JP5609081B2 - 溶銑の脱硫方法 - Google Patents

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本発明は、機械攪拌式脱硫装置を用いた溶銑の脱硫方法に関し、詳しくは、脱硫反応を促進して効率良く溶銑を脱硫する方法に関する。
高炉から出銑された溶銑には、鋼の品質に悪影響を及ぼす燐(元素記号:P)、硫黄(元素記号:S)が高濃度に含有されており、これらを除去する種々の技術が開発されている。今日の鉄鋼精錬プロセスにおいては、転炉での脱炭精錬に先立って溶銑に含有される燐及び硫黄を予め除去する方法、所謂、「溶銑の予備処理」が一般的に行われている。このうち、溶銑の脱硫処理は、水平断面がほぼ円形を有する精錬容器に溶銑を保持し、脱硫剤を溶銑上に添加し、インペラー(「攪拌羽根」、「攪拌翼」とも呼ぶ)と称する、羽根を有する回転子を溶銑内に浸漬して回転させ、溶銑及び脱硫剤を攪拌して脱硫する方法(以下、「機械攪拌式脱硫法」という)が広く行われている。この機械攪拌式脱硫法においては安価なCaO(石灰)を主成分とする脱硫剤が用いられている。
CaOによる溶鉄の脱硫反応は、一般的に下記の(1)式で表される。
[S]+(CaO)=(CaS)+[O] …(1)
(1)式において、[S]は溶鉄中の硫黄、(CaO)はスラグ中の酸化カルシウム、(CaS)はスラグ中の硫化カルシウム、[O]は溶鉄中の酸素を示す。(1)式の反応を進めて脱硫を促進させるには、還元雰囲気にして溶鉄中の酸素ポテンシャルを低下させることが有効であることが分かる。
これを実現させる技術として、特許文献1には、機械攪拌による溶銑脱硫において、脱硫剤を上吹きランスを介して、炭化水素ガスなどの還元性ガスやArガスなどの不活性ガスからなる搬送用ガスとともに溶銑浴面に上吹き添加して脱硫する方法が開示されている。また特許文献2には、機械攪拌による溶銑脱硫において、水素ガスまたは分解して水素ガスを発生する炭化水素ガスを含むガスを溶銑湯面に吹き付け、溶銑湯面に前記ガスの吹き付けによる所定量の凹みを形成させながら脱硫する方法が開示されている。
特開2005−179690号公報 特開2003−166009号公報
しかしながら、上記従来技術には以下の問題点がある。
即ち、特許文献1に開示されるように、脱硫剤を上吹きランスを介して搬送用ガスとともに上吹き添加する方法は、従来の上置き添加方法に比較すると、粉状の脱硫剤を溶銑に効率良く添加することができるが、上吹きするガス噴流の外側は減衰するので脱硫剤が浴面に到達する前に飛散して、集塵機に吸引されてしまい、結果的に脱硫剤の歩留りが低下し、脱硫効率が期待されるほど向上しないという問題点がある。つまり、上吹きランスを用いた上吹き添加方法は優れる方法であるが、更なる改良が必要である。
特許文献2は、溶銑の酸素ポテンシャルを低下させて脱硫反応を促進させる手段としては優れているが、粉状の脱硫剤を添加しようとする場合には、水素ガスまたは炭化水素ガスを含有するガスを吹き込むための上吹きランス以外に、脱硫剤を上吹き添加するための上吹きランスが別途必要となり、設備費が嵩むのみならず、設備が煩雑になるという問題点がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、機械攪拌式脱硫装置で攪拌されている溶銑に上吹きランスから脱硫剤を上吹き添加して溶銑を脱硫処理する際に、脱硫剤の飛散を抑制して、反応性に優れる細粒の脱硫剤を効率良く溶銑中へ添加すると同時に、溶銑の酸素ポテンシャルを効率良く低下させて、溶銑を安定して効率的に脱硫する方法を提供することである。
上記課題を解決するための第1の発明に係る溶銑の脱硫方法は、機械攪拌式脱硫装置を用いた溶銑の脱硫方法において、インペラーによって攪拌されている溶銑の浴面上に、多重管構造である上吹きランスの先端部から搬送用ガスとともに脱硫剤を上吹き添加するとともに、脱硫剤を上吹きする部位の外周に設けた前記上吹きランス先端部の部位から、還元性ガス、不活性ガス、非酸化性ガスの内の何れか1種または2種以上のガスを溶銑浴面に向けて同時に吹き付けて脱硫処理を行うことを特徴とする。
第2の発明に係る溶銑の脱硫方法は、第1の発明において、脱硫剤を上吹きする部位の外周に設けた部位から吹き込むガスが、炭化水素ガスまたは水素ガスであることを特徴とする。
第3の発明に係る溶銑の脱硫方法は、第1または第2の発明において、前記上吹きランスは鉛直方向下方を向いて配置され、溶銑を収容する処理容器の内壁半径をD(m)、処理容器の中心から前記上吹きランス中心までの水平距離をA(m)としたときに、該水平距離(A)が、前記内壁半径(D)に対して下記の(2)式の関係を満足する範囲内であることを特徴とする。
0≦A≦(2/3)×D…(2)
本発明によれば、反応性に優れる細粒の脱硫剤を搬送用ガスとともに上吹きランスの先端から上吹き添加して溶銑を脱硫処理する際に、脱硫剤の吹き付け部位よりも外周の上吹きランス先端の部位からガスを溶銑浴面に向けて吹き付けるので、このガスによるガスカーテン効果によって内側から吹き付ける脱硫剤の飛散が抑制され、脱硫剤の添加歩留まりが向上して脱硫反応が促進され、少ない脱硫剤で所望する脱硫処理が実施可能となる。その結果、脱硫剤原単位の削減、これに伴う発生スラグ量の削減などが達成され、工業上有益な効果がもたらされる。
水モデル実験装置において、二重管構造の上吹きランスから吹き込む脱硫剤の飛散量を測定した結果を示す図である。 機械攪拌式脱硫装置を模擬した実験装置の概略図である。 水モデル実験装置において、浴内の鉛直方向の流れとその流速値とを計測した結果を示す図である。 本発明を実施した機械攪拌式脱硫装置の側面概略図である。
以下、本発明を具体的に説明する。先ず、本発明に至った経緯について説明する。
本発明者らは、機械攪拌式脱硫装置を用いた溶銑の脱硫処理において、細粒の脱硫剤を歩留まり良く溶銑に添加する方法を種々検討・研究した。その結果、特許文献1に開示された、脱硫剤を搬送用ガスとともに上吹きランスから上吹き添加する方法が格段に添加歩留りが向上し、脱硫率が向上することを確認した。
しかしながら、実機における試験結果から、上吹きランスを介して搬送用ガスとともに脱硫剤を供給する場合に、上吹きガス噴流の周囲で脱硫剤の飛散が確認され、脱硫剤の歩留りが低下していることが分かった。つまり、上吹きランスを介した上吹き添加方法であっても、いまだ改善する余地のあることが分かった。
そこで、本発明者らは、上吹きランスを介した上吹き添加脱硫方法において、脱硫剤の更なる歩留り向上を目的として検討・研究を実施した。この検討・研究過程で、搬送用ガスとともに上吹き添加する脱硫剤の飛散量を少なくするためには、脱硫剤を添加する上吹きランスを多重管構造として、内部側で脱硫剤を吹き込み、その外周側でガスを吹き込むことで、外周側のガスによるガスカーテン効果により、内部側の脱硫剤の飛散を抑制することができるという考えに至った。
そこで先ず、機械攪拌式脱硫装置の水モデル実験装置において、内管及び外管からなる二重管構造の上吹きランスを用いて、内管には脱硫剤を窒素ガスともに流し、外管(正確には内管と外管との間隙)には窒素ガスのみを流し、これらを水面に向けて鉛直方向から噴射し、周囲に飛散する脱硫剤の量を測定した。具体的には、集塵機に回収される排ガス中のダスト濃度を測定し、排ガス中のダスト濃度から周囲に飛散する脱硫剤の量を測定した。測定結果を図1に示す。図1に示すように、外管からもガスを吹き付けた場合には、脱硫剤の飛散量が著しく減少することが分かった。
更に、機械攪拌式脱硫装置を模擬した実験装置を用いて、多重管式上吹きランスを用いた場合の脱硫挙動を調査した。図2に、機械攪拌式脱硫装置を模擬した実験装置の概略図を示す。
実験装置は高周波加熱コイル14を備えており、高周波加熱コイル14によって加熱され溶融した、内壁半径(D)が150mmの坩堝容器10に保持された溶銑3に、インペラー12を浸漬させ、電動機13によってインペラー12を回転させて溶銑3を攪拌した。溶銑3の攪拌が定常状態になった後、溶銑3の浴面上方に設置した、内管及び外管からなる二重管構造の上吹きランス11の内管から、窒素ガスを搬送用ガスとしてCaOを主成分とする脱硫剤を溶銑浴面に上吹き添加すると同時に、上吹きランス11の外管(外管と内管との間隙)から窒素ガスを溶銑浴面に吹き付けた。上吹きランス11の設置位置は、坩堝容器10の中心位置からの水平距離が80mmの位置に固定した。
その結果、外管から窒素ガスの吹き付けを行わない場合に比較して、外管から窒素ガスを脱硫剤の吹き付けと同時に行った場合に、脱硫効率が向上することが分かった。外管から吹き付けるガスは、脱硫反応が還元反応であることから、酸素ガスを含有しないガスであれば、つまり、還元性ガス、不活性ガス、非酸化性ガスの内の何れかであれば、問題ないことも分かった。当然これらのガスを混合しても全く問題ないことも分かった。還元性ガスとしては、炭化水素ガス、水素ガス、COガスなど、不活性ガスとしてはArガスなどの希ガス、非酸化性ガスとしては窒素ガスなどが挙げられる。
また、これらのガス種のなかでも、炭化水素ガスまたは水素ガスを外管から吹き込んだ場合に最も脱硫効率が向上することが分かった。これは、以下の理由によるものである。即ち、外周のガスを炭化水素ガスまたは水素ガスにすることで、これらのガスは雰囲気中の酸素ガス或いは溶銑中の酸素と反応する。その結果、雰囲気が還元性となって脱硫反応が促進されるからである。更には、炭化水素ガスや水素ガスの燃焼によって脱硫剤が溶銑浴面上へ到達する間に加熱されるので、脱硫剤の滓化が促進されるのみならず、脱硫剤顕熱による溶銑温度の降下が抑制されて、脱硫効率を向上させるからである。
また更に、実機における試験結果から、上吹きランスを介して搬送用ガスとともに脱硫剤を供給する場合には、脱硫剤の吹き付け位置に応じて脱硫率が大きく変化することを知見した。この原因を種々追究した結果、機械攪拌浴内の流動が大きく影響していることを確認した。
そこで、容器内径が150mmの機械攪拌式脱硫装置の水モデル実験装置を用いて、機械攪拌時の浴内流動を定量的に求めた。水モデル実験装置において、機械攪拌時の鉛直方向の流れとその流速値とを計測した結果、図3に示すように、容器中心から水平距離が100mmの位置、つまり容器半径の2/3の位置より内側では、浴面及び浴内での流れが下向きになっているのに対し、それより外側では流れが上向きになっていることが分かった。
浴内流れが下向きの場合、つまり容器半径の2/3以内の位置で脱硫剤を上吹き添加する場合には、上吹きランスから吹き付けた脱硫剤は浴中に侵入してから下向き流れにのって浴内へ巻込まれて脱硫反応が進むのに対し、浴内流れが上向きの場合、つまり容器半径の2/3より外側の位置で脱硫剤を上吹き添加する場合には、吹き付けた脱硫剤はいちど浴内へ侵入するものの上向き流れにのって浴面上へ浮上することとなり、脱硫反応が抑制されてしまう。
また、外管から炭化水素ガスまたは水素ガスを吹き付ける場合にも、上吹きランスからの噴流の溶銑浴面への衝突位置は処理容器半径の2/3以内の位置であることが望ましい。これは、炭化水素ガスまたは水素ガスが効率良く溶銑中に侵入して溶銑中酸素と反応するためには、上吹きランスからの噴流の衝突位置が、浴内の鉛直下向き方向流れが大きい部位であるほど浴内に広く分散して溶銑の脱酸が促進されるからである。
つまり、上吹きランスを鉛直下向き方向に配置したときには、上吹きランスの設置位置を、下記の(2)式の関係を満足する範囲とするときに、高い脱硫率が得られることが分かった。
0≦A≦(2/3)×D…(2)
但し、(2)式において、Aは、処理容器の中心から上吹きランスの中心位置までの水平距離(m)、Dは、処理容器の内壁半径(m)である。
本発明は、これらの試験結果に基づくものであり、機械攪拌式脱硫装置を用いた溶銑の脱硫方法において、インペラーによって攪拌されている溶銑の浴面上に、多重管構造である上吹きランスの先端部から搬送用ガスとともに脱硫剤を上吹き添加するとともに、脱硫剤を上吹きする部位の外周に設けた前記上吹きランス先端部の部位から、還元性ガス、不活性ガス、非酸化性ガスの内の何れか1種または2種以上のガスを溶銑浴面に向けて同時に吹き付けて脱硫処理を行うことを特徴とする。
次に、図面を参照して本発明に係る溶銑の脱硫処理方法を説明する。
図4は、本発明を実施した機械攪拌式脱硫装置の側面概略図であり、図4は、溶銑を収容する処理容器として水平断面が円形である鍋型の溶銑鍋を使用した例を示している。処理容器の形状については、機械攪拌式脱硫装置で脱硫処理を行うことから、図4に示すように水平断面が円形である処理容器が最適である。
図4において、高炉から出銑された溶銑3を収容する溶銑鍋2が、台車1に搭載されて機械攪拌式脱硫装置に搬入されている。機械攪拌式脱硫装置は、溶銑鍋2に収容された溶銑3に浸漬・埋没し、旋回して溶銑3を攪拌するための耐火物製のインペラー4を備えており、このインペラー4は、昇降装置(図示せず)によってほぼ鉛直方向に昇降し、且つ、回転装置(図示せず)によって軸4aを回転軸として旋回するようになっている。また、機械攪拌式脱硫装置には、溶銑3の上方に、脱硫剤6を溶銑鍋2に収容された溶銑3に向けて上吹きして添加すると同時に、この脱硫剤6の噴流の外周にガスカーテン用のガスを溶銑3に向けて吹き付けるための、内管及び外管からなる二重管構造の上吹きランス5がほぼ鉛直方向下方を向いて設置されている。
上吹きランス5の内管は、粉体状の脱硫剤6を収容するディスペンサー7とディスペンサー7から定量切り出すための切り出し装置8とからなる供給装置と接続しており、上吹きランス5の内管から、搬送用ガスとともに、粉体状の脱硫剤6を任意のタイミングで供給できる構造になっており、また、上吹きランス5の外管は、還元性ガス、不活性ガス、非酸化性ガスの何れか1種または2種以上を供給するための供給管と接続しており、上吹きランス5の外管と内管との環状の間隙から、任意のタイミングで前記ガスをガスカーテン用ガスとして供給できる構造になっている。脱硫剤6の搬送用ガスとしては、還元性ガス、不活性ガスまたは非酸化性ガスを使用する。
また、溶銑鍋2の上方位置には、溶銑鍋2を覆う集塵フード9が備えられ、集塵フード9に取り付けられた排気ダクト(図示せず)を介して処理中の排ガスやダストが集塵機(図示せず)に吸引されるようになっている。この場合、インペラー4の軸4a、上吹きランス5は、集塵フード9を貫通し且つ上下移動が可能なように設置されている。
インペラー4の位置が溶銑鍋2のほぼ中心になるように、溶銑鍋2を搭載した台車1の位置を調整し、次いで、インペラー4を下降させて溶銑3に浸漬させる。インペラー4が溶銑3に浸漬したならば、インペラー4の旋回を開始し、所定の回転数まで昇速する。インペラー4の回転数が所定の回転数に達したならば、切り出し装置8を起動させて、ディスペンサー7に収容された脱硫剤6を、搬送用ガスとともに溶銑3の浴面に向けて上吹きランス5の内管から吹き付けて添加する。この脱硫剤6の吹き付け添加と同時に、上吹きランス5の外管から、ガスカーテン用ガスを溶銑浴面に供給する。ガスカーテン用ガスは、少なくとも脱硫剤6の上吹き添加の期間は吹き付けることとし、脱硫剤6の上吹き添加の以前からまたは以降も吹き付けても構わない。この場合に、上吹きランス5の位置は上記の(2)式を満足することが好ましい。
所定量の脱硫剤6を添加完了し、そして、所定時間の攪拌が行われたなら、インペラー4の回転数を減少させ停止させる。インペラー4の旋回が停止したなら、インペラー4を上昇させ、溶銑鍋2の上方に待機させる。生成したスラグが浮上して溶銑表面を覆い、静止した状態で溶銑3の脱硫処理が終了する。脱硫処理後、生成したスラグを溶銑鍋2から排出し、次の精錬工程に溶銑鍋2を搬送する。
以上説明したように、本発明によれば、反応性に優れる細粒の脱硫剤6を搬送用ガスとともに上吹きランス5の先端から上吹き添加する際に、脱硫剤6の吹き付け部位よりも外周の上吹きランス先端の部位からガスを吹き付けるので、このガスによるガスカーテン効果によって内側から吹き付ける脱硫剤6の飛散が抑制され、脱硫剤6の添加歩留まりが向上して脱硫反応が促進され、少ない脱硫剤6で所望する脱硫処理が実施可能となる。
尚、上記説明では、上吹きランス5は二重管構造であるが、四重管構造として内部水冷型としても構わず、また、ガスカーテン用ガスを吹き込む部位が外管と内管との間隙部の環状であるが、丸孔のノズル形式、例えば、溶銑の脱炭精錬を行う転炉で使用される、中心部に主孔が配置され、その周期に複数の副孔が設置された上吹きランスのような形状としても構わない。
図4に示す機械攪拌式脱硫装置を用い、脱硫剤としてCaO粉を使用して溶銑の脱硫処理を行った結果(本発明例1〜3、参考例1、2、及び比較例1、2)を示す。
本発明例、参考例、及び比較例ともに、脱硫剤の搬送用ガスとしては窒素ガスを使用し、インペラーは4枚の羽根を有し、羽根に傾斜のないものを使用した。用いた溶銑の化学成分は、C:3.5〜5.0質量%、Si:0.1〜0.3質量%、P:0.05〜0.15質量%、S:0.04〜0.05質量%で、溶銑温度は1250〜1350℃の範囲であった。脱硫処理は200〜500トンの溶銑が処理可能な、内壁半径が2000mmの溶銑鍋を処理容器として用いた。脱硫剤の溶銑トンあたりの添加量は本発明例、参考例、及び比較例ともに一定とした。
参考例1では、外管と内管との間隙から窒素ガスを吹き込み、本発明例1〜3および参考例2では、外管と内管との間隙からプロパンガスを吹き込んで脱硫処理した。これに対して、比較例1では、外管と内管との間隙からはガスを吹き込まずに脱硫処理した。また、比較例2では、外管と内管との間隙からはガスを吹き込まず、別途設置したランスから溶銑浴面に向けてプロパンガスを吹き付けながら脱硫処理した。上吹きランスは、距離A=(1/3)×Dの位置に設置することを基本とし、本発明例2〜3および参考例2では、距離A=(0.5/3)×D〜(2.5/3)×Dの範囲で上吹きランスの設置位置を変更した。
本発明例、参考例、及び比較例ともに、処理前後の溶銑から試料を採取し、脱硫率を調査した。ここで、脱硫率は下記の(3)式で定義される値である。
Figure 0005609081
本発明例、参考例、及び比較例の実施結果を表1に示す。
Figure 0005609081
表1に示すように、外管と内管との間隙からガスカーテン用ガスを吹き込んだ本発明例1及び本発明例2では、脱硫率は90%以上と高位であり、ガスカーテン用ガスを吹き込まない比較例1に比べて大幅に脱硫率が向上した。特に、ガスカーテン用ガスとしてプロパンガスを使用した本発明例2で脱硫率が高位であった。また、プロパンガスを浴面に別途供給した比較例2に対しても、本発明例1及び本発明例2は脱硫率が高位であった。
また、上吹きランスの設置位置を変更した本発明例1〜3および参考例2における脱硫率を比較すると、距離A=(1/3)×Dである本発明例の脱硫率が最も高くなった。距離A=(2/3)×D以内の範囲である本発明例2,3では90%の脱硫率が得られたが、距離Aが(2/3)×Dを超えた参考例2の脱硫率は87%であった。但し、参考例2でも比較例1,2に比べると高い脱硫率が得られた。
1 台車
2 溶銑鍋
3 溶銑
4 インペラー
5 上吹きランス
6 脱硫剤
7 ディスペンサー
8 切り出し装置
9 集塵フード
10 坩堝容器
11 上吹きランス
12 インペラー
13 電動機
14 高周波加熱コイル

Claims (1)

  1. 機械攪拌式脱硫装置を用いた溶銑の脱硫方法において、インペラーによって攪拌されている溶銑の浴面上に、多重管構造である上吹きランスの先端部から搬送用ガスとともに脱硫剤を上吹き添加するとともに、脱硫剤を上吹きする部位の外周に設けた前記上吹きランス先端部の部位から、炭化水素ガスまたは水素ガスを溶銑浴面に向けて同時に吹き付けて脱硫処理を行うに際し、
    前記上吹きランスは鉛直方向下方を向いて配置され、溶銑を収容する処理容器の内壁半径をD(m)、処理容器の中心から前記上吹きランス中心までの水平距離をA(m)としたときに、該水平距離(A)が、前記内壁半径(D)に対して下記の(2)式の関係を満足する範囲内であって、前記溶銑浴表面近傍の溶銑の鉛直方向の流れが下向きとなる位置であることを特徴とする、溶銑の脱硫方法。
    0≦A≦(2/3)×D…(2)
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