JP5610736B2 - ポリフェノール類化合物の吸収促進用の医薬組成物、ポリフェノール類化合物を含有する飲食品又は飲食品素材の製造方法及びポリフェノール類化合物を含有する飲食品又は飲食品素材 - Google Patents

ポリフェノール類化合物の吸収促進用の医薬組成物、ポリフェノール類化合物を含有する飲食品又は飲食品素材の製造方法及びポリフェノール類化合物を含有する飲食品又は飲食品素材 Download PDF

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Description

本発明は、ポリフェノール類化合物の吸収促進剤及びポリフェノール類化合物を含有する飲食品又は飲食品素材の製造方法に関するものである。
緑茶は日本人が古くから親しんできた飲料であり、近年では容器詰緑茶飲料の普及もあって、非常に多く飲用されている。緑茶には茶カテキンと総称される一群のカテキン類化合物(フラバノール化合物)が含まれており、抗腫瘍効果、抗血小板凝集効果、抗高血圧効果、抗肥満効果 、抗酸化効果など、健康にとって有益な多くの機能を有することが知られている。しかし、カテキン類化合物を経口的に摂取しても一般に吸収率が低く、摂取量の極一部分しか体内に吸収されない。このため、カテキン類化合物の吸収性を高める工夫が多くなされてきた。
例えば、下記特許文献1には、緑茶飲料中の茶カテキン濃度を高め、茶カテキンの摂取量を多くすることにより、茶カテキンの吸収量ならびに血中濃度を高める方法が開示されている。しかし、この方法では茶カテキン濃度が高くなることにより、茶カテキンに特有の苦味・渋味が強くなるため、緑茶飲料中に添加できる茶カテキンの量には限界があるほか、原料の茶カテキンを多量に使用することになるため、経済的な負担が増加するなどの問題があった。このほか、下記特許文献2には、飲料中のアルコール沈殿性物質の量を低減することにより茶カテキンの吸収率を高める方法が開示されている。しかし、この方法はアルコール沈殿性物質量を一定の含有量以下とするために精製、酵素処理等の操作を追加しなければならず、製造工程が煩雑になりコストが嵩むという問題があった。また、紅茶飲料中に含まれる茶カテキンのエピ体と非エピ体の含有量を一定の条件を満たすように配合することにより茶カテキンの吸収率を高める方法が知られている(下記特許文献3、及び特許文献4参照。)しかし、エピ体および非エピ体の含有量に関する要件は、一般家庭で飲用される緑茶等では通常満たされており、容器詰飲料のうちの紅茶飲料以外の飲食品への応用は難しいと考えられる。更には、下記特許文献5には、緑茶中のエピガロカテキンガレート(EGCG)およびカフェインの含有量が所定の関係を満たすように配合することによりエピガロカテキンガレート(EGCG)の吸収を促進する方法が開示されている。しかし、合成吸着剤カラムを用いたクロマト処理等でカフェインを除去する処理を行わなくてはならず、本来の味や風味の成分までも損ねてしまうという問題があった。
特開2002−142677号公報 特開2003−169641号公報 特開2003−333989号公報 特開2004−41186号公報 特開2007−151467号公報
上述したように、緑茶には茶カテキンと総称される一群のカテキン類化合物(フラバノール化合物)が含まれており、抗腫瘍効果[Katiyar SK and Mukhtar H (1996) Int J Oncol 7:133-141; Bu-Tian JI et al. (1997) Int J Cancer 70:255-258; Su LJ and Arab L(2002) Public Health Nutr 5:419-425]、抗血小板凝集効果[Duffy SJ et al. (2001) Arterioscler Thromb Vasc 21:1084-1089]、抗高血圧効果 [Negishi H et al. (2005) J Nutr 134:38-42]、抗肥満効果 [Nagao T et al.(2005) Am J Clin Nutr 81:122-9; Murase T et al. (2002) Int J Obes 26:1459-64]、抗酸化効果[ Sano M et al. (2003) J Agric Food Chem 51:2912-2916] など、健康にとって有益な多くの機能を有することが知られている。緑茶中に含まれる主要なカテキン類化合物は、カテキン、エピカテキン、ガロカテキン、エピガロカテキン、カテキンガレート、エピカテキンガレート、ガロカテキンガレート、エピガロカテキンガレートの8種類であるが、その中でも緑茶中のカテキン類化合物の約50%を占めるエピガロカテキンガレート(以下、「EGCG」という。)は、他と比較して高い生理活性を有するとされている。
しかし、カテキン類化合物は一般に吸収率が低く、ことに EGCG の吸収率は非常に低いため、摂取量の極一部分しか体内に吸収されない [ラットでの研究結果は Chen L et al. (1997) Drug Metab Dispos 25:1045-1050; Zhu M et al. (2000) Planta Med 66:444-447] [ヒトでの研究結果はWarden BA et al. (2001) J Nutr 131:1731-1737; Chow et al. (2001) Cancer Epidemiol Biomarkers Prev 10:53-58; Vaidyanathan and Walle (2001) Pharm Res (NY) 18:1420-1425]。
したがって、本発明の目的は、広範囲の飲料および食品に適用可能で、摂取するポリフェノール類化合物、その中でも特に生理作用が強いエピガロカテキンガレートの吸収性を改善する方法を見出すことであり、これを利用してポリフェノール類化合物、特にカテキン類化合物であるEGCGの吸収性が改善された飲食品ならびにその吸収性を改善するための飲食品素材を提供することである。
本発明者らは、上記の課題を解決するために、Caco-2培養細胞を用いた測定系により EGCG の吸収効率を高めることができる食品および食品成分を探索した。その結果、いくつかの食品および食品成分にEGCGの吸収を顕著に促進する効果があることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は下記のとおりである。
[1] 下記(1)〜(5)からなる群から選ばれた少なくとも1種を有効成分とすることを特徴とするポリフェノール類化合物の吸収促進剤。
(1)コハク酸又はその塩類
(2)システイン又はその塩類
(3)アスパラギン
(4)イソロイシン
(5)ピニトール
[2] 更に、下記(1)〜(6)からなる群から選ばれた少なくとも1種を有効成分とする上記[1]記載のポリフェノール類化合物の吸収促進剤。
(1)セリン又はその塩類
(2)アスパラギン酸又はその塩類
(3)リンゴ酸又はその塩類
(4)カプリン酸、その塩類又はそのエステル類
(5)ラウリン酸、その塩類又はそのエステル類
(6)グレープフルーツ果汁
[3] 前記ポリフェノール類化合物が、フラボノイド類化合物である上記[1]又は[2]記載の吸収促進剤。
[4] 前記ポリフェノール類化合物が、カテキン類化合物である上記[1]又は[2]記載の吸収促進剤。
[5] 前記ポリフェノール類化合物が、カテキン、エピカテキン、ガロカテキン、エピガロカテキン、カテキンガレート、エピカテキンガレート、ガロカテキンガレート、エピガロカテキンガレート及びそれらのメチル化体からなる群から選ばれた少なくとも1種を含むカテキン類化合物である上記[1]又は[2]記載の吸収促進剤。
[6] ポリフェノール類化合物を含有する飲食品用原料又は飲食品素材用原料に、下記(1)〜(5)からなる群から選ばれた少なくとも1種を添加する工程を含むことを特徴とするポリフェノール類化合物を含有する飲食品又は飲食品素材の製造方法。
(1)コハク酸又はその塩類
(2)システイン又はその塩類
(3)アスパラギン
(4)イソロイシン
(5)ピニトール
[7] 更に、前記ポリフェノール類化合物を含有する飲食品用原料又は飲食品素材用原料に、下記(1)〜(6)からなる群から選ばれた少なくとも1種を添加する工程を含む上記[6]記載のポリフェノール類化合物を含有する飲食品又は飲食品素材の製造方法。
(1)セリン又はその塩類
(2)アスパラギン酸又はその塩類
(3)リンゴ酸又はその塩類
(4)カプリン酸、その塩類又はそのエステル類
(5)ラウリン酸、その塩類又はそのエステル類
(6)グレープフルーツ果汁
[8] 下記(1)〜(5)からなる群から選ばれた少なくとも1種を含む飲食品用原料又は飲食品素材用原料に、ポリフェノール類化合物を添加する工程を含むことを特徴とするポリフェノール類化合物を含有する飲食品又は飲食品素材の製造方法。
(1)コハク酸又はその塩類
(2)システイン又はその塩類
(3)アスパラギン
(4)イソロイシン
(5)ピニトール
[9] 前記飲食品用原料又は飲食品素材用原料が、更に、下記(1)〜(6)からなる群から選ばれた少なくとも1種を含む上記[8]記載の飲食品又は飲食品素材の製造方法。
(1)セリン又はその塩類
(2)アスパラギン酸又はその塩類
(3)リンゴ酸又はその塩類
(4)カプリン酸、その塩類又はそのエステル類
(5)ラウリン酸、その塩類又はそのエステル類
(6)グレープフルーツ果汁
[10] 前記ポリフェノール類化合物が、フラボノイド類化合物である上記[6]〜[9]のいずれか1つに記載の飲食品又は飲食品素材の製造方法。
[11] 前記ポリフェノール類化合物が、カテキン類化合物である上記[6]〜[9]のいずれか1つに記載の飲食品又は飲食品素材の製造方法。
[12] 前記ポリフェノール類化合物が、カテキン、エピカテキン、ガロカテキン、エピガロカテキン、カテキンガレート、エピカテキンガレート、ガロカテキンガレート、エピガロカテキンガレート及びそれらのメチル化体からなる群から選ばれた少なくとも1種を含むカテキン類化合物である上記[6]〜[9]のいずれか1つに記載の飲食品又は飲食品素材の製造方法。
本発明によれば、コハク酸又はその塩類、システイン又はその塩類、アスパラギン、イソロイシン、及びピニトールからなる群から選ばれた少なくとも1種を摂取することにより、ポリフェノール類化合物、例えばカテキン類化合物の吸収率を顕著に向上させることができる。したがって、少量の摂取によっても従来と同等あるいはそれ以上の効果を得ることが可能となる。また、その結果、ポリフェノール類化合物、例えばカテキン類化合物による消化管への障害を低減させることができる。吸収率が高まれば、これらの血中濃度を有効濃度に到達させるために必要な飲食品中の配合量を従来よりも少なくすることができるので、ポリフェノール類化合物、例えば茶カテキンに特有の苦味・渋味などを感じさせない、又はそれらの低減された、摂取しやすい飲食品を提供することができる。更に、原料として必要な量を減らすことができるので経済的である。これらの成分はそれぞれ単独で吸収促進の効果を有するが、2種類以上を組み合わせて摂取してもよく、更に、セリン又はその塩類、アスパラギン酸又はその塩類、リンゴ酸又はその塩類、カプリン酸、その塩類又はそのエステル類、ラウリン酸、その塩類又はそのエステル類、及びグレープフルーツ果汁からなる群から選ばれた少なくとも1種を組み合わせて摂取してもよい。これにより、更に大きな吸収促進効果を得ることが期待できる。
Caco-2細胞の絨毛側へ添加したHBSS溶液中に含有されるEGCGの濃度が47.7 μM、184.9 μM、492.0 μM、又は954.6 μMであるのときの、漿膜側へ移行したEGCG濃度の経時変化を示す図表である。 Caco-2細胞の絨毛側へ添加したHBSS溶液中に含有される緑茶エキス由来のEGCG濃度が38.9 μM、169.5 μM、430.2 μM、826.7 μMであるときの、漿膜側へ移行したEGCG濃度の経時変化を示す図表である。 Caco-2細胞の絨毛側へ添加したEGCG濃度とEGCG吸収速度との関係を示す図表である。 Caco-2細胞の絨毛側へ異なる濃度のEGCGを添加したときのTEERの経時変化 (吸収実験開始0時間のTEERを100%とした)を示す図表である。 緑茶エキス溶液を摂取したラット血漿中EGCG濃度の経時変化を示す図表である(mean±SEM; 無添加群(i)のn = 8、添加群(ii)のn = 3、添加群(iii)のn = 2、添加群(iv)のn = 3)。 緑茶エキス溶液を摂取したラット血漿中EGCG濃度×時間(曲線下面積)の経時変化を示す図表である(mean±SEM; 無添加群(i)のn = 8、添加群(ii)のn = 3、添加群(iii)のn = 2、添加群(iv)のn = 3)。 べにふうき緑茶の熱水抽出物を摂取したラット血漿中EGCG濃度の経時変化を示す図表である(mean±SEM; (i)無添加群のn = 6、(ii)40 mM セリン+80 mMリンゴ酸添加群のn = 2)。 べにふうき緑茶の熱水抽出物を摂取したラット血漿中EGCG濃度×時間(曲線下面積)の経時変化を示す図表である(mean±SEM; (i)無添加群のn = 6、(ii)40 mM セリン+80 mMリンゴ酸添加群のn = 2)。 EGCG溶液を摂取したラット血漿中EGCG濃度の経時変化を示す図表である(mean±SEM; (i)無添加群のn = 5、(ii)20 mM セリン+40 mMリンゴ酸添加群のn = 3)。 EGCG溶液を摂取したラット血漿中EGCG濃度×時間(曲線下面積)の経時変化を示す図表である(mean±SEM; (i)無添加群のn = 5、(ii)20 mM セリン+40 mMリンゴ酸添加群のn = 3)。
以下、本発明について好ましい態様を挙げて、更に詳細に説明する。
本発明のポリフェノール類化合物の吸収促進剤において、その吸収促進のための有効成分であるコハク酸は、貝類のうま味成分の酸としてよく知られている有機酸で、貝類を初めとする動植物に広く存在している。食品添加物のコハク酸は、通常、マレイン酸などを原料とする化学的な合成によって得られており、独特な酸味とうま味がある。また、コハク酸のナトリウム塩は、特有のうま味があり、特に、コハク酸一ナトリウムは、貝類のうま味成分を構成している。指定添加物であり、酸味料、調味料、pH 調整剤として用いられる。また、コハク酸の塩類としては、コハク酸一ナトリウム、コハク酸二ナトリウム、コハク酸カリウム、コハク酸カルシウム等が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明のポリフェノール類化合物の吸収促進剤において、その吸収促進のための有効成分であるシステインは、解毒機構において重要なグルタチオンを構成するアミノ酸の一つで、蛋白質の構成アミノ酸として広く存在している非必須アミノ酸である。L-体の塩酸塩は指定添加物であり、栄養強化剤や品質改良剤として用いられる。また、システインの塩類としては、システイン塩酸等が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明のポリフェノール類化合物の吸収促進剤において、その吸収促進のための有効成分であるアスパラギンは、中性極性側鎖アミノ酸に分類される蛋白質構成アミノ酸のひとつで、非必須アミノ酸である。L-体は既存添加物であり、調味料や栄養強化剤として用いられる。
本発明のポリフェノール類化合物の吸収促進剤において、その吸収促進のための有効成分であるイソロイシンは、色々な蛋白質を構成するアミノ酸の一つで、必須アミノ酸である。バリン、ロイシンとともに、筋肉で代謝される分岐鎖アミノ酸(BCAA;branched chain amino acid)であり、筋肉のエネルギー代謝に深く関わっている。L-体は指定添加物であり、多くの場合は、他の必須アミノ酸類と共に栄養強化の目的で使用される。
本発明のポリフェノール類化合物の吸収促進剤において、その吸収促進のための有効成分であるピニトール(D-ピニトール、3-Oメチル-D-カイロイノシトール)は、松やカーネーション、クローバー、レンゲ、大豆などのマメ科の植物に多く存在する天然成分であり、ミオ-イノシトールの光学異性体であるカイロ-イノシトールの3番炭素にメトキシ基がついているエーテル化合物である。物理的に安定で、爽やかな甘味のある物質である。
本発明のポリフェノール類化合物の吸収促進剤において、その好ましい態様における吸収促進のための有効成分であるセリンは、非必須アミノ酸の一種であり、細胞膜の構成成分であるホスファチジルセリンの原料として重要である。食品中ではそのほとんどがタンパク質の形で存在しており、多くの食品中に含まれている栄養素である。L-セリンは既存添加物として認可されており、調味料、栄養強化剤として広く使用されている。また、セリンの塩類としては、セリン塩酸塩、セリン硫酸塩、セリンリン酸塩等が挙げられるが、これらに限定されない。
本発明のポリフェノール類化合物の吸収促進剤において、その好ましい態様における吸収促進のための有効成分であるアスパラギン酸は、非必須アミノ酸の一種であり、酸性アミノ酸に分類される。様々な食品中に含まれており、L-アスパラギン酸は既存添加物に認可され、調味料、栄養強化剤として使用されている。また、アスパラギン酸の塩類としては、アスパラギン酸ナトリウム、アスパラギン酸カリウム、アスパラギン酸マグネシウム、アスパラギン酸カルシウム等が挙げられるが、これらに限定されない。このうち、L-アスパラギン酸のナトリウム塩は、指定添加物に認可され、調味料、栄養強化剤として使用されている。
本発明のポリフェノール類化合物の吸収促進剤において、その好ましい態様における吸収促進のための有効成分であるリンゴ酸は、ヒドロキシ酸に分類される有機化合物の一種であり、りんごなどに含まれている成分である。また、リンゴ酸の塩類としては、リンゴ酸ナトリウム、リンゴ酸カリウム、リンゴ酸マグネシウム、リンゴ酸カルシウム等が挙げられるが、これらに限定されない。このうち、DL-リンゴ酸、DL-リンゴ酸ナトリウムは指定添加物として認可されており、酸味料やpH調整剤の用途で食品添加物として広く使用されている。一日の摂取許容量(ADI)も設定されておらず、極めて安全性の高い成分として認識されている。
本発明のポリフェノール類化合物の吸収促進剤において、その好ましい態様における吸収促進のための有効成分であるカプリン酸は炭素数10、ラウリン酸は炭素数12の飽和脂肪酸であり、共にココナッツオイルやヤシ油に多く含まれている。また、カプリン酸又はラウリン酸の塩類としては、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム等との塩が挙げられるが、これらに限定されない。また、カプリン酸又はラウリン酸のエステル類としては、メチルエステル、エチルエステル、グリコールエステル、グリセリンエステル、ショ糖エステル等のエステル類が挙げられるが、これらに限定されない。このうち、カプリン酸エチル(別名:デカン酸エチル)は指定添加物に認可されている。
本発明のポリフェノール類化合物の吸収促進剤において、その好ましい態様における吸収促進のための有効成分であるグレープフルーツ果汁の原料であるグレープフルーツは、そのまま生で食べるほか、ジュースやカクテル、サワーなどに用いられる、食経験豊富な柑橘類である。
本発明においては、ポリフェノール類化合物、フラボノイド類化合物、又はカテキン類化合物を経口的に摂取する際に、上記有効成分を単独で又は組み合わせて摂取することで、ポリフェノール類化合物、フラボノイド類化合物、又はカテキン類化合物の体内への吸収を促進させることができる。ここで、ポリフェノール類化合物には、フェニルカルボン酸類、リグナン類、クルクミン類、クマリン類、フラボノイド類が含まれる。また、フラボノイド類化合物には、フラボン類、フラボノール類、イソフラボン類、フラバン類、フラバノール(カテキン)類、フラバノン類、フラバノノール類、カルコン類、アントシアニジン類が含まれる。また、カテキン類化合物には、カテキン、ガロカテキン、カテキンガレート、ガロカテキンガレートなどの非エピ体カテキン類及びそのメチル化体などの誘導体、またはエピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレートなどのエピ体カテキン類及びそのメチル化体などの誘導体が含まれる。なかでも、エピガロカテキンガレート及びそのメチル化体などの誘導体を特に好ましく例示できる。
本発明は、上記のうち、カテキン類化合物の体内への吸収を促進させるために用いることが好ましく、カテキン、エピカテキン、ガロカテキン、エピガロカテキン、カテキンガレート、エピカテキンガレート、ガロカテキンガレート、エピガロカテキンガレート及びそれらのメチル化体などの誘導体の体内への吸収を促進させるために用いることがより好ましく、エピガロカテキンガレート及びそのメチル化体などの誘導体の体内への吸収を促進させるために用いることが特に好ましい。例えば、お茶等に含まれるカテキン類化合物を好ましく例示できる。
本発明のポリフェノール類化合物の吸収促進剤の有効性を発揮するための上記有効成分の好ましい摂取量としては、後述する試験例の結果から概算すると、1日あたり、コハク酸の場合には、0.1〜80mg/体重1kg、より好ましくは5〜60mg/体重1kg、更により好ましくは10〜40mg/体重1kgであり、システインの場合には、0.1〜90mg/体重1kg、より好ましくは5〜65mg/体重1kg、更により好ましくは10〜40mg/体重1kgであり、アスパラギンの場合には、0.2〜90mg/体重1kg、より好ましくは10〜70mg/体重1kg、更により好ましくは20〜45mg/体重1kgであり、イソロイシンの場合には、0.1〜50mg/体重1kg、より好ましくは5〜35mg/体重1kg、更により好ましくは10〜25mg/体重1kgであり、ピニトールの場合には、0.2〜130mg/体重1kg、より好ましくは5〜100mg/体重1kg、更により好ましくは15〜65mg/体重1kgである。
本発明のポリフェノール類化合物の吸収促進剤において、その好ましい態様における吸収促進のための上記有効成分の好ましい摂取量としては、後述する試験例の結果から概算すると、1日あたり、セリンの場合には、0.05〜110mg/体重1kg、より好ましくは10〜90mg/体重1kg、更により好ましくは10〜25mg/体重1kgであり、アスパラギン酸の場合には、0.05〜130mg/体重1kg、より好ましくは10〜110mg/体重1kg、更により好ましくは10〜30mg/体重1kgであり、リンゴ酸の場合には、0.05〜260mg/体重1kg、より好ましくは10〜220mg/体重1kg、更により好ましくは10〜60mg/体重1kgであり、カプリン酸の場合には、0.004〜25mg/体重1kg、より好ましくは1〜20mg/体重1kg、更により好ましくは1〜10mg/体重1kgであり、ラウリン酸の場合には、0.01〜25mg/体重1kg、より好ましくは2〜20mg/体重1kg、更により好ましくは2〜6mg/体重1kgであり、グレープフルーツ果汁の場合には、固形分換算で、5〜10000mg/体重1kg、より好ましくは1000〜8000mg/体重1kg、更により好ましくは1000〜2000mg/体重1kgである。
また、ポリフェノール類化合物の吸収を効果的に高めるための質量比としては、ポリフェノール類化合物1mgあたり、コハク酸の場合には、0.01〜60mg、より好ましくは0.5〜11mg、更により好ましくは1〜5.5mgであり、システインの場合には、0.01〜60mg、より好ましくは0.5〜11mg、更により好ましくは1〜5.5mgであり、アスパラギンの場合には、0.03〜60mg、より好ましくは1.5〜12mg、更により好ましくは2.5〜6mgであり、イソロイシンの場合には、0.01〜30mg、より好ましくは0.5〜6mg、更により好ましくは1〜3mgであり、ピニトールの場合には、0.02〜90mg、より好ましくは1〜17mg、更により好ましくは2〜8.5mgであり、セリンの場合には、0.01〜30mg、より好ましくは2〜20mg、更により好ましくは2〜5mgであり、アスパラギン酸の場合には、0.01〜40mg、より好ましくは2〜30mg、更により好ましくは2〜6mgであり、リンゴ酸の場合には、0.01〜70mg、より好ましくは2〜50mg、更により好ましくは2〜15mgであり、カプリン酸の場合には、0.001〜6mg、より好ましくは0.2〜4mg、更により好ましくは0.2〜3mgであり、ラウリン酸の場合には、0.002〜7mg、より好ましくは0.4〜5mg、更により好ましくは0.4〜2mgであり、グレープフルーツ果汁の場合には、固形分換算で、1〜2600mg、より好ましくは200〜1800mg、更により好ましくは200〜500mgである。
本発明のポリフェノール類化合物の吸収促進剤においては、その総量当たり、上記有効成分を、コハク酸の場合には、固形分換算で1.0〜100質量%含有することが好ましく、4.5〜100質量%含有することがより好ましい。システインの場合には、固形分換算で1.0〜100質量%含有することが好ましく、4.5〜100質量%含有することがより好ましい。アスパラギンの場合には、固形分換算で1.0〜100質量%含有することが好ましく、4.5〜100質量%含有することがより好ましい。イソロイシンの場合には、固形分換算で1.0〜100質量%含有することが好ましく、4.5〜100質量%含有することがより好ましい。ピニトールの場合には、固形分換算で1.0〜100質量%含有することが好ましく、4.5〜100質量%含有することがより好ましい。セリンの場合には、固形分換算で1.0〜100質量%含有することが好ましく、4.5〜100質量%含有することがより好ましい、アスパラギン酸の場合には、固形分換算で1.0〜100質量%含有することが好ましく、4.5〜100質量%含有することがより好ましい、リンゴ酸の場合には固形分換算で1.5〜100質量%含有することが好ましく、4.5〜100質量%含有することがより好ましい、カプリン酸の場合には固形分換算で1.5〜100質量%含有することが好ましく、4.5〜100質量%含有することがより好ましい、ラウリン酸の場合には固形分換算で1.0〜100質量%含有することが好ましく、4.5〜100質量%含有することがより好ましい、グレープフルーツ果汁の場合には、固形分換算で1.5〜100質量%含有することが好ましく、4.5〜100質量%含有することがより好ましい。含有量がそれぞれの下限未満であると、十分な効果を得るには、飲食品への添加量を増加したり、摂取量を増やす必要が生じる。
また、上記の基本的成分以外に、炭水化物、食物繊維、たんぱく質、ビタミン類等を含むことができる。
本発明のポリフェノール類化合物の吸収促進剤は、医薬品、健康食品、加工食品等の各種分野で用いられ、医薬の有効成分、食品原料等として使用することができる。
例えば、医薬品とする場合には、薬学的に許容される基材や担体と共に製剤化し、医薬組成物として提供することができる。この医薬組成物には、基材や担体の他、薬学的に許容されることを限度として、結合剤、崩壊剤、緩衝剤、保存剤、保湿剤、抗菌剤、防腐剤、香料、顔料、界面活性剤、安定剤、溶解補助剤等の添加剤を任意に配合してもよい。そして、当該医薬組成物の形態としては、丸剤、散剤、錠剤、顆粒剤、カプセル剤、シロップ剤、液剤、ゼリー剤、トローチ剤等の剤型が例示できる。
また、本発明のポリフェノール類化合物の吸収促進剤を飲食品に添加して摂取する場合には、一般の食品の他、特定保健用食品、栄養補助食品、機能性食品等に配合して用いることができる。このような食品としては、例えば、チョコレート、ビスケット、ガム、キャンディー、クッキー、グミ、打錠菓子等の菓子類;シリアル;粉末飲料、清涼飲料、乳飲料、栄養飲料、炭酸飲料等の飲料;アイスクリーム、シャーベットなどの冷菓が挙げられる。また、特定保健用食品や栄養補助食品等の場合であれば、粉末、顆粒、カプセル、シロップ、タブレット、糖衣錠等の形態のものであってもよい。
一方、本発明のもう一つは、ポリフェノール類化合物を含有する飲食品用原料又は飲食品素材用原料に、コハク酸又はその塩類、システイン又はその塩類、アスパラギン、イソロイシン、及びピニトールからなる群から選ばれた少なくとも1種を添加する工程を含む、ポリフェノール類化合物を含有する飲食品又は飲食品素材の製造方法である。
上記製造方法は、ポリフェノール類化合物を含有する飲食品用原料又は飲食品素材用原料に、その飲食品又は飲食品素材に応じた公知の方法、又はこれに準じた方法にしたがって、その原料又は配合成分として、上記ポリフェノール類化合物の吸収を促進する成分である、コハク酸又はその塩類、システイン又はその塩類、アスパラギン、イソロイシン、及びピニトールからなる群から選ばれた少なくとも1種を添加し、必要に応じて適宜他の工程を施すことにより行うことができる。その際、セリン又はその塩類、アスパラギン酸又はその塩類、リンゴ酸又はその塩類、カプリン酸、その塩類又はそのエステル類、ラウリン酸、その塩類又はそのエステル類、及びグレープフルーツ果汁からなる群から選ばれた少なくとも1種を添加してもよい。
また、本発明の他のもう一つは、コハク酸又はその塩類、システイン又はその塩類、アスパラギン、イソロイシン、及びピニトールからなる群から選ばれた少なくとも1種を含む飲食品用原料又は飲食品素材用原料に、ポリフェノール類化合物を添加する工程を含む、ポリフェノール類化合物を含有する飲食品又は飲食品素材の製造方法である。
上記製造方法は、上記ポリフェノール類化合物の吸収を促進する成分である、コハク酸又はその塩類、システイン又はその塩類、アスパラギン、イソロイシン、及びピニトールからなる群から選ばれた少なくとも1種を含有する飲食品用原料又は飲食品素材用原料に、その飲食品又は飲食品素材に応じた公知の方法、又はこれに準じた方法にしたがって、その原料又は配合成分として、ポリフェノール類化合物を添加し、必要に応じて適宜他の工程を施すことによっても行うことができる。その際、セリン又はその塩類、アスパラギン酸又はその塩類、リンゴ酸又はその塩類、カプリン酸、その塩類又はそのエステル類、ラウリン酸、その塩類又はそのエステル類、及びグレープフルーツ果汁からなる群から選ばれた少なくとも1種を添加してもよい。
以下に例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これらの例は本発明の範囲を限定するものではない。
<試験例1>(in vitroのEGCG吸収測定系の確立)
経口摂取したポリフェノール類化合物、特にカテキン類化合物の体内吸収の場は、腸管、ことに小腸、が主要な場であると考えられている。そこでカテキン類化合物、ことにEGCG、の小腸吸収を促進する食品および食品成分を広範な対象から簡便にスクリーニングするために、本発明者らはヒト結腸癌由来Caco-2細胞株(American Type Culture Collection) を用いた小腸上皮モデルによるin vitroのEGCG吸収測定系を確立した。以下に具体的な方法と結果を示す。
Caco-2細胞は培養を3週間程度継続する間に自然に分化し、小腸上皮様の多くの特質を示すことが知られている。Caco-2細胞は、5% CO2を含む加湿した空気の存在下で、75 cm2のプラスチックフラスコ中にて、10%非働化ウシ胎児血清 (HyClone社製) 、50 U/mL ペニシリン-50 μg/mL ストレプトマイシン (GIBCO社製)および1%非必須アミノ酸 (GIBCO社製) を含むダルベッコ改変イーグル培地 (DMEM, pH 7.4; GIBCO社製)中 で培養した。細胞は、80〜90%コンフルエントに到達する5〜8日毎に継代して維持した。以下に述べるEGCGの吸収実験は、継代数30〜70のCaco-2細胞を用いて実施した。
EGCGの吸収実験は、直径12 mmのTranswell (ポリカーボネートフィルターの培養面積1.13 cm2, ポアサイズ0.4 μm; Corning社製) 上で培養したCaco-2細胞単層を用いて行った。Caco-2細胞をTranswell のインサート上に1.0×105 cells/cm2の密度で播種し、1〜2日おきに新たな培地に交換しつつ培養を継続し、Millicell ERSメーター (Millipore社製) を用いて経上皮電気抵抗値(以下、「TEER」という。) を測定することによって細胞単層のタイトジャンクションの完成度をモニターし、タイトジャンクションの形成が完成したことを確認できたものを実験に使用した。TEERの平均値は、播種後4週目に500〜1,000 Ωcm2に達し、その後7週目まで安定に保持された。吸収実験に用いたCaco-2細胞単層は、播種後4〜6週目のものを用いた。
Caco-2細胞単層が乗ったTranswellインサートの上部 (絨毛側) の培地をpH 5.5のHanks’ Balanced Salt Solution-like Transport Medium (絨毛側HBSS溶液; 10 mM MES, 5 mM グルコース, 10 mM グルタミン, 1 mM アスコルビン酸含有)に、また、インサート下部 (漿膜側) の培地を pH 7.4のHBSS (漿膜側HBSS溶液; 10 mM HEPES, 5 mM グルコース, 10 mM グルタミン, 1 mM アスコルビン酸含有)に置換して2回繰り返して洗った後、絨毛側に0.5 mL、漿膜側に1.5 mLの各HBSS溶液を新たに加えて、5% CO2存在下で37℃にて30分間インキュベーションした。30分経過後にTEERを測定した後、再度上下の溶液を新たなHBSS溶液に置換して30分間インキュベーションし、再びTEERを測定した。この時点を吸収開始後0時間とした。
EGCGは中性〜アルカリ性の水溶液中では酸化されやすく不安定であるが、絨毛側HBSS溶液中に1 mMのアスコルビン酸を添加し、且つ、pHを5.5に保つことにより、吸収実験の実施時間中、EGCGは完全に安定に維持された。また、測定系の絨毛側および漿膜側HBSS溶液中に10 mMのグルタミンを添加することにより、Caco-2細胞のEGCG吸収能を4時間以上一定に維持できた。
吸収開始後0時間のTEERを測定後、インサート上下の溶液を新しいHBSS溶液に置換した。この時、Caco-2細胞単層の絨毛側HBSS溶液は、EGCG(Cat. No. E4143; Sigma社製)を添加してEGCG終濃度を47.7μM、184.9μM、492.0μM、954.6μMとし、あるいは緑茶エキス(緑茶熱水抽出物,No. 16714; 三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製)を添加してEGCG終濃度を38.9μM、169.5μM、430.2μM、826.7μMとした。5% CO2存在下で37℃に1時間インキュベーションし、TEERを測定した後、インサート上の絨毛側HBSS溶液は交換せずにインサートを新しい漿膜側HBSS溶液の入ったウェルに移動し、さらに2時間インキュベーションした。2時間経過後TEERを測定し、吸収開始後0時間、1時間、3時間の漿膜側HBSS溶液中に含まれるEGCGの濃度を高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により、以下のようにして測定した。
漿膜側HBSS溶液中に含まれるEGCG濃度の測定は、150 mm×4.6 mm (粒子径5μm) の逆相系カラム (Mightysil RP-18 GP; 関東化学株式会社製) を装着したHPLC装置 (CBM-20AまたはSCL-10Avp; いずれも株式会社島津製作所製)を用い、280 nmにおける吸光度の溶出パターンのピーク面積を測定することにより行った。カラム温度は40℃で行った。カラムからのEGCGの溶出はA液およびB液(A液: 水/アセトニトリル/リン酸 = 700/10/1; B液: A液/メタノール = 2/1)を用いた直線濃度勾配法により、流速0.5 mL/minで行った。まず、400μLの漿膜側HBSS溶液をカラムにインジェクションしたあと、0分から12分までの12分間100% A液を流し、55分までの43分間でB液の濃度を0から80%まで上昇させた。60分まで80% B液を流した後、65分までの5分間でA液の濃度を再び100%として1サイクル75分間の分析を完了した。サンプル中のEGCG濃度は、濃度既知のEGCG標準物質のピーク面積から作成した標準直線を用いて定量した。標準物質において、EGCGの保持時間は53分、検出感度は10 nMであった。
Caco-2細胞の絨毛側へEGCG溶液を添加したときの結果を図1に、緑茶エキス溶液を添加したときの結果を図2に示す。図1及び図2に明らかなように、いずれのEGCG濃度においても、漿膜側に吸収されたEGCG濃度はインキュベーション時間にほぼ比例して増加した。また、図3に示すように、単位時間、単位面積当たりの透過量として表したEGCGの吸収速度を、絨毛側へ添加したEGCGの濃度に対してプロットすると、絨毛側へ添加したEGCGの濃度にほぼ比例して増加していることが明らかとなった。また、異なる濃度のEGCGを添加したときのTEERの経時変化は図4のとおりであり、TEERは時間経過により若干の低下傾向を示すものの、3時間の測定時間中は開始時のTEERが良好に維持されていた。
以上の結果より、Caco-2細胞単層を小腸吸収モデルとして用いることにより、EGCGおよび緑茶からのEGCG吸収を簡便に測定することができることがわかる。即ち、EGCGを安定に保ちつつ、且つ、生体内に近い条件でEGCGの吸収を簡便に測定できるin vitro実験系を確立できた。
<試験例2>(Caco-2細胞のEGCG吸収を促進する食品および食品成分のスクリーニング その1)
上記試験例1のEGCG吸収測定系を用い、絨毛側に下記表1に示す種々の食品あるいは食品成分を添加した場合のEGCGの吸収速度を、EGCGの見かけの透過係数(Papp)として算出し、無添加の場合と比較した。
Figure 0005610736
具体的には、吸収開始後0時間の時点でCaco-2細胞の絨毛側へ、1 mMのEGCGと共に、上記表1に示した各成分を異なる濃度(2〜3濃度)で添加し、一定時間後に漿膜側へ透過されたEGCG量(mol)をHPLCにより測定した。Papp(cm/sec)は、時間t(sec)に対するEGCG透過量Q(mol)をプロットしてその傾きよりdQ/dtを算出し、細胞表面積A(cm2)と絨毛側への添加濃度C0(M)から下記式(1)により求めた。
Figure 0005610736
食品あるいは食品成分を添加しなかった場合のPappを1として、各食品あるいは食品成分を添加した場合のPappの相対値を求めた。そのうちPappが有意に高くなったものについて表2に示す。
Figure 0005610736
表2に示すように、セリン、アスパラギン酸、リンゴ酸、カプリン酸、ラウリン酸、グレープフルーツ果汁の6種の成分が、それぞれ単独でEGCGの吸収を促進した。
<試験例3>(Caco-2細胞のEGCG吸収を促進する食品および食品成分のスクリーニング その2)
上記試験例1のEGCG吸収測定系に準じて、EGCGの代わりにルシファーイエロー(以下、「LY」ともいう。)を用いて、その絨毛側から漿膜側への吸収を指標にして、その吸収を促進する食品あるいは食品成分をスクリーニングした。なお、ルシファーイエロー(LY)は、EGCGと同程度の分子量を有し、腸管からの吸収のメカニズムも能動輸送系を介さずに主にタイトジャンクション経由で吸収され、EGCGと似ている。
下記表3に示す種々の食品あるいは食品成分を添加した場合のLYの吸収速度を、LYの見かけの透過係数(Papp)として算出し、無添加の場合と比較した。
Figure 0005610736
具体的には、吸収開始後0時間の時点でCaco-2細胞の絨毛側へ、50μg/mLのLYと共に、上記表3に示した各成分を異なる濃度(2〜3濃度)で添加し、一定時間後に漿膜側へ吸収されたLY量をHPLCにより測定し、50 μg/mLのLYのみを添加したときのLY吸収量と比較した。その結果、こはく酸、フィチン酸、システイン、アスパラギン、ロイシン、イソロイシン、ピニトールの7種の成分が、LYの吸収を促進した。
上記LYの吸収を促進した7種の成分のうち、EGCGの吸収を有意に促進するものを、Caco-2細胞の絨毛側へ添加したEGCGの濃度を0.2 mMとした以外は、上記試験例2と同様にして、スクリーニングした。
Figure 0005610736
その結果、表4に示すように、こはく酸、システイン、アスパラギン、イソロイシン、ピニトールの5種の成分が、それぞれ単独でEGCGの吸収を促進した。
<試験例4>(食品および食品成分の組み合わせによるEGCGの吸収促進効果)
上記試験例2においてEGCG吸収促進効果が認められた6種の食品あるいは食品成分のうち、ラウリン酸と同一の中鎖脂肪酸に属するカプリン酸を除いたセリン、アスパラギン酸、リンゴ酸、グレープフルーツ果汁、ラウリン酸の5種類について、2種類ずつを組み合わせることによるEGCG吸収促進効果の相乗的あるいは相加的な効果について調べた。具体的には、試験例2と同様にして、Caco-2細胞の絨毛側へ1 mMのEGCGと同時に2種類の食品あるいは食品成分を組み合わせて添加した場合のEGCGの吸収速度を、EGCGの見かけの透過係数(Papp)として算出し、無添加の場合と比較した。その結果を表5に示す。
Figure 0005610736
表5に示すように、セリン+アスパラギン酸、セリン+リンゴ酸、セリン+グレープフルーツ果汁、アスパラギン酸+リンゴ酸、アスパラギン酸+グレープフルーツ果汁、アスパラギン酸+ラウリン酸、リンゴ酸+グレープフルーツ果汁の組み合わせで、相加的なEGCG吸収促進効果が見られた。また、グレープフルーツ果汁+ラウリン酸の組み合わせでは、EGCG吸収促進効果は相乗的であった。
また、このとき、細胞間タイトジャンクションの開閉度合いの指標となるTEERは、EGCGの見かけの透過係数Pappとして算出したEGCGの吸収速度と逆相関の関係にあった。したがって、セリン、アスパラギン酸、リンゴ酸、グレープフルーツ果汁、ラウリン酸、カプリン酸などの働きによって、Caco-2細胞の細胞間通路が開かれ、そこを通ってEGCGが漿膜側へ移行したものと推察された。また、EGCGが細胞内を経由して吸収される場合には硫酸抱合やグルクロン酸抱合される可能性があるため、漿膜側へ通過したEGCGの脱抱合処理を試みたが、抱合体の形で吸収されたEGCGは存在しなかった。このことは、Caco-2細胞においてEGCGは大部分が遊離体の形で吸収されることを示唆し、EGCGが上記の細胞間通路を通って吸収される可能性を示唆していた。
<試験例5>(ラットにおける食品および食品成分のEGCG吸収促進効果)
Caco-2細胞を用いた測定系でEGCGの吸収促進効果を示した上記の食品および食品成分が、動物が口から摂取した場合にも同様のEGCG吸収促進効果を有するかどうかについて調べた。具体的には、緑茶エキス溶液中に添加したセリンとリンゴ酸の最終濃度が(i)無添加、(ii)20 mM セリン+40 mMリンゴ酸、(iii)40 mM セリン+80 mMリンゴ酸、(iv)80 mM セリン+160 mMリンゴ酸となるように4種類の投与液を準備し、それぞれの投与液をラットへ強制経口投与し、投与後の時間経過を追って採血して得た血漿中のEGCG濃度を測定し、濃度×時間(曲線下面積)に変換してEGCGの血中滞在量を比較した。それぞれの投与液中に含まれる緑茶エキス由来のEGCGの濃度は、最終濃度が1 mMになるように調節した。
実験に使用したラット(Sprague Dawley、雄、8週齢;日本SLC株式会社製)は、前もって頸静脈からカニューレを心臓方向に挿入し、カニューレ先端の開口部が右心房の入口近傍に位置するよう留置手術を行った後、実験開始までに1週間の回復期間をおいた。回復期間中のラットは、床網を備えたケージ中で個別に飼育し、CE-2飼料(日本クレア株式会社製)を自由摂食させた。
実験前日の夕方から、16時間絶食させたラットに体重100 g 当たり1 mLの上記投与液(i)〜(iv)を単回強制経口投与した。投与前、投与後0.25、0.5、1、2、3時間の時点で各ラットからカニューレを通して0.5 mLずつヘパリン採血し、採血直後に血漿を分離して分析時まで酸性下で-80℃に保存した。
血漿中のEGCG濃度は、各血漿をβ-グルクロニダーゼおよびスルファターゼにより脱抱合処理する前と後の両方のサンプルについて、サンプル中のEGCGを酸性下において酢酸エチル抽出・乾固した後、HPLCの移動相溶液に溶解してHPLC分析(電気化学検出法)することにより測定した。HPLCによるEGCGの分離は、HPLC装置(SCL-10Avp; 株式会社島津製作所製)に2.0 mm×150 mm (粒子径5μm) の逆相系カラム (CAPCELL PAK C18 MGII;株式会社資生堂製) を装着し、カラム温度40℃にて実施した。カラムへのサンプルのインジェクション量は20μL、移動相には0.1 mMのEDTA・2Naを含む0.1% リン酸:アセトニトリル = 90: 10を用い、流速0.4 mL/minでアイソクラティック溶出した。EGCGの検出は、電気化学検出器(NANOSPACE SI-2; 株式会社資生堂製)により行い、600 mVの印加電圧で検出された電流値の溶出パターンからピーク面積を算出し、濃度既知のEGCG標準物質のピーク面積から作成した標準直線を用いて定量した。EGCG標準物質の保持時間は8.0分、検出感度は2 nMであった。実際の投与液についてもEGCGの含有濃度を再度分析し、予定通りのEGCG量がラットへ投与されたことを確認した。(i)、(ii)、(iii)、及び(iv)の各投与液を投与後に採取したラット血漿を上記のように処理してHPLC分析した結果、(i)〜(iv)のいずれについても脱抱合処理の前後でEGCG濃度に変化はなかった。すなわち、EGCGは大部分が未抱合の遊離体として血中へ吸収されたと考えられる。
各投与液を投与後3時間までのラット血漿中EGCG濃度の経時変化を図5に示す。また、血漿中EGCG濃度×時間(曲線下面積)の経時変化を図6に示す。これらの結果について以下のように統計解析を行った。
まず、各投与液をラットに投与した後の3時間までの血漿中EGCG濃度の経時変化について、投与の種類および投与後の経過時間を因子とした、繰り返しのある二元配置分散分析法による多重比較検定(Scheffe法;危険率5%)を実施した。その結果を表6に示す。
Figure 0005610736
表6に示すように、Scheffeの多重比較検定の結果は、緑茶エキス中に(ii)20 mM セリン+40 mMリンゴ酸、(iii)40 mM セリン+80 mMリンゴ酸、(iv)80 mM セリン+160 mMリンゴ酸を添加してラットに投与したとき、(i)無添加の緑茶エキスを投与したときに比べて血漿中のEGCG濃度が有意に高く(P<0.05)、緑茶エキス中へ(ii)(iii)(iv)のいずれの濃度のセリン+リンゴ酸の組み合わせを添加しても緑茶エキスからのEGCG吸収が促進されることを示した。
続いて、同様にして、各投与液をラットに投与した後の3時間までについての血漿中EGCG濃度×時間(曲線下面積)および投与後の経過時間を因子とした、繰り返しのある二元配置分散分析法による多重比較検定(Scheffe法;危険率5%)を実施した。その結果を表7に示す。
Figure 0005610736
表7に示すように、Scheffeの多重比較検定の結果は、緑茶エキス中に(ii)20 mM セリン+40 mMリンゴ酸、(iii)40 mM セリン+80 mMリンゴ酸、(iv)80 mM セリン+160 mMリンゴ酸を添加してラットに投与したとき、(i)無添加の緑茶エキスを投与したときに比べて血漿中のEGCG濃度×時間(曲線下面積)が有意に高く(P<0.05)、緑茶エキス中へ(ii)(iii)(iv)のいずれの濃度のセリン+リンゴ酸の組み合わせを添加しても緑茶エキスから吸収されたEGCGの血中持続滞在量が増加することを示した。
投与後3時間までの曲線下面積(AUC0→3h)で比較したセリン+リンゴ酸の組み合わせ添加による緑茶エキスからのEGCG吸収促進の度合いは(i)無添加と比べて、(ii)20 mM セリン+40 mMリンゴ酸の添加により9.9倍、(iii)40 mM セリン+80 mMリンゴ酸の添加により11.0倍、(iv)80 mM セリン+160 mMリンゴ酸の添加により12.7倍であった。
上記2種類の多重比較検定の結果は、いずれもセリンとリンゴ酸を含む投与液(ii)(iii)(iv)が無添加の投与液(i)に比べてEGCGの吸収を促進することを示しているが、投与液中に含有されるセリンとリンゴ酸の濃度の違いによって(ii)(iii)(iv)の間に有意差は認められない(P≧0.05)。即ち、(ii)20 mM セリン+40 mMリンゴ酸の濃度では既にEGCG吸収促進効果は頭打ちに近い状態になっていると考えられる。
<試験例6>
次に、セリン+リンゴ酸の添加によるEGCG吸収促進効果が緑茶一般に対して有効であることを示すために、別の種類の緑茶エキスを用いてEGCG吸収促進効果を試験した。具体的には、茶エキスとして、べにふうき緑茶の熱水抽出物 (No. 070423;アサヒ飲料株式会社製)を用いた。また、この試験例では、試験例5で用いた3種類のセリン+リンゴ酸の組み合わせ濃度のうち中間の濃度である40 mM セリン+80 mMリンゴ酸の添加によるEGCG吸収促進効果を調べた。
試験例5と同様の方法によって、べにふうき緑茶エキス溶液に添加したセリンとリンゴ酸の最終濃度が(i)無添加、(ii)40 mM セリン+80 mMリンゴ酸となるように2種類の投与液を準備し、それぞれの投与液を静脈にカニューレを装着したラットへ強制経口投与し、投与後の時間経過を追って血漿中のEGCG濃度を測定し、濃度×時間(曲線下面積)に変換してEGCGの血中滞在量を比較した。それぞれの投与液中に含まれるべにふうき緑茶エキス由来のEGCG濃度は、最終濃度が1 mMになるように調節した。
各投与液を投与後3時間までのラット血漿中EGCG濃度の経時変化を図7に示す。また、血漿中EGCG濃度×時間(曲線下面積)の経時変化を図8に示す。これらの結果について以下のように統計解析を行った。
まず、各投与液をラットに投与した後の3時間までの血漿中EGCG濃度の経時変化について、投与液の種類および投与後の経過時間を因子とした、繰り返しのある二元配置の分散分析を行った。その結果を表8に示す。
Figure 0005610736
表8に示すように、投与液の種類間に有意差(P<0.05)が認められたことから、べにふうき緑茶エキス中に(ii)40 mM セリン+80 mMリンゴ酸を添加してラットに投与したとき、(i)無添加のべにふうき緑茶エキスを投与したときに比べて血漿中のEGCG濃度が有意に高く、べにふうき緑茶エキス中へのセリン+リンゴ酸の組み合わせ添加によってべにふうき緑茶エキスからのEGCG吸収が試験例5で示した緑茶エキスへの添加の場合と同様に促進されることを示した。
続いて、同様にして、各投与液をラットに投与した後の3時間までについての血漿中EGCG濃度×時間(曲線下面積)および投与後の経過時間を因子とした、繰り返しのある二元配置の分散分析を行った。その結果を表9に示す。
Figure 0005610736
表9に示すように、投与液の種類間に有意差(P<0.05)が認められたことから、べにふうき緑茶エキス中に(ii)40 mM セリン+80 mMリンゴ酸を添加してラットに投与したとき、(i)無添加のべにふうき緑茶エキスを投与したときに比べて血漿中のEGCG濃度×時間(曲線下面積)が有意に高く、べにふうき緑茶エキス中へのセリン+リンゴ酸の組み合わせ添加によってべにふうき緑茶エキスから吸収されたEGCGの血中持続滞在量が試験例5で示した緑茶エキスへの添加の場合と同様に増加することを示した。
投与後3時間までの(曲線下面積) (AUC0→3h)で比較した(ii)40 mM セリン+80 mMリンゴ酸の組み合わせ添加によるべにふうき緑茶エキスからのEGCG吸収促進の度合いは(i)無添加と比べて、28.6倍であった。
<試験例7>
緑茶エキスの代わりにEGCGを用いて、試験例5で用いた3種類のセリン+リンゴ酸の組み合わせ濃度のうち最も低濃度の組み合わせである20 mM セリン+40 mMリンゴ酸を添加した場合のEGCG吸収促進効果について試験例5と同様の方法により試験した。
試験例5と同様にして、1 mMのEGCGを含有する投与液中に添加したセリンとリンゴ酸の最終濃度が(i)無添加、(ii) 20 mM セリン+40 mMリンゴ酸となるように2種類の投与液を準備し、それぞれの投与液を静脈にカニューレを装着したラットへ強制経口投与し、投与後の時間経過を追って採血して得た血漿中のEGCG濃度を測定し、濃度×時間(曲線下面積)に変換してEGCGの血中滞在量を比較した。
各投与液を投与後3時間までのラット血漿中EGCG濃度の経時変化を図9に示す。また、血漿中EGCG濃度×時間(曲線下面積)の経時変化を図10に示す。これらの結果について以下のように統計解析を行った。
まず、各投与液をラットに投与した後の3時間までの血漿中EGCG濃度の経時変化について、投与液の種類および投与後の経過時間を因子とした、繰り返しのある二元配置の分散分析を行った。その結果を表10に示す。
Figure 0005610736
表10に示すように、投与液の種類間に有意差(P<0.05)が認められたことから、EGCG溶液中に(ii)20 mM セリン+40 mMリンゴ酸を添加してラットに投与したとき、(i)無添加のEGCG溶液を投与したときに比べて血漿中のEGCG濃度が有意に高く、EGCG溶液中へのセリン+リンゴ酸の組み合わせ添加によってEGCGの吸収が試験例5および試験例6で示した緑茶エキスへの添加の場合と同様に促進されることを示した。
続いて、同様にして、各投与液をラットに投与した後の3時間までについての血漿中EGCG濃度×時間(曲線下面積)および投与後の経過時間を因子とした、繰り返しのある二元配置の分散分析を行った。その結果を表11に示す。
Figure 0005610736
表11に示すように、投与液の種類間に有意差(P<0.05)が認められたことから、EGCG溶液中に(ii)20 mM セリン+40 mMリンゴ酸を添加してラットに投与したとき、(i)無添加のEGCG溶液を投与したときに比べて血漿中のEGCG濃度×時間(曲線下面積)が有意に高く、EGCG溶液中へのセリン+リンゴ酸の組み合わせ添加によって吸収されたEGCGの血中持続滞在量が試験例5および試験例6で示した緑茶エキスへの添加の場合と同様に増加することを示した。
投与後3時間までの(曲線下面積)(AUC0→3h)で比較した(ii) 20 mM セリン+40 mMリンゴ酸の組み合わせ添加によるEGCG溶液からのEGCG吸収促進の度合いは(i)無添加と比べて、3.1倍であった。
上記の試験例5〜7では、2種類の異なる緑茶エキスおよびEGCGからのEGCGの吸収を促進するために添加する食品成分の一例としてセリン+リンゴ酸の組み合わせについて例示したが、上記試験例2〜4のin vitro の試験結果を考え合わせると、EGCGの吸収促進効果は、コハク酸、システイン、アスパラギン、イソロイシン、ピニトール、カプリン酸、ラウリン酸、グレープフルーツ果汁、セリン、アスパラギン酸、リンゴ酸の単独添加、および、これらの組み合わせ添加によって達成することができるものと考えられる。

Claims (3)

  1. カテキン、エピカテキン、ガロカテキン、エピガロカテキン、カテキンガレート、エピカテキンガレート、ガロカテキンガレート、エピガロカテキンガレート及びそれらのメチル化体からなる群から選ばれた少なくとも1種のカテキン類化合物の吸収促進用であって、コハク酸又はその塩類を有効成分とすることを特徴とするカテキン類化合物の吸収促進用の医薬組成物。
  2. 更に、下記(1)〜(6)からなる群から選ばれた少なくとも1種を有効成分とする請求項1記載のカテキン類化合物の吸収促進用の医薬組成物。
    (1)セリン又はその塩類
    (2)アスパラギン酸又はその塩類
    (3)リンゴ酸又はその塩類
    (4)カプリン酸、その塩類又はそのエステル類
    (5)ラウリン酸、その塩類又はそのエステル類
    (6)グレープフルーツ果汁
  3. 前記カテキン類化合物が、茶由来のものである請求項1又は2記載のカテキン類化合物の吸収促進用の医薬組成物。
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