2−}を含む耐酸化性有機半導体材料を合成した(赤色溶液)。次に、このシュレンク容器の上部の栓を開け、10分間、外気に接触させることで空気を導入し(耐酸化性評価)、さらに80℃で撹拌したが、色の変化は見られなかった。したがって、色の変化が見られなかったことから、耐酸化性に優れるものであった。さらにこの溶液を80℃、1時間、撹拌下で空気と接触させても溶液の色の変化は見られず、耐酸化性に優れるものであった。
実施例11 (耐酸化性有機半導体材料の合成及びその耐酸化性評価)
窒素雰囲気下、100mlシュレンク容器にトルエン2.0gを添加し、凍結(液体窒素)−減圧−窒素置換−融解から成るサイクルを3回繰り返すことで溶存酸素を除去した。そこへ実施例9で合成した{7,8−ジ(ドデシル)アントラチオフェニル−2−}{5’,6’−ジ(ドデシル)ベンゾチオフェニル−2’−}の橙色固体14.4mgを添加し、40℃に加熱し溶解させ、{7,8−ジ(ドデシル)アントラチオフェニル−2−}{5’,6’−ジ(ドデシル)ベンゾチオフェニル−2’−}を含む耐酸化性有機半導体材料を合成した(赤色溶液)。次に、このシュレンク容器の上部の栓を開け、10分間、外気に接触させることで空気を導入し(耐酸化性評価)、さらに40℃で撹拌したが、色の変化は見られなかった。さらに高速液体クロマトグラフィーで分析したが純度の低下は見られなかった。従って、耐酸化性に優れるものであった。
実施例12 (有機薄膜の作製)
窒素雰囲気下、100mlシュレンク容器に実施例3で合成したビ{7,8−ジ(ペンタデシル)アントラチオフェニル−2−}の赤色固体6.5mgをトルエン15gと混合し、80℃で1時間撹拌し、ビ{7,8−ジ(ペンタデシル)アントラチオフェニル−2−}の赤色溶液を調製した(ビ(アントラカルコゲノフェニル)誘導体を含む耐酸化性有機半導体材料の合成)。
窒素雰囲気下、直径2インチのシリコン基板(セミテック製、比抵抗;0.001〜0.004Ω・cm)を80℃に加熱し、この基板上に上記の溶液をスポイトを用いて塗布し常圧下で乾燥し、膜厚245nmの有機薄膜を作製した。
実施例13 (有機薄膜の作製)
窒素雰囲気下、100mlシュレンク容器に実施例9で合成した{7,8−ジ(ドデシル)アントラチオフェニル−2−}{5’,6’−ジ(ドデシル)ベンゾチオフェニル−2’−}の橙色固体6.2mgをトルエン1.5gと混合し、40℃に加温し、{7,8−ジ(ドデシル)アントラチオフェニル−2−}{5’,6’−ジ(ドデシル)ベンゾチオフェニル−2’−}の赤色溶液を調製した(ビ(アントラカルコゲノフェニル)誘導体を含む耐酸化性有機半導体材料の合成)。
直径2インチのシリコン基板(セミテック製、比抵抗;0.002〜0.004Ω・cm、200nmのSiO膜付き)をスピンコーターにセットし、この基板上に室温で上記の溶液をスポイトを用いて添加した。2,000回転、30秒の条件でスピンコートを実施し、膜厚13nmの有機薄膜を作製した。
比較例1 (耐酸化性評価)
ペンタセンを用いて耐酸化性を評価した。
窒素雰囲気下、100mlシュレンク容器にo−ジクロロベンゼン8.1gを添加し、凍結(液体窒素)−減圧−窒素置換−融解から成るサイクルを3回繰り返すことで溶存酸素を除去した。そこへペンタセン(東京化成工業製)2.1mgを添加し、80℃に加熱し溶解させると赤紫色溶液となった。次にこのシュレンク容器の上部の栓を開け、1分間、外気に接触させることで空気を導入し、さらに80℃で撹拌した。ガスクロマトグラフィー及びガスクロマトグラフィー−マススペクトル(GCMS)分析から、6,13−ペンタセンキノンが生成していることがわかった。
さらにこの溶液を80℃、1時間、撹拌下で空気と接触させると溶液の色が黄に変化していた。ガスクロマトグラフィー分析から、6,13−ペンタセンキノンの生成が増加していることがわかった。
したがって、溶液の色の変化及び6,13−ペンタセンキノンが生成していることから、酸化が進行しており、耐酸化性に劣るものであった。
比較例2 (有機薄膜の作製)
「ジャーナル オブ マテリアルズ ケミストリィー」、(英国)、2008年、18巻、3442−3447頁に記載の[2,2’]ビ[ナフト[2,3−b]チオフェニル]を合成し、それを用いて有機薄膜の作製を評価した。
窒素雰囲気下、100mlシュレンク容器にトルエン15gを添加し、凍結(液体窒素)−減圧−窒素置換−融解から成るサイクルを3回繰り返すことで溶存酸素を除去した。そこへ[2,2’]ビ[ナフト[2,3−b]チオフェニル]6.0mgを添加し、110℃で1時間撹拌したが、わずかに溶解したのみでほとんどが固体として残存し、溶解性に劣るものであった。
また窒素雰囲気下、直径2インチのシリコン基板(セミテック製、比抵抗;0.001〜0.004Ω・cm)を80℃に加熱し、この基板上に上記の溶液部分をスポイトを用いて塗布し常圧下で乾燥した。しかし、材料がある部分とない部分が存在し、均一な膜は得られず、塗布による薄膜作製は困難であった。

Claims (13)

  1. 下記一般式(1)で示されることを特徴とするビ(アントラカルコゲノフェニル)誘導体。
    Figure 0005617296
    (ここで、置換基T及びTは同一又は異なって、硫黄原子、セレン原子、テルル原子を示し、置換基R〜Rは同一又は異なって、水素原子、フッ素原子、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数4〜30のアリール基、炭素数2〜30のアルキニル基、炭素数2〜30のアルケニル基を示し、記号mは0又は1の整数である(ただし、T 及びT が硫黄原子を示し、R 〜R が炭素数6の直鎖状アルキル基であり、R 〜R が水素原子であって、mが1であるビ(アントラカルコゲノフェニル)誘導体を除く。)。)
  2. 及びTが硫黄原子であることを特徴とする請求項1に記載のビ(アントラカルコゲノフェニル)誘導体。
  3. 下記一般式(2)で示されることを特徴とするビ(ハロアントラカルコゲノフェニル)誘導体。
    Figure 0005617296
    (ここで、置換基Xはヨウ素原子、臭素原子、塩素原子を示し、置換基Xはヨウ素原子、臭素原子、塩素原子、水素原子を示し、置換基T、T及びR〜R並びに記号mは請求項1に記載の一般式(1)で示される置換基並びに記号と同意義を示す。)
  4. 下記一般式(3)で示されることを特徴とするジ(メチルカルコゲノ)ジアントリルブタジイン誘導体。
    Figure 0005617296
    (ここで、置換基T、T及びR〜R並びに記号mは請求項3に記載の一般式(2)で示される置換基並びに記号と同意義を示す。)
  5. 請求項3に記載の一般式(2)で示されるビ(ハロアントラカルコゲノフェニル)誘導体をメタル化剤と反応させた後、プロトン性化合物と反応させることを特徴とする請求項1又は2に記載のビ(アントラカルコゲノフェニル)誘導体の製造方法。
  6. 請求項3に記載の一般式(2)で示されるビ(ハロアントラカルコゲノフェニル)誘導体をパラジウム触媒及び/又はニッケル触媒存在下、炭素数1〜8のアルコール及び塩基と反応させることを特徴とする請求項1又は2に記載のビ(アントラカルコゲノフェニル)誘導体の製造方法。
  7. 下記一般式(4)及び/又は下記一般式(5)で示されるアントラカルコゲノフェン誘導体をメタル化剤と反応させた後、銅化合物又は鉄化合物と反応させることを特徴とする請求項1又は2に記載のビ(アントラカルコゲノフェニル)誘導体の製造方法。
    Figure 0005617296
    Figure 0005617296
    (ここで、置換基X及びXは水素原子、ヨウ素原子、臭素原子、塩素原子、又はトリメチルシリル基を示し、置換基T、T及びR〜R並びに記号mは請求項1に記載の一般式(1)で示される置換基並びに記号と同意義を示す。)
  8. 請求項4に記載の一般式(3)で示されるジ(メチルカルコゲノ)ジアントリルブタジイン誘導体とハロゲン誘導体と反応させることを特徴とする請求項3に記載のビ(ハロアントラカルコゲノフェニル)誘導体の製造方法。
  9. 下記一般式(6)で示される(メチルカルコゲノ)(アントラカルコゲノフェニルエチニル)アントラセン誘導体とハロゲン誘導体と反応させることを特徴とする請求項3に記載のビ(ハロアントラカルコゲノフェニル)誘導体の製造方法。
    Figure 0005617296
    (ここで、置換基X、T、T及びR〜R並びに記号mは請求項3に記載の一般式(2)で示される置換基並びに記号と同意義を示す。)
  10. 下記一般式(7)及び/又は下記一般式(8)で示される(メチルカルコゲノ)アントリルエチン誘導体を銅化合物の存在下、カップリング反応させることを特徴とする請求項4に記載のジ(メチルカルコゲノ)ジアントリルブタジイン誘導体の製造方法。
    Figure 0005617296
    Figure 0005617296
    (ここで、置換基X及びXは水素原子、トリメチルシリル基、ヨウ素原子、臭素原子、又は塩素原子を示し、置換基T、T及びR〜R並びに記号mは請求項4に記載の一般式(3)で示される置換基並びに記号と同意義を示す。)
  11. 請求項1又は2に記載のビ(アントラカルコゲノフェニル)誘導体を含むことを特徴とする耐酸化性有機半導体材料。
  12. 請求項11に記載の耐酸化性有機半導体材料を用いることを特徴とする有機薄膜。
  13. 有機薄膜が基板上に形成されることを特徴とする請求項12に記載の有機薄膜。
JP2010069477A 2009-03-27 2010-03-25 ビ(アントラカルコゲノフェニル)誘導体、その前駆化合物及びそれらの製造方法 Active JP5617296B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2010069477A JP5617296B2 (ja) 2009-03-27 2010-03-25 ビ(アントラカルコゲノフェニル)誘導体、その前駆化合物及びそれらの製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009079891 2009-03-27
JP2009079891 2009-03-27
JP2010069477A JP5617296B2 (ja) 2009-03-27 2010-03-25 ビ(アントラカルコゲノフェニル)誘導体、その前駆化合物及びそれらの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010248184A JP2010248184A (ja) 2010-11-04
JP5617296B2 true JP5617296B2 (ja) 2014-11-05

Family

ID=43310971

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2010069477A Active JP5617296B2 (ja) 2009-03-27 2010-03-25 ビ(アントラカルコゲノフェニル)誘導体、その前駆化合物及びそれらの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5617296B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN113754629A (zh) * 2021-01-14 2021-12-07 中国科学院化学研究所 一类不对称取代的蒽衍生物及其制备方法与应用

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
ATE452154T1 (de) * 2003-10-15 2010-01-15 Merck Patent Gmbh Polybenzodithiophene
JP5272345B2 (ja) * 2006-08-28 2013-08-28 東ソー株式会社 ヘテロアセン誘導体、テトラハロターフェニル誘導体及びそれらの製造方法
JP5050480B2 (ja) * 2006-10-13 2012-10-17 富士ゼロックス株式会社 有機半導体トランジスタ素子及びその製造方法、並びに半導体装置及び表示素子
JP5352196B2 (ja) * 2007-11-12 2013-11-27 山本化成株式会社 有機トランジスタ
JP5481850B2 (ja) * 2008-01-23 2014-04-23 東ソー株式会社 ヘテロアセン誘導体、その前駆化合物及びそれらの製造方法
JP2010053094A (ja) * 2008-08-29 2010-03-11 Tokyo Institute Of Technology ビスナフトチオフェン誘導体、及び電界効果トランジスタ

Also Published As

Publication number Publication date
JP2010248184A (ja) 2010-11-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5716781B2 (ja) ヘテロアセン誘導体、テトラハロターフェニル誘導体及びそれらの製造方法
JP5272345B2 (ja) ヘテロアセン誘導体、テトラハロターフェニル誘導体及びそれらの製造方法
JP5716821B2 (ja) ヘテロアセン誘導体、その前駆化合物及びそれらの製造方法
JP2007197400A (ja) ジベンゾチオフェン誘導体、製造方法及びその用途
JP5549829B2 (ja) ヘテロアセン誘導体及びその用途
JP7159586B2 (ja) 芳香族化合物、有機半導体層、及び有機薄膜トランジスタ
US7985885B2 (en) Terphenylene derivative, tetrahaloterphenyl derivative, and processes for producing both
JP5481815B2 (ja) ビフェニレン誘導体、その用途、及びその製造方法
JP2009203183A (ja) ヘテロアセン誘導体の製造方法
JP5076466B2 (ja) ビフェニレン誘導体、その用途、及びその製造方法
WO2018181462A1 (ja) 芳香族化合物、有機半導体層、及び有機薄膜トランジスタ
JP4978003B2 (ja) ジベンゾシロール誘導体、その前駆化合物、及びそれらの製造方法
WO2017170245A1 (ja) 新規有機高分子及びその製造方法
JP5617296B2 (ja) ビ(アントラカルコゲノフェニル)誘導体、その前駆化合物及びそれらの製造方法
JP5577604B2 (ja) ヘテロアセン誘導体の製造方法及びテトラハロターフェニル誘導体
JP2010070473A (ja) ターフェニレン誘導体の製造方法
JP5169191B2 (ja) ヘテロアセン誘導体、(テトラハロ)ジアリールチエノチオフェン誘導体及びそれらの製造方法
WO2021177417A1 (ja) 芳香族化合物、有機半導体層、及び有機薄膜トランジスタ
JP2010254636A (ja) ハロベンゾカルコゲノフェン誘導体、その原料化合物及びそれらの製造方法
JP2007210964A (ja) テトラフェニレン誘導体、その用途、及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20130212

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20140515

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20140527

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140722

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140819

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140901

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 5617296

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151