JP5598801B2 - レーザーダイシング方法、チップの製造方法およびレーザー加工装置 - Google Patents

レーザーダイシング方法、チップの製造方法およびレーザー加工装置 Download PDF

Info

Publication number
JP5598801B2
JP5598801B2 JP2012275712A JP2012275712A JP5598801B2 JP 5598801 B2 JP5598801 B2 JP 5598801B2 JP 2012275712 A JP2012275712 A JP 2012275712A JP 2012275712 A JP2012275712 A JP 2012275712A JP 5598801 B2 JP5598801 B2 JP 5598801B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
crystal substrate
damage
along
division line
laser
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2012275712A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2014120659A (ja
Inventor
洪春 劉
創 丸山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Laser Systems Inc.
Original Assignee
Laser Systems Inc.
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Laser Systems Inc. filed Critical Laser Systems Inc.
Priority to JP2012275712A priority Critical patent/JP5598801B2/ja
Publication of JP2014120659A publication Critical patent/JP2014120659A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5598801B2 publication Critical patent/JP5598801B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Laser Beam Processing (AREA)
  • Dicing (AREA)
  • Processing Of Stones Or Stones Resemblance Materials (AREA)

Description

本発明は、レーザー光を照射して結晶基板を分割するレーザーダイシング方法およびチップの製造方法に関する。また、本発明は、結晶基板を分割するための損傷を、結晶基板にレーザー光を照射することで形成するレーザー加工装置に関する。
近年、基板を分割する新たな技術として、レーザーダイシング方法が提案されている。レーザーダイシング方法では、基板にレーザー光を照射して損傷を形成することで、基板を分割する。基板上において2つの分割予定ラインが交差している場合、加工精度向上などを目的として所定の手順で加工を行うことが提案されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
特許文献1には、スクライブ領域の両側に予備残留応力線を形成した後、レーザー光を脆性基板に照射して亀裂を形成することで、脆性基板を分割するレーザーダイシング方法が開示されている。この技術では、レーザー光を基板に照射する前に予備残留応力線を形成しておくことで、スクライブ領域の終端においてはねが生じること、および分割後にスクライブ領域が残ることを防止している。予備残留応力線としては、加圧端子ボールによる加圧により形成された微小変形と、レーザー光の照射により形成された微小変質と、エッチングにより形成された微小溝とが挙げられている。
特許文献2には、第1分割予定ラインに沿ってレーザー光を照射し、さらに冷却媒体を吹き付けることで垂直クラックからなる第1スクライブラインを脆性基板に形成する第1工程と、第1分割予定ラインと交差する第2分割予定ラインに沿ってレーザー光を照射し、さらに冷却媒体を吹き付けることで脆性基板を割断する第2工程と、第1スクライブラインに沿ってレーザー光を再度照射し、垂直クラックを伸展させて脆性基板を割断する第3工程と、を含むレーザーダイシング方法が開示されている。この技術では、クラックを進展させるために、ガラス基板などの脆性基板を加工対象物としている。また、第3工程におけるレーザー光の照射幅を1.0mm以下とすることで、第2工程で形成される第2方向に延びるクラックと、第3工程で形成される第1方向に延びるクラックとの交点近傍に欠けが生じるのを抑制している。
特許文献3には、第1分割予定ラインに沿ってレーザー光を照射し、さらに冷却媒体を吹き付けることでハーフカットの第1クラックを脆性基板に形成する第1工程と、第1分割予定ラインと交差する第2分割予定ラインに沿ってレーザー光を照射し、さらに冷却媒体を吹き付けることでフルカットの第2クラックを脆性基板に形成する第2工程と、ハーフカットの第1クラックに沿ってレーザー光を再度照射してフルカットにする第3工程と、を含むレーザーダイシング方法が開示されている。この技術では、クラックを進展させるために、ガラス基板などの脆性基板を加工対象物としている。
なお、特許文献2,3に記載の技術では、第1工程において第1分割予定ラインに沿って脆性基板を完全に分割してしまうと、以後の工程において分割箇所を超えてクラックを伝播させることができず、第2分割予定ラインに沿って脆性基板を分割することができなくなる。このため、第1工程では、ハーフカットのクラックを形成することが必須である。
特開平9−260310号公報 特開2010−184457号公報 特開2007−301806号公報
特許文献1に記載の技術では、1本の分割予定ラインに対して少なくとも2本の予備残留応力線を形成しなければならない。このため、特許文献1に記載の技術には、加工工程数が少なくとも3倍に増大するという問題がある。また、特許文献2,3の技術では、第1分割予定ラインに沿って加工、第2分割予定ラインに沿って加工、再度第1分割予定ラインに沿って加工、の順で加工を行うため、ステージを少なくとも2回回転させなければならない。このため、特許文献2,3の技術には、工程が煩雑であり、かつ加工ラインがずれやすいため、加工精度を確保しにくいという問題がある。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、分割予定ラインに沿ってレーザー光を照射して結晶基板を分割するレーザーダイシング方法であって、従来の技術よりも簡便に分割予定ラインの近傍におけるクラックの発生を抑制することができ、かつ高精度に分割することができるレーザーダイシング方法を提供することを目的とする。また、本発明は、前記レーザーダイシング方法を用いるチップの製造方法、および前記レーザーダイシング方法に用いられるレーザー加工装置を提供することも目的とする。
本発明者は、互いに交差する分割予定ラインに沿って結晶基板にレーザー光を照射する場合に、所定の順序でレーザー光を照射することで上記課題を解決できることを見出し、さらに検討を加えて本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下のレーザーダイシング方法およびチップの製造方法に関する。
[1]互いに交差する第1分割予定ラインおよび第2分割予定ラインに沿って結晶基板にレーザー光を照射して、前記第1分割予定ラインおよび前記第2分割予定ラインに沿って前記結晶基板に損傷を形成する損傷形成工程と、前記レーザー光を照射された前記結晶基板に引張力を加えるエキスパンド工程と、を含み、前記損傷形成工程は、前記第1分割予定ラインに沿って前記結晶基板にレーザー光を照射して、前記第1分割予定ラインに沿って前記結晶基板に損傷を形成する第1工程と、前記第1工程の後に前記第2分割予定ラインに沿って前記結晶基板にレーザー光を照射して、前記第2分割予定ラインに沿って前記結晶基板に損傷を形成する第2工程と、前記第2工程の後に前記第2分割予定ラインに沿って前記結晶基板にレーザー光を再度照射して、前記第2分割予定ラインに沿って前記結晶基板に再度損傷を形成する第3工程と、を含み、前記第2工程で形成する損傷の深さは、前記第1工程および前記第3工程で形成する損傷の深さよりも浅く、前記結晶基板は、前記損傷形成工程または前記エキスパンド工程において分割される、レーザーダイシング方法。
[2]前記第2工程で形成する損傷の深さは、前記結晶基板の厚みの5〜50%の範囲内であり、前記第1工程および前記第3工程で形成する損傷の深さは、前記結晶基板の厚みの70%以上である、[1]に記載のレーザーダイシング方法。
[3]前記結晶基板は、前記損傷形成工程において分割される、[1]または[2]に記載のレーザーダイシング方法。
[4]前記結晶基板は、前記エキスパンド工程において分割される、[1]または[2]に記載のレーザーダイシング方法。
[5]前記損傷形成工程と前記エキスパンド工程との間に、前記結晶基板に折曲力を加えて前記結晶基板を分割するブレーク工程を含まない、[1]〜[4]のいずれか一項に記載のレーザーダイシング方法。
[6]互いに交差する第1分割予定ラインおよび第2分割予定ラインに沿って結晶基板にレーザー光を照射して、前記第1分割予定ラインおよび前記第2分割予定ラインに沿って前記結晶基板に損傷を形成する損傷形成工程と、前記レーザー光を照射された前記結晶基板に引張力を加えるエキスパンド工程と、を含み、前記損傷形成工程は、前記第1分割予定ラインに沿って前記結晶基板にレーザー光を照射して、前記第1分割予定ラインに沿って前記結晶基板に損傷を形成する第1工程と、前記第1工程の後に前記第2分割予定ラインに沿って前記結晶基板にレーザー光を照射して、前記第2分割予定ラインに沿って前記結晶基板に損傷を形成する第2工程と、前記第2工程の後に前記第2分割予定ラインに沿って前記結晶基板にレーザー光を再度照射して、前記第2分割予定ラインに沿って前記結晶基板に再度損傷を形成する第3工程と、を含み、前記第2工程において、前記レーザー光の集光点は、前記結晶基板の表面〜前記結晶基板の表面から上方100μmの範囲内に位置し、前記第1工程および前記第3工程において、前記レーザー光の集光点は、前記結晶基板の表面よりも下方に位置し、前記結晶基板は、前記損傷形成工程または前記エキスパンド工程において分割される、レーザーダイシング方法。
[7]前記レーザー光は、パルスレーザー光であり、前記第2工程における前記レーザー光のピークパワー密度は、1.6×10〜1.6×10W/cmの範囲内であり、前記第1工程および前記第3工程における前記レーザー光のピークパワー密度は、2.0×10W/cm以上である、[6]に記載のレーザーダイシング方法。
[8]前記結晶基板は、前記損傷形成工程において分割される、[6]または[7]に記載のレーザーダイシング方法。
[9]前記結晶基板は、前記エキスパンド工程において分割される、[6]または[7]に記載のレーザーダイシング方法。
[10]前記損傷形成工程と前記エキスパンド工程との間に、前記結晶基板に折曲力を加えて前記結晶基板を分割するブレーク工程を含まない、[6]〜[9]のいずれか一項に記載のレーザーダイシング方法。
[11][1]〜[10]のいずれか一項に記載のレーザーダイシング方法を用いて結晶基板を分割してチップを製造する、チップの製造方法。
また、本発明は、以下のレーザー加工装置に関する。
[12]レーザ光を出射するレーザ光源と、前記レーザ光を結晶基板に照射する光学系と、前記光学系および前記結晶基板の少なくとも一方を移動させて、前記光学系と前記結晶基板とを相対的に移動させる駆動部と、を有し、互いに交差する第1分割予定ラインおよび第2分割予定ラインに沿って前記結晶基板にレーザー光を照射して、前記第1分割予定ラインおよび前記第2分割予定ラインに沿って前記結晶基板に損傷を形成する、レーザー加工装置であって、前記第1分割予定ラインに沿って前記結晶基板にレーザー光を照射して、前記第1分割予定ラインに沿って前記結晶基板に損傷を形成する第1工程と、前記第1工程の後に前記第2分割予定ラインに沿って前記結晶基板にレーザー光を照射して、前記第2分割予定ラインに沿って前記結晶基板に損傷を形成する第2工程と、前記第2工程の後に前記第2分割予定ラインに沿って前記結晶基板にレーザー光を再度照射して、前記第2分割予定ラインに沿って前記結晶基板に再度損傷を形成する第3工程と、を含む損傷形成工程により前記結晶基板に損傷を形成し、前記第2工程で形成する損傷の深さは、前記第1工程および前記第3工程で形成する損傷の深さよりも浅い、レーザー加工装置。
[13]レーザ光を出射するレーザ光源と、前記レーザ光を結晶基板に照射する光学系と、前記光学系および前記結晶基板の少なくとも一方を移動させて、前記光学系と前記結晶基板とを相対的に移動させる駆動部と、を有し、互いに交差する第1分割予定ラインおよび第2分割予定ラインに沿って前記結晶基板にレーザー光を照射して、前記第1分割予定ラインおよび前記第2分割予定ラインに沿って前記結晶基板に損傷を形成する、レーザー加工装置であって、前記第1分割予定ラインに沿って前記結晶基板にレーザー光を照射して、前記第1分割予定ラインに沿って前記結晶基板に損傷を形成する第1工程と、前記第1工程の後に前記第2分割予定ラインに沿って前記結晶基板にレーザー光を照射して、前記第2分割予定ラインに沿って前記結晶基板に損傷を形成する第2工程と、前記第2工程の後に前記第2分割予定ラインに沿って前記結晶基板にレーザー光を再度照射して、前記第2分割予定ラインに沿って前記結晶基板に再度損傷を形成する第3工程と、を含む損傷形成工程により前記結晶基板に損傷を形成し、前記第2工程において、前記レーザー光の集光点は、前記結晶基板の表面〜前記結晶基板の表面から上方100μmの範囲内に位置し、前記第1工程および前記第3工程において、前記レーザー光の集光点は、前記結晶基板の表面よりも下方に位置する、レーザー加工装置。
本発明によれば、従来の技術よりも少ない工程で、クラックの発生を抑制しつつ結晶基板を高精度に分割することができる。したがって、本発明によれば、結晶基板から高い歩留りでチップを得ることができる。
図1A〜Cは、本発明に係るレーザーダイシング方法を用いた結晶基板の分割工程を示す模式図である。 図2A〜Dは、本発明に係るレーザーダイシング方法におけるレーザー光の照射手順を説明するための模式図である。 クラックの発生が抑制されるメカニズムを説明するための模式図である。 本発明の一実施の形態に係るレーザー加工装置の一例を示す模式図である。 図5A〜Cは、加工例1,3,5,6の手順を説明するための模式図である。 図6A,Bは、加工例2,4の手順を説明するための模式図である。 図7Aは、加工条件の加工で形成された損傷を示すSiC基板断面の写真である。図7Bは、加工条件の加工で形成された損傷を示すSiC基板断面の写真である。 図8Aは、加工例1の手順で分割されたSiC基板の写真である。図8Bは、加工例2の手順で分割されたSiC基板の写真である。 図9Aは、加工例1の手順で分割されたSiC基板の分割予定ラインの交点付近の拡大写真である。図9B,Cは、加工例2の手順で分割されたSiC基板の分割予定ラインの交点付近の拡大写真である。 図10Aは、加工条件の加工で形成された損傷を示すサファイア基板断面の写真である。図10Bは、加工条件の加工で形成された損傷を示すサファイア基板断面の写真である。 図11Aは、加工例3の手順で分割されたサファイア基板の写真である。図11Bは、加工例4の手順で分割されたサファイア基板の写真である。 図12Aは、加工例3の手順で分割されたサファイア基板の分割予定ラインの交点付近の拡大写真である。図12Bは、加工例2の手順で分割されたサファイア基板の分割予定ラインの交点付近の拡大写真である。 図13Aは、パルスエネルギー5μJのパルスレーザー光を照射して、加工例5の手順で分割されたSiC基板の写真である。図13Bは、パルスエネルギー10μJのパルスレーザー光を照射して、加工例5の手順で分割されたSiC基板の写真である。図13Cは、パルスエネルギー100μJのパルスレーザー光を照射して、加工例5の手順で分割されたSiC基板の写真である。 図14Aは、パルスエネルギー5μJのパルスレーザー光を照射して、加工例5の手順で分割されたSiC基板の分割予定ラインの交点付近の拡大写真である。図14Bは、パルスエネルギー10μJのパルスレーザー光を照射して、加工例5の手順で分割されたSiC基板の分割予定ラインの交点付近の拡大写真である。図14Cは、パルスエネルギー100μJのパルスレーザー光を照射して、加工例5の手順で分割されたSiC基板の分割予定ラインの交点付近の拡大写真である。
1.レーザーダイシング方法およびチップの製造方法
本発明に係るレーザーダイシング方法は、互いに交差する分割予定ラインに沿って結晶基板にレーザー光を照射して結晶基板に損傷を形成する損傷形成工程と、レーザー光を照射された結晶基板に引張力を加えるエキスパンド工程とを含む。結晶基板は、損傷形成工程またはエキスパンド工程のいずれかにおいて分割される。後述するように、本発明に係るレーザーダイシング方法は、損傷形成工程において、所定の順序でレーザー光を照射することを特徴とする。
加工対象の基板の種類は、結晶性の基板であれば特に限定されず、単結晶基板であってもよいし、多結晶基板であってもよい。結晶基板の例には、シリコンカーバイド(SiC)基板やサファイア(Al)基板、シリコン(Si)基板、窒化ガリウム(GaN)基板、酸化亜鉛(ZnO)基板、酸化ガリウム(Ga)基板、ダイヤモンド基板などが含まれる。結晶基板の表面には、エピタキシャル層などの薄膜などが形成されていてもよい。
図1は、本発明に係るレーザーダイシング方法を用いて結晶基板を分割する例を示す模式図である。図1Aに示されるように、レーザー光100を結晶基板110に照射しながら、レーザー光100と結晶基板110との相対的な位置を変える。このとき、レーザー光100の集光点は、結晶基板110の外部、表面または内部に位置し、結晶基板110の分割予定ライン120に沿って移動する。このようにレーザー光100を1回または2回(後述)走査することで、図1Bに示されるように、分割予定ライン120に沿って結晶基板110の厚みの70%以上の深さの損傷130を形成することができる(損傷形成工程)。このとき、損傷130は、結晶基板110がレーザー光100を吸収(1光子吸収または多光子吸収)することで生じる熱膨張や溶融、分解、体積爆発などの現象により形成されると考えられる。この後、図1Cに示されるように、損傷130を形成された結晶基板110に引張力を加える(エキスパンド工程)。以上の手順により、結晶基板110を分割予定ライン120に沿って容易に分割することができる。
本発明に係るレーザーダイシング方法では、損傷形成工程(図1Aおよび図1B参照)の後、すぐにエキスパンド工程(図1C参照)に移ることができる。すなわち、本発明に係るレーザーダイシング方法では、損傷形成工程とエキスパンド工程との間に、ブレーク工程を行う必要はない。ここで、「ブレーク工程」とは、基板面に対して略垂直方向の力(折曲力)を基板に加え、基板の表面に形成された損傷を基板の裏面まで到達させることで、基板を分割する工程を意味する。一方、「エキスパンド工程」とは、基板面に対して略平行方向の力(引張力)を基板に加えることで、基板に形成された損傷を起点として基板を分割する工程を意味する(図1C参照)。
以下、損傷形成工程およびエキスパンド工程について説明する。
[損傷形成工程]
損傷形成工程では、互いに交差する第1分割予定ラインおよび第2分割予定ラインに沿って結晶基板にレーザー光を照射して、第1分割予定ラインおよび第2分割予定ラインに沿って結晶基板に損傷を形成する(図1Aおよび図1B参照)。
図2Aは、結晶基板110に設定された分割予定ラインの例を示す図である。図2Aに示される例では、X軸方向に延びる複数の第1分割予定ライン120aと、Y軸方向に延びる複数の第2分割予定ライン120bとが設定されている。この例では、第1分割予定ライン120aおよび第2分割予定ライン120bが互いに直角に交差しているが、第1分割予定ライン120aおよび第2分割予定ライン120bが交わる角度は特に限定されない。また、この例では、第1分割予定ライン120aのピッチおよび第2分割予定ライン120bのピッチがすべて同じであるが、これらのピッチは一定でなくてもよい。
本発明に係るレーザーダイシング方法では、所定の順序で第1分割予定ラインおよび第2分割予定ラインに沿ってレーザー光を照射する。すなわち、まず、図2Bに示されるように、第1分割予定ライン120aに沿って結晶基板110にレーザー光を照射して、第1分割予定ライン120aに沿って結晶基板110に深い損傷130a(後述)を形成する(第1工程)。次いで、図2Cに示されるように、第2分割予定ライン120bに沿って結晶基板110にレーザー光を照射して、第2分割予定ライン120bに沿って結晶基板110に浅い損傷130b(後述)を形成する(第2工程)。最後に、図2Dに示されるように、第2分割予定ライン120bに沿って結晶基板110にレーザー光を再度照射して、第2分割予定ライン120bに沿って結晶基板110に深い損傷130c(後述)を形成する(第3工程)。
このように、本発明に係るレーザーダイシング方法では、(1)第1分割予定ライン120aに沿う深い損傷130a、(2)第2分割予定ライン120bに沿う浅い損傷130b、(3)第2分割予定ライン120bに沿う浅い損傷130b、の順で損傷130を形成する。ここで「深い損傷」および「浅い損傷」とは、深さを相対的に表現したものである。すなわち、第2工程で形成する損傷130bの深さは、第1工程で形成する損傷130aおよび第3工程で形成する損傷130cの深さよりも浅い。第1工程で形成する損傷130aおよび第3工程で形成する損傷130cの深さは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。
第1分割予定ライン120aおよび第2分割予定ライン120bの交点近傍におけるクラックの発生を抑制する観点からは、第2工程で形成する浅い損傷130bの深さは、結晶基板110の厚みの5〜50%の範囲内であることが好ましい。また、結晶基板110を確実に分割する観点からは、第1工程で形成する深い損傷130aおよび第3工程で形成する深い損傷130cの深さは、結晶基板110の厚みの70%以上であることが好ましい。この後説明するように、損傷の深さは、レーザー光の集光点の位置(Z軸方向の位置)やレーザー光のピークパワー密度などを調整することで制御されうる。
このように、本発明に係るレーザーダイシング方法では、第1分割予定ライン120aに沿って深い損傷130aを形成した後(第1工程の後)、かつ第2分割予定ライン120bに沿って深い損傷130cを形成する前(第3工程の前)に、第2分割予定ライン120bに沿って浅い損傷130bを形成することで、第1分割予定ライン120aおよび第2分割予定ライン120bの交点近傍におけるクラックの発生を抑制する。ここで、第1分割予定ライン120aおよび第2分割予定ライン120bの交点近傍におけるクラックの発生が抑制される点について、推察されるメカニズムを説明するが、クラックの発生が抑制されるメカニズムは、これに限定されない。
図3は、クラックの発生が抑制されるメカニズムを説明するための模式図である。図3A,Bは、従来の一般的なレーザーダイシング方法の手順を示す図であり、図3C〜Eは、本発明に係るレーザーダイシング方法の手順を示す図である。損傷130a,130b,130cに付与された矢尻は、レーザー光の走査方向を示している。
従来の一般的なレーザーダイシング方法では、図3Aに示されるように、第1分割予定ライン120aに沿って深い損傷130aを形成した後、図3Bに示されるように、第2分割予定ライン120bに沿って深い損傷130cを形成する。このように、第1分割予定ライン120aに沿って深い損傷130aが形成されている状態で、第2分割予定ライン120bに沿って深い損傷130cを形成しようとすると、図3Bにおいて矢印で示されるレーザー照射により発生する熱応力が、損傷130aに向かって集中し、各チップの終端にクラック140が発生してしまう。
これに対し、本発明に係るレーザーダイシング方法では、図3Cに示されるように、第1分割予定ライン120aに沿って深い損傷130aを形成した後、図3Dに示されるように、第2分割予定ライン120bに沿って浅い損傷130bを形成する。その後、図3Eに示されるように、第2分割予定ライン120bに沿って深い損傷130cを形成する。このように、第2分割予定ライン120bに沿って浅い損傷130bが形成されている状態で、第2分割予定ライン120bに沿ってさらに深い損傷130cを形成しようとすると、レーザー照射により発生する熱応力を浅い損傷130bにより生じた空間に逃がすことが可能となるため、熱応力の集中によるクラックの発生は抑制される。
レーザー光の波長は、結晶基板に損傷を形成することができれば特に限定されない。レーザー光の波長は、結晶基板の種類に応じて適宜選択される。たとえば、SiC基板を加工する場合は、波長500nm以上のレーザー光を照射することが好ましい。また、サファイア基板を加工する場合は、波長300〜600nmのレーザー光を照射することが好ましい。
本発明に係るレーザーダイシング方法において、レーザー光源として用いるレーザーの種類は、特に限定されず、結晶基板の種類に応じて適宜選択される。レーザーの例には、HoレーザーやErレーザー、Ybレーザー、各種半導体レーザーなどが含まれる。また、発振するレーザー光は、パルスレーザー光であってもよいし、連続発振(CW)レーザー光であってもよい。
浅い損傷を形成する第2工程においては、レーザー光の集光点は、結晶基板の表面〜表面から上方100μmの範囲内に位置することが好ましい。このようにすることで、第2工程で形成する浅い損傷130bの深さを、結晶基板110の厚みの5〜50%の範囲内にすることができる。ここで「レーザー光の集光点の位置」とは、結晶基板の屈折率が空気と同じであると仮定した場合の集光点の位置(レンズオフセット)を意味する。また「表面から上方」とは、基板表面に対して垂直かつ外部に向かう方向を意味する。一方、深い損傷を形成する第1工程および第3工程においては、レーザー光の集光点は、結晶基板の表面よりも下方に位置することが好ましい。このようにすることで、第1工程および第3工程で形成する深い損傷130a,130cの深さを、結晶基板110の厚みの70%以上にすることができる。
レーザー光がパルスレーザー光の場合、浅い損傷を形成する第2工程においては、パルスレーザー光のピークパワー密度は、1.6×10〜1.6×10W/cmの範囲内であることが好ましい。このようにすることで、第2工程で形成する浅い損傷130bの深さを、結晶基板110の厚みの5〜50%の範囲内にすることができる。一方、深い損傷を形成する第1工程および第3工程においては、パルスレーザー光のピークパワー密度は、2.0×10W/cm以上であることが好ましい。このようにすることで、第1工程および第3工程で形成する深い損傷130a,130cの深さを、結晶基板110の厚みの70%以上にすることができる。
前述のとおり、本発明に係るレーザーダイシング方法では、結晶基板は、損傷形成工程またはエキスパンド工程のいずれかにおいて分割される。前者の場合、レーザー光照射により損傷が形成されることをきっかけとして、結晶基板の表面から裏面に到達する分割面が自然に形成されることで、結晶基板が分割される。結晶基板が損傷形成工程で分割されているかどうかは、結晶基板の裏面側から光を当てた状態で、表面側から顕微鏡を用いて分割予定ラインの近傍を観察することで確認することができる。すなわち、結晶基板が分割されている場合は、分割予定ラインに沿って光が抜けてくるので、結晶基板が分割されていることを確認することができる。
[エキスパンド工程]
エキスパンド工程では、損傷形成工程において損傷を形成された結晶基板に引張力を加える(図1C参照)。前述のとおり、「引張力を加える」とは、基板面に対して略平行方向の力を加えることを意味する。結晶基板が損傷形成工程で分割されている場合は、エキスパンド工程により、分割されたチップ間の間隔が拡げられる。一方、結晶基板が損傷形成工程で分割されていない場合は、エキスパンド工程により、損傷を起点として結晶基板が分割され、同時に分割されたチップ間の間隔が拡げられる。
結晶基板に引張力を加える方法は、特に限定されない。たとえば、結晶基板の裏面にダイシングテープを貼付して、このダイシングテープを引き伸ばせばよい。この場合、損傷形成工程の前にダイシングテープを貼付してもよいし、損傷形成工程の後にダイシングテープを貼付してもよい。
以上のとおり、本発明に係るレーザーダイシング方法は、互いに交差する分割予定ラインに沿って結晶基板にレーザー光を照射する場合に、所定の順序でレーザー光を照射することで、クラックの発生を抑制しつつ、結晶基板の表面に高アスペクト比(結晶基板の厚みの70%以上の深さ)の損傷を高精度かつ高速に形成することができる。したがって、本発明に係るレーザーダイシング方法は、ブレーク工程を行うことなくエキスパンド工程のみで、クラックの発生を抑制しつつ結晶基板を高精度かつ高速に分割することができる。
本発明に係るレーザーダイシング方法を用いることで、例えば、結晶基板を分割してチップや電子デバイスなどを製造することができる。
本発明に係るレーザーダイシング方法を実施する手段は、特に限定されない。たとえば、本発明に係るレーザーダイシング方法は、次に説明する本発明に係るレーザー加工装置を用いて実施されうる。
2.レーザー加工装置
本発明に係るレーザー加工装置は、本発明に係るレーザーダイシング方法の損傷形成工程に用いられる装置である。すなわち、本発明に係るレーザー加工装置は、互いに交差する第1分割予定ラインおよび第2分割予定ラインに沿って結晶基板にレーザー光を照射して、第1分割予定ラインおよび第2分割予定ラインに沿って結晶基板に損傷を形成する装置である。
本発明に係るレーザー加工装置は、少なくとも、レーザー光を出射するレーザー光源と、レーザー光源から出射されたレーザー光を結晶基板に照射する光学系と、光学系(レーザー光)と結晶基板とを相対的に移動させる駆動部とを有する。以下、各構成要素について説明する。
レーザー光源は、結晶基板に照射するレーザー光を出射する。前述の通り、レーザー光源として用いるレーザーの種類は、特に限定されず、結晶基板の種類に応じて適宜選択される。レーザーの例には、HoレーザーやErレーザー、Ybレーザー、各種半導体レーザーなどが含まれる。また、発振するレーザー光は、パルスレーザー光であってもよいし、連続発振(CW)レーザー光であってもよい。
光学系は、所望の位置に集光点が位置するように、レーザー光源から出射されたレーザー光を結晶基板に照射する。通常、光学系は、レーザー光のビーム径を最適化するテレスコープ光学系や、レーザー光を所望の位置に集光させる集光レンズなどを含む。
駆動部は、光学系(レーザー光)および結晶基板の少なくとも一方を移動させて、光学系と結晶基板とを相対的に移動させる。これにより、レーザー光を結晶基板の分割予定ラインに沿うように照射することができる。その結果、結晶基板の分割予定ラインに沿ってアスペクト比の高い損傷を形成することができる。駆動部は、結晶基板を載置するステージを移動させてもよいし、光学系を移動させてもよいし、ステージおよび光学系の両方を移動させてもよい。
本発明に係るレーザー加工装置は、互いに交差する第1分割予定ラインおよび第2分割予定ラインに沿って結晶基板にレーザー光を照射して、第1分割予定ラインおよび第2分割予定ラインに沿って結晶基板に損傷を形成する。このとき、本発明に係るレーザー加工装置は、第1分割予定ラインに沿って結晶基板にレーザー光を照射して、第1分割予定ラインに沿って結晶基板に損傷を形成する(第1工程)。次いで、本発明に係るレーザー加工装置は、第2分割予定ラインに沿って結晶基板にレーザー光を照射して、第2分割予定ラインに沿って結晶基板に損傷を形成する(第2工程)。最後に、本発明に係るレーザー加工装置は、第2分割予定ラインに沿って結晶基板にレーザー光を再度照射して、第2分割予定ラインに沿って結晶基板に再度損傷を形成する(第3工程)。前述のとおり、第2工程で形成する損傷の深さは、第1工程および第3工程で形成する損傷の深さよりも浅い。
その他、レーザー加工装置は、加工対象の結晶基板を載置するステージや、所望の位置に集光点を位置させるための自動照準システムなどを有していてもよい。
図4は、本発明の一実施の形態に係るレーザー加工装置を示す模式図である。図4に示されるように、レーザー加工装置200は、レーザー光源210、テレスコープ光学系220、集光レンズ230、ステージ240、AFカメラ250、XYステージコントローラー260、Zコントローラー270およびコンピューター280を有する。
レーザー光源210は、所定の波長のレーザー光を出射する。前述のとおり、レーザー光源として用いるレーザーの種類は、加工対象の結晶基板の種類などに応じて適宜選択される。
テレスコープ光学系220は、好ましい加工形状を得るために、レーザー光源210から出射されたレーザー光のビーム径を最適化する。
集光レンズ230は、テレスコープ光学系220を透過したレーザー光を集光する。たとえば、集光レンズ230は、顕微鏡用の対物レンズである。
ステージ240は、加工対象の結晶基板110が載置される載置台と、この載置台を移動させることができる駆動機構とを有する。駆動機構は、載置台をX軸またはY軸方向に移動させたり、X軸またはY軸を中心として回転させたりすることができる。ステージ240上の結晶基板110は、この駆動機構によって分割予定ラインに沿ってXY軸方向に移動される。
AFカメラ250は、結晶基板110の加工部位の表面プロファイルを取得するためのカメラである。取得されたプロファイルは、コンピューター280に出力される。
XYステージコントローラー260は、コンピューター280の指示に基づいて、レーザー光の集光位置が結晶基板110の分割予定ラインに沿うように、ステージ240をXY軸方向に移動させる。
Zコントローラー270は、コンピューター280の指示に基づいて、レーザー光の集光位置が所望の位置に合うように、集光レンズ230をZ軸方向に移動させる。
コンピューター280は、レーザー光源210、AFカメラ250、XYステージコントローラー260およびZコントローラー270に接続されており、これら各部を総合的に制御する。たとえば、コンピューター280は、AFカメラ250およびXYステージコントローラー260を制御して、結晶基板110の表面プロファイルを取得する。また、コンピューター280は、XYステージコントローラー260およびZコントローラー270を制御して、結晶基板110の分割予定ラインに沿ってレーザー光を走査する。
次に、レーザー加工装置200を用いて結晶基板110を分割する手順を説明する。
まず、図4に示されるレーザー加工装置200により、結晶基板110に表面から内部に向かう損傷を形成する(損傷形成工程)。具体的には、まず、裏面にダイシングテープ150が貼付された結晶基板110をステージ240の載置台に載置して、AFカメラ250およびXYステージコントローラー260により結晶基板110の表面プロファイルを取得する。次いで、レーザー光源210からレーザー光を出射して、レーザー光を結晶基板110に照射する。このとき、予め取得した表面プロファイルに基づき、ステージ240をXY軸方向(水平方向)に移動することで、レーザー光で分割予定ラインを走査する(図1A参照)。また、第1分割予定ライン120aに沿って深い損傷130aを形成し(第1工程)、次いで第2分割予定ライン120bに沿って浅い損傷130bを形成し(第2工程)、最後に第2分割予定ライン120bに沿って深い損傷130cを形成する(第3工程)ように、レーザー光を走査する(図2参照)。このとき、レーザー光の集光点を、第2工程では結晶基板110の表面〜結晶基板110の表面から上方100μmの範囲内に位置させ、第1工程および前記第3工程では結晶基板110の表面よりも下方に位置させることが好ましい。これにより、結晶基板110の分割予定ラインに沿って、クラックの発生を抑制しつつ、結晶基板110の厚みの70%以上の深さの損傷を形成することができる(図1B参照)。
本発明に係るレーザーダイシング方法では、第1分割予定ライン120aに沿って深い損傷130aを形成した後(第1工程)、第2分割予定ライン120bに沿って浅い損傷130bおよび深い損傷130cを形成する(第2工程および第3工程)。したがって、ステージの回転は、第1工程と第2工程の間に一度行えばよい。このように第2工程と第3工程の間にステージを回転させないため、第2工程で形成される浅い損傷130bと、第3工程で形成される深い損傷130cとがずれることを防ぐことができる。
次いで、図示しないエキスパンド装置により、ダイシングテープ150を引き伸ばして、損傷を形成された結晶基板110に引張力を加える(エキスパンド工程)。結晶基板110が損傷形成工程で分割されている場合は、エキスパンド工程により、分割されたチップ間の間隔が拡げられる。一方、結晶基板110が損傷形成工程で分割されていない場合は、エキスパンド工程により、損傷を起点として結晶基板110が分割され、同時に分割されたチップ間の間隔が拡げられる(図1C参照)。
以上の手順により、ブレーク工程を挟むことなく、損傷形成工程およびエキスパンド工程のみで結晶基板を分割(ダイシング)することができる。
なお、図4では、ステージ240の載置台を移動させることで、分割予定ラインに沿ってレーザー光を照射する例を示したが、分割予定ラインに沿ってレーザー光を照射する手段は、レーザー光の集光点と結晶基板とを相対的に移動させることができれば特に限定されない。たとえば、ステージ240の代わりに光学系(テレスコープ光学系220および集光レンズ230)を移動させてもよいし、ステージ240および光学系の両方を移動させてもよい。
以下、本発明を実施例を参照して詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されない。
[実施例1]
実施例1では、本発明に係るレーザーダイシング方法により、クラックの発生を抑制しつつ、損傷形成工程およびエキスパンド工程のみでSiC基板を分割できることを示す。
加工対象物として、正方形状のSiC単結晶基板(縦10mm×横10mm×厚さ150μm)を準備した。本実施例では、このSiC基板を、縦横それぞれ2mm間隔で直線状に分割して、25個の正方形状のチップ(縦2mm×横2mm×厚さ150μm)を得ることを目的とする。以下の説明では、横方向(X軸方向)の分割予定ラインを第1分割予定ラインとし、縦方向(Y軸方向)の分割予定ラインを第2分割予定ラインとする。
裏面にダイシングテープを貼付したSiC基板をステージに載せ、SiC基板の表面側からSiC基板にパルスレーザー光(波長1064nm、パルス幅200ナノ秒、集光点でのスポット径6.2μm)を照射して、SiC基板に表面から内部に向かう損傷を形成した(損傷形成工程)。このとき、ステージをXY軸方向(水平方向)に移動させて、SiC基板の分割予定ラインに沿って損傷を形成した。次いで、SiC基板の裏面に貼付されたダイシングテープを均等に引き伸ばして、SiC基板を分割予定ラインに沿って分割(チップ化)した(エキスパンド工程)。
損傷形成工程における加工条件は、加工工程に応じて表1に示される加工条件1および加工条件2の2つから選択した。加工条件1は、加工条件2よりも浅い損傷を形成することを意図している。
(加工例1)
加工例1では、図5に示される手順でSiC基板を分割した。まず、互いに平行な4本の第1分割予定ラインに沿って加工条件2でパルスレーザー光を照射した(図5A参照)。これにより、第1分割予定ラインに沿って外見上の幅45μm、深さ150μm(基板厚みに対して100%)の深い損傷が形成された(図7A参照)。次に、第1分割予定ラインに直交する、互いに平行な4本の第2分割予定ラインに沿って加工条件1でパルスレーザー光を照射した(図5B参照)。これにより、第2分割予定ラインに沿って外見上の幅15μm、深さ60μm(基板厚みに対して40%)の浅い損傷が形成された(図7B参照)。次に、第2分割予定ラインに沿って加工条件2で再度パルスレーザー光を照射した(図5C参照)。これにより、第2分割予定ラインに沿って外見上の幅45μm、深さ150μm(基板厚みに対して100%)の深い損傷が形成された(図7A参照)。最後に、SiC基板の裏面に貼付されたダイシングテープを均等に引き伸ばして、SiC基板を分割予定ラインに沿って分割(チップ化)した。なお、上記の説明における「外見上の幅」とは、加工後の基板を平面視したときに黒く見えるライン(損傷と損傷周囲のデブリを含む)の幅を意味する。したがって、上記「外見上の幅」の数値と、図7A,Bに示される写真における損傷の幅とは、一致しない。
(加工例2)
加工例2では、図6に示される手順でSiC基板を分割した。まず、互いに平行な4本の第1分割予定ラインに沿って加工条件2でパルスレーザー光を照射した(図6A参照)。これにより、第1分割予定ラインに沿って外見上の幅45μm、深さ150μm(基板厚みに対して100%)の深い損傷が形成された(図7A参照)。次に、第1分割予定ラインに直交する、互いに平行な4本の第2分割予定ラインに沿って加工条件2でパルスレーザー光を照射した(図6B参照)。これにより、第2分割予定ラインに沿って外見上の幅45μm、深さ150μm(基板厚みに対して100%)の深い損傷が形成された(図7A参照)。最後に、SiC基板の裏面に貼付されたダイシングテープを均等に引き伸ばして、SiC基板を分割予定ラインに沿って分割(チップ化)した。
図8Aは、加工例1におけるエキスパンド工程後のSiC基板の写真である。図8Bは、加工例2におけるエキスパンド工程後のSiC基板の写真である。これらの写真に示されるように、いずれの加工例においても、25個の正方形状のチップを得られた(エキスパンド成功率100%)。
また、加工例1により得られた25個のチップおよび加工例2により得られた25個のチップについて、クラックの発生の有無を調べた。図9Aは、加工例1の手順で分割されたSiC基板の分割予定ラインの交点付近の拡大写真である。図9B,Cは、加工例2の手順で分割されたSiC基板の分割予定ラインの交点付近の拡大写真である。図9Aに示されるように、加工例1により得られた25個のチップでは、クラックは認められなかった。一方、図9B,Cに示されるように、加工例2により得られた25個のうち6個のチップでは、分割予定ラインの交点付近にクラックが認められた(クラック不良率:24%、分割予定ラインからのクラックの最大到達距離:第2分割予定ラインからX軸方向に100μm×第1分割予定ラインからY軸方向に400μm)。
以上の結果から、本発明に係るレーザーダイシング方法により、クラックの発生を抑制しつつ、損傷形成工程およびエキスパンド工程のみでSiC基板を分割できることがわかる。なお、SiC単結晶基板の代わりに、SiC多結晶基板を用いても同様の結果が得られる。
[実施例2]
実施例2では、本発明に係るレーザーダイシング方法により、クラックの発生を抑制しつつ、損傷形成工程およびエキスパンド工程のみでサファイア基板を分割できることを示す。
加工対象物として、正方形状のサファイア単結晶基板(縦10mm×横10mm×厚さ85μm)を準備した。本実施例では、このサファイア基板を、縦横それぞれ2mm間隔で直線状に分割して、25個の正方形状のチップ(縦2mm×横2mm×厚さ85μm)を得ることを目的とする。以下の説明では、横方向(X軸方向)の分割予定ラインを第1分割予定ラインとし、縦方向(Y軸方向)の分割予定ラインを第2分割予定ラインとする。
裏面にダイシングテープを貼付したサファイア基板をステージに載せ、サファイア基板の表面側からサファイア基板にパルスレーザー光(波長355nm、パルス幅20ナノ秒、集光点でのスポット径2.2μm)を照射して、サファイア基板に表面から内部に向かう損傷を形成した(損傷形成工程)。このとき、ステージをXY軸方向(水平方向)に移動させて、サファイア基板の分割予定ラインに沿って損傷を形成した。次いで、サファイア基板の裏面に貼付されたダイシングテープを均等に引き伸ばして、サファイア基板を分割予定ラインに沿って分割(チップ化)した(エキスパンド工程)。
損傷形成工程における加工条件は、加工工程に応じて表2に示される加工条件3および加工条件4の2つから選択した。加工条件3は、加工条件4よりも浅い損傷を形成することを意図している。
(加工例3)
加工例3では、図5に示される手順でサファイア基板を分割した。まず、互いに平行な4本の第1分割予定ラインに沿って加工条件4でパルスレーザー光を照射した(図5A参照)。これにより、第1分割予定ラインに沿って外見上の幅12μm、深さ85μm(基板厚みに対して100%)の深い損傷が形成された(図10A参照)。次に、第1分割予定ラインに直交する、互いに平行な4本の第2分割予定ラインに沿って加工条件3でパルスレーザー光を照射した(図5B参照)。これにより、第2分割予定ラインに沿って外見上の幅10μm、深さ20μm(基板厚みに対して24%)の浅い損傷が形成された(図10B参照)。次に、第2分割予定ラインに沿って加工条件4で再度パルスレーザー光を照射した(図5C参照)。これにより、第2分割予定ラインに沿って外見上の幅12μm、深さ85μm(基板厚みに対して100%)の深い損傷が形成された(図10A参照)。最後に、サファイア基板の裏面に貼付されたダイシングテープを均等に引き伸ばして、サファイア基板を分割予定ラインに沿って分割(チップ化)した。
(加工例4)
加工例4では、図6に示される手順でサファイア基板を分割した。まず、互いに平行な4本の第1分割予定ラインに沿って加工条件4でパルスレーザー光を照射した(図6A参照)。これにより、第1分割予定ラインに沿って外見上の幅12μm、深さ85μm(基板厚みに対して100%)の深い損傷が形成された(図10A参照)。次に、第1分割予定ラインに直交する、互いに平行な4本の第2分割予定ラインに沿って加工条件4でパルスレーザー光を照射した(図6A参照)。これにより、第2分割予定ラインに沿って外見上の幅12μm、深さ85μm(基板厚みに対して100%)の深い損傷が形成された(図10A参照)。最後に、サファイア基板の裏面に貼付されたダイシングテープを均等に引き伸ばして、サファイア基板を分割予定ラインに沿って分割(チップ化)した。
図11Aは、加工例3におけるエキスパンド工程後のサファイア基板の写真である。図11Bは、加工例4におけるエキスパンド工程後のサファイア基板の写真である。これらの写真に示されるように、いずれの加工例においても、25個の正方形状のチップを得られた(エキスパンド成功率100%)。
また、加工例3により得られた25個のチップおよび加工例4により得られた25個のチップについて、クラックの発生の有無を調べた。図12Aは、加工例3の手順で分割されたサファイア基板の分割予定ラインの交点付近の拡大写真である。図12Bは、加工例4の手順で分割されたサファイア基板の分割予定ラインの交点付近の拡大写真である。図12Aに示されるように、加工例3により得られた25個のチップでは、クラックは認められなかった。一方、図12Bに示されるように、加工例4により得られた25個のうち9個のチップでは、クラックが認められた(クラック不良率:36%、分割予定ラインからのクラックの最大到達距離:第2分割予定ラインからX軸方向に60μm×第1分割予定ラインからY軸方向に400μm)。
以上の結果から、本発明に係るレーザーダイシング方法により、クラックの発生を抑制しつつ、損傷形成工程およびエキスパンド工程のみでサファイア基板を分割できることがわかる。なお、サファイア単結晶基板の代わりに、サファイア多結晶基板を用いても同様の結果が得られる。
[実施例3]
実施例3では、本発明に係るレーザーダイシング方法における、浅い加工の損傷の深さとクラック発生率との関係を調べた結果を示す。
加工対象物として、実施例1と同じ正方形状のSiC単結晶基板(縦10mm×横10mm×厚さ150μm)を準備した。本実施例でも、このSiC基板を、縦横それぞれ2mm間隔で直線状に分割して、25個の正方形状のチップを得ることを目的とする。
(加工例5)
実施例1の加工例1(図5参照)と同様の手順で、SiC基板にパルスレーザー光(波長1064nm、パルス幅200ナノ秒、集光点でのスポット径6.2μm)を照射して、SiC基板に表面から内部に向かう損傷を形成した(損傷形成工程)。すなわち、第1分割予定ラインに沿って表3に示される加工条件6(深い加工)でパルスレーザー光を照射した(図5A参照)。次に、第2分割予定ラインに沿って加工条件5(浅い加工)でパルスレーザー光を照射した(図5B参照)。加工条件5では、パルスエネルギーを5段階に変化させることで、形成する損傷の深さを変化させている。次に、第2分割予定ラインに沿って加工条件6(深い加工)で再度パルスレーザー光を照射した(図5C参照)。最後に、SiC基板の裏面に貼付されたダイシングテープを均等に引き伸ばして、SiC基板を分割予定ラインに沿って分割(チップ化)した(エキスパンド工程)。
図13Aは、加工条件5(浅い加工)においてパルスエネルギー5μJのパルスレーザー光を照射したSiC基板(エキスパンド工程後)の写真である。図13Bは、パルスエネルギー10μJのパルスレーザー光を照射したSiC基板(エキスパンド工程後)の写真である。図13Cは、パルスエネルギー100μJのパルスレーザー光を照射したSiC基板(エキスパンド工程後)の写真である。これらの写真に示されるように、いずれの加工例においても、25個の正方形状のチップを得られた(エキスパンド成功率100%)。
また、各加工例で得られた25個のチップについて、クラックの発生の有無を調べた。図14Aは、加工条件5(浅い加工)においてパルスエネルギー5μJのパルスレーザー光を照射したSiC基板の分割予定ラインの交点付近の拡大写真である。図14Bは、パルスエネルギー10μJのパルスレーザー光を照射したSiC基板の分割予定ラインの交点付近の拡大写真である。図14Cは、パルスエネルギー100μJのパルスレーザー光を照射したSiC基板の分割予定ラインの交点付近の拡大写真である。図14B,Cに示されるように、加工条件5(浅い加工)においてパルスエネルギー10〜100μJのパルスレーザー光を照射した場合は、クラックは認められなかった。一方、図14Aに示されるように、加工条件5においてパルスエネルギー5μJのパルスレーザー光を照射した場合は、分割予定ラインの交点付近に少数の小さなクラックが認められた(クラック不良率:8%)。
加工条件5(浅い加工)において照射したパルスレーザー光のパルスエネルギーと、形成された溝のサイズ、エキスパンド成功率およびクラック不良率との関係を表4に示す。
以上の結果から、本発明に係るレーザーダイシング方法では、浅い加工において形成する損傷の深さを、基板の厚みに対して5〜50%の範囲内とすることで、クラックの発生をより確実に抑制できることがわかる。また、浅い加工において、パルスレーザー光のピークパワー密度を1.6×10〜1.6×10W/cmの範囲内とすることで、クラックの発生をより確実に抑制できることもわかる。
[実施例4]
実施例4では、本発明に係るレーザーダイシング方法における、深い加工の損傷の深さとエキスパンド成功率との関係を調べた結果を示す。
加工対象物として、実施例1と同じ正方形状のSiC単結晶基板(縦10mm×横10mm×厚さ150μm)を準備した。本実施例でも、このSiC基板を、縦横それぞれ2mm間隔で直線状に分割して、25個の正方形状のチップを得ることを目的とする。
(加工例6)
実施例1の加工例1(図5参照)と同様の手順で、SiC基板にパルスレーザー光(波長1064nm、パルス幅200ナノ秒、集光点でのスポット径6.2μm)を照射して、SiC基板に表面から内部に向かう損傷を形成した(損傷形成工程)。すなわち、第1分割予定ラインに沿って表5に示される加工条件8(深い加工)でパルスレーザー光を照射した(図5A参照)。加工条件8では、パルスエネルギーを5段階に変化させることで、形成する損傷の深さを変化させている。次に、第2分割予定ラインに沿って加工条件7(浅い加工)でパルスレーザー光を照射した(図5B参照)。次に、第2分割予定ラインに沿って加工条件8(深い加工)で再度パルスレーザー光を照射した(図5C参照)。前述のとおり、加工条件8では、パルスエネルギーを5段階に変化させることで、形成する損傷の深さを変化させている。最後に、SiC基板の裏面に貼付されたダイシングテープを均等に引き伸ばして、SiC基板を分割予定ラインに沿って分割(チップ化)した(エキスパンド工程)。
加工条件8(深い加工)において照射したパルスレーザー光のパルスエネルギーと、形成された溝のサイズ、エキスパンド成功率およびクラック不良率との関係を表6に示す。
以上の結果から、本発明に係るレーザーダイシング方法では、深い加工において形成する損傷の深さを、基板の厚みに対して70%以上とすることで、エキスパンド成功率をより確実に向上させうることがわかる。また、浅い加工において、パルスレーザー光のピークパワー密度を2.0×10W/cm以上とすることで、エキスパンド成功率をより確実に向上させうることもわかる。なお、本実施例では、浅い加工で形成する損傷の深さを10〜60μmの範囲内で変化させても、表6に示される結果は変わらなかった。
本発明に係るレーザーダイシング方法は、クラックの発生を抑制しつつ、ブレーク工程を行わずに結晶基板を分割することができる。たとえば、本発明に係るレーザーダイシング方法を利用すれば、半導体素子の製造工程の簡略化や、半導体素子の製造コストの低減などを実現することができる。
100 レーザー光
110 結晶基板
120 分割予定ライン(第1分割予定ラインまたは第2分割予定ライン)
120a 第1分割予定ライン
120b 第2分割予定ライン
130 損傷
130a 第1分割予定ラインに沿って形成された深い損傷
130b 第2分割予定ラインに沿って形成された浅い損傷
130c 第2分割予定ラインに沿って形成された深い損傷
140 クラック
150 ダイシングテープ
200 レーザー加工装置
210 レーザー光源
220 テレスコープ光学系
230 集光レンズ
240 ステージ
250 AFカメラ
260 XYステージコントローラー
270 Zコントローラー
280 コンピューター

Claims (13)

  1. 互いに交差する第1分割予定ラインおよび第2分割予定ラインに沿って結晶基板にレーザー光を照射して、前記第1分割予定ラインおよび前記第2分割予定ラインに沿って前記結晶基板に表面から内部に伸びる損傷を形成する損傷形成工程と、
    前記レーザー光を照射された前記結晶基板に引張力を加えるエキスパンド工程と、
    を含み、
    前記損傷形成工程は、前記第1分割予定ラインに沿って前記結晶基板にレーザー光を照射して、前記第1分割予定ラインに沿って前記結晶基板に表面から内部に伸びる損傷を形成する第1工程と、前記第1工程の後に前記第2分割予定ラインに沿って前記結晶基板にレーザー光を照射して、前記第2分割予定ラインに沿って前記結晶基板に表面から内部に伸びる損傷を形成する第2工程と、前記第2工程の後に前記第2分割予定ラインに沿って前記結晶基板にレーザー光を再度照射して、前記第2分割予定ラインに沿って前記結晶基板に再度表面から内部に伸びる損傷を形成する第3工程と、を含み、
    前記第2工程で形成する損傷の深さは、前記第1工程および前記第3工程で形成する損傷の深さよりも浅く、
    前記結晶基板は、前記損傷形成工程または前記エキスパンド工程において分割される、
    レーザーダイシング方法。
  2. 前記第2工程で形成する損傷の深さは、前記結晶基板の厚みの5〜50%の範囲内であり、
    前記第1工程および前記第3工程で形成する損傷の深さは、前記結晶基板の厚みの70%以上である、
    請求項1に記載のレーザーダイシング方法。
  3. 前記結晶基板は、前記損傷形成工程において分割される、請求項1または請求項2に記載のレーザーダイシング方法。
  4. 前記結晶基板は、前記エキスパンド工程において分割される、請求項1または請求項2に記載のレーザーダイシング方法。
  5. 前記損傷形成工程と前記エキスパンド工程との間に、前記結晶基板に折曲力を加えて前記結晶基板を分割するブレーク工程を含まない、請求項1〜4のいずれか一項に記載のレーザーダイシング方法。
  6. 互いに交差する第1分割予定ラインおよび第2分割予定ラインに沿って結晶基板にレーザー光を照射して、前記第1分割予定ラインおよび前記第2分割予定ラインに沿って前記結晶基板に表面から内部に伸びる損傷を形成する損傷形成工程と、
    前記レーザー光を照射された前記結晶基板に引張力を加えるエキスパンド工程と、
    を含み、
    前記損傷形成工程は、前記第1分割予定ラインに沿って前記結晶基板にレーザー光を照射して、前記第1分割予定ラインに沿って前記結晶基板に表面から内部に伸びる損傷を形成する第1工程と、前記第1工程の後に前記第2分割予定ラインに沿って前記結晶基板にレーザー光を照射して、前記第2分割予定ラインに沿って前記結晶基板に表面から内部に伸びる損傷を形成する第2工程と、前記第2工程の後に前記第2分割予定ラインに沿って前記結晶基板にレーザー光を再度照射して、前記第2分割予定ラインに沿って前記結晶基板に再度表面から内部に伸びる損傷を形成する第3工程と、を含み、
    前記第2工程において、前記レーザー光の集光点は、前記結晶基板の表面〜前記結晶基板の表面から上方100μmの範囲内に位置し、
    前記第1工程および前記第3工程において、前記レーザー光の集光点は、前記結晶基板の表面よりも下方に位置し、
    前記結晶基板は、前記損傷形成工程または前記エキスパンド工程において分割される、
    レーザーダイシング方法。
  7. 前記レーザー光は、パルスレーザー光であり、
    前記第2工程における前記レーザー光のピークパワー密度は、1.6×10〜1.6×10W/cmの範囲内であり、
    前記第1工程および前記第3工程における前記レーザー光のピークパワー密度は、2.0×10W/cm以上である、
    請求項6に記載のレーザーダイシング方法。
  8. 前記結晶基板は、前記損傷形成工程において分割される、請求項6または請求項7に記載のレーザーダイシング方法。
  9. 前記結晶基板は、前記エキスパンド工程において分割される、請求項6または請求項7に記載のレーザーダイシング方法。
  10. 前記損傷形成工程と前記エキスパンド工程との間に、前記結晶基板に折曲力を加えて前記結晶基板を分割するブレーク工程を含まない、請求項6〜9のいずれか一項に記載のレーザーダイシング方法。
  11. 請求項1〜10のいずれか一項に記載のレーザーダイシング方法を用いて結晶基板を分割してチップを製造する、チップの製造方法。
  12. レーザ光を出射するレーザ光源と、
    前記レーザ光を結晶基板に照射する光学系と、
    前記光学系および前記結晶基板の少なくとも一方を移動させて、前記光学系と前記結晶基板とを相対的に移動させる駆動部と、を有し、
    互いに交差する第1分割予定ラインおよび第2分割予定ラインに沿って前記結晶基板にレーザー光を照射して、前記第1分割予定ラインおよび前記第2分割予定ラインに沿って前記結晶基板に表面から内部に伸びる損傷を形成する、レーザー加工装置であって、
    前記第1分割予定ラインに沿って前記結晶基板にレーザー光を照射して、前記第1分割予定ラインに沿って前記結晶基板に表面から内部に伸びる損傷を形成する第1工程と、前記第1工程の後に前記第2分割予定ラインに沿って前記結晶基板にレーザー光を照射して、前記第2分割予定ラインに沿って前記結晶基板に表面から内部に伸びる損傷を形成する第2工程と、前記第2工程の後に前記第2分割予定ラインに沿って前記結晶基板にレーザー光を再度照射して、前記第2分割予定ラインに沿って前記結晶基板に再度表面から内部に伸びる損傷を形成する第3工程と、を含む損傷形成工程により前記結晶基板に表面から内部に伸びる損傷を形成し、
    前記第2工程で形成する損傷の深さは、前記第1工程および前記第3工程で形成する損傷の深さよりも浅い、
    レーザー加工装置。
  13. レーザ光を出射するレーザ光源と、
    前記レーザ光を結晶基板に照射する光学系と、
    前記光学系および前記結晶基板の少なくとも一方を移動させて、前記光学系と前記結晶基板とを相対的に移動させる駆動部と、を有し、
    互いに交差する第1分割予定ラインおよび第2分割予定ラインに沿って前記結晶基板にレーザー光を照射して、前記第1分割予定ラインおよび前記第2分割予定ラインに沿って前記結晶基板に表面から内部に伸びる損傷を形成する、レーザー加工装置であって、
    前記第1分割予定ラインに沿って前記結晶基板にレーザー光を照射して、前記第1分割予定ラインに沿って前記結晶基板に表面から内部に伸びる損傷を形成する第1工程と、前記第1工程の後に前記第2分割予定ラインに沿って前記結晶基板にレーザー光を照射して、前記第2分割予定ラインに沿って前記結晶基板に表面から内部に伸びる損傷を形成する第2工程と、前記第2工程の後に前記第2分割予定ラインに沿って前記結晶基板にレーザー光を再度照射して、前記第2分割予定ラインに沿って前記結晶基板に再度表面から内部に伸びる損傷を形成する第3工程と、を含む損傷形成工程により前記結晶基板に表面から内部に伸びる損傷を形成し、
    前記第2工程において、前記レーザー光の集光点は、前記結晶基板の表面〜前記結晶基板の表面から上方100μmの範囲内に位置し、
    前記第1工程および前記第3工程において、前記レーザー光の集光点は、前記結晶基板の表面よりも下方に位置する、
    レーザー加工装置。
JP2012275712A 2012-12-18 2012-12-18 レーザーダイシング方法、チップの製造方法およびレーザー加工装置 Active JP5598801B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012275712A JP5598801B2 (ja) 2012-12-18 2012-12-18 レーザーダイシング方法、チップの製造方法およびレーザー加工装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2012275712A JP5598801B2 (ja) 2012-12-18 2012-12-18 レーザーダイシング方法、チップの製造方法およびレーザー加工装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2014120659A JP2014120659A (ja) 2014-06-30
JP5598801B2 true JP5598801B2 (ja) 2014-10-01

Family

ID=51175244

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2012275712A Active JP5598801B2 (ja) 2012-12-18 2012-12-18 レーザーダイシング方法、チップの製造方法およびレーザー加工装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5598801B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20170128104A (ko) * 2016-05-13 2017-11-22 가부시기가이샤 디스코 웨이퍼의 가공 방법
KR20180018329A (ko) * 2016-08-09 2018-02-21 가부시기가이샤 디스코 웨이퍼 가공 방법
KR20180032179A (ko) * 2016-09-21 2018-03-29 가부시기가이샤 디스코 웨이퍼의 가공 방법
KR20180032184A (ko) * 2016-09-21 2018-03-29 가부시기가이샤 디스코 웨이퍼의 가공 방법

Family Cites Families (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4909657B2 (ja) * 2006-06-30 2012-04-04 株式会社ディスコ サファイア基板の加工方法
ES2428826T3 (es) * 2006-07-03 2013-11-11 Hamamatsu Photonics K.K. Procedimiento de procesamiento por láser y chip
JP5625520B2 (ja) * 2010-06-16 2014-11-19 豊田合成株式会社 レーザ加工方法
JP5625521B2 (ja) * 2010-06-16 2014-11-19 豊田合成株式会社 レーザ加工方法
JP5625522B2 (ja) * 2010-06-16 2014-11-19 豊田合成株式会社 レーザ加工方法

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20170128104A (ko) * 2016-05-13 2017-11-22 가부시기가이샤 디스코 웨이퍼의 가공 방법
KR102226645B1 (ko) 2016-05-13 2021-03-10 가부시기가이샤 디스코 웨이퍼의 가공 방법
KR20180018329A (ko) * 2016-08-09 2018-02-21 가부시기가이샤 디스코 웨이퍼 가공 방법
KR102272439B1 (ko) 2016-08-09 2021-07-01 가부시기가이샤 디스코 웨이퍼 가공 방법
KR20180032179A (ko) * 2016-09-21 2018-03-29 가부시기가이샤 디스코 웨이퍼의 가공 방법
KR20180032184A (ko) * 2016-09-21 2018-03-29 가부시기가이샤 디스코 웨이퍼의 가공 방법
KR102294249B1 (ko) 2016-09-21 2021-08-25 가부시기가이샤 디스코 웨이퍼의 가공 방법
KR102294251B1 (ko) 2016-09-21 2021-08-25 가부시기가이샤 디스코 웨이퍼의 가공 방법

Also Published As

Publication number Publication date
JP2014120659A (ja) 2014-06-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR102409602B1 (ko) 웨이퍼의 생성 방법
JP6604891B2 (ja) ウエーハの生成方法
JP5162163B2 (ja) ウェーハのレーザ加工方法
KR102432507B1 (ko) 웨이퍼의 생성 방법
TWI685889B (zh) 晶圓的生成方法
JP6399913B2 (ja) ウエーハの生成方法
JP6358941B2 (ja) ウエーハの生成方法
JP5449665B2 (ja) レーザ加工方法
JP5639997B2 (ja) レーザ加工装置
KR102341597B1 (ko) 웨이퍼의 생성 방법
KR102341594B1 (ko) 웨이퍼의 생성 방법
TW201635364A (zh) 晶圓的生成方法
TW201639017A (zh) 晶圓的生成方法
TW201639016A (zh) 晶圓的生成方法
TW201639018A (zh) 晶圓的生成方法
JP6355540B2 (ja) ウエーハの生成方法
JP6366485B2 (ja) ウエーハの生成方法
JP2007021548A (ja) レーザ加工装置およびレーザ加工方法
TW201707822A (zh) 晶圓的生成方法
JP2010003817A (ja) レーザーダイシング方法及びレーザーダイシング装置
JP5598801B2 (ja) レーザーダイシング方法、チップの製造方法およびレーザー加工装置
JP5361916B2 (ja) レーザスクライブ方法
JP2010129987A (ja) ウエーハ加工方法、レーザ加工装置およびレーザ加工用プログラム
JP5625184B2 (ja) チップの製造方法
JP2005288501A (ja) レーザ加工方法および装置

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20140408

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140528

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20140715

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140801

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5598801

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250