JP5605659B2 - 細胞保護剤 - Google Patents
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Description
R1は、下記(A)から(D)のいずれか1つを表す。
(A)天然アミノ酸、天然アミノ酸のD体、並びに天然アミノ酸及び天然アミノ酸のD体においてカルボキシ基を水素原子、ヒドロキシ基又はヒドロキシメチル基に置き換えた化合物からなる群より選択されるアミノ化合物から、1個のアミノ基を除いた残基(ただし、−(CH)2−OHは除く)、
(B)カルボキシ基、水酸基、スルホン酸基及び第二アミノ基からなる群より選択される少なくとも1つを置換基として若しくは置換基の一部として有する芳香族基、又は第二アミノ基を含み且つ窒素原子を含んでいてもよい芳香族基、
(C)下記式(II−1)で表される芳香族アミノ酸残基(式中R3はあってもなくてもよい置換基であって、水酸基、カルボキシ基及び炭素数1〜5のアルキル基からなる群より選択される少なくとも1つの置換基を表し、nは0又は1の整数を表す。)、
「機能不全の抑制」とは、「機能不全の改善」をも含む概念で、その効果は、損傷領域の大きさ、各病気の症状の程度によって評価することができる。例えば、脳の機能不全に関しては、CT、MRI、脳血管造影などで認められる脳損傷領域の大きさ、浮腫の大きさ等で効果を評価でき、また、症状として現れる神経症状、日常生活動作障害、運動麻痺などの指標で効果を評価できる。さらには、組織の炎症に伴って発現が増強するインターロイキン−1β(IL−1β)、腫瘍壊死因子−α(TNF−α)、インターロイキン−6(IL−6)等の上昇度で効果を評価できる。
分子量1000以下の置換基としては、細胞保護剤としての効果の観点から、分子量800以下の置換基が好ましく、分子量700以下の置換基がより好ましく、分子量600以下の置換基が更に好ましい。
本発明に係るトリプレニルフェノール化合物の具体例の一つは、下記一般式(II)で表される化合物である。
R1は、下記(A)から(D)のいずれか1つを表す。
(A)天然アミノ酸、天然アミノ酸のD体、並びに天然アミノ酸及び天然アミノ酸のD体においてカルボキシ基を水素原子、ヒドロキシ基又はヒドロキシメチル基に置き換えた化合物からなる群より選択されるアミノ化合物から、1個のアミノ基を除いた残基(ただし、−(CH)2−OHは除く)、
(B)カルボキシ基、水酸基、スルホン酸基及び第二アミノ基からなる群より選択される少なくとも1つを置換基として若しくは置換基の一部として有する芳香族基、又は第二アミノ基を含み且つ窒素原子を含んでいてもよい芳香族基、
(C)下記式(II−1)で表される芳香族アミノ酸残基(式中R3はあってもなくてもよい置換基であって、水酸基、カルボキシ基及び炭素数1〜5のアルキル基からなる群より選択される少なくとも1つの置換基を表し、nは0又は1の整数を表す。)、
前記(A)は、天然アミノ酸、天然アミノ酸のD体、並びに天然アミノ酸及び天然アミノ酸のD体においてカルボキシ基を水素原子、ヒドロキシ基又はヒドロキシメチル基に置き換えた化合物からなる群より選択されるアミノ化合物から、1個のアミノ基を除いた残基(ただし、−(CH)2−OHは除く)である。
天然アミノ酸として、例えば、α−アミノ酸として、グリシン、アラニン、スレオニン、バリン、イソロイシン、チロシン、システイン、シスチン、メチオニン、ヒスチジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、アスパラギン、グルタミン、アルギニン、リシン、ヒドロキシリシン、オルニチン、シトルリン、ホモシステイン、3,4−ジヒドロキシフェニルアラニン、ホモシスチン、ジアミノピメリン酸、ジアミノプロピオン酸、セリン、ロイシン、フェニルアラニン及びトリプトファンなどが挙げられ、β−アミノ酸として、β−アラニンなどが挙げられ、γ−アミノ酸として、γ−アミノ酪酸及びカルニチンなどが挙げられ、δ−アミノ酸として、5−アミノレブリン酸及び5−アミノ吉草酸などが挙げられる。
前記(B)は、カルボキシ基、水酸基、スルホン酸基及び第二アミノ基からなる群より選択される少なくとも1つを置換基として若しくは置換基の一部として有する芳香族基、又は第二アミノ基を含み且つ窒素原子を含んでいてもよい芳香族基である。
前記芳香族基としては、例えば、下記構造式で表される化合物が挙げられる。
前記(C)は、下記式(II−1)で表される芳香族アミノ酸残基(式中R3はあってもなくてもよい置換基であって、水酸基、カルボキシ基及び炭素数1〜5のアルキル基からなる群より選択される少なくとも1つの置換基を表し、nは0又は1の整数を表す。)である。
前記(D)は、−L1−L2−R4で表される置換基(式中、L1はカルボキシ基を有する炭素数1〜4のアルキレン基である連結基を表し、L2は−NH−C(=O)−又は−NH−C(=S)−NH−で示される連結基を表し、R4は炭素数1〜3のアルキルオキシ基を有する9−フルオレニルアルキルオキシ基又は下記式(II−2)で表される多複素環基を表す。)である。
本発明に係るトリプレニルフェノール化合物の具体例の一つは、下記一般式(III)で表される化合物である。
前記mは、0〜9の整数を表し、好ましくは0〜4の整数、より好ましくは1〜3の整数、更に好ましくは1又は2である。
前記pは、0〜9の整数を表し、好ましくは0〜4の整数、より好ましくは1〜3の整数、更に好ましくは1又は2である。
前記qは、0〜9の整数を表し、好ましくは0〜4の整数、より好ましくは1〜3の整数、更に好ましくは1又は2である。
前記pが0の場合、m+qとしては、0〜9の整数が好ましく、より好ましくは0〜6の整数、更に好ましくは1〜5の整数、特に好ましくは1〜4の整数である。
2個のアミノ基を有する天然アミノ酸及び2個のアミノ基を有する天然アミノ酸のD体においてカルボキシ基を水素原子、ヒドロキシ基又はヒドロキシメチル基に置き換えた化合物として、H2N−(CH2)k−NH2(kは1〜10の整数、好ましくは1〜6の整数、より好ましくは1〜4の整数である)が挙げられる。
なお、虚血に起因する細胞傷害の可能性があれば、上述した時期に制限されず使用してよい。
本発明の細胞保護剤と血栓溶解薬とを併用することにより、血栓溶解薬による血栓溶解に起因した虚血再灌流障害による機能不全を効果的に抑制することができ、治療効果を増強することが期待できる。この場合、本発明の細胞保護剤は、血栓溶解薬と同時に又は時間をかえて、用いることができる。
組み合わせて使用可能な血栓溶解薬としては、アルテプラーゼ、ウロキナーゼ、デスモテプラーゼ、モンテプラーゼ、などが挙げられる。
本発明の虚血性障害の治療方法により、虚血性障害の重症化の抑制、又は、症状の軽減若しくは緩和をすることができる。
本発明の虚血性障害の治療方法は、虚血性障害として血栓症(血栓塞栓症をも含む)に対する適用が好適であり、脳梗塞に対する適用がより好適である。
本発明に係るトリプレニルフェノール化合物を含む薬剤とともに用いうる血栓溶解薬としては、アルテプラーゼ、ウロキナーゼ、デスモテプラーゼ、モンテプラーゼ、などが挙げられる。本発明に係るトリプレニルフェノール化合物を含む薬剤は、血栓溶解薬と同時に又は時間をかえて、患者に投与することができる。
例えば脳梗塞の場合、発症後3時間以上が経過し、アルテプラーゼを投与することができない患者に、本発明に係るトリプレニルフェノール化合物を含む薬剤を用いることが有効である。なお、発症時刻が不明な場合は、最終未発症時刻(患者が無症状であることが最後に確認された時刻)をもって発症時刻とする。
禁忌としては、出血素因、出血、高血圧症、血糖異常などである。例えば、脳梗塞において、頭蓋内出血の危険性が増大するために血栓溶解薬を投与できない患者に、本発明に係るトリプレニルフェノール化合物を含む薬剤を投与することができる。
通常、血栓溶解薬が治療に用いられない患者としては、例えば、一過性脳虚血発作、播種性血管内凝固症候群、血栓性微小血管障害、血栓症静脈炎、深部静脈血栓症、特発性血栓症の患者が挙げられる。
上記の虚血性障害の治療方法により、虚血再灌流障害の予防、重症化の抑制、又は、症状の軽減若しくは緩和をすることができる。
<酢酸を用いた脳梗塞モデルの作製>
〔スナネズミ脳梗塞モデル〕
雄性スナネズミ(体重55〜65g)を5%イソフルラン(商品名エスカイン、マイラン製薬(株))の吸入により麻酔導入後、1〜1.5%イソフルランで麻酔を維持した。背位に固定し、頸部を除毛後、70%エタノールで消毒した。頸部を正中切開し、右総頸動脈を剥離後、クレンメで一時的に血流を遮断し、右総頸動脈に100%酢酸を30往復塗布することによって血栓を作製した。血流遮断から10分後、血管を再開通させ、血流にのせて血栓を脳内へ送り込むことによって虚血とし、脳梗塞を惹起した。瞬間接着剤(商品名アロンアルフア、東亞合成(株))で手術野を閉じ、70%エタノールで消毒した。
手術開始から24時間後に、脳梗塞の指標として神経症状を観察した。脳梗塞により後肢の伸展や一方向旋回等の特有な神経症状が多種類報告されているが、その評価法としてLongaらが提唱した方法 (Stroke 1989;20:84-91) の変法を用い、無症状;0点、足の伸展;1点、一方向旋回;2点、傾斜姿勢;3点、寡動;4点と評価することで、術後の神経症状の判定を行った。
上記の方法で神経症状を評価した後、イソフルラン麻酔下にて断頭した。皮膚と頭蓋骨を剥離して開頭し、視神経切断後に脳を摘出し、生理食塩水に浸して付着した体毛等を除去した。摘出した脳をブレインマトリックス(RBM-1000C、ASI Instruments)に入れ、前頭極から厚さ2mmずつ冠状切断を行った。切片を2%2,3,5−トリフェニル−2H−テトラゾリウムクロリド(TTC)に浸して、37℃のCO2インキュベーター内で30分間インキュベーションを行い染色した。無色のTTCは正常細胞に含まれる脱水素酵素の働きで遊離した水素で還元されて、暗赤色の水に不溶な1,3,5−トリフェニルホルマザン(TPF)となり、正常細胞が染色される。染色されていない部位(白色の部位)を梗塞領域とした。ただし、左右の大脳半球をつなぐ交通繊維である脳梁は染色されないため白色であるので、以下の解析では、脳梁を除いて画像処理をした。
梗塞領域割合(%)=脳梁を除いた梗塞領域の合計面積÷脳全体の合計面積×100
雄性ddY系マウス(体重35〜45g) を用いて、上記のスナネズミ脳梗塞モデルの作製方法および評価方法と同様の方法で、脳梗塞モデルを作製し、神経症状と梗塞領域割合を評価した。
<スナネズミ脳梗塞モデルにおける各種薬剤の効果の比較>
スナネズミ脳梗塞モデルを用い、梗塞領域割合および神経症状に対する、SMTP−7、アルテプラーゼ及びエダラボン(脳保護薬)の改善効果を比較した。同時に投与量による改善の程度も検討した。
SMTP−7(10mg/kg)投与群の梗塞領域割合は、虚血開始後の投与開始時間が遅くなっても(虚血開始1時間後、3時間後、及び6時間後に投与開始)、対照群に比べ統計学的に有意な改善が認められた。虚血開始1時間後に投与開始した群の改善率は65.7%であり、アルテプラーゼを投与した場合の改善率78.9%とほぼ同等の効果を示した。
SMTP−7(10mg/kg)投与群の神経症状のスコアは、虚血開始1時間後、及び3時間後に投与開始した群では、アルテプラーゼ(10mg/kg)投与群に比べ顕著な改善ではないものの、対照群に比べ統計学的に有意な改善が認められた。虚血開始6時間後に投与開始したSMTP−7(10mg/kg)投与群では、対照群に比べ統計学的に有意な改善は認められないものの、改善傾向は認められた。
アルテプラーゼ(10mg/kg)投与群の梗塞領域割合は、虚血開始1時間後の投与では対照群に比べ有意な改善が認められた。虚血開始3時間後の投与では改善傾向は認められたが、対照群に比べ有意な改善は認められず、虚血開始6時間後の投与では対照群と比べ統計学的に有意な差は見られなかった。
アルテプラーゼ(10mg/kg)投与群の神経症状のスコアは、虚血開始1時間後、及び3時間後の投与では対照群に比べ有意な改善が認められた。しかし、虚血開始6時間後の投与では、対照群と比べ統計学的に有意な差は見られなかった。
エダラボン(3mg/kg)投与群の梗塞領域割合は、虚血開始0時間後と1時間後の投与では、改善傾向が認められた。虚血開始3時間後の投与では改善が認められなかった。
エダラボン(3mg/kg)投与群の神経症状のスコアは、虚血開始0時間後と1時間後の投与では、有意な改善が認められた。虚血開始3時間後の投与では、有意な改善は認められなかった。
<マウス脳梗塞モデルにおけるSMTP−7とアルテプラーゼの効果の比較>
マウス脳梗塞モデルを用い、梗塞領域割合、神経症状、及び浮腫率に対する、SMTP−7とアルテプラーゼの改善効果を比較した。同時にSMTP−7の投与量による改善の効果も検討した。
浮腫率(%)=(虚血を起こした大脳半球の体積−反対側の大脳半球の体積)÷反対側の大脳半球の体積×100
アルテプラーゼ投与群の梗塞領域割合は、虚血開始1時間後に投与開始した群では、対照群に比し有意な改善が認められた。3時間後に投与開始した群では、有意な改善は認められなかった。
SMTP−7(10mg/kg)投与群の梗塞領域割合は、1時間後に投与開始した群、3時間後に投与開始した群ともに、対照群に比べ有意な改善が認められた。
アルテプラーゼ投与群の神経症状のスコアは、1時間後に投与開始した群では、有意な改善が認められた。3時間後に投与開始した群では、有意な改善は認められなかった。
SMTP−7(10mg/kg)投与群の神経症状のスコアは、1時間後に投与開始した群、3時間後に投与開始した群ともに、対照群に比べ統計学的に有意な改善が認められた。
SMTP−7(10mg/kg)投与群では、1時間後に投与開始した群、3時間後に投与開始した群ともに、対照群に比べ有意な改善が認められた。
<脳血流量に対するSMTP−7とアルテプラーゼの効果の比較>
マウス脳梗塞モデルを用い、脳血流量に対するSMTP−7とアルテプラーゼの改善効果を比較した。
また、脳血流量の測定は、マウスの頭部の皮膚を切開して頭蓋骨を露出させ、脳表面全体の血流をレーザードップラー装置( moorFLPI, moor instruments Ltd, UK)を用いて測定した。解析は moorFLPI(Version 2.1)を用いて行い、各群の虚血開始前に対する割合(%)で評価した。結果を表10に示す。
<マウス脳梗塞モデルにおけるトリプレニルフェノール化合物の効果の検討>
トリプレニルフェノール化合物であるSMTP−6、SMTP−22、SMTP−25、SMTP−43及びSMTP−44Dを用い、マウス脳梗塞モデルに対する改善効果を検討した。
<リアルタイムRT−PCR法によるパラメータの変動の検討>
マウス脳梗塞モデルを用い、トリプレニルフェノール化合物(10mg/kg)投与群、アルテプラーゼ(10mg/kg)投与群、及びアルテプラーゼ(10mg/kg)とアスピリン(10mg/kg)の併用投与群において、リアルタイムRT−PCR法により、炎症に関与するパラメータの変動を評価した。パラメータは、炎症に関与する代表的なパラメータであるIL−1β、TNF−α及びIL−6とした。
トリプレニルフェノール化合物及びアルテプラーゼは、実施例2及び実施例5と同様にして調製した。アスピリンは、生理食塩水で1mg/mlに溶解した。
SMTP−7(10mg/kg)及びアルテプラーゼ(10mg/kg)は、虚血開始から1時間後または3時間後に投与開始した。投与方法は実施例3と同様であった。
アルテプラーゼ(10mg/kg)とアスピリン(10mg/kg)の併用投与は、虚血開始から3時間後に投与開始した。アルテプラーゼは実施例3と同様に投与し、アスピリンは大腿静脈より急速静注した。
SMTP−6、SMTP−22、SMTP−25、SMTP−43及びSMTP−44Dは、虚血開始から1時間後に投与開始した。投与方法は実施例5と同様であった。
用いたマウスは条件ごとに6匹ずつであった。
脳スライスを作製後、4枚目のスライスを左脳および右脳に切り分け、TRIZOL(登録商標) Reagent(Invitrogen)1mLでそれぞれホモジナイズを行った。室温で5分間インキュベーションし、クロロホルム(0.2mL) を加え、15秒間混和させた後、室温で3分間インキュベーションを行った。そのサンプルを4℃で15分間、12,000×gにて遠心した。
<トリプレニルフェノール化合物のフリーラジカル消去活性の検討>
トリプレニルフェノール化合物のフリーラジカルの消去活性を検討するため、以下のH−ORAC( hydrophilic oxygen radical absorbance capacity )試験、及びmodified H−ORAC(mH−ORAC)試験を行った。
H−ORACにおいては、試験化合物を緩衝液(75mMリン酸緩衝液、pH7.4)で適宜稀釈し、測定に用いた。mH−ORACにおいては、試験化合物を、アセトン溶液を水で稀釈した50%(v/v)アセトン溶液で適宜稀釈し、終濃度の40倍溶液を調製した。この溶液を緩衝液で10倍稀釈し、測定に用いた(アセトン終濃度1.25%)。標準物質トロロックスは、500μM/緩衝液を緩衝液で適宜稀釈した。
96穴マイクロプレート(透明、平底、ブラックウォール)に試験化合物溶液またはトロロックス溶液50μLを添加し、さらに蛍光物質フルオレセイン140nM/緩衝液(終濃度70nM)100μLを添加して、37℃で10分間インキュベーションした。
フリーラジカル発生剤2,2’−アゾビスアミジノプロパン二塩酸塩48mM/緩衝液(終濃度12mM)50μLを加え、励起波長485nm、蛍光波長535nmで蛍光強度を2分おきに90分間測定した。検量線はトロロックス終濃度5〜15μMで作成した。測定は濃度を振って、n=3で行い、横軸に時間、縦軸に蛍光強度をとり、試料の曲線下面積からブランクの曲線下面積を差し引いた値を用いて評価した。結果はトロロックス等量で示した。結果を表13に示す。表13中、TEはトロロックス等量を表す。
<フィブリノーゲンザイモグラフィー法によるプラスミン活性の検討>
フィブリノーゲンザイモグラフィー法により、血漿中のプラスミン・α2−アンチプラスミン量を測定し、マウス脳梗塞モデルにトリプレニルフェノール化合物を投与した場合のプラスミン活性を評価した。トリプレニルフェノール化合物は、SMTP−7、SMTP−6、SMTP−22、SMTP−25、SMTP−43、及びSMTP−44Dを用いた。
一部の血漿をとりおき、電気泳動用ゲルにアプライするタンパク質量をそろえるため、0.1N NaOHで300倍稀釈し、Bradford法によりタンパク質を定量した。
10mA/枚、3時間で電気泳動後、スタッキングゲルを取り外し、洗浄液(2.5% triton X-100)100ml/ゲル程度で30分、2回洗浄した。洗浄後、インキュベーションバッファー(0.1Mグリシン−50mM Tris−HCl、37℃におけるpH8.3)100ml/枚程度で、37℃で24〜60時間ゆるやかに揺らしながらインキュベーションした。
続いて、染色液(0.075% CBB R250 、22.5%メタノール、2.25%スルホサリチル酸二水和物、7.5%トリクロロ酢酸)で、室温下で15〜30分間ゆるやかに揺らしながら染色した。染色液を取り除き、脱色液(メタノール:酢酸:水=1:1:6)で脱色し、バンドの出方を見ながら適当なところで水に置換にした。
イメージングアナライザ(ATTO製、Printgraph(AE−6933FXCF))でゲルからイメージを取り込み、バンド強度を評価した。結果は対照群の投与終了から0時間後(終了直後)との比で示した。結果を表14に示す。
<カニクイザル脳梗塞モデルにおけるSMTP−7の治療効果の検討>
SMTP−7のカニクイザル脳梗塞モデルにおける脳梗塞サイズの縮小効果および神経症状改善効果を、以下の試験方法により検討した。
・媒体群:生理食塩液、2〜3歳齢の雄のカニクイザル6例
・SMTP−7投与群:10mg/kg、2〜3歳齢の雄のカニクイザル6例
・ケージ:ステンレス製ケージ、W×D×H=600×600×800(mm)
・ケージ床面:0.36m2
・温度(許容範囲):20〜26℃
・湿度(許容範囲):40〜70%
・照明時間(設定):12時間/日(7:00〜19:00)
・収容条件:個別飼育
〔飼料〕
・種類:固型飼料LabDiet(PMI社製)
・給餌方法:1日100g
〔飲料水〕
・種類:水道水
・給水方法:500mL給水瓶にて自由摂取させた。
・被験物質投与経路:静脈内投与
・被験物質投与量:10mg/kg
・被験物質投与法:投与容量は10mL/kgとした。左伏在静脈にサーフロー留置針を留置し、虚血1時間後に1mg/kg(1mL/kg)を5秒間急速投与し、その後、シリンジポンプを用いて、9mg/kg(9mL/kg)を30分間持続投与した。
・投与液の調製:SMTP−7を生理食塩液で1mg/mLに溶解した。すなわち、SMTP−7ナトリウム塩の70.0mg(63.1mgのSMTP−7を含む)に対し、生理的食塩液63.1mLを加え、湯浴にて加温下(37℃)、マグネティックスターラーにより撹拌し、溶解させた。必要に応じて、超音波処理を行った。溶解後、無菌フィルター(0.22μm、セルロースアセテート製)によりろ過滅菌を行った。投与液は用時調製した。調製完了後は使用直前まで37℃湯浴中に置き、調製後4時間以内に投与を終了させた。
標準実験手順書(SPHPR400−3A)に従って、動物麻酔を実施した。すなわち、ケタミン(第一三共プロファーマ(株))(10mg/kg)+アトロピン(田辺三菱製薬(株))(0.05mg/kg)を筋肉内投与することにより、導入麻酔を実施した。その後、気管挿管した後、イソフルラン(Abbott)の吸入麻酔下で手術台に固定した。
脳梗塞処置は、標準実験手順書(SPHPR710−15A)に従った。すなわち、右眼球を摘出した後、視神経出口外側の眼底骨をデンタルドリルで除去し、硬膜を露出させた。慎重に硬膜を剥離し、中大脳動脈を確認した。中大脳動脈起始部をクモ膜から分離し、中大脳動脈上に血栓作製用光照射プローブを固定した。また、プローブの遠位部にパルスドップラー血流計(Crystal Bio、PDV−20)のプローブを設置した。ローズベンガル(和光純薬工業(株))(20mg/kg)を6分間で静脈内投与開始するとともに、波長540nmの緑色光(140万LUX)を20分間照射することにより、中大脳動脈を血栓性に閉塞した。光照射とローズベンガルの投与開始時を虚血開始時とした。パルスドップラー血流計により、中大脳動脈血流を光照射開始から2時間連続的に測定した後、創を閉じた。一連の操作は、全て手術用顕微鏡下で行い、術中の出血を極力最小限に止めた。また、手術中の動物の直腸温をモニターし、動物の体温が生理的範囲(37.0〜38.5℃)となるようヒーティングパッドで保温した。
ペニシリンG(明治製菓(株))(100,000 Unit/head/day)の筋肉内投与を実施することによる感染防止対策を行うとともに、塩酸ブプレノルフィン(レペタン、大塚製薬(株))0.02mg/head投与による鎮痛処置を実施した。
虚血24時間後にJ.Neurosci.Meth.2001;105:45−53.に従い、以下に記す神経症状の観察を行った。
神経症状のスコア化;
(1)意識障害(Consciousness)
・正常動物と同様、活発に行動(0)
・覚醒状態、攻撃的(4)
・覚醒状態、逃避可能(6)
・覚醒状態であるが反応が鈍い(8)
・傾眠(軽度)、刺激に対して反応(10)
・傾眠(重度)、強い刺激により開眼(16)
・知覚消失、持続的な刺激により反応(20)
・昏睡(軽度)、反射運動のみ(24)
・昏睡(重度)、動かない(28)
(2)知覚系(Sensory system)
顔面の感覚(障害側/非障害側)
・顔面への刺激に対して正常に反応(0/0)
・顔面への刺激に対して正常に反応しない(3/3)
耳介の反応(障害側/非障害側)
・耳を引っ張ると反応する(0/0)
・耳を引っ張っても反応しない(3/3)
痛み刺激(下肢、障害側/非障害側)
・足指をつかむとすばやく引っ込める(0/0)
・足指をつかむとゆっくりと引っ込める(3/3)
・足指をつかんでも引っ込めない(5/5)
(3)運動系(Motor system)
手(握れる/動く、障害側/非障害側)
・正常(0/0)
・握る力の低下/動作の不調和(2/2)
・麻痺、握ることができない(4/4)
脚(握れる/動く、障害側/非障害側)
・正常(0/0)
・膝を曲げて持ち上げる(2/2)
・動かすことはできるが、持ち上げられない(4/4)
・麻痺、動かすことができない(6/6)
上腕の筋緊張(障害側/非障害側)
・正常(0/0)
・明らかな筋の弛緩(痙攣性)(3/3)
下肢の筋緊張(障害側/非障害側)
・正常(0/0)
・明らかな筋の弛緩(痙攣性)(3/3)
(4)統御系(Skeletal muscle coordination)
・正常、歩行可能(0)
・運動失調(軽度)、歩行障害有り(4)
・運動失調、止まり木に登ることができない(6)
・自発的に立つことが可能、歩行困難(10)
・床で座位、刺激により回転運動をする(12)
・床で横臥位(16)
・動かない(18)
術後24時間後の神経症状観察後に、ペントバルビタールの大量投与による安楽死処置を施し、脳を摘出した。6mm厚の冠状切片を作製し、出血性梗塞の定量のため写真撮影した。その後。2%TTC液中で梗塞巣の染色を行い、梗塞サイズ定量用の写真撮影を行った。出血性梗塞および梗塞巣の評価には、各切片の後頭葉側を用いた。
個体別写真は、TIFイメージに変換した後、Photoshop 7.0(Adobe)にて出血性梗塞巣および各梗塞巣のマーキングを行い、Scion Image 0.4.0.3(Scion Corporation)にて面積を測定した。
出血性梗塞巣は、各断面の面積の総和とした。
梗塞巣は、各断面毎に、大脳皮質、白質、基底核に分けて測定し、その面の厚み(6mm)を乗じることにより、梗塞体積(mm3)を算出した。
実験結果の数値はMicrosoft Excel(Version 2003、Microsoft Inc.)を用いて集計及び作図し、平均値±標準偏差(S.D.)で表示した。
統計解析は、Microsoft Excel(Version 2003、Microsoft Inc.)を用いて行い、媒体群とSMTP−7投与群との間で対応のないt検定(unpaired t-test)(等分散)を行い、P<0.05の場合、有意差ありと判断した。
Time to Occlusion及びTotal Occlusion Timeを以下の表15に示す。媒体群とSMTP−7投与群との間に、Time to Occlusion及びTotal Occlusion Timeに有意な差は認められなかった。
媒体およびSMTP−7は、虚血60分後に投与開始を行ったため、Total Occlusion Timeを虚血開始から60分後までと60分後から120分後までのOcclusion Timeに分けて解析したが、表16に示す通り、有意な閉塞時間の短縮作用は認められなかった。
虚血24時間後の神経症状観察結果を以下の表17に記す。SMTP−7投与群においては、知覚系および筋統合系の有意な神経症状改善作用(P<0.05)が認められた。また、トータルスコアにおいても、有意な神経症状改善作用(P<0.05)が認められた。
虚血24時間後の出血性梗塞面積および脳梗塞サイズの測定結果を以下の表18及び表19に記す。出血性梗塞に関しては、SMTP−7投与群において有意な軽減(P<0.05)が認められた。また、SMTP−7投与により、基底核の梗塞サイズの有意な縮小(P<0.05)と全梗塞サイズの有意な縮小(P<0.05)が認められた。
SMTP−7の脳梗塞巣縮小作用は、本剤の血栓溶解作用に基づくと考えられるが、今回の検討結果では、中大脳動脈の閉塞時間には影響を与えなかった。この原因として、SMTP−7投与後の血流測定時間が短かったことが考えられる。SMTP−7は、線条体を中心とする基底核の梗塞サイズを有意に縮小した。線条体は最も虚血に脆弱な部位であり、中大脳動脈起始部からの穿通枝動脈からの血流支配を受けている領域である。一方、血流測定部位は中大脳動脈遠位部であることから、SMTP−7は血栓性に閉塞した中大脳動脈の起始部側から徐々に血栓を溶解した結果、顕著な基底核の梗塞サイズを縮小したと考えられる。
実施例2及び3の結果から明らかな通り、SMTP−7は、脳梗塞モデル動物において、梗塞領域割合及び神経症状の発現を抑制する作用を示すことが確認された。
実施例4の結果から明らかな通り、SMTP−7は、脳梗塞モデル動物において、梗塞後の脳血流量を徐々に回復させることが確認された。このことから、SMTP−7は、急激な血流回復に伴なう虚血再灌流障害を起こす危険性が少ないことが推測される。
実施例6の結果から明らかな通り、SMTP−7は、脳梗塞モデル動物において、炎症パラメータであるIL−1β、TNF−α及びIL−6の上昇を抑制する作用を示すことが確認された。
実施例7の結果から明らかな通り、SMTP−7は、虚血に起因する細胞傷害における傷害因子の一つであるフリーラジカルに対して強い消去作用を示すことが確認され、抗酸化活性を有することが確認された。
実施例8の結果から明らかな通り、SMTP−7は、血中のプラスミン活性を上昇させる作用を示すことが確認された。
実施例9の結果から明らかな通り、脳梗塞モデル動物において、SMTP−7は、梗塞サイズの有意な縮小作用を示し、神経症状の有意な改善作用と出血性梗塞の有意な軽減作用を示すことが確認された。
以上のことから、SMTP−7を含む組成物を、虚血に起因する機能不全を抑制する効果を有する細胞保護剤として用いることができる。
実施例6の結果から明らかな通り、SMTP−22、SMTP−25、SMTP−43及びSMTP−44Dは、脳梗塞モデル動物において、炎症パラメータであるIL−1β、TNF−α及びIL−6の上昇を抑制する作用を示すことが確認された。
実施例7の結果から明らかな通り、SMTP−6、SMTP−22、SMTP−25、SMTP−43及びSMTP−44Dは、虚血に起因する細胞傷害における傷害因子の一つであるフリーラジカルに対して強い消去作用を示すことが確認され、抗酸化活性を有することが確認された。
実施例8の結果から明らかな通り、SMTP−22、SMTP−25及びSMTP−43は、血中のプラスミン活性を上昇させる作用を示すことが確認された。
SMTP−6、SMTP−25及びSMTP−44Dは、モデル動物への投与量を適切に調節すれば、梗塞領域割合及び神経症状の発現を抑制する作用が認められるものと推測される。
また、本発明に係るトリプレニルフェノール化合物を含む組成物は、虚血性障害を発症した患者に該組成物を投与することを含む虚血性障害の治療方法に用いることができる。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、及び技術規格は、個々の文献、特許出願、及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
Claims (12)
- 下記一般式(I)で表されるトリプレニルフェノール化合物を有効成分として含み、
血栓溶解薬の投与が禁忌である脳梗塞患者に用いるための細胞保護剤。
[式中Xは、−CHY−C(CH3)2Zであり、Y及びZは、それぞれ独立に−H若しくは−OHであるか、又は一緒になって単結合を形成する。Rは、水素原子又は分子量1000以下の置換基を表す。] - 前記一般式(I)で表されるトリプレニルフェノール化合物が、下記一般式(II)又は(III)で表されるトリプレニルフェノール化合物である請求項1に記載の細胞保護剤。
[式中X1、X2及びX3は、それぞれ独立に−CHY−C(CH3)2Zであり、Y及びZは、それぞれ独立に−H若しくは−OHであるか、又は一緒になって単結合を形成する。
R1は、下記(A)から(D)のいずれか1つを表す。
(A)天然アミノ酸、天然アミノ酸のD体、並びに天然アミノ酸及び天然アミノ酸のD体においてカルボキシ基を水素原子、ヒドロキシ基又はヒドロキシメチル基に置き換えた化合物からなる群より選択されるアミノ化合物から、1個のアミノ基を除いた残基(ただし、−(CH)2−OHは除く)、
(B)カルボキシ基、水酸基、スルホン酸基及び第二アミノ基からなる群より選択される少なくとも1つを置換基として若しくは置換基の一部として有する芳香族基、又は第二アミノ基を含み且つ窒素原子を含んでいてもよい芳香族基、
(C)下記式(II−1)で表される芳香族アミノ酸残基(式中R3はあってもなくてもよい置換基であって、水酸基、カルボキシ基及び炭素数1〜5のアルキル基からなる群より選択される少なくとも1つの置換基を表し、nは0又は1の整数を表す。)、
(D)−L1−L2−R4で表される置換基(式中、L1はカルボキシ基を有する炭素数1〜4のアルキレン基である連結基を表し、L2は−NH−C(=O)−又は−NH−C(=S)−NH−で示される連結基を表し、R4は炭素数1〜3のアルキルオキシ基を有する9−フルオレニルアルキルオキシ基又は下記式(II−2)で表される多複素環基を表す。)。
R2は、2個のアミノ基を有する天然アミノ酸、2個のアミノ基を有する天然アミノ酸のD体、2個のアミノ基を有する天然アミノ酸及び2個のアミノ基を有する天然アミノ酸のD体においてカルボキシ基を水素原子、ヒドロキシ基又はヒドロキシメチル基に置き換えた化合物、H2N−CH(COOH)−(CH2)n−NH2(nは0〜9の整数)、並びにH2N−CH(COOH)−(CH2)m−Sp−(CH2)q−CH(COOH)−NH2(m、p及びqはそれぞれ独立に0〜9の整数)で示される化合物からなる群より選択されるアミノ化合物から、2個のアミノ基を除いた残基を表す。] - 前記一般式(I)で表されるトリプレニルフェノール化合物が、SMTP−7、SMTP−22、SMTP−43、及びSMTP−44Dからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の細胞保護剤。
- 発症後3時間以上経過した脳梗塞患者に用いるための請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の細胞保護剤。
- 虚血再灌流障害を生じている又は生じることが予測される脳梗塞患者に用いるための請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の細胞保護剤。
- 虚血に起因する細胞傷害の可能性が増大する時期の脳梗塞患者に用いるための請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の細胞保護剤。
- 下記一般式(I)で表されるトリプレニルフェノール化合物を有効成分として含み、
出血性梗塞を呈している又は呈することが予測される脳梗塞患者に用いるための細胞保護剤。
[式中Xは、−CHY−C(CH3)2Zであり、Y及びZは、それぞれ独立に−H若しくは−OHであるか、又は一緒になって単結合を形成する。Rは、水素原子又は分子量1000以下の置換基を表す。] - 前記一般式(I)で表されるトリプレニルフェノール化合物が、下記一般式(II)又は(III)で表されるトリプレニルフェノール化合物である請求項7に記載の細胞保護剤。
[式中X 1 、X 2 及びX 3 は、それぞれ独立に−CHY−C(CH 3 ) 2 Zであり、Y及びZは、それぞれ独立に−H若しくは−OHであるか、又は一緒になって単結合を形成する。
R 1 は、下記(A)から(D)のいずれか1つを表す。
(A)天然アミノ酸、天然アミノ酸のD体、並びに天然アミノ酸及び天然アミノ酸のD体においてカルボキシ基を水素原子、ヒドロキシ基又はヒドロキシメチル基に置き換えた化合物からなる群より選択されるアミノ化合物から、1個のアミノ基を除いた残基(ただし、−(CH) 2 −OHは除く)、
(B)カルボキシ基、水酸基、スルホン酸基及び第二アミノ基からなる群より選択される少なくとも1つを置換基として若しくは置換基の一部として有する芳香族基、又は第二アミノ基を含み且つ窒素原子を含んでいてもよい芳香族基、
(C)下記式(II−1)で表される芳香族アミノ酸残基(式中R 3 はあってもなくてもよい置換基であって、水酸基、カルボキシ基及び炭素数1〜5のアルキル基からなる群より選択される少なくとも1つの置換基を表し、nは0又は1の整数を表す。)、
(D)−L 1 −L 2 −R 4 で表される置換基(式中、L 1 はカルボキシ基を有する炭素数1〜4のアルキレン基である連結基を表し、L 2 は−NH−C(=O)−又は−NH−C(=S)−NH−で示される連結基を表し、R 4 は炭素数1〜3のアルキルオキシ基を有する9−フルオレニルアルキルオキシ基又は下記式(II−2)で表される多複素環基を表す。)。
R 2 は、2個のアミノ基を有する天然アミノ酸、2個のアミノ基を有する天然アミノ酸のD体、2個のアミノ基を有する天然アミノ酸及び2個のアミノ基を有する天然アミノ酸のD体においてカルボキシ基を水素原子、ヒドロキシ基又はヒドロキシメチル基に置き換えた化合物、H 2 N−CH(COOH)−(CH 2 ) n −NH 2 (nは0〜9の整数)、並びにH 2 N−CH(COOH)−(CH 2 ) m −S p −(CH 2 ) q −CH(COOH)−NH 2 (m、p及びqはそれぞれ独立に0〜9の整数)で示される化合物からなる群より選択されるアミノ化合物から、2個のアミノ基を除いた残基を表す。] - 前記一般式(I)で表されるトリプレニルフェノール化合物が、SMTP−7、SMTP−22、SMTP−43、及びSMTP−44Dからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項7に記載の細胞保護剤。
- 発症後3時間以上経過した脳梗塞患者に用いるための請求項7〜請求項9のいずれか1項に記載の細胞保護剤。
- 虚血再灌流障害を生じている又は生じることが予測される脳梗塞患者に用いるための請求項7〜請求項9のいずれか1項に記載の細胞保護剤。
- 虚血に起因する細胞傷害の可能性が増大する時期の脳梗塞患者に用いるための請求項7〜請求項9のいずれか1項に記載の細胞保護剤。
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