JP5605659B2 - 細胞保護剤 - Google Patents

細胞保護剤 Download PDF

Info

Publication number
JP5605659B2
JP5605659B2 JP2011521836A JP2011521836A JP5605659B2 JP 5605659 B2 JP5605659 B2 JP 5605659B2 JP 2011521836 A JP2011521836 A JP 2011521836A JP 2011521836 A JP2011521836 A JP 2011521836A JP 5605659 B2 JP5605659 B2 JP 5605659B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
group
smtp
administration
amino acid
substituent
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2011521836A
Other languages
English (en)
Other versions
JPWO2011004620A1 (ja
Inventor
一男 本田
光正 橋本
佳太 柴田
啓子 長谷川
惠司 蓮見
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NATIONAL UNIVERSITY CORPORATION TOKYO UNIVERSITY OF AGRICULUTURE & TECHNOLOGY
Showa University
TMS Co Ltd
Original Assignee
NATIONAL UNIVERSITY CORPORATION TOKYO UNIVERSITY OF AGRICULUTURE & TECHNOLOGY
Showa University
TMS Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NATIONAL UNIVERSITY CORPORATION TOKYO UNIVERSITY OF AGRICULUTURE & TECHNOLOGY, Showa University, TMS Co Ltd filed Critical NATIONAL UNIVERSITY CORPORATION TOKYO UNIVERSITY OF AGRICULUTURE & TECHNOLOGY
Priority to JP2011521836A priority Critical patent/JP5605659B2/ja
Publication of JPWO2011004620A1 publication Critical patent/JPWO2011004620A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5605659B2 publication Critical patent/JP5605659B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61KPREPARATIONS FOR MEDICAL, DENTAL OR TOILETRY PURPOSES
    • A61K31/00Medicinal preparations containing organic active ingredients
    • A61K31/33Heterocyclic compounds
    • A61K31/395Heterocyclic compounds having nitrogen as a ring hetero atom, e.g. guanethidine or rifamycins
    • A61K31/40Heterocyclic compounds having nitrogen as a ring hetero atom, e.g. guanethidine or rifamycins having five-membered rings with one nitrogen as the only ring hetero atom, e.g. sulpiride, succinimide, tolmetin, buflomedil
    • A61K31/407Heterocyclic compounds having nitrogen as a ring hetero atom, e.g. guanethidine or rifamycins having five-membered rings with one nitrogen as the only ring hetero atom, e.g. sulpiride, succinimide, tolmetin, buflomedil condensed with other heterocyclic ring systems, e.g. ketorolac, physostigmine
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P43/00Drugs for specific purposes, not provided for in groups A61P1/00-A61P41/00
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P7/00Drugs for disorders of the blood or the extracellular fluid
    • A61P7/02Antithrombotic agents; Anticoagulants; Platelet aggregation inhibitors
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61PSPECIFIC THERAPEUTIC ACTIVITY OF CHEMICAL COMPOUNDS OR MEDICINAL PREPARATIONS
    • A61P9/00Drugs for disorders of the cardiovascular system
    • A61P9/10Drugs for disorders of the cardiovascular system for treating ischaemic or atherosclerotic diseases, e.g. antianginal drugs, coronary vasodilators, drugs for myocardial infarction, retinopathy, cerebrovascula insufficiency, renal arteriosclerosis
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07DHETEROCYCLIC COMPOUNDS
    • C07D491/00Heterocyclic compounds containing in the condensed ring system both one or more rings having oxygen atoms as the only ring hetero atoms and one or more rings having nitrogen atoms as the only ring hetero atoms, not provided for by groups C07D451/00 - C07D459/00, C07D463/00, C07D477/00 or C07D489/00
    • C07D491/02Heterocyclic compounds containing in the condensed ring system both one or more rings having oxygen atoms as the only ring hetero atoms and one or more rings having nitrogen atoms as the only ring hetero atoms, not provided for by groups C07D451/00 - C07D459/00, C07D463/00, C07D477/00 or C07D489/00 in which the condensed system contains two hetero rings
    • C07D491/04Ortho-condensed systems

Description

本発明は、細胞保護剤に関する。
虚血性障害は、体のいずれかの部分の血流が制限されることに起因するあらゆる症状を含む病態と理解され、虚血領域でエネルギー枯渇により細胞が死滅する結果、該領域が機能不全に陥るものである。虚血の原因が血栓である場合の治療法として、血栓を溶解させ虚血領域への血液供給を回復させる目的で、血栓溶解薬とそれを用いた血栓溶解療法の開発が進められてきている。
例えば、プラスミノーゲン活性化因子(t−PA)の作用に着目し、血栓溶解薬アルテプラーゼ(遺伝子組換え組織型プラスミノーゲン活性化因子、rt−PA)が開発されている。Brain Res 2000;854:245-248によれば、アルテプラーゼはプラスミノーゲンをプラスミンへと活性化させ、プラスミンが血栓形成の核となるフィブリンを分解する。
一方、SMTP(Stachybotrys microspora triprenyl phenol)化合物は、糸状菌が生産するトリプレニルフェノール骨格を有する化合物の一群であり、特開2004−224737号公報、特開2004−224738号公報、及びWO2007/111203号公報によれば、血栓溶解促進作用や血管新生阻害作用を有することが知られている。血栓溶解促進作用に関しては、FEBS Letter 1997;418:58-62によれば、SMTP化合物がプラスミノーゲンのコンフォメーション変化を導き、その結果、プラスミノーゲンのt−PAに対する感受性と、プラスミノーゲンの血栓などへの結合を増加させ、血栓の溶解を促進する作用機序が示唆されている。
血栓溶解薬の投与により血栓が取り除かれ、虚血に陥った領域に血流が回復した際には、いわゆる虚血再灌流障害が問題となる。例えば脳においては、脳浮腫が増強したり、頭蓋内出血が起こったりする。したがって、虚血に起因する種々の細胞傷害の危険性、特に虚血再灌流障害の危険性を低減する、細胞保護作用を有する薬の開発は重要である。
一方、SMTP化合物については、プラスミノーゲン活性化作用を有することから、血栓溶解促進作用を示すだろうことは推測されていたが、虚血性障害に対するその他の効果についての知見は、未だ得られていなかった。
本発明は上記に鑑みなされたものであり、虚血に起因する機能不全を抑制する効果に優れた細胞保護剤、並びにトリプレニルフェノール化合物の医薬としての新規用途を提供することを目的とする。
本発明は、下記一般式(I)で表されるトリプレニルフェノール化合物を有効成分として含む、虚血性障害に用いられる細胞保護剤である。

一般式(I)中Xは、−CHY−C(CHZであり、Y及びZは、それぞれ独立に−H若しくは−OHであるか、又は一緒になって単結合を形成する。Rは、水素原子又は分子量1000以下の置換基を表す。
前記一般式(I)で表されるトリプレニルフェノール化合物において、前記Rが分子量1000以下の置換基である場合の具体例としては、例えば、下記一般式(II)又は(III)で表されるトリプレニルフェノール化合物が挙げられる。

一般式(II)又は(III)中X、X及びXは、それぞれ独立に−CHY−C(CHZであり、Y及びZは、それぞれ独立に−H若しくは−OHであるか、又は一緒になって単結合を形成する。
は、下記(A)から(D)のいずれか1つを表す。
(A)天然アミノ酸、天然アミノ酸のD体、並びに天然アミノ酸及び天然アミノ酸のD体においてカルボキシ基を水素原子、ヒドロキシ基又はヒドロキシメチル基に置き換えた化合物からなる群より選択されるアミノ化合物から、1個のアミノ基を除いた残基(ただし、−(CH)−OHは除く)、
(B)カルボキシ基、水酸基、スルホン酸基及び第二アミノ基からなる群より選択される少なくとも1つを置換基として若しくは置換基の一部として有する芳香族基、又は第二アミノ基を含み且つ窒素原子を含んでいてもよい芳香族基、
(C)下記式(II−1)で表される芳香族アミノ酸残基(式中Rはあってもなくてもよい置換基であって、水酸基、カルボキシ基及び炭素数1〜5のアルキル基からなる群より選択される少なくとも1つの置換基を表し、nは0又は1の整数を表す。)、

(D)−L−L−Rで表される置換基(式中、Lはカルボキシ基を有する炭素数1〜4のアルキレン基である連結基を表し、Lは−NH−C(=O)−又は−NH−C(=S)−NH−で示される連結基を表し、Rは炭素数1〜3のアルキルオキシ基を有する9−フルオレニルアルキルオキシ基又は下記式(II−2)で表される多複素環基を表す。)。

は、2個のアミノ基を有する天然アミノ酸、2個のアミノ基を有する天然アミノ酸のD体、2個のアミノ基を有する天然アミノ酸及び2個のアミノ基を有する天然アミノ酸のD体においてカルボキシ基を水素原子、ヒドロキシ基又はヒドロキシメチル基に置き換えた化合物、HN−CH(COOH)−(CH−NH(nは0〜9の整数)、並びにHN−CH(COOH)−(CH−S−(CH−CH(COOH)−NH(m、p及びqはそれぞれ独立に0〜9の整数)で示される化合物からなる群より選択されるアミノ化合物から、2個のアミノ基を除いた残基を表す。
本発明の細胞保護剤において、前記虚血性障害は血栓症(血栓塞栓症を含む。以下、同様)であることが好ましい。また、本発明の細胞保護剤において、前記虚血性障害は脳梗塞であることがより好ましい。
本発明によれば、虚血に起因する機能不全を抑制する効果に優れた細胞保護剤、並びにトリプレニルフェノール化合物の医薬としての新規用途を提供することができる。
本発明の実施例2の脳梗塞領域の割合を示す図である。 本発明の実施例2の神経症状を示す図である。 本発明の実施例3の脳梗塞領域の割合を示す図である。 本発明の実施例3の神経症状を示す図である。 本発明の実施例3の浮腫率を示す図である。
以下、本発明の細胞保護剤について詳細に説明する。なお、本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
本発明の細胞保護剤は、前記一般式(I)で表されるトリプレニルフェノール化合物を有効成分として含み、虚血性障害に用いられるものである。
本発明において前記一般式(I)で表されるトリプレニルフェノール化合物(以下、「本発明に係るトリプレニルフェノール化合物」ということがある。)は、詳細な作用機序は不明であるが、虚血性障害において細胞が傷害されることから細胞を保護し、虚血に起因する機能不全を抑制する。
ここで「虚血性障害」とは、体のいずれかの部分の血流が制限されることに起因するあらゆる症状を含む病態と一般に理解されている。即ち、虚血性障害では、虚血領域において、エネルギー枯渇による細胞の傷害や、血流回復後の細胞の傷害(虚血再灌流障害)が起こり、該領域が機能不全に陥ると理解されている。本発明において、上記トリプレニルフェノール化合物は、虚血再灌流障害を効果的に抑制するものと思われる。この点において、血栓の溶解を促進することで虚血領域への血流を再開させ、エネルギー供給を回復させ、その結果として細胞の傷害を抑制することとは異なる作用である。
また、本発明において「虚血に起因する機能不全」とは、体のいずれかの部分の血流が制限されることに起因して発現するあらゆる症状を含むものである。
「機能不全の抑制」とは、「機能不全の改善」をも含む概念で、その効果は、損傷領域の大きさ、各病気の症状の程度によって評価することができる。例えば、脳の機能不全に関しては、CT、MRI、脳血管造影などで認められる脳損傷領域の大きさ、浮腫の大きさ等で効果を評価でき、また、症状として現れる神経症状、日常生活動作障害、運動麻痺などの指標で効果を評価できる。さらには、組織の炎症に伴って発現が増強するインターロイキン−1β(IL−1β)、腫瘍壊死因子−α(TNF−α)、インターロイキン−6(IL−6)等の上昇度で効果を評価できる。
本発明の細胞保護剤としての機能を効果的に発揮するには、虚血性障害の中でも、血栓症に対して用いることが有効である。血栓症とは、血管内で血液の固まった状態と一般に理解されている。具体的な病態あるいは疾患としては、例えば、一過性脳虚血発作、播種性血管内凝固症候群、血栓性微小血管障害、血栓症静脈炎、深部静脈血栓症、特発性血栓症、脳梗塞(脳血栓、脳塞栓)、心筋梗塞、肺血栓塞栓症などが挙げられる。本発明の細胞保護剤は、特に脳梗塞に好適に用いられる。
本発明の細胞保護剤に有効成分として含まれるトリプレニルフェノール化合物は、前記一般式(I)で表されるトリプレニルフェノール化合物である。本発明の細胞保護剤は、本発明に係るトリプレニルフェノール化合物の少なくとも1種を有効成分として含む。
前記一般式(I)中Xは、−CHY−C(CHZであり、Y及びZは、それぞれ独立に−H若しくは−OHであるか、又は一緒になって単結合を形成する。Rは、水素原子又は分子量1000以下の置換基を表す。
分子量1000以下の置換基としては、細胞保護剤としての効果の観点から、分子量800以下の置換基が好ましく、分子量700以下の置換基がより好ましく、分子量600以下の置換基が更に好ましい。
本発明に係るトリプレニルフェノール化合物は、化学合成によって得たものでもよく、糸状菌、例えば、スタキボトリス・ミクロスポラ( Stachybotrys microspora )の培養物から精製して得たものでもよい。本発明に係るトリプレニルフェノール化合物を糸状菌の培養物から精製して得る方法として、例えば、スタキボトリス・ミクロスポラの培養液に所定の添加有機アミノ化合物を添加したときに得られた培養物から目的の化合物を精製することを含む方法が挙げられる。これらの方法は、例えば、特開2004−224737号公報、特開2004−224738号公報、及びWO2007/111203号公報等に記載されている。
本発明に係るトリプレニルフェノール化合物は、鏡像異性体、ジアステレオマー、及び鏡像異性体どうし又はジアステレオマーどうしの混合物でもよい。鏡像異性体、ジアステレオマー、及び鏡像異性体どうし又はジアステレオマーどうしの混合物は、化学合成によって得たものでもよく、糸状菌の培養物から精製して得たものでもよい。糸状菌の培養物から精製して得る場合には、糸状菌の培地に添加する添加有機アミノ化合物のD体又はL体を用いることで、それぞれに対応した異性体を得ることができる。
本発明に係るトリプレニルフェノール化合物の前記Rが分子量1000以下の置換基である場合の具体例としては、例えば、下記一般式(II)又は(III)で表されるトリプレニルフェノール化合物が挙げられる。
〔一般式(II)で表されるトリプレニルフェノール化合物〕
本発明に係るトリプレニルフェノール化合物の具体例の一つは、下記一般式(II)で表される化合物である。

一般式(II)中Xは、−CHY−C(CHZであり、Y及びZは、それぞれ独立に−H若しくは−OHであるか、又は一緒になって単結合を形成する。
は、下記(A)から(D)のいずれか1つを表す。
(A)天然アミノ酸、天然アミノ酸のD体、並びに天然アミノ酸及び天然アミノ酸のD体においてカルボキシ基を水素原子、ヒドロキシ基又はヒドロキシメチル基に置き換えた化合物からなる群より選択されるアミノ化合物から、1個のアミノ基を除いた残基(ただし、−(CH)−OHは除く)、
(B)カルボキシ基、水酸基、スルホン酸基及び第二アミノ基からなる群より選択される少なくとも1つを置換基として若しくは置換基の一部として有する芳香族基、又は第二アミノ基を含み且つ窒素原子を含んでいてもよい芳香族基、
(C)下記式(II−1)で表される芳香族アミノ酸残基(式中Rはあってもなくてもよい置換基であって、水酸基、カルボキシ基及び炭素数1〜5のアルキル基からなる群より選択される少なくとも1つの置換基を表し、nは0又は1の整数を表す。)、

(D)−L−L−Rで表される置換基(式中、Lはカルボキシ基を有する炭素数1〜4のアルキレン基である連結基を表し、Lは−NH−C(=O)−又は−NH−C(=S)−NH−で示される連結基を表し、Rは炭素数1〜3のアルキルオキシ基を有する9−フルオレニルアルキルオキシ基又は下記式(II−2)で表される多複素環基を表す。)。

一般式(II)において、Rが前記(A)の場合の化合物について説明する。
前記(A)は、天然アミノ酸、天然アミノ酸のD体、並びに天然アミノ酸及び天然アミノ酸のD体においてカルボキシ基を水素原子、ヒドロキシ基又はヒドロキシメチル基に置き換えた化合物からなる群より選択されるアミノ化合物から、1個のアミノ基を除いた残基(ただし、−(CH)−OHは除く)である。
天然アミノ酸は、天然に存在し得るアミノ酸であれば、特に制限されず、例えば、α−アミノ酸、β−アミノ酸、γ−アミノ酸及びδ−アミノ酸などがある。このようなアミノ酸は、天然物から得られるものであってもよく、又は人為的に有機合成などの手法により得られるものでもよい。
天然アミノ酸として、例えば、α−アミノ酸として、グリシン、アラニン、スレオニン、バリン、イソロイシン、チロシン、システイン、シスチン、メチオニン、ヒスチジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、アルギニン、リシン、ヒドロキシリシン、オルニチン、シトルリン、ホモシステイン、3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン、ホモシスチン、ジアミノピメリン酸、ジアミノプロピオン酸、セリン、ロイシン、フェニルアラニン及びトリプトファンなどが挙げられ、β−アミノ酸として、β−アラニンなどが挙げられ、γ−アミノ酸として、γ−アミノ酪酸及びカルニチンなどが挙げられ、δ−アミノ酸として、5−アミノレブリン酸及び5−アミノ吉草酸などが挙げられる。
上記の天然アミノ酸若しくは天然アミノ酸のD体において、カルボキシ基を水素原子、ヒドロキシ基又はヒドロキシメチル基に置き換えた化合物として、例えばアミノアルコール及びアミンが挙げられる。このようなアミノアルコールとして、例えば2−アミノエタノールなどが挙げられる。
一般式(II)においてRが前記(A)の場合の化合物の具体例としては、下記の表1に示す化合物が挙げられる。なお、表中の「添加有機アミノ化合物」は、トリプレニルフェノール化合物を、スタキボトリス・ミクロスポラの培養液に所定の添加有機アミノ化合物を添加したときに得られた培養物から精製して得る場合に用いる、その添加有機アミノ化合物を示す(以下、同様)。

上記の表1に示す化合物は、本発明に係るトリプレニルフェノール化合物として、好適に用いることができる。
一般式(II)において、Rが前記(B)の場合の化合物について説明する。
前記(B)は、カルボキシ基、水酸基、スルホン酸基及び第二アミノ基からなる群より選択される少なくとも1つを置換基として若しくは置換基の一部として有する芳香族基、又は第二アミノ基を含み且つ窒素原子を含んでいてもよい芳香族基である。
前記芳香族基としては、例えば、下記構造式で表される化合物が挙げられる。

一般式(II)においてRが前記(B)の場合の化合物の具体例としては、下記の表2に示す化合物が挙げられる。

上記の表2に示す化合物は、本発明に係るトリプレニルフェノール化合物として、好適に用いることができる。
一般式(II)において、Rが前記(C)の場合の化合物について説明する。
前記(C)は、下記式(II−1)で表される芳香族アミノ酸残基(式中Rはあってもなくてもよい置換基であって、水酸基、カルボキシ基及び炭素数1〜5のアルキル基からなる群より選択される少なくとも1つの置換基を表し、nは0又は1の整数を表す。)である。

前記式(II−1)で表される芳香族アミノ酸残基としては、例えば、下記構造式で表される化合物が挙げられる。

一般式(II)においてRが前記(C)の場合の化合物の具体例としては、下記の表3に示す化合物が挙げられる。

上記の表3に示す化合物は、本発明に係るトリプレニルフェノール化合物として好適に用いることができる。
一般式(II)において、Rが前記(D)の場合の化合物について説明する。
前記(D)は、−L−L−Rで表される置換基(式中、Lはカルボキシ基を有する炭素数1〜4のアルキレン基である連結基を表し、Lは−NH−C(=O)−又は−NH−C(=S)−NH−で示される連結基を表し、Rは炭素数1〜3のアルキルオキシ基を有する9−フルオレニルアルキルオキシ基又は下記式(II−2)で表される多複素環基を表す。)である。

一般式(II)においてRが前記(D)の場合の化合物の具体例としては、下記の表4に示す化合物が挙げられる。

上記の表4に示す化合物は、本発明に係るトリプレニルフェノール化合物として好適に用いることができる。
〔一般式(III)で表されるトリプレニルフェノール化合物〕
本発明に係るトリプレニルフェノール化合物の具体例の一つは、下記一般式(III)で表される化合物である。

一般式(III)中X及びXは、それぞれ独立に−CHY−C(CHZであり、Y及びZは、それぞれ独立に−H若しくは−OHであるか、又は一緒になって単結合を形成する。Rは、2個のアミノ基を有する天然アミノ酸、2個のアミノ基を有する天然アミノ酸のD体、2個のアミノ基を有する天然アミノ酸及び2個のアミノ基を有する天然アミノ酸のD体においてカルボキシ基を水素原子、ヒドロキシ基又はヒドロキシメチル基に置き換えた化合物、HN−CH(COOH)−(CH−NH(nは0〜9の整数)、並びにHN−CH(COOH)−(CH−S−(CH−CH(COOH)−NH(m、p及びqはそれぞれ独立に0〜9の整数)で示される化合物からなる群より選択されるアミノ化合物から、2個のアミノ基を除いた残基を表す。
前記nは、0〜9の整数を表し、好ましくは0〜6の整数、より好ましくは1〜5の整数、更に好ましくは1〜4の整数である。
前記mは、0〜9の整数を表し、好ましくは0〜4の整数、より好ましくは1〜3の整数、更に好ましくは1又は2である。
前記pは、0〜9の整数を表し、好ましくは0〜4の整数、より好ましくは1〜3の整数、更に好ましくは1又は2である。
前記qは、0〜9の整数を表し、好ましくは0〜4の整数、より好ましくは1〜3の整数、更に好ましくは1又は2である。
前記pが0の場合、m+qとしては、0〜9の整数が好ましく、より好ましくは0〜6の整数、更に好ましくは1〜5の整数、特に好ましくは1〜4の整数である。
2個のアミノ基を有する天然アミノ酸として、例えば、α−アミノ酸として、ヒドロキシリシン、シトルリン、シスチン、ホモシスチン、ジアミノピメリン酸、ジアミノプロピオン酸、リシン及びオルニチンなどが挙げられる。
2個のアミノ基を有する天然アミノ酸及び2個のアミノ基を有する天然アミノ酸のD体においてカルボキシ基を水素原子、ヒドロキシ基又はヒドロキシメチル基に置き換えた化合物として、HN−(CH−NH(kは1〜10の整数、好ましくは1〜6の整数、より好ましくは1〜4の整数である)が挙げられる。
一般式(III)で表される化合物の具体例としては、下記の表5に示す化合物が挙げられる。

上記の表5に示す化合物は、本発明に係るトリプレニルフェノール化合物として好適に用いることができる。
前記一般式(II)又は(III)で表されるトリプレニルフェノール化合物のほかに、前記一般式(I)で表されるトリプレニルフェノール化合物の具体例として、下記の表6に示すトリプレニルフェノール化合物が挙げられる。

上記の表6に示す化合物は、本発明に係るトリプレニルフェノール化合物として好適に用いることができる。
本発明に係るトリプレニルフェノール化合物は、遊離形態、薬学的に許容され得る塩若しくはエステルの形態、又は溶媒和物の形態で用いることができる。塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸、またはクエン酸、ギ酸、フマール酸、リンゴ酸、酢酸、コハク酸、酒石酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の無機酸または有機酸が、本発明の化合物の薬学的に許容され得る塩の形成に好適である。また、例えばナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属を含む化合物、塩基性アミン、または塩基性アミノ酸も、本発明の化合物の薬学的に許容され得る塩の形成に好適である。また、炭素数1〜10個のアルコールまたはカルボン酸など、好ましくは、メチルアルコール、エチルアルコール、酢酸、又はプロピオン酸などが、本発明の化合物の薬学的に許容され得るエステルの形成に好適である。また、水などが、本発明の化合物の薬学的に許容され得る溶媒和物の形成に好適である。
本発明の細胞保護剤の調製に用いられる担体および製剤用添加物の種類は、特に制限されない。本発明の細胞保護剤は、本発明に係るトリプレニルフェノール化合物と、薬学的に許容される固体担体(例えば、ゼラチン、乳糖)あるいは液体担体(例えば、水、生理食塩水、ブドウ糖水溶液)を用い、製剤化される。
本発明の細胞保護剤は、有効成分として用いるトリプレニルフェノール化合物の種類、及び虚血性障害の重傷度や患部が体のどの部位かにもよるが、成人1回当たりの有効量として0.01〜100mg/kgの投与が好ましく、0.1〜30mg/kgの投与がより好ましい。投与回数に特に制限はなく、1回投与で用いてもよく、反復投与で用いてもよく、持続投与で用いてもよい。投与間隔および投与期間は、臨床所見、画像所見、血液所見、併存する疾患、既往歴などに応じて、当業者が選択できる。
本発明の細胞保護剤を反復投与で用いる場合、患部が持続的に本発明の細胞保護剤に接触する観点から、発症直後および発症12時間後に投与する態様が好ましく、1日当たり1時間〜24時間の持続投与をする態様も好ましい。
成人に投与する方法は、特に制限されず、静脈内投与、皮下投与、筋肉内投与、経口投与、など種々の投与経路の選択が可能である。例えば、各病気の急性期の場合、患者に所望の投与量を迅速かつ確実に投与する観点から、静脈内投与、具体的には、静脈注射または点滴が好ましい。例えば当業者は、1回分の投与量の1割を急速静注し、9割を30分から1時間かけて点滴投与する方法を採用できる。
本発明の細胞保護剤は、虚血に起因する細胞傷害の可能性が増大する時期であれば、特に制限なく用いられる。「細胞傷害の可能性が増大する時期」とは、例えば、前述した各種の血栓症に罹患している時期を挙げることができる。また、抗凝固薬、抗血小板薬、血栓溶解薬などを用いた血栓症の治療中、又は治療後を挙げることができる。あるいは、これらの血栓症から回復した後の時期を挙げることができ、この時期においては、予防的に用いることもできる。
なお、虚血に起因する細胞傷害の可能性があれば、上述した時期に制限されず使用してよい。
本発明の細胞保護剤は、単独で用いてもよく、少なくとも1種以上の血栓溶解薬とともに用いてもよい。
本発明の細胞保護剤と血栓溶解薬とを併用することにより、血栓溶解薬による血栓溶解に起因した虚血再灌流障害による機能不全を効果的に抑制することができ、治療効果を増強することが期待できる。この場合、本発明の細胞保護剤は、血栓溶解薬と同時に又は時間をかえて、用いることができる。
組み合わせて使用可能な血栓溶解薬としては、アルテプラーゼ、ウロキナーゼ、デスモテプラーゼ、モンテプラーゼ、などが挙げられる。
本発明の細胞保護剤は、発症後時間が経過したために血栓溶解薬が適応外となった患者群に用いることが有効である。脳梗塞の場合、発症後3時間以上が経過し、例えばアルテプラーゼを投与することができない患者に、本発明の細胞保護剤を用いることが有効である。なお、発症時刻が不明な場合は、最終未発症時刻(患者が無症状であることが最後に確認された時刻)をもって発症時刻とする。
本発明の細胞保護剤は、血栓症(血栓塞栓症をも含む)に用いる場合、血栓溶解薬が禁忌の患者に対して用いることが有効である。あるいは、血栓溶解薬の投与中に、禁忌すべき兆候もしくは症状が現れたことにより血栓溶解薬の投与を中止した患者に、本発明の細胞保護剤を用いることも有効である。禁忌としては、出血素因、出血、高血圧症、血糖異常などである。例えば、脳梗塞において、頭蓋内出血の危険性が増大するために血栓溶解薬を投与できない患者に、本発明の細胞保護剤が用いられうる。
また、本発明の細胞保護剤は、血栓症(血栓塞栓症をも含む)に用いる場合、血栓症のなかでも通常、血栓溶解薬が治療に用いられない患者に対して用いることが有効である。このような患者としては、例えば、一過性脳虚血発作、播種性血管内凝固症候群、血栓性微小血管障害、血栓症静脈炎、深部静脈血栓症、特発性血栓症の患者が挙げられる。
なお、本発明の細胞保護剤は、ヒトでの使用に限定されずに用いてもよい。他の適用対象としては、ウシ、ウマ、ヒツジ等の家畜や、イヌ、ネコ、サル等のペット等に用いてもよい。
本発明は、虚血性障害を発症した患者に本発明に係るトリプレニルフェノール化合物を含む薬剤を投与することを含む虚血性障害の治療方法を含む。本発明の虚血性障害の治療方法において「治療」とは、症状の改善であればよく、重症化の抑制や症状の軽減若しくは緩和もこの用語に包摂される。
本発明の虚血性障害の治療方法により、虚血性障害の重症化の抑制、又は、症状の軽減若しくは緩和をすることができる。
本発明の虚血性障害の治療方法における本発明に係るトリプレニルフェノール化合物を含む薬剤の投与量、投与間隔、投与期間、投与方法などは、既述の本発明の細胞保護剤と同様である。
本発明の虚血性障害の治療方法は、虚血性障害として血栓症(血栓塞栓症をも含む)に対する適用が好適であり、脳梗塞に対する適用がより好適である。
本発明の虚血性障害の治療方法の一態様は、虚血に起因する細胞傷害の可能性が増大する時期の患者に本発明に係るトリプレニルフェノール化合物を含む薬剤を投与することを含む虚血性障害の治療方法である。「細胞傷害の可能性が増大する時期」とは、既述の通りである。当該治療方法は、虚血性障害として血栓症(血栓塞栓症をも含む)に対する適用が好適であり、脳梗塞に対する適用がより好適である。
本発明の虚血性障害の治療方法の一態様は、本発明に係るトリプレニルフェノール化合物を含む薬剤を少なくとも1種以上の血栓溶解薬とともに用いることを含む虚血性障害の治療方法である。当該治療方法は、虚血性障害として血栓症(血栓塞栓症をも含む)に対する適用が好適であり、脳梗塞に対する適用がより好適である。
本発明に係るトリプレニルフェノール化合物を含む薬剤とともに用いうる血栓溶解薬としては、アルテプラーゼ、ウロキナーゼ、デスモテプラーゼ、モンテプラーゼ、などが挙げられる。本発明に係るトリプレニルフェノール化合物を含む薬剤は、血栓溶解薬と同時に又は時間をかえて、患者に投与することができる。
本発明の虚血性障害の治療方法の一態様は、発症後3時間以上が経過した患者に本発明に係るトリプレニルフェノール化合物を含む薬剤を投与することを含む虚血性障害の治療方法である。当該治療方法は、虚血性障害として血栓症(血栓塞栓症をも含む)に対する適用が好適であり、脳梗塞に対する適用がより好適である。
例えば脳梗塞の場合、発症後3時間以上が経過し、アルテプラーゼを投与することができない患者に、本発明に係るトリプレニルフェノール化合物を含む薬剤を用いることが有効である。なお、発症時刻が不明な場合は、最終未発症時刻(患者が無症状であることが最後に確認された時刻)をもって発症時刻とする。
本発明の虚血性障害の治療方法の一態様は、血栓溶解薬が禁忌の患者に本発明に係るトリプレニルフェノール化合物を含む薬剤を投与することを含む虚血性障害の治療方法である。当該治療方法は、虚血性障害として血栓症(血栓塞栓症をも含む)に対する適用が好適であり、脳梗塞に対する適用がより好適である。
禁忌としては、出血素因、出血、高血圧症、血糖異常などである。例えば、脳梗塞において、頭蓋内出血の危険性が増大するために血栓溶解薬を投与できない患者に、本発明に係るトリプレニルフェノール化合物を含む薬剤を投与することができる。
本発明の虚血性障害の治療方法の一態様は、通常、血栓溶解薬が治療に用いられない患者に本発明に係るトリプレニルフェノール化合物を含む薬剤を投与することを含む虚血性障害の治療方法である。当該治療方法は、虚血性障害として血栓症(血栓塞栓症をも含む)に対する適用が好適であり、脳梗塞に対する適用がより好適である。
通常、血栓溶解薬が治療に用いられない患者としては、例えば、一過性脳虚血発作、播種性血管内凝固症候群、血栓性微小血管障害、血栓症静脈炎、深部静脈血栓症、特発性血栓症の患者が挙げられる。
本発明の虚血性障害の治療方法の一態様は、虚血再灌流障害を生じている又は生じることが予測される患者に本発明に係るトリプレニルフェノール化合物を含む薬剤を投与することを含む虚血性障害の治療方法である。当該治療方法は、虚血性障害として血栓症(血栓塞栓症をも含む)に対する適用が好適であり、脳梗塞に対する適用がより好適である。
上記の虚血性障害の治療方法により、虚血再灌流障害の予防、重症化の抑制、又は、症状の軽減若しくは緩和をすることができる。
以下に本発明の実施例について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「%」は質量基準である。
(実施例1)
<酢酸を用いた脳梗塞モデルの作製>
〔スナネズミ脳梗塞モデル〕
雄性スナネズミ(体重55〜65g)を5%イソフルラン(商品名エスカイン、マイラン製薬(株))の吸入により麻酔導入後、1〜1.5%イソフルランで麻酔を維持した。背位に固定し、頸部を除毛後、70%エタノールで消毒した。頸部を正中切開し、右総頸動脈を剥離後、クレンメで一時的に血流を遮断し、右総頸動脈に100%酢酸を30往復塗布することによって血栓を作製した。血流遮断から10分後、血管を再開通させ、血流にのせて血栓を脳内へ送り込むことによって虚血とし、脳梗塞を惹起した。瞬間接着剤(商品名アロンアルフア、東亞合成(株))で手術野を閉じ、70%エタノールで消毒した。
〔神経症状の評価〕
手術開始から24時間後に、脳梗塞の指標として神経症状を観察した。脳梗塞により後肢の伸展や一方向旋回等の特有な神経症状が多種類報告されているが、その評価法としてLongaらが提唱した方法 (Stroke 1989;20:84-91) の変法を用い、無症状;0点、足の伸展;1点、一方向旋回;2点、傾斜姿勢;3点、寡動;4点と評価することで、術後の神経症状の判定を行った。
統計学的解析は、多群間比較の際には初めに、一元分散分析(ANOVA)を行い、有意差が認められたものについて Bonferroni の検定を行った。危険率5%(P<0.05)未満を有意差ありと判定した。結果は全て平均値±標準誤差で示した。
〔梗塞領域割合の評価〕
上記の方法で神経症状を評価した後、イソフルラン麻酔下にて断頭した。皮膚と頭蓋骨を剥離して開頭し、視神経切断後に脳を摘出し、生理食塩水に浸して付着した体毛等を除去した。摘出した脳をブレインマトリックス(RBM-1000C、ASI Instruments)に入れ、前頭極から厚さ2mmずつ冠状切断を行った。切片を2%2,3,5−トリフェニル−2H−テトラゾリウムクロリド(TTC)に浸して、37℃のCOインキュベーター内で30分間インキュベーションを行い染色した。無色のTTCは正常細胞に含まれる脱水素酵素の働きで遊離した水素で還元されて、暗赤色の水に不溶な1,3,5−トリフェニルホルマザン(TPF)となり、正常細胞が染色される。染色されていない部位(白色の部位)を梗塞領域とした。ただし、左右の大脳半球をつなぐ交通繊維である脳梁は染色されないため白色であるので、以下の解析では、脳梁を除いて画像処理をした。
染色後、デジタルカメラを用いて実体顕微鏡下で脳スライス画像を取得した。梗塞領域割合の解析には、画像解析ソフトImage J(Version 1.4)を用いた。取得した2、3及び4枚目の脳スライス画像に対し、脳梁を除き、画像全体をモノクロ処理した。この濃淡画像から、横軸に輝度 (0−255)、縦軸に各輝度の出現度数 (又は頻度) を取り、脳全体を対象領域としたヒストグラムを得た。0−255の総和を脳全体の面積、160−219の総和を梗塞領域の面積とし、下記の式に従い、3枚の脳スライス画像の梗塞領域の合計面積と脳全体の合計面積から梗塞領域割合を求めた。統計学的解析は、前記と同様に行った。
梗塞領域割合(%)=脳梁を除いた梗塞領域の合計面積÷脳全体の合計面積×100
〔マウス脳梗塞モデル〕
雄性ddY系マウス(体重35〜45g) を用いて、上記のスナネズミ脳梗塞モデルの作製方法および評価方法と同様の方法で、脳梗塞モデルを作製し、神経症状と梗塞領域割合を評価した。
(実施例2)
<スナネズミ脳梗塞モデルにおける各種薬剤の効果の比較>
スナネズミ脳梗塞モデルを用い、梗塞領域割合および神経症状に対する、SMTP−7、アルテプラーゼ及びエダラボン(脳保護薬)の改善効果を比較した。同時に投与量による改善の程度も検討した。
なお、SMTP−7は、特開2004−224738号公報に記載された方法を用いて、スタキボトリス・ミクロスポラ IFO30018株の培地に添加有機アミノ化合物としてL−オルニチンを添加した場合に得られる培養物から精製して得た。精製して得たSMTP−7の乾固物に0.3N NaOH及び生理食塩水(0.9%NaCl)を加えて、50 mg/ml溶液を調製した。その後0.3N HClと生理食塩水を用いて、10mg/ml、pHが弱アルカリとなるように調整し、濾過滅菌を行い小分けにして−30℃に凍結保存した。SMTP−7は、必要に応じて、生理食塩水で稀釈して使用した。
SMTP−7は、上記の凍結保存したものを試験直前に生理食塩水で1mg/mlに溶解した。アルテプラーゼ(商品名アクチバシン、協和発酵キリン株式会社)は、アクチバシン用溶解液で1.03mg/mlに溶解した。エダラボン(商品名ラジカット、田辺三菱製薬株式会社)は、1.5mg/kgの原液を用いた。以上の薬物は必要に応じて生理食塩水で稀釈した。
SMTP−7の投与量は、0.1mg/kg、1mg/kg及び10mg/kg、アルテプラーゼの投与量は、0.01mg/kg、0.1mg/kg及び10mg/kg、エダラボンの投与量は、1mg/kg、3mg/kg及び10mg/kgとした。
SMTP−7とアルテプラーゼは、スナネズミ脳梗塞モデルの虚血開始から1時間後、3時間後または6時間後に投与を開始した。エダラボンは虚血開始直後(0時間)、1時間後または3時間後に投与を開始した。
スナネズミ脳梗塞モデルは、虚血開始から上記の所定時間経過後に投与開始できるよう、5%イソフルランの吸入により麻酔導入し、その後1〜1.5%で麻酔を維持した。スナネズミを背位に固定した後、左大腿静脈に27Gの針付ポリエチレン・カテーテルを刺入した。このカテーテルから、SMTP−7とアルテプラーゼは、投与量の10%を急速投与で、残りを30分間持続投与した。エダラボンは30分間持続投与した。用いたスナネズミは条件ごとに6匹ずつであった。
手術開始から24時間後、各スナネズミの神経症状を判定し、神経症状を評価した。続いて、各スナネズミの脳を摘出し、梗塞領域を測定し、梗塞領域割合を評価した。梗塞領域割合と神経症状のスコアを表7に示す。また、SMTP−7とアルテプラーゼについては、10mg/kg投与群の梗塞領域割合を図1に、神経症状のスコアを図2に示す(*;P<0.05、**;P<0.01、##;P<0.01)。なお、図中のt−PAはアルテプラーゼを表す(以下、同様)。

SMTP−7を虚血開始1時間後に投与した場合、梗塞領域割合と神経症状は、用量依存的に改善が認められた。10mg/kg投与群では、梗塞領域割合、神経症状ともに、対照群に比べ有意な改善が認められた。
SMTP−7(10mg/kg)投与群の梗塞領域割合は、虚血開始後の投与開始時間が遅くなっても(虚血開始1時間後、3時間後、及び6時間後に投与開始)、対照群に比べ統計学的に有意な改善が認められた。虚血開始1時間後に投与開始した群の改善率は65.7%であり、アルテプラーゼを投与した場合の改善率78.9%とほぼ同等の効果を示した。
SMTP−7(10mg/kg)投与群の神経症状のスコアは、虚血開始1時間後、及び3時間後に投与開始した群では、アルテプラーゼ(10mg/kg)投与群に比べ顕著な改善ではないものの、対照群に比べ統計学的に有意な改善が認められた。虚血開始6時間後に投与開始したSMTP−7(10mg/kg)投与群では、対照群に比べ統計学的に有意な改善は認められないものの、改善傾向は認められた。
アルテプラーゼを虚血開始1時間後に投与した場合、梗塞領域割合と神経症状は、用量依存的に改善が認められた。10mg/kg投与群では、梗塞領域割合、神経症状ともに、対照群に比べ有意な改善が認められた。
アルテプラーゼ(10mg/kg)投与群の梗塞領域割合は、虚血開始1時間後の投与では対照群に比べ有意な改善が認められた。虚血開始3時間後の投与では改善傾向は認められたが、対照群に比べ有意な改善は認められず、虚血開始6時間後の投与では対照群と比べ統計学的に有意な差は見られなかった。
アルテプラーゼ(10mg/kg)投与群の神経症状のスコアは、虚血開始1時間後、及び3時間後の投与では対照群に比べ有意な改善が認められた。しかし、虚血開始6時間後の投与では、対照群と比べ統計学的に有意な差は見られなかった。
エダラボンを虚血開始1時間後に投与した場合、梗塞領域割合と神経症状は、用量依存的に改善が認められた。3mg/kg投与群で、梗塞領域割合、神経症状ともに、対照群に比べ有意な改善が認められた。10mg/kgに投与量を増やすことでそれ以上の効果が認められるということはなく、同程度であった。
エダラボン(3mg/kg)投与群の梗塞領域割合は、虚血開始0時間後と1時間後の投与では、改善傾向が認められた。虚血開始3時間後の投与では改善が認められなかった。
エダラボン(3mg/kg)投与群の神経症状のスコアは、虚血開始0時間後と1時間後の投与では、有意な改善が認められた。虚血開始3時間後の投与では、有意な改善は認められなかった。
(実施例3)
<マウス脳梗塞モデルにおけるSMTP−7とアルテプラーゼの効果の比較>
マウス脳梗塞モデルを用い、梗塞領域割合、神経症状、及び浮腫率に対する、SMTP−7とアルテプラーゼの改善効果を比較した。同時にSMTP−7の投与量による改善の効果も検討した。
SMTP−7及びアルテプラーゼは、実施例2と同様にして調製した。それぞれ10mg/kgを、マウス脳梗塞モデルの虚血開始から1時間後または3時間後に、大腿静脈から10%を急速投与で、残りを30分間持続投与した。また、SMTP−7の0.1mg/kg及び1mg/kgを、マウス脳梗塞モデルの虚血開始から1時間後に、大腿静脈から10%を急速投与で、残りを30分間持続投与した。用いたマウスは条件ごとに6匹ずつであった。
手術開始から24時間後、各マウスの神経症状を判定し、神経症状を評価した。続いて、各マウスの脳を摘出し、梗塞領域を測定し、梗塞領域割合を評価した。また、浮腫率を下記の式で算出した。
浮腫率(%)=(虚血を起こした大脳半球の体積−反対側の大脳半球の体積)÷反対側の大脳半球の体積×100
投与量10mg/kgのSMTP−7及びアルテプラーゼの評価結果を表8に示す。また、これらの梗塞領域割合を図3に、神経症状のスコアを図4に、浮腫率を図5に示す(*;P<0.05、**;P<0.01、#;P<0.05、##;P<0.01)。
SMTP−7の投与量を変えた評価結果を表9に示す。

対照群の梗塞領域割合はSham群(脳梗塞惹起模擬処置群)に比し有意な上昇が認められた。
アルテプラーゼ投与群の梗塞領域割合は、虚血開始1時間後に投与開始した群では、対照群に比し有意な改善が認められた。3時間後に投与開始した群では、有意な改善は認められなかった。
SMTP−7(10mg/kg)投与群の梗塞領域割合は、1時間後に投与開始した群、3時間後に投与開始した群ともに、対照群に比べ有意な改善が認められた。
対照群の神経症状のスコアは、Sham群に比し有意な上昇が認められた。
アルテプラーゼ投与群の神経症状のスコアは、1時間後に投与開始した群では、有意な改善が認められた。3時間後に投与開始した群では、有意な改善は認められなかった。
SMTP−7(10mg/kg)投与群の神経症状のスコアは、1時間後に投与開始した群、3時間後に投与開始した群ともに、対照群に比べ統計学的に有意な改善が認められた。
浮腫率に関しては、アルテプラーゼ投与群では、1時間後に投与開始した群で有意な改善が認められたが、3時間後に投与開始した群では有意な改善は認められなかった。
SMTP−7(10mg/kg)投与群では、1時間後に投与開始した群、3時間後に投与開始した群ともに、対照群に比べ有意な改善が認められた。

梗塞領域割合、神経症状のスコア及び浮腫率のいずれも、SMTP−7(10mg/kg)投与群及びSMTP−7(1mg/kg)投与群において、対照群に比べ有意な改善が認められた。
(実施例4)
<脳血流量に対するSMTP−7とアルテプラーゼの効果の比較>
マウス脳梗塞モデルを用い、脳血流量に対するSMTP−7とアルテプラーゼの改善効果を比較した。
SMTP−7及びアルテプラーゼは、実施例2と同様にして調製した。SMTP−7及びアルテプラーゼは10mg/kgを、マウス脳梗塞モデルの虚血開始から1時間後に、大腿静脈から10%を急速投与で、残りを30分間持続投与した。用いたマウスは条件ごとに3匹ずつであった。
脳血流量の測定は、虚血開始前、虚血開始直後、薬物投与終了から0時間後(終了直後)、1時間後、3時間後および24時間後の6点で行った。
また、脳血流量の測定は、マウスの頭部の皮膚を切開して頭蓋骨を露出させ、脳表面全体の血流をレーザードップラー装置( moorFLPI, moor instruments Ltd, UK)を用いて測定した。解析は moorFLPI(Version 2.1)を用いて行い、各群の虚血開始前に対する割合(%)で評価した。結果を表10に示す。

SMTP−7投与群は、アルテプラーゼ投与群に比し、脳血流量が徐々に回復し、投与終了から24時間後ではアルテプラーゼ投与群と同程度に脳血流量が回復していた。これは、対照群に比較して統計学的に有意な差であった。
(実施例5)
<マウス脳梗塞モデルにおけるトリプレニルフェノール化合物の効果の検討>
トリプレニルフェノール化合物であるSMTP−6、SMTP−22、SMTP−25、SMTP−43及びSMTP−44Dを用い、マウス脳梗塞モデルに対する改善効果を検討した。
SMTP−6は、添加有機アミノ化合物としてL−トリプトファンを用いた以外は、SMTP−7と同様にして得たものを用いた。SMTP−22は、添加有機アミノ化合物として4−アミノサリチル酸を用いた以外は、SMTP−7と同様にして得たものを用いた。SMTP−25は、添加有機アミノ化合物として3−アミノサリチル酸を用いた以外は、SMTP−7と同様にして得たものを用いた。SMTP−43は、添加有機アミノ化合物としてL−フェニルグリシンを用いた以外は、SMTP−7と同様にして得たものを用いた。SMTP−44Dは、添加有機アミノ化合物としてD−4−ヒドロキシフェニルグリシンを用いた以外は、SMTP−7と同様にして得たものを用いた。これらトリプレニルフェノール化合物は、0.3N NaOH及び生理食塩水(0.9%NaCl)を加えて、50 mg/ml溶液に調製した。その後0.3N HClと生理食塩水を用いて、10mg/ml、pHが弱アルカリとなるように調整し、濾過滅菌を行い、小分けにして−30℃に凍結保存した。
上記のトリプレニルフェノール化合物は、凍結保存したものを試験直前に生理食塩水で1mg/mlに溶解した。それぞれ10mg/kgを、マウス脳梗塞モデルの虚血開始から1時間後に、大腿静脈から10%を急速投与で、残りを30分間持続投与した。用いたマウスは条件ごとに6匹ずつであった。
手術開始から24時間後、実施例3と同様にして、各マウスの梗塞領域割合、神経症状、及び浮腫率を評価した。評価結果を表11に示す。なお、表11には、実施例3におけるSMTP−7(10mg/kg)を1時間後に投与開始した群の評価結果も併せて示す。

SMTP−22投与群及びSMTP−43投与群は、梗塞領域割合、神経症状のスコア及び浮腫率において、有意な改善が認められた。
(実施例6)
<リアルタイムRT−PCR法によるパラメータの変動の検討>
マウス脳梗塞モデルを用い、トリプレニルフェノール化合物(10mg/kg)投与群、アルテプラーゼ(10mg/kg)投与群、及びアルテプラーゼ(10mg/kg)とアスピリン(10mg/kg)の併用投与群において、リアルタイムRT−PCR法により、炎症に関与するパラメータの変動を評価した。パラメータは、炎症に関与する代表的なパラメータであるIL−1β、TNF−α及びIL−6とした。
トリプレニルフェノール化合物は、SMTP−7、SMTP−6、SMTP−22、SMTP−25、SMTP−43及びSMTP−44Dを用いた。
トリプレニルフェノール化合物及びアルテプラーゼは、実施例2及び実施例5と同様にして調製した。アスピリンは、生理食塩水で1mg/mlに溶解した。
SMTP−7(10mg/kg)及びアルテプラーゼ(10mg/kg)は、虚血開始から1時間後または3時間後に投与開始した。投与方法は実施例3と同様であった。
アルテプラーゼ(10mg/kg)とアスピリン(10mg/kg)の併用投与は、虚血開始から3時間後に投与開始した。アルテプラーゼは実施例3と同様に投与し、アスピリンは大腿静脈より急速静注した。
SMTP−6、SMTP−22、SMTP−25、SMTP−43及びSMTP−44Dは、虚血開始から1時間後に投与開始した。投与方法は実施例5と同様であった。
用いたマウスは条件ごとに6匹ずつであった。
手術開始から24時間後、Krebs-HEPES バッファーを心臓より灌流後、脳を摘出した。
脳スライスを作製後、4枚目のスライスを左脳および右脳に切り分け、TRIZOL(登録商標) Reagent(Invitrogen)1mLでそれぞれホモジナイズを行った。室温で5分間インキュベーションし、クロロホルム(0.2mL) を加え、15秒間混和させた後、室温で3分間インキュベーションを行った。そのサンプルを4℃で15分間、12,000×gにて遠心した。
RNAは水層へ移行するため水層を採取し、イソプロピルアルコール0.5mLを加えて室温で10分間インキュベーション後、4℃で10分間12,000×gにて遠心を行った。遠心後、チューブ内にペレットが形成されているため上清を取り除き、ペレットを洗浄するために75%エタノールを1mL加えて攪拌し、4℃で5分間7,500×gにて遠心を行った。再度上清を取り除き、8分間自然乾燥させ、RNAが含まれているペレットを100μLのRNase-free waterに溶解させた。SuperScript(登録商標)VILOTM cDNA Synthesis Kit(Invitrogen)を用いて、Thermal Cycler 2720(Applied Biosystems)によってRNAの逆転写を行い、cDNAを作製した。すなわち、5×VILOTM Reaction Mixを4μL、10×SuperScript(登録商標)Enzyme Mixを2μL、及びそれぞれのRNAを1μg混和し、RNase-free water を用いて20μLとした。
上記サンプルを用いて以下の条件にて逆転写を行った。25℃で10分間、42℃で60分間、85℃で5分間反応後、4℃で保存した。SYBR(登録商標)GreenERTM qPCR SuperMix for ABI PRISM(登録商標)(Invitrogen)を用いて、そのcDNAをテンプレートとして ABI PRISM 7000 によってリアルタイムRT−PCRを行った。すなわち、SYBR(登録商標) GreenERTM qPCR SuperMix for ABI PRISM(登録商標)を12.5μL、Forward primer を0.5μL、Reverse primer を0.5μL、及び20倍に稀釈したテンプレートを2.5μL混和し、RNase-free water を用いて25μLとした。
上記のサンプルを用いて以下の条件にてリアルタイムRT−PCRを行った。50℃で2分間および 95℃で15分間反応後に、94℃で15秒間、55℃で30秒間および72℃で30秒間を40サイクル繰り返した。それぞれのパラメータ変動を検量線法によって算出した。内在性コントロールとしてβ−アクチンを測定し、それぞれのパラメータはβ−アクチンに対する相対値にて算出した。結果を表12に示す。なお、表12の数値は、病側(右脳)の数値である。
プライマーは以下に示したものを用いた。β-アクチン forward:5’−CCTTCCTTCTTGGGTATGGAATC−3’(配列番号1)、β-アクチン reverse:5’−TGCTAGGAGCCAGAGCAGTAATC−3’(配列番号2)、IL−1β(キアゲン、QT01048355)、TNF−α(キアゲン、QT00104006)、IL−6(キアゲン、QT00098875)。

対照群では、TNF−α及びIL−6がSham群に比し有意に上昇していた。
アルテプラーゼを虚血開始から1時間後に投与開始した群では、Sham群に対し顕著な上昇を示すパラメータは認められず、3時間後に投与開始した群では、IL−1β、TNF−α及びIL−6がSham群に対して有意な上昇が認められた。中でも、IL−1β及びIL−6は対照群に対しても有意な上昇が認められた。
アルテプラーゼとアスピリンを併用投与した群では、アルテプラーゼを単独で投与した際に上昇するIL−1β及びTNF−αの上昇が認められなかった。
SMTP−7投与群では、1時間後に投与開始した群のみならず、3時間後に投与開始した群においても、IL−1β、TNF−α及びIL−6の顕著な上昇は認められず、SMTP−7はこれらのパラメータの上昇を抑制した。
SMTP−22投与群、SMTP−25投与群、SMTP−43投与群、及びSMTP−44D投与群では、IL−1β、TNF−α及びIL−6の顕著な上昇は認められず、SMTP−22、SMTP−25、SMTP−43、及びSMTP−44Dはこれらのパラメータの上昇を抑制した。
SMTP−6投与群では、IL−1β、TNF−α及びIL−6の上昇が抑制されなかった。
(実施例7)
<トリプレニルフェノール化合物のフリーラジカル消去活性の検討>
トリプレニルフェノール化合物のフリーラジカルの消去活性を検討するため、以下のH−ORAC( hydrophilic oxygen radical absorbance capacity )試験、及びmodified H−ORAC(mH−ORAC)試験を行った。
H−ORACで評価したSMTP化合物は、それぞれナトリウム塩水溶液として用い、mH−ORACで評価した化合物は、それぞれアセトン溶液として用いた。
H−ORACにおいては、試験化合物を緩衝液(75mMリン酸緩衝液、pH7.4)で適宜稀釈し、測定に用いた。mH−ORACにおいては、試験化合物を、アセトン溶液を水で稀釈した50%(v/v)アセトン溶液で適宜稀釈し、終濃度の40倍溶液を調製した。この溶液を緩衝液で10倍稀釈し、測定に用いた(アセトン終濃度1.25%)。標準物質トロロックスは、500μM/緩衝液を緩衝液で適宜稀釈した。
96穴マイクロプレート(透明、平底、ブラックウォール)に試験化合物溶液またはトロロックス溶液50μLを添加し、さらに蛍光物質フルオレセイン140nM/緩衝液(終濃度70nM)100μLを添加して、37℃で10分間インキュベーションした。
フリーラジカル発生剤2,2’−アゾビスアミジノプロパン二塩酸塩48mM/緩衝液(終濃度12mM)50μLを加え、励起波長485nm、蛍光波長535nmで蛍光強度を2分おきに90分間測定した。検量線はトロロックス終濃度5〜15μMで作成した。測定は濃度を振って、n=3で行い、横軸に時間、縦軸に蛍光強度をとり、試料の曲線下面積からブランクの曲線下面積を差し引いた値を用いて評価した。結果はトロロックス等量で示した。結果を表13に示す。表13中、TEはトロロックス等量を表す。

なお、参考値であるが、上記と同様のORAC試験で測定されたα−トコフェロールのORAC値は、トロロックス等量で0.50±0.02であった(Huang et al., J. Agric. Food Chem., 50, 1815-1821 (2002))。
表13から明らかなように、本発明のSMTP化合物はいずれもトロロックスと同等又はそれよりも高いフリーラジカル消去活性を有していることがわかる。このことから、本発明のSMTP化合物は、高い抗酸化活性を有していることがわかる。
(実施例8)
<フィブリノーゲンザイモグラフィー法によるプラスミン活性の検討>
フィブリノーゲンザイモグラフィー法により、血漿中のプラスミン・α−アンチプラスミン量を測定し、マウス脳梗塞モデルにトリプレニルフェノール化合物を投与した場合のプラスミン活性を評価した。トリプレニルフェノール化合物は、SMTP−7、SMTP−6、SMTP−22、SMTP−25、SMTP−43、及びSMTP−44Dを用いた。
トリプレニルフェノール化合物は、実施例2及び実施例5と同様にして調製した。トリプレニルフェノール化合物は10mg/kgを、虚血開始から1時間後に投与開始した。投与方法は実施例3と同様であった。用いたマウスは条件ごとに6匹ずつであった。
採血は下記の方法で、投与終了から0時間後(終了直後)、1時間後および3時間後の3点で行った。1〜1.5%イソフルラン麻酔下で尾に切り込みを入れ、腹部大静脈からクエン酸ナトリウム10μl(3.8%)の入ったシリンジに90μl採血した(クエン酸ナトリウム:血液=1:9、クエン酸ナトリウムの終濃度0.38%)。
採血後、遠心(5000rpm、15分、4℃)し、血漿を分離した。血漿の一部を等量のサンプルバッファー(125mM Tris−HCl(pH6.8)、4%(w/v)SDS、0.04%(w/v)ブロモフェノールブルー、20%(w/v)スクロース)と混和し、小分けにして凍結し保存した。
一部の血漿をとりおき、電気泳動用ゲルにアプライするタンパク質量をそろえるため、0.1N NaOHで300倍稀釈し、Bradford法によりタンパク質を定量した。
スタンダードサンプルとして、120nM プラスミン(SIGMA製)10μlと600nM α−アンチプラスミン(和光製)10μlを37℃で30分反応させ、20μlの前記サンプルバッファーと混和した試料を調製した。
電気泳動用ゲルとして、2mg/ml フィブリノーゲン(SIGMA製)を含む7.5% ランニングゲルにスタッキングゲルを重層したゲルを用意した。定量したタンパク質量に基づき、同量のタンパク質がアプライされるように試料を3〜15μlアプライした。
10mA/枚、3時間で電気泳動後、スタッキングゲルを取り外し、洗浄液(2.5% triton X-100)100ml/ゲル程度で30分、2回洗浄した。洗浄後、インキュベーションバッファー(0.1Mグリシン−50mM Tris−HCl、37℃におけるpH8.3)100ml/枚程度で、37℃で24〜60時間ゆるやかに揺らしながらインキュベーションした。
続いて、染色液(0.075% CBB R250 、22.5%メタノール、2.25%スルホサリチル酸二水和物、7.5%トリクロロ酢酸)で、室温下で15〜30分間ゆるやかに揺らしながら染色した。染色液を取り除き、脱色液(メタノール:酢酸:水=1:1:6)で脱色し、バンドの出方を見ながら適当なところで水に置換にした。
イメージングアナライザ(ATTO製、Printgraph(AE−6933FXCF))でゲルからイメージを取り込み、バンド強度を評価した。結果は対照群の投与終了から0時間後(終了直後)との比で示した。結果を表14に示す。

SMTP−7投与群では、投与終了後1時間でプラスミン活性の有意な上昇が認められ、投与終了後3時間においても同程度の活性が持続していた。
SMTP−22投与群、SMTP−25投与群、及びSMTP−43投与群では、投与直後からプラスミン活性の有意な上昇が認められ、投与終了後1時間及び3時間においても同程度の活性が持続していた。
SMTP−6投与群、及びSMTP−44D投与群では、プラスミン活性の有意な上昇は認められなかった。
(実施例9)
<カニクイザル脳梗塞モデルにおけるSMTP−7の治療効果の検討>
SMTP−7のカニクイザル脳梗塞モデルにおける脳梗塞サイズの縮小効果および神経症状改善効果を、以下の試験方法により検討した。
〔群の構成〕
・媒体群:生理食塩液、2〜3歳齢の雄のカニクイザル6例
・SMTP−7投与群:10mg/kg、2〜3歳齢の雄のカニクイザル6例
〔飼育室の環境条件〕
・ケージ:ステンレス製ケージ、W×D×H=600×600×800(mm)
・ケージ床面:0.36m
・温度(許容範囲):20〜26℃
・湿度(許容範囲):40〜70%
・照明時間(設定):12時間/日(7:00〜19:00)
・収容条件:個別飼育
〔飼料〕
・種類:固型飼料LabDiet(PMI社製)
・給餌方法:1日100g
〔飲料水〕
・種類:水道水
・給水方法:500mL給水瓶にて自由摂取させた。
〔被験物質投与〕
・被験物質投与経路:静脈内投与
・被験物質投与量:10mg/kg
・被験物質投与法:投与容量は10mL/kgとした。左伏在静脈にサーフロー留置針を留置し、虚血1時間後に1mg/kg(1mL/kg)を5秒間急速投与し、その後、シリンジポンプを用いて、9mg/kg(9mL/kg)を30分間持続投与した。
・投与液の調製:SMTP−7を生理食塩液で1mg/mLに溶解した。すなわち、SMTP−7ナトリウム塩の70.0mg(63.1mgのSMTP−7を含む)に対し、生理的食塩液63.1mLを加え、湯浴にて加温下(37℃)、マグネティックスターラーにより撹拌し、溶解させた。必要に応じて、超音波処理を行った。溶解後、無菌フィルター(0.22μm、セルロースアセテート製)によりろ過滅菌を行った。投与液は用時調製した。調製完了後は使用直前まで37℃湯浴中に置き、調製後4時間以内に投与を終了させた。
〔脳梗塞の処置〕
標準実験手順書(SPHPR400−3A)に従って、動物麻酔を実施した。すなわち、ケタミン(第一三共プロファーマ(株))(10mg/kg)+アトロピン(田辺三菱製薬(株))(0.05mg/kg)を筋肉内投与することにより、導入麻酔を実施した。その後、気管挿管した後、イソフルラン(Abbott)の吸入麻酔下で手術台に固定した。
脳梗塞処置は、標準実験手順書(SPHPR710−15A)に従った。すなわち、右眼球を摘出した後、視神経出口外側の眼底骨をデンタルドリルで除去し、硬膜を露出させた。慎重に硬膜を剥離し、中大脳動脈を確認した。中大脳動脈起始部をクモ膜から分離し、中大脳動脈上に血栓作製用光照射プローブを固定した。また、プローブの遠位部にパルスドップラー血流計(Crystal Bio、PDV−20)のプローブを設置した。ローズベンガル(和光純薬工業(株))(20mg/kg)を6分間で静脈内投与開始するとともに、波長540nmの緑色光(140万LUX)を20分間照射することにより、中大脳動脈を血栓性に閉塞した。光照射とローズベンガルの投与開始時を虚血開始時とした。パルスドップラー血流計により、中大脳動脈血流を光照射開始から2時間連続的に測定した後、創を閉じた。一連の操作は、全て手術用顕微鏡下で行い、術中の出血を極力最小限に止めた。また、手術中の動物の直腸温をモニターし、動物の体温が生理的範囲(37.0〜38.5℃)となるようヒーティングパッドで保温した。
〔術後管理〕
ペニシリンG(明治製菓(株))(100,000 Unit/head/day)の筋肉内投与を実施することによる感染防止対策を行うとともに、塩酸ブプレノルフィン(レペタン、大塚製薬(株))0.02mg/head投与による鎮痛処置を実施した。
〔神経症状の評価法〕
虚血24時間後にJ.Neurosci.Meth.2001;105:45−53.に従い、以下に記す神経症状の観察を行った。
神経症状のスコア化;
(1)意識障害(Consciousness)
・正常動物と同様、活発に行動(0)
・覚醒状態、攻撃的(4)
・覚醒状態、逃避可能(6)
・覚醒状態であるが反応が鈍い(8)
・傾眠(軽度)、刺激に対して反応(10)
・傾眠(重度)、強い刺激により開眼(16)
・知覚消失、持続的な刺激により反応(20)
・昏睡(軽度)、反射運動のみ(24)
・昏睡(重度)、動かない(28)
(2)知覚系(Sensory system)
顔面の感覚(障害側/非障害側)
・顔面への刺激に対して正常に反応(0/0)
・顔面への刺激に対して正常に反応しない(3/3)
耳介の反応(障害側/非障害側)
・耳を引っ張ると反応する(0/0)
・耳を引っ張っても反応しない(3/3)
痛み刺激(下肢、障害側/非障害側)
・足指をつかむとすばやく引っ込める(0/0)
・足指をつかむとゆっくりと引っ込める(3/3)
・足指をつかんでも引っ込めない(5/5)
(3)運動系(Motor system)
手(握れる/動く、障害側/非障害側)
・正常(0/0)
・握る力の低下/動作の不調和(2/2)
・麻痺、握ることができない(4/4)
脚(握れる/動く、障害側/非障害側)
・正常(0/0)
・膝を曲げて持ち上げる(2/2)
・動かすことはできるが、持ち上げられない(4/4)
・麻痺、動かすことができない(6/6)
上腕の筋緊張(障害側/非障害側)
・正常(0/0)
・明らかな筋の弛緩(痙攣性)(3/3)
下肢の筋緊張(障害側/非障害側)
・正常(0/0)
・明らかな筋の弛緩(痙攣性)(3/3)
(4)統御系(Skeletal muscle coordination)
・正常、歩行可能(0)
・運動失調(軽度)、歩行障害有り(4)
・運動失調、止まり木に登ることができない(6)
・自発的に立つことが可能、歩行困難(10)
・床で座位、刺激により回転運動をする(12)
・床で横臥位(16)
・動かない(18)
〔脳標本の採取〕
術後24時間後の神経症状観察後に、ペントバルビタールの大量投与による安楽死処置を施し、脳を摘出した。6mm厚の冠状切片を作製し、出血性梗塞の定量のため写真撮影した。その後。2%TTC液中で梗塞巣の染色を行い、梗塞サイズ定量用の写真撮影を行った。出血性梗塞および梗塞巣の評価には、各切片の後頭葉側を用いた。
〔解析方法〕
個体別写真は、TIFイメージに変換した後、Photoshop 7.0(Adobe)にて出血性梗塞巣および各梗塞巣のマーキングを行い、Scion Image 0.4.0.3(Scion Corporation)にて面積を測定した。
出血性梗塞巣は、各断面の面積の総和とした。
梗塞巣は、各断面毎に、大脳皮質、白質、基底核に分けて測定し、その面の厚み(6mm)を乗じることにより、梗塞体積(mm)を算出した。
実験結果の数値はMicrosoft Excel(Version 2003、Microsoft Inc.)を用いて集計及び作図し、平均値±標準偏差(S.D.)で表示した。
統計解析は、Microsoft Excel(Version 2003、Microsoft Inc.)を用いて行い、媒体群とSMTP−7投与群との間で対応のないt検定(unpaired t-test)(等分散)を行い、P<0.05の場合、有意差ありと判断した。
〔血流測定結果〕
Time to Occlusion及びTotal Occlusion Timeを以下の表15に示す。媒体群とSMTP−7投与群との間に、Time to Occlusion及びTotal Occlusion Timeに有意な差は認められなかった。
媒体およびSMTP−7は、虚血60分後に投与開始を行ったため、Total Occlusion Timeを虚血開始から60分後までと60分後から120分後までのOcclusion Timeに分けて解析したが、表16に示す通り、有意な閉塞時間の短縮作用は認められなかった。


〔神経症状観察結果〕
虚血24時間後の神経症状観察結果を以下の表17に記す。SMTP−7投与群においては、知覚系および筋統合系の有意な神経症状改善作用(P<0.05)が認められた。また、トータルスコアにおいても、有意な神経症状改善作用(P<0.05)が認められた。

〔梗塞サイズの測定結果〕
虚血24時間後の出血性梗塞面積および脳梗塞サイズの測定結果を以下の表18及び表19に記す。出血性梗塞に関しては、SMTP−7投与群において有意な軽減(P<0.05)が認められた。また、SMTP−7投与により、基底核の梗塞サイズの有意な縮小(P<0.05)と全梗塞サイズの有意な縮小(P<0.05)が認められた。


以上のことから、カニクイザル血栓性中大脳動脈閉塞モデルにおいて、SMTP−7(10mg/kg)を虚血1時間後に投与した結果、虚血24時間後の梗塞サイズの有意な縮小作用を示すことが明らかとなった。その結果として、神経症状の有意な改善作用と出血性梗塞の有意な軽減作用を示すことが考えられた。
SMTP−7の脳梗塞巣縮小作用は、本剤の血栓溶解作用に基づくと考えられるが、今回の検討結果では、中大脳動脈の閉塞時間には影響を与えなかった。この原因として、SMTP−7投与後の血流測定時間が短かったことが考えられる。SMTP−7は、線条体を中心とする基底核の梗塞サイズを有意に縮小した。線条体は最も虚血に脆弱な部位であり、中大脳動脈起始部からの穿通枝動脈からの血流支配を受けている領域である。一方、血流測定部位は中大脳動脈遠位部であることから、SMTP−7は血栓性に閉塞した中大脳動脈の起始部側から徐々に血栓を溶解した結果、顕著な基底核の梗塞サイズを縮小したと考えられる。
実施例1〜9の結果をまとめると以下の通りである。
実施例2及び3の結果から明らかな通り、SMTP−7は、脳梗塞モデル動物において、梗塞領域割合及び神経症状の発現を抑制する作用を示すことが確認された。
実施例4の結果から明らかな通り、SMTP−7は、脳梗塞モデル動物において、梗塞後の脳血流量を徐々に回復させることが確認された。このことから、SMTP−7は、急激な血流回復に伴なう虚血再灌流障害を起こす危険性が少ないことが推測される。
実施例6の結果から明らかな通り、SMTP−7は、脳梗塞モデル動物において、炎症パラメータであるIL−1β、TNF−α及びIL−6の上昇を抑制する作用を示すことが確認された。
実施例7の結果から明らかな通り、SMTP−7は、虚血に起因する細胞傷害における傷害因子の一つであるフリーラジカルに対して強い消去作用を示すことが確認され、抗酸化活性を有することが確認された。
実施例8の結果から明らかな通り、SMTP−7は、血中のプラスミン活性を上昇させる作用を示すことが確認された。
実施例9の結果から明らかな通り、脳梗塞モデル動物において、SMTP−7は、梗塞サイズの有意な縮小作用を示し、神経症状の有意な改善作用と出血性梗塞の有意な軽減作用を示すことが確認された。
以上のことから、SMTP−7を含む組成物を、虚血に起因する機能不全を抑制する効果を有する細胞保護剤として用いることができる。
実施例5の結果から明らかな通り、SMTP−22及びSMTP−43は、脳梗塞モデル動物において、梗塞領域割合及び神経症状の発現を抑制する作用を示すことが確認された。
実施例6の結果から明らかな通り、SMTP−22、SMTP−25、SMTP−43及びSMTP−44Dは、脳梗塞モデル動物において、炎症パラメータであるIL−1β、TNF−α及びIL−6の上昇を抑制する作用を示すことが確認された。
実施例7の結果から明らかな通り、SMTP−6、SMTP−22、SMTP−25、SMTP−43及びSMTP−44Dは、虚血に起因する細胞傷害における傷害因子の一つであるフリーラジカルに対して強い消去作用を示すことが確認され、抗酸化活性を有することが確認された。
実施例8の結果から明らかな通り、SMTP−22、SMTP−25及びSMTP−43は、血中のプラスミン活性を上昇させる作用を示すことが確認された。
なお、SMTP−6、SMTP−25及びSMTP−44Dについては、実施例5において、梗塞領域割合及び神経症状の発現を抑制する作用を示すことが確認されなかった。一方で、SMTP−6はフリーラジカルの消去活性を有することが確認された。また、SMTP−25は、炎症パラメータの上昇を抑制し、フリーラジカルの消去活性を有し、血中のプラスミン活性を上昇させることが確認された。SMTP−44Dは、炎症パラメータの上昇を抑制し、フリーラジカルの消去活性を有することが確認された。
SMTP−6、SMTP−25及びSMTP−44Dは、モデル動物への投与量を適切に調節すれば、梗塞領域割合及び神経症状の発現を抑制する作用が認められるものと推測される。
以上のことから、SMTP−6、SMTP−22、SMTP−25、SMTP−43及びSMTP−44Dから選ばれるいずれか1種を含む組成物を、虚血に起因する機能不全を抑制する効果を有する細胞保護剤として用いることができる。
実施例7の結果から明らかな通り、SMTP−0、SMTP−1、SMTP−4、SMTP−5D、SMTP−8、SMTP−11〜14、SMTP−18〜21、SMTP−23、SMTP−24、SMTP−26〜29、SMTP−36、SMTP−37、SMTP−42、SMTP−43D、SMTP−44、SMTP−46及びSMTP−47は、虚血に起因する細胞傷害における傷害因子の一つであるフリーラジカルに対して、トロロックスと同等またはそれよりも強い消去作用を示すことが確認され、抗酸化活性を有することが確認された。
上記のことから、SMTP−0、SMTP−1、SMTP−4、SMTP−5D、SMTP−8、SMTP−11〜14、SMTP−18〜21、SMTP−23、SMTP−24、SMTP−26〜29、SMTP−36、SMTP−37、SMTP−42、SMTP−43D、SMTP−44、SMTP−46及びSMTP−47から選ばれるいずれか1種を含む組成物を、虚血に起因する機能不全を抑制する効果を有する細胞保護剤として用いることができる。
したがって、本発明に係るトリプレニルフェノール化合物を含む組成物は、虚血に起因する機能不全を抑制する効果を有する細胞保護剤として用いることができる。
また、本発明に係るトリプレニルフェノール化合物を含む組成物は、虚血性障害を発症した患者に該組成物を投与することを含む虚血性障害の治療方法に用いることができる。
2009年7月6日に出願の日本国出願番号第2009−160278号の開示はその全体が参照により本明細書に取り込まれる。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、及び技術規格は、個々の文献、特許出願、及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。

Claims (12)

  1. 下記一般式(I)で表されるトリプレニルフェノール化合物を有効成分として含み、
    血栓溶解薬の投与が禁忌である脳梗塞患者に用いるための細胞保護剤。


    [式中Xは、−CHY−C(CHZであり、Y及びZは、それぞれ独立に−H若しくは−OHであるか、又は一緒になって単結合を形成する。Rは、水素原子又は分子量1000以下の置換基を表す。]
  2. 前記一般式(I)で表されるトリプレニルフェノール化合物が、下記一般式(II)又は(III)で表されるトリプレニルフェノール化合物である請求項1に記載の細胞保護剤。


    [式中X、X及びXは、それぞれ独立に−CHY−C(CHZであり、Y及びZは、それぞれ独立に−H若しくは−OHであるか、又は一緒になって単結合を形成する。
    は、下記(A)から(D)のいずれか1つを表す。
    (A)天然アミノ酸、天然アミノ酸のD体、並びに天然アミノ酸及び天然アミノ酸のD体においてカルボキシ基を水素原子、ヒドロキシ基又はヒドロキシメチル基に置き換えた化合物からなる群より選択されるアミノ化合物から、1個のアミノ基を除いた残基(ただし、−(CH)−OHは除く)、
    (B)カルボキシ基、水酸基、スルホン酸基及び第二アミノ基からなる群より選択される少なくとも1つを置換基として若しくは置換基の一部として有する芳香族基、又は第二アミノ基を含み且つ窒素原子を含んでいてもよい芳香族基、
    (C)下記式(II−1)で表される芳香族アミノ酸残基(式中Rはあってもなくてもよい置換基であって、水酸基、カルボキシ基及び炭素数1〜5のアルキル基からなる群より選択される少なくとも1つの置換基を表し、nは0又は1の整数を表す。)、


    (D)−L−L−Rで表される置換基(式中、Lはカルボキシ基を有する炭素数1〜4のアルキレン基である連結基を表し、Lは−NH−C(=O)−又は−NH−C(=S)−NH−で示される連結基を表し、Rは炭素数1〜3のアルキルオキシ基を有する9−フルオレニルアルキルオキシ基又は下記式(II−2)で表される多複素環基を表す。)。


    は、2個のアミノ基を有する天然アミノ酸、2個のアミノ基を有する天然アミノ酸のD体、2個のアミノ基を有する天然アミノ酸及び2個のアミノ基を有する天然アミノ酸のD体においてカルボキシ基を水素原子、ヒドロキシ基又はヒドロキシメチル基に置き換えた化合物、HN−CH(COOH)−(CH−NH(nは0〜9の整数)、並びにHN−CH(COOH)−(CH−S−(CH−CH(COOH)−NH(m、p及びqはそれぞれ独立に0〜9の整数)で示される化合物からなる群より選択されるアミノ化合物から、2個のアミノ基を除いた残基を表す。]
  3. 前記一般式(I)で表されるトリプレニルフェノール化合物が、SMTP−7、SMTP−22、SMTP−43、及びSMTP−44Dからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の細胞保護剤。
  4. 発症後3時間以上経過した脳梗塞患者に用いるための請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の細胞保護剤。
  5. 虚血再灌流障害を生じている又は生じることが予測される脳梗塞患者に用いるための請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の細胞保護剤。
  6. 虚血に起因する細胞傷害の可能性が増大する時期の脳梗塞患者に用いるための請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の細胞保護剤。
  7. 下記一般式(I)で表されるトリプレニルフェノール化合物を有効成分として含み、
    出血性梗塞を呈している又は呈することが予測される脳梗塞患者に用いるための細胞保護剤。


    [式中Xは、−CHY−C(CHZであり、Y及びZは、それぞれ独立に−H若しくは−OHであるか、又は一緒になって単結合を形成する。Rは、水素原子又は分子量1000以下の置換基を表す。]
  8. 前記一般式(I)で表されるトリプレニルフェノール化合物が、下記一般式(II)又は(III)で表されるトリプレニルフェノール化合物である請求項7に記載の細胞保護剤。


    [式中X 、X 及びX は、それぞれ独立に−CHY−C(CH Zであり、Y及びZは、それぞれ独立に−H若しくは−OHであるか、又は一緒になって単結合を形成する。
    は、下記(A)から(D)のいずれか1つを表す。
    (A)天然アミノ酸、天然アミノ酸のD体、並びに天然アミノ酸及び天然アミノ酸のD体においてカルボキシ基を水素原子、ヒドロキシ基又はヒドロキシメチル基に置き換えた化合物からなる群より選択されるアミノ化合物から、1個のアミノ基を除いた残基(ただし、−(CH) −OHは除く)、
    (B)カルボキシ基、水酸基、スルホン酸基及び第二アミノ基からなる群より選択される少なくとも1つを置換基として若しくは置換基の一部として有する芳香族基、又は第二アミノ基を含み且つ窒素原子を含んでいてもよい芳香族基、
    (C)下記式(II−1)で表される芳香族アミノ酸残基(式中R はあってもなくてもよい置換基であって、水酸基、カルボキシ基及び炭素数1〜5のアルキル基からなる群より選択される少なくとも1つの置換基を表し、nは0又は1の整数を表す。)、


    (D)−L −L −R で表される置換基(式中、L はカルボキシ基を有する炭素数1〜4のアルキレン基である連結基を表し、L は−NH−C(=O)−又は−NH−C(=S)−NH−で示される連結基を表し、R は炭素数1〜3のアルキルオキシ基を有する9−フルオレニルアルキルオキシ基又は下記式(II−2)で表される多複素環基を表す。)。


    は、2個のアミノ基を有する天然アミノ酸、2個のアミノ基を有する天然アミノ酸のD体、2個のアミノ基を有する天然アミノ酸及び2個のアミノ基を有する天然アミノ酸のD体においてカルボキシ基を水素原子、ヒドロキシ基又はヒドロキシメチル基に置き換えた化合物、H N−CH(COOH)−(CH −NH (nは0〜9の整数)、並びにH N−CH(COOH)−(CH −S −(CH −CH(COOH)−NH (m、p及びqはそれぞれ独立に0〜9の整数)で示される化合物からなる群より選択されるアミノ化合物から、2個のアミノ基を除いた残基を表す。]
  9. 前記一般式(I)で表されるトリプレニルフェノール化合物が、SMTP−7、SMTP−22、SMTP−43、及びSMTP−44Dからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項7に記載の細胞保護剤。
  10. 発症後3時間以上経過した脳梗塞患者に用いるための請求項7〜請求項9のいずれか1項に記載の細胞保護剤。
  11. 虚血再灌流障害を生じている又は生じることが予測される脳梗塞患者に用いるための請求項7〜請求項9のいずれか1項に記載の細胞保護剤。
  12. 虚血に起因する細胞傷害の可能性が増大する時期の脳梗塞患者に用いるための請求項7〜請求項9のいずれか1項に記載の細胞保護剤。
JP2011521836A 2009-07-06 2010-02-05 細胞保護剤 Active JP5605659B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2011521836A JP5605659B2 (ja) 2009-07-06 2010-02-05 細胞保護剤

Applications Claiming Priority (4)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009160278 2009-07-06
JP2009160278 2009-07-06
PCT/JP2010/051711 WO2011004620A1 (ja) 2009-07-06 2010-02-05 細胞保護剤
JP2011521836A JP5605659B2 (ja) 2009-07-06 2010-02-05 細胞保護剤

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2011004620A1 JPWO2011004620A1 (ja) 2012-12-20
JP5605659B2 true JP5605659B2 (ja) 2014-10-15

Family

ID=43429045

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2011521836A Active JP5605659B2 (ja) 2009-07-06 2010-02-05 細胞保護剤

Country Status (6)

Country Link
US (3) US9078880B2 (ja)
EP (1) EP2452679B1 (ja)
JP (1) JP5605659B2 (ja)
CN (1) CN102470124B (ja)
ES (1) ES2476041T3 (ja)
WO (1) WO2011004620A1 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7482618B2 (ja) 2019-11-20 2024-05-15 バイオジェン・エムエイ・インコーポレイテッド 脳出血を治療又は予防するための薬剤及び該薬剤を用いて脳出血を治療又は予防する方法

Families Citing this family (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US9078880B2 (en) * 2009-07-06 2015-07-14 National University Corporation Tokyo University Of Agriculture And Technology Cytoprotective agent
WO2012115209A1 (ja) * 2011-02-24 2012-08-30 国立大学法人東京農工大学 可溶性エポキシドハイドロラーゼ阻害剤
EP2821404B1 (en) 2012-03-02 2019-07-31 TMS Co. Ltd. Chroman derivative
JP7381035B2 (ja) * 2018-11-02 2023-11-15 学校法人昭和大学 Smtp一群又はsmtp-7の製造中間体及びその化学的製造方法
JPWO2020184691A1 (ja) * 2019-03-12 2020-09-17
US11850232B2 (en) * 2019-11-20 2023-12-26 Biogen Ma Inc. Drug for treating or preventing cerebral hemorrhage, and method for treating or preventing cerebral hemorrhage using the drug
WO2022113371A1 (ja) * 2020-11-30 2022-06-02 バイオジェン エムエー インコーポレーテッド 脳出血を治療又は予防するための薬剤及び該薬剤を用いて脳出血を治療又は予防する方法
BR112023021803A2 (pt) 2021-04-20 2024-01-23 Biogen Ma Inc Composição farmacêutica compreendendo o composto smtp-7
KR20240005749A (ko) * 2021-05-10 2024-01-12 바이오젠 엠에이 인코포레이티드 뇌경색의 치료에 사용하기 위한 약제학적 조성물
WO2023221797A1 (zh) * 2022-05-18 2023-11-23 四川科伦博泰生物医药股份有限公司 杂环化合物及其制备方法和应用

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004224737A (ja) * 2003-01-23 2004-08-12 Ttc:Kk 新規トリプレニルフェノール化合物
WO2007111203A1 (ja) * 2006-03-27 2007-10-04 Tokyo University Of Agriculture And Technology Tlo Co., Ltd. トリプレニルフェノール化合物及びトリプレニルフェノール化合物の製造方法並びに、血栓溶解促進剤
JP2009215216A (ja) * 2008-03-10 2009-09-24 Nokodai Tlo Kk トリプレニルフェノール化合物及び血栓溶解促進剤

Family Cites Families (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP3013322B2 (ja) 1992-08-25 2000-02-28 ユニオンツール株式会社 金属製品のマーキング方法
JP4257026B2 (ja) * 2000-08-31 2009-04-22 株式会社ティーティーシー トリプレニルフェノール化合物の選択的製造方法及びこれらの化合物の薬剤としての利用
CA2490688A1 (en) 2002-06-28 2004-01-08 Yamanouchi Pharmaceutical Co., Ltd. Therapeutic agent for brain hemorrhage
JP4313049B2 (ja) 2003-01-23 2009-08-12 株式会社ティーティーシー 血管新生関連疾患の予防又は治療用医薬組成物
US7361493B1 (en) * 2004-05-26 2008-04-22 The United States Of America As Represented By The Secretary Of The Department Of Veterans Affairs Production of urokinase in a three-dimensional cell culture
EP1944027A4 (en) * 2005-10-06 2009-08-19 Univ Tokyo Nat Univ Corp PHARMACEUTICAL COMPOSITION FOR THE TREATMENT OR PREVENTION OF NEPHRITIS AND METHOD FOR PRODUCING THE SAME
WO2007094071A1 (ja) * 2006-02-17 2007-08-23 Tokyo University Of Agriculture And Technology Tlo Co., Ltd. 肝機能改善剤
JP2008201688A (ja) * 2007-02-16 2008-09-04 Tms Co Ltd 皮膚老化防止剤、化粧料及び皮膚外用剤
JP5134379B2 (ja) 2008-01-08 2013-01-30 株式会社若吉製作所 医療用切削具
US9078880B2 (en) * 2009-07-06 2015-07-14 National University Corporation Tokyo University Of Agriculture And Technology Cytoprotective agent

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2004224737A (ja) * 2003-01-23 2004-08-12 Ttc:Kk 新規トリプレニルフェノール化合物
WO2007111203A1 (ja) * 2006-03-27 2007-10-04 Tokyo University Of Agriculture And Technology Tlo Co., Ltd. トリプレニルフェノール化合物及びトリプレニルフェノール化合物の製造方法並びに、血栓溶解促進剤
JP2009132724A (ja) * 2006-03-27 2009-06-18 Nokodai Tlo Kk トリプレニルフェノール化合物
JP2009215216A (ja) * 2008-03-10 2009-09-24 Nokodai Tlo Kk トリプレニルフェノール化合物及び血栓溶解促進剤

Non-Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
JPN6013040130; J. Antibiot. Vol.50, No.2, 1997, p.172-174 *
JPN6013040133; J. Antibiot. Vol.51, No.12, 1998, p.1059-1068 *
JPN6013040135; J. Antibiot. Vol.53, No.3, 2000, p.241-247 *
JPN6013040137; J. Antibiot. Vol.49, No.10, 1996, p.961-966 *
JPN6013040139; Medicina Vol.37 No.7, 2000, p.1114-1116 *
JPN6013040141; Geriatr Med Vol.36, No.5, 1998, p.679-684 *

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP7482618B2 (ja) 2019-11-20 2024-05-15 バイオジェン・エムエイ・インコーポレイテッド 脳出血を治療又は予防するための薬剤及び該薬剤を用いて脳出血を治療又は予防する方法

Also Published As

Publication number Publication date
CN102470124B (zh) 2014-11-05
EP2452679A4 (en) 2013-01-23
USRE47684E1 (en) 2019-11-05
JPWO2011004620A1 (ja) 2012-12-20
EP2452679A1 (en) 2012-05-16
US20120135996A1 (en) 2012-05-31
EP2452679B1 (en) 2014-05-28
ES2476041T3 (es) 2014-07-11
WO2011004620A1 (ja) 2011-01-13
USRE49351E1 (en) 2023-01-03
CN102470124A (zh) 2012-05-23
US9078880B2 (en) 2015-07-14

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5605659B2 (ja) 細胞保護剤
US10966962B2 (en) Method for treating neurodegenerative diseases
TWI452039B (zh) 抗神經變性疾病用劑
RU2528097C2 (ru) Способы и составы для лечения субарахноидального кровоизлияния коронарной и артериальной аневризмы
JP6666899B2 (ja) Ang−(1−7)誘導体オリゴペプチド、ならびにそれを使用および作製するための方法
O'Brien et al. Myelinolysis after correction of hyponatremia in two dogs
KR20190126365A (ko) 마우스 근시 유도 모델 및 근시 예방·억제를 위한 소포체 스트레스 억제제
US9737524B2 (en) Prophylactic and/or therapeutic agent for mild cognitive impairment
KR20210009422A (ko) 노화-관련 신경변성의 진행 및/또는 발현을 치료 및/또는 예방하는 방법 및 조성물
EP3132803B1 (en) Preventive or therapeutic agent for pain associated with herpes zoster in acute phase
MX2007006825A (es) Agente preventivo o terapeutico para trastorno del sueno.
JP6180417B2 (ja) 心不全またはニューロン損傷の治療剤製造のための化合物の使用
TW544311B (en) Therapeutic or preventive agent for intractable epilepsies
WO2021100031A1 (ja) 脳出血を治療又は予防するための薬剤及び該薬剤を用いて脳出血を治療又は予防する方法
JP2011520881A (ja) 認知機能を改善するための方法および組成物
JP7482618B2 (ja) 脳出血を治療又は予防するための薬剤及び該薬剤を用いて脳出血を治療又は予防する方法
WO2022113371A1 (ja) 脳出血を治療又は予防するための薬剤及び該薬剤を用いて脳出血を治療又は予防する方法
JP6153838B2 (ja) 血管透過性抑制剤
WO2019135363A1 (ja) 腱滑膜病変を主体とした疾患の治療薬
JP2017507941A (ja) 機械的な神経損傷を処置するための新規組成物
JP2005213159A (ja) 血管新生阻害剤及び血管退縮剤
Manschot et al. Long‐term angiotensin converting enzyme inhibition dose‐dependently improves nerve conduction velocity and evoked potential latencies in streptozotocin‐diabetic rats

Legal Events

Date Code Title Description
A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130502

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130813

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20131011

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20140304

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140326

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140715

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140813

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5605659

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313117

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350