JP5600187B2 - ワークの打抜き成形方法及びワークの打抜き成形装置 - Google Patents
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Description
本発明は、ワークの打抜き成形方法及びワークの打抜き成形装置に関する。
従来、金属製板材から所定形状のワークを成形するときには、ダイに載置した板材の上方から、板材の打抜き位置を成形パンチにより押し下げて所定のワーク形状に打抜くことが行われる(例えば、特許文献1参照)。
成形パンチに対向する下方には下降自在のカウンタパンチが設けられている。カウンタパンチは、成形パンチが下降して板材からワークが打ち抜かれる際、ワークに接した状態でワークと共に下降する。このとき、ワークに対してカウンタパンチからカウンタ荷重を付与することにより、成形パンチとカウンタパンチとに挟まれたワークに潰し方向の押圧力を加えることができるので、このカウンタ荷重を適度に調節すれば、ワークを打ち抜く際に所望の肉厚のワークを成形することができる。
カウンタパンチの構成としては、圧油等の流体圧により加圧力を発生する加圧室を備えるものがあり、これによってカウンタ荷重を適宜変更することができるようになっている(例えば、特許文献2参照)。
ところで、例えば自動車部品等のワークを量産する場合、1年間のうちの時期(季節や月日等)によってワークの需要が変動することがある。そして、上記従来の装置を用いてワークの打抜き成形を行う場合、ワークの需要の低い時期には装置の打抜き速度を低くして生産量を抑え、ワークの需要の高い時期には装置の打抜き速度を高くしてワークの生産量を増加させることで、需要に応じてワークを効率良く製造することができる。
しかし、装置の打抜き速度を低くして生産量を抑えた時期に成形されたワークと、装置の打抜き速度を高くして生産量を増加させた時期に成形されたワークとを比較すると、後者の肉厚が前者の肉厚よりも僅かに薄くなるという不都合があった。
また、上記従来の装置を用いてワークの打抜き成形を行った場合には、ワークの打抜きに際して所望の厚みのワークが得られるように前記カウンタ荷重を設定しても、成形パンチによる打抜き開始からの打抜き速度が次第に上昇(具体的には例えば、1分間当たりの打抜き回数が次第に増加)すると、それに伴ってワークが所望の厚みより薄くなるという不都合もあった。
上記の点に鑑み、本発明は、ワークの打抜き速度が変動しても、ワークを所定の肉厚で高精度に打ち抜くことができるワークの打抜き成形方法及びワークの打抜き成形装置を提供することを目的とする。
本発明は、金属製板材から所定形状のワークを打抜くワークの打抜き成形方法において、ダイに載置した板材の打抜き位置を成形パンチにより押し下げて所定のワーク形状に打抜く打抜き工程を備え、該打抜き工程は、該成形パンチに対向して設けられた上下動自在のカウンタパンチを、所定のカウンタ荷重でワークに圧接させつつ成形パンチの打抜き動作に追従させるカウンタパンチ圧接工程と、カウンタパンチに流体圧を付与する流体圧付与手段により前記カウンタ荷重を発生させるカウンタ荷重設定工程と、カウンタパンチの下降位置に応じて該流体圧付与手段の流体圧を減圧手段により減圧する減圧工程とを備え、前記打抜き工程に先立ち、成形パンチの打抜き速度と該成形パンチの打抜き動作に対する前記減圧手段の減圧動作の遅れ時間との関係を示すデータを採取するデータ採取工程を設け、前記減圧工程においては、前記データ採取工程により採取したデータに基づく早いタイミングで前記減圧手段を動作させることを特徴とする。
本発明の打抜き工程では、成形パンチが下降すると、前記カウンタパンチ圧接工程によりワークの下側から所定のカウンタ荷重でカウンタパンチが圧接し、金属製板材からワークを所定形状に打抜きつつ肉厚方向に押し潰すようにして、ワークを所定の肉厚に成形する。
下降するカウンタパンチには、前記カウンタ荷重設定工程により流体圧付与手段からの流体圧が付与され、このときのカウンタ荷重によりワークが下降しながら所定の肉厚に成形される。即ち、カウンタパンチは、打抜き時にワークが下降している間、前記流体圧付与手段の流体圧によってワークに対して一定のカウンタ荷重が維持される。
その後、成形パンチは、最下位置となると上昇動に転じ、ワークから離反する。一方、成形パンチが最下位置となったときには、カウンタパンチからワークへのカウンタ荷重を解除する必要があるため、減圧工程を設けて減圧手段により流体圧付与手段の圧抜きを行う。
ところで、カウンタパンチによるカウンタ荷重の解除タイミングが、成形パンチが最下位置に到達したタイミングよりも遅れると、成形パンチが上昇動に転じた僅かな時間であってもワークにカウンタ荷重が付与されてしまい、所定の肉厚よりも薄いワークが形成される。そして、成形パンチによるワークの打抜き速度が高くなるほど、カウンタパンチによるカウンタ荷重の解除タイミングの遅れが大きくなることから、この遅れは、流体圧付与手段の圧抜きを開始してからその圧抜きが完了するまでの減圧手段の圧抜き動作の遅れが原因であると考えられる。
本発明においては、前記データ採取工程を設け、減圧工程においてはデータ採取工程により採取したデータを用いて減圧手段を動作させる。即ち、データ採取工程による採取データから成形パンチの打抜き速度毎の減圧手段の圧抜き動作の遅れ時間を把握し、現在の打抜き速度で打ち抜くときに生じる減圧手段の圧抜き動作の遅れ時間の分、早いタイミングで減圧手段の圧抜き動作を開始する。こうすることにより、減圧手段の圧抜き完了と成形パンチの最下位置到達とのタイミングを合致させることができ、カウンタパンチによるカウンタ荷重の解除の遅れを防止することができる。従って、打抜き速度が変更されても、ワークを所定の肉厚で高精度に打ち抜くことができる。
また、本発明のワークの打抜き成形方法においては、前記打抜き工程に先立って、前記データ採取工程により採取したデータを記憶手段に記憶するデータ記憶工程を設け、前記減圧工程において前記減圧手段を動作させるとき、データ記憶工程により記憶された記憶手段のデータを用いることが好ましい。
前記データ記憶工程を設けることにより、以降の打抜き工程における減圧工程では記憶手段に記憶されているデータを用いることができるので、打抜き工程を行う度にそれに先立ってデータ採取工程を行わなくてもよく、効率良く打抜き工程を行うことができる。
更に、本発明のワークの打抜き成形方法においては、前記カウンタ荷重設定工程が、前記成形パンチの打抜き速度を採取する打抜き速度採取工程と、該打抜き速度採取工程により採取された打抜き速度の上昇に対応して、成形パンチの打抜き動作に追従する前記カウンタパンチに付与する流体圧が減少するように前記流体圧付与手段の流体圧を調節する流体圧調節工程とを備えることが好ましい。
これによれば、後述するように、成形パンチによる打抜き速度が次第に上昇しても、所定のカウンタ荷重を維持することができるので、所望の肉厚のワークを高精度に打抜き成形することができる。
また、本発明は、金属製板材から所定形状のワークを打抜くワークの打抜き成形方法において、ダイに載置した板材の打抜き位置を成形パンチにより押し下げて所定のワーク形状に打抜く打抜き工程を備え、前記打抜き工程は、成形パンチに対向して設けられた上下動自在のカウンタパンチを、所定のカウンタ荷重でワークに圧接させつつ成形パンチの打抜き動作に追従させるカウンタパンチ圧接工程と、カウンタパンチに流体圧を付与する流体圧付与手段により前記カウンタ荷重を発生させるカウンタ荷重設定工程とを備え、前記カウンタ荷重設定工程は、成形パンチの打抜き速度を採取する打抜き速度採取工程と、該打抜き速度採取工程により採取された打抜き速度の上昇に対応して、該成形パンチの打抜き動作に追従する前記カウンタパンチに付与する流体圧が減少するように前記流体圧付与手段の流体圧を調節する流体圧調節工程とを備えることを特徴とする。
本発明の打抜き工程においては、前記カウンタパンチ圧接工程によりカウンタパンチがワークに圧接した状態で下降し、このときカウンタ荷重設定工程により設定されるカウンタ荷重がカウンタパンチからワークに付与される。
そして、カウンタ荷重設定工程においては、先ず、打抜き速度採取工程により成形パンチの打抜き速度が採取される。これにより、成形パンチの打抜き開始からの打抜き速度の変化(主に上昇)が常に把握される。次いで、流体圧調節工程により打抜き速度の上昇に対応して、流体圧付与手段の流体圧が減少される。
前記流体圧調節工程は、本発明者が各種試験を行うことにより得られた知見に基づくものである。ワークの打抜きを行うと、成形パンチによる打抜きが開始された直後に打ち抜かれたワークの肉厚よりも、その後、成形パンチによる打抜き速度が上昇したときに打ち抜かれたワークの肉厚が僅かに薄い。そして、成形パンチによる打抜き速度が上昇するに従いワークの厚みが薄くなる度合いが大きくなる。
本発明者は、この現象について、成形パンチの打抜き動作と、流体圧付与手段がカウンタパンチに付与する流体圧との関係に着目して各種試験を行った。その結果、1分間当たりの打抜き回数(成形パンチの打抜き速度に相当)が多くなると、それが少ないときに比べ、流体圧付与手段の流体によるサージ圧(流体の流れ変化に伴う急激な圧力変動の最大値)が上昇してしまい、この影響により、所望するカウンタ荷重よりも大きなカウンタ荷重がカウンタパンチからワークに付与されることが明らかとなった。
上記知見に基づいて、前記成形パンチによる打抜き速度が次第に上昇するとき、その速度の上昇度合いに応じて流体圧付与手段の流体圧を前記流体圧調節工程により次第に減少させるので、前述したサージ圧によるカウンタ荷重への影響分を、流体圧調節工程による流体圧の減少分で相殺することができる。従って、成形パンチによる打抜き速度が次第に上昇しても、所定のカウンタ荷重を維持することができるので、所望の肉厚のワークを高精度に打抜き成形することができる。
また、本発明は、金属製板材から所定形状のワークを打抜くワークの打抜き成形装置において、前記板材を載置するダイと、該ダイに載置した板材の打抜き位置を押し下げて所定のワーク形状に打抜く成形パンチと、該成形パンチに対向して上下動自在に設けられ、成形パンチの打抜き動作に追従して該ワークに所定のカウンタ荷重で圧接するカウンタパンチと、該カウンタパンチに流体圧を付与して、前記カウンタ荷重を発生させる流体圧付与手段と、該流体圧付与手段の流体圧を減圧する減圧手段と、予め採取した前記成形パンチの打抜き速度と該成形パンチの打抜き動作に対する前記減圧手段の減圧動作の遅れ時間との関係を示すデータを記憶する記憶手段と、該記憶手段のデータに基づいて、減圧動作の遅れ時間に応じた早いタイミングで前記減圧手段を動作させて流体圧付与手段の減圧を行う減圧動作制御手段とを備えることを特徴とする。
本発明の打抜き装置は、成形パンチの下降に追従してカウンタパンチが下降するとき、ワークの下側に当接するカウンタパンチを介して前記流体圧付与手段によりワークに一定のカウンタ荷重が付与される。このカウンタ荷重により、ワークは、金属製板材から所定形状に打抜かれつつ所定の肉厚となる。
その後、成形パンチは、最下位置となると上昇動に転じてワークから離反する。一方、成形パンチが最下位置となったときには、カウンタパンチからワークへのカウンタ荷重を解除する必要があり、このときのカウンタ荷重の解除は、前記流体圧制御手段が減圧手段を動作させて流体圧付与手段の流体圧を圧抜きすることによって行われる。
前記流体圧制御手段は、前記記憶手段及び前記減圧動作補正手段を備えていることにより、減圧動作補正手段が記憶手段のデータを用いて減圧手段の動作タイミングを早める補正を行なう。
前記記憶手段に記憶されているデータは、前記成形パンチの打抜き速度と該成形パンチの打抜き動作に対する前記減圧手段の減圧動作の遅れ時間との関係を示すデータであり、予め採取したものである。減圧動作補正手段は、記憶手段に記憶されているデータから成形パンチの打抜き速度毎の減圧手段の減圧動作の遅れ時間を把握し、現在の打抜き速度で打ち抜くときに生じる減圧手段の減圧動作の遅れ時間の分、早いタイミングで減圧手段による圧抜きを開始し、減圧手段の圧抜きが完了したときに成形パンチが最下位置に到達するようにタイミングを合わせることができる。
これにより、成形パンチの上昇時にカウンタパンチによるカウンタ荷重の解除の遅れが防止され、打抜き速度が変更されても、ワークを所定の肉厚で高精度に打ち抜くことができる。
また、本発明のワークの打抜き成形装置においては、前記成形パンチによる打抜き速度の上昇に対応して、該成形パンチの打抜き動作に追従する前記カウンタパンチに付与する流体圧が減少するように前記流体圧付与手段の流体圧を調節する流体圧調節手段を備えることが好ましい。
これによれば、後述するように、成形パンチによる打抜き速度が次第に上昇しても、所定のカウンタ荷重を維持することができるので、所望の肉厚のワークを高精度に打抜き成形することができる。
また、本発明は、金属製板材から所定形状のワークを打抜くワークの打抜き成形装置において、前記板材を載置するダイと、該ダイに載置した板材の打抜き位置を押し下げて所定のワーク形状に打抜く成形パンチと、該成形パンチに対向して上下動自在に設けられ、成形パンチの打抜き動作に追従して該ワークに所定のカウンタ荷重で圧接するカウンタパンチと、該カウンタパンチに流体圧を付与して、前記カウンタ荷重を発生させる流体圧付与手段と、前記成形パンチによる打抜き速度の上昇に対応して前記流体圧付与手段における流体圧が減少するように、該流体圧付与手段の流体圧を調節する流体圧調節手段とを備えることを特徴とする。
カウンタパンチは、流体圧付与手段により流体圧が付与されて所望のカウンタ荷重を発生させることができるようになっている。本発明においては更に、前記流体圧調節手段によって、前記成形パンチによる打抜き速度の上昇に対応して、前記流体圧付与手段の流体圧を減少させる。
成形パンチの打抜き動作時の前記流体圧調節手段による前記流体圧付与手段の流体圧の制御は、前述の通り、本発明者が各種試験を行うことにより得られた知見に基づくものである。即ち、1分間当たりの打抜き回数(成形パンチの打抜き速度に相当)が多くなると、それが少ないときに比べ、流体圧付与手段の流体によるサージ圧(流体の流れ変化に伴う急激な圧力変動の最大値)が上昇してしまい、この影響により、所望するカウンタ荷重よりも大きなカウンタ荷重がカウンタパンチからワークに付与される。このときのサージ圧を緩和させるためには、アキュムレータ(蓄圧器)等を流体圧付与手段の直近に接続しておくことが考えられる。
しかし、カウンタパンチ及び流体圧付与手段の直近にアキュムレータを配設するスペースを確保しなければならないだけでなく、比較的大きなサージ圧を緩和するためには大型のアキュムレータが必要になるため、アキュムレータを採用することは好ましくない。
それに対して本発明では、上記知見に基づいて前記流体圧調節手段を設けたことにより、前記成形パンチによる打抜き速度が次第に上昇するとき、その速度の上昇度合いに応じて、流体圧付与手段の流体圧が調節されてカウンタパンチのカウンタ荷重を減少させるので、前述のサージ圧によるカウンタ荷重への影響分を、流体圧の減少により打ち消すことができる。
これにより、前記成形パンチによる打抜き速度の上昇に伴うカウンタ荷重の変動を防止して、所望の肉厚のワークを高精度に打抜き成形することができる。
本実施形態の打抜き成形装置は、図1に模式的に示すように、金型機構1と油圧供給手段2とコントローラ3とを備えている。
金型機構1は、図2(a)〜図2(d)に要部を示すように、材料となる金属製板材Xの下方に位置する下型4と、該板材Xを介して下型4の上方に位置する上型5とを備えている。下型4は、ダイ6とカウンタパンチ7とを備え、上型5は、成形パンチ8を備えている。
成形パンチ8は、前記板材Xの打抜き形状に対応する形状を備えており、図示しない昇降駆動手段の駆動により下降する。成形パンチ8は、ダイ6上に載置された前記板材Xの打抜き位置に当接して、更に下降され、ダイ6の下方に向かって板材Xを押し下げることにより、所定形状のワークWを打抜き成形する。
カウンタパンチ7は、成形パンチ8に対向して昇降自在に設けられ、油圧シリンダ9(流体圧付与手段)によって上方に付勢される。即ち、カウンタパンチ7は、後述するように、油圧シリンダ9に供給される油圧により、ワークWに対してカウンタ荷重を付与する。
成形パンチ8は、カウンタパンチ7の上方に向かうカウンタ荷重よりも大きな押圧力をもって下降する。これにより、成形パンチ8が板材Xを打抜くときには、カウンタパンチ7が板材Xの下方から圧接した状態で、成形パンチ8の下降に追従して下降する。
油圧供給手段2は、カウンタパンチ7の油圧シリンダ9に油圧を供給するものであって、図1に示すように、油圧を生成する油圧ポンプ10と、該油圧ポンプの下流に接続されて油圧シリンダ9に供給する油圧を調節する比例制御リリーフ弁11と、油圧シリンダ9の圧抜きと油圧供給とを切換える切換弁12(減圧手段)とを備えている。
比例制御リリーフ弁11は、入力電流により所望のリリーフ圧を設定することができる電磁弁である。この比例制御リリーフ弁11を介して油圧シリンダ9に油圧を供給することにより、カウンタパンチ7が下降するときの油圧シリンダ9の油圧が設定されたリリーフ圧で維持されるので、カウンタパンチ7のカウンタ荷重が一定に維持される。切換弁12は電磁弁であり、制御信号の入力に応じて圧抜きと油圧供給とを選択作動する。
図1に示すように、コントローラ3は、金型機構1の作動を制御するものであり、その一部に、成形パンチ8の打抜き速度を採取する速度採取部13と、油圧シリンダ9に付与する油圧を設定する油圧設定部14と、油圧設定部14が用いるデータを記憶する第1記憶部15と、油圧設定部14で設定された設定油圧により油圧供給手段2を制御する油圧制御部16(流体圧調節手段)と、油圧制御部16が用いるデータを記憶する第2記憶部17とを機能として備えている。
更に、油圧制御部16は、その機能の一部として、第2記憶部17に記憶されているデータに基づいて切換弁12の切換えにより油圧シリンダ9を圧抜きする減圧動作制御部18(減圧動作制御手段)を備えている。
速度採取部13は、金型機構1が稼働しているときに成形パンチ8の打抜き速度(具体的には、例えば、成形パンチ8による1分間当たりの打抜き回数)を採取する。
第1記憶部15は、成形パンチ8の1分間当たりの打抜き回数と、油圧シリンダ9の設定油圧(リリーフ圧)との関係がデータとして予め記憶している。このデータは、図3に示すように、成形パンチ8の1分間当たりの打抜き回数の増加(打抜き速度の上昇)に対応して減少する設定油圧を示すものである。
油圧設定部14は、第1記憶部15のデータを参照して、速度採取部13により採取された打抜き速度に対応する好適な油圧を設定する。そして、油圧制御部16は、油圧供給手段2の比例制御リリーフ弁11を制御することにより、油圧設定部14により設定された油圧を油圧シリンダ9に付与する。また、油圧制御部16は、油圧供給手段2の切換弁12を制御することにより、所定のタイミングで油圧シリンダ9の油圧供給と排出(圧抜き)とを切換える。
第2記憶部17は、成形パンチ8の1分間当たりの打抜き回数と、切換弁12の切換え開始から切換え完了までの所要時間(圧抜き動作を指示する制御信号の入力から弁が圧抜き状態となるまでの遅れ時間)との相関関係を示す相関マップをデータとして予め記憶している。この相関マップは、図4に一例を示すように、成形パンチ8の1分間当たりの打抜き回数毎の成形パンチ8の1ストロークを回転角度360°に変換することにより、成形パンチ8の位置を示している。
即ち、図4の相関マップにおいて、成形パンチ8が下降を開始するときの上死点は0°であり、成形パンチ8の下降から上昇に転じるときの下死点は180°であり、成形パンチ8の上昇が完了した上死点は360°となっている。図4の相関マップにおいては、成形パンチ8が下死点(180°)となったときに切換弁12の圧抜き状態への切換えが完了するように、圧抜き動作を指示する減圧動作制御部18による制御信号の入力タイミングを上記の遅れ時間(本実施形態では0.02秒の遅れ)の分早めて、切換弁12に圧抜きを指示する制御信号の入力を成形パンチ8が161°となったときに行うことを示している。
なお、図4においては、成形パンチ8による1分間当たりの打抜き回数が最大となるとき(160回)での切換弁12への制御信号の入力タイミングを、成形パンチ8による1分間当たりの打抜き回数が最小となるとき(50回)にも適用している場合を示しているが、第2記憶部17に記憶するデータとしては、成形パンチ8による1分間当たりの打抜き回数毎に対応して異なる制御信号の入力タイミングが設定されていてもよい。
そして、油圧制御部16の減圧動作制御部18は、第2記憶部17に記憶する図4の相関マップを参照して油圧供給手段2の切換弁12を制御することにより、油圧シリンダ9の圧抜き完了と成形パンチ8の最下位置到達とのタイミングを合致させることができ、カウンタパンチ7によるカウンタ荷重の解除の遅れを防止することができる。
次に、以上の構成の打抜き成形装置によるワークWの打抜き説明する。
なお、打抜き成形装置によるワークWの打抜きに先立って、成形パンチ8の1分間当たりの打抜き回数と、油圧シリンダ9の設定油圧(リリーフ圧)との関係を示すデータを第1記憶部15に記憶し、更に、成形パンチ8の打抜き速度と成形パンチ8の打抜き動作に対する切換弁12の切換え動作の遅れ時間との関係を示すデータを採取し(データ採取工程)、この採取データを用いて上述した相関マップを算出して第2記憶部17に記憶する(データ記憶工程)。
次いで、打抜き成形装置によるワークWの打抜きを開始したとき、図2(a)に示すように、ダイ6上に板材Xを載置させる(板材投入工程)。このとき、カウンタパンチ7はその上面がダイ6の上面と同一平面上に位置し、油圧シリンダ9には油圧制御部16の制御により油圧供給手段2からカウンタ荷重とする油圧が付与される。
次いで、図2(b)に示すように、成形パンチ8が下降して、板材Xの打抜き位置を下方に押し下げる(打抜き工程)。このとき、カウンタパンチ7は、成形パンチ8の押し下げに追従してワークWにカウンタ荷重をもって圧接した状態で下降する(カウンタパンチ圧接工程)。
更に、下降時のカウンタパンチ7においてカウンタ荷重を発生させる油圧シリンダ9には、現在の成形パンチ8の打抜き速度に応じた油圧が、油圧制御部16の制御により油圧供給手段2を介して付与される(カウンタ荷重設定工程)。
ここで、成形パンチ8の打抜き速度が上昇すると、油圧シリンダ9内部の作動油に急激な変動が生じるため、油圧シリンダ9にサージ圧が発生してカウンタ荷重が瞬間的に大きくなことがある。このときのサージ圧により所定のカウンタ荷重を上回った場合、ワークWが成形パンチ8とカウンタパンチ7との上下方向の押圧を過剰に受けて潰される方向に変形し、ワークWが所定の厚みに成形されない。
そこで、コントローラ3の制御動作により、サージ圧によるワークWへの影響を低減する。即ち、図1を参照してコントローラ3の制御動作を説明すれば、先ず、速度採取部13が稼動中の金型機構1から出力される速度信号から成形パンチ8の打抜き速度(ここでは、成形パンチ8による1分間当たりの打抜き回数とする)を採取する(打抜き速度採取工程)。次いで、油圧設定部14が前記第1記憶部15の図3に示したデータを用いて、現在の打抜き回数に対応する設定油圧を抽出し、油圧制御部16が油圧供給手段2の比例制御リリーフ弁のリリーフ圧を上記設定油圧に変更する。従って、油圧制御部16は、打抜き回数(打抜き速度が上昇)が増加するにつれ、その上昇度合いに応じて油圧シリンダ9の油圧を減少させる(流体圧調節工程)。
これにより、サージ圧が発生する速度で打抜きが行われても、油圧シリンダ9の減少した油圧によりサージ圧が打ち消され、設定された所定のカウンタ荷重を維持することができるので、所望のカウンタ荷重をワークWに付与して打ち抜くことができる。
次いで、図2(c)に示すように、成形パンチ8が下死点まで下降するが、この時点で既に、所定形状のワークWが打抜かれると共に、ワークWが成形パンチ8とカウンタパンチ7との上下方向の押圧を受けて潰される方向に変形して所定の厚みのワークWが成形される。そして、下死点に到達した成形パンチ8は、上昇に転じ、同時にカウンタパンチ7は油圧シリンダ9が圧抜きされる(減圧工程)。
このとき、油圧シリンダ9の圧抜きは、前述した油圧供給手段2の切換弁12に減圧動作制御部18からの制御信号を入力することにより行われる。そして、このときの制御信号は、減圧動作制御部18によって第2記憶部17の相関マップに基づく早いタイミングで切換弁12に入力されるので、油圧シリンダ9からの圧抜き完了時と成形パンチ8の最下位置到達時とのタイミングを合致させて、カウンタパンチ7によるカウンタ荷重の解除が最良のタイミングで行われ、成形パンチ8の打抜き速度が変更されても、ワークWを所定の肉厚で高精度に打ち抜くことができる。
そして、図2(d)に示すように、成形パンチ8が上昇位置まで到達すると、油圧供給手段2の切換弁12は減圧動作制御部18により油圧の供給状態に切換えられ、カウンタパンチ7は油圧シリンダ9に供給される油圧により上昇してダイ6からワークWを押し上げて1回の打抜き動作が完了する。続いて、以上の動作を繰り返すことにより、連続してワークWの打抜き成形が行われる。
上述したように、本実施形態によれば、成形パンチ8の打抜き速度が変更されても、カウンタパンチ7によるカウンタ荷重の解除が最良のタイミングで行われるので、ワークを所定の肉厚で高精度に打ち抜くことができる。そして、油圧制御部16が、打抜き回数(打抜き速度が上昇)が増加するにつれ、その上昇度合いに応じて油圧シリンダ9の油圧を減少させるので、サージ圧によるワークWへの影響を抑えて精度の高いワークWを打抜き成形することができる。
なお、図3に示した数値は、本実施形態における例として示すものであり、打抜き成形装置の規模、材料となる金属製板材X、ワークWの形状等に応じて適宜設定されるものであることは言うまでもない。
また、本実施形態においては、成形パンチ8の打抜き速度として1分間当たりの打抜き回数を用いたが、打抜き回数の時間単位はこれに限るものではない。
また、本実施形態においては、カウンタパンチ7が油圧シリンダ9の油圧によりカウンタ荷重を発生させる構成を挙げたが、油圧を用いる以外に、他の液体や圧縮気体を用いてもよい。
本発明のワークの打抜き成形方法及びワークの打抜き成形装置によれば、ワークを、所定の肉厚で高精度に打ち抜くことができるので、自動車部品を高品質に製造する場合等に好適である。
X…金属製板材、W…ワーク、6…ダイ、7…カウンタパンチ、8…成形パンチ、9…油圧シリンダ(流体圧付与手段)、12…切換弁(減圧手段)、16…油圧制御部(流体圧調節手段)、17…第2記憶部(記憶手段)、18…減圧動作制御部(減圧動作制御手段)。
Claims (7)
- 金属製板材から所定形状のワークを打抜くワークの打抜き成形方法において、
ダイに載置した板材の打抜き位置を成形パンチにより押し下げて所定のワーク形状に打抜く打抜き工程を備え、
該打抜き工程は、該成形パンチに対向して設けられた上下動自在のカウンタパンチを、所定のカウンタ荷重でワークに圧接させつつ成形パンチの打抜き動作に追従させるカウンタパンチ圧接工程と、カウンタパンチに流体圧を付与する流体圧付与手段により前記カウンタ荷重を発生させるカウンタ荷重設定工程と、カウンタパンチの下降位置に応じて該流体圧付与手段の流体圧を減圧手段により減圧する減圧工程とを備え、
前記打抜き工程に先立ち、成形パンチの打抜き速度と該成形パンチの打抜き動作に対する前記減圧手段の減圧動作の遅れ時間との関係を示すデータを採取するデータ採取工程を設け、
前記減圧工程においては、前記データ採取工程により採取したデータに基づく早いタイミングで前記減圧手段を動作させることを特徴とするワークの打抜き成形方法。 - 前記打抜き工程に先立って、前記データ採取工程により採取したデータを記憶手段に記憶するデータ記憶工程を設け、
前記減圧工程において前記減圧手段を動作させるとき、データ記憶工程により記憶された記憶手段のデータを用いることを特徴とする請求項1記載のワークの打抜き成形方法。 - 前記カウンタ荷重設定工程は、前記成形パンチの打抜き速度を採取する打抜き速度採取工程と、該打抜き速度採取工程により採取された打抜き速度の上昇に対応して、成形パンチの打抜き動作に追従する前記カウンタパンチに付与する流体圧が減少するように前記流体圧付与手段の流体圧を調節する流体圧調節工程とを備えることを特徴とする請求項1記載のワークの打抜き成形方法。
- 金属製板材から所定形状のワークを打抜くワークの打抜き成形方法において、
ダイに載置した板材の打抜き位置を成形パンチにより押し下げて所定のワーク形状に打抜く打抜き工程を備え、
前記打抜き工程は、成形パンチに対向して設けられた上下動自在のカウンタパンチを、所定のカウンタ荷重でワークに圧接させつつ成形パンチの打抜き動作に追従させるカウンタパンチ圧接工程と、カウンタパンチに流体圧を付与する流体圧付与手段により前記カウンタ荷重を発生させるカウンタ荷重設定工程とを備え、
前記カウンタ荷重設定工程は、成形パンチの打抜き速度を採取する打抜き速度採取工程と、該打抜き速度採取工程により採取された打抜き速度の上昇に対応して、該成形パンチの打抜き動作に追従する前記カウンタパンチに付与する流体圧が減少するように前記流体圧付与手段の流体圧を調節する流体圧調節工程とを備えることを特徴とするワークの打抜き成形方法。 - 金属製板材から所定形状のワークを打抜くワークの打抜き成形装置において、
前記板材を載置するダイと、
該ダイに載置した板材の打抜き位置を押し下げて所定のワーク形状に打抜く成形パンチと、
該成形パンチに対向して上下動自在に設けられ、成形パンチの打抜き動作に追従して該ワークに所定のカウンタ荷重で圧接するカウンタパンチと、
該カウンタパンチに流体圧を付与して、前記カウンタ荷重を発生させる流体圧付与手段と、
該流体圧付与手段の流体圧を減圧する減圧手段と、
予め採取した前記成形パンチの打抜き速度と該成形パンチの打抜き動作に対する前記減圧手段の減圧動作の遅れ時間との関係を示すデータを記憶する記憶手段と、
該記憶手段のデータに基づいて、減圧動作の遅れ時間に応じた早いタイミングで前記減圧手段を動作させて流体圧付与手段の減圧を行う減圧動作制御手段とを備えることを特徴とするワークの打抜き成形装置。 - 前記成形パンチによる打抜き速度の上昇に対応して、該成形パンチの打抜き動作に追従する前記カウンタパンチに付与する流体圧が減少するように前記流体圧付与手段の流体圧を調節する流体圧調節手段を備えることを特徴とする請求項5記載のワークの打抜き成形装置。
- 金属製板材から所定形状のワークを打抜くワークの打抜き成形装置において、
前記板材を載置するダイと、
該ダイに載置した板材の打抜き位置を押し下げて所定のワーク形状に打抜く成形パンチと、
該成形パンチに対向して上下動自在に設けられ、成形パンチの打抜き動作に追従して該ワークに所定のカウンタ荷重で圧接するカウンタパンチと、
該カウンタパンチに流体圧を付与して、前記カウンタ荷重を発生させる流体圧付与手段と、
前記成形パンチによる打抜き速度の上昇に対応して、該成形パンチの打抜き動作に追従する前記カウンタパンチに付与する流体圧が減少するように前記流体圧付与手段の流体圧を調節する流体圧調節手段を備えることを特徴とするワークの打抜き成形装置。
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