JP5598448B2 - 耐擦傷性シリコーンコーティング組成物並びに被覆物品及びその製造方法 - Google Patents

耐擦傷性シリコーンコーティング組成物並びに被覆物品及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、耐擦傷性シリコーンコーティング組成物及びそれを用いたハードコート被覆物品に関する。特に、ポリカーボネート等の有機樹脂基材の表面に下塗りなしで塗布し、加熱硬化することにより、干渉縞が目立たず、塗膜異物の発生もなく、透明性及び耐擦傷性を有すると共に、長期密着性に優れた塗膜を形成し得る耐擦傷性シリコーンコーティング組成物、更にはそれに加えて印刷インクに対する濡れ性及び付着性が良好で、印刷可能な耐擦傷性シリコーンコーティング組成物、その被覆物品及びその製造方法に関する。
従来、ハードコート部材は、各種画像表示装置、例えばLCD(液晶表示体)、タッチパネル、CRT(ブラウン管)、PDP(プラズマディスプレイパネル)、EL(エレクトロルミネッセンス)などにおいて、表面保護を始め、防眩性や反射防止などの目的で用いられている。また、LCDにおいては、偏光子を保護するために用いられている。
ハードコート組成物としては、例えばアクリル系バインダー中にシリカ微粒子等を分散させたもの、又はゾル−ゲル法を用いて、アルコキシシラン加水分解物とシリカ微粒子とから作製されたものが、一般的によく知られている。これらのハードコート組成物から得られる塗膜は、基材との屈折率差や塗膜ムラに起因した干渉縞の発生や微粒子の凝集に伴う塗膜中の異物の発生といった問題点があった。
ポリカーボネート基材の屈折率は、1.58と通常の樹脂の屈折率に比較して高く、これに対して、ハードコート塗膜の屈折率は、例えば、ポリオルガノシロキサン系の加熱硬化型ハードコート塗膜では、その屈折率は、1.45、放射線硬化型アクリル系ハードコートでは1.49と低く、両者の屈折率には、0.09〜0.13もの差があるため、蛍光灯の下などでこのハードコート被覆基材を見ると、虹のような干渉縞が発生し、ディスプレイ等の光学物品の視認性を悪くするという不都合があった。
このうち干渉縞対策としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、アンチモン酸亜鉛といった金属酸化物微粒子を添加する方法がよく知られている(例えば、特許文献1:特許第3383039号公報)。しかし、微粒子の分散状態が悪いとコーティング組成物中で凝集物が発生したり、塗膜としたときの均一性の低下や異物の発生といった問題を抱えている。特に透明なハードコート部材の場合、凝集物が多いと透明性が低下する欠点がある。また、添加する微粒子の粒子径が小さければ小さいほど透明性が良好になるが、一般的に粒径の小さな微粒子ほど分散性が悪く、かつコストが高くなる。また、微粒子を分散させる方法として、数mmから数十μmのジルコニアボールを用いたボールミルやビーズミルと呼ばれる装置が知られているが、これらを導入するためのコストも必要となる。更に、アンチモン酸亜鉛などは青緑色であるため、塗膜が着色する問題がある。
このほか、金属化合物の添加(特許文献2:特開2010−111787号公報)や金属アルコキシドをバインダーに導入する方法(特許文献3:特開平7−304873号公報)なども開示されているが、樹脂基材への密着性など、なお課題が多い。
一方、下塗り不要で有機基材に密着する耐擦傷性シリコーンコーティング剤として、特公昭63−35675号公報(特許文献4)、特開平11−293197号公報(特許文献5)等のように、基材侵食性の極性溶剤、例えば、酢酸エチル、2−ブタノンや、ベンジルアルコールを使用する方法が提案されている。
また、同じように基材を侵す目的で、(メタ)アクリル酸、又はその水酸基含有エステル類を添加する方法(特許文献6:米国特許第4486504号明細書、特許文献7:米国特許第5411807号明細書)も開示されている。
以上のような基材侵食性の溶剤や化合物を添加しただけでは、初期の密着性は十分なものの、長期もしくは耐水での密着性ではいまだに不十分である。また、これら方法では、密着性を向上させる目的で、基材侵食性の化合物を過剰に添加した場合、基材の白化が生じることもあった。
下塗り不要で有機基材に密着する耐擦傷性シリコーンコーティング剤として、密着向上成分を導入する方法も行われてきた。例えば、密着向上成分として、フェニルトリヒドロキシシランをバインダーへ組み込む例(特許文献8:特開昭60−79071号公報)、及び(メタ)アクリル化ポリウレタン、反応性基含有アクリル共重合体、カプロラクトン系ポリエステルポリオールを使用する例(特許文献9:特開2001−247769号公報、特許文献10:米国特許第5503935号明細書、特許文献11:米国特許第5349002号明細書)が開示されている。しかしながら、これらの密着向上成分を使用しても、樹脂基材への密着性、特に長期密着性は未だ不十分であった。
また、近年、耐擦傷性コーティング塗膜の上に、遮光、減光、調光、装飾を目的に印刷を施すことが多くなってきた(特許文献12:特開2003−311908号公報)。しかしながら、耐擦傷性ハードコーティング塗膜は、非常に硬く、かつ化学的に安定であるため、印刷などの後加工は、困難であった。なかでもシリコーン系耐擦傷性コーティング塗膜は撥水性を示すため、印刷インクの濡れ性が低下し、インクをはじくなどの不都合があった。またシリコーン系コーティング塗膜は化学的に安定な構造のため、インクの溶剤によるエッチング作用は殆ど起こらないので、インクの付着性は非常に悪いものとなる。このような問題から、耐候性コーティング塗膜、特にシリコーン系耐擦傷性コーティング塗膜上に実用性のある印刷を施すことはできなかった。
以上のように、耐擦傷性シリコーンコーティング剤の干渉縞の低減、有機樹脂基材への密着性の改善、及び耐擦傷性シリコーンコーティング塗膜への印刷について様々な試みがなされてきたが、未だ十分満足するものは得られておらず、干渉縞が目立たず、塗膜異物の発生もなく、透明性を維持しながら耐擦傷性を発現し、更に長期の基材密着性及び印刷による加飾性を備えたコーティング組成物が強く求められている。
特許第3383039号公報 特開2010−111787号公報 特開平7−304873号公報 特公昭63−35675号公報 特開平11−293197号公報 米国特許第4486504号明細書 米国特許第5411807号明細書 特開昭60−79071号公報 特開2001−247769号公報 米国特許第5503935号明細書 米国特許第5349002号明細書 特開2003−311908号公報
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、有機樹脂基材に対し、下塗りを介さず直接塗工することができ、干渉縞が目立たず、塗膜異物の発生もなく、透明性を維持しながら耐擦傷性を発現し、更に長期の密着性を兼ね備えたシリコーンコーティング組成物、これに加えて印刷による加飾性を与えることができるシリコーンコーティング組成物、これら組成物を被覆した被覆物品及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、耐擦傷性シリコーンコーティング組成物において、塗膜屈折率を高くすることで塗膜の干渉縞を低減するために、メルカプト基含有アルコキシシランをバインダーとして用いること、基材への密着性向上のために、密着向上剤として、ポリカーボネート系及び/又はポリエステル系のウレタン変性ビニル系重合体をコーティング組成物に配合すること、及びコーティング塗膜に対する印刷インクの濡れ性及び付着性向上のために、ポリ酢酸ビニル及びポリビニルアルコールから選択される少なくとも1種を添加することで、これらの問題を解決できることを見出し、本発明をなすに至った。
即ち、本発明は、下記の耐擦傷性シリコーンコーティング組成物、被覆物品及びその製造方法を提供する。
〔1〕 (A)下記一般式(1):
(R3O)3-a1 aSiR2SH (1)
(式中、R1及びR3は、各々独立に、炭素数1〜3のアルキル基であり、R2は、炭素数1〜6のアルキレン基であり、aは0又は1である。)
で表されるメルカプト基含有アルコキシシラン及びその部分加水分解縮合物から選ばれる少なくとも1種20〜99質量%と、下記一般式(2):
4 b5 cSi(OR64-b-c (2)
(式中、R4及びR5は、各々独立に、水素原子又はメルカプト基を含有しない非置換もしくは置換の一価の飽和炭化水素基で、置換基同士が相互に結合していてもよく、R6は、炭素数1〜3のアルキル基であり、b及びcは、各々独立に、0又は1であり、かつb+cは0、1又は2である。)
で表されるアルコキシシラン及びその部分加水分解縮合物から選ばれる少なくとも1種1〜80質量%とを共加水分解・縮合することにより得られた共加水分解縮合物、
(B)ポリカーボネート系及び/又はポリエステル系のウレタン変性ビニル系重合体、
(D)硬化触媒、
(E)溶剤
を含有し、(B)ウレタン変性ビニル系重合体の固形分量が、(A)共加水分解縮合物の固形分総量に対して、1〜30質量%であることを特徴とする耐擦傷性シリコーンコーティング組成物。
〔2〕 (A)下記一般式(1):
(R3O)3-a1 aSiR2SH (1)
(式中、R1及びR3は、各々独立に、炭素数1〜3のアルキル基であり、R2は、炭素数1〜6のアルキレン基であり、aは0又は1である。)
で表されるメルカプト基含有アルコキシシラン及びその部分加水分解縮合物から選ばれる少なくとも1種20〜99質量%と、下記一般式(2):
4 b5 cSi(OR64-b-c (2)
(式中、R4及びR5は、各々独立に、水素原子又はメルカプト基を含有しない非置換もしくは置換の一価の飽和炭化水素基で、置換基同士が相互に結合していてもよく、R6は、炭素数1〜3のアルキル基であり、b及びcは、各々独立に、0又は1であり、かつb+cは0、1又は2である。)
で表されるアルコキシシラン及びその部分加水分解縮合物から選ばれる少なくとも1種1〜80質量%とを共加水分解・縮合することにより得られた共加水分解縮合物、
(B)ポリカーボネート系及び/又はポリエステル系のウレタン変性ビニル系重合体、
(C)ポリ酢酸ビニル及びポリビニルアルコールから選択される少なくとも1種、
(D)硬化触媒、
(E)溶剤
を含有し、(B)ウレタン変性ビニル系重合体の固形分量が、(A)共加水分解縮合物の固形分総量に対して、1〜30質量%であり、(C)ポリ酢酸ビニル及びポリビニルアルコールから選択される少なくとも1種の固形分量が、(A)共加水分解縮合物の固形分総量に対して、1〜30質量%であることを特徴とする耐擦傷性シリコーンコーティング組成物。
〔3〕 (A)成分が、一般式(1)及び(2)で表されるアルコキシシラン及びそれらの部分加水分解縮合物の合計100質量部に対して50質量部以上150質量部未満のpH1〜7の水にて共加水分解縮合し、生成するアルコールを液温80℃以上にて留去することにより得られ、かつGPC分析によるポリスチレン換算重量平均分子量が1,500以上であることを特徴とする〔1〕又は〔2〕記載の耐擦傷性シリコーンコーティング組成物。
〔4〕 (A)成分が、上記一般式(1)及び(2)と、更に下記一般式(3):
(R7O)3-d8 dSiR9SiR8 d(OR73-d (3)
(式中、R7及びR8は、各々独立に、炭素数1〜3のアルキル基であり、R9は、炭素数1〜6の非置換又は置換の二価の飽和炭化水素基であり、該飽和炭化水素基の1つ以上の炭素原子が酸素原子又は硫黄原子で置換されていてもよく、dは、各々独立に、0又は1である。)
で表されるアルコキシシラン及びその部分加水分解縮合物から選ばれる少なくとも1種とを共加水分解・縮合することにより得られた共加水分解縮合物であることを特徴とする〔1〕又は〔2〕記載の耐擦傷性シリコーンコーティング組成物。
〔5〕 (A)成分が、一般式(1)、(2)及び(3)で表されるアルコキシシラン及びそれらの部分加水分解縮合物の合計100質量部に対して50質量部以上150質量部未満のpH1〜7の水にて共加水分解縮合し、生成するアルコールを液温80℃以上にて留去することにより得られ、かつGPC分析によるポリスチレン換算重量平均分子量が1,500以上であることを特徴とする〔4〕記載の耐擦傷性シリコーンコーティング組成物。
〔6〕 (B)成分が、ポリカーボネート系のウレタン変性ビニル系重合体であることを特徴とする〔1〕〜〔5〕のいずれかに記載の耐擦傷性シリコーンコーティング組成物。
〔7〕 (B)成分のポリスチレンを基準とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)分析による重量平均分子量が5,000〜50,000であることを特徴とする〔1〕〜〔6〕のいずれかに記載の耐擦傷性シリコーンコーティング組成物。
〔8〕 (B)成分の水酸基価が10以上であることを特徴とする〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の耐擦傷性シリコーンコーティング組成物。
〔9〕 (C)成分が、ポリ酢酸ビニルであることを特徴とする〔2〕〜〔8〕のいずれかに記載の耐擦傷性シリコーンコーティング組成物。
〔10〕 (C)成分のポリスチレンを基準とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)分析による重量平均分子量が5,000〜100,000であることを特徴とする〔2〕〜〔9〕のいずれかに記載の耐擦傷性シリコーンコーティング組成物。
〔11〕 更に、(F)金属酸化物微粒子を含むことを特徴とする〔1〕〜〔10〕のいずれかに記載の耐擦傷性シリコーンコーティング組成物。
〔12〕 更に、(G)ブロック化された脂肪族ポリイソシアネートを含むことを特徴とする〔1〕〜〔11〕のいずれかに記載の耐擦傷性シリコーンコーティング組成物。
〔13〕 有機樹脂基材の少なくとも一方の面に、直接、〔1〕〜〔12〕のいずれかに記載の耐擦傷性シリコーンコーティング組成物の硬化被膜を被覆してなる被覆物品。
〔14〕 有機樹脂基材の少なくとも一方の面に、直接、〔2〕〜〔12〕のいずれかに記載の耐擦傷性シリコーンコーティング組成物の硬化被膜を被覆してなり、該硬化被膜の表面に印刷による加飾が施されていることを特徴とする被覆物品。
〔15〕 有機樹脂基材がポリカーボネートである〔13〕又は〔14〕記載の被覆物品。
〔16〕 有機樹脂基材上に下塗りなしに直接〔1〕〜〔12〕のいずれかに記載の耐擦傷性シリコーンコーティング組成物を塗工し、硬化することを特徴とする被覆物品の製造方法。
本発明によれば、有機樹脂基材へ下塗り(プライマー)なしで被覆した硬化塗膜が、干渉縞が目立たず、塗膜異物の発生もなく、可視光の透明性を維持しながら耐擦傷性を発現し、更にこれまで実現し得なかった長期の密着性を兼ね備えたものとなるシリコーンコーティング組成物、更にこれに加えて印刷による加飾性を有するシリコーンコーティング組成物、それらを用いた被覆物品を提供することができる。
以下に本発明の耐擦傷性シリコーンコーティング組成物を詳細に説明する。
(A)成分
本発明に用いられる(A)成分は、ハードコート塗膜におけるバインダー成分としての機能を有する。
(A)成分は、下記一般式(1):
(R3O)3-a1 aSiR2SH (1)
(式中、R1及びR3は、各々独立に、炭素数1〜3のアルキル基であり、R2は、炭素数1〜6のアルキレン基であり、aは0又は1である。)
で表されるメルカプト基含有アルコキシシラン及びその部分加水分解縮合物から選ばれる少なくとも1種と、下記一般式(2):
4 b5 cSi(OR64-b-c (2)
(式中、R4及びR5は、各々独立に、水素原子又はメルカプト基を含有しない非置換もしくは置換の一価の飽和炭化水素基であり、置換基同士が相互に結合していてもよく、R6は炭素数1〜3のアルキル基であり、b及びcは、各々独立に、0又は1であり、かつb+cは0,1又は2である。)
で表されるアルコキシシラン及びその部分加水分解縮合物から選ばれる少なくとも1種
を共加水分解・縮合することにより得られた加水分解縮合物である。
上記式(1)中、R1及びR3は、炭素数1〜3のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基を例示することができる。これらの中でも、加水分解縮合の反応性が高いこと、及び生成するアルコールR3OHの蒸気圧が高く、留去のし易さなどを考慮すると、メチル基、エチル基が好ましい。
2は、炭素数1〜6、特に1〜3のアルキレン基であり、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、へキシレン基を挙げることができる。中でも、入手のし易さから、メチレン基、プロピレン基が好ましい。
式(1)で示される化合物は、a=0の場合、一般式:(R3O)3SiR2SHで表されるメルカプト基含有のトリアルコキシシラン又はその部分加水分解縮合物である。具体的には、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン、α−メルカプトメチルトリメトキシシラン、α−メルカプトメチルトリエトキシシラン、これらの部分加水分解縮合物等を挙げることができる。これらは1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
a=1の場合、一般式:(R3O)21SiR2SHで表されるメルカプト基含有のアルキルジアルコキシシラン又はその部分加水分解縮合物である。具体的には、γ−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルメチルジエトキシシラン、α−メルカプトメチルメチルジメトキシシラン、これらの部分加水分解縮合物等を挙げることができる。これらは1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
一方、上記式(2)中、R4及びR5は、水素原子又はメルカプト基を含有しない非置換もしくは置換の好ましくは炭素数1〜12、特に1〜8の一価の飽和炭化水素基であり、置換基同士が相互に結合していてもよく、例えば、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;クロロメチル基、γ−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基、パーフルオロオクチルエチル基等のハロゲン置換炭化水素基;γ−グリシドキシプロピル基、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル基、γ−(メタ)アクリロキシ基、γ−アミノプロピル基、2−アミノエチルアミノプロピル基、γ−イソシアネートプロピル基等のエポキシ、(メタ)アクリロキシ、アミノ、イソシアネート基等の官能基置換飽和炭化水素基等を例示することができる。また、複数のイソシアネート基置換炭化水素基同士が結合することによって形成されるイソシアヌレート基も例示することができる。これらの中でも、特に耐擦傷性や耐久性が要求される用途に使用する場合にはアルキル基が好ましく、靭性や染色性が要求される場合にはエポキシあるいは(メタ)アクリロキシ置換炭化水素基が好ましい。なお、R4及び/又はR5としてフェニル基を用いると、得られるシリコーンコーティング組成物の硬化塗膜に異物が発生し易くなり好ましくない。
6は、炭素数1〜3のアルキル基であり、具体例としては、前記R1及びR3と同じである。
上記式(2)の例としては、b=0及びc=0の場合、一般式:Si(OR64で表されるテトラアルコキシシラン又はその部分加水分解縮合物である。このようなテトラアルコキシシラン又はその部分加水分解縮合物の具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラメトキシシランの部分加水分解縮合物(商品名「Mシリケート51」多摩化学工業(株)製、商品名「MSI51」コルコート(株)製、商品名「MS51」、「MS56」三菱化学(株)製)、テトラエトキシシランの部分加水分解縮合物(商品名「シリケート35」、「シリケート45」、多摩化学工業(株)製、商品名「ESI40」、「ESI48」、コルコート(株)製)、テトラメトキシシランとテトラエトキシシランとの共部分加水分解縮合物(商品名「FR−3」多摩化学工業(株)製、商品名「EMSi48」コルコート(株)製)等を挙げることができる。これらは1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
また、b=1及びc=0あるいはb=0及びc=1の場合、一般式:R4Si(OR63あるいはR5Si(OR63で表されるトリアルコキシシラン又はその部分加水分解縮合物である。このようなトリアルコキシシラン又はその部分加水分解縮合物の具体例としては、ハイドロジェントリメトキシシラン、ハイドロジェントリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリイソプロポキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリイソプロポキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、パーフルオロオクチルエチルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシランの部分加水分解縮合物(商品名「KC−89S」、「X−40−9220」、信越化学工業(株)製)、メチルトリメトキシシランとγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランの部分加水分解縮合物(商品名「X−41−1056」、信越化学工業(株)製)等を挙げることができる。これらは1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
b=1及びc=1の場合、一般式:R45Si(OR62で表されるジアルコキシシラン又はその部分加水分解縮合物である。このようなジアルコキシシラン又はその部分加水分解縮合物の具体例としては、メチルハイドロジェンジメトキシシラン、メチルハイドロジェンジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルエチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジエチルジエトキシシラン、メチルプロピルジメトキシシラン、メチルプロピルジエトキシシラン、ジイソプロピルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等を挙げることができる。これらは1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
上記一般式(1)、(2)の他に、更に下記一般式(3):
(R7O)3-d8 dSiR9SiR8 d(OR73-d (3)
(式中、R7及びR8は、各々独立に、炭素数1〜3のアルキル基であり、R9は、炭素数1〜6の非置換又は置換の二価の飽和炭化水素基であり、該飽和炭化水素基の1つ以上の炭素原子が酸素原子又は硫黄原子で置換されていてもよく、dは、各々独立に、0又は1である。)
で表されるアルコキシシラン及びその部分加水分解縮合物から選ばれる少なくとも1種とを共加水分解・縮合してもよい。
上記式(3)中、R9は、炭素数1〜10、特に1〜6の非置換又は置換の二価の飽和炭化水素基であり、飽和炭化水素基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子等のハロゲン原子で置換されていてもよく、また、上記飽和炭化水素基の1つ以上の炭素原子が酸素原子又は硫黄原子で置換されていてもよく、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、へキシレン基等のアルキレン基;3,3,4,4,5,5,6,6−オクタフルオロオクチレン基等のフッ素置換アルキレン基;ジエチレンオキシド基、トリエチレンオキシド基、ジプロピレンオキシド基、トリプロピレンオキシド基等のアルキレンオキシド基;4−チアへプチレン基、4,5−ジチアオクチレン基、4,5,6,7−テトラチアデカチレン基等の(ポリ)チアアルキレン基を挙げることができる。中でも、入手のし易さ及び得られるシリコーンコーティング組成物の干渉縞の目立ち難さから、エチレン基、へキシレン基、4−チアへプチレン基、4,5−ジチアオクチレン基、4,5,6,7−テトラチアデカチレン基が好ましい。
7及びR8は、独立に、炭素数1〜3のアルキル基であり、前記R1及びR3と同じである。
式(3)で示される化合物は、d=0の場合、一般式:(R7O)3SiR9Si(OR73で表されるビス(トリアルコキシシラン)又はその部分加水分解縮合物である。このようなビス(トリアルコキシシラン)又はその部分加水分解縮合物の具体例としては、1,2−ビス(トリメトキシシリル)エタン、1,6−ビス(トリメトキシシリル)へキサン、1,2−ビス(トリエトキシシリル)エタン、1,6−ビス(トリエトキシシリル)へキサン、1,8−ビス(トリメトキシシリル)−3,3,4,4,5,5,6,6−オクタフルオロオクタン、1,7−ビス(トリエトキシシリル)−4−チアへプタン、1,8−ビス(トリエトキシシリル)−4,5−ジチアオクタン、1,10−ビス(トリエトキシシリル)−4,5,6,7−テトラチアデカン、これらの部分加水分解縮合物を挙げることができる。これらは1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
また、d=1の場合、一般式:(R7O)28SiR9SiR8(OR72で表されるビス(ジアルコキシアルキルシラン)又はその部分加水分解縮合物である。このようなビス(ジアルコキシアルキルシラン)又はその部分加水分解縮合物の具体例としては、1,2−ビス(ジメトキシメチルシリル)エタン、1,6−ビス(ジメトキシメチルシリル)へキサン、1,2−ビス(ジエトキシエチルシリル)エタン、1,6−ビス(ジエトキシエチルシリル)へキサン、1,8−ビス(ジメトキシメチルシリル)−3,3,4,4,5,5,6,6−オクタフルオロオクタン、1,7−ビス(ジエトキシメチルシリル)−4−チアへプタン、1,8−ビス(ジエトキシメチルシリル)−4,5−ジチアオクタン、1,10−ビス(ジエトキシメチルシリル)−4,5,6,7−テトラチアデカン、これらの部分加水分解縮合物を挙げることができる。これらは1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
式(3)においてdがそれぞれ独立して0及び1であり、式(3)の化合物が(R7O)3SiR9SiR8(OR72の場合、具体的には、1−(トリメトキシシリル)−2−(ジメトキシメチルシリル)エタン、1−(トリメトキシシリル)−6−(ジメトキシメチルシリル)へキサン、1−(トリメトキシシリル)−2−(ジエトキシメチルシリル)エタン、1−(トリメトキシシリル)−8−(ジメトキシメチルシリル)−3,3,4,4,5,5,6,6−オクタフルオロオクタン、1−(トリエトキシシリル)−7−(ジエトキシメチルシリル)−4−チアへプタン、1−(トリエトキシシリル)−8−(ジエトキシメチルシリル)−4,5−ジチアオクタン、1−(トリエトキシシリル)−10−(ジエトキシメチルシリル)−4,5,6,7−テトラチアデカン等が挙げられる。これらは1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
(A)成分の加水分解縮合物は、前記一般式(1)及び(2)、又は一般式(1)、(2)及び(3)の各化合物を任意の割合で使用して調製すればよいが、塗膜の干渉縞を低減し、耐擦傷性、耐クラック性を向上させるには、式(1)及び(2)の化合物、又は式(1)、(2)の化合物及び(3)の化合物の合計量に対して、式(1)の化合物を20〜99質量%、式(2)の化合物を1〜80質量%、式(3)の化合物を0〜20質量%の割合で使用することが好ましく、更に好ましくは式(1)の化合物を30〜90質量%、式(2)の化合物を10〜70質量%、式(3)の化合物を0〜10質量%の割合で使用することが好ましい。この際、式(1)の化合物が20質量%未満では、塗膜の屈折率が高くならず、塗膜干渉縞が目立ちやすくなる場合がある。一方、式(3)の化合物が20質量%より過剰に用いられると、樹脂の架橋密度が高くなりすぎ、靭性が低下してクラックを回避しにくくなる場合がある。
なお、式(3)の化合物を配合する場合、1質量%以上とすることが好ましく、この場合、式(1)の化合物は20〜98質量%、式(2)の化合物は1〜79質量%、式(3)の化合物は1〜20質量%とすることが好ましい。
(A)成分の加水分解縮合物を製造するに際しては、一般式(1)及び(2)、又は一般式(1)、(2)及び(3)の化合物を公知の方法で共加水分解・縮合させればよい。例えば、式(1)及び(2)のアルコキシシラン又はそれらの部分加水分解縮合物の混合物を、pHが1〜7、好ましくは2〜7の水で共加水分解させる。この際、水中にシリカゾル等の金属酸化物微粒子が分散されたものを使用してもよい。このpH領域に調整するため及び加水分解を促進するために、フッ化水素、塩酸、硝酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、クエン酸、マレイン酸、安息香酸、マロン酸、グルタール酸、グリコール酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸等の有機酸もしくは無機酸、又は表面にカルボン酸基やスルホン酸基を有する陽イオン交換樹脂等の固体酸触媒、あるいは後述する酸性の水分散コロイダルシリカ等の水分散金属酸化物微粒子を触媒に用いてもよい。また、加水分解時に、後述するコロイダルシリカ等の金属酸化物微粒子を水又は有機溶剤中に分散させたものを共存させてもよい。
この加水分解において、水の使用量は、一般式(1)及び(2)、又は一般式(1)、(2)及び(3)のアルコキシシラン及び/又はその部分加水分解縮合物の合計100質量部に対して水20〜3,000質量部の範囲であればよいが、過剰の水の使用は、装置効率の低下ばかりでなく、最終的な組成物とした場合、残存する水の影響による塗工性、乾燥性の低下をも引き起こすおそれがある。更に、保存安定性、耐擦傷性、耐クラック性を向上させるためには、50質量部以上150質量部未満、特に50質量部以上100質量部未満とすることが好ましい。水が少なすぎると、得られる加水分解縮合物のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)分析によるポリスチレン換算重量平均分子量が後述する最適領域にまで大きくならないことがある。
加水分解は、アルコキシシラン又はその部分加水分解縮合物中に水を滴下又は投入したり、逆に水中にアルコキシシラン又はその部分加水分解縮合物を滴下又は投入したりしてもよい。この場合、有機溶剤を含有してもよいが、有機溶剤を含有しない方が好ましい。これは有機溶剤を含有するほど、得られる加水分解縮合物のGPC分析によるポリスチレン換算重量平均分子量が小さくなる傾向があるためである。
(A)成分の加水分解縮合物を得るには、前記の加水分解に続いて、縮合させることが必要である。縮合は、加水分解に続いて連続的に行えばよく、通常、液温が常温(20℃)以上100℃以下で、30分〜8時間行われる。100℃より高い温度ではゲル化する場合がある。更に80℃以上、常圧又は減圧(5〜100kPa)下にて、加水分解で生成したアルコールを留去することにより、縮合を促進させることができる。更に、縮合を促進させる目的で、塩基性化合物、酸性化合物、金属キレート化合物等の縮合触媒を添加してもよい。
縮合工程の前又は最中に、縮合の進行度及び濃度を調整する目的で有機溶剤を添加してもよく、また後述するコロイダルシリカ等の金属酸化物微粒子を水又は有機溶剤中に分散させたものを添加してもよい。一般的に、加水分解縮合物は縮合が進行すると共に高分子量化し、水や生成アルコールへの溶解性が低下していくため、添加する有機溶剤としては、加水分解縮合物をよく溶解し、沸点が80℃以上の比較的極性の高い有機溶剤が好ましい。このような有機溶剤の具体例としては、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、ジアセトンアルコール等のアルコール類;メチルプロピルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール等のケトン類;ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、アニソール、ジオキサン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエーテル類;酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸シクロヘキシル等のエステル類などを挙げることができる。
この縮合により得られた加水分解縮合物のGPC分析(溶媒ジメチルホルムアミド)によるポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)は1,500以上であることが好ましく、1,500〜50,000であることがより好ましく、2,000〜20,000であることが更に好ましい。分子量がこの範囲より低いと、塗膜の靱性が低く、クラックが発生しやすくなる傾向があり、一方、分子量が高すぎると、硬度が低くなる傾向があり、また塗膜中の樹脂が相分離するために塗膜白化を引き起こす場合がある。また、分散度(Mw/Mn)は、1.0〜5.0が好ましく、より好ましくは1.05〜3.5である。
(B)成分
本発明で用いられる(B)成分は、密着向上剤として作用するもので、ポリカーボネート系及び/又はポリエステル系のウレタン変性ビニル系重合体である。(B)成分は、硬化被膜中で(A)成分のシリコーンバインダーと層分離し、被膜の厚さ方向で濃度勾配することで、耐擦傷性能を低下することなく、有機樹脂基材への親和性が増し、密着性が発現するものと考えられる。(B)成分のポリカーボネート系及び/又はポリエステル系のウレタン変性ビニル系重合体は、ビニル系重合体にポリカーボネート系及び/又はポリエステル系のポリウレタンをグラフトさせたものであり、具体的には、脂肪族ポリカーボネートジオール及び/又は脂肪族ポリエステルジオールと芳香族ジイソシアネートとの反応から得られるポリカーボネート系及び/又はポリエステル系ポリウレタンを側鎖に有するビニル系重合体が好ましい。より好ましくは、脂肪族ポリカーボネートジオールと芳香族ジイソシアネートとの反応から得られるポリカーボネート系ウレタンを側鎖に有するビニル系重合体である。
具体的に脂肪族ポリカーボネートジオールとしては、1,4−テトラメチレン型、1,5−ペンタメチレン型、1,6−ヘキサメチレン型、1,12−ドデカン型、1,4−シクロヘキサン型、それらの混合型等を挙げることができる。脂肪族ポリエステルジオールとしては、1,4−テトラメチレン型、1,6−ヘキサメチレン型、1,12−ドデカン型、1,4−シクロヘキサン型、それらの混合型等のジオール由来のもの等を挙げることができる。また、芳香族ジイソシアネートとしては、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、m−キシレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、それらの混合物等を挙げることができる。これらを常法に従って反応させることで、ポリカーボネート系及び/又はポリエステル系のポリウレタンを得ることができる。
ビニル系重合体を構成する単量体としては、ビニル重合性基を含有していれば、如何なるものでも使用することができる。具体例としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル等を挙げることができる。これらは1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
これら単量体を公知の方法で重合することで、ビニル系重合体が得られる。
(B)成分のウレタン変性ビニル系重合体は、有機溶剤に溶解しているものが合成のし易さ、ハンドリングのし易さの点で好ましい。有機溶剤としては、(B)成分をよく溶解し、比較的極性の高い有機溶剤が好ましい。このような有機溶剤の具体例としては、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、ジアセトンアルコール等のアルコール類;メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール等のケトン類;ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、アニソール、ジオキサン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸シクロヘキシル等のエステル類などを挙げることができる。
(B)成分のポリカーボネート系及び/又はポリエステル系のウレタン変性ビニル系重合体の分子量は、ポリスチレンを基準とするGPC分析(溶媒ジメチルホルムアミド)による重量平均分子量で、5,000〜50,000であることが好ましい。更には7,000〜40,000であることがより好ましい。重量平均分子量が5,000未満であると、有機樹脂基材への十分な密着性が発現しない場合があり、また50,000を超えると、硬化被膜にした際の透明性が損なわれたり、組成物中での溶解度が低下し、分離するおそれがある。
(B)成分のポリカーボネート系及び/又はポリエステル系のウレタン変性ビニル系重合体の水酸基価は、(B)成分の固形分量で10以上であることが好ましい。より好ましくは(B)成分の固形分量で20〜100の範囲である。(B)成分の水酸基価が固形分量で10未満では、組成物中での溶解度が低下し、(B)成分が分離するおそれがある。
なお、上記(B)成分としては、市販品を使用することができ、例えば大成ファインケミカル(株)製のアクリット8UA−347、同357、同366(ポリカーボネート系)、同140、同146、同301、同318(ポリエステル系)等を使用することができる。
(B)成分のポリカーボネート系及び/又はポリエステル系のウレタン変性ビニル系重合体の配合量は、(A)成分の合計固形分量に対して、固形分量で1〜30質量%の範囲であればよい。更に、3〜25質量%の範囲であることがより好ましい。(B)成分の配合量が1質量%未満であると、有機樹脂基材に対する密着性が発現せず、また30質量%を超えると、耐擦傷性が低下する。
(C)成分
本発明で用いられる(C)成分は、コーティング塗膜に対する印刷インクの濡れ性及び付着性を向上させるもので、ポリ酢酸ビニル及びポリビニルアルコールから選択される少なくとも1種である。(C)成分は、硬化被膜中で(A)成分のシリコーンバインダーと層分離し、塗膜表面で微細な海島構造をとることで、耐擦傷性能を低下することなく、印刷インクに対する濡れ性及び付着性が発現するものと考えられる。(C)成分の1つであるポリ酢酸ビニルは、酢酸ビニルを主成分モノマーとして、(共)重合させたものであり、もうひとつのポリビニルアルコールは、アルカリ触媒を用いてポリ酢酸ビニルのアセトキシ基を水酸基に変換、いわゆるケン化することで得ることができる。ポリビニルアルコールは、このケン化の程度(ケン化度)により、完全ケン化型、部分ケン化型とに分けられる。具体的には、ポリ酢酸ビニル、完全ケン化型ポリビニルアルコールが好ましく、より好ましくは、ポリ酢酸ビニルである。
(C)成分のポリ酢酸ビニル及びポリビニルアルコールの分子量は、ポリスチレンを基準とするGPC分析(溶媒ジメチルホルムアミド)による重量平均分子量で、5,000〜100,000であることが好ましい。更には5,000〜50,000であることがより好ましい。重量平均分子量が5,000未満であると、(A)成分のシリコーンバインダーとの相溶性が増し、層分離し難くなるため、耐擦傷性が低下する場合があり、また100,000を超えると、硬化被膜にした際の透明性が損なわれたり、耐水密着性に不利となるおそれがある。特にポリビニルアルコールを用いる場合、分子量が50,000を超えると粘度が高くなり取り扱い難くなる。
なお、上記(C)成分としては、市販品を使用することができ、例えば日本酢ビ・ポバール(株)製のポリ酢酸ビニルとして、JZ−03−50M、JZ−04−50M、JZ−05−50M、JZ−10−50M、ポリビニルアルコールとして、JF−03、JF−04、JF−05、JF−10(完全ケン化型)、JT−05、JP−03、JP−05、JP−10JP−20(部分ケン化型)等を使用することができる。
(C)成分のポリ酢酸ビニル及びポリビニルアルコールから選択される少なくとも1種の配合量は、(A)成分の合計固形分量に対して、固形分量で1〜30質量%の範囲であればよい。更に、3〜25質量%の範囲であることがより好ましい。(C)成分の配合量が1質量%未満であると、印刷インクへの濡れ性が十分ではなく、また30質量%を超えると、耐擦傷性が低下する。
(D)成分
(D)成分は、通常、シリコーンコーティング組成物に用いられる硬化触媒が使用できる。具体的には、加水分解縮合物(A)中に含まれる、シラノール基、アルコキシ基等の縮合可能基が縮合する反応を促進する硬化触媒であり、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムメチラート、プロピオン酸ナトリウム、プロピオン酸カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、ギ酸ナトリウム、ギ酸カリウム、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキサイド、テトラメチルアンモニウムヒドロキサイド、テトラメチルアンモニウムアセテート、n−ヘキシルアミン、トリブチルアミン、ジアザビシクロウンデセン(DBU)、ジシアンジアミド等の塩基性化合物類;テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネート、チタンアセチルアセトナート、アルミニウムトリイソブトキシド、アルミニウムトリイソプロポキシド、トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、ジイソプロポキシ(エチルアセトアセテート)アルミニウム、過塩素酸アルミニウム、塩化アルミニウム、コバルトオクチレート、コバルトアセチルアセトナート、鉄アセチルアセトナート、スズアセチルアセトナート、ジブチルスズオクチレート、ジブチルスズラウレート等の含金属化合物類;p−トルエンスルホン酸、トリクロロ酢酸等の酸性化合物類などが挙げられる。これらの中でも特に、プロピオン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、ギ酸ナトリウム、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキサイド、テトラメチルアンモニウムヒドロキサイド、トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、ジイソプロポキシ(エチルアセトアセテート)アルミニウムが好ましい。
更に、硬化性、耐クラック性に加え、コーティング組成物の保存安定性を維持するためにより適した硬化触媒として、以下のものが使用可能である。
下記一般式(4):
〔R10111213M〕+・X- (4)
(式中、R10,R11,R12,R13は、各々独立に、ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜18のアルキル基であって、R10,R11,R12,R13における各々のTaft−Duboisの置換基立体効果定数Esの合計が−0.5以下であり、Mは、アンモニウムカチオン又はホスホニウムカチオンであり、X-は、ハロゲンアニオン、ヒドロキシドアニオン、アセテートアニオン又は炭素数1〜4のカルボキシレートアニオンである。)
で表される分子中に芳香族基を含まない化合物である。
ここで、Taft−Duboisの置換基立体効果定数Esとは、置換カルボン酸の酸性下エステル化反応速度におけるメチル基CH3を基準にした相対速度であり、下記式で表される{J.Org.Chem.45,1164(1980)、J.Org.Chem.64,7707(1999)参照}。
Es=log(k/k0)
(式中、kは、特定条件下での置換カルボン酸の酸性下エステル化反応速度であり、k0は、同一条件下でのメチル基置換カルボン酸の酸性下エステル化反応速度である。)
このTaft−Duboisの置換基立体効果定数Esは、置換基の立体的嵩高さを表す一般的な指標であり、例えば、メチル基:0.00、エチル基:−0.08、n−プロピル基:−0.31、n−ブチル基:−0.31となっており、Esが小さいほど立体的に嵩高いことを示している。
本発明においては、式(4)中のR10,R11,R12,R13におけるEsの合計が−0.5以下であることが好ましい。Esの合計が−0.5より大きいと、コーティング組成物としての保存安定性が低下したり、塗膜化した際や耐水試験後にクラックや白化が発生したり、密着性、特に耐水密着性、煮沸密着性が低下するおそれがある。これはEsの合計が−0.5より大きい場合(例えばR10,R11,R12,R13がメチル基)、相当する式(4)で表される硬化触媒は触媒活性が強くなるものの、コーティング組成物の保存安定性は低下する傾向があり、またその塗膜は非常に吸湿し易くなり、耐水試験後の塗膜異常を引き起こす場合がある。なお、R10,R11,R12,R13におけるEsの合計は、通常、−3.2以上、特に−2.8以上であることが好ましい。
上記式中、R10,R11,R12,R13のハロゲン原子で置換されていてもよい炭素数1〜18、好ましくは1〜12のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基;クロロメチル基、γ−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン置換炭化水素基などが挙げられる。
また、Mはアンモニウムカチオン又はホスホニウムカチオンであり、X-はハロゲンアニオン、ヒドロキシドアニオン、アセテートアニオン又は炭素数1〜4のカルボキシレートアニオンであり、ヒドロキシドアニオン又はアセテートアニオンであることが好ましい。
このような硬化触媒の具体例としては、例えば、テトラn−プロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラn−ブチルアンモニウムヒドロキシド、テトラn−ペンチルアンモニウムヒドロキシド、テトラn−ヘキシルアンモニウムヒドロキシド、テトラシクロヘキシルアンモニウムヒドロキシド、テトラキス(トリフルオロメチル)アンモニウムヒドロキシド、トリメチルシクロヘキシルアンモニウムヒドロキシド、トリメチル(トリフルオロメチル)アンモニウムヒドロキシド、トリメチルt−ブチルアンモニウムヒドロキシド、テトラn−プロピルホスホニウムヒドロキシド、テトラn−ブチルホスホニウムヒドロキシド、テトラn−ペンチルホスホニウムヒドロキシド、テトラn−ヘキシルホスホニウムヒドロキシド、テトラシクロヘキシルホスホニウムヒドロキシド、テトラキス(トリフルオロメチル)ホスホニウムヒドロキシド、トリメチルシクロヘキシルホスホニウムヒドロキシド、トリメチル(トリフルオロメチル)ホスホニウムヒドロキシド、トリメチルt−ブチルホスホニウムヒドロキシド等のヒドロキシド類、これらヒドロキシド類とハロゲン酸との塩、及び炭素数1〜4のカルボン酸との塩を挙げることができる。これらの中でも、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムアセテート、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムアセテート、テトラブチルホスホニウムヒドロキシド、テトラブチルホスホニウムアセテートが好ましい。これらは1種単独で使用しても2種以上を併用してもよく、更には前述の公知の硬化触媒と併用してもよい。
(D)成分の配合量は、(A)成分を硬化させるのに有効な量であればよく、特に限定されるものではないが、具体的には、(A)成分の固形分合計量に対し、0.0001〜30質量%であることが好ましく、より好ましくは0.001〜10質量%である。0.0001質量%未満であると硬化が不十分となり、硬度が低下する場合があり、30質量%より多いと塗膜にクラックが発生しやすくなる場合や、耐水性が低下する場合がある。
(E)成分
(E)成分は溶剤であり、(A)〜(D)成分を溶解する又は分散するものであれば特に限定されるものではないが、極性の高い有機溶剤が主溶剤であることが好ましい。有機溶剤の具体例としては、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール、ジアセトンアルコール等のアルコール類;メチルプロピルケトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジアセトンアルコール等のケトン類;ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル、アニソール、ジオキサン、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエーテル類;酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸シクロヘキシル等のエステル類などを挙げることができ、これらからなる群より選ばれた1種又は2種以上の混合物を使用することができる。
(E)成分の添加量としては、本発明の耐擦傷性シリコーンコーティング組成物の固形分濃度を1〜30質量%、特に5〜25質量%とする量を用いることが好ましい。この範囲外では組成物を塗布、硬化した塗膜に不具合が生じることがある。上記範囲未満の濃度では塗膜にタレ、ヨリ、マダラが発生し易くなり、所望の硬度、耐擦傷性が得られない場合がある。また上記範囲を超える濃度では、塗膜のブラッシング、白化、クラックが生じ易くなるおそれがある。
(F)成分
本発明で用いられる(F)成分は金属酸化物微粒子である。具体的には、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、インジウム錫酸化物(ITO)等である。(F)成分は、塗膜の硬度、耐擦傷性を付与する充填剤の役割と、粒子表面でバインダーとしての(A)成分中のシラノール基と結合を形成するため、架橋剤としての役割、場合によっては更に屈折率を調整し、干渉縞を低減する役割を果たす。(F)成分の金属酸化物微粒子の粒子径は、塗膜の透明性が維持できる程度に小さいものであれば使用可能であるが、好ましくは、粒子径5〜100nm、特に8〜50nm程度のナノサイズがよい。また(F)成分は、水や有機溶剤の媒体にコロイド分散している形態であり、市販されている水分散、有機溶剤分散タイプが使用可能である。例えば、商品名「スノーテックスO」(水分散コロイダルシリカ;日産化学工業(株)製)、商品名「メタノールシリカゾル」(メタノール分散コロイダルシリカ;日産化学工業(株)製)、商品名「IPA−ST」(イソプロパノール分散コロイダルシリカ;日産化学工業(株)製)、商品名「MEK−ST」(メチルエチルケトン分散コロイダルシリカ;日産化学工業(株)製)、商品名「ZNTANB15WT%−E34」(アルコール分散酸化亜鉛;CIKナノテック(株)製)、商品名「ナノユースZR−30AL」(水分散酸化ジルコニウム;日産化学工業(株)製)、商品名「オプトレイク1120Z」(メタノール分散酸化チタン;日揮触媒化成(株)製)等が挙げられる。
(F)成分の添加量は、(A)成分の加水分解縮合物の固形分総量に対し、好ましくは0〜100質量%、より好ましくは0〜50質量%、特に0〜25質量%がよい。(F)成分を用いる際には、コーティング組成物とした際の安定性、すなわち凝集性がないことが重要である。
(G)成分
本発明の(G)成分であるブロック化された脂肪族ポリイソシアネートは、基材への密着性において、(B)成分による密着性を補強するために用いられる。
(G)成分のブロック化された脂肪族ポリイソシアネートは、脂肪族骨格にイソシアネート基がブロック剤で保護されているブロックイソシアネート基を1つ以上有していれば、特に制限はない。ブロック化された脂肪族ポリイソシアネートは、一般的に無黄変タイプのポリイソシアネートに分類され、耐候性が良好である。ブロック化された脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、シクロヘキサンジ(メチルイソシアネート)、ヘキサメチレントリイソシアネート、リジントリイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート等のポリイソシアネート化合物、及びこれらの環状2量体(ウレチジオン)、3量体(イソシアヌレート)、及び重合体;前記ポリイソシアネート化合物とトリメチロールプロパン等のポリオール化合物とを反応させたアダクト体及びアロハネート体;前記イソシアネネート化合物とジアミン化合物とを反応させたウレア体及びビュレット体;これらのイソシアネート基をブロック剤で保護したものを挙げることができる。
(G)成分は、加熱、光照射、pH調節、反応剤、触媒など一定の操作を行うことで脂肪族ポリイソシアネートを生成する化合物である。特に加熱によりブロック剤が脱離するタイプが好ましく使用される。ブロック剤としては、例えば、オキシム類、アルコール類、フェノール類、カプロラクタム類、β−ジケトン類などを挙げることができる。このブロックイソシアネートを用いると、イソシアネート基がブロック剤で保護されているため、保存中に(A)成分の加水分解縮合物中のシラノールや、(E)成分の溶剤中の水酸基との反応が進行せず、経時安定性が保たれ、1液化が可能となるので好ましい。
またブロック剤は、塗布する基材の耐熱性にもよるが、オキシム類、β−ジケトン類がより低温で脱離するため好ましく使用される。
更に、(G)成分のブロック化された脂肪族ポリイソシアネートから生成するイソシアネート基の含有率は5〜60質量%、好ましくは6〜55質量%、最も好ましくは6〜50質量%であることが望ましい。イソシアネート基の含有率が5質量%未満であると(A)成分の加水分解縮合物に対する配合量が多くなり、基材との密着性が低下する場合がある。また60質量%より多くなると被膜の可撓性が低下し、基材との密着性が損なわれる場合がある。
これらブロック化された脂肪族ポリイソシアネートの好ましい具体例として、ブロック化ヘキサメチレンジイソシアネート、ブロック化イソホロンジイソシアネート、ブロック化シクロヘキサンジイソシアネート、ブロック化ヘキサメチレントリイソシアネート、これらイソシアネートの環状3量体(イソシアヌレート)のブロック化体、これらイソシアネートとトリメチロールプロパンとを反応させたアダクト体のブロック化体である。中でもブロック化ヘキサメチレンジイソシアネート又はイソホロンジイソシアネートの環状3量体(イソシアヌレート)のブロック化体が好適に使用される。
更に、(G)成分は、1種を単独で又は2種以上を混合して使用することができる。
なお、ブロック化された脂肪族ポリイソシアネートとしては市販品を使用することができ、例えば三井化学ポリウレタン(株)製タケネートB−882N、同B−874N、日本ポリウレタン(株)製コロネート2507、旭化成ケミカルズ(株)製デュラネートMF−B60M、同K6100等が用いられる。
本発明の(G)成分の配合量は、(A)成分中の固形分総量に対して、0〜10質量%、好ましくは0〜7質量%、より好ましくは0.5〜5質量%になるよう配合する。(G)成分が10質量%を超えて添加されると、架橋密度が高くなりすぎて、得られる被膜の硬度が高くなり、基材との密着性が不良となる場合がある。
その他の成分
本発明の耐擦傷性シリコーンコーティング組成物には、必要に応じて、pH調整剤、レベリング剤、増粘剤、顔料、染料、金属粉、酸化防止剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤、熱線反射・吸収性付与剤、可撓性付与剤、帯電防止剤、防汚性付与剤、撥水性付与剤等を本発明の効果に悪影響を与えない範囲内で添加することができる。なお、本発明の耐擦傷性シリコーンコーティング組成物には、塩化亜鉛は配合しないことが好ましい。塩化亜鉛を配合すると密着性、特に煮沸密着性が低下したり、塗膜外観も膨れ等の異常が発生する場合があるため、配合するとしても(A)成分中の固形分総量に対して5質量%以下とすることが好ましい。
本発明の耐擦傷性シリコーンコーティング組成物は、上記各成分の所定量を常法に準じて混合することにより得ることができる。
このようにして得られたシリコーンコーティング組成物は、基材の少なくとも一方の面に、直接、上記シリコーンコーティング組成物を塗布、硬化することにより被膜を形成した被覆物品を得ることができる。
ここで、シリコーンコーティング組成物の塗布方法としては、通常の塗布方法で基材にコーティングすることができ、例えば、刷毛塗り、スプレー、浸漬、フローコート、ロールコート、カーテンコート、スピンコート、ナイフコート等の各種塗布方法を選択することができる。
また、ここで用いられる基材としては、特に限定されることはないが、プラスチック成形体、木材系製品、セラミックス、ガラス、金属、あるいはそれらの複合物等が挙げられ、各種プラスチック材料(有機樹脂基材)が好適に使用され、特にポリカーボネート、ポリスチレン、アクリル樹脂、変性アクリル樹脂、ウレタン樹脂、チオウレタン樹脂、ハロゲン化ビスフェノールAとエチレングリコールの重縮合物、アクリルウレタン樹脂、ハロゲン化アリール基含有アクリル樹脂、含硫黄樹脂等が好ましい。更にこれらの樹脂基材の表面が処理されたもの、具体的には、化成処理、コロナ放電処理、プラズマ処理、酸やアルカリ液での処理、及び基材本体と表層が異なる種類の樹脂で形成されている積層体を用いることもできる。積層体の例としては、共押し出し法やラミネート法により製造されるポリカーボネート樹脂基材の表層にアクリル樹脂層もしくはウレタン樹脂層が存在する積層体、又はポリエステル樹脂基材の表層にアクリル樹脂層が存在する積層体等が挙げられる。これらの中でも特に、ポリカーボネート、表面処理されたポリカーボネート、アクリル樹脂積層ポリカーボネートが好ましい。
本発明の耐擦傷性シリコーンコーティング組成物を塗布した後の硬化は、空気中に放置して風乾させてもよいし、加熱してもよい。硬化温度、硬化時間は限定されるものではないが、基材の耐熱温度以下で10分〜2時間加熱するのが好ましい。具体的には80〜130℃で30分〜2時間加熱するのがより好ましい。
塗膜の厚みは特に制限はなく、使用用途により適宜選択すればよいが、0.1〜50μmであることが好ましく、塗膜の硬さ、耐擦傷性、長期的に安定な密着性、及びクラックが発生しないことを満たすためには、特に1〜20μmが好ましい。
本発明の耐擦傷性シリコーンコーティング組成物は、有機樹脂基材へ下塗り(プライマー)なしで塗工した際の塗膜外観が特徴のひとつである。その指標としては、蛍光灯下、目視において、干渉縞の有無又は目立ち難さ、及び塗膜異物の有無である。干渉縞は、目立たないことが好ましく、塗膜異物はないのが好ましい。
本発明の耐擦傷性シリコーンコーティング組成物は、有機樹脂基材へ下塗り(プライマー)なしで塗工した際の密着性が特徴のひとつである。その指標として、煮沸密着性試験での剥離の有無で定めることができる。煮沸密着性試験での剥離の有無は、有機樹脂基材の表面に下塗りなしで塗工した積層体を沸騰水中に2時間浸漬させた後、2mm角の碁盤目を25マス、カッターで作製し、セロテープ(登録商標、ニチバン(株)製)密着試験において、全く剥離がないものが好ましい。
本発明の耐擦傷性シリコーンコーティング組成物は、塗膜としたときの可視光透過性が特徴のひとつである。その指標として、塗膜のヘイズ(Haze;Hz)の値の上限を定めることができる。ヘイズは一般に膜厚が大きいほど大きくなるので、ここでは膜厚5μm以下でのヘイズが2.0以下、好ましくは1.5以下、より好ましくは1.0以下を満たすものが好ましい。塗膜のヘイズは、濁度計NDH2000(日本電色工業(株)製)で測定した値とする。
本発明の耐擦傷性シリコーンコーティング組成物は、塗膜とした際の耐擦傷性がもうひとつの特徴である。その指標として、塗膜の耐擦傷性ΔHzで上限を定めることができる。ΔHzはASTM1044に準じ、テーバー摩耗試験にて摩耗輪SC−10Fを装着、荷重500gの下での500回転後のヘイズを測定、試験前後のヘイズ差(ΔHz)である。膜厚5μm以下でのΔHzが10.0以下、好ましくは8.0以下、より好ましくは5.0以下を満たすものが好ましい。
本発明のポリ酢酸ビニル及び/又はポリビニルアルコールを配合した耐擦傷性シリコーンコーティング組成物は、塗膜とした際の印刷インクの濡れ性が更にもうひとつの特徴である。その指標として、塗膜の濡れ張力で下限を定めることができる。濡れ張力の測定は、JIS K 6768に準じ、段階的に増加する表面張力を持つ一連の標準液を塗膜表面に滴下し、塗膜表面が濡れた状態での標準液の表面張力で近似できる。濡れ張力が32mN/m以上、好ましくは33mN/m以上、より好ましくは34mN/m以上が好ましい。
本発明のポリ酢酸ビニル及び/又はポリビニルアルコールを配合した耐擦傷性シリコーンコーティング組成物を塗工した被覆物品に印刷を施す際に用いられる印刷インクは、加熱硬化タイプ、紫外線硬化タイプをはじめ各種のものが各印刷インクメーカーから販売されている。例えば、東洋インキ(株)製SS−8000、SS−83000;帝国インキ(株)製セリコールVG、セリコールB;セイコーアドバンス(株)製#2500;十条加工(株)製#8000PC、#8100SNP等が挙げられる。これらの印刷インクを用い、被覆物品上の耐擦傷性シリコーンコーティング塗膜面上にスクリーン印刷、スプレー印刷等により枠印刷や網点印刷などの印刷を施すことができる。
樹脂基材の表面に、本発明の耐擦傷性シリコーンコーティング組成物を塗工した上に、紫外線吸収層、記録層、熱線遮蔽層、粘着層、無機蒸着膜層、低屈折率層、防汚層等を成膜することもできる。
以下、合成例、実施例、及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記の例において%は質量%、部は質量部を示す。また、重量平均分子量は、標準ポリスチレンを基準としたゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)分析(溶媒ジメチルホルムアミド)により測定した。
<(A)加水分解縮合物、(D)硬化触媒、(E)溶剤の混合物の合成>
[合成例1]
1Lのフラスコに、KBM−803(信越化学工業(株)製:γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン)155.3g(0.792モル)を仕込み、0.25Nの酢酸水溶液−98.4gを滴下し、内温が40℃を超えないように冷却しながら第1の加水分解を行った。滴下終了後、40℃以下で1時間、次いで、60℃にて2時間撹拌した。次に、0.25Nの酢酸水溶液32.8g、KBM−13(信越化学工業(株)製:メチルトリメトキシシラン)35.9g(0.264モル)を順次投入し、60℃にて3時間撹拌し、第2の加水分解を行った。
その後、シクロヘキサノン150gを投入し、加水分解で生成したメタノールを、常圧にて液温が92℃になるまで加熱留去すると共に、縮合させた後、希釈剤としてイソブタノール209g、レベリング剤としてKP−341(信越化学工業(株)製)0.7g、酢酸0.8g、及び20%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液(TMAH)1.0gを加え、撹拌した後、濾紙濾過を行い、不揮発分濃度23.7%、標準ポリスチレンを基準とするGPC分析による重量平均分子量2,510、分散度1.81の無色透明の溶液を得た。更に不揮発分濃度20%になるようイソブタノールで希釈し、加水分解縮合物溶液(ADE−1)を得た。
[合成例2〜7]
合成例1と同様な操作で、表1に示した原料を用いて、加水分解縮合物溶液(ADE−2〜7)を得た。
Figure 0005598448
KBM−803:信越化学工業(株)製γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン
KBM−103:信越化学工業(株)製フェニルトリメトキシシラン
KBE−846:信越化学工業(株)製1,10−ビス(トリエトキシシリル)−4,5,6,7−テトラチアデカン
KBM−3026:信越化学工業(株)製1,2−ビス(トリメトキシシリル)エタン
KBM−13:信越化学工業(株)製メチルトリメトキシシラン
<(B)成分のポリカーボネート系又はポリエステル系のウレタン変性ビニル系重合体>
B−1:大成ファインケミカル(株)製アクリット8UA−347(ポリカーボネート系ウレタン変性ビニル系重合体溶液(固形分濃度30%、固形分の水酸基価33、重量平均分子量20,200)をジアセトンアルコールで固形分濃度20%にした溶液
B−2:大成ファインケミカル(株)製アクリット8UA−301(ポリエステル系ウレタン変性ビニル系重合体溶液(固形分濃度30%、固形分の水酸基価11、重量平均分子量40,300)をジアセトンアルコールで固形分濃度20%にした溶液
<(C)成分のポリ酢酸ビニル又はポリビニルアルコール>
C−1:日本酢ビ・ポバール(株)製JZ−05−50M(ポリ酢酸ビニルのメタノール溶液、固形分濃度60%)をメタノールで固形分濃度30%にした溶液
C−2:日本酢ビ・ポバール(株)製JF−05(完全ケン化型ポリビニルアルコール)を水で固形分濃度30%にした溶液
<(F)成分の金属酸化物微粒子>
F−1:日産化学工業(株)製 スノーテックスO(水分散コロイダルシリカ、固形分濃度20%)
F−2:CIKナノテック(株)製 ZNTANB15WT%−E34(アルコール分散酸化亜鉛、固形分濃度15%)
<(G)成分のブロック化脂肪族ポリイソシアネート>
G−1:三井化学ポリウレタン(株)製タケネートB−882N(ブロック剤で保護されたヘキサメチレンジイソシアネートの環状3量体(イソシアヌレート)、固形分濃度70%、イソシアネート含有率10.7%)
<添加剤>
H−1:塩化亜鉛のエチルセロソルブ溶液(固形分濃度20%、公知の干渉縞低減し得る添加剤)
<シリコーンコーティング組成物の調製及び硬化塗膜評価>
[実施例1]
合成例1で得られた加水分解縮合物溶液(ADE−1)100部(固形分)に対し、(B)成分のポリカーボネート系ウレタン変性ビニル系重合体溶液(B−1)5部(固形分)を添加、混合することにより、コーティング組成物(1)を得た。
[実施例2〜5、比較例1〜4]
表2,3に示した比率にて上記各成分を混合することによって、コーティング組成物(2)〜(9)を調製した。
[実施例6]
表面を清浄化した0.5mm厚のポリカーボネート樹脂板(ユーピロンシート、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製)に、実施例1で得られたコーティング組成物(1)を硬化塗膜として約3〜5μmになるようにフローコートし、120℃にて60分加熱硬化させた。このようにして得られた塗膜を試験片とし、下記の物性評価の結果を表4に示した。
[実施例7〜10]
実施例2〜5で得られたコーティング組成物(2)〜(5)を用いて、実施例6と同様に塗工して、試験片を得た。これらの物性評価の結果を表4に示した。
[比較例5〜8]
比較例1〜4で調製したコーティング組成物(6)〜(9)を実施例6と同様に塗工した。得られた塗膜に関して、下記の評価を行い、その結果を表5に示す。
硬化被膜の評価方法
<干渉縞、塗膜異物>
蛍光灯の下で、試験片を目視にて、干渉縞の目立ち易さ及び塗膜異物の有無を観察した。干渉縞の判定基準を下記に示す。
◎:干渉縞はほとんどない。
○:干渉縞はあるが、ほとんど目立たない。
×:干渉縞があり、目立つ。
<塗膜屈折率>
メトリコン社製 モデル2010プリズムカプラーを用いて、検出波長633nmにおける塗膜の屈折率(25℃)を測定した。
<塗膜透明性>
日本電色工業(株)製 ヘイズメーターNDH2000を用いて、塗膜のヘイズ(Hz)を測定した。
<耐擦傷性>
ASTM1044に準じ、テーバー摩耗試験機にて摩耗輪CS−10Fを装着、荷重500g下での500回転後のヘイズ(Hz)を日本電色工業(株)製 ヘイズメーターNDH2000を用いて測定し、試験後と試験前のヘイズ差(ΔHz)を測定した。
<初期密着性>
JIS K5400に準じ、カミソリ刃を用いて、塗膜に2mm間隔で縦、横6本ずつ切れ目を入れて25個の碁盤目を作製し、セロテープ(登録商標、ニチバン(株)製)をよく付着させた後、90°手前方向に急激に剥がしたとき、塗膜が剥離せずに残存したマス目数(X)を、X/25で表示した。
<煮沸外観及び煮沸密着性>
試験片を沸騰水中に2時間浸漬した後に目視にて外観観察及び前記初期密着性と同様にして密着性試験を行った。
Figure 0005598448
Figure 0005598448
Figure 0005598448
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[実施例11]
合成例1で得られた加水分解縮合物溶液(ADE−1)100部(固形分)に対し、(B)成分のポリカーボネート系ウレタン変性ビニル系重合体溶液(B−1)5部(固形分)、(C)成分のポリ酢酸ビニル溶液(C−1)10部(固形分)を添加、混合することにより、コーティング組成物(10)を得た。
[実施例12〜15、比較例9〜12]
表6,7に示した比率にて上記各成分を混合することによって、コーティング組成物(11)〜(18)を調製した。
[実施例16]
表面を清浄化した0.5mm厚のポリカーボネート樹脂板(ユーピロンシート、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)製)に、実施例11で得られたコーティング組成物(10)を硬化塗膜として約3〜5μmになるようにフローコートし、120℃にて60分加熱硬化させた。このようにして得られた塗膜を試験片とし、下記の物性評価の結果を表8に示した。
[実施例17〜20]
実施例12〜15で得られたコーティング組成物(11)〜(14)を用いて、実施例16と同様に塗工して、試験片を得た。これらの物性評価の結果を表8に示した。
[比較例13〜16]
比較例9〜12で調製したコーティング組成物(15)〜(18)を実施例16と同様に塗工した。得られた塗膜に関して、下記の評価を行い、その結果を表10に示す。
[実施例21]
実施例16で得られた塗膜の表面に、帝国インキ(株)製のインキであるセリコールVG−911及び希釈溶剤D−002を質量比8対2の割合で混合したものを、T−250メッシュを用いて印刷した。この時、インキのはじきは見られなかった。その後、50℃にて10分乾燥させたところ、インキの剥離などは見られなかった。印刷特性評価の結果を表9に示した。
[実施例22〜25]
実施例12〜15で得られたコーティング組成物(11)〜(14)を用いて、実施例16と同様に塗工した。得られた塗膜を用いて、実施例21と同様に印刷特性の評価を行い、その結果を表9に示した。
[比較例17〜20]
比較例9〜12で得られたコーティング組成物(15)〜(18)を用いて、実施例16と同様に塗工した。得られた塗膜を用いて、実施例21と同様に印刷特性の評価を行い、その結果を表11に示した。(C)成分が添加されていないコーティング組成物の硬化塗膜では、インキのはじきが見られ、また乾燥後には部分的にインキの剥離が見られた。
硬化被膜の評価方法
<濡れ張力>
JIS K 6768に準じ、濡れ張力試験用標準液No31〜36(和光純薬工業(株)製)を綿棒にて、塗膜に塗布、2秒以上濡れている状態を保っている標準液の表面張力を塗膜の塗れ張力とした。
<印刷インキのはじきの有無>
塗膜への印刷インキのはじきの有無を目視にて観察した。
<印刷インキの付着性>
塗膜への印刷インキの付着性を、インキの剥離の有無について目視にて観察した。
Figure 0005598448
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Claims (16)

  1. (A)下記一般式(1):
    (R3O)3-a1 aSiR2SH (1)
    (式中、R1及びR3は、各々独立に、炭素数1〜3のアルキル基であり、R2は、炭素数1〜6のアルキレン基であり、aは0又は1である。)
    で表されるメルカプト基含有アルコキシシラン及びその部分加水分解縮合物から選ばれる少なくとも1種20〜99質量%と、下記一般式(2):
    4 b5 cSi(OR64-b-c (2)
    (式中、R4及びR5は、各々独立に、水素原子又はメルカプト基を含有しない非置換もしくは置換の一価の飽和炭化水素基で、置換基同士が相互に結合していてもよく、R6は、炭素数1〜3のアルキル基であり、b及びcは、各々独立に、0又は1であり、かつb+cは0、1又は2である。)
    で表されるアルコキシシラン及びその部分加水分解縮合物から選ばれる少なくとも1種1〜80質量%とを共加水分解・縮合することにより得られた共加水分解縮合物、
    (B)ポリカーボネート系及び/又はポリエステル系のウレタン変性ビニル系重合体、
    (D)硬化触媒、
    (E)溶剤
    を含有し、(B)ウレタン変性ビニル系重合体の固形分量が、(A)共加水分解縮合物の固形分総量に対して、1〜30質量%であることを特徴とする耐擦傷性シリコーンコーティング組成物。
  2. (A)下記一般式(1):
    (R3O)3-a1 aSiR2SH (1)
    (式中、R1及びR3は、各々独立に、炭素数1〜3のアルキル基であり、R2は、炭素数1〜6のアルキレン基であり、aは0又は1である。)
    で表されるメルカプト基含有アルコキシシラン及びその部分加水分解縮合物から選ばれる少なくとも1種20〜99質量%と、下記一般式(2):
    4 b5 cSi(OR64-b-c (2)
    (式中、R4及びR5は、各々独立に、水素原子又はメルカプト基を含有しない非置換もしくは置換の一価の飽和炭化水素基で、置換基同士が相互に結合していてもよく、R6は、炭素数1〜3のアルキル基であり、b及びcは、各々独立に、0又は1であり、かつb+cは0、1又は2である。)
    で表されるアルコキシシラン及びその部分加水分解縮合物から選ばれる少なくとも1種1〜80質量%とを共加水分解・縮合することにより得られた共加水分解縮合物、
    (B)ポリカーボネート系及び/又はポリエステル系のウレタン変性ビニル系重合体、
    (C)ポリ酢酸ビニル及びポリビニルアルコールから選択される少なくとも1種、
    (D)硬化触媒、
    (E)溶剤
    を含有し、(B)ウレタン変性ビニル系重合体の固形分量が、(A)共加水分解縮合物の固形分総量に対して、1〜30質量%であり、(C)ポリ酢酸ビニル及びポリビニルアルコールから選択される少なくとも1種の固形分量が、(A)共加水分解縮合物の固形分総量に対して、1〜30質量%であることを特徴とする耐擦傷性シリコーンコーティング組成物。
  3. (A)成分が、一般式(1)及び(2)で表されるアルコキシシラン及びそれらの部分加水分解縮合物の合計100質量部に対して50質量部以上150質量部未満のpH1〜7の水にて共加水分解縮合し、生成するアルコールを液温80℃以上にて留去することにより得られ、かつGPC分析によるポリスチレン換算重量平均分子量が1,500以上であることを特徴とする請求項1又は2記載の耐擦傷性シリコーンコーティング組成物。
  4. (A)成分が、上記一般式(1)及び(2)と、更に下記一般式(3):
    (R7O)3-d8 dSiR9SiR8 d(OR73-d (3)
    (式中、R7及びR8は、各々独立に、炭素数1〜3のアルキル基であり、R9は、炭素数1〜6の非置換又は置換の二価の飽和炭化水素基であり、該飽和炭化水素基の1つ以上の炭素原子が酸素原子又は硫黄原子で置換されていてもよく、dは、各々独立に、0又は1である。)
    で表されるアルコキシシラン及びその部分加水分解縮合物から選ばれる少なくとも1種とを共加水分解・縮合することにより得られた共加水分解縮合物であることを特徴とする請求項1又は2記載の耐擦傷性シリコーンコーティング組成物。
  5. (A)成分が、一般式(1)、(2)及び(3)で表されるアルコキシシラン及びそれらの部分加水分解縮合物の合計100質量部に対して50質量部以上150質量部未満のpH1〜7の水にて共加水分解縮合し、生成するアルコールを液温80℃以上にて留去することにより得られ、かつGPC分析によるポリスチレン換算重量平均分子量が1,500以上であることを特徴とする請求項4記載の耐擦傷性シリコーンコーティング組成物。
  6. (B)成分が、ポリカーボネート系のウレタン変性ビニル系重合体であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の耐擦傷性シリコーンコーティング組成物。
  7. (B)成分のポリスチレンを基準とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)分析による重量平均分子量が5,000〜50,000であることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載の耐擦傷性シリコーンコーティング組成物。
  8. (B)成分の水酸基価が10以上であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項記載の耐擦傷性シリコーンコーティング組成物。
  9. (C)成分が、ポリ酢酸ビニルであることを特徴とする請求項2乃至8のいずれか1項記載の耐擦傷性シリコーンコーティング組成物。
  10. (C)成分のポリスチレンを基準とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)分析による重量平均分子量が5,000〜100,000であることを特徴とする請求項2乃至9のいずれか1項記載の耐擦傷性シリコーンコーティング組成物。
  11. 更に、(F)金属酸化物微粒子を含むことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項記載の耐擦傷性シリコーンコーティング組成物。
  12. 更に、(G)ブロック化された脂肪族ポリイソシアネートを含むことを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項記載の耐擦傷性シリコーンコーティング組成物。
  13. 有機樹脂基材の少なくとも一方の面に、直接、請求項1乃至12のいずれか1項記載の耐擦傷性シリコーンコーティング組成物の硬化被膜を被覆してなる被覆物品。
  14. 有機樹脂基材の少なくとも一方の面に、直接、請求項2乃至12のいずれか1項記載の耐擦傷性シリコーンコーティング組成物の硬化被膜を被覆してなり、該硬化被膜の表面に印刷による加飾が施されていることを特徴とする被覆物品。
  15. 有機樹脂基材がポリカーボネートである請求項13又は14記載の被覆物品。
  16. 有機樹脂基材上に下塗りなしに直接請求項1乃至12のいずれか1項記載の耐擦傷性シリコーンコーティング組成物を塗工し、硬化することを特徴とする被覆物品の製造方法。
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