JP5601687B2 - 熱可塑性ポリオレフィン樹脂製の表皮材 - Google Patents
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Description
式中のR1は炭素数1〜12のアルキレン基(該基中にO、S、またはNの各元素による連結及び/又は−(C2H4O)b−による連結を有していてもよい)を表す。式中のR2は、ないか、または、炭素数2〜20のアルキレン基を表し、R2は、脂環族基または芳香族基に連結していてもよい。bは1〜300の数を表わし、aは1〜300の数を表す。]
前記5員環環状カーボネートポリシロキサン化合物が、エポキシ変性ポリシロキサン化合物と二酸化炭素とを反応させて得られたものであって、かつ、前記自己架橋型ポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂の構造中に、原料由来の二酸化炭素を1〜25質量%含有してなること。前記自己架橋型ポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂の分子中に占めるポリシロキサンセグメントの含有量が、1〜75質量%である熱可塑性ポリオレフィン樹脂製の表皮材;
前記マスキングされたイソシアネート基は、有機ポリイソシアネート基とマスキング剤との反応生成物であって、熱処理することによりマスキングされた部分が解離されてイソシアネート基を生成し、自己架橋型ポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂の構造中の水酸基と反応して自己架橋するものである熱可塑性ポリオレフィン樹脂製の表皮材;
前記自己架橋型ポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂が、5員環環状カーボネートポリシロキサン化合物とアミン化合物との反応から誘導されたポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂を変性剤によって変性してなるものである熱可塑性ポリオレフィン樹脂製の表皮材;
前記トップコート層が、自己架橋型ポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂100質量部に対して、艶消剤として、有機系微粉末或いは無機系微粉末から選ばれる一種または二種以上の組み合わせからなる物質を1〜150質量部の割合で配合した組成物によって形成されている熱可塑性ポリオレフィン樹脂製の表皮材;
前記トップコート層が、前記自己架橋型ポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂に加えて、該樹脂と異なる他の樹脂を含む組成物によって形成されている熱可塑性ポリオレフィン樹脂製の表皮材、が挙げられる。
本発明の熱可塑性ポリオレフィン樹脂製の表皮材は、基材である熱可塑性ポリオレフィン樹脂シートと、該シート上に直接形成されたトップコート層、或いは、該樹脂シート上に形成されたプライマー層を介して形成されているトップコート層とからなるものである。そして、本発明は、上記トップコート層が、下記一般式(1)で表せる5員環環状カーボネートポリシロキサン化合物とアミン化合物との反応から誘導された、その構造中にマスキングされたイソシアネート基を含有する自己架橋型ポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂(以下、単に「本発明で使用する樹脂」或いは「本発明の樹脂」とも呼ぶ)を主成分としてなることを特徴とする。
本発明を特徴づける自己架橋型ポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂は、例えば、少なくとも一個の遊離のイソシアネート基と、マスキングされたイソシアネート基とを有する変性剤を用い、該変性剤の遊離のイソシアネート基を、5員環環状カーボネートポリシロキサン化合物とアミン化合物との反応から誘導されたポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂中の水酸基と反応させることで容易に得られる。この際に使用する変性剤としては、有機ポリイソシアネート化合物とマスキング剤との反応生成物を用いればよい。以下に、各成分について説明する。
<有機ポリイソシアネート化合物>
以下に、自己架橋型ポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂の製造の際に使用できる変性剤の構成成分について説明する。該変性剤としては、有機ポリイソシアネート化合物とマスキング剤との反応生成物が用いられる。上記有機ポリイソシアネート化合物は、脂肪族或いは芳香族化合物中に少なくとも2個のイソシアネート基を有する有機化合物であって、従来からポリウレタン樹脂の合成原料として広く使用されている。これらの公知の有機ポリイソシアネート化合物はいずれも本発明において有用である。特に好ましい有機ポリイソシアネート化合物を挙げれば、以下の通りである。
本発明で使用する変性剤は、上記した有機ポリイソシアネート化合物とマスキング剤との反応生成物であるが、マスキング剤としては、下記のものが使用できる。アルコール系、フェノール系、活性メチレン系、酸アミド系、イミダゾール系、尿素系、オキシム系、ピリジン系化合物などであり、これらを単独あるいは混合して使用してもよい。具体的なマスキング剤としては下記の通りである。
上記に列挙した有機ポリイソシアネート化合物と、上記に列挙したマスキング剤とを反応させて、本発明で用いる、少なくとも一個の遊離イソシアネート基と、マスキングされたイソシアネート基を有する変性剤を合成する。合成方法は特に限定されないが、上記の如きマスキング剤と、上記のような有機ポリイソシアネート化合物とを、1分子中でイソシアネート基が一個以上過剰になる官能基比で、有機溶媒及び触媒の存在下または不存在下で、0〜150℃、好ましくは20〜80℃の温度で30分〜3時間反応させることによって容易に得ることができる。
上記したような特定の変性剤によって変性されるポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂は、5員環環状カーボネートポリシロキサン化合物とアミン化合物との反応により得られる。以下に、この際に用いる各成分について説明する。
本発明で使用する一般式(1)で表せる5員環環状カーボネートポリシロキサン化合物は、下記[式−A]で示されるように、エポキシ変性ポリシロキサン化合物と二酸化炭素とを反応させて製造することができる。更に詳しくは、エポキシ変性ポリシロキサン化合物を、有機溶媒の存在下又は不存在下、および触媒の存在下、40℃〜150℃の温度で常圧又は僅かに高められた圧力下、10〜20時間二酸化炭素と反応させることによって得られる。
塩基触媒として、トリエチルアミン、トリブチルアミンなどの三級アミン類、ジアザビシクロウンデセン、ジアザビシクロオクタン、ピリジンなどの環状アミン類、リチウムクロライド、リチウムブロマイド、フッ化リチウム、塩化ナトリウムなどのアルカリ金属塩類、塩化カルシウムなどのアルカリ土類金属塩類、テトラブチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムブロマイド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライドなどの四級アンモニウム塩類、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムなどの炭酸塩類、酢酸亜鉛、酢酸鉛、酢酸銅、酢酸鉄などの金属酢酸塩類、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛などの金属酸化物、テトラブチルホスホニウムクロリドなどのホスホニウム塩類が挙げられる。
上記反応に使用するアミン化合物としては、例えば、ジアミンが好ましく、従来ポリウレタン樹脂の製造に使用されているものがいずれも使用でき、特に限定されない。例えば、メチレンジアミン、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、1,3−ジアミノプロパン、ヘキサメチレンジアミン、オクタメチレンジアミンなどの脂肪族ジアミン;フェニレンジアミン、3,3'−ジクロロ−4,4'−ジアミノジフェニルメタン、4,4'−メチレンビス(フェニルアミン)、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル、4,4'−ジアミノジフェニルスルホン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミンなどの芳香族ジアミン;1,4−シクロヘキサンジアミン、4,4'−ジアミノシクロヘキシルメタン、1,4'−ジアミノメチルシクロヘキサン、イソホロンジアミンなどの脂環族ジアミン;モノエタノールジアミン、エチルアミノエタノールアミン、ヒドロキシエチルアミノプロピルアミンなどのアルカノールジアミンが挙げられる。更にその他現在市販されており、市場から容易に入手し得る化合物は、いずれも本発明において使用することができる。
また、本発明で使用するポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂は、その数平均分子量(GPCで測定した、標準ポリスチレン換算値)が、2,000〜100,000程度であることが好ましく、より好ましくは5,000〜70,000程度である。
本発明を特徴づける自己架橋型ポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂は、それぞれ上述のようにして得られた、変性剤と、ポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂とを反応させることによって得られる。詳しくは、上記ポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂中の水酸基と、該変性剤中の少なくとも一個の遊離したイソシアネート基が反応することによって得られる。
変性率(%)={1−(変性後の樹脂の水酸基÷変性前の樹脂の水酸基)}×100
本発明では、上記したような自己架橋型ポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂を用いてトップコート層を形成する際に、用途に応じては、防眩性などを配慮して艶消剤を配合してもよい。また、この際に用いる艶消剤としては、有機系微粉末または無機系微粉末が挙げられ、これらを一種または二種以上を組み合わせて使用することもできる。この際用いる有機系微粉末としては、特に制限されるものではなく、例えば、アクリル樹脂粒子、スチレン樹脂粒子、スチレン−アクリル樹脂粒子、フェノール樹脂粒子、メラミン樹脂粒子、アクリル−ポリウレタン樹脂粒子、ポリウレタン樹脂粒子、ポリエステル樹脂粒子、ナイロン樹脂粒子、シリコーン樹脂粒子、ポリエチレン樹脂粒子などが挙げられる。これら粉末としては、平均粒径が0.1〜10μmの範囲のものが好ましい。また、その形状は、形成される塗膜の艶消性が特に優れることから、球状または略球状のものが実用上好ましい。
トリメチロールプロパンとヘキサメチレンジイソシアネート3量体付加物(コロネートHL(商品名)、日本ポリウレタン社製、NCO=12.9%、固形分75%)100部、酢酸エチル24.5部を100℃でよく攪拌しながら、ε−カプロラクタム25.5部を添加し、5時間反応させた。得られた変性剤の赤外吸収スペクトル(堀場製作所 FT−720)によれば、2,270cm-1に遊離イソシアネート基による吸収は残っており、この遊離イソシアネート基を定量すると、固形分50%で理論値が2.1%であるのに対し実測値は1.8%であった。上記の変性剤の主たる構造は下記式と推定される。
ヘキサメチレンジイソシアネートと水の付加体(ジュラネート24A−100(商品名)、旭化成社製、NCO=23.0%)100部、酢酸エチルを80℃でよく攪拌しながら、メチルエチルケトオキシム32部を添加し、5時間反応させた。得られた変性剤の赤外吸収スペクトルによれば、2,270cm-1に遊離イソシアネート基による吸収は残っており、この遊離イソシアネート基を定量すると、固形分50%で理論値が2.9%であるのに対し、実測値は2.6%であった。上記の変性剤の主たる構造は下記式と推定される。
トリメチロールプロパンとトリレンジイソシアネート3量体付加物(コロネートL(商品名)、日本ポリウレタン社製、NCO=12.5%、固形分75%)100部、酢酸エチル67.3部を80℃でよく攪拌しながらメチルエチルケトオキシム17.3部を添加し、5時間反応させた。得られた変性剤の赤外吸収スペクトルによれば、2,270cm-1に遊離イソシアネート基による吸収は残っており、この遊離イソシアネート基を定量すると、固形分50%で理論値が2.3%であるのに対し、実測値は2.0%であった。上記の変性剤の主たる構造は下記式と推定される。
攪拌機、温度計、ガス導入管および還流冷却器を備えた反応容器中に、下記式Aで表される2価エポキシ変性ポリシロキサン100部、N−メチルピロリドン100部、ヨウ化ナトリウム1.2部を加え均一に溶解させた後、炭酸ガスを0.5リッター/分の速度でバブリングしながら80℃で30時間加熱攪拌させた。上記で使用した、下記式Aで表される2価エポキシ変性ポリシロキサンは、信越化学工業(株)製、X−22−163(エポキシ当量198g/mol)である。
製造例4で用いた2価エポキシ変性ポリシロキサンAの代わりに、下記式Bで示される2価エポキシ変性ポリシロキサンB(信越化学工業(株)製、KF−105;エポキシ当量485g/mol)を使い、これ以外は製造例4と同様に反応させ、無色透明の液状5員環環状カーボネートポリシロキサン化合物(1−B)99部(収率91%)を得た。生成物は赤外吸収スペクトル、GPC、NMRで確認した。得られた5員環環状カーボネートポリシロキサン化合物(1−B)中には、8.3%の二酸化炭素が固定化されていた。
攪拌機、温度計、ガス導入管および還流冷却器を備えた反応容器を窒素置換し、これに製造例4で得られた5員環環状カーボネートポリシロキサン化合物100部を、固形分が35%になるようにN−メチルピロリドンに加え、均一に溶解した。次に、ヘキサメチレンジアミンを23.9部加え、90℃の温度で10時間攪拌し、ヘキサメチレンジアミンが確認できなくなるまで反応させた。次に、製造例1の変性剤を20部(固形分50%)添加し、90℃で3時間反応させた。赤外吸収スペクトルによるイソシアネート基の吸収が消失したことを確認して、本発明の自己架橋型ポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂溶液を得た。
以下、重合例1と同様に5員環環状カーボネートポリシロキサン化合物、ポリアミン化合物、変性剤を組み合わせて、重合例1と同様の方法で反応させて、表1に記載の重合例2〜4の自己架橋型ポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂溶液を得た。
重合例1で用いた製造例1の変性剤を使用しない以外は、重合例1と同様にして、ポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂溶液を得た。
下記のようにして、比較例で用いるポリエステルウレタン樹脂を合成した。攪拌機、温度計、ガス導入管および還流冷却器を備えた反応容器を窒素置換し、平均分子量約2,000のポリブチレンアジペート150部と、1,4−ブタンジオール15部とを、200部のメチルエチルケトンと50部のジメチルホルムアミドからなる混合有機溶剤中に溶解した。その後、60℃でよく攪拌しながら62部の水添加MDIを、171部のジメチルホルムアミドに溶解したものを徐々に滴下し、滴下終了後80℃で6時間反応させた。この溶液は固形分35%で3.2MPa・s(25℃)の粘度を有していた。この溶液から得られたフィルムは破断強度45MPaで破断伸度480%を有し、熱軟化温度は110℃であった。
下記のようにして、比較例で用いるポリシロキサン変性ポリウレタン樹脂を、ジオールとアミンから合成した。下記式(C)で表され、且つ、平均分子量が約3,200であるポリジメチルシロキサンジオール150部及び1,4−ブタンジオール10部を、200部のメチルエチルケトンと50部のジメチルホルムアミドからなる混合有機溶媒に加え、また、40部の水添加MDIを120部のジメチルホルムアミドに溶解したものを徐々に滴下し、滴下終了後、80℃で6時間反応させた。この溶液は固形分35%で1.6MPa・s(25℃)の粘度を有し、この溶液から得られたフィルムは破断強度21MPaで、破断伸度250%を有し、熱軟化温度は135℃であった。
重合例1〜4、比較重合例1〜3の樹脂を使用し、表2、3に記載した配合の表皮用塗料(樹脂組成物)をそれぞれに作製し、これを用いて下記のようにして熱可塑性ポリオレフィン樹脂製の表皮材を作製した。また、得られた表皮材について、それぞれ下記の方法で評価した。
上記で得た各表皮材からなる成型品について、成形性、グロス性(光沢性)、摩擦係数、接着性、耐擦傷性、耐油性、耐薬品性、耐表面摩耗性、環境対応性をそれぞれ下記の方法及び基準で評価した。特に、各シートからなる成型品の表面(トップコート層)について評価した。結果を表2、表3に示した。
真空成形後の各シート表面を目視で観察し、下記の基準で評価した。
○;良好(成型割れや白化現象なし)
×;不良(成型割れまたは白化現象のどちらかが認められる)
真空成形後の各シート表面の光沢を、JIS K5600に準じたグロスメーターにて測定した。そして、このグロス値が1.2以下(業界の求める基準値)を合格として評価した。
真空成形後の各シート表面の摩擦係数を、表面性試験機(新東科学製)で測定した。そして、この摩擦係数が低い程、車内装材の表面同士の擦れによる異音(きしみ音)が少なくなるので、摩擦係数が0.2以下であると望ましいと評価した。
真空成形後の各シートの表面(トップコート層面)に対して、碁盤目セロハンテープによる剥離試験を行って、下記の基準で評価した。
○;良好(塗布面に剥離部分がない)
×;不良(塗布面に剥離部位がある)
真空成形後の各シートの表面を爪でこすり、傷跡や白化が生じないかを目視判定で、下記の基準で評価した。
○;良好(塗布面の爪傷・白化を判別し難い)
×;不良(塗布面の爪傷・白化跡が明瞭に判別できる)
真空成形後の各シートの表面に牛油(ナカライテク(株))を2cm半径に塗布し、80℃雰囲気で5日間放置した後に牛油を除去した。そして、牛油の塗布面に対して、碁盤目セロハンテープによる剥離試験を行って、耐擦傷性の場合と同様の基準で評価した。
真空成形後の各シートの表面にエタノールをそれぞれ滴下し、常に濡れている状態を保つため溶剤を追加滴下し、1時間後に拭き取った。拭き取った部分を目視で観察して、下記の基準で、耐薬品性を評価した。
○;塗布面に滴下痕が全く見られない
△;僅かに滴下痕が認められるが目立たない
×;滴下痕が明らかに認められる
真空成形後の各シートの表面を、平面摩耗試験機を用い、6号帆布を荷重1kgfで擦り、傷が発生するまでの回数を測定した。そして、下記の基準で評価した。
○;5000回以上
△;2000回以上〜5000回未満
×;2000回未満
トップコート層の形成に使用した樹脂中における二酸化炭素の固定化の有無によって、○×判断した。
Claims (7)
- 熱可塑性ポリオレフィン樹脂シートと、該シート上に直接形成されたトップコート層、或いは、上記シート上に形成されたプライマー層を介して形成されたトップコート層のいずれかを有し、かつ、
該トップコート層が、下記一般式(1)で表せる5員環環状カーボネートポリシロキサン化合物とアミン化合物との反応によりウレタン結合を形成して誘導された、ポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂の構造中に、マスキングされたイソシアネート基を有する変性剤に由来するマスキングされたイソシアネート基を有する自己架橋型ポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂を主成分としてなることを特徴とする熱可塑性ポリオレフィン樹脂製の表皮材。
式中のR1は、炭素数1〜12のアルキレン基(該基中にO、S、またはNの各元素による連結及び/又は−(C2H4O)b−による連結を有していてもよい)を表す。式中のR2は、ないか、または、炭素数2〜20のアルキレン基を表し、R2は、脂環族基または芳香族基に連結していてもよい。bは1〜300の数を表し、aは1〜300の数を表す。] - 前記5員環環状カーボネートポリシロキサン化合物が、エポキシ変性ポリシロキサン化合物と二酸化炭素とを反応させて得られたものであって、かつ、前記自己架橋型ポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂の構造中に、原料由来の二酸化炭素を1〜25質量%含有してなる請求項1に記載の熱可塑性ポリオレフィン樹脂製の表皮材。
- 前記自己架橋型ポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂の分子中に占めるポリシロキサンセグメントの含有量が、1〜75質量%である請求項1又は2に記載の熱可塑性ポリオレフィン樹脂製の表皮材。
- 前記マスキングされたイソシアネート基は、有機ポリイソシアネート基とマスキング剤との反応生成物であって、熱処理することによりマスキングされた部分が解離されてイソシアネート基を生成し、自己架橋型ポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂の構造中の水酸基と反応して自己架橋するものである請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱可塑性ポリオレフィン樹脂製の表皮材。
- 前記変性剤が、少なくとも一個の遊離のイソシアネート基とマスキングされたイソシアネート基とを有し、前記自己架橋型ポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂が、前記ポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂中の水酸基と、前記遊離のイソシアネート基を反応させることで、変性剤によって変性してなるものである請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱可塑性ポリオレフィン樹脂製の表皮材。
- 前記トップコート層が、自己架橋型ポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂100質量部に対して、艶消剤として、有機系微粉末或いは無機系微粉末から選ばれる一種または二種以上の組み合わせからなる物質を1〜150質量部の割合で配合した組成物によって形成されている請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱可塑性ポリオレフィン樹脂製の表皮材。
- 前記トップコート層が、前記自己架橋型ポリシロキサン変性ポリヒドロキシポリウレタン樹脂に加えて、該樹脂と異なる他の樹脂を含む組成物によって形成されている請求項1〜6のいずれか1項に記載の熱可塑性ポリオレフィン樹脂製の表皮材。
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