JP5601687B2 - 熱可塑性ポリオレフィン樹脂製の表皮材 - Google Patents

熱可塑性ポリオレフィン樹脂製の表皮材 Download PDF

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Description

本発明は、自動車の内装材や家電部品等に使用される熱可塑性ポリオレフィン樹脂製の表皮材に関し、特に、そのトップコート層が、耐擦傷性、耐摩耗性、耐薬品性、耐熱性に優れ、より好ましくは、そのトップコート層が均一な艶消し皮膜を形成している熱可塑性ポリオレフィン樹脂製の表皮材に関する。
近年におけるゴミ問題および環境問題の深刻化に鑑み、車両内装材(インストルメントパネル、ドアトリムなど)や家電部品においては、使用後における廃材をできるだけ低減するため、その構成部材に対し、リサイクル化が強く要望されている。この観点から、上記部材の成形材料には、熱可塑性ポリオレフィン樹脂、例えば、ポリプロピレン樹脂(以下、PP樹脂と略す)、ABS樹脂、AS樹脂、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマー(以下、TPO樹脂と略す)などが使用されている。しかしながら、これら熱可塑性樹脂ポリオレフィン樹脂は、表面における、接着性、耐擦傷性、耐摩耗性、耐薬品性が、従来使用されていた塩化ビニル樹脂などに比べ劣るため、これらの性能向上を目的として塗装を施す必要がある。また、高級感を与える意匠性の実現のために、或いは、特に自動車内装材の場合には、意匠性だけでなく運転者への防眩性の配慮などを考慮する必要がある。このため、熱可塑性ポリオレフィン基材の表面に種々の塗装を施して、トップコート層を形成することで、より良好な熱可塑性ポリオレフィン樹脂製の表皮材とするための機能付与が行われている。
この場合に使用される塗料には、基材にするPP樹脂やTPO樹脂などのポリオレフィン系樹脂に対して接着性の良い塩素化ポリプロピレン樹脂を用いる方法が提案されてきた。具体的には、例えば、この塩素化ポリプロピレン変性アクリル樹脂をバインダー樹脂とし、これに無機系体質顔料(シリカ、タルク)、アクリル樹脂粒子などの艶消し剤を配合した塗料を用いることや、塩素化ポリプロピレン系プライマーを塗布し、その上にポリエステル樹脂やポリウレタン樹脂を有する塗料を塗布する方法が提案されてきた。
一方、最近では、環境問題の高まりから、環境対策に積極的に取り組むメーカーが多くなり、その機能性のみならず、環境保全性に優れた材料を用いて製品を構成する動きがある。例えば、前記塗料に使用する有機溶剤から特定の溶剤(トルエンなど)を選択しないことについての検討や、有機溶剤の代わりに水系樹脂を使用してVOC(揮発性有機化合物)排出量をできるだけ抑制する検討も盛んに行われている。しかし、現在の地球規模での環境保全性を実現するといった面からは、まだ不十分である(特許文献1〜3参照)。
また、近年、リサイクル化とは別の世界的な環境問題として、増加の一途をたどる二酸化炭素の排出に起因すると考えられる地球の温暖化が問題となっており、二酸化炭素の排出量低減は、全世界的に重要な課題であり、二酸化炭素を製造原料とできる技術が待望されている。さらに、枯渇性石化資源(石油・石炭)問題の観点からも、バイオマス、メタンなどの再生可能資源への転換が世界的潮流となっている。
これに対し、非特許文献1、2に見られるように、二酸化炭素を原料とするポリヒドロキシポリウレタン樹脂が以前から知られているが、その特性は十分なものとは言い難く、応用展開は進んでいないのが実情である。
特開2006−307015公報 特開2004−51901公報 特開2006−176615広報
N.Kihara,T.Endo,J.Org.Chem.,1993,58,6198 N.Kihara,T.Endo,J.Polymer Sci.,PartA Polmer Chem.,1993,31(11),2765
このような状況下、前記した車両内装材や家電部品に使用される熱可塑性ポリオレフィン樹脂表皮材に関しても、より一層の表面の、耐擦傷性、耐摩耗性、耐薬品性、耐熱性、さらに必要に応じて均一な艶消し効果に優れる製品の開発が要望されている。また、これらとは別の課題として、上記効果に優れると共に、地球規模での環境保全性を持った環境対応製品の開発が要望されている。
したがって、本発明の目的は、耐擦傷性、耐摩耗性、耐薬品性および耐熱性の効果に優れ、必要によっては均一な艶消し効果にも優れる、さらに、これらの効果に加えて、地球環境保全の観点から、製品の構成原料に二酸化炭素を取り入れることができる、温暖化ガスである二酸化炭素削減に寄与することによる環境対応製品としても有用な熱可塑性ポリオレフィン樹脂表皮材を提供することである。
上記の目的は以下の本発明によって達成される。すなわち、本発明は、熱可塑性ポリオレフィン樹脂シートと、該シート上に直接形成されたトップコート層、或いは、上記シート上に形成されたプライマー層を介して形成されたトップコート層のいずれかを有し、かつ、該トップコート層が、下記一般式(1)で表せる5員環環状カーボネートポリシロキサン化合物とアミン化合物との反応から誘導された、その構造中にマスキングされたイソシアネート基を含有する自己架橋型ポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂を主成分としてなることを特徴とする熱可塑性ポリオレフィン樹脂製の表皮材を提供する。
Figure 0005601687
式中のR1は炭素数1〜12のアルキレン基(該基中にO、S、またはNの各元素による連結及び/又は−(C24O)b−による連結を有していてもよい)を表す。式中のR2は、ないか、または、炭素数2〜20のアルキレン基を表し、R2は、脂環族基または芳香族基に連結していてもよい。bは1〜300の数を表わし、aは1〜300の数を表す。]
本発明の好ましい実施形態としては、下記のものが挙げられる。
前記5員環環状カーボネートポリシロキサン化合物が、エポキシ変性ポリシロキサン化合物と二酸化炭素とを反応させて得られたものであって、かつ、前記自己架橋型ポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂の構造中に、原料由来の二酸化炭素を1〜25質量%含有してなること。前記自己架橋型ポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂の分子中に占めるポリシロキサンセグメントの含有量が、1〜75質量%である熱可塑性ポリオレフィン樹脂製の表皮材;
前記マスキングされたイソシアネート基は、有機ポリイソシアネート基とマスキング剤との反応生成物であって、熱処理することによりマスキングされた部分が解離されてイソシアネート基を生成し、自己架橋型ポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂の構造中の水酸基と反応して自己架橋するものである熱可塑性ポリオレフィン樹脂製の表皮材;
前記自己架橋型ポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂が、5員環環状カーボネートポリシロキサン化合物とアミン化合物との反応から誘導されたポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂を変性剤によって変性してなるものである熱可塑性ポリオレフィン樹脂製の表皮材;
前記トップコート層が、自己架橋型ポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂100質量部に対して、艶消剤として、有機系微粉末或いは無機系微粉末から選ばれる一種または二種以上の組み合わせからなる物質を1〜150質量部の割合で配合した組成物によって形成されている熱可塑性ポリオレフィン樹脂製の表皮材;
前記トップコート層が、前記自己架橋型ポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂に加えて、該樹脂と異なる他の樹脂を含む組成物によって形成されている熱可塑性ポリオレフィン樹脂製の表皮材、が挙げられる。
本発明によれば、熱可塑性ポリオレフィン樹脂製の表皮材を構成するトップコート層に、少なくとも、分子中にマスキングされたイソシアネート基を含有する自己架橋型ポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂を用いることで、その表面が、耐擦傷性、耐摩耗性、耐薬品性及び耐熱性に優れ、要すれば均一な艶消し効果に優れると共に、二酸化炭素を樹脂中に取り入れ固定した材料を形成材料に利用できることから、温暖化ガスとして世界的に問題視されている二酸化炭素の削減にも寄与し得ることが可能な、環境対応製品でもある熱可塑性ポリオレフィン樹脂製の表皮材が提供される。
次に、好ましい実施の形態を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。
本発明の熱可塑性ポリオレフィン樹脂製の表皮材は、基材である熱可塑性ポリオレフィン樹脂シートと、該シート上に直接形成されたトップコート層、或いは、該樹脂シート上に形成されたプライマー層を介して形成されているトップコート層とからなるものである。そして、本発明は、上記トップコート層が、下記一般式(1)で表せる5員環環状カーボネートポリシロキサン化合物とアミン化合物との反応から誘導された、その構造中にマスキングされたイソシアネート基を含有する自己架橋型ポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂(以下、単に「本発明で使用する樹脂」或いは「本発明の樹脂」とも呼ぶ)を主成分としてなることを特徴とする。
Figure 0005601687
式中のR1は炭素数1〜12のアルキレン基(該基中にO、S、またはNの各元素による連結及び/又は−(C24O)b−による連結を有していてもよい)を表す。式中のR2は、ないか、または、炭素数2〜20のアルキレン基を表し、R2は、脂環族基または芳香族基に連結していてもよい。bは1〜300の数を表わし、aは1〜300の数を表す。]
該樹脂のマスキングされたイソシアネート基は、有機ポリイソシアネート基とマスキング剤との反応生成物であり、熱処理することによりマスキングされた部分が解離されてイソシアネート基を生成し、自己架橋型ポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂の構造中の水酸基と反応し自己架橋するものである。このため、該樹脂を用いることで、従来、表皮材に広く使用されていた塩化ビニル樹脂製などのものと風合いにおいて遜色なく、その表面の、耐擦傷性、耐摩耗性、耐薬品性、耐熱性に優れる熱可塑性ポリオレフィン樹脂製の表皮材を得ることができる。
本発明を特徴づける自己架橋型ポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂は、5員環環状カーボネートポリシロキサン化合物とアミン化合物との反応から誘導された樹脂であるが、この5員環環状カーボネートポリシロキサン化合物は、エポキシ変性ポリシロキサン化合物と二酸化炭素を反応物として得ることができる。このため、その製品は、二酸化炭素を原材料に利用し、これを固定したものとなるので、環境保全性にも資する製品となる。以下、詳細に説明する。
〔自己架橋型ポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂〕
本発明を特徴づける自己架橋型ポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂は、例えば、少なくとも一個の遊離のイソシアネート基と、マスキングされたイソシアネート基とを有する変性剤を用い、該変性剤の遊離のイソシアネート基を、5員環環状カーボネートポリシロキサン化合物とアミン化合物との反応から誘導されたポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂中の水酸基と反応させることで容易に得られる。この際に使用する変性剤としては、有機ポリイソシアネート化合物とマスキング剤との反応生成物を用いればよい。以下に、各成分について説明する。
(変性剤)
<有機ポリイソシアネート化合物>
以下に、自己架橋型ポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂の製造の際に使用できる変性剤の構成成分について説明する。該変性剤としては、有機ポリイソシアネート化合物とマスキング剤との反応生成物が用いられる。上記有機ポリイソシアネート化合物は、脂肪族或いは芳香族化合物中に少なくとも2個のイソシアネート基を有する有機化合物であって、従来からポリウレタン樹脂の合成原料として広く使用されている。これらの公知の有機ポリイソシアネート化合物はいずれも本発明において有用である。特に好ましい有機ポリイソシアネート化合物を挙げれば、以下の通りである。
1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,5−ペンタメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(イソホロンジイソシアネート)、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートなどが挙げられる。更に、これらの有機ポリイソシアネート化合物と他の化合物との付加体、例えば、下記構造式のものが挙げられるがこれらに限定されない。
Figure 0005601687
<マスキング剤>
本発明で使用する変性剤は、上記した有機ポリイソシアネート化合物とマスキング剤との反応生成物であるが、マスキング剤としては、下記のものが使用できる。アルコール系、フェノール系、活性メチレン系、酸アミド系、イミダゾール系、尿素系、オキシム系、ピリジン系化合物などであり、これらを単独あるいは混合して使用してもよい。具体的なマスキング剤としては下記の通りである。
アルコール系として、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、2−エチルヘキサノール、メチルセロソルブ、シクロヘキサノールなど、フェノール系として、フェノール、クレゾール、エチルフェノール、ノニルフェノールなどが挙げられる。活性メチレン系として、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセチルアセトンなど、酸アミド系として、アセトアニリド、酢酸アミド、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクタムなどが挙げられる。イミダゾール系として、イミダゾール、2−メチルイミダゾールなど、尿素系として、尿素、チオ尿素、エチレン尿素などが挙げられる。オキシム系として、ホルムアミドオキシム、アセトオキシム、メチルエチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシムなどが挙げられる。ピリジン系として、2−ヒドロキシピリジン、2−ヒドロキシキノリンなどが挙げられる。
<変性剤の合成方法>
上記に列挙した有機ポリイソシアネート化合物と、上記に列挙したマスキング剤とを反応させて、本発明で用いる、少なくとも一個の遊離イソシアネート基と、マスキングされたイソシアネート基を有する変性剤を合成する。合成方法は特に限定されないが、上記の如きマスキング剤と、上記のような有機ポリイソシアネート化合物とを、1分子中でイソシアネート基が一個以上過剰になる官能基比で、有機溶媒及び触媒の存在下または不存在下で、0〜150℃、好ましくは20〜80℃の温度で30分〜3時間反応させることによって容易に得ることができる。
(ポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂)
上記したような特定の変性剤によって変性されるポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂は、5員環環状カーボネートポリシロキサン化合物とアミン化合物との反応により得られる。以下に、この際に用いる各成分について説明する。
<5員環環状カーボネートポリシロキサン化合物>
本発明で使用する一般式(1)で表せる5員環環状カーボネートポリシロキサン化合物は、下記[式−A]で示されるように、エポキシ変性ポリシロキサン化合物と二酸化炭素とを反応させて製造することができる。更に詳しくは、エポキシ変性ポリシロキサン化合物を、有機溶媒の存在下又は不存在下、および触媒の存在下、40℃〜150℃の温度で常圧又は僅かに高められた圧力下、10〜20時間二酸化炭素と反応させることによって得られる。
Figure 0005601687
本発明で使用するエポキシ変性ポリシロキサン化合物としては、例えば、次の如き化合物が挙げられる。
Figure 0005601687
以上列記したエポキシ変性ポリシロキサン化合物は、本発明において使用する好ましい化合物であって、本発明はこれらの例示の化合物に限定されるものではない。従って、上述の例示の化合物のみならず、その他、現在市販されており、市場から容易に入手し得る化合物は、いずれも本発明において使用することができる。
上記したようなエポキシ変性ポリシロキサン化合物と、二酸化炭素の反応において使用できる触媒としては、塩基触媒およびルイス酸触媒が挙げられる。
塩基触媒として、トリエチルアミン、トリブチルアミンなどの三級アミン類、ジアザビシクロウンデセン、ジアザビシクロオクタン、ピリジンなどの環状アミン類、リチウムクロライド、リチウムブロマイド、フッ化リチウム、塩化ナトリウムなどのアルカリ金属塩類、塩化カルシウムなどのアルカリ土類金属塩類、テトラブチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライドなどの四級アンモニウム塩類、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムなどの炭酸塩類、酢酸亜鉛、酢酸鉛、酢酸銅、酢酸鉄などの金属酢酸塩類、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛などの金属酸化物、テトラブチルホスホニウムクロリドなどのホスホニウム塩類が挙げられる。
ルイス酸触媒としては、テトラブチル錫、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫オクトエートなどの錫化合物が挙げられる。
上記触媒の量は、エポキシ変性ポリシロキサン化合物50質量部当たり、0.1〜100質量部、好ましくは0.3〜20質量部である。上記使用量が0.1質量部未満では、触媒としての効果が小さく、100質量部を超えると最終樹脂の諸性能を低下させる場合があるので好ましくない。従って、残留触媒が重大な性能低下を引き起こすような場合は、純水で洗浄して除去する構成としてもよい。
エポキシ変性ポリシロキサン化合物と二酸化炭素の反応において、使用できる有機溶媒としては、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホオキシド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、テトラヒドロフランなどが挙げられる。また、これら有機溶剤と、他の貧溶剤、例えば、メチルエチルケトン、キシレン、トルエン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、シクロヘキサノンなどとの混合系で使用してもよい。
本発明を特徴づける樹脂は、下記[式−B]で示されるように、例えば、上記反応で得た5員環環状カーボネートポリシロキサン化合物と、アミン化合物とを、有機溶媒の存在下、20℃〜150℃の温度下で反応させることによって得ることができる。
Figure 0005601687
<アミン化合物>
上記反応に使用するアミン化合物としては、例えば、ジアミンが好ましく、従来ポリウレタン樹脂の製造に使用されているものがいずれも使用でき、特に限定されない。例えば、メチレンジアミン、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミンなどの脂肪族ジアミン;フェニレンジアミン、3,3'−ジクロロ−4,4'−ジアミノジフェニルメタン、4,4'−メチレンビス(フェニルアミン)、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル、4,4'−ジアミノジフェニルスルホン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミンなどの芳香族ジアミン;1,4−シクロヘキサンジアミン、4,4'−ジアミノシクロヘキシルメタン、1,4'−ジアミノメチルシクロヘキサン、イソホロンジアミンなどの脂環族ジアミン;モノエタノールジアミン、エチルアミノエタノールアミン、ヒドロキシエチルアミノプロピルアミンなどのアルカノールジアミンが挙げられる。更にその他現在市販されており、市場から容易に入手し得る化合物は、いずれも本発明において使用することができる。
上記のようにして得ることができる、本発明を特徴づけるポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂は、樹脂中におけるポリシロキサンセグメントの占める割合が、樹脂分子に対する該セグメントの含有量で、1〜75質量%となる量であることが好ましい。すなわち、1質量%未満ではポリシロキサンセグメントに基づく表面エネルギーに伴う機能の発現が不十分となるので好ましくない。また、75質量%を超えるとポリヒドロキシウレタン樹脂の機械強度、耐摩耗性などの性能が不十分となるので好ましくはない。好ましくは2〜70質量%であり、より好ましくは5〜60質量%である。
<物性>
また、本発明で使用するポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂は、その数平均分子量(GPCで測定した、標準ポリスチレン換算値)が、2,000〜100,000程度であることが好ましく、より好ましくは5,000〜70,000程度である。
本発明で使用するポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂の水酸基価は、20〜300mgKOH/gであることが好ましい。水酸基価が上記範囲未満であると、二酸化炭素削減効果が十分に得られ難く、一方、上記範囲を超えると、高分子化合物としての諸物性が十分に得られないおそれがあるので好ましくない。
(自己架橋型ポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂)
本発明を特徴づける自己架橋型ポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂は、それぞれ上述のようにして得られた、変性剤と、ポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂とを反応させることによって得られる。詳しくは、上記ポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂中の水酸基と、該変性剤中の少なくとも一個の遊離したイソシアネート基が反応することによって得られる。
本発明を特徴づける自己架橋型ポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂の変性剤による変性率は、2〜60%であることが好ましい。この場合の変成率が2%未満であると、十分な架橋が起こらず、本発明の熱可塑性ポリオレフィン樹脂表皮材の製造に用いた場合に、表面の耐熱性、耐薬品性などが不足するおそれがあるので好ましくない。一方で、60%を超えると、解離したイソシアネート基が反応せずに残存する可能性が増すので好ましくない。なお、変性率は下記のようにして算出する。
変性率(%)={1−(変性後の樹脂の水酸基÷変性前の樹脂の水酸基)}×100
変性剤とポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂との反応は、有機溶媒および触媒の存在下または不存在下で、0〜150℃、好ましくは20〜80℃の温度で、30分〜3時間反応させることによって容易に達成できる。但し、反応時にはマスキング剤の解離温度より低い温度で反応させる点に注意し、反応後のポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂が、その構造中にマスキングされたイソシアネート基を有するものとなるようにする必要がある。
〔トップコート層〕
本発明では、上記したような自己架橋型ポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂を用いてトップコート層を形成する際に、用途に応じては、防眩性などを配慮して艶消剤を配合してもよい。また、この際に用いる艶消剤としては、有機系微粉末または無機系微粉末が挙げられ、これらを一種または二種以上を組み合わせて使用することもできる。この際用いる有機系微粉末としては、特に制限されるものではなく、例えば、アクリル樹脂粒子、スチレン樹脂粒子、スチレン−アクリル樹脂粒子、フェノール樹脂粒子、メラミン樹脂粒子、アクリル−ポリウレタン樹脂粒子、ポリウレタン樹脂粒子、ポリエステル樹脂粒子、ナイロン樹脂粒子、シリコーン樹脂粒子、ポリエチレン樹脂粒子などが挙げられる。これら粉末としては、平均粒径が0.1〜10μmの範囲のものが好ましい。また、その形状は、形成される塗膜の艶消性が特に優れることから、球状または略球状のものが実用上好ましい。
また、上記において用いる無機系微粉末としては、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、クレー、アルミナ、シリカ、炭素繊維、ガラス繊維、金属繊維、カーボンブラック、酸化チタン、モリブデン、水酸化マグネシウム、ベントナイト、黒鉛などが挙げられる。これらの粉末としては、粒子の平均粒径が10μm以下であれば本発明の目的に則し好適であるが、できるだけ小さいほうが好ましい。
上記に挙げたような艶消剤の使用量は、自己架橋型ポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂100質量部に対し1〜150質量部、好ましくは3〜60質量部の範囲で用いるとよい。1質量部未満では艶消効果が充分でなく、また、150質量部を超えると塗膜の機械物性が大きく低下するため好ましくない。
本発明で、熱可塑性ポリオレフィン樹脂シートにトップコート層を形成する際には、上記で説明した自己架橋型ポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂を主成分とする樹脂組成物、用途によっては、これに艶消剤を含有してなる樹脂組成物(以下、これらを「樹脂組成物」と略記する)を使用する。トップコート層を形成するに際し、該樹脂組成物は、有機溶剤溶液または水分散体の形態で使用することが好ましい。該樹脂組成物を有機溶剤溶液の形態で使用する場合、以下の有機溶剤を使用することが好ましい。例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドンなどが挙げられる。また、これらの有機溶剤溶液100質量%中における樹脂濃度は3〜60質量%であることが好ましい。樹脂濃度が3質量%未満では、成膜性に劣るとともに、皮膜の厚みが不足し、そのため強度不足が生じるおそれがあるので好ましくない。一方、樹脂濃度が60質量%を超えると、乾燥後の皮膜の形成が不完全であるとともに、皮膜中への有機溶剤の残留などの問題が生じるおそれがあるので好ましくない。
また、自己架橋型ポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂を主成分とする樹脂組成物を水分散体の形態で使用する場合には、以下のようにして使用することが好ましい。まず、自己架橋型ポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂中の、水酸基又はNH基を酸無水物で半エステル化又は半アミド化することにより、樹脂中にカルボキシル基を導入する。その後、該カルボキシル基を、アンモニア、有機アミン化合物、無機塩基などで中和し、カルボン酸塩を形成して自己乳化型の水分散体として使用することが好ましい。ここで使用する酸無水物としては、例えば、無水フタル酸、無水トリメリット酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸などが挙げられる。また、有機アミン化合物としては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジエチルエタノールアミン、アミノエチルエタノールアミンなどが挙げられる。また、自己架橋型ポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂は、常法に従って界面活性剤により水中に乳化させた水分散体であってもよい。
また、本発明で用いる樹脂組成物は、基材である熱可塑性ポリオレフィン樹脂に対するスプレー適正およびコーティング適正、成膜性の向上のために、自己架橋型ポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂に加えて、該樹脂と異なる他の樹脂を含むものであってもよい。他の樹脂としては、従来公知の各種バインダー樹脂を混合して使用することができる。混合使用する他の樹脂は自己架橋型ポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂中のマスキング剤が解離して生成するポリイソシアネート基と化学的に反応し得るものが好ましい。しかし、反応性を有していないものでも本発明では使用することができる。
これらのバインダー樹脂としては、熱可塑性ポリオレフィン樹脂の表皮用に従来から用いられているバインダー樹脂が使用でき、特に限定されない。例えば、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリブタジエン樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、セルロース樹脂、アルキッド樹脂、変性セルロース樹脂、フッ素樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂などを使用することができる。また、これらのバインダー樹脂を併用する場合、その使用量は本発明の自己架橋型ポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂組成物に対して5〜90質量部、より好ましくは、10〜60質量部程度の範囲で用いるとよい。
また、本発明で用いる樹脂組成物には、その他、必要に応じて、塗面調整剤、流動性調整剤、紫外線吸収剤、分散剤、沈降防止剤などの各種塗料用添加剤を配合してもよい。
本発明の表皮材において、基材シートを構成する熱可塑性ポリオレフィン樹脂の種類としては、特に限定されないが、例えば、下記に挙げる材料から選択されるようなものが使用できる。例えば、低密度〜高密度ポリエチレン(LDPE、LLDPE、HDPEなど)、ポリプロピレン、プロピレン−エチレン共重合体などのポリプロピレン、およびエチレン−プロピレンゴム(EPR)、エチレン−ブテンゴム(EBR)、エチレン−プロピレン−ジエンターポリマー(EDPM)などの熱可塑性ポリオレフィン樹脂からなる群から選ばれた少なくとも1種の樹脂からなるものが使用できる。中でも、優れた機械的強度とともに良好な柔軟性および弾性を有するために、ポリプロピレン樹脂、ポリオレフィン系熱可塑性エラストマーからなるものが好ましい。
上記シートを構成する熱可塑性ポリオレフィン樹脂は表面が不活性なため、その表面への塗装物との接着性に劣ることが多い。このため、コロナ放電処理などにより表面を物理的に、或いは化学的に活性化した後、上述した樹脂組成物を直接塗布してトップコート層を形成することが好ましい。また、塩素化ポリオレフィン系樹脂や、ポリエステル系樹脂とポリイソシアネート化合物、或いは、ポリウレタン樹脂とポリイソシアネート化合物を、基材シート上に塗布してプライマー層を形成した後、上述した樹脂組成物を塗布して、プライマー層を介してトップコート層を形成することが好ましい。
トップコート層の形成方法としては、例えば、下記のようにすればよい。すなわち、上述した樹脂組成物を、刷毛塗り、スプレー、ロールコート、グラビア、浸漬などの公知の塗布方法で、基材である熱可塑性ポリオレフィン樹脂製のシート上に、直接或いは上記したようなプライマー層の上に塗布する。その際に、乾燥後の厚みが3〜20μm程度になるように樹脂組成物を塗布し、乾燥後80〜170℃の温度で加熱処理することで、容易に基材シート上にトップコート層となる皮膜を形成できる。以上のようにして形成される、本発明のシート状の熱可塑性ポリオレフィン樹脂製の表皮材は、その後、真空成形によって所定の形状に加工されて、例えば、車両内装材や家電部材とされる。
本発明の熱可塑性ポリオレフィン樹脂製の表皮材は、そのトップコート層の形成材料に、先に説明した特有の自己架橋型ポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂を用いることで、耐擦傷性、耐摩耗性、耐薬品性、耐熱性に優れたものとなり、更には、必要に応じて均一な艶消し効果に優れるものとなる。
また、本発明で使用する樹脂の合成に用いられる5員環環状カーボネートポリシロキサン化合物は、二酸化炭素を製造原料とすることで、樹脂中に二酸化炭素を取り入れ固定することができるため、地球温暖化の原因とされている二酸化炭素の削減の観点からも有用な、従来品では到達できなかった環境対応材料製品としての熱可塑性ポリオレフィン樹脂製の表皮材の提供が可能になる。
次に具体的な製造例、重合例、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。又、以下の各例における「部」および「%」は特に断りのない限り質量基準である。
<製造例1>(変性剤の製造)
トリメチロールプロパンとヘキサメチレンジイソシアネート3量体付加物(コロネートHL(商品名)、日本ポリウレタン社製、NCO=12.9%、固形分75%)100部、酢酸エチル24.5部を100℃でよく攪拌しながら、ε−カプロラクタム25.5部を添加し、5時間反応させた。得られた変性剤の赤外吸収スペクトル(堀場製作所 FT−720)によれば、2,270cm-1に遊離イソシアネート基による吸収は残っており、この遊離イソシアネート基を定量すると、固形分50%で理論値が2.1%であるのに対し実測値は1.8%であった。上記の変性剤の主たる構造は下記式と推定される。
Figure 0005601687
<製造例2>(変性剤の製造)
ヘキサメチレンジイソシアネートと水の付加体(ジュラネート24A−100(商品名)、旭化成社製、NCO=23.0%)100部、酢酸エチルを80℃でよく攪拌しながら、メチルエチルケトオキシム32部を添加し、5時間反応させた。得られた変性剤の赤外吸収スペクトルによれば、2,270cm-1に遊離イソシアネート基による吸収は残っており、この遊離イソシアネート基を定量すると、固形分50%で理論値が2.9%であるのに対し、実測値は2.6%であった。上記の変性剤の主たる構造は下記式と推定される。
Figure 0005601687
<製造例3>(変性剤の製造)
トリメチロールプロパンとトリレンジイソシアネート3量体付加物(コロネートL(商品名)、日本ポリウレタン社製、NCO=12.5%、固形分75%)100部、酢酸エチル67.3部を80℃でよく攪拌しながらメチルエチルケトオキシム17.3部を添加し、5時間反応させた。得られた変性剤の赤外吸収スペクトルによれば、2,270cm-1に遊離イソシアネート基による吸収は残っており、この遊離イソシアネート基を定量すると、固形分50%で理論値が2.3%であるのに対し、実測値は2.0%であった。上記の変性剤の主たる構造は下記式と推定される。
Figure 0005601687
<製造例4>(5員環環状カーボネートポリシロキサン化合物の製造)
攪拌機、温度計、ガス導入管および還流冷却器を備えた反応容器中に、下記式Aで表される2価エポキシ変性ポリシロキサン100部、N−メチルピロリドン100部、ヨウ化ナトリウム1.2部を加え均一に溶解させた後、炭酸ガスを0.5リッター/分の速度でバブリングしながら80℃で30時間加熱攪拌させた。上記で使用した、下記式Aで表される2価エポキシ変性ポリシロキサンは、信越化学工業(株)製、X−22−163(エポキシ当量198g/mol)である。
Figure 0005601687
反応終了後、得られた溶液に100部のn−ヘキサンを加えて希釈した後、分液ロートにて80部の純水で3回洗浄し、N−メチルピロリドン及びヨウ化ナトリウムを除去した。n−ヘキサン液を硫酸マグネシウムで脱水後、濃縮し無色透明の液状5員環環状カーボネートポリシロキサン化合物(1−A)92部(収率89.7%)を得た。
得られた生成物の赤外吸収スペクトル(堀場製作所 FT−720)では、1,800cm-1付近に、原料には存在しない環状カーボネート基のカルボニル基の吸収が確認された。また、生成物の数平均分子量は2,450(ポリスチレン換算、東ソー;GPC−8220)であった。得られた5員環環状カーボネートポリシロキサン化合物(1−A)中には、18.1%の二酸化炭素が固定化されていた。
<製造例5>(5員環環状カーボネートポリシロキサン化合物の製造)
製造例4で用いた2価エポキシ変性ポリシロキサンAの代わりに、下記式Bで示される2価エポキシ変性ポリシロキサンB(信越化学工業(株)製、KF−105;エポキシ当量485g/mol)を使い、これ以外は製造例4と同様に反応させ、無色透明の液状5員環環状カーボネートポリシロキサン化合物(1−B)99部(収率91%)を得た。生成物は赤外吸収スペクトル、GPC、NMRで確認した。得られた5員環環状カーボネートポリシロキサン化合物(1−B)中には、8.3%の二酸化炭素が固定化されていた。
Figure 0005601687
<重合例1>(自己架橋型ポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂の製造)
攪拌機、温度計、ガス導入管および還流冷却器を備えた反応容器を窒素置換し、これに製造例4で得られた5員環環状カーボネートポリシロキサン化合物100部を、固形分が35%になるようにN−メチルピロリドンに加え、均一に溶解した。次に、ヘキサメチレンジアミンを23.9部加え、90℃の温度で10時間攪拌し、ヘキサメチレンジアミンが確認できなくなるまで反応させた。次に、製造例1の変性剤を20部(固形分50%)添加し、90℃で3時間反応させた。赤外吸収スペクトルによるイソシアネート基の吸収が消失したことを確認して、本発明の自己架橋型ポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂溶液を得た。
<重合例2〜4>(自己架橋型ポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂の製造)
以下、重合例1と同様に5員環環状カーボネートポリシロキサン化合物、ポリアミン化合物、変性剤を組み合わせて、重合例1と同様の方法で反応させて、表1に記載の重合例2〜4の自己架橋型ポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂溶液を得た。
<比較重合例1>(ポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂の製造)
重合例1で用いた製造例1の変性剤を使用しない以外は、重合例1と同様にして、ポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂溶液を得た。
Figure 0005601687
<比較重合例2>(ポリエステルウレタン樹脂)
下記のようにして、比較例で用いるポリエステルウレタン樹脂を合成した。攪拌機、温度計、ガス導入管および還流冷却器を備えた反応容器を窒素置換し、平均分子量約2,000のポリブチレンアジペート150部と、1,4−ブタンジオール15部とを、200部のメチルエチルケトンと50部のジメチルホルムアミドからなる混合有機溶剤中に溶解した。その後、60℃でよく攪拌しながら62部の水添加MDIを、171部のジメチルホルムアミドに溶解したものを徐々に滴下し、滴下終了後80℃で6時間反応させた。この溶液は固形分35%で3.2MPa・s(25℃)の粘度を有していた。この溶液から得られたフィルムは破断強度45MPaで破断伸度480%を有し、熱軟化温度は110℃であった。
<比較重合例3>(ポリシロキサン変性ポリウレタン樹脂の製造)
下記のようにして、比較例で用いるポリシロキサン変性ポリウレタン樹脂を、ジオールとアミンから合成した。下記式(C)で表され、且つ、平均分子量が約3,200であるポリジメチルシロキサンジオール150部及び1,4−ブタンジオール10部を、200部のメチルエチルケトンと50部のジメチルホルムアミドからなる混合有機溶媒に加え、また、40部の水添加MDIを120部のジメチルホルムアミドに溶解したものを徐々に滴下し、滴下終了後、80℃で6時間反応させた。この溶液は固形分35%で1.6MPa・s(25℃)の粘度を有し、この溶液から得られたフィルムは破断強度21MPaで、破断伸度250%を有し、熱軟化温度は135℃であった。
Figure 0005601687
<実施例1〜8、比較例1〜4>
重合例1〜4、比較重合例1〜3の樹脂を使用し、表2、3に記載した配合の表皮用塗料(樹脂組成物)をそれぞれに作製し、これを用いて下記のようにして熱可塑性ポリオレフィン樹脂製の表皮材を作製した。また、得られた表皮材について、それぞれ下記の方法で評価した。
コロナ放電処理をし、濡れ指数45dyn/cmに表面を活性化した熱可塑性ポリオレフィンの基材シートに、プライマー層として塩素化ポリプロピレン(スーパークロン(商品名);日本製紙(株)製)を120メッシュのグラビアロールにて乾燥後の厚みが3μmになるように塗布し、100℃で2分間乾燥してプライマー層を形成した。この塗膜の上に、表2、表3に記載の配合で作製したそれぞれの表皮用塗料(樹脂組成物)を、120メッシュのグラビアロールにて、乾燥後の厚みが5μmになるように塗布した。そして、150℃で3分間乾燥し、80℃で24時間熟成後、表面温度160℃の凸引型真空成形機で成型して、各表皮材からなる成型品を得た。
[評価]
上記で得た各表皮材からなる成型品について、成形性、グロス性(光沢性)、摩擦係数、接着性、耐擦傷性、耐油性、耐薬品性、耐表面摩耗性、環境対応性をそれぞれ下記の方法及び基準で評価した。特に、各シートからなる成型品の表面(トップコート層)について評価した。結果を表2、表3に示した。
〔成形性〕
真空成形後の各シート表面を目視で観察し、下記の基準で評価した。
○;良好(成型割れや白化現象なし)
×;不良(成型割れまたは白化現象のどちらかが認められる)
〔グロス値(光沢性)〕
真空成形後の各シート表面の光沢を、JIS K5600に準じたグロスメーターにて測定した。そして、このグロス値が1.2以下(業界の求める基準値)を合格として評価した。
〔摩擦係数〕
真空成形後の各シート表面の摩擦係数を、表面性試験機(新東科学製)で測定した。そして、この摩擦係数が低い程、車内装材の表面同士の擦れによる異音(きしみ音)が少なくなるので、摩擦係数が0.2以下であると望ましいと評価した。
〔接着性〕
真空成形後の各シートの表面(トップコート層面)に対して、碁盤目セロハンテープによる剥離試験を行って、下記の基準で評価した。
○;良好(塗布面に剥離部分がない)
×;不良(塗布面に剥離部位がある)
〔耐擦傷性〕
真空成形後の各シートの表面を爪でこすり、傷跡や白化が生じないかを目視判定で、下記の基準で評価した。
○;良好(塗布面の爪傷・白化を判別し難い)
×;不良(塗布面の爪傷・白化跡が明瞭に判別できる)
〔耐油性〕
真空成形後の各シートの表面に牛油(ナカライテク(株))を2cm半径に塗布し、80℃雰囲気で5日間放置した後に牛油を除去した。そして、牛油の塗布面に対して、碁盤目セロハンテープによる剥離試験を行って、耐擦傷性の場合と同様の基準で評価した。
〔耐薬品性〕
真空成形後の各シートの表面にエタノールをそれぞれ滴下し、常に濡れている状態を保つため溶剤を追加滴下し、1時間後に拭き取った。拭き取った部分を目視で観察して、下記の基準で、耐薬品性を評価した。
○;塗布面に滴下痕が全く見られない
△;僅かに滴下痕が認められるが目立たない
×;滴下痕が明らかに認められる
〔耐表面摩耗性〕
真空成形後の各シートの表面を、平面摩耗試験機を用い、6号帆布を荷重1kgfで擦り、傷が発生するまでの回数を測定した。そして、下記の基準で評価した。
○;5000回以上
△;2000回以上〜5000回未満
×;2000回未満
〔環境対応性〕
トップコート層の形成に使用した樹脂中における二酸化炭素の固定化の有無によって、○×判断した。
Figure 0005601687
Figure 0005601687
本発明によれば、基材である熱可塑性ポリオレフィン樹脂シート表面のトップコート層に、特定の自己架橋型ポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂を含む樹脂組成物を用いることで、該シートから得られる成型品は、熱により解離したイソシアネート基と、自己架橋型ポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂中の遊離水酸基とが反応して、トップコート層(最表層)として自己架橋皮膜を形成するため、その表面は、耐擦傷性、耐摩耗性、耐薬品性および耐熱性に優れ、必要に応じて均一な艶消し効果にも優れるという性能を得ることができる。また、本発明で使用する自己架橋型ポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂は、二酸化炭素を樹脂中に取り入れ、固定化できるので、温暖化ガス削減の観点からも優れたものであり、該樹脂を用いて得られる表皮材も、従来品では到達できなかった環境保全に対応したものとなる。

Claims (7)

  1. 熱可塑性ポリオレフィン樹脂シートと、該シート上に直接形成されたトップコート層、或いは、上記シート上に形成されたプライマー層を介して形成されたトップコート層のいずれかを有し、かつ、
    該トップコート層が、下記一般式(1)で表せる5員環環状カーボネートポリシロキサン化合物とアミン化合物との反応によりウレタン結合を形成して誘導された、ポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂の構造中に、マスキングされたイソシアネート基を有する変性剤に由来するマスキングされたイソシアネート基を有する自己架橋型ポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂を主成分としてなることを特徴とする熱可塑性ポリオレフィン樹脂製の表皮材。
    Figure 0005601687
    式中のR1炭素数1〜12のアルキレン基(該基中にO、S、またはNの各元素による連結及び/又は−(C24O)b−による連結を有していてもよい)を表す。式中のR2は、ないか、または、炭素数2〜20のアルキレン基を表し、R2は、脂環族基または芳香族基に連結していてもよい。bは1〜300の数を表し、aは1〜300の数を表す。]
  2. 前記5員環環状カーボネートポリシロキサン化合物が、エポキシ変性ポリシロキサン化合物と二酸化炭素とを反応させて得られたものであって、かつ、前記自己架橋型ポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂の構造中に、原料由来の二酸化炭素を1〜25質量%含有してなる請求項1に記載の熱可塑性ポリオレフィン樹脂製の表皮材。
  3. 前記自己架橋型ポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂の分子中に占めるポリシロキサンセグメントの含有量が、1〜75質量%である請求項1又は2に記載の熱可塑性ポリオレフィン樹脂製の表皮材。
  4. 前記マスキングされたイソシアネート基は、有機ポリイソシアネート基とマスキング剤との反応生成物であって、熱処理することによりマスキングされた部分が解離されてイソシアネート基を生成し、自己架橋型ポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂の構造中の水酸基と反応して自己架橋するものである請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱可塑性ポリオレフィン樹脂製の表皮材。
  5. 前記変性剤が、少なくとも一個の遊離のイソシアネート基とマスキングされたイソシアネート基とを有し、前記自己架橋型ポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂が、前記ポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂中の水酸基と、前記遊離のイソシアネート基を反応させることで、変性剤によって変性してなるものである請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱可塑性ポリオレフィン樹脂製の表皮材。
  6. 前記トップコート層が、自己架橋型ポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂100質量部に対して、艶消剤として、有機系微粉末或いは無機系微粉末から選ばれる一種または二種以上の組み合わせからなる物質を1〜150質量部の割合で配合した組成物によって形成されている請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱可塑性ポリオレフィン樹脂製の表皮材。
  7. 前記トップコート層が、前記自己架橋型ポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂に加えて、該樹脂と異なる他の樹脂を含む組成物によって形成されている請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱可塑性ポリオレフィン樹脂製の表皮材。
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