JP5610387B2 - 有機薄膜半導体装置及びその製造方法 - Google Patents
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Description
ボトムコンタクト構造は、トップコンタクト構造と比較して、有機薄膜を作製する前に電極パターンを作製できることから、既存のリソグラフ技術の適用が容易であり、高解像度に対応可能である。さらには、有機薄膜が電極作製プロセスによるダメージを避けることが可能となり、プロセス上、また応用上、トップコンタクト構造よりも有利な点が多い。そのため、ボトムコンタクト構造の簡便な製造プロセスを活かしつつ、高機能のボトムコンタクト有機薄膜装置を実現することが実用上強く求められている。
しかしながら、現在、同一の有機半導体材料を使用したとしても、ボトムコンタクト構造により作製した有機半導体装置は、トップコンタクト構造を有する有機半導体装置に比較して、閾電圧、移動度等の特性値が著しく劣っている。
有機半導体材料、薄膜製造方法、基板の表面状態を同一条件とすることにより、多結晶薄膜内の微結晶のサイズ、充填率、結晶構造、微結晶間の結合性などの膜質を同一にしても、ボトムコンタクト構造での電極端と有機半導体チャンネル部分の接続は、電極端形状に影響を受け、有機半導体装置の性能は大きく左右される。高性能で、実用可能な有機薄膜トランジスタを得るためには、材料自体が高い性能を有することが必要なだけでなく、閾電圧、移動度等の特性値に優れるボトムコンタクト構造に適した電極端形状の製造方法を見出すことが不可欠である。
しかし、剥離防止材料の膜厚を減少させると剥離防止の効果が薄れる上、モリブデン酸化膜は、酸化価数によっては、絶縁性になるため、プロセス制御が困難である。特許文献1に実施例として示される有機薄膜トランジスタは、オンオフ比が10の3乗程度、移動度が0.1cm2/Vs程度であり、改善の程度は目覚ましいものとは言えない。
有機薄膜チャンネルのキャリア蓄積層が電極表面に無理なく接触できるため、十分な性能向上が期待できるはずであるが、プロセス上、埋め込み電極を有機チャンネル部分と電極部分に溝を発生させることなく、有機チャンネル部分と電極部分を同じ高さに調整することは、実際上困難であり、例えば、このような手法を用いた非特許文献2に開示の有機薄膜トランジスタでは、チャンネルと電極との間に溝が確認できる。
特許文献2では、埋め込み電極をマイクロコンタクトプリントで作製する手法を提案しているが、絶縁層の表面を高度に表面疎水処理を行うことができなくなる。ペンタセン有機薄膜装置において、表面疎水処理がトランジスタ性能に大きく影響を与えることは、公知であり、当該手法は一定の改善は見られるが、十分なものではない。
ただし、ボトムコンタクト構造で金属電極表面を疎水処理するに際に、絶縁層表面もチオール処理剤に暴露されるため、有機薄膜チャンネルに悪影響を与えることが十分に予測される。また、非特許文献3において報告される、4−チオクレゾールにて金属電極表面部分を処理した実施例では、オンオフ比10の7乗、サブシュレッシュホールド1.6V/decを実現できているが、移動度に関しては数値の記述はなく、自社製品の標準デバイスに対して7倍程度の向上であり、他の手法に対する特段の優位性は認められない。
一般に、金属で形成される電極の表面と絶縁層の表面とは、それぞれの表面エネルギーが大きく異なることが多く、そのため、無処理の電極表面上と絶縁層表面上とでは、有機半導体層の薄膜成長の様子が異なることが知られているが、前記電極端部の立ち上がり角度を小さくすることにより、前記有機半導体形成材料(有機分子)の拡散運動を妨げる効果を減少させることができる。
したがって、前記電極端部の立ち上がり角度を小さくする電極構造とすれば、高移動度、低コンタクト抵抗、低閾電圧及び低サブシュレッシュホールド値を同時に実現する高性能の有機薄膜半導体装置を得ることができる。
また、前記電極の表面にチオール処理等の処理を行うことなく、前記電極上に前記有機半導体層を滑らかに形成することができるため、製造プロセスが簡便であるとともに、前記チオール処理等のウエットプロセスにより前記絶縁層に悪影響を与えることを回避することができる。
<1> 少なくとも、絶縁層と、前記絶縁層上に配される2つの電極と、前記各電極上を被覆して前記電極間にチャンネルを形成可能な有機半導体層と、を含むボトムコンタクト型の有機薄膜半導体装置であって、前記電極の側面のうち、少なくとも前記絶縁層に接する位置に、前記有機半導体層側から前記絶縁層側に向けて幅広となるテーパ状の勾配を有する電極端部が形成され、前記電極端部の前記絶縁層の層方向に対する前記勾配の傾きで表わされる立ち上がり角度が、下記式(1)で決定される前記有機半導体層を形成する有機分子の成長許容角度θmax(度)以下であり、前記有機半導体層の厚みが10nm〜500nmであることを特徴とする有機薄膜半導体装置。
θmax=tan−1(e/d) ・・・(1)
ただし、前記式(1)において、dは、前記有機分子の結晶粒の厚みを示し、eは、前記絶縁層の前記層方向における前記有機分子1層分の厚みを示す。
<2> 電極端部の立ち上がり角度が、1度以下である前記<1>に記載の有機薄膜半導体装置。
<3> 有機半導体層の形成材料が、ペンタセンである前記<1>から<2>のいずれかに記載の有機薄膜半導体装置。
<4> 電極の形成材料が、金である前記<1>から<3>のいずれかに記載の有機薄膜半導体装置。
<5> 前記<1>〜<4>のいずれかに記載の有機薄膜半導体装置の製造方法であって、前記絶縁層に対して除電したシャドウマスクを密着させた後、前記シャドウマスクを通じて前記絶縁層上に電極の形成材料を蒸着させて前記電極を形成する電極形成工程と、前記電極が形成された前記絶縁層上に前記有機半導体層の形成材料を被覆させて前記有機半導体層を形成する有機半導体層形成工程と、を含むことを特徴とする有機薄膜半導体装置の製造方法。
本発明の有機薄膜半導体装置は、少なくとも、絶縁層と、2つの電極と、有機半導体層とを含み、必要に応じて、その他の部材を有する。
前記絶縁層としては、電気絶縁性を有する限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ゲート絶縁膜として用いられる比誘電率の高い無機材料から形成される層が挙げられる。
前記無機材料としては、特に制限はなく、SiO2等のシリコン酸化物、SixNy及びSiONx等の窒化ケイ素等が挙げられる。
前記有機薄膜半導体装置を有機薄膜トランジスタとして構成する場合、前記絶縁層は、ゲート絶縁膜として機能する。
このような表面処理を施すことで、素子特性の大幅な改善が期待できる。
前記電極は、前記絶縁層上に配される。
前記電極は、側面のうち、少なくとも前記絶縁層に接する位置に、前記有機半導体層側から前記絶縁層側に向けて幅広となるテーパ状の勾配を有する電極端部が形成される。
ここで、前記電極端部の前記絶縁層の層方向に対する前記勾配の傾きで表わされる角度を立ち上がり角度としたとき、前記立ち上がり角度が、下記式(1)で決定される前記有機半導体層を形成する有機分子の成長許容角度θmax(度)以下であることが肝要である。
前記有機半導体層には、有機分子の集合体が単結晶で構成される結晶粒が用いられる。そのため、前記電極端部の勾配をスロープとして、前記有機分子が拡がって成長する成長許容角度θmax(度)は、前記結晶粒内部の前記有機分子の欠損を伴うことを考慮する。
したがって、前記結晶粒の厚みdに対して、1分子分の欠損を伴う成長許容角度θmax(度)は、前記絶縁層の前記層方向における前記有機分子1層分の厚みをeとすると、
θmax=tan−1(e/d) ・・・(1)
となる。
即ち、図2に示すように、有機分子の結晶粒6は、刃状転位により一部の有機分子(図中のm)を欠損して変形する。前記立ち上がり角度が前記刃状転位を許容する角度であれば、結晶粒6は電極端部5上に拡がって成長する。また、このとき結晶粒6には、前記刃状転位により有機分子が欠損した結晶部7と、有機分子の欠損がない結晶部8とが含まれるが、有機分子の欠損がない結晶部8により、キャリア蓄積層が十分に確保され、伝導パスに乱れが生じることを抑制することができる。
したがって、前記電極端部の立ち上がり角度が前記有機分子の成長許容角度以下になるように前記電極端部を形成すると、後工程で前記絶縁層に対して被覆される前記有機半導体層の形成材料が、前記勾配上に拡がって前記電極と前記有機半導体層との間にクラック欠陥を生ずることなく滑らかに蒸着することができる。
ペンタセン蒸着膜の構造は、三斜晶系であり、a軸0.5958nm、b軸0.7596nm、c軸1.56nmで基板に垂直方向がc軸になると報告されている(下記、非特許文献4参照)。
前記ペンタセンを用いた薄膜トランジスタでは、前記結晶粒の厚みは、5〜6層以上であることが知られている。そのため、有機一分子の厚みは、a軸もしくはb軸の値と、前記式(1)により、前記有機分子の成長許容角度(前記立ち上がり角度)は、1.8°〜2.3°の範囲内にあることとなる。
(非特許文献4)Stefan Schiefer等 “Determination of the Crystal Structure of Substrate−Induced Pentacene Polymorphs in Fiber Structured Thin Films”,Journal of American Chemical Society,Vol.129,pp.10316−10317(2007)
前記電極端部の立ち上がり角度の測定方法としては、特に制限はなく、例えば、原子間力顕微鏡により観察する方法等が挙げられる。
前記電極端部を厚みの薄い前記電極端部の形状のみで構成すると抵抗の増大を招くことがあり、前記電極端部としては、低抵抗化を実現する観点から、電極の側面が断面視で、立ち上がり角度の小さい前記電極端部と、立ち上がり角度の大きく前記電極端部から前記電極の頂部に向けて***する***部とで2段階の勾配を有するように形成することが好ましい。
本明細書では、前記電極端部の勾配を前記***部の勾配と区別して、前記立ち上がり角度を低角度に規制する必要のある前記電極端部を以下のように定義する。
即ち、前記電極と前記絶縁層との界面において、前記界面の外端位置から中心位置に向かって小さくとも0.5μmにわたる領域上に、一定の勾配を有して形成される前記電極の部を前記電極端部とする。
金を用いる場合、安定で、立ち上がり角度を小さくすることができる。
前記有機半導体層は、前記各電極上を被覆して前記電極間にチャンネルを形成可能とされる。前記有機半導体層は、ボトムコンタクト構造の有機薄膜半導体装置として、底部側に前記電極が配される。
前記有機半導体層の形成材料としては、前記の通り、有機分子の集合体が単結晶で構成される結晶粒が用いられる。
前記有機分子としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、公知の有機半導体装置に用いられる有機半導体材料を広く用いることができる。
例えば、前記有機半導体材料の形成材料としては、数平均分子量が10,000以下の有機低分子材料を挙げることができ、中でも、ナフタレン、アントラセン、テトラセン、ペンタセン、ヘキサセン、ヘプタセン等のアセン類が好ましく、ペンタセンが特に好ましい。これらのアセン類は置換基を有していてもよい。
前記アセン類材料は、デンドライト構造(樹状結晶構造)をとり、蒸着形成の際に前記絶縁層から前記電極端部に向けて溝を生じさせることなく、結晶成長させることができる。
10nm未満であると、トランジスタ特性が不安定になることがあり、500nmを超えると、トランジスタのパフォーマンスを低下させることがある。
前記その他の部材としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ゲート電極、基板等が挙げられる。
前記有機薄膜半導体装置は、前記ゲート電極を配して有機薄膜トランジスタとして構成することができる。
前記ゲート電極の電極材料としては、前記ソース電極及び前記ドレイン電極として機能する電極の電極材料と同様の電極材料を用いることができる。
前記基板としては、前記ゲート電極及び前記絶縁層(ゲート絶縁層)を支持するために用いられる。
前記基板の材料としては、ガラス、金属酸化物や窒化物等の無機化合物、ポリスチレン、ポリカーボネート、PMMA、PVA、ポリスチレン、ポリプロピレン等の樹脂材料からなるプラスチックフィルム、金属材料等が挙げられる。
また、前記基板としてはシリコン基板を用いることができ、該シリコン基板を用いる場合、該シリコン基板自身をゲート電極兼基板として用いることができる。
また、前記シリコン基板は、シリコン表面を酸化してSiO2層を形成し、絶縁層として用いることもできる。
有機半導体装置(有機薄膜トランジスタ)10は、ボトムコンタクト型の有機半導体装置に係り、ゲート電極の機能を付与した基板1上に絶縁層2が形成されている。絶縁層2上には、2つの電極3a、3bが配され、電極3aはドレイン電極、電極3bはソース電極として機能する。絶縁層2及び2つの電極3a、3bは、有機半導体層4で被覆されている。なお、ゲート電極の機能を付与した基板1に代えて、別途ゲート電極を配する場合、絶縁層2に電界を印加できれば、ゲート電極の位置に限定はない。
したがって、有機半導体装置10では、有機半導体層4の形成材料が、電極端部5の勾配をスロープとして絶縁層2から電極端部5に対して迫り出すように形成され、電極3aと有機半導体層4との間に溝が生じることなく、有機半導体層4が電極3a上に一様に形成されている。
これにより、有機半導体装置10では、ボトムコンタクト構造特有の簡易な製造プロセスを活かしつつ、高移動度、低コンタクト抵抗、低閾電圧及び低サブシュレッシュホールド値を同時に実現することができる。
なお、電極3aの側面は、直立した勾配と、電極端部5が形成する立ち上がりの勾配の2つの勾配を有するが、電極端部3aと絶縁層2との界面において、前記界面の外端位置から中心位置に向かって小さくとも0.5μmにわたる領域上に、立ち上がり角度θの一定勾配を有して形成される部を電極端部5とし、直立した勾配を有する電極3aの側面と区別される。
本発明の有機薄膜半導体装置の製造方法は、少なくとも、絶縁層と、前記絶縁層上に配される2つの電極と、前記電極間にチャンネルを形成可能な有機半導体層と、を含むボトムコンタクト型の有機薄膜半導体装置の製造方法であり、少なくとも、以下に詳述する電極形成工程と、有機半導体層形成工程とを含むことを特徴とする。
前記電極形成工程は、前記絶縁層に対して除電したシャドウマスクを密着させた後、前記シャドウマスクを通じて前記絶縁層上に電極の形成材料を蒸着させ、前記電極を形成する工程である。
本発明者らは、前記絶縁層に対して除電したシャドウマスクを密着させてから、電極材料の蒸着を行うと、形成される前記電極の電極端部の立ち上がり角度を極めて小さくすることができることを知見した。本発明の前記有機薄膜半導体装置は、当該有機薄膜半導体装置の製造方法により容易に製造することができる。
また、前記電極の表面にチオール処理等の処理を行うことなく、前記電極上に前記有機半導体層を滑らかに形成することができるため、製造プロセスが簡便であるとともに、前記チオール処理等のウエットプロセスにより前記絶縁層に悪影響を与えることを回避することができる。
このような工程により、前記電極端部の立ち上がり角度を極めて小さくすることができる理由としては、以下のように考えられる。
即ち、前記電極端部は、前記密着シャドウマスクにより、前記絶縁層上に直接的に蒸着形成されるものではなく、前記絶縁層上に前記電極材料が一旦蒸着されて電極本体部分が形成された後、当該電極本体部分からの表面拡散により、前記密着シャドウマスクと前記絶縁層との間に存在するミクロな隙間に前記電極材料が拡散して形成されるためであると推察される。
前記シャドウマスクの除電方法としては、除電できる限り特に制限はなく、例えば、コロナ放電を利用した静電装置等の公知の除電装置を用いて除電する方法が挙げられる。
なお、前記電極材料としては、本発明の前記有機半導体装置について説明したものを適用することができる。
前記有機半導体形成工程は、前記電極が形成された前記絶縁層上に前記有機半導体層の形成材料を被覆させて前記有機半導体層を形成する工程である。
前記有機半導体層の形成材料の被覆方法としては、抵抗加熱法等による真空蒸着方法、塗布法等が挙げられる。
なお、前記電極材料としては、本発明の前記有機半導体装置について説明したものを適用することができる。
前記その他の工程としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記有機半導体装置を有機薄膜トランジスタとして構成する場合には、有機薄膜トランジスタの製造プロセスに用いられる公知の工法にしたがって前記有機薄膜トランジスタを製造することができる。
ゲート電極として機能するN型ドープシリコン基板表面に厚さ100nmの酸化シリコン薄膜(絶縁層)が形成されたものを試験基材として用いた。前記酸化シリコン薄膜には、HMDSによる表面処理が施してある。この試験基材を超音波洗浄機に入れ、有機溶媒(アセトン)中にて超音波洗浄した。
次いで、コロナ放電を利用した静電装置を用いて除電することにより除電したシャドウマスクを前記試験基板の酸化シリコン薄膜に密着させた。この状態で、真空蒸着装置を用い、真空度10−5〜10−4のレンジにて、金(電極材料)をタングステンボートの抵抗加熱法により、厚みが15nm〜30nmの範囲となるように蒸着し、前記酸化シリコン薄膜上に前記シャドウマスクを用いたソース電極及びドレイン電極の電極パターンを形成した。
ここで、前記断面プロファイルに示されるように、電極の側面が断面視で、立ち上がり角度の小さい電極の端部と、立ち上がり角度の大きく前記端部から前記電極の頂部に向けて***する***部とで2段階の勾配を有するように形成されている。電極を厚みの薄い前記電極端部の形状のみで構成すると抵抗の増大を招くため、厚みの厚い前記***部を付与した2段構造とすることで低抵抗化を図ることができる。
なお、測定した断面プロファイルから、電極端部の立ち上がり角度は、0.9度であった。
前記電極が形成された試験基材上に、真空蒸着装置を用いてペンタセンを一様に蒸着させ、ペンタセンを形成材料とする有機半導体層を形成した。具体的には、セラミックス製のるつぼを使用した加熱蒸着源内に真空昇華法により精製した7mg〜9mg程度のペンタセン材料を充填し、2×10−5Paの真空条件下で、約250℃で加熱することで、前記ペンタセン材料を蒸発させ、前記試験基板上にペンタセン薄膜を蒸着した。ここで、前記蒸着は、ペンタセン薄膜の厚みが50nm〜100nmの範囲となるように行った。
以上により、実施例1における有機薄膜半導体装置を製造した。
実施例1で用いた試験基材において、酸化シリコン薄膜にHMDS処理を行うことに代えてポリスチレン薄膜をコートしたこと以外は実施例1と同様にして、実施例2における有機薄膜半導体装置を製造した。
実施例1と同様に測定した断面プロファイルから、この実施例2における有機薄膜半導体装置の電極端部の立ち上がり角度は、0.9度であった。
実施例1の電極形成工程において、除電したシャドウマスクを試験基板の酸化シリコン薄膜に密着させて金(電極材料)を蒸着することに代え、試験基板の酸化シリコン薄膜との間に50μm程度の間隙をもたせた状態で、除電しないシャドウマスクを配して金(電極材料)を蒸着したこと以外は実施例1と同様にして、比較例1における有機薄膜半導体装置を製造した。
実施例1と同様に測定した断面プロファイルから、この比較例1における有機薄膜半導体装置の電極端部の立ち上がり角度は、11度であった。
前記実施例に係る有機半導体装置の特性をアルゴンガス雰囲気中にて、プローバ(株式会社共和理研製K−157MP)及び、半導体パラメータアナライザ(Agilent Technologies製E5270A)を用いて測定した。
図4(a)は、実施例1における有機薄膜半導体装置の電極(ソース電極ないしドレイン電極)の端部周辺の様子を撮影した原子間力顕微鏡像である。該図4(a)のA1で示す箇所は、立ち上がり角度が低い電極の端部部分の領域を示している。この領域においても、ペンタセンの樹脂状結晶(デンドライト構造)の成長がチャンネルから迫り出していることが確認される。
一方、図4(b)は、比較例1における有機薄膜半導体装置の電極(ソース電極ないしドレイン電極)の端部周辺の様子を撮影した原子間力顕微鏡像である。該図4(b)のA2で示す箇所は、電極とチャンネル部分との界面位置を示している。この図から理解されるように、界面位置ではペンタセンの樹脂状結晶(デンドライト構造)が、十分形成されていないことが確認される。
移動度μは、線形領域での特性曲線から以下の式(A)より算出される。
ISD=(WCi/2L)μ(VG−V0)2 ・・・(A)
ただし、前記式(A)Ciは、絶縁容量、10nF/cm2、VGは、ゲート電圧、ISDは、ソースドレイン電流、V0は、外挿された閾値電圧である。
また、図6は、算出された移動度、オン/オフ比、閾電圧、及びサブスレッシュホールドスロープを電極の立ち上がり角度をパラメータとして図示したものである。電極の立ち上がり角度が高い場合の特性値も合わせて図示してある。
2 絶縁層
3a 電極(ドレイン電極)
3b 電極(ソース電極)
4 有機半導体層
5 電極端部
6 結晶粒
7 有機分子が欠損した結晶部7
8 有機分子の欠損がない結晶部8
10 有機薄膜半導体装置(有機薄膜トランジスタ)
A1 立ち上がり角度が低い電極端部の領域
A2 電極とチャンネル部分との界面位置
θ、θ1、θ2 立ち上がり角度
d 結晶粒の厚み
m 1分子層の厚み
Claims (5)
- 少なくとも、絶縁層と、前記絶縁層上に配される2つの電極と、前記各電極上を被覆して前記電極間にチャンネルを形成可能な有機半導体層と、を含むボトムコンタクト型の有機薄膜半導体装置であって、
前記電極の側面のうち、少なくとも前記絶縁層に接する位置に、前記有機半導体層側から前記絶縁層側に向けて幅広となるテーパ状の勾配を有する電極端部が形成され、
前記電極端部の前記絶縁層の層方向に対する前記勾配の傾きで表わされる立ち上がり角度が、下記式(1)で決定される前記有機半導体層を形成する有機分子の成長許容角度θmax(度)以下であり、
前記有機半導体層の厚みが10nm〜500nmであることを特徴とする有機薄膜半導体装置。
θmax=tan−1(e/d) ・・・(1)
ただし、前記式(1)において、dは、前記有機分子の結晶粒の厚みを示し、eは、前記絶縁層の前記層方向における前記有機分子1層分の厚みを示す。 - 電極端部の立ち上がり角度が、1度以下である請求項1に記載の有機薄膜半導体装置。
- 有機半導体層の形成材料が、ペンタセンである請求項1から2のいずれかに記載の有機薄膜半導体装置。
- 電極の形成材料が、金である請求項1から3のいずれかに記載の有機薄膜半導体装置。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の有機薄膜半導体装置の製造方法であって、
前記絶縁層に対して除電したシャドウマスクを密着させた後、前記シャドウマスクを通じて前記絶縁層上に電極の形成材料を蒸着させて前記電極を形成する電極形成工程と、
前記電極が形成された前記絶縁層上に前記有機半導体層の形成材料を被覆させて前記有機半導体層を形成する有機半導体層形成工程と、
を含むことを特徴とする有機薄膜半導体装置の製造方法。
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