以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施の形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成のすべてが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
図1に、本発明に係る実施形態における人工心臓システムの構成例を示す。
本発明に係る実施形態における人工心臓システム(広義にはポンプシステム、モータシステム)100は、血液ポンプ(ポンプ、モータ、人工心臓ポンプ)10と、コントロールユニット20と、センサ30とを含み、血液ポンプ10とコントロールユニット20とはケーブル40を介して接続される。また、センサ30は、血液ポンプ10が動作中の患者(人体)の状態を検出するものであり、患者の体内に埋め込まれたり、患者の身体や臓器の表面に貼り付けられたりして、センサ30の検出結果に対応した検出信号が、有線又は無線の伝送媒体を介してコントロールユニット20に送信されるようになっている。
血液ポンプ10は、自己心臓200の左心室の機能を補助する左心室補助装置(Left Ventricular Assist Device:LVAD)として機能する。この血液ポンプ10は、循環させる血液の流れが連続する連続流型の血液ポンプである。
コントロールユニット20は、電源装置50と、人工心臓制御装置60とを含み、体外に設けられる。電源装置50は、AC電源、内蔵バッテリ及び非常用バッテリのいずれかからの電源電圧を、電源ラインVLを介して人工心臓制御装置60に供給する。人工心臓制御装置60は、電源装置50から電源電圧が与えられた状態で、センサ30からの検出信号を用いて、血液ポンプ10を駆動する駆動電流(広義には駆動信号)を生成する。より具体的には、人工心臓制御装置60は、センサ30からの検出信号を用いて生成した駆動電流により、血液ポンプ10の回転数を制御する。ケーブル40は、コントロールユニット20から血液ポンプ10に供給される駆動電流が伝送される信号線を有する。
図2に、本実施形態における血液ポンプ10の説明図を示す。図2において、自己心臓200と体内の循環系とを模式的に示す。
自己心臓200は、左心房、左心室、右心房及び右心室に区分されており、右心房及び右心室は肺循環系に血液を循環させる機能を有し、左心房及び左心室は体循環系に血液を循環させる機能を有する。即ち、体循環系から上下大静脈を通って戻された血液は右心房に蓄えられた後、右心室に送り込まれる。右心室に送り込まれた血液は、右心室の拍動によって肺動脈を通って肺循環系を循環して酸素を含んだ状態となる。肺循環系から肺静脈を通って戻された血液は左心房に蓄えられた後、左心室に送り込まれる。左心室に送り込まれた血液は、左心室の拍動によって大動脈を通って体循環系を循環する。本実施形態における血液ポンプ10は、左心室の機能を補助するために、左心室に送り込まれた血液を吸引し、大動脈に送り出す。
図3に、本実施形態における血液ポンプ10の断面図の一例を示す。図3は、血液ポンプ10の断面構成例を示すが、本実施形態が図3の構成の血液ポンプに限定されるものではない。
血液ポンプ10は、円筒形のモータを有する駆動部11と、駆動部11に接続されるポンプ部12とを有している。ポンプ部12は、モータの回転軸を介して駆動されるインペラ13と、このインペラ13を覆うように駆動部11に接続されるポンプケーシング14とを有している。自己心臓の左心室内の血液が血管(人工血管)及び流入口15を経てポンプケーシング14内に流入すると、インペラ13により流動エネルギーを付与された後、ポンプケーシング14の側面に設けられた流出口16及び血管(人工血管)を経て大動脈に流出するように構成されている。
また、血液ポンプ10においては、駆動部11とポンプ部12との間にメカニカルシール部17が設けられている。このため、ポンプ部12と駆動部11とが摺動自在に、かつ、良好にシールされることになり、ポンプ部12から駆動部11に血液が洩れることが極力抑制される。その結果、血栓の形成が抑制されるようになり、ポンプ動作の停止やその動作状態の変化が抑制されるようになる。
ポンプ部12は、軸流ポンプの場合よりも大きな血流量が期待できる遠心式のポンプであり、インペラ13を駆動するモータとしてDCモータを用いることができる。
血液ポンプ10が図3の構成を有する場合、図1のコントロールユニット20は、更に、メカニカルシール部の血液の凝固や駆動部11及びポンプ部12の発熱を抑えるクールシール液を循環させる手段を有する。この場合、ケーブル40を介してクールシール液の循環経路が形成される。
以上のような構成を有する血液ポンプ10は、患者の自己心臓の心周期に対応してその回転数が制御される。そのため、人工心臓制御装置60は、センサ30からの検出信号により患者の自己心臓の心周期に応じて血液ポンプ10の回転数を制御することができるようになっている。
図4に、本実施形態におけるセンサ30の説明図を示す。図4において、図1と同一部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。図4は、患者の身体へのセンサ30の取り付け例を模式的に示しており、本発明に係るセンサ30が図4に示すものに限定されるものではない。
本実施形態におけるセンサ30は、検出対象に応じて患者の身体や血液ポンプ10等に取り付けられ、例えば自己心臓200の心電図、血流量、血圧、血液ポンプ10の動作状態、及びその他の心周期と高い相関を持つ計測値の少なくとも1つを検出することが望ましい。
例えば図4に示すように、自己心臓200の左心室に挿入されるカニューレの固定部品又はその周辺である位置P1にセンサ30として心電リード及び特殊カニューレを取り付け、コントロールユニット20の人工心臓制御装置60内に心電アンプを設けてセンサ30からの検出信号を増幅することで、人工心臓制御装置60において自己心臓200の心電図に対応した検出信号を取得できる。
或いは、例えば患者の自己心臓200に近い体表である位置P2にセンサ30として心電リード及び特殊カニューレを取り付け、コントロールユニット20の人工心臓制御装置60内に心電アンプを設けてセンサ30からの検出信号を増幅することで、人工心臓制御装置60において自己心臓200の体表心電図に対応した検出信号を取得できる。
このように患者の体内又は体表で計測された心電図又は体表心電図は自己心臓200の拍動により変化するため、心電図又は体表心電図に基づいて自己心臓200の心周期を検出することが可能となる。
また、例えば図4に示すように、自己心臓200から脱血した血液を血液ポンプ10で大動脈に送液するカニューレの位置P3にセンサ30として超音波・電磁流量計を取り付け、コントロールユニット20の人工心臓制御装置60内に流量計アンプを設けてセンサ30からの検出信号を増幅することで、人工心臓制御装置60において血液ポンプ10の吐出量に対応した検出信号を取得できる。
或いは、例えば自己心臓200の大動脈の位置P4にセンサ30として超音波・電磁流量計を取り付け、コントロールユニット20の人工心臓制御装置60内に流量計アンプを設けてセンサ30からの検出信号を増幅することで、人工心臓制御装置60において自己心臓200の大動脈の血流量に対応した検出信号を取得できる。
血液ポンプ10の吐出量は自己心臓200の心周期内の収縮期や拡張期に応じて変化し、大動脈の血流量もまた自己心臓200の心周期内の収縮期や拡張期に応じて変化するため、血液ポンプ10の血流量又は大動脈の血流量に基づいて自己心臓200の心周期を検出することが可能となる。なお、肺動脈の血流量を検出し、その検出信号に基づいて自己心臓200の心周期を検出するようにしてもよい。
また、例えば図4に示すように、血液ポンプ10又はコントロールユニット20内の所定位置P5にセンサ30として回転数計測器や電流センサを取り付けることで、人工心臓制御装置60において血液ポンプ10の実測回転数に対応した検出信号、血液ポンプ10の消費電力に対応した検出信号又は血液ポンプ10の推定流量に対応した検出信号を取得できる。
血液ポンプ10の実測回転数、血液ポンプ10の消費電力又は血液ポンプ10の推定流量は自己心臓200の心周期内の収縮期や拡張期に応じて変化するため、血液ポンプ10の消費電力、血液ポンプ10の消費電力又は血液ポンプ10の推定流量に基づいて自己心臓200の心周期を検出することが可能となる。
また、例えば図4に示すように、自己心臓200の大動脈の位置P6にセンサ30として圧トランスデューサを取り付け、コントロールユニット20の人工心臓制御装置60内に圧トランスデューサアンプを設けてセンサ30からの検出信号を増幅することで、人工心臓制御装置60において大動脈圧に対応した検出信号を取得できる。
或いは、例えば患者の体表の位置P7にセンサ30として圧トンランスデューサを取り付け、コントロールユニット20の人工心臓制御装置60内に圧トランスデューサアンプを設けてセンサ30からの検出信号を増幅することで、人工心臓制御装置60において動脈圧に対応した検出信号を取得できる。
大動脈圧や動脈圧は自己心臓200の心周期内の収縮期や拡張期に応じて変化するため、大動脈圧又は動脈圧に基づいて自己心臓200の心周期を検出することが可能となる。なお、心室圧を検出し、その検出信号に基づいて自己心臓200の心周期を検出するようにしてもよい。
更に、例えば図4に示すように、センサ30として自己心臓200の心室内の容積を測定するコンダクタンスカテーテルを取り付け、コントロールユニット20の人工心臓制御装置60内にコンダクタンスカテーテル装置を設けることで、人工心臓制御装置60において心室の容積に対応した検出信号を取得できる。
心室の容積は自己心臓200の心周期内の収縮期や拡張期に応じて変化するため、心室の容積に基づいて自己心臓200の心周期を検出することが可能となる。なお、その他に、例えば光電脈波を検出し、その検出信号に基づいて自己心臓200の心周期を検出するようにしてもよい。
以上のような患者の体内若しくは体表等に取り付けられるセンサ30からの検出信号は、コントロールユニット20の人工心臓制御装置60に対して出力され、人工心臓制御装置60において心周期を特定するための基準タイミングが検出される。
図5に、本実施形態における人工心臓制御装置60の構成例のブロック図を示す。
図6に、図5のタイミング検出部80の構成例のブロック図を示す。図6において、図5と同一部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
図7に、図5の制御パターン決定部68の構成例のブロック図を示す。図7において、図5と同一部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
図5に示すように、人工心臓制御装置60は、タイミング検出部80と、血液ポンプ制御部62と、制御パターン記憶部64と、血液ポンプ駆動制御部66と、制御パターン決定部68と、異常検出部70とを含む。
タイミング検出部80は、図4に示す取り付け位置に取り付けられたセンサのうち少なくとも1つのセンサからの検出信号を取得し、該検出信号に基づいて自己心臓200の心周期内の基準タイミングを検出する。この基準タイミングを1心周期内に1つ決めることで、自己心臓200の心周期を特定できるようになる。
なお、心周期内における基準タイミングは、センサ30の検出対象に応じて心周期内において適宜選択されることが望ましい。例えばセンサ30が心周期の開始タイミングの検出が容易である場合には、基準タイミングとして心周期の開始タイミングを採用することが望ましい。また、心周期は、いわゆる収縮期と拡張期とを有しているため、例えばセンサ30が心周期内の収縮期の開始タイミングの検出が容易である場合には、基準タイミングとして心周期内の収縮期の開始タイミングを採用し、例えばセンサ30が心周期内の拡張期の開始タイミングの検出が容易である場合には、基準タイミングとして心周期内の拡張期の開始タイミングを採用することが望ましい。
本実施形態では、図6に示すように、タイミング検出部80は、第1〜第5の基準タイミング検出部81〜85、選択処理部86を含み、複数種類の検出方法により検出された基準タイミングの中から心周期内の1つの基準タイミングを選択し、該基準タイミングを用いて心周期を特定する。
第1の基準タイミング検出部81には、第1の検出信号DET1(例えば心電図計測信号)が入力され、第1の基準タイミング検出部81は、第1の検出信号DET1に基づいて自己心臓200の心周期内の基準タイミングを検出する。第2の基準タイミング検出部82には、第2の検出信号DET2(例えば血流量計測信号)が入力され、第2の基準タイミング検出部82は、第2の検出信号DET2に基づいて自己心臓200の心周期内の基準タイミングを検出する。第3の基準タイミング検出部83には、第3の検出信号DET3(例えば血圧ポンプの消費電力計測信号)が入力され、第3の基準タイミング検出部83は、第3の検出信号DET3に基づいて自己心臓200の心周期内の基準タイミングを検出する。第4の基準タイミング検出部84には、第4の検出信号DET4(例えば血圧計測信号)が入力され、第4の基準タイミング検出部84は、第4の検出信号DET4に基づいて自己心臓200の心周期内の基準タイミングを検出する。第5の基準タイミング検出部85には、第5の検出信号DET5(例えば心室容積計測信号)が入力され、第5の基準タイミング検出部85は、第5の検出信号DET5に基づいて自己心臓200の心周期内の基準タイミングを検出する。なお、検出信号として、心室内圧を検出するセンサからの心室内圧計測信号を用いてもよい。
選択処理部86は、第1〜第5の基準タイミング検出部81〜85の各基準タイミング検出部により検出された基準タイミングの中から1つの基準タイミングを、図示しない選択制御信号に基づいて選択する。選択制御信号としては、上述のようにタイミング検出の容易さやタイミング検出の精度に基づいて、例えば第1〜第5の基準タイミング検出部81〜85の優先順位に従って優先度が最も高い基準タイミング検出部が検出した基準タイミングの選択を指示するようにしてもよい。
なお、図6では、5種類の基準タイミング検出部により検出された基準タイミングから1つの基準タイミングを選択するものとして説明したが、2〜4種類又は6種類以上の基準タイミング検出部により検出された基準タイミングから1つの基準タイミングを選択するようにしてもよい。また、タイミング検出部80が1つの基準タイミング検出部のみを含み、該基準タイミング検出部により検出された基準タイミングをタイミング検出部80の出力として採用してもよい。
図5において、血液ポンプ制御部62は、タイミング検出部80により検出された基準タイミングを基準に、所与の制御パターンに対応した回転数となるように血液ポンプ10の回転数を制御する。より具体的には、血液ポンプ駆動制御部66が血液ポンプ制御部62からの指示内容に対応した駆動電流を生成し、該駆動電流を用いて血液ポンプ10の回転数が制御される。血液ポンプ制御部62は、このような血液ポンプ駆動制御部66の機能を内蔵していてもよい。
血液ポンプ制御部62が参照する制御パターンは、制御パターン記憶部64に記憶されている。制御パターンは、例えば心周期内を分割した複数の期間の各期間毎に、血液ポンプ10の回転数を指定する制御情報が設定されたパターンとすることができる。このような制御パターンは、臨床上の医師の所見に基づく設定情報として制御パターン記憶部64に直接設定されてもよいし、制御パターン決定部68により決定されてもよい。
図7に示すように、制御パターン決定部68は、制御パターン算出部90を含み、図4に示す取り付け位置に取り付けられたセンサのうち少なくとも1つのセンサからの検出信号、又は臨床上の医師の所見に基づく設定情報を取得し、該検出信号又は該設定情報に基づいて、所与のパターン決定関数(パターン決定アルゴリズム)に従って制御パターンを決定し、該制御パターンを制御パターン記憶部64に格納する。
制御パターン算出部90は、第1〜第5の検出信号DET1〜DET5により特定される検出値(測定値)に基づいて、1又は複数の心周期内において血液ポンプ10の回転数を制御するための制御パターンを算出する。例えば、制御パターン算出部90は、血液ポンプ10の回転数の最大値、最小値、周期、基準タイミングを基準とした回転数の制御開始タイミングまでの位相ずれ、回転数の変化のさせ方を指定する波形、X(Xは1以上の自然数)拍にY(YはX以下の自然数)回だけ血液ポンプ10の回転数を変化させるといった頻度等が特定される制御パターンを算出する。このように算出された制御パターンは、制御パターン記憶部64に格納される。
なお、図7では、5種類の検出信号から制御パターンを算出するものとして説明したが、2〜4種類又は6種類以上の検出信号から制御パターンを算出するようにしてもよい。また、制御パターン算出部90が、1つの検出信号のみに基づいて上述の制御パターンを算出するようにしてもよい。
図5において、異常検出部70は、血液ポンプ10を制御中の異常状態を検出する。このような異常状態として、例えばセンサ30からの検出信号の値の範囲が正常値の範囲外である状態や、センサ30からの検出信号の値の揺らぎが閾値を超えた状態がある。そして、血液ポンプ制御部62は、異常検出部70により異常状態が検出されたとき、指示回転数となるように血液ポンプ10の回転数を制御する。ここで、指示回転数は、一定の回転数であることが望ましい。このようにセンサ30からの検出信号に基づく心周期内における血液ポンプ10の回転数を制御しているときに異常状態が検出された場合に、検出された基準タイミングにかかわらず、一定の指示回転数で血液ポンプ10の制御を継続させることで、血液ポンプ10による自己心臓200の血液の流れを補助させる機能を継続させて患者が危険な状態に陥ることを防止することができる。
なお、本実施形態において、人工心臓制御装置60は、図5のブロックのうち1又は複数のブロックが省略された構成を有していてもよい。例えば、人工心臓制御装置60は、図5の構成のうち制御パターン決定部68が省略された構成を有していてもよい。
次に、以上のような構成を有する人工心臓制御装置60の動作について説明する。本実施形態における人工心臓制御装置60の機能は、ハードウェアにより実現されてもよいし、ソフトウェアにより実現されてもよい。以下では、本実施形態における人工心臓制御装置60の機能が、ソフトウェア処理により実現されるものとする。
図8に、本実施形態における人工心臓制御装置60のハードウェア構成例のブロック図を示す。
人工心臓制御装置60は、CPU300、I/F回路302、読み出し専用メモリ(Read Only Memory:ROM)304、ランダムアクセスメモリ(Random Access Memory:RAM)306、バス308を有し、バス308を介して、CPU300、I/F回路302、ROM304、RAM306は電気的に接続されている。
例えばROM304又はRAM306には、人工心臓制御装置60の機能を実現するプログラムが記憶される。CPU300は、ROM304又はRAM306に記憶されたプログラムを読み出し、該プログラムに対応した処理を実行することで、人工心臓制御装置60を構成する各部の機能をソフトウェア処理で実現できる。即ち、ROM304又はRAM306に記憶されたプログラムを読み込んで該プログラムに対応した処理を行うCPU300により、以下の処理が実現される。なお、RAM306は、CPU300による処理の作業エリアとして用いられたり、I/F回路302やROM304のバッファエリアとして用いられたりする。I/F回路302は、図4に示すように患者の体内又は体表に取り付けられる1又は複数のセンサとの間の入出力インタフェース処理を行う。
図9に、図8の人工心臓制御装置60の処理例のフロー図を示す。
図10に、図9のステップS18の詳細な処理例のフロー図を示す。
例えば図8のROM304又はRAM306には、図9及び図10に示す処理を実現するためのプログラムが格納されており、CPU300がROM304又はRAM306に格納されたプログラムを読み出して該プログラムに対応した処理を実行することで、図9及び図10に示す処理をソフトウェア処理により実現できる。
まず、人工心臓制御装置60は、図4に示すように患者の体内や体表等に取り付けられた1又は複数のセンサからの検出信号を取得する(ステップS10)。ここで、人工心臓制御装置60は、異常検出ステップとして、異常検出部70において、例えばセンサからの検出信号の値が、該検出信号の種類に応じて定められた正常値の範囲内か否かを判別することで、異常検出処理を行う(ステップS12)。
ステップS12において異常状態が検出されなかったとき(ステップS12:N)、人工心臓制御装置60は、タイミング検出ステップとして、タイミング検出部80においてステップS10で取得された検出信号に基づいて、心周期内の基準タイミングを検出する基準タイミング検出処理を行う(ステップS14)。
ステップS14において心周期内の基準タイミングが検出されたとき(ステップS16:Y)、人工心臓制御装置60は、制御パターン決定ステップとして、制御パターン決定部68において、血液ポンプが動作中の人体の状態を検出するセンサからの検出信号に基づいて制御パターンを決定し、該制御パターンを制御パターン記憶部64に格納する(ステップS18)。
続いて、人工心臓制御装置60は、血液ポンプ制御ステップとして、血液ポンプ制御部62において、制御パターン記憶部64に記憶された制御パターンを読み出して、該制御パターンに対応して血液ポンプ10の回転数を制御し(ステップS20)、ステップS10に戻る(リターン)。
ステップS20では、図10に示すように、人工心臓制御装置60は、血液ポンプ制御部62において、ステップS14で検出された心周期内の基準タイミングに基づいて、自己心臓200の心周期を検出して心周期の開始タイミングを特定する(ステップS30)。続いて、血液ポンプ制御部62では、ステップS30で検出された心周期とステップS18で決定された制御パターンとに基づいて、目標となる回転数となるように現在の血液ポンプ10の回転数を決定し(ステップS32)、該回転数となるように血液ポンプ10の駆動電流を生成する制御を行う(エンド)。即ち、血液ポンプ制御部62は、タイミング検出ステップにおいて検出された基準タイミングを基準に、制御パターン決定ステップにおいて決定された制御パターンに対応した回転数となるように血液ポンプの回転数を制御する。
一方、ステップS14において心周期内の基準タイミングが検出されなかったとき(ステップS16:N)、人工心臓制御装置60は、血液ポンプ10の回転数を制御することなくそのままステップS10に戻る(リターン)。
また、ステップS12において異常状態が検出されたとき(ステップS12:Y)、人工心臓制御装置60は、血液ポンプ制御ステップとして、血液ポンプ制御部62において、一定の指示回転数となるように血液ポンプの回転数を制御し(ステップS22)、ステップS10に戻る(リターン)。
なお、図9では、基準タイミングが検出できたことを条件に制御パターンを決定するものとして説明したが、本実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、ステップS10においてセンサからの検出信号が取得された後に、人工心臓制御装置60は、制御パターン決定ステップとして、制御パターン決定部68において、血液ポンプが動作中の人体の状態を検出するセンサからの検出信号に基づいて制御パターンを決定し、該制御パターンを制御パターン記憶部64に格納するようにしてもよい。
また、図9及び図10では、センサからの検出信号を用いて制御パターンを決定するものとして説明したが、本実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、臨床上の医師の所見や、各種の検出信号の値に対応して、予め1又は複数種類の制御パターンを用意しておき、臨床上の医師の所見や各種の検出信号の値に基づいて1つの制御パターンを選択するようにしてもよい。
図11に、本実施形態における図8の人工心臓制御装置60の他の処理例のフロー図を示す。図11において、図9と同一ステップには同一符号を付し、適宜説明を省略する。
この場合、例えば図8のROM304又はRAM306には、図10及び図11に示す処理を実現するためのプログラムが格納されており、CPU300がROM304又はRAM306に格納されたプログラムを読み出して該プログラムに対応した処理を実行することで、図10及び図11に示す処理をソフトウェア処理により実現できる。
図11に示す処理フローが図9に示す処理フローと異なる点は、ステップS18が省略されている点である。即ち、ステップS14において心周期内の基準タイミングが検出されたとき(ステップS16:Y)、人工心臓制御装置60は、血液ポンプ制御ステップとして、血液ポンプ制御部62において、制御パターン記憶部64に検出信号に対応して予め記憶された制御パターンを読み出して、該制御パターンに対応して血液ポンプ10の回転数を制御し(ステップS20)、ステップS10に戻る(リターン)。
ところで、この種の人工心臓制御装置を含む人工心臓システムで自己心臓の血液の流れが補助されている患者が、稀にその自己心臓の機能が十分に回復する事例が報告されている。そのため、人工心臓システムを用いて、患者の自己心臓の機能の回復の促進を図ることも重要になってきている。
しかしながら、この種の人工心臓制御装置では、常に一定の指令回転数で血液ポンプを動作させたり、心周期にかかわらず血液ポンプの回転数を変化させたりするため、心周期内の収縮期又は拡張期において、過剰又は不十分な心室の負荷低減を行ってしまい、却って自己心臓の機能の回復を阻害する事態となっていた。
そこで、本実施形態では、上述のように、心周期内の基準タイミングを検出し、該基準タイミングに基づいて制御パターンに対応した血液ポンプ10の制御を行うことで、患者の自己心臓の心周期に合わせて心室の負荷を低減させて、自己心臓の機能回復を促進を図ることができる。
以下では、本実施形態における人工心臓制御装置60の具体的な動作例について説明する。なお、説明の便宜上、センサ30が心電図測定器の1つのみであり、タイミング検出部80が心電図測定器からの検出信号のみに基づいて基準タイミングを検出するものとする。
図12に、本実施形態における心電図と心周期との一般的な関係を模式的に示す。
自己心臓200の1心拍は、洞結節で発生した電気的な信号が伝達される様子を計測することで特定できる。例えば、洞結節で発生した電気的な信号は心房筋に伝達されて心房を収縮させて図12のP波を発生させる。これにより心房が収縮されて内部の圧力が上昇し、心室の収縮期間に合わせてQRS波が発生する。その後、心室が拡張するときにT波が発生する。
ここで、RからT波の終了までが心周期内の収縮期と呼ばれ、収縮期の終わりから次の心拍のRまでが心周期内の拡張期と呼ばれる。収縮期は、動脈弁及び心房と心室の間の弁が閉じた状態で心筋にテンションがかかっている期間である等容性収縮期と、その後に心房と心室の間の弁が閉じた状態で動脈弁が開いて心室から血液を送り出している期間である駆出期とを含む。また、拡張期は、動脈弁及び心房と心室の間の弁が閉じた状態で心室が弛緩している期間である等容性弛緩期と、動脈弁が閉じた状態で心房と心室の間の弁が開いて心室内に血液を貯める期間である充満期とを含む。
図12から明らかなように、センサ30として心電図計測器を採用した場合、図12のRを検出することが容易である。そのため、この場合には、基準タイミングとして、心周期内の収縮期(等容性収縮期)の開始タイミングの検出が容易となり、その検出を高精度に行うことができる。
なお、本実施形態における基準タイミングは、収縮期の開始タイミングに限定されるものではない。例えば、基準タイミングとして心周期内の拡張期の開始タイミングを検出するようにしてもよい。この場合、大動脈圧や動脈圧等の血圧に基づいて基準タイミングを検出することで、拡張期の開始タイミングの検出が容易となる上に、その検出を高精度に行うことができる。このように心周期内の基準タイミングとしてどのタイミングを検出するかについては、センサ30の種類に応じて適宜選択されることが望ましい。
図13(a)〜図13(e)に、本実施形態における制御パターンの例を示す。図13(a)〜図13(e)は、それぞれ横軸が時間軸を示し、縦軸が心電図の波形と血液ポンプ10の回転数を指示する制御パターンとを示している。図13(a)〜図13(e)に示す制御を行うための制御パターンは、臨床上の医師の所見に基づく設定情報として制御パターン記憶部64に直接記憶させたり、制御パターン決定部68において決定させたりすることができる。
本実施形態では、人工心臓制御装置60の血液ポンプ制御部62が、図13(a)〜図13(e)に示すように、自己心臓の心周期内の基準タイミングを基準に、心臓の1又は複数の心周期内で所与の周期関数に従って血液ポンプ10の回転数を変化させる制御を行う。そのため、血液ポンプ制御部62を制御するための制御パターンが、以下のように血液ポンプ10の回転数の変化を指示するものであることが望ましい。
図13(a)は、心周期内の収縮期と拡張期の各期間に血液ポンプ10の回転数を変化させる制御パターンの例である。より具体的には、心電図計測器からの検出信号に基づいて心周期が特定された場合に、心周期内の収縮期に血液ポンプ10の回転数がR1(R1は正の数)となり、該心周期内の拡張期に血液ポンプ10の回転数がR2(R1>R2>0、R2は正の数)となるように指示する制御パターンの例である。即ち、図13(a)は、心周期内の拡張期の血液ポンプの回転数を減少させる制御を指示する制御パターンである。
このように、基準タイミングを基準に、心臓の拡張期において血液ポンプ10の回転数を下げ、且つ心臓の収縮期において血液ポンプ10の回転数を上げるように血液ポンプ10の回転数を制御することで、収縮期において心筋を補助する一方、拡張期において心筋の動きを妨げずに済み、自己心臓の過剰な負荷を与えることなく自己心臓の機能の回復を促進させることができるようになる。
図13(b)は、心周期内の収縮期と拡張期の各期間に血液ポンプ10の回転数を変化させ、且つその変化タイミングをシフトさせた制御パターンの例である。より具体的には、心電図計測器からの検出信号に基づいて心周期が特定された場合に、心周期内の収縮期の開始タイミングから所定期間だけ遅らせて血液ポンプ10の回転数がR3(R3は正の数)となり、該心周期内の拡張期の開始タイミングから所定期間だけ遅らせて血液ポンプ10の回転数がR4(R3>R4>0、R4は正の数)となるように指示する制御パターンの例である。
このように、自己心臓の心周期に合わせて負荷を変化させる一方で、そのタイミングをシフトさせることで、自己心臓の現在の機能に合わせて適切な負荷制御と機能回復の促進とを両立させることができるようになる。
図13(c)は、心周期内の収縮期と拡張期の各期間に血液ポンプ10の回転数を変化させ、図13(a)よりも回転数の変化域を大きくした制御パターンの例である。より具体的には、心電図計測器からの検出信号に基づいて心周期が特定された場合に、心周期内の収縮期に血液ポンプ10の回転数がR5(R5>R1、R5は正の数)となり、該心周期内の拡張期に血液ポンプ10の回転数がR6(R2>R6、R5>R6>0、R6は正の数)となるように指示する制御パターンの例である。
このように、自己心臓の現在の機能に合わせて、血液ポンプ10の回転数の変化域を変えて血液ポンプ10の回転数を制御することが望ましい。
図13(d)は、2(=X)心拍毎に1(=Y)回だけ血液ポンプ10の回転数を変化させる制御パターンの例である。より具体的には、心電図計測器からの検出信号に基づいて心周期が特定された場合に、2心周期の最初の心周期内の収縮期に血液ポンプ10の回転数がR7(R7、R7は正の数)となり、該心周期内の拡張期と次の心周期の収縮期及び拡張期に血液ポンプ10の回転数がR8(R7>R8>0、R8は正の数)となるように指示する制御パターンの例である。
このように、本実施形態における制御パターンは、心周期毎に血液ポンプ10の回転数を制御させるものでなくてもよく、患者の自己心臓200の機能の回復の度合いによって、血液ポンプ10の回転数の制御期間を短縮させるようにしてもよい。
図13(e)は、血液ポンプ10の回転数を正弦波状に変化させる制御パターンの例である。より具体的には、心電図計測器からの検出信号に基づいて心周期が特定された場合に、心周期の収縮期に血液ポンプ10の回転数を正弦波状に徐々に上げてR9(R9、R9は正の数)となり、該心周期内の拡張期に血液ポンプ10の回転数を正弦波状に徐々に下げてR10(R9>R10>0、R10は正の数)となるように指示する制御パターンの例である。なお、図13(e)では、血液ポンプ10の回転数を正弦波状に変化させていたが、その波形に限定されるものではなく、図13(a)〜図13(d)に示すように必ずしも矩形状に回転数を変化させなくてもよい。
以上のように、本実施形態では、基準タイミングを基準に、心臓の1又は複数の心周期内で所与の周期関数に従って血液ポンプ10の回転数を変化させる制御を行うようにしたので、患者の自己心臓の心周期に合わせて心室の負荷を低減させて、自己心臓の機能回復を促進させることができるようになる。
また、本実施形態では、万が一、センサ30の故障や制御アルゴリズムの異常等により血液ポンプ10の回転数が制御不能に陥る可能性がある場合には、異常検出部70により異常を検出し、一定の指示回転数により血液ポンプ10を動作させる通常動作状態に強制的に変更する機構を有している。
図14(a)、図14(b)に、本実施形態における人工心臓制御装置60の異常検出時に処理例を示す。図14(a)、図14(b)は、それぞれ横軸が時間軸を示し、縦軸が心電図の波形と血液ポンプ10の回転数を指示する制御パターンとを示している。
図14(a)では、例えば心周期内の収縮期の開始タイミングを基準タイミングとして検出し、心周期の収縮期の血液ポンプ10の回転数をR11(R11は正の整数)に上げ、該心周期の拡張期の血液ポンプ10の回転数をR12(R11>R12>0、R12は正の整数)に下げる制御を行う制御動作状態において、時刻T1に異常状態が検出されると、次の基準タイミングが検出された時点から通常動作状態で血液ポンプ10の回転数が制御される。この通常動作状態では、例えば血液ポンプ10の回転数がR13(R11>R13>R12)で一定となるように制御される。なお、R13は、R11より大きくてもよいし、R12より小さくもてよい。
また、図14(b)では、例えば心周期内の収縮期の開始タイミングを基準タイミングとして検出し、心周期の収縮期の血液ポンプ10の回転数をR14(R14は正の整数)に上げ、該心周期の拡張期の血液ポンプ10の回転数をR15(R14>R15>0、R15は正の整数)に下げる制御を行う制御動作状態において、時刻T2に異常状態が検出されると、異常状態が検出された時点から通常動作状態で血液ポンプ10の回転数が制御される。この通常動作状態では、例えば血液ポンプ10の回転数がR16(R14>R16>R15)で一定となるように制御される。なお、R16は、R14より大きくてもよいし、R15より小さくてもよい。
以上のように、本実施形態では、異常状態が検出されたことを条件に、血液ポンプ10の指示回転数(例えば回転数が一定)となるように制御される通常動作状態に強制的に変更するため、人工心臓システムの信頼性を向上させると共に、患者の自己心臓の心周期に合わせて心室の負荷を低減させて、自己心臓の機能回復を促進させることができるようになる。
また、上記の構成を有する本実施形態によれば、制御パターンによる回転数の指定方法により、血液ポンプ制御部62が、基準タイミングを基準に、心臓の心室内の血流が変化するように血液ポンプ10の回転数を制御することができる。こうすることで、以下に述べるような効果を奏することができるようになる。
図15に、本実施形態における自己心臓200と血液ポンプ10とを模式的に示す。図15において、図1と同一部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
図15に示すように血液ポンプ10のカニューレ先端部402は、人工血管としてのカニューレグラフト部400を介して自己心臓200の左心室202内に挿入されている。肺静脈204を介して左心房206に戻された血液は、僧帽弁が開いたときに左心室202に送り込まれる。その後、大動脈弁208が開いて大動脈210に血液が送り出される。大動脈210から体循環系を経由して、上大静脈212及び下大静脈214を介して戻された血液は右心房216に蓄えられ、三尖弁が開いたときに右心室218に送り込まれる。その後、肺動脈弁220が開いて肺動脈222に血液が送り出される。
ここで、左心房206から左心室202に送り込まれる血液の流れに着目すると、血液ポンプ10の回転数が高回転数のとき、図15に示す流れF1のように、左心房206からそのままカニューレ先端部402に流れる血液が支配的になる。ところが、血液ポンプ10の回転数が低回転数のとき、図15に示す流れF2のように、左心室202の壁に沿って血液が流れる傾向にある。そのため、カニューレ先端部402の挿入付近PLでは、血液が滞留しやすくなり、固まりとなって血栓が形成される可能性が高くなる。
そこで、上述のように、血液ポンプ制御部62が、基準タイミングを基準に、心臓の心室内の血流が変化するように血液ポンプ10の回転数を制御することで、カニューレ先端部402の挿入付近PLにおいて血液の滞留を抑制できるようになり、血栓形成を防止できるようになる。
また、一般的な人工心臓システムでは、患者の自己心臓の回復度の度合いを確認するために、血液ポンプを適宜停止させるオフポンプテストが必要となる。ところが、オフポンプテストは、拍動型の血液ポンプの場合には弁の開閉のみで容易に実現できるものの、連続流(定常流)型の血液ポンプの場合には実現が困難であると言われている。
しかしながら、上記の構成を有する本実施形態によれば、制御パターンによる回転数の指定方法により、血液ポンプ制御部62が、基準タイミングを基準に、心臓の収縮期において血液ポンプ10の出力流量が0となり、且つ心臓の拡張期において血液ポンプ10の逆流量が0となるように血液ポンプ10の回転数を制御することができる。
例えば、センサ30として超音波・電磁流量計又は血液ポンプの回転数計測器を採用して、血液ポンプ10の出力流量と逆流量とを検出し、制御パターン決定部68が、その検出結果に基づいて、基準タイミングを基準に、心臓の収縮期において血液ポンプ10の出力流量が0となり、且つ心臓の拡張期において血液ポンプ10の逆流量が0となるように血液ポンプ10の回転数を制御する制御パターンを決定すればよい。そして、この制御パターンに基づいて、血液ポンプ制御部62が血液ポンプ10の回転数を制御する。これにより、人工心臓システムに用いられる血液ポンプ10が連続流型の血液ポンプであっても、これまで容易に実現できなかったオフポンプテストを容易に実現できるようになり、患者にとっての危険性を低減できるようになる。
以上、本発明に係る人工心臓制御装置、人工心臓システム及び人工心臓の制御方法を上記の実施形態に基づいて説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
(1)上記の実施形態では、血液ポンプが連続流型であるものと説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、血液ポンプが、循環させる血液の流れに所定の周期を与える拍動流型の血液ポンプであってもよい。この場合、制御パターンを用いてオフポンプテストを実現する必要がなくなる。
(2)上記の実施形態における血液ポンプは、3相の駆動信号により駆動されるACモータや、例えば3相以外の駆動信号により駆動されるモータや、DCモータにより実現される。
(3)上記の実施形態の人工心臓システム100において、必要に応じてモニタ装置が設けられてもよい。このモニタ装置には、コントロールユニット20の電源電圧、血液ポンプ10の動作状況(血液ポンプ10の駆動電流、目標回転数、実際の動作回転数等)、センサ30からの検出信号の値、自己心臓200の心周期等の医師や患者自身が確認できる情報が表示されることが望ましい。
(4)上記の実施形態において、本発明を、人工心臓制御装置、人工心臓システム及び人工心臓の制御方法として説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、本発明に係る人工心臓の制御方法の処理手順が記述されたプログラムや、該プログラムが記録された記録媒体であってもよい。